モバP「あべこべとか美醜逆転とか、いろいろ」

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54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:22:33.61 ID:AfFddOPUo
「……ふぅ。ありがとう。シャワーを浴びてずっと考えてたことが少しすっきりしたよ」

現れたのは薄手の部屋着を纏ったプロデューサー。
素足がフローリングを踏みしめ、髪は湿っており、頬は上気していて赤い。

そのうえ、普段は寝間着に使っているのか、大きめの水色のシャツの胸元がやや開いている。

……こう、その、むらむら……といいますか、若干黒い欲望が沸いてくるような姿でした。

「響子」
「は、はひっ!」

プロデューサーの真っ直ぐな瞳が私を捉えた。
真剣な、本気の瞳に見つめられて、思わず声が裏返る。……我ながら挙動不審で情けなくてちょっと悲しい。

「大事な話が、伝えたいことがある」

心臓が跳ねる。
聞いたことのない真剣な声音。

異性の部屋。大切な話。少しすっきりしたという、ずっと考えてたらしいこと。
ここまで条件が揃っている。
ごくり、と思わず生唾を飲み込む。
わかる。わかるわ。じゃない、わかります。

―――これは、告白だ。

見えないように小さくガッツポーズ。
お父さん、お母さん、あと、ついでに弟。お姉ちゃんは幸せになります――。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:23:54.21 ID:AfFddOPUo

「ようやく伝える覚悟が決まったんだ。聞いて欲しい」

だが、これでよいのだろうか。
思わず、唇を噛む。
ソファーなどない部屋だ。プロデューサーはベッドの端に腰掛けている。
そして、ゆっくりと口を開いた。

「響子。驚くかもしれないけど俺は――」

そう。そうだ。私が女として生まれた以上、気持ちを伝える努力を怠ってはならない。なにより、私は私の気持ちに嘘を吐くつもりなど毛頭ありませんでした。

「――んむっ!?」

私はプロデューサーの唇を自らの唇で塞いだ。
目を白黒させるのはプロデューサー。唇が離れた後に「へっ?」とか「えっ?」とかひたすら状況を理解出来ないとばかりに困惑している。

大丈夫。大丈夫です。私は全部わかってますから。
意識せず熱い吐息が漏れる。
私という存在が熱を持っていくのがわかりました。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:25:05.46 ID:AfFddOPUo
「えっ、なに!?なんでっ!?手が……動かな……。というか、目がこわっ――」

きゅっとプロデューサーの両の手首を掴んでベッドに押し倒した。

「は、ぁっ。わたしも、すき。すきです。ずっと、ずうっとだいすきでしたよ」

私も非力な方ですけれど、一応女の端くれです。流石にプロデューサーを少し抑えるくらいなんてことありません。
そんなことより、この体中を焼かんばかりの熱をぶつけたくて、しょうがない。
再び、私は唇を塞ぐ。今度はねぶるようにその存在を味わうかのように。

「んっ、むっ。ちがっ、響子!聞いてくれ!」
「はいっ。聞きます。聞いちゃいます。なんでも響子に言ってください」

なんだって聞きます。
だからぜんぶ、ぜんぶ、ぶつけて欲しい。

プロデューサーは吐き出すように、叫ぶようにトドメの言葉を放った。



「おれは、……俺にはっ、他の人と違って響子がかわいいし、優しいし、魅力的な女の子に見えるってことを打ち明けたくて――」








――あはっ♪
私には自分の理性の最後の糸が呆気なく溶けて消えていくのがわかりました。
きっとわかっていないんでしょう。私にとって、今のあなたこそがどれだけかわいらしく見えているのか。

でも、大丈夫。すぐに、わかりますから。

嗚呼、なんてしあわせな両思い。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:26:06.86 ID:AfFddOPUo
 ◇



かつ、かつ、かつ。
アスファルトを踵が叩く音がどこかから聞こえる。

少女は辺りを見渡すように頭を揺らす。
しばらくして、目的のものを発見したのか、再び小気味良い足音を立てて駆けていく。

少女は一人の男の背後から背中に勢い良く抱きつく。
男はよたよたとよろけた後、目を細めて掌を差し出す。
それを見た少女は満面の笑みを浮かべてそれを握った。

「もてもて?」
「娘にモテてどうすんの」
「いーじゃん。いーじゃん。貰い手の予定もないんだから」

にんまりと笑む少女とは対照的に呆れたように息を吐く男。

「お前、俺が今度”鏡の扉”を見つけたら覚えとけよ。お前も死ぬ気で探せ。こっちの世界じゃ叶わん夢もある」
「たまにとーさん変なこと言うよね」
「そしたら向こう側でかーさんと一緒に死ぬほど歌ったり踊ったりさせてやるから」
「なにそれ、ちょっとこわい」
「見つかんなかったら死ぬまで俺が飼い殺してやる。ぜってー男にはやんねー」
「それはそれで、ちょっと倒錯的なものを感じるよとーさん」



 ◇



モバP「あべこべとか美醜逆転とか、いろいろ」 END
58 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2017/11/17(金) 23:27:18.08 ID:AfFddOPUo
完結〜。
やりたい放題感。
多分黒歴史。
お付き合い頂き感謝感謝。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 23:28:03.59 ID:4M64tDkdo
おわっちゃうのか
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 23:34:49.94 ID:5P1aiG0a0
終わったか

響子が可愛くてよかったおつ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 23:50:00.09 ID:+ie2xYilO
もっと読みたかった
おつ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/18(土) 00:31:57.70 ID:wvxMv08no
つまり最後は誰なんだぜ?
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/18(土) 11:23:23.01 ID:Yqeu9JZSo
>>62
プロデューサーの娘ちゃん(元世界基準で美人)
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 02:09:27.66 ID:X52nU7Mmo
二人で行動してるけど響子ちゃんどうなったの
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/21(火) 02:04:04.02 ID:k5cdzLcWo
>>53を見る限りこちらでも料理上手みたいだから普通にお家でご飯作って待ってるのでは
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