【ラブライブ】海未「罪と罰」【仮面ライダーW】

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118 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 13:43:26.47 ID:PQmdsRNi0
ーーーーーー



亜里沙ちゃん絡みの時のえりちの行動は早い。
実行に移したのは翌日。

うちとえりちは、朝から出掛けるという亜里沙ちゃんの後をつけることにした。
にこっちも誘ったんだけど、なんだか忙しいらしく、断られてしまった。



絵里「…………」

希「…………」



というわけで、えりちと二人。
ランナウェイした時に、にこっちともお揃いで買ったサングラスを着け、ファミレスで亜里沙ちゃんを監視する。
ほんと不審者やね……。

ただ、




亜里沙「…………」ソワソワ




今回のえりちの勘は当たっているかもしれない。

なぜなら、亜里沙ちゃんの様子が変だから。
端から見ても分かるくらいソワソワして、髪型とか服とかを 気にしている。

…………ふむ。
これは……?
119 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:07:49.65 ID:fXDTkW1P0



希「恋人、とか?」

絵里「いやぁぁーー」




ちょっ!?
慌ててえりちの口を抑える。

…………よし。
若干不審がられたけど……。



亜里沙「…………」モジモジ



バレてないようやね。
ホッと息を吐く。



絵里「〜〜〜〜っ」

希「静かにね、えりち」

絵里「…………」



えりちが頷いたのを確認してから、口を塞いでた手を離す。



絵里「亜里沙に……こ、ここここいびと? フッ、ありえないわね」

希「…………声、震えとるよ?」

絵里「うぐっ」

希「……おっ」



と、えりちをからかうのはこの辺で止めといた方が良さそうやね。
亜里沙ちゃんが動いた。
どうやら相手が来たみたい。

どれ?
亜里沙ちゃんが選んだ相手、うちとこの心配性なお姉ちゃんで確認しよか!

そう思って、亜里沙ちゃんの視線を追う。
そこにいたのは、





海未「……お待たせしました、亜里沙」




うちらもよく知ってる人物でした。
……うん。
120 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:17:38.50 ID:fXDTkW1P0

亜里沙「いえ! 待ってないです! アリサも今来たところで……」

海未「そう言っていただけるとありがたいです」

亜里沙「い、いえ! この間助けてもらっちゃったし」

海未「………………」

亜里沙「ここはアリサが奢ります!」

海未「……いえ。ここは私が払いますよ。待たせてしまいましたし、それに、後輩に奢ってもらうのは……」

亜里沙「?」

海未「とにかく、私が出しますから」



絵里「…………」

希「…………」



ふむ。
どうやら深読みしすぎたようで。
単に、憧れの海未ちゃんに会うからソワソワしてたってことやね。
ふふっ、ほほえましいなぁ……。



希「さ、えりち。相手は海未ちゃんやし、もうーー」

絵里「まだよ」

希「……え?」




絵里「怪しいわ」



えぇ……。
お姉ちゃん的にはまだ何か引っかかるみたいで、えりちは亜里沙ちゃんと談笑する海未ちゃんを鋭い目つきで見ていた。

…………いや、うん。
むしろ怪しいのはサングラスして他の席のお客さんを睨み付けるうちらだと思うんやけど……。

その言葉はどうにか飲み込んで。



絵里「続行よ!」

希「……はぁ」



気合の入ったえりちとは対照的なため息を吐いた。



ーーーーーー
121 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:18:49.12 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



「………………」

「……………………」



ーーーーーー
122 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:28:48.80 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー
123 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:41:44.66 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



一日亜里沙ちゃんと海未ちゃんの後をつけて分かったこと。
それは、



希「なにもなかったようやな」

絵里「……そうね」



普通にご飯を食べて。
普通にお店を見て回って。
普通におしゃべりをして。
二人が過ごしたのはそんな一日。

少し、時間は遅くなったけどね。



希「それじゃ、帰る?」

絵里「えぇ」



夕暮れの公園。
ベンチで並んで座る二人を見ながら、えりちに確認。
えりちもそれに同意してくれた。
気がすんだ、みたいね。



絵里「考えすぎ、か」

希「そうやね。ほら、亜里沙ちゃんも安心して海未ちゃんに寄りかかってる」

絵里「うん…………ん?」



ベンチに座る亜里沙ちゃんが海未ちゃんに寄りかかってウトウトしてるのが見える。
んだけどーー




希「…………え?」

絵里「……あ、あれ?」




ーーちょ、ちょっと待って。
海未ちゃん、何してーー

124 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:48:04.05 ID:fXDTkW1P0


海未「…………ごめんなさい」



海未ちゃんの手には、夕日に反射して輝くそれ。
それがなにか分からなかった。
ただ、それが危険なものだというのは、理解できた。




海未「許してくださいとは言いません」

海未「…………私は貴女を……っ」

海未「………………こうしなくては、ことりはーー」







海未「どんな罪も、罰も受け入れます」

海未「だからーー」グッ





絵里「なっ!?」

希「ダメっ!!」




駆ける。
海未ちゃんのそれを止めるために。

でもーー
125 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:49:09.89 ID:fXDTkW1P0



「っ、海未ちゃん!」



「海未ッ!!」



126 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:50:13.28 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー
127 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:55:15.13 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



希「っ」

絵里「……っ」



海未「…………っ、なぜ……なぜーー」




海未「ーー邪魔をするのですかっ!!」

海未「穂乃果!! にこ!!」




穂乃果「海未ちゃんっ!」グッ

にこ「海未っ、あんたーー」




にこ「何してんのよッ!!」




亜里沙ちゃんにその刃を向けた手を払い、吼える。
128 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 19:00:33.53 ID:fXDTkW1P0


絵里「…………にこ?」

希「穂乃果ちゃん……?」



呆然とする二人。
……そりゃ、そうよね。

海未が亜里沙を殺そうとする、なんて。



穂乃果「…………ごめんね、二人とも。説明は後でするから」

穂乃果「今は……」



にこに代わって、穂乃果が二人にそう告げる。
……そうね。



海未「…………」



今は、こいつよ。
129 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 19:11:02.98 ID:fXDTkW1P0

海未「……凛といい、貴女たちといい」

海未「邪魔をッ!」スッ




ーー ギンッ ーー




既に海未はそれを抜いていた。
戦う準備は、万端みたいね。



にこ「上等よ」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「心配しないでいいわ。二、三発ぶっ飛ばして、目、覚まさせてやるから」

穂乃果「…………うん」



ーー スッ ーー



ドライバーを取り出し、



ーー ガシャッ ーー



装着する。
そして、メモリを起動して、




『ジョーカー!!』




にこ「変身っ!!」




一瞬、視界が霞んで、変わる。
目の前には、にこを睨む海未の姿。

そいつに、にこは投げかける。
さぁーー




ジョーカー『さぁ、お前の罪を数えろ!』



130 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 19:59:32.15 ID:fXDTkW1P0
海未の強さは分かってる。
凛がやられたくらいだもの。
距離を詰められたら終わり。

だからこそ!



ジョーカー『フッ!!』

海未「!」



だからこそ、接近戦よ!
というか、こっちは元々それしかできないわけだし!
つまり、あれよ!



ジョーカー『あんたが武器を作れないくらいの速さで攻撃し続けるわ!』



手加減はしない。
本気で!
そうしなきゃーー



海未「そこです!」グッ



ーー ブンッ ーー



ジョーカー『っ、ぶなっ!?』



そうしなきゃやられるわ。



ジョーカー『はぁぁっ!!』

海未「っ」

ジョーカー『やっ!』

海未「!」



一撃。
二撃。
続けて叩き込む。

海未には届かない。
けど、防御に神経を回しているせいで、海未からの攻撃は数えるくらいしかこない。
131 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:05:40.29 ID:fXDTkW1P0

ジョーカー『らぁっ!』

海未「っ、鬱陶しい!!」グッ

ジョーカー『!?』



ヤバイ!?




海未「離れなさいっ!!」スッ




ーー ガガガガガガッ ーー




ジョーカー『〜〜〜っ、はっ!』



どうにか距離を離して、避けきる。

至近距離で銃って!?
バカじゃないの!?



ジョーカー『あんたねーー』

海未「………………」




ーー キリキリキリキリッ ーー




ジョーカー『なっ!?』



体勢を整え、向き直ったにこの目に入ってきたのは、弓を引く海未の姿でーー。



ジョーカー『そんなものまでっ!?』バッ




ーー シュッ ーー




反射的に跳ぶ。
同時に風を切る音がした。
132 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:12:08.98 ID:fXDTkW1P0
避けた!
次はこっちのーー




ーー ザクッ ーー




ジョーカー『がッ!?』



突然、左腕に走る痛み。
空中で体を捻って見ると、2本のナイフが刺さっていた。



ジョーカー『矢……打ってすぐにコレ投げたの……?』



矢を放ってから痛みを感じるまで、体感で2秒。
ってことは、



海未「すぐにそれを精製して投擲した」

海未「それだけです」



大したことない。
そう言いたげに、海未は告げる。

体勢を整え、もう一回、海未と向かい合う。



ジョーカー『ほんっと、あんた化物ね』

海未「えぇ、化物で構いませんよ」




海未「……それでことりを取り戻せるのであれば」




ジョーカー『…………』
133 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:19:47.72 ID:fXDTkW1P0


ジョーカー『……ひとついい?』

海未「…………なんですか」



海未との距離は詰めず、にこはそれを切り出した。



ジョーカー『あんた、なんで亜里沙ちゃんを……』



凛から、海未が亜里沙ちゃんを『ソード』ドーパントから守ったという話は聞いていた。
だから、今日はただの様子見のつもりだった。

けど、



ジョーカー『あんた、亜里沙ちゃんを守ろうとしてたんじゃないの!』

海未「……………………」

ジョーカー『っ、答えなさいよ!』



海未は、



海未「……………………」



答えない。



ジョーカー『……そう。じゃあーー』




ジョーカー『無理矢理でも聞き出してやるわ!!』




ーーーーーー
134 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:24:13.71 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



穂乃果「…………ここなら大丈夫、かな」



にこちゃんが戦い始めるのを見て、穂乃果は亜里沙ちゃんたちを連れて公園の外に出ていた。
少し離れたし、もう大丈夫なはず。

と、ここで、




絵里「……穂乃果」




絵里ちゃんに呼ばれる。

…………うん。
そうだね。



穂乃果「説明するよ」

絵里「そうしてもらえると助かるわ」



無理矢理冷静になろうとしてるのが分かった。
手が震えてる。

恐怖?
それとも、怒り?
分からないけど、絵里ちゃんは穂乃果の話をちゃんと聞こうとしてくれてる。

…………ちゃんと話さなきゃ。



穂乃果「あのねーー」



135 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:29:44.96 ID:fXDTkW1P0
穂乃果は話した。

穂乃果たちが卒業した後のこと。
海未ちゃんとことりちゃんのこと。
穂乃果のこと。
そして、『あの日』のこと。

ことりちゃんがいなくなり。
海未ちゃんが復讐に囚われてしまった『あの日』のことを。



絵里「…………」

希「…………」



絵里ちゃんも、希ちゃんも静かに聞いてくれた。

そして、全部話し終わって、二人は、



絵里「…………穂乃果」

希「穂乃果ちゃん……」




ーー ギュッ ーー




穂乃果「…………え」




絵里「辛かった、わよね」



そう言って、抱きしめてくれた。
それを聞いた途端、穂乃果はーー。

136 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/04(日) 20:42:12.67 ID:fXDTkW1P0



穂乃果「……ごめんね、絵里ちゃん、希ちゃん」



少しだけ泣いて、それからどうにかそれを引っ込めた穂乃果。
二人にお礼を言う。



絵里「……大丈夫」ナデ

希「もっと、うちらを頼ってくれてもええんよ?」ナデ

穂乃果「っ…………うん、ありがと……」



頭を撫でられながら、またお礼。
うぅぅぅ……。
また泣きそうにーー

なって、ふと目に入った。




亜里沙「………………うぅ」

穂乃果「……亜里沙ちゃん?」




疲れて眠っているんだと思ってた。

けど、あれ?
なんか、様子が変……?



絵里「亜里沙? ねぇ、亜里沙?」

亜里沙「うぅぅぅ……はっ」

希「! 穂乃果ちゃん、これって!」

穂乃果「っ、うんっ!」



海未ちゃんが動いた。
そのことばかりに目がいっていて、考えてなかった。
海未ちゃんが亜里沙ちゃんに近づいた理由。

殺すため?
……たぶん、そうだ。
じゃあ、なんで亜里沙ちゃんを殺そうとしたの?
その答えはーー



穂乃果「亜里沙ちゃんの服脱がせるよ!」

絵里「は……? え!?」

穂乃果「ごめんね!」グッ

絵里「ちょっ!? 穂乃ーー」




ーー バッ ーー





希「…………え、え?」

絵里「なによ……これ……?」

穂乃果「っ、これ、は……!?」
137 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:46:33.95 ID:fXDTkW1P0
亜里沙ちゃんの服の下。
お腹一面に広がっている模様。
それは中心の一ヵ所から広がっていた。

穂乃果はそれを知っていた。

……ううん。
教えてもらっていた。



それは、恐怖や絶望で成長する『モノ』
その力を何倍にも高めるために、受け皿であるそれが進化した姿。



彼がそう言っていた。
そう。
亜里沙ちゃんに刻まれているそれはーー





穂乃果「ガイアメモリの……コネクター……っ」




ーーーーーー
138 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:47:18.73 ID:fXDTkW1P0
本日はここまで。
ビルド面白くて来週まで待ちきれない……。
139 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/10(土) 20:45:39.93 ID:VvAo5WzG0
本日更新します。
140 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:16:04.74 ID:EcD1qRVX0
少し更新。
141 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:17:02.42 ID:EcD1qRVX0
ーーーーーー
142 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:23:58.60 ID:EcD1qRVX0
〜〜〜〜〜〜



1ヶ月前のあの日。
私は亜里沙の家に呼ばれ、相談を受けました。



助けてください。

涙目で訴える亜里沙。
『あの人』を探していた私には、それを聞く余裕などありませんでした。
ただ、私を頼ってくれたその姿が、何故かことりとかぶってしまって……。

私はその相談を受けることにしたのです。



相談の内容は、変な女の人に付きまとわれている、というもの。



最初、それだけを聞いたときは、亜里沙の熱狂的なファンかなにかで、1度顔を合わせて注意をすればいいだろう。
その程度に思っていたのです。
143 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:33:29.61 ID:EcD1qRVX0


………………。


事が動いたのは、相談を受けた2日後のことです。
亜里沙を家まで送り届けた帰りに、私は『ドーパント』に襲われました。

ですが、口ほどにもない相手。
無論、返り討ちにしました。
『あの人』が私に5度の戦いのなかで伝えてきたように、コアを破壊して、メモリを壊して。



もしや『あの人物』が私を始末するために?

そんな疑問は、メモリを失い、人間に戻ったその人物が、うわ言のように亜里沙の名前を呟いていたことで否定されました。
144 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:39:02.13 ID:EcD1qRVX0

恐らく想像通り、熱狂的なファンがメモリを手にしてしまい、暴走してしまったのでしょう。

そう確信した私は、亜里沙に事件が終わったことを報告をしました。
勿論、『ドーパント』のことは伏せて。

けれど、彼女はまだ不安そうで。
だから、私は聞いたのです。



なにを恐れているのですか、と。



その質問に、亜里沙は自らの肌を私の前に晒して、それをーー『コネクター』を私に見せたのでした。
145 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:45:38.41 ID:EcD1qRVX0

その『コネクター』は私のものよりも、長く複雑な形をしていました。

話を詳しく聞けば、それは元々は大きくはなく、ただ毎日少しずつ大きくなっているようで。
まるで成長してるみたい。
そう、亜里沙は不安そうな表情で言いました。



…………そう、ですね。

私は何故かその時点で確信をしていました。
彼女のそれが誰につけられたものなのか。

亜里沙はそれを見知らぬ女性につけられたと話して。
その特徴を聞いて、また確信したのです。




『あの人』だ、と。



146 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:58:35.46 ID:EcD1qRVX0



助けなくては。



そのときは、私もそう思っていました。
けれど、そのメモリの正体をーー『あの人』が亜里沙に使おうとしているメモリの正体を知って、私の考えは変わったのですよ。



そのメモリの名前は『スキップ』。

早送りの記憶を宿したメモリです。
能力は、対象の時間を進める能力。

……そう、です。
つまり、『あの人』はそのメモリを使って、ことりの時間を進めようとしている。



……それは。
いつか『あの人』に見せられた最悪の結末のうちのひとつ。
ことりがドーパントとして『孵化』する未来に繋がることになる。




だから、私はーー




〜〜〜〜〜〜
147 : ◆OIuk3wBk3U :2018/03/11(日) 21:48:31.53 ID:W+6avPNl0
ーーーーーー
148 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/11(日) 21:59:13.37 ID:W+6avPNl0
ーーーーーー




海未「彼女を殺さなければいけないんですよっ!!」



ーー ブンッ ーー



ジョーカー『〜〜っ』



叫び声をあげながらの一閃。
海未が振り抜いた刀をなんとか避けて、距離をとる。



ジョーカー『ふっ、はっ……』



状況は……よくないわね。
こっちもメモリの力を使ってるとはいえ、元々の身体能力を考えたら、あっちの方が格段に上。

それに、近距離では刀や剣。
中距離なら弓。
遠距離なら銃。
それを同時に何個も作ってくるんだから質が悪い。
とにかく隙が無さすぎるわよ、あれ。

そして、なによりーー



海未「ことり……はぁ、はっ」

ジョーカー『!』



海未「絶対、助けます、から……」



これ、よ。

うわ言みたいに、海未はそれを口にしていた。

絶対助ける。
どんなことをしてでも。
どんな罰でも受け入れますから。
だから、



海未「かえってきて、ください……ことり……」



149 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:12:10.78 ID:W+6avPNl0



ジョーカー『きっついわね』



海未が苦しんでる。
きっと一人で抱え込んで、追い詰められて。
もうどうしようもなくなってる。
そんな海未を見てるのが、精神的にきつい。

声をかけようとしても、



ジョーカー『……海未、あんたーー』

海未「は、はっ…………っ!」グッ

ジョーカー『!?』



ーー シュッ ーー



返ってくるのは攻撃だけ。
こっちの話を聞く余裕はないみたい。

見れば、海未自身も息切れをしてる。
こっちからの攻撃は大してできてないから……たぶんメモリに飲まれないように必死に耐えながら戦ってるんだと思う。



ジョーカー『……目、覚ましてやるわって言ったのにね』



穂乃果に大口叩いといてこの様か。
まったく自分で自分が嫌になるわ。

…………正直、このままじゃ勝てる気も、止められる気もしない。
なら、




ジョーカー『……しかたない』



150 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:21:09.33 ID:W+6avPNl0
毎回毎回、こうなるのは、あれかしら?
にこが可愛すぎて神様から疎まれてるとか?

でも、



ジョーカー『…………絶対決めるわよ』



絶対決める。

もし、にこがあんたを止められなかったら、あんたは亜里沙ちゃんに手をかけるんでしょ?

それは絶対にダメ。
だって、それじゃあ、



海未「……はぁ、はぁ……」

ジョーカー『…………笑顔にさせてやれないから』



穂乃果と約束した。
全員笑顔にするって。

だからーー




ーー スッ ーー



ジョーカー『これで決まりよ!!』


151 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:22:19.98 ID:W+6avPNl0



海未「甘い!」スッ



ーー ベチャッ ーー


152 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:31:48.28 ID:W+6avPNl0



ジョーカー『!?』



ドライバーからメモリを抜こうとしたその瞬間、ドライバーに向けて何かを撃ち込んだ海未。
それは狙い通り命中して、



ジョーカー『っ、なによ、これ!? 固まってる!?』



ドライバーを覆うように、金属のようなものがくっついてしまっていた。
それから、同時に発射したもう2発もにこの足元にへばりつき、動かせなくなってる。
そこでやっと海未の撃ってきたのが、こっちの動きを封じるものだと理解した。



海未「……マキシマムは打たせません」

ジョーカー『くっ』



対策はしてあるってわけね。



海未「私は……メモリを失うわけにはいかないのですっ!」

海未「このメモリは、ことりを救うための力なんです! 私にはこれしかない!!」



だからーー。

ポツリと呟いた海未は、それをこちらへ向けた。

弓矢。
弦をキリキリと引っ張る。
海未が狙うのは、



ジョーカー『ドライバー?』

海未「……は、い」


153 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:38:09.10 ID:W+6avPNl0
確実に、ドライバーを壊すために力を溜めていく海未。
どうにか避けようと力を込めるけど、



ジョーカー『っ……っ!』

海未「無理、でしょう……それはそう簡単に剥がれるものではありませんから……」

ジョーカー『……みたいね』



残念なことに、海未の言う通り。

つまり、



ジョーカー『これで、終わり?』

海未「…………はい」

ジョーカー『そう……』




ーー ギリギリギリギリ ーー




音が変わる。
こんなの弓を引く音じゃないわよ……。



海未「にこ」

海未「これで終わりです」



力を溜め終わったようで、海未はそう告げた。
そして、にこの言葉を待たずにーー




海未「…………すみません、にこ」




ーーーー バシュンッ ーーーー




それは放たれた。
154 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:39:12.31 ID:W+6avPNl0




ーー にこの読み通りに ーー



155 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/11(日) 22:45:37.33 ID:W+6avPNl0





『サイクロンマキシマムドライブ』





海未「!? それ、は!?」



もう一本のメモリ。
凛から受け取ったそれの力が腕に集まるのが分かった。

それで、薙ぐ。
同時に、突風。

放たれた矢はその突風にあおられてーー




ーー シュッ ーー



ジョーカー『くっ』



左足をかすめるだけで済んだ。
ほんとは威力を完全に殺したかったけど、まぁいいわ!



ジョーカー『ハッ!』



そのまま地面に向けて風を起こす。
その風は地面を削って、地面と足にへばりついた金属は片方がなくなったことで意味をなくした。
156 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:47:51.50 ID:W+6avPNl0


ジョーカー『ハァァァッ!!』ダッ



蹴り出す。
一瞬で海未との距離が零になってーー。



ジョーカー『1発ーー




『サイクロンマキシマムドライブ』




ーーぶっ飛ばすッ!!』




ーーーーーー
157 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:49:22.73 ID:W+6avPNl0
本日ここまで。
次回更新は少し時間が空くかもしれません。
申し訳ないです……。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 20:53:39.68 ID:F6DohHuCO
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 21:15:26.90 ID:3gKBmMeHo
来てた
おつ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 23:30:05.92 ID:nOQVTys1O
おつ
あいかわらずのかっこよさよ
にこにーパイセンホントヒーロー
161 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 10:43:25.56 ID:MwpUyOD10
レス感謝です!
本日更新します。
162 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 21:42:14.95 ID:C/Za1RMU0
ーーーーーー




なにが起こったのか。
理解できていなかった。

完全に、隙をついたはずだったのに……。

でも、にこは



にこ「…………は、はっ……」



冷たい地面に倒れ込んでいた。
上を見上げる。
そこには、



海未「…………」



公園の街灯の光に照らされた海未の姿があって。
どんな表情をしてるかは、暗くて全然わからなかった。
ただ、笑顔じゃないってことだけは分かる。



海未「…………もう一本メモリを持っているとは思いませんでした。あれは……凛のものですか」

にこ「……そう、ね……」

海未「……正直危なかったです」



危なかった?
はんっ、よく言うわ。
そっちこそ隠し玉残してたじゃない。



海未「…………この盾のことですか」



海未は手にしたその盾を見ながら、呟く。

粗末なものです。
隠し玉では決してありませんよ。

海未はそう言ったけど、マキシマムを完全に防いだんだもの。
相当でしょうが!
163 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 21:52:00.73 ID:C/Za1RMU0



海未「完全に防いだ……いえ」コツン



ーー ガラッ ーー



海未「どうにか耐えた……という表現の方が正しいでしょう」



確かに。
海未の手にした盾は、海未が軽く叩いた衝撃で落ちてしまっていた。
……そう。
効いては、いたのね。



海未「…………本当に危ないところでした。ですが……」ガシャッ

にこ「っ」



海未が何かを落とす。
倒れるにこの手の中で、それが転がる。
さっきまでにこの姿を変えていたそれは、壊れ二つになってしまっている。
強く握っても、なにもない。

そう。
もう、にこはーー





海未「ーー『仮面ライダー』はもういません」





ーー変身できない。
164 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/18(日) 22:08:17.00 ID:C/Za1RMU0



海未「……これで、私を邪魔するものはいません」



ポツリと。
海未は小さな声で呟いた。

邪魔、ね。
それは、



にこ「亜里沙ちゃんを殺すことを?」

海未「……………………はい」

にこ「………………そう」



そう、なのね。
海未なら、もしかしたらメモリに勝てるかもしれない。
そう思ってたけど。
それは、間違いだった。



『ことりを救う』



海未はそのことに囚われ、感情が暴走して、メモリの毒素に呑まれている。
そのためなら手段は選ばない、か。

なら、




ーー ガシッ ーー




海未「っ!?」
165 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/18(日) 22:16:10.81 ID:C/Za1RMU0



にこ「はぁ……はっ……」



海未の足を掴んで。
それから、立ち上がる。
息は切れる。
けど、



にこ「まだ……よ……」

海未「な、なぜ……?」



戸惑い混じりの声。

まぁ、そうよね。
こっちはメモリもドライバーも失ってマンシンソーイ。
対する海未はまだ余裕がある。
普通なら、ここで諦めるわ。

でも、それは無理よ。



海未「何故貴女は立ち上がるんですか……?」



海未がそう訊ねてくる。
そんなの、決まってるじゃない。



にこ「笑顔に、するって……決めたから……」

海未「っ、それは、亜里沙を、ですか!」



亜里沙ちゃんは守る。
笑顔にする。

後輩だし、友達の妹だもの。
当然よ。
166 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:20:58.15 ID:C/Za1RMU0



海未「っ、なら! ことりはっ!」

海未「ことりはどうなってもいいんですかっ!!」



どうなってもいい?
そんなわけないでしょ?

にこはね……。




にこ「全員、笑顔にするに決まってるじゃない」

にこ「だって、にこはーー」




にこ「ーーアイドルだから」




亜里沙ちゃんも。
ことりも。
もちろん、あんたもよ。

だからーー




にこ「海未」

にこ「あんたは、ここで止めるわっ」


167 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:27:43.90 ID:C/Za1RMU0


海未「っ」

海未「そんなの、理想論でしょう!?」

海未「綺麗事だけで! 想いだけで!」

海未「全部守れるのなら、私はっ! 私は……っ!」



ーー ガチャッ ーー



叫びながら、海未は左手をかざす。
その手には、銃。
黒く光るそれが目の前に突きつけられる。



分かってるわ。
にこの言ってることは綺麗事よ。
現に、にこにはもう戦う力はない。
心はあっても、体はない。

でも!



にこ「にこはっーー」




168 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:28:43.79 ID:C/Za1RMU0





「そこまでだよっ!!」




169 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:35:02.85 ID:C/Za1RMU0


海未「っ」

にこ「!?」



その声に反応して、にこたちはこの声の主の方を向く。

息を切らして。
それでも、こっちを……いえ、海未を見つめるそいつは。
手にした『それ』の刃先を海未に向けて、叫んだ。




穂乃果「大バカ海未ちゃんっ!!」

穂乃果「海未ちゃんは、穂乃果が止めるっ!!」




にこ「はぁ……?」



思わず、間の抜けた声が出てしまった。
いや。
だって、たぶん誰だってそうなるわよ。
穂乃果が持っていたのは、だって……『竹刀』だったんだもの。
170 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/18(日) 22:43:42.48 ID:C/Za1RMU0


海未「…………穂乃果」

穂乃果「なに!」



呆然として、穂乃果の方を見ていると、海未が穂乃果に声をかけていた。
銃は下ろしてる。
けど、相変わらず警戒はしたままで、じっと穂乃果を見つめている。



海未「言っておきますが、これは遊びではありません」

穂乃果「知ってるよっ」

海未「…………私は姿こそ変わっていませんが、ドーパント。貴女を確実に……殺す力を持っています」

穂乃果「それも、知ってる」




海未「っ、なら、ふざけるのは止めなさいっ!!」




声を荒立てる海未。
苛立ちと怒気が伝わってくる。
これは、穂乃果にも伝わってるはず。
なのに、



にこ「穂乃果……?」

穂乃果「にこちゃん、ごめんね。アイドルなのにボロボロにさせちゃって……」



穂乃果は申し訳なさそうに笑う。

なに、ワケわかんないこと……。
171 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:50:13.05 ID:C/Za1RMU0





ーー カチャッ ーー





ふと。
穂乃果はポケットからなにかを取り出した。
それって……?



にこ「メモリ……?」



にこの言葉に、穂乃果は静かに頷いた。
それは少なくとも、ドーパントになるために使うものじゃない。
『ジョーカー』や『サイクロン』と同じ、純正化されたもの。



海未「…………貴女が、戦うと?」



仮面ライダーになるってこと?
でも、あんた、どのメモリとも適合率が低いって言われて……?



穂乃果「これは、違うんだ」



海未の言葉と、にこの心の声を否定するように、首を振る。
それじゃあ、そのメモリは?



穂乃果「これは…………」





穂乃果「メモリの効果を完全に無効化するメモリ」

穂乃果「名前は『     』」


172 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:51:37.36 ID:C/Za1RMU0


穂乃果「……そう、だよ」

穂乃果「このメモリはーー」




穂乃果「ーーことりちゃんを助けるためのものだよ!」



173 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 23:00:54.80 ID:C/Za1RMU0



海未「!?」



にこ「あんた、いつの間にそんなもの!!」

穂乃果「……最初から作ってもらえるように頼んではいたよ」



できたのは最近で、しかも、一回しか使えないらしいけど。

穂乃果は苦笑しながらそう言った。
けど、それがあれば……!



海未「………………ことりを……救えると?」

穂乃果「うん」



海未の言葉に、穂乃果は力強く頷く。



にこ「あんた……」

穂乃果「あはは、ごめんね、にこちゃん。これのこと話してなくて」

にこ「ホントよ……」



こんなのがあるなら、にこがここまで体張った意味ないじゃない。
これなら、海未も納得してーー




海未「……運よく、それを使ったとして……」

海未「成功したとしても、『彼女』がいます」

海未「穂乃果、あなたでは『彼女』には勝てない……」

174 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 23:07:25.64 ID:C/Za1RMU0
そう、だった。
この化物染みた海未でも勝てなかった相手。
それがいる。

…………穂乃果は一体どんな策をーー




穂乃果「穂乃果が倒すよ」

にこ「……………………は?」




穂乃果「穂乃果が倒す!」




あぁ、そうだったわね。
こいつは……。



海未「………………話は分かりました」

穂乃果「! 海未ちゃん!」



海未「それを私に渡しなさい」



まぁ、そうなるわよね。
うん。
にこが海未でもそう言うわよ。
175 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 23:11:55.97 ID:C/Za1RMU0



穂乃果「渡さない」



海未「!」

穂乃果「今の海未ちゃんには絶対渡さないもん!」

海未「穂乃果!!」



まるで、駄々っ子みたいに。
そう言う穂乃果。

あんた、何考えて……?



海未「いい加減にしなさいっ!」

穂乃果「いい加減にするのは、海未ちゃんでしょっ!」

海未「っ、減らず口をッ!」



穂乃果「これが欲しかったらーー」




穂乃果「穂乃果を倒して奪ってみろ!!」




にこ「あんた、ほんとに……」



なに、考えてんのよ……。
176 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 23:12:53.98 ID:C/Za1RMU0
本日はここまで。
あと1、2回で終わります。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 21:08:58.29 ID:8LswzIyOo
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 22:18:54.76 ID:iEwHEMUDO
来てた
179 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 21:17:50.83 ID:POzr8+aS0
本日更新します。
180 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 21:55:04.96 ID:POzr8+aS0
ーーーーーー
181 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/25(日) 22:05:18.16 ID:POzr8+aS0
〜〜〜〜〜〜




「か、はっ……っ」



息ができない。
どうにか呼吸しようとしても、それは叶いません。



『……………………』



私の上に馬乗りになって、私の首を絞める。

私の隣で、柔らかく、優しく笑っていた貴女。
私の名前を愛おしそうに呼んでくれていた貴女。
そんな貴女はもういない。
ただ、感情が抜け落ちたような表情で私を見下ろしています。



「こ…………と……」

『………………』



か細い声。
それはもう目の前の彼女には届かない。



「こ………………」

『………………』



ーー スッ ーー



最後の力で、彼女の頬を撫でる。
その温度は燃えるように熱くて、彼女がもう人間でなくなっているのが嫌でもわかってしまった。

あぁ。
そうですか。
私は今、貴女に殺されるのですね。
……それもいいかもしれません。

だから……。




「なか……な、い…………で……」




〜〜〜〜〜
182 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/25(日) 22:11:33.11 ID:POzr8+aS0
それが、いつか見せられた光景です。
私があの人に敗北する度に見せられる悪夢。



ことりがドーパントとして『孵化』し、涙を流しながら私を手にかけるという光景。



……最悪の光景ですね。

それが恐らくあの人の……亜坂真白のメモリの能力なのでしょう。
まだ詳細は分かっていませんが、幻覚の類いの能力。
それ以外にも複数のメモリを取り込んでいるようですが。



………………。



……えぇ。
だから、私はこの光景が未来とならないために、力をつけたんです。
あの人を殺し、ことりを取り戻すための力を。

最悪の光景を見ないために。



そのためならばーー!



ーーーーーー
183 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:18:10.96 ID:POzr8+aS0
ーーーーーー




ーー ザシュッ ーー



穂乃果「っ!!」

にこ「穂乃果っ!」



手応えあり。

戦闘……と呼べるものではありません。
穂乃果が私と戦うと宣言してから、数太刀で穂乃果の竹刀は私の日本刀に両断されました。
……当然の結果ですが。



海未「…………」



先程は、穂乃果の言動に掻き回されてしまいましたが、落ち着いた今は違います。
何の感慨もありません。
私は力ずくででも、穂乃果の持つメモリを手にいれればいいのですから。

さて。




海未「決着はつきました」

海未「穂乃果、貴女の敗けです」




尻餅をつく穂乃果へ向け、言い放つ。
元々勝負にすらなっていませんでしたが、勝ちは勝ちです。
メモリをーー




穂乃果「まだだよ!」




海未「………………は?」



184 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:20:55.05 ID:POzr8+aS0
折れた竹刀を構えて、立ち上がる穂乃果。
…………貴女は……。



海未「馬鹿、なのですか」

穂乃果「バカじゃないよ」

海未「…………勝てる見込みがあると思ってるんですか?」



この状況で。
この戦況で。
まだ勝てると思っているのならば、貴女は……。




穂乃果「………………」スッ



海未「っ、本当に貴女はッ!」




愚か者です!
185 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:25:19.29 ID:POzr8+aS0



ーー ブンッ ーー



刀を再度振るう。
今度は、さらにギリギリを。



ーー スパッ ーー



柄だけを残して斬り捨てる。
これで、



穂乃果「っ…………」

海未「構えることすらーー」



穂乃果「…………」スッ



海未「っ」




それでも、穂乃果はまた構えました。
こちらを真っ直ぐ見て。
186 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/25(日) 22:31:13.22 ID:POzr8+aS0
一体、貴女は……!



海未「なんなのですかっ!!」

穂乃果「………………」



それには答えない。
ただ、こちらを見てくるだけで……。

……いえ。



穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」



穂乃果が口を開きました。

静かに。
けれど、こちらをしっかりと見つめながら、こう言いました。




穂乃果「本当に、海未ちゃんは『人を殺せる』の?」




187 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:33:34.71 ID:POzr8+aS0



海未「……………………」



穂乃果の問い。
それは、愚問、でした。

ことりが連れ去られた時。
そして、最悪の光景を見せられた時。

もう私の覚悟は決まったのです。



どんなことをしてでもことりを取り戻す、と。



だから、今の私は、あの人を殺せる。
188 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:42:39.29 ID:POzr8+aS0

穂乃果「…………そっか」

穂乃果「本気、なんだね」



海未「……………………はい」



穂乃果「………………」




私の言葉を聞いて、穂乃果は静かに目を閉じた。
竹刀も下ろす。




海未「…………穂乃果?」



穂乃果「…………………………よし」



しばらくして、穂乃果はポツリと呟き、目を開けました。
そして、おもむろに例のメモリを握り締める。
それから、先程私が壊したにこのドライバーを取り上げ、



ーー ベタッ ーー



海未「は!?」

にこ「穂乃果っ!? あんた、なに、やって……」

穂乃果「…………まだ少し柔らかい部分あったから」

海未「っ! そんなことをしたら、そのメモリは……!」

穂乃果「うん」



穂乃果「メモリは穂乃果の手のなかにあるよ」

穂乃果「もしこれが欲しいならさーー」




穂乃果「穂乃果の手ごと斬ってよ」



189 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:49:20.40 ID:POzr8+aS0
覚悟を決めたならできるよね。

そう言って、穂乃果は私をじっと見つめる。
まるで、私を試すように。

その視線に、私は、




海未「っ」




っ!
なにを、たじろいでいるのですかっ!

私は、ことりを救うと決めた。
どんなことをしてでも救うと……。
そのためならば、あの人も、亜里沙も、凛やにこだって殺せます。

だから、穂乃果。
私はたとえ貴女であっても……。




海未「っ」



ーー スッ ーー




刀を構える。
ゆっくりと上へ掲げるように。
それならば、降り下ろすだけでいいから。



穂乃果「…………」

海未「…………」



穂乃果「……いいよ」

海未「っ」



190 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:56:06.27 ID:POzr8+aS0


にこ「止めなさいっ!!」

にこ「穂乃果! 海未っ!」



穂乃果「…………」

海未「……っ」



満身創痍のにこが叫んでいます。
けれど、穂乃果はやめる気はない。
こちらを見て、メモリを握ったその左手を掲げている。



穂乃果「…………海未ちゃん」

海未「っ」



名前を呼ばれて、体が跳ねました。

な、なぜ、今……。
いえ、違います!
私はーー



穂乃果「きて?」



海未「っ、あ、あぁぁぁっ!!!」



にこ「止めなさいっ!! 海未ィィィっ!!」





ーーーーーー ブンッ ーーーーーー




191 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 22:57:31.04 ID:POzr8+aS0






ーーーーーー バキッ ーーーーーー





192 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/25(日) 23:02:18.98 ID:POzr8+aS0



海未「…………っ」



そっと、目を開ける。

私が刀を降り下ろした先。
穂乃果を見る。
私がしてしまったことの、結末を見るために。

そこにはーー




穂乃果「……やっぱり、いたいね」



少し涙目の穂乃果がいた。
左手は、ある。




海未「……………………ごめん、なさい……」




それが、私の答えでした。




私には、誰も殺せない。



193 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 23:10:50.64 ID:POzr8+aS0



海未「あっ、うぅぅ…………」



ーー カランッ ーー



手から、それが落ちる。
同時に力が抜けて、へたり込んでしまいました。



穂乃果「大丈夫? 海未ちゃん?」

海未「っ、ごめんなさいっ、穂乃果……穂乃果っ」

穂乃果「……ううん。いいんだよ」

海未「うっ、あっ……あぁぁっ……」



私の背中を撫でてくれる穂乃果。

カッコ悪い。
自分でもそう思います。
けれど、涙が止まらない。
これが、なんの涙なのか、自分でも分からなくなってしまって……。




海未「っ、ほ、のか……っ、ほのかぁぁぁっ」




私は泣きました。
その間も、穂乃果はずっと私のことを抱きしめてくれて。
その優しさがなんだか辛くて、私はまた泣きました。




ーーーーーー
194 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/25(日) 23:24:07.69 ID:POzr8+aS0
ーーーーーー




本当は少し怖かった。
海未ちゃんが本当に人を殺してしまいそうで。

でも、思ったんだ。


もし、亜里沙ちゃんを手にかけるつもりだったなら。
きっと、もっと前に出来たはずだし。
それにそもそもドーパントから助けたりしないよね。


もし、凛ちゃんが邪魔だったなら。
凛ちゃんを倒した後、トドメをさせばよかったんじゃないかな?


もし、にこちゃんが邪魔だったなら。
ドライバーを壊すだけなのは変だもん。


もし、穂乃果からメモリを奪いたかったなら。
あの刀で穂乃果の腕を切ればよかったはず。
それで、穂乃果が死んじゃったとしても、結果オーライだったはずだから。




…………ううん、違うよね。
ほんとは、そういうんじゃない。
難しいことは考えてなかった。



穂乃果はただ、海未ちゃんを信じただけ。



真面目で、恥ずかしがり屋で。
いつも口うるさくて。
穂乃果のことだらしないって怒って。
でも、やっぱり優しくて。

穂乃果も。
ことりちゃんも。
μ'sの皆も。
みんなみんな大切にしてくれる。



そんな海未ちゃんを信じただけだよ。



だから……ね?
泣かないで、海未ちゃん。




ーーーーーー
195 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/25(日) 23:25:51.31 ID:POzr8+aS0
本日はここまで。
あと更新1回で終わりかな?
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 00:01:25.15 ID:gBc10HnSo
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 12:41:24.37 ID:BfpRzaYm0
198 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 20:56:58.21 ID:2CrYxa9V0
ーーーーーー
199 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:02:32.82 ID:2CrYxa9V0
ーーーーーー




海未「お見苦しいところをお見せしてしまいましたね……」




しばらくして、海未はそう言った。

憑き物が落ちたように笑う海未。
どうやら、穂乃果に抱きついて、泣いて、全部吐き出して。
目元は少し赤くなってるけど……うん。



にこ「…………いつもの海未ね」

海未「……にこ……その、ご迷惑をおかけしました!」



勢いよく頭を下げられる。

まぁ、そうね。
迷惑も迷惑だったわ。
あれだけやられたらね。



海未「す、すみません……」

にこ「はぁ、冗談よ」



ちょっと意地悪だったかしらね。
けど、これで一段落だし、これくらいは許してよね。
200 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:05:48.89 ID:2CrYxa9V0


穂乃果「海未ちゃん」

海未「穂乃果……」

穂乃果「…………」

海未「…………」



二人でお互いの名前を呼び合う。
会話は他にない。
けど、この二人にはいらないんでしょ。
やがて、



穂乃果「えへへ」

海未「ふふっ」



そんな風に穏やかに笑い合う。

…………まぁ、うん。
体張った甲斐はあったわね。
201 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:13:09.31 ID:2CrYxa9V0
その後、海未が穂乃果やにこが怪我をしていないか一通り確認して。
それが終わった後のこと。



穂乃果「って、そうだ! 海未ちゃん、メモリは!?」



穂乃果は思い出したようにそう言った。

って、そういやそうか。
海未はずっとメモリを使っていた訳だし、毒素のこともある。
早くもらって破壊しなきゃいけないわ。

にこもそう思って、海未にメモリを渡すように促した。
けど、海未はにこたちの思いに反して、



海未「……これは渡せません」



そう言った。
って!!



にこ「なっ!? あんたねぇ!!」

海未「すみません」



すみませんじゃないわよ!
まだわかってないっての!?



穂乃果「……にこちゃん、待って」

にこ「穂乃果……?」



分からず屋の海未に語気を荒らげる。
と、そんなにこを止めたのは穂乃果
穂乃果は静かに、それを聞いた。



穂乃果「……海未ちゃん」

穂乃果「それはなんで?」


202 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:19:52.44 ID:2CrYxa9V0
穂乃果の問い。
それに、海未はしっかりと穂乃果の目を見て答える。




海未「いざという時、あなたたちを守るため…………です」




そう答えた海未は、さっきまでの鬼気迫る表情とは一転して穏やかで。
でも、力強さも感じるような表情だった。

これは……違う。
メモリに呑まれた人の顔じゃない、わよね?



穂乃果「……そっか」

海未「はい」



海未の答えに満足したのか、穂乃果は静かに頷いた。

そういうことだけどいいかな?
にこちゃん?



にこ「あんたが納得してるなら、にこも文句は言わないわよ」



穂乃果にそう答え、ため息を吐く。
……仕方ないわねぇ。



海未「ありがとうございます」

にこ「ん」


203 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:26:32.53 ID:2CrYxa9V0
……さて。
それじゃ、



にこ「絵里たちを迎えに行くわよ」

穂乃果「あ、うん!」

にこ「どこに隠れてるわけ?」

穂乃果「えっとね……」



海未のことは解決したし、今度は亜里沙ちゃんの方ね。
それに、絵里たちに、もう海未は大丈夫だって説明もしなきゃ。
あとは、凛たちにもーー。









ーーーーーー ザザザザザザザッ ーーーーーー






何かが、聞こえた。
204 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:32:21.59 ID:2CrYxa9V0



ーー ゾワッ ーー



にこ「っ!?」



ノイズのような音。
そして、同時に感じた悪寒。

咄嗟に振り返る。

そこで目にしたのは、




海未「………………あ、アァァァ……」




穂乃果「海未、ちゃん?」

にこ「海未……?」



ガタガタと震える海未の姿だった。
そして、数秒後に



ーー バタン ーー



海未は気を失い、力なく倒れた。

なに?
メモリの副作用?
それが今来たってこと!?



穂乃果「海未ちゃんっ!!」



考えるより先に穂乃果が駆け寄……ろうとして、止まる。
それはきっと『それ』に気づいたから。





『………………』





いつの間にか目の前にいた『それ』に。
205 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:39:52.54 ID:2CrYxa9V0



『………………』




真っ黒なボロボロの布を纏った姿。
フードのようなものを被っていて、その奥には2つの青い光が冷たく光っていた。
『それ』が何か、一体なんなのか、にこはわからなかった。
ただ、漠然と恐怖だけを感じていた。




穂乃果「……あ、なたは……」




ポツリ、と。
穂乃果が小さな声をあげる。

それに答えるように、『それ』は音を出した。
いや、声を発した。





『お久しぶりね、高坂穂乃果ちゃん』




206 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:49:58.56 ID:2CrYxa9V0
ノイズとエコーがかかった不気味な音が、声だと理解するまでに少しかかって。
それから、それが穂乃果の名前だと認識するのにも少しかかった。

そして、その穂乃果の一言で、




穂乃果「…………『亜坂真白』……」

にこ「っ!」




『フフフ、もう、バレてしまっているのねぇ』




目の前の『それ』が、全ての元凶だってことを理解した。



『ハァ……しかたないわねぇ』



それはひとつため息をついて、姿を変えた。
異形の化物から人間へ、姿を変えた。



真白「…………フゥ」



美人、なのだろう。
下手な芸能人よりはずっと整った顔立ちだった。
きっと町中ですれ違えば、思わず振り返ってしまう程度には……。

ただ、今はそんなことどうでも良かった。

だって、それ以上にーー
207 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:51:47.70 ID:2CrYxa9V0



真白「……この姿では、はじめまして」

真白「私の名前は『亜坂真白』」





真白「『井坂深紅郎』を継ぐ者よぉ」






『それ』が浮かべた笑みからは、吐き気を催すほどの不気味さと悪意を感じたから。
208 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 21:58:33.77 ID:2CrYxa9V0

にこ「っ、穂乃果っ!!」

穂乃果「っ」

にこ「海未を!!」

穂乃果「うんっ」



ぼんやりしてる暇はない。
今は、あいつから逃げるのが先よ!



『スタッグ』

『スパイダー』

穂乃果「いって!!」



穂乃果がガジェットを起動させる。
たぶん歯は立たない。
けど、隙くらいは作れるはず。
その間に海未を担いで逃げるわよ!



真白「……あら、怖いわね」



怖い?
そんなこと思ってないでしょうが!
心にもないことを口にする『それ』をじっと見つめる。

たぶん、さっきのドーパントになられたら勝ち目はないわ。
こっちはドライバーすらない状態だから。
あるのは『サイクロン』のメモリだけ。
なら、やることはひとつしかない。

使われる前にメモリを奪う!

そのために、その時を待つ。
メモリを使おうとした、その時に飛びかかってやるわよ!
209 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:02:14.23 ID:2CrYxa9V0
けれど、次にそいつがとった行動は予想外のものでーー。



真白「本当に、怖いわぁ」

真白「だからーー」




ーー ガシッ ーー



海未「………………」




にこ「!?」

穂乃果「海未ちゃんっ!!」



意識のない海未の腕を掴んだ。
って!



にこ「海未を盾にするつもり!?」

穂乃果「っ、これじゃ……」



手が出せない。
210 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:07:33.03 ID:2CrYxa9V0

意識のない海未を盾にすること。

…………いえ、違うのよ。
予想外の行動っていうのは、そのことじゃない。



真白「…………盾に? フフッ……違うわよ」

真白「そんな可哀想なことするわけないでしょう?」



そう。
そんなことはしなかった。
だって、そいつは



真白「…………ええと…………あったわぁ」

穂乃果「っ、それ、海未ちゃんのメモリ!」

真白「そうよ、私が貸してあげた、この子のメモリ。だからねーー」




真白「ーー私のために使ってもらいましょうぉ?」




ーー ガチャッ ーー




なにかを、メモリにはめた。
銀色の機械。
それと組み合わせたそのメモリを、意識のない海未にーー





にこ「止めなさいっ!!!」

穂乃果「海未ちゃんっ!!」



211 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:08:27.88 ID:2CrYxa9V0







『アームズ』

『アップグレード』






ーーーーーー
212 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:10:41.61 ID:2CrYxa9V0
ーーーーーー




アームズ『ア、アァぁ……』




なんで、こんなことになってるんだろう。

目の前には、正気を失ってる彼女の姿。



穂乃果「もう、やめて……」

アームズ『…………あ……ウァ……』

穂乃果「お願いっ」



逃げなさい!

悲痛な叫びが聞こえる。
だけど、目の前の人を放っておけないよっ!

そうだ。
そうだよっ!

止めなきゃ!
やっと、分かってくれたんだから。
だからーー



穂乃果「ねぇ、お願い」

穂乃果「戻ってよっ!」



穂乃果「いつもの貴女にっ!!」




ーーーーーー
213 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:15:10.26 ID:2CrYxa9V0
〜〜〜〜〜〜




これはきっと『罰』なのでしょう。

何人もの人を傷つけようとして。
その気持ちを踏みにじって。
そして、貴女を守れなかった、そんな私への『罰』。



……分かっています。
因果応報だということは。
なにもなかったように、穂乃果たちに許されるのは違うのだろうということは。

けれど、どうかこんな罪深い私の願いを1つだけ聞いてもらえるのであれば。



どうか。
貴女を傷つけませんように。





ーーーーーー fin ーーーーーー
214 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:20:13.14 ID:2CrYxa9V0
以上で
『海未「罪と罰」』完結になります。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。

以下過去作等です。
よろしければどうぞ。
1作目
にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500978922/
2作目
凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510213255/
3作目
海未「私の罪を」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512647204/
4作目
真姫「その罪は何色か」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515243825/

次作は百合orコメディ寄りになるかと思います。
一応次に過去のss一覧も挙げときます。
では、また。
215 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/27(火) 22:52:18.48 ID:2CrYxa9V0
凛「10年後に行けるお香?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416603707/
海未「私たちの恋愛ゲーム、ですか?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417028287/
凛「凛、病気なのかもしれない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417454685/l50
にこ「貴女の外側には」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417890274/
穂乃果「私たちが真姫ちゃんの目になるよ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418568037/
希「えりちはポンコツさんやから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420556406/
雪穂「あの日からずっと私の心は彼女に奪われていた」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1422/14222/1422288745.html
にこ「にことにこにー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424791780/
花陽「凛ちゃんと一夜の間違い?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426733320/l50
真姫「私だけの」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428761231/
真姫「マキマキ超会議?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430039332/
凛「三種の返し技にゃ!!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433327958/
ことり「小さくなった花陽ちゃん」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436011982/
絵里「恋愛が苦手な貴女」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437987070/l50
ほのキチ戦隊ソルゲジャー
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438494608/
花陽「凛ちゃんと」凛「かよちん」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440673282/
花陽「雨、絵里ちゃんと一緒の土曜日」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443178719/
にこ「海未のお姉ちゃん」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444644429/
ほのかんさつ日記
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447502133/
穂乃果「テニスをしよう!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451052732/
海未「花陽と歩く帰り道」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455969755/
穂乃果「テニスをしよう!」ツバサ「おもしろそうね」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462620200/

備忘録代わりに。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/28(水) 23:01:54.44 ID:0ut2W6fbO

ソルゲジャーとか超会議とか読んでたわ
続き待ってる
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 08:53:40.28 ID:Pzhrb5hOO
ソルゲジャーの人だったのか…
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