パイロット「ロボット動け! 動け動け! 動けよぉぉぉぉぉっ!!!」ガチャガチャ

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:10:00.93 ID:baep1U0oo
パイロット「よし、準備万端!」

父「お前なら必ずエイ王国ロボットチームのエースになれる!」

父「ヴィー王国を叩きのめしてこい!」

パイロット「もちろん! そのつもりで訓練してきたんだから!」

母「私は手柄なんて望まないわ……生きて帰ってきてちょうだいね……」

パイロット「分かってるよ、母さん」

パイロット「じゃ、行ってきます!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514380200
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:12:59.07 ID:baep1U0oo
パイロット(今、エイ王国は敵国・ヴィー王国に対して劣勢であるという)

パイロット(だけど僕がロボットチームに加わったらそうはいかない!)

パイロット(必ず戦況を逆転させてみせる!)



兵士「誰だ!」ジャキッ



パイロット「!」ビクッ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:15:39.83 ID:baep1U0oo
兵士「何者だ!? 答えろ!」

パイロット「僕は……エイ王国ロボットチームのパイロットだ! ……新兵だけど」

兵士「貴様が……? 身分証は?」

パイロット「どうぞ」サッ

兵士「ふん、間違いないようだな」

兵士「ほう、ふむ……」ジロジロ…

パイロット「……」ゴクッ

兵士「なるほど、素質はありそうだ」

兵士「よし、ついてこい」

パイロット「はいっ!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:18:19.98 ID:baep1U0oo
兵士「すまない、待たせたな。最終調整に手間取ってしまった」

パイロット「いえ、おかげで心の準備ができました」

パイロット「これが……僕が乗るロボットですか」

兵士「そうだ。我が国の最新式ロボットだ」

兵士「あそこにコクピットがある。さあ、乗るがいい」

パイロット「分かりました!」

パイロット「パイロット、乗りまーす!」

兵士「いいから早く入れ!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:21:22.84 ID:baep1U0oo
コクピット内――

パイロット(中は……結構広いんだな。さすが最新式だけある)

パイロット(構造は……訓練で乗ってた戦闘ロボと似たようなもんだな)

パイロット(これならいける! 華々しい初陣を飾ってやる!)

パイロット「出撃!」ガションッ


シーン…


パイロット「あ、あれ?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:24:19.98 ID:baep1U0oo
パイロット「出撃します!」ガション

パイロット「しゅっぱーつ!」ガション

パイロット「出ます!」ガション

パイロット(なんで? このロボット全然動かないぞ?)

パイロット「動け!」ガチャガチャ

パイロット「動けよっ!」ガチャガチャ

パイロット「ロボット動け! 動け動け! 動けよぉぉぉぉぉっ!!!」ガチャガチャ



シーン…
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:27:29.43 ID:baep1U0oo
パイロット「どうなってんだ、これ……?」

パイロット(あ、もしかしたら燃料切れを起こしてるのかもしれないな)

パイロット「この通信機で……」ガチャッ

パイロット「すみませーん!」

パイロット「もしもーし!」

パイロット(通信機も繋がらない!? ありえないだろ、こんなこと!)
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:30:40.50 ID:baep1U0oo
パイロット「こうなったら外に出るしかない!」グッ…

パイロット「ふんっ! ふんっ!」グッグッ…

パイロット「出れない……」

パイロット(ロボットは動かない、通信できない、外にも出られない……)

パイロット「僕、どうすればいいんだぁぁぁ!?」

パイロット「動けっ! ロボット動け動け動け!」ガチャガチャ

パイロット「通信機、外と繋がれっ! 繋がれ繋がれっ!」ピッポッパッ

パイロット「ドア開け! 開けぇぇぇぇぇっ!」グググッ…


…………

……


パイロット「ダメだ……」

パイロット「なにかトラブルがあったのかな……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:33:50.37 ID:baep1U0oo
パイロット「仕方ない……腹をくくってこの中で過ごすしかないな」

パイロット「あ、テレビあるんだ。もしかして見られるのかな?」ピッ

<アナタガスキ! ボクモダヨ…

<スポーツチュウケイ…

パイロット「へぇ〜、テレビは見られるんだ」

<ナンデヤネン! アハハハハ…

パイロット「アハハ、面白いや」

パイロット(ただし、どれも専門チャンネルかなにかで、ニュースを見れないのは残念だけど)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:36:41.56 ID:baep1U0oo
パイロット「……」グゥ…

パイロット「お腹すいたなぁ……」

ウイーン…

パイロット「?」

『お食事デス。召し上がってクダサイ』

パイロット「わっ、食事が出てくるんだ!」

パイロット「どうもありがとう!」モグモグ…
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:40:36.61 ID:baep1U0oo
パイロット「あ〜……おいしかった」

パイロット「だけど、運動もしたいなぁ。運動しなきゃ太っちゃうよ」

ウイーン…

『このペダルを漕いでクダサイ』

『かなりのエネルギー消費にナリマス』

パイロット(へえ〜、運動までさせてくれるんだ)

パイロット「これなら体が鈍らなくてすみそうだ」ギコギコギコギコギコ

ギコギコギコギコギコ…
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:42:32.43 ID:baep1U0oo
パイロット「うーん……運動したら眠くなってきちゃった……」

『意識が途切れるまで、睡眠によい音楽と香りを流しマス……』

『お休みなさいマセ』

パイロット「うん……おやすみ……」

パイロット(至れり尽くせりだなぁ……これなら何日でも入ってられそうだぞ)

パイロット「ぐぅ……ぐぅ……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:46:38.17 ID:baep1U0oo
……

……

パイロット(あれからどのくらいの時間が経ったんだろう)

パイロット(この中は快適だけど、すっかり時間の感覚がなくなっちゃったよ)

パイロット(いつになったら、ここから出られるんだろう?)

パイロット(もし、一生ここに閉じ込められることになったら……?)ゾクッ…

パイロット「そんなの嫌だ!!!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:50:03.53 ID:baep1U0oo
パイロット「誰か! 誰か出してくれぇ!」ドンドン

パイロット「僕をここから出してくれぇぇぇ!」ドンドンドン

パイロット「せめて今、外がどうなってるのかだけでも教えてくれぇぇぇぇぇ!!!」



ウイーン…



パイロット「え……?」

パイロット(どんなに押してもビクともしなかった扉が……開いた)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:53:23.93 ID:baep1U0oo
兵士「お疲れ様」

パイロット「あなたは……僕をこの中に入れた兵士さん……」

兵士「中は快適だったかな?」

パイロット「はい、快適でした! ――って、そんなことどうでもいい!」

パイロット「戦争は!? 戦争はどうなったんですか!?」

兵士「戦争はもう終わったよ」

パイロット「終わった……?」

パイロット「よかった……エイ王国がヴィー王国をやっつけたんですね!」

兵士「いいや……勝ったのは我がヴィー王国だよ」ニヤッ

パイロット「……へ?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 22:56:42.29 ID:baep1U0oo
パイロット「どういうことだ!? なんだよ“我がヴィー王国”って!」

兵士「私はエイ王国の人間ではない。ヴィー王国の人間だったのだよ」

パイロット「な、なんだって……!?」

兵士「君が今まで乗っていたのは、見た目は戦闘ロボだが、中身は戦闘ロボではない」

兵士「中に入った者に、娯楽や休息を提供するための最新式ロボットだったのだ」

兵士「いくらレバーや起動スイッチをいじろうが、動くわけがない。ただの飾りなんだから」

兵士「あと、“最終調整”で中からドアが開かないようにするなど、色々細工もさせてもらった」

パイロット「……!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:00:20.63 ID:baep1U0oo
パイロット「どうして……どうして敵国の僕にこんなことを?」

兵士「君をこのたびの戦争に参加させないためさ」

パイロット「!」

兵士「私は一目見て、君のパイロットとしてのずば抜けた素質を見抜いた」

兵士「君は経験のない新兵とはいえ、単独で戦争の勝敗を左右しかねない逸材だ」

兵士「もし君をエイ王国のパイロットとして働かせてしまったら」

兵士「さすがにヴィー王国が負けることはないまでも、多大な被害をこうむっただろう」

兵士「だから、あのロボットの中に君を閉じ込めたのだよ。戦争が終わるまでね」

兵士「あの時、私が君と出会えたのは本当に幸運だった」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:03:14.87 ID:baep1U0oo
パイロット「なるほど……僕はまんまと敵国の罠にかかっていたというわけですか……」

兵士「そういうことだ」

パイロット「そして、あなたがたが僕が参戦しなかったエイ王国軍に圧勝した今」

パイロット「僕を処刑するために外に出した、というわけですね?」

兵士「何をいっている。戦争が終結した今、君を処刑する意味などない」

パイロット「……ふざけるなッ!!!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:06:16.45 ID:baep1U0oo
パイロット「父さん母さん、君主である王様や、仲間たちを殺されて」

パイロット「おめおめ生きていられるものかぁっ!」

パイロット「さぁ、殺せ! 早く殺せ! とっとと殺せぇっ!」

兵士「早合点はよしてくれ。君の両親は死んでなどいないよ。ほら」



父「息子よ、元気そうでなによりだ!」

母「生きてたのね、よかった……」



パイロット「え……?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:09:50.96 ID:baep1U0oo
兵士「ちなみに、エイ王国の王や重臣、兵士たちもほとんどが生きている」

兵士「エイ王国は降伏したが、今まで通りの自治はほぼ認める形での戦争終結となったからな」

兵士「証拠の映像を見るか? いっておくが合成映像などではないぞ」

パイロット「な、なんで……!?」

兵士「おそらく情報統制されていたのだろうが、エイ王国とヴィー王国の戦争は」

兵士「はっきりいって一方的すぎる戦いだった」

兵士「エイ王国軍にほとんどいいところはなく、降伏降伏の繰り返しだったのだ」

兵士「我が国としても、降伏した者をわざわざ虐殺する趣味はないしな」

兵士「いや、もう少し手こずっていれば、我々とて虐殺を行っていたかもしれないな……」

兵士「つまり、それだけ差があったということだ」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:13:20.00 ID:baep1U0oo
兵士「だが、もし君が参戦していたら――」

兵士「おそらく、君が乗る戦闘ロボはヴィー王国を大いに手こずらせ」

兵士「“あいつ一人でヴィー王国に勝てるんじゃないか”というところまで我々を追い込んだろう」

兵士「そうしたら、我々とてエイ王国を本気で憎み、戦闘員非戦闘員関わらず」

兵士「エイ王国民を虐殺していただろう。君のご両親の命もなかったかもしれない」

パイロット「そうか……もし僕が参戦していたら……」

パイロット「戦争を泥沼化させ、両国におびただしい犠牲を生んでたかもしれない……」

パイロット「そういうことですね?」

兵士「はっきりいおう。そういうことだ」

パイロット「ハハ……なんてことだ……」

兵士「……」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:17:21.77 ID:baep1U0oo
パイロット「感謝します……あなたのおかげで僕は史上最悪の死神にならずに済んだ」

パイロット「あれだけ訓練したのに、腕をふるえなかったのは残念ですが……」

兵士「いや、君には存分に腕を振るってもらいたい」

兵士「君を処刑したりせず、こうして生かしておいた理由もそこにあるのだ」

パイロット「どういうことです?」

兵士「大国シディ帝国のことは知っているだろう?」

パイロット「はい、強大な軍事力と科学力を備えた独裁国家ですよね?」

兵士「そうだ」

兵士「前々からシディ帝国はエイ王国・ヴィー王国の領土を密かに狙っていた」

兵士「そして戦争が終わり、両国に疲れが残る今、こちらに攻め込もうとしているのだ」

パイロット「なんですって……!?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 23:20:43.21 ID:baep1U0oo
兵士「シディ帝国軍は敵対する者に容赦しない。まさにウサギにも全力を出すライオンだ」

兵士「このままではエイ王国もヴィー王国もなすすべなく蹂躙されてしまうだろう」

兵士「だから頼む! 力を貸してくれ!」

兵士「エイ・ヴィー連合軍のエースパイロットとなり、シディ帝国と戦ってくれ!」

パイロット「願ってもないことです! 僕は必ずシディ帝国を打ち破ってみせます!」

パイロット「だから今度はちゃんと動くロボットを用意して下さいね」








― END ―
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 01:07:55.75 ID:96Dgc5t90
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 08:51:21.50 ID:7zkURl/Uo
星バーーーローーをちょっとだけ感じた
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/30(土) 19:49:36.45 ID:zWY6qMOy0
☆バーーーローー感あるな乙
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