【艦これ】 外地鎮守府管理番号 88

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44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 22:59:58.28 ID:liBY6hfM0

また別の日


時雨「お疲れ。」

伊58「お疲れでち。」

時雨「低気圧が近づいてるみたいだよ。荒れそうだね。」

伊58「海の中は関係ないでち。」

時雨「そっか。それもそうだね。」

伊58「可笑しなやつでち。」フフフフ

時雨 フフフフ
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:01:01.79 ID:liBY6hfM0

さらにまた別の日


時雨「ヒトミ、お疲れ。」ヒュッ

伊13「あっ、お疲れ様です。これは?」パシッ

時雨「自販機が誤作動してね。2本出てきたんだ。あげるよ。」

伊13「暖かい・・・。」

時雨「今日はあがりだろ?海中は冷えただろうし、ゆっくり飲みなよ。」

伊13「ありがとうございます。」

時雨「はちもだよ。」ヒュッ

伊8「時雨はいいの?」パシッ

時雨「僕は今から出撃でね。ゆっくり飲んでいる暇がないんだ。」

伊8「酷い話ですね。」フフ

時雨「まったくだよ。」フフ

長門「時雨、出るぞ!」

時雨「あっ、うん!すぐ行く!じゃ!」

長門「と、二人、これは私からだ。」ポイッ

伊8「カイロ?」パシッ

長門「間違えて余分に封を切ってしまってな。」

長門「勿体無いから使ってくれ。ではな!」

伊8「ダンケ!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:02:30.00 ID:liBY6hfM0

数日後 どこかの海中

伊13「ゴーヤさん。時雨さん達なんですが・・・。」

伊58「・・・・。」

伊8「私は仲良くしてもいいんじゃないかって思う。」

伊8「今までの、ううん。ここに来る前にいた連中とは違うと思うの。」

伊58「やつらは!イクにイムヤは・・・・・!」

伊58「ううん。今はその話をする時ではないでち。仕事の時間でち。」

伊58「今週のノルマまで後少し。本腰いれて掛かるよ!」

伊13 伊8「「はい!」」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:04:19.88 ID:liBY6hfM0

同時刻 鎮守府廊下

不知火「時雨さん。お時間よろしいですか?」

時雨「不知火?僕に何かようかな?」

不知火「最近親しくされている潜水艦の娘達についてこちらの会議室で少し宜しいでしょうか?」

時雨「分かった。」


会議室内


不知火「そちらにどうぞ。」

時雨「ありがとう。それで、話っていうのは?」

不知火「これからお話することは他言無用で願います。」

不知火「不知火も司令から伝える様にと言われたのですがその意図が分かりかねている所です。」

不知火「初めにお話ししますが彼女達の罪状は以前いた鎮守府の殲滅を主導した事です。」

時雨「!!」

不知火「現在この鎮守府に居るゴーヤさん、ハチさん、ヒトミさん。」

不知火「そしてここにはいないイヨさんの四人で計画は実行されました。」

不知火「全てが終わった後、彼女達は出頭し、罪の自白、及び極刑を希望されたそうです。」

不知火「以上が彼女達がここに来ることになった簡単な経緯です。」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:07:03.52 ID:liBY6hfM0

時雨「何が彼女たちをそれ程までの狂気に駆り立てたんだい?!」

不知火「私達艦娘は軍務に付く際に所属鎮守府を登録しその後は艦隊司令部の作成した艦娘運用規定に則って

    各種作戦等の任務に従事します。」

不知火「そして、各鎮守府事の最大着任数は決められておりその上限枠を超えての着任は出来ません。」

不知火「また、鎮守府の大小に関わらず資源の最大保有量は変わりません。」

不知火「時雨さんもご存知ですよね、潜水艦の艦娘で資材を効率的に確保する方法を。」

時雨「・・・・、オリョクルだね。」

不知火「オリョクルは方法として司令部も必要悪として黙認している部分もあります。」

不知火「ですが、実施する際には疲労解消の徹底等いくつもの条件を満たした場合のみとしています。」

不知火「しかし彼女達はそれが守られていませんでした。」

不知火「いえ、酷使することを目的に意図的に着任手続きはされませんでした。」

時雨「そっか、着任していなければ艦娘としての運用規定に抵触しないという事か。なんて卑劣なんだ・・・。」

時雨「でも、ヒトミは着任手続きを取っていたんだろ?」

不知火「えぇ、ヒトミさんとその妹のイヨさんは着任手続きなされていたことが司令部の記録に残っています。」

不知火「そして、ある日、オリョクル中に彼女達の仲間であったイクさんが『 事故 』により喪失しました。」

時雨「事故だって?」

不知火「 『 事故 』です。」


強調するかのように繰り返す不知火。

その表情は険しい。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:08:58.24 ID:liBY6hfM0

不知火「艦娘としての籍が用意されていなかった為何が起きていたのかも

    証言のみでしか伺えませんがゴーヤさん達の救援要請が握り潰されたそうです。」

不知火「そしてその件もありヒトミさん姉妹は待遇の是正を求め動いていたのをより強め

    司令部監査室へ告発しようとした所を司令官に気づかれイムヤさんが『 事故 』により失われました。」

不知火「記録上は。」ギリ

時雨「なんて胸糞悪くなる話なんだ。」

不知火「告発失敗の後はヒトミさん達姉妹もオリョールの出撃へ組みこまれています。」

時雨「・・・・。」

不知火「この二件の事故で彼女達は従順になりました。いえ、正しくは演じていたですね。」

不知火「オリョクルで獲得可能な資源は燃料、弾薬とありますがその獲得資源量は一定ではありません。」

不知火「重ねてオリョール海は多島海の為彼女達が獲得した資源の一部を貯めるには隠し場所が実に豊富でした。」

時雨「その・・・・隠れて貯めた燃料や弾薬はやっぱり?」

不知火「えぇ、臥薪嘗胆の思いで貯めた資材が目標の量に達した時に彼女達は行動へ移ったそうです。」

不知火「深海棲艦が定期的に大量発生する時期に合わせて雌伏の時を過ごし、牙を研ぎ澄ませていたのですね。」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:11:32.64 ID:liBY6hfM0

不知火「そして彼女達は同じ鎮守府の艦娘を駆逐、軽巡といった対潜行動が可能な子達から葬り最後に正規空母、

    戦艦といった対潜行動をとれない娘達を一方的に弄り殺したそうです。」

不知火「ヒトミさん姉妹が告発に向けて動いていた際も協力する者は誰一人として居らず寧ろ、

    資材を取ってくる便利な『 何か 』程度にしか認識されていなかったため

    ゴーヤさん達の調書ではイクさんやイムヤさんの仇をとったという感情しか沸かなかった。と書いてあります。」

不知火「全てが終了した後、司令官も殺害し鎮守府に火を掛け海軍特別警邏隊に出頭し身柄を拘束されました。」

不知火「その目的は世間に広く事実を知ってもらう為、自分達と同じ状況になる艦娘を二度と生み出さない為に。」


どれほどの決意を持って行われたのかを考え不意に時雨は泣いてしまう。


時雨「そのイヨは?」


そして、一人だけ居ない者が居ることに時雨は気付いていた。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:13:08.03 ID:liBY6hfM0

不知火「イヨさんは一人海軍大津刑務所に拘留されています。」


人質か・・・・。


時雨「ここの提督の指示なのだとしたら相当な極悪人だね。」


吐き捨てるように言った時雨のこの台詞はこの瞬間においては大きな間違いであった事はこの後の不知火の様子が物語る。


不知火「あなたに司令の何が分かると言うのですか!」


怒気を存分に含ませ全身から溢れ出す殺気を押さえようともせず時雨を睨みつける不知火。

しかし、それは一瞬の事だった。


不知火「いえ、失礼しました。ただ、司令は海軍がその事実を死刑にて隠蔽しようとしたのを

    彼女達へ懲罰を与えるという口実をつけ救い出したという事実は付け加えさせていただいて宜しいですか。

    彼女達が生きている限りは事実は残りますので・・・・。」

時雨「そう、知らなかったとはいえ非礼を働いたのは僕の方だった様だね。」

時雨「不知火、ごめんよ。先の発言は取り消すよ。本当に申し訳ない。」

不知火「いえ、時雨さん、私が言えたものではないですがゴーヤさん達をお願いします。」


会議室を出て行く時雨が扉を閉めるときに見たのは深々と頭を下げる不知火の姿だった。

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:15:21.32 ID:liBY6hfM0

ゴーヤ達は逃げ回っていた。

いつものように通商破壊の為の補給艦狩を終えた後、帰投中に敵の対潜部隊に見つかったのだ。

伊58「敵がしつこいでち。」


敵は新しい玩具を与えられた幼児の如くゴーヤ達を嬲り弄んでいた。


伊8「同じ海域で補給艦狩りをやりすぎましたね・・・。」

伊58「今はそれを言っても仕方ないでち。」

伊58「それより、みんな魚雷は後何本残ってる?」

伊8「4本。」

伊13「6本です。」

伊58「二人とも1本だけ残して残りをよこすでち。」

伊58「ここはゴーヤが引き受けるでち。二人は逃げるでち。」

伊13「ゴーヤさん!?」

伊8「私も付き合うよ。ヒトミさんは逃げてください。」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:16:58.11 ID:liBY6hfM0

伊13「お二人を残して逃げるなんて出来ません!」

伊58「ヒトミは妹が居るでち。何が何でも逃げ切るでち。」

伊58「生きて帰らなければいけない責任と理由があるでち。」

伊8「私達の境遇を変えようと動いてくれた時は嬉しかったです。」

伊58「その所為でこんな所にまで巻き込んでしまって悪かったでち。」

伊58「さぁ!いくでち!ここは二人でなんとかするでち!ヒトミだけでも生きて帰るでち!」

伊8「ただではやられないよ!」

伊58「そういう顔をするなでち。さっ!敵がこっちを探してうろついている間にいくでち!」

伊13「必ず!」

伊13「必ず!救援を連れて帰って来ますから!」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:20:32.38 ID:liBY6hfM0


伊8「いきましたね。」

伊58「でちねぇ。」

伊8「さて、暴れますか。」

伊58「ハチも悪いでちね。黄泉路を一緒に歩くのがゴーヤで。」

伊8「敵も夜を前にこちらを沈めるべく動いてくるでしょうから増援が来るでしょうね。」

伊58「魚雷は2人で16本。一人8本ずつでち。最後の花火派手にいくでち!」

伊8「随分残してましたね。」

伊58「1本ずつを確実に当てれば少ない量でたくさん狩れる節約術でち。」フフフ

伊8「節約ですか。」フフフ


55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:22:11.41 ID:liBY6hfM0

鎮守府 出撃ドック近く


時雨「雪風もランニングかい?」

雪風「時雨さんもですか?日が暮れるのも早くなりましたね。」

時雨「うん、本当に。」


二人が運動後の体を海風に晒しほてりを冷ましている時に彼女は帰ってきた。

そして、一気呵成に事情を話し懇願した。


伊13「お願いします!お願いします!」


仲間の、ゴーヤ達の命を助けて貰う為に。すがりつくように懇願をする。


時雨「雪風。」

雪風「行きますか。」

時雨「勿論。」

川内「二人とも待った。任務でも仕事でもないのに勝手に海に出るのは脱走兵扱いだよ。」

川内「私が見逃しても私と同じように金目的でここに居る連中が見逃すとは思えないけど。」

川内「それでも行くの?」

雪風と顔を見合わせる時雨。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:24:32.78 ID:liBY6hfM0

時雨「川内は本当に神出鬼没だね。でも、僕らは脱走するわけじゃない。」

川内 ?

時雨「夜の散歩にいくだけさ。」フフ

雪風「その通りです。」ニヤリ

川内「散歩ね・・・。なら私が付き合わない道理はないね。付き合うよ!」

摩耶「なんだい?散歩かい?奇遇だねぇ。あたし達もこれから散歩なんだ。」

長門「夜の散歩は危ないぞ。照明弾も持ったか?」

摩耶「川内なら夜偵も持ってるよな。なっ。」

パンッと胸前に握った拳で音を立てる長門。

テキパキと散歩の準備を済ませる一同。

長門「さぁて、花火大会会場に案内してもらおうか。」

伊13「みなさん、みなさん!ありがとうございます!」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:25:34.97 ID:liBY6hfM0


伊58「動けるのが不思議なくらいの状態でちねぇ・・・。」

伊8「ヒトミちゃん逃げ切れたかなぁ。」

伊58「ヒトミなら大丈夫でち。ゴーヤ達が沈めば全部元に戻るだけでち。」

伊8「思えば結構長い付き合いだったね。」

伊58「ヒトミ達姉妹には感謝でち。二人がゴーヤ達の境遇改善に動いてくれたのはうれしかったでち。」

伊8「うん。はっちゃんもそうだよ。」

伊58「さぁて、残りの魚雷は1本だけだけど一隻でも敵を沈めて華々しく散ってやるでち!」

伊8「一隻でも多く沈めるよ!」


二人が最期を覚悟した時だった。

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:28:36.01 ID:liBY6hfM0

ドン!

水中にいるゴーヤ達からも分かる頭上の明かり。


長門「明石の在庫整理の大安売りでな!期限切れ寸前の照明弾のバーゲンだ!」

摩耶「軽空4、軽巡3、駆逐6!ついでにお守りの戦艦が1だ!」

時雨「いいね。いい運動になりそうだ。」

川内「私はねぇ、夜戦が大好き。」

川内「なぜかって?嫌いな夜に寝る気にならないから。」ニタァ


照明弾の残光が残る中でそれぞれが思い思いに敵と対峙する。


雪風「あなた達は幸せですよ。」

雪風「なにせ、痛みを感じることなく黄泉路を逝けるのですから。」


主砲の砲撃に注意を引き付け魚雷で止めをさす雪風。


川内「あぁ、今日も生き残った。」ペロリ


顔に付いたオイルとも血とも分からないものを舐めとり

手に握る軽巡だった物の艤装の断片を海へ放り投げ一息入れる川内。

敵は死んだことすら分からないのか捥ぎ取られた部位以外はぴくぴくと蠢く。

しかし、それはすぐに活動を止めた。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:30:04.18 ID:liBY6hfM0

長門「さぁ!殴り合いを楽しもうか!」


対潜部隊の軽空母陣から少し離れた所では

戦艦同士の主砲の撃ち合いをする音が続きその砲煙は日の落ちた闇夜を赤黒く照らす。


長門「さぁ!さぁ!まだだ!まだ楽しませてくれるよなぁ!」

摩耶「ありゃスイッチ入っちまったなー。」

時雨「近づかないほうがよさそうだ。」


数瞬、まさしくほんの少しの時間、ゴーヤ達が最期と覚悟を決めてほんの少しの後。

その海域には深海棲艦で動くものはいなかった。


長門「他愛ない。」

摩耶「まったく。長門の姐さんはやり過ぎ。」

時雨「ゴーヤ達は大丈夫かな?」

伊13「なんとか!自力で帰れそうです!」

摩耶「食後のいい運動になったよ。」

摩耶「時雨、あたし達は先に帰ってるから雪風と援護してゆっくり散歩を楽しんで来るといいよ。」ニヤリ

川内「そうそう。じゃ、また後で。」バイバイ


台風の様に圧倒的暴力を吹き散らかし大破したゴーヤ達を護衛するような形で時雨と雪風は帰途についたのだった。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:32:20.29 ID:liBY6hfM0

伊58「時雨、雪風、助かったでち・・・・。」

伊58「でも、なぜ?」

時雨「簡単だよ。前にも言ったけどゴーヤ達は仲間だろ?」

時雨「助けるのに理由なんて必要かい?」

雪風「じゃ、みなさん帰りましょう!」



鎮守府ドック付近


川内「お帰りー。」

不知火「お帰りなさい。」

摩耶「不知火が話があるってさ。」

伊58「不知火!時雨達は見逃して欲しいでち!ゴーヤが全て責めを負うでち。」

伊58「ノルマの増加でもなんでも受けるでち!」

伊58「だから、だから、二人の無許可出撃は見逃して欲しいでち!」


土下座をし額をドックのコンクリートで擦り切らんばかりの勢いで拝み倒す伊58。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:34:25.29 ID:liBY6hfM0

摩耶「まーまー。落ち着きなって。」

不知火「司令から二人に伝言です。『 外出許可届けを出し忘れているぞ。 』と。」

不知火「こちらに氏名と登録番号を記入の上、明日昼までに提出をお願いします。」


二人に渡されたのは受領時刻が出撃した2時間前で記入された外出届。


不知火「尚、『 外泊許可届けとは違うから安心しろ。 』とも言われていました。」

不知火「意味は分かりかねますが。では。」

川内「提督も味な真似するよねー。」

長門「まっ、根っこまで腐っているようなら私はここに居ないがな。」

摩耶「頭の毛根は腐ってるみたいだけどなー。」

不知火「司令は禿げていません。薄いだけです。」キリッ

一同 爆笑

不知火「では、提出の期限は皆さん守っていただきますようお願いします。」


そして、不知火は書類を渡し終えると仕事が残っているからと去っていった。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:35:51.85 ID:liBY6hfM0

伊58「みんな、本当にありがとうでち。」

伊58「仲間なんてハチやヒトミ達以外に居ないものだと思っていたでち。」

伊8「助けていただきありがとうございました。」

摩耶「気にすんなって。仲間だろ?あたしらは散歩に出たらたまたま敵に出くわしただけなんだから。」

川内「そーそー。じゃ、私らはこれで。」

時雨「ゴーヤ、またね。」

伊58「また。」ズビッ

伊58「またでち!」

それぞれの部屋へ帰り行く一同、その後ろ姿を見送る潜水艦娘達。

その姿が小さくなってもゴーヤ達は手を振り続けていた。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/26(日) 23:36:32.87 ID:liBY6hfM0

雪風「ところで時雨さん。」

時雨「なんだい?」

雪風「魚雷に弾薬、任務や仕事ではないので大赤字です。」

雪風「これは散歩にお誘いいただいた時雨さんに請求するべきでしょうか?」

時雨「ちょっとやだなぁ。せっかくいい話で終われそうだったのに。」

雪風「もしかして、雪風、空気を読んでいませんでしたか。」フフフ

時雨「本当だよ。」フフフ

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 23:40:08.02 ID:liBY6hfM0

こんな感じで進行していきたいと思います

本日はお読みいただきましたありがとうございました

ボツネタとして掲載させていただいた時は需要があるんかいなという部分が大きかったので

続きは?というレスが多かった事に驚きました

さて、E4のゲージ削らなきゃ・・・、Z6マスで心折れ、乙にて絶賛攻略中です

E4のラスボスはたぶんZ6のS勝利だと思いますです

乙レス、感想レス、いつもありがとうございます

ではでは、また次回の更新で
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 00:27:44.46 ID:pnA3wHvJo
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 00:56:31.64 ID:elhv3c9q0
おつかれさま

元ネタの基地司令官は長髪だったのに…
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 01:34:26.79 ID:JrvNf+0A0
始まったのか良かったな
ただバスクリンが薄毛に効果無いのはちょっとショック
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 02:22:55.30 ID:wdiAX58A0
おつおつ
こんだけ荒んでる環境もなかなか面白いなw
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 13:49:52.93 ID:zGD9poV10
ここだと髭もじゃの大淀が対地攻撃でヒャッハーしてるのか(困惑)
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 20:41:20.79 ID:ff7g0aQlO
STGのエリア88やたら難しいんだよな…SFC版しか知らないけど
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/28(火) 20:41:53.67 ID:zgXqAAX30
乙、面白い
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 09:58:45.42 ID:67pufFN1o
前のエリ8はエタってたから、期待
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 22:56:26.21 ID:ymxIMaUd0

1です、本日分の更新をさせていただきます

乙レス、感想レス、いつもありがとうございます

>72様

自分以外に同じネタで書いていた方がいらしたのでしょうか?

前々作での末尾に掲載していたものはボツネタとしての物の為、続きをやる予定すらなかったのですが

その為、ちょっと心当たりがないので申し訳ないです

他の方が書かれていてエタっていたのであればこちらで楽しんでいただければ幸いです
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 22:57:38.23 ID:ymxIMaUd0

第五話 川内という女
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 22:59:53.42 ID:ymxIMaUd0

ジジジジジ。


「ん。」


もぞりと寝床から起き出し枕もとの目覚ましを止める。


「主砲よし。」

「魚雷よし。」

「電探よし。」

「そして最後にダメコンよしっと。」


装備の一つ一つを指差し確認。

首に襟巻を巻き気合をひとつ。


時雨「川内も今から朝食かい?」


日課のランニングを終えストレッチをこなし体を冷やしているところに同じように運動を終えた時雨が声をかけてくる。

普通の鎮守府と違いトレーニングや訓練を一切強要されることは無い。

しかし、ここに所属している艦娘でそれを怠るものは一人としていない。

ここが激戦地で他より危険度の高い敵がうろついていたり

他の鎮守府で手に負えない敵を倒すために存在しているから。

例えるなら始まりの町を一歩出たらいきなり魔王城の大広間で魔王とこんにちは、みたいな。

それ程の危険な海域の中に存在しているのがこの鎮守府なのだ。

出撃した際に死なない確率を少しでも上げる為にみな自分が最適と思うトレーニングをこなす。

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:02:30.81 ID:ymxIMaUd0

食堂


川内「今日の朝食は何にしようかな?」

時雨「食事が楽しみってのはあるよね。」


朝食は食堂の入り口で券販機から食券を出しそれを受付に置き受け取り口で受け取る。


時雨「何と言うか養成学校時代を思い出すね。」

川内「時雨は養成学校に行ってたんだ。」

時雨「川内は違うの?」

川内「私は志願、即、戦場だったからなぁ。こうして生きてるのが不思議なくらいだよ。」

雪風「川内さんの昔話は珍しいですね。」

雪風「来たときに比べれば随分丸くなったもんですよ。」

時雨「そんなに酷かったの?」

雪風「そうですね。幽鬼の如き有様でした。」

川内「ちょっと雪風。」

雪風「と、おしゃべりが過ぎました。」


普段、飄々とした態度を見せる川内の過去の話に華が咲きそうだった時に不知火がやって来る。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:04:46.35 ID:ymxIMaUd0

不知火「おはようございます。」

時雨「おはよう。」

不知火「急ぎでは無いのですが頼まれごとをお願いしてもよろしいですか。」


返事をする前から3人の前に書類を並べ始める不知火。


雪風「捜索に出るだけなのに結構いい稼ぎですね。」ズルズル


その小さな体のどこに入るのか6杯目のラーメンを食べながら雪風が書類の内容に感想を漏らす。


時雨「何か訳有りなのかな。」

不知火「察しがよくて助かります。」

不知火「技研が新型兵装の実験を行っていたようで

    その新型兵装を積んだ艦娘が行方不明の為兵装の回収をお願いしたいと。」

川内「なんたってこんな危険海域で。」

不知火「馬鹿だったのではないでしょうか?」

雪風「辛辣ですね。」

時雨「兵装の回収だけなのかい?」

不知火「・・・・、おっしゃりたいことは分かりますが艦娘に関しては生死を問わずです・・・。」


苦々しい、そう表現するしかない渋い顔で不知火が答える。


不知火「とりあえず、お暇な時で結構ですので。」


そういい残し不知火は去っていった。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:06:08.62 ID:ymxIMaUd0

時雨「皆、どうする?」

雪風「悪くないと思います。」

川内「多少派手に交戦しても黒字が出る金額ではあるかな。」

長門「ん?なんだ、お前達も頼まれたのか。」

時雨「長門達も?」

長門「あぁ、この後行こうと伯爵達と話していた所だ。

   時雨達も行くなら艦隊としての受任手続きはこの長門がしておこう。」

時雨「じゃぁ、お願いするね。」

長門「任された。」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:08:26.44 ID:ymxIMaUd0

鎮守府 出撃ドック近く


川内「おっ、提督暇してる?」

川内「釣りなんかして何か釣れるの?」

提督「釣れるさ。お前と言う話し相手がな。」

川内「そう。・・・、横、座るよ。」

提督「ん。これを下に敷くといい。尻が冷えなくていいぞ。」

川内「煙草。」


そう言い提督の口に咥えていた物を取り上げ口に咥える。


川内「やっぱりまっずい。禁煙しなよ。」

提督「してるさ。少なくとも30回は成功している。」

川内「じゃぁ、もう吸えないようにライター没収!」

提督「おいおい、ダンヒルのライターで頂きものなんだぞそれ。返してくれ。」

川内「べ――――だ。」


舌を出しあっかんべーをする川内。


提督「まったく・・・ところで川内、そろそろ契約更新の時期だが。」

川内「するよ。今回も契約延長。」

提督「・・・・、まぁ、お前さんの勝手だ。仕送りはまだやってるのか?」

川内「・・・、うん。」

提督「ここで働く理由は聞かないが安全な仕事場なら紹介してやれるぞ?」

川内「でも、儲からないよね。」

川内「ねぇ、提督はなんで煙草をすうの?」

提督「口寂しい時に乳吸わせてくれてた女が死んだからさ・・・・。」


ふいと煙を吐く提督。

その横顔はどこか物悲しさを感じさせる。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:09:27.83 ID:ymxIMaUd0

時雨「あっ川内、ここに居たのかい?先程の任務だけど手続き終わったって。出るよ。」

川内「うん、分かった!すぐ行く。」

川内「提督!」

提督「ん?」

川内「行って来ます!」

提督 フン。

提督「いってらっしゃい。」フフ

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:13:34.12 ID:ymxIMaUd0

何処かの海上


時雨「今日の任務は顔見知りでの出撃だね。」

川内「雪風と時雨、私に摩耶に長門と伯爵か。」

川内(気の許せる仲間って所かな。お互いの実力をきちんと把握出来ている。いいね。)

長門「こちら『 巨乳 』リーダー長門だ、

   現在行方不明になったとされる海域に到着。敵艦隊見当たらず。」



「こちら不知火、了解です。目標を発見できましたら回収をお願いします。」ザリザリ



摩耶「長門の姐さんに任せると、めちゃくちゃ恥ずかしい艦隊名で受任申請するよね。」

グラ「まぁ、理由は分からないではないがな。」

時雨「分かるの!?」

グラ「私達が万一沈んだ際に書かれる死亡届けの艦隊名は受任した時の艦隊名だ。」

グラ「流石に『 巨乳 』などと恥ずかしい名前が記載されたくはないだろう?」

グラ「なればこそ。生き残ろうと頑張るものさ。」

雪風 ペタペタ

雪風「長門さん。」

長門「ん?」

雪風「後で謝罪を要求します。」

長門「?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:14:52.20 ID:ymxIMaUd0

川内「あー、まぁ仕方ないよねー。」

グラ「哨戒機に艦影なしだ。潜水艦はどうだろうか?」

時雨「感無し。」

雪風「同じくです。」

摩耶「・・・・・。妙だな。」

長門「哨戒範囲を広げるか。」

グラ「むっ。艤装と思しき浮遊物と艦娘かな?哨戒機が浮遊物を発見したぞ。」

哨戒に出した艦載機からの連絡を受け全員に伝達するグラーフ。

時雨「どっちの方角?」

グラ「ここから北東方向に200だ。」

長門「ふむ。行って見るか。」

川内「・・・・・。皆待った。」

時雨「どうしたの?」

川内「何か臭う。」

雪風「臭うですか?」

川内「うん、私とした事が仕事を請ける前に気がつくべきだった。」

摩耶「川内、どうしたってんだよ。」

川内「昔ね、私が志願したての頃に居た鎮守府がやられたやり方を思い出してね。」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:17:36.65 ID:ymxIMaUd0

川内は話す。

自身が所属していた鎮守府が敵にいかに潰されたかを。

敵の深海棲艦は実に狡猾かつ卑劣な手段をとっていた。

駆逐艦の娘達を捕まえ救援要請を出させ機雷原に放置し、

助けに来た味方を救援対象事吹き飛ばす。

救援要請を拒んだ娘については

徹底的に『 壊した 』後に海面に打ち捨てその確認に来る者を殺す撒餌にした。

艦娘の仲間意識を利用した卑怯だが非常に有効なやり方。


川内「餌に使う娘はとにかく口だけ利ければいいって感じで状態にされててね。」

川内「一番酷いので達磨だったかなぁ。」

川内「そんな状態だから助けに行っても結局死んじゃう事が多かったかな。」

川内「それで戦艦とか空母の娘とか。

   自分に絶対の自信を持っている娘程助けに生きたがるものだからその娘達から先に消えていったんだ。」

長門「ふむ。ならば行かずに帰投するのが正解か。」

グラ「むぅ。しかし、哨戒機からの連絡によると浮遊物は艦娘らしくどうも生きているようだが?」

川内「それが敵の狙い目でね。助けても花火を大量に持たされていて敵は一発でも当てれば救援に来た艦隊事ドカン。

   外そうとしても仕掛けが働いてドカンなんだ・・・。」

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:19:35.41 ID:ymxIMaUd0

時雨「川内?」

川内「・・・・、妹達がね。自分の部下だった娘達を助けようとして、ね。」

時雨「ごめん。つらいことを聞いたね。」

川内「いいよ。別に。昔の事だし。」

雪風「空撮した写真の提出でいいでしょう。火薬庫に裸で突っ込ませた技研が問題です。」

雪風「私達の命を手札に載せてまで連れて帰る価値は無いと思います。」


哨戒機からの情報を受け取ったグラーフが何かに気付く。


グラ「ほぅ。成程、どうやら敵はこちらが罠と気付くのも見越していたようだ。」

グラ「水雷戦隊の一編成がこっちに急襲をかけようと向かってきている。」

グラ「どうする?やれなくはないと思うが。」

川内「全力で逃げよう。」

川内「本隊が来るまでの時間稼ぎの捨て駒だよ。」

長門「だろうな。君子危うきになんとやらだ。」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:22:43.78 ID:ymxIMaUd0

全員が反転して海域離脱を図ろうとした時だった。

遠くで一際大きな砲声がしたかと思った後、川内が横に大きく吹き飛ぶ。


川内「おおぅふぅ。」

時雨「川内!」

川内「機関への直撃はしていないよ。まだ動ける。」


腹部への直撃弾を受け口から吐瀉物を漏らしながら時雨の問いかけに答える川内。


川内「くっそぉ・・・、スナイパーが居やがるかぁ。」

グラ「スナイパー?」

川内「連中の戦艦の中で特別に長距離射撃に長けた奴でね。

   私が居た所が潰された原因のひとつがこっちの電探感知範囲外から一方的にやられたからなんだ・・・。」

川内「あの糞連中めぇ・・・ここにも出張って来てたかぁ。」

摩耶「おい。川内?」

普段の戦場においても余裕を見せていた川内の豹変に摩耶が驚き声をかける。

川内「奴らは一人ずつ仕留めるのが好きなサディストでね。私がここを引き受ける。

   みんな、急いで逃げて。絶対に後で合流するから。」

時雨「川内、死ぬつもりじゃないよね?」

川内「私には生きてやることがあるんだ。時雨、あんたと同じくね。」

川内「それにもうすぐ日も暮れる。夜の闇に紛れるにはいい頃あいだよ。」

長門「夜の闇に溶け込むか。」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:24:53.63 ID:ymxIMaUd0

川内「うん、盆じゃないけどね。送り火をつければ派手に明るく見えるでしょ?」

長門「・・・・、送り火か。」

川内「生者の魂をあの世に送るには必要でしょ?」

長門「成る程な。ではな。」


そう言葉をかわし握りこぶしをこんとぶつけ挨拶。


川内「さぁ!さっさと後ろを見ずに退け!ここは私に任せて退けぇ!」


首に巻いていた襟巻を腹部の出血を止める為に腹部へ巻きなおす川内。


長門「生きて帰えるぞ。」

摩耶「帰ったら一杯奢らせて貰うぜ。だから帰ろうな!」

雪風「どうぞ御武運を!」

時雨「また後で!」

グラ「Viel Glück!」


川内以外の全員が全力で海域離脱に動く。


川内「いい仲間に恵まれたね。やるだけやらなきゃだね。」


全員の後ろ姿を目に焼きつけ、くるりと敵の向かってくる方向へ向き直る川内。


川内「さぁ、命が惜しくないならかかっておいで!」

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:26:34.62 ID:ymxIMaUd0
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川内は耐えていたある種の野生の感じみた物で敵の狙撃をかわしていた。

しかし、敵の執拗な攻撃には贖えずついに膝をついた。

川内「スナイパーの糞さえいなければねぇ・・・。」

遠距離からの狙撃はすでに相当な数が川内に命中している。

その命中弾は狙撃手の性格を現しているのか御丁寧に全て致命傷を外していた。

川内「ちぃ!」

一人で奮戦して通算で15隻目、一度の出撃で撃沈した敵の最多数記録を更新するものの奮戦むなしく膝を折った。


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88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:28:45.35 ID:ymxIMaUd0

レ級「今回の獲物はもったなぁ。」キシシ

ル級「そうですね。遠距離からのスナイプお見事でした。」

レ級「全部で20発超えたから賭けはル級の勝ちだねー。」

ル級「致命傷をわざと狙わずにちまちま当ててただけですからね。」

ル級「腰、足、手、の順番でまぁまぁ当てやすくもちのいい方から順番に。」

レ級「でも同じ軽巡でも前のは20発も持たなかったけど?」ニタニタ

レ級「しかも最初にどてっ腹に当てておいてよく言うわ。」

ル級「そこは敵にガッツがあったという事でしょう。」

レ級「最初に弾が当たった時の驚いた表情といったら傑作だったな。」グヒ

ル級「えぇ、なかなか。」クフフ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:30:07.77 ID:ymxIMaUd0

ル級「ところで一緒にいた仲間は逃がして本当に宜しかったのですか?」

レ級「ル級は美味しい食べ物は一気に食べてしまう方?」

ル級「はぁ。」

レ級「私はね。美味しいものは複数回に分けて食べるほう。」

レ級「楽しみは多いほうがいい。」

レ級「特に極上な獲物はよく味わって絶望って味がよーく廻っている方が美味なの。」

レ級「そして復讐という調味料を加えて立ち向かってきた塵を踏み潰すのってもう最高。」

レ級「濡れるわ。」

ル級「ドドMですねぇ。」

レ級「それはそうと獲物を倒したトロフィーになりそうなものなにかないかねぇ。」ギヒ

レ級「夜になって暗い所為か見にくいねぇ。」

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 23:31:16.35 ID:ymxIMaUd0

ル級「・・・、襟巻が浮いてますね。」

レ級「おっ、本当だ。あぁ、狙撃するときの目標にしてた奴だ。」

ル級「明るい色で目立ちましたからね。」

レ級「制服もオレンジ色で撃ってくださいと言わんばかりの色。」

ル級「やられない自信でもあったのでしょうか?」

レ級「それで殺されてたんじゃ世話ないでしょ。」ハハハ

ル級「確かにそうですね。」ハハハ

レ級「んー、いい感じの長さ。首に巻いて帰りますか。」

レ級「どう?似合ってる?」

ル級「今日の夕飯はレ級様のおごりという事で。」

レ級「沈めた貨物船から拾ったカップ麵でいい?」

ル級「もう少しましなものを・・・。」


戦艦の2人が川内の襟巻きをトロフィーとして持ち帰ろうと踵を返した時だった。

91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 23:39:28.11 ID:ymxIMaUd0
本日はここまでです

書き溜め分が終了です、明日にでも続きを更新できればと思います

お読みいただきありがとうございました

元ネタがハードボイルドっぽい?少なくとも1はハードボイルドっぽいと思っていますが

その雰囲気を出すのが難しいですね、はい

では、また明日の更新時に・・・、頑張りますです
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 00:05:36.71 ID:9DGYIKoy0
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 00:08:02.57 ID:0+AUVzUAo
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 22:11:06.45 ID:RcCbv53L0
イベも終了している為、遠征コレクション状態

再開いたします

お時間よろしければお読みください
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:13:46.93 ID:RcCbv53L0

ザバァッ!


レ級の背中にしがみ付く人影。



川内「あんたらが食う飯は黄泉戸喫だよ。」



海中から踊り出てレ級を羽交い絞めにする川内。



川内「あんたが首に巻いてる襟巻はあの世への餞別代りにくれてやる。しっかりと暖まるといいさ。」ニタァ



カチン!

金属特有の擦り合わさる音が夜の海に冷たく響き、ライターに火が燈された。

ゴゥ



レ級 あぁぁあああぁああ!!!

ル級「レ級さま!?」



川内が手に持ったライターからの火が襟巻に燃え移りレ級の顔面を焼き視界と顔面周囲の酸素を奪い赤々と闇夜を紅に染めゆく。


川内「あぁ、綺麗だねぇ。」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:16:08.71 ID:RcCbv53L0

レ級「息が出来ない!あつい!あついぃ!!」

ル級「くそ!この死にぞこないが!レ級様から離れろ!」



レ級に密着しているため主砲を撃ち川内を撃沈させる事も叶わず必死に素手で川内を引き離そうとするル級。



川内「離れる訳にはいかないねぇ。この火があんた達の黄泉路を照らす灯火になるんだからねぇ。」ニヤリ

ル級「はぁ?」

川内「理解する必要な無い。ここで死ねぇ!」



泰山鳴動。

いや、海上なだけに海峡鳴動といった所か。

川内達のいる辺りの空気を震わしその音、雷の如くと行進曲に謳われる程の砲声が響く。

鉄の城。

仇なす敵を攻め滅ぼす、その単純なまでの殺意と暴力がル級、レ級

そして川内のいる辺りに降り注ぐ。

砲弾、砲弾、砲弾。

そしてありったけの魚雷。

それはさながら真夏のスコールの如く。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:17:21.67 ID:RcCbv53L0

川内「この篝火はあんた達をあの世へ送るためのもんだ。」

川内「遠慮するなよ?私の仲間の砲弾と魚雷、たっぷりとくらいな!」

ル級「馬鹿な!?貴様、自分もろともだと!?」

レ級「離せぇまだまだ死にたくない!」



襟巻の火がまだ燃え盛る中必死の懇願を始めるレ級。



川内「あんたもそう言って懇願して来た相手を今まで殺して来たんだろ?」

川内「今度は自分の番だ。最期くらい笑えよ。」



なおも砲声は続き、雨霰と砲弾は降り注ぎ魚雷は隙間無く走ってくる。



川内「さぁ、共に黄泉路を逝こうじゃないか。」



すでにル級は沈んだようである。

川内が自分の艤装の砲身をレ級に向ける間も絶え間なく砲弾は降り続く。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:18:46.93 ID:RcCbv53L0

川内「あんたは流石に硬いねぇ。」



口唇を吊り上げニタニタと笑いながら川内が言葉を続ける。



川内「それにしても、砲弾、魚雷のバーゲンセールじゃないか。」

川内「私の砲弾は安くしてあげられないけどねぇ。」ニタァ



レ級の顔に砲口をピタリと付けての接射。



川内「砲弾の領収、宛名は閻魔で宜しく。お代はあんたの命で勘弁しといてあげるよ。」



満面の笑みを浮かべ主砲を撃つ。

ドンと鈍い砲声一つ。



レ級「あぁああああ!」



声にもならない呻きをあげ終わったかと同時か。

レ級の頭が砲撃による衝撃で大きく後ろに仰け反った。



川内「漫画みたいに弾け飛ばないんだね。まぁ、戦艦に軽巡の主砲じゃねぇ。」

川内「戦車に豆鉄砲みたいなもんか。」

川内「あんたが今まで殺して来た私の仲間達に宜しく。」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:20:01.20 ID:RcCbv53L0

ブスブスブス。ボフッ。

海中に身を潜め、長門や摩耶といった重量級の砲撃を受け。

駆逐艦達の魚雷を受け。

青息吐息の状態だった機関も完全に停止した。



川内「無茶しすぎたか。」



沈降していく体。

脳裏に浮かぶは嘗ての僚艦。

妹達の懐かしい顔ぶれ。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:22:17.82 ID:RcCbv53L0


川内「んー、これが噂に聞くあの世という奴?」

川内「聞きしに勝る殺風景だねぇ。」

神通「姉さん。まだ、こちらに来るときではないかと?」

那珂「もー、川内ちゃんはまだこっちに来る時じゃないんだからね!」

川内「えー。」

川内「ウエルカムティーとかないの?」

那珂「ウエルカムしないよ?」

神通「応急修理要員を積んでいるのでしょう?さぁ、みんなが待っていますよ。」

那珂「そうそう。早く帰らなきゃ!」

那珂「川内ちゃんは向こう!回れ右!」


トンと記憶の中の二人に背中を押され・・・。

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:24:57.83 ID:RcCbv53L0

コポコポコポ。

コポコポ。


目を開けると、服を引っ張る者の姿と水上への浮揚感。


ザバァ。


伊58「時雨!見つけたでち!」

伊58「ダメコンのお陰で一命を取り留めてるでち!」

時雨「ありがとうゴーヤ!」

伊58「べっ別に時雨の為にやった訳じゃないでち。」

伊58「この間の借りを返しただけでち。かっ、勘違いしないで欲しいでち!」

伊8「ツンデレ?」

長門「むぅ。意識が戻ってないな。よし。ここは一発。」



腰を落とし正拳突きの構えを取る長門。



グラ「待て待て止めを刺す気か?」

川内「痛そうだからやめて。」

摩耶「おっ。戻ってきたか。」

雪風「川内さん。こういうのはこれっきりにして下さい。」

雪風「味方に弾を撃つのは例え必要であったとしても後味が良くありません。」

雪風「撃つ側の気持ちをしっかりと考えて下さい。」

時雨「・・・、そうだね。川内は目印となる明かりを点けた後は逃げたとばかり思っていたよ。」



周囲を見回せば死線を共に潜り抜けた仲間の顔。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:26:54.97 ID:RcCbv53L0

長門「まったく。相手を羽交い絞めにして動きを止めるとは無茶をする。」

時雨「じゃ、みんな今日のMVPを曳航して帰ろう!」

長門「そうだな!」



めいめいが自身の艤装から曳航索を取り出し川内にかけて行く。



川内「まってまって、長門。首にロープ掛かってる。」

川内「時雨はなんで右腕なのさ。雪風は左腕だし。」

川内「ちょっと、足も右と左でなんで分かれるのよ。」

川内「摩耶はなんてとこに引っ掛けてるのさ。」

伊58「あっ、これ古代中国の処刑方法で見たことあるでち。」

伊13「・・・、車裂きの刑でしょうか・・・。」

伊8「川内さんが自分の命を軽んじた行動をとったことに対する無言の怒りという奴なのでしょうね。」

長門「よし!せーので引っ張るぞ!」

一同「「「「「「せーの!」」」」」」

川内「いやぁ―――――!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:27:32.45 ID:RcCbv53L0




スッポ――――――ン!



104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:28:48.35 ID:RcCbv53L0

っと小気味良い音と表現するに相応しいような、そんな音がして皆が括った曳航索がすっぽ抜ける。



長門「あっはっは!見ろ、川内のあの間抜け顔!」

時雨「ふふふ。」

雪風「実にいい顔です!」

グラ「まっ、これに懲りたら自分の命をもっと大事に扱うんだな。」ハハハ

伊8「そうでち、命は大事に使えば一生使えるでち。」

摩耶「じゃっ。帰るとしますか。」



ひとしきり笑った後に帰るべく鎮守府へと進行方向を向ける一同。



川内「あれ、ちょっと。私、動けないんだけど。」

川内「誰か引っ張ってよ―――!」

川内「ひっぱってよぉ―――――!」


105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 22:29:14.76 ID:YVpYc5qw0
いつの間に不知火がと思ったらめいめいでした
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:30:17.41 ID:RcCbv53L0

鎮守府修理ドック


明石「お疲れさまです。川内さん、派手に壊しましたねー。」

川内「んなぁ―――――!!!」

明石「まぁ、ねぇ?改造がっつりしてましたからね。」

明石「普通の娘の艤装と同じ機能でよければ桁が一つ減りますけど。」



修理の見積書を持ってきた明石に本当なのこれ?と目で訴えかける川内。



明石「残念ながら。」

川内「超赤字だぁ・・・。」



修理用入渠ドック内で項垂れぷかぷかと浮かぶ。



明石「ご愁傷様です。」(合掌)

明石「で、見積もり通りでいいんですかね?」

川内「お願いします・・・・・。」



コツコツコツ。

靴音を立てながら一人の男が明石と入れ替えでやってくる。
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/03(日) 22:32:25.13 ID:RcCbv53L0

提督「川内。お疲れだったな。」

川内「傷心のあたしに話しかけないで・・・・。」プカプカ

提督「お金の必要な川内に朗報を持って来たんだが?」

川内「えっ!?何?!」

提督「お前が倒した国際コードネーム『 レ級 』な。

   あれの残骸をゴーヤ達が持って帰ってきて、それを検分した結果。名前付、ネームド個体だったんだ。」

川内「ネームド。」

提督「あぁ、お前なら知ってるだろ。スナイパー連中の頭。ホークアイと呼ばれていた奴でな賞金首だ。」

提督「昔に日本近海でえぐいやり方で鎮守府潰しをやって海軍に懸賞金、

   まぁ普通の鎮守府だと特別戦果みたいな扱いになるわけだが、まぁ、それはいい。」

提督「そんな訳であいつを倒した奴に多額の金が支払われる。米軍側からの懸賞金もかけられていてな、かなりの額だ。」

川内「なんで米軍?」

提督「日本から離れてほとぼり冷ましてる間に大西洋側で暴れていたらしい。」

提督「そのおかげか撃沈したって連絡したら喜んだ向こうの海軍総司令官からの祝電も来てるぞ。」

川内「鼻紙にもなりゃしない。それに懐も暖まらない紙なんていらない。」

提督「酷いいいようだな。」

提督「言わんとすることは分かるがな。ここじゃ名誉や名声は意味の無いものだからな・・・。」

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/03(日) 22:34:28.49 ID:RcCbv53L0

川内「ていうか今気付いたけど提督、私、裸なんだけど?」

提督「服着たまま入渠(風呂)入る奴っているのか?」

川内「いやそういう意味じゃなくて。」

提督「川内がいい女なのは認めるが俺が男として役勃起ずなのは知ってるだろ。」

川内「まぁ・・・。」

提督「まっ、恥じらいがあることはいい事だ。

   女は恥じらいのある方がより色気がある。」

提督「恥じらいの忘れた女なんぞひでぇもんだ。まったく。」

提督「でだ、懸賞金はどうするよ。一緒に出撃していた連中にも聞いて回ったが全員川内にくれてやるってよ。」

川内「本当!?」

提督「あぁ、艤装の修理代金でスカンピンになってるだろうからだとさ。」

提督「日米双方合計で150万だ。大事に使え。」

川内「じゃぁ、当面の生活費と弾薬とかの購入費で10万残して

   後はいつも通りに振込みを不知火にお願いして貰っていい?」

提督「・・・・、遺族への仕送りでいいんだな?」

川内「なんだ知ってたの。」

提督「俺が決済の処理してんだぞ?」

川内「それもそうか。知ってて当たり前だよね。」

川内「初めに所属した鎮守府でさ。姉妹って事で一緒に戦った娘達にもやっぱり家族はいるわけでさ。」

川内「食っていく為に志願して、あっさりおっ死んでさ。遺族年金なんか雀の涙。」

提督「・・・・。」

川内「それ以外にもさ、みーんな、みーんな食っていくのが厳しくて志願したのに

   あっさりとあの世に先に行くしさ。家族が待っているってのにさ――。」

提督「・・・・。」

川内「提督。後は宜しくね。」

提督「ん。」

提督「でだ、川内。お前、ライター返せや。」

川内「ごめん。海で失くした。」

提督 ハァー・・・・

提督「仕方ねぇ。本気で禁煙考えるか。」

提督「じゃ、まっ、そういう事だからゆっくり風呂に入ってろ。」



そういい残し立ち去ろうとする提督。



川内「提督待った!」

提督「ん?」

川内「ただいま、提督!」

提督 フン。

提督「おかえり、川内。」ニヤリ


109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 22:37:38.19 ID:RcCbv53L0
以上で本日分の更新と第五話が終了です

イチャコラでもなければギャグコメディでもない、最近のSS需要に真逆をいっています

そんなSSですがよろしければこれからもお付き合いよろしくお願いいたします

いただいている乙レス、感想は目を通しております

いつもありがとうございます、では、また次回の更新時に
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 22:39:32.12 ID:YVpYc5qw0
おつ
150万ドルか
当然とはいえ相当恨み買ってる個体だったんだな
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 22:45:42.79 ID:Rg6Yrvv8o
ゼロ距離射撃じゃなく、接射って書いてくれたことに
喜びを感じてしまふけふこの頃
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 01:22:03.55 ID:E98VE/OA0
おつおつ
いい女だなあw
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 17:46:06.42 ID:04W75f2RO
>>111
そんな貴方に私の主砲で接射ならぬ顔射をしてあげよう
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 22:59:33.69 ID:JXL6OIVo0
88だけじゃないな。
プリズンレディとかも紛れてる。

読み返しとくか・・・
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 22:40:47.07 ID:UmeXCf690
だいぶ間が空きましたことをお詫びいたします

7割くらい書いててちゃぶ台返し、はい、アホです

>114 新谷先生の割と最近?かな?

ご指摘の様に『 RAISE〜レイズ 』が結構含まれてます

おっさんがおっさんしてていい漫画です、打ち切りっぽい最後ながらきれいにまとまってました

では、更新させていただきます、お時間よろしければお付き合いください
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:41:59.40 ID:UmeXCf690

第六話 英雄の条件 前編
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:43:32.38 ID:UmeXCf690

横須賀 海軍艦隊司令部

「あぁ、良く来たね。まぁ、座ってくれ。」

提督「長官からの呼び出しとあれば応じない訳にもいきませんので。」

長官「大佐。どうだね。また司令部に戻って来ないか?」

提督「長官。自分は司令部を追い出された身です。椅子磨きの話しでしたら他の方が宜しいかと。」

提督「便宜上、提督を名乗っていますが実質は88鎮守府の守衛みたいなもんです。」

長官「君は変わらんな。」

長官「例の時だって私に頼めばどうとでも出来ていた物を。」

提督「自分のした事に責任を持つことくらいは社会に出たての洟垂れでもやる事ですよ。」

提督「長官のお手を煩わせる事ではありません。」

提督「それより、本日呼び出した本題に移っていただきたいのですが。」

長官「あぁ、そうだな。年を取るとどうにもな。すまない。」

長官「今度大規模掃討作戦が行われる。そこに君の所から護衛を出してもらいたいんだ。」

提督「護衛・・・・、ですか。」

長官「あぁ。護衛だ。」

重々しく提督の言葉を繰り返す長官。

やや間が空き、提督が質問を切り出す。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:45:02.33 ID:UmeXCf690

提督「英雄でも作るおつもりですか?」

長官「君は察しが良くて助かるよ。」

長官「長きに渡る深海棲艦との戦いで国家は疲弊している。さらに戦況は一進一退。」

長官「明るいニュースが欲しくなるというものでね。」

提督「高度な政治判断という奴ですか。」

長官「戦果を水増しして大戦果などどやるよりはましだろう?」

提督「それはまぁ、そうですね。」

長官「今度の掃討作戦に出撃予定の娘達の中に大規模作戦参加20回になる娘がいるんだ。」

提督「ほう。叙勲ものですな。」

長官「あぁ。大規模作戦に複数回参加ともなると多くの艦娘が沈むか復帰不能な怪我による退役がざらだ。」

長官「軍に入って5回も参加し生還できればベテランと呼ばれる有様。」

長官「内規で20回参加して生還すれば多額の恩給を手にし

   除隊する権利を与えるとされるが今まで手にした者などおらんしな。」

提督「画餅ですな。」

長官「だけに久しぶりの明るいニュースという奴だ。」

長官「政治屋のつらい所は国民に夢を見させてやらないといけないという奴でね。」

長官「国民に夢を見させる事が出来ない政治は先が無いからな。」

提督「 『 夢 』ですか・・・。」

長官「あぁ。夢だよ。」

提督「・・・・、政治屋が絡む話しですか。」

長官「我が国は文民統制を謳っているからね。」

長官「今の政権は良くやってくれてるよ。」

長官「英雄の誕生は首相閣下のお望みだよ。」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:46:12.42 ID:UmeXCf690

提督「この作戦の立案は。」

長官「お飾り元帥殿の腰巾着連中だ。だけに参加して欲しくはなかったのだがね。」

長官「軍令部の無能な働き者達の立案だ。」

提督「長官の心中お察しします・・・・。」

長官「君には苦労をかける。」

ガチャッ。

大淀「司令長官。御指示いただいていました分の資料を持ってまいりました。」

大淀「と。これは大佐。お久しぶりです。」

提督「今はただの牢番ですよ。敬語を使っていただかなくても結構ですよ。」

大淀「そういう訳には・・・。」

やれやれと肩をすくめる提督。

大淀「こちらが護衛対象の資料になります。」

提督「拝見させていただきます。」

パラパラと資料を捲る提督。
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:47:10.23 ID:UmeXCf690

提督「・・・・・、失礼ですが長官。これは?」

長官「君に隠せるものではないと思っていたがやはり分かるかね。」

長官「所属鎮守府が極小規模ならではのイタズラといえなくないかね?」

提督「実に幸運を持っていると言えますが・・・。」

長官「実力がな。」

長官「なればこそ君の所の精鋭に護衛を頼みたいのだよ。」

提督「仕事、ですか。」

長官「あぁ、一応報酬として100万。服役囚の娘には10年分の刑期短縮を用意している。」

提督「あー・・・、支払いは円ではなくドルで願いたいですね。」

提督「後、刑期短縮の書類については海軍大臣の署名入りでお願いしたいです。」

長官「そうだったな。君の鎮守府のある所は円の威光が弱かったな。」

提督「紙くずとまではいきませんがやはり通用するのはドルですね。」

長官「国力の差は如何ともし難いな。」

提督「地力が違いますから。」

長官「全てにおいて乏しい我が国が体裁を保てるのも御威光のお陰だからな。」


皮肉とも自嘲ともとれる言葉を紡ぐ長官。


長官「では頼む。」

提督「了解しました。」

提督「では、私は鎮守府へ戻ります。」


バタム。

艦隊司令長官室の重厚なドアを閉め提督は帰っていった。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:47:53.16 ID:UmeXCf690

大淀「随分と安上がりですね。」

長官「嫌味を言ってくれる。」

大淀「大佐に随分な無茶振りと思いますが。」

長官「大佐は仕事といっていただろ?」

大淀「ええ。」

長官「任務と言わずに仕事と言い切る。真面目な奴だよ。」

長官「彼がもう少し出世や名声に興味を持っていたならあの地には居なかっただろうに。」

長官「つくづく惜しい男だよ。」

122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:49:25.17 ID:UmeXCf690

88鎮守府執務室


長門「それで私に旗艦をやってくれと?」

提督「あぁ。旗艦経験、鎮守府内での人望、艦種、戦闘経験。」

提督「それらを考慮して任せられる人材は長門しかいないと思ってね。」

長門「まったく実に貧乏籤を引いてくれる。」

提督「敵を殺す事に長けた奴なら味方を生かすための心得にも長けているだろ?」

提督「私が長門に用意してやれるのは刑期の短縮だ。

   後はそうだな、必要な物が有れば明石に言ってくれ。代金に関しては海軍が持とう。」

長門「ほう。そういう気前の良いことを言っていいのか?」

長門「私が関係ないものまで買い込むかも知れんぞ?」

提督 フン。

提督「お前がそういう事はしないと分かっているから自由にさせるんだ。」

提督「メンバーについては不知火に連絡をしておいてくれ。」

提督「頼んだぞ。長門。」

長門「提督の頼みとあればな。仕方ないか。」フン

提督「すまん。」

長門「いいさ。この作戦が終わったら付き合ってくれ。」

長門「いっぱい奢れ。」

手で酒を飲むしぐさをする長門。

提督「俺は弱いぞ?」

長門「いいさ、とにかく付き合え。酌くらいは出来るだろ?」


頭をかき。


提督「分かったよ。」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:50:17.00 ID:UmeXCf690

鎮守府会議室


時雨「それで僕等に用っていうのは?」

長門「これを見て貰えないだろうか?」


いつものメンバーに渡すのは提督から預かった資料。


長門「必要な物については海軍がその費用を負担してくれるそうだ。」

摩耶「えらくまぁ、幸運?と言っていいのかこれ?」

摩耶「ひよっこの引率はちょっとなぁ・・・。」

川内「私は降りるよ。割りに合わなさ過ぎる。」

川内「報酬だって1万じゃ命を賭けるには安すぎる。」

長門「時雨は?」

時雨「刑期短縮っていうのは魅力的だね。」

時雨「でも、僕の普段の稼ぎから考えればわざわざ危ない橋を渡る必要性なんてないかな。」

雪風「幾らなんでもここの相場を知らない人間が設定したとしか思えませんね。」

グラ「検討に値しない物だな。」


三者三様、十人十色、全員がそれぞれに色々と意見を述べる。

しかし、その結論は。

受けるに値しない仕事。
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:51:23.36 ID:UmeXCf690

時雨「長門はどうしてこれを受けようと思ったんだい?」

長門「そうだな。提督から言われた『 英雄 』と言う言葉に思う所があったからかな。」

摩耶「『 英雄 』ねぇ。」

長門「あぁ、昔に私がなれなかったものさ。」

長門「いや、なることを拒否したが正しいかな。」

摩耶「へぇ、姐さんにそんな過去がねぇ。」

長門「フッ。つまらん話しさ。気心の知れた仲間達と、と思ったが、他をあたろう。」


そう言い長門が会議室を出て行こうとする。


川内「長門。」

長門「ん?どうした川内?」

川内「長門がこだわる理由が其処にはあるんだね?」

長門「あぁ、まぁな。」

川内「ちょっと、屈んで。」

長門「?」

長門「!?」

長門「せっせんだい!?」(裏声)

川内「ふふ。まぁ、この間の借りもあるし報酬で足りない分についてはこれで勘弁してあげる。」

川内「慌てふためく顔。可愛いよ。」フフ

川内「じゃ、明石に必要な物を注文に行って来る。」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:52:22.16 ID:UmeXCf690

摩耶「姐さんもそんな顔するんだねぇ。」

摩耶「顔を真っ赤にしちゃって。乙女だねぇ。」ハハ

摩耶「この仕事が終わったら一杯奢ってくれよ。」

摩耶「あたしはそれでいいさ。」


川内の後に摩耶が続く。


グラ「シュタインベルガーだ。」

長門「・・・・・ワインのか?」

グラ「トロッケン以外は認めん。」

長門「分かった。」

グラ「Sehr gut では、私も明石の所に必要装備を注文に行くとしよう。」

時雨「長門。」

時雨「差し支えのない範囲でいいけど話してもらえるかい?」

長門「そうだな。仕事が終わってからでもいいか?」

時雨「勿論だよ。引き換えに受けようじゃないか。」

長門「分かった。約束しよう。」

雪風「艦隊名は『 雪風さんと愉快な仲間達 』で頼みます。」

長門「あぁ。その名前で届けておこう。」

雪風「では雪風も買い物へ行って来ます。」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:54:48.52 ID:UmeXCf690

明石の工廠兼酒保


明石「毎度ありがとうございますぅ。」ホクホク

明石「なんでしたらもっと買って下さっていいんですよ?」ニコニコ

長門「他人の財布だからといって無茶をするような奴は非常識だと思うぞ。」

長門「提督に無茶は言えんさ。」

明石「にしても皆さん色々特殊な物を注文してますよ。」

明石「川内さんは焼き討ちでもするつもりですかね。」

長門「織田信長じゃあるまいに。」

明石「アーチーチーアーチー。」

長門「燃えてるんだ廊下?」

明石「まぁ、それは置いといて。取り扱いは何でもありなのが明石商店なんですけどね。」

グラ「私の注文も頼む。」

長門「伯爵は何を頼むつもりだ?」

グラ「艦載機に積む煙幕弾だ。」

長門「また随分特殊な物だな。明石、取り寄せ可能なのか?」

明石「もっちろん。お金さえいただければクレムリン宮殿だって引っ張ってきてみせますよ。」

長門「そいつは頼もしい。」

長門「間に合うかな?」

明石「えぇ、問題なく。」

長門「そうか。では、お願いする。」

明石「でも、本当にいいんですかね?結構な金額いってますけど。」

長門「あぁ、必要な物だ。全てな。」

明石「まっ、何にどう使うかは深く聞かない事にしますよ。」

明石「経過がどうあれ最終的には敵を殺す事に違いはないですから。」

明石「皆さんが必要という以上は私は全力で揃えるだけですよ。」


そういい残し明石は山と形容した方がいいであろう注文伝票の束を抱え去っていった。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:55:41.45 ID:UmeXCf690

作戦決行前日

摩耶「一旦横須賀に集合してそこからよそ様の艦隊と組んで出撃ねぇ――。」

摩耶「提督から横須賀で1泊してくれとホテルのクーポン渡されたよ。」ッタク

長門「海軍関係者の泊まる所だからな。夜遊びは駄目だぞ。」

川内「何?摩耶は遠足のしおりに目を通してなかったの?」

時雨「おやつは5ドルまでだよ?」

雪風「バナナはおやつに入りますでしょうか?」

グラ「ふむ。バナナは主食だな。つまりお弁当の扱いだ。」

グラ「だが、揚げてしまうとバナナチップになるからお菓子、つまりおやつになるな。」

グラ「雪風、注意が必要だぞ。」

長門「こらこら。皆ふざけて無いでしっかりしてくれ。」

長門「横須賀についてからの事もあるから話しを先にしておくぞ。」


そして、作戦決行日を迎える。
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:56:54.36 ID:UmeXCf690

横須賀艦隊司令部 出撃ドック近く海上


長門「我々はここで待機だ。」

川内「まぁ、こういう扱いは分かってたけどなんというかねぇ。」

摩耶「日陰者だから仕方ないさねぇ。」


一行は各鎮守府から集められた『 精鋭 』達とは別場所で待機させられていた。


時雨「出陣式か。」

雪風「打ち、勝つ、喜ぶ。で、打鮑、かち栗、昆布を食べるんですよ。」

グラ「日本の伝統的風習という奴か。」

長門「司令長官の話が終わったようだな。後は全員が出撃ドックからの出撃と言う奴だ。」

グラ「色々面倒なのだな。」

長門「日本人は形式に拘る民族だからな。験担ぎには拘るのさ。」

グラ「ふむ。」




「では、最後に音楽隊の音楽で盛大に見送りましょう!」

「音楽隊が演奏する曲はこの曲。」

「行進曲『 軍艦 』!」




トランペットの音に始まる金管楽器特有の甲高い音声にあわせ

太鼓やクラリネットといった各種楽器が一斉に演奏を始める。

聞きなれた行進曲。

その歌詞は国を守ることを誓い、国を守る為に殉ずる。

武人として防人としての心である。


長門「さてと、仕事の時間だ。」


旗艦である長門がそう呟くと彼女の仲間達はそれに同意するかのように頷くのだった。

129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 22:57:58.60 ID:UmeXCf690

何処かの海上


「日本近海に展開中の潜水艦部隊による哨戒網に敵艦娘の艦隊がかかりました。」

「向かっている方向と艦隊の規模は連絡来ているかしら?」

「連絡によると一旦大規模艦隊が北へ進路をとったそうです。戦艦棲姫様、如何しましょう。」

「そうね。十中八九、偽の進路でしょうね。途中で進路変更を行うに決まっているわ。」

「といっても艦娘の艦隊を差し向けるにあたって戦略的に重要な拠点は今、私達がいる場所が一番でしょうね。」

「ここがですか。」

「えぇ、現状を正しく分析するのであれば此処は敵にとって取っておきたい拠点となるわ。」

「あなたがこっちに遊びに来たのもその辺りをかぎつけたからでしょ?重巡棲姫。」

「まぁね。」

「私の旗下で動くのなら補給その他は保障するけど?」

「姫の名を冠する者は艦種の違いは有れど同格。」

「だったわね。いいわ。お互いに干渉なく自由に動きましょう?」

「じゃぁ、お互いに恨みっこ無しという事で。」

「えぇ、せいぜい私に戦功をとられないようにがんばることね。」

「その言葉、熨斗付けて返すよ。」

「それにしても・・・・。」



戦艦棲姫は一人胸中で考える。


(作戦参謀でも変わったのかしらね?無理をしてとるには敵に犠牲が多くなると思うのだけど。)

(私達からすれば失ったところで再度の奪還も容易いのに。)

(まぁ、愚かしくも攻めてくるというなら相手してあげるだけだわ。)

(他の姫達との会合でも一時的に失っても問題ないとされているし・・・・。気楽な防衛戦ね。)



戦艦棲姫は楽な防衛戦と考える、必要とあらば放棄も認められている。

適当に相手して敵を痛めつける、そして旗色が悪くなれば逃げればいい。

めんどうは重巡棲姫に押し付けて。

それを考えると鼻歌が出て海上でスキップすらしたくなる程であった。

こうして二人の姫が敵を迎え撃つべく動き始めていた。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 23:02:18.06 ID:UmeXCf690
今回の更新はこれにて終了です、イチャコラも無ければエロもなし

最近のSS需要の真逆を行き、1ことバスクリンが好きに書いてるこの作品をお読みいただいありがとうございます

乙レス、感想レス、励みになっています、本当に感謝です

このSSまとめに載ると中二とかつまらんとか言われるんだろうなぁと考えながら書いております

えぇ、中二なんて自覚してます、はい、次回も宜しければお付き合いください・・・・
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 00:04:15.04 ID:nBBu7yDUo
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 01:37:33.26 ID:n5OnYxyA0
おつおつ
十分面白いし、ああいう論評気取りは気にせず思う存分書けばいいかとw
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 20:37:43.49 ID:yEsbSDgT0
RAISEベースの方がメインキャストに犠牲者が少ないからいいな。

88ベースになってしまうと時雨以外轟沈するしかないww

ただ、シュタインベルガーはよくない、絶対ww
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/26(火) 01:12:04.95 ID:N2JWXn8A0
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:36:16.72 ID:/xlwmoUX0

次回で長門のお話しは終われると思います。

第七話 英雄の条件 中編
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:37:57.82 ID:/xlwmoUX0



「司令官〜。助けてぇ くだっ ヒック うェエ――――ん。」

川内「泣くな!泣く暇あれば回避行動をしろ!」



ちっちゃなちっちゃな鎮守府。

与えられる任務といえば本土近海の哨戒任務。

「司令官!一緒に頑張っていきましょう!」

初期艦として配属され鎮守府の最高責任者である司令官と二人三脚で。

戦功を挙げていけば当然の様に更なる戦果を求められる。

無情な戦時体制化の常というのを理解していた司令官は

『 ほどほど 』と言う言葉をしっかりと理解していた。

だから鎮守府の規模が大きくなることはなかったが最前線に叩き込まれるという事はなかった。

そしてその『 ほどほど 』を体現する為に大規模作戦にも一応の参加はさせられていた。

鎮守府の規模に合わせて行われる強制徴募。

自己の鎮守府では最先任かつ錬度最高という事で自分が参加していた。

重量艦隊、横綱級、煌びやかとか豪壮華麗とか。

とにかくそういった美辞麗句が似合う精鋭達が道を作り舗装された安全な道を通って。

効率性と言うものを良く理解したパッケージサイズに纏められた物資を運ぶ輸送部隊に参加。

これが彼女、吹雪が今まで参加して見知った大規模作戦なのだ。
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:38:49.90 ID:/xlwmoUX0

敵はまず出てくることもなく哨戒も主に通商破壊目当ての潜水艦相手。

大型艦は味方の先行部隊や警戒部隊の戦艦や空母、重巡といった艦娘が始末してくれている。

だから、吹雪にとって本当の意味での戦場と言うのを味わうのは今回の大規模作戦が最初だった。。



吹雪「あっ、あぁっ、あぁああ!!」



簡単な輸送作戦に参加して予め決められた回数、それも今まで達成した者等いなかった大規模作戦参加20回。

それを達成して多額の恩給を貰って軍を退役して後は余生を過ごす。

いや、実家のある故郷へ帰って畑仕事や、早い話、家業の農家を継いでいい人見つけて、幸せな家庭を。

もしよければ司令官と。それは甘酸っぱい、少女の描く夢。

そんな夢を描いていたのに。

138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:39:58.08 ID:/xlwmoUX0

目の前に広がっているのは一緒に作戦参加した他の鎮守府艦娘達の凄惨な光景だった。

有る物は腕を失い、有る物は既に形がない。

多くはフレッシュミートパイになり海上を漂っている。

『 者 』が『 物 』へ変わる。

剣林弾雨、山屍血湖。

白が三に赤が七。

激しい砲戦の後、見渡す限りの周囲は敵味方双方の死体が浮かんでいる状況だった。

それでも自分が生きている事が出来るのは自分の存在を広告的に利用しようとした

艦隊司令部の偉い人が手配をしてくれた頼もしいボディガードのお陰だろう。



長門「吹雪。ほうけている暇はないぞ。」



ポンと肩を叩かれ顔を向ければ頼もしい戦艦の艦娘の姿。



摩耶「姐さん。やっぱまずった感じ?」

長門「まずるもなにも、なぁ。」



顎をしゃくるその方向には奮戦空しく骸と成り果てた自分以外の輸送任務に付いていた艦娘。



長門「襲撃して橋頭堡の確保と同時に揚陸作戦と言うのはまぁ、分からないではないのだがな。」

雪風「いかんせん敵の砲台に足が生えている事を失念でもしていたのかと問いただしたいですね。」



憤懣遣る方なし、雪風が憮然とした表情で告げる。

そうなのだ敵の陸上砲台には足があり何処へでも移動できる。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:41:02.55 ID:/xlwmoUX0


長門「上陸時までこちらへの砲撃が無いのを怪しまないのがそもそも危機感の欠如であろうよ。」

時雨「とは言っても敵の主力は引きつけて先行した艦隊が叩いてはいるんだろうけど。」

長門「そういえば。提督曰くここは戦略的に見れば重要拠点ではあるが

   現在構築できてる本土防衛線を崩してまで本来取りに来るべき地ではないそうだ。」

時雨「ここの重要性についての話しかな?」

長門「あぁ。作戦要綱の説明時にメリット、デメリットを教えてくれた。」

長門「付け加えるならデメリットが勝ると言っていたぞ。」

長門「はっきり言って状況は良くないな。」

吹雪「そっ、そんなにですか!?」

長門「そうだな。負け戦だ。」



凡そ躊躇われるであろう負けということをあっさりと認める長門。



時雨「じゃぁ、どうするかい?」

長門「尻に帆をかけて逃げるとしようか。」

摩耶「マラソンかい?」

長門「そうだなどちらかと言うなら鬼ごっこだな。」

雪風「捕まったが最後、罰ゲームが酷そうですね。」

長門「あぁ、その前にだ。伯爵、周囲の索敵状況を聞けるか。」

グラ「そうだな。悪い情報ならグロス単位で店開き出来るほどあるな。」

川内「あら、奥様聞きました?」

摩耶「えぇ。聞きましてよ?悪い情報のバーゲンセールですってよ?」

長門「それで、どんな状況なんだ?」

誰の目にもして負け戦と判じれるほどの危機的状況であるにも関わらずふざける余裕のある一同。

グラ「まぁ、その前に珈琲でも飲むことにしよう。」

吹雪「コっコーヒーィブレイクゥ?!」

吹雪が天を仰ぎ、あきれる様な頓狂な声をあげるのを余所にグラーフから珈琲を受け取る一同。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:42:21.55 ID:/xlwmoUX0

時雨「あぁ、流石だね。いい豆だ。」

吹雪「コーヒーなんて飲んでる場合じゃないでしょぉ!?」

長門「吹雪よ。戦闘経験が浅いのは分かるが鉄火場では冷静さを失ったものから命を落とすぞ。」

摩耶「そうそう。海底で魚の餌になりたくなければ少しは落ち着きなって。」



ほれと出される自分の分。

そのカップから立ち上る香りはとても芳醇で芳しく。



吹雪「美味しい。」

グラ「うむ。で、あろうな。」

満足げにうなずくグラーフ。

長門「さてと、落ち着いたところで状況整理だ。」

長門「幸いにして揚陸予定であった島側からの攻撃は現在沈黙している。」

雪風「陸からの砲撃が現状ない事を考えればを先行部隊が砲台を潰してくれてはいるようですね。」

長門「楽観は良くないがな。さて、伯爵、周囲の索敵状況、それから残存味方艦隊の状況を頼む。」

グラ「物資揚陸地点と決められた場所を中心として三方向から敵の艦隊が此方を包囲すべく進撃中。」

グラ「重ねていうならば進撃中の艦隊はバランスよく戦艦と空母が混ざっている。」

長門「ふむ。なかなか酷い状況だな。」

グラ「といっても最悪ではないな。周囲で統制を立て直しつつある味方艦隊と連絡を取ることは出来た。」

グラ「重傷者を抱えている艦隊とは連絡をとっていない。」

長門「成る程。いい知らせだ。」

吹雪「あの傷病者がいるのを放っていくんですか?」

川内「義理がない。」

摩耶「吹雪。気持ちは分かるけどあたしらには余裕が無いんだ。」

雪風「そうですね。現在の状況は既に撤退戦。敵は追撃、それも包囲殲滅戦になっています。」

雪風「傷病者。特に重傷者というのはここを抜けて帰り着いても再度の戦線復帰は厳しいでしょう。」

雪風「高速修復財が治せると言っても無いものを復活させる能力があるとは雪風は聞いた事が有りません。」

雪風「非常に遺憾ではありますが・・・・。」



臓腑から搾り出す。そんな表情を見せながら雪風が説明をする。

後方の輸送任務で安寧を浴してきた自分と比べその駆逐艦は、

陽炎型、その8番艦雪風はどれほどの修羅場を潜り抜けてきたのだろうか?

まさしく、無念。味方を見捨てざるを得ない状況に陥っていることへの怒り。

その双方が言葉に込められていた。



長門「無能な味方、特に上層部にそれが存在することは実に腹立たしいな。」

長門「とぼやいた所で始まらん。伯爵が接触してくれている味方と合流を急ごう。」

一同「了解。」

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:43:26.48 ID:/xlwmoUX0

日向「いやぁ、敵包囲網の中にありながら

   コーヒーブレイクのお誘いを受けてどんな奴かと顔を拝みにくれば。」

日向「君か。」

長門「何処かで逢っていたかな?」

日向「一文字三星の毛利紋と白兎のファンネルマーク。」

長門の煙突に書かれる固有識別マークを指差しながら返答する日向。

日向「『火車曳兎』『業火雷槌』その武勇を称える二つ名に事欠かない有名人だ。」

日向「総じて共通するは万夫不倒、敵を殺す悪鬼羅刹の伝説。」

日向「昔の新人艦娘時代に聞いた英雄譚だが

   余りにむちゃくちゃな話過ぎてフーファイターか何かと思っていたよ。」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:44:59.56 ID:/xlwmoUX0

摩耶「ヒュウー。姉さんそんなにやばい伝説持ちなの?」

日向「あぁ、鉄底海峡作戦では探照灯で自身の位置をあえて知らせ

   敵を大量に引きつけ全滅させた戦闘狂と聞いている。」

長門「そうするしかなかったんだ。昔の話だ。」

日向「とはいえその後の活躍はまったく音沙汰無しだったのでね。

   流石に沈んだのかと思ったものだ。」

日向「それが、まさか、まさか。生きていたとは地獄に仏と言う奴だな。」

日向「呉軍管区第三鎮守府所属だ。私と空母が1名、駆逐が4名。世話になる。」

長門「外地鎮守府管理番号88所属だ。まぁ、よろしく頼む。」


握手をする二人。


日向「我々はそちらに対して経験が乏しい。総旗艦としての指揮はそちらにお願いしたい。」

長門「いいのか?我々が行く道は冥府魔道だぞ?」

日向「ここも地獄、そっちも地獄、なれば見知った顔がある方のがましだろ?」ニヤリ

長門「違いない。」ニヤリ



こうして長門達は合流した。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:45:46.20 ID:/xlwmoUX0

ル級「重巡棲姫様。まもなく包囲が完了します。」

重巡「戦艦は何て言ってる?」

ル級「島の裏側で万一に備えているので御自由にとの通信です。」

重巡「ふーん。戦果はこっちに譲ってくれるって訳か。ありがたいね。」

ル級「一気に攻め滅ぼしますか?」

重巡「悪くはないな。」

ル級「はぁ。」

重巡「今回、敵がこの地に突出してきてくれた御陰でね。

   敵がきっちりと敷いてた敵本土防御警戒線に穴が開いてるのよ。」

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