【ガルパン】大洗女子学園艦が語る、晩秋の夜話

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46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:38:05.02 ID:E7ARke1W0

カエサル 「 まず、暗号の意味を説明する前に、西住隊長が現在、新編成を組むのに悩んでいることは知っているな 」

左衛門佐 「 うむ 」

カエサル 「 この暗号は、その新編成に関する機密情報かもしれない 」

左衛門佐 「 ……なんだと? 」

カエサル 「 左衛門佐が解読した内容はこうだったな 」


“ カモ → ツチヤ ”

“ ナカジマ、スズキ、ホシノ → いない → レオポン → アリクイ3人 ” 


左衛門佐 「 ああ 」

カエサル 「 まず、ツチヤさんの名前が出ている方だが、これはカモさんチームに、ツチヤさんが異動することを意味しているのだと思う 」

左衛門佐 「 ほほう、そど子殿が卒業していなくなる穴にツチヤ殿が入る、ということか 」

カエサル 「 そうだ 」

左衛門佐 「 だがちょっと待ってくれ。 ツチヤ殿は操縦手だろう? 操縦手にはすでにゴモヨ殿がいるぞ? 」

カエサル 「 そど子先輩のポジションって、車長 兼 副砲手 兼 装填手 の一人三役だっただろ? 」

左衛門佐 「 ああ、地味に凄いよな、あの人。 それが? 」

カエサル 「 そど子先輩のポジションにパゾ美さん、パゾ美さんのポジションにゴモヨさん、ゴモヨさんのポジションにツチヤさん、ってことだよ 」

左衛門佐 「 えーと…… 」

カエサル 「 パゾ美さんは 砲手 兼 通信手だから、つまり副砲手でもこなせるワケだ。 あとは装填作業を覚えてしまえば、そど子先輩の後を継げる。 車長役については場数踏んで覚えるしかないし 」

左衛門佐 「 ということは、操縦手だったゴモヨ殿が、これから砲手と通信手をやるのか? 」

カエサル 「 彼女らはそど子先輩の風委委員ソウルを最も色濃く受け継いだ者達だからな。 結束力は元々高いから習得は早いハズだ。 だから西住隊長は、カモさんチーム内でポジションチェンジしてもイケると踏んだんじゃないかな? 」

左衛門佐 「 なるほどな 」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:39:14.28 ID:E7ARke1W0

カエサル 「 次に、レオポンさんチームとアリクイさんチームの名前が出ている方だけど…… 」

左衛門佐 「 そういうことなら私にもわかったぞ。 これはレオポンさんチームから3年生の3人が抜けてしまって、ツチヤ殿もカモさんチームに異動するから、その後釜をアリクイさんチームの3人が埋める、ということだな? 」

カエサル 「 そう、なんだがな…… 」

左衛門佐 「 なんだ、何か違うのか? まぁポルシェティーガーを3人で動かせるのか、という不安はあるが、アリクイの3人にとって今度は副砲が無いから、ねこにゃー殿が 車長 兼 通信手、ぴよたん殿が 砲手 兼 装填手、ももがー殿が 操縦手 という配置でイケるだろう? 」

カエサル 「 そこなんだよ 」

左衛門佐 「 そこ? どこだ? 」

カエサル 「 左衛門佐、お前、一ヶ所おかしな事を言っているぞ? 」

左衛門佐 「 え? 」

カエサル 「 ぴよたん先輩……3年生だろう 」

左衛門佐 「 ……あ 」

カエサル 「 ぴよたん先輩って自己主張薄いから、忘れがちなのは無理ないけど 」

左衛門佐 「 本人の前では言えん話だなぁ 」

カエサル 「 ともかく、ぴよたん先輩も卒業して抜けるはずなのに、そこをポルシェティーガーに乗れっていうのが解せなくてな 」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:40:36.22 ID:E7ARke1W0

左衛門佐 「 ううむ……しかし、この暗号は “ アリクイさんチームの3人をポルシェティーガーに移す ” としか解釈出来ないのだがなぁ 」

カエサル 「 私もだ。 しかも、考えれば考えるほどに、この配置はベストだと思えてきたな 」

左衛門佐 「 これなら三式中戦車が空いてしまうが、代わりにポルシェティーガーを動かすことが出来るしな 」

カエサル 「 火力だけを考えるのであれば八九式中戦車を外すべきなんだろうけど、ここ大洗では “ 火力が足りない = 弱い ” ではないからなぁ 」

左衛門佐 「 そう言われれば、バレー部のみんなも結束は固い。 あの結束の固さからくるチームプレイに、試合中、何度救われたことか 」

カエサル 「 大洗女子の戦力というのは、戦車のスペックに左右されるのではなく、各チームの結束によるところが大きいのだと思うよ。 だからこそ西住隊長は悩んでいるんだろう。 如何に既存のチームを壊さずに編成を組み直すかと 」

左衛門佐 「 この暗号の通りならば、既存チームへの影響は最小限で済むな 」

カエサル 「 しかも、アリクイさんチームは最も後発のチーム。 こう言っちゃ申し訳ないが、愛機に対する思い入れは全チームの中で一番小さい。 だから、愛機を乗り換えることになっても他のチームほどは影響出ないハズだ 」

左衛門佐 「 ツチヤ殿にしたって、操縦そのものが好きだから愛機へのこだわりは小さいようだしな 」

カエサル 「 さらに深読みすれば、この暗号はひょっとしたら、アリクイさんチームを次の自動車部に据える気なのかもしれない 」

左衛門佐 「 そうか!  戦車の修理には並々ならぬ力が必要だし、パーツに関する知識も必要。 アリクイさんチームなら力は言わずもがな、パーツに関する知識はオンラインゲームで下地がある。 不眠作業も徹夜ゲーで慣れてそうだな 」

カエサル 「 そう。 だから、この人員配置はベストなんだよ。 ……ぴよたん先輩を除いてさ 」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:41:28.22 ID:E7ARke1W0

左衛門佐 「 なぁ、まさかとは思うんだけど…… 」

カエサル 「 ……まぁ、そういう考えに行き着くよな 」

左衛門佐 「 ……留年……か? 」

カエサル 「 そうだ。 卒業するはずの人の名前が、新編成に組み込まれている意味といったら、それしか思い浮かばない 」

左衛門佐 「 …………… 」

カエサル 「 ……ぴよたん先輩が単位落としたとか、テストで赤点取り続けているとか、不登校気味だとかいう話、聞いた事あるか? 」

左衛門佐 「 ないな 」

カエサル 「 私もない。 というか、戦車道履修者には通常授業の3倍の単位が貰えたり、遅刻を200日見逃してもらえるんだから 」

左衛門佐 「 そうだよなぁ、まさか留年ってことはないよなぁ 」

カエサル 「 だからな? ここからはさらに私の推測なのだが 」

左衛門佐 「 なんだ? 」

カエサル 「 この暗号の送信元が仮に角谷会長で、これが左衛門佐に送られてきた意味ってやつを考えてみたんだけど 」

左衛門佐 「 ほほう、聞こう 」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:43:04.13 ID:E7ARke1W0

カエサル 「 あの角谷会長が、意味もなく、ただ写メを送ってきたりすると思うか? 」

左衛門佐 「 チャランポランに見えて、その実、ちゃんと考えている御仁だからな。 意味のない行動はしないだろう 」

カエサル 「 となると、この暗号は解けるかどうかを聞いてきたのではなくて、解ける事を前提にして送られてきた、と考えるべきだろう 」

左衛門佐 「 確かに、事実として私は解けたが…… 」

カエサル 「 そう、角谷会長は左衛門佐なら解けると踏んで暗号を送ったんだ。 そして解けたならば、何かアクションを起こせと言いたいのだと思う 」

左衛門佐 「 この、ぴよたん先輩の配置だけがおかしい新編成案を知って、私に何か行動しろと? 」

カエサル 「 そう、そこだよ。 ぴよたん先輩がおかしいってところに何か鍵があるんだ 」

左衛門佐 「 その鍵で、私は何を開けたらいいのだ? 」

カエサル 「 わからん 」

左衛門佐 「 私は何をしたらいいのだ? 」

カエサル 「 わからん 」



道端で、うんうんと唸る二人。

考えても考えても答えは出ない。

まぁ、出るわきゃないな。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:44:15.23 ID:E7ARke1W0

左衛門佐 「 カエサルよ、このまま悩んでいても埒があかん。 もういっそのこと、本人に聞いてしまったらどうだ? 」

カエサル 「 なんて聞くんだよ? ぴよたん先輩、留年に心当たりはありますか、って聞くのか? 」

左衛門佐 「 最悪、それしかないだろう 」

カエサル 「 さすがにそれは、聞く方も聞かされる方も心苦しくないか? 」

左衛門佐 「 それはそうだが、他に方法はあるまい。 それとも何か? お前の占いで行動指針を決めてみるか? 」

カエサル 「 その方法があったか 」

左衛門佐 「 あ、本当にやるんだ 」



ということで、カエサルが用意したのは八卦占いセット。

いつぞや、戦車を探したり、迷子になったウサギさんチームと武部沙織を捜索しようとした時に使ったアレだ。



カエサル 「 えー、じゃあ、棒が左側に倒れたらぴよたん先輩に直接聞く、右側に倒れたら自分達でもうちょい考える、ってことで 」

左衛門佐 「 了解した 」

カエサル 「 ではいくぞ。 当たるも八卦、当たらぬも八卦! 」


(カランッ)


左衛門佐 「 …………… 」

カエサル 「 …………… 」

左衛門佐 「 ………なあ、カエサル 」

カエサル 「 ………なんだ 」

左衛門佐 「 この場合はどうなんだ? 」



棒は、真っ直ぐ手前に倒れていた。

右も左もなく、真ん中を真っ直ぐ手前に。

いたずらな風でも吹いたのかもしれない。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:44:57.25 ID:E7ARke1W0

カエサル 「 いやいやいや、よーく見れば微妙に右……いや左側……いや右側か!? 」

左衛門佐 「 どう見ても、見事に真っ直ぐ手前に倒れたぞ? 」

カエサル 「 ぐっ… 」

左衛門佐 「 で、この占いの結果はどうなんだ? 」

カエサル 「 えーと、えーと 」

左衛門佐 「 カエサルの占いも、まあこんなものか 」

カエサル 「 くっ、うるさい! もう1回やるぞ! 」



で、もう1回やったら、またしても真っ直ぐ手前に倒れてきたというね。

いやいや、珍しいこともあるもんだ。


ちなみに、彼女の名誉のために言っておくと、彼女の占いは結構当たる方なのだ。

神様の私が言うんだから間違いない。 


え、でも今回外したじゃないかって?

いやいや、今回の占いも当たってたんだって。


だって。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:45:28.41 ID:E7ARke1W0

棒が倒れた方向……左衛門佐とカエサルの背後5mくらいのところにさ。



ぴよたん、いたんだから。



愕然な顔してね。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:46:36.93 ID:E7ARke1W0

さあ、最後の主人公に話を移そう。

この他愛ない世間話の最後を飾る主人公は、ぴよたんだ。

ぴよたんこと本名は……あー……この場では伏せさせてもらうよ。 大人の事情ってやつだな。

アリクイさんチームの砲手 兼 装填手を務めているが、3年生ゆえに間もなく引退しなければならない。


お前さんも良く知るとおり、彼女は数か月前まで、ただのオンラインゲーム好きの内気な少女だったんだよ。

それが何の運命のいたずらか、大学選抜戦を機に、肉体改造に成功してしまった。

以来、コンスタントに体を鍛えているものだから、現在のぴよたんは内気で健康的という、何かアンバランスな魅力を醸し出すレディーへと変貌している。

健全な肉体には健全な精神がなんとやらで、精神的にも凛とした雰囲気が漂うようになったため、戦車道チーム内で 「 最も大人びている人ランキング 」 をやったら間違いなく一位を獲ること請け合いなぴよたんであった。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:52:48.54 ID:E7ARke1W0

さて、なんでぴよたんがココにいたのかというと、その説明をするためには1時間ほど時を巻き戻さねばならない。

あ、いや、これまた全然、大層な理由ではないんだけれどもね。

今日はほら、ファミ通の発売日だったからさ。

彼女も立ち読みに来ていたんだよ。 先ほどの本屋に。

で、その後に左衛門佐とカエサルが入店してきたんだけれど、ぴよたんは立ち読みを中断したくなかったし、なんとなく距離感が図れなかったもんだから、声を掛けなかったんだよ。

向こうも向こうですぐ立ち読みに熱中し出したから、声を掛けられることもなかったし。

で、自分の立ち読みが終わったタイミングで左衛門佐らが店を出たから、ぴよたんも店を出て、ちょうど後ろから付いていく形になったワケだ。

そして相変わらず距離感が測れないまま、いつ声を掛けようか迷っていたら、なぜか自分の名前が話題に出てきた。

「 留年 」 という単語と共にさ。


そして現在に至る、と。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:54:05.48 ID:E7ARke1W0

今度は時間を進めよう。

それから約4時間後の、夜9時だ。

ゲーマーにとってはこれからゲームに没頭できるという、アツい時間帯に突入する時刻でもある。

大体いつもなら、ぴよたんもこのくらいの時間帯からPCの電源を入れて、ざっとネットサーフィンした後でオンラインゲームをプレイし始めるのだけど、今日はディスプレイにゲーム画面は映っていなかった。

代わりに映っていたのは、アリクイさんチームの3人だけで構成された、某SNSのグループチャット画面だ。

彼女らはリアルではあまり喋らないけど、ネット空間では良く喋るので、ひょんなことからアリクイさんチームと仲良くなった山郷あゆみが彼女らとSNSで言葉を交わした際、大層おどろいたっていうエピソードがある。

話が脱線するから、そのエピソードは割愛するけどね。


さて、それでは悩めるぴよたんを励ますアリクイさんチームの様子をご覧いただこう。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:55:00.77 ID:E7ARke1W0

ももがー 「 おこんばんわナリ〜 」

ねこにゃー 「 2ゲット (^o^)丿 」

ももがー 「 久々に聞いたナリwwww 2ゲットwwww 」

ねこにゃー 「 昔の古き良き文化だにゃー。 というワケで私も参上つかまつった所存 」

ももがー 「 えーと、今日はぴよたんが “ WOTをプレイし始める前にちょっと相談したい ” って言ってたから、とりあえずメッセージを送ってみたけど…… 」

ねこにゃー 「 そうだにゃ。 じゃあ、現場のぴよたんさんを呼んでみましょう。 ぴよたんさーん 」

ぴよたん 「 はいぴよー ('ω')ノ 」

ももがー 「 あ、いた 」

ねこにゃー 「 ぴよたん乙 」

ぴよたん 「 二人とも乙 」

ねこにゃー 「 どしたの、ぴよたん? なんかあったの? 」

ぴよたん 「 何かあったと言えばあったし、何があったのかと言われたらわからないぴよ…… 」

ももがー 「 ??? 」

ねこにゃー 「 哲学かな? 」

ぴよたん 「 えーとね、今日こんなことがあったっちゃ 」


かくかくしかじか。

アリクイさんチームの乗機がポルシェティーガーになるかもしれない、ということを説明するぴよたん。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:56:21.09 ID:E7ARke1W0

ねこにゃー 「 ふむ、出所不明なソースながら、よく考えられた話だにゃ 」

ももがー 「 確かにこの話が本当なら、大きな混乱なく新編成に移行できそうナリ 」

ぴよたん 「 私もそう思うぴよ 」

ももがー 「 三式中戦車にしたって、全国大会決勝、大学選抜戦を共に戦い抜いた愛機ではあるけど 」

ねこにゃー 「 私達の場合、ゲームでいろんな戦車を乗り回しているから、戦車道で乗機を代えることになってもそれほど驚かないにゃー 」

ぴよたん 「 ……私もそう思うぴよ 」

ねこにゃー 「 では、ぴよたんは何を思い悩んでいるにゃ? 」

ももがー 「 実はやっぱり三式中戦車にこだわりがあるモモ? 」

ぴよたん 「 ……お二方、何かおかしなところに気付かないっちゃ? 」

ねこにゃー 「 おかしなところ? 」

ももがー 「 えー、なんだろう? 」

ぴよたん 「 ひどいっ! 同じチームの二人にすら気付いてもらえないなんてっ! 」

ねこにゃー 「 強いて言うなら、ぴよたんが3年生なのに新編成に組み込まれているところ、くらいかにゃー 」

ももがー 「 あと、最近ちょっとたるんできた脇腹、くらいナリー 」

ぴよたん 「 気付いているんなら最初から言うぴよ!! それと脇腹やばくなってるの何で知ってるの!? 」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:57:00.84 ID:E7ARke1W0

ぴよたん 「 左衛門佐さんとカエサルさんの見立てでは、私が留年するんじゃないかって…… 」

ももがー 「 えーと……ぴよたん姐さん、授業の単位、足りてなかったっけ? 」

ぴよたん 「 足りてるぴよ 」

ねこにゃー 「 ぴよたん氏、実はテストで赤点取り続けててヤバいとか? 」

ぴよたん 「 一応、成績は中の中の上くらいのハズなんだけど…… 」

ももがー 「 あー……そしたら 」

ねこにゃー 「 アレしかないにゃー 」

ぴよたん 「 アレ? 」

ももがー 「 あれほど課金は程々にしとけって言ったのに…… 」

ねこにゃー 「 金でトップランクを狙うのは邪道だと言ったのに…… 」

ぴよたん 「 え? え? なんの話っちゃ? 」

ももがー 「 だからヤッたんでしょ? 」

ぴよたん 「 何を? 」

ねこにゃー 「 お金欲しさに円光、からの補導 → 停学 → 留年コンボ。  最近はパパ活ってのもあるらしいけど 」

ももがー 「 補導されたときってどんな気持ち? ねぇ、どんな気持ち? 」

ぴよたん 「 やるかーーーーーーーーーー!!!! 」

ねこにゃー 「 冗談にゃ (*'ω'*) 」

ももがー 「 ちょっとした乙女のジョークナリ (*^-^*) 」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:58:11.84 ID:E7ARke1W0

ぴよたん 「 あんまりふざけたこと言ってっと、砲弾直に投げつけるぴよ 」

ねこにゃー 「 ごめんにゃ〜 」

ももがー 「 後のICBM投げである。 」

ぴよたん 「 死なばもろともぉ〜〜!! 」

ねこにゃー 「 ぴよたん氏、ウォーカーギャリア説 」

ぴよたん 「 もういいぴよ! いいから話を進めるっちゃ!! 」

ももがー 「 まぁオフザケはここまでにして 」

ねこにゃー 「 ぴよたんが留年ってまず有り得ないと思うのだけど、自分では心当たりがないのかにゃ? 」

ぴよたん 「 うーん……無い……と思うのだけど…… 」

ももがー 「 単位も足りてて、成績もそこそこで、停学処分級の事件を起こしたワケでもないとなると、留年ってことじゃないと思うナリ 」

ねこにゃー 「 私もそう思うにゃー 」

ぴよたん 「 やっぱりそう思うぴよ? 」

ねこにゃー 「 そのふしだらなボディで何か騒ぎ起こして捕まったりしてなければ 」

ももがー 「 私、ぴよたんがそのワガママボディでいつか身を滅ぼすんじゃないかと心配でしょうがないモモ 」

ねこにゃー 「 ぴよたんがダメ男に引っかかってスカンピンになったとしても…… 」

ももがー 「 ……わたしたち、ズッ友だょ……!! 」

ぴよたん 「 よーしお前ら、あとで榴弾投げつけっからな 」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 02:59:24.24 ID:E7ARke1W0

ぴよたん 「 関係あるかどうかわからないけど、一つだけ思い当たるフシがあるっちゃ 」

ももがー 「 ほう 」

ぴよたん 「 ちょうど昨日の話なんだけど 」

ねこにゃー 「 ほほう 」

ぴよたん 「 推薦入試を受けた大学から通知があってね 」

ももがー 「 ほほほう 」

ぴよたん 「 第一志望の推薦、取れました 」

ねこにゃー 「 ほほほほ……え? 」

ももがー 「 え、うそ? 」

ぴよたん 「 本当だっちゃ 」

ねこにゃー 「 キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡(゚∀゚≡(゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!! 」

ももがー 「 ヒャッハ━━━━━━━━━━━━━━┌(_Д_┌ )┐━━━━━━━━━━━━━!!!!!!!! 」

ぴよたん 「 (/ω\) ハジカシー 」

ねこにゃー 「 おめでとにゃー! ぴよたん!! 」

ももがー 「 おめでとうナリー! ぴよたん姐さん!! 」

ぴよたん 「 ありがとう、そしてありがとう 」

ねこにゃー 「 っていうか、完全に理由ソレじゃん! 」

ももがー 「 こんなに早く入試のゴタゴタが済んじゃったのなら、あとは卒業まで戦車道でコキ使っても問題ないナリ!! 」

ぴよたん 「 やっぱりそう思うぴよ? 」

ねこにゃー 「 その出所不明なソースが言いたいことは、ぴよたんが留年するから新編成に組み込むんじゃなくて、もう進路が確定したなら卒業するまで手を貸してほしいってことなんだにゃ! 」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:00:58.49 ID:E7ARke1W0

チャットの途中だけど、せっかくなので、ここでぴよたんのことについて補足説明をさせてもらいたい。

流れを断ち切るようで申し訳ないね。


大洗女子学園の戦車道チームに入る前のぴよたんは、ただのちょっと度が過ぎたゲーム好き少女だった。

それ以外は特筆すべきことが無い、影が薄いと良く言われる存在だった。

得意としているゲームのジャンルは、 「 大戦略 」 の様な戦略シミュレーションと、FPS。

とりわけ 「 WOT 」 の様な乗り物系FPSが得意で、トップランカークラスの腕前を持っていた。

だから、同じくトップランカークラスだったねこにゃー、ももがーと、ひょんなことから知り合い、それが後のアリクイさんチーム結成に至る出会いとなったのだ。


ぴよたんが戦車道を始めたきっかけは、「 戦車に興味があったから 」 そして 「 ねこにゃーに誘われたから 」 という、これまた他に付け加えようのない単純な理由だった。

しかし、そんな彼女の戦車道デビュー戦は、母校の存続が賭かった全国大会の決勝戦。

「 良いところが見せられなかったので次こそは! 」 と勇んで臨んだ次の試合も、母校の存続が賭かった対大学選抜戦。

「 敗けられない…! 敗けたら終わり…!! 」 という、悲壮な覚悟を持ち続けて過ごしたこの数か月は、彼女のそれまでの人生で最も過酷、かつ、最も充実した数か月になったのだ。

だから、そんな濃密過ぎる時間を過ごしたためか、彼女は戦車道に特別な価値を見出すようになった。


後に彼女はこう語る。

「 戦車道というゲームをプレイしたら、人生っていうゲームの主人公になれた 」 と。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:02:28.69 ID:E7ARke1W0

じゃあ、大学に行っても戦車道を続けるのか……と思ったら、そうは考えていないらしい。

いくら戦車道に思い入れが出来ても、それでいくら身体を鍛えたとしても、ぴよたんが到達できるレベルは凡人の域を出ないのだ。

戦車道の申し子である西住みほや、五十鈴華・冷泉麻子のような天才のレベルには、どうあがいても到達出来ないことがわかってしまった。

だから、ぴよたんの、選手としての戦車道は高校でお終い。

これ以上は、本気で戦車道に取り組む人達のためのステージだ。

自分がしゃしゃり出て行けるような場所じゃない。


そもそも、ぴよたんにとっては 「 ゲーム 」 の延長線上に 「 戦車道 」 があったのだ。


「 戦車道にはもう満足したのだから、そろそろ古巣に戻ろう 」


これがぴよたんの心の内であり、チームメイトのねこにゃーやももがーからも、理解してもらっている話だった。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:04:08.81 ID:E7ARke1W0

「 古巣に戻ろう 」 というのは、昔のぴよたんの考え方ならば 「 趣味のゲームの世界に戻ろう 」 という意味だ。

だって彼女にとっては、最初にゲームがあって、その延長線上に戦車道があったから。

きっと部屋に籠って、モクモクとゲームの世界に没頭する生活を送っていたかもしれない。


しかし、戦車道を経験し、自分の世界が広がり始めた現在のぴよたんにとっては、件の言葉は少し違う意味になってきている。

それは 「 ゲームと戦車道が融合した世界を創ろう 」 という意味だった。


話がちょっと横道に逸れるが、実は今冬、日本で世界初の戦車道のゲームが発売される。

しかも、高校戦車道を下地にしたゲームだ。

これは画期的なことであって、今まで戦車道をモチーフにしたゲームというものが世に出たことはなかった。

戦車のゲームはあったのだが、戦車道のゲームは無かったのだ。

理由はよくわからない。

ただ、例えば柔道や合気道、長刀道などもゲーム化されたことはなかったので、こうした武道の類は、ゲーム化するのに何かしらのハードルがあるのかもしれない。


この高校戦車道のゲームが発売されることを知ったぴよたんは、嬉しさに飛び上がり、同時に驚き、そして天啓を得た。

その天啓が 「 ゲームと戦車道が融合した世界を創ろう 」 ということだったのだが、具体的に言えば 「 VR技術で戦車道のゲームを作ろう 」 ということだった。

当然ながら、まだそんなゲームは世に存在していない。

というか、VR技術そのものが普及していない。

していないけれど、VR技術がゲーム文化を次のステージへとステップアップさせるものだと確信しているぴよたんは、これで戦車道ゲームを作らないのはゲームクリエイターの怠慢だし、戦車道関係者の責任放棄だとすら考えていた。

だから 「 ゲーム好きで戦車道好きな私が、責任を果たしてやろう 」 と考えたのだ。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:05:21.18 ID:E7ARke1W0

ぴよたんが推薦を勝ち取った大学。

それは、偏差値の高い大学ではなかったのだけれども、決して低くもない、そんな大学の電子工学部だった。

志望動機はもちろん、VR技術を研究して、いつか戦車道のゲームを作るため。

ぴよたんは、この夢を現実の物とするまでに、これから長く険しい道のりを歩いていくことになる。



彼女の将来のことを、ちょっとだけ語ろう。

何度も挫けそうになり、その度にドロップアウトすることを考えるぴよたん。


しかし、彼女は諦めなかった。

そりゃそうだよな。

だって、彼女は目標を見据えたら、決して諦めない少女だったからね。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:06:57.55 ID:E7ARke1W0

思い返してほしい。

大洗女子学園艦が再び廃艦の危機に晒され、誰もが絶望に打ちひしがれていた時。

アリクイさんチームだけが、まだ見ぬチャンスを信じて、懸命に身体を鍛えていたことを。

そして、大学選抜チームに勝てば廃校は免れると知って、ちゃんと試合までに身体を仕上げ切ってきたことを。


実はあの時、同じアリクイさんチームのねこにゃー、ももがーからは、何度か諦めの言葉が漏れていたのだ。

それを受け止め、励まし、皆で奮い立って、試合までに3人全員で身体を仕上げ切ることが出来たのは、アリクイさんチーム唯一の3年生、ぴよたんがいたからなのだ。

先輩として後輩を引っ張っていかなければならない義務感もあったのだろうが、彼女に備わる生来の能力が発揮されたゆえの結果でもあった。

その能力とは 「 目標を見据えること 」 だった。


「 目標を見据える 」 ということは、つまり 「 目標を達成するまで努力を諦めない 」 ということだ。

それは、努力の天才と言われる人達の必須能力でもあった。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:07:52.07 ID:E7ARke1W0

人は誰しも、難題に挑戦しなければいけない時がある。

そんな時、西住みほや冷泉麻子の様な天才であれば、あの手この手を考えついて、直ぐにクリア出来てしまうかもしれない。

しかし、そんな上手い話はそうそう無いのだ。

世の中の大多数は、凡人なのだ。


じゃあ凡人は、どうやって難題に挑めば良いのだろうか?

そりゃもう、ただひたすらに、愚直に突き進むしかない。 肉体と精神の耐久値を減らしながらさ。

それで、耐久値が尽きる前に目標を達成できれば良いけれども、大体の場合において、耐久値が許容限界を下回ったところで、多くの者が 「 諦め 」 に走るのだ。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:09:08.24 ID:E7ARke1W0

ぴよたんは、この肉体と精神の耐久値が、許容限界をギリギリ下回らないようにすることが出来る。

つまりは、諦めに走らないように自分をコントロール出来るのだ。 難題に挑み続ける自分を、保持し続けられるんだよ。

なぜかって?

それは、彼女が努力の天才だからかもしれないね。



彼女は、目標達成するために必要な 「 努力の量 」 を、非常に精度高く推し測ることが出来る。

そして、期日に間に合わせるために必要な 「 努力の質 」 を、非常に精度高く推測することが出来るんだよ。

加えて言えば、それらの努力を実行するために必要な 「 覚悟 」 を、自分の心の内に打ち立てることが出来るんだ。


彼女の 「 目標を見据える 」 という能力は、これらを総じた上で発揮されるワケだ。


だからだろうね。

彼女の努力は、ほぼ100%の確率で実を結ぶのさ。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:10:43.51 ID:E7ARke1W0

今から10数年後の話。

ぴよたんが開発したVR戦車道は、現実の戦車道の間口を広げるものとして認識され、戦車道人口の増加に一役買うことになる。 世界規模でね。


今から20数年後の話。

オリンピックのe−スポーツ競技にVR戦車道シリーズの最新版が採択され、日本代表チームが銀メダルを獲得する。

そのチームのレギュラーメンバーの中には、ねこにゃーの娘とももがーの息子の顔もあるだけれど、それはまた別の話ってことで、やはりここでは割愛させてもらうよ。



では、3人の掛け合いに戻ろう。

続きをどうぞ。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:11:37.44 ID:E7ARke1W0

ねこにゃー 「 ウチのチームの中で進路が決まったの、ぴよたんが一番早いんじゃないかにゃ? 」

ももがー 「 これで3月末までは、アリクイさんチーム健在ナリねぇ。 これなら何の戦車に乗り換えても大丈夫ナリよ! 」

ぴよたん 「 ちょっ、進路が確定したっていってもヒマになるわけじゃないから、いつも戦車道の練習に付き合えるワケじゃないぴよ 」

ももがー 「 わかってるナリ〜♪ それでもまだぴよたんと戦車に乗れることがわかって、嬉しいんだモモ! 」

ねこにゃー 「 ももがーが嬉しいと言ってくれたから、昨日はぴよたん記念日 」

ぴよたん 「 うふふ、二人ともありがとうぴよ (*´ω`) 」

ももがー 「 記念日なら何かお祝いしなくちゃ……ん? 昨日? 」

ねこにゃー 「 それじゃあ、俵ぴよたんの合格を祝して、ウスヤの串揚げで宴会と洒落込みますかにゃ! 」

ぴよたん 「 あ、ひょっとして、俵万智にちなんで、私の身体が俵型とかそういうこと? まぁ今は機嫌良いからスルーしてあげるっちゃ 」

ももがー 「 ちょいちょいちょい、ちょっと待って! 姐さん方! 」

ぴよたん 「 ん? 」

ねこにゃー 「 どしたの? 」

ももがー 「 ぴよたん、その推薦合格の話って、他で誰かに話したナリ? 」

ぴよたん 「 え? えーと、この場で2人に話した以外は誰にもしてないぴよ 」

ももがー 「 そう…… 」

ねこにゃー 「 ももがー? 」

ももがー 「 いや、その出所不明のソースとやら、なんで昨日判明したばかりのぴよたんの合格通知を知ってたのかなぁ……って 」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:12:30.27 ID:E7ARke1W0

ねこにゃー 「 ……おぉふ 」

ぴよたん 「 ……そういえば、そうぴよね 」

ももがー 「 しかも今の今まで誰にも言ってなかったんでしょ? どこで情報が漏れたナリ? 」

ねこにゃー 「 ちょwwww ももがーwwwwwwこわいこわいwwwwww 」

ぴよたん ( 顔面蒼白 )

ねこにゃー 「 ちょっとちょっと、ぴよたん! 本当に誰にも伝えてないのかにゃ!? 」

ぴよたん 「 えっ!? うん、ウチの学校の生徒には他にも誰も………………あ 」

ねこにゃー 「 なに!? 」

ぴよたん 「 生徒には誰にも伝えてないけど、クラスの先生には伝えた 」

ももがー 「 先生? 」

ぴよたん 「 うん。 受験の合否が出た子は、先生に報告することになっているから 」

ももがー 「 ってことは、先生が怪しいってことナリ? 」

ねこにゃー 「 いや、それはないにゃ。 出所不明のソースとやらは、戦車道の情報に絡める形でアリクイさんチームのことが書いてあったんでしょ? 」

ぴよたん 「 先生が戦車道にタッチすることは一切ないから……となると怪しいのは……………あ 」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:13:03.03 ID:E7ARke1W0

ねこにゃー 「 今度はなんにゃ!? 」

ぴよたん 「 ……先生への報告、ノートパソコンからメールで送ったっちゃ…… 」

ももがー 「 それナリ!! そのパソコンから漏れたナリよ!! 」

ねこにゃー 「 ぴよたん、そのパソコンってどこの? 」

ぴよたん 「 ……えーっと…… 」

ももがー 「 どこナリ!? 」

ぴよたん 「 ……戦車道チームのミーティングルームに置いてある……共用パソコン…… 」

ねこにゃー 「 ………………… 」

ももがー 「 ………………… 」

ぴよたん 「 ………………… 」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:13:49.31 ID:E7ARke1W0

ねこにゃー 「 ……つかぬことをお伺いしますが 」

ぴよたん 「 ……はい 」

ねこにゃー 「 ……確か、いま西住さんが新編成を固めるために、共用パソコン使って作業していませんでしたっけ……? 」

ももがー 「 ……してた気がするモモ 」

ねこにゃー 「 新編成を固めるために、過去のチーム成績とか個人成績とか戦車のスペックとか、あと予算なんかもまとめ直していませんでしたっけ……? 」

ももがー 「 ……してた気がするモモ 」

ねこにゃー 「 それって、部外秘の情報を多分に含んでいませんでしたっけ……? 」

ぴよたん 「 ……含んでいるぴよ 」

ももがー 「 ……もし仮に、共用パソコンにバックドアが設置されていて、そこから情報が抜ける状態になっていたとしたら…… 」

ぴよたん 「 ………………… 」

ねこにゃー 「 やっばぁぁぁぁぁぁぁぁいいいいいぃぃぃ!!!! 」

ももがー「 機密情報が漏れてるモモーーー!! 」

ぴよたん 「 でっ、電話! すぐに会長達に電話するっちゃ!! 」

ねこにゃー 「 ボクは西住さんに連絡するから、ぴよたんは角谷会長に! ももがーは五十鈴さんに連絡するにゃーー!!! 」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:14:54.15 ID:E7ARke1W0

そんなこんなで、西住みほに連絡して共用パソコンの使用を中止してもらい、その翌日。

朝一番で生徒会室に集まった新旧生徒会三役 + 西住みほ + 冷泉麻子 + アリクイさんチームは、学園艦警備部の情報セキュリティー技術者にも来てもらって、件の共用パソコンを詳細に調べたのだった。

結果、情報が流出した形跡は見つからなかった。

当たり前だわな。



……ただね。

骨折り損のくたびれ儲けでは終わらなかったのだ。

こんな騒ぎが起きたので、角谷杏の一声で、生徒会と戦車道の関係施設すべてをセキュリティーチェックすることしたんだよ。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:16:44.43 ID:E7ARke1W0

そしたら、あろうことか戦車道チームの隊長室から、盗聴器が見つかったのだ。

接客テーブルの天板の裏側に、こっそりと張り付けてあったらしい。

それで、新旧生徒会役員も戦車道チームのメンバーも大騒ぎになった。


関係者以外立ち入り禁止の隊長室に、誰が、いつ盗聴器を仕掛けたのだろうか?

その場にいた一同は、すぐに見当が付いた。

そう、西住みほの誕生日祝いを利用した、大人達との面談の日々だ。

あの面談した大人達の中にスパイがいたってことだな。


ただまぁ、不幸中の幸いというか、被害は最小限に食い止められていた、というかね。

この隊長室は、「 西住ちゃんの威厳を保つためにはこういう部屋も必要じゃない? 」 と言って、角谷杏の一存で設置されたので、西住みほがこの隊長室を使うことはほどんど無かったのだ。

だってほら、西住みほは威厳なんかに固執しないからさ。

それにこの隊長室、冷泉麻子が昼寝ルームとして気ままに使っていたから、西住みほはそのおやすみの邪魔をしたくなかったんだな。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:17:54.81 ID:E7ARke1W0

さてと、私の話もそろそろエピローグに移ろうか。


結局のところ、この騒動で機密情報は盗まれていないだろう、と結論付けられた。

……が、それで済ませられるほど穏やかな話でもなく。

下手したら乙女のプライバシーを覗かれていたかもしれないということで、西住みほの誕生日祝いの在り方について、大いに見直す必要が出てきた。

具体的に言えば 「 友達の誕生日を仕事に利用するな 」 という教訓を、新旧生徒会三役は猛省と共に胸に刻みつけなければいけなかったのだ。


だから西住みほは、先輩3人と同級生3人に頭を下げられまくることになった。

彼女は笑って許したんだけどもね。

だけど秋山優花里が腹を切りそうな勢いだったため、ここでアリクイさんチームが実力行使で秋山優花里を羽交い絞め。

その姿を見た西住みほは、苦笑しながらも次第に真顔になり 「 ……この配置でいけるかも 」 と何かを閃いたようだった。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:22:49.01 ID:E7ARke1W0

アリクイさんチームのぴよたんが抜ける穴に秋山優花里を入れ、ポルシェティーガーを動かして貰おうというアイデア。

戦車道選手としての秋山優花里はオールラウンダーなので、砲手のポジションでもそれなりにこなせる。

となれば、ぴよたんの 砲手 兼 装填手 というポジションをこなせるし、豊富な戦車知識で故障しがちなポルシェティーガーをフォロー出来る。

ねこにゃー、ぴよたんとも仲が良いので、チームの結束を固めるのに苦労しないだろう。

あとは、ツチヤがカモさんチームの操縦手へ移り、ちょこっとポジションチェンジを行えば、なんとそれだけでほぼ現体制が維持できる……。

……ということに、西住みほは気が付いたのだね。


その人員配置案は偶然にも、秋山優花里の部分以外は、冷泉麻子から端を発したニセ暗号文の解読内容と同じだった。

そして当然ながら、そんなことを知る由もない西住みほだわな。


実はこの新編成案、秋山優花里を異動させる前の状態……つまり、ニセ暗号文の解読内容と同じところまでは、西住みほも思い至っていたのだ。

しかし、彼女は 「 ぴよたんが3年生で抜けてしまう 」 ということにちゃんと気が付いていた。

そして彼女にとって、あんこうチームの皆がいる光景が当たり前になり過ぎていて、その中の誰かを異動させるという考えが思い浮かばなかったのだ。

だから決め手に欠けていたんだね。


しかし、秋山優花里をぴよたんの代わりにすればイケる。

秋山優花里にとって、親愛なる西住殿のそばから離れてしまうのは身を引き裂かれる思いだったのだが、それが今回の罰ということで納得してもらった。


では、誰があんこうチームの装填手を?……というと、武部沙織がやることに。

砲弾の重さに耐えてもらいながら装填をこなしてもらうのが、非力な彼女への罰になった。

そして五十鈴華には 「 これからは生徒会長としても戦車道チームを支えてほしい 」と伝え、彼女はそれを全力で叶えるのが罰ということになった。


となれば当然、旧生徒会三役に対しても……ということになり、今週末、あんこう鍋を振る舞ってもらうことで彼女らの罰は帳消しとした……のだが。

チームメンバー全員分の鍋を作ってもらうのと 「 あんこうの吊るし斬りを披露して欲しい 」 とお願いしたため、さすがの角谷杏も引きつった笑いを隠せなかった。



「 西住ちゃん、厳しいねえ 」 という角谷杏。

「 そういえばお礼参りがまだでしたからね 」 と言って、ニッコリ笑う西住みほ。



きっと新編成決めの苦労で鬱憤が溜まってたのだろうなぁ……ということにしておこう。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:25:06.73 ID:E7ARke1W0

さあ、これで私の話はお終いだ。

お前さん、いい加減そろそろ眠くなってきただろう?

明日も仕事なんだろうから、ちょうど区切りが良いこのあたりでスマホを消して、それで寝ちまいなよ。


え? この話にオチはないのかって?

無いよ?


だって言ったじゃないか。

大洗女子学園艦に暮らす少女達の、可愛らしいエピソードだって。 他愛ない世間話だって。

世間話にオチなんて無いだろう?

だから、この話はここでお終い。

まぁ、強いて言えば、隊長室で寝ていた冷泉麻子の寝言が盗聴器で拾われて、それがまた勘違いが勘違いを呼んで、巡り巡って全国戦車道大会優勝記念杯で面白いコトが起きたりするんだけれど。

それはオチというか蛇足だし、最後にこんなこと言うのもアレだけど、今まで語った内容は別の世界線の………………って……あ。



……ヤバい、見つかった。



あー……というワケで、私は急いで立ち去らなければいけなくなりました。

この後、多分、オオナムチの爺様がやって来ると思うから、もし気になるなら後は爺様に聞いてくれ。



じゃあ、私はこれにて。

話を聞いてくれてありがとうな。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:25:40.00 ID:E7ARke1W0



あ、そうそう。

出来れば……でいいからさ。



彼女らのこと、最後まで見届けてやってくれな。

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:26:27.28 ID:E7ARke1W0




…………………………………………………………………

………………………………………………

……………………………




………wwbc34インm氏w34ンmr枷r「kdレア?@エ『得Wアwん2!!!


………pwwjぶrねp……bへhべお……kばdfb……こry……こりゃ!!





………ん? おおぅ、繋がったかの?

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:27:25.39 ID:E7ARke1W0

あやつめ、あれほど現世界には関わるなと言ったのに、懲りん奴じゃ。

逃げ足だけは一人前になりおって。



……あぁ、すまんの突然。

ワシもすぐいなくなるから、就寝してくれい。


え? 寝れない?

そしてワシは誰じゃと?



まぁ、迷惑をかけたので自己紹介くらいはしとくかのう。



ワシは、大己貴命 ( おおなむちのみこと ) という者じゃよ。

大洗磯前神社の主祭神をやっておる。


ふぅむ。

あの悪たれ坊主に拳骨落としてやろうと思ったんじゃが、あいにく逃げられてしもうたわ。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:28:22.22 ID:E7ARke1W0

悪たれ坊主とは誰かって?

ああ、先程までお前さんに語りかけていた、あの悪戯小僧のことじゃよ。

あやつ、自分のことを 「 大洗女子学園艦の神様 」 とでも言ったじゃろう。

まぁ、神と言えば神に違いないんじゃがな。



あやつは、付喪神じゃ。

大洗の学園艦に憑いた、物の怪みたいなもんじゃよ。

神としては駆け出しもいいとこで、どちらかと言ったら妖怪に近い存在じゃわい。

ひょんなことから、ワシが面倒看ることになってのぅ。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:30:11.72 ID:E7ARke1W0

ワシの守護範囲は大洗町一帯じゃて。

じゃから、あの学園艦もワシが管轄しておる。 大洗女子学園艦は、大洗町の飛び地じゃからな。

それであの艦、就航後しばらくして自我が芽生えたもんで、放っておくわけにもいかんからワシが面倒見ておるんじゃよ。


そんなんで、あやつ、曲がりなりにも神になってしまったからの。

ワシが神としての在り方を教えてやったのじゃ。

筋が良かったから、世界への限定的な手出しの方法なんかも教えたんじゃが……それが悪かったわい。

あの悪たれめ、その力を使って最近、電脳に居憑くことを覚えおって。

それで、こうして悪戯を働くようになったのじゃ。



ああ、お主にとっては悪戯に見えんかったか。

そう思ってくれるなら、こちらも有り難いわい。


じゃけれども、あれは悪戯なんじゃよ。

さも本当のことを語っているように聞こえたじゃろうが、あやつの話は、お主にとって作り話の様なもんじゃ。

なにせ、お主が知らない世界線の話じゃからな。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:30:53.15 ID:E7ARke1W0

ふむ、そうじゃな。

あやつ、所々で将来を見てきたかの様な話をしなかったか?

もしくは、未来予知をするかの様な。


それらは、あやつにとっては本当の話なんじゃが、お主の住まう世界では嘘になるんじゃよ。

いや、ひょっとしたら本当になるかもしれんが、あやつが語った世界線の話と、お主が住まう世界線は繋がっておらん。

だから、お主がいる世界線では、戦車道の娘らがあやつの語った通りになるとは限らないんじゃ。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:36:53.20 ID:E7ARke1W0

あまり詳しくは話せないのだがのう。

お主には迷惑を掛けたから、少しだけ世界の理を話してやろうぞ。



世界と言うのは、人の認識によっていくらでも枝分かれするんじゃ。

簡単に言えば、世界はたくさんあるのじゃよ。

人の数ほどある、と言ってもええ。

どの世界が本物で、どの世界が偽物で……なんて話でもない。

どれもが本物じゃ。

戦車道の娘らが二度の試練を乗り越えて、母校のある学園艦を守ることができた世界もその一つじゃし、

その後も日常を平穏無事に過ごせた世界……あやつが語った話もその一つじゃ。

そして当然、娘達にとって優しくない世界というのもある。


お主らが 「 神 」 と呼ぶ存在は、そのすべての世界を視ることが出来るのじゃよ。

そしてあやつも、一応は 「 神 」 じゃからな。 他の世界を視ることが出来るのじゃ。

あやつの話が、さも見てきたかのような口ぶりだったのは、他の世界で実際に見てきたからじゃな。


じゃが、あやつが語った話は、お主の住まう世界線で実現するとは限らない。

だから 「 お主の世界では作り話の様なもの 」 と言ったのじゃ。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:38:36.50 ID:E7ARke1W0

ん?

あやつがそれを吹聴して回るのはいけないことなのか、って?


お主は、それが些細な事の様に思うかもしれんがのぅ。

わしらのような存在は、どの世界線にも影響を与えちゃいけんことになっておるのじゃよ。

世界に対して手出し厳禁、ってことじゃな。

しかし、あやつの行動はその範を破るものなのじゃ。


言ったじゃろ?

「 世界は人の認識によって枝分かれする 」 と。

あやつの話を聞いて、もしお主の認識が変わったとしたら、お主の住まう世界線はそこから枝分かれするかもしれんのじゃ。


……といっても可能性の話じゃし、直接、世界線の構造に手を出すわけじゃないし、そもそもあやつの神としての力は、赤子の手をひねることも出来んほど微弱じゃからな。

悪戯ってことで、いつもは拳骨で済ましてやるんじゃわい。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:40:18.06 ID:E7ARke1W0

まぁ、あやつの気持ちもわからんでもないのじゃ。


あやつは大洗女子学園の学園艦。

あの娘達に救われた。

じゃから、今度は、あの娘達の力になりたい……と思っておるのじゃろうな。



先程、世界はたくさんあると言ったな。

例えば、あの娘らが学園艦を守るために、試練に挑んだ世界。

例えば、それで学園艦を守ることが出来て、その後も平和に暮らせた世界。



そして例えば、学園艦は守れたが、その後、娘らが平和に暮らせなかった世界。



そうじゃ。

娘らの試練は終わっていない、という世界線があるのじゃ。



もう気付いたじゃろう?

お主の住まう世界線じゃよ。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:42:38.62 ID:E7ARke1W0

あやつはな、神としての範を犯してまで、娘らを助けようとしておるのじゃ。

あやつがお主に語りかけたのは、そのためじゃよ。

それが何で娘らを助けることになるのか……説明するのがちと難しいのじゃがな。


そうじゃなぁ。

シュレディンガーの猫、という話を聞いた事があるかの?

生きているか死んでいるかわからない猫が箱の中に入っていて、蓋を開ければ生死が判明する、というアレじゃ。

量子力学上の思考実験なんじゃが、まぁ難しいことは置いておいて、言いたいのはこういうことじゃよ。



「 いくつもの可能性が詰まった対象を “ 観測 ” することによって、結果が選択される 」



量子力学ではの。

「 観測 」 という行為そのものが、結果に影響を与えることがあるのじゃ。



つまり、あやつはの。

お主の興味を煽り立て、そして嬢ちゃんらを 「 観測 」 してもらうように誘導することで、結果に影響を与えようとしているのじゃな。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:43:22.45 ID:E7ARke1W0

しかし、実際問題として。

ただ観測するだけで、結果に介入することなど出来んわい。

量子力学は本来、ミクロの世界の学問じゃ。

それで人の一生を左右するような力は出せんのじゃよ。



じゃからな。

あやつの狙いは、そんな極微弱な 「 観測 」 による力を、束ね合わせることなのじゃ。

一人一人の 「 観測 」 の力を束ね、縒り合わせ、太く強くすることで、結果を変えようというのじゃよ。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:46:28.08 ID:E7ARke1W0

しかし、それでも、あの娘らに救いの力が届かないかもしれん。

結果に介入させまいとする世界の理に、太刀打ち出来ないかもしれん。



だから 「 大洗女子学園艦の神様 」 という存在を語ったんじゃな。

お主達の様な現世の者が、一人でも多く 「 大洗女子学園艦に神様がいる 」 と思ってくれれば、あの娘らが窮地に立たされた時、お主らの中で神様に願掛けする者が出てくるじゃろう?

「 あの娘らを助けてやってほしい 」 とな。


願掛けとは、願いじゃ。

願いとは、すなわち信仰じゃ。

信仰は、神の力の源泉じゃ。

お主らの願いは、あやつの力になるのじゃよ。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:51:27.42 ID:E7ARke1W0

あやつの力は微弱で、このままでは赤子の手をひねることも出来んじゃろう。

しかし、お主があの娘らを 「 観測 」 するついでに、あやつのことを思い出してくれるならば、

ひょっとしたら、あやつは、タイミング良く腕を痺れさせたり、メールの宛先を一つ間違えさせたり、いたずらな風を起こして占い結果を狂わせたりして、あの娘らを助けてやれるかもしれん。

もしかしたら、それ以上の “ 神の奇跡 ” ってやつを起こせるやもしれんな。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:52:35.72 ID:E7ARke1W0

ワシは、本物の神様じゃからな。

ある程度の運命の波のようなものが視えるのじゃよ。


だから、わかるのじゃ。

あの娘らに、再び試練の時が迫っておる。

あの娘らにとって、短くて長い、そんな戦いが待ち構えておる。


そう、あの娘らは、これから大きな大きな運命の山場を迎えるのじゃ。

その山場が越えられるか、越えられないかはわからん。


「 神のみぞ知る 」 って言葉はどうしたって?

知らんよ、そんなもん。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:54:02.93 ID:E7ARke1W0

ワシとしても、あの娘らが辛い目に遭うのを見るのは忍びない。

しかし、ワシはあの娘らにどうしてやることも出来ん。 あの娘らを見守ることしか出来ん。

ワシは神じゃからな。 世界に手出しは出来んのじゃよ。




しかしな。

あやつなら出来る。

神として半人前以前のあやつなら、悪戯で済むのじゃ。

お主の世界線に悪戯をして、そして拳骨を貰いながら、あの娘らを救えるかもしれんのじゃ。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:55:37.61 ID:E7ARke1W0

あやつの保護者代わりとして、ワシからもお願いする。

もし出来たら……で構わんから、あの娘らの行く末を見届けてはくれまいか。

それが 「 観測 」する、ということになるからじゃ。


いや、観測なんて仰々しいものじゃなくてもいい。

「 鑑賞 」 でも 「 観覧 」 でも構わん。

あの娘らに興味を抱いてやってくれ。

それで、お主らの力で、あの娘らを助けてやってくれ。




もしそれで、本当にあの娘らに平和が訪れたら……。


一度、大洗磯崎神社へ来るとええ。

それで、500円払って絵馬でも奉納してくれれば、お前さんの明日が、今日より少しだけ良くなるようにしてやろう。


具体的にはそうじゃな。


お前さんの仕事を、いつもより1時間程度、早めに帰れるようにしよう。

さすればほら、そのぶん早めに床に入れるじゃろう?

それで少しでも睡眠時間を確保すりゃあええ。



ああ、でもお主……

その1時間分、そうやってスマホ見てそうじゃなあ。

95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/18(土) 03:56:39.41 ID:E7ARke1W0

※ 終わりです。


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

よろしければ、過去に作成した私のガルパンSSもご覧ください。

ガルパン最終章、楽しみですね。



【ガルパン】秋山淳五郎と西住常夫が泣いた夜
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495486652/


【ガルパン】大洗女子学園 農業科生徒による もう一つの戦い
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495949810/


【ガルパン】そして冷泉久子は華麗にステップを踏む
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496507781/


【ガルパン】西絹代の無邪気な魅力 と 邪気な人々
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498368206/


【ガルパン】山郷あゆみは、駆けるアリクイの背に乗って
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503750289/


【ガルパン】まさかりかついだ ルクリリ様
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504805523/
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