【艦これ】 外地鎮守府管理番号 88

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/17(金) 22:54:15.54 ID:ngMkegDN0
通貨の単位はドルを想定しております
値段は適当だったりしますのでご容赦下さい・・・

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510926855
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/17(金) 22:55:33.13 ID:ngMkegDN0

「ご愁傷様、残念だったね。」


ボシュボシュボシュ


背中の艤装に取り付けたボックスから飛び出た砲身、対潜迫撃砲ことスキッドの弾頭が発射されていく。

発射された弾体は40mの三角形に集束し・・・・。

ドゴン。

予め設定された水深で弾頭が爆発し圧力波で敵を完全に殴り倒す。


(これだけ爆発が酷いと助かる見込みは零だろうね。)


しばらく後に大量の油の様な物と深海棲艦の潜水艦がつけるシュノーケルの様な物が浮かび上がる。


「こちら時雨、鎮守府戦闘指揮所どうぞ。」

「こちら鎮守府指揮所不知火。どうされました?」

「潜水艦の掃討が完了したよ。エリア1〜6までオールグリーン。帰投するよ。」

「こちら不知火。了解しました。」

「雪風から同じく鎮守府戦闘指揮所へ。」

「不知火です。」

「エリア7〜12まで同じくオールグリーンです。帰投します!」

「了解しました、お疲れ様です。」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 22:56:12.58 ID:ngMkegDN0

鎮守府ドック

不知火「お二人ともお疲れ様です。」

不知火「お疲れとは思いますが戦果確認の為カメラのデータ提出と報告書の提出をお願いします。」

不知火「それと、何か気づいた事は有りますか?」

時雨「潜水艦の数が多くなってきているね。」

雪風「後、固い敵が増えてきている気もします。」

不知火が二人の意見を手元の用箋挟みのメモ紙に書き込んでいる所に彼女がやって来た。

明石「お二人ともお帰りなさい。新型のソナーの調子はどうですか?」

時雨「流石にソナーだけで20万もしただけ有るね。」

明石「そうでしょうとも、スキャンニングソナーを入手するの大変だったんですよ!」

時雨「それにスキッド。今まで潜水艦対策として使用していた装備がガラクタに思えるよ。」

時雨「ソナーとリンクして勝手に敵のいる方向へ砲身が向くのはありがたいね。」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 22:57:13.01 ID:ngMkegDN0

明石「そうでしょうとも。イギリスの高官を下ネタスキャンダルで脅して入手した甲斐がありました!」

時雨「サーチライトソナーと3種セットで40万、いい商売だね。本当。3ヶ月の稼ぎがパーだよ。」

雪風「ですが、潜水艦の撃破率が見違えるほどに上がりました。」

雪風「支払った分をペイするのも簡単ですよ。」

雪風「いちいちソナーの使用を止めたり爆雷の投射に自身の進行方向を変えなくて良いのはありがたいですね。」

時雨「雪風も買っていたのかい?」

雪風「えぇ、ですが、ソナー自体はシリーズを含めて太平洋戦争後のロールアウトのはずですが?」

明石「まっ、そこは米軍が艦娘用へ転換する為に色々やっていたのをですね。」チョイチョイ

時雨「なかなかの悪党だね。」

雪風「地獄に落ちてろくな死に方しませんよ?」

明石「お二人とも何を言ってるんですか。」

明石「ここを何処だと思ってるんです?」

明石「ここは地獄の一丁目。これ以上落ちる所なんかないですよ。」

不知火「確かにそうですね。」

明石「まっ、お二人が撃沈したら装備を剥いで使えそうなら他の方へ売るんで装備が残るような死に方してくださいよ。」

明石「棺おけ代くらいは持ちますよ。」



そういうと明石は手をひらひらとさせ伝票を眺めながら自身の工廠へと去っていったのだった。

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 22:58:14.99 ID:ngMkegDN0

ここは日本番外地。

所属する艦娘は何がしかの訳あり。

命令拒否なんかは可愛い物で上官殺し、味方艦隊殲滅等々。

ありとあらゆる問題児たちを突っ込んだ掃き溜め。

軍法会議で軽い者は最低でも刑期が10年。

重い者になると解体処分という名の死刑判決を受けた死刑囚。

或いは戦争以外に生きる能の無い戦争狂い。

自分の命を金に換算してまで金を稼ごうとする。

訳ありの艦娘。

なんにせよ、脛に傷持つ奴か金を敵として稼ぐ事に執着を燃やす奴か。

そんな奴らが集まる所。

それが此処、外地鎮守府管理番号88。

通称 88鎮守府。地獄の一丁目だ。

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 22:58:48.39 ID:ngMkegDN0

第一話 仕事と任務
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 22:59:43.68 ID:ngMkegDN0

摩耶「おーい、時雨―!」

時雨「なんだい?」



鎮守府内の任務カウンターに貼り出された軍令部外、簡単に言うと民間からの依頼。

請負幾らの任務が貼り出された掲示板を眺めて居た所に同じ鎮守府の仲間。

重巡摩耶が声をかけて来る。



摩耶「稼げる仕事があるんだ、時雨も一口乗らないかい?」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:00:31.79 ID:ngMkegDN0

この鎮守府の任務の仕組みは簡単に分けて二つ。

軍令部を通して正式に作戦として受理されたものは『 任務 』と呼ばれ。

民間からの依頼の任務は『 仕事 』と呼び分けられる。

所属している艦娘で自分の任期、

詰まるところの刑期を金で縮めたい連中は『 仕事 』を受け『 任務 』以外での報酬を稼ぐ。

それ以外にも金を稼ぎたい奴等は仕事を積極的に請ける。

自分の錬度と所持している装備、受け取れる報酬金、あるいは資材。

それらを天秤にかけ割がいいか良くないか。

その計算に長けたものだけがこの鎮守府では生き残れる。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:01:54.90 ID:ngMkegDN0

時雨「話だけなら聞こうか。」

摩耶「そうこなくっちゃ。」



摩耶が簡単に説明をする。

中東からの石油精製品、それを運ぶタンカーの護衛。

簡単な仕事に聴こえるが・・・・。



摩耶「このタンカーは外洋を突っ切るつもりだ。」



なるほど、深海棲艦に襲撃される事を恐れて沿岸に航路を取るのではなく

日数短縮重視で外洋の航路を走るということらしい。

日本政府の庇護を受けるつもりのタンカーなら護衛の交代がしやすい海岸沿いに航路をとるだろう。

だが、日本政府へ警備、護衛を頼めば協力費という圧力で結構な量の積荷を持っていかれる。

それが今や高価で売れることが確定的な石油関連製品なら?

海岸沿いに日数をかけて輸送しても襲撃にあうことがあるなら?

日本政府への多大なピンハネを払うくらいなら安く済む、

腕っこきの警備員を雇うということなのだろう。

そして他の会社を出し抜きさっさと売りさばく為の航海日数の短縮。

もっとも相手の眼鏡にかなわなければ荷主にしたって積荷を失うことよりピンハネされる方を選ぶのであろうが。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:02:59.14 ID:ngMkegDN0

時雨「報酬金額、拘束日数、申し分ないね。乗った。」



うしっとガッツポーズを決める摩耶。

そう、僕は稼がなければならない。

稼いで稼いで稼ぎまくって。

ここにいることを定められた刑期を縮めて生き抜いてやる。

そして、僕を罠に嵌めたその理由を彼女から聞くまでは死ぬ訳にはいかない。

沈んでなんてやるもんか。



摩耶「さてと、後、もう一人か二人誘いたいんだよね。」

時雨「他に誰が来るんだい?」

摩耶「んー?いつもつるんでる川内だろ?後、雪風にも声かけておいた。」



鎮守府内での仲間同士の繋がりは重要だ。

特に金になる話は。

お互いの装備、錬度、そして、艦種の相性。

それら全てをひっくるめて仕事を請けないと沈む羽目になる。

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:03:48.18 ID:ngMkegDN0

摩耶「予定されてる航路だけどトラックの連中が下手こいた後だからさー。」

摩耶「空母か戦艦が欲しいんだよねー。」

時雨「長門は?」

摩耶「燃料は向こう持ちだけどさ、弾代がね。」



戦艦の様に高火力ともなると弾の消費も莫迦にならない。

その為、支払われる報酬によっては金になる話でも見送るのがつねなのだ。



摩耶「まぁ、殴り合いが好きな長門からしてみれば対潜哨戒が主になる護衛は退屈なんだろ。」

時雨「違いない。」

摩耶「んっ、まっ、心辺りがあるから。そっちいってみるわ。」

時雨「じゃ、1時間後に出撃ドッグで。」

摩耶「あぁ、受任の手続きもこっちでやっておくよ。」

時雨「分かった。」



伯爵は暇してるかなぁと言いながら何処かへ向かう摩耶。

それぞれが稼ぐ理由があり、稼ぐ為にこの島へやってくる。

或る者は故郷への仕送り、或る者は贖罪の為。

そして、僕は僕を裏切って此処へ売り飛ばした彼女に理由を聞く為に。

今日も金を稼ぐ。生き残る為に。

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:04:23.86 ID:ngMkegDN0

第二話 補充兵器
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:05:30.64 ID:ngMkegDN0

数ヶ月前

小型デリックが輸送船から忙しなく補充物資を下ろしている港に一人の男が佇んでいた。

不知火「司令。司令部からのメールを印刷したものです。」

不知火「正式な書類は本日の船で『 補充兵器 』と共にとの事です。」

提督「ん、あんがとね。戻っていいよ。」

不知火「了解いたしました。」



一礼し下がる不知火。

胸元に入れている煙草を探すが・・・、最近禁煙を始めたことを思い出し軽く舌打ちする。



提督「補充兵器ね・・・。」

提督「いつもの定期便に乗せずにわざわざ船を出すってことはそれだけ早く厄介払いしたいってことかね。」



罪状、艦娘のこれまでの武勲。元の所属艦隊名と鎮守府。



提督「△×鎮守府ねぇ。ぴっかぴかのエリートさんじゃねぇか。」



中身をざっと見終えたくらいにちょうどタグボートが艀に近づいてくる。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:06:42.80 ID:ngMkegDN0

提督「お疲れ、連絡のあった『 補充兵器 』はこの船に?」

水兵「えぇ、こちらを。」



受け取りと引渡しの認証をいつも通りに端末へお互いの身分証を兼ねたICカードを翳す。



提督「どうだい。珈琲の一杯でも?陸の話を聞かせてくれないか?」

水兵「すみません、自分はこの後も仕事がありますので。」

提督「そうかい。生きているうちに稼がなきゃな。」



提督の言葉にははと笑い返す水兵。

ガチャガチャ



提督「と、これで枷は全部かな?」

提督「さてと、お嬢さん。ここが何処か分かるかね?」

提督「後ろをついて来な。着任の手続きが執務室で待ってる。」

提督「あぁそうそう、俺の命を狙っても無駄だからな。三途の川の渡し賃にすらなりゃしねぇ。」



補充兵器として来た彼女の前をべらべらと喋りながら鎮守府建屋へ向かう提督。



「僕は無実だ。」

提督「既に出た判決を覆す事は難しいな。」

提督「人権に配慮した上は艦娘にも裁判を受けさせるという有難い配慮をしているが配慮だけだ。」

提督「結果がなにか変更される事はないさ。」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:07:51.20 ID:ngMkegDN0

「だから僕はやっていない。」

提督「お前さんは運が良い。武勲を立てていなけりゃ問答無用で銃殺だ。」

提督「武勲を立ててきたお前さんに上はまだ利用価値を認めているらしい。」



補充兵器とされた彼女の返答を一方的に無視し話し続ける提督。



提督「よろこべ、敵の弾は戦艦、空母、重巡、軽巡、駆逐。全てを区別せずに等しく死を与えてくれる。」

提督「死にたくなったらいつでも当たりに行ってくれ。自殺の弾代が安く済む。」

提督「その分だけ花篭も良いやつにしてやるよ。」

提督「まぁ、何かやりたいことが残っているなら生き抜いて稼ぐこったな。」

提督「さぁて、着いたぞ。この立派な建物がお前さんの塒であり刑務所でもある鎮守府だ。」

提督「なかなかイカス建物だろ?そして、俺がここの看守兼提督だ。」

提督「これから宜しく頼むぜ?お嬢さんよ。」



港から少し歩いた所に聳え立つその建屋には

『 外地鎮守府管理番号 88 』とだけ書かれた看板が掛かっていた。



提督「普通の法律から外れた、そうだなある種の治外法権。」

提督「ここが地獄の一丁目と呼ばれる所以だ。」

提督「今までいた世界の常識とはこの入り口でおさらばするんだな。」

提督「 『 この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ 』 ってな。」



そう言い残し提督は建屋の中へと消えていった。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:08:24.41 ID:ngMkegDN0

第三話 時雨、着任
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:09:15.57 ID:ngMkegDN0

不知火「司令、緊急入電です。」

建物内を歩く提督が書類を一瞥しふぅーっと大きく溜息をつく。

提督「おーい、お嬢さん。着任の手続きは後だ。不知火。全体放送で全員を作戦室に集めてくれ。」

不知火「了解いたしました。」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:10:23.95 ID:ngMkegDN0

作戦室


鎮守府内の一際大きな部屋に戦艦や空母、重巡から潜水艦まで。

そして所々に海外艦と思しき人員。

おおよそあらゆる艦種と艦娘が全体放送により集まってきたのだった。



提督「全員集まったか?司令部からの作戦で全員参加だ。命令拒否はペナルティを払ってくれ。」

摩耶「いいからさっさと話を始めてくれよ。」

提督「今しがた入電したんだが横須賀の艦隊がスエズまで行っていたのは皆知っていると思う。」

長門「この間露払いしたからな。」

提督「連中、下手打ちやがった。」

正規さまは雑魚だねぇとか使えねぇなぁ等等、どっと笑いが起きる。

川内「それで追撃食らってるのを助けてやれってこと?」

提督「まぁ、有体に言えば。」

川内「で、幾ら出るの?」

提督「横須賀のお偉いさんの艦隊とかでな。

   作戦参加で1万、作戦完遂で100万の頭割り、後は戦果事のボーナスはいつも通り。

   MVPには半減上陸に小遣いもくれてやる。」

川内 ヒュゥ

川内「休暇の買取は?」

提督「必要なら申請しとけ。」

長門「司令部の作戦なら当然、弾と油は向こう持ちなんだろうな。」

提督「あぁ、好きにしろ。派手に暴れて来い。」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:11:31.81 ID:ngMkegDN0

摩耶「よっ、お大尽!で、そこの駆逐艦は?」

提督「あぁ、ついでだ紹介しとこう。今日来た『 補充兵器 』さんだ。」

摩耶「名前で呼ばないのかよ。」

提督「まだ着任が済んでないんでな。不知火。」

不知火「お呼びですか。」

提督「後、頼むわ。作戦の開始は2時間後。参加する奴は出撃ドッグに集合な。」

提督「俺は寝る。書類整理で完徹しててな。眠いんだよ。」



必要なことだけを述べ提督は大きく欠伸をしながら作戦室を出て行った。



不知火「早速ですがこちらの書類に目を通していただきサインをお願いしたします。」



A4のコピー用紙に文字が細かく印刷されたものが2枚

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:12:14.80 ID:ngMkegDN0

時雨「目が痛くなりそうだ。」

摩耶「よう、あんた時雨だろ?」

摩耶「何やらかした?」

長門「やめとけ。此処のルールは問わず語らずだろ。」

川内「書類の内容はよく読んだほうがいいよ。でないと後で後悔する。」

摩耶「つったってまぁ、懲役代わりにここに来たんなら2枚目一択だけどな。」

時雨「?」

長門「簡単に説明するとだな。1枚目は軍籍を維持したままここで戦う契約。」

長門「軍籍は残したままだから当然、命令拒否は通常なら軍法に基づき処罰だが・・・。」

摩耶「懲役代わりに此処にきたんならそのままズドン。」

川内「銃殺だね。」

長門「その代わり、出撃の弾薬、燃料、修理は海軍持ちでシフトに従った出撃になるな。」

長門「ただし、支払われる金は給料のみ、また、懲役分の金を払って刑期を短くする事や艤装の改造も禁止だ。」

時雨「艤装の改造?」

摩耶「そっ。まぁ、2枚目の契約書の話になってくるんだけどさ。」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:13:14.19 ID:ngMkegDN0

摩耶「2枚目は軍籍の放棄。早い話海軍と傭兵契約を結ぶってことだね。」

摩耶「傭兵だから出撃にかかる弾代、燃料代、修理費は自己負担。」

摩耶「その代わり撃破した敵ごとに定められた金が貰える。」

川内「そのお金を溜め込むか自分の刑期分を支払うか好きにできる。」

時雨「それは刑期をお金で縮めることが出来るということかい?」

摩耶「そういうこった。艦種事に算出方式が違うから特定の艦種ほど稼げるって訳でもない。」

摩耶「それ以外にも金を稼ぐこと自体が目的の連中もこっちを選んでるね。」

摩耶「ただ修理も含めて全てに金が掛かるからなるべく被弾しない立ち回りが必要だね。」

摩耶「選ぶやつは多いけど本当に腕の有る奴等しか生き残らない。」

川内「でも自分の好きなように艤装を改造して最新鋭の装備も金次第で引っ張れるのが魅力ではある。」

川内「そして、働いた分だけ金になる。」

長門「そういう訳だから2枚目を選ぶ奴の方が多いかな。」

不知火「皆さんありがとうございます。説明の手間が省けました。」

不知火「それからこれを。」


金属質な固さと冷たさを持ったICチップが付いたカードを渡たされる。


22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:14:24.26 ID:ngMkegDN0

不知火「ここにいる間の身分証明書兼電子マネーカードです。

    全ての決済がそちら1枚で出来ますので無くされない様にお願いします。」

不知火「万一紛失された際は早めの連絡を。それと、こちらの認識票も必ず身に着けて下さい。」

不知火「死亡された際の遺体の確認に使用いたしますので。後、こちらに遺品の送り先を。」

不知火「それから司令からの伝言ですが今までの武勲と給料で10万入っていますので当面の生活には困らないかと思います。」

不知火「ですが無駄遣いはなさらぬよう。後、食事は基本無料ですので御安心下さい。」


淡々とした口調で書類を差し出していく不知火。


不知火「それでは不知火はこれで失礼します。」

長門「さてと、明日の酒代を稼ぎに行くか。」

川内「10万ね。雪風以来かな。新人でこれだけ持ってここに来たのは。」

長門「確かにな。だが、死ねば皆一緒だ。ドックへ向かうぞ。」

川内「だねー、生きてる間は稼がないと。」

摩耶「で、雪風は今回の任務参加するの?」


作戦室に居た艦娘があらかた出て行った後、摩耶が後方に語りかける。

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:15:53.60 ID:ngMkegDN0

雪風「雪風は今回は遠慮します。」

摩耶「任務だから違反金だぜ?」

雪風「残敵の掃討部隊というのは決まって精強で士気が高いものです。」

雪風「駆逐艦の私では分が悪いってもんです。」

摩耶「そっか。じゃ、また後で。」

雪風「生きていれば。」ニィ

摩耶「時雨は?」

時雨「そうだね。僕も今回は遠慮しておくよ。まだここになれてないしね。」

摩耶「ふぅん。金持ちは違うねぇ。じゃ。またな。」


そういい残すと摩耶は去っていった。


雪風「よろしかったのですか?」

時雨「うん。雪風は此処が長いんだろ?それなら生き残るのが上手い娘を見習った方が良いと思ってね。」

雪風「さぁて、どうでしょうかね?」ニィ


この後、僅か30分後時雨は雪風の不敵な笑みの理由を知ることとなった。


不知火「鎮守府周辺海域に敵の艦隊の出現を確認しました。」

不知火「出撃可能な方は全員迎撃に向かってください!」


鎮守府全体放送で緊急放送がかかる。


雪風「予想通りですね。」

時雨「まさかこれを狙っていたのかい?」

雪風「作戦の決行時間は日没が近かった為、夜間作戦になるのは分かりきっています。」

雪風「雪風達駆逐艦が本領発揮するには魚雷をばら撒くのが一番ですが・・・。」

時雨「出撃する味方が多いと味方に誤射する可能性が高くなるね。それに夜だと尚更。」

雪風「その通り。それに競合する相手が少ないほど稼げるってもんです。」

時雨「流石だね。」

雪風「私は出撃して稼いできます。時雨さんも御一緒にいかがです?」

雪風「今までいた所がどれだけ微温湯だったか分かりますよ。」


ぬらりとした張り付いた笑みを見せると雪風は暗闇の中を出撃していった。


時雨「成程・・・、地獄の一丁目か。」


時雨はこの日、地獄の歩き方を少しだけ学んだ。

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 23:18:18.05 ID:ngMkegDN0

安価スレの末尾にて御連絡させていただいていた分のスレ立て

イベ中に更新出来れば1話分くらいは更新したいですね

まるっと同じという訳にもいかないので雰囲気が似せれたらと思う所

では、またの更新時に

ここまでお読みいただきありがとうございました
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/17(金) 23:28:21.87 ID:GSb+37sf0
乙、ここはロアナプラかそれともフロム泊地か
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 23:30:39.85 ID:dDoMlo6+O
3発5ドルの魚雷
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/18(土) 06:58:40.82 ID:sy0epL2oO
エリア8 8か以前書いてた奴の修正版だよな?
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/18(土) 16:13:09.23 ID:4Cj/nCORo
外泊届けにサインしなきゃ
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 09:53:32.62 ID:cZrOyKFEO
面白い
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 14:11:16.08 ID:tgz3e9j5O
これ見た事があるんだけど再投稿?
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 21:46:53.71 ID:dxrsIAQ80
雪風が燃える一角獣で時雨がプレイボーイバニー

ハリヤー乗りの王子様は清霜あたりかな?
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 08:39:21.79 ID:kTa5OAQ1o
構成文章は変わってるけどあらすじ設定全く同じの見たな
加筆修正再投稿じゃなけりゃもろパクリなのだが同じ人か?
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 19:11:54.87 ID:i81JpAoQ0
思いっきり同じ人だね
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 20:27:11.17 ID:eAUZ6oUCo
マダー
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 06:08:39.53 ID:JwDvbU1lO
おつ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 22:45:30.65 ID:liBY6hfM0

現在進行形でやっている別の作中と前作にて加筆修正後の再掲載の旨を告知していたため

スレを立てるにあたって不要かと思い

その事を省いたためお読みいただいた方に混乱をきたす事になり申しわけありませんでした

といっても酉をつけていないため同一人物と証明も難しいのですが・・・・

とりあえず、バスクリンです、はい

本日分の更新をさせていただきます、お時間よろしければお付き合い下さい
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:46:51.87 ID:liBY6hfM0

第四話  Ghost Submarine’s
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:48:16.75 ID:liBY6hfM0

鎮守府ドック埠頭


明石「お帰りなさい。今日もがっちり稼いでいますか!」

時雨「そうだね。駆逐に軽巡に補給艦に・・・、まぁ3万は固いね。」

時雨「魚雷を30本は貰おうか。」

明石「ふふふ。毎度!」

明石「魚雷の相場が1本このくらいですから・・。」

明石「こんなとこでどうです?」

時雨「高いね。もう少し安くならないかな?輸送ルートの掃除を頼まれてあげるからさ。」

明石「仕方ないですね。こんなとこで?」


電卓を叩く明石。


時雨「うん。それで。」

明石「まいど!」


明石が持つ端末にカードを翳し決済終了。


雪風「私も同じ値段ですよね!20本いいですか?」ニタァ

明石「いつからいたんですか!?まったく、ちゃっかりしてますねぇ。」

不知火「お二人ともお疲れ様です。本日の戦果報告をお願いします。」

時雨「うん。後で報告書をまとめておくよ。」

不知火「宜しくお願いします。」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:50:23.18 ID:liBY6hfM0

ズッズッズッ。

重そうに水を含んだ布地を引き摺りながら潜水艦娘が二人の近くを通りがかる。


時雨「ヒトミ。これを着なよ。」


つレインパーカー


伊13「・・・、ありがとう・・ございます。」

雪風「時雨さん。潜水艦の方々はあまり私達と馴れ合いませんよ。」

時雨「そうはいっても僕らと同性が上半身裸で歩いて回るってのも良くないよ。」

時雨「いくら入渠ドックまでの短い距離だっていってもよくないさ。」

時雨「ゴーヤもだよ。」


つ雪風のレインパーカー


雪風「いつのまに。」

伊58「・・・、ありがとうでち。」

伊58「ヒトミ、急ぐでち。修理が済んだら、まだ、今日のノルマが残ってるでち。」

不知火「・・・、お疲れ様です。」ペコ


ズルズルズル。

潜水艦娘の指定水着。

その上に時雨からもらったパーカーを羽織る。

破れたスクール水着を下に引きずりながら入渠ドックへと歩いていく潜水艦娘達。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:51:43.20 ID:liBY6hfM0

川内「時雨は優しいね。」

時雨「なんだい、見てたの?」

川内「ふふ。まぁね。」

雪風「川内さんも人が悪いですね。」

川内「といっても潜水艦の娘達はあんまり馴れ合いたがらないからね。」

川内「時雨の差し出すパーカーを素直に受け取ってたのが珍しかったのさ。」

時雨「そうなの?」

雪風「そういえばそうですね。あまり潜水艦以外の娘達と馴れ合いたがらないですね。」

明石「まぁ、事情が事情ですからね。」

川内「まだいたの。」

明石「扱い酷いですねぇ。まっ聞きたいならこれ次第でお話しますよ。」


手でお金のサインをする明石。


一同「「「いや、いいです。」」」

明石「」

雪風「では、食堂で夕飯と行きましょう。」

時雨「そうだね。ご飯は大事だよ。」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:53:40.35 ID:liBY6hfM0

食堂

食堂はいつもの様にこれから出撃する者、帰ってきた者でごったがえしていた。


川内「夜戦スペシャル1つ!」つ食券

「ほいよ!」 つスタミナカルビどっさり定食 & 果物山盛り

時雨「沢山食べるね。」

川内「夜に動くからね。この位食べておかないと朝までもたないの。」モッモッモッ

雪風「流石に見てるだけで胸焼けを起こしそうです。」


そして和やかに食事をしていた時に時雨が気づいた。


時雨「ハチたちは座るところを探しているのかい?」

時雨「よかったらここに座りなよ。」

伊8「ダンク。」

伊13「ありがとうございます。」

時雨「どういたしまして。」

雪風「川内さん詰めて詰めて。」


雪風が自分の横に座る川内を肘で横へ押しやる。


川内「ほいさっ、ほいさっ。」

川内「ほい。スペース出来たね!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:56:17.76 ID:liBY6hfM0

伊58「どうしてゴーヤ達にかまうでち?」

時雨「そうだね。うーん、一緒に命を賭けて戦っている仲間だから。」

時雨「これじゃ答えに不足かな?」

伊58「川内達は?」

川内「私?簡単だよ?仲間の時雨が仲良くしたがってる。それだけで理由としちゃ充分でしょ?」

川内「私はこれでも時雨に一目置いてるからね。時雨が仲良くしたいならそれを応援するよ。同じ鎮守府の仲間としてね。」

雪風「同じくです。」

伊58「仲間・・・・。」

時雨「じゃ、僕らはこれで。」

川内「ほら雪風も行くよ。」


川内に促され8個目の肉まんを片手に持ち雪風も席を立ち上がる。


時雨「じゃ、ゆっくりしなよ。」


そう言い残し食事を終えた3人は食堂を去った。

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:59:13.46 ID:liBY6hfM0

後日とある日 インド洋海上


摩耶「敵の潜水艦部隊に出会わないと楽だねぇ。」

時雨「潜水艦の対応に装備を全振りしてるから水上艦は頼むよ。」

摩耶「任しときな!そんときゃあたしの後ろに隠れるといいよ。」

摩耶「そうでないとこっちばっかりが得しちまう事になる。」

摩耶「あたしら重巡は対潜が出来ないからなぁ。」

時雨「各々向き不向きがあるさ。摩耶は水上艦、僕らは潜水艦。それでいいじゃないか。」

摩耶「潜水艦で思い出したけど時雨、最近潜水艦と仲がいいんだって?」

時雨「うん。まぁ・・・ね。何か問題でもあるのかな?」

摩耶「あいつらはちょっと特殊だからね。」

摩耶「潜水艦の連中は過去の経歴がまったく存在しないって噂だぜ。そして、何をしでかしてここに来たのか誰も知らない。」

時雨「誰も知らないの?」

摩耶「まっ、不知火なら知ってるかも知れないけどね。」

摩耶「んで、連中は終戦まで此処にいる決まりでかなりの額の賠償金も背負わされているって話だぜ?」

摩耶「経歴も何もかも存在しない、だから鎮守府の古参連中は幽霊って呼んでるんだ。」

摩耶「Ghost Submarine’s 幽霊潜水艦隊ってね。」

時雨「幽霊潜水艦隊・・・・。」

摩耶「まぁ、足はついてるけどな!」ハハハ

雪風「確かについていますね。」ハハハ
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