勇者「ニートになりたい」

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185 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/15(月) 18:33:21.87 ID:SH/yhARoO
勇者「……お、おうふ。やはり、体験するって大事だ。ただいまオナ禁14日目に突入した状態だぜ」

リリス「うふふ。切ないでしょう? いてもたってもいられないでしょう?」

勇者「う、うぅ。発情させるのは触れなくてもいいんだね」

リリス「もちろんよ。男はただたぎらせるだけですもの。この翼でね」

勇者「……」

リリス「鱗粉がまけるようになっているの。男に対して、超強力な媚薬効果のある」

勇者「蛾みたいだな」ガクッ

リリス「おだまりッ! ペラペラペラペラと軽口をたたきおって!」チラ

戦士「あの、バカ! なにしに来たんだよ……!」

武闘家「ぐっ! ……身体、動け……っ!」ググッ

リリス「ふふふっ、勇者よ。あそこにメスがいるわよ」スッ

戦士「触られたらダメだ! 勇者!!」

リリス「意識は、ぼやけてくる。種を残したい。それが男の本分。勇者であっても変わらない――」ピト

勇者「あ、あぁ」

リリス「本能を解放なさいな。勇者という枠に捕らわれないで」

武闘家「戦士! 不本意だけど、アタイの腕を折れ!!」

戦士「う、腕を……! し、かし、あたしも、身体が……! それに折ったところでどうする」

武闘家「何かで上書きするしかないだろ! まだ痛みが足りないんだ! というか、それしかない! 最後の力を振り絞れ! このままじゃ、勇者が! 人間の希望が……っ!!」

戦士「くっ! ぐぅぬぬううぅっ!!」ググッ
186 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/15(月) 18:49:36.18 ID:SH/yhARoO
リリス「さぁ、勇者よ。あそこにメスがいる。よくごらん」

勇者「メ、メス、オンナ」

リリス「そぉ。オンナだよ。衝動をぶちまけたいだろ? 荒ぶる男根をしずめたいだろう?」サワッ

勇者「うっ、はぁっ、はぁっ」

リリス「なかなかにかわいい反応するじゃない。そんなに苦悶の表情を浮かべて……さっきまでの余裕はどこにいったの?」

武闘家「戦士、まだか! まだなのか⁉︎」

戦士「お前は待ってるだけだろうが! こっちだっめ必死でやってるよ!!」ググッ

リリス「うふふ。いいんだよぉ? あいつらを好きにして。勇者なんて忘れちまいなよ。勇者だからしちゃいけないなんてことはないんだから」

勇者「勇者を、忘れる……」

リリス「そぉ……みんな生き物なんだ。魔族も人も動物も。みぃ〜んな、本能には逆らえない」ニタァ

勇者「だ、めだ。僕は、勇者なんだ」

リリス「……ボクぅ? ぷっ、クックックッ、ボクっ子だったの?」

勇者「勇者、勇者なんだ……」ブツブツ

リリス「かわいいね。母性本能をくすぐられる……ほら、あそこのお姉ちゃん達と遊んでおいで……?」

勇者「うっうぅ……」

戦士「そんな、まさか。勇者! 目を覚ませっ!!」

武闘家「集中しろッ!! かまうな!!」

戦士「しかし……っ!!」

リリス「くっふっふっふっ! これが伝説か! ルビスの加護とはこんなものか! なんだこのあっけなさは! 」

勇者「う、あう」フラフラ スタスタ

リリス「これなら、淫夢王様に報告するまでもない。ここでお前らは全滅だ!!」
187 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/15(月) 19:29:27.31 ID:SH/yhARoO
勇者「オンナ、オンナ……」スタスタ

戦士「や、やめろよ、勇者。冗談、だよな? いつもの冗談だろ?」

武闘家「最初から全力でやってれば、勇者ならあんなやつワンパンでいけたはずなのに……!」ボソッ

勇者「はぁっ、はぁっ、たまんねぇ、戦士、武闘家」スタスタ

戦士「く、くんなよっ! こっちくんな!」

勇者「興奮させようとしてるんだろ……? そうやって嫌がって」

戦士「や、やめろ! そんな品定めするような目で見るな! いつもの勇者に戻ってくれよ!」

リリス「クスクス。無駄だよ。そこにいるのはただのオスなんだから」

勇者「お前らだって発情してんだろ? そうだよな?」

戦士「い、いやだっ! あ、あたしは、こんなの……」

武闘家「師匠、ここまでのようです。先立つ不孝をお許しくださ……うぶっ⁉︎」

勇者「おっとぉ、なに舌かもうとしてんだ。させねえよ」

武闘家「ゆ、指を、クチに、いれて、ふぉのっ(このっ)」キッ

勇者「……ここまでかな。良い子に見せられるのは」ボキィ

戦士「ゆ、勇者……?」

勇者「淫夢族のチャームとでもいうのかね。たしかに強烈だ」ダラン

武闘家「ぷはっ、ま、まさか……勇者!」

戦士「お、お前、自分の腕を――」

勇者「傀儡にするというなんとまぁありがちなパターンで。おまけに催眠効果だけど、単純だから強烈。いやはや、危ないもんだ」

リリス「……っ! またか! お前も折りやがったのか!」

勇者「ネタバラシを聞き出すつもりが、まんまと蜘蛛糸にひっかかりそうだった。肝心なところ……どうやって精気を吸い取るのか。淫夢族の秘密とやらは、まだ聞けそうにないな」バチ バチバチッ

リリス「……? なんだ?」

勇者「この村から出て行け。それで話をつけよう」バチ バチィッ

リリス「ふざけるな!! なぜそんなことを――」

勇者「ライデイン」ピュン

リリス「う、うっあっ?」

勇者「反応できないだろ。稲妻の速度は。壁に穴あけるぐらいに抑えたけど、次はもっと強烈なのいくぞ」

リリス「……い、いまのが、伝説の」

戦士「み、見えたか? 武闘家」

武闘家「いや、なにかが、指先から光ったとしか」

リリス「くっ! な、舐めるんじゃな、い……」

勇者「二度は言わないぞ。腕が痛いんだ」バチィ バチバチッ

リリス「うっ」ズサッ

戦士「こ、これが、勇者だけが持つ、攻撃魔法」

武闘家「……」ゴクリ

勇者「あのなぁ、これでもめちゃくちゃ加減してんだ。頼むから帰れよ」
188 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/15(月) 19:52:53.61 ID:SH/yhARoO
リリス「(ど、どうする、もう一度、翼で……!)」

勇者「変な気起こさない方がいいぞ。指先大ほどのちっちゃな穴がどでかい穴にかわる。お前が反応して避けられるってんなら別だが」

リリス「(バレてる。……しかし、勇者に我が一族の特技が通用する……! これは有益な収穫だ……!)」

勇者「お帰りは俺が割った窓か、玄関。お好きな方をどうぞ。手下がいるかわからずじまいだけど、そいつらもね」

リリス「いいのか? 私がこのまま帰れば、お前の所在もバレるぞ。全魔族に」

勇者「まぁ、しゃーないよね。こうなったら」

リリス「安心して眠れる夜はなくなるぞ」

勇者「うん、まぁでもそれももう少しの辛抱だから」

リリス「……? もう少しの、辛抱?」

勇者「(だって俺、勇者やめて遊び人になるし。勇者いなかったら追いかけるのもやめるだろ)」

リリス「なにかたくらんでるのか……?」

勇者「いやいや。そんなたいしたものでは」

リリス「……いいだろう。この場は退散してやる。帰る理由もあるし」

勇者「助かる」

戦士「い、いいのかっ⁉︎ このまま逃して! ライデインを撃てよ! そうすれば口封じできるだろ!」

勇者「いや、いいよ。不要な殺しは」

リリス「なるほど……やはり伝承は事実か」

武闘家「勇者! そんな甘さではこの先生き残れないぞ!」

リリス「くっふっ。たしかに甘い。魔族との友好など! そんな幻想! 実現するものか!!」

勇者「(友好? なぁーにいってんだこいつ)」

武闘家「ま、魔族との友好?」

戦士「勇者、そんなことを考えていたのか……」

勇者「えっ? いや、あの」

リリス「夢物語は絵本の中だけにしておくんだね!」

勇者「(なんか勘違いして盛り上がってるけど、ま、いいか。ほっとこ)」

リリス「その甘さがいつか命とりになる! あーっはっはっはっ!!」バサッバサッ

勇者「ほーい。おつかれさーん」

戦士「ゆ、勇者、お前ってやつは」

武闘家「飛び立ったばかりの今からでも遅くない、さっきの魔法を! なんなら追いかけてでも!」

勇者「いや、いいんだ。これで」
189 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/15(月) 20:19:57.76 ID:SH/yhARoO
今日はここまで。
2章はここで終わりません。もうちょっと続きます。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 20:59:58.01 ID:HHHXyKPD0
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/15(月) 22:10:50.13 ID:yR6Pznv8O
乙!
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 22:46:44.08 ID:zeFDaewUO
乙!!
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 23:59:53.58 ID:LTwiNt67o
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/16(火) 00:17:42.29 ID:z/HeZFuZ0
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/16(火) 00:32:36.83 ID:5PpiS5Es0
乙!
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 01:40:19.35 ID:YM4lBZtA0
この一連のage荒らしって同一人物か?
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 03:58:27.67 ID:1puiPYf+O

面白い
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 11:43:08.93 ID:IaGBopf0O
乙。>>196sageも知らないチンパンジーが沸いてるだけだろ気にするな
199 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 12:02:39.15 ID:g1xmOKbDO
【数十分後 村娘 家】

村娘「みんなが目覚めはじめたわぁ〜! 祈りが通じたのよぉ〜っ!」タッタッタッ

村人「待てよぉ〜っ! こいつぅ〜!」タッタッタッ

村娘「きゃっ! いたっ!」ドテン

村人「だ、大丈夫かっ⁉︎」ササッ

村娘「もう、私、寂しかったんだから……ほっとかれて。ずっと寝たままで」

村人「村娘……」スッ


勇者「窓の外じゃキャッキャウフフな光景がひろがってるというのに――」チラッ

戦士「……」ギロッ

武闘家「……」ギロッ

勇者「――なぜにわたくしめは、腰に手をあて仁王立ちしているお二人に正座させられてるので?」

戦士&武闘家「自分の胸に聞いてみろっ!!」

勇者「なんだよぉ〜いいじゃないかべつにぃ〜」

僧侶「ちょっとぉ〜戦士さん動かないでくたざいよぉ〜。まだ回復魔法終わってないんですから〜」ポワァ

魔法使い「さすがに擁護できないわね」

勇者「異議ありッ!! いったいいつ魔法使いが俺を擁護したと……」

戦士&武闘家「勇者ッ!!」

勇者「はい。すんまへん」

戦士「なんということだ! なんたることだっ!!」

武闘家「どうするつもり? これから。明日にも魔王軍が大挙で押し寄せてくるかもしれないよ」

戦士「いまわかった! いや、前々から掴み所のない奴だと思ってはいたが……お前には圧倒的に自分がわかっていない!!」

勇者「……」

戦士「勇者なんだぞ! ゆ・う・しゃっ! わかってるのか⁉︎ 自分の立ち位置が!」

勇者「わかってる」

戦士「いいや! わかってない! 魔族に甘いのがわかってない証拠だ!!」

魔法使い「横から言うけど、魔族は敵なのよ? 起きていなくなってるからてっきり倒したと思ったのに。聞いてびっくりしたわ。まさか、友好を考えていたなんて」

勇者「俺はべつに」

武闘家「魔法使いが言っていたな! なんでもモンスターの墓を作っていたそうじゃないか! 隠そうとしても無駄だよ!」

勇者「それは、ほら。墓ないとかわいそうかなーって」

僧侶「これで、よしと。足の傷口はふさがりましたけど無理しないでくださいねぇ〜。次は、武闘家さん〜」

戦士「それがわかってないというんだ! 人間と魔族は敵対してるんだぞ⁉︎ お前は人間の代表的な存在だろう⁉︎」

勇者「そ、そりは、まわりが勝手に」

武闘家「喋るんならハキハキ喋りな!!」バンッ

僧侶「ほらほらぁ〜動かないでぇ〜。ベホイミ〜」ポワァ

勇者「……う、うるさいわいっ! お前らこそ! 勇者に対する扱いというものがなっちゃいないんじゃなかろうか⁉︎」

魔法使い「自分で気楽に接してくれって言ったんじゃない」

勇者「うっ」

戦士「勇者様よ。敬えというのなら敬おう。だが、もっと考えろよ……!」

勇者「す、すんません」シュン
200 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 12:16:11.37 ID:g1xmOKbDO
武闘家「……はぁ、過ぎたことをいってもしかたないのはわかってる」

勇者「そ、そうだぞ! ここは頭を切り替えてだな!」

武闘家「黙れ」ギロッ

勇者「ひゃ、ひゃい」

魔法使い「ほらほらぁ〜。申し訳ないと思うならワンと鳴いてみなさ〜い」

勇者「ワンワン!」

魔法使い「よくできたわねぇ〜。お手」

勇者「ワンッ!」ピト

戦士「こ、こいつ。プライドないのか……。怒るのがバカバカしくなってきた……」

僧侶「私たちも悪いんですよぉ〜? わざわざ勇者だって教えたのは戦士さんと魔法使いさんですよねぇ〜」ポワァ

戦士&魔法使い「うっ」

僧侶「肝心なときに戦闘不能に陥っていたのはどこの元チャンピオンさんでしたっけぇ〜」ポワァ

武闘家「そ、それは……」

僧侶「最初に会敵したのは勇者さまではなく私たちなんですからぁ〜。助けていただいて感謝すべきではぁ〜? あのままだと成すすべありませんでしたよねぇ〜?」

勇者「……」

戦士「たしかに、そうだが」

勇者「ペッ!」ビチョ

魔法使い「きゃ、きゃぁっ⁉︎ 勇者! なに人の手にツバとばしてんのよバッチい!!」ゴシゴシ

勇者「あ〜ん? なんだぁ? その態度は? 助けていただいてそんな態度でいいのかぁ〜?」

魔法使い「こ、こいつ……!」

勇者「僧侶。貴様は我が参謀に格上げいたそう。良きに計らえ」

僧侶「は、はぁ……」

戦士「今はそういう話では!」

勇者「だまらっしゃい! ウダウダいってもしょーがないの! これからどうするかなの! 重要なのは!」

武闘家「ゆ、勇者がそれを言うか」
201 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/16(火) 12:39:29.76 ID:g1xmOKbDO
勇者「だいたいだな。戦士と武闘家はいつのまに息ぴったりになってんだよ」

戦士「お前のせいだ」

武闘家「共通目的があるから」

勇者「やめていただけるかな⁉︎ 俺を口撃して団結すんの!」

僧侶「また話がそれだしてますよぉ〜。どうしましょうねぇ」

戦士「魔王軍の戦力。どれほどのものか。実態は誰も知らない」

武闘家「さっきの淫魔は確実に伝えるだろう。そうなれば、言われた通り、全魔王軍……親玉である魔王自らが勇者を潰しにかかるかもしれない……!」

勇者「おっかねぇ」

戦士「だったらなんで逃したんだよっ!」バンバンッ

勇者「……ふむ」ピラ

魔法使い「百歩譲って、勇者は自分が襲われるのを良しとしたとしましょう。でも、この村も危険に晒されるのかもしれないのよ? 滅ぼされたら、どう責任とるつもり?」

勇者「いや、そうはならない」

僧侶「なぜでしょう〜?」

勇者「現状が膠着状態だからだよ。俺が立ち寄ったとされる村々を潰せば、人間たちも黙っちゃいないだろ」

戦士「……」

勇者「人間vs魔族の全面戦争が勃発する。なぜだか知らないが、そうはなっていないから。むやみやたらと人間達の住む村々を攻撃しないよ」

魔法使い「その言い分には穴がある。淫魔達はこの村を実質襲っていた。このままいけば、壊滅していたわ」

勇者「まわりくどいやりかた、でな」

魔法使い「……そ、それは」

勇者「なるべく目立たないようにしてたんだと思うよ。もっと大規模にやってもかまわないんなら、人口の多い、例えばマッスルタウンを狙うだろ」

僧侶「アデルの城下町でもいいわけですしねぇ」

勇者「魔王軍は今はまだ、人間達と争う気はないらしい。明日はわからないけど」

魔法使い「じゃあ、あくまで勇者を個人的に狙ってくるってこと?」

勇者「……だといいけどねぇ。ルートを迂回する」

武闘家「どう行く?」

勇者「現在地はここ」

僧侶「西から東に、中心地のダーマに向かってまっすぐきたのでぇ〜。3分の1ちょっとを過ぎたあたりですぇ」

勇者「その通り。ここから北に向かう」

魔法使い「北? 北ってことは雪原よ?」

勇者「この村で防寒対策をしっかり行う。休業していた稼ぎをとりかえすため、営業再開はまもなくするだらうからな」

戦士「北か……なぜ、南のクイーズベルではなく北なのだ?」

勇者「行きたくねぇから」

魔法使い「そ、そんな理由」ガックシ

僧侶「暑さよりも寒さの方がお好みなんですかぁ〜?」

勇者「いや、知り合いがいるんだよ。南の国は」
202 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 12:58:23.53 ID:g1xmOKbDO
魔法使い「寒いと乾燥するから、寒さよりは暑さがいいなぁ。肌によくないし」

武闘家「強い紫外線だって同じだろ」

魔法使い「……へぇ。武闘家も美容に気をつけてるんだ?」

武闘家「ち、ちがっ! そんなんじゃ、ない」

戦士「知り合いとはどういう知り合いだ?」

勇者「こわいのがいるんだ」ゾクッ

僧侶「こわい……?」

勇者「……とっても、恐ろしいやつが……や、やめて! パンツ脱がさないでっ! チン○ンの皮はひっぱるものじゃないよぉ!」ガタガタ

魔法使い「……だいたい想像がつくわね」

戦士「甲斐性の“か”の字もこいつからは感じられん……本当に、ついていっていいのだろうか」

勇者「……そこでだ」キリッ

僧侶「くすくす。コロコロ表情が変わって面白いですねぇ」

勇者「ギャグじゃないわい。……お前らも、よく考えろ」

魔法使い「考えるってなにを?」

勇者「俺と一緒にいると危険だぞ。まだ引き返せる」

戦士「……?」

勇者「いや、あのですね。そんな何言ってんだこいつみたいなキョトンとされても」

武闘家「バカじゃないのか、お前」

勇者「ストレートに言わないで⁉︎」

魔法使い「旅に危険はつきものでしょ」

勇者「危険の度合いといいますか」

戦士「死ぬのがこわいなら最初からついてきていない」

勇者「あ、そう」

僧侶「優しいんですねぇ〜。でもぉ、余計な気をまわしすぎですよぉ〜」

魔法使い「はぁ……いきなりなに言い出すかと思えば、くだらない」

勇者「すみませんねぇ! ……おや?」ピクッ

武闘家「今度はなんだ」

勇者「ちょっと、トイレ」

戦士「申告しなくていいから、さっさと行ってこい」
203 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 13:35:50.93 ID:g1xmOKbDO
【淫夢城 玉座】

サキュバス「勇者を発見したっ!?」

リリス「はいぃ〜お姉様ぁ。見事リリスが突き止めましてでございます〜」スリスリ

サキュバス「報告! 報告なさい!」

リリス「ハッ! またもやトリップしてしまいました。お姉様がいけないんですよぉ、そんなに誘惑の波動をまきちらしてぇん」

サキュバス「……」ギロッ

リリス「ひっ⁉︎ も、申し訳ありません」

サキュバス「……して、勇者がいたというのは嘘偽りない真実か?」

リリス「はい、まことでございます。ミンゴナージュ村にて、遭遇いたしました」

サキュバス「だからか? 精気を搾り取る前に、撤収してきたのは」

リリス「は、はい。先に報告するのが急務と考えまして」

サキュバス「勇者を殺そうとはしなかったのか?」

リリス「そ、それは……」

サキュバス「目の前にいれば考えるはず。できなかったとすれば、圧倒的に力の差があったか?」

リリス「いいえっ! たしかに……攻撃魔法はたいしたものでしたが」

サキュバス「……攻撃魔法ですって?」

リリス「お姉様……失礼、サキュバス様もご存知のライデインです」

サキュバス「稲妻の……どのような威力であったか」

リリス「実際のところは……でも、通常の属性魔法と違い反応できるものではありませんでした。光速の速さといいますか、パッと光ったかと思い振り向けば、穴が」

サキュバス「それで、おめおめと逃げ帰ってきたか? なにもできず」

リリス「なにもできなかったなんてとんでもございません! お喜びください! 勇者に我が一族の特技は通用いたします!」

サキュバス「ほう……?」

リリス「誘惑が効きました! 精神攻撃が有効なのです! お姉様っ!」

サキュバス「それはそれは。たしかに良い報告ね。でも、そうならなぜその場で殺さなかったの?」

リリス「自分の腕を折り、正気を取り戻したのです。そしてライデインの威力をまざまざと見せつけられ……」

サキュバス「報告は終わりか」スッ

リリス「けっ、けっして! けっして逃げてきたわけではありません! 本当です! 罰はどうか!」

サキュバス「リリス、誘惑するなら骨までトロけさせなさいと言ったでしょう……」

リリス「は、はい」ブルブル

サキュバス「そんなに震えて。どうしたの?」

リリス「や、やはり、今からでも殺してまいります!」

サキュバス「よい。ゆっくり休め」

リリス「お、お願いです! サキュバス様! どうか、お慈悲を!」ガタガタ

サキュバス「……うふふ。かわいいかわいいリリス。怯えなくても平気。勇者には、私が会ってくる」

リリス「淫夢王様がっ⁉︎ そ、それは必要ないんじゃ。魔王様に報告して、あとは招集会議を」

サキュバス「勇者……。どれほどのものか自分で確かめたい。魔王様が、我が大魔王があれほど言う人物。たしかめねば、気が済まないのよ」
204 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 13:51:50.61 ID:g1xmOKbDO
【村娘の家 トイレ】

勇者「漏れちゃう漏れちゃう」ジーッ

サキュバス「……」パッ

勇者「ふぃ〜この瞬間が心のオアシスやでぇ〜」ポロン

サキュバス「……リリスのやつ。転移魔法陣の座標誤ってる。使えない部下なんだか……ら?」キョトン

勇者「あ?」ジョロロ

サキュバス「えっ、ちょ、ちょっと」ビチャビチャ

勇者「おっ、ちょ、なんでいきなり便座に座ってんだよ! 急には止まらないんだって男は!」ジョロロ

サキュバス「め、目にはいっ、うえっ、口の中に」

勇者「顔にあたってはねてる! ばっちい!」チョロチョロ

サキュバス「お前のだしてるものだろうが! か、髪に、私の髪が……っ!」

勇者「……」チョロ

サキュバス「……に、人間よ。なにか申し開きはあるか」

勇者「いきなりは、勘弁してほいかなーなんて。あと場所も」

サキュバス「……」プルプル

勇者「ご、ごめんね? ツラかったよね? 顔にションベンぶっかけられ、髪と衣服まで……着てる服って、あぶない水着?」

サキュバス「――……死ねッ!!」バァッ
205 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 14:14:19.75 ID:g1xmOKbDO
【村娘の家 リビング】

僧侶「みなさん機嫌をなおしましょ〜」パンパン

戦士「機嫌なら……怒るのもバカらしくなった時点で。……呆れてるだけだよ。これから、魔王軍に目をつけられた旅になるかと思うと」

武闘家「死ぬのはこわくないと言ったくせに、ビビってるのか」

戦士「悪目立ちをしてしまったという意味だ!」

魔法使い「まぁ、その点については私たちも責任の一端があるのはたしかだし。問題は勇者の性格よね」

戦士「あぁ。だいたいあたしもつかめてきた」

魔法使い「てきとー、甲斐性なし」

戦士「うんうん」

魔法使い「私たちがしっかりしないとだめね」

僧侶「そんなことありませんよぉ」

魔法使い「僧侶、ほんっきで勇者に惚れてるわけ? 肩書きなかったら、しょーもないやつでしょ」

僧侶「それはぁ、おふたりの見る目がないだけでぇ」

――バンッ バンッ ドォーーン――

戦士「爆発音⁉︎」

武闘家「トイレの方からだ!」ダダダッ

魔法使い「今の炸裂音は……イオ系よ! イオ系の呪文だわ!」

僧侶「すごい音でしたねぇ」

武闘家「おい、どうした! ゆう、しゃ……」パタン

戦士「武闘家! なぜ扉の前で立ち尽くしている!」タッタッタッ

武闘家「……ない」

僧侶「ないってなにがですかぁ?」トテトテ

戦士「こ、これは……⁉︎」ギョッ

武闘家「トイレが、壁が、なにもかも。丸ごと、なくなってる」ヒュ〜

僧侶「あらあらぁ〜。外と繋がっちゃってますねぇ」

魔法使い「それで、勇者は……どこ?」
206 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 15:22:56.92 ID:wnE7S7Y5O
【ミンゴナージュの村 数キロ先】

サキュバス「この淫夢王に向かって、せ、聖水プレイだと……」バサッバサッ

勇者「高くて良い眺めである」

サキュバス「なぜしがみついてるんだお前はっ!!」

勇者「いきなりイオナズンとかぶっ放すから爆風で掴んだのが貴女でした」キリッ

サキュバス「こ、この……! 下等生物……!」

勇者「聖水プレイははじめてだったのか? 力抜けよ」

サキュバス「……」ヒクヒク

勇者「どこまで行くんだ? そろそろ地上に下ろしてほしいんだけど」

サキュバス「よかろう……ならば望みどおりっ!! 落ちるがいいっ!!」バサァ

勇者「おっ、いきなりそんな、あぶなっ、あっ」ツルッ

サキュバス「まだだ……メラゾーマ」ボォ

勇者「落下する相手に追い打ち? だめだよーそんなのは」ヒュー

サキュバス「今度こそ……! 死ねぇぇぇっ!!」ゴォッ

勇者「……っ!」バッ

サキュバス「腕を交差したところで防げるものかっ!! そのまま灼熱の業火で焼かれるがいい!!」

勇者「フバーハ」ボォ

サキュバス「……っ! 耐火魔法か!」ゴォォォッ

勇者「うぉっ! あちっ、なんだ? 防御魔法が」

サキュバス「そんじょそこらのやつが放つメラゾーマだと思うなよ! そんなちっぽけなもので……!」

勇者「にょわわわぁ〜〜〜」ヒュー

サキュバス「……な、なんだ。今のマヌケな叫び声は。落下していったが……一応、確認しておくか」
207 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 15:40:23.48 ID:wnE7S7Y5O
【ミンゴナージュの村〜 荒野】

サキュバス「このあたりに落ちたはず。岩だらけで目視しずらいわね」バサッ バサッ

勇者「あ〜、死ぬかと思った」ガラガラ

サキュバス「……っ⁉︎」ギョッ

勇者「ただのメラゾーマだと思って舐めてたわ。見てくれよ。マントが焦げちまった」ビリビリ

サキュバス「な、なんだお前は⁉︎ こ、この私のメラゾーマだぞ!」バサッ バサッ

勇者「この私ってどちら様か知らんけども。ご近所さんではないな」

サキュバス「ま、まさか、お前が……⁉︎ お前が勇者なのか! そうであろう! 生身の人間でこんな強力な個体などいない!」

勇者「んー、まぁもう隠しても仕方ないか。そうだよ」パンパン

サキュバス「そ、そうか……貴様が。どおりで、消し飛ばしたはずのイオナズンも、焼き殺したはずのメラゾーマも」

勇者「さっきのやつなぁ、俺以外に放つとあぶないと思うんだ」

サキュバス「ふ、ふふっ! 勇者よ! 私はお前に会いにきた!」

勇者「それはどうも。こんにちは」ペコ

サキュバス「その実力。伝説に違わぬかどうか私自らが見定てあげる。――見せてみなさい。魔王様に届きうるか否かッ!!」バサァッ

勇者「めんどくせぇ」ゲンナリ

サキュバス「まずは小手調べといきましょうか。この荒野とともに散りとなるなよ……」

勇者「心配してくれんの?」

サキュバス「がっかりさせるなという意味だ! さっきよりも魔力を高めてるぞ」ギュイィィィン

勇者「(こいつは……今まで会った中で一番やべぇっ!!)」グッ

サキュバス「連鎖する爆風! 小さき精霊(もの)どもよ! 連なり爆(は)ぜろ!! イオナズンッ!!」
208 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 16:02:56.87 ID:wnE7S7Y5O
【ミンゴナージュの村 村娘の家」

魔法使い「えっ? えっ? 勇者は、どこに行ったの?」

僧侶「もしかしてぇ〜。責任を感じて一人で行かれたのではぁ〜?」

戦士「そ、そんなタマかぁ? あいつが」

僧侶「絶対ないって言い切れますかぁ?」

魔法使い「可能性の話をしたらキリがないけど」

武闘家「いなくなってるのは事実さ」ドサッ

戦士「どうしたんだ? 座りこんで」

武闘家「どーすんのさ。これから。アタイ達は」

魔法使い「どうするって?」

武闘家「忘れたの? 旅の目的」

戦士「いや、忘れてないが」

武闘家「アタイは師匠との約束を守るため。あんた達は何のためか知らないし、知りたくもないけど……勇者についてく。そう思ってパーティ組んでたんだろ」

魔法使い「……」

武闘家「見切りをつけられちまったのは、アタイ達の方だったってわけだ」

戦士「いや! しかし、あたしたちだって選ぶ権利が」

武闘家「その選ぶ権利とやらはさっき行使したばっかだろ。満場一致で勇者と行動をともにする。そこに疑問なんてあったの?」

戦士「それは、なかったが」

武闘家「アタイが言ってるのは、“勇者にだって選ぶ権利がある”。そういうことだよ」

魔法使い「……で、でもっ!」

武闘家「でももへったくれもないって言ってんだろ!」バンッ

魔法使い「……っ!」ビクッ

武闘家「いなくなってるんだよ……リーダーが……どうすんだよ……これから」

僧侶「メソメソしたって仕方ないですよぉ〜」

武闘家「だ、誰がメソメソしてるって⁉︎」

僧侶「私には、武闘家さんが一番ショック受けてるように見えます〜。ほかのお二人は、ポンコツさんなので実感がないかもしれないですけどぉ」

戦士「う、うむ。言われてみれば、先ほどはきつく言いすぎたかもしれん」

魔法使い「……」

――ドォーーンッ ドォーーンッ――

武闘家「なんだ……?」パラパラ

戦士「天井からホコリが……それに、かなり離れてるが音が聞こえる」

魔法使い「マッスルタウンの花火?」

戦士「バカいえ。そんな大規模なものでは……それに断続的に続いている」

武闘家「向こうの方角だね。空が……? 雨雲?」

僧侶「さっきまで曇ってませんでしたのにぃ〜……これって、まさかぁ、あの魔法ではぁ?」

戦士「僧侶、なにか?」

僧侶「予想が正しければ勇者様はまだ数キロ先にいらっしゃいます〜。追いかけますよぉ〜」
209 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 16:23:23.98 ID:wnE7S7Y5O
【ミンゴナージュの村〜 荒野】

勇者「あっぶぇなぁっ!」ヒョイ

サキュバス「危ないで済んでるお前はなんなんだ! すこしは攻撃したらどうっ⁉︎ それか、当たりなさい!」ブンッ ズォッ

勇者「わろたww当たるバカがいるかよww」

サキュバス「……バカ?」ピクッ

勇者「むっ? いや、言葉のあやで」

サキュバス「バカにしたのか? 王の前で、一族を……?」ゴゴゴッ

勇者「(煽りすぎたか。顔真っ赤やで)」

サキュバス「この私をおおおおおっ!! 誰だと思っているかぁぁああッ!!!」バサァッ

勇者「……ぬっ⁉︎」グッ

サキュバス「――……“誘惑の波動”」キィィィッ

勇者「な、なんだ? あり?」ガクガク

サキュバス「どうした? 勇者よ、下等な人間よ。膝が笑っておるぞ」

勇者「ぬぐっ、ち、力が、抜ける」ガクッ

サキュバス「そうだ! 膝をつけ! それこそが王たる私にふさわしい姿勢! バカにするなど万死に値するッ!!」キッ

勇者「ま、まずいぞ、これ」ドサッ

サキュバス「リリスの報告はただしかったようね。ねぇ、なぜ私が淫夢の王になれたと思う?」

勇者「し、しらないけど」ググッ

サキュバス「それは、魅惑の魔眼を開花できたから。この魔眼を開花するには膨大な魔力を必要とするの。体力もね……でも、効果は絶大」

勇者「どんな、チートなんだ」

サキュバス「どんな強者であっても、見つめられると私の意のままに操れる」

勇者「そ、それはまた、ありがちな能力で」ググッ

サキュバス「それだけじゃないわ。意のままに作り変えることができる。過去も未来も」

勇者「……?」

サキュバス「現在は、過去と未来の中にあるのよ。普遍的なものではないから。あなたが成り立っている過去、家族、全てを忘れられたら……?」

勇者「意味が、わからん」

サキュバス「別の人間になってみる?」

勇者「な、に……?」

サキュバス「リリスも使ったかもしれないけど、あの子はまだ開眼できていなかったでしょうから。……勇者よ、あなたは今から勇者ではない」キィィィン
210 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 16:52:23.36 ID:wnE7S7Y5O
勇者「……」フラァ

サキュバス「そう……いい子ね。あなたはもう勇者ではないのよ」

勇者「勇者じゃ、ない」スゥ

サキュバス「ただの青年。疲れたでしょう? 人間たちの御輿に担がれるのは」スタッ

勇者「でも、僕は、みんなが期待してるから」

サキュバス「(深層心理がでてきてる……)……いいのよ。忘れて。魔族になりましょう」

勇者「だめだよ、そんなのっ! 僕が、僕がやらなくちゃ……!」

サキュバス「……言うことを聞きなさい」キィィィン

勇者「うっ、あ、あぁっ」ガクガク

サキュバス「いい? あなたは――……勇者じゃない」

勇者「わかった……」ビュッ

サキュバス「……っ⁉︎ き、消えたっ⁉︎ そ、そんな、どこに……っ⁉︎」

勇者「……こっちだ。ウスノロ」ビュッ ブンッ

サキュバス「……っ! う、うしっろぉ……っ⁉︎ ぎゃあっ」ドゴーーンッ

勇者「……」スッ

サキュバス「……う、うぅっ」パラパラ

勇者「……僕は、勇者じゃない」バチィ バチバチィッ

サキュバス「くっ、な、なんだ……っ⁉︎ 今の一撃は! 今のスピードは! パンチは! わ、私の障壁が……っ!!」ゾワッ

勇者「お前を殺すぞ……」

サキュバス「あ、雨雲が……勇者の頭上に。いつのまに。……やつが作ってるのか⁉︎」ギョッ

勇者「ギガ……」バチィッ バチバチィッ

サキュバス「ひ、ひぃっ⁉︎」アタフタ

勇者「ギガ・デイン!」バチバチィ ピシャン

サキュバス「――……ギャぁあああああっ!!」バチバチィ

勇者「まだまだ……!」バチバチィ

サキュバス「うがぁぁぁぁあッ!! こ、こんなもの、こんなぁっ、ギャあああっ!!」バチバチィ

勇者「……う、うぅっ」ピタッ

サキュバス「ああァァッ――……あっ、あっ、うっ」プス プス

勇者「だ、だめだ。こんなの……」

サキュバス「うっ、うっ、一瞬で、障壁が、すべて……こ、こんな……こ、こいつの牙は……ルビスめ……隠していたのかぁ……!」プス プス

勇者「」ドサッ

サキュバス「き、気絶した、のか。じょ、冗談ではない、ぞ。我を失っていたとは、いえ……それは、本来持ってる力をふるっただけ、のはずっ」ズリ ズリ

勇者「」

サキュバス「息の根を止めねば……! こ、こいつの力は……魔王に、匹敵する……ッ! 友好などと……なまっぬるい話ではない、我が王の不安は、正しい……ッ!」ズリ ズリ

勇者「」

サキュバス「こいつは、今っ、ここでぇ、殺しておかねばならないッ……!」ブンッ
211 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 17:18:38.42 ID:wnE7S7Y5O
サキュバス「――……なんの、なんの」ズワナワナ

ハーピー「……」バサッバサッ

サキュバス「なんのつもりだっ!! ハーピーッ!!」クワッ

ハーピー「……すミません」スタッ

サキュバス「魔族語でよいわ! 担いでる勇者を連れてさっさと降りてこい!! なんならお前が息の根をとめろ!!」

ハーピー「……」チラッ

勇者「」

ハーピー「この者の命、私が預かります」

サキュバス「ばっ⁉︎ バカなことを言うなっ⁉︎ すぐに出てこれたということは、お前も見ていたんだろうが!」

ハーピー「転移の魔法陣で送ります。サキュバス様であれば、一命はとりとめるでしょう」

サキュバス「だめだ、だめだだめだだめだぁッッ! 今すぐ殺せ! やれ!! なぜ人間を助ける! 魔族だろうが!!」

ハーピー「魔族、だから、です」

サキュバス「な、なにを世迷言を……」

ハーピー「誇りがあるからっ! この者は、必ず私が殺します」

サキュバス「中級のお前なぞに敵うものか! 一瞬で消し炭にされるぞ!! 私の姿を見よ!!」ズリ

ハーピー「そう、かもしれません」

サキュバス「獣王に報告するぞ⁉︎」

ハーピー「追い、だされ、ました」

サキュバス「〜〜〜ッ!! この馬鹿者がっ!! 誘惑の波動ッ!」キィィィ

ハーピー「ご無理をなさらない方が。今は力を回復に回すのです。……本当に、死んでしまわれます」

サキュバス「くっ、おのれぇぇえええっ!! 力が……!」ガクッ

ハーピー「私は、魔族にも、人間にも、属さぬ身。しかし、魔族である誇りは失っていません」

サキュバス「な、なぁ? そいつを殺せば、クチを聞いてやろう! 獣王との仲をとりもってやろう!」

ハーピー「それもまた、然り」

サキュバス「か、かたいことを言うな! 我らは魔族だろうが!」

ハーピー「ご達者で。獣王さまにもよろしくお伝えください」スッ

サキュバス「ハァァァピィィィッッ!! 許さんぞ!! 貴様の一族! 家族! 親兄弟全ての魂を抜き去ってやるっ!! 魔王様にも報告して、未来永劫地獄の業火で焼かれ――ッ!!」スゥーー

ハーピー「はぁ……ばいばい。サキュバス」

勇者「」

ハーピー「……これで、貸し借りなしよ。お前は、勇者は私が必ず殺す。もっと強くなって。命は私のものだ」バサッバサッ
212 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 17:43:29.47 ID:wnE7S7Y5O
【一時間後 荒野】

魔法使い「な、なによ、これ。地形変わってるんじゃないの? 隕石でも落ちてきた?」ゴクリ

戦士「足場がかなり脆くなってる! 踏み外して足をくじかないように気をつけろよ!」

武闘家「……」タンッ タンッ

僧侶「ぶ、武闘家さん待ってくださぁ〜い。そんなに軽々と超えられませんよぉ〜」

武闘家「爆心地にいるはず。どこだ……」キョロキョロ

戦士「焦げ臭い匂いがする。枯葉が焼かれているのか」

武闘家「……」キョロキョロ

魔法使い「かすかに魔力の残り香を感じる……戦ってた? ここで?」

僧侶「ふぅ、ふぅ。よいしょっうんしょっ」カラカラ

武闘家「いたっ!」タンッ タンッ

勇者「」

武闘家「おいっ! 勇者!!」ダダダッ

戦士「ん⁉︎ 勇者? おぉーい! 武闘家! そっちに勇者がいるのか⁉︎」

武闘家「身体が、熱い……! 僧侶! こっちだ! 早く来い!!」

僧侶「そ、そういわれましてもぉ〜。急いでますよぉ〜」

武闘家「……」ピトッ

僧侶「到着〜おでこをくっつけられてますけどぉ、熱があるんですかぁ?」

武闘家「あぁ、かなり熱い。診てやってくれ」スッ

僧侶「わ、私は医者じゃありませんので診断はぁ。とりあえず、回復魔法をぉ。ベホイミ」ポワァ

勇者「」

僧侶「キアリク」ポワァ

勇者「」

僧侶「キアリー」ポワァ

戦士「よいせっと。……ん? 勇者どうしたんだ?」

魔法使い「せ、戦士、手を貸して」

僧侶「……これは、まずいわ」

戦士「まずいって、なにが?」

僧侶「武闘家さん! 勇者様を担いではやく村に戻るのよ!」

武闘家「えっ、あ、ああ」

僧侶「はやく! 貴女の足が一番はやい! 村に帰ったら氷水につけたタオルで冷やして!」

戦士&魔法使い「……」ポカーン

僧侶「なにボサっとしてるのよ! 急げっつってんだろ!! ロッドでぶん殴るぞコラァ!!」
213 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 17:56:58.93 ID:wnE7S7Y5O
【数時間後 村娘の家】

僧侶「……いま、タオルをとりかえますね」スッ チャポン

勇者「Zzz」スヤァ

戦士「な、なぁ。そ、僧侶、さん?」

魔法使い「沈痛な表情浮かべてるところ悪いんだけど、さっきの、言葉使いって?」

僧侶「なんですかぁ?」

魔法使い「ええぃ! まどろっこしい! 素は違うんじゃないの⁉︎」ビシッ

僧侶「なんのことでしょお〜?」

魔法使い「……二重人格とかじゃ、ないわよね?」

武闘家「アンタたち、今は勇者だろ。僧侶、どうなのさ」

僧侶「知恵熱、みたいなものでしょうか〜」

戦士「知恵熱? というと、詳しい原因がわからないという、赤ちゃんがよくなるあの?」

僧侶「そうですよぉ〜。びっくりしちゃったんでしょうねぇ」

魔法使い「びっくり……?」

武闘家「普段から慣らしておかないからってことか」

戦士「なんで武闘家は合点がいったみたいな顔してるんだ」

魔法使い「……?」

武闘家「……心配なさそうね」

僧侶「はい〜。一時はどうなることかと思いましたが、たいしたことなくてなによりですぅ」

武闘家「外で風に当たってくる」

魔法使い「ね、ねえっ! 私達だけ置いてけぼり⁉︎ 勇者はなににびっくりしてんの? 荒野のあの惨状は⁉︎」

僧侶「さぁ〜。なぜなんでしょうねぇ」

戦士「……んー?」
214 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 18:09:25.10 ID:wnE7S7Y5O
【ミンゴナージュの村 翌朝】

勇者「あぁ〜よく寝た。なんだかやけに気分がスッキリしてんな。ストレス発散でもしてきたような……」

僧侶「Zzz」スヤァ

勇者「俺の膝に顔を置くとは100年はやい……あり?」

魔法使い&戦士&武闘家「Zzz」スヤァ

勇者「なんでこいつら座ったまま寝てんだ? 布団なかったのか?」

僧侶「ん……あっ」ゴシゴシ

勇者「お、おはよう」

僧侶「おふぁようございますぅ〜」

勇者「な、なぜにみんな座ってんの?」

僧侶「昨日はあまり寝れなかったのでぇ〜。深夜遅かったですしぃ」

勇者「あ、あぁ。……あれ? あの後俺どうやって帰ってきたんだっけ」

僧侶「お疲れ様でしたぁ」ペコ

勇者「なにが……?」

武闘家「ん、おっ、目が覚めたのか……ふぁ〜ぁ」ノビー

勇者「ああ、おはよう」

武闘家「今日出発すんだろ? アタイは顔洗ってくるよ。あと、あんまり無理すんなよ」スッ

勇者「あ、ああ」

僧侶「勇者さまぁ、あらためてぇ、不束者ですが、これからもよろしくお願い申し上げますぅ」ペコ

勇者「……俺死ぬの? 優しくされると不安になっちゃうんだけど」ハラハラ
215 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 18:19:29.40 ID:wnE7S7Y5O
【淫夢城 回復室】

サキュバス「ぷはぁっ……ここは……?」バシャァ

リリス「さ、サキュバス様ッ!! よ、よかった! 瀕死の状態で帰ってきてから気を失っていたんですよぉ!!」ホッ

サキュバス「そうか、生命のスープにつかっていたのか」

リリス「す、すみません。生臭い匂いがお嫌いなのは存じていますが、この回復法が細胞を傷つけないので」

サキュバス「障壁の回復はまだのようね……」

リリス「な、なにがあったんですか? あんなボロボロの状態になっていたなんて。あっ、タ、タオルです」ササッ

サキュバス「特別収集会議をすぐに開く。各城に伝達を。魔王様には、私が直々に出向く」フキフキ

リリス「は、はいっ! ただいま!」バサッ

サキュバス「……おのれッ……許さぬ……っ!! 許さぬぞっ!! ハーピーッ!!」クワッ
216 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 18:35:25.14 ID:wnE7S7Y5O
【ミンゴナージュの村 入り口】

勇者「さて、必要なものは買ったし。出発すっかね、みなさん」クルッ

戦士「あ、あのだな。勇者」

魔法使い「べ、べつにっ! あんたのためになんか」

勇者「お前ら起きてからそればっかりだなぁ、なにを拾い食いしたんだよ」

魔法使い「……こ、こいつがこんなやつだから……!」

僧侶「くすくす。おふたりはですねぇ、昨日言いすぎたんじゃないかと気にしてるんですよぉ」

勇者「なにをだよ」

戦士「そ、それはその。魔族を逃した時に」

勇者「あ? ……あー! そんなことあったなそういや」

魔法使い「ちょ、ちょっとだけ! きつく言いすぎたかなって」

勇者「いや、俺こそすまん。考えが浅くて」ペコ

戦士「や、やはり、気にして……」

勇者「ばぁ〜〜〜っかじゃねぇの?」

魔法使い「……」

勇者「思わず有名なコラ画像貼りたくなったわ。あぁ〜んなもん気にするかよ。俺は煽り耐性鍛えられてんだ」

魔法使い「……そ、そう」プルプル

勇者「落ちこんでると思ったのw やばいねw」

戦士「やはり、私が間違っていたようだ」スラッ

勇者「お前らはもうちょっと煽り耐性つけたほうがいいと……」

魔法使い「メラミッ!!」ボッ

勇者「当社比50パーセント威力アップ!」ササッ

戦士「根性を叩き直してくれるッ!」チャキ

武闘家「はぁ……おぉ〜い勇者ぁ。馬車に荷物積んだよー。行くんならさっさとしろよー」

勇者「まて! 殺気が本物だろ! 待てって! 落ち着け! 冗談だってば!」ヒョイ ヒョイ

僧侶「次の街はぁ、どこなんでしょうねぇ」

魔法使い「ヒャド!」カキンッ

勇者「待てッ! そこはケツ! アーーーーッ!!」
217 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 18:48:24.09 ID:wnE7S7Y5O
【魔王城 付近 沼地】

魔王「――それで、終わりか」

サキュバス「我が王よ。私が間違っておりました!!」

魔王「で、あるか」

サキュバス「魔王様は勇者が架け橋になると不安がっていましたが、それとはまったく別ッ!! 不安は別の形で正しかったのでございます!!」

魔王「ふぅ……で、あるか」

サキュバス「特別招集会議をすでに呼びかけております! 今すぐに万を超えるモンスターをかき集め、勇者を滅ぼさなければ!」

魔王「で、あるか」パサッ

サキュバス「き、聞いておられますかっ⁉︎ 沼地のマドハンドに餌をやっている場合では……」

魔王「ピーピーピーピーと」

サキュバス「ハッ!? し、失礼。取り乱してしまい」

魔王「お前も種族の王。であれば、冷静さを失わぬことだ。足元をすくわれるやもしれんぞ」

サキュバス「お、おそれながら我が王よ。勇者は魔王様に匹敵を――」

魔王「それ以上は許さぬ。二度はないぞ」ゴォッ

サキュバス「ひっ⁉︎ ま、魔王様の波動……!」ゴクリ

魔王「そうか。遂にやつを見つけたか。万里先を見通す水晶でも見つけられなかったやつを遂に……!」

サキュバス「皆が、種族達の王が魔王様をお待ちでございます」

魔王「勇者……! 面白い、貴様の伝承が真実であれ、実力者であれ、余は勇者の全てを否定してやる!」

サキュバス「我らの王よ。絶対的な神よ。すべては、あなた様の御心のままに」
218 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/16(火) 19:09:04.67 ID:wnE7S7Y5O
〜〜第2章『ミンゴナージュ村のタタリ』〜〜


219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 19:10:10.56 ID:C/7TzVot0
乙。
勇者の闇がどんどん深くなる気が…
220 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/16(火) 19:13:16.58 ID:wnE7S7Y5O
これにて2章完。
ど直球に王道突き進んでます。レスくれた方々ありがとうございました。見てる人がいると思うと励みになります。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 19:17:54.88 ID:jCMNB9hhO
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 19:24:03.03 ID:D/xi7xCs0
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 19:27:38.63 ID:JPbWvlgB0
続きはよ
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 19:47:06.29 ID:94Fx1ykvO
おつおつ
いいキャラしてるわ
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 20:44:37.32 ID:U+AUiVsoo
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 21:36:57.48 ID:JPbWvlgB0
気がついたけど勇者って実は良い人演じてるだけってことか?
勇者じゃなくなったら殺しにかかったのは・・・墓を作ったりしてるのも勇者である義務感から?
カンフーマスターが言ってたこととか全部繋がってるな
227 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/17(水) 00:38:45.28 ID:GWVHxYQ/O
今後の展開についてはコメントを差し控えます。

SSをエゴサ(自分のこと調べること)してみると
、有り難いことに某まとめブログさんにまとめられていたました。
少しでも多くの目に触れる機会が増えて大変嬉しく思っております。

・二章について
導入(旅立ち〜仲間加入)である一章と比べ二章は、これまでの基本路線は守りつつ
話に広がりを持たながら伏線要素を散りばめないといけませんでした。
安易にバトルをやりすぎたのはどうかなと自分では思います。
ただ、どこかしらで必要なのでここでやっちゃった感じです。

三章は少し時間あけようかどうしようか迷ってます。
読む人も書く人も、長いSSになると次第に飽きてくるのが難点でございます。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:58:53.54 ID:I6VJWaQpO
作者の思う通りに書けばいいよ
外野の声は気にしないで
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 01:05:17.20 ID:ShGI05/A0
時間空けると読む奴減る可能性もあるぞ
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 08:54:11.64 ID:ZnmujDCFO
231 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/17(水) 10:12:16.52 ID:4wlEKTt5O
娯楽や暇つぶしでSSは存在しているので飽きさせないで読めるのが一番いいんですけどね。
書いてる側としてはプラモデル組み立ててるような感覚として書いてます。
構成や見せ方を考えながら書くのが難しく、また楽しくもありって感じです。
頭の中で場面場面が思い浮かぶようなセリフになっているはずです。

今読んでくださってる方々は「なんかあるぞ、読んでみるか」「つまらん」というかたも含め
ほかには「続きが楽しみ」と読みたくて読んでる方がもちろんいると把握してて、待っている状態だと思います。

なのでそういう人達向けに続けたいと思います。
三章は今日の午後あたりからスタートします。
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 10:33:23.61 ID:mnpI43Uz0

今はなろうとかハーメルンとかが流行って定着してるから台本形式のSSはすっかり廃れてしまった
あと運営の放置のせいってのもある
昔に比べりゃ人は激減してるけど待ってるよ
233 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 14:50:58.34 ID:ZTs4EIV4O
【ダーマ神殿 聖堂】

大司祭「な、なぜ勇者様の目に枝が被っているものしかないのだね」

神官「それがそのぅ、投影機で撮影しようと思ってもこうなってしまいまして」

大司祭「これではまるで犯罪者ではないかっ! 指名手配でよくあるあの!」

神官「す、すみませぇ〜ん。機材が重くてぇ、勇者様を撮影するたびに移動するのが大変でぇ」

大司祭「……うぅむ。まぁよい。こちらに到着してから改めて、撮影させてもらおう」

神官「は、はいぃ〜」シュン

大司祭「それで、定期的に伝書鳩はきているのか」

神官「ちゃぁ〜んと来ていますよぉ」

大司祭「真面目に仕事をしとるようだな」

神官「かわいそうですよぉ〜。あの子は立派に改心いたしましたー」

大司祭「才能はピカイチなんだがなぁ。あのはねっかえり娘は」

神官「で、ですからぁ〜、今はそんなことありませんってばぁ」

大司祭「人はそう簡単には変わらん。幼い頃、この大聖堂にきてからは喧嘩ばかりおこしていたではないか。神官も覚えておろう?」

神官「は、はぁ。それはぁ」

大司祭「“ダーマの殴り僧侶”“ロリヤンキー”。通り名がいくつあったことか。ワシは何度も恥をかかされた」

神官「くすくす。大司祭様のパンツにワサビをぬったこともありましたかっけぇ」

大司祭「あ、あれは……今思い出してもシャレになっとらん」タラ〜

神官「芋虫からサナギへ。そして蝶になりはばたいてゆくのですぅ〜。私たちが知らない内に」

大司祭「淑女になっていればいいがなぁ。お前の口調をマネだしてからは大人しくなったが」

神官「あの子もそういうお年頃だということですわぁ〜」

子供「司祭さまっ! 賛美歌の準備ができました!」

大司祭「おお〜もう済んだのか。えらいぞ」

子供「えへへっ! みんなはあちらに!」ススっ

大司祭「うむ。それでは子供達よ――」

子供達「はーーいっ!」

大司祭「――……両の指を絡め、女神ルビス様を讃える唄を。この世に祝福の光、あれ」

喜び、それは、美しき神々の閃光。楽園からの乙女。

われらは熱情に酔いしれて、汝の聖殿に踏み入ろう。
汝の魔力は世の習わしにより冷たく引き離されたものを再び結び付。
勇者の優しき翼のもと、全ての生物は兄弟となる。

神官「(僧侶。勇者様の力に精一杯なりなさい。お務めを果たすのです。祈りましょう。私も、あなた方の旅の無事を祈って……)」
234 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 15:11:20.79 ID:ZTs4EIV4O
【ミンゴナージュの村 〜 森林 馬車の中】

僧侶「ふぅ〜」パカっ

魔法使い「……なに? それ。手鏡?」

僧侶「はい〜。これは私の大切な方からいただいたものなのですぅ」

戦士「故郷か、親からの餞別品か?」

僧侶「いえ〜。私、親はおりませんのでぇ」

戦士「そうなのか。亡くなられた、とか」

僧侶「いえいえ〜。捨て子だったのですよぉ。ほらぁ〜、よく聞くでしょぉ〜? 教会に赤ん坊の入った籠をおくとぉ」

魔法使い「あ、あんまり、聞かない」

僧侶「そうですかぁ? 教会は駆け込み寺的な場所でもありますからねぇ〜。もしおふたりが無計画に子供を産んで、どうしてもとなったらぁ」

戦士&魔法使い「するかっ!!」

僧侶「……でもぉ、残念なことにそうしてしまう親もいらっしゃるのですぅ」

武闘家「親のこと、恨んでないの?」

僧侶「顔もわからない方をどうやって恨めというのですかぁ?」

武闘家「なぜ、捨てたのか、とか……」

僧侶「さぁ〜。事情があったのかもしれませんねぇ〜、なかったかもしれませんがぁ〜」

戦士「サッパリしてるんだな」

僧侶「そういうんじゃありませんけどぉ。そういう時期は過ぎ去ったというだけですよぉ」

武闘家「まぁ、でも、大切な人ができたならいいんじゃないさ」

僧侶「そうですねぇ〜。人は出会いがあり成長していくもの。女神様に感謝せねばなりません〜」スッ

魔法使い「信仰、ねぇ」

僧侶「耳を澄ませば、今にも聖堂からの賛美歌が聞こえてくるかのようですぅ」

魔法使い「なんだか、後光が見えるわ。僧侶から」

戦士「徳を勇者にも少しは分けてやったらどうだ?」

僧侶「またおふたりはそうやってぇ〜。勇者様は私たちが拝むべきお人なんですよぉ」

魔法使い「聖人君子なら拝みもするけどね。あれじゃあね」

戦士「うんうん」

僧侶「いつか、あなた方にも勇者様の御心を察することができるといいですねぇ」

ガタン ガタン

勇者「おい、ついたぞ」ヒョイ

僧侶「はい〜かしこまりましたぁ。勇者さまぁ〜」ニコ
235 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 15:53:56.80 ID:9i0aqCWlO
【森林】

魔法使い「ついてないじゃないのよ!」スパーン

勇者「顔はやめて!」ドサ

武闘家「おかしいと思ったんだ。ミンゴナージュを出発してからそんなにたってないし」

戦士「うぅん、獣道のせいで車輪がグラついてるな」ギィ ギィ

僧侶「大工道具は買ってきませんでしたよねぇ」

勇者「いてて、戦士。車輪持ち上げられるか?」

戦士「お前はあたしをオンナアマゾネスかなにかと思ってるのか?」

勇者「ちがうの?」

戦士「ふんっ」ドゴォ

勇者「ガゼルパンチッ⁉︎」ドサ

武闘家「新品の状態でもらったのに。ボロボロじゃないか」

勇者「う、うぅ、元はといえばお前らが暴れるのが悪いんやろが」

武闘家「そ、そうだっけ?」

勇者「あの時にグラつく兆候を作ったのかもしれん」

戦士「む、無効だ! そうならあの場で指摘すべきだ!」

魔法使い「馬車には食料もつんであるし、おいてけないわよ。ここに」

ギャアー ギャアー バサバサッ

僧侶「モンスターの鳴き声が聞こえますねぇ」

魔法使い「馬が怯えて逃げ出すかもしれない。勇者、どうする?」

勇者「うーん。馬は使えるんだからトンカチ買いにひとっ走り行ってくるか」

魔法使い「私たちはこのまま?」

勇者「そんなに時間かからんだろ。それに、ここらのモンスターなら襲われても対処できるんじゃね」

武闘家「アタイがいれば平気だろ」

勇者「なんでもいいけど。じゃあ、俺が馬にのって行ってくるから」

僧侶「お気をつけてぇ」

勇者「俺、無事に帰ってきたらあの子と結婚するんだ」

魔法使い「誰とよ!」

勇者「フラグもわからんとはなっとらんやつだ。よっ」ザッ

馬「ブルルッ」

勇者「はいよー、シルバー!」バシッ

馬「……」

勇者「あ、あり? は、はいよー!」バシッ

戦士「なにやってるんだ。こいつ」

魔法使い「馬にまで舐められてる」

勇者「そ、そんなバカな⁉︎」

武闘家「はぁ……いってこいッ!!」バシィッ!

馬「ヒヒィーーンッ!!」ガバァ

勇者「あっ! そんな、いきなり、はげしっ! らめぇええええ〜〜っ!」パッパカ パッパカ

魔法使い「……勇者ってふざけないと死ぬ病気なのかしら」
236 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/17(水) 17:53:45.36 ID:MJCk7GC0O
【森の中】

勇者「これなら、すぐに森を抜けられそうだな。しっかし、ロケーションが物足りない気がする」パッカパッカ

ビュッ ズバッ

馬「ヒ、ヒヒーンっ!」ズサァ ピタッ

勇者「うおっ⁉︎ ど、どーどー! な、なんだ今のは。なにかが横切ったよな?」

スラリン「ピギーッ!」ポヨン

勇者「このありがちな鳴き声と他のスライムと見分けのつかない姿はっ! お、お前っ! もしかしてスラリンか⁉︎」

スラリン「ピギーッ!」ポヨン ポヨン

勇者「お〜〜っ!! 初めてにして最後の友よ!! はははっ! 元気だったか⁉︎」

スラリン「ピィッ!」

勇者「こんなところにいたんだなぁ。立派になって。チ○コの皮も剥けたか?」

スラリン「ピッ?」

勇者「スライムってゲルだからないのか? どれどれ」ムニィ

スラリン「ピィっ⁉︎ ピギーッ!」ボフンッ

勇者「おうふっ。今のは言葉がわからなくてもなぜ怒ったかわかる気がする……」ドサ

馬「ヒヒーンッ!」パッカパッカ

勇者「あっ! しまっ! ちょ、ちょっと待てよ! どこ行くんだ勝手に! ま、待ちなさい! 待ってくだはい!」

スラリン「ピー……」

勇者「い、いってしまわれた。ま、まずいぞ。このままじゃ、あいつらに殺されてまう……!」

スラリン「ピッ?」

勇者「す、スラリン。た、助けてくれ!!」クワッ

スラリン「ピィ?」

勇者「お、俺は、実は。召使いのようにこき使われとるんだ」

スラリン「ピッ⁉︎」

勇者「来る日も来る日もまわりにふりまわされ。足蹴にされる日々……う、うぅ」

スラリン「ピィ……」ススッ

勇者「慰めてくれるのか! 心の友よ!」ダキツキ

スラリン「ピィッ⁉︎」

勇者「け、決してあいつらがこわいわけじゃないぞ。馬が逃げたのも不慮の事故だ。オレ、ワルクナイ」

スラリン「ピッピッ」ヌル ポヨンポヨン

勇者「あ、どこに行くの? 俺を今ひとりにしないでぇ! メンヘラになっちゃうよぉ!」ヨタヨタ
237 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 18:19:14.00 ID:MJCk7GC0O
【茂みの中】

勇者「ここは? スライムの集会所か……?」ガサガサ

スライムベス「ピッ⁉︎ ピギィーッ!!」

勇者「おもっくそ警戒されとるな」

スラリン「ピィー!」ポヨン ポヨン

メタルスライム「」ササッ

勇者「慌てるでない森の住民よ。ワシが危害をくわえるつもりは」

スライムベス「ピギィー!」ドンッ

スラリン「ピッ⁉︎」ズザザァ

勇者「これこれ。やめなさい。浦島太郎の亀さんいじめる子供かお前らは」

「誰? 誰かそこにいるの?」ガサガサ

勇者「……今のは、空耳かな? 人間の声が聞こえたような気がしたんだが」

「あなた、ニンゲン? 私の言葉がわかるの?」

勇者「やっぱり聞こえる。どちら様で?」

「下よ、した」

勇者「下には、スライムしか……」

「いるじゃない。声は聞こえるだけで見えないの?r

勇者「んん〜?」ジィー

「まだ見えない?」ボヤァ

勇者「おお、なんかうっすらと……だんだん鮮やかになってきた」

妖精「驚いた。本当に見えだしてるんだ」スゥー

勇者「ああ。今はっきりと見えた。紫の髪で虫みたいな羽があるな」

妖精「虫は余計でしょ。あなた、本当にニンゲン?」

勇者「うん、そだよ」

妖精「ニンゲンには見えないはずなのに。……わかった! 変わったニンゲンね!」

勇者「なんの違いが?」

妖精「こんなところでなにしてるの? ニンゲンはここに用なんてないでしょ? 薬草でもとりにきた?」

勇者「いや、懐かしい友にあってね」

スラリン「ピッ!」ポヨン

妖精「えっ⁉︎ ニンゲンと友達なの⁉︎ うそぉっ⁉︎ 信じられない!」

勇者「むしろ俺人間に友達いないんだ」

妖精「え? そんなのありえなくない? 実は魔族?」

勇者「い、いや。そ、その。避けられてたっていうか」

妖精「いじめられてたの?」

勇者「違うよ! 俺はひとりでいたかったの!」

妖精「……隠キャ?」

勇者「フヒヒ。よ、世の中が悪いんだぁ! 俺は悪くねえ……」ドヨーン

妖精「はぁ……変なニンゲンね」
238 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 18:56:43.44 ID:MJCk7GC0O
勇者「ここに住んでんの?」

妖精「ええ、そうよ。この森は精霊様のお膝元ですもの」

勇者「へー、そうなんだ。村からあまり離れてないのに」

妖精「ミンゴナージュの村? もともとあの村はここにいる精霊様を祀ってたの」

勇者「サキュバス祀っとったぞ」

妖精「ニンゲンは得体の知れないものに出会うとすぐに信仰を鞍替えするのよね。なにもしてくれないからっていって」

勇者「生きるのに必死なんじゃない?」

妖精「自分たちのことばっかりよ。ニンゲンなんて。集団で生活するから周りの影響に流されやすいでしょ」

勇者「うん、まぁ」

妖精「感情が不安定だしね。って、ニンゲンにいってもしかたないか」

スラリン「ピッ」ポヨン

妖精「……スライムが人間の膝の上に。そんなの聞いたことない」

勇者「こいつはな。昔怪我したところを助けてやったんだ」

妖精「へぇ」

勇者「それからだよな? 仲良くなったのは」

スラリン「ピィッ!」

妖精「それにしたって異常よ。恩を感じるなんて」

勇者「細かいことはいいんだよ。こうなってんだから。なー?」

スラリン「ピィー!」

妖精「私の姿が見えるし……ねぇっ、あなたってもしかして、勇者ってやつじゃない?」

勇者「違うよ。俺は」

妖精「なぁーんだ残念。勇者なら面白いもの見せてあげようと思ったのに」

勇者「……ちなみにどんなもの?」プニプニ

スラリン「ピッピッ」スリスリ

妖精「“ロトシリーズ”って聞いたことない?」

勇者「ん……?」ピクッ

妖精「何代かに渡る勇者の物語。その石碑があるんだよ」
239 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 19:16:28.13 ID:MJCk7GC0O
【森林 祠】

勇者「……これが」スッ

妖精「もー! 勇者じゃないくせに!」

勇者「初代ロト……二代目、三代目……」

妖精「当時の魔王との争いが描かれているみたい。ほら、そこに描かれてるのが不死鳥ラーミアにまたがってる」

勇者「勇者って、なんなんだ?」

妖精「えっ?」

勇者「女神の加護。先代……これまでの勇者も同じように?」

妖精「よくわからないけど、血統があることはたしかね。勇者である一族は、決められた家系から排出されてきたみたい。唯一違うのは、初代ね」

勇者「古代語で読めないな」ザリ

妖精「うーんとね、曖昧なのよ」

勇者「曖昧?」

妖精「そう。ひとつひとつの繋がりがね。もしかしたら別の時間軸の話かもしれない」

勇者「は、はぁ?」

妖精「例えば、私がりんごを落とすとするわよね。それを拾ったAである私と、拾わなかったBである私。そうした感じでAとBが分岐しているの」

勇者「つまり、別の世界とか?」

妖精「なくはないってだけ。全部繋がってるのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。だって、大昔の話ですもの」

勇者「魔王、倒してるなら、平和になってるはずだもんな」

妖精「どうなんだろう。よくわからない。魔王ってね、定期的に復活するって書いてあるよ?」

勇者「なんじゃそら」

妖精「もちろん、数千年とか数万年とか長い感覚があくし、同じ魔王ってわけじゃないみたいだけど」

勇者「今の魔王も復活してきてんのかな?」

妖精「今代の魔王は先代から継承する形だったらしいよ。だから、復活はしてないんじゃない?」

勇者「ん? ……って、話は戻るが勇者って結局なんなんだよ」

妖精「さぁ? だからよくわかんないの」
240 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 19:37:34.99 ID:MJCk7GC0O
勇者「父上も……? 父さんは勇者の家系なんて聞いたことがない。それに、“聖痕”とはいったい」ボソッ

妖精「ほら、こっちこっち! これ見て!」

勇者「これは……?」

妖精「ルビス様だよ!」

勇者「ルビス? ……これが……? そんな、これじゃまるで」

妖精「? なにに驚いてるの?」

勇者「こ、これが女神……?」

妖精「あー! そういうこと? チッチッチッ。違うんだなぁ。魔族も人間もなぁーんだか勘違いしたままだけど」

勇者「勘違い……」ザリッ


妖精「――……そうだよ! だってルビス様は精霊王なんだもん!」
241 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 20:15:43.83 ID:MJCk7GC0O
【森の中 馬車】

魔法使い「あーあ、暇だなぁ。モンスターでもでてこないかなぁ」

戦士「鍛錬にもなるしな。どうだ? 武闘家。一戦交えないか?」

武闘家「同じ相手とばかりやるのはやめたほうがいいよ。慣れすぎちゃうから」

戦士「む、そ、そうか」シュン

武闘家「素振りでもしてればいいじゃないのさ」

戦士「相手がいないとどうにもなぁ。あたしは実践型なんだ」

馬「ヒヒーーンッ」パッカパッカ

魔法使い「ねぇ、見間違い? こっちに向かってくるのってどこかで見覚えのある馬じゃない?」

武闘家「ちぃっ!」シュバッ

僧侶「……勇者さまが乗っていませんけどぉ」

戦士「武闘家! 傷つけるなよ!」

武闘家「わかってる!」シュタッ

馬「⁉︎ ヒヒーンッ⁉︎ ブルルッ!!」バタンバタン

武闘家「どぅどぅ、落ち着いて……大丈夫、こわくない」ナデナデ

馬「……ブルッ」タンタン

魔法使い「またあのバカは。どこでなにやってるのよ」

僧侶「どうしましょうねぇ〜連絡手段がないので〜」

武闘家「アタイが村に戻って確認してくる! アンタ達はここで待ってな!」グイッ

戦士「お、おい。武闘家」

武闘家「はぁっ!」バンッ

馬「ヒヒーン!」パッカパッカッ

僧侶「――……武闘家さんの行動力は見習わないといけませんねぇ」
242 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 20:52:18.73 ID:MJCk7GC0O
【森林 祠】

勇者「ルビスは、神じゃない……?」

妖精「そもそも神の定義って、絶対的なものを指す場合だってあるでしょ? それだけルビス様がすごかったって意味でもあるけど」

勇者「神と思えるような能力を持ってた、とか?」

妖精「そのほかにも、“マネできない偉業を達成した”とかね。伝説のさらに上にあるのが神ってもんよ」

勇者「じゃあ、ここに描かれてるのは、神と崇められるの前の?」

妖精「そう、精霊王ルビス様その人! いつのまにか女神っていうのが定着しちゃってるけど、精霊を束ねるお方なんだよ!」

勇者「も、もしかして、まだ、生きてたり?」

妖精「うん? ばっかだなぁ」

勇者「そ、そうだよな。生きてるはずない――」
243 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/17(水) 20:53:13.12 ID:MJCk7GC0O
妖精「あったり前じゃない! ルビス様は今もピンピンしていらっしゃるよ!」

勇者「は、はぁっ⁉︎ い、いいいっ生きてる⁉︎」

妖精「そだよ?」キョトン

勇者「え、ええ……じゃ、じゃあ、俺のケツにある聖痕っていったいいつ……そもそも何故俺に。わ、わけがわからなすぎるぞ」

妖精「直接聞いてみたら?」

勇者「どうやって? 会える方法があるのか? というか、今どこにいるんだ?」

妖精「……時のハザマ。そう呼ばれるところにいらっしゃるよ」

勇者「時の、ハザマ?」

妖精「だけど残念! 特殊な結界で往来の制限がされてるから行けないんだ!」

勇者「だけど、制限ってことは、行く方法はあるってことだよな?」

妖精「あるよ? 勇者じゃないと無理だけど」

勇者「ちなみに、勇者だったらどうやって行くんだ?」

妖精「通行手形があるでしょ?」

勇者「どこに? どうやって手に入れるんだよ」

妖精「手に入れるぅ? 身体に刻まれてるでしょ?」

勇者「……あっ! そ、そうか! 聖痕か⁉︎」

妖精「んー、たぶんそれ」

勇者「聖痕は、目印じゃない。通行証だったのか」

妖精「勇者じゃないのに知ってどうするの?」

勇者「会ったら教えとく。それで、どこから? 聖痕があると仮定して」

妖精「鏡から」

勇者「どこの? 主語がない」

妖精「クイーンズベルのお城」

勇者「く、くくくっクイーンズベルっ⁉︎」

妖精「そこがゲートになってるの」

勇者「な、なななっなんでそんなところに」

妖精「ルビス様ゆかりの土地らしいから」

勇者「く、クイーンズベルといえば……」ポワンポワン

『オーッホッホッ! オーッホッホッ! オーっげふっ、ごほっ、おぇっ、む、むせたんですの……うぇっ』

勇者「こ、こいつがいるところじゃないか……」ガタガタ

妖精「大丈夫? 顔青ざめて震えてるけど。なにか思い出したの?」

勇者「だ、だがしかし、戦わなくちゃ現実と!」ゴソゴソ

妖精「?」

勇者「じゃじゃーん! 世界地図ぅ〜!」ピロリン

妖精「わっ、それってニンゲンの? けっこう精密なんだねぇ」

勇者「北から迂回しても南から迂回してもダーマまでの距離はほとんど変わらないか……ならば」

妖精「おっ?」

勇者「行かねばなるまいっ! クイーンズベルへっ!!」クワッ
244 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/17(水) 22:27:51.74 ID:9R/bsapZO
今日はここまで。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 22:39:15.56 ID:n7ewC2m90
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 22:59:36.40 ID:CSzSwaQyO
おつ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:11:27.24 ID:CK/GBaZsO
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:59:29.80 ID:pG/pOiLVo
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 02:10:47.75 ID:pLlh0tJz0
[sage]
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/18(木) 02:15:51.65 ID:pLlh0tJz0
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 03:04:14.53 ID:9Td8A0Td0
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 14:05:11.73 ID:zRP/gIar0
ドラクエSSと聞いてこれを貼らざるを得ない

https://youtu.be/KdHYS2OWYW0

ロトシリーズってことは1〜3が関係してるのかな?
舞台はアレフガルドだよね?
253 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/18(木) 18:38:12.38 ID:0bN6bfFxO
今後もドラクエ用語は随所に出てきます。
ただどこまで関連性をつけるかなどは書きながら決めてる部分があるので明言いたしません。

多くのSSがぼかしてますが魔王勇者SSの原典はドラクエだと個人的に思ってるんで、そういうものだと思っていただければ。
254 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/18(木) 19:44:48.58 ID:0bN6bfFxO
【ミンゴナージュの村】

武闘家「すまない、若い男を見なかったか?」

村人「え? 俺のこと?」

武闘家「そうではなくて。旅の者なんだが」

村人「いや? 見てないよ」

武闘家「……ありがとう」スッ

店主「さぁ〜安いよ安いよぉ〜!おっ! へへ、さっきはどうも」ペコペコ

武闘家「道具屋の店主。早朝は無理をいって店をあけてもらって悪かった」

店主「あぁ、気にしないでくださいよ。こちとら稼がなきゃおまんま食いっぱぐれちまうで。かあちゃんも取り戻すんだーってはりきってますし」

武闘家「連れの者を覚えてないか?」

店主「へぇ? 連れの者というとどちらさまで? 若いお姉さんたちがいましたが」

武闘家「もう一人いただろう? その中に若い男が混じって」

店主「ああ、はい、はい。いらっしゃいましたね。荷物持ちさせられてた小間使いさん」

武闘家「い、いや。小間使いではないんだけどさ」

店主「その方がどうか?」

武闘家「村に戻っているはずなんだけど見当たらないのよ。見かけてない?」

店主「見てないですね……。見たらわかるんですが」

武闘家「本当か? 見落としてるだけとか」

店主「ありえませんよ。客商売をしているとね、お客さんの顔は覚えてるもんなんです。それに、こんな田舎村でしょう? 店舗に来るなんて珍しいんで」

武闘家「そうか……」

店主「ほかのお姉さん達はいらっしゃらないので?」

武闘家「ああ、別の場所にいる」

店主「小間使いさんとはぐれちまったんですかい? そりゃ大変だ」

武闘家「いや、だから小間使いではないと――」

店主「どこではぐれたんですか?」

武闘家「北に数キロいったところに森林があるでしょ。あそこから出てきたはずなんだが」

店主「森林……というと、精霊さまの……」

武闘家「精霊さま?」

店主「へぇ。あの森にゃ古くからある言い伝えで精霊さまのお膝元なんて言われてる森なんでさ。村の者ですら忘れかけてますが」

武闘家「そうか。でも、今はそういう話は」

店主「もしかしたら、神隠しにあったのかもしれませんねぇ」

武闘家「ん……?」ピクッ

店主「いや、これも古くから。子供を危険な場所に行かせない与太話なんですがね。妖精がいるって噂が一時期たったらしいんですよ」

武闘家「妖精……」

店主「いつだったかなぁ。ボヤ〜っとした姿の妖精を見たっていう子がいて。もうだいぶ昔の話なもんで」

武闘家「神隠しとは、どんなもの?」

店主「ふらふら〜っと迷って、いつのまにやら別世界の扉の中に入っているっていう伝承みたいなもんですよ」

武闘家「……そう」

店主「もう一度、森に入って探してみては?」

武闘家「そう、ね。村にいないのならいつまでもいても仕方ない。あ、それと店主」

店主「へい?」

武闘家「トンカチとロープ。貰える?」

店主「お買い上げですかい? ありがとうございます!」
255 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/18(木) 20:11:57.45 ID:0bN6bfFxO
【森林】

妖精「ねぇ、ニンゲン。なにを知りたいかわかんないけど、勇者じゃないと無理だよ?」

勇者「元気でな、スラリン」ナデナデ

スラリン「ピッ!」スリスリ

妖精「聞いてるのー?」

勇者「ちゃんと聞いてるよ。お前らもいきなりお邪魔して悪かったな」

スライムベス「……ピッ」

勇者「わはは。そんな簡単にゃ警戒心解けないか」

妖精「当たり前。スライムが懐くなんてありえないんだから」

勇者「人間だって同じだよ。いきなり分かり合える人なんてなかなかないないもんさ」

妖精「種族の壁があるってわかってないの? モンスターと人間ってそういうもんじゃないでしょ?」

勇者「まぁ、そうだけど。大事なのは調整であってだね」パンパン

妖精「ほんっとーに変わったニンゲンね。向いてる方向が違うのに調整もないわ。宗教みたいな統一思考でもない限り無理よ」

勇者「“私こそが魔物と人間をつなぐ架け橋である!! 皆の者! 手を取り合おう! 争うのをやめるのだ!” 」スラッ

妖精「い、いきなり剣を抜いてなにやってるの? 気でも狂った?」

勇者「やってみたかったんだ」チャキン

妖精「あながち間違いではないかも。夢という理想で覆い隠せば、人も魔物もいっときの幻想に溺れるかもね。もちろん、反発もあるだろうけど」

勇者「やけに他人事じゃないか。人間と魔物が本格的な争いに突入すれば、精霊だって迷惑だろ?」

妖精「そうだけど、大きな流れの前ではなにやったって無駄だもん。争いはやめてっていってやめる?」

勇者「やめないねぇ」

妖精「魔物と人間ってどちらかが滅びるまで争いをやめないんだと思う」

勇者「……」

妖精「私は、傍観者としてひっそりと生きてくだけ。この子たちと一緒に」

スラリン「ピィッ!」

勇者「楽しそうでいいな」

妖精「一緒に住む? 私が見えるんだから考えてあげてもいいよ」

勇者「人生プランの選択肢のひとつとしていれておくよ」

妖精「ほかになにがあるの? ……やっぱり、魔物を殺すの?」

勇者「いいや、ニート」

妖精「へ?」

勇者「無職とか遊び人」

妖精「ぷっ、きゃははっ! 変なの〜」

勇者「……グータラしたいんだよなぁ」
256 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/18(木) 20:33:56.74 ID:0bN6bfFxO
【馬車 荷台】

魔法使い「あっ! 帰ってきた! おーい、ここここ!」

僧侶「……やっぱり勇者さまの姿が見えませんが
〜」

馬「ブルルッ」タンタン

武闘家「どぅどぅ」ナデナデ

戦士「村にいなかったのか?」

武闘家「ええ。そんなに遠くには行ってないはずだけどね」ボトッ

僧侶「修理道具は買ってきていただけだんですねぇ」

武闘家「このままだとここで夜を明かすことになる。それはできれば避けたい、戦士」

戦士「合点承知。あたしが直しておけばいいんだろ?」

武闘家「このままアタイは近辺を探してまわってくる」

魔法使い「もし、もしなんだけど、落馬して気絶してるなんて理由だったら目が覚めたら帰ってくるんじゃない?」

僧侶「それもそうですねぇ〜。さっきまで変わった様子はありませんでしたしぃ〜」

戦士「それもそうだな。馬も疲れてるし、少し様子を見ないか? 武闘家?」

武闘家「……わかった。けど、数時間戻って来なければ探しに行くよ」

僧侶「私たちだって心配してますよぉ〜」

魔法使い「武闘家って世話焼きなのね」

武闘家「アンタらが能天気すぎるんだ。何度も言うが、勇者はアタイらの核なんだぞ。勇者がいて、魔王討伐の旅があって、アタイらがいる」

僧侶「……そうですけどぉ」

武闘家「勇者がいなければ、アタイ達に行動を共にする理由はない。違うか?」

僧侶「それはそれで、さみしいっていいますかぁ」

武闘家「慣れ合うだけだろ。アンタ達、っと」タンッ

馬「ブルルッ」

武闘家「おつかれ」ナデナデ

戦士「な、なにをぅっ! 旅は道連れ世は情けというじゃないか! 寝食を共にするからこそ、絆も深まる!」

魔法使い「そうよ! それに、いざというときコンビネーションは必要だわ! 信頼できるかどうかだって大事なの!」

武闘家「……そうかい。だったら、もっと強くなりなよ。信頼されるように」

戦士「……っ!」ギリッ

武闘家「なに歯をくいしばってんのさ。わかってんだろ? ……自覚してんだろ? アタイがこのパーティで二番目に強い」

戦士「うぬっ⁉︎ こ、こいつ……へ? 二番目?」

魔法使い「むきーっ! 一番は武闘家でしょ! ここにいる戦士と勇者は同じぐらいなんだから! ちっともそんなこと思ってないくせに、嫌味なやつぅ!」ダンダン

戦士「そ、そうかっ! 嫌味で言ったのか!」

武闘家「……はぁ」
257 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/18(木) 21:01:59.20 ID:0bN6bfFxO
【数時間後 馬車】

武闘家「日が傾きだしてきた。やっぱり、探しに」

ガサガサ ガサガサ

戦士「待て。なにかが、いる」

武闘家「……魔物か」スッ

魔法使い「強いモンスターはいないから、平気だと思うけど」

ガサガサ ガサガサ

勇者「お、いたいた」ピョコ

戦士&武闘家&魔法使い「……」ポカーン

勇者「ただいま戻りましてでござ〜い。いやぁ、迷っちゃってさぁ、森って見通し悪いもんなんだね」

僧侶「おかえりなさいませぇ〜」

勇者「くるしゅうない。草だらけになってしまった」パンパン

戦士「おい、勇者」ゴゴゴッ

勇者「ん?」

魔法使い「まずは、“ごめんなさい”じゃないかしら……?」ゴゴゴッ

勇者「え〜。意味わかんなぁ〜い。無事に帰ってきてなんで謝らなきゃいけないのぉ〜? マジ意味わかんないんですけどぉ」

武闘家「……誤魔化してるつもりなんだね」ゴゴゴッ

勇者「や、やっぱ、ダメ?」タラ〜

魔法使い「ダメに決まってるでしょ!」スパーン

勇者「暴力反対!」ドサ

魔法使い「散々心配かけておいて謝罪の言葉もないとかクズかあんたは!!」

勇者「堪忍や〜。自分で自分を守るため開きなおるしかなかったんや〜」

戦士「どこほっつき歩いていた。このグータラ勇者」

勇者「そ、それが、その。馬がね……あっ! 馬いるやんけ! いつのまに帰ってきたんだ! 俺を置いて!」

馬「……」チラ

勇者「俺、どーなることかと思って……!」

馬「ブルルッ」プイッ

勇者「な、なんだぁこの野郎! 調子のってんじゃねぇぞ! 俺を誰だと思ってやが――」

武闘家「呀ァッ(ヤ)!!」ブンッ

勇者「本気の一撃⁉︎」ドサァ

魔法使い「うわっ、いったそぉ」

武闘家「……おい、勇者」

勇者「〜〜ッ! うぉぉぉ、腹が、腹が」ゴロゴロ

武闘家「ふざけるのはよせ。真面目に聞け」

勇者「は、はい」ピタッ

武闘家「アンタがアタイを、アタイ達をどう思っていてもいい。だけど、心配をかけるな。止むを得ずそうなった場合は、誠意を見せろ」ジロ

勇者「す、すんません」シュン

戦士「さっきの話じゃないが、この際はっきりさせとくか」

勇者「話とは? ……なんのことでございましょ?」

魔法使い&僧侶「……」

戦士「あたしらは、お前にとってなんなんだ? 勇者」
258 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/18(木) 21:21:59.76 ID:0bN6bfFxO
勇者「は、はぁ?」

戦士「さっき、武闘家に言われて思ったんだ。あたしらの旅の目的。その中心に勇者がいる。その指摘自体は間違っちゃいないってね。言い方はきにいらないが」

武闘家「ふん」プイッ

戦士「あたしらはそれぞれ目的がある。勇者といけば、その目的が叶うと思っている。だから、一緒にいる」

勇者「ふむ」

魔法使い「勇者は何のために私たちと一緒に旅をしてるの? 仲間がいるにこしたことはないでしょうけど」

僧侶「……」

魔法使い「――そもそも、勇者は私たちを仲間だと思っているのかしら? そう思ってないから、適当な対応しかしないの?」

勇者「そんな深刻にならんでも」

戦士「ふざけるのはなしだ」

勇者「……ふぅ、あのなぁ。ついてきたいと言ったのは、お前らだろう? 武闘家は、爺さんに頼まれてってのもあるが」

魔法使い「つまり?」

勇者「今後についても決めるのはお前らだと言ったはずだ。淫魔を逃した時に」

戦士「なるほど。では……あたしらは仲間じゃなく、ビジネスな取り引き相手だと言いたいわけか?」

勇者「うっ、そ、そうは言っちゃいないが」

魔法使い「そういうことでしょ。逃げるのは卑怯よ」

僧侶「私たちは責めているわけではありません〜。ただ、知りたいのですぅ〜。本心を〜」

勇者「……」ポリポリ

戦士「リーダーの方針には従う。そうであるというのならば、今後の付き合い方にも影響する」

魔法使い「慣れ合いがしたいって言ってるわけじゃないのよ? 仲良しサークルじゃない。それはわかってる」

戦士「あたしの本心を言わせてもらえば、できれば、その、うまく付き合っていきたい」

勇者「つ、付き合うって……」ソワソワ

魔法使い「童貞か! ……ふざけるんじゃないって言ってるのに」キッ

勇者「ついつい。……わかってるよ。人間関係的な話だろ」

戦士「そうだ。所詮は他人同士。時にはぶつかることもあるだろう、こうして話合いの機会を設けることだって少なくないかもしれない。それ自体は悪いとは思わない」

魔法使い「……でも、そればっかりじゃ、疲れちゃうでしょ? どうせなら、楽しくしたい」

武闘家「……」

勇者「うん、言ってる意味はわかるよ」

戦士「だが、それはあくまであたしらの希望であって決めるのはリーダーだ」

魔法使い「勇者、あんたのことよ」

僧侶「……」

勇者「よし、こうしよう」ポンッ
259 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/18(木) 21:49:56.11 ID:0bN6bfFxO
戦士&武闘家&魔法使い&僧侶「……」ジィ

勇者「一度、みんなで風呂にでもはいって親睦を深めあうってのは? 俺ももちろん一緒に」

魔法使い「あ、あんたね……」

勇者「すべてを分かりあうなんて不可能だ。他人同士の壁、性別の壁。色んな壁がある。ケツに泥ついちまった」ムクッ

戦士「……」

勇者「お前らが旅を楽しくしたいと望んでるのなら、俺はそれにできるだけ応えるよ。必要ならそうする」

僧侶「それだとぉ、私たちがそうさせてるっていうかぁ」

勇者「結局のところ、お前らはどーしたいんだよ。そういう話になった時に、言ったんだろ」

戦士「それは、そうだが」

勇者「俺はその要望を汲み取るって言ってるんだ。リーダーとして」

武闘家「でも、それだと、こいつらが言ってるのとはたぶん違う気がする」

勇者「(ふぅ、やれやれ)」

僧侶「私たちは勇者さまのお言葉がほしいのですぅ」

魔法使い「これは、私たちも卑怯かもしれないけど、理由がほしいのよ。それさえあればいい」

勇者「ただひとつ言えるのは、俺は、お前らのことが必要だと思ってるよ」

戦士「本当か……?」

勇者「当たり前だろ。だから要望を聞いて合わせようとしてるんじゃないか」

僧侶「それは、お優しいからではぁ〜」

勇者「いんや。助かってる部分はあるし、旅の中でそれは思った。本心でだ」

魔法使い「続けて」

勇者「本心を言えば、戦士や魔法使いが要望通りすれば得られるものがある。その損得勘定の一方で、仲良くできればいい、そう思ってる」

魔法使い「じゃあ……」

勇者「だが、勘違いするな。仲良くなれるかどうかなんて個人間の問題だということを。旅は楽しければいい。そりゃそうさ」

戦士「……」

勇者「無理して仲良しを装うほどつまらないもんはないだろ。努力は必要だが、合う合わないはある。分かり合えるきっかけなんて些細なものだが、それが生まれない場合もあると理解しろ」

僧侶「はい〜」

勇者「まずはお互いがなにを求めているのか、そこからはじめたのは良いことだと俺は思う。良い方向に考えればだが」

戦士「……」

勇者「気楽にやりましょーってことで」ゴソゴソ

戦士「お、おい。まだ話は終わりじゃ」

勇者「うーるせぇなぁ。時間が解決してくれることだってあんだよ。なに生き急いでんだ」ピラ

武闘家「地図広げてどうしたんだ?」

勇者「方針を発表します! 今から、南のクイーンベルに向かいます!」ビシィ

僧侶「あらまぁ……」

魔法使い&戦士&武闘家「――……はぁぁっ⁉︎」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:30:44.01 ID:OswWr4Z00
乙?
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:32:20.34 ID:RJfqGOvoO

寝落ちかな?
262 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/19(金) 07:06:10.59 ID:bvIfG7NGO
すいません、寝落ちしてました。
今日は午後〜夜ぐらいに再開すると思います
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 07:27:26.32 ID:AGFEP+cDO
264 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 14:50:11.88 ID:+r3xFqGgO
【魔王城 玉座】

キングヒドラ「なぁにぃ⁉︎ 勇者の居場所がわかっただぁ⁉︎」ドンッ

シンリュウ「ならば、消せば良い」

オーガ「そうだ! 勇者を殺しッ! 残った人間は一匹残らずすり潰してやるッ!!」

サキュバス「コトは……そう単純ではなくなってしまったのよ」

オーガ「なにがだ⁉︎ 我ら魔族の連合軍を前にして敵など皆無! 力を存分に発揮して蹂躙しつくしてやればいいだろうッ!」

魔王「……時期ではない」スゥ

シンリュウ「我らが王よ。なぜ? なぜでございましょうか。人間を過大評価するのは」

魔王「まず一つに、数だ。我ら魔族は強力な個体を強みとするが、人間共の母数に比べれば半分にも満たない」

オーガ「数など……っ!」

魔王「次に、数を活かした組織力にある。有象無象の衆を相手にしたとなれば……たやすく蹴散らせる。しかし、戦局が複雑化すれば次第に我らと均衡するであろう」

キングヒドラ「なぜだッ⁉︎」ビターン

魔王「やつらもやつらで団結するからである。生産能力は侮れぬ。首脳陣が保身しか考えない無能であれば話は別だが……あれを見よ」ピタ

四天王一同「……」

魔王「知っておろうが、ニンゲン共が作った世界地図だ。アレフガルドには、人間達の国が四つある」

サキュバス「アデル、クィーンズベル、ハーケマル、サルマニアですね」

魔王「我らの大地は“裏にある”。地図を裏返してみよ」

大臣「ははっ!」ペラ

魔王「……して、見てどう思う?」

四天王一同「……?」

魔王「気がつかないか。領土の広さは人間どもの治める大地に比べて……」

シンリュウ「当たり前のことすぎて……」

オーガ「なにが言いたいのですか⁉︎」

魔王「我らもいずれはやつらの治める大地……有り体に言えば人間界へと侵攻するであろう。準備が足りないのだ」

キングヒドラ「ですから! 準備などせずとも!」

魔王「黙れ……」ギロッ

キングヒドラ「……っ!」ビクゥッ
265 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 14:51:35.27 ID:+r3xFqGgO
魔王「ラクに勝てる道を前にしてなぜイノシシのごとく突進するのか。我らは個を有利とすればこそ、失った時の損失もまた大きいのだ」

サキュバス「領土を広げるには、子を産み、魔族の母数を広げることが最重要課題」

魔王「で……ある。そうなればどちらにせよ今の領地では足りなくなる。資源も、土地も」

シンリュウ「勇者は……?」

魔王「やつは殺す。これ以上力をつけられる前に」

キングヒドラ「ならば! 私におまかせを! 必ずや勇者の息の根を止めてごらんにいれましょう!」

魔王「……場所はわかっておるのであろう?」

サキュバス「はっ。ミンゴナージュで遭遇してから日数がたっておりません」

魔王「キングヒドラよ」

キングヒドラ「ははっ!」ザッ

魔王「人間共のをなるべく刺激しないようにできるか?」

キングヒドラ「うっ……」

シンリュウ「そういう理由ならば我におまかせを。竜族は時に激しく、そしてまた時には静けさを持ち合わせております」

魔王「シンリュウよ。王、自ら動くのか?」

シンリュウ「サキュバスからの周知徹底によると、勇者はとんでもない力を秘めているとか。……であれば、下っ端にまかせるわけにもいくますまい」

魔王「返り討ち、なんて顛末にはなるまいな?」

シンリュウ「所詮は人の子。戦闘向きではない淫魔族が遅れをとったとて、古代から続く竜に敵うものですか」

魔王「良いか。よく聞け」

四天王一同「……」

魔王「先走るな。繰り返し念を押すが、お主らのどこが欠けてもまた時間をかけねばいけないくなる。我らに欠如して良い部族はない」

四天王一同「……」

魔王「狙うは勇者のみだ。よいな?」

四天王一同「……ははぁっ!」ドゲザ
266 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 15:11:09.58 ID:+r3xFqGgO
【魔王城 通路】

シンリュウ「これはこれは……サキュバス殿ではありませんか」

サキュバス「……」スッ

シンリュウ「なぜ、通路でお待ちに? 招集会議なら終わったばかり――」

サキュバス「勇者を、侮ってはいけない」

シンリュウ「ふっ、ふふっ、笑わせないでいただけますか。我らをどの一族だと思っておいでか」

サキュバス「どの一族でもだ。巨人族でも、獣族でも同じこと。油断すれば、消されるぞ……! やつの……力に」ゾワッ

シンリュウ「相当、恐ろしい思いをなさったようだすねぇ。竜族を、理解しておられないようで」

サキュバス「我ら魔族は、力がある。その特異性もあってか、力のある個体を好む。魔王様に従い、尊敬するのも同じことよ」

シンリュウ「おやおや。では、貴女は勇者の力にときめくものでもあったと? 魔王様に反旗を?」

サキュバス「ち、違うわっ! 私は、そんなこと……。貴女の心配をしてるのよ!」

シンリュウ「ですから、その心配が我が一族に対する侮辱だと申しているのです。人間でしょうが」

サキュバス「あ、あれは人じゃないっ! 人間の強さじゃないのよ!」

シンリュウ「では、ガタガタと震えていらっしゃいませ」

サキュバス「な、なに……?」

シンリュウ「ニンゲンがこわいよぉ〜、と……。淫夢城の片隅で」

サキュバス「き、貴様ぁっ!! 私をバカにしているのかえっ⁉︎」キィィィン

シンリュウ「きっかけを作ったのは貴女でしょう。では、失礼。淫魔の王よ」コツコツ

サキュバス「……ぐっ! ……おのれっ……おのれえええぇえええっ!!」ギリギリ
267 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 15:24:12.96 ID:+r3xFqGgO
【数十分後 竜王城 玉座】

ベビードラゴン「おかえりだす!」

シンリュウ「ただいも。えんらく疲れちまっただよ。堅苦しい空気は苦手だぁ」

ベビードラゴン「口調は大丈夫だったか?」

シンリュウ「いや〜、危なっかしい場面チラっとあったけんど、気がつかれてなかったっぽい。ハラハラしちまったよ」

ベビードラゴン「威厳もへったくれもあったもんじゃないもんな!」

シンリュウ「そりゃあなぁ。奥地に住んでたらいつのまにかこんな方言定着してたなんて知られたら笑いものだっぺ」

ベビードラゴン「なんの招集会議だっただか?」

シンリュウ「……なんでも、勇者の居場所をつきとめらし」

ベビードラゴン「へぇ〜! 勇者ってあの勇者だろ? ずーーーーっと昔には協力関係にあったかもしれないっていうあの!」

シンリュウ「その時代に生きとるやつなんかいんね。伝説なんじゃねの」

ベビードラゴン「そうはいうけど、壁画が残ってるし」

シンリュウ「戦ってる壁画もあんだべよ。時には戦い、時には協力。こんれもまた、時代なんだっぺなぁ」

ベビードラゴン「今は魔王様いるしな! 勇者を殺すのか?」

シンリュウ「ほんとは行きたくなかっただすぅ。でも、あの場の雰囲気がワタスを動かしてぇ」

ベビードラゴン「わかるわかる。やらねばって感じになるよな」

シンリュウ「おめぇがいづから部族の代表になったのよ。しんねぇくせに」コツン

ベビードラゴン「いたっ。えへへ、で、どうすんだ?」

シンリュウ「人間、だもんなぁ。サキュバスはああいうけど、正直負ける気がしねぇ」

ベビードラゴン「サキュバス? 負けるのはありえないんじゃないか?」

シンリュウ「んだども、どうすっぺかなぁ」
268 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 16:09:22.04 ID:+r3xFqGgO
【三日後 クィーンズベル 国境 砂漠地帯】

魔法使い「照りつける太陽、からからに乾いた大地。景色がゆらゆらぁからゆらゆらぁ〜」

武闘家「最後のひと瓶だ。それ」ポイ

魔法使い「あっ、えっ、わっ」アタフタ

武闘家「ばっ、ばかっ⁉︎」

魔法使い「あっ」ツル パリンッ

僧侶「あらあらぁ、水がぁ」

武闘家&魔法使い「う……あ……」

魔法使い「ど、どどどどっどうすんのよ⁉︎」

武闘家「どんな壊滅的な運動神経をしてるのさ⁉︎」

魔法使い「う、うるさいわねっ! 暑くてだるかったの!」

戦士「暑いんだから喧嘩しないでくれぇ〜」

僧侶「勇者さまぁ、最後のひと瓶がぁ」ヒョコ

勇者「……」

僧侶「勇者さまぁ?」

戦士「心頭滅却すれば火もまた涼し。ここにきて、勇者、ついに悟りを……」

勇者「」コテ

魔法使い「気絶してんじゃないの!」

武闘家「無理もない。この炎天下の中、ずっと外で座ってちゃ」

僧侶「一日ですっかり肌も焼けてしまってますねぇ」

魔法使い「ま、真っ赤よ⁉︎ 火傷しちゃってない⁉︎」

勇者「う、うぅ。み、水を。水……」

僧侶「それがぁ、先ほどお伝えいたしたとおり、魔法使いさんが割ってしまいましてぇ」

魔法使い「私のせいじゃない! 武闘家が悪い!」

武闘家「アタイのせいにすんなよ⁉︎ アンタの運動神経が――」ギャアギャア

勇者「な、なんでもいいから、水くれぇぇぇ…………」
269 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 17:36:32.95 ID:wf16flOjO
【クイーンズベル城 寝室】

姫「ふぅ……今日の外気温度はいかほど?」

メイド「39度でございます。お嬢様」

姫「今日もいつもと変わらずね」

メイド「左様でございますね、お嬢様。この砂漠土地独特の気候で」

姫「紫外線対策は?」

メイド「こちらに。UVケアクリーム、日傘、靴下、手袋、ありとあらゆる品をとりよせてございます」ササッ

姫「黒なんてもう流行らない、女は白い肌。ましてや私は姫……」

メイド「んまさにっ! 透き通るような珠のお肌でございます、お嬢様」

姫「オーッホッホッホ! もっとよぉ〜! もっと言ってちょうだぁ〜い!」

メイド「素敵です! さすがです! ビューーーティホーーーッでございます!」

姫「はぁ……そう。私こそがこの国一番の淑女にして美女……美しいって……つ・み」

メイド「素晴らしい!」パチパチ

姫「使者はどうか?」スッ スタスタ

メイド「間も無く帰ってくるかと思われます。お椅子を」スッ

姫「……んふっ」フワッ

メイド「噂によると、いよいよ勇者が旅立ちを迎えたとか。懐かしゅうございますね」

姫「口紅を」スッ

メイド「こちらを。……時を同じくして生まれたおふたりはいわば幼馴染。アデルのお城に特使として訪れた際には大層仲の良かったことで」

姫「あぁ……勇者よ。どこにいるのであろうか。あの嫌がる顔をもう一度見とおてたまらん」ヌリヌリ

メイド「お嬢様、それぐらいに」

姫「今日も美しい。この“鏡”にうつる私は、今日も美しくてよぉ〜〜! オーッホッホ! オーッホッホッ!」

メイド「素敵でございます! お嬢様!」パチパチ
270 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 19:46:56.82 ID:bvIfG7NGO
【クイーンズベル城 玉座】

姫「な、なななっ⁉︎ このあたくしがお見合い⁉︎ どういうことですの⁉︎」

王様「姫も18になった。そろそろ婚礼を迎えてもいいであろ」

王妃「ええ、貴方。相手は北のハーケマル。その第一子嫡男であるハーゲよ」

姫「朝の身支度を終えて来てみれば……そんな……っ! それになんですの⁉︎ ツルピカってそうな名前は!」プルプル

王様「これ、失礼であろ。名前は親がつけたもんじゃ。親はもう毛根が……ゲフンゲフン」

姫「やっぱりハゲるんじゃありませんこと⁉︎」

王妃「ハゲハゲ言うんじゃありません。髪の話などしても不毛よ。髪がないだけに」

王様「……座布団没収」ボソ

姫「お父様! お母様! ダジャレを言い合っている場合ではないんですの!!」

王様「しかしのぅ、この縁談は政治的側面もあるんじゃよ」

姫「……っ!」

王様「姫も知っておろ? 四つ国は西と東、南と北でそれぞれ兄弟国になっておる」

王妃「私も元々はハーケマルの姫だったのよ?」

王様「うむ。こうして代々、王家同士で和睦と太平の契りを交わすため、家族となるのじゃ」

姫「そ、それは……でもっ」

王妃「夫婦生活なんて慣れよ。この人と結婚するのなんて、私も最初は嫌々だった」

王様「本人を前にして言うかの」

王妃「よく聞きなさい、姫。王家の女はね、男と結婚するのではない」

姫「……お母様」

王妃「いいから聞きなさい。王家の女は、民と結婚しなくちゃいけないのよ」

王様「ふむ」

王妃「所詮、女なんて道具に過ぎない。慰めにならないと思うけど……貴女の勇気が、民を安心させる」

姫「い、いやですわ。そんなの納得いかないんですのっ!!」タタタッ

王様「おう⁉︎ ひ、姫っ」

王妃「……今はほっときましょう。私もそうでした。あの子は帰ってきます。身体に王族の血が流れている限り」

271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 19:57:29.68 ID:Lagy0bRpO
他の登場人物は勇者を持ち上げるためにいる
そのため勇者に魅力は感じず、他の登場人物も総じて薄っぺらく見える
272 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 20:02:51.88 ID:bvIfG7NGO
【砂漠の国 クイーズベル 城下町】

荒くれ者「ヒャッハーッ!! 水だ水だぁっ!!」ドン

老人「あうっ」ドサッ チャリン

荒くれ者「ん……? なぁ〜んか今、金目の音がしなかったかぁ〜?」

老人「あわわっ」ササッ

荒くれ者「おぉ〜い爺さん! 金だしなァッ!!」グィ

老人「ひ、ひぃっ! やめてくだされ! それはモミの木を買う金でっ」

荒くれ者「しらねぇなぁ〜!!」ブンッ

勇者「……待て」

荒くれ者「あァん?」チラ

勇者「お前らの血は何色だ?」

荒くれ者「なんだぁテメェ?」

勇者「おまえらの血は何色かと聞いているゥッ!」ビシ

荒くれ者&老人「……」ポカーン

勇者「この俺の前で悪事を働いたのが運の尽き。この北斗神拳の餌食に――」

魔法使い「さっさと助けなさいよ!」スパーン

勇者「み、見事だ。天に還る時が」ドサ

戦士「そのまま寝てろ」ゴツン

勇者「」

荒くれ者&老人「……」ポカーン

武闘家「はぁ……おい、そこのお前。お爺さんから手を離しな」

荒くれ者「な、なんだァ、テメェは⁉︎ 俺は女だからって容赦しねぇぜぇ⁉︎」

戦士「奇遇だな。あたしらも男だからって容赦しないんだ」スラッ

荒くれ者「……あ、あれ?」

武闘家「さぁ、覚悟はいいかい」ポキポキ

荒くれ者「〜〜〜〜ッ! 舐めんじゃねぇぞおっ!!」ブンッ
273 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/19(金) 20:10:34.85 ID:bvIfG7NGO
>>271
何度も書いてますがあえてのそこをやってるのですよ
感想をいただけるだけでもありがたいのですがせっかくなら読んでからもらえるともっとありがたいです
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 20:24:53.23 ID:1aVovlAg0
相手にしなくていいから続きはよ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 20:29:19.45 ID:Lagy0bRpO
勇者SSとしては結構王道路線なんですけどね
多くのSSがぼかしてますが魔王勇者SSの原典はドラクエだと個人的に思ってるんで、そういうものだと思っていただければ。

何度も言っているとありますが、それは上記の発言のことを言っているのですか?

あなたは勇者魔王の王道、原典はドラクエと言っていますが、他のSSも見てみることをお勧めします。
長文失礼しました。頑張って下さい。
276 : ◆7Ub330dMyM [saga]:2018/01/19(金) 20:33:41.56 ID:bvIfG7NGO
【数分後】

荒くれ者「」

戦士「大丈夫だったか? 爺さん」

老人「あ、ああ。それにしても強いんだねぇ、お嬢ちゃんたちゃ」

僧侶「危ないところでしたぁ」

老人「……あっちの若者はいいのかね」チラ

勇者「」

魔法使い「あぁ、いいのいいの。いつものことだから」

老人「ふ、ふむ」

戦士「どーなってるんだい? 井戸に水がはいってないなんて」

老人「旅人か。この地方は雨が降る割合が極端に低いのは知っとるかい?」

武闘家「見ればわかる」

老人「であるからして、こうして地下の源泉を掘り当てた湧き水を使っとるんじゃが……」

僧侶「聞いたことがありますねぇ。いずれ乾いてしまう場合があるとか」

老人「大抵の場合は風で運ばれてきた土が原因じゃ。ここが枯れた理由はさっぱりわからん」

戦士「水がわかなくなったってのはたしかだ。生活できないだろ?」

老人「水を宅配してもらっとるんじゃ。その金がまたバカにならんくての」

魔法使い「水のデリバリー?」

勇者「ほーん」ムク

僧侶「今回は復活まで時間がかかりましたねぇ〜」
277 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/19(金) 20:35:49.66 ID:bvIfG7NGO
>>276
もちろん見ていますよ。
その上で書いている通り、“個人的に”そう思っているというお話です。
応援ありがとうございました。今度はちゃんと読んでいただけるとありがたいです。
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 20:42:09.27 ID:1aVovlAg0
クソSS作者の横槍だから相手しなくていいんだって
みんながみんな普通の感想書くわけじゃないんやで
279 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/19(金) 20:52:46.67 ID:bvIfG7NGO
これだけは名言しておきますがこのSSの基本方針は>>153で書いている通りです。
読んでないなってレスや感想は一発でわかります。

とりあえず今日はここまでということで。また明日にでも続きは書きます。
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 20:59:36.87 ID:J6JjSiGRO
ブチ切れとるやんけ……
まぁ確かに読まずに批判されたら嫌だよな
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 21:19:53.68 ID:ApqVeiBmO
読んでる読んでないは作者の判断
賞賛する感想しか受け付けないってことだろ
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 21:24:22.68 ID:fO1Q7Wgyo
懐かしい感じのSSで面白いよ
大震災前に戻った感がある
283 : ◆7Ub330dMyM [sage]:2018/01/19(金) 21:26:52.73 ID:bvIfG7NGO
批判になるかはわかりませんが>>144>>13のような指摘や感想はすでにもらっています。
にもかかわらずなのですから「あ、読んでないな」とわかってしまうのです。

投稿するときはsagaしてるので多くの人の目につくようになります。
感想をいただくのはありがたいのですが、読んでからの方がもっとありがたいのです。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 21:35:30.63 ID:p+1sVl9mO
開始時の勇者ニート目指す云々は面白かったし
途中の勇者ツエーも面白かった
今はダラダラしてる展開だな、今後の話のために必要な部分なのかもしれんけど
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