【鬼滅の刃】貴方の刃【あんこ】

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324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 23:09:59.44 ID:S2Z4gzo8O
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 23:11:56.29 ID:YR6VXkG6o
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 08:53:26.61 ID:/XyuxfASO
乙の呼吸
327 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/04/14(土) 21:30:14.46 ID:85XnfYbio
チュン(週に二〜三回くらい更新を目標にします)
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:32:54.52 ID:FJSP1azpo
うい
329 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/04/14(土) 21:39:23.28 ID:85XnfYbio
>>325

あと何体いる?
子供を斬った。今の女を斬った。
それから、夜拌だった何か。
あと何体いる?聞いたとして答えやしないだろうが、交渉の余地はあっただろうか。

太陽「いいや、迷ってる場合じゃないか!」

うなずきと同時、全力でそこから駆けだした。音がしたり、気配がする方を探すためだ。
ばきばき、と木々が倒れる音が背後にしたが、新免が鬼を狩っているのだとすぐに分かった。明らかに戦闘音でしかない。
しかしおれが向かった方向には、敵らしき敵の気配がない。
なぜ、どうして?もしかして、もう何らかの術にかけられて……?

??「キキキ……」

太陽「!?」

笑い声のような物を耳にしてばっと振り返る。そこには、なんとも形容しがたい生物が突っ立っていた。

??「哀れだな、若輩者。我々鬼とは生きる時間も、生きる世界も違う」

??「永遠の生、永遠の美、永遠の愛……それらはこの体でしか得られぬと言うのに、どうしてそれを否定するのだ」

鬼、なのか。
すっかり痩せこけ、肋が浮き出ている浮浪者のような男がそこにいる。
既に衣服はぼろぼろで、胸元などはだけているなんてものではなく、はだけきってでろんと不気味な肌を露出している。
しかし、それでもまだ人型を保っていた。
目が、体が、言葉が、全てが狂気を孕んでいたが、それでも人型だったのだ。

この人もかつては人間だったのか。

鬼「書けど書けどもこの世は書き切れぬ、故に命を長らえた」

鬼「キキキ……!」

太陽「あなたは……」

鬼「ああそうだ、私の傑作を読ませてやろうか。確かここに……うん、私は何を書いていたのだ?いや、私は何をしていた……?」

太陽「……?」

鬼「ああ、悲しい!憎い!生きられるのに、なぜ生きたかったか、もう思い出せぬ!」



壱:速やかに斬首
弐:足を斬りつけ鬼の数を聞く
参:危なさそう。無視
肆:そのほか

下弐
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:40:02.64 ID:FJSP1azpo
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:59:24.62 ID:ZKjXJCiSO
>>1が来たのかしら 何だかドキドキしちゃう

安価は壱
332 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/04/14(土) 22:25:21.96 ID:85XnfYbio
>>331


だからどうした。
人間だったとして『今はもう鬼じゃないか』。
思い出せ。おれは何の為にここにいる。おれの思いはどこにある。全ての鬼を滅する、それがおれの願いだっただろう!

太陽「───」ちゃきっ

鬼「アアアア!憎い、辛い、もはやこの世は地獄でしかないのか!」

太陽「……すぐに楽にしてやるよ」


氷の呼吸
壱ノ型 寒声一叫


斬。

氷の呼吸は、初めから鋭すぎる剣術を目指していた。一撃で鬼を薙ぎ払えるように、一撃で地獄に送ってやれるようにだ。
その剣筋を「冷たい」と感じる鬼がいるほどにおれはこの剣技を極めた、とひとりそう思っている。
それだけの覚悟で剣を振っているつもりだ。

だと言うのに。


ごろんっ

鬼「か、カッ……は……あぁ、死にたく、ない……」

太陽「……」ちゃっ

鬼「生きるのは辛い……だが……」ぼろ

鬼「死ぬことも辛い……」ぼろぼろぼろ


この鬼が最期に語るのは、もはや鬼でもなんでもない。生物としての恐怖だった。
ほんの僅かに心を揺り動かされた。
かといって許せる訳がない。おれがこいつを許せるはずがない。それでもこの言葉に嘘偽りはない。鬼もおれと同じように恐怖しているのだ。そして、それから逃げるすべを得ただけ。

太陽「大丈夫だ。消えれば、つらさも無になる」

太陽「おまえが殺した人と同じように、無になる」

鬼「ああ………ぁぁ………あ………」ぼろぼろ……


刀からようやく手を離す。鬼の形が全てぼろほろと崩れて消えてからやっとだ。それまでは気を抜けない。……勿論、まだ敵が居ることに変わりはないので完全に脱力するわけには行かないんだけど。
気付けば後ろの方から聞こえていた戦闘音も無くなっていた。……新免さんは上手くやったのだろうか?不思議と心配はしていなかった。あの人が死ぬ未来が見えなかったからだ。

太陽「あと……何体だ……?」

太陽「まだいるのか……それとも……」



壱:鬼を探してみる
弐:新免を見に行ってみる
参:夜拌もどきのところに行く
肆:そのた

下弐
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 22:51:50.21 ID:PgzwOcwZo
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:00:33.54 ID:CoqyX8eu0
久々に拝めた。 いい… とてもいい…

安価は弐
335 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/04/14(土) 23:30:44.20 ID:85XnfYbio
>>334


太陽(迷っている暇はない、よな)

足を踏み込む。後何体いるか分からないが、それでもこれ以上単騎で望むのは得策と思えなかった。
だからこそ、不安が胸をよぎったこともあり新免さんとの合流を先にした方がよい、と言う判断を下した。
おれは脱兎の如く、体中がすっかり酸素を無くして疲れ果ててしまうのも忘れるくらいに走った。
一瞬でも、一秒でも早くその無事な顔を見たかったのだ。……海怜のことも心配だが、そちらに戻ったらどれだけ怒鳴られるか分かったものではないので行かなかった。


ざざざざっ!

太陽「新免さん!!」

新免「如何した」ぬっ

太陽「うおおーー!!!」

汗だくのおれが声をかけたと同時、背後から音もなく現れたのが新免さんだった。び、びっくりしたぁ!!
どうやら怪我一つ無いようだ。

太陽「えっと、さっきまで音がしてたから……無事、でしたか?」

新免「ふ、無論。私の剣技にかかってその場で立っている鬼などいない」

太陽「そ、そうすか……」

新免「それより」

きりっとした表情で新免さんがこちらを向く。やはりおじさんだ。しかし額に汗一つなく、むしろ攻撃を受けた様子すらない。
さすがは一流の剣士、と言ったところだろうか?

新免「お主は独りか?もう一人はどうした」

太陽「あ、怪我をしてしまって……それで」

新免「何をしている」

太陽「はっ……」

新免「怪我人を一人置けば、そこに鬼が付け入る。すぐさま戻るべきだ」

……確かにそうだ。言っていることは全くもって真っ正面から受け入れたい言葉だった。
しかし戻ってもいいのか?海怜に言われた言葉を思い出す。

「今やるべきはなんだ」

「鬼の殲滅だ」

その言葉が胸を締め付けて離さない。

新免「どうした?」



壱:海怜と約束したので先に鬼を探します
弐:分かりました、戻ります
参:それにしても強いですね
肆:そのほか

下弐
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:43:57.55 ID:DfY9fYrO0
ksk
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:58:04.33 ID:PgzwOcwZo
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 13:58:12.64 ID:MymahdGSO
保守するわ保守保守保守保守
ここで>>1が来ても結局保守するわ俺
339 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 20:39:11.39 ID:qAr9SKJGo
俺は>>1……物語を……更新する男だ!
340 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 20:46:36.58 ID:qAr9SKJGo
>>337


それにしても───

太陽「それにしても強いですね!」ぱぁっ

新免「お、おお……」

おれは率直にそう述べるしかなかった。
なんせ、この様子だと鬼を一体、何の怪我もなく倒している。
ああ、すごいなぁ。おれには出来ないなぁ。
素直な感想を述べたのだが、なぜかたじろいでいる。

新免「まあ、そうだな。私のように鍛錬を積めばいずれはこうなれるだろう」

太陽「鍛錬を……なるほど!どう言った鍛錬でしょう!?やっぱり両手に剣を握り振るところから!?」

新免「うむ。両手に武器を持つこと。それ自体は、何ら難しいものではない」

新免「が───」

徐々に新免さんの表情は穏やかなものに変わっていた。
まるでこの場が戦地であると忘れてしまっているようにも見える。

新免「そうさな。両手の使い方を学び、呼吸を学ぶ。それが最初の一歩だ」

新免「腕が剣に代わりそうな程何度も振り、鋭く鬼を断つことを……それを想像し、幾重にも鍛練を重ね」

新免「初めて本物の鬼というのは切れる。それだけのものだ」

太陽「ほぁー……」きらきらきら

すごいなぁ、本当にすごいなぁ。

太陽「強いなぁ、新免さん」


だって───


この人、おれ達と一緒に山に来たのに、衣服のひとつも汚していないんだから。


太陽「……」


▼集中。
壱:海怜のところに戻る
弐:ふたりで夜拌を探す
参:もう少し話をしてみる
肆:そのほか

下弐
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 20:51:22.75 ID:+PBTGGZdO
来たか
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 21:37:34.76 ID:GhFiBuwSO
面白いよ 面白いんだよ 君の書き物は
全てにおいて最高のようだ

安価は参
343 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 22:01:57.90 ID:qAr9SKJGo
>>342


新免「……だらだらと話している暇ではない。さっさと」

太陽「待って」

ざくっ。
草木を踏みしめてどこかに行こうとした彼を呼び止める。

太陽「聞きたいんです」

新免「ほう?なにをかね」


太陽「新免さん、服汚れてないんですね」

新免「立ち居振る舞いに気をつければどうとでもなる」

太陽「左の小太刀、最初と全く位置が変わってない。抜いてないんですね」

新免「私にかかれば片手でも簡単なことだった」

太陽「傷一つないし、疲れてすらない」

新免「たゆまぬ努力の為だ」

ォォォォォォ

太陽「ひとつ、いいですか」

新免「何かね」



太陽「いつから自分のこと、『私』って呼ぶようになったんですか───」


次の瞬間。


どんっ!!


太陽「か、はっ……!?」

強い衝撃を受けた。腹に、そして背に。息が一瞬出来なくなって、目の前が真っ白になりかける。
どうやら突き飛ばされたようだ。背中は……いたた、大木にぶつかったらしい。
頭は冷静だが体が追いつかない。理性に反して行動はひどく鈍く、おれはそこでうずくまるしかなかった。

新免「……あ、ああ?私は……いや、私は私だろう、違う、我は……そんなことは、俺、あ、私は……」

太陽「は、はあ、ぁ……しん、めん……」

新免「そう、そうだ。私は新免、新免 玄信!それ以上でも、以下でもない!」

太陽「は、はぁ……っ……!?」

新免「愚かな剣士め。私を疑うか?」

太陽「……勿論……新免さんなら、味方を攻撃なんてしない……」

息も絶え絶えでおれはそう言うしかなかった。
ああ、死ぬのかな。
まあでも、死ぬならそれでもいいのかな───
344 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 22:10:22.02 ID:qAr9SKJGo
??「よくぞ隙を作った」

太陽「は───」


ザンッ!!


新免「ぎ、あああっ!?あ、畜生てめぇ、やったなァ!この私の私のわわわわた」

??「口を閉じよ愚か者!」

がぎぃんっ!


一体何が……?
意識をなんとかぎりぎりで繋ぐ。ここで倒れたら格好の餌だ。
よろよろと立ち上がったおれの眼前に現れたのは、憤怒の表情を浮かべる修羅だった。


太陽「新免……さん」

??→新免「あいや遅くなった。……済まない」

太陽「……!」

見ればその姿はぼろぼろだった。
衣服はあちこちずたずたに切り裂かれており、無傷とは到底言えない様子だ。
恐らく。恐らくだが───別な鬼と戦っていたのだろう。ひとりで。
情けなくて嬉しくて悲しくて、何とも言えない顔をしてしまうおれに、叱咤の言葉が飛ぶ。

新免「気を抜くなッ!!」

太陽「っ! は、はい!」

新免「ここにいるは最後の鬼、即ちこやつこそ……」



偽新免「……くくっ、」

その姿は突然、ゆらっと揺らめいた。
───そう、まるで現代で言う蜃気楼、あるいは……


陽炎「ハハハハハハハハハハ!!!」


……陽炎の如く。


太陽「……!」

新免「奴が最後だ。夜拌の敵を取る」

太陽「はい……!」



壱:自分がおとりになる
弐:足を止めさせたい。まずは弐ノ型
参:新免で敵を釣る
肆:機を狙い肆ノ型
伍:その他

下弐
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 22:22:21.75 ID:GhFiBuwSO
俺は安全に加速したいんだよ

安価なら下
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 22:43:27.12 ID:htZ2w1nMO
弐だ!
347 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 22:54:39.75 ID:qAr9SKJGo
>>346
弐だ


奴がどういう動きを取るかは分からないが……!

太陽(まずは足を、動きを止めさせる!)

ビュウウウウウ


氷の呼吸
弐ノ型


太陽(細───)

陽炎「くくっ!」ぼわっ

太陽(!?)

目の前で……消え、た!?
思わずおれの足は止まってしまった。と、

新免「! 止まるな!」

太陽「え?」


どっ、があああっ!!

太陽「ぐああ!?」

横から思い切り蹴られた……のだと思う。
肋がみしみしと軋み、変形に耐えかねてばきりと折れる音がする。
思わず痛みに顔をゆがめ、喉の中で空気と血が混じる。……ああ、痛い、痛いなぁ!

新免「ちィ……」

しゅらん、と刀が擦れる音がした。
新免さんが刀を握ったのだとすぐに理解する。研ぎ澄まされ、美しい切っ先がまもなく夜になろうとする空の僅かな明かりで煌めいた。
花火か何かのようにも見える。

きれいだった。

変なことだとは思うけど、痛みを忘れてしまうくらいには本当に綺麗で、そして……!

しゃっ

と、空気を裂くような音がする。
実際には肉を断ち、骨を砕き、鬼を苦しめる一太刀である。それにしてもあまりにも綺麗で、綺麗だった。

それを見送ってやっとおれは立ち上がる。
348 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/05/14(月) 23:01:18.65 ID:qAr9SKJGo
太陽「ぐ……」

痛みはまだあるが、戦えない程ではない。
それに呼吸を繰り返す度、まだまだ戦えるのではないか、そう思えてきた。
浅く繰り返す息。まだおれは折れていないし、剣は無事だ。……よし。まだいける。


陽炎「ぐっ、ぐおお!?」

落ちた右腕を見ながら陽炎は呻いていた。痛みが激しく、またどうして自分が斬られたかよく分からなかったのだ。
……おれもよく分からない。血鬼術であることは間違いなかったのだが、さっきあれはどうなったのだろうか?

新免「心の目で見よ、少年」

太陽「心の目……」

新免「奴はお主の目を欺く。見ているものを裏切ってくる」

新免「だが、お主の心までは欺けん。お主が思うものを斬ると良い」

太陽「……!」


正直、分かったような分かっていないような、半々の気持ちだった。
それでも、なんとなく言いたいことは分かった。つまり……あいつ、姿を眩ませている。
さっき目の前から消えたのはそう言うことだったんだろう。
どんな理屈だ?どうやって……こいつの能力は【姿を変えること】じゃなかったのか?姿を変えるのはともかく、どうやって……?

太陽「陽炎の名に意味があるのか……?」


悩んでも仕方がないかもしれない。
あまり攻撃を受けたくはないが、おれは……!



壱:囮になる
弐:再び弐ノ型を狙う
参:弐ノ型で釣って肆ノ型で迎撃
肆:その他

下弐
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 23:12:09.81 ID:GhFiBuwSO
集中して弐
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 15:51:05.64 ID:48Av3/1qO
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/06/01(金) 01:20:19.38 ID:aoSHC3wSO
アァアアア 月がァ!! 月が変わっている!!
というわけで保守
352 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/04(月) 22:02:28.45 ID:gSACu1Y5o
アニメなんですけど!アニメ化なんですけど!!どういうこと、これどういうこと!?名作であれ名作であれ名作であれよ、お願い!戦闘が格好良くあってくれたなら俺頑張るから!禰豆子ちゃんの声が可愛い声優さんだったりしたなら、もうすごい頑張る!畑を耕します!一反でも二反でも耕して見せる!!最高のアニメになってくれぇーーーーーっ!!
353 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/04(月) 22:11:51.56 ID:gSACu1Y5o
>>350


再び弐ノ型を構える。
次ははずさない、絶対にだ。

仕留める───!


陽炎「よくも、よくも、よくも!俺の腕を!ああ、あああ!許さぬ、絶対に生きては!返さぬ!」

 ぼしゅっ

太陽「!?」


途端、陽炎は姿を変えた。恐ろしい姿だった。虎に猿と雉を足して、全身に針を生やしたような姿がそこにある。
……そうだ、分かったぞ。

陽炎は変化するだけの能力しかない。
しかし、『変化が異常に早い』のだ。

先程の剣筋をかわされたのも、たった一つの理由だ。おれの剣が届くより早く、変化して切っ先が届かぬ大きさに変わったのだ。
そしてまるで、姿がころころ切り替わるのが幻のように見えるから───陽炎!
それなら新免さんが言う通りだ。目で捉えたところで、遙かに早い速度で変形されては届かない。
ならば、どうする。


太陽「もっと!早くなれ!おれの体!!」


息を全身に回せ。
呼吸を絶やすな、神経を集中しろ。
戦え、戦え。抗え。最後まで、刃を!


陽炎「!」
ゾクウウウッ

ばっ


太陽「逃がすかァッ!!」


殺気を感じとった陽炎は、体を小さくして逃げようとした。無論、逃げを許すおれではない。
集中しろ。集中しろ。目の前に、斬るべき敵に。


全集中
氷の呼吸


太陽「………ッッ!」
354 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/04(月) 22:21:09.32 ID:gSACu1Y5o
全身が脈を打つ。
刃まで神経が通ったような錯覚。そして、まるで時が止まったかのようにさえ思える、確かに長くて短い瞬間。
おれは構える。全て終わらせるために。


弐ノ型


ビュウウウウウウ

吹雪の日のような吹き荒ぶ音が森中に鳴り響いた。耳鳴りがしはじめそうだったし、だんだん世界の温度が下がっているようにさえ思える。
それこそが氷の呼吸である所以だが、そんなことはどうでもよかった。


陽炎「───!」


細雪


ぼぼっ


……細雪は、一旦は腕を引いて、その後体の捻りと腕の力で前方に高速の突きを放つ技だ。
一点集中、であるが故回避された時の隙は大きいが、その分当たれば大きく体力を削る技でもある。
回避される未来が見えなかった。だからこそ、ここで今放つべき技だった。


陽炎「か、ギャァッ!?」


ドシャァッ


新免「お見事」

太陽「……新免さんっ!!」

陽炎「ま、だだぁっ!」

ぼしゅっ

新免「む……!」


すんでのところで再び陽炎の姿を見失った。何に化けたのか、もはや見当も付かない。
しかし、体力は限界に近いはずだった。人間を食べなければ、鬼に力は戻らない。力を失った鬼が行き着くのは、地獄だ。


太陽「逃げた!?」

新免「狼狽えるな、側にいるだろう。捉えるぞ」

太陽「……はい」



壱:参ノ型で辺りを一蹴
弐:なにか……何か新技を……
参:手当たり次第壱ノ型
肆:全集中で体をいたわる
伍:そのほか

下弐
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 22:29:29.87 ID:2HNYgfHSO
ならば俺が派手に加速してやろう
誰よりも派手な加速を見せてやるぜ
もう派手派手だ

安価なら弐
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 23:54:43.68 ID:4TH9wM4JO
弐!
357 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/05(火) 00:31:44.21 ID:6Ctr5Hgeo
>>356

……おれの技を思い浮かべる。

縦の斬撃、壱ノ型【寒声一叫】。
高速突き、弐ノ型【細雪】。
全体攻撃、参ノ型【瓦解氷消】。
横の斬撃、肆ノ型【一陽来復】。

もう一捻りあれば、ここでこいつを仕留められる。考えろ、考えるんだおれ……!

全身の力を溢れ出させる。同時に、剣先にまで己の身がついているような錯覚を現実のものとしようとした。そして思考する。
恐らく、陽炎は小さくなった。小さくなって、おれ達の視界に入らない程度になった上で回復を試みようと言うところなのだろう。
残念ながら夜の森の足下というのは、人間の肉眼ではどうにもこうにも、全て見通すことは不可能に近い。まして手入れされていないせいで新緑が生い茂る。その上に落ち葉まである。
おれ達がやつの気配を察せなければ、正直ここでおしまいだ。逃げられてしまう可能性だって否めない。

この刃が針であったなら。
おれが、奴を見つけられるのなら。
一撃で終わっているかもしれない。
だからこそ。

集中。
腹がまだ痛むが、正直もう考えている場合じゃなかった。やっぱり折れてるよなぁ、これ。鈍く痛みを伝えるそれが恨めしい。
すぅ、と呼吸する。大丈夫だ、おれはまだ戦える。戦えている。


太陽「………」ビュウウウウウウ

新免「どこだ……!」



新技?正否。直下小数点
今日はここまでチュン
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/05(火) 00:34:55.04 ID:cvYnG7ESO
俺は鮮やかな必殺技が見れると思ったのに
クソ―――ッ
359 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/06(水) 15:32:22.39 ID:ULwUo2JuO
頑張れ頑張れ 出来る 俺なら更新できる
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 17:14:08.97 ID:mSd5HaaaO
お前は今までよくやってきた!お前はできる奴だ!そして今日もこれからも!これからも!疲れていても!乙が無くなることは絶対にない!
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 20:13:13.61 ID:BcAj6eCSO
たくさんありがとうと思うよ
たくさん乙と思うよ
忘れることなんてない どんな時も読者は傍にいる だからどうか無理だけはしないでくれ
362 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/11(月) 21:12:33.45 ID:LiynBJDSo
遅れてごめんなさい!みんなすぐ更新しますから!
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 21:15:45.02 ID:pjJLiOfSO
うおおお >>1が来たぞ 凄ェ!!
364 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/11(月) 21:16:49.59 ID:LiynBJDSo
>>358
コンマ04
クソーーーッ


刀を振り抜くのではなく、自分がその場を移動する。
そう、氷を滑る時みたいに。
おれの足腰はそれなりに鍛えられていたし、足裁きも体に馴染んできたと思えた。
だから、今なら出来るかもしれない。

足を、動かせ。止まるな、進め、すすめ!


伍ノ型


太陽「ふっ!」


暴れ回雪


シャオオオッ!!


威力ではない。足の速さを活かし、多くの傷を付けるのがこの技の特徴だ。
こと持久戦や、相手に多くの傷跡を負わせるにはとても良い。特に、今回のような『見えない敵』には有効だろう。
……切っ先が地面に触れるか触れないか、やや斜めに構えありったけの速度で走り回り……地面一帯に攻撃を加える!


シャオオオ………ッ!


太陽「アアアッ!」

しゃっ!!

一太刀くらいは……


シュウウッ

太陽「!?」

陽炎「遅いっ!」

どごぉっ

太陽「あ、がっ!?」


後ろから、また脇腹を蹴られて、地面に転がった。
痛みは先程の比ではなかった。それもそうだ、折れているところをさらに蹴られたのだ。内臓に骨が刺さらないことを祈るが、もしかしたらもう刺さっているかもしれない。
げほっ。あ、あぶないな、口から血が出ている。

太陽「ぐ、くそ……!」
365 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/06/11(月) 21:28:04.10 ID:LiynBJDSo
構えるよりも先、背後でさらに動く音がする。まずい、このままじゃあ致命傷を負いかねない。
それは命が奪われるやもしらない、或いは命があったとして剣士はもはや絶望的なものかもしれない。
立て、立てよおれ、何とかかわせ、追撃を逃れろ!


陽炎「かあああっ!」

新免「隙有りと見た」

しゅばっ!

陽炎「……ああっ!?」ぼとっ

新免「余裕があるようだが、忘れるなよ?貴様の前にいるのは我なのだ」

陽炎「ちい、邪魔するな!まずはお前からやってやる!!」

太陽「!」


新免さんが、おれのために時間を作ってくれている。
ああ、おれのことを思ってくれている。
嬉しいなあ、有り難いなあ。その気持ちに答えないで、鬼を殺すことなんて出来ないよ、おれ。
動いてくれ、立ち上がってくれ。どうかあいつの鬼としての生を終わらせるために、挑んでくれ、おれ。

げほっ。

再び咳込みながら立ち上がる。
振り返れば、そこでは陽炎がまたしても腕を両断されていた。新免さんは涼しい顔をしている。衣服には返り血が大量に付着しているが、本人はまだ大きなけがはしていないようだ。
やっぱり……強い、な。


太陽「はあ、はあ……お、おおお!」

呼吸を整えろ。痛みをひとときだけ忘れろ。今はおれがやるべきことをやるんだ。
鬼を討つ。この世全ての鬼を滅する。おれはそのために鬼を殺す術を得て、武器を得て、そうして覚悟してここにいるんじゃないか!

陽炎「!? まだ立てるのか!?」

新免「そこで寝ていろ!お主が戦える隙はもう無い!」

刀を掲げる新免さんが叫ぶ。しかし、その目で何かを確実に訴えようとしていた。……もしかして。

太陽「……はい……!」

陽炎「お前は後でじわじわ殺してやる!まずはお前だ、新免とやら!名は立派だが技能が追いついていないぞ!」

新免「はっ、挑発が安いな、鬼。人外から人類の技術が理解できる訳が無かろう」

陽炎「貴様ああああ!」


腕は……まだ動く。足は……うん。いけそうだ。
だがこれ以上食らえば、おれは……。



壱:足裁きを活かして接近、囮となり新免に任せる
弐:戦闘の隙を突き高速で接近、肆ノ型
参:伍ノ型を振り回し細かい傷を蓄積
肆:そのほか

下弐
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 21:46:30.89 ID:pjJLiOfSO
黙れ 何も違わない 私は何も間違えない
すべての加速権は私に有り
私の加速は絶対である
お前に安価を拒否する権利は無い
私が”正しい”と思った加速こそ”正しい”のだ

安価なら下
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 23:34:24.90 ID:0yMpqGErO
弐だ!!
368 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/10(火) 23:08:22.81 ID:pGZ/BvzCo
>>367


奴は───おれを見くびっている。
見くびっていると言うことは、おれに『油断してくれる』ということだった。それはイヤなことかもしれない。だが、今はとても有利だ。

ありがとう。
おれを信じてくれて。
お前がおれを見下している、と確信していることを信じてくれて。

何よりも、その隙を作ってくれたのは新免さんだ。
おれが戦えないとわざわざ宣言した。そのおかげでおれは奴の警戒外にいる。


新免「は、ッ!」

ずばぁっ!と地面が焼き切れそうなほどの斬撃が生まれる。これは呼吸か?いや、風のうねりを感じなかった。まさかこの人───
いや、そんなことを考えている余裕はない。

なるべく弱者を演じろ。こいつがおれを殺せると確信させろ。

陽炎「弱い!その程度で俺を殺せるか!」

続けざま、がぉっ!と何か動物でも吠えるような声がする。見れば陽炎の腕が高速で生えたと同時に、右腕は蛇のようにうねっている。
咬まれそうになり、新免さんは再び剣を交えた。これも高速、と呼んで差し支えはないだろう。速い!
いったいどうやったら、あそこまで強くなれるのだ?この人はどうやって、いや、どうして鬼狩りになろうなんて思ったんだ?


新免「……遅い!」


遂に新免さんの切っ先が、陽炎を捉える。が、もちろんそれをやすやすとやらせる彼ではない。瞬時に体を縮めたのか、その場から離脱していた。
そしておれは見た。
こいつは新免さんの背後を取ろうとしている!


……今しかなかった。


残っている力を全てありったけ、全身に託す。肺は破れたかもしれない、骨は折れたかもしれない。それでも、それでもだ。
これは負けではない、まだおれは終わってない。まだ戦える。おれは、今この瞬間命を燃やす。


ヒュオオオオオオッ
369 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/10(火) 23:16:47.61 ID:pGZ/BvzCo
ひゅん、と大きな体になった陽炎が勝ち誇った顔をしたのと、おれがその陽炎の背後を取ったのはほぼ同時だった。


陽炎「まずはテメェから!!」

太陽「そうだな、お前からだ」

陽炎「! お前、まだ」

太陽「肆ノ型」


【一陽来復】


ざ、んっ


その刃は普段よりも重く感じた。
ただ頸を斬るだけだ。今までの鬼と何ら変わらないことだ。だが、なんだか重かった。その重みに剣を手放さぬよう、気をつけて、振り切る。



ごとんっ

重いものが落ちる音と、「ぎゃあああああ!!」と言う情けない叫び声が上がったのは、これまたほぼ同時だった。


新免「……よくぞやってくれた」

太陽「はあ、はあ はあ……!」


陽炎「くそう、くそおおおっ!なぜだあああ!俺の、なにが!なにが悪かった!どこから間違えた!」

陽炎「オレだって……こんなノハ想像シ……て……!」


体がもう動かない。ああ、なさけないなあおれ。
そう思いながらその場にへたり込む。陽炎への文句一つもう思いつかないし、体も全く動かない。
遠くからおれを呼ぶ声がした。多分海怜だ。だけど、ごめんな、おれ……今はその問いかけにも答える余裕は、ないんだ。


陽炎「なんだって俺はついてねえ!ああ、やっとここまで……きたのに……!」



壱:太陽君は長男なので気絶しない(強化フラグ)
弐:太陽君だって男の子だから気絶する(強化フラグ)
参:陽炎がなんか恨み節を言ってるのを聞く(強化フラグ)

要は強化フラグ
下弐
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 23:37:29.94 ID:drv14cCSO
なるほど!! そうかわかった!!
俺が全力で加速する!!
二人で頑張ろう!!
下弐の安価が出ているはずなんだ 加速するから選択肢を選んでくれ!!
(くもりなきまなこ)

安価なら下
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 01:52:27.47 ID:Qem9AAP6o
末っ子だからいつも愚痴を聞かされてきたんだ
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 23:43:17.88 ID:WrNIbicr0
すごいおもろい
373 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:06:49.22 ID:URS5s3vQo
いつも低速で申し訳ないチュン。
やるか……    ・・
ありがとう、>>372さん
374 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:20:07.24 ID:URS5s3vQo
>>371


おれは長男だったが、しかし妹が出来るまではよく父母の愚痴など聞かされるものだった。……妹が出来てからは、我慢のすべを学んだのか、それとも不満がなくなったのか、いずれにせよ聞く機会は減った。
夫婦仲はよかったように記憶している、それでも。最終的に行き着くのは、母が死に、父は鬼であった、と言うことだけだ。


陽炎「くそおおお……!」

陽炎「何でだ……オレは、いつも失敗する……!」





(■■、何しているの)
(ああ、かあ様。見てみて、この間の踊り子さんの真似だよ)
(そんなことをしなくても良いのよ、■■)

かあ様は病弱だった。
いつか、音に聞いた花魁が美しくて、ああ、いいなぁ。そうなってみたかったなぁ、と言っていたのを聞いた。
俺には兄弟が六名ほどいたのだが、皆とても優秀で、末の俺は本当に出来が悪かった。まったく、同じ血を引いたとは思えないほどだ。

(でもかあ様は踊り子さんを見られなかったろう?)
(いいのよ、……いいのよ)
(よくないよ!)
(私はね、■■。私より、貴方が大切なの)

いつもかあ様はそんなことを言い、日に日に弱る姿に父は苛立っていた。
夫婦仲はよかったように記憶している、それでも。最終的に行き着くのは、かあ様が死に、父が後を追う姿だ。

かあ様が寝たきりになってきっかり二年ほど。お医者様を呼ぶ金も集まらず、病床でかあ様が呻くように望み、そして父はかあ様を殺した。
かあ様の体は埋めて、丁重に弔った。だけれど、そのせいで家庭の空気も地底のように淀んでしまった。
自分から求めたとは言え───小さな子供達には、母親は大切だったのだ。


陽炎(ああ、ああ)

陽炎(こんな時に思い出す。自分が何者だったのか)

陽炎(今までひとつも思い出せなかったのに、俺は)

陽炎(かあ様、かあ様俺は、かあ様のために)
375 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:30:49.19 ID:URS5s3vQo
父は、かあ様を殺したあと自らも死のうとしたらしい。ところが、手元が狂ったのか、死ねなかった。
働き者の木こりでは合ったが、その事故のせいで体が不自由になり、仕事をしなくなった。そしてあちこちふらつくようになってしまった。

陽炎(かあ様……)

俺はと言えば、ちゃんとした仕事に就くことは出来なかった。代わりに、村にあった書物をよく読むようになった。
それらは伝承……つまり、物語だ。いわゆる村の言い伝えや、勇者の話だ。そしてそれを小さい子供に向けて演じてやると、子供達はよく悦んだものだった。
俺も、嬉しかった。言い伝えにある勇者を演じている間は、俺は俺ではなくなるのだ。村の勇者が俺で、八又大蛇が俺だったし、日本武尊が俺だった。

それからしばらく。
兄弟達が何かに気付いた。……おかしいのだ。稼いだ金がごっそり減っている。いくら数えても足りない。
そう言えば、かあ様が生きていた頃からそんなことがたびたびあった。父に質問すると、役所の支払いだと言っていた。

だが、違った。


陽炎(……あ)


ある日、その日は珍しく失敗して落ち込む俺が見たのは、昼間のそば屋で日本酒を喰らい、金を羽振りよく支払う父だった。

(あの雌め、俺をたぶらかしたくせにすることだけしたらすぐに寝込みやがった)

陽炎(……)

(男を悦ばせるのが女なのではないのか?全くあいつときたら体も弱かったし)

陽炎(……)

(いつか噂に聞いた花魁のことを羨ましいだなんてあいつは言っていたが……)

陽炎(……)

(あの体じゃあ、顧客ひとり付かず死ぬだろうなあ、俺だってごめんさ)


夫婦仲は、よかったように記憶している。


??「いかんなぁ、女を虐げてはいかんぞ、男」

(ああ?お前は誰、いや、お前はいつからここに)
376 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:40:44.41 ID:URS5s3vQo
風が吹き、気が付けば室内の人間は皆殺しだった。

ぺちゃ、すたすた。
血濡れの床を踏みしめる音がする。
ゆっくりこちらに歩いてくる気配が、全身を粟立たせる。

俺は泣いていた。自分の父が、自分の母を悪く言っていた事実が何よりも悔しく、辛いものだったからだ。

その泣き顔をふと上げると───そこにそいつはいた。派手な髪飾り、着崩した浴衣みたいな着物、見たこともないような装飾、そして。
両目には、『上弦』『陸』の文字。


??「いかんなぁ、子供は笑顔が一番だ」





陽炎(俺はいつも失敗する……)

もしかすると、鬼になることを選んだこと、そのものが失敗なのかもしれない。おれには陽炎の無念はよく分からないからだ。
体が徐々に砂のように掻き消える陽炎の両目から、溢れ出ている涙を見つめそう思っていた。しかしマズいなあ、体が動かない。
それでも何故か声が出た。

太陽「失敗を続ければ───」

陽炎(!)

太陽「いずれ、成功する。いや、失敗は成功になる」

太陽「木々が生い茂る山道を伐採すれば、そこがいずれ道になるようにな」

陽炎(……お前……)

太陽「おれも間違っているのかもしれない。だけど、きっと」

太陽「同じ選択肢が出たのなら、必ず同じ道を選ぶだろう」

陽炎「お前は……強いな……」


さらさら、と陽炎の体が完全に消滅した。
鬼を倒したのだ。

海怜「しっかりするんだ!と言ってもこの怪我じゃあ……」

海怜「『隠』が来るはずだ、医療部隊だ!いずれくるはずだ!それまで耐えろ!」

太陽「……かい、れ」


▼このあと。
壱:太陽くんの入院生活を見る(大体二ヶ月分)
弐:他の人物の視点(今までの登場人物から一人選択)
参:抜粋・ヨハン(仮)の真の名前
肆:そのほか無理のない程度の指定

下弐
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 14:46:05.96 ID:mBEh/n5SO
>>1様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます

そして……低速上等!! 今この刹那の愉悦に勝るもの無し!!

安価なら下で。
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 23:46:01.59 ID:MsxTP7wD0
いち

そろそろ↓1にしてもいいのでは
379 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/08/26(日) 20:13:11.33 ID:H1U3Myt+O
>>378
ありがとう、そうしてみます


───隠密機動の事後処理部隊、『隠(カクシ)』。普段は鬼と戦うことはない。が。
鬼と戦う隊員を陰から支える役目があり、たとえば負傷した隊員を医療隊のところに連れて行く役割を持っている。歴史の闇に隠れた鬼殺隊の中でも、さらに隠れた存在である。
彼らは剣士を志したものの、剣の才に恵まれなかった者がほとんどであり、であるが故に鬼殺隊の為に暗躍している。
医療隊が時折隠を伴って行動していることもあるため、隠と医療隊が同一のことや、あるいは全く別なのに混ざってしまっていることがある、らしい。


と、まあ鬼殺隊の隊員達はだいたいみんなそのようなものを説明されるので知っているのだが、頭の回らない状態でそんなことが思い出せる訳がなく、
なんだか気持ちが良くなってきたなと思った瞬間にはすでに倒れてしまっていたのだった。


体が動かない中、おれは海怜は無事かな、とか、あの鬼はなんだったんだろうな、とか、新免さんはやっぱりすごいな、とか色々考えていた。
悔しいな。おれがもっと、強かったら。


アカリ「な、なにしてるんですかぁ〜!死んだらどうするんですかぁ〜!」


それから三日三晩寝込んだらしいおれが目を覚ますと、目の前にアカリがいた。
血矢アカリ……いつだかぶりだがものすごく怒っていた。


短髪「肯定する。その通り。なぜ無理をするの」

淡泊な声がさらに聞こえた。黒くてぱっつりと揃えられた短髪……こちらも女性だ……が、見たことのない人だった。誰だろうかと思ったが、つんとして

短髪「否定する。無意味な行動。名乗らない」

太陽「えぇ〜!?」

短髪「指摘する。やるべきことがあるはず」

太陽「え、えーっと……それって……」

短髪「辟易する。完全治癒及び身体機能改善が目的」

太陽「つまり……」

短髪「通告する。……機能改善訓練。まずは傷を癒せ」

ぱぁんっ!!(扉を開いて閉じる音)


太陽「」

アカリ「馬酔木(あしび)さん、やっぱりかっこいいなぁ……」

太陽「」


かっこいいか?あれ?
380 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/08/26(日) 20:24:35.21 ID:H1U3Myt+O
馬酔木(あしび)くるみ、と言う人らしい。そして名乗らない理由は自分の名字が覚えられにくいことをすごく気にしているかららしい、ともアカリは言った。


アカリ「アカリは強くないんですけど、馬酔木さんは本当に……その、強いから……アカリの代わりに馬酔木さんに戦って欲しい位でして……」

太陽「いやいやいや!だってアカリも鬼を倒してただろ!」

アカリ「あうう、あれはその、アカリの【稀血】に喜ぶ鬼をこう、ざんっと出来たからでしてえ……」

太陽「そんなに卑下するなよ!アカリは強い!」

アカリ「!!」


叫んだときに脇腹ががっつり痛んだ。ついでにこのあと馬酔木さんが部屋に入ってきてめちゃくちゃ怒られた。
「忠告する。まず傷を治して。……貴方が剣士になりたいなら。」
最後にそう言われたのと、馬酔木さんの顔がとても怖かったのでおれは言われた通りにすることにした。

アカリはおれと話した日の夜にはすでに起っていて、新しい任務に赴いたと聞いている。
鎹鴉伝に聞いたことだが、海怜も最初は手当されていたそうだが一日そこらですぐ回復したため前線に復帰。今は周囲の集落を襲っている鬼を倒しているんだとか。
前回もそんなことを言って無理をしていなかっかと思ったのだが、それはそれ。海怜にも、きっと譲れない理由がある。それならおれが止めるべきじゃない。

そして新免さんも同じく前線に行っているようだが、どうも彼の場合はさらに色々なところに渡り歩いているようで、情報収集も事欠かさないようだ。


『東雲よ』

『十二鬼月の一体が潜伏しているとの報告が入ったため、しばらくお主に会えぬと思う』

そんな手紙を、律儀に鴉に持たせてくれた。

『生きて戻れればよし、もしもなにもなければその時は、私のような不出来な剣士を嘲笑ってくれ』

笑うだなんて、するはずがないのに。





馬酔木「……」

太陽「……」

そして一月も経たない頃に、馬酔木さんはおれの部屋に入ってきて言った。

馬酔木「愚考する。……すでに回復してもいいはず。それがなぜ」

馬酔木「回復が遅い。理由が分からない」

太陽「えっと、あの……」

確かにその通りだった。
なんだか分からないけど体の骨が上手いこと接合せず、おれの深手が治りにくかった。もしかしたら敵の術のせいかもしれないが。
381 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/08/26(日) 20:33:24.17 ID:H1U3Myt+O
馬酔木「……」

ふと馬酔木さんが懐から何か取り出してぺらっとめくった。手帳?使い古された革の手帳だ。よれよれになっていたが、それでもどうして壊れる気配はない。

馬酔木「……なるほど」

ぱたん

しばらくその内容を確認して、それから何かに納得したのか頷いてから手帳をしまう。そしておれに向き直った。

馬酔木「確認する。師匠はいない。呼吸は独学。間違いないか」

太陽「へ?あ……はい、その通りです……」

馬酔木「……はぁーーーーー……」

でかいため息を付いて馬酔木さんがいらついたような顔を見せたが、すぐにいつもの無感情の表情に戻ってしまう。唇がやや紫色だ。

馬酔木「それでか、それでか、それでか。それでなのか。ああ、理解、理解する、理解する、理解する」

太陽「あ、あの馬酔木さん、おれが……」

馬酔木「提案する」

太陽「はい?」

馬酔木「呼吸の特訓をするべきだ。可及的速やかに」

太陽「……!?」

馬酔木「訂正する。訓練すべきだ。鬼殺隊剣士の誰かと。」

太陽「呼吸の……」

馬酔木「呼吸とは即ち剣士の戦闘法、戦闘流儀の集大成であり、脈々受け継がれた技法」

馬酔木「だが、落涙する。歴史がない、技術がない。新しいものが故に」

馬酔木「だからこそ提案する。歴史とは日々の積み重ね。昨日があった者に解くべき」

太陽「……???」

おれの呼吸は新しいものだから……技法として不完全、と言うことだろうか……?



壱:馬酔木さんに稽古付けて欲しい
弐:でもそんなこと出来るひとが……
参:おれは自己流で行く
肆:そのた

下壱

内部判定:柱は今何人いるかな判定は当書き込み小数点末尾で。ゼロは10扱い
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 21:29:38.11 ID:uQqx4wa20
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 01:15:45.41 ID:8O7CmjjSO
俺が謝る!! 俺が詫びる!!
更新が来ていたの忘れててごめぇええええん!!!
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 20:30:08.99 ID:HjhKq5AZ0
どうしたのSS速報直ってるじゃない
皆のため?皆のためかな?皆のために頑張ったんだね
とても嬉しいよ作者ついに回帰かな!?(以下略)
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/20(土) 23:21:46.19 ID:lCL60t/80
速報直ってんじゃねーか!!もっと騒げやアアア!!!
386 : ◆z.6vDABEMI [sage saga]:2018/10/21(日) 21:21:46.62 ID:vp8rtxkHo
ここからは派手に行くぜ!!!
387 : ◆z.6vDABEMI [sage saga]:2018/10/21(日) 21:28:21.53 ID:vp8rtxkHo
>>382
柱は七名


太陽「誰かと……呼吸の、だけど」

おれはそこで言葉を区切る。なんせ、おれの知り合いなど手で数えるほどしかいないのだし。

太陽「そんなこと出来る人、いるのかな」

馬酔木「もしも、」

太陽「え?」

馬酔木「もしもおまえが本気ならば、東雲太陽。今出来ることを全てこなすべきだ」

一言、とてもまじめに馬酔木さんはそう言った。今までとも口調が違うし、何よりもとても澄んだ声で、耳の奥までよく届く声だ。

馬酔木「……口を、滑らせる」

太陽「な、な、なんですか馬酔木さん、突然……」

馬酔木「到着する。いずれ、ここに【柱】が」

太陽「……はしら……?」

馬酔木「鬼殺隊の上位集団、或いは我々を支える要、つまり建物を支える柱」

馬酔木「妄想する。もしも、貴方が誰かに取り入ることが出来れば、と」

太陽「……!」


なんだそれ、
なんだそれなんだそれなんだそれ!
すごく……わくわくする話だ。


馬酔木「故に現実を見せる。柱には、話すら出来んだろう」

馬酔木「だからこそ告げる。貴方がここでやるべきことを考えて」



壱:とにかく全力で怪我を直そう
弐:今すぐにでも駆け出し柱の下へ
参:馬酔木さん、もしかして?
肆:そのた

下弐
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 22:39:44.36 ID:2D9R2PEro
遂にここも復活したか
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 18:00:11.31 ID:r3Oa8Fbq0
復活おめ
3
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/24(水) 21:01:09.83 ID:GFBhgHySO
いつ(この板がまた)死ぬか分からないんだ俺は!!
だから更新して欲しいというわけで!!
頼むよォ――――ッ

と思っていたから>>1が復活してくれて嬉しい。

希望の光だ!! >>1さえ生きていてくれたら絶対勝てる!!
391 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/16(金) 23:11:52.43 ID:6V/jA9Dko
>>389


太陽「あ、馬酔木さんもしかして……」

馬酔木「言っておく、念のために。私が柱だと思っているなら、それは違う」

馬酔木「ついでに、私が柱との橋渡しをすると思うなら、それも間違い」

馬酔木「しない、なにも。助言する、あとは貴方次第」

くるり、と馬酔木さんが背を向ける。おれの動きを見なかったことにするような……あれ?もしかして、そう言うことか?

馬酔木「……行け。どうせこのまま寝ていても、何も変わらない、何も分からない」

太陽「あ……」


この機を逃せば、いつ次の機会が訪れるとも分からない。行くしか、ない……!

次の瞬間、おれは走り出していた。馬酔木さんの横顔を一瞬、ちらっと見たら少しだけ笑っていて、なんともいえない気分になった。
あんなに気の強そうなお姉さんの笑う笑顔もまあ悪くないな、というか、みんなが笑顔になれるように、おれは戦うんだったなと改めて思い直す。
廊下をぱたぱた走っていくのはそれはそれははしたない行為なのだけれど、ごめん!今のおれはちょっと時間がないんだ!
かと言って完治していない怪我が響き、結局大した速度は出なかった。


女の子?「わわっ、と!」


……成果は出たのだが。
392 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/16(金) 23:17:34.89 ID:6V/jA9Dko
そこにいたのは、真っ黒な髪の毛を床に着くか否かと言うほどにまで伸ばした愛らしい顔の人だった。
おれにぶつかりそうになり、思わず足を止めたらしい。短く息を吐いて、そしてなんとかそこに踏みとどまった。


女の子?「ちょっと、危ないよぉ!廊下は走っちゃダメ、っておやかた様に言われなかった?」

太陽「ああ、す、すみません!その、急いでいて!」

女の子?「急いで?どうして?」

太陽「それが……その」

女の子?「廊下を走るなんて真似をしでかすくらいなんだから、よっぽどの事態でしょう?一回話してみなさいよ!」

太陽「……会いたい、んです」

女の子?「ん?」

太陽「柱の方に、柱の……剣士様に、会いたいんです」

女の子?「ふぅん?会ってどうするの?」

太陽「その、おれ、呼吸が我流で、ちっともちゃんとしてないって分かったから……コツを教えてもらおうと思って」

女の子?「呼吸が……我流?そんな、まさか」

女の子?「呼吸は素人が適当にやって身につくようなものではないのに……君って一体」

太陽「特に大したことのない剣士です。最近、戦いを始めたばかりの剣士です」

太陽「あまつさえ敵に侮られ、さらには呼吸が未完成故に怪我が未だに治らない……そう言うものなんです」

女の子?「ふぅーん……」

すると、不思議なことにその人はくすりと小さく笑ってから、おれにこんなことを言ったのだ。


女の子?「ねえ、ぼくが柱のひとりだ、って言ったら、君はどうする?」



壱:教えてください!(食い気味に)
弐:弟子にしてください!
参:え……?ほんと……?
肆:ぼく……?
伍:そのた

下弐
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/17(土) 01:42:11.27 ID:e1W+y/LY0
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/17(土) 02:44:45.28 ID:g/kAwSrSO
とりあえず俺は選択肢 壱 を選んで下山するぜ
395 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/26(月) 20:36:57.16 ID:vZbLcSZno
チュン(今週から月曜日は鬼滅の日になります。宜しくお願いします)
396 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/26(月) 20:49:57.32 ID:vZbLcSZno
>>394


太陽「ほ、本当ですか……」わなわな

女の子?「ねえ、どうす」

相手が言い終わるよりも早く、おれは動いていた。

太陽「教えてください!!」

女の子?「す……る……」

太陽「お願いしまーーーっす!!」

女の子?「!?」ぎょっ

太陽「……おれは役に立ちませんでした。大切な人達を、このままじゃ守れない」

太陽「だから、もしも強くなる方法があるんだとしたら、なんだってやりたい。それで鬼が、殺せるなら」

女の子?「っ……」


思い出したのはあの日のこと。
おれの父が、母の胸を抉る姿。
おれの平凡が一夜にして消し去られたあの因縁の日。あいつを殺せるなら、なんだってやってやる。
しかし、おれには足りない。なにもかも足りない。馬酔木さんに言われたとおり、おれには歴史もない。絆もない。
それなら、この人が気まぐれでもいい、おれに何か教えてくれると言うんだったら、教えてもらおうじゃないか。

それでおれが鬼を殺せるなら。


女の子?(凄く……悲しい子。刀のように強いけど、脆い)

女の子?(きみは……)


太陽「あの!」

女の子?「は、はい?」

太陽「師匠!師匠のお名前を聞いていませんでした!」

女の子?(もう師匠認定なのかな!?早くない!?)
397 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/26(月) 20:56:12.85 ID:vZbLcSZno
太陽「お名前を聞いていいでしょうか!」

女の子?「……あら、それならまず自分が名乗るべきでしょ?ねえ」

太陽「う……それは確かに……」

こほん、と咳を一つ。

太陽「おれは東雲太陽、まだ新米ですが鬼を狩るためなら何でもやります!」

女の子?「……」

───きらきらと、ぎらぎらと。本当に太陽の光みたいな目をしている。
そんなことをあの時、師匠は思ったそうなのだけれど、そりゃ言葉にして言うはずがなかった。言ってしまったら、ついぞ余計なことまで言ってしまいそうだったらしい。
それでもその輝きを真っ向から受け止めた師匠は、はははと一つ笑いながら言った。

女の子?「ダメだよきみ、おやかた様からこうも言われなかった?無駄に死んではいけないよ、とも」

太陽「そもそもおれ、おやかた様?に直接お会いしていません!」

女の子?「はっ!そうか、きみはまだ柱でもなんでもなかったんだ!」

今度咳をしたのは師匠の方だ。

女の子?「人に名乗られたならば名乗らなければ。ぼくは【ミツキ】。【満月 ももとせ】、【月柱】と呼ばれてるの」

太陽「は、よ、よろしくおねがいします!」

ぎゅ、と手を握って。そうして、気が付いたんだ。堅い───それに、とても、強い───

太陽「もしかして師匠……」



壱:厳しくお願いしますイテテテ
弐:実は男の子なのではイテテテ
参:柱とはどんな人なのですイテテテ
肆:何を言っても古傷がイテテテ

下弐
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 22:12:05.89 ID:nk/S+RZSO
>>395
私は夢見心地でございます。
毎週月曜日に続きを書いて頂けること。
鬼滅のSSを読めて楽しかった。
幸せでした。
鬼滅のSSを読むのが大好きなので、更新してくださってありがとう。


安価なら惨
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 09:08:54.89 ID:mZNBM7dSO
400 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/03(月) 23:25:43.73 ID:BzYTQGLBO
>>399


太陽「は、柱とはいったいなんなのでしょう?」

満月「うむ。柱とはそれ即ち、この隊の大黒柱。みんなをまとめる大きな存在なんだ」

満月「ぼくの他に七人の柱がいて、それぞれがその流派に応じて呼ばれているんだよ」


今の柱は
【月柱】【水柱】【炎柱】【鳥柱】
【剣柱】【死柱】【血柱】


満月「そして【人柱】と呼ばれているようだ」

太陽「人柱はちょっと なんかすごくイタタタタ」

満月「まあまあ、自分からそう名乗ったんだ死仕方がないね」

太陽「たた……はあ……」

いったいどんな人達なのだろうか?

太陽「ところで師匠」

ぎぎこぎぎぎぎ

太陽「いつ手を離してくれるのですか」

満月「ん?そうだなー、きみがちゃんと部屋で安静にすると約束したらかな?」

太陽「は、はい!」

満月「よろしい。ぼくは注合会議に出てくる」

するっ

満月「その後で鴉をきみに寄越すよ。書いてあることをよく読んでね」


両の髪をだらんだらんに垂らして、むしろ引きずりながら師匠は走っていってしまった。
廊下を走っちゃだめなんじゃないのかよ!
401 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/03(月) 23:33:39.97 ID:nMsQce8vo
それからしばらくして、本当に鴉は飛んできた。
おれのところに便箋を寄越したのだ。


『拝啓、東雲くんへ
きみが独学で呼吸を覚えたと聞いて、ぼくはとっても驚いたよ!特別なわざだからね、自分だけで作るようなものじゃないんだ。
だからきみにひとつ良いことを教えよう
そこにいる馬酔木さんと言う人は、とある事情で前線を引いた元柱だ。
そのひとに、【全集中・常中】について聞いてみるといい。きっと役に立つよ
それから技だけど、また今度みる機会を作るつもり
それまでは悪いんだけど、下級鬼を退治する役目が来ると思うからそのつもりで

早くけがなおしてよ!』


うう……悪い気持ちになる……。


馬酔木「常中?……バカな、この程度のガキに教える気か、ももとせ」

太陽「うう……ん」

馬酔木「……まあ、許可する。仕方があるまい、指示だからな、柱の」

ついでに話はとんとん進んで、馬酔木さんはおれに常中と言う全集中を教えてくれることになった。
常中、つまり、いついかなる時でも全集中の呼吸を使えるようになるらしい。
全集中、って言うのは技を出す前の呼吸でしょ?つまりあれをずっと………

太陽「えーっ!?無理です!!」

馬酔木「あきらめるな。堅いはずだ、意志は」

太陽「!」

馬酔木「始めるぞ」


そうしておれの前に置かれたのはひょうたんだった。


太陽「!?」



ひょうたん割れるかな判定
下参までコンマ二桁の連続連携
合計百以上で合格
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 00:46:53.64 ID:ZKIe2gGz0
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 01:02:49.52 ID:60GY2AbSO
嫌われてない柱さん「水柱はいない」


柱が既存の水・炎を含めて全部気になる……
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 14:07:57.63 ID:gx33dzhHo
一応そい
405 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/10(月) 20:51:36.79 ID:1iaSz9Q6o
今週も元気に鬼をばっさばさ!
406 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/10(月) 21:08:59.21 ID:1iaSz9Q6o
百達成でひょうたんぱーん!


曰く。


馬酔木「これを、何のためにするのか。おまえ、気になるか」

太陽「えーと……?」

馬酔木「このひょうたんは特注だ。ただ息を吹いただけでは壊れない、それをおまえが、おまえだけの力で、吹いて壊す。そのために作られたのがこのひょうたん」

ことん

馬酔木「全集中の呼吸、おまえが技を出す前に体全体に息を回すための呼吸がそれだ。それを常に、四六時中行う、それが【全集中の常中】」

馬酔木「ただの足かけでしかない。ただのひとかけらでしかない。だがこれができれば、おまえと他の差はきっと埋まるだろう、そして」


がっ、とひょうたんを馬酔木さんが掴む。そのまま、口にそれを当てて───


ぱん。


太陽「」

馬酔木「ふー……やはり、落ちたか……現役を退くとどうも気が緩んでいかんな」

太陽「」あぐあぐあぐ

馬酔木「……」

太陽「」あぐ……

馬酔木「……やるんだぞ?おまえが」

太陽「」あぐあぐあぐ


どうやら馬酔木さんは、普段の口調だと余りに喋りすぎてしまうし、それに口もとても悪くなるので、あえて今までの喋りづらそうな口調で喋っているらしい。

(馬酔木「いや、他の奴に口が悪いと怒られてな」)

(怒られるとかあるんだ……)

(馬酔木「回想する……そう、あれはまだ【人柱】が柱になったばかりの頃だったな……」)

(話長そうだな……)

(馬酔木「たでまるが私の口調を注意したのだ……」)

(人柱の名前かな……)


その後数時間その話をしていたのでおれは意識を失いそうになったのだが、途中で『これこそが全集中の呼吸の練習なのでは!』と気づいた。
馬酔木さんが無駄なことをするはずかない。つまり、この話の間は全集中をとにかく続けろ、そういう理由でずっと喋っているのではないかと思ったのだ。
結局おれが死にかけ一歩手前で話が終わり、「ぼさっとするな、始めるぞ」などと言い出したため早々に逃げ出した。


馬酔木「あいつめ……最初の練習を早速放棄か……」←鍛錬じゃなかった
407 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/10(月) 21:15:47.00 ID:1iaSz9Q6o
それから数日、数週間と時間は過ぎていく。
おれに課せられたのは『四六時中いつでも全集中の呼吸を続けること』『毎日ひょうたんを吹いて割る練習をすること』のふたつだ。
傷をいやしつつ、機能を改善しつつ、様々なことを繰り返しながらも作業ではあったし、なによりも前進が見えなくて、おれは日々焦っていた。

が───

二週間ほどだったろうか、ついに一番小さなひょうたんが割れた。水風船位の大きさだが、それでも進歩に思える。
ぱん、と小さな音を立て、おれの手の中で割れたのだ。


馬酔木「な……早い……!?」

太陽「割れた……ひい……はぁ……」

馬酔木「おまえ……遂げたのか、それを……!?」

太陽「はぁ……はぁ、はぁ……?」

これが『遅い』と思っていたのはおれだけらしい。

馬酔木「誉めてやる。まさか……こんなにも簡単に越えられると少し驚く」

馬酔木「だが、付け足す。これは終わりではない。全集中は続ければ続けるごと、限界を更新できる」

馬酔木「人間の可能性を究極に引き出す技、それこそが【全集中の常中】である、それを忘れるな」

太陽「……! はい!」


と。

ばさばさばさ!

鴉『カァー!任務!任務!至急読マレタシ!』


太陽「うわ!?」

馬酔木「到来?……鴉、何かの依頼か」

ばさ

馬酔木「受け取れ。そして読め。おまえ宛の手紙だろう」


▼新たな戦い?
壱:鳥柱と合流?
弐:死柱からの依頼
参:人柱が呼んでるってよ
肆:そのた

下弐
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 23:26:51.26 ID:RpERDrd10
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 09:29:18.77 ID:sdYrjmlSO
肆、壱+刀鍛冶からの手紙
410 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/11(火) 18:27:14.16 ID:looRzupxo
>>409


ぺらっ


             ズオオオオオオ
『お前俺の打った刀を刃こぼれさせたらしいなこの滓が塵が早く体を治して刀に相応しい剣士になれなれないならそのまま死んで鎹鴉の餌になれ朽ち果てろ刀が傷つくのはお前の腕がないせいだふじこふじこむっきーん』
   ォォ ォォォォォ

太陽「はぁ……ぅっ……!?」ぞわっ

馬酔木「鋼鐡塚め。だからお前の剣を取る剣士が減るのだ」

もらった手紙は悪意が満載に込められており、端の方などは怒りのせいかちょっと血とか付いていて恐怖の対象だった。ええ……。
それを見て引くと言うより呆れる馬酔木さん。え、これなに、日常茶飯事だったりするのかな?ちょっと勘弁していただきたい。
と言うかこの人絶対あれだ!最初の頃におれにまで襲いかかってきた人だろ!絶対そうだわ!と言うかこんな人以外にいないのか、刀が打てる鍛冶!!
(>>35らへんの話)
おれ別な鍛冶の方がいいかなぁ、この人が悪いと言うわけではないのだけれど!けれどね!


ひらひら……

太陽「ん?あれ……まだ手紙がある?」

馬酔木「……来たか」

太陽「えっと、来たかとは」

馬酔木「恒例行事。【鳥柱のお守りの依頼】だ」

太陽「!?」むむむ!?


『拝啓
突然のお手紙をお許しください。私は鳥柱の側近、飯塚と申します。
月柱様より、こちらの館に鍛錬中の剣士様がいるとお伺いし、筆を取らせていただきました。
つきましては誠に身勝手なお願いではありますが、【鳥柱の遊び相手】になっていただけませんでしょうか?』


太陽「あの……これって……どういう?」

馬酔木「これも試練。東雲、柱とはどのような人間がなるか、分かるか?」

太陽「え?ええと、強くて、鬼を倒せて、人を守れて……」

馬酔木「そして、時に人に愛される者だ」

太陽「……?」


411 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/11(火) 18:35:13.53 ID:looRzupxo



『私の鴉を付けておきました』

『どうぞ鴉に導かれるまま、鳥柱の屋敷にお越しください。そこからはそう距離はありません』

手紙の内容がよく分からないままだったが、断れる訳もなかったのでとりあえず行ってみることにした。それにしても鳥柱の……遊び相手?
帯同する任務の依頼ならばまだ分かる。おれみたいな下っ端に頼むかどうかはさておいてだけど。だが、依頼としてはちょっと分からない。
そもそも、師匠はなんでおれのことを鳥柱に紹介なんてしてくれたんだろうか……。馬酔木さんが恒例行事だとは言っていたけど……。


ぎぎい

太陽「あっ」

気付けば鳥柱の屋敷はすぐそこだった。


側近「お待ちしておりました」

ぺこりと頭を下げるのは、飯塚さんと言う人だろう。隠と同じような服を着ており、顔もしっかりと隠している。真っ黒い。暑くないのか?

太陽「あっ、はい、東雲 太陽です、よろしくお願いします……それであの」

側近「はい、鳥柱がお待ちです」


すたすた歩いていく。とてものどかな場所だなとすぐに分かった。太陽の光がまぶしく、とても柔らかく降り注いでいる。少し眠くなってくるほどだった。
……そうして招かれた先にいたのは。


だだだだだだだ


鳥柱「わぁーーーーーー!!!!!!」

太陽「あ”ぁ”ーーーーーー!!!???」


裸。
そう、裸だった。裸の。男性。成人男性。

側近「鳥柱様、服をお召しになられてください。風邪を引きます故」

鳥柱「よくわかんない!なに?」

側近「服を着てください、風邪を引きます」

鳥柱「うんー!」

もそもそもそ

鳥柱「着れないー!!」ぼはぁ

太陽「!?」
412 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/11(火) 18:44:24.56 ID:looRzupxo
側近「ああ本当に貴方と言う人は……」こそこそ

鳥柱「あはははは!あはは、くすぐったいよぉー」


太陽「……」

えーと?……なにこれ?

鳥柱「んしょっ!」

服を着終わった鳥柱がこちらを向く。すごい笑顔だった。怖いくらいの笑顔。

鳥柱「もう遊んでいい?」

側近「だめです。まず名前を言わないと」

鳥柱「えー?なんでなんでうるさいふにゃちん!」

側近「私はふにゃちんではない」ぎろ

鳥柱「うひゃひゃ怒ったー!」

太陽「……あの……あの……?」

鳥柱「あ、人だ」

ぐいん。いったいどこから伸びてきたのか、首がおれの方に伸びる。突然、口付け出来そうな位に顔の距離が縮まって、びくっと体が震えてしまう。

太陽「し、しののめ……太陽です、太陽と呼んでください……」

鳥柱「わかったー!」

太陽「……」まむまむ……

側近「貴方も名前を名乗って」

鳥柱「すずめ!」

側近「鳥柱様」

鳥柱「……【角田 雀】、だよ。いっしょに、あそぼ?」

太陽「は……」

鳥柱「ねー?あそぼー?ねー?あっちの木から柿とってこよー?」

太陽「……」まむまむ

なんだこの空間……!!??
えっと、えっと……この人が鳥柱……なんだよな?

太陽「お……おいくつで……」

すずめ「いま二十八!」

太陽「」


▼聞きたいことが山ほどあるんですが。
壱:すずめちゃん(※28歳男)と遊ぶ
弐:ちょっと側近さん、仔細を……
参:うおおお師匠!と怒りの鎹鴉
肆:そのほか

下弐
名前は後付けしたらこんなことに。とよもとはいない。なぜなの。
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 18:48:28.52 ID:mgKVifE30
1 チュンチュン
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 21:24:59.45 ID:uBUTspjk0
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 00:55:25.88 ID:4soEc0ySO
乙です。刃こぼれさせてたんかい太陽……
折るなよ?
かっとなってぶん投げるなよ?
416 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 18:57:17.93 ID:67NnG0G7o
すずめちゃんの設定は出来た瞬間に投下しました、なんか大切にしたい子でした
417 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 19:04:29.33 ID:67NnG0G7o
>>414

すずめ「行くよー!」

太陽「!?」

すずめ「せーの!」

なんで気が付かなかったんだ?
この人……普段の呼吸から【全集中】をしているのか!?そんな……と思った次の瞬間、疾風のように鳥柱さんは走っていってしまった。
まあさすがに飛んだりはしないんだろうなと思ったけれど、かといって常人で出せる速度ではなかった。
めちゃくちゃに早すぎる。どんだけ早いんだ。

すずめ「ヒャハハハ!」

太陽「あ、ま、待ってください!」

いたたたた。まだ傷が痛む気がしたけれど、きっと気のせいだろう。おれも息を大きく吸い込み、それから駆け出す。
鳥柱さんほどの速度は出なかったけれど、それでも普通の人からすればまあまあ早い方だろう。

だ、け、ど!

太陽(まあまあじゃあ……追いつけるわけ、ないん……だよなぁ!)

へろへろになってやっと鳥柱さんに追いついたが、すでに本人は木の上に登って柿を取っていたのだった。

すずめ「遅いー」

太陽「はあ、はあ、すいま、せ、はあ……」

すずめ「キカイはもっと遊んでくれるよ?」

太陽「はあ……はあ、は、きかい……、」

すずめ「うんー!ひとばしらー!」

太陽「」はあはあ

うーん、実力の差はこんなところでも。
柱ともなれば、このむちゃくちゃな速度にも対応できるのだろう。疲れもなく走っていけるんだろうなあ。


太陽「ひゃあ……」へと

それから数回走ったが、当然おれなんかが追いつけるはずがなかった。

すずめ「いひひひ、ちんちーん」ぺち

太陽「恥ずかしいので……その……はあ、股間を叩かないで……ひいひい……」


418 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 19:10:05.15 ID:67NnG0G7o
その日の夜は体中が死ぬほど痛かった。
もう、なんだろうな、今までで一番痛かったまであるかもしれない。陽炎との戦いでもこんなに痛いこと無かったのになとものすごい頭を抱える。
恐らく、だが。おれも常、【全集中の常中】をしようと心掛けているが、こんなにも長い時間【全集中状態で走る】ことをしていなかったのが敗因だろう。
今ではすっかり全集中状態の呼吸が続かず、通常の呼吸に戻ってしまっている。そして、反動のように全身が痛みに遭っていると言うわけだ。


痛みに耐えかね、風呂を借りた後布団でごろごろしていたら、いつもの側近の飯塚さんが部屋にきた。鳥柱さんを寝かせてきたらしい。なにからなにまでしてもらって申し訳ない……。

側近「ご無理は禁物ですよ、若い方」

太陽「はあ」

しかしおれも、頼まれてきたからにはそれなりにやらなければならないのではないか?

側近「……鳥柱様の遊び相手を真に務められるのは柱、もしくはもう鬼でなければ難しい」

太陽「鬼!?」

側近「あの方にとっては、純粋な意味で───鬼は『壊れない玩具』なのですよ」

太陽「……」

側近「……気になりますか、鳥柱のこと」



壱:鳥柱は大人なの?子供なの?
弐:なんで鳥柱の側近やってるの?
参:キカイってだーれ?
肆:そのた

下弐
419 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 23:36:10.74 ID:67NnG0G7o
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/18(火) 00:03:38.88 ID:BmFRjLp40
1 ロリショタってええやん?
421 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/18(火) 00:22:27.16 ID:R8deOayGo
>>420

太陽「ええと、その………聞きにくいのですが」

側近「なんですか?」

太陽「鳥柱さんは、大人なんですか?それとも子供?」

側近「………」

そして側近さんは口を開いた。最初のうちは周りからの伝聞や、お館さまから聞いた話、らしいが。

側近「鳥柱様は、生まれた時から病を患っておられます」





穏やかな村に、のちの鳥柱こと雀は生まれた。
幼い頃に酷い病熱を発生させ、その処置が残念ながら間に合わなかった為か、脳にすこしばかり病が残ったのだと誰かは言う。
おかげで十を数える頃になっても立つこともままなかった。今でこそ柱などと呼ばれているが、精神は子供のままで止まっているんだとか。
口減らしの為に、早急に埋めてしまおうと言う話しもあったのだが、本人がとても純真で皆を励ましていたこと、なによりも、
母親が「そんなことをするなら、まず私を殺しなさい」と譲らなかったことから、誰も雀には手を出さなかったんだとか。

ところが今から数年前、その村で飢饉が起きてしまった。全員食べていくのなんて無理に決まっている、そんな状態だ。
そこになってやっと、村の人達は苦渋を飲んで決断した。雀を、山に捨てるべきなのだと。
幾人かの爺婆とともに、雀は村付近の山に捨てられた。しかし本人は捨てられただなんて理解していない。ただの散歩だくらいに思っていただろう。





側近「そこに、運悪く村を襲うべく鬼達が来たそうでして」

太陽「え……」

側近「村の人間は全滅……鳥柱様も危険でした」

側近「しかし、鳥柱様はその時に、不思議なほどの能力に目覚めました」

太陽「……まさか……」

側近「鳥柱様は力の加減が元々あまり効かない方なので、ほら。鬼なら」


すずめ「すごーい!どれだけぎゅってしても、いなくならないね?動かなくならないね!」

鬼「ぎや、あ、ぐ、うぁぁああ!?」

すずめ「遊ぼ、遊ぼ?ね?何でも遊べるよね!」

周りが血だらけになろうとも。

ばきばきばきと骨の折れる音が聞こえても。

角田雀は鬼を離さなかったのです。


太陽「───」ぞわっ
422 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/18(火) 00:29:13.76 ID:R8deOayGo
側近「そのおかげで太陽が昇り、鬼は消えてなくなりました。そして、その姿をお館様はご覧になられていたそうです」

太陽「え、あ……」

側近「そしてそのまま即確保、鳥柱様はそのまま鬼殺隊の本尊に連れて行かれ、簡単な訓練をしたのちあっと言う間に柱になり……」

側近「それが大体四年ほど前の話でしょうか」

太陽「四年前から……柱の人……」

側近「彼の言葉には嘘がありません、裏がありません」

側近「だからこそ彼は周りの人を引きつけ、そして平等に愛して愛される」

側近「家族から渡されなかったであろう愛情を今、彼は得ています」

太陽「……」

側近「それが良いか、悪いかは分かりませんが」

側近「少なくとも。……私もまた、彼に救われた身です。最後まで、あの方のそばにいるつもりですよ」

太陽「飯塚さん……」

側近「鬼殺隊はあらゆる人間を求め、そしてあらゆる人間を認めます」

側近「彼を認めると言うことは、多様性を認める。非常に難しいですが、良い判断だ、と私は思いますよ」



壱:貴方はどうして助けられたの?
弐:なんで簡単に柱になったの?
参:じゃあ、すずめちゃんの家族は……
肆:そのた

>>424
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/18(火) 09:24:36.12 ID:+WMZB1mSO
天ぷら 天ぷら 加速ゥ猛進!!

安価なら肆、鳥柱の刀鍛冶について聞く
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