イヴ・サンタクロース「高峯のあの事件簿・プレゼント/フォー/ユー」

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73 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:05:44.91 ID:8PMV4OlW0
イヴ「もうこれまでの誰かが責任を取ってくれないなら、私がやるんですよ〜」

雪乃「他のサンタクロースもそれを望んでいますの?」

イヴ「そもそも、恵まれない人を救う聖人が私達なんですよぉ」

時子「聖人、ねぇ……」

イヴ「暴力で救える人がいるのなら、それが使命なんですぅ」

フレデリカ「……」

イヴ「今も昔も皆のために、穏やかなクリスマスのためにがんばってるんですぅ」

雪乃「私達のため、ですの?」

イヴ「本当ですよぉ。でも、この国は良いんです」

時子「良いって、何がよ」

イヴ「この国は爆弾を必要としてる人が少ないんですぅ」

有香「必要としてる人なんて、いるんでしょうか」

イヴ「いるんですよぉ。だから、私がここにいるんです」

時子「貴方がいなければ、こんなことにはなっていないじゃない」

イヴ「なら、このショッピングモールごと爆破されて夏休みの子供達が被害にあっても良かったんですかぁ?」

有香「え?」

時子「待ちなさい、何を言ってるのかしら」

イヴ「質問しますねぇ」

有香「質問、ですか?」

イヴ「最後の爆弾、どこにあるんですかぁ?」
74 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:06:57.02 ID:8PMV4OlW0
32

高峯探偵事務所

ヘレン「掴んだわね」

久美子「これは、私でも見える。みんな、画面を見て」

真奈美「何かわかったのか?」

久美子「音葉ちゃん、さっきの画面出して」

音葉「はい……こちらです」

のあ「地図」

真奈美「この辺りだな」

音葉「これに……爆発事件と不審火を重ねます」

菜々「大きいのが何個かあるんですね」

志保「テレビで見ました、凄い火事でしたよ」

のあ「渋谷生花店と鷹富士神社の多発事件は除きましょう」

音葉「はい……」

のあ「これだけではわからない」

ヘレン「音葉、さっき言ったものを表示なさい」

音葉「はい……どうぞ」

菜々「あれ?」

志保「このビルに印が付いてます」

菜々「あっ、マスターの自宅にも!」

真奈美「後は、今事件が起こっているショッピングモールにもか」

久美子「見てわかる通り、人質の勤務場所と住所。学生は学校も」

音葉「ここだけの秘密です……」

真奈美「高峯ビルの周りは特に事件はないな」

のあ「事件が起こってるショッピングモール、そこから北側と南西側」

ヘレン「その意味は」

音葉「線で結びます……」

のあ「この3角形の周辺で不審火が発生しているでしょう」

久美子「私でもそう見える」

ヘレン「サンタクロースは顧客との接触を嫌っていたわ」

のあ「北側は専門学校かしら」

真奈美「南西側はただのアパートだな」

ヘレン「仲介者がいるのなら、なおのこと爆弾の所有者も特定しにくい」

のあ「もしかして、同じ人物?」

ヘレン「そうよ、ディテクティブ」

のあ「相原雪乃が残された理由も」

ヘレン「そうでしょうね」

真奈美「この専門学校に通って、アパートに住んでいて、ショッピングモールに通う……いや、違うな」

菜々「働いていてる、ってことですか」

志保「アルバイトとか」

真奈美「なるほど、それだ」
75 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:07:30.06 ID:8PMV4OlW0
音葉「え……!」

久美子「音葉ちゃん、どうしたの?」

音葉「久美子さん……見てください」

のあ「ヘレン、この点は」

真奈美「フランス語学校みたいだな」

のあ「それで、雪乃と誕生日が同じ人質はいるのかしら」

ヘレン「いるわ」

のあ「それなら、彼女がサンタクロースの目的よ」

真奈美「誰だ?」

ヘレン「宮本フレデリカ」

のあ「彼女が爆弾を利用しているなら」

真奈美「冷房の理由も、立てこもりの理由も、人質の理由も説明がつく」

ヘレン「冷房は万が一の誤動作を防ぐため」

のあ「立てこもりの意味は逆。人を近づけさせないため」

真奈美「人質は警察を近づかせないためと」

ヘレン「爆弾を与えた人物の動きを封じるため」

のあ「見えてきたわね」

久美子「音葉ちゃん、相手は悪趣味みたいね……」

音葉「本当に……」

久美子「ヘレン、ちょっと聞いて!」

ヘレン「冷静に。報告なさい」

久美子「ショッピングモールのシステムにアクセスしてるハッカー、いたでしょ」

音葉「監視カメラの映像を一台だけ、アクセスできるようにしてきました……こちらを」

志保「マスター!?」

久美子「加えてサンタと」

菜々「さっきのあさんが言ってた人が!」

のあ「なんで、一緒に座ってるのかしら……」

真奈美「あまり良いムードには見えないな」

ヘレン「サンタと宮本フレデリカから離れさせるわ」

久美子「どうやって?」

のあ「ヘレン、電話をかけるわ」

ヘレン「こちらの情報が漏れるのは構わない。許可するわ」

のあ「わかったわ。出なさい、雪乃……」
76 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:08:18.55 ID:8PMV4OlW0
ヘレン「久美子、音葉、警察に連絡を」

久美子「わかったわ」

真奈美「サンタは接触を良しとしていなかったはずだ、なのに」

音葉「もう、同じ席についています……」

ヘレン「サンタとトナカイが動く、その時まで猶予はないわ」
77 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:09:05.83 ID:8PMV4OlW0
33

大型ショッピングモール・2階・和風カフェ

時子「最後の爆弾を私達に聞くわけ?」

有香「さっぱり、意味がわからないのですが……」

時子「貴方達が爆弾を設置したんじゃないの?」

イヴ「私は用途を決めないんですぅ。雪乃さーん?」

雪乃「はい?」

イヴ「着信がありませんかぁ?」

雪乃「え……その」

イヴ「どうぞ、出てください〜」

有香「外と連絡を取っていたのですか?」

イヴ「そうみたいです〜」

雪乃「……わかりました。失礼します。もしもし」

のあ『雪乃、今すぐそこから離れなさい』

雪乃「そうもいきませんわ」

イヴ「お電話を変わってくれますかぁ?」

雪乃「お電話を変わって欲しいと」

のあ『変われと?』

イヴ「選択肢はありませよ〜」

雪乃「ああ!」

イヴ「こんばんは〜、ヘレンさんですかぁ?」

のあ『はい?』
78 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:10:36.51 ID:8PMV4OlW0
イヴ「あれ、そろそろ出てくる頃なのに。でも、関係者ですよね?」

のあ『否定はしないわ』

イヴ「警察さんじゃないみたいですねぇ。私達の目的はわかりましたかぁ?」

のあ『わかったわ。目的は爆弾の解体』

時子「雪乃、電話の相手は」

雪乃「喫茶店のビルのオーナーさんですわ」

イヴ「正解ですぅ。爆弾は残り一つになりましたぁ」

のあ『終わって、ないの?』

イヴ「電話の向こうが騒がしいですねぇ。そうですよ〜」

のあ『なら、雪乃を解放なさい』

イヴ「どうして?」

のあ『犯人がそこにいて、爆弾もそこにある可能性が高いから』

イヴ「後半はどうしてそう考えたんですかぁ?」

のあ『犯人がまったく動かないこと、手元かそれに類するところにあると考える』

イヴ「同じ意見ですぅ」

のあ『だから、犯人から離れさせなさい』

イヴ「それはどなたですかぁ?」

のあ『宮本フレデリカ。まだ人質のままでしょう』

イヴ「さすがヘレンさんですねぇ。ブリッツェン〜、チョコレートショップの探索は終わりましたかぁ?」

のあ『不用意な言動は辞めなさい』

イヴ「私達の爆弾は別にあるので、突入しないでくださいねぇ、ばいば〜い」

のあ『待ちなさ……』

イヴ「通話終了ですぅ。雪乃さん、お返ししますねぇ。電源はオフにしておきましたぁ」

雪乃「あ、はい、ありがとうございます」

イヴ「ブリッツェン、そうですかぁ、ありませんでしたか〜」

フレデリカ「……」

イヴ「宮本フレデリカさん、最後の爆弾はどこですか」
79 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:12:33.64 ID:8PMV4OlW0
有香「へ?」

フレデリカ「フーン」

時子「……」

イヴ「爆弾は何かを手に入れるためで、破壊するためじゃないんです」

フレデリカ「んー、どういうこと?」

イヴ「悪い子からは没収ですぅ〜。返してください」

フレデリカ「でも、スイッチはここにあるよ?」

有香「え、ええ!」

ダッシャー「……」

フレデリカ「はいはい、みんなストップー」

時子「この状況で、留まれと?」

フレデリカ「どこに爆弾があるかわからないのに、動いちゃうの?」

雪乃「つまり……」

イヴ「ここにあるって、ことですよねぇ」

フレデリカ「そーゆうこと」

イヴ「交渉しましょうかぁ」

フレデリカ「交渉?」

イヴ「プランサー、準備を」

有香「プランサー?」

イヴ「プランサー、迅速ですねぇ。さぁ、」

フレデリカ「ふんふん、なるほどねー」

イヴ「さてさて、命をベットしてもらいます」

フレデリカ「それは、そっちもだよ?」

イヴ「わかってますよぉ。さぁ、皆さんでお話しましょう?」
80 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:13:19.29 ID:8PMV4OlW0
34

高峯探偵事務所

菜々「ど!」

志保「う!」

菜々「しま!」

志保「しょう!」

久美子「この二人、実は余裕があるんじゃない?」

のあ「雪乃のケータイは取り上げられた」

真奈美「電源は」

のあ「切られた」

志保「犯人が近くにいるのに」

音葉「映像は見えていますが……」

久美子「何か話しているみたい」

真奈美「のあ、読唇術は」

のあ「画質が悪いわ」

菜々「なんとか連絡できる手段はないでしょうか……」

のあ「ヘレン」

ヘレン「サンタクロースが一度上を見たわ」

真奈美「上になにかあるのか?」

ヘレン「狙撃手」

のあ「スイッチを撃たなかった理由は?」

真奈美「人質の命を優先した」

ヘレン「そうでしょう」

久美子「ヘレン、サンタクロースのこと評価してない?」

ヘレン「しているわ。ルパン・ザ・サードという物語が日本にあるように」

志保「誰かを守りたいというのは、信じてもいいですか」

ヘレン「ええ」

久美子「ヘレン、何か隠してないかしら?」

ヘレン「今この場で話す必要はないこと」

音葉「……そうですか」

真奈美「だが、状況は変わった」

のあ「爆弾はもうひとつ、サンタクロースの手元はない」

真奈美「人質の中から犯人は出て来た」

久美子「起爆装置を奪うか」

ヘレン「爆弾の無力化は必須」

のあ「雪乃はもちろん、一緒にいる財前時子と中野有香の安全を確保したい」

真奈美「どうやって?」
81 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:14:54.49 ID:8PMV4OlW0
のあ「最後の爆弾、どこにあるのかしら」

真奈美「トナカイ達は見つけられてないぞ」

久美子「警察の突入は?」

ヘレン「止めてるわ」

菜々「止められるんですねぇ……」

ヘレン「犯人を自棄にするわけにはいかない」

志保「どうしましょう……」

真奈美「サンタを信じるか」

のあ「そういうわけにもいかない」

ヘレン「ディテクティブ、中に連絡する手段は?」

久美子「残った手段は、なにかある?」

音葉「いえ……」

真奈美「連絡を取って、何をするんだ?」

ヘレン「爆弾犯が設置する場所なら、サンタよりも知ってるわ」

真奈美「解体は、トナカイが出来るようだからな」

ヘレン「音葉のような耳が良い人物が良いわね」

久美子「このレベルは簡単にはいるとは思えないけど……」

音葉「褒められました……嬉しい……」

ヘレン「まだ間に合うわ」

のあ「……いるじゃない」

真奈美「どうした、のあ?」

のあ「連絡手段を取り上げられてない人物」

真奈美「誰だ?」

のあ「望月聖。3階にいるはずよ」
82 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:17:01.86 ID:8PMV4OlW0
35

大型ショッピングモール・2階・和風カフェ

イヴ「爆弾の在りかを教えてください」

フレデリカ「イヤだよー」

有香「で、ですよね」

雪乃「どうしましょうか……」

時子「残念だけど、出来ることなんてないわよ」

雪乃「さっきからずっとこの調子ですわ……」

時子「交渉は苦手ではなさそうだけれど」

有香「相手が悪い、と思います」

イヴ「そうですよねぇ。じゃあ、世間話にしましょう」

フレデリカ「うんうん、それがいいよ」

イヴ「どちらのお生まれですかぁ?」

フレデリカ「パリだよ?」

イヴ「フランス語は話せるんですかぁ?」

フレデリカ「ボンジュール、シルブプレ、アデュー♪」

イヴ「私の方が話せるくらいですね。皆さんはどうですか?」

雪乃「えっと……少しでしたら」

時子「旅行くらいは」

有香「なんだか、凄い人達ですね……」

イヴ「だから、語学学校に放火したんですかぁ?」

フレデリカ「なんの話か、フレちゃんわかんなーい」

イヴ「爆弾でなければ、あなたの場所は作れませんでしたか?」

時子「場所ね……」

イヴ「そんなことないはずです」

フレデリカ「……」

イヴ「皆さんはどうですか?大切な人はいますか?場所はありますか?」

有香「友達も道もあります」

時子「さぁね、他人にはわかるものでもないわ」

雪乃「私にも大切な従業員がおりますわ」

イヴ「どうですか?」

フレデリカ「パパとママは世界一だよ?」

イヴ「お友達はどうですかぁ?」

フレデリカ「とっても楽しいかも」

イヴ「ですよねぇ」

フレデリカ「うーん、だから、やっぱり、わかんないんだー」

雪乃「わからない……?」
83 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:20:31.54 ID:8PMV4OlW0
フレデリカ「どこをどう見ても宮本フレデリカに見えるかな?」

時子「見えるわ。一度顔と名前を覚えれば忘れない」

フレデリカ「でも、それっていいこと?」

イヴ「いいことですよぉ。あなたをあなただと絶対にわかってくれる人がいっぱいいるんですよぉ」

フレデリカ「もしかして、宮本フレデリカじゃない誰かにもなれたんじゃないかな?」

イヴ「誰か、ですか」

フレデリカ「最高じゃない日本人のパパと日本人のママから産まれてたら、もっと何にでもなれたかも」

イヴ「……」

フレデリカ「そう思うでしょ?」

時子「父も母も変えられないわ」

雪乃「そうですわね……」

フレデリカ「サンタさんは?サンタになること以外の夢を見れる子供になりたかったでしょ?」

イヴ「いいえ。私はサンタクロースです、それ以外の道はありません」

フレデリカ「バレンタインデーが誕生日だから、みんなチョコをくれるんだー」

有香「嫌いなのですか?」

フレデリカ「ううん、大好き。バレンタインのお姉さんは?」

雪乃「私、ですか」

フレデリカ「そう。バレンタインに産まれてなかったら、違った?」

雪乃「そうかもしれませんわね」

フレデリカ「チョコレートショップで働いてるなんてこと、なかったかも」

雪乃「……」

フレデリカ「ウーン、とね……その、つまり」

イヴ「自分を、嫌いになったのですか」

フレデリカ「そうかも。気づいたら、宮本フレデリカにしかなれない私がいたんだもん」

雪乃「……」

フレデリカ「わかんなくなっちゃった。わかんない、ここにいるワタシはなんだろ?」

イヴ「贅沢な悩みです」

フレデリカ「わかってるよー。だから、爆弾でいいんだ」
84 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:21:01.27 ID:8PMV4OlW0
イヴ「爆弾でいい、ってなんですか?」

フレデリカ「与えられたものがなくなれば、変われるかな、って」

雪乃「まさか……」

イヴ「爆弾は近くにあるんですかぁ?」

フレデリカ「うん」

イヴ「他の爆弾は隠されてはいましたが、比較的見つけやすい場所にありました」

フレデリカ「うんうん、本命は一つだから。フレちゃんは一途!」

有香「爆弾が近くに……」

イヴ「この場所で起爆させてもいいのですか?」

フレデリカ「もちろん。どれくらいの爆弾かは、サンタさんは知ってるでしょ?」

雪乃「最初から、自分を巻き込むつもりでしたの……」

イヴ「自分を自分たらしめるものを消すために」

フレデリカ「そうだよー。だから」

時子「辞めなさ……」

フレデリカ「押しちゃおっと。ポチっとな」
85 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:22:35.01 ID:8PMV4OlW0
36

大型ショッピングモール・2階・和風カフェ

ガシャーン!

雪乃「きゃっ……」

有香「……あれ?」

時子「無事なようだけれど」

イヴ「ダッシャー、お手柄ですぅ〜、よしよし」

フレデリカ「あらら、スイッチが〜」

ダッシャー「サンタが近くにいるのに撃つわけねェだろ。オレ様なら、そこらへんのカップで充分だ」

イヴ「スイッチは回収です〜」

雪乃「助かりましたの……?」

イヴ「あれ?」

フレデリカ「ざんねーん、偽物でした〜」

ダッシャー「チッ、ただのアホじゃねェのかよ!」

イヴ「そんな〜、待ってください!」

フレデリカ「待たないよ〜」

イヴ「そうだ、プレゼントをあげますぅ」

フレデリカ「悩みを解決できる?」

イヴ「それは難しいかもしれませんけど、お菓子ならありますよ〜」

時子「ポケットからクッキーが出て来たけれど」

フレデリカ「いらなーい」

有香「他にはないんですか!?」

イヴ「それじゃあ、昔話とか。むかしむかし、あるところに」

フレデリカ「うん。もういいよね」

雪乃「ま、待ってくださいませ!」

フレデリカ「待つのは損。それじゃあ、今度こそ!」

有香「わっ……!」
86 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:23:45.67 ID:8PMV4OlW0
フレデリカ「あれ?」

ダッシャー「間に合った!」

イヴ「コメット、流石ですぅ」

ダッシャー「逃げるぞ、サンタ!」

フレデリカ「え、そんなぁ……」

イヴ「プレゼントをあなたにあげましょう〜。顔をあげてください、宮本さんの娘さん?」

フレデリカ「どうして、どうしてさせてくれないの?」

イヴ「次のクリスマスを差し上げます。きっと、父と母が御導きくださるでしょう」

フレデリカ「……意味わかんない」

イヴ「ゆっくりお話してみてください、愛しのお嬢さん。ダッシャー!」

ダッシャー「おら、よっと!」

イヴ「さようなら〜、メリークリスマス!」

有香「2階から飛び降りましたよ!?」

雪乃「無事みたいですわ」

有香「やはり、只者ではありませんね……」

フレデリカ「クリスマス……?」

時子「この子はなんか呆然としてるけど」

雪乃「そういえば、ケータイは……ありましたわ」

コメット「君達!」

雪乃「コメットさんですわ」

コメット「3階に上がれ、いいな!」

雪乃「えっと、どうしてですの?」

時子「行ってしまったけれど」

有香「メガネ屋さん達はエスカレーターで上に移動してますね」

マキノ「は……上……!」

雪乃「何か言ってますけれど……」

時子「マキノが焦ってるなら、急いだほうがいいわ」

有香「押忍!雪乃さん、行きましょう!」

フレデリカ「話……?」

時子「フレデリカ、行くわよ」

フレデリカ「なんで?」

時子「知らないわよ。貴方も助けようとしてたんだから、私がそれを辞める理由はないでしょうが!」

マキノ「追いついたわね!」

雪乃「何があるんですの?」

イヴ「ルドルフ!先陣を切ってください〜」

マキノ「あいつら、脱出用の爆弾を1階で爆発させるつもりよ!」
87 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:26:35.39 ID:8PMV4OlW0
37

高峯探偵事務所

のあ「……」

真奈美「……」

志保「スイッチは押したのに……」

久美子「爆発しないということは」

菜々「間に合いましたぁ!」

志保「ナナさん、やりました!」

菜々「志保ちゃん、ナナ、涙が出てきそうです」

真奈美「ファストフード店の調理施設の中とは」

のあ「チョコレートショップの近く、真上だった」

久美子「なおかつ同じ設備があるのね」

音葉「しかも……温度が低い場所でした」

真奈美「宮本フレデリカは知っていたわけか」

のあ「だから、複雑な場所に隠すことができた」

音葉「素晴らしい耳でした……電話越しではわかりませんでした……」

ヘレン「グレイト。望月聖、礼を言うわ」

聖『どういたしまして……』

ヘレン「コメットというトナカイは」

聖『下に行っちゃった……』

久美子「脱出するつもりよね?」

音葉「そうだと思います……連絡を」

聖『ゲーム……続けていいかな……?』

のあ「ゲーム中毒は良くないわ」

真奈美「のあが言えることか?」

ヘレン「少しだけ我慢してちょうだい。また、会いましょう」

聖『うん……』

ニャーニガニャン……

のあ「雪乃から電話が来たわ。雪乃、無事かしら」

菜々「マスター、ご無事ですかぁ!?」

雪乃『大丈夫ですわ!それより、お知らせしたいことが』

のあ「言ってみなさい」

雪乃『脱出用の爆弾を爆発させるそうですわ!皆様と3階に避難しておりますの!』

ヘレン「私から警察に連絡するわ。久美子、対策本部につなぎなさい」

久美子「わかったわ!」
88 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:31:12.02 ID:8PMV4OlW0
ヘレン「屋上の脱出もないでしょう」

のあ「雪乃、人質は無事かしら」

雪乃『皆さんご無事ですわ』

のあ「もう少しだけ我慢してちょうだい。子供もいるようだから、皆を頼むわ」

雪乃『わかりましたわ。また、かけ直しますわ』

のあ「ええ」

ヘレン「正攻法でくるわ。爆発に驚かずに、冷静に対処を。日本のポリスなら出来るでしょう?」

ドーン!

菜々「爆発しました!?」

のあ「爆発音はどこから」

音葉「正面駐車場の装甲車です……囮だったのですね……」

真奈美「脱出経路は裏からか!」

久美子「警察は人員を移動中!」

ヘレン「サンタクロースは派手なギミックを好むわ。まだ、何かあるはず」

音葉「派手……」

真奈美「裏側の戦闘車からも出てこないぞ?」

のあ「まさか、こっちも?」

ドーン!

久美子「まさかのそうみたい!爆発したわ」

真奈美「表でも裏でもないなら」

音葉「裏の爆発も囮……本命は表側です」

久美子「あっ!」

のあ「敷地を区切る壁が壊れてるわね」

真奈美「しまった、別の道が出来たぞ」

音葉「動きました……見えますか」

ヘレン「トレーラー……やるじゃない」

真奈美「運搬用のトラックか?」

久美子「搬入口って、あんな場所にあるのね」

のあ「軒下ね、死角になってた」

ヘレン「爆破した壁を突破したわ」

真奈美「このままだと」

菜々「隣のパチンコ屋さんに突っ込んでいかないですか?」

久美子「そうよね、それだと、あっ!」

ヘレン「最初の交通封鎖を回避する」

のあ「逃げ切れる自信がありそうね」

ヘレン「当然。何故ならこのヘレンが追うほどの大物なのだから」
89 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:35:07.32 ID:8PMV4OlW0
38

大型ショッピングモール・正面駐車場入り口付近・警察対策本部

亜季「おお、トレーラーが爆走しているであります」

留美「用意周到ね」

美波「警部補、どうしますか?」

亜季「追うでありますか?」

留美「追えないに決まってるでしょう」

美波「そうですか……」

留美「テロ対策班は?」

美波「ショッピングモールに突入準備中です」

亜季「その後、安全確認」

留美「了解。安全確認後に私達も中へ」

亜季「戦闘車は燃えているでありますが」

美波「燃え移ってはいないようです、安心しました」

留美「2台も無駄に出来るなんて、資金が潤沢なのかしら」

美波「犯人のトレーラー、止まったみたいですっ!」

亜季「テレビ局のヘリからの映像があそこに」

留美「トレーラー、後ろが空いてるわ」

亜季「つまり、瀬名殿の言う通り」

美波「分かれて離脱しました」

留美「バイクね、白バイ隊員に期待しましょう」

美波「はいっ、あっ、見えましたっ!」

亜季「既に一台は先行してるでありますな」

留美「しかも、路地裏。ルドルフは、赤鼻で道を照らすトナカイだものね」

美波「そんなところまでなぞらえて……」

留美「赤鼻のトナカイを、このために雇ったのなら」

亜季「この周辺を知っている人物の可能性が高いと」

留美「そういうことね」

美波「警部補、安全確認を開始したそうです」

留美「さて、やるべきことをやりましょうか」

亜季「了解であります」

美波「わかりましたっ」
90 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:36:20.57 ID:8PMV4OlW0
39

高峯探偵事務所

久美子「あらら」

ヘレン「フッ……」

真奈美「逃げ切り濃厚だな」

のあ「そのようね」

久美子「最初のトレーラーで大勢は決まってた」

真奈美「後は二輪車で各自逃走」

久美子「ルートは決めてあったのかしら」

真奈美「そうだろうな」

のあ「どれがサンタクロースだったのかしら?」

真奈美「わからない」

久美子「このバイク、もう乗り換えたのかしら?」

ヘレン「でしょうね」

のあ「事故とかはあるのかしら?」

音葉「報告ありません……」

ヘレン「爆弾の利用は」

久美子「ないみたい」

真奈美「正々堂々と逃げ切ったな」

音葉「ショッピングモールのシステム……解放されていますね」

ヘレン「高峯のあ」

のあ「ヘレン、何かしら」

ヘレン「この調査室は役目を終えたわ」

のあ「そう」

ヘレン「ヘレンの仕事は遂行されたわ」

真奈美「人質は無事だった」

久美子「被害は最小限に抑えられた」

のあ「目的は明らかになった」

ヘレン「解散としましょう。感謝するわ、のあ、真奈美」

のあ「どういたしまして」

ヘレン「それと、菜々と志保も」

菜々「いえ、お礼を言うのはこちらです」

志保「ありがとうございました!」

のあ「サンタクロースはどうするの?」

ヘレン「いつかまた会うわ、その時に」

真奈美「出てくるだろうな」

ヘレン「のあ、慈善事業はしているかしら」

のあ「しているけれど」

ヘレン「サンタと名乗る必要はないわ」

のあ「言いたいことがわからない」
91 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:38:55.38 ID:8PMV4OlW0
ヘレン「人を救う聖者のやり方なんて、幾らでもあるでしょう」

のあ「結論だけ言ってちょうだい」

ヘレン「近くにいるわ」

のあ「サンタクロースが?」

ヘレン「久美子、音葉、警察署へ戻りましょう」

久美子「わかったわ」

音葉「わかりました……」

ヘレン「最後に言っておくけど」

のあ「何か」

ヘレン「別にサンタだけを追ってるわけじゃないの。ヘレンの使命は多いのよ」

のあ「そんなこと思ってないけれど」

ヘレン「グッドラック」

久美子「あ、待って」

のあ「……」

菜々「行ってしまいましたねぇ」

志保「はい」

真奈美「なぁ、のあ」

のあ「どうしたの?」

真奈美「やっぱり、見逃してないか?」

のあ「誰が何を?」

真奈美「ヘレンがサンタクロースをさ」

のあ「かもしれないわね。でも、探偵には関係ないこと」

真奈美「そうかもしれないが」

のあ「私の依頼者は?」

真奈美「そこの二人だ」

のあ「雪乃を迎えに行きましょうか」

真奈美「そうだな。車を用意してくる」

菜々「それなら、ナナ達も」

のあ「真奈美と私で行ってくるわ。あなた達にはお願いを」

志保「お願い?」

のあ「食事の準備を」

菜々「もちろんですっ!」

志保「満腹至極フルコォスでご用意しますっ」

のあ「お願い。それにしても……」

菜々「何かリクエストでも?」

のあ「まゆ、遅いわね。帰ってきたら、出迎えてあげて」

志保「わかりました、マスターのことお願いします」

のあ「ええ」
92 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:41:45.61 ID:8PMV4OlW0
40

大型ショッピングモール・3階・メインロード

留美「店内に破壊された様子はなし」

亜季「空調は元通りのようでありますな」

美波「警部補」

留美「人質と話せそうかしら」

美波「一人を除いて」

留美「宮本フレデリカ?」

美波「はい。連れていかれてしまいました」

亜季「捜査官殿によると犯人グループと繋がっていたとか」

留美「いずれにせよ、詳細はこれからね」

ありす「あの……」

留美「新田巡査、こちらの方は?」

美波「橘さんです。お話を聞いても大丈夫だそうです」

ありす「刑事さんですか?」

留美「刑事一課の和久井です」

亜季「同じく大和であります」

留美「どうなさいましたか?」

ありす「イヴ・サンタクロースから、刑事さんに渡してほしいと言われました」

留美「そのバッグに?」

ありす「はい。少し重いのですけど」

亜季「爆弾でありますか?」

ありす「それじゃないと言ってました。紙だと思います」

留美「紙ね……大和さん、開けてみて」

亜季「了解であります。橘殿、お借りするであります」

留美「体調は大丈夫かしら?」

ありす「問題ありません。他の人も大丈夫です」

留美「サンタは刑事に渡してほしいと言ってたのかしら?」

ありす「はい。警察官、特に刑事さんに渡してほしいとか言ってました」

留美「理由については」

ありす「言ってませんでした」

亜季「警部補殿」

留美「何だった?」

亜季「メモがあります。どうぞ」

美波「ふむふむ……へ?」
93 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:42:46.14 ID:8PMV4OlW0
留美「寄付だそうよ」

ありす「寄付、ですか?」

亜季「中身は確かに紙でありますな、ただし現金であります」

ありす「お金だったんですか?」

留美「理由はわからないけれど」

美波「賠償金のつもりでしょうか?」

留美「さぁ」

亜季「どうするでありますか?」

留美「警察で適切に判断するわ。橘さん、ご協力感謝します」

ありす「どういたしまして……光栄です」

留美「後は警察の仕事よ。聴取の段取りは?」

美波「今日は連絡先と簡単な聴取だけとのことです」

留美「よくがんばったわね。今日はゆっくりお休みなさい」

ありす「そ、そんな、別に褒められなくても良いです」

留美「褒められるだけに値する行動を取ったわ、だから素直に受け取って」

雪乃「あら、和久井様」

留美「お疲れ様、体調は大丈夫かしら?」

雪乃「大丈夫ですわ。お気遣いありがとうございます」

留美「それは良かった。帰りはどうするの?」

雪乃「のあさんと真奈美さんが迎えに来てくださいますわ」

留美「そう、なら安心ね……あの子は?」

聖「〜♪」

雪乃「望月聖さんですわ。爆弾を見つけてくれましたの」

亜季「聞いているであります」

雪乃「ずっとゲームをしてますけれど、彼女も元気ですわ」

留美「みくにゃん?」

亜季「はい?」

留美「……まぁ、いいわ。大和巡査部長、新田巡査」

美波「はいっ」

留美「異常もないようだから、さっさと終わらせましょう」

亜季「了解であります」

留美「相原さん、落ち着いたら喫茶店に行くわ」

雪乃「まぁ、ぜひお待ちしておりますわ」
94 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:45:53.19 ID:8PMV4OlW0
41

幕間

とある路地裏

ルドルフ「あの白バイ諦めたかな、おっと!」

詩織「そこのバイク、止まりなさい」

ルドルフ「やれやれ、これはお手上げだね。ほら、止まったよ」

詩織「ルドルフと呼ばれていたトナカイですね……?」

ルドルフ「そうだよ」

詩織「与えられた任務は」

ルドルフ「逃走手段を考えて、皆を逃がすこと。成功したかな」

詩織「その通りですね……あなたがここにいること以外は」

ルドルフ「でも、俺はこれ限りだよ?情報もほとんど持ってないし」

詩織「わかっています……ですが、追った理由があります」

ルドルフ「理由なんてあるかな」

詩織「一番良いドライバーでしたから」

ルドルフ「え、勝負したいから追って来たの?」

詩織「私は……勝ちましたね?」

ルドルフ「うん、完敗だった。振り切れそうもなかった」

詩織「それで……満足です。失礼します」

ルドルフ「見逃すということは、誰かと繋がってる?」

詩織「さようなら……帰りは法定速度遵守をお願いします」

ルドルフ「助かっちゃったけど……やっぱり、悪いことなんてしないほうがいいね」

幕間 了
95 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:49:12.53 ID:8PMV4OlW0
42

高峯探偵事務所

まゆ「遅くなっちゃいました……」

菜々「まゆちゃん、お帰りなさいませ!」

まゆ「菜々さん、ただいま帰りましたぁ」

菜々「遅かったですねぇ、寄り道でも?」

まゆ「藍子ちゃんと歩いて帰ったら、こんな時間になっちゃいました」

菜々「友達とおしゃべりしながら帰るのっていいですねぇ。でも、のあさん達が心配しちゃうのであまり遅くなりすぎないでくださいね」

まゆ「わかりました。そう言えば、事件は解決したみたいですねぇ」

菜々「はい、マスターも無事でよかったです」

まゆ「雪乃さん、戻ってきたんですかぁ?」

菜々「はい。皆さん、お揃いです」

のあ「まゆ、お帰り」

雪乃「お邪魔してますわ」

まゆ「雪乃さん、ご無事ですかぁ?」

雪乃「ええ。ご心配をおかけしました」

菜々「さ、座っててください。もう少しでお夕飯の準備できますからねぇ」

まゆ「菜々さん、お手伝いしましょうか?」

雪乃「私も手伝いますわ」

菜々「これはお礼ですから、マスターもまゆちゃんも座っててください」

まゆ「それじゃあ、お願いします」

菜々「任せてくださいっ!志保ちゃん、盛り付けしましょうかー?」

雪乃「座っているのも、落ち着きませんわ」

のあ「堂々としてればいいのよ」

真奈美「のあみたいにふんぞり返ってみたらどうだ」

雪乃「こうでしょうか……?」

のあ「そこまでふんぞり返ってなんかいないわよ」

まゆ「真奈美さんもキッチンから追い出されてしまったんですか?」

真奈美「彼女達はプロだからな、私の出る幕はなかった」

のあ「デザート付きだそうよ」

まゆ「まぁ。楽しみです」

雪乃「菜々さんと志保さんには心配をおかけしましたわ」
96 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:52:43.09 ID:8PMV4OlW0
のあ「まぁ、慌てふためいていたけど、もう解決したことよ」

雪乃「そうですわね。改めて、ありがとうございました」

のあ「私は良い店子を失いたくなかっただけよ」

雪乃「協力してくださった、白菊さんと池袋さんを後日ご招待したいと思っていますの。皆様もお時間があったら、いかがでしょうか?」

真奈美「予定があえば参加させてもらおう。のあはどうだ?」

のあ「事務所にいる時は声をかけてちょうだい」

雪乃「新しい紅茶を振る舞いますわ。まゆさんもいらっしゃって?」

まゆ「はい、のあさんのお供をします」

のあ「雪乃、聞いていいかしら」

雪乃「はい」

のあ「どうして、サンタクロースはこんなことをしたと思う?」

真奈美「元は自分の爆弾ではあるが」

のあ「被害者も犯人も出さなかった。どうしてかしら」

雪乃「真意はわかりませんけれど、きっとクリスマスのためですわ」

まゆ「クリスマス?」

雪乃「穏やかなクリスマスのために、爆発が起こらない方が良いと決めたからだと思いますわ」

のあ「そのために立てこもり事件も起こして、大逃走劇をするかしら」

雪乃「どんな犠牲を払ってでも、しなければいけないと、思い込んでいたのかもしれませんわ」

のあ「狂信的ね」

雪乃「よほどの聖人か悪人でなければ、行動になんてしないと思いますわ」

真奈美「サンタクロースはどっちだ?」

雪乃「……私が決めてはいけないと思いますの」

のあ「そうかもしれないわね」

真奈美「ああ、裁くのはヘレンが捉えた時だろう」

のあ「法に基づいて処分されるでしょう、彼女の行為を裁くのは私達がしてはいけない」

雪乃「私もそう思いますわ」

真奈美「ショッピングモールで爆発事件は起こらなかったのは事実だ」

のあ「そして、起こしたことしか裁くことはできない」

雪乃「はい。それと、探偵の真似事をして思いましたわ」

まゆ「どうでしたか?」

雪乃「のあさん達を見てましたから、少し興味がありましたけれど」

のあ「そう」

雪乃「私には、向いていませんわ」

のあ「同感ね。可能ならば、ここでお店を続けてちょうだい」
97 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 22:54:26.94 ID:8PMV4OlW0
雪乃「もちろんですわ、こちらこそお願いいたします」

まゆ「当分は、美味しい紅茶には困らないですねぇ」

志保「みなさーん、出来ましたっ!」

菜々「乾杯の一杯も持ってきましたよぉ」

雪乃「菜々さん、志保さん」

菜々「マスター、どうしました?」

雪乃「これからも私と私のお店を、よろしくお願いしますね」

志保「もちろんですっ!一生懸命働きます、寝パフェ配達もします!」

のあ「……それはいらないわね」

雪乃「でも今は、無事に帰って来た主賓ですわ。もてなしてくださいますの?」

菜々「もちろんです!誠心誠意、ウサミンの全てを込めて!」

雪乃「ふふ」

菜々「ナナも少しだけ、シャンパンを……ふふふ」

のあ「いただきましょうか。改めてお帰りなさい、雪乃」

雪乃「ありがとうございます、のあさん」

菜々「みなさん、飲み物は持ちましたか?さぁ、乾杯しましょう!」

真奈美「ああ」

志保「ナナさん、乾杯の挨拶をお願いします」

菜々「わかりましたっ!のあさん達に感謝とマスターの無事を祝って、かんぱ〜い!」
98 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:00:15.25 ID:8PMV4OlW0
43

幕間



都心迷宮の奥

イヴ「今回は助かりましたぁ」

大石泉「……」

大石泉
雇われたハッカー。過剰に供えられたPCとディスプレイに囲まれている。

イヴ「若いのに凄いですぅ。そうだ、トナカイさんになりませんかぁ?」

泉「……」

イヴ「お断りですかぁ。じゃあ、質問させてくださいねぇ」

泉「……」

イヴ「どうして、あなたがショッピングモールをハッキングする必要があったんですか?」

泉「……」

イヴ「喋れない、わけじゃないですよねぇ?」

泉「声は出せるから……話せないだけ」

イヴ「今なら大丈夫です、お話しましょう?」

泉「……」

イヴ「……助けてあげられるかも」

泉「……」

イヴ「……弟さんも一緒に」

泉「え……?」

イヴ「だって、サンタですからぁ」

99 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:00:43.81 ID:8PMV4OlW0
桐生つかさ「おいおい、大事な従業員を困らせないでくれ」

桐生つかさ
P社の高校生社長。同年代に向けた仕事を同年代に与えている。

イヴ「もう少し二人で話していたかったのにぃ」

つかさ「泉に何を聞いてたんだ?」

イヴ「どうしてハッキングしたんですかぁ?」

つかさ「確かにアンタの依頼はそこまで要求してなかった」

イヴ「目的は」

つかさ「金になりそうなものを探してた」

イヴ「ありました?」

つかさ「ないな、汚職してる奴でも脅して警察に匿名で届けてやろうかと思ってたのにさ」

泉「……」

つかさ「ま、監視カメラの映像だけでも満足してもらえんだろ」

イヴ「誰が満足するんですか?」

つかさ「そりゃあ、アタシの雇い主に決まってんだろ」

イヴ「知ってますよぉ、古澤さんですよね?」

つかさ「なんだ、知ってるのか」

イヴ「はい〜。アナタだったら、交渉もしなかったと思いますよぉ」

つかさ「なんでだ?」

イヴ「爆弾は良い子にしか配らないとの約束でしたぁ。でも、違いました」

つかさ「アタシが見る目がないとか言うなよ。アタシが彼女を選んだわけじゃねぇから」

イヴ「え?古澤さんが悪い子に渡ったから、来てほしいって」

泉「……」

つかさ「だから、あの人が選んだんだよ」

古澤頼子「その通りですよ」

古澤頼子
ほぼ足音もなく現れ、みすぼらしい木のイスに腰を下ろした。
100 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:01:34.07 ID:8PMV4OlW0
イヴ「こんばんはぁ」

頼子「こんばんは。仕事の引継ぎが長引いて遅れてしまいました」

つかさ「監視カメラのデータは泉から貰ってくれ」

泉「……これ」

頼子「ありがとうございます。お二人とも報酬に上乗せしておきます」

つかさ「ありがとよ。アタシは帰る」

頼子「お疲れ様でした」

イヴ「古澤さん、どうしてあの子に爆弾と発火装置を?」

つかさ「じゃあな」

頼子「また、連絡します。理由を聞きたいのですか?」

イヴ「変えるために、本当に必要だったとは思えません」

頼子「なら、必要なかったのですよ」

イヴ「必要ない?」

頼子「爆弾がそこにあったから、間違えただけでしょう」

イヴ「……」

頼子「困り眉をしても意見は変わりませんよ。子供なんてそんなものでしょう?」

イヴ「そうかもしれませんねぇ。だから、止めに行ったんですぅ」

頼子「自爆してしまえば、楽になったのに」

イヴ「なんてこと言うんですかぁ、ちゃんと間にあいましたよぉ」

頼子「なら、見ましたか?」

イヴ「何を?」

頼子「縋るものを失った人がどうなるか、ですよ」

イヴ「そんなことありませんよぉ。今年は素敵なクリスマスになるんですから〜」

頼子「聖人のようなことを言うのですね」

イヴ「サンタクロースですからぁ」

頼子「そうでしたね。悪から資金を巻き上げるのも同じ気持ちですか」

イヴ「何のことですか?」

頼子「サンタクロースの組織は広範囲すぎます。資金の流れは完全には追いきれませんでした」

イヴ「私はお金なんて必要ないですよぉ?」

頼子「あなたが必要でなくても、多くの人が必要としています」

泉「……」

頼子「テロリストや独裁者に偽物の爆弾を送り付けて稼いだお金、どうするつもりですか?」

イヴ「もちろん、プレゼントを買うんです〜」

頼子「サンタクロース、救いを求める人は何時救われたいと思っていますか?」

イヴ「話題が変わり過ぎてついていけません〜」

101 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:02:49.84 ID:8PMV4OlW0
泉「……」

頼子「必ず助かるとして、それは何時だと思っていますか?」

イヴ「思っているのは、今です。いつもそうです」

頼子「その通りです、サンタクロース」

イヴ「でも、すぐには助からない人だっています。助けられない人も」

泉「……」

頼子「その時を、あなたが操作していいのですか?」

イヴ「何のことですかぁ?」

頼子「あなたがため込んでいるプレゼントは今この時に配られるべきです」

イヴ「そうは思えません〜」

頼子「あなたの資金が恵まれない子供を救うのです、不幸な大人となってしまう前に」

イヴ「まさか、こんな地下の部屋でサンタクロースを捕まえられると、思ってますかぁ?」

頼子「信頼していますよ」

イヴ「だって、どこから攻め……」
102 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:04:15.90 ID:8PMV4OlW0
44

泉「きゃあ!」

頼子「銃をイメージしましたか?」

イヴ「ちっ……矢、曲がってきましたか……何これ、鉄ですかぁ……」

頼子「冥途の土産は、自分で見つけてください」

泉「だ……大丈夫ですか!?」

頼子「泉さん、戻ってください」

泉「……でも、血が酷い……口からも」

頼子「もしや、あなたもサンタクロースから救われようとしましたか?」

泉「……そんなこと」

頼子「図星ですか。もう一度お願いします、戻ってください」

イヴ「戻った方がいいですよぉ、今は……」

泉「……はい」

頼子「一瞬で心臓だけは避けましたね、でも肺を貫いた矢は抜けない」

イヴ「サンタクロースを捕まえようとする……悪い子は、一杯いますから、反応が早いんですよぉ……」

頼子「あなたが死亡したことは、どのように連絡されるのですか」

イヴ「ブリッツェンに、任せてます……」

頼子「手間が省けました」

イヴ「聞きなさい……いいですかぁ……」

頼子「恵まれない子供を救った聖人のお言葉です、お聞きしましょうか、泉さん?」

泉「……」

イヴ「トナカイさん達に、手を出したら……」

頼子「出したら?」

イヴ「呪ってみせますからぁ……」

頼子「呪いですか。ふふっ、面白いです」

イヴ「それと……爆弾を与えてしまった、子供に……」

頼子「翠さん、慌ててどうしましたか」
103 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:05:37.97 ID:8PMV4OlW0
水野翠「……うるさいです」

水野翠
射手。姿すら見えない角度から彼女を射抜いた。しかし、表情は怒りに満ちている。

泉「……!」

頼子「せっかく、贖罪の言葉を吐こうとしていたのに。息の根を止めてしまうなんて、もったいない」

翠「こんな私達に言った所で、何の救いにもなりません!」

泉「……私が聞いてれば届けられたのに」

翠「サンタクロースなんてふざけた存在に、私が失敗するなんて!」

頼子「怒ってはいけませんよ、死者は労わるものです」

翠「くだらない存在ごときに、怒ってなんかいませんわ!」

頼子「なら、どなたに?」

翠「絶対に心臓を貫くはずだったのに、これでは失敗です!」

頼子「いずれは死にゆく状態でした、結果は出ています」

翠「結果がよければそれでいいのですか!?なんて甘い!」

頼子「……もちろん、そんなわけありません。水野翠」

翠「なんですか!」

頼子「お行儀の悪いこと。聞きなさい、よろしいですか?」

翠「はい」

頼子「あなたは失態を犯しました」

翠「……はい」

頼子「次は心臓を射抜きなさい。さもなければ、あなたを殺します」

翠「……わかりました。次は必ず、射抜きます」

頼子「精進なさい」

翠「稽古に戻ります。今日は申し訳ありませんでした」

頼子「完璧な結果で返してください。言葉など慰めにもなりません」

翠「はい。失礼いたします」

頼子「手のかかる性格で困りますね」

泉「この死体、どうするの……?」

頼子「あなたが処理してください」

泉「え……」

頼子「冗談ですよ、私は契約以上のことをあなたにさせるつもりはありません」

泉「……」
104 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:06:13.87 ID:8PMV4OlW0
頼子「服と矢は処理して、ダンボールにくるませて河川敷にでも放置しておけばいいでしょう。そうだ、ダンボールを装飾するのはいかがでしょう?沙紀さんに任せましょうか」

泉「……」

頼子「化粧師も来てくれるといいのですが……どうしましたか?」

泉「……2学期までには帰れるんだよね」

頼子「弟さんが助からなくてもいいのなら」

泉「……そっか」

頼子「期待していますよ。この都心迷宮の奥底なら、あなたを邪魔する人なんていないのですから」

泉「……」

頼子「今日は帰ります。欲しい物があったら言ってください」

泉「……わかった」

頼子「それでは、さようなら」

泉「さくらと亜子、ここまで来てくれないかな……なんて、ね……」

幕間 了
105 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:07:57.30 ID:8PMV4OlW0
45

数日後

高峯探偵事務所

真奈美「そうか。相原君がお礼を言いたがっていたよ、日本に来た時は寄ってくれ」

のあ「真奈美……は通話中ね」

真奈美「ああ、また会える日を楽しみにしている」

のあ「誰からかしら」

真奈美「ヘレンだった。のあは私に何か用事か?」

のあ「ヘレンから?用事は、私のケータイの居場所を探してる」

真奈美「ソファーに投げていたじゃないか」

のあ「あったわ。それで、ヘレンからは何?」

真奈美「イヴ・サンタクロースが遺体で見つかった」

のあ「……詳しく」

真奈美「殺害されて、身ぐるみをはがされてダンボールに入れて放置されていたらしい。ダンボールはカラフルに装飾されていた」

のあ「西川保奈美みたいね。関係あるのかしら」

真奈美「それはわからない。それと」

のあ「まだ続報があるの?」

真奈美「ブリッツェンというトナカイが自首した」

のあ「もしかして、サンタを殺したの?」

真奈美「違う。第一発見者で、この前の犯行を自白したらしい」

のあ「一度に二つ言わなくてもいいのに、警察も大忙しじゃない」

真奈美「しかも、元警察官らしいぞ」

のあ「三つねぇ、それは留美達がさぞかし困っているでしょうね」
106 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:10:12.01 ID:OjNBmYM70
真奈美「そうだろうな。しかし、殺害される意味がわからない」

のあ「トナカイ達と仲違いしたわけではないのね」

真奈美「そのようだ。殺害犯はトナカイにはわからないみたいだな」

のあ「それなら、爆弾を流していたブローカーがいるでしょう」

真奈美「トナカイは知らない、そう供述してる」

のあ「フム……」

真奈美「サンタクロースは死ぬべきだったか?」

のあ「言ったでしょう、法で裁かれるべきだったわ」

真奈美「だが、法では裁かれなかった」

のあ「私法で裁く人物が裏にいるのは事実よ。その目と対峙する覚悟はしておいて」

真奈美「わかってる」

のあ「ヘレンは元気にしてたかしら」

真奈美「いつも通りだった。これから海の向こうへ飛ぶそうだ」

のあ「相容れない境界線は引いていたなら、サンタに対する感傷にひたる理由もないでしょう」

真奈美「そうだな」

のあ「話は終わりかしら」

真奈美「宮本フレデリカは爆弾を入手したが、ブローカーが誰かを知らなかった」

のあ「解決はまだ先そうね」

真奈美「ヘレンの話はこれまでだ」

のあ「そう、イベントの結果でも見ることにするわ」

真奈美「お、前川君のサイン色紙が手に入るんだったな」

のあ「ええ、問題な、ほへっ、え?待って?どうして?」

真奈美「珍しいな、どうした?」

のあ「この数字、いくつ?」
107 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:11:37.26 ID:OjNBmYM70
真奈美「自分でわかるだろうに、これは……2だな」

のあ「嘘でしょう、なんで、おかしいわ、え、ちょっと待って、えぇ、そんなぁ……」

真奈美「動揺しすぎて、変な声が出てるぞ」

のあ「いえ、冷静になるのよ……私は頭脳明晰な高峯のあでしょう……」

真奈美「自称するのか」

のあ「いや、考えてみなさい、事件発生してからイベント終了まで最高難度のマスター++で理論値近く出し続ければ……」

真奈美「本当に冷静になったな」

のあ「更に10倍ポイントアップアイテムを使い続ければいけるわね」

真奈美「納得したのか?」

のあ「私よりも上手のプレーヤーがいただけよ。時間とお金、何よりもテクニックが私と段違いの素晴らしいプレーヤーみたいね」

真奈美「それは残念だったな」

のあ「ええ。HolyMoon1225さんは知らないみくにゃんファンだけれど、色紙を大切にしてくれることを祈るわ」

真奈美「聖なる月、クリスマス……気のせいか」

のあ「真奈美、ライブ映像でも見ましょう。素晴らしいみくにゃんとみくにゃんのファンが作り上げたものを」

真奈美「私は遠慮する。ところで、提案があるのだが」

のあ「何かしら」

真奈美「前川君のサイン色紙を私のツテで手に入れようか」

のあ「真奈美はここから追い出されたいのね、いいでしょう」

真奈美「すまない、いつもならしない失言だった。ここにはいさせて欲しい」

のあ「許すわ。発言には気をつけなさい」

真奈美「ああ。人の価値観なんてそれぞれだからな」

のあ「そう。人の悩みも違うわ」

真奈美「善意だって、誰かの悪になりうる」

のあ「悪をなしても、善の心はあるかもしれない」

真奈美「難しいな」

のあ「いつだって、人の世は難しいわ」

真奈美「そうだな」

のあ「だから、みくにゃんは聖なる道しるべよ。さぁ、一緒に見ましょう」

真奈美「結局、そこか……まぁ、今日は付き合おう」

のあ「真奈美がいるなら、やはり単独5thかしらね。いえ、ここはあえての合同ライブかしら……」

エンディングテーマ

The brightNess

歌 高峯のあ、木場真奈美、佐久間まゆ


製作 tv○sahi
108 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:15:34.14 ID:OjNBmYM70
次回予告

描かれたサインを辿り、都心という巨大建造物の奥へ滑り抜ける。

次回
大石泉「高峯のあの事件簿・都心迷宮」
109 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:17:44.17 ID:OjNBmYM70
オマケ

撮影終了後の一幕

イヴ「ヴィクセンはいませんかぁ〜?」

雪乃「お疲れ様ですわ」

イヴ「お疲れ様です〜」

雪乃「ヴィクセン役の方は見ておりませんわ。同じ更衣室も使っていないようですの」

イヴ「当たり前ですよぉ。だって、男の子ですからぁ」

雪乃「確かにどちらもいらっしゃる名前でしたわ」

イヴ「親戚のお姉さんがモデルだそうですよ〜。アクションのために男の子を配役したみたいですぅ」

雪乃「そうなのですね。イヴさんは、どうしてその方をお探しに?」

イヴ「それはもちろん、ナデナデするためですよぉ。ダッシャーもナデナデしてあげたのに、依怙贔屓はいけませんからぁ」

雪乃「仲がよろしいのですね」

イヴ「ブリッツェン〜、別の所を探しに行きましょ〜」

ブリッツェン「ブモッ」

雪乃「あら、本物のブリッツェンさんですわ。こんにちは」

ブリッツェン「ブモッブモッ!」

雪乃「まぁ、凛々しいお顔ですわね。イヴさんをお守りくださいな」

ブリッツェン「ブモモ!」
110 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:19:54.05 ID:OjNBmYM70
P達の視聴後

PaP「見たわね?」

CoP「見ましたけれど、具体的にお願いします」

PaP「私のイヴちゃんよ、ほーら、カワイイでしょう!」

CoP「カワイイが一番先なんですか、カッコイイとか凛々しいとかじゃなくて?」

PaP「そうね、でも最後はカワイイになっちゃうでしょ?だから、カワイイのよ!」

CoP「言わんとすることはわかりますが」

PaP「Cu君はそう思うでしょ、ね?」

CuP「ええ……同感です。まゆも最終的には愛しいが根源ですから」

PaP「ほら、あなた、少数派よ?」

CoP「別に否定しているわけではありませんが」

PaP「さーて、もう一度見ましょうか」

CuP「賛成です」

CoP「マジですか?」

PaP「イヴちゃんを見るべきところを見ているかどうか、先輩として指導しないとね!」

CuP「高森さんに影響されるかわいいまゆ……そうだ、新たな可能性を見つけないと……」

CoP「しまった、致命的に人選を間違えてたな、これは……」

おしまい
111 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:21:06.94 ID:OjNBmYM70
あとがき

せっかく真夏のクリスマスなので、
誕生日とクリスマスプレゼントが同じになってそうな人にお祝いを。

高峯のあの事件簿も折り返し。

次回は、
大石泉「高峯のあの事件簿・都心迷宮」
です。

それでは。
112 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/12(火) 23:22:00.01 ID:OjNBmYM70
シリーズリスト・公開前のものは全て仮題

高峯のあの事件簿

第1話・ユメの芸術
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472563544/
第2話・毒花
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475582733/
第3話・爆弾魔の本心
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480507649/
第4話・コイン、ロッカー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484475237/
第5話・夏と孤島と洋館と殺人事件と探偵と探偵
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503557618/
第6話・プレゼント/フォー/ユー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513078349/
第7話・都心迷宮
第8話・佐久間まゆの殺人
第9話・高峯のあの失踪
第10話・星とアネモネ
最終話・銀弾の射手(完)

更新情報は、ツイッター@AtarukaPで。
113 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2017/12/13(水) 00:06:14.77 ID:AbVsATT50
早めに考え始めた方が得なので、次回作の方向性を決めたい。

SFとホラーだったら、どっちがいいでしょうか
よろしければお答えください。

どちらでも主役のアイドルは演技派で1位に選ばれたあの人です。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 05:36:56.55 ID:KT0x3KYDO
今回も乙
SFは前にやったしホラーで
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 07:48:44.92 ID:xlk4O/81o

ホラーがいいですね…
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 15:50:48.60 ID:Zh+22a3po
どっちでもいいよ〰
楽しみにしてる乙
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 16:54:27.16 ID:7lBK3rXPO
主役があの人ならホラーで
過去のでかませ感あったのを取り返そう
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 17:58:35.75 ID:Zh+22a3po
頼子の暗躍ぶりもSFじみてるけどなw
ジャンルよりもこの雰囲気が好きだから
思うように書いて欲しいよ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 18:03:26.30 ID:NQY9Flr30
乙でした〜。今回も楽しかったっす。次も楽しみにしています。

自分もホラーに一票で〜。
120 : ◆ty.IaxZULXr/ [sage]:2017/12/14(木) 18:31:58.38 ID:0KIN5ay70
よし、ホラーで行こう。お待ちくださいな
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/15(金) 09:14:48.02 ID:QY+n+n0DO

ここの>>1の過去作って2014年辺りから始まった事件簿シリーズと7人組と今の事件簿でした?
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 02:05:28.20 ID:IFbm5jF0O
>>121
IMCGシリーズと文香の怪奇帳も

たしかずっと酉変えてないはずだから検索するよろし
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