【モバマス】 城ヶ崎美嘉「ステーキ宮には人生がある」

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23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:20:51.39 ID:1cewWq10O


友人「ありがとよ、キャプテン」


P「その呼び名はやめてくれ」


友人「俺も改めてお礼を言いたくてな」


P「なんだよ、急に」


友人「こういう場面でしか言う機会がないからな」


友人「お前のおかげで、あの時俺は部活やめなくて済んだし」


P「……あったな、そんなこと」


友人「こういう時を迎えて、改めて思うよ」


友人「やり通してよかったって」


友人「お前が説得してくれたから、今の俺がある。そう言っても過言じゃない」


P「褒めても何も出ないぞ」


友人「もし辞めてたら、絶対後悔してた。そして、それを言い訳にしてダラダラ生きてた」


友人「……ははっ」


P「……?」


友人「覚えてるか? あのステーキレストランで……」


P「……ああ。あれか」


友人「俺の退部騒動の時もそうだし、何か部内で問題が起きたら、キャプテンのお前が部員引き連れてあそこに連れて行ってさ……!」


P「俺がステーキ食いたかっただけだ。マジで」


友人「いつしか『ステーキ会議』とかいうイベントまで生まれてさ……!」


友人「ほんと、『ただステーキ食いたいだけだろ』っていう……!」


P「休日の練習後は、鉄板焼き屋かあのレストランよく行ってたよな」


友人「ああ……! なんだっけ、あそこの名前……」


P「おいおい。俺たちのソウルステーキをまさか忘れたのか?」


友人「冗談だよ! 忘れるわけないだろ、『ステーキ宮』を」



24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:23:25.43 ID:1cewWq10O


P「ああ。今でも忘れねぇ、あの味……」


友人「あの味、俺にとっちゃ『仲直りの味』なんだよな……」


P「……」


P「久しぶりに食いてぇーなぁ……。でも、東京にはなさそうだしなぁ」


友人「オイオイオイ。あれだけ好きだったお前が鈍ったか?」


P「……え?」


友人「東京にも進出して何年も経ってるはずだぞ、ステーキ宮」


P「……マジで?」


友人「ああ、調べてみろよ」


P「――マジだ」


友人「だろ? まあ、次こっちに帰ってきたら、あいつら呼んでまた行こうぜ!」


P「そうだな。やりますか、ステーキ会議……!!」



25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:25:55.53 ID:1cewWq10O


 【翌日の日曜日、お昼過ぎ。東京郊外】


P「お疲れ、美嘉」


美嘉「うん……」


P(今日は美嘉の撮影に同伴していた。場所は東京の郊外、とある公園。若者向けのファッション雑誌、その巻頭グラビアの撮影だ)


P(その撮影も終わり、俺が運転する車で事務所へ戻るところ――)


P「撮影、良かったぞ」


美嘉「うん……」


P(噛み合わない歯車。依然として美嘉は『うん』しか言わない『うん製造機』と化している。誰だ今『う〇こ製造機』と勘違いした奴は――俺だ)


P(――などと自分の中で一人漫才でもしないとメンタルが保てない状態だ)


P(胃が痛いとはこういう感覚か)


P「じゃあ、行くか……」


美嘉「……」


P(美嘉はもう助手席に座らない。隣の空間がぽっかりと空いている違和感は久しぶりだった)


 東京にも進出して何年も経ってるはずだぞ――


P(俺の脳裏で友人の声が再生される)


P(同時に、カーナビで『あの場所』を検索する……)


P(――お、意外と近くにあった)


P(目的地を設定っと)



26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:27:56.91 ID:1cewWq10O


P「美嘉、お腹空いてるか?」


美嘉「……ちょっと」


P(あ、『うん』以外のワードきた)


P「それじゃ、事務所へ戻る前に飯食ってくか」


美嘉「……うん」


P「(^p^)」


P「……吉幾三」ガッ!


P(未だ感情を取り戻さない髪色ピンクのサウスポーにSOSを出したくなるが、きっとあの場所に連れて行けば……)


P(なんせ、『仲直りの味』なんだろ……?)



27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 23:30:17.13 ID:hEzRMyPPo
髪色ピンクのサウスポーの語呂の良さw
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:41:48.80 ID:1cewWq10O


 【ステーキ宮店内】


P「奢ってやるから、好きなの食っていいぞ。会社の経費で落としちゃうから☆(無理)」


美嘉「……うん」


P「ここは初めてか?」


美嘉「……うん」


P「……」


美嘉「名前、聞いたことあるけど……。初めてかな……」


P(おっ……。興味を示してるな)


P「埼玉にも数店舗あるみたいだな」


P「ちなみに、東京は今のところここを含めて二店舗らしい」


P「一応全国規模のチェーン店だ。秋田とか和歌山とか中国・四国地方にはないけど……。あと福岡を除いた九州と沖縄にもなかった気がするな……」


美嘉「そうなんだ……」


P「ああ。ここは俺のソウルフードならぬソウルステーキの店と言っても過言じゃない」


P「栃木県は宇都宮発のステーキレストラン――名前の由来は宇都宮の『宮』だ。栃木ではステーキといったらこの店を連想する人間が多い。まさに国民食ならぬ県民食とも言えるステーキレストランだ」


P「特別な、晴れの日にステーキという人間は多いかもしれないが、栃木の人間はそういった日に食べるステーキはここで済ませることが多いらしいぞ」


P(まあ、『爆弾ハンバーグ』でお馴染みのフライングガーデンという栃木発祥の鉄板焼きチェーンも人気だが、俺は断然ステーキ宮だ)


P「ここでステーキを食ったことが一つのステータスになる……。そんな時代もあったそうだ……。思い出の味ってやつだなぁ……」


美嘉「く、詳しいんだね……(ドン引き)」


P「まあな――そして、メニューを見てみろ」



29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:48:39.09 ID:1cewWq10O


美嘉「……?」


P「昼飯にしてはだいぶ遅くなってしまったが……。現在三時をちょっと過ぎたところ……」


P「――しかし、メニューは『ランチ』だっ!」


P「そう、この店では11時から16時までランチタイム! つまり、遅い時間帯でもこうしてランチを楽しめるってわけだ!(全店舗かどうかは不明)」


P「というわけで、好きなメニューを選べ」


美嘉「う、うん……」


美嘉(はぁ……。あれだけ『謝る』って意気込んでいたのに……)


美嘉(結局謝れてないじゃん……。アタシのバカ……)


美嘉(それにしても、ステーキかぁ……。プロデューサーはどうしてこのお店を選んだんだろう……)


美嘉(やけに熱く語っていたけど……)


P「そうだな……」


美嘉「……?」


P「俺はやっぱ、この『スペシャルトリオランチ』だな」


美嘉「スペシャルトリオ……?」


P「名前からしてスペシャルだろ? かっこいいじゃん」


美嘉「……」


P(滑った)



美嘉「……ふひっ」



30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:51:49.71 ID:1cewWq10O


P「……!?」


美嘉「プロデューサー、子供みたい……!」


P(わ、笑った……)


P「見てみろ。ハンバーグにチキンにソーセージ……。まさにバース・掛布・岡田時代の阪神のような最強のラインナップ……!」


美嘉「その例えは分かんないかな」


P「……」


美嘉「でもステーキレストランに来たのに、ステーキにしなくていいの……?」


P「いいんだ――好きだから」


美嘉「……?」


P「確かに、人気メニューはこの『宮ロースランチ』だ。サーロインステーキを千円台というお得な価格で楽しめる」


P「だが、俺はスペシャルトリオだ。こちらも千円とちょっとでハンバーグとチキンとソーセージを楽しめる」


P「そのスペシャル感が好きだし、それにこういうメニューは俺にとって思い出の味でもあるからな……」


美嘉「思い出……?」


P「学生時代によく来てたんだ。ここじゃなくて地元の店だけどな」


P「そん時は確かこんな感じのメニューばっかり食ってた。だから、久しぶりに食ってみたくなった」


P「――それだけだ」



31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:54:45.40 ID:1cewWq10O

美嘉(思い出の味……。プロデューサーの学生時代かぁ……)


美嘉「じゃあ……。アタシも同じやつでいいよ?」


P「いや、ステーキ屋に来たんだからステーキ食えよ」


美嘉「……え!? なにそれちょっと酷くない!?」


P「嘘だよ」


美嘉「……」


P「ふっ……。やっと笑ったな」


美嘉「……!!」


美嘉「もう、知らない……//」


美嘉(プロデューサーの悪戯な微笑み――それに胸の高鳴りを覚えながらも、刹那的で儚い輝きに一抹の不安を覚えた)


美嘉(どこかに行ってしまいそうな……。そんな気がした)


P「――すみませーん」


美嘉「あ、ちょっと……!」


P「ん? 俺と同じやつでいいんだろ?」


美嘉「そうだけど――」


店員「はい、ご注文をお伺いします」


P「この、スペシャルトリオランチを二つで。ライスでお願いします」


美嘉「……え!?」


P「あ、すまんすまん。付け合わせをライスかパンか選べるんだよ。パンが良かったか?」


美嘉「いや、ライスでいいかな……」


P「プラス百円でガーリックライスに変更できるけど」


美嘉「プロデューサーは……?」


P「ただのライスだ」


美嘉「じゃあアタシも」


P「よし。それじゃ、二つともライスでお願いします」


店員「かしこまりました。ソースはいかがなさいますか?」


美嘉「ソース……?」


P「もちろん、二つとも『宮のたれ』で!!」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:56:25.45 ID:1cewWq10O


美嘉「え!? ちょっと!!」


P「大丈夫だ。俺を信じてくれ」


 信じてくれてると思ってたのに――


美嘉(……あ)


美嘉「うん……。分かった」


P「――スープバーはついてますよね?」


美嘉「……?」


店員「はい。スープバーはあちらからご利用下さい」


店員「それでは、失礼致します――」


P「あ、ドリンクバーのこと忘れてた」


美嘉「もう、勝手に決めすぎだよプロデューサー」


P「ドリンクバー、注文するか? この店のドリンクバーはめちゃくちゃ種類あるんだぜ? 特にお茶とか」


美嘉「アタシは……。プロデューサーは?」


P「俺はいいな」


美嘉「じゃあ、アタシも別にいいかな」


P「そうか――それじゃあ行くぞ!」


美嘉「ちょっと、どこ行くの!?」


P「もちろん、あれに決まってるだろ!?」



33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:59:02.44 ID:1cewWq10O


 [数十分後]


美嘉「はぁー……。なんだかこれだけでお腹一杯になりそう……」


P「これがステーキ宮の魅力であり、落とし穴でもある……!!」


P「そう、これがスープバーだ!!」


P「ランチメニューにはスープバーがつく!! しかも『おかわり自由』だ!! なんという太っ腹!! 解放的な響き!!」


P「スープは日替わりで数種類ある!!」


P「――今日は当たりだったな!!」


美嘉「……?」


P「ふふっ……。美嘉が既に2杯飲んだそのコーンポタージュ!!」


美嘉「ちょ……!? プロデューサーうるさい……!! 聞こえちゃう……//」


P「ここのコーンポタージュは、ハイパーでウルトラでアルティメットだ!! メインを張れるくらいな!!」


美嘉「大袈裟だけど……。まあ、確かにおいしいかな……。クリーミーだし、濃厚だし」


P「俺も既に3杯飲んでしまった……!! メインが来るし、それに出禁にはなりたくないからあと一杯までにとどめておこう……!!」


美嘉「あと一杯は飲むつもりなんだ……」


P「メインが来るまでの手持ち無沙汰な時間は、このスープバーでウォームアップするのがここのスタイルだっ!!」



 ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ



P「はっ――来やがった!!」



34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:02:17.91 ID:gs6/NimBO


美嘉「え?」


P「耳を澄ませ美嘉ッ!!」


美嘉「よ、寄り過ぎだよプロデューサー……//」


P「聞こえるだろ、『ミートヒーリングミュージック』が!! 福音が!!」


P「地獄の黙示録の『ワルキューレの騎行』のような……!!」


P「肉が奏でるオーケストラ、その圧倒的で破壊的で芸術的なハーモニー……!!」


P「鉄板の上で踊る、焼いている音が……!!」


P「――来たぞ」


店員「お待たせしました、スペシャルトリオランチでございます」


店員「ソースはこちらでおかけしても――」


P「オナシャス!! センセンシャル!!」


美嘉「――!?」


店員「かしこまりました。それでは――」



 ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ



P「ファーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


美嘉「――ッ!?」


美嘉(こ、この『ソースが焼ける匂い』はッ!!)


美嘉(久しぶりにステーキ屋さんに来た……。だから忘れてた……)


美嘉(そうだ……!! ステーキは『エンターテイメント』だった……!!)


P「この音色以上に、この世に美しい音があるだろうか(反語)」


P「そして、鉄板でソースが焼ける匂い……。昼のナパームの臭いは格別だ……」


P「まさに芸術であり最高のエンターテイメント!!」


店員「鉄板が大変お熱くなっておりますのでお気をつけください」


店員「ソースが足りなくなりましたら、こちらの容器からお好みでおかけになってください」


店員「それでは、失礼します」



35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:04:16.94 ID:gs6/NimBO


P「……圧巻だ。開いた口が塞がらなかった」


P「未だ聞こえるこのミートミュージックをずっと聞いていたい……」


P「まるで原始に戻ったような……。懐かしい響き……」


P「匂い、そして音は人間の記憶を呼び覚ます」


P「家族に連れられ初めて訪れた日……。そして、休日練習の後に部活仲間と訪れた日……。なんでもないようなことが、幸せだったと思う……」


P「二度とは戻れない、あの思い出を連れて来る――このメニューが」


美嘉「……」ゴクリ


P「美嘉……。名残惜しいが冷めたらまずい。いただくとしようか」


美嘉「う、うん……」


P「では、いただきます」


P「……」カチャカチャ


美嘉「……え!?」


P「どうした?」


美嘉「いや、お肉から頂くのかと思った……」


P「ああ、これか……。これはな、『俺流』だ」


P「まず、店員さんが置いていってくれたこのソースポット、もしくは鉄板にかかったソースをこうやってスプーンや箸ですくって……」


P「ご飯にドン! だ」


P「そして、まずはソースでご飯をいただく……!!」


P「これが俺流、『底辺ステーキソースご飯』だ!!」


P「 う゛ ん゛ め゛ え゛ !! 」ハフハフッ



36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:06:49.62 ID:gs6/NimBO


美嘉「う、うわぁ……(ドン引き)」


P「何だよ。美嘉もやってみろ」


美嘉「そ、それは……」


P「俺が勝手に美嘉の分のソースも『宮のたれ』にした理由が分かるぞ」


美嘉「そ、そこまで言うなら……」


美嘉「こうして――いただきます」


美嘉「……」モグモグ


美嘉「――ッ!?」


P「ふふっ、感じたか――小宇宙(コスモ)を」


美嘉「こ、これは……!!」


美嘉(香ばしく、あまじょっぱい……!! 味は濃厚なのにしつこ過ぎず、爽やかな感じさえある……!!)


美嘉(この物体は玉ねぎかな……。なるほど、特徴的な甘みは玉ねぎのものだったんだ……)


美嘉(それから、このしょっぱさと香ばしさは醤油かな……? ニンニクも入ってる気がする……)


美嘉(醤油のしょっぱさ、そしてニンニクのアクセント、玉ねぎの甘み……)


P(――酢も入ってるぞ)ニヤリ


美嘉(こいつ……!? 直接脳内に……!!)


美嘉(そっか、この爽やかさはお酢だったんだ……!!)


P「そのたれには玉ねぎ、ニンニク、醤油、酢しか使われていない」


P「シンプルなのに、その深み……。シンプルイズベストとはこいつの為にあるようなものだ」


P「――どうだ?」



37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:09:31.42 ID:gs6/NimBO


美嘉「……」


美嘉「……ッ!!」モグモグ


P「……取り憑かれてしまったか」


P「さて、俺は肉を食うか」


P「ハンバーグ、チキン、ソーセージ……。どれにしようかなぁ」


P「よし、ハンバーグだぁっ☆」


P「いただきまぁす!」


P「……」


P「んんんんんんッ!! う゛ま゛い゛!!」


P「肉汁こぼれるハンバーグそれ自体も最高だが、宮のたれがかかったハンバーグはもう……!!」


P「難しい言葉などいらぬッ!!」


P「おいしい――その一言に全てを込めるッ!!」


P「俺は今、幸せを頂いているッ!! ありがとうッ!!」


P「肉を食べたら、間髪入れずライスをイン!!」モグッ


P「ん゛ん゛ッ!!」


P「次はチキンッ!! そしてソーセージもっ!! 付け合わせのスパゲティやポテトもたれに絡めて最高よっ!!」


P「選べることがこれほど幸せとはっ!!」


P「んんんんんんんッ!!」



美嘉「――ッ」ボーゼン



38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:11:36.16 ID:gs6/NimBO


P「美嘉、どうした?」


美嘉「あ、気付いたらライスが……」


P(お前……。ソースだけでご飯を一杯、平らげてしまったか……)


P「ライス、食べてしまったんですか……!?」


美嘉「……うん」ションボリ


美嘉「ライスが……!! なくなっちゃったの……!!」


P「――ッ!!」ドキッ


P(あのカリスマギャルが……。宮のたれの衝撃的なうまさによって幼児退行した……!?)


P「よ、よくあることだ……。安心しろ、美嘉」


美嘉「えっ!?」


P「ご飯も お か わ り 自 由 だ」


美嘉「――ッ!?」


P「そう、ランチタイムはごはんのおかわりも無料だッ!!」


P「もちろん、食べるだろ……?」ニヤッ


美嘉「た、たべりゅ……//」パアアアッ


P「――すみません!!」


店員「ハイサイ!!(我那覇)」



P「ライスのおかわりを、『東京ドーム』でっ!!」



39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:13:51.42 ID:gs6/NimBO


美嘉「――ッ!?」


店員「――ッ!!」


店員「何言ってんだコイツ(あの、それは一体……?)」


P「あれ、学生時代はこれで通じたんだけどな……。あはは……」


美嘉「プロデューサー、そんな地下鉄成増駅を営団成増駅と未だに呼んで駅員を困惑させるおじさんみたいなことやっちゃだめだよ(実話)」


P「す、すみません……。ライスのおかわり大盛りでお願いします!!」


店員「かしこまりッ!!」


P「あれぇ……。東京ドームって言ったら大盛りでくれたんだけどな……。ローカル過ぎたか……」


美嘉「東京タワーならいけたんじゃない?」


P「それはないだろ」


美嘉「えぇ……」


P「それを言うならスカイツリーだろ」


美嘉「それはない」


P「……」


美嘉「……」



美嘉「……ふひっ」



40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:15:34.24 ID:gs6/NimBO


店員「お待たせしました。ライスです」


P「ありがとうございます」


P「……」


美嘉「……」



P・美嘉((戦争の始まりだ……!!))



41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:17:16.62 ID:gs6/NimBO


P(それからは、ただ無言でスペシャルなトリオランチとライスを貪るように食った)


P(まるで血に飢えた野獣のように――本能のままに。牛・鳥・豚を)


P(まっさらになった鉄板と皿……。結局、ライスを何杯平らげたか記憶が定かではない)


P(美嘉も同じ……。宮のたれが入ったソースポットはあっという間にエンプティ)


P(そうして『締めのコーンポタージュ』も堪能し、最上級の幸福、その余韻に浸っていた……)


P「……」


美嘉「――凄いね、ステーキ宮」


P「……だろ?」


美嘉「おいしいお肉を、こんなお得な値段で食べられるなんて」


美嘉「アタシ、高級なお店よりこういうお店の方がいいかも……。なんかアットホームっていうか……。もちろん、高級なお店の方が味は上なんだろうけど」


P「まったくもって同感だ」


美嘉「それに、宮のたれが美味しすぎて……。これって、お店とかに売ってないのかな……」


P「ふっ……。さすがだな美嘉」


美嘉「……?」



P「あそこ――レジのカウンターを見てみろ」



42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 00:17:55.27 ID:KUd/VLago
店員逆逆ゥ!
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:19:43.86 ID:gs6/NimBO


美嘉「……あっ!!」


P「そう、宮のたれは市販されているッ!! スーパーにもあるぞ!!」


P「使い切りタイプとボトルタイプがある。一般的なソースと比べると割高になってしまうが、ステーキ宮の味を家庭で再現できるとなれば安いもんよ!」


P「これを使えばあら不思議!! ただの焼いた肉が最上級のそれへ変わる!! というか宮のたれの味しかしないっ!!」


美嘉「それ、褒めてるの……!?」


P「肉料理の他にも、もちろんサラダにかけてもよし! なんなら、俺たちみたいにご飯にかけて食ってもいい! 貧乏学生はこのたれさえあればおかずはいらない!(大嘘)」


美嘉「そうなんだ……」


P「家庭用にここで一本買ってくか! 奢ってやるZO! 是非ともカーチャンに勧めてくれ!」


美嘉「……えっ」


美嘉(そうだ――プロデューサー、このたれ大好きみたいだし、これを使ってお弁当でも作ってあげたいな//)


美嘉「そ、そうだね……!」


P「よし、それじゃお会計としますかっ!」


美嘉「うん……」


美嘉(なんか凄いホッとした……。この時間、ずっと続いたらいいのに……)


美嘉「……」


美嘉「――プロデューサー」


P「……?」


美嘉(でも、ちゃんと言わなきゃ……!)


美嘉「あのさ……」


P「……」



P「――人間、選択肢があると幸せだよな」



44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:21:27.67 ID:gs6/NimBO


美嘉「……!?」


P「もちろん、一本の道を極めてる奴はほんとに凄い」


美嘉「……?」


P「俺な、プロを目指してた時期があったんだ」


美嘉「……プロ?」


P「まあ、こんなこと恥ずかしくてお前くらいにしか言えないが……。とある競技のプロフェッショナルになりたかった」


P「自分で言うのもなんだが、部活の中ではうまい方で、地域でもそれなりに名前が知られてた」


P「――それで天狗になっちまったんだな」


美嘉「……!!」


P「ステージが上がれば上がるほど、地域で有名な奴なんて一般レベルになる。それどころか、全国で有名な奴が争って、それで勝った少数だけがようやくプロになれるんだ……。俺はまさに『井の中の蛙』ってやつだった。俺みたいな奴が『プロになりたい』なんて軽々しく口にしていい世界じゃなかったんだ」


P「そんなろくでなしが壁にぶち当たったらどうなるか――燃え尽きた」


P「燃え尽きて、そしてホントにクズみたいな時間を長く過ごしたよ」


P「俺はプロになれたかもしれない、俺はあの時輝いていた――」


P「そんな言葉を言い訳にして、必死に言い聞かせていたクズだ」


美嘉「プロデューサー……」


P「――だから他の人間には、大切な人間には同じような思いを味わって欲しくない」



45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:24:42.88 ID:gs6/NimBO


美嘉「……!!」


P「もちろん、美嘉は俺のような人間じゃない。お前は才能もあるし、ちゃんとした意識を持っている。実直な努力も怠らない」


美嘉「そんな……」


P「だからお前が『アイドル一本に集中する』っていうなら、俺はそれを全力でサポートするだけだ」


美嘉「……」


P「ただ、もしこれからお前の前に困難が立ちはだかった時……」


P「アイドルに集中していたから、アイドルなんてしていたから――そういう後悔の言葉や言い訳を使って欲しくないんだ」


美嘉「――ッ!!」


P「美嘉はそんな人間じゃない……。でもこれだけは言っておきたかった」


P「――俺がそうだったから」


P「燃え尽きて、気がついたら俺は何も持っていなかった。あの時もっと真面目に勉強しておけばとか、努力しておけば良かったとか、後悔しかなかった。道がなかった」


P「だからお前には、広い世界を見て欲しい」


美嘉「広い、世界……」


P「ああ、この世界は狭いけど広い。お前は何にだってなれる」


 何にだってなれるのよ――


美嘉「……!!」


P「一本の道に集中することは大切だ。だが、一本の道でも途中で分岐することがある」


P「そして、分岐点は多い方が幸せだ」



46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:26:42.38 ID:gs6/NimBO


美嘉「……え?」


P「あのスペシャルトリオランチと同じ――ハンバーグを先に食べようか、それともチキンか、ソーセージもいい」


P「そんな、選べる幸せがある」


P「その選択に悩めることは不幸じゃない、悩めるうちが幸せだ。クライマックスまでの過程でワクワクするのと同じように」


P「そうして、分岐した道はやがて一本に収束するんだ」


P「どの分岐点もお前を不幸にはしない。万が一不幸があっても、それはお前の人生を鮮やかにする肥やしとなる」


P「だから色んな世界を見て、色んなものに触れて、そうして成長して欲しい」


P(……俺は美嘉の親父かっ!)


美嘉「プロデューサー……」


P「この前も、こういうことを言おうとしたんだが……。なんだか説教くさいよな。すまん……」


美嘉「そんなこと……!」


P「さっさと会計しちゃおうぜ――」


美嘉「あ、待ってよ……!」



47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:30:24.22 ID:gs6/NimBO


 【店の外、駐車場】


P「帰るかぁ……」


美嘉(ここで言わないとダメだ……!!)


美嘉(プロデューサーが行ってしまう……!!)


美嘉(行って欲しくない……!! 傍にいて欲しい、傍にいたい……!!)


美嘉「プロデューサー……!!」


P「おぅっ!? 急に大声出すなよ。オラ死ぬかと思った――」


P(振り返った、その瞬間)



美嘉「……!!」ギュッ



P「お、おい……!?」


美嘉「プロデューサー……!! ごめんね……!!」


美嘉「ごめんなさい……!!」


P(美嘉が、俺の胸に飛び込んで来た)


P(顔を埋めて、こもる泣き声)


P(それは、俺の体内へジワリと浸透する)


P「お前が謝る必要はないぞ」


美嘉「そんなことない……!! アタシ、プロデューサーに酷いこと言った……!!」


美嘉「それに、全部図星だし……! 自分に、プロデューサーに甘えてた……!」


美嘉「アイドルを言い訳にしてた……!!」


P「美嘉……」


美嘉「でも、もう言い訳なんてしない……!! 自分で選んだ道を、後悔なんてしたくないから……!!」


P「……ああ」


美嘉「だからさ、プロデューサーを辞めないで……!!」


美嘉「アタシ、もっとプロデューサーの傍にいたい……!!」


P「美嘉……」


美嘉「プロデューサー……」ギュウウッ



48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:33:13.88 ID:gs6/NimBO


P「……」


美嘉「……」



P「辞めるって、なんだ……?」



美嘉「……え?」


P「いや、俺プロデューサー辞めるなんて言ったっけ……?」


美嘉「え……。じゃあ、地元に戻ったのは……」


P「あ、そういや言ってなかったな――友人の結婚式に参列してたんだよ」


美嘉「……え」


P「すまんすまん。いやぁ、周りから独身がどんどん減ってくから寂しいもんだよこんチクショー」


美嘉「……」


P「どうした……? というか、美嘉は何で俺が辞めるって思ったんだ……?」


美嘉「だって、地元に戻るって事務所の中から聞こえてきて……! もしかしたら両親に仕事を辞める報告とか、相談とかしてたのかなって……!」


美嘉「奏も『それはないから』って言ってくれたけど、アタシ心配で……!」


P「あ……(遠い目)」


P「いやぁー……。なんかすまん。俺の方こそすまん」


美嘉「……」


美嘉「……ッ//」


美嘉「も、もう知らないプロデューサーのバカッ//」


P「お、おい待て……!! オコなの!? 美嘉ちゃんオコなの!?」


美嘉「オコだよ!!」


美嘉「もう、早く帰るよ!!」


P「ごめんってばぁ――あっ」


美嘉「……?」


P「美嘉、助手席……」



49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 00:35:12.31 ID:g1pwz/Xko
あのたれポテチもあるんだよな
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:37:00.02 ID:gs6/NimBO


美嘉「……ッ!!」


美嘉「や、やっぱこっちの方が座り心地良いからさっ! それだけ、別に特別な理由とかないし……!!」


P「いただきました、ツンデレ」


美嘉「ツンデレいうなし……!! 早く車出してよ!!」


P「はぁーい(恍惚)」ホクホク


美嘉「に、ニヤニヤするなキモいっ//」


P「しゅっぱーつ☆ にょわー☆」バァン!


美嘉「……」


P「……」


美嘉(心地よい沈黙が、満腹の体に睡魔を連れて来る)


美嘉(体だけじゃなく、心も満たされた……)


美嘉(プロデューサーと、それからあのステーキ宮はズルい)


美嘉(アタシの心の深くに簡単に入り込んで、あっという間に染め上げてしまう)


美嘉(でも、それがいい……)


美嘉(社用車の中がステーキ臭い……。きっと、アタシとプロデューサーも同じ臭い)


美嘉(でも、その事実が嬉しくて……)


美嘉(他の人から見たら、あそこはただの一般的なレストランかもしれない……。でも、アタシにとっては思い出の場所になって……)


美嘉(そしてあのスペシャルトリオランチは、アタシにとって『仲直りの味』となった――)



 大切なのに傷つけて 傷つけるのに守りたくて
 それでも弱さを見せ合って 温め合って積み重ねて来た――



美嘉(いつか拒絶したカーステレオ……)



 嬉しくて上手く笑えなくて 悲しくて上手く泣けなくても
 目に見えない心のかたちを 確かめ合って朝を迎えるんだ 
 迎えよう――



美嘉(そこから流れる音楽が、今は雪のように染み渡る)



51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:41:28.42 ID:gs6/NimBO


 【それから――とある路上】


美嘉「それでさ、先生も『言い過ぎた』って言ってくれて――」


P「まあ、なんにせよ和解できたみたいで良かったな」


美嘉「うん!」


美嘉「あー、でもさー……」


P「……?」


美嘉「仲直りしてから、先生の熱血具合がどんどん激しくなって……」


P「まあ、応援してくれてるならいいじゃないか」


美嘉「そうなんだけど、なんというか――」



外国人「Excuse me?」



52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:45:59.00 ID:gs6/NimBO


P「――!?」


P「あ、yeah」


外国人「Where is Takeshita street?」


P「竹下通り……? あー、えーと……」


P「Go straight(too about)」


外国人「Go straight……。Untill go straight?」


P「アンティル!? どこまでまっすぐ!? ええと……」


P「アイアムえーっとスチューデント(錯乱)」


外国人「Oh, Crazy Japanese……」


P「はぁ、これはどうしたものか……」



美嘉(――あ、これ進研ゼミでやったやつだ☆)



美嘉「Vous allez tout droit cette avenue environ dix minute. Et, Il y a la porte de temple shinto. Donc, Passez la. Et, Tournez a gauche. Vous arriverez Harajyuku gare. Rue Takeshita est pres de la gare」


外国人「Oh, Danke schöne」


美嘉「Bon voyage!」



P「お前ら一体何人だよ」



53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:51:26.22 ID:gs6/NimBO


美嘉「――どう? アタシも結構やるっしょ★」


P「結構どころじゃないんですがそれは……」


美嘉「アタシさ、決めたんだ」


P「……?」


美嘉「アイドルも、勉強も、上を目指すって!」


美嘉「勉強だって、どうせやるならいいところまで行きたい!」


美嘉「そうやって、広い世界を知りたい」


美嘉「――そういうことでしょ?」


P「……」


P「ああ、そうだな!」


P「頼んだぞ、カリスマ!!」


美嘉「へへっ☆ 一緒に頑張ろうね、プロデューサー!!」


P「おう!」


美嘉「それと――」


P「……?」


美嘉「この前プロデューサーは『自分は駄目なやつだ』って言ってたよね?」


P「お、おう……」


美嘉「そんなことない――アタシにとっては、今のプロデューサーも輝いて見えるよ!!」


P「――ッ!!」


P「……ありがとな」


美嘉「ふふっ、また一緒にステーキ宮に行こうねっ//」


P(彼女は今、確実な一歩を踏み出した)


P(この先、そんな彼女の前にも数々の壁が立ちはだかるだろう)


P(しかし彼女は知っている――一歩一歩の積み重ねがあれば、それを乗り越えられると)


P(一日20分、されど20分。その積み重ねが未来の自分を作る……!!)



P(さあ、君も進研ゼミで未来への投資をしてみないか――!?)



54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:55:20.02 ID:gs6/NimBO


 【蛇足】


楓「なるほど。ステーキとは素敵ですね」


奏「……」


美嘉「……ガハッww」


奏「ステーキかぁ……。最後に食べたのいつだったかしら……」


美嘉「ふふ〜ん、いいでしょ★」


奏「まぁ、ステーキも食べたいけど、’’プロデューサーさんと’’食べるチキンカツカレーが一番ね――ゴーゴーカレーの」


楓「……」


美嘉「……」


美嘉「あ、アタシはやっぱり’’プロデューサーと’’食べるスペシャルトリオランチが最高かな! ステーキ宮の♪」


楓「……」


奏「……」


楓「私は『これ!』というメニューはありませんが、’’プロデューサーと’’お酒を飲むのが楽しいです――日高屋で」


美嘉「……」


奏「……」


楓「……」


ちひろ「――そ、そういえば! プロデューサーさんがこの間参列された結婚式なんですけど、プロデューサーさんと新郎さんは同級生で同じ部活だったようですよ!?」


ちひろ「プロデューサーさん、一体なんの部活をやられていたんでしょうねぇ!?」



55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 00:58:59.85 ID:gs6/NimBO


楓「……」


奏「……」


美嘉「……」


ちひろ「……」


美嘉「アタシは、サッカーっぽい気がする! なんかそんな雰囲気するし!」


奏「ダメね美嘉……。あの長くしなやかで、それでいて引き締まった腕と脚……。そしてたくましい肩回りはきっと野球に違いないわ。伸びるストレートを投げる長身ピッチャータイプね」


楓「確かにそれも一理ありますが、あのワイシャツやスーツの上からでも分かる盛り上がった広背筋、綺麗な逆三角形……。そして、一見細く見えるけどグッと引き締まったふくらはぎ……。あれは、恐らく格闘技かもしくはボクシングでしょう。私はボクシングと推測します」


ちひろ「なるほどー。そうですね、私は――」


P「お、盛り上がってますね(話が)」


美嘉「あ、プロデューサーお疲れっ☆」


奏「いいところに来てくれたわね」


P「お? なんだなんだ?」


楓「プロデューサーって、学生時代は何の部活をされていたんですか?」


P「部活? 部活は――」



56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 01:01:35.73 ID:gs6/NimBO


美嘉「あー、ダメ! みんなで当てっこしてるんだ!」


P「そういうことか……」


奏「一発で当ててみせるわ――野球でしょ?」


P「野球ではないなぁ」


奏「そんな……」


美嘉「奏、残念でしたぁ〜★ アタシが当てちゃう! サッカーでしょ!?」


P「サッカー、でもないな」


美嘉「えぇ!? 嘘っ!?」


奏「ふふっ、あなたもまだまだね」


楓「ここは私が終わらせてみせます――ずばり、ボクシングでしょう」


P「いや、違うな」


楓「格闘技ではありませんか?」


P「うーむ……。格闘技っぽい要素はあるが、チームスポーツかなぁ」


楓「え……」


ちひろ「一般的なサッカー、野球でもない……。そして的確にも見えたボクシングという説もまさかの不正解……」


ちひろ「一体、何の部活動をされていたんですか?」


楓「……」


奏「……」


美嘉「……」


ちひろ「……」


P「……」




P「カバディです」




57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 01:03:53.29 ID:gs6/NimBO


四人「「「「――へ?」」」」


P「だから、カバディです。カバディ」


ちひろ「えーと、インドの国技で『カバディ、カバディ……』って言いながらプレイするあのカバディですか……?」


P「ええ。まさしくそれです」


奏「走る格闘技とも称される激しいスポーツね……(灼熱カバディという漫画は少し読んだことあるわ)」


楓「なるほど、『格闘技の要素もある』というのはそういうことだったんですね」


美嘉(インド……。パッと思いついたのがタイガージェットシンくらいかなぁ……)


楓「それにしても、一部の大学のサークルや部活動ならまだしも、中学や高校の部活でカバディとは聞いたことないですね……」


P「そうか? バリバリ人気あるけどな。部活動の花形の一つだ」


奏「そんな風潮や地域、この国にあったかしら……」


美嘉「なんか、話が噛み合ってない気がする……」


ちひろ「えーと、待ってください――プロデューサーさんの出身地ってどこですか?」


楓「そうですね、そこから聞いた方がいい気がします……」




P「出身地ですか? コッテですね」




58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 01:06:34.44 ID:gs6/NimBO


四人「「「「――んん?」」」」


P「コッテですよ、コッテ(天海春香)」


P「ああ、そっか――スリジャヤワルダナプラコッテです」


ちひろ「えーと、そこって確か――」







P「スリランカです」
















※スリランカにステーキ宮はありません。






59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/03(日) 01:07:57.72 ID:gs6/NimBO
ありがとうございました。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 01:14:59.99 ID:mdJovYaO0

調べたら近くにあったので明日にでも行ってみる
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 01:36:54.78 ID:gs6/NimBO
>>60
ありがとうございます。
ここで書いた仕様と実際は違う可能性もありますが、もしそうだったらすみません! ご了承ください!
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 01:45:53.63 ID:g1pwz/Xko
宮のたれは結構酸っぱいから酸っぱいの苦手な人は注意だぞ
ちょっと前に行ったら気に入ってたクラムチャウダーがスープバーから無くなってて悲しかった(´・ω・`)
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 02:37:38.69 ID:QeUJ6BbSO
>>6
わかるわ
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 05:35:56.10 ID:eOMQjod3o
カバディかな?→カバディかよ!
おかげでステーキ宮の話が吹き飛びました。美味しいよね宮のタレ。灼熱カバディ面白いよね
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 07:58:11.89 ID:KUd/VLago
てっきり栃木県民かと思ったらw
ウチの近所にも何故か出来たわ宮@奈良
ビッグボーイ以上ステーキガスト以下って印象かな
乙!
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 10:32:37.43 ID:OjLxoKIJ0
おつおつ

ステーキ宮のロゴが牛の顔みたいになってるのとなってないの二つあるんだけどどう違うんやろうな…?
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 13:25:34.92 ID:f0pVZQWQO
調べたら地元にもあったし今度帰省したら行ってみよ
灼熱カバディいいよね……
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 19:09:25.90 ID:Xd2+mnG4O
頭カバディ
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/03(日) 22:22:49.14 ID:xFpY6vNGo
ラグビーかと思ったらカバディて
確かに宮のたれはうまい
おつおつ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/04(月) 01:53:47.54 ID:FlkLzepVo
ステーキ宮に行きたくなったけど、最寄りでもそこそこ遠いな。。。はてさてどうしたもんやら。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/05(火) 14:00:08.19 ID:cDSWIYTpO
西日本なのに奇跡的に宮あってワロタ
行ってみるわ
おつ
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/05(火) 17:34:33.69 ID:V7P7ujtsO
宮も爆ハンも車で5〜10分県内な栃木県民には嬉しいスレ
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