先輩「手を繋げば分かるだろ」後輩「ダメです」

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69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:08:44.62 ID:h+dgClfC0





〜後輩のアパート〜


後輩「……ふぅ」

後輩「……」カシュッ

後輩「……」グビ


後輩(……ふと思うのは)

後輩(……先輩にとって、私は……)

後輩(毒なのではないか、ということ……)


後輩「……」

後輩「……」


後輩(……先輩は優しいから)

後輩(きっとそんな風には、思わないのだろうけれど)
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:09:17.06 ID:h+dgClfC0
後輩(彼女の何かを……、侵し、擦り減らし……)

後輩(苦しめているのではないかということ……)


後輩「……」

後輩「……」


後輩(私自身が、転がり落ちている堕落に……)

後輩(先輩も……、巻き込んでしまっているのでは、ないか……)

後輩(とか)



後輩「……」

後輩「……ふぅ」


後輩(これ以上は、先輩に迷惑かけたくない……)

後輩(これ以上は、先輩の何も欠けさせたくない……)

後輩(私は――……)
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:09:49.09 ID:h+dgClfC0
後輩「私……」

後輩「しっかりしなくちゃ、なぁ……」

後輩「……」

後輩「……」スク

後輩「……お酒」

後輩「……」

後輩「……やめようか……」ジャー

後輩「……」ドポドポ



ザバッ

ジャバー



後輩「……先輩」





72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:10:20.49 ID:h+dgClfC0





〜数日後〜


〜大学構内〜


先輩「おう、後輩じゃん」

後輩「……」

先輩「後輩? こーうはいちゃーん?」

後輩「……へ? あ、あぁ、先輩」

先輩「うわ、疲れた顔してんねぇ」

後輩「いえ、疲れてるわけじゃないですけど……」

先輩「そうなん?」

後輩「……お酒、我慢してて、最近」

先輩「あっはは、面白いこと言うね、お前も」

後輩「……、……本当ですよ」

先輩「えっ」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「えっえっ」

後輩「ガチのビックリの顔やめてください……」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:10:57.20 ID:h+dgClfC0
先輩「えぇ、いや、偉いけどさ……、どうしたの急に」

後輩「……いや、別に……、何となく」

先輩「飲まないとシンドい、って言ってたじゃん」

後輩「……シンドいんですよ、だから……」グデー

先輩「あー」

後輩「周りの音、大きくないです……? 耳痛くて……」

先輩「大丈夫?」

後輩「だい……」ハッ

先輩「ん?」

後輩「……だいっ、だ、大丈夫ですっ」ガバ

先輩「わっ、そ、そう?」

後輩「ええ! 心配、ないですから!」

先輩「な、ならいいけど……。あ、そだ」

後輩「何です?」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:11:25.18 ID:h+dgClfC0
先輩「手ぇ出して―」

後輩「!」サッ

先輩「はい、飴ちゃ――……」

後輩「……」ニギ

先輩「……」

後輩「……あ」ギュウ

先輩「……ん?」

後輩「あ……ご、ご――……」

先輩「……」

後輩「ごめんな、さい……」スッ

先輩「え、いや、別にいいけど……」

後輩「……」

先輩「……後輩?」

後輩「……」

先輩「……」






75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:11:54.58 ID:h+dgClfC0





〜ゼミ生室〜



先輩「……」

先輩「……」

ゼミ生A「最近さー」

ゼミ生B「ン?」

ゼミ生A「後輩ちゃん、元気ないよねー」

ゼミ生B「そうナー」

先輩「……」

ゼミ生A「余裕さそうっていうか」

ゼミ生B「ハキなかったケドナ、前は」

ゼミ生A「ハキ?」

ゼミ生B「覇、の気」

ゼミ生A「あぁ」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:12:25.99 ID:h+dgClfC0
先輩「……」

ゼミ生B「でも、今の方が、アカンな」

ゼミ生A「ね」

ゼミ生B「先輩ヨー」

先輩「んー?」

ゼミ生B「何か聞いテルカ?」

先輩「んー」

ゼミ生A「先輩ちゃーん?」

先輩「おっ――……」

ゼミ生B「ドナイした?」

先輩「へっへっへ。ブラックバス釣れたー」

ゼミ生A「アンタねぇ……」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:12:51.07 ID:h+dgClfC0
先輩「禁酒中って言ってたよ、アイツ」

ゼミ生A「えっえっ」

ゼミ生B「えっえっ」

先輩「うん、まあ、そうなるよな」

ゼミ生A「そっかー」

ゼミ生B「ソラ余裕ないナ」

先輩「あっ、カブトムシ捕れた」

ゼミ生A「それ楽しい?」

ゼミ生B「何ソレ何ソレ」

先輩「んー? えーっと……」





78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:14:00.28 ID:h+dgClfC0






『えーっと――……』



『いつのことだったか……、時期は、よく覚えていません』

『ただ、とても幼いころ……』

『日暮れ時の公園で、父の手を握ったときに、ソレが起こったことは、覚えています』



『私が何か問いかけ、父がそれに答えるより早く』

『伝わってきました、手のひらから』

『突然のことです』
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:14:36.09 ID:h+dgClfC0


『そのことで、父が私のことを、とても深く愛していると知れましたが』

『その喜びよりも、不可思議なことが起きた、奇異の念よりも……、私は……』

『ただ、恥ずかしかった』

『直感的な羞恥心に、私は襲われました』

『まるで、父の頭に噛みつき、舐め回し、その味で品定めをするような……』

『してはいけないこと、恥ずべきことをしたという感覚に、苛まれました』

『父に叱られると思い、ひどく泣きじゃくったと思います』

『ソレが何であるかも、理解していないのに……』


80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:15:08.33 ID:h+dgClfC0


『本能にも、羞恥心というものは、備わっているのでしょうか』

『羞恥心、忌避感、罪悪感、生理的な嫌悪感――……』

『そういうものは、今でも……、強く、感じます』

『卑しい……、……淫らだとさえ……、思います……』



『幸い、目を閉じるように、耳をふさぐように……』

『ソレを感じないようにすることは、簡単にできました』

『気にしなければ、気にならない。そうやって、ソレと付き合うことができました』

『誰にも話さず、誰にも気づかれず、誰かの心を盗み見ることもせず……』

『そうしてきました』



『けれど――……』


『けれど、あのとき――……』


『あのとき、私は――……』





81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:15:42.11 ID:h+dgClfC0





〜別の日〜


先輩(あのとき、私は――……)

先輩(私は――……)

教授「……――さん、先輩さん」

先輩「……へ? あ……え?」

教授「授業、始めますよ」

先輩「え、あ……あぁ」

教授「聞いてます?」

先輩「すみません……」

教授「ふぅ……、それで、後輩さんは?」

先輩「……」

教授「……?」

先輩「……え?」

教授「誰か聞いてませんか? 今日は、お休みでしょうか?」

ゼミ生A「……先輩ちゃん?」

先輩「…………」





82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:16:13.73 ID:h+dgClfC0





〜夕方〜


先輩「……ハッ ハッ」

先輩(大学にもいねぇ)

先輩(……アパートも、気配なかったし)

先輩「ただのサボりだって……」

先輩「落ち着け私……」

先輩「……」プルルルル

先輩「……っ」

先輩「出ろやバカタレぇ……」タッ


タタッ





83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:16:39.51 ID:h+dgClfC0





〜居酒屋〜


先輩「はぁ……、はぁ……」

先輩「……」

先輩「大将、あの、すんません」

大将「……」

先輩「あの、いっつもよく来る、ちっこいヤツ。あの、女で……」

大将「……」

先輩「今日って来てなかった――……」

大将「……」クイッ

先輩「……あ」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/29(水) 22:17:13.95 ID:h+dgClfC0
大将「……」

先輩「え、これアイツ一人で飲んだの?」

大将「……」コクン

先輩「うわぁ……、バカだぁ……」

バイト「あの子、今、あっちッスけど」

先輩「あっち――……、……トイレ?」

大将「……」

バイト「もうちょいしたら、救急車呼ぶかって、話してたんスけど」

先輩「大バカじゃぁん……もぉ……」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 22:19:23.88 ID:h+dgClfC0
今日はここまでです

思いがけず、長くなってしまいました
本当は30レスくらいでサクッと終わるはずだったんですけど…

お読みいただいている方、ありがとうございます
そろそろ終わりますので、今しばらく、お付き合いを
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 03:15:51.93 ID:0nQwraGLo

もっと続けて
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 07:53:59.02 ID:G9AL2ycKo

終わっちゃうのか
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:18:40.95 ID:1wJnu6GP0





先輩「……」


コンコン


先輩「後輩ー」


コンコンコン


先輩「おーい、後輩、こ、う、は、い!」コンコン


ガチャ


先輩「お」

後輩「ぅー……」

先輩「後輩……」

後輩「しゅみましぇん……、いま、どきましゅから……」フラフラ ドサッ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:19:14.19 ID:1wJnu6GP0
先輩「おい、しっかりしろって! 私だよ、分かるか!?」

後輩「え……あれぇ……? あっ」ヘタリ

先輩「後輩! ってかパンツ履けお前!」

後輩「あ……先輩……?」

先輩「そうだよ! 先輩だよ! 分かったらパンツ履け!」

後輩「あぁ……、先輩……私……」

先輩「なんだよ!」

後輩「……私、飲んじゃった」

先輩「パンツを! 履け!」





90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:19:51.55 ID:1wJnu6GP0





先輩「お前は……本当にもう……」

後輩「……ごめん、なしゃい……」

先輩「しっかりしろよなー」

後輩「……」

先輩「ほれ、立てるか?」

後輩「もう……」

先輩「……ん?」

後輩「私なんかにぃ……、構ってたら、ダメです、先輩はぁ……」

先輩「何だよ」

後輩「わたひ……もう、駄目で……、最低で……」

先輩「……」

後輩「いつだって、何だって、台無しにしちゃって……」

先輩「……」

後輩「先輩のことも……」

先輩「……」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:20:31.04 ID:1wJnu6GP0
後輩「一緒にいたら……、先輩まで、ダメにしちゃうからぁ……」

先輩「後輩……」

後輩「私みたいなのぉ……触っちゃ、いけないんです……」

先輩「……」

後輩「ほっとかなきゃ、ダメなんですよぉ……」

先輩「……ほっといてほしいのか?」

後輩「……」

先輩「はぁ……」

後輩「ごめんなさ……うぅ、ぅ……」

先輩「とりあえず、行くぞ。ほら、立てるか?」グイ

後輩「優しくしないでよぉ……」フラフラ

先輩「うるせぇ、腰抜けるまで酔ってるやつが、何言ってんだ」

後輩「ぅぅぅ……」ヨタヨタ





92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:21:05.84 ID:1wJnu6GP0






バイト「あの……」

先輩「あ、すみませんね、どうも」ペコリ

後輩「……」

バイト「いえ。……大丈夫ッスか?」

先輩「大丈夫ッス」

後輩「ダメダメッス……」

先輩「……」ベシッ

バイト「」ビクッ

後輩「あぅっ」

先輩「一応、意識とかもあるっぽいんで。まぁ、私連れて帰りますから……」

バイト「あ、あはは……」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:21:35.45 ID:1wJnu6GP0
先輩「えぇっと、お会計お願いします」

バイト「あ、じゃあこちら、お願いします」サッ

先輩「うぉっ」

後輩「……」

先輩「お、おぉぉ……マジか」

バイト「な、なんか、すみません」

先輩「ああ、いえ。……カードって使えます?」

バイト「はい、使えますよー」

後輩「……」

先輩「トロとか食ってんじゃねーよバカ!」バシッ

バイト「」ビクッ

後輩「……」フラフラ





94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:22:04.60 ID:1wJnu6GP0





〜帰り道〜


先輩「後輩ー……」ヨタヨタ

後輩「……」

先輩「……返事なくなったら、救急車呼ぶからな」

後輩「大丈夫、です……」

先輩「大丈夫だなー」

後輩「……いえ、大丈夫では、ないですけど」

先輩「あはは、どっちだよ」

後輩「……」ヨタヨタ

先輩「……」ヨタヨタ

後輩「……」

先輩「……」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:22:37.01 ID:1wJnu6GP0
後輩「……」

先輩「……なあ、後輩」

後輩「……ひゃい」

先輩「お前にさ、話したことあったっけ?」

後輩「……」

先輩「何でお前に、アレしたか、って……」

後輩「……ビックリさせたいとか、なんか……」

先輩「……」

後輩「違いましたっけ?」

先輩「……いや」

後輩「……」

先輩「本当はさ……」

後輩「……え?」

先輩「本当は、私……アレすんの、すげー苦手でさ」

後輩「……」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:23:04.90 ID:1wJnu6GP0
先輩「すごい悪いことしてる気がして……」

後輩「……」

先輩「だから、誰にもしたことなかったし」

後輩「……」

先輩「……こんなの、できない方が良いって、ずっと思ってた」

後輩「……」ヨタヨタ

先輩「……人来てるぞ、危ない」

後輩「ぅ……」ヨタヨタ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:23:35.96 ID:1wJnu6GP0
先輩「人の考えが分かるなんて、気持ち悪いし」

後輩「……」

先輩「他人が、何を考えているかなんて……」

後輩「……」

先輩「考えたくもなかった」

後輩「……」

先輩「でも……でもな」

後輩「……」

先輩「あのとき……、お前に初めて会ったとき」

後輩「……」

先輩「思っちゃったんだよ」

後輩「……」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:24:11.16 ID:1wJnu6GP0
先輩「『この子は今、何を考えているんだろう』って」

後輩「……」

先輩「『この子が思っていることを、知りたい』って」

後輩「……」

先輩「……生まれて初めてだったよ、そんなこと」

後輩「先輩……」

先輩「我慢しようと思ったんだけどさぁ、でも、我慢なんて……」

後輩「……」

先輩「後輩にさ、死ぬほど申し訳なくて、死ぬほど恥ずかしくて……」

後輩「……」

先輩「それでも、やっちゃったんだ」

後輩「……」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:24:45.77 ID:1wJnu6GP0
先輩「なぁ、後輩……」

後輩「……はい」

先輩「私はさ……」

後輩「……」

先輩「どうしても知りたかったんだ、お前のこと」

後輩「……そんなの」

先輩「後輩は、お前は……、私をダメにするって言うけど」

後輩「……」

先輩「だから、構うなって言うけど……」

後輩「……」

先輩「違うんだよ」

後輩「……」

先輩「私が、お前といたいんだ」

後輩「……」

先輩「一緒に」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:25:24.61 ID:1wJnu6GP0
後輩「……でも、でも……」

先輩「……」

後輩「私……ダメで、終わってて、もう……」

先輩「……」

後輩「生きていることも、不安なくらいダメで……」

先輩「ま、そこはさ、しっかりしろよ、とは思うけど」

後輩「……」

先輩「……いいさ。お前がしっかりできるまで」

後輩「……」

先輩「隣にいてやるよ」

後輩「……」

先輩「ダメになるのも、少しくらいなら、付き合ってやる」

後輩「……先輩」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:25:52.77 ID:1wJnu6GP0
先輩「……なんてな、あはは」

後輩「……先輩、あの……」

先輩「うん?」

後輩「大事な、こと……」

先輩「……何だよ」

後輩「あの……」

先輩「言ーえーよー。言わなきゃ分からねぇんだぞ、今の私はー」

後輩「家の鍵、どっか行った」

先輩「……」

後輩「……」





102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:26:37.45 ID:1wJnu6GP0





〜ありました〜




103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:27:27.56 ID:1wJnu6GP0





〜後輩のアパート〜


先輩「いい加減にしろよお前……」

後輩「すびばぜん……」グスグス

先輩「泣くなよ……」

後輩「うぅ……」

先輩「はぁ」

後輩「……グスッ、……せんぱぁい」

先輩「おう」

後輩「……私、いっつも先輩に、アレで、手握らせてたの……」

先輩「……」

後輩「あれ、嫌だった?」

先輩「別に」

後輩「……」

先輩「お前以外のやつだったら、絶対嫌だったけどな」

後輩「……うへへ」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:27:59.73 ID:1wJnu6GP0
先輩「ほれ、水飲んどけ」ヒョイ

後輩「あ、ありがとう……ございます……」

先輩「おー」

後輩「……私も」

先輩「お?」

後輩「しっかりしなきゃ……ですね……」

先輩「あはは、無理すんな」

後輩「えぇー」

先輩「リバウンド? ぶり返し? っていうの? 耐えられなかった時、お前すごいじゃん。こんななってるじゃん」

後輩「こんなって、どんな」

先輩「鏡ごらんなさいよ」

後輩「むぅ……」

先輩「あはは」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:28:30.07 ID:1wJnu6GP0
後輩「……でも、ちょっとは……」

先輩「うん?」

後輩「がんばり、ます……」

先輩「……」

後輩「がんばって、それで……ダメでも」

先輩「おう」

後輩「ダメでも、先輩は、隣にいてくれるんですよね?」

先輩「あー……」

後輩「……」

先輩「まあ……、うん」

後輩「……ふふ」

先輩「何だよぉ」

後輩「ねぇ、先輩」

先輩「ん?」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:28:59.85 ID:1wJnu6GP0
後輩「ちょっと、こっち来てください」

先輩「何よ」

後輩「いいから。ちょっと……座って、隣」

先輩「……うわ、酒臭」

後輩「うふふ」ニギ

先輩「ん」

後輩「……」ギュッ

先輩「何してんのさ」

後輩「……」

先輩「……別に、何も伝わらないよ」

後輩「違いますよ」

先輩「……」

後輩「先輩の手、握りたかっただけです」ギュウ

先輩「そっか」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:29:45.30 ID:1wJnu6GP0
後輩「……それに、本当に大事なことは……、自分で直接、伝えたいから」

先輩「どうしたー? 今度は何なくしたんだよ?」

後輩「そうじゃなくて! もう! いいから聞いてください!」

先輩「何だよ、もぉ……。分かったよ」

後輩「はぁ……」

先輩「手ぇ熱いぞ、お前」

後輩「いいから! ……――先輩、私……先輩のこt」

先輩「あっ――!!」

後輩「えっ?」

先輩「あっ、わ、待って! あ、あ、来てる」

後輩「ちょ、あの、先輩……、今大事な――……」

先輩「待てって! あああ、来た来た来た!」

後輩「な、何がですかぁ!」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:30:29.63 ID:1wJnu6GP0
先輩「今できる! 絶対できる! アレ戻ってきたのたった今!」

後輩「はぁっ!?」

先輩「マジだって! いいかー見てろよ――……」

後輩「……」パッ

先輩「やっ、ちょ、何で離すの後輩ちゃん!」

後輩「ダメです!」

先輩「なーんでだよぉ! さっきなんか、言いかけてただろー!」

後輩「だからそれは、ちゃんと私が言いますから!」

先輩「何だよ、言えよ」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:31:01.76 ID:1wJnu6GP0
後輩「……あのっ……、あ、待って……」

先輩「がぁぁっ! イラつく!」

後輩「こ、心の準備が……」

先輩「……」スッ

後輩「……」パッ

先輩「逃げんな!」

後輩「やーだぁーっ! ちゃんと伝えさせてくださいぃーっ!」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:31:33.69 ID:1wJnu6GP0


先輩「手を繋げば分かるだろ!」

後輩「ダメです!」


111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:32:02.06 ID:1wJnu6GP0


〜おわり〜


112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:32:53.99 ID:1wJnu6GP0





〜アフター〜


〜先輩のアパート〜




後輩「ねぇ、先輩ー」

先輩「おー?」

後輩「先輩、アレするの、嫌いって言ってたじゃないですかー」

先輩「あー、うん。まぁ」

後輩「アレしてるときって、どんな気持ちなんですか?」

先輩「どんな? えー、うぅーん……」

後輩「……」

先輩「なんか……なんだろ、ヘンタイになった気持ち」

後輩「えぇ……」

先輩「ちょっと嫌だろ」

後輩「ちょっと嫌ですね」

先輩「な」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:33:41.58 ID:1wJnu6GP0
後輩「……でも、じゃあ」

先輩「うん?」

後輩「私にしてる時も、気持ち悪い感じだった?」

先輩「……」

後輩「正直に言ってくださいよ! 私、先輩が本当に嫌だったら、やりませんから!」

先輩「ぅーん……正直に……」

後輩「はい! 真剣に、正直に」

先輩「うん、あの……正直に言うよ?」

後輩「……はい」

先輩「正直言って――……」

後輩「……」

先輩「背徳感あって……」

後輩「……」

先輩「割と興奮する……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」スゥゥゥ

先輩「やめて! 無言でドン引きするのやめて!」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:35:19.75 ID:1wJnu6GP0
後輩「ちょっとぉ……」

先輩「ごめんって! 悪かったって!」

後輩「はぁ……、でも、良かったです」

先輩「え?」

後輩「先輩も、私と手を繋いでる時、ドキドキしてくれてたんですね」

先輩「あの、えっと……私『も』?」

後輩「ふふ……」グイッ

先輩「ちょ、後は――……わっ」ドサッ

後輩「せんぱぁい……今私が、何考えてるか、分かります?」

先輩「やっ……ちょっと、後輩ちゃん、顔近っ……あっ、酒臭ぇ! また飲んでやがったコイツ!」

後輩「当ててみてください……」ギュッ

先輩「あっ……」

後輩「先輩……っ」ニギッ

先輩「ちょっ、ストップ! ウェイト! こうは――わ、わわわわっ、待っ――……
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/30(木) 23:35:53.34 ID:1wJnu6GP0


〜(ほんとに)おわり〜


116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/30(木) 23:37:25.50 ID:1wJnu6GP0
おわりです

お読みいただいた方、ありがとうございました
コメントくださった方、すごく嬉しかったです。ありがとうございました

お酒は飲んでも飲まれるな
それでは
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/01(金) 00:11:12.96 ID:yFzJjRdqo

最高だった
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/01(金) 10:58:37.35 ID:/CqC8B2Lo
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