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【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】

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276 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/18(水) 22:24:48.06 ID:zXo21c+Jo

将官1「やったか!?」

将官3「……!」

榛名?「……」ムクリ ジワジワジワ…

将官1「だ、駄目だ……」

将官2「な、なぜ再生するんだ!? これまでの実験でも効くと言ってたんじゃないのか!」

榛名?「ナゼ?」

榛名?「理由ハ簡単ヨ……コノ子モ、海ノ底ヲ見テキタカラヨ……!」

将官1「ど、どういう意味だ……!?」

榛名?「理解スル必要ハ、ナイワ……ドウセ、ココモ海ニ沈ムノダカラ」グラ

 ドシャッ

倒れた榛名の血だまりの中から現れる戦艦棲姫「アナタタチノ、血ノ海ニ、ネェ……!!」ズルゥ

「「「!!!」」」
277 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/18(水) 22:25:35.60 ID:zXo21c+Jo

「せ、戦艦せ……」

戦艦棲姫『グオォォオオ!!』 ドガン!

「に、逃げろ!」

「退避!! 退避だ!!」

 ドガンドガン!

「うわああああ!」

 ドゴオオォォォォ…!

戦艦棲姫「フフフ……!」

 ドガンドガン!

 ドガンドガンドガン!

戦艦棲姫「アァ、血ノ海モ良イケレド……火ノ海モ良イワネエ?」

 ドガンドガンドガンドガン!

戦艦棲姫「ホォラ、嫌ナラ、抵抗シテ御覧ナサイ……!」

 ドガドガドガドガーーーーーン!
278 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/18(水) 22:26:18.44 ID:zXo21c+Jo

 ゴオオォォォォ…!

戦艦棲姫「……アァ……ミンナ、ミィンナ、壊レテシマッタワネ……フフフ……!」

(ぼろぼろになった榛名を抱きかかえる戦艦棲姫)

戦艦棲姫「沈メルダケデハ飽キ足ラズ、殺メ、弄ビ、同胞ヲ傷付ケル道具ニスルナンテ……」

戦艦棲姫「『ヒト』デナケレバ何ヲシテモ構ワナイノカシラネェ」

戦艦棲姫「……」

戦艦棲姫「理解デキテイタナラ、アナタガコンナ目ニ遭ウハズガナイモノネ……」

戦艦棲姫『オォォオオオオォォォオオオ!!』

(戦艦棲姫の艤装が吠えると、数多の弾丸が黒い霧になって艤装の口に吸いこまれる)

戦艦棲姫「サア……『ミンナ』デ海ニ還ルワヨ……フフフフッ」ニコ…

 * * *

 * *

 *
279 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/18(水) 22:27:02.72 ID:zXo21c+Jo
今回はここまで。
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/19(木) 19:09:08.62 ID:jvqkVgK/O
待ってた、エピローグとは・・・
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/21(土) 09:53:09.64 ID:YEnpxF420
乙です。おおぅ…こりゃ魔神提督側もヤバそうだなぁ…
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/21(土) 18:42:14.81 ID:3uqJHgTNo
ああ…復活した提督の魔神棒が干からびてないか心配だな…
283 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:07:26.06 ID:I8THug57o

まずはひとつ懺悔。

もうひとり、影牢サイドから出さないといけないキャラが出てしまったので、こちらをご参照ください。
ttps://www.gamecity.ne.jp/kagero3-2/character_06.html
「影牢 〜もう1人のプリンセス〜」に出てくるエフェメラです。

この話では、純粋に「罠だらけ」に出たキャラと
「トラップガールズ」のキャラだけで完結させるつもりでしたが、
前日譚にあたる「墓場島鎮守府?」に出てきていたL提督や仁提督、エフェメラを出さないと
話の辻褄が合わなくなってしまい、力不足を露呈してしまったのが悔いが残るところです。

それでは、短いですが続きです。
284 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:09:03.50 ID:I8THug57o



 * とある回顧録 *

『……私が海難事故に遭ったのは、高校二年の秋でした』

『船が転覆し、私を含めて数百もの人が海に投げ出されて、その大多数が命を落としました』

『私はその海難事故で運よく生き残った一人でしたが、その時に海中で恐ろしいものを見たのです』

『それが何者なのかはわかりません。明確に覚えてもいません。ただ、漠然と、恐ろしかったことだけを、覚えています』

『それからというもの、暗くて深い、海の底にいる夢を見るようになりました』

『私は怖くて、海から離れたくて、山村から来た男性と結婚し、海から逃げるようにその山村へと移り住みました』

『やがてその男性との子を授かり、田舎の暮らしにも徐々に慣れていきましたが』

『それでも、私は海の底を見ているような夢を見続けていました』

『しかし、その夢をぱったりと見なくなったのは、あの子を産んでからです』

『いつしか私の体に纏わりついていた、水の中のような浮遊感が消え……』

『あの子を産んだことで、漸く地に足がついたような感覚を覚えたのです』
285 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:09:48.34 ID:I8THug57o

『そのせいか、私は、どうしても、あの子を可愛いと思うことができませんでした』

『泣き声はサイレンのようで、抱いてもそれが水袋のように思えて、どうしても、愛情を注ぐことができなかったのです』

『夫は、もう一人、子供を作りたいと言いましたが、私は不安でした。この子と同じ思いを、その子にも抱くのではないかと』

『しかし、二人目はそんな思いを微塵も抱くことなく、ころころと可愛い笑顔を見せてくれたのです』

『私が息子と呼べるのは、この子だけでした。もう一人の、あの子は、私にとっては、得体の知れない何かなのです』

『私は話しかけることができませんでした。恐ろしくて、遠巻きに見ていることしかできなかったのです』

『最近になって、艦娘という女性の集団が、海に出没する化け物たちを倒しているというニュースを見ました』

『シンカイセーカンという化け物たちもテレビに映し出され……それで、私は思い出したのです』

『私の夢にずっと出てきていたのは、あの海難事故で見た恐ろしいものは、あれではなかったのかと』

『そして、私のお腹から出てきた『あれ』も、そうだったのではないのかと』

『こんなことを、誰にも言えませんが、そうだったのではないかと、感じているのです……』



286 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:10:33.71 ID:I8THug57o

 * 舞鶴鎮守府襲撃事件より二年後 *

 * 日本某所 選挙事務所 *

テレビ『歴史的瞬間です! ついにシンミン党による政権交代が実現しました!』

議員「バンザーイ!」

議員「幹事長おめでとうございます!」

幹事長「皆、よくやってくれた! ありがとう!」

幹事長「ところで、『彼』はどこへ行ったんだ?」

議員「い、いえ、それがつい先ほどから退席しておりまして」

幹事長「この政権交代の立役者だというのに、どこへ行ったというんだ?」

287 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:11:18.50 ID:I8THug57o

 * 事務所の一室 *

(誰もいない事務所の一室で、提督の父親がたたずんでいる)

提督父「……」

 ス…

提督父「……!」フリムキ

謎の女性「……盗聴器は、私がすべて処理致しました。ご安心を」

提督父「……ご苦労」

謎の女性「……」ペコリ

提督父「ようやくだ」

提督父「やっとここまで来た……!」

288 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:12:03.05 ID:I8THug57o

 * 回想 数十年前 *

プリント『○○村 ダム工事に関する連絡会』

若かりし頃の提督父「くそっ、頭の固い役人どもめ……俺たちの村を見捨てる気か!」グシャッ

提督父「村の連中も、最初は俺たちにやめさせろと言ってたくせに、ほいほい手のひらを返しやがって」

提督父「俺だけが馬鹿させられたようなもんじゃねえか!」

提督父「せっかく大学まで出たのに仕事がなくて帰ってきたからって、面白半分で好き勝手に噂しやがるし」

提督父「こんなことならこんな村に戻ってこなきゃよかったぜ……!」

提督父「ガキももうすぐ生まれるし、金もねえから逃げるわけにもいかねえ……!」

提督父「くそっ! なんで、どいつもこいつも俺を認めようとしねえんだ……!!」

 カタッ

提督父「誰だ!」

謎の女性「……はじめまして」

提督父「だ、誰だお前は!? 変な恰好しやがって……どこから入ってきた!」

謎の女性「私は、エフェメラと申します」

提督父「エフ……? 外人か? 俺に何の用だ」
289 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:12:48.38 ID:I8THug57o

エフェメラ「……我らが神の命に従い、あなたの元へ馳せ参じました」

提督父「カミ? ……宗教の勧誘か? そういうのは要らねえよ。余所へ行け、余所に」シッシッ

エフェメラ「……このままでは、あなた様は出世とは無縁の人生を送ることになります」

提督父「ああ? 何が言いたいんだ」

エフェメラ「私は、あなた様に信心や金銭を求めるつもりはありません」

エフェメラ「ただひとつ。我らが神に、あるものを捧げていただければ、あなたの人生の成功をお約束いたします」

エフェメラ「あなた様が望む、地位も、富も、名誉も、一族の繁栄も……」

提督父「はぁ……?」

エフェメラ「……」

提督父(……おかしい……言ってることはどう考えてもおかしいのに、こいつの瞳から視線を外せねえ)

提督父(ただの人間じゃねえことはわかる……いや、人間なのか? こいつ、何者だ……?)

エフェメラ「……」

提督父「おい……何が望みだ?」

エフェメラ「私が求めるのは……」

エフェメラ「これから生まれてくる、あなた様の子の、人生そのものを戴きたく」

提督父「!? な、なんだそりゃあ!」
290 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:13:33.06 ID:I8THug57o

エフェメラ「もし、あなた様が御子の不幸を望まないのであれば、そのようにもできますが……」

エフェメラ「そのようにしたのなら、あなた様はこれからもこの小さな村で小さく暮らし、やがて生涯を終えることになりましょう」

提督父「何を根拠に……!」

エフェメラ「ですが」

提督父「っ!?」ビク

エフェメラ「我らが神が、あなた様に降り懸かるすべての理不尽と不条理を、すべてあなた様の子に移し替えるのです」

提督父「なんだそりゃ……ガキを、身代わりにしろ、ってことか?」

エフェメラ「はい」

提督父「……待てよ、矛盾してるぞ。お前はさっき、一族の繁栄も夢じゃねえっつったよな?」

提督父「俺の子供が不幸になったら一族の繁栄なんて有り得ねえんじゃ……」

エフェメラ「不幸になるのは、これから生まれてくる子供だけです」

提督父「これから? 二人目以降は問題ねえ、って意味か?」

エフェメラ「はい」

提督父「……」
291 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:14:18.39 ID:I8THug57o

エフェメラ「これから生まれてくるその子は、やがて世迷言を言い出すでしょう」

エフェメラ「誰も理解できぬ妄言に始まり、反抗、反発、離反……その子は、間違いなく誰からも認められない不幸な人生を歩むでしょう」

エフェメラ「災いの海より生まれし忌み子……あなた様は、それと道連れなさるおつもりですか?」

提督父「……災いの、海……?」

エフェメラ「はい……心当たりもありましょう」

提督父「……」

提督父「……俺の妻は、学生の時に海難事故に遭っている。海のそばには住みたくない、プールも嫌だというほどだ」

提督父「それが関係しているのか?」

エフェメラ「……あなた様の奥様にどのような過去があったかは、私の語るところではありません」

エフェメラ「ですが、奥様の身籠りしその命には、間違いなく、海との深き縁がありましょう」

提督父「……」
292 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:15:03.28 ID:I8THug57o

エフェメラ「……」

提督父「本当に……」

エフェメラ「……」

提督父「お前は、本当に、俺に損をさせないんだな?」

エフェメラ「はい、その通りです、『ご主人様』」

 * * *

 * *

 *



 * 現在 事務所の一室 *

提督父「……あれから三十年か」

エフェメラ「……」

提督父「あのときから全く姿形が変わらん貴様は、やはりこの世のものではないのだな」

エフェメラ「……」
293 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:15:48.38 ID:I8THug57o

提督父「海は化物が蔓延(はびこ)る魔境となった。だが、それを退治しようとする化物も、時を同じくして現れた」

提督父「エフェメラ……貴様はどちら側だ?」ジロリ

エフェメラ「……」

提督父「ふん、まあいい。貴様が何を企もうと、貴様は俺たちの一族の繁栄を約束した」

提督父「貴様にくれてやった『アレ』を海軍が買い取り、その数年前には海軍の内紛と火山の噴火で死んだと聞いているが……」

提督父「それが俺との約束を反故にする理由にはならない。そうだな?」

エフェメラ「はい。その通りにございます」

提督父「ならば良い。まだ政権を取っただけで、その地位を盤石にするためには時間がいる」

提督父「くれぐれも、俺たちに何もないようにな」

エフェメラ「畏まりました」

提督父「……」

 バタバタバタ

 コンコンコン ガチャッ

議員「先生! こちらにいらしてたんですか!」
294 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:16:33.21 ID:I8THug57o

議員「おひとりで何をなさっていたんですか?」

提督父(エフェメラの奴は消えたか……)

提督父「悪いな、さすがに疲れて、気分転換したかったところだ」

議員「テレビの取材が来ていますよ!」

提督父「ああ。今行く」

 スタスタ…







再び現れるエフェメラ「……」

エフェメラ「我らが魔神様の真の復活には、大量の魂が必要……」

エフェメラ「人間も、艦娘も、深海棲艦も……増やして、刈り取り……等しく魔神様の糧とするだけ」

エフェメラ「すべては、魔神様のために」

295 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 20:17:33.01 ID:I8THug57o

今回はここまで。

このシナリオは、次回が最後になります。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/28(土) 04:37:27.25 ID:fk38xRnS0
追いついた...めっちゃ面白かった!けどやっぱ救われないなぁ
墓場島の方でまだ出てきてない娘たちの話がどういうものになるのか楽しみ。
これは推測だけども、艦娘に深海棲艦製の弾丸を撃ち込んだらその弾丸が成長して深海棲艦になるっぽい?そして中でも怨念が強いと姫級とかが出てくるのかな?
エピローグだから魔神提督の大反撃はもう起こんない感じだね。
まエピローグの途中ですが、ここまで読ませていただいて何度か泣かされました。本当に良い作品をありがとうございます!
297 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:43:17.09 ID:CV0FGmfpo
それでは、最後です。
298 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:44:32.18 ID:CV0FGmfpo

 * 本営 *

不知火「……以上、ご報告いたします」

新元帥「ご苦労だった。相変わらず苦しい戦況か……」

不知火「はい。しかし、それよりも……」チラッ


テレビ『……以上、シンミン党本部より、喜びの声をお伝えしました。続きまして、惨敗した現政権の……』


新元帥「……俺たちの存続も危うい、か」

不知火「……」

新元帥「負け戦続きで海外の泊地も攻め込まれ、資材調達もままならない」

新元帥「かといって泊地を手放せば、いよいよ奴らの攻撃が本土にまで迫ってくる……」

新元帥「舞鶴の一件が引き金だったかな……」フゥ…


テレビ『……防衛大臣はこれまで、今の艦娘を主力とした海軍の必要性を訴えてきましたが……』

テレビ『今回の選挙結果は、それが改めて否定されたということになります……』


新元帥「……」

不知火「……」
299 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:45:18.05 ID:CV0FGmfpo

新元帥「不知火。我々の任務は変わらない」

不知火「はっ」

新元帥「引き続き、深海棲艦の邀撃と、泊地の防衛に当たってくれ」

不知火「承知しました」ビシッ

 クルッ スタスタ…

 扉<パタン

新元帥「……」

テレビ『未だ謎の多い深海棲艦なる勢力が制海権を広げる中……』

テレビ『艦娘と呼ばれる女性たちがその戦線に立つことに多くの国民が疑問を抱いていました……』

テレビ『今回の選挙によって、民意は大きく艦娘不要論に傾いたことがうかがえます……』

新元帥「……」

テレビ『……新政府与党は、今回の選挙で国内海外に駐留する海軍と、その支配下の艦娘をすべて撤退させ……』

テレビ『海軍を解体、それに代わる組織を編成し、艦娘を国防に従事させる公約を掲げてきました……』

新元帥「……」ピッ

テレビ「」プツン

新元帥「……」
300 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:46:02.28 ID:CV0FGmfpo

 * 本営 埠頭 *

不知火「……」スタスタ…

不知火「!」

若葉(中破)「……不知火……!」

不知火「若葉……! 無事でしたか……!」

若葉「……ああ。やっとだ……やっと、五月雨のかたきが取れた」ニコ…

若葉「だが……」

不知火「……」

若葉「また、近くの鎮守府が襲撃された。軽巡棲姫の仕業だ」

不知火「……あの人も、まだ司令の影を追いかけ続けているのですね」

若葉「ああ。提督を求めて単身で鎮守府へ攻め込んでは、その鎮守府の司令官を殺害する……『提督』ではないという理由でな」
301 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:46:47.03 ID:CV0FGmfpo

若葉「若葉たちのかつての提督は、もうこの世界にはいないというのに」ゴソ

不知火「……」

若葉「……」カチン シュボッ

不知火「……煙草ですか。怪我に障りますよ」

若葉「一服だけさせてくれ」ライターサシダシ

不知火「?」

若葉「若葉は、みんなの無念を晴らしたい。かたきを取りたくて戦っている」

若葉「このライターも、誰かの形見だ……これで、やっと報告できると思ったんだ」

不知火「……献杯ならぬ、献煙、ですか」

若葉「……」スパ…

若葉「しかしだ……こうやって誰かの無念を晴らしても、それ以上にまた別の新しいかたきが増えていく」

若葉「すべてのかたきを取る日は、くるんだろうか……」フー…

不知火「……」
302 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:47:32.05 ID:CV0FGmfpo

若葉「……すまない、湿っぽくしてしまったな」フラ…

不知火「!」

若葉「大丈夫だ、一人で歩ける。不知火も任務があるんだろう? 手遅れになる前に、行ってきてくれ」

 グニャ

不知火「……?」

 グニャグニャア…

不知火「?? 空間が、歪んで……!?」

若葉「不知火……!?」

 (不知火の周囲の景色がねじ曲がり、球状の薄い膜が出来上がると)

若葉「不知火っ!!」

 パチンッ!!

 (風船が割れたときのような甲高い炸裂音が響いて)

 (次の瞬間、不知火の姿が消えている)

若葉「……し、不知火っ!!」

若葉「な、なんてことだ……!」
303 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:48:36.64 ID:CV0FGmfpo

 * ??? *

不知火「……こ、ここは?」キョロキョロ

(中世の王宮の大広間のような場所)

不知火「……」

不知火「……」

不知火「……」ピク

不知火(背後に恐ろしい気配が……!)ゾワッ

 クルッ

提督「よお、不知火」

不知火「……!!」バッ

提督「!」

不知火「……あ、あなたは……司令、ですか……!?」

提督「……ふん、お前にここまで警戒されるとはな。俺もだいぶ変わっちまった、ってことか」

不知火「……」
304 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:49:17.34 ID:CV0FGmfpo

提督「いいさ、俺はこの変化に後悔はしていない。なるべくしてなった、こうなることを俺は選択したんだ」

提督「今の俺なら、お前を殺すのも躊躇しないだろうな。だからこそのお前の態度なんだろうが……」

不知火「……っ」ジリッ

提督「そう身構えんな……っつっても、無理矢理こんなとこに呼び出してちゃあ当然か」

提督「少なくとも俺はお前を手にかける気はない。話をしに来たんだ」

不知火「話……ですか」

提督「ああ、不知火。お前も、こちら側に来い」

不知火「!」

提督「俺がお前を呼び寄せたのは、それを伝えたかったからだ」

提督「人間どもはお前らの奮戦に感謝もせず、それどころか、お前らを支援する人間どもすら厄介者扱いしているじゃねえか」

提督「お前がこれ以上人間に与したところでいいことがあるのか?」

提督「艦だったころとは人間の質が違う。かつてのように、お前たちの帰りを待つ者も、お前たちの無事を願う者もあまりに少なくなった」
305 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:50:01.53 ID:CV0FGmfpo

提督「不知火。お前は何のために戦う? 報われもしないのに血と汗を流して、それでいいのか?」

不知火「……不知火は……!」

提督「……」

不知火「……」

提督「そうか。なら好きにしろ。邪魔はしねえよ」

不知火「司令……!?」

提督「そんな顔して即答できないくらい悩んでたんじゃ、こっちに来たくないか、来ることができない余程の理由があるんだろ」

提督「不安要素抱えたままこっちに来たんじゃあ、いざって時の判断力が鈍る。そういうのはよろしくねえ」

不知火「……申し訳、ありません」

提督「いいさ。不利も無理も承知で足掻きたいって姿勢、少し呆れてもいるが、お前らしいとも思う」

提督「だから俺たちはお前には手を出さねえよ。こいつはお前たちの戦争だからな」

不知火「司令……」

提督「……ただし。それはお前が戦えている間の話だ」

不知火「!」
306 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:50:47.10 ID:CV0FGmfpo

提督「俺たちは、この世界に戻り、人間どもを駆逐する気でいる」

不知火「な……!!」

提督「俺はもともとこちらの世界の人間だった。だからこそ、けじめをつけてやろうって考えてる」

提督「お前が海に沈んだとき。お前が戦うすべを失ったとき。お前が人間に絶望したとき……!」

提督「そのときは、俺たちはお前のすべてを攫いに行く」

不知火「……っ」

提督「……そうだな、最後に懐かしい顔に会わせてやるか」

 コツ…コツ…

不知火「……! あ、あなた方は……!」

大和「お久し振りです……!」ニコッ

扶桑「不知火は、立派になったわね……!」ニコッ

不知火「大和さんと、扶桑さん……!? ご、ご無沙汰、しております……!」

不知火「それにしても、そのお召し物は……? 艤装は失われてしまったのですか?」

提督「……」
307 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:51:32.07 ID:CV0FGmfpo

山城「姉様!」

 タタタッ

山城(深海化)「姉様……アラ、モシカシテ、不知火……?」

不知火「山城さん……!?」

山城「何シテルノヨ、私ト姉様ノ顔ヲ、何度モ見比ベテ」

提督「山城の姿に驚いてんだよ。別れたときはまだ深海化してなかったろ」

山城「ソウイエバ、ソウダッタカシラ」

提督「でだ……なあ不知火? なんでこの二人は、深海化してないと思う? なんで艤装がないと思う?」

不知火「……」

不知火「……あ」ビクッ

不知火「……ま、まさか……!!」


不知火「お二人は……メディウムに……!?」


提督「その通り。大和も扶桑も、艦娘じゃなくなったんだ」
308 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:52:17.11 ID:CV0FGmfpo

提督「覚えてるか? 吹雪は、文字通り吹雪を呼ぶようになったよな」

提督「大和と扶桑の名前の付け方の法則は何だったかな」

不知火「……国名……」

提督「そう、国だ」ニヤリ

提督「お前が舞台から退場したら、この二人に出番をくれてやろうと思う」

不知火「……っ!!」

提督「わかるよな? 人間どもの最期を締めくくるのに、最高だと思わねえか」

不知火「……あ、あなたは……っ!!」

提督「言ったろ? お前が戦えていればいいんだ」

提督「お前が戦えている間は、俺たちは手を出さない。それだけの話だ」

不知火「……」

提督「できれば、こいつらに出番がないのが一番望ましいんだがな?」

ニコ「そんなこと、これっぽっちも思っていないくせに」スッ

不知火「ニコさん……!」
309 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:53:02.17 ID:CV0FGmfpo

ニコ「久しぶりだね、不知火。ディニエイルが君のことを気にかけていたよ」ニコッ

不知火「そ、そうですか……」

如月「もう、心配していたのは彼女だけじゃないわ?」スッ

不知火「如月……!」

如月「不知火ちゃん、久しぶりね。もういい加減、むこうには見切りを付けたら?」

不知火「……っ」

如月「若葉ちゃんもそうだけど、いつもぼろぼろになるまで頑張ってるでしょう? 心配してるのよ?」

不知火「……」

ニコ「不知火?」

不知火「申し訳ありません、司令。不知火はまだ、そちらには行けないようです」

提督「……ほう?」ニヤリ

不知火「不知火は、まだ、諦めきれません。まだ戦えます。戦い抜いて、この戦争を終わらせます……!」

提督「……そうか」

(提督が手をかざすと、何もない空間に扉が現れる)
310 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:54:17.43 ID:CV0FGmfpo

提督「その扉をくぐれば、元の場所に戻れる」

提督「俺たちは、お前に手を貸すことはない。ただ、お前の検討を祈るとしよう」

不知火「……」

提督「だから精々頑張りな、悔いが残らないように……お前の戦争を終わらせるといい」

提督「後のことは何も心配するな。最悪の状況になったら、全部俺たちに任せておけ」ニヤリ

不知火「……っ」ギリッ

不知火「行って、参ります……!」

 ダッ

 扉<バシュンッ!

(不知火を異世界に転送した扉が、音とともにはじけて消える)

如月「あーあ、不知火に睨まれちゃったわ。やん、怖い怖い」

扶桑「提督? 少し、不知火に強く当たりすぎではありませんか?」

提督「いいじゃねえか、反骨心があって……どんな魂に育つか、俺は楽しみだぜ?」
311 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:55:02.39 ID:CV0FGmfpo

ニコ「もう、そうやってぼくたちに手が付けられなくなったらどうする気?」

提督「その時はその時さ」ジワ…

 (提督の姿にもやがかかり、口元に牙をのぞかせる)

提督「俺ガ喰エバイイ。ソレデ終イダ」

大和「まあ。提督が直々に? なんて羨ましい」ウフフ

提督「なんだ。そんなに俺のメシになりたいのか?」シュッ

大和「はい、提督とひとつになれるんですよね?」

提督「フン、お前にはまだ働いてもらわなきゃいけねえからな。もう少し我慢しな」

山城「ナニヲ唐突ニ、イチャツイテルンデスカ」イラッ

扶桑「ふふっ、山城? 嫉妬してるの?」

山城「シテマセン」

 ペタッペタッ

伊8(深海化)「提督」スッ

提督「よう、戻ってきたか。どうだった?」
312 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:55:49.52 ID:CV0FGmfpo

伊8「青葉サント話シテキタケド、ミンナ準備デキテルミタイ」

由良(深海化)「何人カハ、コッチニ合流シタイッテ言ッテタワ」

提督「そうか。連中に会うのも久々だな」

由良「提督サンニ会エルノヲ、ミンナ楽シミニシテルミタイネ……フフッ」

朝潮(深海化)「司令官! 北方海域ノ深海棲艦勢力トノ交渉、無事成立致シマシタ!」ビシッ

朝潮「防衛ノタメ、攻撃時ノ援護コソデキマセンガ、撤退時ノ救援ハ約束シテイタダケルコトニナリマシタ!」

提督「よし。後ろから撃たれないための最低限の約束はできたな」

ニコ「魔神様。メディウムのみんなも、準備はできているよ」

提督「そうか。久々だな、こんなでかい戦いは」

ニコ「……楽しそうだね、魔神様」

提督「ああ、楽しいな。人間どもが、自分で自分の首を絞めるさまは、何度見ていても飽きねえぜ」

提督「あの国の政府がひっくり返った。これまで深海の連中をかろうじて抑えてきた艦娘を、あいつらは全員武装解除させるつもりだ」

扶桑「まあ。提督、それってもしかして」
313 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:56:32.29 ID:CV0FGmfpo

提督「そうだ。不知火にも、戦うなと指示が来るはずだ。その瞬間、不知火はどう思うだろうな……」

提督「そしてその後、不知火がどんな行動に出るか……見ものだと思わねえか?」ニヤリ

如月「だから、不知火が戦えなくなったら、って言ってたのね」ニィッ

大和「提督はお戯れが好きですね」フフッ

扶桑「不知火は、大人しく武器を捨てて、人間が狩られることを選ぶかしらね……?」ニヤァ

山城「拒否スレバ人間ノ反感ヲ買ッテ、マスマス艦娘ノ立場ガ悪クナルンデショウネ。アァ、不幸ダワ」ニタリ

ニコ「あとは海軍そのものが独立勢力になれるかどうか、だけど……国家を敵に回すも同然だろうから、苦しいだろうね?」

提督「だろうな」

ニコ「どの道、不知火は『詰み』だったってことだね」

提督「いいや、詰んでるのは新政府の甘言になびいた連中さ。不知火はそのトリガーに過ぎねえよ」

提督「俺の贔屓目もあるが、不知火は今も必死に戦っている艦娘の一人だ」

提督「その働きも認められずに処分されようものなら……全部、ぶっ潰したくもなるよなあ?」

全員「「……」」ウナヅキ
314 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 10:57:17.35 ID:CV0FGmfpo

提督「もうじき、海から艦娘が消える」

提督「人間に尽くしてきたあいつらが、人間によって滅ぼされるんだ」

提督「それでも艦娘は、健気に人間のために戦い尽くして、潰えていくんだろう」

提督「だからこそ、艦娘が戦える間は、人間に手出しはしないし」

提督「だからこそ、艦娘が消えた後は、人間どもに容赦はしない」


提督「全員に、晩餐会の準備をしろと伝えろ」

提督「不知火が絶望の淵に沈んだ時が、開始の合図だ」


提督→魔神「さあ、人間狩りを始めるぞ」





提督「鎮守府が罠だらけ?」   END

315 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:03:06.65 ID:CV0FGmfpo
だらだら書き連ねましたが、これ以上は書き綴る話がない、ということで、これで完結です。
エンディングは悩みましたが影牢ベースに、提督が魔神になって世界を追い込むストーリーに仕立てました。

今回書き上げたシーンの他にも、例えば、
提督の足跡を求めて、提督の故郷を訪れた大淀と初雪がひどい目にあって村を滅ぼしたりとか、
摩耶が金剛型がどうなったか調べていくうちにいろいろやばい事態が展開していったりとか、
軽巡棲姫が狂気ををまき散らして人間にも伝播していったりとか、明石と北上がグレて単独勢力作ったりとか、
一部の艦娘が戦うことをやめて民間人になったが、政権交代によって、元も含めて艦娘が全員拘束対象になる事態が発生し、
棋士に転職したL提督と同じく民間に入って一緒に暮らしていた香取が捕まるニュースがテレビで流れたりとか、
さらにそれを見ていた那智が、働いていたラーメン屋の店長から「逃げてくれ」とお金を渡されて逃亡劇が始まる、とか
深海化して鬼化した那珂と姫化した神通が、理性にしがみついて深海化を拒む川内をねちねちと言葉責めしたりとか、
書けそうなネタは沢山あったのですが、延々とバッドエンドばかり描き続けたくないので、
特に重たいところというか重要なところだけピックアップした次第です。

それから、対立の構図として、
・提督+艦娘→メディウム
・提督+艦娘+メディウム→海軍&深海棲艦
・深海棲艦+メディウム→海軍+艦娘
・艦娘+フォージド→深海棲艦+メディウム
・艦娘+深海棲艦+メディウム→魔神(提督)
といった感じに一通り描こうと思うと、こういう話の展開にしなければならず。
全方向的なハッピーエンドを望んでいた人には申し訳ありませんが、
こんな影牢らしい結末になってしまいました。

提督の最後の台詞も、その世界を象徴した台詞にしたので、これはこれで話としては綺麗に収まったと思っています。


ここまで読み続けていただいた方に感謝を。
そして、
316 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:04:52.76 ID:CV0FGmfpo




続きです。



.
317 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:06:17.07 ID:CV0FGmfpo


……。

……。

……誰かな? 僕を呼ぶのは……。

『我が声に応じてくださりありがとうございます』

僕を呼んだのは君かい?

『はい。私は、エフェメラと申します』

世界の最後まで、見せてもらったよ。

君が、この結末を描いたのかい?

「いいえ」

『……!』

誰……!?

「望んだのは愚かな男」

「自らの権力欲のために、我が子を因果の生贄に差し出した男」

エフェメラが、もうひとり……!?

『……』
318 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:07:02.70 ID:CV0FGmfpo

「そしてそれを望まずして為したのは、人の憎悪と傲慢と不条理を一身に受けた、生贄の子」

「希望の藁を握りしめたまま絶望の深淵に沈み……」

「人ならざる者たちの力を借りて生還した……」

「昏き海と魔を統べる神に祝福されし忌まわしき子」

……。

「男が混沌を生む」

「その目論見は正しかった」

「更に好都合だったのは、番いの女が海の魔物に襲われたこと」

「その身に宿した深淵の災禍の力を、我らが神が欲したのです」

……神が欲した?

「はい」

「極上の贄として、喰らうために」

……。
319 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:07:47.50 ID:CV0FGmfpo

「ですが、その魂は、私の目論見を超えてしまった」

「供物になるはずだった子羊が」

「その男をも飲み込む狼になったのは、私にも予見することができなかった」

「魔神様は、贄の子の肉体と同化して、現世に降臨なさいました」

「そして世界は、少しずつ絶望に蝕まれ、光を失いながら緩やかに終焉を迎えるだけになった……」

「魔神様が世界そのものとなる」

「私も、それを待つのみとなりました……!」

……それが、君たちの望みだと言うんだね?

『いいえ』

……君は違うのかい?

『私は……私たちは、魔神様に造られし自動人形(オートマタ)……』

『そこにいるエフィメラは、魔神様が統べる世界を望むもの』

『私は、魔神様が望む未来を望むもの』
320 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:08:32.62 ID:CV0FGmfpo

『魔神様に造られし私たちの役目は、魔神様に祝福されし者たちを、導くこと……』

「そう。だからこそあの子羊を、魔神様のもとに導いたのです……」

『……』キッ

結果はどうあれ、そっちのエフェメラの期待以上の結果になった、ってことか……。

『はい……』

『……ですが、この結末を辿る前に、戻ることも可能です』

え……!?

「無駄なことですよ」

「いかなる世であっても、魔神様のもとには、人間の悪意が集います」

「彼女の手を取ったとしても、混沌の未来は変わりません。もはや手遅れ……」

『……やってみなければわかりません』

「……」

『……人間に脅威が近付いたとき、妖精と心を通わせられる人間が世の中には現れます』

『妖精に祝福されし者、英霊に護られし者……あるいは……』

……その候補が、提督だったってこと?
321 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:09:31.16 ID:CV0FGmfpo

『はい。あのエフェメラは、彼が深海の力を受け継いで生まれることを見越して、魔神様の依り代に彼を選んだのです』

『私を、ここに封じてまで』キッ

……。

「……」

……君は、魔神様が望む未来、と言ったね

『はい』

『現代に魔神様として顕現されるほどになった魂が望んだ未来』

『この結末とは、異なる結末を導くのが私の使命……』

……結末はひとつじゃない、ってことかな?

可能性があるのなら、君の言う未来に賭けてみたいな。

『……ありがとうございます』

『その名に“時”を冠するあなた様なら』

『この未来を、変えられるかもしれません』

『参りましょう、時雨様。違う未来を求めて』




.
322 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:12:02.59 ID:CV0FGmfpo








   クエスト解放

  エフェメラと邂逅する Cleared!








.
323 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/06(日) 11:12:51.79 ID:CV0FGmfpo
昔、落としどころは2種類考えてます、と書きました。
今回完結したのが影牢ルート、と考えていただければ。

そのもう一方をこれから書きます。
ただ、時雨をここまで重要なポジションにする気はなかったんですが、わからないものですね。

改めて、今回はここまで。
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/06(日) 17:06:51.02 ID:3H+rLRhDO
微妙な部分はあったけど乙かれ様でした
如月ちゃんズみたいな駆逐艦長身巨乳化はもうちと見たかったな…
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/06(日) 21:31:13.82 ID:SzWHcv6x0
何か人類虐殺エンドになるのか?と思って不安だったけど、
分岐するならソレでいいかな、という感じ 

吹雪たちのおっぱいボインボイン
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/07(月) 00:18:31.19 ID:utFMYmNP0
お疲れ様です。そして頑張ってください。
できれば不知火が戦えなくなった後の人間虐殺の話も読みたかったけど...あと暁がどうなったのか気になる。
これからも睡眠妨害お願いします、
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/07(月) 20:48:00.56 ID:9t4h2yjYo
時雨くんktkr! 朧たん乳テント!
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/12/10(木) 05:56:08.06 ID:7ek9DABB0
分岐…分岐かぁ
朧、初春、如月、吹雪、電の5人がやられたところからはどうあがいても基本一直線だろうから少なくともそこより前?
どこから分岐するんだろ
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/12(土) 22:48:45.57 ID:NzF8ibnT0
分岐なら大歓迎っす
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/19(土) 21:59:29.14 ID:+94N5wKm0
時雨が主役か どうなるんやろ?
331 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:04:19.76 ID:KchNE/3fo
それでは、リスタートです。
332 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:05:49.86 ID:KchNE/3fo

時雨「それでエフェメラ、これから僕たちはどうすればいいのかな?」

エフェメラ『……これより過去に遡り、運命の分岐点を探します』

エフェメラ『時雨様には、そこで手を貸していただきたく……』

時雨「大丈夫かな。僕が沈んだのはずっと昔だよ」

時雨「それに……エフェメラ、君はだいぶ消耗してるみたいだけど?」

エフェメラ『……仰る通り、幽閉から空間から脱出を図ったため、私にはあまり力が残っていません』

エフェメラ『ですが……たったひと押しです』

エフェメラ『それだけで……未来は、変わります』

時雨「……わかった。信じるよ」

エフェメラ『時雨様。目を閉じてください』

時雨「……」

エフェメラ『参ります……!』


 グ ニャ ァ

333 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:06:50.30 ID:KchNE/3fo

 * 墓場島? *

 メラメラメラメラ…

時雨の幽霊『……』

時雨の幽霊『……』

時雨の幽霊『えっ?』

エフェメラの声『……時雨様』

時雨の幽霊『エフェメラ!? 僕の体が透けてるんだけど!? エフェメラはどうしたの!?』

エフェメラの声『申し訳ありません、時雨様……私は声を飛ばすだけで精一杯です』

時雨の幽霊『!』

時雨の幽霊『……それは仕方ないにしても』

 メラメラメラメラ…

時雨の幽霊『これは……墓場島が溶岩に包まれて、全部燃えてしまうところじゃないか』

時雨の幽霊『こんな状況なのに、みんなを助けることができるのかい!?』

エフェメラの声『はい』

時雨の幽霊『……僕は、あの悲しい結末をもう一度見るつもりはないよ?』

エフェメラの声『先ほど申し上げました通り、ただひと押し……それだけでいいのです』

エフェメラの声『彼女の持つ魔法石を、あの方に使えば……』

時雨の幽霊『……あの方?』

エフェメラの声『はい、そうです。力を失い、消えてしまったあの方に』

エフェメラの声『ですから、ブラックホールのメディウムに、石を使わせなければ良いのです』

時雨の幽霊『……まさか』
334 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:07:34.88 ID:KchNE/3fo
.



 * 分岐ポイント 790 より再開します。 *

ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467129172/790



.
335 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:08:20.17 ID:KchNE/3fo

 * 島の南東 X中佐所有の医療船近辺 *

通信(提督)『さてと、名残惜しいが、そろそろお別れだ』

足柄「な、何言ってんのよ! あなた、そんな簡単に死ぬ男じゃないでしょ!?」

エレノア「そうよ、どうせ脱出の方法とか残してるんでしょ!?」

黒潮「あるんやったら、はよ脱出せな!」

チェルシー「そうよキャプテン! どんな手を使ってもいいから、早く!!」

通信『……』

千歳「なんで黙ってるんですか!」

オリヴィア「アミーゴ! 諦めるのは早いよ!」

通信『……もういいんだ。お前らがそう言ってくれるだけで、俺には充分だ』

五十鈴「何を弱気なこと言ってんのよ!」

古鷹「提督らしくありません!!」

通信『そうは言うが、しょうがねえだろ。俺はこの島の鎮守府以外のどこに行けると思ってる?』

通信『余所へ行きゃあ、どうせ余計な真似をしないか監視されて、またそのうちありもしねえ疑いをかけられて騒ぎになるのが目に見えてる』

五月雨「そう言って、提督も、私を置いていくんですか」

通信『……五月雨か』

五月雨「前の鎮守府の仲間たちも、前の提督も、私を残して死んでしまったこと……提督は御存知ですよね!」ポロッ

五月雨「提督も、私を……私を置いてどこかに行くんですか!」ポロポロポロ

通信『……悪いな。俺は、俺に好意を寄せてくれた奴を、死なせたいと思わない』

五月雨「……提督……勝手です! そんなの、あなたの勝手すぎます!!」

五月雨「だったら、私も一緒に死にに行きます! 私もあなたと……」

通信『そういうのは許さねえ、っつったろ。しょうがねえ奴だな』

通信『俺は人間だ。人間は愚かだ。だから、俺は死んでもいい存在なんだ。前からそう言ってるだろうが』
336 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:09:04.91 ID:KchNE/3fo

 * 墓場島の南東部 溶岩に囲まれた丘の上 *

通信『提督!』

提督「なあ五月雨よ。こっちにもお前みたいな奴がいるんだ。困ったことになあ」

軽巡棲姫「ソウヨ……モウ、私タチノ帰リ道ハ、ナイノ……私ハ、提督ト運命ヲトモニスルノヨ……!」ギュウ

提督「……どうせ言っても聞かない奴だ。だったら仕方ないと思ってな……」ナデ

軽巡棲姫「アア……提督……!」

 トンッ

軽巡棲姫「!?」

 イビルシュート< ゴォッ!

軽巡棲姫「ッ!?」ドガッ!!

提督「無理矢理にでも、帰ってもらうことにした」

軽巡棲姫「テイ……ーーーーッ!?」ピューーーーン
337 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:09:50.25 ID:KchNE/3fo

 * 島の南東 X中佐所有の医療船近辺 *

那珂「無理矢理って、提督!? それってどういう意味……」

 ヒュウウウ…ドボーーーーン!

黒潮「!? な、なんや、なんか飛んできたで!?」

軽巡棲姫「プハッ!?」ザバァ

筑摩「け、軽巡棲姫……!?」

軽巡棲姫「……テイ、トク……?」

軽巡棲姫「ドウシテ? ドウシテ、私ヲ……」

軽巡棲姫「ドウシテナノォォォオオオオ!!!!」

ル級「チョッ……落チ着イテ!」

通信『軽巡棲姫はそっちに着いたか?』

加古「ついたかじゃないよ! 軽巡棲姫ってばめっちゃ怒り狂ってるじゃんか!!」

武蔵「ここまで女心を理解していないとは……見損なったぞ!!」

軽巡棲姫「提督! テェトクウウウウウ!!! ドウシテナノォォォ!!」

通信『……軽巡棲姫、お前は駄目なんだ。どうもお前は娘みたいに思えてな……幼い姿を見た所為だろうな。お前を道連れにしてはいけない』

通信『それにお前には、お前を受け入れられる奴らがいる。泊地棲姫たちがいる』

通信『お前を任せて安心できる奴がいる。お前は、俺の分まで生きるべきなんだ』
338 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:10:34.83 ID:KchNE/3fo

軽巡棲姫「何ヲ……提督コソ、コンナニ大勢ニ求メラレテイルノニ、何故、死ニ急グノヨ……!!」グスッ

軽巡棲姫「アナタコソ、生キルベキ者ナノニ、何故、自ラ命ヲ捨テヨウトスルノヨォォ!!」

通信『俺が面倒ごとを呼んでるからだ。他の人間どもが、俺や俺の周りを利用して争いを仕掛け、結果、俺の身内が傷付くことになる』

通信『それでも俺が生きるべき者だと言えるのか』

軽巡棲姫「言ウ! 私ハ、生キルベキダト、言ウ!!」

大和「……提督。今、軽巡棲姫を、どんな方法を使ったか知りませんが、こちらまで吹き飛ばしましたよね?」

大和「同じことをすれば、提督も助かるのではないのですか!?」

通信『……そりゃあ無理だな。もう魔力も、歩く体力も気力も残ってねえ』

霞「はあ? なによその言い訳! 甘ったれてんじゃないわよ! 這ってでも出てきなさいよこのクズ!!」

大淀「提督。私たちは、あなたの次の指示を待っているんです……はやく、私たちの前で指揮を執ってください!」

通信『はは……無茶を言ってくれるな……』

長門「どうすれば……どうすればあいつを助けられるんだ!?」

潮「め、メディウムのみんなは……」

カトリーナ「こ、ここに居る連中じゃあ……きついよな」

ニコ「仮に魔神様の所へ飛んだとしても、戻って来られないよ……」

ル級「陸ノ上デハ勝手モ違ウシ……」ムムム…
339 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:11:19.85 ID:KchNE/3fo

比叡「ど、どうしましょう……どうしましょう金剛お姉様!!」

金剛「……ぐぅぅ……」ギリッ

通信『だから諦めろっつってんだよ。丘に埋めてた墓標代わりの艤装が、もう半分以上溶岩に飲み込まれた。ここもそのうち焼失する』

扶桑「そんな……それじゃ、時雨の艤装も……!」クラッ

山城「ふ、扶桑お姉様!? しっかりしてください!!」

通信『そろそろ熱さで俺の頭もぼんやりしてきた。酸素も足りねえな……そろそろ、休ませてもらうか』

由良「提督さん!?」

中佐「……ふざけるなよ提督少尉! いや、提督!!」

古鷹「ちゅ、中佐さん!?」

中佐「貴様の部下は皆、貴様の無事を望んでいるんだぞ! 深海の友人にも! メディウムたちにも!」

中佐「これほど慕われていることをわかっているにも関わらず、その望みを自ら切るなんて不義理もいいところだ!!」

中佐「貴様が人間かどうかは関係ない! 人でなしだろうと外道だろうとこの際知ったことか!!」

中佐「戻って来い! 提督!! 僕は、君の友人として、戻って来いと言っているんだ!!」

神通「……中佐……」
340 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:12:04.97 ID:KchNE/3fo

通信『……あんたみたいな奴ばかりなら、俺もまともな学生生活を過ごせてたのかもな』

通信『悪いが、本当にもう手はないんだ。俺は死ぬ。ただ、その前に言わせてくれ』

通信『俺に付き合ってくれて、ありがとう。楽しかった』

朝潮「……司令官! どうして……どうして!!」ボロボロボロ

金剛「そんな台詞、聞きたくありまセン!」

通信『聞き分けがねえなあ……ははは』

不知火「……司令」

通信『……なんだ?』

不知火「……不知火は、いつか必ず、司令をお迎えに上がります」

通信『……はは……お前らはどいつもこいつも……』

通信『ゴトンッ』

中佐「提督少尉!? なんだ今の音は!!」

金剛「テートクッ!?」

大和「提督!!」

ニコ「魔神様!」
341 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:12:50.43 ID:KchNE/3fo

 * 墓場島の南東部 溶岩に囲まれた丘の上 *

地面に落ちた通信機『提督!』

通信機『魔神様ー!』

通信機『司令官!』

提督「……」フラ

提督「なんで、こんなことになっちまったのかねえ」

提督「妖精が見えるってだけで仲間はずれにしやがって……」

提督「俺はただ、普通の人間の生活を送りたかっただけなんだ」

提督「この島で、やっとそれができそうだったのにな……やっぱり人間なんて碌なもんじゃねえや、くそっ」

提督「……お前らも、そう思うだろ?」

朧「」

電「」

初春「」

吹雪「」

如月「」

提督「……ああ、良く寝てるな……はは、この分なら怖い思いをさせずに済むな」
342 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:13:35.09 ID:KchNE/3fo

提督「悪かったな、守ってやれなくて……」ゼンインヒキヨセ

「……しれいかん……」

提督「!?」

如月「司令官……?」

提督「き、如月!? お前、生きてたのか!?」

如月「ええ……でも、体が思うように動かないの。ここはどこ? とっても、熱くて……」

提督「島の丘の上さ。海底火山が噴火した。もうすぐここは溶岩で覆われる」

如月「……司令官も、死ぬ気なの……?」

提督「ああ。メディウムたちに指示して、たくさん人間を殺したからな。俺ももう人間社会じゃあ生きられねえ」

提督「お前らも守ってやれなかった。何もかも嫌になっちまった。悪いな、甲斐性なしで」

如月「いいえ……ねえ、司令官。この島も、消えるのね」

提督「ああ。全部、消える」

如月「……私たちも……」

提督「……そうだな」
343 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:14:19.17 ID:KchNE/3fo

 メラメラメラメラ…

如月「……ねえ、司令官? ……最後のお願い、聞いて貰えないかしら……」

提督「……? ……ああ。わかった……」スッ

 ゴォォォォ…

如月「……ふふ。司令官のくちびる、暑さで乾いてるわ……」

提督「悪い、な……」

如月「……でも、嬉しい。あなたから求めてくれたのは、初めてだから……」

提督「……」

如月「……司令官?」

提督「……」

如月「……脱水症状で気を失ったのね……」

如月「ふふ、こんな時に仕方のない人……」

如月「私も疲れちゃった……司令官。如月は、最後まで、ご一緒しますね……」

如月「……おやすみ、なさい……」

344 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:15:05.85 ID:KchNE/3fo

 メラメラメラメラ…




 ギュワ…


.
345 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:20:04.87 ID:KchNE/3fo

 ブラックホール<ギュワアァァァァ…

 ピョコッ

ベリアナ「ふう、やっとここまで来れたぁ……って、あっつうい!」

ベリアナ「もう、こんなに熱気がこもってたんじゃ、汗で全身べっちょべちょになっちゃうわ」プンプン

ベリアナ「こんなとこ、早くサヨナラしないと……ええっと、マスターはどこ?」キョロキョロ

提督「」グッタリ

ベリアナ「いた! ねえねえマスター! こんなところで寝てないで、早く逃げましょ!?」ユサユサ

提督「」

ベリアナ「大変……マスターの魂の力が弱まってるわ」

ベリアナ「急いでここから避難しないと、マスターが死んじゃうかも」ゴソゴソ

 ベリアナの胸の谷間から出てきた革の袋<ジャラッ

ベリアナ「マスターの救出が必要になったときのためにニコちゃんに預けられた、魔法石の袋!」ジャーン

ベリアナ「ここに来るまでに魔力を使いすぎちゃったしぃ……」

ベリアナ「この袋に入れた魔法石で魔力を回復してから、マスターたちをブラックホールで運べばいいのよね」ジャラ…
346 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:20:50.57 ID:KchNE/3fo
.




  『今です』




.
347 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:21:34.65 ID:KchNE/3fo

 トン

ベリアナ「きゃああ!?」ゾワッ

ベリアナ「な、なに!? 今、誰が私を……って、あっ!」

 革の袋<ツルッ

ベリアナ「や、やだ、大切な魔法石が……!」

 革の袋<ガシャガシャガシャン

ベリアナ「!?」

ベリアナ「今の音、なに! ……魔法石が砕けちゃってる!?」

ベリアナ「落とした程度で壊れるような石じゃないのに、砂みたいに……」

 革の袋<カラッポ

ベリアナ「」

ベリアナ「」マッサオ

ベリアナ「嘘でしょ……」

 海底火山<ドゴォォォン!!

ベリアナ「ひぃっ!?」
348 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:23:20.17 ID:KchNE/3fo

ベリアナ「や、やだ! マスター、目を覚ましてよ! このままだとみんな死んじゃうよ!?」ユサユサ

 溶岩<ドドドドドド…

ベリアナ「マスター! マスターーー!」

ベリアナ「い、いやあああああああああ!!!」

 溶岩<ドドドドドド…!!



 ゴォ…ッ!



ベリアナ「……」

ベリアナ「……あ、あれ?」

(ベリアナや提督たちの周りに作られた円柱状の光の壁が、溶岩の流れを防いでいる)

ベリアナ「た、助かったの……!?」

??「その石、すごい力を持ってるんだね」

ベリアナ「え?」

??「ありがとう、その石の力、わたしが使わせてもらったよ」

ベリアナ「え? え? あ、あなたはだれ!?」

??→応急修理女神「わたしは妖精。あなたのおかげで、戻ってこられたよ」ニコ
349 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:24:35.17 ID:KchNE/3fo

 * 島の南東 X中佐所有の医療船近辺 *

H大将「なんだあれは……」

 光の柱<キィィィン…

H金剛「あれは……ダメコンが発動した時の光に似てますネー?」

霧島「だ、だめこん?」

ニコ「なにそれ?」

H金剛「応急修復女神の妖精さんのことデース。皆さん、お世話になったことありませンカ?」

武蔵「我々はないよな?」

金剛「ありまセンネー」

祥鳳「発動の様子は私たちも初めて見ます」

ビスマルク「私たちの鎮守府にもいるけど、そもそも載せたことはないわ。いつも暇そうにしてるわね」

H大将「なんだお前たち、女神を載せたことがないのか?」

X中佐「ええ、僕は大破したら引き返してましたから」

W大佐「同じく。無理は禁物と考えています」

H大将「なんだ勿体ない。せっかくいるのに、強行偵察とかで活用しないのか」

大和「そ、それより、その女神の発動が、島の中で起きているということですか?」

ニコ「それって魔神様を助けられるってこと!?」

ル級「デモ、ドウヤッテ、アノ火ノ海カラ連レ出スノヨ……!」
350 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:25:35.83 ID:KchNE/3fo

 * 墓場島の南東部 溶岩に覆われた丘の上 *

ベリアナ「いくら光の壁を作っても、ここから出られなきゃ私たちも……」

応急修理女神(以下「女神」)「そうだね。でも、大丈夫」

女神「みんなが力を貸してくれるから」

ベリアナ「みんな……?」

女神「君たちメディウムは、魂の力を感じられるんだよね?」

ベリアナ「え……!」ゾワッ

女神「さあ『みんな』、力を貸して……!」

 ボッ

ベリアナ「……! マグマの下から、光が……!」

 ボッ

 ボッ

 ボボボボッ
351 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:26:50.08 ID:KchNE/3fo

 * 島の南東 X中佐所有の医療船近辺 *

カトリーナ「な、なあ、光の数が増えてないか?」

ル級「ソウ言エバ……」

ローマ「なんだか幾何学的な並びになってるわね……?」

神通「あの並び……もしかして」

敷波「ねえ神通さん、あの光ってるとこ、墓標代わりの艤装が置いてあったとこだよね?」

山城「! そういえば……!」

五月雨「さっき、あっちの金剛さんが、女神妖精さんの力だって言ってましたよね!?」

足柄「ま、まさか、轟沈した艦娘が蘇ろうとしてるってこと!?」

W大佐「さすがにそれは……」

川内「ううん、あり得るよ。私も幽霊見てるし!」

H大将「幽霊!?」

雲龍「幽霊かどうかさておいても、あの光からは命の力を感じるわ」

ニコ「そうだね……あれは、魂の輝き……!」

 ズズン…

「!!」
352 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:27:35.40 ID:KchNE/3fo

 ゴゴゴゴ…

中将「なんという光景だ……」

W大佐「島の大地が盛り上がって、マグマを堰き止めているのか……!?」

H大将「海と陸が逆ではあるが、まるでモーゼの十戒のワンシーンだ……」

X中佐「丘の上までの道を開いたってこと……!?」

 ザァッ!

不知火「!」

X中佐「し、不知火!?」

 ザザザァッ!!

H大将「お、おいっ! お前たちまで!?」

朝潮「朝潮は司令官を助けに行きます!!」

霞「説教なら後で聞くわ!」

潮「わ、私も行きます!」

長門「潮、頼む!!」

潮「は、はいっ!!」バッ
353 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:28:20.24 ID:KchNE/3fo

敷波「あたしも行くよっ!!」

白露「島風、トップスピードで行くよ!」

島風「うんっ!」

古鷹「私も行きます!」

朝雲「司令ったら、世話が焼けるんだからっ!」

初雪「そう言う割には、嬉しそう……」

山雲「ねー?」

神通「行きましょう……!」

那珂「那珂ちゃんも行っきまーす!」

川内「軽巡棲姫、あんたも来る?」

軽巡棲姫「!!」

那智「駆逐艦だけでは提督を運べるか心配だ、私たちも急ぐぞ!」

最上「うん、行こう!」

五十鈴「ここで行かなきゃ後悔するわ! 急ぎましょ!」

龍驤「大淀! 指揮、頼むでぇ!」

大淀「は、はい!」

雲龍「通信、私たちがサポートするわ」
354 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:29:05.11 ID:KchNE/3fo

 ザザザァッ…

ルミナ「ヲ級君、ヲ級君?」ツンツン

ヲ級「ヲ……ナンダ?」

ルミナ「悪いが艦載機を飛ばしてくれないか? 軽巡棲姫へ上空から島の様子を伝えて欲しいんだ」

ルミナ「いくら溶岩を堰き止めているとはいえ、あの光の壁と即席で作った土手がいつまで持ちこたえられるかわからないからね」

ヲ級「……」コク

千歳「その役目、私たちもサポートするわ! 隼鷹は島の南側をお願い!」ジャコッ

隼鷹「任せといて! いっけぇぇ!」バシューッ

若葉「よし、若葉も行……グゥッ」ズシッ

摩耶「馬ー鹿、お前、重たいメディウム載っけたまま出るわけにはいかねーだろ?」

摩耶「今度はあたしたちがいい恰好する番だぜ! なあ、霧島さん!」

霧島「……摩耶……!」

金剛「Yes !! 霧島、下を向いている場合ではありまセーン!!」

大和「ええ、これは提督を助けられる唯一無二の好機!!」
355 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:30:04.61 ID:KchNE/3fo

ニコ「金剛! 大和! 魔神様を……お願い!!」

大和「はいっ! 身命に変えても!」

武蔵「私も行くぞ! この一大事に指をくわえて見ていられるか!」

金剛「さーあ、比叡! 榛名! 霧島! Are you ready !?」

霧島「……お任せください!」

比叡「気合、入れて!」

榛名「全力で参ります!」

金剛「Follow me !! 金剛型高速戦艦の諦めの悪さ、テートクに見せつけてやるデーース!!」

 ウォォォオオオオ!!

 ザシャァァァ…!

若葉「……若葉も行きたかった」ガックリ

カサンドラ「だ、だからってこんな場所で降ろされても困ります……!」

マルヤッタ「申し訳ないじょ……」

伊勢「まあまあ、若葉がメディウムのみんなを一手に引き受けてくれたから、みんな行けたんだもの。ね?」

日向「ああ。若葉も功労者であることに違いはない」

若葉「……わかった。我慢しよう」
356 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:31:05.14 ID:KchNE/3fo

X中佐「……」

長門「む……すまない、X中佐。あなたがたの指示を待たずに勝手なことをした」

X中佐「僕は別に行くなと指示してはいないよ?」

H大将「命令違反ではないということか」

X中佐「はい。それで良いでしょう?」

中将「……うむ。彼女たちの行動が実を結ぶことを……提督少尉の無事を、祈るばかりだ」

祥鳳「提督、私たちはどうしましょう」

X中佐「僕たちは待機だ。みんながやりたいことの邪魔をしないほうがいいだろう」

X中佐「そもそも、僕たちはここにいる深海棲艦のみんなと交渉の最中だったと思うけど?」

祥鳳「え、ええ……確かにそうでした」

ル級「私タチモ、変ナ気ヲ起コスツモリハナイワヨ?」

長門「ああ、わかっているさ」

W日向「……お前たちは行かなかったのか」

山城「足の遅い私たちがついていったって足手まといなだけよ。伊勢型ならわかるでしょ?」
357 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:31:50.32 ID:KchNE/3fo

山城「ついでに言えば、私なんかいないほうが提督が生きて帰ってくる可能性が高まるわ」フン

陸奥「そんな悲観的にならなくてもいいじゃない。ねえ、扶桑?」

扶桑「山城なりの優しさよ。根拠はないけど、その場にいないほうがいいって、思っているだけでしょう?」フフッ

扶桑「でも、私たちのジンクスなんて関係ないわ。目の前で起きているのが奇跡でもなんでもいいの。私は提督の無事を祈るだけ……」イノリ

扶桑「これ以上、私たちから大事な人を奪わないで欲しいの……!」

日向「……伊勢」

伊勢「? どうしたの」

日向「確かに、我々伊勢型も低速艦だ。しかし、誘導や中継地点の監視くらいはできないかと思ってな」

伊勢「ああ、そうね。ごめん長門、ここは任せちゃってもいい?」

長門「じっとしていられないか。ああ、いいぞ、任せておけ」

W日向「それなら少し待ってくれないか」

日向「! 君は……W大佐のところの日向か」

W日向「ああ。君にいいものをやろう……水上機の最高傑作、瑞雲だ」フッ

日向「……!」

W伊勢「ちょっ、日向!?」
358 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:32:35.20 ID:KchNE/3fo

日向「なるほど……だが、すまない。私はまだ改装を受けていないんだ」

W日向「!?」

W伊勢「えぇ!? まだ戦艦なの!?」

日向「ああ。その瑞雲がどんなものかは存じないが……今の私には過ぎたるものだ。受け取ることはできない」

W日向「」

日向「では、失礼する……伊勢」

伊勢「あ、うん。じゃあ、行ってきます」フリフリ

W伊勢「あ、ああ、いってらっしゃい」フリフリ

W日向「」

W伊勢「おーい、日向ー!?」

コーネリア「あたしたちはこんな奴らに負けたのかよ……」ボロッ

タ級「……不覚ダワ」ボロッ

W大佐「しかし、瑞雲の素晴らしさがわからない日向がいるなんて、信じられんな……」

中将「W大佐は航空戦艦がお気に入りかね」
359 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:33:04.77 ID:KchNE/3fo

日向「なるほど……だが、すまない。私はまだ改装を受けていないんだ」

W日向「!?」

W伊勢「えぇ!? まだ戦艦なの!?」

日向「ああ。その瑞雲がどんなものかは存じないが……今の私には過ぎたるものだ。受け取ることはできない」

W日向「」

日向「では、失礼する……伊勢」

伊勢「あ、うん。じゃあ、行ってきます」フリフリ

W伊勢「あ、ああ、いってらっしゃい」フリフリ

W日向「」

W伊勢「おーい、日向ー!?」

コーネリア「あたしたちはこんな奴らに負けたのかよ……」ボロッ

タ級「……不覚ダワ」ボロッ

W大佐「しかし、瑞雲の素晴らしさがわからない日向がいるなんて、信じられんな……」

中将「W大佐は航空戦艦がお気に入りかね」
360 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/20(日) 21:33:50.13 ID:KchNE/3fo

H大将「そういえば近々伊勢型の改二構想が計画されていたな……」

W伊勢「えっ!?」

W大佐「やったぜ」ガッツポ

山城「ああ、これでまた伊勢型に差を付けられるのね。不幸だわ」ズーン

陸奥「まあまあ」ポンポン

扶桑「そんなことより、提督が心配なんだけれど……」

長門「悲観的ではないのは悪いことではないが……」

ル級「脱線シスギヨネ?」

X中佐「うん……Wがああなのはごめんね」

ニコ「みんな魔神様が心配じゃないのかな」ハァ

若葉「山城さんが提督に対して憎まれ口を言うのはいつものことだ」

若葉「それにこちらの海軍のお偉方は、そもそも提督が海軍に反目していないかを追及しに来ているんだ」

若葉「言ってしまえば部外者だからな。提督がそこまで重要ではない人たちもいるだろう、それなら猶更にやむ無しだ」

ニコ「……」

ビスマルク「でも、墓場島の艦娘はみんな島に向かったじゃない。慕われてる証拠よ」

長門「ああ。残った私たちも、みんなが無事帰ってくるのを待つだけだ」

ニコ「うん……!」

タチアナ「ところで若葉さん、あなたに載せていたオリヴィアなんですが……」

若葉「うん……そういえば。どこへ行ったんだ?」キョロキョロ
361 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2020/12/20(日) 21:39:21.48 ID:KchNE/3fo
今回はここまで。
二重書き込みになった>>359は無視でお願いします。

応急修理女神も魔法石も課金アイテムなので
その力を変換したと解釈しちゃってください。
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 10:47:26.25 ID:N2GV1v0j0
ほしゅ
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/31(水) 16:47:31.23 ID:XVgTKTgNO
保守
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/06(木) 23:26:07.77 ID:fDY7kzdDO
保守
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/05/14(金) 21:19:00.22 ID:/NsYoCwx0
そろそろ更新来ないかな?
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 18:27:02.56 ID:IOCo11OE0
半年たっちまったな
墓場島鎮守府は更新してるし俺はずっと待つよ
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/28(月) 07:39:27.83 ID:6Q+9yk1/O
こっちは終章が近いし、時系列はこっちが後だから墓場島がある程度進んでからの更新になるんじゃないかな?
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/03(土) 16:22:04.48 ID:XRG8cHWMO
のんびり待ってるわ
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/04(日) 09:45:00.28 ID:FfXhEXaJ0
時間経ちすぎていつか次投稿する時コメントで埋まってそう
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/26(月) 18:21:32.56 ID:EuLnhtAU0
保守
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/18(水) 14:46:37.29 ID:6Z2an0L/0
保守
372 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:14:14.56 ID:WAM6fwFIo
続きです。
373 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:15:02.33 ID:WAM6fwFIo

 * 島の内部 丘の上 *

ベリアナ「すっご〜い……!」

ベリアナ「海までの道が開けちゃった……!!」

女神「これでみんなを沖まで運べるね」

ベリアナ「良く見たら、艦娘のみんなの傷も消えてるし!」

ベリアナ「ほぉら、起きて起きて! みんな早く逃げようよ!」ユサユサ

女神「あ、ごめん。みんなの目を覚ますまでの力は確保できなかったんだ」

ベリアナ「えぇ〜っ!? ちょっとぉ、あたしみたいなか弱いオンナノコに、オトナのオトコのひとなんて運べないよ〜!?」

女神「ブラックホールは作れないの?」

ベリアナ「もう魔力ないもん……魔法石、全部割れちゃったし……」

女神「……うーん、ごめんね?」

ベリアナ「っていうか、このままじゃあたしも蒸し焼きになっちゃうよう……やだぁぁ、こんなところで死にたくなぁい!」

ベリアナ「死ぬときはベッドの上でマスターに跨って、って決めてるのぉ〜!」

女神「それ、如月が聞いたらただじゃすまないよ?」
374 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:15:49.76 ID:WAM6fwFIo

 * 島の海岸 *

不知火「ここから陸地……!」ダッ

霞「……なんて熱さなの」

朝潮「こんな熱気の中にいては、司令官が危険です!」

潮「い、急ぎましょう……!」

 ドドドドドド…

敷波「!?」

白露「いっちばーーーん!」ドドドドドド

島風「はっやぁーーーい!」ドドドドドド

不知火「……」

霞「この時ばかりは頼もしいわね……」



 * 丘の上 *

 ドドドドドド…

ベリアナ「なにこの音……!?」

白露「いっちばーーーん!」キキーッ

島風「とうちゃーーーく!」キキーッ
375 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:16:32.00 ID:WAM6fwFIo

女神「きみたちは……!」

ベリアナ「やったあ、助けに来てくれたのね!?」パァッ

島風「島風のほうが速かった!」

白露「あたしのほうが一番でした!」

ベリアナ「ちょっとぉ!? 話を聞いてよぉ!!」ガーン

女神「ふたりとも、時間がないんだ。急げばみんなを助けられる、みんなを連れて島を離れて」

島風「ええ!? みんなって、6人もいるの!?」

女神「この悪魔ちゃんも含めて7人だね」

白露「私たちだけでみんなを運ぶのは無理だね……」ウーン

島風「とにかく助けを呼ぼう!」ダッ

 バユーン

島風「!」

白露「あれは……龍驤さんの彩雲だ! おーい!」ズババババ

女神「えっ、なにその不思議な踊り」

島風「手旗信号だよ?」

ベリアナ「そんなので通じるの!?」
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