【ガルパン】優花里「不肖・秋山優花里の戦車模型講座!!」

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45 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/20(火) 23:27:00.83 ID:ak6bXZXc0



沙織「あはっ! 本物みたいにグリグリ動く〜♪」クリクリ

みほ「動かしすぎて折らないように注意してね」

沙織「わかってるよ♪ ところでみぽりん」

みほ「うん?」

沙織「あたしも機銃撃ってみたいから今度指示してよ♪」

みほ「え」

沙織「だって構えたことはあるのに撃ったこと一度もないんだもん」


優花里「あはは。通信手席の機銃は前方にいる兵士を狙うためのものですから、戦車道ではあまり使わないかと」

沙織「でもでも華は撃ったじゃん!!」

優花里「前回のプラウダ戦のような展開になればそういった機会はあるかもしれませんが、主砲の同軸機銃も本来は歩兵や非装甲車両といった柔目標を狙うためですし」

優花里「あるいは超大まかな弾道補正として使うといった用途ですね」

華「ですが、同軸機銃では弾着位置や距離による弾道低伸といった補正が利きませんので、やはり照準器を使う方が確実です」

みほ「機銃の弾と戦車砲弾とでは弾道が違うもんね」

華「はい」

沙織「ぶぅ!」プクー


優花里(ひとまずこれで前面装甲板は完成ですが、車載機銃の銃身は0.5ミリくらいのピンバイスで軽く穴を開けておくとソレっぽくなりますよ)
46 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/20(火) 23:30:59.54 ID:ak6bXZXc0


〜〜〜〜


優花里「次は車体の後ろに取り付けるエンジン点検用のハッチですね」

みほ「ハッチを開けるときに握るハンドルの部品が細長いから丁寧に扱わないと折れちゃいそう」

沙織「うん、パーツもすんごい細いから切り離すときにポキッといっちゃいそうだよコレ…」

優花里「そうなんですよね。…実を言うとハッチのハンドルは戦車プラモのパーツの中で一二を争うほど小さいパーツなんですよ」

沙織「うぇぇ…」

華「あの…」

優花里「どうされました五十鈴殿?」

華「その、細かいパーツ、私にやらせて頂けないでしょうか?」

優花里「良いですよ」

沙織「そうだよ! 華は手先が器用だしこういった小さいパーツは華に任せれば良いんだよ!」

優花里「五十鈴殿の精密さは大洗一ですからねぇ!」

華「ふふ、恐縮です。…では」


華「…」スッ

優花里「…」ゴクリ

華「では…いきます…!」

沙織「…」ドキドキ

華「………」





グゥゥゥゥゥ


華「すみません。お腹が空きました」

47 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/20(火) 23:35:59.20 ID:ak6bXZXc0

ガタンッ!!!!


華「…あれ? 皆さん???」

みほ「…そういえばもうお昼だね」ヒリヒリ

優花里「じ、時間が過ぎるのは早いです…」ズキズキ

沙織「華がこの時間まで我慢できたことが凄いと思うよ…」ジンジン

華「恐縮です」



優花里(…ということで、また作業を中断して私達はお昼ごはんを食べに行きます)

優花里(なかなか作業が進みませんがプラモデルは趣味なのです。ですので慌てずじっくり時間があるときにやると良いでしょう)

優花里(ああっ! 完成が待ち遠しいですっ…!)


みほ「ところで優花里さんはさっきから誰と話してるのかな?」

優花里「…受講者の皆さんです」

48 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/20(火) 23:47:02.42 ID:ak6bXZXc0


優花里「今更な話ではありますが、今日は冷泉殿がおりませんね?」

沙織「あー、麻子ならまだ寝てると思うよ。今日お休みだし」

華「たまの休日ですから、ゆっくり休んでもバチは当たりません」

みほ「そうだね。でも折角皆がこうやって集まってるから麻子さんにも声かけてみよう」

華「ええ。ちょうどお昼ごはん時ということもありますから、是非ご一緒にと」

沙織「そだね。この間みたいに布団剥いで無理やり連れてこなくっちゃ!」アハハ

みほ「それはちょっと可哀想だよ」アハハ

沙織「ところで今からどこに行くの?」

みほ「ファミレスだよ?」

優花里「…西住殿、自炊なされないのですか?」

みほ「あはは」

優花里(西住殿…意外にズボラだったりします…?)

沙織「まぁまぁ、そんなことより早くファミレス行こーよ! あたしもうお腹ペッコペコだよ」

みほ「そうだね」


ガチャ



麻子「」スヤァ....

4人「」

49 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/20(火) 23:54:15.42 ID:ak6bXZXc0


みほ「え…? え…???」

優花里「あ…ありのまま今起こったことを話します…!」

優花里「"皆とファミレスへ行こうと扉を開けたら玄関口で冷泉殿が寝ていた"」

優花里「な…何を言ってるのかわからないと思いますが、私も何が起きてるのかわかりません…」


沙織「ちょっと麻子ぉ!? アンタなんでみぽりんの家の前で寝てんのよ?!」ユサユサ

麻子「もが…」スピー

華「歩き疲れてしまったのでしょうか…?」

みほ「百万歩譲ってそうだとしても、せめてピンポンだけは押して欲しかったな…」


麻子「ぅぁ…? ここは…どこだ…??」

優花里「西住殿のお部屋の前ですよ冷泉殿」

麻子「…」

優花里「…」

麻子「…」


麻子「…おばぁ、若返った?」


優花里「何をどう間違えたらおばぁ殿と見間違えるんですかぁぁぁぁぁ!!」

50 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/21(水) 00:17:10.75 ID:Ipt9+bUs0


【CHINESE RESTAURANT オバァミヤン】


麻子「なるほど、プラモデルか…」モソモソ

優花里「はい! これがまた奥が深いのですよ冷泉殿ぉ!」

麻子「細かい作業が苦手だからそういうのとは無縁だな…」ペロペロ

優花里「手先を鍛える良い機会ですよっ!」

麻子「図工の授業で使った接着剤のニオイも好きではなかったな…」モチャモチャ

優花里「リモネン系の接着剤でしたらニオイはそこまでキツくありません!」

麻子「…あとは…工具とかの使い方もよくわからない」ゴクゴク

優花里「大丈夫です。みなさん初めてなのにあっという間にマスターしましたから!」

麻子「…それに…塗装も難しそうだ」ボリボリ

優花里「全体の塗装は缶スプレーを使うのでものすごく楽ですよ♪」


麻子「……秋山さん、何故そこまでして私にプラモデルを勧めたがる…?」

51 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/21(水) 00:28:10.12 ID:Ipt9+bUs0



優花里「それはもう! 皆さんがプラモの魅力を知って楽しんで頂いているのですから、冷泉殿だけ仲間外れには出来ませんっ!!」

麻子「その気持ちは嬉しいが…」

優花里「西住殿はプラモ始めてからというもの、神経が研ぎ澄まされて今なら聖グロにだって勝てちゃいそうです!」

みほ「さすがにそこまで

優花里「五十鈴殿は"プラモは花を生けるのに丁度いい"と申されました!」

華「確かにあの大きさでしたら生けるのにピッタリなサイズです」

優花里「武部殿はプラモを始めたら毎日モテ

麻子「それは絶対ない。断言する」

沙織「何でそこだけ断言すんのよっ!!」

麻子「長年の勘だ」

沙織「意味分かんないよ!!」


みほ「ところで、麻子さんはどうして家の前で寝てたのかな?」

麻子「ああ…西住さんに渡すものがあって家まで行ったけど、途中で眠くなってしまって…」

みほ「う、うん…大体そうだとは思ったけど、せめて家の中で寝て欲しかったかな…」

麻子「…それについては申し訳ないと思っている」

みほ「ちなみに、渡すものというのは…?」

麻子「中身はわからないが、宛名には"西住"とあった」

沙織「もしかしてラブレター!?」キャー

麻子「宛名を間違えるようなやつのラブレターなどヤギに食べさせてしまえ」

華「紙って美味しいのでしょうか?」

優花里「早まらないで下さい五十鈴殿」


みほ「…開けても大丈夫なのかな?」

華「仁侠映画などでは脅迫として手紙の中にカミソリや銃弾が入っているとお聞きしましたが…」

沙織「それニュースとかでも見かけるよね」

優花里「送っていただけるのでしたら50口径あるいは.338ラプアマグナムを希望します」

みほ「これから開けようとする時に怖いこと言わないでよ…」


ビリビリ


52 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 21:37:53.76 ID:BcA9zWKH0


みほ「………なにこれ??」

沙織「銀色の網…?」

華「一体何に使うのでしょう?」

麻子「さっぱりわからん」


優花里「これエッチングパーツじゃないですかぁ!!」ガタッ


沙織「エッチなパーツぅ!? ゆ、ゆかりんったら!////」ヤダモー!

優花里「ち、ちがいますっ! エッチなんかじゃありません! エッチングパーツですっ!!」

みほ「二人ともあまり大きな声でエッチエッチ言わない方が…」


アノコタチ、エッチナンダッテ...

ネェノンナ エッチッテナーニ?

エッチ...ジンセイニヒツヨウナコトダネ...

ワイワイ ガヤガヤ


沙・優「うっ…//////」カァァァァ...

53 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 21:42:33.45 ID:BcA9zWKH0

沙織「…それでそのエッチって何?」ボソボソ

優花里「ですからエッチではなくエッチングパーツです!!」ヒソヒソ

麻子「エッチング"パーツ"というのだから、プラモデルで使うものじゃないか?」

優花里「その通りです冷泉殿。この平ぺったい網はティーガーのエンジングリルに貼り付けるメッシュパーツです」

麻子「ふむ」

優花里「異物が混入しないように取り付ける金網ですが、これをプラモデルでも再現したしたものですね!」

華「ですが、これはプラスチックではなく、金属なのでは…?」

沙織「ホントだ」

麻子「金属とプラスチックとでは"モノ"が違ってこないか?」

優花里「そこなんですよ!」

沙織「そこ??」

54 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 21:48:20.13 ID:BcA9zWKH0


優花里「エッチングパーツの最大の特徴は、プラスチックでは作れないほどの"極薄パーツ"を再現できるという点にあります!」

優花里「というのも、プラスチックはパーツの強度や整形技術の関係でどうしても薄く作るのに限界があります」

麻子「エッチングにだって薄さの限度はあるだろう?」

優花里「はい、もちろんエッチングパーツにも限界はありますが、それでもプラスチックよりもず〜っと薄く作ることが出来ちゃうんです!!」

麻子「そうなのか」

優花里「ですので、今回のエンジンメッシュや車載工具の金具や蝶ネジ、フェンダー、予備履帯のラック…などなど」

優花里「"薄さ"が求められる場所はこのエッチングパーツで再現するということですっ!!」

沙織「言われてみればこんなうっすいのをプラスチックで作ろうとしたらすぐに折れちゃうよね…」

優花里「エッチングパーツはアフターパーツとして別途で購入しますけど、海外メーカーのキットでは最初から付属していたりします。お得ですよね!」

55 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 21:59:01.33 ID:BcA9zWKH0


沙織「組み立てる時はプラのパーツとは何か違ったりするの?」

優花里「薄いパーツなので、切り離しや整形ではプラパーツ以上に丁寧に扱う必要があるのと」

優花里「金属ですから接着には瞬間接着剤が必要です」

優花里「ついでに塗料のノリが悪いのでプライマー塗っておいたほうが良いですね」

沙織「なんだか難しそう…」

優花里「確かに、エッチングパーツはプラパーツよりもデリケートです。でも今回のは折り曲げたりする必要が無いので楽な方ですよ」

沙織「ならエッチングパーツも華に任せちゃおっと」

華「あの、出来ましたらもっとお手柔らかに…」


優花里(海外メーカーのエッチングパーツは削りカスと区別がつかないほど極小なものがあります。ボルトやリベットを再現したものとかですね)

優花里(あと小さいエッチングを折り曲げてワイヤーや工具類を固定する金具を作るのも精神修行のレベルです)

優花里(こんなものを自由自在に扱えるようになったらその時点でもう初心者の領域脱出してます)

56 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 22:02:54.01 ID:BcA9zWKH0


優花里「ところで、先ほどから西住殿が静かですね…?」

沙織「そういえばそうd


みほ「」


沙織「ちょ、どうしちゃったのみぽりん! 死んだ魚の目しちゃって!?」

華「食べ物を喉に詰まらせてしまったのでしょうか?!」

沙織「華じゃないんだから!」

みほ「…その…ね…?」

沙織「うん…」

みほ「そのパーツと一緒に手紙が入ってたんだけど…」

沙織「うん?」


みほ「カミソリや銃弾の方がまだ良かったなぁ…って……」


沙織「」

華「一体どのような内容のお手紙でしょうか?」

みほ「はい……」つ[手紙]

優花里「西住殿がヤケになるほどですから差出人は大体想像できますが…」

沙織「どれどれ…」

57 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 22:07:41.03 ID:BcA9zWKH0

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みほへ

戦車の模型を作っていると聞きました。それもティーガーIとのことですね

そんなあなたにとって大いに役に立つものを送りました。西住流の名に恥じぬものを作りなさい。

なお砲身は左右分割式です。貼り合わせた時に出来るスジが残らないようにすること。

またツィメリットコーティングはポリエステルパテを推奨しますが、再現する車輌の生産時期に注意しなさい。

その他、履帯のたるみを再現する場合は、ピアノ線を使う方法と転輪に接着する方法があるので、好きな方を選びなさい。

余談ですが、エナメル溶剤はパーツの接着を剥がすので、使い過ぎは厳禁です。


追伸:私はあなたをまだ認めたわけではありません。





                       母より


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沙織「」

みほ「」

優花里「やっぱり………」

麻子「一つだけ確かなのは、西住さんのお母さんもプラモデルに没頭してるってことだな」

優花里「カミソリのような鋭い目をしてパーツ接着する姿が脳裏に浮かびます」アハハ


58 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/22(木) 22:18:33.33 ID:BcA9zWKH0



みほ「おかしいよ…どうしてお母さんは私がプラモ作るって知ってるの……」オロオロ

沙織「女のカンってやつ?」

麻子「そこは母親のカンと言うべきだろ」

華「カンだけに監視されているのでしょうか?」

みほ「寄ってたかって怖いこと言わないでよ…」

優花里「でも泣く子も黙る西住流の家元が、ホビーショップで『これ下さい』ってエッチングパーツ買う姿想像したらちょっとだけシュールですよね」

沙織「その西住ママンがしかめっ面でプラモデル作る姿が既にシュールだよ…」

麻子「もっと言えばその"シュールな西住流家元"は、娘と間違えて私の家にコレを送って来た」

沙織「…もしかして、みぽりんのお母さんって天然だったりする?」

みほ「あれは天然どころか宇宙だよ……」

沙織「へぇ…」

華「ふふっ。この親にしてこの子ありという言葉もありますもんね」

みほ「どういう意味かな華さん」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 10:55:35.87 ID:KVclZR4SO
宇宙ボコ
60 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:00:39.68 ID:QWvNuSns0


【みほのへや】


優花里「さて、それでは作業を再開しましょう!」

沙織「えっと、確かエンジンハッチの組み立てだよね?」

優花里「はい。細くて折れやすいハンドルを取り付けます」

沙織「出番だよ華」

華「はい」

優花里「五十鈴殿、細いパーツは無理に根本を切ろうとすると折れてしまいます」

優花里「ゲートは少し残してカット下さい」

華「かしこまりました…!」クルクルクル...

麻子「おぉ…」

華「…」スチャッ

沙織「やる気マンマンだね」

華「花を生ける時のように集中して………」ブツブツ

61 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:03:20.04 ID:QWvNuSns0

パチン パチン


華「………ふぅ」

優花里「お見事です五十鈴殿! 誰もが一度はへし折る極細パーツを無傷でカットしましたねっ!!」

みほ「すごいよ華さん」

麻子「これで脅威は去った…!」

華「わたくし…やりました…!」


優花里「この感動を忘れず、次はハンドルをハッチに取り付けましょう!」

沙織「あれ? ハンドルのゲートは処理しないの?」

優花里「しますよモチロン。ただ先にハッチに接着したほうが個人的にやりやすいなぁと思いまして」

沙織「そうなんだ」

優花里「ではでは五十鈴殿! 引き続きハンドルをハッチに接着して下さい!」

華「承知致しました…!」


優花里(ちなみにハッチのハンドルなど細くて脆いパーツは、折れない真ちゅう線を使うモデラーさんもいます)

62 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:07:11.66 ID:QWvNuSns0

数分後



沙織「そろそろ接着されたかな?」

優花里「そうですね、もう整形しても大丈夫だと思います」

沙織「だけど、この状態でも下手に触るとポキッといっちゃいそうだよ?」

優花里「はい。ですのでヤスリは力を入れずに表面を撫でるように優しく行います」

優花里「ヤスリも目が細かいものを選び、焦らずじっくり…!」

華「はい…!」スリスリ


沙織「なんかもう華の表情や手つき見てるとプラモデルというより工芸品作ってるような雰囲気だよね」アハハ

麻子「職人技とは言ったものだ」

優花里「プラモデルも極めれば芸術ですからね」

沙織「そうなの?」

優花里「ホビーショーなどで展示される作品を見ればわかりますが、ものすごいリアリティー溢れるものばかりです」

優花里「塗装の剥がれや錆、砂利の質感まで徹底的に拘っており、モデラーさんの表現力と観察力の鋭さには圧巻されます!」

優花里「私もいつかあの方々に並ぶような作品を生み出せるようになりたいです!」

優花里「その為には不肖・秋山優花里、毎日が勉強でありますっ!!!」


優花里「………あれ? 皆さん??」



沙織「あっ!! なんであんな所にバナナ置いたのよ?!」

麻子「お前だってさっき甲羅投げただろう。お互い様だ」

華「この紫色のトゲトゲの甲羅はどのように使えば良いのでしょうか?」

みほ「私が1位の時でなければいつ使っても大丈夫だよ」


優花里「」ピッ

4人「あ…」

63 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:11:36.85 ID:QWvNuSns0



〜〜〜〜


優花里「さて、完成したエンジンハッチと前面装甲板を車体上部パーツに貼り付けます」

みほ「これも大きいパーツだし流し込み接着剤を使えばいいのかな?」

優花里「はい。…でも、その前に普通の接着剤を点付けしておきます」チョンチョン

優花里「そしたらそれを車体に貼り付けて」ペタン

優花里「最後に流し込み接着剤で補強する」スーッ

優花里「…といった感じです!」

沙織「やっぱゆかりんがやると作業が早いね」

麻子「好きこそ物の上手なれとはこの事だな」

みほ「私達がやるより5倍は早いかも」

華「装填手は速度が命ですものね」

優花里「褒めて下さるのは嬉しいですが、組み立てが進まないのは皆さんがテレビ見たり他事するせいですからね?」

64 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:14:26.72 ID:QWvNuSns0


優花里「さて、次は西住流のお母さんから頂いた"エッチングパーツ"をエンジングリルに貼り付けましょう!」

みほ「…送料着払いで送り返したいけどダメかな?」

優花里「ダメです」キッパリ

みほ「ぁぅ…」

麻子「これは普通の接着剤では駄目なんだよな?」

優花里「はい。金属のパーツですので瞬間接着剤を使います」

華「切り離したり形を整えるのにも丁寧に、ですよね?」

優花里「ええ、金属ですが薄いので力を入れすぎると簡単にひしゃげてしまいますからね」

沙織「やっぱデリケートだね…」

華「繊細なところは生花と似通っていますね」

65 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:23:48.84 ID:QWvNuSns0


優花里「ではまず切り離すのですが…」スッ..

みほ「え? カッターナイフ使うの?」

優花里「下に硬いものをあて、カッターナイフでストン! と押し出すように切り離します」

麻子「ニッパーじゃダメなのか?」

優花里「ニッパーだと刃こぼれしちゃうんですよねぇ…」

沙織「それはカッターだって同じじゃない?」

優花里「ご指摘の通りです。でもニッパーと違ってカッターナイフはポキッと折って新しい部分が使えますし替刃だってあります」

沙織「あ、たしかに」


優花里「また、刃こぼれの問題だけでなく、エッチングはランナーとパーツとの間が狭い場合が多いです」

優花里「そこへニッパーの歯を入れようとしても太すぎて入らず、無理をすればパーツがひしゃげてしまう危険だってあります」

優花里「その反面カッターナイフでストンとやれば変な向きに力が加わってパーツが変形することもありません」

みほ「なるほど。色んな理由があるんだね」

優花里「これも先人の知恵です」


優花里(かくいう私もその昔、エッチングパーツをニッパーで強引にカットしようとしてニッパーの刃を折ってしまったことがあります…)

66 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:28:47.05 ID:QWvNuSns0


優花里「続いて、ランナーから切り離したエッチングパーツの整形に突入します」


優花里「目の細かいヤスリを使って、ゲートを優しく撫でるように丁寧に削ります」

優花里「粗いヤスリだと引っかかってパーツが曲がっちゃいますからねぇ〜」

優花里「力を入れる必要なんて一切ありません。触れる程度でゆっくり優しくですよぉ〜」

華「本当に表面を撫でるだけですが、これで削れているのでしょうか?」

優花里「安心して下さい。削いでますよ♪」


優花里「そして削る時もなるべくパーツの根本を持って、万が一ヤスリが引っかかってもパーツが引っ張られないようにします」

みほ「下の方を持つとグラグラしちゃうもんね」

優花里「あとはゆ〜っくり、ゆ〜っくりですよぉ〜?」コリコリ

優花里「ハイ、出来ました! えへへ、我ながらいい感じですっ♪」



沙織「削り方は分かったけど、何かゆかりんのセリフの一つ一つがいやらしく聞こえるのは気のせい?」

優花里「気のせいですっ!!!」ガァァ


67 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:33:49.84 ID:QWvNuSns0


麻子「次は接着かな?」

優花里「はい!」

みほ「繰り返しになるけど、通常の接着剤じゃダメなんだよね?」

優花里「その通りです。なので先述の通り瞬間接着剤を使います」

沙織「これもプラモデル用?」

優花里「いえ、金属用であればホームセンターとかで売ってるものでOKですよ」

優花里「…ただ、ここで注意したいのは、瞬接を直接パーツに付けようとすると多く出過ぎてしまいます」

麻子「確かに瞬間接着剤の口を見るとドバッと行きそうだ。…どうすれば良い?」

優花里「そ・こ・で! こいつの出番ですっ!」


[牛乳パック]


沙織「…牛乳パック?」

優花里「まずはこの牛乳パックを適当な大きさにカットします」チョキチョキ

優花里「カットした牛乳パックの上に瞬間接着剤を適量出します」トロリ

優花里「そして爪楊枝など先が細いもので接着剤をすくい取ります」

優花里「あとはパーツの上を撫でるように薄く接着剤を塗ります」ススッ

沙織「あ、コレなかなか良いアイディアだね」

68 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 22:35:37.93 ID:QWvNuSns0

優花里「接着剤だけでなくパテや塗料のパレットとしても牛乳パックは使えます」

優花里「塗料皿なんてのも売ってますが、そんなものを買わなくても牛乳パックですからすぐ手に入ってしかも安いです!」

優花里「そのうえ塗料皿と違って使い終わったらゴミ箱に捨てられますから洗浄の手間もありません!!」

優花里「簡単に手に入り、大量生産でき、しかも安い!!」

優花里「牛乳パックは初心者からベテランまでオススメできるアイテムですっ!!!」

みほ「あははっ、牛乳パックさまさまだね」

優花里「ええ! それはもう! 『不肖・秋山優花里の牛乳パック講座』を実施してもいいほどですっ!!」

みほ「あはは…」

沙織「みぽりんの"あはは"ほど相手に伝わりにくいものは無いよ…」

69 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 23:06:58.53 ID:QWvNuSns0


優花里「接着剤を点付けしたエッチングパーツはエンジングリルに被せるように取り付けます」

優花里「くっつけたら爪楊枝の先端を駆使して、プラとエッチングの隙間に瞬接を刷り込ませます」

優花里「このとき瞬接はほんの少しで大丈夫です。むしろ多すぎると周りがギトギトになっちゃいますから注意です」

優花里「…と言った感じで、他のエッチングパーツも同じように接着します」

優花里「これでティーガーの車体後部がディテールアップされました! う〜ん、たまりませんっ!!」


麻子「網ひとつあるかないかでここまで印象がかわるんだな」

優花里「そうなんです! だから"ディテールアップ"パーツなんですっ!!」

みほ「あはは。また優花里さんハイテンションだね」

華「エッチングハイというものでしょうか?」

沙織「わかってはいるけど卑猥に聞こえちゃう」



優花里(…と、エッチングパーツについて力説しちゃいましたが、黒森峰のティーガーIを再現する人はエンジングリルにエッチングは付けないで下さいね)

70 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 23:16:18.81 ID:QWvNuSns0


優花里「さてさて、これで車体上部の基盤が出来上がったので、車体下部と合体させます!」

沙織「もう他に取り付けるもの無いの?」

優花里「他にと申しますと?」

沙織「え…? それは…えっと…」

みほ「工具とか牽引用のワイヤーとかかな?」

沙織「そうそう、それを言おうとしたの!」

優花里「もちろん取り付けます。…ですが、早く戦車の土台を作りたいので先に上下車体を取り付けたいんですよね」エヘヘ

麻子「あと、操縦手や通信手のハッチの説明もまだだ」

優花里「ハッチは開いた状態か閉めた状態のどちらかを選択して取り付けます」

優花里「ただ、開けたハッチから未塗装の内部が見えると残念な気分になるので、今回は閉めた状態にしました」

麻子「そうなのか」

優花里「ここにフィギュアとかを乗せるのであれば開けておきますが、今回はフィギュアはありませんからね」

麻子「ふむ」

71 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/23(金) 23:59:26.94 ID:QWvNuSns0

みほ「確かに、ハッチもキューポラも閉じちゃったら中がどうなってるか分からないもんね」

優花里「はい。中に誰もいませんのでハッチは閉じちゃって知らんぷりです」


沙織「…なんか説明が雑になってきてない?」

優花里「否定はしませんが、"手を抜けるところは手を抜く"というのもプラモ作りでは大事なんです」

沙織「えー…」

優花里「聞こえは悪いかもしれません。拘るのもプラモですが拘らないのもまたプラモなんです」

優花里「というのも、プラモデルはこだわり出したらキリが無いんですよね」

優花里「なのでいわゆる"沼"にハマってしまうと、プラモ作りが趣味からだんだん"作業"に変わっていって楽しめなくなっちゃう場合があります」

優花里「ですので"良いものを作りたい"という気持ちも大事ですが、最初のうちは純粋にプラモ作りを楽しむことを第一にすべきだと思います」

麻子「いきなり凄いものを作ろうとしたところで、知識も技術も無ければどだい無理な話だろう」

麻子「理想と現実のギャップに苛まれ、趣味を趣味として楽しめなくなったら本末転倒だ」

優花里「冷泉殿の仰る通りです。まずは楽しむことが第一です」

沙織「なるほど…!」

華「何だか、みほさんが大洗で戦車道を始めた頃を思い出しますね」


優花里(この考えには賛否あるかもしれません)

優花里(でも、やっぱりプラモは趣味です。趣味である以上トコトン楽しむべきです)

優花里(そして、楽しんでいるうちに知識や技術が身に付いて良いモノが作れるようになるんです)

優花里(西住殿が我々に戦車道の楽しさを教え、優勝へと導いてくれたように…!)

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 11:12:20.44 ID:dfjhpkvSO
コップのフチ子さんでも乗せるか
73 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 22:00:58.73 ID:0Lwd0xjL0

〜〜〜〜〜〜〜〜


カァー カァー


沙織「あ、もうこんな時間だ」

麻子「そろそろ帰らないとおばぁに怒られる」

華「では私はこれでお暇します」

みほ「うん、またね」

優花里「長い時間お付き合い頂きありがとうございましたぁ」ペコリ


シーン....

みほ「…」

優花里「…」


みほ「なんで優花里さんは帰らないのかな?」


優花里「え?」

みほ「え?」

74 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 22:06:18.67 ID:0Lwd0xjL0


優花里「私は早くこのティーガーを完成させたいので…」

みほ「う、うん…気持ちはわかるけど…」

優花里「西住殿…」

みほ「うっ…」

優花里「にしずみどのぉ…」ウルウル

みほ「わ、わかった…! 今夜もウチにおいで」

優花里「はいっ!!」

みほ「優花里さんがそんな手を使ってくるとは思わなかったなぁ…」

優花里「えへへ」スリスリ

みほ「こら、おすわり」

優花里「はい」チョコン

みほ「お手」

優花里「わ、私は犬じゃありません!」ポン

75 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 22:13:26.76 ID:0Lwd0xjL0


みほ「それで、どこまで進んだっけ?」

優花里「えっとですね、車体上部に前面装甲板やエンジン点検用ハッチを取り付けました」

優花里「ですので、それを車体下部と合体させちゃいましょう」

みほ「今までの中で一番大きいパーツを接着するわけだよね」

優花里「ええ。ですからパネルの時と同じようにまずは仮組みをしっかりして噛み合いをチェックしましょう」

みほ「はい」カポッ

優花里「…で、確認ができたらテープをキツ目に貼って上下車体の隙間をなくします!」

みほ「はい」ペタペタ

優花里「そして、隙間が無いことを確認したら、流し込み接着剤を塗っていきます!」

みほ「はい」スススー

優花里「あとは接着剤が乾くまで乾燥させます!」

みほ「はい」カンソー

優花里「…西住殿の今日のパンツはTバックですか?」

みほ「はい」

優花里「…」

みほ「え? あっ、ちち違うからっ!!//////」

優花里「…生返事してたんですね」ジトー

みほ「ボコのこと考えてただけだよ」

76 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 22:24:09.69 ID:0Lwd0xjL0


みほ「乾燥まで時間かかりそうだし、テレビ観てても良いよね?」

優花里「ええ。良いですよ」

みほ「よかったぁ」

優花里「?」

みほ「これで優花里さんが『ダメですぅ! 次の作業があるんですぅ』なんて言い出すなら鎖で繋いでおかないといけないから…」

優花里「人を躾のなってない犬みたいに言わないでください!」

みほ「えへへ。…おっ、始まった」


テレビ『おいらボコだぜっ!!!』


ペーッペペペッペッペペッペッペーッペー

ピーヒョロロー ヒョロー


みほ「やってやる やってやる やーーってやるぜ♪」

優花里「やっぱりボコですか…」アハハ

みほ「そうだよボコだよ」

優花里「もはや西住流ではなくボコ住流ですね」

みほ「あ、それ良いかも」

77 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 22:47:22.47 ID:0Lwd0xjL0

ボコ『お前ら! 今日はプラモを作るぞ』


みほ「!」

優花里「お?」


ボコ『へっへっへ! こう見えておいらはプラモを作るのが得意なんだぜ?』

ボコ『みんな驚いてアゴ外すなよぉ?』


みほ「へー、知らなかったなぁ」

優花里「私も知りませんでした。ちょっと興味深いです」


ボコ『よーし出来た!!』

ボコ『うーん、我ながらまぁまぁかなっ♪』


優花里「どこが"まぁまぁ"なんですか! 砲身はスジ入ったままだしゲート処理一切ナシ! しかも塗装もしてない! 手抜きにも程がありますっ!!」プンスカ

みほ「すごいなぁ…!」キラキラ

優花里「どこがですっ!!」

78 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 23:12:12.34 ID:0Lwd0xjL0


ボコ『それじゃ、完成したコイツをホビーショーに持っていくぞ! これでメディアから取材殺到して出演料で大儲けだぁ!』テクテク


優花里「ボコって銭ゲバなんですね……」

みほ「それがボコの良いところだよ?」

優花里「幼児向けアニメですよね? サブタイトルに"こ●亀"って書いてませんよね???」


アヒル『ちょーっと待ったぁ!!』

ボコ『げっ!』

ウサギ『あぃー! ここから先は行かせないよー!』

カバ『はっはっは! チェックメイトだ!』


優花里「何処かで見た子がある脇役ですね…」

みほ「?」

優花里「いえ…もうツッコんだらキリがないのでやめましょう……」ゲッソリ


ボコ『オイラの"レオパルドI A4 ディスプレイモデル"は誰にも渡さないぞぉー! かかって来やがれぇ!!』


優花里「ちょっと待って下さい! なんでそんな激レアプラモ持ってるんですかッ!!」

みほ「優花里さんどいて。テレビ見えない」

79 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 23:21:12.91 ID:0Lwd0xjL0


ボコ『ぐぁぁぁ………おいらのレオパルトがぁぁぁぁ………』


優花里「ぐぁぁぁ………幻のディスプレイモデルがぁぁぁぁ………」

みほ「何だかんだ言って優花里さんもボコにハマっちゃってるよね」アハハッ

優花里「そりゃあんなオジサマ世代の激レアプラモ出てきたら誰だって食い入るように見ちゃいますよぉ!!」

優花里「しかも脇役がボコもろとも粉砕するなんて、このアニメの製作者は戦車モデラーに親でも殺されたんですか!!?」

みほ「優花里さん知らないの? 小さな子供だけでじゃなく大きくてマニアックなお友達もたくさん楽しめるのがボコなんだよ?」

優花里「…そうですか。じゃぁ次は竹書房でも壊しに行ってください」ムスッ

みほ「…」

優花里「…」

みほ「…」チラッ


[タイガー1型 初期生産型]




優花里「待って下さいやめて下さい!! 私が悪かったですからぁ!!!」ウワァァァァン

80 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 23:36:45.58 ID:0Lwd0xjL0


ボコ『っぅ…今日も負けちまったけど……視聴者からのお便りを紹介するぞ…』ボロッ


優花里「なんか痛々しくて見てられないです」

みほ「それがボコの良いところだよ」

優花里「西住殿、サイコパスって言われたことありません?」

みほ「?」


ボコ『今日の応援メッセージは…!』ヒリヒリ

ボコ『アリスちゃん! 君に決めたッ!!』


みほ・優花里「!!」


ボコ『"こんにちはボコ。今日はプラモデルを作る回だから急いで作りました"』

ボコ『おお! ボコレリのインテリアモデルだぜ! エンジンまでしっかり作り込まれててすげーやっ!』


優花里「…このボコの中身誰なんです?」

みほ「中に誰もいないよ?」


ボコ『"私は戦車道をやってます。そして負けたくない人がいます!"』

ボコ『なるほど、戦車道かぁ。オイラはよくわかんないけど、まっ、とりあえずがんばれ!!』


みほ「っ…!」

優花里「このアリスって人…まさか…!」


ボコ『"戦車道では負けちゃったけど、プラモ作りじゃ絶対に負けない自信があります…!"』

ボコ『そうだよなぁ。オイラもプラモ作りだけは絶対誰にも負けたくないぞ!!』

ボコ『お便りは以上だ! それじゃぁ来週また会おうぜ!』バキッ!!


みほ「次会う時までに戦車プラモ作れるようにしないと…!」

優花里「いや、西住殿の場合プラモより戦車道の方を……まぁプラモ仲間が増えるのは大歓迎ですけど」

みほ「優花里さん! こうしちゃいられないよ! 組み立ての続きやろうよ!!」

優花里「さっきまでの無関心がまるでウソのようです。恐るべきボコパワー…」

81 :訂正  ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/02/24(土) 23:39:21.78 ID:0Lwd0xjL0


☓ 優花里「何処かで見た子がある脇役ですね…」

○ 優花里「何処かで見たことがある脇役ですね…」
82 :訂正  ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:06:09.06 ID:/xlKW7gR0


みほ「それより優花里さん、車体の上下の接着が終わったけど、次は何をするの?」

優花里「車体の後部に排気管、そしてエアクリーナーのボックスを取り付けていきます」

優花里「特にエアクリーナーはティーガーの初期生産型の最大の特徴でもあります!」


みほ「何で初期以降は無くなっちゃったんだろう?」

優花里「被弾による故障が頻発したからだそうですよ」

みほ「あ…そう言われてみるとIV号に付いてるエアクリーナーもよく取り替えてるもんね」

優花里「ええ。ですから我らがIV号戦車も"J型"になると同様の理由で撤去されちゃうんですよね。ちょっぴり寂しいです」


みほ「でもエアクリーナーがあっても車内の空気はあまりキレイになってる感じはしないかな…」

優花里「あはは。エアクリーナーといっても車内の空気ではなく、エンジンに送る空気をキレイにするものですからね」

みほ「あれ? そうなんだ?」

優花里「北アフリカ戦線のような砂漠地帯での戦いでは砂埃が侵入するとエンジンが壊れちゃいますからねー」

83 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:09:43.45 ID:/xlKW7gR0


みほ「そっか…」

優花里「でも安心してください西住殿! 車内は車内でちゃんと"ベンチレーター"とよばれる換気扇がついていますよっ!」

みほ「! そうだよね!」

優花里「薬莢の排出と同時に燃焼ガスも出て車内が充満しちゃいますからね。そこを気にかけて頂けるなんてさすが西住殿ですぅ〜!」


みほ「どちらかと言うと人のガスが気になるかな…」


優花里「…」

みほ「…」

優花里「………私じゃありませんよ?」


84 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:12:24.17 ID:/xlKW7gR0


〜〜〜〜〜


優花里「…ということで、まずは排気管が出来上がりました」

みほ「あはは。優花里さん一言も喋らず黙々と作ってたね」

優花里「えへへ。プラモデルを作ってるとどうしても無言になっちゃうんです」

みほ「何かに集中するとなるよね。でも喋らない優花里さんってなんだか違和感あるなぁ」

優花里「え、そうですか?」

みほ「うん。バスガイドみたいに戦車のことを解説するのが優花里さんなんだもん」

優花里「あ、それはあるかもしれません」


みほ「ところで、排気管の組み立ての説明とかは大丈夫だったの?」

優花里「排気管にも細かいパーツはありましたが、細かいパーツの扱いについては既に解説済みですからね」

みほ「言われてみたら…。あの時の華さんの器用さに助けられたもんね」

優花里「ええ。そんな五十鈴殿には及びませんが私も戦車モデラーの端くれです」

優花里「これしきのパーツを扱えないようで装填手は名乗れませんっ!」

みほ「いや、装填手は名乗って良いと思うよ?」アハハ

85 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:14:03.34 ID:/xlKW7gR0


優花里「では次の」

みほ「あれ?」

優花里「どうしました?」

みほ「マフラーやエアクリーナー以外にもいろいろ取り付けるパーツがあるみたいだよ?」

みほ「例えばこれ…足回りで故障したときに車体を持ち上げるジャッキかな?」

優花里「はい」

みほ「そしてこっちの"Z"字のものはエンジン始動クランクだと思う」

優花里「そうです」

みほ「…工具類は取り付けないの?」

優花里「実を言うとそこは迷いましたが、工具はあとから取り付けることにしました」

みほ「えっ? そうなの?」

優花里「はい。ティーガーの車載工具の一部は排気管のそばについてます」

86 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:16:55.77 ID:/xlKW7gR0


みほ「さっきのジャッキやクランクがそうだよね」

優花里「ええ。それらの工具は位置的に取り付けてからだと塗装が極めて難しいんですよ…」

みほ「あ…確かに。ジャッキの上にはエアクリーナーのボックスもあるし、塗装するの大変そう…」

優花里「ですので、この段階ではあえて車載工具は取り付けず、車体や工具の塗装が終わってから取り付けようと思います」

みほ「うん、その方が楽だもんね」

優花里「はい! 塗り分けが必要な工具以外のパーツを取り付けちゃいましょう」



優花里(ただ、塗装した車体の上に接着するので接着した後に位置がズレるとその部分の塗装が剥げちゃいます)

優花里(それが嫌な人は先に工具類を接着して、車体塗装のあと工具を塗り分けちゃいましょう。私も先に取り付けちゃう派です)


87 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:19:18.97 ID:/xlKW7gR0


優花里(ちなみに、まほ殿が乗るティーガーについている工具は、


●車体後部
・ジャッキ(塗装されていません! 車体と同じ色ですっ!)
・牽引用シャックル

●車体上部
・ジャッキ台
・消化器(こちらも車体と同じ色です)


といった程度で、スコップやワイヤーといったものはありませんでした)


優花里(まほ殿は国際強化選手に選ばれる実力者だけにファンも多く、まほ殿のティーガーを再現しようとするモデラーさんも多いでしょう)

優花里(そういった方に考慮してあえて塗装が難しい車載工具を最低限にして下さったのかもしれません…!)

優花里(…ただ、工具が無い代わりに工具を固定する金具はついてますので、技術的に可能であれば写真を参考に追加してみてください!)

88 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:22:32.93 ID:/xlKW7gR0



みほ「排気管やフェンダーは今までと同じように接着すれば良いよね?」

優花里「はい。もちろん仮組みをしてどこに取り付けるか確認してからですよー」


みほ「エアクリーナーのボックスは"初期型"って書いてある方を選べばいいんだよね?」

優花里「おっしゃる通りです。部分的に違えど、形状はソックリなのでパーツナンバーをしっかり確認して切り離して下さいね」


みほ「クリーナーのパイプの部分はどうするのかな?」

優花里「付属のパーツがありますので、それを説明書に記載されている長さにカットします」

優花里「ただ、パイプの長さは2種類なのでちょっとだけ注意です」

みほ「うん。わかった」チョキチョキ

優花里「また、クリーナーパイプの接着は瞬間接着剤を使います。説明書をよく見て付ける場所を確認してください」

みほ「オッケーだよ」ペタッ


優花里「ライトは説明書通りに組み立ててOKです。ただ、ライトの基部が細くて折れやすいので、接着は最後でも構いません」

優花里「強度が不安って場合は一度カットして基部とライト本体に穴を開けて真ちゅう線をインサートして補強するって手もあります」

みほ「補強は難しそうだから、ライトは組み立てだけやって最後に取り付けるよ」

優花里「その方がいいかもしれません。組み立てに夢中になるとちょっとした拍子にボキッとやっちゃいますから…」

89 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 22:26:06.65 ID:/xlKW7gR0



優花里「つぎのSマイン発射筒は5つありますが、説明書を参考にAを2つ、Bを3つ作りましょう」

みほ「Sマインって?」

優花里「戦車に接近してきた歩兵を攻撃するための近接防衛兵器です」

優花里「ボンと飛び出てバーンと弾けて破片で接近してくる歩兵を攻撃するんです…!」

みほ「そんなものまであるんだ…」

優花里「火炎瓶や吸着地雷、爆雷といった対戦車兵器抱えて戦車に肉薄する命知らずな兵士も大勢いましたからね」

みほ「ほうほう…」

優花里「映画『プライベート・ライアン』の終盤で、ティーガー相手に靴下で作った爆弾を使うシーンは有名です」

みほ「えっ、靴下で?!」

優花里「はい。靴下の中に火薬や導火線を詰め込んで、外側にグリスを塗ってくっつきやすくした即席の対戦車爆弾です」

みほ「そんなので戦車と戦えるの?」

優花里「撃破は無理でしたが、履帯を外して足止めするのに成功しましたよ」

みほ「…だよね。そんなものでティーガー撃破出来るなら偵察のついでに優花里さんにお願いしちゃうかも」

優花里「絶対にイヤですっ!!」



優花里(言わずもがな戦車道で近接防衛兵器を使うことはありませんので、まほ殿のティーガーIを作る場合は取り付けないでください)

優花里(また、できるならSマイン発射筒の取り付け基部ごと取っ払ってください)

90 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 23:21:20.18 ID:/xlKW7gR0

みほ「次は」

優花里「"フロントハッチ"こと、通信手席と操縦手席のハッチの組み立てです」

みほ「あれ? でもハッチはさっき

優花里「このハッチはオープンとクローズどちらかを選んで組み立て&取り付けます」

みほ「…」ムスッ

優花里「ただ、先述の通り、開けても中に誰もいませんので、今回は閉じた状態で作ります」


みほ「優花里さん優花里さん」

優花里「はいはい? どうされました?」

みほ「ハッチは普通に組み立てるの?」

優花里「ええ。そうですよ?」

みほ「そうなると、外側に出てくる"ペリスコープ"の塗装ってどうすればいいのかな?」


優花里「おお! いい質問ですねぇ!」


みほ「そ、そうかな…?」

優花里「そこに目が行くとはさすが西住殿です! 着眼点が素晴らしい!」

みほ「えへへ、照れるなぁ…」テレテレ

優花里「いやぁ、長年戦車に携わっているだけあって本当に良いところに目が行きます! 不肖・秋山優花里うれしいですっ!」

みほ「もー優花里さんったら褒めすぎだよぉ…////」

優花里「それで、ペリスコープなんですが、」

みほ「うんうん」ワクワク


優花里「特にこれと言って何もありません。普通に組み立てて後で塗装します」キッパリ


みほ「…別に良い質問でも素晴らしい着眼点でも何でもないじゃん」

91 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 23:27:50.19 ID:/xlKW7gR0


優花里「…というのは冗談で、ここも車載工具と同じようにやりやすいやり方を選べばオッケーです」

みほ「やりやすいやり方って?」

優花里「例えばさっき言ったように、普通に組み立ててあとから細い筆つかって塗装する方法がまず一つ」

みほ「うん」

優花里「次に、ペリスコープを先に塗装して、その部分だけマスキングテープを貼っておいて、あとは組み立て、車体の塗装をして、最後にマスキングを剥がす」

みほ「うんうん」

優花里「と言った具合に、選択をしますが、現時点で私達は塗装のツールを持っていませんので、今回は前者にしたという次第です」

みほ「そうなんだね」

92 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 23:32:03.42 ID:/xlKW7gR0



みほ「あとは説明書を参考に排気管カバーを取り付ければ車体の後部は終わりみたいだね」

優花里「ええ。急ピッチで作ったおかげでだいぶ進みましたね」フゥ...

みほ「うん」



優花里「いかがでしたか? 西住殿」

みほ「ん?」

優花里「ここまで作ってみた感想ですっ♪」

みほ「うーん…」

優花里「」ワクワク

みほ「足回りや上下車体の合体まではいろんな作業があったけど、それ以降は細かいパーツの取り付けを繰り返すって印象かな?」

優花里「なるほど…!」

みほ「うん。だから、このあたりなら細かいパーツをなんとか扱えるようになれば大丈夫かな? って思った」

優花里「」ニコニコ

みほ「え…ど、どうしたのかな…?」オロオロ

優花里「あの西住殿がここまで戦車プラモに夢中になってくれたので秋山優花里、感謝感激雨霰ですっ!!」

みほ「あははっ。優花里さんがあれだけ熱心に解説してくれたら誰だって夢中になれちゃうよ」



93 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2018/03/04(日) 23:51:46.53 ID:/xlKW7gR0


みほ「ありゃ…気づいたらもうこんな時間だ」

優花里「昨日に続いて今日も随分と熱中しちゃいましたね!」

みほ「うん。でもかなり進んじゃったから皆にはちょっと申し訳ないかな」

優花里「あはは。その時はもう1輌つくっちゃいましょう!」


みほ「また同じティーガー作るの?」

優花里「今度は海外メーカーのキットとかいかがです?」

みほ「海外メーカーだと今作ってるのとどう違うの?」

優花里「パーツ数が多くてより細かい部分までしっかり再現されています」


みほ「そうなんだ? 作り慣れたら挑戦しても良いかもだね」

優花里「」ニヤニヤ

みほ「え」

優花里「参考までにこちら某・海外メーカーのIV号の説明書です。どうぞ♪」

みほ「うん? どれどれ?」パサッ


https://i.imgur.com/kfQfbZB.jpg


みほ「げぇっ!!」

優花里「いかがです? 作り甲斐がありますよねっ♪」

みほ「無理無理! こんな細かすぎるの私作れないよ!」

優花里「今じゃなくてある程度プラモ作りに慣れてから挑戦すれば良いですよ。いきなりやれなんて言いませんので安心して下さい西住殿♪」

みほ「むう…優花里さんのいじわる…」

94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/08(木) 17:06:50.29 ID:3m4eGACP0
面倒でもー♪手ー抜きダメー♪
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