【艦これ】 外地鎮守府管理番号 88

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144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:46:34.48 ID:/xlwmoUX0

ル級「あぁ、増援が見込めないのですか。」

重巡「理解の早い部下は何にもまして有難いわね。」

重巡「敵がわざわざ親切にもあけてくれた穴を利用しない手はない訳でね。

   敵の本土進攻に向けていくつもの艦隊が動き始めている状態。」

ル級「終わった所には余力が有っても向けてはくれませんですよね。」

重巡「そういう事。なので残った手駒で追撃、戦果拡張をしないといけない。」

ル級「他所で火遊びをされるとこっちの薪が足りないという事ですか。」

重巡「そういう事。とりあえず、ここは私達が攻め勝ったと言えるかな。」

ル級「物量のごり押しでしたが・・・。」

重巡「まぁね。質的優勢は艦娘側だけど我々深海側は数量的優位に立てるからね。」

重巡「勝っている点で勝負をするのは自明の理でしょ?」

重巡「相手とのキルレシオが1対5で負けていても物量で押せるなら1の敵に10ぶつけてやればいい。」

重巡「単純に物量ですりつぶしてやればいい。」

145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:49:06.01 ID:/xlwmoUX0

ル級「次はどう動きます?」

重巡「そうだね。現状包囲網は完成しつつある。

   そして敵が取ろうとした島を囲むように三方向から包囲する形。」

重巡「敵が教科書通りに動くなら島へ上陸して防御拠点を作りストロングホールドかな。」

ル級「上陸ですか。」

重巡「対艦という事なら陸地から砲撃する方が命中率はいいんだ。」

重巡「海の上は波が有って揺れるから陸上の拠点は狙いにくくなる。

   対艦娘ということで海上ならお互いに直接射撃で狙えるけれど・・・。」

重巡「島に防御拠点でも作って遮蔽物に身を隠しながらこちらを砲撃という事になれば

   間接射撃になる分こちらからの命中率は落ちる。

   さらに敵からしてみれば救助が望めるならそうしたほうが生存率が高い。」

重巡「塹壕でも掘って砲身だけ此方に向ければ簡易トーチカみたいなものだな。」

ル級「上陸前に叩きますか?」

重巡「それが望ましいけれどこちらも敵の本土襲撃に向かわないといけないから

   あんまり手勢を減らすわけにはいかないのよ。」

ル級「では、敵を島に追いやって適当に艦砲射撃で戦果拡張して撤収ということですか。」

重巡「敵の救援部隊が来るまで敵を包囲、攻撃しましたという実績を作った後に撤収

   で、やることはやった言い訳は立つかな。」

重巡「追撃という意味ではバラバラの状態がやりやすいけど

   纏まってくれているほうが包囲はやりやすいから敵が島に上陸するまで放置でいい。」

ル級「島の砲台小鬼が沈黙させられたのが痛いですね。」

重巡「しょせんは使い捨てだから気にすることはないさね。

   残っていたところで上陸されれば瞬殺だろうしな。」

ル級「では全体に包囲の間隔を詰めて行きます。」

重巡「宜しく。」

重巡「包囲が完了したら適当に艦砲射撃で弾ばら撒いて撤収するよ。

   ヲ級の艦載機に攻撃させようにも茂みが多いようじゃ難しいだろうし。」

ル級「茂みを焼き払えるだけの弾薬も残ってませんしね。」

重巡「次のパーティーへのお誘いも来てるしな。」

ル級「了解です!」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:50:58.97 ID:/xlwmoUX0

島の裏側

タ級「撤収準備完了しました。」

戦艦「お疲れ様。最低限の艦隊だけ残して撤収するわよ。」

タ級「よろしいのですか?」

戦艦「救援が来るまで敵も島に篭るでしょう。」

戦艦「当然こちらとしても島に篭られるのが一番厄介よ。」

戦艦「だから、あなたが敵に上陸して篭らせてもいいのかと聞くのも分かるわ。」

戦艦「でも、今は島に篭ってくれた方がこちらもありがたいの。」

タ級「?」

戦艦「敵が島に篭って救援を待つというのが大事。」

戦艦「敵の大艦隊を今回ほぼ壊滅まで持っていったわね?」

タ級「そうなりますね。大戦果です。」

戦艦「えぇ、そうね。そして敵は今回ここへ進撃した為に本来の防御線に穴を開けてしまっているほど。」

タ級「救援の為に戦力を割けばより厳しくなることは分かりますが・・・。」

戦艦「そうね。助けにくるのか?と言いたいのでしょ?」

戦艦「救援に来ずに見捨てるのではないか。って。」

タ級「はい。」

戦艦「その考えは私達から見れば至極当然よ。

   でもね。軍隊という組織の中でそれをやっちゃまずいのよ。」

タ級「不味いのですか。」


自分達との考え方の違いに驚きつつも返答するタ級。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:52:42.50 ID:/xlwmoUX0

戦艦「えぇ、最低限、救援に向かったくらいのポーズはとっておかないとまずいわ?」

戦艦「ここに進撃して来た娘達は上の命令で向かってきたの。

   馬鹿の独断専行や勝手な進軍とかではなく。

   上が立案した勝ち目が薄い戦いを忠実に実行する為にね。」

タ級「結果はご覧の有様ですが。」

戦艦「だけにね、上が見捨てると他で同じような事になったときに

   今度は自分達が見捨てられるんじゃないかって思う兵士が出るわ。」

タ級「恐怖の伝染ですか。」

戦艦「上が信用ならないと思われた軍組織というのは脆いものよ。」

戦艦「だけに形だけでも救援のポーズは必要なの。

   今回の様に上の指示を忠実に守った兵士を相手にした場合はね。」

タ級「救援に来る様な事になりますと敵の防衛線の穴が広がりますね。」

戦艦「そう、それが狙い目な訳よ。重巡もそのギリギリラインまで包囲をして相手することでしょう。」

戦艦「私達にも召集がかかっているからこの地にあまり長く留まれないし。」

戦艦「敵がくれたチャンスは生かさないと。」

タ級「残していく戦力は最低限で宜しいのですか?」

戦艦「よっぽどの馬鹿でなければ島に篭るのが正解よ。」

戦艦「島の裏側に抜けて脱出を図るかもしれないけれど敵もそれなりに消耗しているに間違いないわ。」

戦艦「だから島で救援を待つのが正しい状況よ。」

タ級「それもそうですね。」

戦艦「さ、ここは残留部隊に任せて私達は敵の本土攻撃部隊として移動するわよ?」

タ級「補給艦の要請をしておきます。」

戦艦「お願いね。」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 21:53:39.55 ID:/xlwmoUX0

戦艦「あっ、そうそう・・・。」

タ級「はい?」

戦艦「いえ、やっぱりいいわ。補給艦の要請の連絡だけお願いね。」

タ級「了解。」


何かを言いかけ止める戦艦棲姫。



(敵の方が質的には優位なのは今も変わらずなのよね。)

(熟練の艦娘の中には私達姫級に匹敵する強さをもつ者達も偶にいるけれど・・・。)

(質的優勢で数的劣勢を跳ね返せるものかしら?)

(私達の方が数的優位にあるとは言え勝負は最後の時まで分からないものよね・・・。)

(いえ、流石に無いわね。)



何かに思い至り頭を振る。



(そんな狂人な真似をするとは思えないわ。)

(敵は島に篭って救援を待つでしょう。きっと。)



戦艦棲姫はそう考え一抹の不安を否定し本土進攻へ向けて移動を開始したのだった。

149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 21:58:12.19 ID:/xlwmoUX0
本日分はこれにて終了です

次回は包囲網からの脱出編で長門のお話は終了です

どうやって包囲網を抜けるのか?

勘のいい方はまさかなと思われているのではないでしょうか?

たぶん、正解です。それについては自分が次回どれだけ格好よく書けるかの問題です

乙レス、感想レスいつもありがとうございます、励みになっております

また、前回の更新時に暖かいお言葉を掛けていただき本当に感謝しております

では、また次回の更新もご都合宜しければお付き合い下さい
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 22:59:32.55 ID:uFwczJ5A0
まだ作品中にバスクリン出てきてないな
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 20:14:40.01 ID:RquaOuoEO
包囲網が完成されていたらアウトだが、まだ完成されていないなら自身の全戦力を特に敵の数が少ない一点に投入し、数で押しきる、のを繰り返す
というのは銀英伝であったけども・・・
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/30(土) 01:20:45.94 ID:pwUlzFCA0
おつおつ
フラグ建設への余念の無さよw
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 23:01:12.49 ID:j06fqDe+0
皆様、新年明けましておめでとうございます

大晦日にふと思い立ち二人目武蔵を狙うべく4/7/7/2/20で3連

えぇ、着てくれましたよ

大和が

未着任だったので嬉しさもひとしお、と、ともにあぁ、そういえばこの娘達、資源馬鹿食いだったなぁと

育成の為に演習に出したりで改めて再認識しております

とはいえコスト分だけ仕事してくれるんで文句は言えません

今回の更新はかなり長めですがお付き合いいただけると幸いです
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:03:09.27 ID:j06fqDe+0

第八話 英雄の条件 後編
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:04:50.72 ID:j06fqDe+0

温故知新。

その意味は古い昔の事象から新しき知識を得ること。

昔に起きた現象や事件といったものを研究、見直すことで今に役立つ新しい発見を得るといった意味合いである。

特に戦争という物はお互いの戦力や地理的要因等が複雑に絡み合うため戦史研究、

特に敗者の立場から勝利するための条件を考える事は参謀等の作戦立案に携わるものには必須である。

つまり負けない為にはどうするべきか?

軍神とか名将とか名軍師、そう言った誉れを得ている者達も常勝無敗だった訳ではない。

彼らとて負けたことはあるのだ。だからこそ、負けた戦から学ぶことは多いのである。

そんな中、戦後の深海棲艦達との海戦史研究において一つ、『 常人には理解不能 』とまで言わしめた海戦がある。

どれだけ当時の状況がつまびらかになろうと情報が増えるほどに

『 狂人集団の所業也 』と言われ深海棲艦との海戦史において参考にならないとされる。

それは負けていた戦。決着が既についていた海戦を最後の最後にちゃぶ台返し。

いや、どんでん返し、とにかく力技でひっくり返した、海戦なのだ。

戦術や戦略、そんなものは糞食らえの動きでもって勝利をもぎ取ったのである。

その稀有な、まったくもって有り得ない海戦の火蓋が今、まさに切って落とされる所であった。

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:07:46.18 ID:j06fqDe+0

長門「とりあえず周囲に残っている揚陸物資や

   浮かんでいる艦娘達の艤装から回収できる分の弾薬、燃料は回収しよう。」

吹雪「み、皆さん、本当にそんな事されるのですか!?」

時雨「・・・、環境に優しく有効活用・・・かな?」

雪風「リサイクルです。」



周囲には味方が揚陸作戦時に襲撃を受けたため放棄された燃料や弾薬がドラム缶、或いは木箱に入ったまま浮かんでいる。

また、当たり前ながらその活動を止めた艦娘達の死体も当然ながら波間に漂っている。



摩耶「沈んで魚の餌になる前に生きてる仲間の役に立てた方がこの娘達への手向けになるってもんだろ。」

川内「吹雪も集めてきなよ。後、これ、回収したら一人に付き3枚ずつ持たせてね。」



川内が投げてよこすは50円玉の棒金。



川内「一文は現代価値で約20円だってさ。150円持って行けば渡し賃には困らないでしょ。」



そして、敵の包囲網が完成しつつある中、一同は手早く手近な艦娘の残骸等から回収できる限りの弾薬と燃料を回収する。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:08:59.63 ID:j06fqDe+0

日向「作戦の内容は聞いたがなんと言うか。」

摩耶「気にすんなって。これがあたしらの日常だからさ。」



こともなげに言う摩耶。



グラ「さぁて、こういうのは日本語でなんと言うのであったか?」

長門「あれだ、細工は流々。」

川内「仕上げはゆっくり。」

時雨「御覧じろ。だね。」

雪風「滾りますねぇ。」

日向「本当にいいのか?」

長門「後々を考えればこれが最適だ。」

日向「流石に踏んだ場数が違うか。」

日向「外地の鎮守府は猛者揃いと聞いていたが百聞は一見にしかず。」

日向「お手並み拝見と行こう。」



長門の提案に恭順する日向。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:11:28.37 ID:j06fqDe+0

吹雪「あの、私はどうしましょうか・・・。」



おずおずと、声を掛けて来る吹雪。



雪風「腹を下すと分かっていながら泥水を啜った事はありますか?」

雪風「艦娘として生まれたにも関わらず塹壕の中で泥濘に沈んだことがありますか?」

雪風「砲撃能力しか残っておらず簡易砲台として海岸線を敵の上陸から塹壕の中で守ったことがありますか?」

時雨「雪風。」

雪風「目の前で死んでいく仲間に楽にする為だけに砲弾をくれてやったことがありますか?」

時雨「雪風!」



自分にも何か出来る事はないか。

そうためらいがちに聞く吹雪にきつい言葉を返す雪風。



時雨「ごめんよ。雪風の言葉に悪気はないんだ。」

時雨「ただ、雪風は未熟な艦娘が激戦地に放り込まれ何も出来ずに死ぬのを見送ってきた事が多いから・・・・。」



時雨はこれまでの付き合いで雪風が外地鎮守府に流れ着いた経緯を本人から聞いている。

それは筆舌に尽くしがたく。

そして、まさしく敵、味方、双方の血が川と成程の激戦地を渡り歩いてきたことも知っている。

だけに戦力として不安な吹雪が自分達の艦隊と同じような行動を取れないことは理解しているし

させることへの危険性も理解していた。

厳しい言葉で突き放しているがその本質は自分達と来る事は危険であるとの警告と優しさ。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:12:23.80 ID:j06fqDe+0
吹雪「いえ、分かりました。」

時雨「ごめんよ。」


そして、彼女達は動き出した。

生き残る、そのたった一つの目的へ向けて。
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:15:21.91 ID:j06fqDe+0

深海棲艦サイド



ル級「まもなく包囲網が完成します。」

重巡「敵の動きは?」

ル級「残存艦隊の再編成と周囲の味方だった者達の遺品の回収を完了したようです。」

重巡「こっちがわざとに時間を与えた甲斐はあったかな?」

ル級「お優しすぎやしませんか?」

重巡「はは。まぁ、確かにね。だがまぁ、あれだよ。」

重巡「これからあの世に行く事が決まっている相手に最期の情けを掛けてやった所で罰は当たらないだろ?」

ル級「はぁ・・・。」

重巡「生きている間に功徳を積まないと。」



既に勝っている事から生まれた余裕。

そして重巡棲姫はここから戦局が万に一つもひっくり返される事が無いと確信していた。

だからこそ、彼女は包囲対象である長門達を敢えて好きに動かせたのだ。

さながら、象が蟻を踏み潰すように簡単に潰せる。そう考えたために。

そして、これが彼女の深海棲艦としての生を終わらせる事となるとは彼女はつゆとも思わなかっただろう。

いや、考える事が出来る者が居たとしたらそれは『 神 』と呼ばれる者くらいだろう。

これから彼女の身に降り掛かった事はそれ程の事だったのだ。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:17:07.38 ID:j06fqDe+0

ル級「敵が動き出しました!」

重巡「おっ、バルサン炊き始めたな。」



もくもくと広がり始めるのは灰色の煙。



重巡「艦載機も使用しての煙幕展開か念のいったことだ。」

ル級「やはり上陸の瞬間が無防備になりますからね。」



そう、上陸というのはその瞬間が最も無防備になりやすい。

人類史上最大の上陸作戦と言われるかのノルマンディー上陸作戦でもその死亡者が集中したのは上陸時だったと言われる。



重巡「上陸時の隙を無くす為に煙幕たいてこっちからの砲撃時に目標を定めさせない積りなんだろ。」

重巡「基本に則った戦術だよ。」

ル級「にしては煙の量が多すぎやしませんか?」

重巡「けちって的になるよりかはましでしょ。」

ル級「こちらにも煙が流れてきていますが。」

重巡「包囲している艦隊全体が煙に覆われそうだな。」

重巡「一応全員に警戒の連絡をしておいて。」

ル級「了解です。」



包囲を行った艦隊が煙に包まれる。



重巡「さぁて、煙が晴れれば」

ル級「仕事ですね。」

重巡「あぁ、島に隠れた相手に砲弾を撃ち込むだけのお仕事だ。」ニタァ



敗北の危険とは勝利を確信したときが最も高いと言われる。

そう、重巡棲姫達はまさにこの瞬間、油断をしていたのだ。

それはこの包囲殲滅戦の前の戦闘で大勝をしていたから生まれた慢心でもあった。

その為、次の瞬間に入ってきた凶報への対応が一瞬遅れた。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:19:40.19 ID:j06fqDe+0

ル級「右翼に敵襲!?」

重巡「はぁ?」



間の抜けた返事。

数で言っても倍と言わない、いや、7倍、8倍にもなる艦隊の数で包囲しているのだ。

いくら煙幕で視界を奪ったと言っても解囲目的で突っ込むのは自殺行為。



重巡「敵の艦娘共は気でも触れたか?!」



錯乱による突撃かと思うのも無理は無く。



重巡「いや、今は襲撃を受けた右翼の包囲網の建て直しが重要か・・。」

重巡「ル級。私達のいる中央から右翼へ部隊を回して敵襲撃部隊の殲滅を急げ!」



下される命令は至って教本通り。

襲撃を受けた方へ増援を回し包囲している敵が抜け出るのを防ぐ。

至って標準的かつ当たり前の対応である。

但し、敵が並みであれば・・・・・である。



重巡「煙幕の範囲から出て対応したほうがいいのだろうか?」



そんな事を考えている間にも情勢は一気に変化する。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:22:04.47 ID:j06fqDe+0

ル級「敵の突入した艦隊が中央へ進行方向を変えてきています!」



混乱を伝える無線の中で敵の進行方向が変わった事を伝える知らせ。



重巡「はぁ?」



一瞬の間、そして敵の意図を理解する。



重巡「しまったぁ!!」



敵の襲撃にあった右翼へ支援艦隊を差し向けた矢先。

この瞬間で敵が進行方向を変える。

そうするとどうなるか?右翼への支援に向かわせた艦隊が完全に無駄になってしまうのだ。

そして、こちら中央の守りは当然減った部隊の分だけ薄くなる。



重巡「くそ!敵の位置が煙幕の所為で分からんぞ!」

ル級「電探が利きません!」

重巡「はぁ!?」



煙幕内を縦横無尽、それこそ荒野を駆けるようにこっちへ向かってきている敵がいるのだ。

視界が不良でも電探で味方を含めた艦の位置は調べられるはず。

お互いの位置が分かれば敵を迎え撃つための陣形を取れる。

そう思い周囲の仲間含めて電探の出力を最大にして位置の把握を行おうと指示をだしたのだが。

返ってきた返事は電探が故障でもしたのかと思うような台詞。
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:24:03.01 ID:j06fqDe+0

ヒュウゥゥ。  ペタ。



重巡「ちぃ!」



風が運んできた何かが顔にへばりつく。



重巡「たく!何が起きているっていうんだ!」



顔についたそれを鬱陶しいと毒づきながら剥がした時に彼女は気がついた。



重巡「これは!!」

重巡「ちくしょう!ちくしょう!奴ら!煙幕はこれを撒くための布石かよ!」

ル級「どうされました!?」

重巡「奴ら、煙幕に紛れて電波欺瞞紙(チャフ)をばら撒いてやがった!」



大戦中に日本海軍が実際に使用した大き目の模造紙に錫を塗り細かく刻んだ物ではなく、それは純粋にアルミの細片。

だけにその効果は非常に高く。



グラ「明石が深海連中の電探を解析して周波数に合わせたサイズにしてあるからな。」

グラ「敵の電探は真っ白であろうよ。」



そう、電探が利かなくなったのは煙幕をはった後にグラーフが艦載機で用意していたチャフをばら撒いた為である。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:27:19.79 ID:j06fqDe+0

ル級「ですが、敵も電探が使えないのでは?」

重巡「馬鹿!敵は使う必要がないんだよ!」

重巡「敵がチャフを使うと分かってればヲ級の艦載機くらいは・・・、

   いや、煙幕の中じゃ結局意味がない。えぇい、くそぉ!!」



理解が早いと評したさっきまでの自分を殴りたい、重巡は本気でそう思った。



重巡「敵の方が数が少ないんだ!」



そう、敵の意図は明白。煙幕で直接的な視界を奪い、電波欺瞞紙で間接的な目を奪う。

更にそこに襲撃をかければどうなるか、その答えあわせを今まさに日向が行おうとしていた。



日向「吹雪、艦隊の中央へ寄ってくれ。長門からの預かり者だからな。」

日向「君に何かあれば長門に全てが終わった後に私が沈められてしまう。」

朝潮「日向さん!お預かりした発火装置のセット完了しました!」

大潮「もう少ししたら通って来た所に置いてきた燃料がドーンと行きます!」

荒潮「まったく持って大胆ねぇ。」

日向「まったくな。」

加賀「ですがこの作戦は考え付いても実行に移すには余程の酔狂か軍事の天才で無いと躊躇われるかと。」

日向「まったくだ。」

満潮「そろそろよ!全速全進!」



日向を旗艦に長門達が突っ込み空けた右翼の穴を脇目も振らずに前進する一同。

使用する武器は機銃と日向の刀。

そして煙幕を張る前に発艦させ唯真っ直ぐに飛ばし、艦隊に先行する加賀の艦載機による機銃支援である。

なるべく音を立てず、出くわす敵は切り伏せる。

逃げる敵は追わずただ突破を目指すのみ。
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:29:11.91 ID:j06fqDe+0

川内が朝潮達に渡したのは時限発火装置。それの目的は何か?

ドン!

ドラム缶に満杯にされた燃料が爆発する。その音はまるで砲撃音の如くである。



イ級1「!」

イ級2「!」



電波欺瞞紙でお互いの位置が分からない状態の中、敵が自分達包囲網の中に突っ込んで来ている。

そんな中で砲撃音がすれば?

敵が自分達の包囲網を抜けるために『 自分達に向けて砲撃を行った 』と誰しもが判断するだろう。

もしくは『 味方が敵を見つけ交戦に入った 』と。

朝潮達が仕掛けて爆発した燃料の爆発音を皮切りに始まったのは

お互いの姿と位置が確認できない状況下での深海棲艦同士の同士討ちである。

悲惨な事に右翼へは中央から増援が向けられていた。

その増援はこの様な状況にあっては『 突撃してきた敵の第二陣 』と思われても無理からぬ事である。

当然の如く交戦中の中に増援部隊も砲撃を行いながら突っ込んだため同士討ちは更に拡大していく。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:32:48.37 ID:j06fqDe+0

重巡「くそぉ!奴ら数が少ないことを逆手に取りやがった!」



今だ、回復しない電探に毒づきつつ周囲の警戒を固めるべく動く重巡棲姫。

嘗てローマ帝国を手玉に取り幾度も勝利を収めた名将ハンニバルはこう格言を残している。

曰く『 視点を変えれば不可能が可能になる 』

絶対的に数が少ない不利な状況。

しかし、見方を変え強引に言ってしまえば一点突破を最も少ない被害で出来るとも言える。

歴史を紐解けばそれなりに例はあるが日本で最も有名な物はこれであろう。

戦国時代を終焉へと導いた決定的な戦い。その合戦名は『 関ヶ原 』。

徳川時代の到来を決定付けたあの戦いにて少数で行われた敵包囲網の一点突破。

一見して不可能のようだがそれをやってのけた武人の集団が居る。

そう、関ヶ原の戦いの鬼島津の退き口である。

その戦力差、敵8000に対し自軍300(軍勢の人数については諸説あり)

敵軍の主力包囲網に突っ込み、退却の為に単純に最短ルートであったからという理由で敵本陣のある中央への『 撤退 』

本来、安全地帯へと逃げる事を意味する『 撤退 』を

敵の主力へ本陣へ向け『 撤退 』し逃走に成功させるという無茶である。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:36:36.34 ID:j06fqDe+0

重巡「あぁあああ!くそっ!くそっ!どうしてこうなった!」

ル級「右翼の状況がまったく不明です!」



未だ混乱の続く右翼。



重巡「ちくしょう!味方の被害を抑えるのが優先だ!敵の逃走は完全に無視しろ!敵に逃げられてもいい!」

重巡「右翼の砲撃を直ちに止めさせろ!」

ル級「はっ!直ちに連絡いたします!」



右翼の敵突破は完全無視。自軍の損耗を減らす、この時点では最良とまではいかなくとも最善の手。

しかし、重巡は失念していた、それだけ敵によってもたらされた混乱が大きかったとも言えるのだが。

そしてこれがこの艦娘達の解囲撤退戦に対する深海側の唯一の汚点にして最大の損失をもたらしたのだった。



重巡「敵にはなんて馬鹿げた作戦を立てる奴がいるんだ・・・。」

重巡「理屈でいけるかもしれないと思ってもそれを実行に移すほうも移すほうだ。」

重巡「正気の沙汰じゃない。」



自軍の建て直しの指示を出し状況整理の為に考え始めた重巡棲姫は失念していたある事を思い出し戦慄する。



重巡「中央へ突撃してきた敵艦隊はどこへ消えた?」



自身の頭の隅にはあった敵突撃部隊の突入という事象。

電探の無効化、それによる敵部隊の位置の把握が出来ていない。

考えるだけでこれ以上無い最悪の事態。

重巡棲姫は背中に冷たい物が流れるのを感じえずにはいられない。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:39:54.41 ID:j06fqDe+0

長門「こういう時の挨拶はこんにちは?かな?」

ル級「!!」



ドズン。

煙の中からぬらりと現れる一団。一撃で沈められるル級。

そう、長門達はしたたかに狙っていたのだ。



雪風「さようなら?でしょうか?」

時雨「いや、僕が思うにやっぱりここは初めましてだよ。」

摩耶「あぁ、確かに初対面だもんな。」

川内「でも、まさか本当に敵の本陣にぶち当たるとはねぇ。」

グラ「大将がいる周囲というのは自然と守りの人数が多くなるものだ。」

グラ「まして無線の発信量が多ければそこに指揮官がいると

   名刺を配っているようなものであろうよ。」

川内「事前に大まかな位置は予測できてたしね。」

グラ「さてと。まぁ、あれだ。挨拶はさておき次に紡ぐべき言祝ぎは決まっているだろ?」

長門「そうだな。では、重巡よ。」

長門 時雨 雪風 川内 摩耶 グラ 「「「「「「 死ねぇ!!!!!!」」」」」」



相手に死ねと言うのを祝うとは性質の悪い冗談だがこの場面で言えば長門達にとっては祝福以外の何物でもない。

目の前の相手に対して行われる仰俯角が零の水平射撃。

撃てば目を瞑っていても当たる距離。



重巡「あぁああぁぁあああぁああぁ!!!!」



大音声での絶叫による断末魔と轟音。

ここに重巡棲姫はその艦生の幕を閉じた。
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:41:51.01 ID:j06fqDe+0

長門「行きがけの駄賃にしては上出来だ。さて、仕事は終わった。煙幕を更に炊きながら逃げるぞ!」



指揮官を失った軍隊というのはさながら女王蜂を殺された蜜蜂の様な物で

統制だった動きを取れる訳もなく長門達は煙幕が効いている中、

一気に脱出を図り出会う敵は淡々と叩き潰していた。

彼女達は砲撃で敵を叩き潰しながらの撤退である。

その音は暗中模索で敵の位置を知ろうとしている敵に位置を教えることとなるがこれが更に敵に混乱を齎す。

何せ右翼で敵と交戦中と思いきや中央からも交戦中の音が聞こえ

更には指揮官である重巡棲姫と連絡が一切取れない。

まさかの挟撃かと思う深海棲艦達もいたことだろう。

ともなれば組織だった抵抗を出来る者もいる訳がなく、

かくして長門を含む生き残りの艦隊は文字通り悠々と包囲網からの脱出に成功したのだ。
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:43:32.87 ID:j06fqDe+0

横須賀近海


長門「さてと、ここまで帰ってくれば後は問題ないだろう。」

日向「あぁ、実に鮮やかな退き口だったよ。」

長門「何、古典に倣っただけだ。褒められるような事ではないさ。」

日向「預かっていた吹雪にも怪我は無いし敵の指揮官を沈めての大殊勲だ。」

日向「流石に始めの負け戦を無かった事には出来ないだろうが

   それを踏まえても君達の戦功は勲一等物だろ。」

日向「武人の誉れだな。」

長門「・・・、日向。我々はその栄誉にあずかる事はない。」

吹雪「そんな!私達は長門さん達がいなかったらあの地で死んでいました!」

長門「日向。我々の外地鎮守府の存在を知っているならそこに居る者達の素性を聞いたことはあるだろ?」

日向「無い訳ではないが。」

長門「我々は金が目的か自分たちが犯した犯罪の刑期分だけ働くことを強制させられた、いわば傭兵だ。」

加賀「そんな。」

長門「我々があの場に居たのもそこに居た吹雪を護衛して横須賀へ無事に帰還させる任務を受けていたからだ。」

摩耶「そそ。あたしらは仕事をしただけ。」

川内「重巡棲姫を潰した戦功はそっちが貰ってかまわないよ。」

雪風「というよりも仕事の内になってしまいますからね。」

時雨「そうだね。吹雪の護衛だから吹雪に危害を加える者の排除が主任務になるもの。」

グラ「まぁ、そういう事だ。」

長門「では、我々は日陰者らしく此処でおさらばすることにする。」

長門「縁あればまた何処かで。」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:46:12.70 ID:j06fqDe+0

日向「長門!」

長門「?」

日向「もし、もしも、何か困った事が起きたなら連絡をくれ!必ず駆けつける!」

長門「いいのか?そんなに安請け合いして。」

日向「共に三途の河辺を歩いた仲じゃないか。戦友の危機とあらば何を置いても駆けつけるさ。」

長門「戦友か。いい響きだな。日向が女で無ければ惚れていただろうな。」

日向「そっくりそのまま返そうか。」



かわされる握手。



長門「では今度こそ本当にさよならだ。」



そう言い長門達は去っていった。



吹雪「あんなに凄い人達がお金目的とか犯罪者とかだなんて。」

朝潮「本当なんでしょうか?」

日向「それについては我々が判じる事が出来ないな。

   我々が見たのは彼女達の一面に過ぎないのだからな。」

日向「ただ、犯罪を犯したり、お金が目的であったりというのは

   そうせざるを得なかったやむにやまれぬ事情が有るんだろう。」

加賀「せざるを得なかったですか。」

日向「あぁ。そうで無ければあれ程の武勇を振るう艦娘が日陰者として裏道を歩む事などある訳がないだろう。」

日向「今回にしても味方の我々を逃がす為に自分たちは陽動、さらには敵指揮官の斬首まで実行しているんだ。」

日向「英雄と呼ばれてもおかしくないんだ。」

日向「それ程の功績なんだ。」



いい終わり水平線の向こうまで長門達の姿が消えるのを見送る日向は唇をぎゅっと噛み締める。



大潮「英雄ですか?」

日向「あぁ、味方の為に自分の命を顧みず勇猛果敢に戦う者の事を古来より英雄と呼ぶ。」

日向「彼女達はまさしく英雄だよ。」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:50:11.76 ID:j06fqDe+0

数日後



朝目新聞 一面見出し

『 敵泊地を襲撃し我が国の艦隊は犠牲を出しつつも敵棲姫を撃破! 』



提督「敵重要拠点を襲撃し、敵旗艦の重巡棲姫を撃破。」

提督「撃破したのは呉所属の艦娘でその英雄的行為により逆転勝利が齎された。」

不知火「随分とあれな新聞ですね。」


不知火の辛辣なコメントを他所に更に読み上げる提督。



提督「また、本作戦には参加20回にもなる古参の駆逐艦が参加していた為その知識が大いに役立てられた。」

不知火「長門さん達からあがっている報告から随分とかけ離れています。」

提督「だが全てが嘘ではない。」

不知火「・・・。」

提督「不知火。プロパガンダってのは如何に1の事象を大きくするかを競うもんだ。」

提督「今回は本来なら歴史にその名を残すほどの大敗といっていいくらいの負け戦だったんだ。」

提督「それを長門達の奇策で逆転ホームランだ。」

提督「庶民ってのは英雄のような、早い話チートキャラが無双するなんて話が大好きでね。」

提督「本当に見るべきはどの様にして流れを押さえ、

   その抑えた流れを勝ち筋にどうやって持って行ったか。

   そして、それに至るまでにどうやって流れを作ったかなんだ。

   誰がどんな戦功を上げたかとかの個人の動きなんて物は重要ではないんだがね。」

不知火「竹中重治ですね。」

提督「不知火は物知りだな。」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:52:35.36 ID:j06fqDe+0

提督「司令長官にその辺りの説明が面倒だな。」

不知火「司令、長官へ報告に行かれるのですか?」

提督「あぁ、書類をPDFで送っただけじゃ駄目らしい。」

不知火「せめて持参くらいはした方がいいかと思いますが。」

提督「この間仕事の話を伺いに行った時に椅子磨きの話しをされてね。

   今度は机磨きの話をされるんじゃないかと思うと足も遠のくさ。」

不知火「ではお手数ですがこちらの書類もお願い出来ますでしょうか?」

提督「長門達が購入した物品の決済関連か。うん。よく纏めてある。手間かけたな。」

不知火「褒めてくださりありがとうございます。ですが・・・・。」

提督「ん?」

不知火「最後のページの物は流石に決裁が降りないのではないかと思います。」


そう言われ最終ページの内容を確認する。

そこには大量の酒類が購入された事か記載されていた。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/06(土) 23:54:09.81 ID:j06fqDe+0

なんだこれは?と思い言葉に出しかけ、ふと、長門との会話を思い出す提督。



『 いっぱい奢れ 』



提督「あっ!あぁあぁ。成る程、そう来たか。」

提督「これは一本取られたな。」

不知火「?」

提督「いや、これの代金は私が持とう。まったく。大したもんだよ。」



一人何かを合点したように笑う提督。

コンコン



長門「提督よ。酒宴の用意が出来たぞ。不知火もどうだ?」

提督「まったく。長門、お前に一杯食わされたよ。」ニヤリ

長門「いっぱい食らうのはこれからだろ?」ニカッ

提督「あぁ、今夜は飲む。とことんな。不知火。飲むぞ!」

不知火「ぬい!?」

提督「俺の奢りだ遠慮はいらん。」

不知火「了解です。」



束の間の平和。

鎮守府の仲間が立てた武勲を酒の肴にこの日、宴会は大層な盛り上がりだったそうである。

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/07(日) 00:01:48.78 ID:tHi5baoo0
これにて長門編は一応終了です、長門が任務に拘った理由は次回にやります

今回の更新に収められませんでした、申し訳ないです

戦闘描写が入ると文字量が多くなるなと考えつつ他の方はどんな感じなんだろうかと考えてしまう今日この頃

皆様、ここまでお読みいただきありがとうございました

乙レス、感想レス、いつもありがとうございます、ではまた次回の更新もお読みいただけると幸いです
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/07(日) 00:22:43.38 ID:EoEQ+pTL0
おつ
島津の退き口しかないだろうとは思ったけど初手煙幕しか予想できなかった
誰を残すのかって方向に頭がいってしまったw
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 12:37:22.27 ID:Zir6FnTA0
おつんこ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 21:43:55.66 ID:4CCLSpn50
大晦日に大和を引いて大型卒業したのですが武蔵の建造Up中という事で

折角なので2人目武蔵を狙うべく建造挑戦

ありがとうございます、2人目来ました、年始からすでに今年の運がストップ安な気配の1です

更新をさせていただきます、お時間よろしければお付き合い下さい
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:45:36.17 ID:4CCLSpn50

第八話と九話の間の話 長門の過去と提督の同期と戦艦棲姫の知り合いと
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:46:42.24 ID:4CCLSpn50


長門「時雨、ここに居たのか。」

時雨「あぁ、長門。上手いことやったね。提督が笑っていたよ。」

長門「まぁな。奢れと言っておいたからな。あいつは奢ると言った以上言葉は曲げんさ。」

時雨「そっか。それで、僕に何か用かな?」

長門「あぁ。作戦の前に話していた私が作戦の実行にこだわっていた理由について話をしなければと思ってな。」

時雨「そう言えば約束していたね。」

時雨「僕としてはもういいよと言いたいけれど、長門がそれで自分を許せそうにないからちゃんと聴こうか。」

長門「理解してくれて助かるよ。」

長門「さてと、それではまず、何をどう話したものか・・・・。」



酒が注がれたコップを片手に虚空を見つめる長門。

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:48:25.53 ID:4CCLSpn50

長門「そうだな私がここに来る前の話しからしようか。」

長門「私のな、艦娘としての人生はな、この戦争の長さとほぼ同じだ。」

時雨「・・・・、それは。長門はそんなに初期から艦娘として戦っていたのかい?」

長門「たまたま適正があったというのもだが。

   もともとは女性自衛官だったんだ。」

長門「だけに艦娘へと志願するのになにも躊躇はなかったさ。」

長門「それから訓練や戦闘に明け暮れる日々を過ごし

   気付いたときには教導をやるようになっていた。」

時雨「エリートじゃないか。」

長門「新任のひよっこを激戦地に連れて行って実戦のやり方を叩き込むことを

   エリートと呼べるならそうなんだろうな。」

長門「来る日も来る日も新規に着任した艦娘達を前線に連れて行き実戦での行き残り方を教える日々。」

長門「戦場と言うものは非情だ。最前線に新米を連れて行けば必ず一人、二人と轟沈が出る。」

長門「そんな事が続いて次第に私の心は何も感じなくなってしまった。」

長門「毎日のように誰が死んだ、

   いや、死ぬならせめて味方の盾になって死ねぐらいに毒づいていたかな。」

時雨「初期の深海達との戦いは今よりずっと酷かったと聞いているから・・・、

   それは長門の責任ではないと思うけど。」

長門「あぁ、すまんな。そう言って貰えるとありがたいが、

   味方の骸を積み上げそれにより自己の武勲を積み上げる、

   当時の私はそれを是としていたんだ。」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:50:00.20 ID:4CCLSpn50

長門「そんな生活に何も疑問を思わなかったんだ。

   そんな生活を続けていくうちに戦場に出れば

   敵を地獄に連れて行く火車だの雷槌だのありがたくもない二つ名が増えていった。」

長門「そんな渾名に反発するように戦闘を繰り返していたら、

   いつしか英雄なんて言われていたよ。実に傍迷惑な話だった。」

時雨「ははは・・・。」

長門「そんなある日にな。

   補充兵として来た駆逐艦の一人が吹雪だったんだ。」

長門「もちろん今回の護衛対象だった吹雪とは何も関係がない。」

長門「初めは他の娘達と同じようにすぐに沈むもんだと思っていた。」

長門「だが、私の戦い方の中から何か得るものがあったらしい。存外しぶとくてな。

   いつしか私の副官的な役割をするようになっていたよ。」



昔を懐かしむように楽しく話す長門。



時雨「へぇ、それは随分な猛者じゃないか。今は何処の鎮守府に居るのかな?」

時雨「僕ももしかしたら何処かで会っていたかもしれない。」

長門「それは無いな。」

長門「私が最期を看取ったからな・・・・。」

時雨「あぁ・・・、ごめんよ。」

長門「最後に吹雪と出撃したのが鉄底海峡作戦なんだ。」

時雨「・・・・。そっか、あの地獄の釜底か。」



敵味方ともに大損害をだし勝者も無ければ敗者も無いとまで言われた海戦。

夜戦に次ぐ夜戦で敵味方入り乱れての同士討ちが発生した悲惨な海戦である。

一応、人類が辛勝したとは言われるがそこで採られた戦法は未だ賛否両論である。


184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:53:38.80 ID:4CCLSpn50

長門「捨て艦というのは実に気分がよくないもんだ。」

時雨「長門の艦隊もさせられたのかい?」

長門「いや、私が知る限りでは命令は来ていなかった。」

長門「そして、我々が指揮する艦隊は捨て艦などと言う非道をすることなく任務を遂行できたはずだったんだ。」

時雨「長門?」

長門「吹雪は近くで助けを求めてきた友軍艦隊の、

   そう、捨て艦として連れてこられていた駆逐艦娘を助けに行って沈んだんだ。」

長門「無線で助けを求めてくるその娘達を私は助けるのは無理だと判断した。」

長門「なにせ夜戦で周囲は砲火が入り乱れていて敵味方の区別が既についていなかったからな。」

長門「それを吹雪は助けにいってな。

   私は暗闇の中を駆けていった吹雪の後姿を未だに夢に見ることがある。」

長門「どんなに機関の出力を上げても追いつけないんだ。」

長門「なんとか見つけた時には既に息絶えていてな。

   吹雪が必死の思いで救った駆逐艦の娘達に謝られたよ。」

長門「その後については日向が語ったようなまぁ、狂人の所業だ。」

長門「探照灯で敵に自分の位置をさらして誘蛾灯の如く集まってきた敵を殲滅。」

長門「敵を沈めまくって撃沈記録なんてものを打ち立てたのもこの海戦だったか。」

時雨「昔に聞いた事がある英雄的行為で勝利を齎した艦娘がいたって。」

時雨「長門のことだったんだね。」

長門「必死だっただけさ。

   勝利を収め帰り着いた私を英雄として祭り上げようとした動きはあったが全て断ったよ。」

長門「吹雪を見殺しにしておきながら何が英雄だとな。

   今まで散々見殺しにしてきておいて何をか言わんやというやつかもしれんがな・・・・。」

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:55:46.73 ID:4CCLSpn50

時雨「それで長門はその後どうしたの?」

長門「吹雪の家族にせめて通常以上の遺族年金が出るように色々手をつくしたのだが全て拒否されてね。」

長門「吹雪は私に捨て艦作戦の命令が来ていることを敢えて上げていなかったようで

   其れを命令違反とされた事が原因だったらしい。」

長門「私が指揮官だが武勲を挙げていたから処罰をする事が出来ず

   結果的に死人に口無しと言うことだったのだろう。」

長門「軍令部の連中曰く、命令に基づき捨て艦をしなかった者達が

   処罰されなかっただけでもありがたいと思えとね。

   その後の私は参謀共が集まる軍令部に自然と向かっていた。」

時雨「まさか!?」

長門「そう、そのまさかだ。

   鉄底海峡作戦の後に軍令部が敵の襲撃に遭ったとされているあの事件は私がやったものだ。」

長門「糞食らえ。正しくそう思ったな。

   それで、捨て艦なんて物を考えた参謀共を皆ミートパイに転職させてやったのさ。」

長門「後は解体死刑宣告後に牢屋で提督にまだ戦う意思があるならここに来いと誘われ今に至るだ。」

時雨「今回の任務は長門にとって贖罪だったんだね。」

長門「あぁ。まぁ、自己満足だ。すまんな付き合わせて。」

時雨「いいさ。戦友でしょ?」

長門「ふ、はははは。確かに戦友だな。」

長門「死線を共に潜り抜けた戦友だ。」

長門「時雨、これからもよろしく頼む。」



急に畏まり頭を下げる長門。



時雨「もちろんだよ。長門。」



握りこぶしを前に出し。

長門はコンと時雨の作ったグーとぶつける。



長門「摩耶や川内は私がしでかした事件については知ってはいるがその原因については知らない。」

長門「時雨の気が向いたら話してやってくれ。」



そういい長門は川内達が宴会を続ける会場へと戻っていった。

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 21:58:11.43 ID:4CCLSpn50

後日 横須賀艦隊司令部


提督「以上が先の撤退戦の詳細です。」

長官「戦略的敗北を戦術的力技でひっくり返すとはな。」

長官「実に痛快だな。」

長官「惜しむらくは非正規な事だな。」

提督「戦功の事ですか?」

長官「うむ。流石にブリキのバッジなんぞ君の所の艦娘は喜ばんだろ?」

提督「えぇ。腹の足しにもならないと言われてしまうでしょうね。」

長官「まぁ、とにかくよくやってくれたよ。」

提督「うちの鎮守府以外の被害は甚大だったようですが?」

長官「それについては責任を取ってもらったさ。」

長官「お飾りの元帥殿は勇退、これで元帥が3人になった。意見統一もしやすかろう。」

提督「かなりの思い切った形ですね。」

長官「それだけ失った兵の人数が多いという事だ。」

長官「言葉は悪いが艦娘そのものは補充をしやすい、が、熟練が頭につくと人的資源の損失は計り知れんよ。」

長官「作戦を立案した連中はもれなく『 栄転 』して貰った。」

長官「配属先へ移動する間に不幸な事故に遭わないといいのだがな。」ニタリ

提督(事故ね・・・。恐ろしいお方だ。)
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/12(金) 21:59:28.35 ID:4CCLSpn50

長官「おかげでずいぶんと風通しがよくなったぞ。」

提督「それはめでたい事ですね。では、私はこれにて。」

長官「やれやれ、内地勤務への誘いもさせてくれんとは。まったく。」

提督「机磨きはお断りしますよ。」

長官「そうか。では、礼代わりといってはなんだが

   君が秘書官に纏めさせた書類については私の権限で全て決裁をしておこう。」

提督「ありがとうございます。では。」

長官「あぁ、そうそう。君の同期で男君という人物を知っているかね?」

提督「あぁ。よく知っていますよ。民間からのなかなか面白い経歴で入った人物ですよ。」

提督「彼がどうかしました?」

長官「あぁ、いや。その男君がたまたま君が来ているのを聞いて友好を暖めたいといっていたのでな。」

長官「暇が有れば会ってやってくれ。帰るのは明日だろ?」

提督「了解いたしました。」



そう言い提督は長官室を退出した。

そして、廊下を歩いている所で同期の男性に会う。

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 22:01:39.39 ID:4CCLSpn50

提督「ん、おっ。」

男「いよう!久しいな。元気か?」

男「中央に出勤とは珍しいな。今日の夜は暇か?」

提督「あぁ、今しがた長官に会ってやれと言われた所だよ。」

男「そうか、じゃ、今晩の飯。付き合え。」ニカ

提督「分かったよ。」ヤレヤレ



居酒屋 竜飛



女将「あら、男さん。いらっしゃい。」ウフフ

提督「なかなか落ち着いたいい店だな。」

男「女将が美人で繁盛しているが売りは料理でね。」コンバンハ

女将「あら、美人だなんて。まずはお通しどうぞ。」

提督「店の名前なんだが。」モグモグ

男「まぁ、そういう事だ。俺の仕事絡みで艦娘を辞められた方が切り盛りされてる。」

男「他にも社会復帰の一環で艦娘を辞めた娘を預かっていただいたりする事があるんだ。」

提督「しかし女将さんに面影がないな。」マジマジ

男「証人保護の関係もあってな、艦娘を辞める際に整形で顔は変えているからなんだ。

  骨格から変える妖精さんの謎技術で、ベテランの整形外科医ですら分からん。」ナイショナ?

提督「すごいもんだ。」マジマジ

女将「あら恥ずかしいですね。」ウフフ

男「あんまりジロジロ見ていると失礼だぞ?」

提督「あっ、あぁ、そうだな。」

男「久しぶりに会ったんだ。まぁ、飲もうじゃないか。」

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 22:03:46.43 ID:4CCLSpn50

30分後

提督「それで、偶然を装って俺に何のようだ?」(小声)

男「気付いていたのか。」

提督「監査室で剃刀だの狂犬だの言われるお前が

   俺みたいな窓際の地位の提督に声をかけるってのは何かあると思うだろ。」

男「同期の友好を暖めたいとは思わないのかねぇ。お前と言う奴は。」マッタク

提督「まぁ思わないでもないがお前が親切にする時は何か裏がある。」

男「酷い言われようだな。例の件のとき俺が色々動いたのを忘れたのか?」

提督「その件については感謝している。」

男「あの時は俺の直属の上司である元帥にかなり骨を折っていただいたぞ。」

提督「その代わりに問題児を押し付けられたがな。」

男「提督の適正者が少ないんだ。問題児とはいえその実力は折り紙つきの連中だ。」

男「限られた資源は有効に使うもんだろ?」

提督「その通りではあるが実に灰汁の強い連中ばかりよこしてくれる。」

男「お前さんなら上手く使いこなせると思っているさ。」

提督「よしてくれ。まったく・・・・。」

男「あぁ、そうそう。」

提督「ん?」



つ バスクリン



男「お前の所は風呂の事情がよくないと聞いてるぞ。

  風呂でのリラックスタイムは重要だ。良い物をあげよう。」

提督「入浴剤か。ふむん。ゆずの香りかぁ。」



提督が差し出された入浴剤の缶を手に取る。


190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 22:05:10.87 ID:4CCLSpn50



カロン。



提督「!」

男(お前の所に以前送った時雨なんだが、あれの調査をしたのは俺なんだ。)

提督(ほう。)

男(あまりにも証拠が綺麗に整いすぎてて逆に怪しくてね。)

提督(それで再調査でもしているのか?)

男(あぁ、再調査も正式にやれないから個人でやっているんだがあまりにも何もないんだ。)

提督(何もない?)

男(あぁ、全てが綺麗に消されてしまっている。再調査が出来ないようにな。)

男(残っている証拠も全て不自然なまでに時雨が犯人になるように作為的に仕向けられてる。)

提督(それはなんとも不自然だな。)

男(元帥直属の監査室の人間である俺を直ぐにどうこう出来るとは思わないが。)

提督(とんだ爆弾だな・・・。)

男「まぁ、入浴剤を使うなら鎮守府に帰ってゆっくりと使ってくれ。」

男「外地は人の交流が少ないと聞くからこういうのも手に入りにくいだろ?」

提督「あぁ、なかなか手に入りにくい。帰ってゆっくりと楽しむよ。」

男「では、今日の再会に。改めて乾杯。」

提督「乾杯。」



提督は同期の男から入浴剤の缶に入った何かを受け取る。

それの中身は後程知ることになるのだが。


191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 22:08:53.56 ID:4CCLSpn50


北極海 座標不明


ヒュゴゥウゥ


北方水姫「外気温−34度。実にいい気温ね・・・・。」

戦艦棲姫「私にとっては寒いわ。」

水姫「私の艤装はパワータイプだから。」

戦艦「そういえばプロトモデルだったわね。」

水姫「えぇ、その所為で排熱が酷いのよ。制御系のオーバーヒートを防げるから外気温は低いほど調子が良いいの。」

水姫「それに排熱が酷いおかげもあって普段が薄着ですむというメリットも無くも無いわ?」

戦艦「出力重視ですものね。私の艤装が機動性重視のと比べると対極にあると言えなくもないかしら?」

水姫「それで今日はどういった用かしら?」

戦艦「先日の逆転敗北で重巡が沈んだでしょ?あれの責任を取らされて今は伝書鳩をやっているの。」

水姫「あら、ずいぶんね。でも、あなたの事だから世界の海を回れて楽しい位に思っているのじゃないかしら?」

戦艦「あら、ばれるのね。」

水姫「中枢棲姫もその辺り分かっててやってるわよ。それで、何を伝えに来たのかしら?」

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/12(金) 22:13:10.02 ID:4CCLSpn50

戦艦「かねてからの予定通りに再度の侵攻、上陸作戦を決行せよ。との事よ。」

水姫「重巡が沈んだとはいえ敵の数を減らすには成功したものね。」

水姫「再度の侵攻作戦をするには確かに今がチャンスではあるわね。」

水姫「了解したと伝えておいてもらえるかしら?」

戦艦「えぇ。分かったわ。」

戦艦「そうそう。先の作戦で重巡を沈めた連中だけど、もしかしたら此方にも来るかもしれない。」

戦艦「連中は超がつく熟練揃いだから万に一つも油断しないようにね。」

水姫「そうね。慢心が危険な事は重巡が身を持って教えてくれたしね。」

水姫「他山の石として気をつけるわ。」

戦艦「では。作戦の成功を祈っているわ。」

水姫「До свидания」

戦艦「えぇ、さようなら。」



ヒュゥゥゥ



戦艦(この吹雪は視界を悪くするわね・・・・。)

戦艦(視界不良の中で戦うなら戦いなれている彼女の方が有利でしょうね・・・。)



戦艦棲姫は北極海を超え何処かへ向かおうとしてた。

そして、また、先の作戦で開いた防御網の穴をつくべく北からの風とともに動き始める艦隊が居た。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 22:18:37.47 ID:4CCLSpn50
本日分は以上で終了です

次回から1の事前設定の中で一番軽い伯爵のお話の予定、後、少しだけ鎮守府に居る他の娘達に触れられたらなぁと思っています

イチャコラ?そんなもの知るか!な荒んだ設定でゆっくり進行しています

乙レス、感想レス、いつもありがとうございます、励みになります

いただいたレスは参考にさせて頂くこともあります(150様!バスクリン出てきたよ!←やっとかと怒られそう)

では、次回もよろしければお読みいただけると幸いです
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 22:40:22.82 ID:sDNlazYA0
無理やりバスクリンw
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 22:44:49.37 ID:KUbOVVFPo
キタ!バスクリン出た!これでかつる!
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 02:10:23.00 ID:4xlW5HyA0
おつおつ
適材適所・有効な駒も活かしきれないと大変だな…
失敗しても元をサックり処分するだけ代謝も修正も早そうだけどw
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 21:51:48.96 ID:n394wk2Q0
龍田改二、なかなか尖った性能ですね
AKIRAのピーキーすぎてお前には無理だよを思い出しました
使用場面が嵌れば面白そうな設定(現状ちょっと強い駆逐艦みたいな感じです)
村雨は文句無いです、グラが変わっただけでも大勝利です

では、本日の更新をさせていただきます
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 21:53:25.32 ID:n394wk2Q0

第九話 ラッパが鳴って壁は崩れた 前編
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 21:55:06.94 ID:n394wk2Q0

明石の工廠


時雨「うーん。」

雪風「いいものなんですが・・・・。」

明石「買ってくださいよぉ。」

時雨「Bofors 40mm 6連装。」

雪風「まさかの英国面。MkY。」

明石「歴史上最後の戦艦、ヴァンガードの兵装だったのを!」

時雨「日本お得意の小型化に成功。そして艦娘の兵装に?」

雪風「でも、これ戦艦アイオワ級初期兵装の4連装より増えてますから。」

時雨「僕らが積むと艤装の電探とか火器管制のリソースをかなり食うんじゃないかな?」

雪風「更に、絶対重いです。」

雪風「そして是を使おうと思ったら射撃管制システムセットで運用しないと本来の性能を発揮できないでしょうね。」

時雨「だろうね。そうなると電探から全て入れ替えないといけなくなっちゃう。」

雪風「つまり、お高いんでしょ?」

明石「今ならコミコミで何と大サービス450万!」

時雨 雪風「「高すぎだね(です)」」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/17(水) 21:56:52.15 ID:n394wk2Q0

明石「駄目ですか・・・、それならこんなのはどうです?」ショボン

明石「超お買い得酸素魚雷!50本1000ドル!どうです!?」キラキラ

時雨「1本当たり20ドル?!」

雪風「ちゃんと進むんですか?!」

???「進むには進むけど爆発しないのが多いんだよね。」

時雨「初月それは本当かい?」

明石「いや。まぁ、中には不良品もありますよ。」

初月「確かに1、2本なら僕も何も言わないさ。

   ただそれが10本中8本にもなるとさすがにね。」

時雨「不良品率80%・・・・。」

雪風「流石に何処の国製品かと聞きたくなりますね。」

明石「ちょっと初月さん!商売の邪魔しないで下さいよ!」

初月「僕らは命が掛かってるんだ。

   不良品が原因で命を落としたなんてなったら笑い話にもなりゃしない。

   それとも明石の所は代えの命まで売ってるって言うのかい!?」

時雨「じゃ、そういう事だから。」

雪風「またの機会に、です。」

明石「あぁ・・・。もうぅ・・・。」

201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 21:58:32.66 ID:n394wk2Q0

時雨「ありがとう初月。おかげでお金を無駄にせずに済んだよ。」

初月「それは良かった。」

初月「ところでグラーフを見なかったか?先ほどから探しているんだが。」

雪風「この時間なら食堂で珈琲道を窮めているんじゃないでしょうか?」

時雨「伯爵がどうかしたのかい?」

初月「あぁ、いや。新しく手に入れた艦載機の対艦性能を試したいという事で

   昼食を報酬に演習に付き合う約束をしていたんだ。」

雪風「伯爵は艦載機マニアですよね。」

時雨「そうだね。この間はハウニブが手に入らないのかって明石に詰め寄っていた気がする。」

雪風「流石に空想科学の部類は無理なんじゃないでしょうか?」

初月「うーん、深海棲艦の艦載機はそれに近い気がしなくもないかな。」



そんな話を和気藹々としながら食堂についた一同。
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:00:03.15 ID:n394wk2Q0

食堂

提督「うーん。これはコロンビアかな?」

不知火「キリマンジャロですね。いい豆を使用されています。」

グラ「ふふ。実にいい味だろう。」ムフー

提督「というか南米産の豆なんてどうやって?」

不知火「先日の物品購入書の購入明細一覧に入っていましたが。」

提督「?」

不知火「?」



どうやら先の決裁書類内での連絡の不備があったようである。



初月「グラーフ!」

グラ「あぁ。初月。と、もうそんな時間だったかな。」

初月「いや、まだ時間は大丈夫だ。」

グラ「そうか、それだったらコーヒーはどうだ?時雨達の分も淹れよう。」

グラ「時雨はエスプレッソ。砂糖たっぷり。」

グラ「雪風はラテ。上のラテアートは雪だるまをサービスだ。」

グラ「初月は・・・・。」

初月「カフェモカを。」

グラ「承知した。」

時雨 雪風 初月「「「美味しい〜。」」」ホフゥ

グラ「この戦争が終わったらコーヒーショップを開くんだ。」

雪風「分かりやすいフラグですね。」

時雨「伯爵は分かっててやってるから性質が悪いや。」フフ

初月「その、2人はグラーフの事を伯爵と呼んでいるけど。」

グラ「あぁ。私の艦娘としての名前がグラーフ・ツエッペリン伯由来という事もあるのだが、

   そもそもの私の出自がフォンの称号を頂くシュペー家でもあるからなんだ。」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:02:02.62 ID:n394wk2Q0

提督「そういえば由緒正しいライン貴族だったな。」

グラ「あぁ。」

時雨「初月、それ以上は聞くべきではないよ。」

何かを尋ねようと口を開きかけた初月を制する時雨。

グラ「何、大した話ではない。

   前に居た鎮守府のクズが空母の仲間や駆逐艦の娘達を強姦しようとしたのでな。

   男性器を捻じ切って口に突っ込んでやっただけだ。」

グラ「後悔など微塵もないよ。」

グラ「そも、ポークビッツ程度のサイズだったんでな?

   捻じ切った後に果たしてきちんと捻り取れたのかどうか2度ほど確認したくらいだ。」

提督「本来は海外艦の派遣協定に基づき本国へ即時送還だったんだがな。」

グラ「その節はAdmiralに実に迷惑をかけたな。」

グラ「だが、あのような問題のある奴を指揮官に据えるこの国もどうかと思うぞ。」

提督「それについては弁解の仕様がないな。」

グラ「まぁ、そんな訳もあって技術士官として派遣されていて何も得ずに帰国する訳にもいかなくてな。」

グラ「Admiralに骨を折ってもらってこの鎮守府所属として色々技術士官としての役目を果たしているという訳だ。」

提督「まぁ、そういう事だ。といってもグラーフの場合契約が特殊でな。」

提督「ここを出て行こうと思えばいつでも出て行けるはずなんだがな。」

グラ「ふふん。ここにいれば日本はおろかアメリカやイギリスの最新、

   それも艦娘の兵装としては開発段階の物まで使えるのだ。」

グラ「情報という宝の山を前に帰国する等あり得ん。」キリッ

グラ「それに、かけがえのない友も出来たしな。」(不知火達へウインク)

提督「まぁ、好きにすると良い。ここにいる限りは俺の庇護下だ。」

提督「引渡し要求には応じんよ。・・・、時雨や他の者達についてもだ。」

提督「コーヒー、実に美味かった。ありがとうな。さてと、不知火。紙の整理に戻ろうか。」

不知火「了解しました。」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:03:33.51 ID:n394wk2Q0

演習場付近


グラ「さてと初月よ。演習に付き合ってもらおうか。」

グラ「見てくれこれを!」



ババーン! Fw-109 G-3改



時雨「伯爵の改造時装備のフォッケウルフと違うの?」

グラ「うむ。これは長距離爆撃型でな?私の装備のフォッケウルフより航続距離が長い!」

グラ「更に懸吊架も改良され搭載可能爆弾も1t爆弾と1.8t爆弾が可能になっているのだ!」ムフ―

時雨「スツーカの後継みたいなものかな?」

グラ「Nein!Nein !Nein !スツーカとは違うのだよ!スツーカとは!」

時雨「おっ、おぅ。」ヤヤヒキ

グラ「戦闘爆撃機という点では相違ないがスツーカは対地目標に特化している機体に対し

   こっちは爆撃後に空戦も出来る。そうだな零62型爆戦の仲間と思ってくれていいぞ!」

雪風「これ、長くなるやつです?」

初月「複座なんだね。」マジマジ

グラ「そこに気づくとは流石だな初月。」

グラ「そう!旧型となりつつあったJu87が複座であったのにならい複座に改造したのだ!

   だから形式名の後に改がついているのだよ!」

グラ「なので搭乗員妖精の機種転換が楽になった!」

グラ「さらにエンジンも高高度作戦が可能なD型の物を無理やり使用している!」

グラ「つまり高高度を長距離移動して爆撃が出来るというロマン機なのだ!」

時雨(最早艦載機じゃなくてもいいんじゃないかな?)

初月(僕もそう思うがそれは言わないのがやさしさなんじゃなかろうか?)

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:04:51.99 ID:n394wk2Q0

雪風「あの。単純な疑問なんですが、

   爆装重量等の関係で空母艦載機として飛ばせるのですか?」

グラ「フハハハ!問題ない!そこは私の艤装を色々と改造した。」

グラ「もともと派生元のFw109を発艦させていたのだ、カタパルトを改造する事によりそれも無事解決だ。」

グラ「見てくれこれを!」



ババーン! 蒸気カタパルト



時雨「どこから手に入れたのさ。」

グラ「大戦後の技術などという事はさておきこれを使えばだな?」



バシュ!  メキャラ! バキッ! ←カタパルトフックが折れてバランス崩した音。



時雨 雪風「「あっ。」」



パッ! パッ! ←搭乗員妖精が落下傘にて脱出しました。



時雨「脱出は上手くいったみたいだね。」



グワーン ←海に向かって落ちていってます。



ドガーン!



初月「ふむ。木っ端微塵だな。」

時雨「カタパルトの打ち出す力が強すぎたみたいだね・・・・。」

グラ「あぁあああああ!!??」

グラ「あぁあああぁぁぁ・・・・・。」

初月「グラーフ、その、訓練をするのかい?」

グラ「あぁぁ・・・・。」

時雨「無理じゃないかな・・・。」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:05:30.96 ID:n394wk2Q0

雪風「今はそっとしておいてあげましょう。」

グラ「あぁあ・・・・。」

時雨「初月はこれから後の予定は?」

初月「瑞鶴と今度の空母狩りについて打ち合わせがあるくらいだ。」

時雨「そう。じゃぁ、伯爵が約束していた昼御飯は僕が御馳走するよ。」

時雨「食堂へ戻ろうか。」フフ

初月「いいのか?僕は結構食べるぞ?」

時雨「雪風ほどじゃないでしょ?」

雪風「雪風はそんなに食べませんよ?」

時雨「この間、炒飯空母盛完食してもう1杯食べてたよね?」

雪風「雪風、忘れました!」テヘッ

川内「にしても本当、どこに消えてるんだろうね?」シュタッ

初月「川内か。何処に潜んでいたんだ?」

時雨「それは気にしちゃ負けだよ。」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:06:07.54 ID:n394wk2Q0

雪風「忍者ですから。」

川内「明石の所に寄ったら三人で食堂に行ったって聞いたから探してたんだよ?」プクー

川内「私を除け者にするなんて、No―なんだからね?」

初月「金剛?」

川内「正解!じゃ、みんな!ご飯にしよ!」

雪風「ごっはん〜♪、ごっはん〜♪」

こうして四人は食堂へ再度向かったのだった。

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:06:36.36 ID:n394wk2Q0
千島列島 付近海上

戦艦棲姫との会談後、1ヶ月後のある日
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:08:00.90 ID:n394wk2Q0

水姫「再度の上陸作戦ね。」

リ級「吹雪は後、1週間程は続くかと思われます。」

水姫「吹雪が強いとレーダーの効きが悪いから攻める側には有利ねぇ。」ウフフ

水姫「気象条件が侵攻作戦へいい日を待った甲斐があったわね。」

リ級「千島を落とした後は単冠湾の敵泊地を落すと形ですか?」

水姫「可能なら。敵にしてみれば千島を落されるだけでもかなりの脅威。」

水姫「といっても単冠湾には大した戦力は残っていないでしょう。」

リ級「ソ級やイ級による強行偵察でもあまり有力な戦力は残っていないようです。」

水姫「先日の敵による反攻作戦でこちらが沈めた敵艦娘の所属を調べていった中で

   北方方面の艦隊がそれなりに居たみたいよ。」

リ級「穴が大きく開いているという事ですね。」

リ級「ですが、攻めに行くには空母の数が少ない気もしますが。」

水姫「そうね。本当はもっと連れてきたかったのだけど私達の滑走路は海の上。」

水姫「敵の滑走路は陸上。ここが大きな違いね。」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:08:41.77 ID:n394wk2Q0

リ級「?」

水姫「今の冬時期、この海域は吹雪がきつい。攻める側の私達は発着艦が困難なのよ。」

水姫「ただでさえ視界不良に加え上下の感覚も狂わせる吹雪。おまけの強風。」

水姫「敵との交戦によるもの以外の喪失が増えるだけよ。」

リ級「敵も同じ状況だから空母は少なくて良いという事ですね。」

水姫「敵は陸の滑走路が使える分こちらよりマシでしょうけど、そうね。それほど変わりはないでしょうね。」

水姫「だけに島を取って拠点を作る必要性が高いのよ。」

水姫「今度の上陸作戦は成功させるわよ。」

リ級「了解です。」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/17(水) 22:09:31.80 ID:n394wk2Q0

水姫「さぁ、敵には存分に踊ってもらいましょう?」

水姫「私達を北の海に閉じ込めた敵を打ち倒す。」

水姫「そう、冬から春を迎えるが如く。私達の時代を謳歌するわよ。」

リ級「さながら祭りですね。春を迎える事を喜び歓迎する祭り。」

水姫「そうね、『 春の祭典 』と言ったところかしら?」

リ級「北の海から艦娘、人間共を追い落としてやりましょう!」

水姫「えぇ。そうね。」ウフフフ

北の魔女。

かの一団は再びの侵攻を開始した。

212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 22:13:15.60 ID:n394wk2Q0
タイトル、グラーフ、敵は北方水姫
今回もフラグ建設に頑張っています
初月と名前のみ登場の瑞鶴の話は需要があればその内にでもやりたいなと
現状はあんまり細かく設定は考えてないです、ごめんなさい
ではでは本日はお読みいただきましてありがとうございます
乙レス、感想レスいつもありがとうございます
いつも読んでくださっている読者のあなたに感謝いたします
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 22:23:21.69 ID:0jDHIYS/O
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 22:39:37.53 ID:fFw8hXoh0
おつ
龍田は無条件で先制爆雷、大発系乗る司令部積めるで輸送連合マップで重宝しそう
美人でおっぱいおっぱいだから旗艦に据えたい
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:40:55.20 ID:ShGI05/A0
おつ
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 01:23:00.01 ID:XbG8xJpA0
おつです
流石の建築能力だw
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 12:23:09.59 ID:mURSmh0X0
88とプリズンレディがいい感じでブレンドされてるなぁ……



ミッションとして薔薇関連が入ってくると新谷ファンとしては狂喜せざるをえない
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:14:11.30 ID:9lgrDVvi0
グラーフさんのお話なかなか筆が進まんです
色々調べ物したりしている所為ですね、うん
このSSを始める前に海外艦を誰にしようと考えていたときに書いて一旦ボツにした話を代わりにあげときます
上げるために若干加筆、修正
性格としてはブラックラグーンのエダと艦これ漫画でわりと有名なビリー提督の所のビスマルクを足して割らない感じ
色々頭の螺子がいっちゃってますのでキャラ崩壊も大丈夫よという方はお読みください……
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:17:10.15 ID:9lgrDVvi0

番外編  She is Killer Queen
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:19:17.54 ID:9lgrDVvi0

不知火「まもなくですが・・・・。」

提督「正直勘弁願いたいな。」

提督「放火して火消しをよそ任せにする所は英国らしいといやぁ英国らしいが・・・。」

不知火「何をしたんですか?」

提督「着任関連の書類には適当に暈されてたが多分虐殺・・・じゃねぇのかね。」

不知火「」

提督「記憶にあるなかで最近起きた英国絡みの事件はバージン諸島砲撃事件しか知らん。」

提督「といっても漏れ聞こえた話を大まかに統合しての話だからどこまで本当かどうか。」

不知火「その、どのような事件なのでしょうか?」

提督「英国が初めて開発した戦艦って事で米軍に任せてたバージン諸島の守りに就かせようとしたら何を考えたか島を砲撃。」

提督「僚艦も全て沈めて島の形を変えんばかりに艦砲射撃しちまったらしい。」

不知火「なぜ解体処分されなかったのでしょうか?」

提督「高貴な出自の御方が高貴な役目の為に艦娘になられたらしくてな・・・。」

不知火「政治的判断という事ですか。」

提督「あぁ、英国政府に貸しを作っていい顔したい政治屋の尻拭きだ。」ハァ

不知火「頭が痛いですね。」

提督「あぁ、いらん火種を抱えたくない。」



そして二人が待ち構えているところにいつものように船はやって来た。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:20:47.51 ID:9lgrDVvi0

水兵「お疲れ様です。今回の荷物ですが・・・・。」

提督「事前に聞いてはいるが。」

水兵「梱包の開梱は我々の船が出てから1時間後にお願いします。」

水兵「後、こっちの荷物はそれの私物です。」

提督「そんなに劇物なのか?」

水兵「厳守で願います。」ガクブル



青い顔をした水兵といつも通りに受け渡しの手続きを済ませる。

そして降ろされた荷物は艦娘と表現するには程遠い程に拘束がなされていた。



不知火「映画で見たことがあります。」



ガチャガチャ フーッ! フーッ!



提督「あぁ、そうだな。まるでハンニバル・レクターみたいだな。」

水兵「くれぐれも。」

提督「あぁ、分かった分かった。」ヤレヤレ
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:25:32.55 ID:9lgrDVvi0

1時間後


ガチャガチャ


不知火「これで拘束は全部でしょうか?」

「Fucking Shit ! 」

提督「おっ、おぅ。」

「お前が時間をきっちり守ってくれやがった所為で沈めそこねたじゃねぇか!」

不知火「・・・・、やんごとなき御身分?」

提督「間違いはないと思うんだがな。」

「あぁ、自己紹介がまだだったわね。私は戦艦Warspite 日本語は大学で勉強してたから一通り出来るわ。」

スパ「意味は分かるでしょ?」

不知火(日本語だけの会話でも分かるぞという事ですかね。)

提督(まぁ、そう言う事だろ。)

スパ「Don’t give a fuck with me

   だから小声で話をしてても分かるっていってんだよ。ん? Understood ?」

提督「随分と口汚い女王も居たもんだ。まぁいい。ここはお前さんみたいな曰く付きが流れ着くところだ。」

提督「ここから先は無いからな。そこだけ肝に銘じておけ。」

不知火「長生きをされたいのでしたら態度を改められる事をお勧めします。」

不知火「では。」

スパ「What the fuck 何だってんだいここの連中は。ったく。」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:27:03.05 ID:9lgrDVvi0

工廠付近


明石「あっ新しい艦娘さんですか?」

スパ「ここは何?」

明石「見ての通りお店ですけど?金があるなら客として扱いますが無いならどいて貰えませんかね?」

スパ「店?」

明石「えぇ、出撃に使う油に弾薬、ボーキ、装備関連に修理に整備、一切がうちの取り扱い商品ですけど?」

スパ「あぁ、そういう。ふぅん。PXみたいなものか。」

スパ「ここを出て行きたいんだけど燃料を売ってもらえる?」

明石「お金は?」

スパ「これで。」

明石「ポンドねぇ。うちの取り扱いはドル決済なんですけど?」

明石「こんなおもちゃのお金を出されてもねぇ?」

スパ「あぁ?」


自国通貨をおもちゃと呼ばれ怒り明石に迫るが。
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:28:14.32 ID:9lgrDVvi0

明石「睨んでんじゃねぇよ、股が小便臭え餓鬼が粋がった所で飴玉一つこの明石は売らんよ。」

明石「物が欲しけりゃドルだ。鐚1セントまける気はないね。」



何処から取り出したか大型重機の整備用レンチを肩に担ぎ今にも解体すんぞと凄む明石。

ただの工作艦とは思えない殺気に気圧され怯むウォースパイト。



明石「燃料19弾薬28鋼材46ボーキ12に変えてやろうか?」アァン?

雪風「明石さん。お取り込み中失礼しますがお相手して貰えますか?」

明石「これはこれはお客様。」



普段より恭しく。
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:29:19.93 ID:9lgrDVvi0

雪風「そちらの方はいいんですか?」

明石「お金が無いのはお客様じゃないです。」

雪風「ぶれませんねぇ。」

明石「注文はいつも通りでいいですか?」

雪風「えぇ、魚雷30の燃料、弾薬セットで。」

明石「毎度!」



雪風は駆逐艦である。そう、駆逐艦なのだ。

ゆえにウォースパイトは侮ってしまった。



スパ「あんた駆逐艦?」

雪風「はい、そうですが。」

スパ「私、今お金が無いのよ。代わりにここの支払い持って頂戴。」



明石は思った。こいつ馬鹿だろと。

よりにもよって鎮守府内の歩く火薬庫とまで言われる雪風に集るのかと。
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:30:44.98 ID:9lgrDVvi0

雪風「どうして雪風が払わないといけないのですか?」

スパ「駆逐艦は戦艦の下でしょ?」

明石(あーあ。)



刹那。

ウォースパイトの体は天地が逆転し、

ウォースパイトが次に目を開けたときは医務室の天井をその目で見ることとなる。



不知火「気がつきましたか?」

不知火「忠告が役に立たなかったようですね。」

不知火「身を持ってここのルールを知っていただいたようでなによりです。」

スパ「一つ聞きたいのだけど?」

不知火「何でしょうか?」

スパ「ここの駆逐艦は皆あんななの?」

不知火「全てが、とは言いませんがあなた程度でしたら余裕を持って沈められる。」

不知火「その程度の錬度には皆、達しています。」

不知火「また、ここは他所の鎮守府の様に艦種による上下は有りません。」

不知火「寧ろ駆逐艦を軽んずる艦娘はまっさきに鬼籍に入っていますね。」

不知火「魚雷は敵、味方の区別はありませんので。」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 00:33:15.02 ID:9lgrDVvi0

スパ「それは脅しかしら?」

不知火「処世術ととっていただきたいですね。」

不知火「とりあえず、戦艦では長門さん、空母ではグラーフさんを始めとする数名。

    重巡では摩耶さん他同じく数名。

    軽巡では川内さんが最も危険ですね。

    駆逐艦では時雨さん、雪風さんに初月さんと後数名でしたでしょうか?」

不知火「報酬金ランキング上位常連には喧嘩を売るべきではないと教えておきます。」

不知火「後、潜水艦の方々も居ますが彼女らには特に注意してください。」

不知火「証拠を残さないやり方をよく心得ていますので。」ニッコリ

スパ「よく分かったわ。」

不知火「では。」

不知火「あぁ、言い忘れる所でした。

    お持ちになられたポンドですが両替が必要でしたら司令の所に行かれて下さい。

    手数料は掛かりますがドルへの両替を受けますので。」

不知火「無法地帯のように見えても無法故のルールと言う物があります。」

不知火「長生きしたいならゆめゆめお忘れなきよう。」

不知火「死にたいならお知らせください。魚雷はサービスします。」



そういい残し不知火は医務室を去っていった。



スパ「とんだ地獄に迷い込んでしまったようね・・・・。」



ウオースパイトは自分の置かれた状況をその聡明な頭脳で理解したのだった。

こうしてこの地獄の掃き溜めに女王は着任した。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:35:30.70 ID:9lgrDVvi0
キャラが強烈過ぎたためお蔵入り仕掛けたお話
番外編だから好き放題にやっています、雪風に喧嘩うればそうなりますねぇ
ではでは次回こそはグラさんのお話更新したい……
乙レス、感想レスいつもありがとうございます
ここまでお読みいただきありがとうございました
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 01:24:31.94 ID:AG0w6ZcA0
なんか明石編が読みたくなったな
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 09:24:56.49 ID:vPFTGTXA0
火薬庫ワロタ
郷に行っては…が体現されてる場所じゃ、選択肢一つ間違えるだけでバッドエンドなのかw
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 12:38:03.73 ID:ZxWqJkuWO
あぁ…こういうの良いなぁ…
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 12:57:45.41 ID:+s2EdVKq0
ここじゃ身の程を理解する能力すらない狂犬と組まされた日には自分が死ぬしな
もし弁えられなかったら不発魚雷よりも気軽に処分されただろうなあ、ブリーフィングから出撃までの僅かな時間に運(70)悪く事故死
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 21:41:15.78 ID:LUSyF7cl0
モデルのキャラを考えてしまうとラグーン程度では薄っぺらいな。

大尉かトライアド持ってこないと太刀打ちできない感じ

そう考えると88は名作だわ
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/26(金) 21:17:23.02 ID:jhFVhFyK0
明石も結構な過去ありそうやなぁ...
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 22:42:20.38 ID:qE+EAaJ40
>104誤 伊8「そうでち、命は大事に使えば一生使えるでち。」 → 正 伊58「そうでち、命は大事に使えば一生使えるでち。」

>219誤 番外編  She is Killer Queen → 正 番外編  She is a Killer Queen

1です、読み返して一部間違えに気づいた部分がありましたので訂正をさせていただきます

>233様 三合会は超サイコー!

本日の更新をさせていただきます  
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:43:34.58 ID:qE+EAaJ40

第十話 ラッパが鳴って壁が崩れた 中編
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:44:46.13 ID:qE+EAaJ40

鎮守府 工廠付近埠頭


秋津洲「明石さん!すごいかも!」オホー!



普段は明石商店の配送要員として二式大艇のオペレータを務める秋津洲が遠くを見つめる。



秋津洲「あんまり見分けがつかないかも!」オホー!

時雨「何をやってるんだい?」

秋津洲「あっ、時雨かも!今ね、新しいデコイを試していたかも!」

秋津洲「今日は荷物も運び終わったから新商品の開発を手伝ってたの。」



そういい秋津洲が指差す先には。



時雨「あれは、失敗ペンギンと失敗綿なのかな?」

明石「そうですよ――。開発に失敗した時に出てくるあれの再利用です。」

時雨「開発とかしてたんだ。」

明石「時雨さんは稼ぎが良いからあれですけど普通は装備を改修して上位装備へ換装するものですよ?」

明石「それに改修の状況によっては無改修の上位装備よりいい働きする事もありますしね。」

238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:45:48.37 ID:qE+EAaJ40

秋津洲「改修の素材を全部よそから買ってたら高くつくから偶にうちの商会で開発してるかも!」

明石「開発して出る素材は出したほうが完成品を用意するよりお安く提供できますしね。」

時雨「そっか。営業努力の結果があれって事か。」



時雨が指差す方向に浮かぶのは失敗ペンギン達で作られた案山子。



明石「何かのデコイみたいなものに使えればなぁと思ったんですけどね。」

秋津洲「ぱっと見で駆逐艦サイズだから状況によってはありかも!」

明石「といっても動かずに浮いてるだけじゃバレバレですよねぇ……。」

明石「やっぱり捨てるしかないのか……。」

提督「アイデアは悪くないと思うぞ。」



明石が名残惜しそうに案山子を見つめる所に声をかける提督。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:47:02.27 ID:qE+EAaJ40

提督「空から見た感じどうなんだ?電探に影は映ったりするか?」

明石「あ――――。空からはまだですね。電探も後で試しておきます。」

時雨「提督、あんなのをどうするんだい?」

提督「時雨。兵器に限らず世の中の多くは全てアイデア次第だ。」

提督「本来の使い方ではない使い方が便利すぎて

   イレギュラーな使い方がレギュラーになってしまった商品なんてものはいくらでもある。」

提督「あの案山子だって何かもう一工夫してやれば化けるかもしれんぞ。」

提督「それに材料が失敗の綿?とかだから持ち運びも容易だろうしな。」

明石「ですね。こう。ぎゅっと圧縮して使おうと思った時に一気に元の形に戻せるって感じが可能です。」

提督「面白いな。後は使う側のアイデア次第って気もするぞ。」

明石「じゃぁ、提督。買って下さいます?」ニコニコ

提督「そうだな。値段しだいだな。開発の失敗作なんだろ?」ニヤリ

そんな二人の会話の後に明石の実験的新商品の値段交渉が始まった時だった。

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:48:20.98 ID:qE+EAaJ40

ボコボコボコ

ザバァツ!

埠頭の岸壁に手を掛け3人の潜水艦娘達が鎮守府埠頭に姿を現す。



伊58「帰ってきたでちぃ・・・。」ベチィ

時雨「あっ、ゴーヤじゃないか!久しぶりに姿を見たけど特殊作戦行動にでも出てたのかい?」

伊13「時雨さん、お久しぶりです。」ヨッ

伊8「欧州から帰って来たところなんです。」フゥ

提督「お疲れ。帰投の連絡があってから待ってたぞ。」

明石「何だ散歩じゃなかったんですか。」

伊58「これが荷物でち。」ゴト



つ 防水耐圧処理済トランクケース



提督「確かに。これが報酬だ。無くすなよ。再発行は出来んからな。」



そう言って差し出すは複数の茶封筒。



伊58「1週間の休暇許可と報酬金一人5000ドルに刑期短縮の海軍大臣署名入りの確約書。」

伊58「それからノルマ軽減についての軍令部総長署名入りの確約書。」

伊58「全部間違いないでち。」



封筒の封を乱雑に破り中を確認したゴーヤが顔を上げる。
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:49:33.69 ID:qE+EAaJ40

提督「後な、これは伊13に特別ボーナスだ。

   特警の監視付になるが面接権だ。妹に会いに行ってやれ。」

伊13「・・・、ありがとうございます!」

提督「仕事に対する正当な報酬に過ぎんよ。助かった。」

時雨「提督、ゴーヤ達に何を頼んでいたんだい?」

提督「軍機につきと言いたい所だが、俺が話さなかったらゴーヤ達から聞き出すんだろうな。」

提督「グラーフを呼び出しついででコーヒーを執務室まで頼めるか?」

提督「ここで話をするには向いていないからな。後、明石も来てくれ。」

明石「了解です!」

提督「後、伊58は道中の報告も聞きたいから同行してくれ。」

提督「そんな訳だから時雨、コーヒーを人数分だ。」

時雨「了解。」

242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 22:51:14.31 ID:qE+EAaJ40

執務室



グラ「Admiral、注文のコーヒーだ。」

提督「ありがとう。そして手間を掛けるがドイツ語の翻訳を頼めるか?」

グラ「了解した。」

時雨「提督はドイツ語出来ないの?」

提督「嗜む程度だ。その程度だから技術的な専門用語が入ってくるとお手上げだ。」

提督「よしんば出来たとして母国語の違いという奴でな微妙なニュアンスの違いって奴は理解出来ん。」

提督「それなら出来る奴に任せるのが一番だ。」



そう言いながら先ほどのトランクケースに付いている鍵に番号を打ち込む提督。



提督「と、開いたな。グラーフ、すまないがこれらを一つ一つ頼む。」



明石とグラーフに書類の束を渡す提督。

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/27(土) 22:52:45.59 ID:qE+EAaJ40

提督「凡その内容は聞いているが儀術的な部分もあるからな。」

グラ「ふむ。祀事的な部分という事か。」

提督「シャーマンの部分は本当によく分からん。」

時雨「シャーマン?」

提督「あぁ、嘗ての英霊。戦闘機なんかのネームドパイロット連中を

   こっちの世界に降ろす為にはどうしても宗教的な手続きがいるわけなんだよ。」

提督「欧州の艦娘運用国の中では特にドイツが先進国でね。」

提督「なんだかんだでドイツが艦娘に関する技術では欧州では一番進んでいる。」

提督「そんな訳で、伊58達には最先端の技術交換目的で北極回りでドイツに行ってもらってたんだ。」

時雨「北極回り。」

提督「そうだ。スエズは通れない中で喜望峰回りと北極回りは危険度がそう変わらない。」

提督「それなら少ない日数でいける北極回りの選択になるという事だ。」

グラ「潜水艦ならではだな。」

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