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照「京ちゃんなんて知らない」京太郎「」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:36:03.71 ID:Dd9OKj1o0


※京太郎スレ。苦手な方はここでブラウザバック

※エタらないこと目標

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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:37:42.44 ID:Dd9OKj1o0



「そっか……もう明日は東京なんだね」

「……見送り来て欲しいの?……ふふっ、京ちゃんも強情だね」

「まあでも……やめとく。……薄情者?お互い様だよ」

「わたしは結構心配してるんだよ?……そう言うと思った」

「わたしだって、……まあ、いいや。向こうの人に迷惑かけちゃダメだよ」

「……またそうやって。とにかく、お姉ちゃんをよろしくね」

「……うん。……ごめんね。……そう言ってもらえるとわたしも気が楽だよ」

3 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:38:48.02 ID:Dd9OKj1o0

「じゃあ、またね。……遅れると悪いでしょ?……だから心配するんだって」

「……うん、また連絡するから。京ちゃんも連絡してきてね。約束だよ」

「おやすみ、京ちゃん」
4 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:40:40.48 ID:Dd9OKj1o0

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






京太郎(慣れない一人暮らしでドタバタしてたけど、なんとかこの日を迎えられた)

京太郎「来たぜぬるりと、白糸台……っ」

京太郎(……なんか違う気がする)



5 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:42:26.55 ID:Dd9OKj1o0

ガヤガヤ ヤイノヤイノ

京太郎(新入生の山また山の中で、田舎っぺがデカい図体を持て余しております)

京太郎(受験で来てるからなんとなくの勝手はわかるけど)

京太郎(知り合いがいるとこういう時心強いんだけどなあ……まあ、今日は頑張ってみよう)

京太郎(案内によるとクラス分けが掲示板に…あれかな)

京太郎「すみませーん、ちょっと通りまーす」


京太郎(さて、俺の名前は……あったあった)

「ちょっと!ちょっとそこの、でっかいやつ!」

京太郎(クラスと番号確認したら、靴箱に向かって……)

「そこのでっかい金髪!」

京太郎「あ、俺か」

「この淡ちゃんを無視するなんていいどきょーしてるよね!」

京太郎「別に無視するつもりじゃ……ってそっちも金髪じゃねーか」
6 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:43:36.24 ID:Dd9OKj1o0

「別にいいじゃん。っていうか見終わったんならどいてくれる?」

京太郎「……ああ、悪い悪い。掲示板見えなかったか」

京太郎「名前探してやろうか?あわい、あわい……」

淡「なんでわたしの名前知ってるの!? もしかしてすとーかー?このへんたい!へんたい!」

京太郎「お前自分で名乗ってただろうが。ああ、字がわかんないから名字言ってくれれば」

淡「なんで知らない人に名前教えないといけないの?やっぱりすとーかー?」

京太郎(め、面倒くせえ……)
7 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:45:02.56 ID:Dd9OKj1o0




京太郎(式辞は滞りなく済んで、教室でクラスの顔合わせ)

京太郎(話しやすそうな明るい担任だし、クラスもいい奴が多そう。なんとかやっていけるはず)

京太郎(さて、問題は)チラッ

淡「……」

淡「なんでこっち見んの」ムスッ

京太郎「お前と同じクラスで良かったと思って」

淡「なにそれ」ヒキッ

京太郎「いや、変な意味じゃねーよ」

8 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:47:45.47 ID:Dd9OKj1o0

京太郎「違うクラスでろくに話さないまま勘違いが続くとか絶対気まずいだろ?」

京太郎「それよりは関係改善っていうか、仲良くなれる可能性があった方がいいじゃん」

淡「……よくわかんないけど」

京太郎「まあ、だからよろしく頼むぜ」

淡「……ふーん」

淡「この淡ちゃんと仲良くなろうだなんて、100年早いよ!」

京太郎「バカお前、声デカいって」

淡「バカってなんだバカって!」
9 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:48:49.85 ID:Dd9OKj1o0
担任「そこの金髪二人、私語は慎んでー」

京太郎「す、すみません」

担任「あと大星、いま先生がしゃべってるから頬杖つくのはやめてね」

淡「……はーい」

京太郎(この時大星、意外に素直……)
10 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:52:08.06 ID:Dd9OKj1o0



「きりーつ、礼」

「「ありがとうございました」」



京太郎「大星、お前部活とか入るのか?」

淡「……なんでバカにそんなこと教えないといけないの?」

京太郎「俺の名前はバカじゃねーぞ」

淡「だってバカって言った方がバカなんだよ!あとそこはれでぃーのヒミツだから!」ドヤァ

京太郎「なんだよそのドヤ顔」

淡「ヒミツを知りたがるなんてやっぱりすとーかーだ!またねへんたい!」

京太郎「そういうこと言うな……って行っちまったか」

11 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:53:36.34 ID:Dd9OKj1o0

京太郎(テストもあるし麻雀部も明後日かららしいし)

京太郎(今日は大人しく帰るか)



スタスタ

京太郎(三年の教室にいきなり顔出すほど度胸ないし)

京太郎(さすがに入学初日に目をつけられる、とかそんな展開は遠慮したい)

京太郎(だいたい俺にも心の準備が必要ってなわけで)

京太郎(……忘れられてたりしたら凹むなあ)

京太郎「……照さん」


「あっ」


京太郎「えっ」

12 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:54:39.68 ID:Dd9OKj1o0



京太郎(あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!)

京太郎(『おれが照さんのことを考えてたら照さんが階段から降りてきた』 )

京太郎(ご都合主義だとかボーイミーツガールとかそんなチャチなものじゃ断じてねえ)

京太郎(もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…)

13 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:56:23.14 ID:Dd9OKj1o0


照「……」

スタスタ

京太郎(何事もなかったように歩き出した、だと…)

京太郎「ちょ、待ってください照さん!」


スタスタ

京太郎「ま、麻雀部に顔出すんですか?」

照「……今日は休み。一年も説明を受けたはず」

京太郎(あ、しゃべってはくれるんだ)

京太郎「照さん俺ですよ俺。わかりませんか?」

照「私に自分のことを俺なんて言う知り合いはいない」

京太郎(そうだったかもしれないがー!)

京太郎「俺、須賀京太郎です。昔遊んだの覚えてませんか?」

ピタッ

京太郎(あ、止まった)
14 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:57:34.01 ID:Dd9OKj1o0

京太郎(振り返った照さんは誰がどう見ても無表情で、でもそれが懐かしさを俺に覚えさせた)

京太郎(昔から照さんはそんな顔してて、でも実はいろんな感情をその奥に隠していた)

京太郎(俺だけが知ってるなんてそれはただのうぬぼれだけど、でも幼馴染みと呼ぶには十分な間柄だと思ってきた)

京太郎(会えた時にかけたい言葉をたくさん準備していたはずなのに、頭は真っ白で何も出てきやしない)

京太郎(……緊張してるな俺。そして嬉しいんだ)

京太郎(またその顔が見られて……)





照「京ちゃんなんて知らない」

京太郎「」





京太郎「いやどう考えても知ってる反応じゃないですか!」
15 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 22:59:41.46 ID:Dd9OKj1o0



照「……間違えた」

京太郎「何をですか」

照「知らない人のふりをするつもりだったのに」

京太郎「ひどくないですか」





照「とにかく私とあなたは知らない人同士。いい?」

京太郎「あっはい……ってなるわけないですよね?」

照「じゃないともう二度と話さない」

京太郎「……何か理由があるんですよね?」

照「……」

京太郎「……分かりましたよ。照さんの頼みなら」

照「それもダメ」

京太郎「……はい?」

照「知らない人が気軽に名前呼びなんてしない」

京太郎「照先輩」

照「だめ」

京太郎「……宮永先輩」

照「……許可する」

京太郎「他人行儀で気持ち悪いんですが」

照「他人だから、須賀くん」

京太郎「須賀くん……」

16 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 23:01:12.45 ID:Dd9OKj1o0

照「……図書室に寄ってから帰るから」

照「先輩のテスト前の勉強に割って入ったりしないよね」

京太郎「…心得ております」

照「よろしい」スタスタ


スタスタスタ ピタッ

クルッ

スタスタ

京太郎「…道、間違えたんですか」

照「……こっちの方が近いから」

京太郎「……そういうことにしておきます」
17 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 23:02:11.94 ID:Dd9OKj1o0


ピタッ

照「……」

京太郎「て…宮永先輩?」

照「……なんでもない」


スタスタ スタ…


京太郎「…俺も帰ろう」

18 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/18(日) 23:03:50.76 ID:Dd9OKj1o0

今日はここまで。

週三くらいで投下したい所存ー
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:05:04.27 ID:0c0bne4h0

期待
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:05:27.27 ID:giGiu2r1O

序盤淡がヒロインなのかと錯覚しそうになったことは内緒だ
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:12:19.34 ID:DVWsrC+Ao
期待し照
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 00:28:11.77 ID:sZTO0TjiO
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 02:35:58.03 ID:YvfZdWDxO
前に似たスレタイ同じ内容のssがあった
使い回ししてまで新作量増しするクズ京豚
恥ずかしくないの?お前ら見てて哀れなんだけど
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 05:27:44.36 ID:1qJAO04d0
これはポンコツ可愛い照のニオイ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 23:52:43.66 ID:JAxUZREDO
こういうスレ待ちわびてた
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 04:37:31.40 ID:6hHncNQMo
同級生淡の魅力ってすごいよね
27 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 20:11:35.88 ID:ethqFTtU0

こんばんは

書き溜め消化しつつ投下していくのでー
28 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 20:17:16.36 ID:ethqFTtU0



ざわ… ざわ…
ざわ… ざわ…

京太郎「失礼しまーす」ガラッ

「「「……」」」チラッ

京太郎(えっ何この人数)


淡「……」ジトー

京太郎(大星がホールの端からこちらを睨みつけていらっしゃる)

京太郎(……参ったなこれ)




「新入部員の皆さん、ようこそ白糸台高校麻雀部へ」

「部活紹介などで知っているとは思うが改めて自己紹介しておこう」

菫「麻雀部部長、弘世菫だ」

29 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 20:54:36.90 ID:ethqFTtU0



菫「知っての通り私たち麻雀部は、インハイ3連覇を目指して日々励んでいる」

菫「100人越えの部員の中で大会に出れるのは五人、個人の枠もあるが少人数しか全国の舞台には出られない」

菫「できればレギュラーの座を狙って研鑽を積んでもらいたい」

菫「我々三年が安心して引退できるようにな」


菫「ただレギュラーになれなくてもできることはたくさんある」

菫「牌譜の分析や卓の手入れ、部室の清掃、その他もろもろの雑用」

菫「下級生をこき使うつもりはないが、どうしても必要な仕事があるということを理解してもらいたい」

菫「麻雀の力をつける上でも、下積みが必ず役に立つ」

菫「なにより白糸台がトップを走り続けるために、どうか君たちの力を貸してほしい」

菫「不服な者は今引き返した方がいい。むしろそうしてくれ」

菫「惰性でやれるほど甘い部活ではないからな、少なくともここ白糸台では」



30 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 20:59:11.99 ID:ethqFTtU0



菫「さて気がついている人も多いと思うが」

菫「うちの麻雀部は一軍と二軍に分かれて活動している」

京太郎(え…)

京太郎(そんなの聞いてない!)

菫「当然一年は基本的に二軍スタートだ」

菫「わたしは仕事柄こちらに時折顔を出すこともあるが」

菫「一軍と二軍が打つ機会は少ないといっていい」

菫「強者に挑戦したければまずは二軍で実力をつけることだ」

菫「君たちと対局できる日を、一軍部室で待っているよ」



京太郎(あれ、麻雀部なのに照さんに会えない……だと?)

31 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:10:34.50 ID:ethqFTtU0


菫「さて、今日は顔合わせ替わりに新入生同士で自由に打ってもらいたい」

菫「親交を深めるいい機会だ。自己紹介なども兼ねてやってくれればと思う」

菫「少数かもしれないが初心者だったり卓にはあまり触れたことのない者もいるだろう」

菫「優しく教えてやってくれ。仲良く頼むよ」



ガヤガヤ

京太郎(やっちまったなぁ)ガックシ

京太郎(下調べはぼんやりと、体験入学も遠いからって行かなかったのは失敗だったか)

京太郎(……頑張るしかない)


淡「ちょっと!」

淡「なんでここにいるの!」

京太郎「またお前か……来ると思ってたけど」

淡「れでぃーのヒミツなのによくも…やっぱりバカはすとーかーだったんだ」

京太郎「いや不可抗力だし」

淡「ふかこーりょく?なにそれ」

京太郎「俺にはどうしようもないことだってこと。大星が麻雀部に入るなんて知りようがないし」

淡「ふーん……」
32 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:18:24.70 ID:ethqFTtU0

淡「淡ちゃんのわからない言葉を使うなんて、で、れ、えっと、れがしー?」

京太郎「デリカシーな」

淡「そうでりかしーがない!……えっと」

京太郎「どうせ俺の名前も覚えてないんだろ」

淡「へ?……ふん、どうせバカの名前なんて覚えるひつようなんてな痛っ!」ズビシッ

菫「さっきから聞いていれば馬鹿馬鹿馬鹿って、馬鹿者はどっちだ」

淡「あ〜……スミレ先輩のデコピン痛ぁい」

京太郎(えっなにこのフランク)
33 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:28:51.12 ID:ethqFTtU0

菫「えっと……須賀、だったな」

京太郎「は、はい」

菫「あ…大星とは知り合いか?」

京太郎「あ、いえ、クラスメートってだけで」

菫「そうか……こいつの操縦役がいると助かるんだがな」

京太郎「いやぁ、勘弁してくださいよ……ところでどうして名前を」

菫「部長が部員の名前覚えていたらおかしいか?」

京太郎「……ごもっともでございます弘世部長」

菫「……フフッ。冗談だ。さすがにまだ全然覚えてないさ」
34 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:31:38.96 ID:ethqFTtU0
菫「大星に関しては体験入学に来てたからな。あれだけのキャラとインパクトを残せば嫌でも覚える」

京太郎「インパクト……?」

菫「ああ、こいつの打ち方なんだが……まあこれは対局してのお楽しみにしておくといい」

京太郎「は、はぁ……」

菫「大星、彼の名前は覚えただろうな」

淡「……須賀」

菫「……まあいい。部員同士が馬鹿馬鹿言い合うよりはマシだ」

菫「須賀と話が終わったら行くから少し待っててくれるか」

淡「しょーがないなー」

35 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:35:29.23 ID:ethqFTtU0


菫「そして須賀だが……君は体験入学に来てなかったようだし、話さなければいけないことがあった」

京太郎(……まさか勘づいたとか!)

菫「……そう身構えるな。大した話じゃない」



菫「ここに来て何か気がついたことはなかったか?」

京太郎「ああ……男子がいないってことですかね」

菫「そうだ。全くいないわけじゃないんだが、あいにく幽霊部員ばかりでね」

菫「僭越ながら女子である私が部長をやることになってしまっている」

京太郎「実績からすると妥当じゃないんですか」

菫「ま、まあ……それなりの、自負はあるけれども」

京太郎(凛としたクールなイメージの部長が少し照れてる)

京太郎(これはもしや貴重な場面なのでは?ボブは訝しんだ)

36 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:41:17.18 ID:ethqFTtU0
菫「とにかく」コホン

菫「そういう風潮が続いて今年の男子部員は君だけになりそうだ」

菫「おそらく団体メンバーは揃わない」

京太郎「個人戦だけの参加で構わないか、ということですね」

菫「話が早くて助かるよ」

菫「女ばかりで少々居心地が悪いかもしれないが……男手がいるとこちらとしてもとてもありがたい」

京太郎「簡単に逃げたりしませんよ。俺はこのために白糸台に来たんですから」

菫「いい返事だ。……なるほど地元じゃないから体験入学には来なかったんだな……出身は」

淡「せーんーぱーいーもーまちくだびれたー」

菫「……仕方ない、よもやま話はまたいつかにしよう」

京太郎「はい、よろしくお願いします」

菫「ああ、よろしく」フッ
37 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:43:49.89 ID:ethqFTtU0




京太郎(さて空いてる卓は……っと)

京太郎「失礼、その対局終わったら入ってもいい?」

「いーよぉ、ちょうど三麻おわったばっかりだし」

「……よろしく」

「よ、よろしくお願いします」

京太郎(さて、力試しといきますか)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
38 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 21:44:58.75 ID:ethqFTtU0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

菫「ただいま」

誠子「お疲れ様です」

菫「これくらいは疲れたうちには入らないよ……こいつの世話は除いて」

淡「じゃじゃーん!スーパーノヴァ淡ちゃん降臨!」

尭深「部長、お茶飲みますか?淡ちゃんも」コトン

淡「飲む飲むー!さっすが尭深先輩気が利くー」

菫「気が利くって年上に使うべき言葉じゃない……ありがとうな尭深」

尭深「どういたしまして」

誠子「新入生はどうでしたか?」

菫「……今のところ問題児はこいつだけだ」

淡「ぶー、スミレのいじわる」

39 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 22:19:54.60 ID:ethqFTtU0


淡「あわ〜」ホッコリ

誠子「尭深の淹れた茶で目一杯リラックスしてますねこの子」

誠子「自分が新入生の頃はこんなに落ち着いていられませんでしたよ」

菫「……普通はそうだ」

菫「私も麻雀推薦だったから自分の実力に自信というものはあったが」

菫「それでも怖気付くものだ」

尭深「淡ちゃん、体験入学の後も顔出しに来てたから……」

菫「私は許可したつもりはないんだが」

菫「ただ淡の実力は……間違いなく本物だからな」

誠子「私危うく負けかけましたからね」

菫「亦野はもう少し危機感を持て……照が同卓だったのが幸いだった」

誠子「…すみません」


淡「ねえねえ、テルーはいないの?」

尭深「先輩は奥で読書してるから邪魔しちゃダメだよ」

淡「えー、今日はテルーに勝ちに来たのに!」



誠子「一度はあんな大口叩いてみたいですね」

菫「同感だ」

40 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 23:38:03.03 ID:ethqFTtU0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照(……どうして私は本を読んでいるんだろう)

照(内容は全然頭に入ってこないのに)

パタン

>ただいま

>じゃじゃーん!


照(菫の声…と)

照(淡、大星淡ーー面白い打ち方をする新入生)

照(いや、あれは“打つ”って言えるのかな)

照(……私が言えることじゃないけど)

41 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/20(火) 23:51:23.04 ID:ethqFTtU0



>テルーはいないの?

>邪魔しちゃダメだよ。


照(私も出迎えるべきだったんだろう)

照(部長の仕事は私には荷が重いし菫が適任だと思うけど)

照(…インタビューとか頼まれたことはこなしているつもりだけど)

照(苦手なことは他人に任せて)

照(……結局、逃げてるだけ、なのかな)




照(どうしてこんなことが急に気になるんだろう)
42 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 00:06:33.36 ID:nYJr8zUT0


菫「そうそう……ちゃんと来てたよ、例の男子部員」

照(!)

淡「あの金髪、えっと……そう、須賀はね!私にずっと付いてきてるすとーかーなんだよ」

菫「違うな」

誠子「違うんだ」

尭深「違うんだね」

淡「なんでよ!信じてよ!」



照(……どうしてここに来たの、京ちゃん)




>そもそも淡も金髪だろ?

>細かいこと気にするとモテませんよせんぱーい

>おま、そんなこと言うのはどの口か!

>きゃー、先輩がいじめるー

43 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 00:27:35.99 ID:nYJr8zUT0
予定より長引いたので今日はここまで

淡はクラスメートでもなんでもない予定だったんだがこの始末
!が多かったりやたら固かったり癖が強いかもしれませんが勘弁してね
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 00:28:10.07 ID:pK1YxPDlo
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 00:36:04.51 ID:pEyF99CjO
おつー
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 01:07:45.17 ID:172RqA58o

ちゃんと最後に存在感を示すことで真のヒロインであることを主張する照さんマジヒロイン
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 06:48:09.34 ID:wtfU3gwFO
おつおつー
どうでもいいけど白糸台のレギュラーは強い選手を選抜するんじゃなくて、部内大会の勝利チームが代表になるんじゃなかったっけ?
48 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/02/21(水) 07:46:46.89 ID:nYJr8zUTo
おはようございます

チームの勝ち抜き制は把握してました
イメージとしてチーム作れるレベルのメンバー=一軍
その他有象無象が二軍という描写だったんですが
よく考えると一軍=虎姫なんすね、やらかすなぁ…

ちょっと整合性考えつつ今晩昨日の残りまで投下します
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 07:50:42.54 ID:kV2BP142O
そこは設定ってことで
原作と同じでなくてもいいのよ?
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 13:52:40.31 ID:XeoT5odHO
いきなり「5人組つくってー」とかトラウマ不可避w
51 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 19:31:20.38 ID:2tw/6ReB0
こんばんは

上の件ですが一軍、二軍ではなくて部室が大きく分けて二つあって
第一部室…虎姫含めチームに入れるレベルの部員たちが使う
第二部室…その他もろもろ
という感じの設定で

校内とメディアで一軍とかの呼称が違うとか考えたんですがそれはそれで面倒なのでパス
その辺の菫さんのセリフは脳内変換してください、よろしくです

白糸台のチーム作りの事情とかなかなか謎も多いんですが、本題じゃないのでこのSSではスルーします

ではちょこっとだけ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/21(水) 19:48:24.29 ID:NiQjrxHd0
了解!
53 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 19:52:16.35 ID:vrTNB2n9O


菫「……照」

照「」ビクッ


照「……なに?」

菫「……お前のその変わり身にはほとほと感心するよ」

菫「尭深のお茶だ、冷めないうちにな」コトン

照「…ありがとう」

菫「余程集中していたのか?別に抜き足差し足で来たつもりじゃないんだが」

照「…昔のこと考えてた」

菫「妹のことか?」

照「……そんなところ」

54 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 19:54:41.69 ID:vrTNB2n9O


ズズッ

菫「……お前には感謝しているよ」コトン

照「急に言われると気持ち悪い」

菫「ひどいな」

照「……私は何もした覚えがない」

菫「今年も部員は大勢入ってくれた」

菫「大勢いさえすればいいとは言わないが……ともかくいいことだろう」

菫「入部動機で一番多かったのはなんだと思う? 」

菫「『宮永照がいるから』だ」

菫「『全国での実績があるから』『強い部員の中で自分を鍛えたいから』 これもお前のおかげだ」

照「……その人たちは何も知らない」

菫「知ってどうなるとも思わないがな」
55 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 20:05:37.65 ID:vrTNB2n9O


菫「なあ照」

菫「お前は麻雀については日本一の高校生だ」

菫「おそらくプロに行ったって通用するさ」

菫「だがそれ以外は普通の女子高生だ。まだ子供だ」

菫「何かうまくいかないことがあっても、それで恥じることはない」

照「……」

菫「……偉そうな口をきいてすまなかったな、部外者のくせにと思ったかもしれんが」

照「菫のそういうところ、きらいじゃない」

菫「…そうか」

56 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 20:07:32.74 ID:vrTNB2n9O


バタッ

菫「なんだ、今日は菓子が全然減っていないじゃないか」

菫「これは雪でも降るかもしれないな」

照「…今から食べる、何か取って」

菫「ほら、ポ◯キー」

照「うん」

照「……」モックモック




照(…甘い)

照(甘いなぁ…)

57 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/21(水) 20:25:11.45 ID:vrTNB2n9O
本当に短いですがここまでー
次回京ちゃんモブと対局、大まかな雀力が判明します
雀力ってなんだ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 23:33:43.31 ID:VTlKsbGJ0
おつ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 23:58:40.82 ID:qwHk3SbV0
乙ー
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 01:48:16.80 ID:gDmh1whpo
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/23(金) 09:26:28.17 ID:yEUsAmh00
乙です!
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 18:33:21.65 ID:sAwDDi290
乙、楽しみにしてるよ
63 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/02/24(土) 23:24:19.16 ID:7QXm5oKCo
こんばんは
カーリング見たりなんだりしてました

途中まで書いてるので風呂入ってからぼちぼち進めます
64 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 00:47:13.38 ID:G6FjrwHf0



「須賀くんはー、あの金髪の子と知り合いなのぉ?」

「……」トン

京太郎「ああ、クラスで席が隣なんだよ」トン

「あ、あの人ちょっと怖い、かも…」トン

京太郎「そうか?あ、それポン」カチャ

京太郎「こう、言っちゃあ悪いけどどこか抜けてるっていうか」トン

「そっかぁ、須賀くん体験入学いなかったもんねぇ」

「なんかこう、ず、ズバーン、ドカーン!って」トン

京太郎(何やったんだ大星)
65 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 00:57:20.98 ID:G6FjrwHf0

京太郎「そういえばインパクトがある奴だった、って弘世部長も」

「……す……さま……」ボソボソ

「あっ、地雷踏んじゃったねぇ」

京太郎「えっ」

ガタッ

「さっき!部長と!菫様とお話ししてたよねっ!名前まで呼んでもらって!」

「ひぃっ!」

京太郎「ぐえっ、首、首締ま…」

「はいストォップ」チョップ
66 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 01:19:26.40 ID:G6FjrwHf0

「……すまない。菫様のこととなると、こう……熱くなってしまって」

京太郎「あぁ、うん、気にしないで(えぇ……)」

「だ、大丈夫、ですか…?」

「この子重度の菫様キチだからねぇ」

「……否定はできない」

京太郎「えぇ……」

京太郎(なぜキチと言われて誇らしげなのか、小一時間問い詰め……いや、やっぱいいわ)

京太郎(延々と語られる図しか見えない)

「部長さんはファンも多くて、し、親衛隊みたいなものがあるとかないとか」

京太郎「……まあ、わからないでもないけど」

「そうか!君も私と親衛隊に入らないか!」パァッ

京太郎「い、いや…男子一人とかきっと変な空気になるし……」

「……そ、それもそうか。残念だな」ズーン

「気にしない方がいいよぉ、さっきも繰り返した光景だしぃ」

京太郎「おぉ、もう……」
67 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 01:32:18.21 ID:G6FjrwHf0


「ま、とりあえず◯◯ちゃんのチョンボって事だけど」

「練習だしこの局ノーカンってことでいいよねぇ」

「「異議なし」」

「……面目ない」

「じゃ、気を取り直して打とぉか」

「り、了解です」

京太郎「うっし、やるか」
68 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 01:56:27.33 ID:G6FjrwHf0



京太郎(さて部長キチさんの親で東一局、俺は南家)

京太郎(卓で打つのは久しぶりだけど……まあ、さっきの局でちゃんと“感じ取れた”)

京太郎(上家のキチさんと下家の子は、なにかオカルトめいた力を持ってる)

京太郎(発動はしてないみたいだけど……おっと配牌は……四向聴かな、うーん)


京太郎(さっきの三麻はキチさんトップ、ふわふわした感じの対面の子が続いて下家の人がハコ寸前)

「ポン!」「チー!」

京太郎(普段のしゃべりはビクビクしてるけどすごく元気な発声、積極的な鳴き)

京太郎(さっきも二鳴きしてたし…でも鳴きをトリガーとして何か変わってるとか、そんな気配はない)

京太郎(とりあえず上がりたいってとこなのかな……ただ捨て牌も理牌もちょっと素直なんだよなあ)
69 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 08:57:43.40 ID:G6FjrwHf0





「ツ、ツモ!タンヤオのみ、300・500です!」



京太郎(……ピシリ、と)

京太郎(何か来た)

京太郎(じわっと、彼女の中のゲージがぐっと溜まったようなそんな感触)

京太郎(要注意だな)



「そ、それロン!3900!」

「はぁーい」チャラッ

京太郎(連続で和了か…俺の親が流れた)

京太郎(今度は面前だったし、やっぱり鳴きは直接関係ない)

京太郎(安いから助かってるけど次は彼女の親番……このままはマズいな)
70 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 09:36:23.74 ID:G6FjrwHf0


京太郎(さっき感じた感触)

京太郎(相変わらずゲージはいっぱいのまま)

京太郎(たださっきキチさんが鳴いた時…その後数巡収まった感があった)

京太郎(突破口はそこか……手牌は……悪くない)


京太郎「ポン」

「……」

京太郎(やはり鳴くと力が薄れていく)

京太郎(ズレると消えるってことは、牌の引き方に影響を及ぼす類のものだってこと)

京太郎(あれだけ積極的だった鳴きを全然しなくなったことから考えても)

京太郎(『和了ると有効牌が引きやすくなる』)

京太郎(たぶんこんな感じの力だろう)

京太郎(最初やや強引に和了ったのも辻褄が合う)

京太郎(早い段階でずらせたのは本当に良かった…おっ)

京太郎「ロン。役牌ドラ2の3900」

「は、はい…」チャラッ

「うーん、いいようにやられてるねぇ」

京太郎「よし、この調子!」





71 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 09:50:42.61 ID:G6FjrwHf0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










「それで、勝ったんだ」

『おう。……なんでわかったんだ?』

「わかるよ。京ちゃんの声ウキウキだし」

『マジか……浮かれてるつもりじゃないんだけど』

「ふふっ、大丈夫だよ」

「ちゃんと通用するってわかったんだもん、少々喜んでもばちは当たらないよ」

「それに……」

『それに?』

「…ううん、なんでもない」

72 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 10:14:03.53 ID:G6FjrwHf0



「……そっか。お姉ちゃんがそんなこと…ごめんね」

『咲が謝んなよ。照さんにもきっと……事情があるんだと思う』

「京ちゃん……」

『だから俺は決めた。照さんと打てるようになるまで強くなってみせるって』

『もともとそういう覚悟はできてたし』

『咲とも約束したからな。“照さんと仲直りさせる”って』

「……もう六年も前なんだね」

『照さんも驚くはずさ…“なんだこのでっかい金髪!”って』

「ふふっ、なにそれ」

「……ほんと京ちゃんって、お姉ちゃんに甘いよね」

『え?』
73 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 10:27:44.20 ID:G6FjrwHf0
「昔からそうだよ。お姉ちゃんが好きなお菓子絶対持ってくるし」

「お姉ちゃんが言うことはほぼ無条件で聞いてたし」

『そりゃあまあ……麻雀の先生だったわけだし』

「それにしたって優しすぎると思うよ?」

『こう、なんだろ……照さんは俺にとって“憧れ”の存在ってところ?』

「なんで疑問形なの?」

『いや、あまり深く考えたことなくてな』

「…憧れ、かぁ」

『なんだよ、語彙不足で悪かったな』

『文学少女の宮永さんならもっと上手く表現できるんだろうなー』

「文学少女だなんて、そんな、恥ずかしいよ…」

『そっちかよ』
74 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 12:15:58.97 ID:G6FjrwHf0



『そういえばGWだけどさ、すまん』

『麻雀部の校内合宿があるらしくてさ、そっちには帰れない』

「そっか…しょうがないよ」

「そうだ!おばさんが連絡がなくて心配って」

『えー…まだ10日も経ってないのにさー』

『てかなんで咲に愚痴ってんだよ母さん…』

「そう言わずに…ね?」

『…まあ、考えとくわ』

「ふふっ」

『なんだよその笑いは、頬つつくぞ』

「なんでもないよ。…つつけるものならつついてみてよ」

『こやつ…咲のくせに生意気な』
75 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 12:17:50.16 ID:G6FjrwHf0



ふふっ、京ちゃんってやっぱり甘い。

こんなちんちくりんな私にだって。


あぁ、京ちゃんに言いたい。
言わなきゃいけない。

でも、今はきっとその時じゃないの。
ちゃんと形にしてなきゃ、だめ。

だからもう少しだけ、この胸にしまっておくよ。


「また連絡してね、京ちゃん」

『おう。咲も元気でな』
76 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 12:19:00.00 ID:G6FjrwHf0
ここまでです。
日付またいだだらしない投下ですまない…
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 12:47:27.52 ID:Q8/NVM9Oo
おっつおっつ
78 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/25(日) 13:06:08.92 ID:G6FjrwHf0
忘れてたけど一箇所訂正
>>53
「妹のことか?」→「妹さんのことか?」

早く京照いちゃいちゃさせたい
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 14:19:56.53 ID:Nq3PsEc/O

照の京ちゃん呼び違和感なくてすき
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 14:31:45.14 ID:N6Z7jUhE0
乙です
81 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/28(水) 23:45:16.65 ID:twVG5ZzS0
こんばんは
気を抜くと数日すぐに経っていけない
ぼちぼち投下していきます
82 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/02/28(水) 23:46:44.79 ID:twVG5ZzS0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京太郎「おはようございまーす」

「あーちょうどいいところに」

「須賀くんおはようさん。来て早々悪いけど仕事頼まれてくれる?」

京太郎「あー了解っす。ちょいとお待ちを」

京太郎(部活が始まって早2週間。男子一人ですがそれなりに上手くやってるつもりです)

「須賀くんも今日はお泊りするの?」

「いやいやいや、言葉には気をつけて?須賀くん男の子だよ?誘ってんの?」

「ないわー、そんなエロエロの思考するのあんたぐらいだわー」

京太郎(……こんな会話してますが基本優しい先輩方です)

京太郎「…それで、お仕事というのは?」

「あ、ほらー須賀くんドン引きしちゃってるよ」

「早く逃げた方がいいよ、この子男日照りだし重いしメンヘラだし」

「人に勝手に属性盛るのやめろよコラァ」

キャピキャピ

京太郎(……頑張れ俺)
83 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/01(木) 00:02:39.08 ID:n2n3spjy0



京太郎(買い足した食材もろもろを運ぶだけの簡単なお仕事です)コツコツ

京太郎(にしてもこう…菓子の多さ)

京太郎(というか9割方菓子なんじゃ)


バッタリ

京太郎「あ……」

京太郎「おはようございます、部長」

菫「ああ、須賀君か。おはよう。早いな」

菫「その荷物は…」

京太郎「ああ、〇〇先輩から頼まれまして」

菫「そうか、持って来てくれたのか。助かるよ」

菫「ほら、半分貸して」

京太郎「え?……いやぁ、先輩に持たせるなんてそんな」

菫「どうせ部室に行くんだ。それに後輩に大量の荷物を持たせたままだなんて他の部員に示しがつかない」

菫「大した重さじゃないんだろう?私のためと思って持たせてくれ」スッ

京太郎「…そう言われると断れないじゃないですか」

菫「物は言いようだ」フフン
84 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/01(木) 00:54:44.96 ID:n2n3spjy0





菫「…だからまあ、一年はこの合宿でようやく第一部室行きを狙える、というわけだ」

京太郎「道理で大星がこちらに来てたわけですね」

菫「ああ、特待生とはいえそこは平等にな」

京太郎「でもあいつはかなり打てるんでしょう?」

京太郎「こんなはずじゃなかったとかなんとかブツブツ言ってましたけど」

菫「はぁ……これは説教が必要だな」

京太郎「え、これ俺がチクった形になってません?」

菫「心配するな、君の名は出さない」

京太郎「あー…くれぐれも穏便にお願いします」

菫「ほう、たいそう優しいじゃないか」

京太郎「まあ腐ってもクラスメートなんで」

スタスタ
85 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/01(木) 01:40:37.64 ID:n2n3spjy0


菫「…もしかしてまだ大星と打ってないのか」

京太郎「あー…なんかタイミングが合わなくて」

菫「まあいいさ、合宿中に手合わせさせるよ。…さて」

菫「到着だ。ようこそ第一部室へ」ガチャ

京太郎「……失礼しまーす」

菫「食材は奥の方…そうそっちだ。冷蔵庫があるからその辺に置いててくれ」

京太郎「了解です」ガサガサ

菫「あー、個人の私物も置いてあるから漁ったりするなよ」

京太郎「しませんよ!」

京太郎(そんなこと言われると気になるだろ!いい加減にしろ!)
86 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/01(木) 01:41:34.89 ID:n2n3spjy0



京太郎(冷蔵庫はこれ、か……じゃこの辺に)トスッ

京太郎(…見間違いじゃなければ菓子の在庫はまあまあある気がするんだけど)

京太郎(これはお茶缶、まあわかる)

京太郎(…立てかけてある釣竿はなんだ?)

87 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/01(木) 01:42:19.30 ID:n2n3spjy0



>ガチャ

京太郎(…だれか来た)

京太郎(挨拶だけして早々に退散しよう)

京太郎「部長ー、置いときました、よ…」

照「……」

京太郎(…てる、さん)
88 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/01(木) 01:45:17.57 ID:n2n3spjy0



菫「なんだ、来てたのか」

照「…今来たところ」

チラッ

京太郎(これ目で合図されてる?)

京太郎「…はじめまして宮永先輩、須賀京太郎です。よろしくお願いします」

菫「ああ照、ほら例の男子部員だ。〇〇に頼んでた菓子、ここまで持ってきてもらったんだ」

照「」ピクッ

照「そう…」

照「ありがと」

京太郎「どういたしまして」

菫(……ほう)

89 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/01(木) 01:46:19.00 ID:n2n3spjy0
ここまでです
次は調子良ければ今晩
遅くとも金曜夜には来ます
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 02:02:54.01 ID:otSTi8I+O
おつ
はよイチャイチャしてくれ〜
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 05:56:44.72 ID:jJRy16vDO
あわあわの横恋慕にも期待している
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 06:44:17.57 ID:guZX5gaJ0
おつー
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 06:47:49.02 ID:nTrW3a19o
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 09:31:00.91 ID:aiPNX+c70
面白くなって来た
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 16:53:34.58 ID:MB9Un81i0
こういう狭い範囲でラブコメして方がおもろいわ
淡とイチャイチャして嫉妬する照が見たいんじゃあ
96 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/02(金) 22:16:41.32 ID:ssJwGGsx0
こんばんは
キャラ増やすと収拾つかなくなる(断言)
大勢動かすには実力不足だと思うので大人しく
では投下していきます
97 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/02(金) 22:26:14.45 ID:ssJwGGsx0

京太郎「……それじゃ俺はそろそろ戻ります」

菫「もっとゆっくりしていっても構わないが?他のメンバーもそろそろ来るだろうし」

京太郎「いえ……荷物持って来ただけですし、それに」

京太郎「この部室には実力でまた来たいと思います」

菫「そうか……漢だな」

京太郎「そんな大したものじゃないですけど」

京太郎「先輩、……また来ます」

照「……」

98 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/02(金) 22:28:33.59 ID:ssJwGGsx0



照「……頑張って」


京太郎「……!」

京太郎「はい!」




ガチャリ

菫「爽やかな青年だな」

照「……よくわからない」

菫「そうか」
99 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/02(金) 22:43:40.20 ID:ssJwGGsx0

照「……」

菫「照、お前」

ガチャ

誠子「おはようございます、遅くなってすみません!」

尭深「おはようございます」オズオズ

照「おはよう、二人とも」

菫「おはよう」

照「……」

菫(まあいい、後にしよう)

菫「よし、揃ったことだし軽く打ち合わせしておこう。今日から忙しくなるしな」

菫「では日程の確認からだが…」

100 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/02(金) 23:06:42.75 ID:ssJwGGsx0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

淡「うわっ、朝から須賀だ」

京太郎「いつも朝一番会ってるだろうが」

淡「だからこそ!せっかく朝から麻雀なのにそこに須賀がいるのが納得いかない」

京太郎「麻雀部!俺麻雀部なんだけど」

「はいそこの金髪コンビうるさいよー」

淡「…怒られてやんの」ボソボソ

京太郎「お前もだよ大星」ボソボソ

淡「……だいたいいっつもあんたとコンビって言われるの嫌なんだけど」ボソボソ

京太郎「知らねー全く知らねー」ボソボソ

淡「金髪揃ってるのがいけないんだ……染めてきてくれない?」ボソボソ

京太郎「無茶言うな」ボソボソ
101 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/02(金) 23:32:06.23 ID:ssJwGGsx0


「さてゴールデンウィークということで、お待ちかねの校内強化合宿の始まりですー」

「事前にも説明してるけど、この合宿は第一部室のメンバーとも合同、打つ機会もあるので是非活用して実力を磨いてくださーい」

「あと特に三年・二年の子、例年通りだけど、合宿中の個人戦での上位者には第一部室行きのチャンスがあるから、ここは共に頑張りましょー」

「麻雀のことはそれくらいで、あと合宿自体の説明も一応しとくねー」

「部屋割りは事前に配った通り…といっても学年ごとにいくつか部屋に振り分けただけなんだけど」

「あー、あと須賀くんはどうするんだっけ?」

京太郎「あ、今日はとりあえず帰る予定にしてます」

「りょーかい。一応泊まれる個室は確保してるみたいだから、遠慮なくね」

京太郎「ありがとうございます」
102 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/02(金) 23:53:06.62 ID:ssJwGGsx0


淡「ちょっと、なんで須賀だけびっぷたいぐうなの?」ボソボソ

京太郎「は?」

淡「個室なんてずーるーい」

京太郎「いやお前…常識的に考えてそうだろ」ボソボソ

淡「よし!この淡ちゃんと勝負しよ!もち麻雀で。私が勝ったら個室は私のものだよ」

京太郎(あ、こいつ全然わかってねえ)

淡「まだ須賀とは打ってなかったけど……どうせ弱っちいでしょ」

京太郎「まあ強いとは言えないけどさ」

淡「それなら本気出さなくてもいいよね!メッタメタのギッタギタにしてあげる」ニヒヒ

京太郎「今時ジャイアンでもそんなセリフ言わないぞ、ったく……」

103 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/03(土) 00:00:57.76 ID:SMLlmQ6C0


「……とまあなんやらかんやら説明しましたー。わかんないことがあったらまた質問にきてねー」

「お昼までは予定通り牌譜研究ということで。じゃあ、始め!」



淡「えー、朝から打てると思ってたのにー」ブーブー

京太郎「日程確認してないのが悪い」

淡「ひどーい!ねえ、〇〇ちゃんも須賀はひどいって思うよね?」

「え、あ、わ、私?」

「い、いや…大星さんもちゃんと確認した方がよかった、というか……」

淡「」ガーン

京太郎「ほらもう、他の人に迷惑かけちゃダメだって」

京太郎「ゴメンな、こいつ頭がコレでさ」クルクルパー

淡「なっ!?」

「な、仲良いんだね」

淡「どこが!?こいつなんか、ぜぇぇぇったい、ぜったいぜったいぜったいぶっ飛ばしてやるんだから!ふんだ!」

京太郎「お、おう」

104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 00:04:11.41 ID:xrJIDYkdO
麻雀でぶっとばしたところで評価が変わるわけでもないの本当笑う
105 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/03(土) 00:34:53.00 ID:SMLlmQ6C0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

>ほら、この捨て牌はこういう意図で

>ここの鳴きがまずいのかー読めないなー

>たぶん打ってる人そこまで考えてないと思うよ

>身もふたもない!?


京太郎(…腹減った)

京太郎(正確に言うと一時間前から我慢してる)

京太郎(男子高校生にとっては辛い…これも修行か…)

淡「せーんぱーい、もうお腹ペコペコでーす」

京太郎「」ガクッ

「そうだね…よし、そろそろ時間だから午前はここまで!お疲れ様」

「お昼は食堂でカレーの準備ができてるみたいでーす。作ってくれた人に感謝の気持ちを持っていただきましょう」

「ちなみにデザートもあるらしいよ?楽しみだね」

ワーイ

京太郎(女子だな)

「じゃ、各自移動してくださーい」

106 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/03(土) 01:01:37.56 ID:SMLlmQ6C0




ゾロゾロ

京太郎(トレーを取って行列に並ぶ、給食か)

京太郎(皿を取って……お、自分で注げるんだ)カチャ

京太郎(そいじゃまあ、遠慮なく)

「おー、食べるね男の子」

京太郎「育ち盛りなんで」ニコッ


京太郎(さて、空いた適当な席に、と)

京太郎「すみません、横失礼します」


ガヤガヤ

京太郎(なんだ?)クルッ

京太郎(見慣れない人たち…ああ、第一部室組か)

京太郎(弘世部長、部活紹介で前に出ていたメンバーたち……そして照さん)

京太郎(なぜか大星もいるけど)

京太郎(うるさくないと思ったらこれだよ)
107 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/03(土) 01:04:27.91 ID:SMLlmQ6C0
明日もあるのでここまで
もう少し進めたかったけど書溜めが追いつかなかった、てへぺろ
次はおそらく日曜夜遅く
確定申告やんなきゃ…ってところなんで少しペース緩みます、あしからず
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 01:09:09.22 ID:/2Ai6lAm0
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 01:16:41.91 ID:uVuUsYhD0
おつ
いいとこで止めるね
確定申告がんばって
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 01:41:05.80 ID:C/zl8z3KO
おつ
何かと忙しいだろうけどがんばれ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 06:59:36.60 ID:vEzqVIBvo
乙乙
112 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/05(月) 00:50:10.54 ID:/7s4Y0QQ0
こんばんは
少しですが投下
113 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 00:52:18.76 ID:/7s4Y0QQ0


京太郎(あ、プリンあるじゃん。取り忘れた)

京太郎(男がプリン食うのは女々しい?腹に入ればいいんだよ)

京太郎(なりふり構っていられるか!俺は行く!)スタッ



京太郎(よかった、危うく貴重な食糧を失うところだった)ホッ

「そうか、正面は須賀くんだったか」

京太郎(この声は…)チラッ

京太郎「部長!今朝ぶりです」ペコリ

菫「度々顔を合わせて悪いな。飽きるだろう」

京太郎「滅相も無いです、そんな」ゾクッ

京太郎(…どこからか殺気を感じる)

「……」ゴゴゴゴ…

京太郎(違います、故意じゃないんです。信じてください)

114 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 00:53:15.10 ID:/7s4Y0QQ0



京太郎「宮永先輩とかとご一緒じゃなくていいんですか」

菫「あー……心配なのは心配だが、バラバラに座るよう提案したんだ」

菫「一人でも多くの部員と接することができるように」

京太郎「…宮永先輩の隣には大星がいるようですが」

菫「…まあ、仕方ない」

菫「そんなに気になる?」

京太郎「…いえ、そういうわけでは」

菫「そうか」
115 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 00:54:55.02 ID:/7s4Y0QQ0


カチャ カチャ

菫「白糸台の学食は口に合ってるか?」

京太郎「はい、量も十分ですし、それでいて味も妥協がないというか……とにかくこのカレーめっちゃ美味いっすね」

菫「おかわりもあるぞ」

京太郎「…お言葉に甘えて」スッ



京太郎(俺がおかわりするのを確認してか、何人かがおかわりに立ち始めた)

京太郎(男子の俺が率先してないと、遠慮とか恥じらいとかするよな…さすが女子)

京太郎(でもね、たくさん食べる女子も悪くないと思うぞ)グッ

116 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 00:56:00.13 ID:/7s4Y0QQ0


淡「わっ、須賀もおかわりしたんだ」

京太郎(あっ、遠慮とか恥じらいとかないタイプだ…すでにおかわりしてやがる)

京太郎「おう。……その皿は?」

淡「照先輩から頼まれたの!」

京太郎「て…宮永先輩が?」

淡「そう!プリンプッチンしたいからって」

タッタッタッ

京太郎「あ……そう、なんだ」

京太郎(妥協がないのは照さんのプリンへの熱意だった)

京太郎(プッチンしなくてもいいし、するにしてもカレー皿にすればいい。カレーが気になるならちょっと拭けばいいじゃないか)

京太郎(だいいちプッチ〇プリンだぞ)

京太郎(……変わってないな、照さん)

117 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 00:57:28.76 ID:/7s4Y0QQ0


照「……」スルルッ ヒョコッ

照「……」ヒョイッ

照「……」プッチン


照「……」


照「……」エイッエイッ

ポトッ

淡「おぉー」キラキラ

照「…いただきます」

照「……」モックモック

照(おいし……)モックモック

淡「私もしよーっと」


118 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 01:13:09.90 ID:/7s4Y0QQ0


京太郎(カレーの辛さと油が残ったところにこの人為的甘味)

京太郎(特別美味しいというわけじゃないけどたまに食べたくなるこの味)

京太郎(…焼きプリンとかの方が若干好きだけどさ)


京太郎(……遠目でもわかる照さんの甘味好き好きオーラ)

京太郎(俺にしか見えてない?それでも全然構わないんだけど)

京太郎(あー、昔みたいに手作り菓子差し入れできねーかなぁ…)

菫(表情ころころ変わって見てて飽きないんだけど)

菫(何考えているんだこいつは)

119 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/05(月) 01:14:53.73 ID:/7s4Y0QQ0
なかなか進まない
次回は木曜くらいかと
それまでにいろいろ片付けたい
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 01:38:10.26 ID:+fngM4fOO
おつ
てるてるかわいいな
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 02:27:41.56 ID:+kW64xAh0
おつ
好きな感じ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 07:59:29.56 ID:L9uUB8t2o
菫さんの雰囲気良い
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 11:29:24.41 ID:UCsrJC070
よかった、毒ガス訓練はなかった…
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 20:04:10.67 ID:IR6jgqOyo
うめ…うめ…かと思った
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/06(火) 09:46:46.66 ID:cE2idkDv0
乙です。
ヒロインとの絡みが自然で、
部活っぽい雰囲気が出ていて良い。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 13:16:18.86 ID:kzbLwLtK0
焦らなくていい
127 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/08(木) 23:58:07.68 ID:4/Jenn/A0
こんばんは
こんな時間からじゃどこまでいけるかわっかんねー
毒ガスはググって初めて知りました
カレーとかおかわりとか被ってますが全くの偶然です

ではぼちぼち投下
128 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/09(金) 00:12:49.70 ID:YgZEd1qv0


菫「午後は予定通り実戦練習だ」

菫「部室混合、東風戦でどんどん回してもらう。対局表は作ってあるからそれにしたがってくれ」

菫「牌譜は忘れずに整理しておくこと。では始めよう」


京太郎(さて、頑張りますか)





「ロン!3900!」

「くっ……はい」チャラッ

京太郎(すごいな、そんな待ちで斬って捨てるか。いや……その待ちだから和了れるのか、どちらかというと)

京太郎(こう、封じ込められてるのをズアッと…みたいな)



129 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/09(金) 00:27:51.06 ID:YgZEd1qv0


京太郎(対面の手……これはまずい気がする)コトッ

「よし、これで!」コトッ

京太郎(あらら)

「あー、出ちゃったか…ロン。小三元・対々和・三暗刻」

「ひぃっ!?は、はい…」





「やー須賀くん。調子はどぉ?」コトン

「あーどうも。……ぼちぼち?かな…先輩たちはやっぱり手強いよ」コトン

「またまたぁ。……小耳に挟んだんだけどさぁ、『今年の男子は手強い』って」

京太郎「……誰がそんなこと」

「一人じゃないよぉ、何度か聞いたもん。『結構しつこい』とか『ひたひた追いかけてくる』とか」

京太郎「麻雀の話だよね!?」

「…君たち、話すのはいいけれど集中できないのか」コトン

京太郎「すみません……それ、ロンです」

「は?」

京太郎「…すみません」

「…いや、集中できていないのは私の方だったか。すまない、気を引き締めていく」



130 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/09(金) 00:40:28.37 ID:YgZEd1qv0


京太郎(…ふぅ、このターンは対局なし、か)

京太郎(別段いい感じもしないんだけどなあ…一位取れないし)

<ゴッ ジャー

京太郎(ん?あちらは確か…給湯室)


ヒョコッ

京太郎「先輩、お茶汲みなら俺やりますよ」

「ひゃっ!?」

京太郎「おっとと…驚かせちゃいましたね」ハハハ

「あ……ううん、平気だよ」
131 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/09(金) 00:50:46.47 ID:YgZEd1qv0


「よくわたしが先輩だってわかったね」

京太郎「普段見るお顔じゃなかったですし……部活紹介でなんとなく見た覚えがしたんすよ」

「そっか、部活紹介…そんなのもあったね」

「須賀くんはよく人の顔覚えるの?」

京太郎「別にそこまで意識してはないですけど…どうして俺の名前を?」

「一人しかいない男の子だからね……さすがに名前覚えるよ」

「一方的に名前知られてるのも変だよね、自己紹介するよ。渋谷尭深」

京太郎「渋谷先輩…とお呼びすれば」

尭深「それはおまかせで」クスッ

京太郎「了解しました、渋谷先輩」フフッ
132 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/09(金) 01:22:29.76 ID:YgZEd1qv0

京太郎「ではあらためて渋谷先輩、お茶汲みの雑用は後輩の俺に任せていただけないでしょうか」

尭深「うーん……お茶はわたしが好きで淹れてるだけだからなぁ」

京太郎「あっ…そうなんですね」

尭深「だから…配るの手伝ってくれると助かるな」ニコッ

京太郎「了解です!」

尭深「さて、おしゃべりしている間にお湯もちょうどいい温度になったし」

京太郎「あー、そういう計算があったとは…気づかなかったです」

尭深「まだまだだね」

京太郎「まだまだです」
133 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/09(金) 01:54:27.66 ID:YgZEd1qv0



尭深「はい、須賀くんの分だよ」

京太郎「ありがとうございます。…ふぅ」

京太郎「なんか落ち着く味ですね」

尭深「そう言ってもらえるとうれしい、かな」


京太郎「じゃあ弘世部長と同じチームなんですね…先輩めちゃくちゃ強いんじゃないですか」

尭深「…そうでもないんだけどね」

尭深「うちの学校の代表選考のルール、知ってる?」

京太郎「あぁ、あれですよね、チーム作って対抗戦で勝ったチームが出る」

京太郎「カーリングの日本代表とかと同じですよね」

尭深「そうなんだ、あんまり知らないけど」

尭深「だから部内で一番強い五人が出るわけじゃないの」

尭深「宮永先輩は別格だけど、ね」

尭深「そしてこの方法の有用性を証明したのが宮永先輩、らしい」

京太郎「有用性?」

尭深「細かいことは聞いたことないんだけどね」

134 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/09(金) 01:55:50.51 ID:YgZEd1qv0
案の定だよ…ここまで
書ければ今晩来ます
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 03:45:40.90 ID:CUyLE3WLo
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 04:33:40.64 ID:gWUZV+Vf0
おつおつ
137 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/09(金) 23:08:25.47 ID:YgZEd1qvo
今日はさほど進められなさそうなのでお休みします
書き溜めて明日投下の予定
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 15:22:12.69 ID:jz2LS1ED0
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 18:15:24.54 ID:iC8sRvg00

期待して待ってるよ、照だけに
140 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/10(土) 22:57:22.15 ID:ShDBWZC80
こんばんわ
ゆっくり投下していきます
141 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/10(土) 23:00:39.53 ID:ShDBWZC80




尭深「だから須賀くんもわたしに勝てる…よ?きっと」

京太郎「勝ったらそのチームに入れる…ってわけじゃないんですよね」ハハッ

尭深「それはそうだよ…まず男の子だし……」

尭深「入りたいの?」

京太郎「……」

京太郎「…できればレベルの高いところで揉まれたいじゃないですか、せっかく来たので」

尭深「やっぱり男の子だね」フフッ

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 23:00:41.42 ID:qqDYNfRvo
きたきた
143 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/10(土) 23:12:37.64 ID:ShDBWZC80






京太郎(これだけ根詰めて打ちまくったのはいつぶりだろ…)

京太郎(もう時間は夕方、次がどうもラストらしい)

京太郎(相手は…)


淡「やっと須賀をぶっ飛ばせる!」

「ラストよろしくねー」

尭深「お手並み拝見、だね」ニコッ

淡「えっ、尭深先輩いつの間に知り合いになったんですかー?」

尭深「あ…、さっきお茶淹れるのを手伝ってもらっちゃって」

淡「ふーん……」

京太郎「何か言いたげだな」

淡「べっつにー、たらしとかへんたいとか思ってないしー」

京太郎「この野郎……」
144 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/10(土) 23:54:58.33 ID:ShDBWZC80


淡「とにかく、私が勝ったら一人部屋いただくからね!」ズビシッ

「なんの話かな…」

京太郎「もう…渋谷先輩も何か言ってやってくださいよ」

尭深「え、……えっと、えっと、頑張って?」

京太郎「ちがーう!」

淡「たかみーも私の味方!100人力だ!」

尭深「あ、えっと、ごめんね?」

京太郎「大丈夫、大丈夫です…」

145 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 00:07:08.37 ID:ko1Fiorl0


京太郎「では、よろしくお願いします」

「よろしくー」

尭深「…よろしくお願いします」

淡「じゃあ…始めるよ!」ニヤッ

ゴゴゥッ!

京太郎(っ……なんだこれ)

京太郎(卓についた途端に、人が変わったようなこの威圧感)

京太郎(『怖い』とかなんとか言ってたのはこれか)

京太郎(…今まで対局した中で間違いなく最強レベルだわ、こいつ)

146 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 00:16:33.98 ID:ko1Fiorl0


東一局

京太郎(大星が強烈すぎるけど他二人も何かしらのオカルト持ちで)

京太郎(様子見してる場合じゃねえと意気込んだんだが…この静けさ)コトン

京太郎(…俺だって無策じゃない。大星の牌譜も研究済みだ)

京太郎(開幕五向聴。大星と卓を囲むと必ずそうなるらしい)

京太郎(だからさっきの圧力は配牌が終われば薄くなっていく。とりあえずこれが大星の“力”だ)

京太郎(…それだけじゃない気もするけど)コトン

>ポン

京太郎(…ズレるか。しゃーない、一旦こっちで)
147 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 00:26:39.49 ID:ko1Fiorl0


京太郎(あと、渋谷先輩の第一打)

京太郎(何かがぐっと集まって、先輩の手元に消える。そんなイメージ)

京太郎(要警戒だし、そうでなくても一軍スタメン。学べることは多くある)

京太郎(願わくば、勝ってその先に…)コトン




京太郎(…大星に動きなし)

京太郎(もし言ってた通り手を抜いてるんなら…先行させてもらうぜ、大星)

京太郎「チー!」

カランッ

京太郎(…よし、入った!あとは…)

タンッ タンッ

京太郎(……来た!)

京太郎「ツモ! 自風ドラ3で満貫、2000・4000!」

「おー」

淡「なっ…!」

尭深「ツモられちゃったか…」パタン

京太郎「いや、ちょっと出来過ぎですね」

京太郎(あと一巡遅かったら上がれなかったはず…危ない危ない)
148 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 00:38:42.07 ID:ko1Fiorl0



東二局

京太郎「うし、親番行きます!」カランコロン

淡「むむ…」

ガタン ゴッ

京太郎(またひどい圧、そして五向聴)

京太郎(でも手が進まないわけじゃないしなぁ、まだなんとかなる)

京太郎(…あの地獄は酷かった)

尭深「……」コトン

京太郎(…また何か溜まった)

京太郎(第一打のみ発動する、かぁ…)

京太郎(…考察はあとだ、とりあえず集中しよう)コトン
149 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 00:51:44.58 ID:ko1Fiorl0




尭深「……」チラッ

コトン

京太郎「…ポン」

京太郎(…先輩が鳴かせてくれたおかげでテンパイ)コトン

京太郎(まあ安いんだけど)

京太郎(渋谷先輩は…俺に連荘させたいんだろうか)

京太郎(だとして理由は何だろう)

京太郎(まあ、とりあえずは)

京太郎「ロン。1500の一本場は1800」

京太郎(和了ってから考えるとして)
150 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 01:16:17.75 ID:ko1Fiorl0



東二局一本場

京太郎(先の繰り返し)

京太郎(大星は…)チラッ

淡「……」ムッスー

京太郎(調子でも悪いのかな?)



京太郎「…テンパイ」

淡「テンパイ」

「テンパイ」

尭深「ノーテンです」

京太郎(なんとかテンパイはした、が…)

京太郎(なんか転がされてるような、嫌な感じ)

京太郎(それに動きがないあと二人が不気味なんだよなぁ)
151 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 01:20:13.32 ID:ko1Fiorl0



淡「……尭深先輩」

尭深「どうしたの?」

淡「本気出しても、いいですよね」

尭深「えっ…」

「えっ…」

淡「だってー、先輩味方してくれるって言ったのに須賀のアシストして!ずるい!」

尭深「味方するとは…言ってないかな」ズズッ

尭深「それにこれは私なりの戦略。淡ちゃんもわかるでしょ?」コトン

京太郎(先輩慣れてるなこれは)

淡「それはそーだけどー…」

尭深「私もいろいろ試したいから…ね」

尭深「最初の親番、上がられちゃったのが誤算だったけど」

京太郎「おっと、俺のせいですね」

尭深「勝負だからね、私が弱かっただけ」

(…話に入っていけない)

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 01:23:52.98 ID:b685RwHro
モブww
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 01:23:58.88 ID:aXIKt3q40
まるで能力バトルみたいだ
154 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 01:32:34.61 ID:ko1Fiorl0



尭深「菫先輩も言ってたよね、『できれば自重しなさい』って」

淡「でもでも、じちょーしてたら100人も1000人もやっつけられない!」

淡「出すぎててもやらなきゃいけない時が、れでぃーの淡ちゃんにはあるの!」

尭深「そう…」

淡「あー、絶対わかってない!」

京太郎(お前の中のレディーのイメージってなんなんだ)

155 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 01:48:45.55 ID:ko1Fiorl0



菫「亦野、そっちはどうなった?」

誠子「ほとんど済みましたね。あと…まだ尭深と淡の卓が途中です」

菫「そうか…やけに時間がかかってるじゃないか」

誠子「ああ…尭深が親の連荘支援してたみたいです。東風でハーヴェストを部分的にでも再現できないかって」

菫「それはそれで面白そうだが…牌譜を見せてくれないか」

誠子「はいどうぞ。……そうそう、それもあって例の男子が今トップなんですよ」

菫「ほう。……きっちり満貫和了ってるじゃないか」

誠子「その東一局の鳴きがなかなか鋭いんですよ。それで一巡後にツモ上がり」

誠子「なんかシンパシー感じちゃいますし…勉強になります」

菫「…亦野のそういう姿勢は見習いたいな」
156 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/11(日) 01:52:14.18 ID:ko1Fiorl0


照「……お疲れ様」テクテク

誠子「お疲れ様です、先輩」

菫「お疲れ。有望株は見つかったか?」

照「…一応気になった子はメモしてある」パラッ

菫「助かるよ。強さが一見してもわからない子もいるし、な……」

誠子「先輩?」

菫「照、この『カメ』ってなんだ?」

照「カメだよ」

誠子「カメ?」

菫「…それがなにかを聞きたいんだが」

照「…よくわからないけど、その子の後ろにカメみたいなのがいた」

照「ギャーギャー鳴いたりこっちに舌伸ばしてきたりうるさかったから、コークスクリューしたらビックリした顔して消えちゃった」

菫「そ、そうか」

誠子「…これ聞かなかったことにしていいですか?」

157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 01:56:10.94 ID:b685RwHro
消していいの・・・
158 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/11(日) 02:01:05.23 ID:ko1Fiorl0
次回、淡ちゃんダブリーマシーンと化すの巻
咲麻雀は半分能力バトルも兼ねてるからね、仕方ないね
モブは淡ちゃんが本気出す前に動きたかった
多分数局経過すると高い手が入るとかそんな感じ

京ちゃんのオカルトですが一応の説明
既出なのは「同卓がオカルト持ちかどうかわかる・オカルトの発動タイミングがわかる」というもの
あの人の劣化版です
過去編までたどり着ければその辺突っ込んで書きたい
ではでは、次回は火曜の予定です
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 02:05:29.84 ID:b685RwHro
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 11:52:26.47 ID:PTBax0DOO
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 00:52:52.36 ID:nHE9p0xx0
相手の能力が分かってもどうしようもないのはVITAのゲームで良く分かるよね…
頑張れ京太郎
162 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/13(火) 23:59:51.25 ID:jZ7nBJn30
深夜だとすごく余計なこと書いてる…
一箇所訂正
>>149
×京太郎「ロン。1500の一本場は1800」
◯京太郎「ロン。1500」
というわけでぼちぼち透華
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 00:00:38.69 ID:3uS6PRMdo
まってます
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 00:05:30.00 ID:oim4u/hQO
期待
165 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:17:27.82 ID:hbHgKCv10
照「…大丈夫。その後も気配はあったから」

照「たぶん一時的に引っ込んだか、常駐するタイプじゃないんだと思う」

菫「…チェックしておくよ」

誠子「…聞かなかったことにしときますね」


照「…淡と尭深はまだ打ってるの?」

菫「ああ。牌譜見るか?」

照「うん」パラッ

誠子「…卓の進行止まってませんでした?」

菫「そうだな…練習だから多少は構わんが」

照「……」ピクッ

照「…淡」

菫「淡がどうかした…か」ゾクッ
166 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:21:29.84 ID:hbHgKCv10
東二局二本場

淡「…ここまで我慢してきたんだから、いいよね」ニヤリ

ド ド ド ド

京太郎「な…」

京太郎(なんと圧倒的な大気…!さっきの圧とは段違いの“凄み”が、こいつにはあるっ…!)

京太郎(…ってふざけてる場合じゃねえ、これはやばい)コトン

ゴ ゴ ゴ ゴ


淡「リーチ!」 チャラン!

京太郎(ダブリー…だと)


誠子「あっちゃー…やっちゃいましたね、秘密兵器」

菫「…ここで本気を…いや…淡は気分屋だからな…」

照「……」

誠子「…やっぱり他校入れなくて正解でしたね」

菫「…それはそうなんだ、が…」

誠子「何かあるんですか?」

菫「ああ……始まったからには仕方がない。様子を見るしか…」

照(……京ちゃん)
167 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:24:11.65 ID:hbHgKCv10

京太郎(他人の配牌に影響を与えられるのなら、自分のにそうできても何もおかしくはない)

京太郎(にしても……それにしてもダブリーだよ)タンッ

京太郎(……この局は様子見。いろいろやるには不確定要素が多過ぎる)

淡「……」ニマッ

京太郎(この憎たらしい笑み、強者の余裕…か)


尭深(…私が余計なことしちゃったから)

尭深(ううん、でも……淡ちゃんの姿勢にもたぶん良くないところがあった)

尭深(中途半端で油断してたから、思っていた展開にならなくて焦る)

尭深(私が連荘支援してたのもあるけど…須賀くんが淡ちゃんの予想を超えてきた)

尭深(……あとで反省会、かな)
168 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:27:25.86 ID:hbHgKCv10



京太郎(…ダブリーなのに案外和了れないってあるよね)

京太郎(早めのリーチはなんとやら、ってな)

京太郎(とりあえず、これでテンパイ)コトン


(何かと厄介な子だって、先輩たちも言ってたし覚悟はしてたけど!)

(こんなのだなんて、聞いてないよっ……!)


淡「……」スッ

淡「……」ニヤッ

京太郎(…まずっ、何か来る!)

淡「カン!」

ゴゥ!

京太郎(……俺には一瞬、宇宙が見えた)

京太郎(卓は大地で、大星は宙に浮いている)

淡「……」コトン

京太郎(さも当然のように、ろくに見もせず嶺上牌は河へ)

京太郎(さすがに咲みたいにぽんぽん和了らないか)
169 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:30:09.29 ID:hbHgKCv10
尭深「……」トン

京太郎(…先輩は安牌か)スッ

京太郎(……この牌は切れない。嫌な予感しかしない)

京太郎(…崩そう)タンッ


淡「……」フッ

淡「ツモ!」

スッ パタタタタタタ

カチャッ

京太郎「裏ドラが、乗った…?」

淡「ツモダブリードラ4で、ハネ満だよ!」ババーン


京太郎(さっき切っていたら直撃されてた)ゾゾッ

京太郎(…ダブリーして暗カンしたら裏が乗ってハネ満確定…?)

京太郎(……なんてこった)

淡「じゃあ、次いこうか」ニヤッ

尭深14800 京太郎29300 モブ19300 淡36600
170 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:39:00.46 ID:hbHgKCv10

京太郎(もう一度試す…とか悠長なこと言ってらんねえな)

京太郎(そしてこの感じは…)

淡「リーチ!」

京太郎(ねえ皆さん知ってました?ダブリーって連発できるんですって)

京太郎(…手は相変わらずの五向聴。九種九牌…でもない)タンッ

京太郎(さっきのカン裏ドラは偶然……とか、そんな楽観的じゃいられない)

京太郎(当然来るものと仮定してやらなきゃ)

京太郎(…俺、この期に及んで勝とうとしてる)

京太郎(所詮練習なのにな、ハハッ)

京太郎(でもね、引くに引けないところがあるんすよね…男には)
171 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 00:42:09.17 ID:hbHgKCv10



京太郎(ここに来てツモが…手が進まない)

京太郎(親の〇〇さんは…打牌に力がない。聴牌には遠そう)

京太郎(渋谷先輩は…)チラッ

尭深「……」チラッ

京太郎(目が合った)

京太郎(ここから点差が開くのは避けたい。それなら…)

京太郎「……」コトン

尭深「ポン」

京太郎(先輩に和了ってもらうしかないだろ)



淡(むっ…)

淡(たかみーにさっき助けてもらったからってデレデレして)

淡(やっぱりばか。ほんとバカ。ばーかばーか)コトン

尭深「…ロン。3900です」

淡「あわわっ!?」

尭深19700 京太郎29300 モブ19300 淡31700
172 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 01:17:30.35 ID:hbHgKCv10
東四局

淡「……」ジトー

京太郎(やばいです、淡さんがじっと睨んで来ます)

京太郎(さて、泣いても笑ってもここでラスト)

京太郎(俺も二翻つけて和了れれば逆て…ん…)ゾクッ

尭深「……」

京太郎(ここで渋谷先輩……しまった、忘れてた)


京太郎(先輩の配牌に力強さを感じる)

京太郎(第一打のあれは…貯金みたいなもの?)

京太郎(だとすればこの局は…)

淡「リーチ」カチャン

京太郎(迷いなくダブリー)

京太郎(俺だって、まだ)

尭深「……」コトン

京太郎「チー!」

京太郎(諦めるわけにはいかないよな)
173 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/14(水) 01:25:39.89 ID:hbHgKCv10

尭深(ここまで五局、全部は帰ってこなかったけど)

尭深(しっかり収穫できたのは、いいことだよね)

尭深(淡ちゃんがいる卓でできたことに意味がある)

尭深(…実際に使えるかどうかはまた別問題だけど)

尭深(とにかく、この局は)コトン

京太郎「……」コトン

京太郎(もう一歩、あと少し…)

「……」コトン

淡「……」コトン

尭深「……」






尭深「ツモ」

パララララ

尭深「2000・3900…です」

尭深28600 京太郎27300 モブ17300 淡26800

174 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/14(水) 01:26:39.67 ID:hbHgKCv10
ここまでです
いつも微妙にキリが悪い
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 01:28:17.71 ID:3uS6PRMdo
おつー
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 01:34:32.69 ID:5dPI8sBco
おつ
あわあわかわええんじゃ〜
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 08:37:01.98 ID:vDfqfgWFo
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 12:34:54.31 ID:6Z/t4UnT0
ちょっとずつあわあわを攻略したいんじゃー
179 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/18(日) 15:43:00.62 ID:eSxdnmsy0
多忙と体調不良により間が空いてしまいました
幸い今日の午後はフリーなので納得いくのが書ければ晩にでも投下できそうです
取り急ぎ
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 17:53:01.46 ID:Ub5haorVo
うぃ
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 21:22:40.84 ID:R4DqO2xT0
知らない間に淡が超乳になってて草生えた
182 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/19(月) 00:12:34.13 ID:KgXCBVUt0
すいません、なんか体調おかしいので今日は休みます
申し訳ない
明日大目に投下したい
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 00:44:43.10 ID:q2OgVB7Yo
あいあいまってます
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 01:02:36.13 ID:AFbTQdoq0
いつでもええで
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 05:13:12.32 ID:fwSKqs7hO
体調崩すかPCのデータ壊れるのはss書きの嗜み
186 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/03/19(月) 23:11:11.19 ID:KgXCBVUt0
こんばんは
ぼちぼち投下ー
187 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/19(月) 23:22:28.95 ID:KgXCBVUt0


京太郎(一歩、及ばないか……)

淡「っ……!」

尭深「…お疲れ様でした」

「お、お疲れ様でしたっ!」


京太郎「あー……負けちゃいました」

淡「……は?」

京太郎「え?」

淡「なんでよ…なんで素直に勝ったって言わないの!」

京太郎「え?ああ……確かに大星より点は上だけど勝った気しないし」

京太郎「だいいち勝ったの渋谷先輩だし」

淡「そうだけど、そうだけどさ!」

淡「なんか……バカみたい」

京太郎「…え?」

尭深「…淡ちゃん」

淡「もういい!」ダッ

京太郎「あっ、おい待てって!」ガタッ

フラッ

京太郎(……あ)

ガシャーン

「きゃっ!」

尭深「す、がくん……?」

188 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/19(月) 23:39:17.10 ID:KgXCBVUt0


淡(……ばか)タッタッタッ

淡(ばーか、ばーか)グスッ






菫「おい、大丈夫か!」

照「……」

テク テク テク

照「……」チョコン

照「尭深、手を貸して」

尭深「は、はい!」

菫「…っ、淡は!?」

誠子「先輩、私が追いかけます」

菫「しかし……」

誠子「先輩は他の部員に指示を」

菫「……わかった。よろしく頼む」

誠子「頼まれました」

タッ タッ タッ
189 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/19(月) 23:48:51.78 ID:KgXCBVUt0


京太郎「……あ、れ…?て、る先輩?」

照「頭打ったりしてない?」

京太郎「大丈夫です…へっちゃらですよ、ちょっとバランス崩しただけで…」

照「起き上がっちゃダメ」キッパリ

京太郎「あ…はい…」

尭深「毛布、使う?」ススッ

照「頭の下に敷こうか。ちょっと持ち上げるよ」

京太郎「すみません…」



菫「……大丈夫か?」

照「特に異常はない…と思う。他の子たちは?」

菫「予定通り各自休憩と風呂だ。少々の動揺は見られたが……あとで説明はしておこう」

京太郎「すみません……大星はどうしました?」

菫「今探してもらっている。……すこし気が立っただけだ、じきに落ち着いて帰ってくるだろう」
190 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:04:13.75 ID:GS0un0ly0


菫「それよりも…君にはまた謝らなくてはならないな」

京太郎「…え?」

菫「すまん、私の見通しが甘かった」フカブカ

京太郎「そんな部長…顔上げてください」

京太郎「大星がちょっと本気出して俺があてられちゃっただけじゃないですか」

菫「……経験あるのか」

京太郎「地元でちょっと、ですね」

照「……」

菫「……そうか」

尭深「すみません、何の話を…」

菫「ああ……せっかくだし話しておこう」


菫「高校麻雀は男女で実力差がみられると一般的に言われるが、なぜだと思う?」

尭深「競技人口…ですか?」

菫「それも重要なポイントだが、他にも理由がある」

照「……変な打ち手が多い」

菫「……お前がそれを言うのか…」

照「失礼な」

尭深「男子はそうでもないんですか?」

京太郎「俺はあまり男子と打ったことがないので……」

菫「…ああ。理由はよくわからないそうだが、この年代の女子には不可解な打ち方、何かが見えているような打ち回しをする者が多い」

菫「実際うちの部でも、統計の範囲を超えた過度な打ち方をすることで成績が上がった者が多くいる」

菫「男子にはそれがないか、あってもごく目立たない程度が普通だ」

照「……」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 00:09:28.37 ID:GnUBX6hH0
まるでバトル漫画みたいだな、病院送りになる人とかいそう
192 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:13:21.92 ID:GS0un0ly0
尭深「でもそれと須賀くんが倒れたことにどんな関係が……」

菫「そこにもうひとつ男女差が表れているんだが」

菫「淡のように卓全体に影響を与える雀士と同卓すると、個人差はあるがその気配を感じられることが多い」

菫「つまり雀士が持つ…オカルトとでも言っておこうか、特に強力なオカルトは周囲の人間にも影響を及ぼすということだ」

照「……隠しきれない威圧感」

菫「…それでここが問題なんだが……男子の方がより身体的影響を受けやすいらしい。言い換えると外部の力に対する耐性が低い」

尭深「不思議ですね」

菫「…私も聞きかじっただけだからな、詳しいことはわからない」

菫「だから…今回のことについては想定外だったというか、部長としての監督不行き届きというか…」

京太郎「もうその話は終わりにしません?部長が気に病むことないですって」

京太郎「俺もそれなりに覚悟して白糸台(ここ)に来ましたから」

菫「……そう言ってもらえると救われるよ」
193 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:21:03.00 ID:GS0un0ly0

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第一部室



誠子「ここにいるな、大星」

淡「……」

誠子「電気ぐらいつけたらどうだ」

淡「…スイッチどこかわかんない」グスッ

誠子「…点けるぞ」ポチッ

淡「……っ、まぶし」

194 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:27:37.34 ID:GS0un0ly0
コツコツ

誠子「リンゴとオレンジ、どっちがいい?」

淡「……?」

誠子「下でジュース買って来たんだ。奢りだぞ、感謝しろよ」

淡「…オレンジ、ください」

誠子「ほら」

淡「……ありがとうございます」

誠子「おーおー、いつもの元気印はどうしたー。調子狂うじゃないか」バンバン

淡「……」

誠子「…隣、座ってもいい?」

淡「…うん」

195 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:34:12.39 ID:GS0un0ly0


誠子「……」

淡「……」

誠子「……悔しかったか」

淡「…うん」

誠子「…ここで負けを知れたのは、大星にとってもいいことだと思うけどな」

淡「でも、こんなところで負けてたら」

誠子「負けてたら、なんだ?」

淡「……こっちの部室、来れないじゃん」



誠子「……はぁ」

誠子「なんかお前勘違いしてないか?」

淡「?」

誠子「負けたことないやつなんて、この部室にいないぞ」

淡「でも……たかみーはいいけど須賀なんかに」

誠子「お前が負けた理由はそこだな、男子だからかなんだか知らないが、甘く見過ぎだ」

淡「……」

誠子「淡は見てなかったかもしれないけど、あの子にはセンスがある」

誠子「状況を読む力があるし、勘もいい。ドラを引いてくる運もある」

誠子「今日の対局を見ての私の個人的な感想だから、別に気に留めなくてもいいけどさ」
196 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:42:53.45 ID:GS0un0ly0



誠子「ただ一つ言うとすればな」

誠子「ここは白糸台麻雀部で、目標は団体戦優勝だ」

誠子「お前が今までどうして来たか知らないけど、一人で強くなっていけばいいところじゃないんだ」

誠子「負けて反省して人は強くなれる。だから勝つためには負けが必要なんだ」

淡「そう、なのかな」

誠子「お前はもっと負けを知っていい。それがきっとお前のためになる」

誠子「まあ、結構負けてる私が言っても説得力ないか」ハハッ

淡「……」

誠子「全国までの道筋で負けるわけにはいかない。ならいつ負けられるのか」

誠子「今でしょ」ドヤァ

淡「……」

誠子「……」

淡「…亦野先輩、さすがにそれは古いと思う」

誠子「…すまん、忘れてくれ」

淡「…あはっ」

誠子「…わ、笑うな、忘れろ!」クワッ

淡「あははは、先輩おもしろーい」

誠子「棒読みやめろ!」

197 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:46:08.70 ID:GS0un0ly0

淡「あー……おかしかった」

誠子「くっ、つまらんところで恥を…」ブツブツ

淡「……ありがとうございました、先輩」

誠子「え?」

淡「私、頑張るから」

誠子「…おう。私も負けてられないな」

淡「あー、なんかおなか空いちゃったなー。晩御飯なんだろーなー」スクッ

誠子「…忘れてるだろうから言っておくけど、まず部長のところへ直帰だ」

淡「えーやだー、絶対怒られる……ダブリー見せちゃったし」

誠子「…どちらかというと、ラスト二局リー棒を出したことについて言われそうな気がする」

誠子「あれがなければお前が一位だったのに、結果論だけど」

淡「……そっか!よく考えたらそうだった!」

誠子「そういうところだぞ」

淡「だって、たかみーはスロットあるのに須賀が和了らせちゃうし…それどころじゃなかった!」

誠子「なんだそのスロットって…」

誠子「だいいち須賀は初対局なんだから知らなくて当然でしょ?」

淡「でもー、あれさえなければ……一騎打ちなら負けないのに…ぶー」
198 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:47:15.31 ID:GS0un0ly0


誠子「だいたいなんでそんなに須賀にこだわるかわからない」

淡「だってね!初日から絡んで来てついてくるんだよ!」

誠子「その話はもう何度も聞いた、解決済み、次」

淡「えー、何回でも聞いてよー」

誠子「何?彼のこと嫌いなの?」

淡「え?べつにきらいじゃないよ?」キョトン

誠子「あ、そう…ならいいけど」


淡「……なんか、でも」

誠子「でも?」

淡「本気で勝負してたの私だけみたいだった」

誠子「…本気でやってなくて対局終わった後立てなくなるか?」

淡「そーだけどさ」

誠子「『勝った気はしない』って、須賀も言ってたじゃない」

誠子「それがすべてだと思うけど」

淡「しんけんしょーぶだった?」

誠子「あ、あぁ…多分」

誠子「心配なら訊いてみればいいじゃないか」

淡「うーん……そだね!そーする!」

淡「あと……」

誠子「?」

淡「心配もせずほったらかしにしたのも、謝る」

誠子「…そうか」

誠子「ついて行ってやろうか?」

淡「ほんと!?亦野先輩だいすきー!」 ガバッ

誠子「…この、調子がいいやつ…」グワングワングワン

誠子(でもまあ、)

誠子(こんなのも悪く、ないな)

199 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:50:29.12 ID:GS0un0ly0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
京太郎「すみません、部屋の準備までしてもらって」

菫「……さっきから謝ってばかりだな。なにか悪さでもしたのか」

京太郎「…そうですね。ありがとうございます」

菫「うん、それでよし」

尭深「お茶、置いときますね」コトン

照「…ありがとう」


京太郎「いいんですかね、俺も泊まって」

菫「こっちは元からそのつもりで準備してたんだ。何より体調に不安のある中一人で帰らせられないよ」

照「…迎えがあるならともかく」

菫「アパートで一人暮らしなんだろう?毎日大変じゃないのか」

京太郎「一応家事はできるように練習して来ましたからね。あとは慣れでなんとか」

尭深「私には無理かなぁ」
200 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:51:33.43 ID:GS0un0ly0


菫「身支度は一通り整えてきているんだろう?」

京太郎「はい、言われてたので下着や着替えなどは一応」

菫「それなら構わないさ」

京太郎「でも男一人ですし」

菫「ん?男一人の須賀くんはそれをいいことにいかがわしいことでもするのか?」

京太郎「滅相も無いです!」

菫「それならいいじゃないか。こちらの信用で成り立っているんだから遠慮なく受け取ってくれ」

京太郎「…ありがとうございます」

京太郎(これは素直に喜ぶべきなのか)

201 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 00:55:41.39 ID:GS0un0ly0



菫「まあ正直に言うとだな」

菫「君がここまでやれるとは思っていなかった」

京太郎「先輩…」

菫「一軍候補二人相手に僅差の2位だ。十分誇っていいだろう?」

京太郎「でも、一度対局しただけですし」

菫「その一度で何もできない者も多い。君はそうではない」

菫「点差云々よりも、私は君の打ち回しに実力と可能性を感じるよ」

京太郎「可能性…」

尭深「淡ちゃんが本気出した理由、わかるよね」

京太郎「……」

尭深「勝ちに来た淡ちゃんが勝てなかった。それだけでもすごいことだと私は思うけどな」

京太郎「……恐縮です」

菫「それを尭深が言うのは少し違う気がするがな」

尭深「ほんとですね、すみません」
202 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 01:02:19.44 ID:GS0un0ly0




菫「では、私たちはそろそろ失礼しよう」

菫「夕食はあとで持たせる。風呂だが…今日は出て左の角にあるシャワー室を使ってくれ」

京太郎「わかりました」

尭深「今日はゆっくり休んでね」

照「……」

菫「行くぞ、照」スタスタ

照「…今行く」スッ
203 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 01:03:14.96 ID:GS0un0ly0


照「……」

京太郎「…先輩も、ありがとうございました」

照「ひとついいかな」

京太郎「え……はい、なにか」

照「下の名前で呼んじゃダメって、言ったよね」

京太郎「あ……ごめんなさい」

照「……今日は急だったししょうがない。でも気をつけて」

照「……まだダメだから」

京太郎「まだ……?」

照「お大事に」スタスタ

ガチャン


シーン


京太郎「まだって、…なんだよ」

204 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/03/20(火) 01:04:56.53 ID:GS0un0ly0
ここまでです
合宿1日目が終わらない
気がつけば初投下から一ヶ月…追い抜かれないよう頑張ります
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 09:41:11.42 ID:T7Cm7HrMO
乙!
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 17:08:38.34 ID:e1m2wT8jo
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 19:43:40.72 ID:rQGH9i6eO

初めから本気出してない相手に結果的に点が上だったからって勝った気にはなれんよなぁ
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 12:24:05.93 ID:0kZM8d/qo
あわあわかわいい!
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 14:25:49.37 ID:skkMWbEw0
珍しい照京SS
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 21:27:44.77 ID:y7XEe2gA0

白糸台で照と淡がバラバラに動き出すと途端に菫と誠子が突っ込みで忙しくなる王道パターンは良いよね
そして常にマイペースなたかみー
211 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/02(月) 23:56:02.99 ID:PT+0DJ210
日付指定してないとこの有様だよ!
とりあえず明日投下予定です
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 23:57:55.38 ID:WrHGCXuqo
舞ってた
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/03(火) 04:03:10.38 ID:DlXeaPQ2o
明日って今さ
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/03(火) 23:15:18.92 ID:Md4ydqLco
まだかー
215 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/03(火) 23:51:20.76 ID:/Xr2P0vh0
今来ました
ちょろっとですが投下
216 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/03(火) 23:53:12.03 ID:/Xr2P0vh0



コンコンコン

京太郎「はいど」

淡「ご飯だよ!」バーン

京太郎「…うぞ」

「…ああもうこいつは!」

217 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/03(火) 23:55:09.06 ID:/Xr2P0vh0



京太郎「でも先輩、ノックしただけまだ成長してると思いますよこいつも」

誠子「ところがどっこい、ノックしたのは私なんだなあこれが」

京太郎「あーなるほど」

淡「む!二人して私のことバカにしてない?」

京太郎「してないしてない」

誠子「うん、してないしてない」

淡「…むー」

218 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/03(火) 23:56:13.89 ID:/Xr2P0vh0


誠子「……大星」

淡「あー……うん。えっと……ね」

京太郎「どうした」

淡「さっきは……心配も全然しないで……ごめん」

京太郎「……え」

淡「え、ってなに!」

京太郎「いやー、大星さんからそんな言葉が出るとは思いませんで」

淡「むっかー!私だって悪いと思ったらちゃんと謝れるの!」

京太郎「…冗談冗談。そんな気にしなくていいのに」

淡「へ?……怒ってない?」

京太郎「怒ってない怒ってない」

淡「そっか…へへへ」
219 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/04(水) 00:08:51.59 ID:mayxFyto0

淡「それじゃそれじゃ、もういっこ。えーと……」

京太郎「…なんだよ」

淡「……うん!次は負けないから!」ズビシッ

京太郎「おう!」

淡「だからきょーたろーは私のライバルってことで!」

京太郎「お、おう……名前?」

淡「さっき覚えた!ライバルって名前どうしで呼び合う感じ……そんな感じで!」

京太郎「……わかんねー、ぜっんぜんわっかんねー」
220 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/04(水) 00:15:55.72 ID:mayxFyto0




誠子「私もさっきの局見てたけど、なかなかいい鳴きしてたね」

京太郎「ありがとうございます……運も良かったんで」

誠子「運も実力のうちって言うしね……あんまり謙虚だと大星がまた機嫌損ねるよ」

淡「むっ……同じ失敗は繰り返さないしー」

京太郎「一回練習で勝ったくらいで大きい顔できませんよ」ハハハ

誠子「言われてるぞ淡」

淡「なんで私なの!」

京太郎「そうだぞ淡」

淡「あわっ…だからなんでよ!」



221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 00:20:51.70 ID:hk4eR7LEo
淡のライバル兼ヒロインムーブ
222 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/04(水) 00:31:19.35 ID:mayxFyto0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

誠子「…一仕事済んだし、これでゆっくり寝れるよ」カチャカチャ

淡「あー楽しかったー」

誠子「……それより良かったのか?」

淡「何が?」

誠子「あーいや、忘れるくらいのことならいいんだけど」

誠子「本気云々がどーだとかさ」

淡「あー……うん、それね……気にしないことにしたんです!」

誠子「…気にしない」

淡「きょーたろーは遊びでやってないことはわかったし……」

淡「もし本気じゃなかったんなら、私が弱かっただけ」

淡「だから次は勝つ」

223 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/04(水) 00:46:35.26 ID:mayxFyto0
誠子「ふーん、そっか」

淡「えー、反応薄い」

誠子「私にリアクションを期待してどうする」

淡「ぶーぶー」

誠子「ぶーじゃない。……羨ましいかな。楽しそうで」

淡「先輩は麻雀楽しくないんですか?」

誠子「楽しいよ。でも……背負うものもあるからね」

淡「?」

224 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/04(水) 00:58:01.26 ID:mayxFyto0


誠子「そんなことよりさ、何あの名前呼び?」

淡「え?よくあるよね、サ◯ケェ!ナ◯トォ!みたいに」

誠子「お前はいつジャンプ漫画の主人公になったんだ」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 00:58:54.72 ID:jnzuakCbO
あわいい
226 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/04(水) 00:59:39.92 ID:mayxFyto0
きりがいいのでここまで
次は金曜の予定
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 01:04:52.06 ID:hk4eR7LEo
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 01:38:00.54 ID:Kk1XIi2io
アワイィ!お前の前の河のマンズ取ってマンズ!
229 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/07(土) 00:05:23.43 ID:5WWvrhwc0
日が変わりましたが今から投下します
NARUTOはコラ含めて好き
230 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:07:08.53 ID:5WWvrhwc0


チュンチュン


京太郎(……朝か)

京太郎(……)

京太郎(……そうか、合宿か)ムクッ



ザーッ バシャバシャ

京太郎(無駄に早く目が覚めてしまった)

京太郎「ふぅ」フキフキ

京太郎(でもホントすがすがしい朝、須賀だけに)


231 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:10:55.93 ID:5WWvrhwc0
京太郎(あ、照さん)

照「……」テクテク

照「ふぁぁ……」



京太郎(…こっちに来る)

京太郎「おはようございます」

照「ぁ…おはよう京ちゃん」

京太郎「え」

テクテク

京太郎(あれ、夢見てんのかな)
232 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:13:37.97 ID:5WWvrhwc0
<ザーッ バシャバシャ

<………

<バタバタバタ

京太郎(……戻ってきた)

照「……さっきの無しで」

京太郎「さっきのって何ですか?」

照「……意地悪」

京太郎「また間違えたんですか」

照「寝ぼけてたからノーカン。顔洗って目が覚めた」キリッ

京太郎「…先輩の日常が心配です」

照「?」

京太郎「弘世先輩とかに迷惑かけてませんか?」

照「……ちょっとは、自覚ある」

京太郎「自覚があるなら…まあいいですけど」
233 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:15:30.39 ID:5WWvrhwc0


照「……体調はもういいの?」

京太郎「え、…はい、なんとか」

照「そう…気をつけてね」

スタスタスタ

京太郎(行ってしまわれた…)

京太郎(…よし、今日も頑張りますか)パンパン

234 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:17:11.09 ID:5WWvrhwc0



京太郎「おはようございまーす」

<おはよう須賀くん おはようさん

パタパタパタ

淡「おはよ、きょーたろー!」

京太郎「おはよう、朝から元気だな淡」

ざわっ

京太郎(あれ、なんか嫌な雰囲気)

淡「?…どうかした?」

京太郎「いや、なんでもない」
235 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:33:42.52 ID:5WWvrhwc0



菫「……とまあ、須賀君と淡が付き合い始めたんじゃないかと噂が」

京太郎「誤解です」

誠子「昨日のアレでそうなったらなかなか劇的だけどね」

尭深「ラブロマンス、だね」フフッ

京太郎「先輩たち面白がってるだけですよね!?」

照「……」フキフキ

京太郎「ほら、掃除中なんですから集中してやりましょうよ。宮永先輩黙々とやってるじゃないですか」

菫「上級生に指示するとは大きくなったもんだなあ」

誠子「そーだそーだ」

尭深「ちゃんとやってるよ?『たまたま』須賀君と担当が近くて、『たまたま』この辺の担当が多いから手が空きがちなだけで」

京太郎「先輩方がそっち側だと収拾つかなくなるじゃないですか……」

236 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/07(土) 00:38:05.15 ID:5WWvrhwc0
菫「ほら、照も何か一言」

照「……」

京太郎(表情変えないままでめっちゃ困ってるんですけど、照さん)

照「……」

照「……お幸せに」

京太郎「ちょ、だから違うんです、誤解ですって!今は麻雀でいっぱいいっぱいで」

誠子「麻雀が恋人って?そんな行き遅れたアラフォー雀士みたいなこと言って」


???(アラサーだよ!?)


京太郎「いやそこまでは言わないですけど」

菫「つまらないな」ニヤニヤ

京太郎「つまらなくて充分です、さあ掃除掃除!」
237 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/07(土) 00:39:29.87 ID:5WWvrhwc0
寝落ちしそうなのでここまで
日曜日また来ます
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 01:00:44.25 ID:6EqGdWSI0
乙です
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 01:17:21.44 ID:vrsH/J+qo

アラフォー雀士ともなると直接脳内に語りかける事も可能なのか……
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 03:42:15.38 ID:jhdUX51pO
なんたって世界二位だからな
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 13:16:23.02 ID:7RtLGT4Io
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 13:27:24.38 ID:HUx1P1m6o
世界1位は世界すら掌握してそう
243 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/09(月) 00:12:49.06 ID:d6xpN8690
また日が変わっての参上
書き溜めあまり無いですが進めます
244 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/09(月) 00:27:43.91 ID:d6xpN8690
京太郎(さて……午後からは部室昇格をかけての個人戦スタート、か)

京太郎(ここからが正念場)グッ


尭深「緊張してる?須賀くん」

京太郎「それなりに…でもやるしかないんで」

尭深「そっか…やっぱり男の子だね」

京太郎「それ昨日も聞きましたよ…先輩はいいんですか?のんびりしてて」

尭深「だって私たちは観戦する側だし」

京太郎「あ、そうなんですね」

尭深「牌譜分析くらいはするけど…お茶汲み頑張るね」
245 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/09(月) 00:41:38.20 ID:d6xpN8690





京太郎「ツモ。1000・2000」

京太郎(よし、この調子でいけば……)



「ロン。3900」

京太郎「っ……はい」チャラッ


「テンパイ」

「テンパイ」

京太郎「…ノーテン」

「テンパイ」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 01:35:56.65 ID:O89IpDEyo
やっとったんか
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 03:11:19.87 ID:WQWjP/VA0
寝落ちか?
まさか地震?
248 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/09(月) 23:00:21.39 ID:d6xpN8690
寝落ちしました
ご心配かけてすみません
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 23:03:52.66 ID:4eeMX1KAO
作者もノーテンやったんやろなぁ…
250 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/09(月) 23:05:23.31 ID:d6xpN8690





京太郎(…流れが悪いな)

京太郎(昨日対局してない人もいるからだけど…なんせ上級生が強い)

京太郎(上に絶対行きたいという気持ち、最後のチャンス…とにかく気迫が違う)

京太郎(でも俺だって)

京太郎「ロン!3900」

京太郎(気持ちは負けてない自信がある)






251 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/09(月) 23:19:21.24 ID:d6xpN8690


京太郎「だー…きっついなぁ」

淡「そんなに疲れることあったっけ?」

京太郎「俺は頭使わないと勝てないんだよ…勝ててないけどさ」

淡「ふーん…あ、今日は私が勝つからね」フフン

京太郎「言ってくれるじゃない淡さんよ」ハッ

252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 23:21:38.02 ID:O89IpDEyo
お 再開しとる
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 00:35:39.40 ID:zowYDTsA0
お休みイッチ
254 :風呂落ちしてました ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/10(火) 00:38:58.27 ID:dbEnBZId0
京太郎「……」

京太郎(相変わらずの五向聴スタート、ね…)タンッ

京太郎(ま、鳴いてなんとか進めていければ)

淡「チー!」

京太郎「!」

京太郎(…まずい、鳴かれると追いつくのが)


淡「ツモ、2000・4000!」

京太郎(そして平然と満貫ツモっていくというね)

淡「…まだまだいくよ」フンス

京太郎(…このまま乗せたら勝ち目はない。打点は捨てて…)
255 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/10(火) 01:07:22.87 ID:dbEnBZId0

京太郎「ポン」

京太郎「チー」

京太郎「……ロン、3900」


淡「ポン!」タンッ

京太郎「それロン、2000点」

淡「むっ…はい」

京太郎(攻撃全振りだからある程度取り返せなくはない。だけど…)
256 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/10(火) 01:13:08.86 ID:dbEnBZId0
淡「ロン!満貫の8000ちょうだいね!」

「はい……」

京太郎(一発がでかいから気を抜けない…)




淡「ロン!7700だよ!」

「あっ……と、飛んじゃいました…」

「何もできなかった…」ガックシ

京太郎「だぁーっ!完全に稼ぎ負けだわこりゃ」

淡「ふっふーん、淡ちゃんの実力を見たか!」

京太郎「あぁ……やっぱり淡は強いな」

淡「でしょでしょー」
257 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/10(火) 01:14:53.10 ID:dbEnBZId0


淡「…ねえ、きょーたろー」

淡「楽しかった?」

京太郎「もちろん……どうした急に」

淡「いや…やっぱりライバルっていいなって思った!それだけ…またよろしくね!」パタパタパタ

京太郎「…騒がしいやつ」

京太郎「さて…切り替えて次行きますか」
258 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/10(火) 01:16:07.96 ID:dbEnBZId0
今日はこの辺で
昨日今日と読んでるSSが更新来てて嬉しい
次は金曜くらいの予定
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 01:34:43.47 ID:ASDDiSSvo
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 01:37:47.96 ID:91EzLEwto
あわあわのヒロイン力が高すぎてあわいい乙
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 07:44:03.84 ID:53XKg2Igo

なんだか俺も淡がヒロインなような気がしてきたぞ
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 09:28:46.50 ID:gKzmFEndo
何言ってんだあわあわ以外にヒロイン候補なんているわけ無いだろ
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 22:47:21.88 ID:HOMASFsGO
あわいい
264 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/13(金) 23:53:01.33 ID:Y/y7NAzT0
なんでや菫さんもかわいいやろ!(錯乱)
投下します
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/13(金) 23:55:18.45 ID:qNuokUi1o
やったぜ
266 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/13(金) 23:56:41.66 ID:Y/y7NAzT0


京太郎「……悩むな」

淡「さっさと出しちゃえー」

「パスでもいいよぉ」

京太郎「いや、ここは…こっちでどうだ」

「パス」

「パスでーす」

「…パス」

淡「ふっふっふ、甘いねきょーたろー!」バシッ

京太郎「あぁ…やっぱそうなるか」

淡「私が大富豪!」
267 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/14(土) 00:16:35.35 ID:jy9+MCfv0




京太郎「いまさらだけど…俺ここにいて大丈夫?」

「…本当にいまさらだな」

「その辺は大丈夫。先輩たちに頼まれたから」

京太郎「…何を?」

コンコンコン

菫「失礼するぞ」

淡「おつかれー、待ってたよー」

「……はっ、す、せ、先輩!」ダッ

テキパキ

「お荷物ありがとうございます。どうぞこちらの椅子に」

菫「いや…邪魔するのも悪いからな…」

「そ、そんなこと滅相もない!お茶でも一杯いかがでしょう」

菫「…じゃあお言葉に甘えて、一杯だけ」



淡「…ねえ、あの子なんなの?」ボソボソ

京太郎「気にするな、気にしたら負けだ」ボソボソ

淡「ふーん」
268 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/14(土) 01:06:24.35 ID:jy9+MCfv0
京太郎「あぁ、この前のお菓子は合宿用だったんですね」

菫「いくら菓子好きがいるからってあの量は片付けられないだろう?普通は」

京太郎「まあそうですけど」

菫(…ふーん)

淡「昨日もね、プチお菓子パーティーやったんだよ!」

京太郎「あー、俺がいない間にそんな楽しそうなことが…」

菫「須賀君は物怖じしないな、女子ばっかりだというのに」

京太郎「そうなるだろう、と心構えはしっかり持ってきたので」
269 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/14(土) 01:07:23.21 ID:jy9+MCfv0
寝落ちしそうなんでこの辺りで切り上げます
土日いずれかにまた
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/14(土) 01:25:25.81 ID:H/r8lXn70
乙!!!
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 02:12:25.87 ID:ddRY4FqTO
乙やで
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 04:52:00.13 ID:T0ThEHhTo
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 04:52:48.00 ID:Hujc9oP5o
おつん
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 21:42:21.71 ID:q+ghu4G90
大量のお菓子を消費できそうな方がいますね……
おつ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 14:52:30.97 ID:8qPdYfCKo
野獣と化した須賀くんまだ?
276 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/15(日) 23:25:54.06 ID:lflZO1sv0
こんばんは
キリのいいとこまでいければ
277 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/15(日) 23:30:46.75 ID:lflZO1sv0


菫「これまではそうじゃなかったのか?」

京太郎「えっと…中学はハンドボールやってたんで」

淡「え?なにそれ?」

「あー、なんか聞いたことある…」

「ほら、有名な人いたじゃん……えーっと」

京太郎「あー…多分、宮◯大輔選手のことじゃないかと」

「それだ、その人だ」

菫「なんでまた」

京太郎「ハンドボールですか?たまたま部活があって面白そうだったからってだけです」

「須賀くん背が高いから映えそう…全然ルールとかわかんないけど」

京太郎「一応県大会決勝までは行けたんですよ?」

278 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/15(日) 23:46:04.70 ID:lflZO1sv0


菫「でも麻雀もやっていたんだろう?」

京太郎「…小学生の時に教えてもらって。一時期離れてたんですけど…」

京太郎「中学上がってからですね、また一念発起して。部活の合間でネト麻やったり、そこで知り合いになった人に鍛えてもらったり」

「須賀くんってどこ出身?」

京太郎「言ってなかったっけ……長野だけど」

菫「……長野か」

「長野ってあれ、やよやよ言ってるところ?」

「それ多分岐阜」
279 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/15(日) 23:53:26.13 ID:lflZO1sv0


「麻雀で言ったら……ほら龍門渕って長野だったよね?」

京太郎「そう、そうなんです。龍門渕の先輩方は凄くて」

「えっ、どゆこと……知り合い?」

京太郎「知り合い…まあ、知り合いかな?さっき言ってたネト麻で知り合った人っていうのが龍門渕の執事さんで」

「執事…だ、と…」

淡「執事力53万?」

京太郎「なんだ急に」

淡「…なんかそう言わないといけない気がした」

菫「…須賀くんはルーラしたり路上でティーセット広げたりは」

京太郎「そんなことしませんよ!先輩がボケてどうするんですか」

菫「いや、そんな君をどこかで見たような気がして」

京太郎「執事の知り合いはいますけど執事見習いにはなってませんから!料理とかちょっと習ったくらいですから!」

淡「え、きょーたろー料理できるんだ。いがーい」
280 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/16(月) 00:28:10.93 ID:Leq0rRDc0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
京太郎(結局その後、いつか手料理なりデザートなり振る舞う約束をする羽目になって)

京太郎(いや全員分とか無理よ?レギュラー分とかで精一杯よ?)

京太郎(…部長から直接聞けたわけじゃないですが、俺がぼっちにならないよう手を回してくださってたようです)


京太郎(さて、昨日の続きの個人戦後半……ここまでは大体中位、若干中の上…くらい?)

京太郎(…もうちょっと頑張んないとな)
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/16(月) 00:29:41.20 ID:7e6iBWDb0
ゲゲゲの京太郎
282 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/16(月) 00:59:16.10 ID:Leq0rRDc0





「……」タンッ

京太郎「チー」

京太郎(すこし強引だけどテンパイ…しかも単騎待ち)

京太郎(でもこの巡り、しっかりはまって……あとは何巡目か)スッ

京太郎(…来た!)「ツモ、自風ドラ1の500・1000」





京太郎(…13巡目、対面の親が張ってるけど生牌はもうない)

京太郎(無いんだけど、この南の対子は捨てられる。親にとっちゃダブ南だけど)タンッ

「……」

「……」タンッ

「……」タンッ

「ロン。12000」

京太郎(あちゃー)


京太郎(もうちょっと攻撃に活かせる何かあればなあ、違うんだけど。こればっかりは長年の課題)

京太郎(打点低いんだよね…だから男子地味だって言われるんだよ)

283 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/16(月) 01:10:58.38 ID:Leq0rRDc0




京太郎「うっす、淡」

淡「あ、私の結果聞きたい?聞きたいでしょー?」

京太郎「いいや全然」

淡「またまたー…昨日も今日もはめつのいきおいだったよ!」

京太郎「破竹の勢いな、なにお前大金貢いだり裏で不適切な関係があったりすんの?」

淡「?」

京太郎「…いや、わかんないのならいい、わかんない方がいいや。疲れて自分で何言ってるかわからん」

284 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage ]:2018/04/16(月) 01:13:51.34 ID:Leq0rRDc0
ここまでにします(血涙)
次は水曜にでも
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 01:53:25.88 ID:0A2GP+mzo
おつー
まさかのあのネタがでるとは
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 07:55:34.60 ID:mQYaRsWOO

親にとってダブ南ってなんや
287 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage ]:2018/04/18(水) 23:33:04.38 ID:KrhQFu9U0
>>286
指摘thx
とんだミスです、ダブ東に訂正
続きいきます
288 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/18(水) 23:35:42.62 ID:KrhQFu9U0


淡「…緊張してるの?」

京太郎「緊張というか…ナーバスになって」

淡「なーばすって何?頭痛いの?」

京太郎「……頭も痛いわ、うん」

淡「きょーたろーなら大丈夫でしょ」

京太郎「…え」

淡「だってこの淡ちゃんがライバルと認めたやつだよ?」ムフー

京太郎「…うん、まあ、そうだな」

京太郎「一応礼言っとく」

淡「一応ってなに!」ウガー
289 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/18(水) 23:50:15.65 ID:KrhQFu9U0

コツコツコツ

菫「…皆揃っているようだな」

菫「さて、第一へ昇格するメンバーを発表する」

菫「所属チームが内定している者はそれも合わせて発表するから、静かにして聞くように」

菫「では学年順にいく。三年、……」



京太郎(…やっぱり三年が多い、な)

京太郎(そういや何人昇格するとか、何も言ってなかった気がする)

京太郎(…もっと自信持てよ、須賀京太郎!)
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 00:05:16.44 ID:TQ8GqvbCo
きたきたー
291 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/19(木) 00:23:39.52 ID:Do6imYeH0



菫「最後は一年だ。…大星淡。チーム虎姫」

ざわっ

京太郎(ああ、…まあこれは分かってた)

京太郎(しかし淡が、一年レギュラー最有力か……)

京太郎(妥当なんだけど……凄えな)


京太郎(俺も頑張ったんだけどなあ…みんなそうだろうけどさ)

京太郎(このチャンスを逃すと、)



菫「須賀京太郎、チーム虎姫預かり。…以上だ」

京太郎「……」
292 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/19(木) 00:44:47.30 ID:Do6imYeH0
菫「呼ばれたメンバーはこの後顔合わせや説明のため移動。その他はこの個人戦の牌譜研究をしてもらうから対局していたホールへ」

菫「反省を生かして次に繋げてもらえればと、思う。以上」


京太郎(いま、呼ばれた?)

淡「やったじゃんきょーたろー!」

京太郎「……」

淡「きょーたろー?」

京太郎「なあ、ちょっと頬引っ張って」

淡「よいしょ」グイッ

京太郎「い…痛って!もういい、もういいからストップストップ」

293 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/19(木) 00:54:19.49 ID:Do6imYeH0


京太郎「あー、いてて…思いっきり引っ張ることねーじゃん」

淡「だって引っ張ってって言ったのきょーたろーでしょ…」

淡「それよりやっぱりほら!私が言った通りだった!」

京太郎「あ?……うん、まあな」

淡「えー、もっとリアクションしてよー」

淡「もっとほめて、ほめちぎって?」

京太郎「はいはい、淡さんはすごいですねー」

淡「でしょー」ムフー

京太郎(ちょろい)

294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 01:00:50.24 ID:uIvhXZFrO
ちょろあわいい
295 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/19(木) 01:01:24.05 ID:Do6imYeH0


菫「ほら、二人とも行くぞ」

淡「はーい」トコトコ

京太郎「……」

京太郎(これで……また照さんと……打てるのか)

京太郎「……」グッ

京太郎「いよっしゃあああぁぁぁ!」


296 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/19(木) 01:08:44.49 ID:Do6imYeH0
ちょっと悩んだけどここで切る
テンポ悪くてすみません
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 07:27:19.72 ID:rYwZDxsgO
自分のペースでええぞええぞ
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 08:28:51.24 ID:iQnQ/PNlo
乙 止まらないだけ有り難い界隈だ
299 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/26(木) 19:01:33.03 ID:39X8SGGB0
少し空いてしまいましたが投下します
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 19:02:14.56 ID:IKAxDwPjo
待ってた
301 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 19:04:33.78 ID:39X8SGGB0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
尭深「…お茶だよ」コトン

京太郎「ありがとうございます」

誠子「お疲れ様です、部長」

菫「ああ、…やっとひと息つけるよ」ノビー

照「……」モキュモキュ

淡「あっ、テルー美味しそうなの食べてる!」

尭深「淡ちゃんの分もあるよ」

淡「食べる!」

菫「……ほどほどにな」

京太郎「…先輩お疲れですね」

菫「そう見える?……まあ、そうだな」

菫「先輩たちの偉大さを噛み締めてるよ」フッ

302 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 19:08:36.93 ID:39X8SGGB0


菫「さっきの繰り返しになるが…第一部室、そしてチーム虎姫へ二人ともようこそ」

菫「各自面識もあるようだし…自己紹介は省略しよう」

京太郎「先輩、昇格は嬉しいんですけど」

菫「なんだ?」

京太郎「俺なんかがここにいてもいいんでしょうか?全国目指すチームなのに、しかも一人男子で」

菫「…その説明を今からしようとしていたんだが」

京太郎「す、すみません」

菫「須賀君は自己評価が低すぎる。謙虚は美徳だが…行きすぎると卑屈に見える」

淡「やーい怒られてやんのー」

京太郎「うるせえ」

菫「淡はもう少し謙虚に、うーん……そうだな、自慢気になるのをもう少し抑えた方がいい」

淡「えー」

京太郎「やーい怒られてやんの」

淡「ふん!」

誠子(仲良いなこいつら)
303 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 19:25:29.28 ID:39X8SGGB0


菫「だいいち、君の身柄を虎姫預かりにするのは私の発案だ」

京太郎「部長の…ですか?」

菫「そう、入部の時にも話しただろう?」


京太郎「……ああっ!?もしかしなくてもこいつのことですか?」

淡「私がどーかしたの」

京太郎「いや、淡の世話役だか操縦役だか欲しいとかなんとか」

淡「えっ!きょーたろーお世話してくれるの!?お菓子作ってよお菓子」

照「…その話、詳しく」ズイッ

菫「わかりやすい食いつき方をするな!話が本題から逸れるだろう」

照「…後で聞く」シレッ

菫「こいつ…」
304 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 20:20:16.36 ID:39X8SGGB0


菫「…まあ、淡のブレーキ役として買った面もなくはない」

京太郎「マジっすか…」

誠子「…それ冗談じゃなかったんですね」

菫「…当たり前だがメインはそっちじゃないから安心してく、れ……」



淡「それでねー、いつか作ってきてくれるって!きっとリッパなやつ!」

照「どんなの作れるんだろう。リクエストできるかな」ウズウズ


尭深「……」ズズズッ

尭深「ふぅ」



誠子「…まあ、こんな感じだから」

京太郎「…お察しします」

菫「……」
305 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 20:28:38.74 ID:39X8SGGB0

菫「淡、照……『後で話す』と言ってなかったか」ゴゴゴ

菫「その話は私のする話より大事だってことだな」ゴゴゴ

照「…失礼しました」

淡「あわっ…はーいごめんなさーい」

菫「まったく…」



菫「話を戻すぞ」
306 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 20:38:42.57 ID:39X8SGGB0

菫「須賀君には、うちのチームに帯同してもらうつもりにしている」

淡「たいどう…?マネージャーってこと?」

菫「…もちろんそういう仕事をしてもらうこともあるかもしれないが、幸いうちの部員は多いからな。そういうことじゃない」


菫「須賀君には個人戦での出場を目指してほしい。あの時そう伝えた」

菫「まだ校内代表すら決まってないわけだけれど…わたしはこのチームで全国に、そして頂点まで届くと信じている」

菫「だから須賀君にとっても、ここが最善の練習場所だと思ってね」

京太郎「先輩…」
307 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 20:57:03.04 ID:39X8SGGB0


誠子「要は全国狙えるレベルと判断されたってことだよ、少年」

菫「…実力がまだ伴ってないようなら下でもう少し磨いて、秋以降頑張ってもらうつもりだった」

菫「もし大会に参加することになれば、もちろん私たちと共に行動する機会も増える。前々から連帯感を持てるよう、できれば普段から一緒に練習しておきたい」

菫「ただ私たちもインターハイ制覇を目指して必死になってやっているから…練習の質を下げるわけにはいかない」

菫「けれどそんな心配は無用だったようだ……私たちは君の実力と将来性を買って、君をぜひチーム虎姫に迎え入れたいと考えた」

菫「私たちと一緒に目指そう、全国を」

京太郎「…はい!どうぞよろしくお願いします!」ペコリ
308 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 21:15:23.11 ID:39X8SGGB0



淡「ねえねえ、私には何かないの?」ウニョウニョ

菫「あー、そうだな……」

淡「……」キラキラ

菫「お前の実力は今までも見せられてきたわけだが…」

菫「この部内でもずば抜けている、と思う。白糸台がトップに居続けるために……淡が必要だ」

菫「あまり言うと調子に乗るからこれくらいにしておくが」

淡「えー、そんなことないよー」ムフー

尭深「二人とも、よろしくね」

照「……よろしく」



309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 23:14:59.58 ID:9I9wumwto
おめでとうおめでとう
310 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/26(木) 23:16:58.63 ID:39X8SGGB0


菫「この後はチームごとの時間になっているから…早速打とうか」

淡「はいはーい!私打ちたーい!」

京太郎「…俺も、俺も打ちます!」

菫「じゃあまずは一年と二年で。終わったらじっくり牌譜検討しよう」

「「「「はーい」」」」





1位 淡 2位 誠子 3位 尭深 4位 京太郎

淡「やった!」

京太郎「あぁ…なんてことだ…なんてことだ…」チーン

尭深「出遅れちゃったのが痛かったなぁ」ズズッ

誠子「その…須賀も悪くなかったと思うよ?鋭い早仕掛けとか。和了れなかったけどさ」

京太郎「そうなんすよね…和了れてればね…」ズーン
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 23:35:34.13 ID:9I9wumwto
和了ったやつが正義
312 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/04/27(金) 00:02:12.41 ID:gcaStWGo0

照「お疲れ様」

菫「淡がトップか…さすが、と言っておこう」

淡「えへへ…」

菫「ただ捨て牌、手作りや押し引き、まだまだ甘い部分も多い」

淡「えー」

菫「…淡は感覚派だろうからな…実践できるかはともかく、その辺り注意して見てみよう」


菫「須賀君も悪くはない。点も大きく引き離されたわけじゃないし直撃も小さいのを一発だけ」

京太郎「…喜んで打ち始めたわりに緊張してました」

菫「…そういう要素もあるかもしれない」

菫「ちょっと受け身過ぎたんじゃないか?この局に関しては」

菫「まあ一つの結果にこだわり過ぎないこと。今までもそうしてきたように長い目で見ていくように」

京太郎「わかりました」

菫「じゃあ一局目から順にやっていこうか。親は尭深……」



313 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/04/27(金) 00:06:34.58 ID:gcaStWGo0
今日はここまで
書きだめの途中で数レス書き足したので間が空きました
連休中何度か投下したい

そろそろ序盤の山場(?)
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 00:10:40.76 ID:8cPDy7KRo
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 03:49:18.98 ID:RimOx36i0
乙なのよー
ここの更新が最近の楽しみだ
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 00:23:44.09 ID:iyv5jK+lo
おつ
もはやこれ楽しみに生きてる
317 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/02(水) 21:38:03.81 ID:nzaZ/Zxl0
こんばんは
ぼちぼち投下
318 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 21:41:41.33 ID:nzaZ/Zxl0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








菫「飲み物は何がいい?」

照「…カフェオレとか。ある?」

菫「奇遇だな、私もちょうど飲みたかった」


コトン サッー


照「氷は二つ」

菫「わかった」

トプトプトプ
カラン カラン

319 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 21:45:25.90 ID:nzaZ/Zxl0



照「菫」

菫「どうした?」

照「合宿お疲れ様」

菫「まだ明日があるじゃないか」

照「…明日は締めの挨拶するだけで、あとは普通の練習なんでしょ?」

菫「まあそうだけど」


照「だからとりあえず、お疲れ様」
320 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 21:48:57.19 ID:nzaZ/Zxl0


菫「……お互い様だろう」フイッ

照「……」

照「…私にはできない仕事を菫はたくさんやってくれてる」

照「ちゃんと知ってるから」

菫「……そう」

菫「ほら、ご注文の品だ」コトン

照「……」

照「…ありがとう、菫」

菫「…うん」

321 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 22:12:22.26 ID:nzaZ/Zxl0


照「それで」

照「なにか話があるんだよね」

菫「まあ、な」





菫「…単刀直入に言おう。須賀君のことだ」

照「……」チュー


菫「もう少し正確に言うと、お前と須賀君の関係のことだ」
322 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 22:15:11.46 ID:nzaZ/Zxl0

照「……」

照「…いつ気づいたの?」

菫「別に確証があったわけじゃないが。合宿初日に彼と鉢合わせただろう?」

照「…うん」

菫「…初対面にしては、お前は妙にサバサバしていた。私の時とは違って愛想笑いもない」

菫「そこに少し違和感があった…まるでよく見知った相手、今の私や、虎姫のメンバーに接するのと同じような空気だった」

照「……」
323 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 22:16:51.56 ID:nzaZ/Zxl0


菫「男子だからかと思ったが…今まで照が男性に対して態度が違うなどとは聞いたことないし自分も見たことない」

菫「苦手なら真っ先に駆けつけて看護したりしないだろうしな」


菫「それに…須賀君は長野出身だと、聞いた」

照「……そっか」

照「それなら菫にしかわからないね」

菫「照…」
324 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 22:39:01.84 ID:nzaZ/Zxl0



照「菫には、早いうちに説明するつもりだった」

照「ごめんなさい」

菫「…こちらこそ詮索したようですまない」

照「構わない。菫は善意でやってるって、知ってるから」

菫「しかし……」



コンコン



照「…誰か呼んでたの」

菫「…ああ。当事者だ」


菫「…開いてるよ!」



京太郎「失礼しまーす」
325 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 22:49:32.95 ID:nzaZ/Zxl0

照「……」

京太郎「と……あれ、まだお二人ですか」

菫「…ああ、これで全員だ」

京太郎「え?虎姫の今後の打ち合わせをするからって先輩」

菫「……すまない、少し嘘ついた」

京太郎「……そうですか」

菫「照」

照「…大丈夫。続けよう」

菫「…わかった」

菫「須賀君、騙したようで申し訳ないが、君に害を及ぼそうとかそんな気はない」

京太郎「もちろんそんなこと思いませんよ」アセアセ

菫「まあとにかく座ってくれ。照の隣に頼む」

菫「飲み物は?」

京太郎「先輩そんな…俺別になくても」

菫「いいから。詫びだと思って」

京太郎「…じゃあ、コーヒーなんかあれば」

菫「インスタントでいい?」

京太郎「はい、ありがとうございます」
326 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 22:57:14.70 ID:nzaZ/Zxl0

京太郎「…宮永先輩、隣失礼します」ストン


照「……そんなに呼びにくい?“宮永先輩”って」


京太郎「…え?」

照「…そういうところは隠せないんだね」

京太郎「ちょっ、急に何言って…部長に聞こえますって」ボソボソッ



菫「…あー、悪いな須賀君、その件で君にわざわざ来てもらったんだ」

京太郎「え」

照「……心配しなくていい。私から話したようなものだから」

京太郎「あっそう、…え?そ、そうですか…」

菫「まあ一杯飲んで落ち着いて…何か入れる?」コトン

京太郎「…ブラックでいいです。ありがとうございます」



照「……」ジーッ

京太郎「…俺の顔に何かついてますか?」

照「ううん、何でもない」フイッ

照(ブラック……飲めるんだ)
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 23:00:30.19 ID:qvzsgfWRo
いいねえこういうちょっとしたところに気がつくとこ
328 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 23:03:38.56 ID:nzaZ/Zxl0




菫「さて…どこから話そうか」

京太郎「えっと……部長は、どこまで知ってるんですか」

菫「私に分かるのは……照がもともと君と顔見知りだということ」

菫「…照には妹がいるということ」

京太郎「!」

菫「それくらいだ」


照「……」

京太郎「そう、ですか……」
329 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/02(水) 23:29:47.41 ID:nzaZ/Zxl0

菫「……須賀君の口からも一応聞いておきたい」

京太郎「…いいんですね」チラッ

照「……」コクン

京太郎「えっと…俺と先輩…照さんは、照さんが長野にいた頃の幼馴染で」

京太郎「俺と照さん、照さんの……妹の咲と三人でよく麻雀を打ってました」

京太郎「もっと言えば…俺が麻雀を教わったのは照さんからです」

菫「…なるほど」


菫「それで」

京太郎「…ある日、照さんは俺たちの前からいなくなりました」

照「……」

京太郎「大まかな事情は子どもながらに聞かされました。全ては理解も納得もできませんでしたけど」

菫「…だろうな」
330 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/03(木) 00:31:47.80 ID:esxLwc/W0


菫「…すまない」

菫「他人の私が本来入るべき話ではないんだが…二人にわだかまりがあってはいけないと思ったんだ」

菫「お互いに一歩引いてるような、そんな気がしてな」

京太郎「俺は…」

照「…他人のふりをしてって私が言った」

京太郎「照さん…」

菫「……」

照「名前呼びもしないように私がお願いした」

菫「…それで須賀君は」

京太郎「照さんには何か考えがあったんだと思ってました」

京太郎「部のエースともともと知り合いだってわかったら、俺が色眼鏡で見られるかもしれない」

照「……」

京太郎「もちろん白糸台のみんながそんなことする人たちだなんて、思ってませんよ?」

京太郎「でも俺は…お陰で変な重荷を背負わずに、ここまで来れたんだと思います」

菫「須賀君…」
331 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/03(木) 00:34:11.53 ID:esxLwc/W0


菫「…照の妹さんのことは、私しか知らない」

照「…菫にしか、言ってない」

京太郎「……」

菫「…須賀君のことを伏せていたのも、……そうなんだろう?」

照「……」コクン

菫「だから……君ら二人の過去は、変わらず他の部員には秘密にしておきたい。違うか?」

照「…よくわかるね」

菫「…まあな」

332 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/03(木) 00:35:33.28 ID:esxLwc/W0


菫「須賀君は」

京太郎「照さんがそうしたいというなら、俺は構いません」

京太郎「伏せてて困ることでもないですし」ハハッ

照「……」

菫「……そうか」


菫(君ならそう言うと思っていた…)

菫(そう期待していた私が思うのもおかしな話だが、須賀君はそれでいいのか?)

菫(……そんなこと、照の前で言えるわけがない)

333 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/03(木) 00:37:14.70 ID:esxLwc/W0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『…照の妹さんのことは…私しか知らない』

京太郎(…寝つけない)ゴロン

京太郎(弘世先輩が事情を知っていたのは…半分驚き、半分納得…かな)

京太郎(……つまり照さんも、咲のことが気にかかってないわけじゃない、ということ)

京太郎(少し…少しだけれど光明が見えた気がする)

京太郎(照さんから話したかどうかはこの際問題じゃない。部長はよく気がつく…人をよく見てる人だ)

京太郎(……照さんのこと、部長とも一度サシで話さないとな)

京太郎(きっと、…きっと助けになってくれる)

京太郎(……)ゴロン

京太郎(照さん、あなたは……)
334 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/03(木) 00:42:51.69 ID:esxLwc/W0
ここまでーです
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:48:44.70 ID:VvLcM8lQo
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:59:04.59 ID:ljVCRak20
おつ
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 01:10:20.89 ID:qX8Bxw0Do
338 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/06(日) 23:03:26.69 ID:oaJzdMfi0
帰省だなんだとハルヒを一通り見たのでさほど進まなかった、申し訳ない
鶴屋さんめがっさかわいいねぃ、知らんけど
投下しまーす
339 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:06:58.11 ID:oaJzdMfi0

===============================






京太郎『さきー!あそぼーぜ!』

咲『ちょ、ちょっとまって…このおはなしよみおわったら』

京太郎『また本ばっかりよんでる…へんなの』

咲『女の子にそんなこというなんてしつれいだよ』


咲『そうだ、京ちゃんにいいわすれてた』パタン

京太郎『えっ、なに?』

咲『こんどうちにあそびにきてよ』

京太郎『ほんと!?』

咲『いつも京ちゃんちによばれてるっていったら、『たまにはうちにきてもらいなさい』って、お姉ちゃんが』

京太郎『お姉ちゃん?さき姉ちゃんいるの?何年生?』

咲『三年生だよ。京ちゃんは、…そっか一人っ子だったっけ』

340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 23:08:49.21 ID:P0VzTuaJO
ペロッ……こ、これは、咏ちゃん登場フラグ!
341 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:17:17.74 ID:oaJzdMfi0


京太郎『あのさあのさ、姉ちゃんってどんなかんじ?こわい?』

咲『ううん、ぜんぜん』

咲『えっと…やさしくて、かわいくて、あと麻雀がつよい』

京太郎『まーじゃん?って、あのマージャン?さきもマージャンできるの?』

咲『うん、うちの家族はみんなでよくするんだよ』

京太郎『へー、さきすごいな!』キラキラ

咲『京ちゃんちかいよ…』




342 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:27:31.02 ID:oaJzdMfi0







京太郎『おそくなった!』ガッサガッサ

咲『だいじょうぶだよ。なに持ってきたの?』

京太郎『さきんちにいくっていったら、うちのおかあさんがもっていけって』

咲『京ちゃんちのお母さんやさしいもんね』

京太郎『え、でもおこったらこわいよ』

咲『ふつうそうなんじゃないかな…たぶん』

京太郎『たぶん?』

咲『…なんでもないよ』

343 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:37:25.46 ID:oaJzdMfi0



咲『…京ちゃん』

京太郎『なに?』

咲『…お姉ちゃん、おこってるわけじゃないから』

京太郎『え?どういうこと?』

咲『会えばわかるよ。ただいまー』ガチャ

京太郎『え?え?』



咲『どうぞあがって』

京太郎『…お、おじゃまします!』

咲『こっちだよ』トコトコ

344 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:47:37.11 ID:oaJzdMfi0


照『……』テクテク



京太郎(…あれが咲の姉ちゃん、かな?)

照『おかえり、友達連れてき…た…』

照『……』ゴゴゴゴ
※京太郎目線

京太郎(ひぃっ!)


京太郎(まって!ぜんぜんわらわないでこっちじっと見てる!)
345 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:52:03.33 ID:oaJzdMfi0


照『咲、ちょっとこっち』チョイチョイ

咲『はーい…あ、座っててね京ちゃん』テクテク

京太郎『う、うん』

ガチャ バタン


京太郎『…はぁ』

京太郎(こわくないっていってたのに!めちゃめちゃこわいんだけど!)

京太郎(でもおこってるわけじゃないって、さきはいってた)

京太郎(うーん…)

346 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/06(日) 23:58:11.15 ID:oaJzdMfi0


照『咲に確認です』

咲『なぁに?』

照『確かにお友達の京ちゃんを家に呼ぶ、って言ってました』

咲『うん』

照『…男の子だなんて、聞いてないんだけど』ジトー

咲『あれ?えっと…えっ、あっ、言って…なかった、かも』

照『…きょうちゃんきょうちゃんって言うから、きょうこちゃんかきょうかちゃんか悩んだのに』

咲『…ごめんなさい』

照『…別にいいんだけどね』ポンポン

咲『ほんと?』

照『…私の心の準備ができなかっただけ、もう大丈夫だから』

照『行こうか。京ちゃん待たせてるしね』

咲『うん!』

347 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/07(月) 00:13:41.98 ID:iUM0sAxh0



ガチャ テクテク


照『ごめんね、挨拶もしないで』

京太郎『だ、だいじょうぶです…』

照『いつもうちの咲がお世話になってます』ペコリ

京太郎『こ、これ…つ、つまらないものですがどうぞ』

咲『なになに』ヒョコッ

照『咲、お行儀が悪いよ』メッ

京太郎『みんなで食べてって、うちのかあさんが』ガサッ

照『プリンだ!』ガタッ

京太郎『!』ビクッ

京太郎(すごい、目がギラギラしてる)

咲『お姉ちゃん、おぎょうぎわるいよ…』

348 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/07(月) 00:17:39.95 ID:iUM0sAxh0


照『……はっ、いけない』

照『まだ自己紹介してなかったね』

照『咲のお姉ちゃんの、宮永照です。よろしく』

京太郎『ぼ、ぼくはすがきょうたろうといいます!よろしくおねがいします!』ペコリ

照『…ふーん、きょうたろうできょうちゃん、か』

京太郎『え…ぼくの名前…?』

照『知ってるよ。咲と遊んでくれてる京ちゃんのことは』

照『咲がいっつも京ちゃんの話してるから』

咲『もう!そんないっつもじゃないよ!』

349 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/07(月) 01:29:21.34 ID:iUM0sAxh0



照『そんな京ちゃんにお礼。……麻雀、やってみたいんだってね』

京太郎『…うん!やりたい!』

照『いい返事。ルールを覚えるのが少し大変だけど…』

照『とりあえず簡単なところだけ教えてあげる。そのあと三人で打ってみようか』

京太郎『やった!』






咲『このボタンをおすとね』

カチャン スッ

京太郎『すごい!きれいにならんでる』

照『全自動卓っていうの。ちょっと難しいけど』
350 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/07(月) 01:30:15.74 ID:iUM0sAxh0
一旦切ります、続きは今晩にでも
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 01:34:05.14 ID:sHhbcDkIo
乙ー!
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 10:26:52.19 ID:ZvwlQHBfo
おつ!
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 21:26:40.97 ID:+dE1eb5Go

キラキラじゃなくギラギラって……
354 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/08(火) 01:01:17.67 ID:ybyK8Ltp0
ちょろっと投下
>>353 子どもは正直
355 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:02:45.69 ID:ybyK8Ltp0


照『最初は牌をオープンにしてやってみよう。絵柄がみんなに見えるように倒して』

京太郎『こう?』

照『そう。そして理牌…自分がわかるように順番を入れ替えて』

咲『同じしゅるいのをまとめるといいよ、京ちゃん』

京太郎『…できた!』

照『じゃあ説明しながら打っていこう。まずは……』





京太郎『え、えっと、ロン!』

照『そうだね。私がいま出したのが京ちゃんの当たり牌。点数はどうかな?』

京太郎『えっと…リーチで1、タンヤオで1、あとは…うーん』

咲『平和もついてるよ』

照『平和は最初は分かりづらいよね……京ちゃんの手は3900点だね』

京太郎『…すごい、そんなすぐにわかるんだ』

咲『たくさんやってるからね』フフン

照『京ちゃんもたくさん打ったらすぐにわかるようになるよ』
356 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:09:35.85 ID:ybyK8Ltp0



照『じゃあ次は普通通りに、牌も立てて』

照『…いつもどんな風にやってるか、ちょっとだけ見せてあげる。咲もお願い』

咲『…わかった!』ゴッ

京太郎『……?』

京太郎(いまなんか、さきが……気のせいかな)



咲『カン!』

照『……ポン』

京太郎『……これ』タンッ

照『ロン。タンヤオのみ、1000点』パタッ

咲『お姉ちゃん早いよ…』

照『咲の手が進んでたからね』

照『それより……』チラッ

京太郎『…え、ぼくなにか』

照『…なんでもない。次行こうか』
357 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:12:11.21 ID:ybyK8Ltp0






咲『……』チラッ

照『……』タンッ

京太郎『ポン!』

照『…いい鳴きだね。ちょっとわかってきたかな』

照『けど』

京太郎『?』

咲『…カン!』

咲『カン!…もいっこカン!』

京太郎『…!』

咲『ツモ…嶺上開花、三暗刻三槓子で6000オール!』

照『…まあこうなっちゃうんだけど。あと咲、三麻だから9000オールだね』

京太郎『……』

358 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:20:11.02 ID:ybyK8Ltp0

咲『……京ちゃん』

京太郎『……す』

照『す?』

京太郎『すっごい!』ガタッ

咲『え』

京太郎『なにいまの!りんしゃんかいほー?っいうの?めっちゃかっこいい!』キラキラ

咲『おちついて、おちついてよ京ちゃん…』




359 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:42:53.50 ID:ybyK8Ltp0

照『…どう、だった?』

京太郎『すっごいたのしかった、です!』

咲『わたしも京ちゃんと麻雀できて楽しかった!』

照『咲はあとでちょっとお話し。……それでね京ちゃん』

照『もっと麻雀できるようになりたい?』

京太郎『なりたい!』

照『…それならまたうちに来て。よかったら私と麻雀の特訓しよう』

京太郎『とっくん?……なんかかっこいい!』

咲『とっくん?どういうこと?』
360 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:47:47.58 ID:ybyK8Ltp0



照『京ちゃんと打ってみてわかった。京ちゃんはもっとずっと強くなれる』

照『さっき咲が本気出した時、少し変な感じがしなかった?』

京太郎『うーん、なんか……ちょっとゾクっとした』

咲『』ガーン


照『そう。…それが京ちゃんの力。今日は詳しく言わないけど…』

照『でもまだ京ちゃんも本気を出せてない。それに麻雀に詳しくなれば、もっと…』

361 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/08(火) 01:49:51.89 ID:ybyK8Ltp0

京太郎『じゃあ、さきのお姉ちゃんが麻雀のせんせーしてくれるってこと?』

照『うん。京ちゃんがやりたいならだけど』

京太郎『…みやなが先生って、よんだほうがいいですか?』

咲『わたしもみやながだよ』

京太郎『そっか…じゃあ、てる先生』

照『うーん、先生っていうのはちょっと、なんか』


京太郎『じゃあ、……てるさん!てるさんってよんでもいい?』

照『…ちゃん付けでいいんだけどな』


照『でもいいよ。わたしは宮永照、照さんだよ、京ちゃん』
362 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/08(火) 01:53:09.89 ID:ybyK8Ltp0
咲さんはやり過ぎだと叱られました
過去幕間を引っ張りすぎると良くないんで早めにこれるよう書き溜める所存
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 02:15:50.59 ID:W7At500Fo
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 02:26:14.44 ID:YqMBWiVq0
おつなのよー
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 02:36:19.41 ID:9PY75xOi0
乙でしたー
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 04:25:19.68 ID:8C/RH8Kko
乙照ちゃん
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 04:45:45.80 ID:gJzIjdOMO

照の京ちゃん呼び違和感無さすぎんよ〜
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 02:43:55.42 ID:yaFqF4E/o

照ちゃんさんかわいい
369 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/19(土) 23:51:20.10 ID:vZxFid0j0
少しですけど投下
ずるずるいっちゃダメだね
370 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/19(土) 23:53:52.95 ID:vZxFid0j0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

照『卓についたら、そっと目を閉じる』

京太郎『……』ギュッ

照『“今から麻雀を打つんだ”って頭の中で繰り返す』

照『そして目を開けて』

京太郎『……』カッ

照『意識を卓にグッと押し付ける』

京太郎『……?』

照『……例えば、京ちゃんが卓に寝転んでいるのを想像して』

照『そこから体を溶かしていって、卓にそのまま溶け込んでいくの』

京太郎『……』

照『……』

京太郎『……むずかしい』

照『……ごめん、私もたとえが悪いと思う』
371 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/19(土) 23:55:36.12 ID:vZxFid0j0




京太郎『さきはどうやってカンできるようになったの?』ゴクゴク

咲『うーん……気がついたらわかるようになってたし、ふつうだと思ってたから…』

京太郎『そっか…』

京太郎『相手の力がなんとなくわかるようになるって、てるさん』

照『はむっ……そう。私の“鏡”に似ている』

京太郎『てるさんのかがみ?はさいしょからあったんですか?』

照『…どうなんだろう。気がついたら私の中にあった』
372 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/20(日) 00:01:17.42 ID:ytWb/FWu0


照『京ちゃんの中でその力がどんな形になるのか、それはまだわからない』モックモック

照『何がきっかけになるのかも…ただ京ちゃんがそれを理解しようとする、わかろうとするのが大切』

京太郎『りかい…』

照『すこし難しい話をするけど、他の人のことをわかろうとするとき、自分と比べて考えるのはよくあること』

咲『…お姉ちゃんはごはん食べたあとでもおやつをペロッて食べちゃう。わたしはおなかいっぱいじゃ食べられないから、お姉ちゃんは本当にあまいものすきなんだなぁって』

照『……コホン。だから自分にそういう力があることをまず信じること』

京太郎『?てるさんが見てくれたんだからあるんだよね?』

照『ああ、……うん、それならいいの』
373 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/20(日) 00:03:50.59 ID:ytWb/FWu0


照『あとは……咲じゃないけど、それが普通だと思うこと』

照『あって当然だと自分に思い込ませる。そうすればいつかすっと出てくる…と思う』ハムハム

京太郎『…目をつぶったりあけたりするのはどうしてですか?』

照『あれは今から力を使う、そのとっかかりを作るというか、おまじないみたいなもの』

照『だから京ちゃんにぴったりかどうかはわからない。……ごめんね』

京太郎『れんしゅう…してみます』
374 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/20(日) 00:05:54.17 ID:ytWb/FWu0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




照『麻雀のゲーム。そんなのがあるんだ』

京太郎『お父さんに麻雀のれんしゅうしてるって言ったら教えてくれて。家ではそれでべんきょうしてます』

咲『…京ちゃんパソコン使えるの!?』

京太郎『う、うん…そんなにおかしいかな』

咲『だ、だって…変にさわったらピーピー鳴ったり、ばくはつしたりしない?』

京太郎『しないよ…咲は本の読みすぎ。だれでもつかえるよ』

照『……そうなんだ』ボソッ

京太郎『え?』

照『なんでもない』キリッ
375 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/20(日) 00:08:48.62 ID:ytWb/FWu0






照『そろそろ休憩しようか』パタッ

咲『おやつ持ってくるね』トテトテ

京太郎『ふぅ…』

照『お疲れ様、京ちゃん』

京太郎『うん、つかれた…』



照『……頑張ってるね、京ちゃん』

京太郎『?』

照『まだ始めて三ヶ月くらいだけど、ルールも用語もわかるようになってる』

照『さっきの待ちの問題も点数計算もすぐ答えられるようになったし』

照『偉いなあって』

京太郎『…そうかな』

照『そうだよ』
376 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/20(日) 00:16:46.60 ID:ytWb/FWu0



京太郎『だって…ちゃんと打ちたいし』

京太郎『てるさんと、さきといっしょに』

照『…そっか』

照『……』ナデナデ

京太郎『わわっ……どうしてなでるの』

照『……偉いなあって、思っただけ』

京太郎『もう、そればっかり』

バタン

咲『あー、お姉ちゃんが京ちゃんを子どもあつかいしてる』

京太郎『そんなんじゃない!』

照『……』フッ
377 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/20(日) 00:18:01.24 ID:ytWb/FWu0
ここまで
次は早くて水曜
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 00:42:40.90 ID:O1IonamUo
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 03:58:22.40 ID:Jwye2FJWo
乙です
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 11:51:42.13 ID:AZKWzTA9O
乙!
やっぱり京照がナンバーワン!
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/22(火) 19:42:42.69 ID:Pi+WE09p0
乙ッ!
382 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/25(金) 23:53:12.94 ID:bwR2rCE90
水曜に来ると言ったな…スマンありゃウソだった
明日ちょっと早いので無理にならない程度に投下ー
383 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/25(金) 23:56:00.05 ID:bwR2rCE90


======================





カランカラン

イラッシャイマセ




京太郎「すみません、お待たせして」

菫「気にしないでくれ。早く来たくて来てるんだから」

菫「遠くまで来てもらってむしろ申し訳ないくらいだよ」

京太郎「いえそんな。……喫茶店なんて初めて来たかも」

菫「いい雰囲気の店だろう?少し遠いのが玉に瑕だが」
384 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/25(金) 23:57:59.97 ID:bwR2rCE90



菫「さあ、メニューはこっち。好きなのを注文してくれ」

京太郎「いいんですか?自分の分は出しますよ」

菫「気にしないで、昇格祝いとでも思って」

京太郎「…ありがとうございます」

菫「いろいろあるよ。この『カツカレー 920円』とか」

京太郎「まだ夕食には早いですよ」フフッ

菫「まあ、おすすめはこのケーキセットA、かな。ケーキはお好みで。あとここのコーヒーは美味しい」

京太郎「じゃあそれにしてみます。すみませーん!」

385 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/26(土) 00:10:25.74 ID:S2TodTq+0


京太郎「他の部員と一緒に来たりもするんですか?照先輩とか」フキフキ

菫「照は何度か一緒に来たかな…ただ通うにはなんせ少し遠いからね。学校から二駅、そこから徒歩十分」

菫「あいつは近所にちゃっかり行きつけを確保してるし」

京太郎「スイーツ目当てですよね」

菫「あいつはな…でも一人では行かないらしい。『読書はどこででもできる』とか言って」

京太郎「読書好きですよね、照さん」

菫「お菓子とどちらが好きかな…昔からそうなのか?」

京太郎「それはもう…いつも本読んでましたよ。で、読み終わったらお菓子、と」

菫「今とさほど変わらないじゃないか…」

京太郎「そうですか」

菫「…嬉しそうだな」

京太郎「…そうですか?」

菫「…まあ、いいんだけど」
386 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/26(土) 00:18:28.68 ID:S2TodTq+0


菫「さて改めて…いきなり呼び出してすまない。合宿終わったその日で忙しないのは重々承知だ」

菫「…一応名目上は部員との個人面談だけどな」

京太郎「…全員とするんですか」

菫「新入部員だけだけど、ひととおりね。そんなに長く時間かけるものでもないし、大抵は部活中に済ませているから…君が思っているほど忙しくはないよ」

京太郎「……部長の仕事って大変ですね」


菫「さて個人面談らしく…最初は須賀君、君についてだ」

菫「…まあ改めて言うことはないかな。昨日も散々ほめた通り。…よくやってると思うよ」

京太郎「…恐れ入ります」
387 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/26(土) 00:50:42.93 ID:S2TodTq+0

菫「さて照の見立て、というより元から知ってて当たり前だったんだが…君もまた少し変わった打ち手だそうだな」ペラッ

菫「同卓の打ち方の変化…ありていに言えばオカルトの発動を察知できる」

京太郎「…間違いないです。……照さんのおかげで使えるようになったんですから」

菫「…そうか。…照が師匠か」フッ

京太郎「おかしいですか?」

菫「まあ、ちょっとね。麻雀の腕は一級品だが…普段があんな感じだから」

京太郎「…否定はしませんけど」

菫「とにかく、君はその自分にできることをしっかりと理解して活用している。だからこそ、今の結果に結びついているんだろう」

菫「…目標は全国だ。引き続きともに頑張っていこう」

京太郎「はい、よろしくお願いします」
388 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/26(土) 00:52:07.98 ID:S2TodTq+0
キリが悪いですがタイムアップ
続きは明日にでも
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 00:57:38.65 ID:B4vcy75do
乙です
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 02:58:08.98 ID:o42OhvrOo
乙です
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 20:07:47.01 ID:/dolRO+lo
392 :とりあえず続き ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 00:45:22.08 ID:MV0lo4sF0


菫「……まったく」

京太郎「…なにか?」

菫「いやなに、照とは一度も対局してなかっただろう?」

菫「だのに君の力に関しての照の描写が具体的だった。これはもっと早く気づけたはず」

京太郎「いや十分早いですって…」


京太郎「ところでそのレポートみたいなのは」

菫「ああ、照がまとめてくれた。私が頼んだんだ」

京太郎「昨日受け取りました?」

菫「…そうだね、最終的に全員分揃ったのは昨日だったかな…それが?」

京太郎「いえ、ちょっと確認したかっただけです」

>オマタセシマシター




393 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 00:47:32.11 ID:MV0lo4sF0





菫「少し話はそれるが…淡のことだ」

京太郎「……また何か」

菫「あいつが何かやらかすのはいつものことだ。もういい加減慣れた」

菫「それよりだな…あいつのクラスでの様子を聞きたい」

京太郎(…おかんかな?)


菫「あんな性格してるから正直迷惑ばかりかけてるんじゃないかと心配で」

菫「淡に直接尋ねても大丈夫大丈夫!としか返ってこないし」

菫「部員でしかも同じチームの一員として教育が行き届かないのは私にも責任はあるし」

京太郎(おかんだなこれ)
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 00:49:30.68 ID:/TmqwOkNo
菫ママァ!
395 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 00:53:52.84 ID:MV0lo4sF0

京太郎「…まああんなんですけど仲良くやってますよ、心配しすぎです」

菫「…そうかな」

京太郎「俺が保証しますよ。…うちの部員だったら一応◯◯さんと××さんも同じクラスで割と親しくしてるので、尋ねてみてもいいかもしれません」

菫「わかった。そうしてみよう」

京太郎「…部長、俺にできることならやりますから、何もかも背負い込まないでくださいね」

菫「…背負えるほど広い背中でもないさ」


カチャカチャ

菫「……ふぅ、やはり美味しいな」

京太郎「先輩もブラックですか」

菫「気分にもよるけどな。甘いケーキにはブラックが合う」

京太郎「同感です」フッ
396 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 01:05:20.01 ID:MV0lo4sF0


菫「さて、本題に入ろうか」

京太郎「…はい」


京太郎(先輩の雰囲気が変わった)

京太郎(眼光は鋭く普通よりもさらに精悍で、底まで見透かされる…そんな気さえする)

京太郎(かといって圧制的でもない、温かさも確かに感じられる)

京太郎(…親衛隊の皆さんの気持ちが少しわかる気がする。これが…カリスマってやつか)




菫「まずお互いにスタンスをはっきりさせておきたい」

京太郎(スタンス…?)

菫「今からここにいるのは部長としてではなく、照の一友人としての弘世菫だ」

菫「…照はうちの大エース、不可欠な存在だが……




それ以前に、私にとっては大切な友人だ」

京太郎「……」

菫「君は妹さんとも親交があるから、きっと私よりも考えなければならないことが多いはずだ」

菫「だが私は…照のことを第一に考えて発言する。気を悪くしないでくれ」

京太郎「…わかりました」
397 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 01:16:21.64 ID:MV0lo4sF0


京太郎(俺の…番だな)

京太郎「俺は…照さんと咲に仲直りして欲しいと思っています、できれば」

京太郎「でも、部にとっても照さんにとってもこれからの時期が大事だとわかってるつもりです」

京太郎「それに強制できるものでもないですし…突き詰めると二人の問題じゃないですか」

菫「…明け透けだな」

京太郎「…いろいろ悩んだ末です」

菫「そうか。すまない」

京太郎「いえ。……それに今は白糸台麻雀部の一員ですから。マイナスになるようなことはしたくないです」

菫「照にとってプラスでも、部にとってマイナスになるようなことだったら?」

京太郎「その時は部長がさっき宣言した、そのスタンスで行動します」

菫「…一本取られたな」

京太郎「いえ……自分の言葉でなくてすみません」

菫「いや十分伝わったよ、君の気持ちは」

398 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 01:20:54.31 ID:MV0lo4sF0


菫「認識のすり合わせから…始めていこう」

菫「…どんなことで仲違いしたかは聞いているか?」

京太郎「ぼんやりとですが。…先輩は?」

菫「…麻雀は好きではないと、あいつは言ってた」

京太郎「……」

菫「何があったかは知らないが……照と妹さんの…咲ちゃんは麻雀が原因で険悪な仲になった」

菫「きっかけは些細なことだったのかもしれない。でも積もり積もった感情はある日爆発して、日常に大きな亀裂が走った」

京太郎「…さすがですね」

菫「褒められても嬉しくはないがな。……タイミングがよくなかったんだろう?」

京太郎「はい。照さんと咲の両親は、……すでにその時別居することを決めていたようです。照さんは」

京太郎「何も言わずに何処かへ行ってしまいました」

菫「君にも別れを告げずに?」

京太郎「…はい」
399 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 01:28:43.26 ID:MV0lo4sF0


菫「……どう思った?」

京太郎「…辛かったですよ。照さんと咲と三人で過ごす時間は…かけがえのないものでした、俺にとって」

京太郎「それが消えた、二度と手に入らないところへ行ってしまった。そう感じました」

京太郎「咲は…泣いてました。私が悪いんだって。私がお姉ちゃんを怒らせちゃったって。それも辛かった。責める気にすらなれなかった」

菫「……」

京太郎「…でも結局は、

自分が何もできなかったのが一番辛かったんだと思います」



京太郎「俺が咲から事実を聞いた時は、もう照さんがその場にいた証拠のようなものは全部なくなっていて」

京太郎「もう三人で打てない麻雀卓が残っていただけで」


京太郎「…照さんがいなくてよかったと、一瞬思いました」



菫「…どういうことだ?」

400 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 01:35:04.07 ID:MV0lo4sF0

京太郎「……万が一照さんに会えていたところで、引きとめられていた自信もなかったんですよ」

京太郎「弟子気取りの小学生が何か言ったところで…いや、何も言えなかったかもしれない」

京太郎「拒絶されるのも怖かった。想像するだけで……だから、俺は安心したんです。そういう可能性を目の当たりにせずに済んで」

菫「……」

京太郎「…嫌われるとかそういうことを考えたこともなかった、そういう間柄だったんです。少なくとも俺にとってこの三人は」

京太郎「だからなおさら混乱しました。混乱しながら、泣きじゃくる咲を目の前にしておろおろしていました」

京太郎「その時約束したんです。『必ず仲直りさせてやる』って」

菫「それは…」

京太郎「考えなしに口から出てきたんです。…俺もどうしたらいいかわからなかった。でも行動の指針が欲しかったんでしょう」

京太郎「だからそれは無意識ながらの自分への誓いでした。…咲には申し訳ないですけど」
401 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/05/27(日) 01:43:44.85 ID:MV0lo4sF0


菫「…でもそれで今の君があるんだろう?」

菫「たとえそれが自分に向けられた言葉ではないにしても、咲ちゃんは勇気づけられたはずだ」

京太郎「…照さんのことだけ考えて発言するんじゃなかったんですか」

菫「…君のことを気遣っちゃいけない理由はないだろう」

菫「君もよく頑張ったんだな、須賀くん」

京太郎「…ありがとうございます」

菫「泣いてもいいぞ、胸は貸せないがハンカチくらいなら貸してやる」

京太郎「大丈夫です、ちゃんと持ってきてますので」

菫「…つれないな」
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 01:45:32.56 ID:wnp9Q8vSO
ハンカチの匂いを嗅ぐ変態じゃなくてよかった
403 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/05/27(日) 01:48:18.72 ID:MV0lo4sF0
この辺でとりあえず切り上げ
気になる点などあればご自由にどぞー
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 02:03:53.84 ID:/TmqwOkNo

菫さんの圧倒的安パイ感
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 03:07:39.46 ID:215sngSO0
菫さんは相方ポジ感出てきたな
でもルート入ると結構甘いやつ
さすがにテルーが正ヒロインだとは思うけど淡はさて

おつ
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 09:47:58.22 ID:1/rYDZ3AO
これは巧妙な菫さんスレ
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/28(月) 14:45:56.94 ID:KPUbrSNvO

照スレかと思ったら淡スレだったのかなと思わせつつ実は菫スレだった……博士これは一体!?
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/28(月) 19:05:02.62 ID:3NRyRO5EO


……これは!?たかみースレへ変化し最終的にマタンゴスレに成る予感w
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/28(月) 22:45:42.46 ID:HBiwR5TA0
>>408
せめてその流れではフィッシャーと呼んであげて(切実)
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/09(土) 23:08:09.94 ID:91j7YFd/0
もう2週間になるけど大丈夫なんか
411 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/10(日) 00:08:43.40 ID:FihcutRs0
空いちゃってすみません、ちょろんと投下
412 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/10(日) 00:14:11.41 ID:FihcutRs0




菫「さて、私も少し照について話すとしようか」

菫「君とさほど変わらない…二年と少しの付き合いだが」

京太郎「…お願いします」スッ




・(咲–saki–17巻参照)








菫「とまあ…あいつが麻雀部に入るまではこんなところかな」フゥ

京太郎「やはりお菓子なんですね…」

菫「ああ、単純なやつだと私も思ったさ…その時は」

菫「だがさらに付き合って行くうちに、違う印象を抱くようになった」コトン

413 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 00:16:26.43 ID:FihcutRs0


菫「あいつは結局、麻雀に関わらずにはいられないんだと思う」

京太郎「…というと?」

菫「…好きではないと言いながら、あいつは麻雀に対して常に真摯だ」

菫「手を抜いたりしないし、いやいややってるようなそぶりを見せない。照のその姿勢がかえって人を惹きつける」

菫「そしてあの実力だ……きっと照がどこに入学したとしても、いずれ麻雀にかかわることになったはずだ。全く触れられない学校なんてまずないしな」

菫「そして照はそれを悟っている…自分にできることが誰かに役立つのなら、自分の多少の感情は押し殺せる。あいつはそういうやつなんだ」
414 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 00:18:46.31 ID:FihcutRs0


菫「…私は、照に麻雀を楽しんでほしい」

京太郎「……」

菫「…勝てるから、というわけではないんだが」

菫「私が高校生活を、麻雀部を楽しめてこれたのは、間違いなくあいつのおかげなんだ」

菫「照のアドバイスで自分や部員が明らかに強くなるのを感じられて、それでも照の実力というのは遥か上をいっていて……」

菫「全国レベル、いや違うな…プロ級の打ち手をすぐそばで見られて、それだけでも私たちは幸せ者だ」

京太郎「…恵まれてたんですね、俺って」

菫「…そうだな」
415 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 00:50:14.94 ID:FihcutRs0


菫「私が部長としてなんとかやっていけているのも…照のおかげだ」

菫「あいつはそんなことないと否定するだろうし、きっと自分ではそうとはわかっていない」

菫「だが、私にはできないことをあいつはやってくれてる」

菫「正直、私の実力では皆を全国に連れて行くことはできない」

京太郎「…そんなこと」

菫「いいんだ、自分のことは自分が一番わかってるつもりだ」

菫「……もっとも照にはもっと多くのことが見えているんだろうけど」

416 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 00:53:22.12 ID:FihcutRs0


菫「だから、だからな」

菫「あいつに、照に返せてないものが多すぎるんだよ」

京太郎「……」

京太郎「…ふだん部長に迷惑かけてるって、照さん言ってましたよ」

菫「……まあ、ささいなことだ」

京太郎「…間がありましたね」

菫「…スルーしてくれ、頼む」
417 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 00:58:40.30 ID:FihcutRs0


菫「……照はたまに、どこか遠くを見つめるような顔をすることがあったんだ。ひどく憂鬱そうに」

京太郎「…いつからですか」

菫「最初から。正確に言うと部に馴染んですぐくらいから」

菫「何か思い悩んでいることがあると聞き出すのに数ヶ月、妹がいると教えてくれたのがさらに数ヶ月後」

菫「…基本自分のことを話そうとしないんだ、あいつは」

京太郎「…詮索されたくないからですか?」

菫「わからない。ただ…それだけではないとは思うんだが」

京太郎「他の部員は」

菫「何も知らない。照も何も言っていないはず」

京太郎「それなら俺との間柄を伏せるのも納得がいきます」

418 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:00:14.52 ID:FihcutRs0

菫「そう、それだ」

菫「嫌じゃなかったのか」


京太郎「…正直戸惑いましたよ。そんなこと言われるとは思ってなかったんで」

京太郎「でもまあ……すっかり忘れられているのも覚悟してたんで、大したことなかったですよ」


京太郎「覚えててくれただけで、十分嬉しかった」

菫「ふぅん…」

菫「愛されてるな、あいつ」

京太郎「…誰にですか?」

菫「君にだよ」





京太郎「……え?」

菫「……え、ってなんだ」

京太郎「いや、違いますよ?」

菫「え?」

419 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:05:39.91 ID:FihcutRs0



京太郎「いやいや、無いですって。確かに一人の人として好きですし尊敬してますけど、男女のどうとかそんな」

菫「はぁ」

京太郎「だいいち今そんな余裕もないですから」

菫「余裕があったらあり得るのか?」

京太郎「いやそれは……そんなこと考えたことなくて」

菫「子どもか」

京太郎「子どもですみませんね。……そんな風に見えます?」

菫「わざわざ照を追いかけてはるばる一人で来るくらいだから、そういうことだろうと」

京太郎「……やっぱりおかしいですかね」

菫「事情が事情だからわからんでもないが……まあ普通じゃないな」

京太郎「…何より照さんが嫌がりますよ、そんな」

菫「私はそうは思わないが」

菫「…つまらないな」

京太郎「…先輩案外そういう話題好きですよね」ジトー

菫「私も女子高生だということだ。悪く思うなよ」フフッ

京太郎「勘弁してくださいよ…」

420 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:07:14.35 ID:FihcutRs0



京太郎「とにかく、俺にそんな下心はないです。今は恋愛してる場合じゃないですし」

菫「…まあなんでもいいさ。君がそうなら私は何も言わない」

京太郎「なんですかその含みのある言い方は」

菫「…いや、恋の一つでもしておくべきだったなと自分を省みてね」

京太郎「…先輩ならラブレターの一つや二つもらってそうですけど」

菫「…君の言葉は妙に鋭いな。黙秘権を行使させていただこう」

京太郎「どういうことですか…」




421 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:08:38.30 ID:FihcutRs0


スタスタ スタスタ

京太郎「忙しい中ありがとうございました」

京太郎「ご馳走にまでなってしまって」

菫「これくらいはさせてくれ。君も疲れてただろうに」

京太郎「部長よりは体力あると思いますよ。さすがに男ですし」

菫「そうか…まあ、そうだな」


菫「……今日話したことは他言無用だ。むろん照にも言うなよ」

京太郎「もちろんです」

京太郎「…先輩」

菫「なんだ」

京太郎「思ってることはちゃんと伝えてあげてくださいね」

菫「…参考にさせてもらう」

422 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:30:48.99 ID:FihcutRs0


菫「……結果論でしかないが、君の秘密を早く知れて良かった」

京太郎「……」

菫「一人で抱えるには…大きすぎる」

菫「だから君も遠慮なく、私に頼れ」

京太郎「…男前ですね部長」

菫「…褒めてるのかそれは」

京太郎「もちろんですよ。……ありがとうございます」

菫「最初からそう言え」プイッ

423 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:32:03.05 ID:FihcutRs0


菫「…私も、照には仲直りしてほしい」

菫「照が麻雀を楽しむ、そのための必要条件だから」

菫「…私のわがままかな?」

京太郎「俺は何も言えませんよ」

菫「わかってるさ」



菫「…どうか、力を貸してくれ」

京太郎「…こちらこそ、よろしくお願いします」

424 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:39:53.77 ID:FihcutRs0





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おめでとう、京ちゃん。頑張ったんだね」

「…そんな私なんて、……うん」

「でも、京ちゃんがそっちで頑張ったのが一番だと思うよ。……当然だよ」



「お姉ちゃんは元気?……そう、それなら安心」

「……そっか。……ううん、京ちゃんが謝ることじゃないよ」

「行かないって決めたのは私だから。……だから連絡をお願いしてるんだよ?」

「……ふふっ。……だから気にしないでね。……うん」
425 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/10(日) 01:40:51.63 ID:FihcutRs0





「ところで、さ」



「京ちゃん明日も練習?」

「……そっか、じゃあちょっと長くお話ししても大丈夫かな」

「うん、ちょっとね。大事な話。」

「……びっくりする?…かもね」

「ねえ、聞いてくれる?ずっと言いたかったこと」

「あのね、京ちゃん……私ね」
426 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/10(日) 01:43:24.03 ID:FihcutRs0
ここまでー
初期プロットでは「役割:未定」になってたその二人、これからどう絡むか全然分からん!(出番はあります)
明日か明後日にでも
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 02:03:12.17 ID:1PcGCSYS0
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 03:15:10.88 ID:rGt8U0ZlO
菫さんいい女だぜ乙
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 11:30:31.49 ID:MHw3HZQeo
もうまちきれねぇ!
430 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/11(月) 23:04:33.26 ID:IyXyq8hz0
夕飯食べつつぼちぼち投下ー
咲さんのターン、でもない
431 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/11(月) 23:12:14.62 ID:IyXyq8hz0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






照「……」ペラッ

照「……」





京太郎「すみません、お待たせして」

照「……読書してたから」

京太郎「図書室で正解でしたね、待ち合わせ」

照「……」ペラッ


京太郎「何読んでたんですか?」

照「……ノルウェイの森。村上春樹」

京太郎「村上春樹…ですか」

照「知らない?」

京太郎「……聞いたことはあります」

照「……あなたにはまだ早い」パタン

京太郎「えー」
432 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/11(月) 23:21:22.92 ID:IyXyq8hz0

照「……それで、何の話?」

京太郎「はい。話、というか、ご報告というか……」ポリポリ

京太郎「昨日、咲と電話しまして」

照「……」ピクッ












京太郎「咲が、麻雀部に入りました」





======================================
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 23:41:27.28 ID:gqLIrcpso
やれやれ
434 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 00:08:33.91 ID:KULevrv60




京太郎『……そっか』

咲『…思ったより反応薄いなぁ』

京太郎『いや、驚きすぎて言葉が出なかった』

咲『そんなにびっくりした?』

京太郎『びっくりした、そりゃあもう』

京太郎『…え?あれだけ麻雀はイヤって言ってたのに』

咲『…そうだね』
435 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 00:16:18.33 ID:KULevrv60



京太郎『だいたいあの咲がなぁ…誰かに勧誘されたとか?』

咲『ううん、自分で決めたの。……あのって何、あのって』

京太郎『いやぁ…だってお前知らない人と話せるタイプじゃないじゃん』

咲『んぐっ』

京太郎『中学も昼は中庭か教室で読書、放課後は図書室に通い詰めで司書の先生とは仲良かったけどさ』

京太郎『こう、…必要がないと積極的に人と絡もうとはしない…でしょ?』

咲『…私だって頑張ってるもん』プクー

436 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 00:24:49.44 ID:KULevrv60



京太郎『…照さんに、会うためなんだろ』

咲『……こういう時は察しが早いよね、京ちゃん』

京太郎『咲だからな』

咲『そうでもないと思うけどな…』

京太郎『なんだよそれ』

咲『京ちゃんには教えてあーげない』フフッ

京太郎『なっ!?』
437 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 00:32:20.30 ID:KULevrv60


咲『あのね、京ちゃん』

京太郎『…なんだよ』

咲『私は、待ってるだけじゃダメだと思った』

京太郎『……』

咲『京ちゃんが私とお姉ちゃんのために頑張ってる』

京太郎『……自分のためだよ』

咲『それでも、別にいい』

咲『私も、頑張らないとって思ったから』

咲『できることをやりたいって思ったから』
438 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 00:45:16.46 ID:KULevrv60



咲『だから、私は勝って全国に行くよ。京ちゃんがお世話になった龍門渕の人たちも倒して』

京太郎『…そうか』

咲『なに?がっかりした?』

京太郎『まさか』

京太郎『側にいたら頭くしゃくしゃに撫でてる』

咲『もう、また子ども扱いするー』

京太郎『咲の頭が撫でやすい位置にあるのが悪い』

咲『今度会ったらそう出来ないくらい大きくなってたりするもん』

京太郎『ねーよ、絶対ない』

咲『ふんだ。京ちゃんのバカ』

京太郎『…なあ、咲』

咲『なに?』

京太郎『頑張れよ』

咲『……ありがと』

439 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 00:59:24.53 ID:KULevrv60


=================================



照「……」

京太郎「連休前にはもう入部してたみたいで…毎日練習しているとか」

京太郎「団体と個人、両方にエントリーする、と」

照「……そう」




照「…それで」

照「私にどうしてほしいの?」



京太郎「……俺は」
440 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 01:07:04.37 ID:KULevrv60


京太郎「俺は、何かを求めたりしません」

京太郎「そんな立場じゃないですから」

照「…そういうことじゃない」

京太郎「そういうことです」

照「……」

京太郎「先輩なら、どうするべきか判断できるはずです」

京太郎「…俺だって、咲の件は想定外だったんです」

照「……」

京太郎「あいつはあいつなりに、前向きに取り組もうとしている」

京太郎「俺はそれを伝えたかった。……それだけです」
441 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 01:41:46.11 ID:KULevrv60



照「…一つ聞いてもいい」

照「…どうして、白糸台(ここ)に来たの?」

京太郎「……『お姉ちゃんをよろしく』」

照「……」ピクッ

京太郎「そう、頼まれたからです」


京太郎「…困った顔しないでください」

照「…だって」

京太郎「俺はどうあっても先輩の味方です」

照「っ……」

京太郎「だから……だから、焦らなくていいんです」

京太郎「俺、ちゃんと待ってますから」

照「……」

京太郎「俺も頑張りますよ」

京太郎「一緒に全国行きたいですからね」ニカッ


442 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/12(火) 01:50:16.90 ID:KULevrv60





京太郎(ああ調子乗った!変にカッコつけてない?『待ってますから』キリッってなに?)

京太郎(照さんドン引きだったらどうしよう…うわモウシニタイ)ブンブン

ママーナニアノヒト
シー ミチャイケマセン



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『一緒に全国行きたいですからね』ニカッ


照(……)



照「……ズルいよ」




443 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/12(火) 01:51:57.19 ID:KULevrv60
ここまでなのです
今週中に投下に来たい
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 02:09:45.14 ID:+PJ2J7auo
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 09:32:31.54 ID:ErTP5/76O
おつ
時計の針が進んだね
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 23:08:23.68 ID:yIxYC3DTO
これは落ちたな
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 01:06:02.78 ID:2ckK6WUDo
あわあわ…あわあわ?
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/15(金) 05:36:36.09 ID:p+jQOci00
やったぜ。
449 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/16(土) 23:41:24.35 ID:z9vm2FUP0
サッカー傍目に見ながら投下
>>446 (まだ)落ちません!(頑な)
450 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/16(土) 23:49:59.09 ID:z9vm2FUP0

四月某日








『咲ちゃんのお弁当、美味しそう』

咲『そ、そうかな』

『ダメだよ咲ちゃん油断したら。この子隙をついて食べちゃうかも』

『そんなことしないよ!』

咲『あはは……』

451 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/16(土) 23:56:38.29 ID:z9vm2FUP0





『午後の授業なんだったっけ』

『確か現文と、数T?』

『えー、数学かぁ……やだぁ、因数分解全然わかんない』

咲『私も数学はちょっと…』

『でも、咲ちゃんこの前のテストまあまあよかったでしょ?国語とか特に』

『そうだよ。いいなぁ…咲ちゃんみたいにたくさん本読めばいいのかな』

咲『うーん…どうかな』





ガララッ
??『しっつれいするじぇ!』
452 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:00:53.34 ID:68a1Kfhr0

ババーン



『ん?』



パタパタ

?『ゆーき待ってくださいっ』


ザワッ

『隣のクラスの子だね』

『カチコミに来たのかな』

『なんでそうなるの…』


453 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:06:07.11 ID:68a1Kfhr0


??『……』スゥ…

??『この中に、宮永咲ちゃんはおるかー!』

?『う、打ち合わせと違うじゃないですかゆーき…』




『呼ばれたよ咲ちゃん』

『これはカチコミだね咲ちゃん』ワクワク

咲『ひぇっ…』


                 〜〜    〜〜
                   -―――-    〜
              〜 .....::::::::::::::::::::::::::::::::.::::::::::::`丶
            /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  }
            } .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. {
           { /::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
           .:::::::::::::::::::::::::::│::::::::::|\:::|\::::|:::::::::::::::::::::::. }
         } /::::::::::::::::::|::::: / | ::|:::::::ト- ::|--∨\ ::::::::::::::::| {
       { /::::::::::::::::::/|::::::|ノ|:八 ::::| _..斗-=ミ\| ::::::::::|::::|
      /::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\|  〃⌒゙ヾY :::::::: |::::|  }
        ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ     {{    }} }|/| ::::::|::::|  {
      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|
       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
            |:::: ヽ_| ///              __,ノ :::::|  }
.          { レヘ::八     _.. ‐〜‐-、   イ ::::::::::::/  {
           }   ∨个 .._ (_,,.. ‐〜〜' イヘ:::/|/∨
                 \|  _≧=一ァ  〔/⌒T:iT7ス
                r=Ti:i:i:i:i:i:7____/i:i:i:i:i:i:i/ ∧  }
               {  ∧i:i:i:i:i:i:i:i:|   /i:i:i:i:i:i:i/   / ∧ {
                } / {\/⌒)_∠二二/|    / ∧
              /  ゙T{  二(__ `ヽ        _ヽ
            /   ∨ハ.  {_  /     \/  _〉
.            { /\ _ |  ノ   _) 人._     |_/|/ }
              } \_____,|/  /i:i\     ̄ ̄`ヽ  j  {
             ∨ /   /|i:i:i:i:i|\            |
              /     /´|i:i:i:i:i|  丶 ... ______丿
               〈         Y:i:i|       |    }
              、___/    Y:i|       |   {


『怖がらせてどうするの』ズビシッ

『痛い…冗談だよじょうだん』
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 00:09:59.24 ID:LBpGKy1wO
……コミュ力がある……だと……!
455 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:26:24.73 ID:68a1Kfhr0



咲『は、はい…私、です』スクッ

『お、いった』



??『お?…よかったよかった、私の読みは間違ってなかったじぇ、のどちゃん』

?『そ、そうですね…』


スタスタ
??『君が宮永咲ちゃんか…ほぉー……ふーん……』

咲『え、えぇっと…』

?『……ゆーき』

??『よし咲ちゃん、悪いがわれわれとご同行願うじょ』

?『ちょっとゆーき!?』ボソボソ


咲『あ……うん。わかりました』


『…咲ちゃん大丈夫?』

咲『うん、心当たりあるから。ちょっと行ってくるね』

『そっか。いってらっしゃーい』フリフリ

『いってらー』


456 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:29:10.01 ID:68a1Kfhr0

パタパタ

?『すみません皆さん、お騒がせしました』ペコリ

タッタッタッ




『……デカいね』

『デカいね。…なんなんだろうね』

『ねー』






?『ごめんなさい宮永さん。訳も言わずに連れ出してしまって』

??『…あれ、私説明してなかったか?』

?『…してないですよ』ジトー

??『そうか、ごめんな咲ちゃん…』

咲『ううん、私は大丈夫…だよ?』
457 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:31:18.92 ID:68a1Kfhr0



『自己紹介が遅れてすみません。私は隣のクラスで麻雀部所属の、原村和と申します。そしてこちらが』

『のどちゃんと同じクラスで同じく麻雀部の片岡優希、だじぇ!気軽に優希と呼んでくれて構わないじょ』

咲『あ、あぁぁえっと……私は宮永咲、です』

和『知ってますよ』ニコッ

咲『あぁぁ、そうだった…』

優希『咲ちゃん面白いじぇ』
458 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:35:38.76 ID:68a1Kfhr0



和『それで、今日は学生議会長の代理で私たちが来ました……こう言えば分かると言付かったんですが』

咲『あ……うん、たぶん大丈夫…』

和『では、いまどこに向かっているかわかりますか?』

咲『…いつも移動教室に使う道だとはわかるけど……』

優希『それは間違いないじぇ。ここをまっすぐ行くと美術室や音楽室にとうちゃーく!だからな』

和『今日はこっちの渡り廊下へと向かいます。そして階段を上ると…』

459 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:37:19.14 ID:68a1Kfhr0



和『こちらが、麻雀部室です』

優希『部長に染谷先輩!お待たせしたじょ!』バーン

和『ノックくらいしたらどうですか、ゆーき…』

咲『わわっ…』



??『おっ、ようやく来たかの』

?『さあ、遠慮せず入った入った』

460 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:40:02.72 ID:68a1Kfhr0



咲『会長さん…』

久『あら、私が麻雀部員だって知ってたんじゃないの?』

咲『いえ…お昼休みにいるとは思わなくて…』

久『それはこのお手紙のおかげよ』パラッ

久『見覚え、あるでしょ?』

咲『…私が書きました』



まこ『なんじゃ、それは』

和『…染谷先輩もご存じないんですか?』

まこ『久が昼休みに部室に来とけと。事情は何も聞いとらん』

久『だってー、お楽しみは直前まで秘密のほうがその分楽しめるでしょ?』

優希『それもそうだ!何味かわからないタコスにかぶりつくのもスリリングでまた一興だじょ』

和『全然違う話だと思いますよ、それは』


461 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/17(日) 00:59:23.68 ID:68a1Kfhr0



久『内容を要約するとこうね。





「麻雀部に入部したいんですが場所がわかりません。


迎えに来てください 宮永咲」』




和『…なるほどですね』

まこ『…どういうことじゃあ』

咲『え、えっとぉ……その…私、方向音痴で』

久『どうしてこれが学生議会の投書箱に入っていたのかしら?』

咲『移動教室の途中に投書箱があったのはなんとなく目についてて。そういえば会長が麻雀部の紹介で出てたなって、ふと思い出して…』

まこ『…方向音痴はそんなにひどいんかのう』

咲『…今日も連れて来てもらったけど、一人で来れるかというとそんな自信は全然ないです』

まこ『そ、そうか』

462 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/17(日) 01:08:48.30 ID:68a1Kfhr0
いったん切ります
コミュ力の話はまたおいおい
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 01:09:50.83 ID:Uc6byl7Ko

すげー投書だなww
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 01:11:45.82 ID:LBpGKy1wO
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 09:24:37.63 ID:CcvUNI2MO
なんで無名の咲を迎えに来るのかと思ったら……そんなん考慮しとらんよwww
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/17(日) 18:50:45.46 ID:g6P1UrqV0
迷子ちゃん・・・・・・
467 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/24(日) 23:57:12.13 ID:j4yNqvA90
こっそり投下ー
468 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 00:02:41.32 ID:yyCUWWCY0


久『……活動は基本放課後、テスト休みとかは校則やら指導やらに準じつつ臨機応変に、ね。設備は見ての通りよ』

咲『あ、あの』

久『なにかしら?』

咲『…インハイには、参加できますか』



まこ『インハイ、か』

優希『咲ちゃんが入れば、五人揃うじょ』

和『団体戦にエントリーできますね。でも…』


久『どうして』
キーンコーン カーンコーン
469 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 00:12:11.43 ID:yyCUWWCY0


久『予鈴ね…続きは放課後、というところかしら』

久『…宮永さんがどれくらい打てるか見ないといけないし。インハイにしたってそれ次第』

久『来てもらえる?』

咲『わかりました』

久『まこ、今日は部活出られるのよね?』

まこ『ああ。…お前さんは?』

久『ちょっと会長として野暮用がねー。少し遅れるけど終わったら行くわ』

久『鍵開けお願いね。で、揃ったら四人で打ってて』

まこ『わかった』

久『優希、和、放課後に宮永さんをまた迎えに行ってもらえる?』

優希『了解だじょ』

和『わかりました』
470 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 00:17:37.15 ID:yyCUWWCY0






久『おっまたせー、みんなやってるー?』


優希『そんな…そんなこと…』

和『SOASOASOA』





久『えっ何これ』

まこ『やっと来おったか…見ての通りじゃ』

471 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 00:26:24.09 ID:yyCUWWCY0


久『三連続プラマイゼロ…ね』

久『…でもそれじゃ大会では勝てない。インハイになんて出られない』

久『そうでしょ?』

まこ『久…』

咲『わかってます』

久『…どうしてあなたがインハイにこだわるか、聞いてもいいかしら』

咲『……』




咲『……私、麻雀があまり好きじゃないんです』
472 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 00:33:16.18 ID:yyCUWWCY0


『……』

咲『もう少しちゃんと言うと、好きじゃなくなった。楽しい思い出があったけど…辛いことがあって。全部上書きされてしまったんです。私が悪いんですけどね』

咲『でも……私がまた麻雀を心から楽しめるように、頑張ってくれてる人が、いるんです』

咲『私と同じ思い出を共有していて…自分も辛かったはずなのに、私を責めたりしなかった』

優希『その人とインハイで会う約束をしてるってことか?』

咲『約束はしてないけど…でも、絶対来る。それに…』

咲『今回が最初で最後のチャンスなんです。お姉ちゃんと打てるかもしれない、ラストチャンスなんです』

咲『インハイに出て、卓を囲まないと私の気持ちはきっと伝わらない』

久『えっと…?つまり「その人」と宮永さんは幼馴染みたいな関係で、そこにお姉さんが関わっている、と』

473 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 00:45:24.38 ID:yyCUWWCY0



咲『…そうですね。隠してもしょうがないのでもう言っちゃいますけど』

咲『お姉ちゃんと喧嘩別れ、しちゃったんです。……もう何年も会ってなくて』

まこ『そのお姉さんっちゅうのは、一人で?』

咲『…丁度そのタイミングで両親が別居しちゃって』

まこ『…すまんのう、嫌なこと思い出させて』

咲『大丈夫です。…それで私の幼馴染は、私たちが仲直りできるように…わざわざお姉ちゃんの学校に、麻雀部に入ってくれたんです』

474 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 01:02:59.56 ID:yyCUWWCY0



優希『「絶対来る」ってことは……お姉さんもその人もきっと麻雀強いんだな』

まこ『…ちょっと待ちぃ、宮永って、まさか』

久『宮永照。…言わずと知れたチャンピオン、かしら』

優希『なんと』

咲『…やっぱりわかっちゃいますよね。他の人には秘密で…』

久『それは構わないけど…なんとまあ』
475 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 01:10:37.34 ID:yyCUWWCY0


久『…さっきから大人しいわね和。そんなにびっくりした?』

和『いえ、その…』

和『宮永さんってこんなに話すんだな、と。ちょっと意外に思いまして』

咲『…うん。私は…まあ今もですけど、すごく引っ込み思案で』

咲『ずっとその幼馴染に頼りっぱなしで。その…お姉ちゃんのこともあってから、ますますそういうふうになっていって』

咲『…もうそのままでもいいと思う自分もいました。でも、京ちゃんはそうじゃなかった』



咲『京ちゃんが白糸台に行きたいとわかって、私も自分を変えないといけない、と思った』
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 01:44:00.71 ID:tFlV2g3WO
477 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 01:47:10.08 ID:yyCUWWCY0
咲『だから…だから、自分で言うのもあれなんですけど……結構頑張って、る、つもりで……』

咲『……』カァッ

優希『咲ちゃん真っ赤だじぇ』

咲『ご、ごめんなさい…急に恥ずかしくなって……』


                  _........----......._
              ,. : ´: : : : : : : : : : : : :`: : 、
             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
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             .': : : ' : : : / : /: :,: : イ: : :|: }: : |: : :|: : :∧
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             | : : : |: : /:{:_/_}ム/ / : /、_|:_/: /: /: :|: : : :.
             {: / : | : ィ´}//イ /}: / / }/`ヽ:イ: : ': : : : :
          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |
          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ (慣れないことしちゃったよ…)
                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、
          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Y       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧
         {      `|  、      |_/= ´イ:.:.:,イ  /  }
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               | /    :,:.:.: |:.:.:.:.:.}:.:.|      |      |
                W    ,:.: ∧:.:.:.:.:.:/     ∨     |



478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 02:02:28.36 ID:2NVDRkSio
あらー
479 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 19:42:07.01 ID:udokaBqd0


======================





もうあれから、二ヶ月くらい経つ。

その後京ちゃんが男の子だってわかってまた一騒動あったのは、また別のお話。





「勝つ」ための打ち方が、私にはどうしても必要だった。だから急いだ。

ありがたいことに、清澄のみんなは個性豊かで実力十分な打ち手ばかりだ。去年まで大会に出ていないのがおかしいくらい。

それに…すごくいい人たち。基本マイペースでおっちょこちょいな私がどうにかやれてるんだから、間違いない。


そして……
480 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 19:45:07.45 ID:udokaBqd0



和「あとはお願いしますね、宮永さん」

咲「うん。頑張るね」




県大会決勝。清澄高校がトップで、私の出番。



咲「ぅ……」ゾクッ

和「宮永さん?」

咲「…何でもないよ」ニコッ



さっきからひどい圧を感じ取っているけれど…別に怖いとは思わない。

むしろ、楽しみ。




ああ、麻雀ってこんなに楽しかったんだ、って。きっと今日、そう思えるはずだ。
京ちゃんのおかげで、私はやっとスタートラインに立てた。


咲「…いってくるね」


インハイで待っててね、京ちゃん。…お姉ちゃんをよろしくね。
そして……会いに行くからね、お姉ちゃん。

481 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/25(月) 20:12:56.68 ID:udokaBqd0



同日




淡『リーチ!』



京太郎「あー、やっちゃいましたね」

尭深「やっちゃったね」

誠子「やっちゃったな」

照「……」

菫「…まあ、ここまで出さなかったことは褒めておこう」

京太郎「無罪放免ですか?」

菫「いや?いつも通り叱りつけるよ。…あの手は図に乗せたらダメだからな」

482 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/26(火) 00:43:32.58 ID:Lpk0o0rV0


京太郎「ともかく、地区大会優勝おめでとうございます」

菫「…次は君の番だよ」

尭深「女子も同時進行だから付きっきりにはなれないけど…応援してる、からね」

誠子「頑張りなよ」ポンポン

京太郎「ありがとうございます。…頑張ります」

照「……」


淡「じゃっじゃーん!淡ちゃんが帰ってきたよ!」

誠子「お、ダブリー淡だ」

淡「ねえ見た?すごかったでしょあれ!リーチ!ってやってバーンってしてドカーンって」

菫「ああ見たぞ淡。そこのモニターでばっちりな」

淡「す…すみれせんぱい?…こえが…かおもこわいのは…どうしてかなー」

菫「お前わかってて言ってるなこの!」グリグリ

淡「むひゃー!ぎぶ、ぎぶぎぶぎぶ」

483 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/26(火) 00:56:19.08 ID:Lpk0o0rV0


照「……」

テクテク
ペタン

京太郎(て、照さんがすぐ隣に)

京太郎「…先輩、向こうも空いてますよ?」

照「近くは嫌なの?」

京太郎「…そんなことはないです」


照「……私は頑張ってとは言わない」ボソボソ

京太郎「……」

照「今までだって十二分に頑張ってる。それに」

照「…実力は私がよく知ってる。普段通りにできれば、きっと」

京太郎「…先輩からそう言われると、心強いですね」



照「…それだけ」スクッ

京太郎「あっ…」

テクテク

京太郎(行ってしまった…)
484 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/06/26(火) 01:03:32.99 ID:Lpk0o0rV0


<あれだけ念を押しておいたのに、なんでまた
<だって、点数負けたくなかったんだもん


照「淡お疲れ様。よく頑張ったね」

淡「テルー!スミレがねー……」






京太郎(まっそうだよね、俺に特別声かけたとか、そんなわけないよな)

京太郎(よし!明日に集中集中!)パンパン

485 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/06/26(火) 01:05:25.39 ID:Lpk0o0rV0
投下間隔グダグダで申し訳ない
今週は多忙のため多分書き進みません
いろいろ動くところなんで慎重にいきたい

あと咲さんはなぜかAA使いたくなる謎
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/26(火) 01:08:39.21 ID:uq+M0ZwS0
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/26(火) 01:30:08.93 ID:iGM1b4LA0
途中寝落ちかと思ってしまったわ
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/26(火) 01:32:37.66 ID:Irb4NPQUo
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/26(火) 03:09:35.41 ID:YGmhVRWz0
おつおつ
ついに咲ちゃんも来るか
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/26(火) 08:02:02.67 ID:JzN8ngwVo
乙です
491 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/07/14(土) 01:08:30.18 ID:SJDXYhLi0
豪雨の被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます
地元は雨こそよく降り避難指示も出ましたが大きな被害は出ずに済みました

この週末で少し進めるつもりですのでお待ちを、取り急ぎ
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 20:28:15.72 ID:H0VQtUobo
まってるぞー!
493 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/07/16(月) 00:42:04.69 ID:t5kCHPMG0
こんばんは
日は変わったけどセーフ?だよね
途中までですが投下ー
494 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 00:43:38.18 ID:t5kCHPMG0







「須賀、お前全国大会出るんだって?」

京太郎「まあな。…情報早いな、俺誰にも言ってないのに」

「…いやいや、みんな知ってるぞ」

「ただでさえ女子が黄金時代なのに男子も全国出場、そりゃあ盛り上がること間違いない」

京太郎「…そんなもんかね」

「そんなもんだ。……頑張れよ」

「放送あったら見るからな、応援してるぞ」

京太郎「おう。サンキューな」
495 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 00:52:16.20 ID:t5kCHPMG0


「ところでどうなのさ、麻雀部」

京太郎「何が?」

「何がって、そりゃ…お前…」

「聞いたところでは実質男子一人だって」

京太郎「ああ…まあ、そうだな」

「俺ならぜってー無理。胃に穴あきそう」

「え?めっちゃイイじゃん。男なら憧れるだろ?は・あ・れ・む」

「お前自分の顔を鏡で見てからそういうこと言えよ」

「なん…だと……まあ、そう、だけどさ…」ズーン

京太郎「一人で盛り上がって一人で落ち込むなよ…」
496 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 01:03:09.36 ID:t5kCHPMG0


「お前はいいさ、須賀はな……。で?」

京太郎「で?」

「実際どうなのさ、麻雀部」

京太郎「どうって…まあ、楽しいよ。普通に」

「出た!当たり障りのない回答」

「女子となに話すの?」

京太郎「何って…その日の授業がどうだったとか先生がどうとか」

京太郎「あの動画が面白かったとか雨よく降りますねとか。普通よ普通。…そんな困ることある?」

「……見ろこれが男須賀だぞ同士」

「…こいつやはり俺たちとは違う」
497 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 01:07:17.75 ID:t5kCHPMG0


京太郎「ああ、そうか…俺の場合、幼馴染で慣れてたってこともあるな」

「…女子のか」

京太郎「…そりゃあ、まあ…そうじゃないと文脈的におかしいだろ」

「聞きました?奥さん」

「ええ、幼馴染ですって」

「想像上の産物とばかり思っていたものを…この男は!」

「しかもそれがなんでもないように!この裏切り者!」

京太郎「さっきから大丈夫かお前ら」
498 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 01:15:33.35 ID:t5kCHPMG0




「でさ、まあそういう答えを求めてるんじゃなくて…」

京太郎「なんで急に小声になるんだよ」

「いや、こう……わかる?男子高校生のリビドー…そいつを刺激するような…俺はそういうのを求めてるんだ」

「そんなことでキメ顔すんな気持ち悪い」

京太郎「…なに、浮いた話が欲しいの?」

「浮いた話…うーん、ちょっと違うけど…許す」

京太郎「なんで上から目線なんだよしばくぞコラ」
499 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 01:30:28.93 ID:t5kCHPMG0



トタタタタ

京太郎「走んな走んな」

「きょーたろー!ノート貸して!」

京太郎「ボリューム下げろよ聞こえてるから…古典?数学?」

淡「どっちも」ムフー

京太郎「お前授業中何してたんだよ」ガサゴソ

淡「古典はぽけーっとしてて、数学は寝てた」ドヤァ

京太郎「また部長から叱られるぞそんなんじゃ…ほらこれ」

淡「ふっ、やっぱり持つべきものはきょーたろーだね…」

京太郎「何言ってんだお前」

淡「ちょっと借りとくね、ありがとー」ニヘラ

トタタタタ


京太郎「…忙しいやつ」
500 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 01:42:53.95 ID:t5kCHPMG0


「……ほら、例えば今の大星淡」

京太郎「淡がどうかしたか」


<よし、これでだいじょーぶ
<淡この前もそんなこと言ってたけど全然だったじゃん
<うけるー



「容姿だけならA、部活も強豪麻雀部のレギュラーで大将、性格は高飛車で少々難ありとも言われるが俺は無視できるレベルとみなしている…」

「お前は谷口か」

「WAWAWA…じゃねえよ!まっ、とにかく大星への評価を総括すると『ちょっととっつき辛いけどぜひお近づきになりたい美少女』ってとこだな」

京太郎「…過大評価じゃねえかな、うん」

「…独占欲?」

京太郎「いやいや、本当のあいつを知らんからそんなこと言えるんだ」

「お近づきにすらなれん俺たちへの皮肉かそれは」

京太郎「そうじゃねえけどさ」
501 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/16(月) 01:52:51.93 ID:t5kCHPMG0



「そんな大星とお前は名前で呼び合う関係なんだぜ」

「うん、こいつの言ってることは気持ち悪いけどそこは本当にすごいと思う。言ってることは気持ち悪いけど」

「なぜ二回言ったし」

京太郎「そう言われても…名前呼び提案してきたの向こうからだし」

「は?」

「え?」

京太郎「え?」

「ならなおさらじゃん…あの大星だよ?お前以外の男子と話してるのろくに見たことないぞ」

「…須賀さぁ、なにかメソッドでもあんの?女子と仲良くなる方法」

京太郎「そう言われてもなあ」
502 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/07/16(月) 02:10:53.83 ID:t5kCHPMG0
一旦切ります また今晩
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 02:35:22.91 ID:GfGVL7iq0
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 03:28:43.90 ID:oxFg6/Kbo
おつー
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 07:29:16.79 ID:cFixSPqTO
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 12:23:05.42 ID:GC2YlCuPO
これもうあわあわ落ちてるよな?
507 :遅くなりました つづき ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/17(火) 00:47:21.76 ID:/px7g58C0


「じゃあさ。お前的には大星はありなの?無しなの?」

京太郎「え、なにその修学旅行の深夜にするような話題」

「今更でしょ」

京太郎「えぇ……」

「ほらハリーハリー」

京太郎「いや、この前も似たような話をしたんだけどさ」

「また女子とか」

京太郎「ああ、まあ…先輩とな」

「ほーん」

京太郎「今はそれはいいだろ…でまあ、今は部活だったりに集中しててそういうことまで考える余裕がない」

「…なにそれ」

「引くわーないわー」

京太郎「お前ら辛辣すぎんだろ」

508 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/17(火) 00:54:00.64 ID:/px7g58C0



「…それが良かったかどうかともかく」

「確かに結果出せてんだからな、俺たちは何も言えねえ」

「まあそうだな」

「だがな、須賀」ズビシッ

京太郎「…なんだよ」

「高校生活はたった三年間。恋の一つもしないと損だぜ」

「その人のために頑張れるとか、そういうプラス面もあると思うし」

「…別に今すぐ誰かと付き合えとか、そういうこと言ってんじゃない。ただそういう選択肢もお前にあるってことよ。それを忘れんな」

京太郎「…おう。肝に銘じとく」

「…きっと人の恋バナ聞いて楽しみたいとかそんなとこだと思うけどね、こいつの場合」

「あ、バレた?」

京太郎「…ふざけんなよテメエ」
509 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/17(火) 01:05:35.28 ID:/px7g58C0





淡「なんでほーかごまで勉強しないといけないかなー」

菫「理由を教えてやろうか淡」

淡「ひゃっ」

菫「一つ、期末テスト前であること。一つ、大星淡は中間テストであまり良い成績を残せていないこと」

菫「そしてもう一つ、赤点など取ろうものなら全国大会への出場も怪しくなるということ」

淡「マジで!?」

菫「マジもマジ、大マジだ。…さて、説明されているはずのそんなことをなぜ把握していないのかお前に根掘り葉掘り尋ねたいんだが構わないか」

ゴゴゴ ゴゴゴ

淡「助けてきょーたろー!」

京太郎「諦めて勉強しろ、まだ時間はあるから」カキカキ

淡「そ、そんな…来ないで、いやぁ…ぎにゃー!」

510 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/17(火) 01:09:48.30 ID:/px7g58C0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



京太郎『勉強会、ですか』

菫『そうだ。…もちろん淡がメインなんだが』

京太郎『すみません、俺が付いていながら』

菫『いやいや、そこまで把握しておけとは言えないさ。あいつの自己責任だしな…だが』

京太郎『あいつが出れないのは困りますね』

菫『白糸台にとっても、淡にとってもな。なんとしても頑張ってもらわなければ』

京太郎『部室使って大丈夫なんですか?』

菫『事情を説明したら先生も快く許可を出してくれた。心配までしてくれたよ』ハァ

京太郎『……お察しします』

菫『普段から君にはよくサポートしてもらっているから申し訳ないが…協力頼みたい」

京太郎『もちろん、どんとこいですよ』

菫『助かるよ』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
511 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/17(火) 01:24:16.88 ID:/px7g58C0


京太郎「淡さーん、生きてますかー?」

淡「だめ…100年分くらいべんきょーした…もうマヂむり…」プスプス

誠子「魂抜けてキャラおかしくなってない?」

菫「一時間で音を上げるのか…」

尭深「お茶入れようか?」

淡「ふえぇぇ…」




京太郎「すみません、先輩たちにも付き合わせてしまって」

誠子「いいのいいの。私も一人だとサボりがちになるし、ちょうど良かったってことで」

淡「淡ちゃんふっかーつ!」

尭深「二人も良かったらどうぞ」コトン

誠子「お、サンキュ尭深」

京太郎「ありがとうございます」

淡「ねえ、聞いてた?ねえったらねえ」

512 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/17(火) 01:33:28.14 ID:/px7g58C0



照「……」ペラッ

菫「…余裕だな」

照「…今日の予定の八割は済んだから。ちょっと気分転換」

菫「…そういうところはちゃんとしてるのが本当に不思議だよ」

照「どういうこと?」

菫「いや、気にするな独り言だ」

照「そう」ペラッ


淡「あっ、テルー本読んでる」

菫「淡もこれくらいできれば…いや、それは求めすぎか…」

淡「?…本は読めるよ!あ、いやでも…あんまり読まなかったり…」

菫「あ、あぁ…そうか」

淡「えっと……スプー…とオニク?」

照「スプートニクの恋人」

淡「スプートニクの恋人!……全然わかんない!」

照「わからなくても別に困らないから大丈夫」

513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 01:36:12.73 ID:Rwm+0rkUo
バナナ・ダイキリ飲んでるテルー
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 01:43:34.71 ID:hohKbIqRo
>スプーとオニク
ピーマンの肉詰めかな?
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 13:02:22.73 ID:cd9ZXeTA0
乙です

>>514
むしろ謎の生命体とその生け贄という恐ろしい組み合わせではないだろうか
516 :つづき ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 20:53:37.91 ID:lB/Tlg/A0


淡「恋人…って、恋バナってこと?」

照「…ある意味そうかな」

淡「おもしろい?」

照「私は好き。……淡には少し難しいかもしれないけど」

菫「現代文の問題で見たことあるな」

淡「うげっ、現代文……楽しい話?」

照「楽し…くはないかな。ちょっともの悲しい、あと不思議な感じ」

淡「えー…楽しい話じゃないのに好きなの?」

照「……そうだね」パタン

菫「そうそう、『すみれ』という女の子が出てきたはずだ。それで覚えてたんだ」

淡「だから読んだの?」

照「そういう訳じゃないけど」

淡「ちょっと見てもいい?」ペラッ

照「どうぞ」
517 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 20:55:12.52 ID:lB/Tlg/A0

ザーッ


淡「…あー、駄目。眠くなっちゃいそう」

照「…それは残念」

菫「じゃあ淡、続きに戻るぞ」

淡「えー、うー…はーい」

照「……」


ザーッ


照「楽しくないのに好き、か」ボソッ

菫「何か言ったか?」

照「……雨すごいね、って」

菫「ああ…梅雨の本領発揮というところだな」
518 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 22:51:43.42 ID:lB/Tlg/A0


ザーッ

京太郎「…よく降りますね」チラッ

尭深「そうだね。予報どおり」

誠子「週末も雨だっけ。これじゃ釣りの一つも行けないや」

京太郎「先輩試験前なのに余裕ですね」

誠子「冗談だって。……余裕なんてとんでもないない、私は普通の成績しか取れないよ」

尭深「須賀くんは成績よさそうだけど」

京太郎「そう見えます?」ハハッ

誠子「淡によく頼られてるだろ?宿題とかノートとか」

京太郎「まあ最低限…部活に支障がないようにはしたかったんで。中の上くらいですかね」

京太郎「渋谷先輩は?」

尭深「私はそんなたいしたことないよ」

誠子「と言いつつ…私よりいつも上じゃん」

尭深「それは誠子が本気出してないから…」

誠子「そうそう、本気出せばいつだってオール90越え…ってな訳ないでしょ!これでもホント頑張ってんだって」

京太郎「おお、綺麗なノリツッコミ」

519 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 22:53:30.31 ID:lB/Tlg/A0



菫「須賀君、ちょっといいか」チョイチョイ

京太郎「はい?」



(紙の山)ガサァッ

淡「…あ、あはは…」

菫「この通り、真っ新なプリントが山ほどある」

京太郎「こんなバラバラで…お前プリント無くしたりしてない?」

淡「…ちょっとわかんないかな」

京太郎「ちゃんと整理くらいしろよ…男子かお前」

淡「むっ、淡ちゃんはぴちぴちのじぇーけー?だもん!」

菫「そんなこと言ってる場合か」コツン

淡「あいたっ」
520 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 22:54:33.15 ID:lB/Tlg/A0


菫「…穴埋めするだけで済むものは後で見せてやってくれ。全部網羅しようとしなくていい」

菫「とりあえずこの時間は問題の解き方を押さえさせて…この辺の対策プリントとか」

京太郎「…ここから出すって先生も言ってました」

菫「そうだろう。……私も教えられなくはないが少々思い出すのに時間がかかる」

淡「じゃあきょーたろーよろしくね」ニヒッ

菫「何がよろしくねだ、よろしくお願いしますだろうが」




照「……」
521 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 22:56:27.04 ID:lB/Tlg/A0



トコトコ

照「…私も、手伝おうか」

京太郎「……?」

菫「や、それは助かるんだが…いいのか」

照「私はだいたい終わったし…菫も自分の勉強があるだろうから」

淡「えっ、テルー教えてくれるの!?」

菫「…っ、そうだな。お言葉に甘えさせてもらうよ」

淡「やった!テルーだいすきー!」ヒシッ

京太郎「…ほら席付け淡。時間ないぞ」

淡「はーい」
522 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 22:58:42.42 ID:lB/Tlg/A0


京太郎「先輩、プリントが…とりあえずこの辺りですかね」

照「うん、そうだね…」ペラッ

照「……ごめん、数学はちょっと自信ない」

京太郎「あ、はい。えっとじゃあ……こっちが古典文法なんですけど」

照「……うん、これはたぶん大丈夫」

京太郎「よかったです、俺うまく説明できるかわかんなかったんで。目を通しててもらえますか?」

照「わかった」

京太郎「…それじゃ、第2ラウンドスタートだ。歯ァ食いしばれよ淡ィ!」

淡「あわっ、ひっ、ちょ、ちょっと待って!」



>ンギャー
523 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:08:53.27 ID:lB/Tlg/A0







菫「鍵閉めるぞー」

「「「はーい」」」



シトシト

京太郎「お疲れ、淡」

淡「うぅ……」

京太郎「必要そうなプリントは後でL○NEで送っとくから、ちゃんと見とけよ」

淡「うん……みんなありがとう……私はもう…おやすみー」ポケー

京太郎「…やれやれ」

524 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:10:11.97 ID:lB/Tlg/A0



京太郎「先輩」

照「……お疲れ様」

京太郎「お陰で助かりました。一人じゃ手に負えなかったんで」

照「……」

京太郎「…先輩?」

照「…テスト頑張ってね」

京太郎「あ、はい…」



京太郎(いつもクールに見せてる照さんだけど、今日は輪をかけて何考えてるかわかんねえ…)

京太郎(俺何かやっちゃったかな…?いや、でも…)

525 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:13:43.06 ID:lB/Tlg/A0



テクテク

照(雨降り続くあじさい通り)

照(…傘差さなきゃ、きっと風邪ひいちゃう)



チラッ ピタッ

照(……止まない、な)


照(止みそうにないよ、私も)

テクテク


526 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:25:53.72 ID:lB/Tlg/A0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

淡「じゃじゃーん!」

京太郎「…おう」

誠子「…なんとか赤点回避…してるね」

菫「褒められた点数ではないがな」

尭深「よかったね、淡ちゃん」

淡「ふっふーん」


ガチャ

照「…私が最後」

淡「テルー、見て見てー!ほらっ」

照「……あっ、テスト」ドーン

菫「それ以外何があるんだ」
527 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:27:18.92 ID:lB/Tlg/A0
>>526ミス


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

淡「じゃじゃーん!」

京太郎「…おう」

誠子「…なんとか赤点回避…してるね」

菫「褒められた点数ではないがな」

尭深「よかったね、淡ちゃん」

淡「ふっふーん」


ガチャ

照「…私が最後」

淡「テルー、見て見てー!ほらっ」ドーン

照「……あっ、テスト」

菫「それ以外何があるんだ」

528 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:41:03.46 ID:lB/Tlg/A0



照「淡、お礼は言った?」

淡「えっ?」

照「みんな時間を空けて勉強会に集まったんだよ」

淡「あっ…えぇー、うーんと……」

淡「…このたびは、みんなのおかげで赤点取らずにすみました」

淡「本当にありがとうございました」ペコリン

照「うん、偉かったね」ナデナデ

淡「えへへー」



529 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/22(日) 23:58:59.48 ID:lB/Tlg/A0


菫「じゃあ、須賀君、あと尭深も」

京太郎「はい、今準備を」

尭深「了解です」

誠子「えっ、何かあるんですか」

菫「まあ、すぐにわかるさ」


淡「え、なになに?」

京太郎「なんだと思う?」

淡「冷蔵庫の前…たかみーが準備…あっ、おいしいお菓子を買ってきてくれたの?」

京太郎「…惜しい。ほぼ正解なんだけど…ほら」

照「……チョコレートケーキ。しかも手作り」ヒョコッ

淡「…あっ、合宿の時の約束!」

京太郎「ご名答。切り分けるからちょっと待っとけ」

淡「やったー!」
530 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/23(月) 00:12:53.50 ID:SzYbM05y0






淡「なにこれおいしー!」

菫「甘いがしつこくない…しっとりしたチョコとこのゴツゴツした生地…これは」

京太郎「コーンフレークを砕いて溶かしバターと練って皿に敷くんです。湯せんしたチョコレートに生クリームなどなど混ぜて流し込んで冷やして完成。簡単ですよ」ニコッ

誠子「…だめだ、女子力で負けてる気がする」

尭深「美味しいから、いいよ、うん」

誠子「でもぉー…うん、いいや…美味しいなあ」
531 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/07/23(月) 00:15:11.57 ID:SzYbM05y0


照「……」モックモック

京太郎「…いかがでしょうか」

照「……」

京太郎「……お口に合いませんでしたか…?」

照「……」フルフル

照「…すごく美味しかった」

照「ちょっとびっくりして、言葉にできなかっただけ」

京太郎「…あぁぁ…よかった、それならよかったです」

照「毎日作って欲しいくらい」

京太郎「」



誠子「おお、先輩大胆」

尭深「……たぶんそこまで考えてないと思うよ」

菫「…さてな」

淡「むっ……おかわり!おかわりちょーだい!」

532 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/07/23(月) 00:16:58.47 ID:SzYbM05y0
とまあフラグ回収までして今日は終了
次からは夏ですね
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 00:33:25.33 ID:GpfO79ZFo
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 00:47:31.02 ID:U6+JrEgr0
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 03:53:57.42 ID:quBkUJ/So
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/06(月) 13:14:50.10 ID:MvTR5hIOO
楽しみに待ってるぞ...待ってるぞ...おい
537 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/07(火) 00:03:24.94 ID:P3QddE7m0
空いちゃいました
ちょこっと投下
538 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:06:04.03 ID:P3QddE7m0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







淡「…あつーい」

京太郎「さっきも聞いた…余計暑くなるからやめてくれ、頼む」

淡「だってありえないでしょ!エアコン故障するなんてさ」




誠子「うへぇ…窓から風は入るけどヌルいやこれ…」

尭深「…やっぱり上の階は熱くなるね」パタパタ

539 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:11:24.76 ID:P3QddE7m0


京太郎「……」パタパタ

淡「ねえきょーたろー」

京太郎「なんだ」

淡「あおいで」グデー

京太郎「やなこった」

淡「あおげ!…けちー」



ガチャッ



菫「…皆揃っているか」

照「……」
540 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:13:45.53 ID:P3QddE7m0


尭深「お二人とも、お疲れ様です」

誠子「部長…先生はなんて」

菫「ああ…修理は今すぐにとはいかないらしい。土曜日だからな」

菫「この週末でどうにかするとは言っていたが…どちらにしても、今日は部室は使うなと」

淡「えー」

菫「この暑さだし、熱中症とかになられても困るんだろう」

照「……仕方がない」



誠子「…じゃあ、今日はこれで解散?」

京太郎「それも何かもったいない気がしますね…」

尭深「……」パタパタ

541 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:15:56.79 ID:P3QddE7m0


淡「……」ムー

淡「……」ポクポクポクポク

淡「……」ポクポクポクポク

淡「!」キュピーン

淡「…そうだ!」








淡「ねえ、プール行こうよ!」

542 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:17:51.39 ID:P3QddE7m0



京太郎「あ?」

誠子「え?」

菫「は?」

照「……」

尭深「…魅力的」パタパタ

淡「でっしょー!プールだよプール!涼しいよー」アワアワ



菫「…水中は涼しいだろうな」

誠子「…部長が淡の意見を否定しない、だと…」

照「…明日雪が降る」

京太郎「降ってほしいですね」

菫「私をなんだと思って…まあ、ただの個人的感想だ」
543 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:20:07.40 ID:P3QddE7m0


菫「淡」

淡「はいはーい!」

菫「非常に魅力的な提案だが…水着はどうするんだ」

淡「……ハッ!」


誠子「…いつも通りだな」

尭深「そうだねー」パタパタ



菫「今すぐは行けないし、一度家に戻るのも手間だ。…急な話でもあるし」

淡「…うー」

菫「だから今日は今日で別のことをする。ただ……

明日はどうだ?」

淡「…へ?」

544 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:23:04.11 ID:P3QddE7m0


尭深「私は行きます」キリッ

誠子「食いつき早っ!…あー、私も暇だし、行こうかな」

照「……別に構わない」


淡「ほんと!?…スミレありがとー!」ヒシッ

淡「…うわあっつ!」バッ

菫「寄れば暑いだろうそれは…」

545 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/07(火) 00:26:41.22 ID:P3QddE7m0


京太郎「…イイハナシダナー」

菫「…なぜ他人事なんだ」

淡「きょーたろーも行くよね?」ズイッ

京太郎「え?……いいんすか俺行っても」

菫「男一人は嫌か?」

京太郎「いえ、願ったり叶ったりですけど…他の先輩方は」


誠子「え?別にいいんじゃない?」

尭深「…一人置いてけぼりは、可哀想…」パタパタ

照「……そうだね」


京太郎「みなさん……」ジーン

菫「ま、そういうことだ。男子だから別行動とか、そんな味気ないこと言わないさ」

京太郎「……合宿、雀卓、ケーキバイキング…うっ、頭が……」

淡「何言ってんのきょーたろー」

京太郎「…ハッ、俺は何を」

淡「変なきょーたろー」クスクス

546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 00:27:06.80 ID:lb190SLjo
笑えねーww
547 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/07(火) 00:28:58.02 ID:P3QddE7m0
ということでプール回ですが次の次くらい
大したイベントじゃない(中身未定)のであしからずです
多分一週間後
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 00:33:57.99 ID:lb190SLjo
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 00:56:34.14 ID:i1XaKonV0
おっ来てたのか乙
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 03:55:07.92 ID:YhOxhNu5o
おつやでー
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 04:45:19.31 ID:JuVwz7Vmo
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 08:20:51.77 ID:rUe5beF40
乙ですよーぅ
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/13(月) 01:53:10.51 ID:/37VJQP00
乙ですのだ!
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/13(月) 23:52:10.07 ID:k7Vunfbso
急に帰省が入ったりしたんで今日は休みます
すみません
555 : ◆oiHx77pVqQ [sage]:2018/08/13(月) 23:53:35.87 ID:k7Vunfbso
酉入れ忘れ
556 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/19(日) 20:06:06.93 ID:LczO9Obi0
こんばんは、早速投下
557 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:07:29.87 ID:LczO9Obi0



誠子「…じゃあ、今日はどうするんですか?」

菫「これからちょっと移動する。プールほどじゃないが、まあまあ涼しいぞ」

京太郎「…というと?」







淡「あー…暑かった涼しー!」

尭深「ね、ほんとうに涼しい」

菫「大声出すなよ、他のお客さんに迷惑だから」

照「…雀荘、久しぶり」
558 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:08:23.91 ID:LczO9Obi0


菫「学校の設備が充実するとな、こんなことでもない限りなかなか来る機会はない。特にウチは」

京太郎「他校に研究されると困るからですか」

菫「そう。余計な情報を漏らしたくないからな。幸いウチは選手層も厚いし練習相手には困らない」

誠子「いいんですか、出てきて」

菫「うん、だから他の人とは打たず一つの卓を借りて六人で回す。都合のいいことにこの店は個室付きだ」

京太郎「カラオケボックスみたいですね…あ、ドリンクバー」

菫「ちょっとここで待っててくれ。…すみません!予約していた弘世ですが……」






559 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:11:12.48 ID:LczO9Obi0


淡「起家かぁ」

照「……(お菓子ないのかな)」

菫「尭深がラス親じゃないだけまだいいかな」

尭深「……頑張ります」




京太郎「そういえば雀荘ってあんまり来たことないかもです」ストン

誠子「そうなの?昔から打ってるって言ってたし、てっきり」

京太郎「龍門渕は屋敷の中に立派な麻雀部屋がありましてね…(遠い目)」

誠子「あっ、なるほど」

560 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:13:32.64 ID:LczO9Obi0


菫「ロン、3900」

淡「…ぶー、狙ったなー」




誠子「…待って、冷静に考えたら……あの天江衣とか、龍門渕透華とかと練習してたってことでしょ?」

京太郎「…確かに打ってましたけど……そんないつもいつもじゃないですよ?」

誠子「いやそれでもさ」



照「ツモ、500オール」

淡「あ、始まった」ワクワク

菫「なぜワクワクしてる」

尭深「……」ズズッ

561 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:26:36.79 ID:LczO9Obi0



京太郎「やっぱり、学年同じだと気になります?」

誠子「まあね、去年の私は見てただけだったから……一年だけであの活躍は眩しかった」

京太郎「確かにオール一年で勝ち抜くのは夢がありますね」

誠子「運とかじゃなく実力で勝ち進んでたからね、去年の龍門渕は」

誠子「…まさか予選で消えちゃうとはね」







照「ロン。2900の一本場は3200」



照「ツモ、1600オール」


誠子「…こうなるとなかなか止められないね」

京太郎「ええ、早い上に読みづらいですし…」
562 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:34:12.57 ID:LczO9Obi0



照「……」タンッ

スッ

京太郎「…ん?」

誠子「どした?」

京太郎「いや…」

京太郎「(今、……この感触からすると照さんは意識的に和了りから離れた)」

京太郎「(ここで鳴くと、一向聴は変わらないけど……ほら、次で聴牌できたのに)」ジー

誠子「?」
563 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:42:47.21 ID:LczO9Obi0



菫「(まずいな……この辺か)」タンッ

尭深「ロン。1000点の三本場で1900」

菫「……やれやれ、どうにか止められた」

淡「むー、聴牌してたのにー」

尭深「淡ちゃん、今日は全然ダブリーしないんだね」

淡「だってテルー相手だと取られちゃうこと多いし…」


京太郎(…ふむ)

564 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 20:51:49.09 ID:LczO9Obi0



誠子「…須賀はさぁ」

京太郎「はい?」

誠子「…長野に残ったままでも十分強くなれたんじゃない?麻雀」

京太郎「……強くなるためだけにここに来たんじゃないですし。それに…先輩方に会えて嬉しいですよ、俺は」

誠子「…そう。そこには私も入ってんのかな?」

京太郎「もちろんですよ。…何度も言わせないでくださいけっこう恥ずかしかったんで」

誠子「ふーん」ニヤニヤ

565 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 21:10:01.62 ID:LczO9Obi0






尭深「ツモ。裏は…残念、倍満です」

照「…もう少しだったね」

尭深「部長が早和了りしかけてきたので…リーチするしか。もう少し待ちたかったんですけど」

菫「それなら私のハッタリにも効果があったということだな」ジャラッ

淡「わっ!聴牌してない」

尭深「…一本取られました」



誠子「部長さっすがー」

京太郎「呼びました?」

誠子「呼んでない呼んでない。…じゃっ、打ちますかね」コキッ コキッ

566 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:20:47.40 ID:LczO9Obi0



尭深「淡ちゃん、ジュース持ってきたよ」コトッ

淡「ありがとー」ニヘラ



京太郎「…前ほど勝ち負けどうこう言わなくなりましたね、淡」

菫「ああ。どこかの誰かが『負けてもそこから学べばいい』とか言ってくれたらしいからな」

誠子「……」

京太郎「それは初耳…あれ?亦野先輩どうしたんですか?」

誠子「な、なんでもない!早く打つよ!」

照「……」

567 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:22:23.40 ID:LczO9Obi0


照「……」タンッ

京太郎(照さんと打つのもまあ、こっちに来て何度目かになるわけだけど)タンッ

誠子「チー」

京太郎(…合宿最終日に久しぶりに打てて…相変わらず強いと思った)

京太郎(でも昔みたいに、ただ教える側と教えられる側ってわけじゃなく……もちろん対等じゃないけど、相手になれる)

京太郎(俺はそうありたい、と思ってるのかな)

京太郎(…さて。やっぱり東一は照魔鏡か)チラッ

照「……」タンッ

京太郎「……」タンッ

京太郎(…もう何回も視てるんだ、わからないはずはない)

京太郎(照さんはどんな気持ちで…いや、考えてもしょうがない。今は全力でぶつかるだけだ!)

568 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:24:47.33 ID:LczO9Obi0


誠子「ポンッ」カチャン

京太郎(先輩の鳴き麻雀は…俺のスタイルと相性がいい。言わないけど)

京太郎(今ずれて…こっちの気配。さっきの感触と合わせると…)

菫「……」タンッ 白

京太郎(そう…ここで鳴けば聴牌が取れる。でも…それじゃ上手くいかないんだよね)スルー

京太郎(…正直、『牌を引き寄せる』って点においては俺はポンコツだよな。運頼みにも程がある)

京太郎(だけど…)

誠子「……」タンッ

京太郎「ポン」カチャン

京太郎(上手くいくときは上手くいく。これで後は…)
569 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:26:14.09 ID:LczO9Obi0



誠子(手読まれてるなー…三つ目が鳴けない)タンッ

菫(先制したかったが…仕方ない。切り替えていく)タンッ

照「……」タンッ 白

京太郎「ロン。3900」

照「!……びっくりした」

京太郎「あ……いや、ちょっと頑張りました」

京太郎「(相変わらず器用ですね、表情変えずに驚くなんて)」

京太郎(……なんて言いかけた、気ぃ緩みすぎだわこれ)パシパシ

誠子(ちょっと頑張ったって…狙ったってこと?照先輩を?)

菫(これは…まだ何かあるな、照)ハァ
570 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:27:18.44 ID:LczO9Obi0






照「ツモ。300・500」


照「ロン、1600」


照「ロン。2000の一本場は2300」


照「ロン。2600の二本場は3200」





菫「それだ照。ロン、3900の…五本場は5400」

照「…狙い撃って来たね」

菫「当然、独走されるわけにはいかない」
571 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:28:50.00 ID:LczO9Obi0




誠子「……ツモッ!3900オール!」

京太郎「っ…これで、ラス転落か」

菫「亦野の独壇場だったな」

誠子「配牌が良かったです。さて…連荘したいけどなぁ」


京太郎「ロン。2000の一本場は2300」

誠子「ギャフン」

菫「フラグ回収お疲れ様」






1位照 2位菫 3位京太郎 4位誠子

菫「…亦野の課題は防御だな。いつも言っているが」

誠子「いつも言われてます、はい…」ガクッ

菫「まあ、ちゃんと分かってるならいいんだ。さて、次は須賀君と私が抜けよう」
572 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 22:42:24.23 ID:LczO9Obi0




淡「あー、お腹いっぱい打った!」

誠子「ドリンクでお腹いっぱいの間違いじゃないの?」

淡「それもそう……あっ、そんなこと言うから…ちょっとお手洗い!」モゾモゾ

菫「入り口で待ってるからなー」


京太郎「お疲れ様です、渋谷先輩」

尭深「うん、お疲れ様。涼しかったね」

京太郎「ですね…ってそこですか」

573 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/19(日) 23:49:23.94 ID:LczO9Obi0



京太郎「先輩って暑がりなんですね、意外です」

尭深「そうかなぁ」

京太郎「いつもお茶淹れて飲んでるじゃないですか」

尭深「…緑茶って意外と、体を冷やす効果があるんだよ」

京太郎「マジっすか」

尭深「マジ、だよ」ニコッ



淡「おまたせー」ピョコピョコ

菫「揃ったな。……さて、今日の費用だが、特例で部費から出せることになった」

京太郎「おぉ」

淡「えー、じゃあもっといろいろ頼めばよかった…ピザ食べたかったな」

菫「もちろん場所代だけだぞ」

淡「…ちぇー」

菫「さて、一度学校に戻って、報告してから解散だ。…行こうか」
574 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 00:00:59.54 ID:0ugZz3Py0
スタスタ ワイワイ

京太郎「お疲れ様でした、先輩」

照「……うん」

京太郎「夕方なのにまだ暑いですね」

照「…無理してない?」

京太郎「えっ?」

照「体調とか」

京太郎「…ああ、麻雀でってことですね。…流石にぶっ倒れたりはしませんよ」

京太郎「俺も付き合い方がわかって来たみたいで。ちょっと体が重く感じたらあんまり動かないようにとか」

照「…そう、それならいい」

京太郎「また淡がダブリー連発して来たりしたらわかんないですけど」ハハッ

照「……笑えない冗談」
575 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 00:04:20.55 ID:0ugZz3Py0




京太郎「先輩は…みんなの先生ですね」

照「…急に、なに」

京太郎「さっきふと思ったんです。…最初の局で、まだ連荘できたのにあえてそうしなかったでしょう?」

照「……そうだね、わかるよね」

京太郎「わざと隙を作って、他の人がどう対応するか…結果渋谷先輩の安手に部長が差し込んだわけですけど」

京太郎「大声じゃ言えないですけど…懐かしい気持ちになりました」

照「…他の人には言わないでもらえる?」

京太郎「もちろんですよ」
576 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 00:07:00.99 ID:0ugZz3Py0


淡「きょーたろー!テルー!」タッタッタッ

照「…走ったら暑いよ」

京太郎「どした?」

淡「えっとね…なんだっけ」

「「え?」」

淡「…あっ、明日!明日ね、朝10時に〇〇公園に集合!水着とおさいふをわすれないよーに」

京太郎「お前もな…了解」

照「……わかった」

淡「きょーたろー、遅れたら罰金だよ!」ニッ タッタッタッ

京太郎「なんで俺だけ……」

照「……」
577 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 00:08:34.20 ID:0ugZz3Py0


照「淡と、仲が良いね」

京太郎「まあ…否定はできませんけど」

照「……やっぱり付き合ってる?」

京太郎「それ何ヶ月前の話引きずってるんですか……ない、ないですって」

照「そう…ならいいけど」

京太郎「なんでいいんですか、泣きますよ」

照「…募集中?」

京太郎「別にそう言うわけじゃ…やけに食いつきますね」

照「…ちょっとした、気まぐれだから。……うん、そう」

京太郎「…そうですか」

照「……」
578 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/20(月) 00:15:52.55 ID:0ugZz3Py0
期間が空いたので量マシマシで
このままプール編になだれ込みかけましたが力尽きました、キリもいいのでここまで
書き上がれば20時間後にでも
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/20(月) 00:17:33.40 ID:lt+DEa1Xo
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/20(月) 00:18:29.72 ID:pToH//U60
おつ
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/20(月) 02:08:37.39 ID:YmjQrwS70
おつおつ
ここのスレの更新がこの板の数少ない楽しみだ
582 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/20(月) 22:21:15.95 ID:0ugZz3Py0
ついさっきまで仕事だってわかってたはずなのに妙な時間を予告した昨日の自分どうかしてる
投下ー
583 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 22:29:27.41 ID:0ugZz3Py0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


京太郎「…やっべ、もしかして俺がラスか」ザーッ キキーッ



淡「おっそーい!」

京太郎「…いやいやいや、まだ10時前だろうが」

京太郎「確かに先輩たち待たせたのは悪かったですけど……ほんとすみません」ペコリ

菫「気にするな、こいつ一人が騒いでるだけだ」

淡「でもー、早く来てくれれば早く行けたのにー」ブーブー

誠子「そらそうでしょうよ、なに当たり前のこと言ってんの」

京太郎「…わかった、プール行ったらアイスか何かおごってやるから」

淡「…ほんと!?ぜったいだよ!」

京太郎「先輩たちの分も、出させていただきます」

誠子「そんな、別にいいのに」

尭深「でも、おごってくれるって言うなら…お言葉に甘えちゃおうかなぁ」

照「…行こう、早く行こう」

菫「おいこら」

京太郎「あはは…」

584 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 22:44:51.84 ID:0ugZz3Py0











京太郎(さて、場所取りも完了っと……)

ガヤガヤ キャッキャッ

京太郎(…日曜だからか?けっこう多いな)

京太郎(あっ、……あれかな)

京太郎「おーい、こっちこっちー」ブンブン

タッタッタッ

585 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 23:02:37.86 ID:0ugZz3Py0



淡「たいぎであったー、ほめてつかわすよきょーたろー」ドーン

尭深「…日差しが…あつい」ドタプーン

京太郎(で…デカい!ナニとは言わないが…)

菫「だから走るなと……ハァ」

誠子「いやぁ、場所取りありがとねー、助かるよ」

照「……日陰」

京太郎(あれ……天国はこんなところにあったのか)フリーズ

菫「……どうした?」

京太郎「ハッ……みなさんどうぞ陰に。渋谷先輩、その荷物は…?」

尭深「みんな喉乾くだろうから…冷茶持ってきたの」

京太郎「おぉ…助かります」ヒョイッ



586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/20(月) 23:05:09.32 ID:CCGOcXPdo
ふぅ・・・
587 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 23:17:19.85 ID:0ugZz3Py0


淡「ねえきょーたろー」ズイッ

京太郎「…なんだこれは」

淡「えっ…どう見てもビーチボールだよ」

京太郎「そりゃわかってんだよ、それを俺に突きつけてどうしろと」

淡「膨らませて?」ニコッ

京太郎「…ですよねー、自分でやれよ自分で」ブツブツ

尭深「あっ…」

京太郎「……先輩、後ろ手に隠さないでいいですから。浮き輪ですか?」

尭深「うん。……あの」

京太郎「一つも二つも変わんないですし、任せてください」

尭深「ありがとう…よろしくね」


淡「…なんで私のときと態度が違うの」

京太郎「普段の行いの差…だな」

淡「ひどーい」

フゥッ フゥーーー
588 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 23:21:59.94 ID:0ugZz3Py0



〜準備体操中〜

京太郎「何時頃まで泳ぎます?」イッチニ

菫「…淡が満足するまで、……まあ3時か4時くらいまでかな」サーンシ

誠子「…インハイ前にちゃんと遊び倒す、最後のチャンスかもねー」ゴーロク

淡「えー、まだあちこち行きたいのに」シッチハチ

照「…インハイ終わっても、夏休みはまだあるから」コキッコキッ

淡「…それもそうか。さすがテルー!」

尭深「あはは…」
589 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 23:26:15.75 ID:0ugZz3Py0


淡「いっちばーん!」タタタッ

ザッパーン

菫「飛び込むな…と遅かったか」チッ

淡「きゃはっ、冷たくてきもちーよー!はやくおいでよー」

尭深「…行くしかない」トコトコ

チャポン

誠子「んじゃ私も…ってそうか、荷物番が」

京太郎「じゃあ俺とりあえず見ときますから、先輩たちお先にどうぞ」

誠子「あっそう?じゃあ、お言葉に甘えて」テクテク

菫「…すまないな、すぐに交代するから」

京太郎「いえいえ、お気になさらず」

菫「ほら、照も行くぞ」

照「…よろしくね」

京太郎「いってらっしゃーい」

590 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/20(月) 23:35:18.17 ID:0ugZz3Py0




京太郎(……ふぅ。流石に水着の女の子五人に囲まれて平常心でいられるほどできてねーっての)ギシッ

<キャハハ こら淡!
<捕まえてみろー

京太郎(……)モンモン

京太郎(…いかんいかん。……しまった、泳いだ方がむしろ良かったか)ゴロン






ミーンミーン ジー


京太郎(空が、青い…)

京太郎(夏、インハイ……三連覇)

京太郎(当然だけど、照さんや部長にとっては最後の、夏)

京太郎(俺に、まだできることは…)

591 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/21(火) 00:34:10.62 ID:BuAov55Q0





「泳いできたら?」

京太郎(…と、この声は照さん)

京太郎「早かったですね(クルッ)ってグフッ!」

照「?」

京太郎(いつのまにか頭のすぐ横に照さんが立ってて…ふ、太ももやら何やらが近い!)

京太郎(そして…(チラッ)ローアングルからの照さん…こう…ふにっ、としてそう。いや、してる(断言))

京太郎(これは、これで……じゃなくて!)ガバッ

照(急に顔を隠して……どうしたんだろう)ハテ?
592 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/21(火) 00:45:35.59 ID:BuAov55Q0



京太郎「と、とりあえず…そこにお座りになって……」

照「うん」ギシッ

チラッ

京太郎(よし、さっきの暴力的な距離からはどうにか…やれやれ。最悪の結果は免れそうだ)

京太郎「……ふぅ」ムクッ

照「…どうかしたの」

京太郎「いえ…自分と戦ってました」

照「…そう」
593 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/21(火) 00:55:50.18 ID:BuAov55Q0


京太郎「冷たかったですか?」

照「…日で少し温まって、ちょうどいいくらい」

照「…泳ぎたい、でしょう?」

京太郎「でも、先輩ちょっとしか」

照「まだ時間もあるから。……本だって持ってきてる」ペラッ

京太郎「……すみません、行ってきます」バッ

照「……いってらっしゃい」



594 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/21(火) 00:59:27.32 ID:BuAov55Q0
途中ですが切ります
3、4日空きますが悪しからず
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/21(火) 01:00:46.70 ID:uCseluRk0
おつ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/21(火) 03:26:05.69 ID:DRAHDWya0
おっつおっつ
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/21(火) 04:20:34.23 ID:9im0qSOHo
無自覚な照かわいい
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/21(火) 06:27:01.66 ID:nvZ8UBlCo
おつおつ
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/21(火) 09:01:12.93 ID:nrXwBEpAo
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/21(火) 15:32:34.28 ID:dHNIesPt0
乙です!
601 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/08/26(日) 22:53:29.14 ID:IiMMbo420
遅くなりました、更新
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 22:55:44.54 ID:CUXaK2Gxo
舞ってた!
603 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/26(日) 22:56:12.91 ID:IiMMbo420


〜流れるプール〜








尭深「……」プカプカ

菫「……」プカプカ

京太郎「……」プカプカ
604 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/26(日) 23:01:32.91 ID:IiMMbo420



京太郎「……ずっとこうしてたんですか?」

尭深「…最初は淡ちゃんと遊んでたんだけど…あちこち行っちゃうから」プカーン

京太郎「テンション高かったですからね…」プカーン

菫「淡には亦野がついてくれてるから、まあ…大丈夫だろうと」プカーン

京太郎「…こういうときくらいは羽を伸ばしててください部長」

菫「…うん」

尭深「……」プカーン

京太郎「……」プカーン

菫「…たまにはこういうのも、悪くないだろう?」プカーン

京太郎「……そうですね」

尭深「……」パチャパチャ

605 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/26(日) 23:24:09.84 ID:IiMMbo420



〜ビーチバレー〜

尭深「頑張ってー」フリフリ

淡「行くぞー!」バシッ

菫「速っ…おっと」ポ-ン

京太郎(…意外!部長の素早い身のこなし)

誠子「はいはーい……ほいっと」パシン

京太郎「はい拾いまーす…先輩次!」トスッ

照「あっ…えっ……えいっ」

バスッ

菫「あっ」

尭深「えっ」

誠子「先輩?」

淡「て、…テルーの頭に、ボール……」

京太郎「」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 23:32:42.45 ID:wyAAfqFQ0
刺さったのか?
607 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/26(日) 23:40:24.29 ID:IiMMbo420


コロコロコロ…

淡「きょーたろー…オニ!アクマ!」ジト-

京太郎「…っ!」

タタッ
京太郎「先輩!すみませんでした!」

照「…気にしないで」

京太郎「ほんとうに、いや、お怪我は…」アタフタ

照「…大丈夫。大丈夫だから……」

ガヤガヤ どーしたどーした
修羅場か?ん?

照「……」

京太郎「……先輩?」

照「…あまり、騒がないで」プルプル

京太郎「…すみません」
608 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 00:13:00.97 ID:0jC1cMEA0





in 尭深
out 照 京太郎


そーれ はーいよっと


京太郎「…先輩、怒ってますね」

照「怒ってない」

京太郎「無表情装っても…分かりますよ」

照「っ…装ってない、もともとこんな顔してる」
609 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 00:14:26.31 ID:0jC1cMEA0


京太郎「さて、どうでしょうかね…っと」パスッ

ボールこっちー パースパース

京太郎「はいはーい!……よいしょー」


ありがとー


京太郎「どーもー」

照「…行ってくればいいのに」

京太郎「このまま置いていけないですって。……俺もさっきはどうかしてました」

照「……」
610 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 00:15:27.33 ID:0jC1cMEA0

京太郎「でも…その……あのですね」

照「…何?」

京太郎「えっと…まあその、心配なわけです。先輩」

照「……」

京太郎「危なっかしいところがあって、目が離せない……ってすみません、子供扱いしたいわけじゃなくて」

照「いい」

京太郎「……」

照「心配してくれるのは、嬉しくないわけじゃない……から」

611 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 00:21:48.28 ID:0jC1cMEA0


京太郎「……」

照「……」


ポスン う゛わ゛っ
あははー スミレこけてんのー
こいつ… 次はお前だ淡!


「「ねえ/あの」」

京太郎「……先輩からどうぞ」

照「…お先に、どうぞ」

京太郎「いや……まあその、気持ちだけでもお詫びということで…先輩だけソフトクリームもう一本、付けさせていただけませんか」

照「…それは嬉しい。…バニラとチョコ一つずつ、よろしくね」

京太郎「もうメニュー把握してるんですか…」

照「さっき見てきた。バニラとチョコとミックスの三種類。正直迷ってたから、二つ食べられるなら嬉しい」

京太郎「…迷うなら間とってミックスっていう選択肢は…」

照「ない。ミックスで間にはならない。ミックスはミックスを食べたい時に食べる」フンス

京太郎「なるほど。……それで、先輩の用事は?」

照「……忘れるくらいだから、大したことじゃない」

京太郎「さいですか……」
612 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 00:39:32.65 ID:0jC1cMEA0


〜ウォータースライダー〜

ガヤガヤ

誠子「来たからにはね、やっぱりこれ行かなきゃ」カツカツ

京太郎「ですよねー」カツカツ

菫「…にしても…結構高いな」カツカツ

京太郎「いちいち階段上らないといけないのが玉に瑕、ですかね」カツカツ

誠子「もう少し若い頃は何度も上ってきてたけどなぁ…正直少し、キツい」カツカツ

菫「誠子がそんなんで…私はどうなるんだ私は」

京太郎「ま、まあ…あとちょっとですから」
613 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 00:49:46.32 ID:0jC1cMEA0



カツカツ
京太郎「はい、到着」

誠子「ひょー!たっかいなぁ」

菫「荷物を置いたのはあちらの方だから……あそこで漂っているのが尭深かな」チラッ

<次の方どうぞー

誠子「じゃあ、私いくよ。それぃ!」

シュ-

京太郎「慣れてますね」

菫「あぁ。…これ、どのくらいのスピードになる?」

京太郎「えっ…あっ、もしかしてあまり滑ったことない、とか」

菫「ん。なんとなくついてきてしまったが」

京太郎「えっとですね…この看板にもありますけど」

デ-ン

京太郎「座った状態で滑ります。体を寝かせればスピードが出る感じで」

菫「なるほど。調整できるんだな」
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/27(月) 00:55:55.35 ID:lyRT0Dhr0
来ていましたか
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 01:05:11.24 ID:ZzQMxa8i0
おつ
616 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:08:23.30 ID:0jC1cMEA0


>次どうぞー

菫「じゃ、行ってくるとするよ」ビシッ

シュ-

京太郎(やだなんかイケメン)


>はい次どうぞー

京太郎(どうせ行くなら、ハイスピードで…勢いつけて、そらっ!)

ドシュ-

京太郎(来た来た、この爽快感…たまんねー)
ヒャッホ-ウ
617 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:11:24.97 ID:0jC1cMEA0



菫(滑り台といい…人は速度を体感したがる生き物なのか)

菫(それとも重力に任せて動いていくところに面白さを見出すのか)

菫(いずれにしても…なるほど、悪くない)

菫(…そろそろゴールかな?)

ゴゴゴ

菫「な、何だ?」

京太郎「や、やっべ!ブレーキ!ブレーキ!」

菫(お、追いついてきただと?のんびり行き過ぎたか、でもあと)

ゴスッ

京太郎(あ、足がジャストミート)

菫「グヘッ」

京太郎「ぶちょぉぉぉー!」

ザッパ-ン

618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 01:13:10.73 ID:ZzQMxa8i0
追突事故…まあ、普通のプールだとこういうのは対策とってるから無いけどな
かわいそうに
619 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:13:11.57 ID:0jC1cMEA0








京太郎「すいませんでした!」ドゲザ-

>またあの人謝ってる… やーねーほんと

菫「気にするな…私にも非があった、9:1くらいで」

誠子「痣とかにはなってないみたいで…よかったね須賀、親衛隊がいたら今頃袋叩きだよ」

京太郎「返す言葉もございません…出しちゃいけないような声も出させてしまって」

菫「忘れろ」

京太郎「あっはい」

620 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:26:45.97 ID:0jC1cMEA0



京太郎「あの…お詫びと言っちゃなんですが…ソフトクリームもう一本」

菫「私が二本も平らげると思ってるのかな?」

京太郎「あ…いえ、その」

菫「その様子だと…照に同じ手を使ったろう?」

京太郎「なぜそれを…」

菫「……全く。君は照に甘いんだから」

京太郎「そ、そうですかね?」

誠子「自覚無しときましたよ部長」ヒソヒソ

菫「ああ。重体だなこれは」ヒソヒソ

京太郎「?」
621 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:27:48.95 ID:0jC1cMEA0



菫「…まあとにかく、これに懲りて羽目を外し過ぎなければ、それでいいから」

京太郎「ははー、寛大なご処置ありがとうございます」

菫「…私は真面目に言ってるんだが」

京太郎「すみません調子乗りました」

誠子「やれやれ」


622 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:31:24.22 ID:0jC1cMEA0



〜???〜

京太郎(…はぁ、そんなつもりじゃないんだがなぁ…)

京太郎(ん…?あれは…)




淡「だーかーら!一人じゃないのー!」

「でもさー、誰も来そうじゃないしー」

「ねーいいじゃーん、俺たちとちょっと遊ぶくらいさー」

淡「嫌って言ったら嫌なの!」


京太郎(ナンパ…だな)

京太郎(見た目だけで判断したら後悔するぞ…じゃなくて)
623 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:39:53.89 ID:0jC1cMEA0


京太郎(…世話が焼けるな…しゃーなし)ダッ


京太郎「はいちょっとすみませーん」

「あ?」

京太郎「待たせたな、ほら行くぞ」ガシッ

淡「あっ…」

「…ちっ、兄貴か」

「冷めたわ…次いこ次」
624 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:41:33.07 ID:0jC1cMEA0



淡「……」

京太郎「……ふぅ、なんとかなったな」

淡「……」

京太郎「淡さん?そんなに手を強く握られると痛いんだけど」

淡「ギニャッ!」バシッ

京太郎「痛っ…そんな振りほどかなくてもいいじゃん」ブツブツ

淡「あっ…な、なんできょーたろーが兄貴なの!?」

京太郎「知らねーよ…金髪同士だし、兄妹に見えたんだろ」

淡「そんなの……納得いかない、私の方が誕生日先だしー」

京太郎「落ち着きないからな、しゃーない」ハハハ

淡「なにをー!」ウガ-
625 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/08/27(月) 01:43:30.80 ID:0jC1cMEA0






菫「すまない、私が淡と一緒にいればこんなことには」

京太郎「いや、それを言ったら俺だってそうです」

淡「むー」プク-

尭深「よしよし、怖かったね」


菫「ともかくありがとう。さっきの蹴りを帳消しにして余りあるよ」

京太郎「先輩!その話は」

照「…菫を蹴ったの?」

京太郎「違うんです!不可抗力で…部長ぉ!」


淡「…兄妹、兄妹じゃなくて…」

淡「か、か……」

淡「……///」

尭深「どうしたの?」

淡「な、何でもないよ!?何でもない!」ブンブン



626 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage ]:2018/08/27(月) 01:47:19.79 ID:0jC1cMEA0
というベタな展開を見せてここまで
なぜこんな長くなったし
次回は今週中を予定、照のマスコミ用顔のお話
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 02:07:53.27 ID:ZzQMxa8i0
おつ
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 04:36:15.02 ID:QYiBQNydO
だれか読解力の無い俺にビーチバレーで照がどうなったのかを教えてくれ
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 04:50:46.97 ID:RPpAcQnDO
>>648
宮永ホーン、後はわかるな?
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 05:10:58.52 ID:483+rJ3+0
乙、別ルートも見たくなってくるな…
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 12:51:21.55 ID:aMf8/oIDO
あわあわは負け犬の定め…
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 17:08:09.15 ID:5jn6RQ8C0
すばら
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/31(金) 01:39:53.44 ID:LSJTpJ5R0
飽きたな
634 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage ]:2018/09/02(日) 20:30:09.84 ID:B/ao/0720
今週中…ギリギリアウトですね
照は頭でボールをレシーブしたもよう、文章稚拙ですまない
ウォータースライダーは菫さんにラキスケでもよかったんですが書けそうになかったので却下

途中までですが投下ー
635 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/02(日) 20:31:31.82 ID:B/ao/0720






京太郎「取材…ですか」

菫「うん。ほら、そこの棚に揃ってるだろう?Weekly麻雀TODAY」

京太郎「…ああ、例の」

照「…いつも、来る」

誠子「そりゃあ、うちが全国トップなんですから。来ないわけないですよ」ハハッ

菫「…まあ、いわゆる強豪校と全国出場校には一通り来るようだからな。ウチだけ特に多いなんてことはないさ」

淡「えー…めんどくさい…」

菫「これから先も付き合うんだ、面倒がってはいられないぞ」

尭深「……」ズズッ

636 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/02(日) 20:55:37.97 ID:B/ao/0720



菫「というわけで淡、お前は個人レッスンな」

淡「なんで!?」

菫「取材されるときの最低限のマナー、それにあることないこと話さないように教育しなきゃならんからな」ゴゴゴ

淡「スミレ、こわい!こわいから!」

京太郎「あ、あのー…俺は聞かなくてもいいんですか」

菫「ん、須賀君は多分問題ない」

京太郎(いいのかそんな適当で)

菫「…そこのバックナンバーに付箋が付いているだろう?過去の白糸台の記事につけてあるから、参考までに皆で目を通しておいてくれ」

淡「そ、そっちの方が楽しそうだなーあはは」ズルズル

誠子「い、いってらっしゃい…」

バタン
637 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/02(日) 21:28:00.63 ID:B/ao/0720



照「…尭深、付箋付きのもの探して持って来てもらえる?」

尭深「わかりました」


京太郎「あっ、俺も手伝いますよ。かさばると重いでしょうし」

照「…じゃあお願い。誠子」

誠子「はい」

照「冷蔵庫にカスタ○ドケ○キが入ってたはずだから出して。みんなで食べよう」ワクワク

誠子「紙コップも出しときますね」

照「気がきくね、よろしく」

638 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/02(日) 22:05:48.64 ID:B/ao/0720


パラッ ペラッ

誠子「最初は扱いちっちゃいですね」

尭深「…この黄色い付箋は、ただ白糸台に触れただけの記事についてるみたい」

京太郎「桃色のだと…部員や顧問のコメントが出てますね。……部長が分類したんだろうか」

照「……」モックモック



京太郎「これも桃色…あっ」

誠子「どうかした?」

照「表紙の…瑞原プロ?」

京太郎「違います!……二年前の、インハイ出場決めたときの記事です」



尭深「『白糸台高校、悲願の出場!』ですか…」

誠子「照先輩や部長が入る前までは強豪校止まりだったんですよね?さすが…」

照「……」

京太郎(…懐かしいな)

639 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/02(日) 23:36:03.75 ID:B/ao/0720
=========================



小さい頃には、時間なんていくらでもあるものだと、そう錯覚していた。



だから季節が巡って年が変わり、背丈が伸びてもっと物事が良くわかるようになるにつれ、俺が根拠もなく心の隅に置いていた希望ーーつまり、


照さんがひょっこりと帰ってくるだとか、連絡してきてくれるだとか、とにかくまた昔のように三人で麻雀ができるようになるーーそんな願望はますます現実味を失っていく、それでいて諦めだけはつかないのは俺がまだ子どもだったからかもしれない。



『昔のように』……なんて言葉を使うほど、それでもその頃には時間の経過というものを十二分に体感していて、俺と咲は中学生になっていた。
640 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/02(日) 23:38:59.81 ID:B/ao/0720


『京ちゃん、顔こわいよ?』

『……眠たいの。部活は相変わらずだし』

『ふーん…』

俺は麻雀部……ではなく、ハンドボール部に入っていた。
理由の一つ目、体力と無駄に大きくなった図体を持て余していたこと。
二つ目、麻雀で照さんが活躍したという話は聞かず、中学で麻雀をやっても出会える可能性は低いと思われること。
三つ目、麻雀以外の何かに打ち込むことで、それに付随するオカルトめいた力に目覚める期待ができること。

そういう理由、もとい言い訳。

641 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/03(月) 00:03:17.52 ID:uI7kawhG0


『仲直りさせる』という目標を掲げながらそのための手段は何も持ち合わせていなくて、麻雀が彼女との唯一の接点であり それすら危ういことには、子どもの俺にもすぐに気づけたのだった。

宮永家の雀卓は埃をかぶり、部屋の隅に追いやられ、ついには見なくなった。物置部屋にしまったのだと聞いて少しほっとした。
咲はそれらのことについても聞かないと何も言わないほど、自分を極力麻雀から遠ざけているようだった。俺はその話を早々に切り上げたのを覚えている。


それでも、照さんと咲に教えられた麻雀の熱は俺の中で、消えることだけはしなかった。嫌いになるなど考えたこともなく、頻度は減ったが週一回はネット麻雀に精を出し、そこで知り合いもできた。俺はそれなりに麻雀を楽しんでいたのだ。
ただ部活でやるほどの熱意はなく、期待もない。そんな中途半端な状況で、中二の夏を迎えようとしていた。


642 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/09/03(月) 00:06:12.33 ID:uI7kawhG0



その日の夕刻、部活の帰り道。本屋に立ち寄ったのは少年誌を立ち読みしたかったからに違いない。

読みたいものを読んで名残惜しくパラパラめくってまた積み直して、ふと視界に入ったはやりん…瑞原プロの表紙に惹かれて手にとったとしても責められる謂れはないはずだ。だって中学生だもん。
数年前に創刊されたWeekly麻雀TODAYの存在は知っていたし、何らかの痕跡を探してめくってみた事も何度かあった。そしてその度に何も得られずにがっかりして、そのうち見る事もなくなっていた。


嘘か真か「執事」という職業だというネト麻の知り合い曰く、本当に強くても中学で麻雀をするとは限らない、と。
『そういう知り合い…いえ、お仕えする主人がそうなのですが』とそんなことを言っていたのもまあ、頭のどこかにひっかかっていたのかもしれない。


ともかく俺はその号を手にとって「インハイ特集〜今年の優勝候補はココだ!」なんて記事を見つけ目を落とし、やがて数十秒後にはレジに駆け込むことになる。

643 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/09/03(月) 00:07:28.54 ID:uI7kawhG0
地の文読み辛ければ申し訳ないです
この辺で一旦
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/09/03(月) 00:24:53.17 ID:jo0TakAK0

全然読めるよ
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/09/03(月) 00:35:01.51 ID:SdHqEdVO0

次も楽しみにしてるからやりたいようにやるといいよ
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 06:39:35.90 ID:7bKi0pUao
速報復旧したね 続き待ってます
647 : ◆oiHx77pVqQ [sage]:2018/10/15(月) 08:43:12.28 ID:Y1SO8cPR0
起きたら復旧してたのでびっくり
一両日中に再開予定ですとりとり
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 10:14:15.32 ID:IwdiTFoE0
やったー!
お待ちしてます!
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 11:45:34.36 ID:X1uAxpU1o
待ってます
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 12:10:49.24 ID:QJb6o9e30
なんかいつの間にか復活したな、待ってます
651 : ◆oiHx77pVqQ [sage]:2018/10/18(木) 00:18:39.81 ID:ruXLYJ8u0
遅くなりました
ちょろっと投下
652 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/10/18(木) 00:24:32.63 ID:ruXLYJ8u0




『本当に、お姉ちゃん?』

東京の方にいる、という断片的情報だけ咲は聞かされていて、それは俺との共通認識でもあった。

ただそれだけだったから、特定するにはその週刊誌ではあまりにも情報が少なすぎた。顔写真などはなし、学年が一年で照さんと一致していること、そして一年ながらエースで白糸台を久しぶりのインハイへ導いたこと。

ネットの海を浚っても大した差はなかった。部員の集合写真はあちこちで見つけたものの、部員数と解像度の関係か、赤髪の女性がいたりいなかったりすることしか確認できない。白糸台の情報管理は、もしかするとこの頃から優秀だったのかもしれなかった。

『どうする?咲』

咲は困ったような顔をしていた。
どんな意味でその問いを受け取ったかは知る由もない。
困り顔のまましばらく逡巡して、『どうしよう、京ちゃん……』と次第に涙目になってきさえしたので慌てて助け舟を出す。

『テレビで一緒に見るか、インハイ』

653 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/10/18(木) 00:33:18.94 ID:ruXLYJ8u0



結論から言えば、それは間違いなく照さんだった。

『ツモ』
『ロン』
『ロン』


表情一つも変えずに和了るのは相変わらずで、白の上下の制服に赤髪がよく映えるな、と俺は場違いな感想を抱いていた。

理牌を瞬く間に終え、細い指が次の牌に伸びる、手に入れて別の牌を切る、滑らかなその一連の所作は、確かに子どもながらに見慣れた照さんのそれだったーー俺は多分見とれていた。

今や画面越しにしか見ることができない悲しさと、その彼女がかつて自分のすぐ隣にいて、なおかつ自分のことを見てくれていたという感動がないまぜになって襲ってきて、戦況はろくに頭に入ってこない。
『これはとんでもない瞬間に、私たちは立ち会っているのかもしれません!』などと熱の入る実況アナウンサーの音声を遠くに聞きながら、俺はかつての宮永家の雀卓に、そこにいた人に思いを馳せていた。

654 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/10/18(木) 00:53:42.59 ID:ruXLYJ8u0



『ツモ』

照さんの再びの鋭い発声に、思考は現実に引き戻される。アナウンサーの声が大きくなり、解説のプロの声もやや弾んでいる。
いつの間にやら点棒が積み上がり、リードは圧倒的だった。


『すごいな』
そう呟いて すぐに後悔した。いま隣にいる幼馴染がどんな気持ちで見ているのか、何の配慮も示さない無神経な俺がそこにいた。

『…そうだね、さすがだね』
意外にも咲は落ち着いた口ぶりで俺に同意した。思わず横に目をやったが、その表情は楽しそうでもあり、また寂しげでもあった。すまん、という謝罪の言葉もはばかられ、俺はまた画面を注視するしかなくなった。

655 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/10/18(木) 01:01:59.34 ID:ruXLYJ8u0






『次の試合も、見るんでしょ?』


帰り際に咲はそう言った。
俺は咄嗟に何も返せず、ただ頷いた。

『私も見るから。一緒に』



結局観戦の為に何日か咲の家に通うことになった。理由は言うまでもない。

『優勝は、白糸台!高校麻雀史に、新たな歴史が刻まれました!』


咲の手前以上、声高に応援するのは憚られたわけでーーそれでも照さんは頂点まで届くと、どこか確信めいたものを途中から感じていたから、その瞬間を俺は比較的冷静に迎えていた。

『もっと喜んであげたらいいのに』
などとまで咲は言う。半泣きだった彼女はどこに行ったのだろうか。

656 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/10/18(木) 01:45:08.76 ID:ruXLYJ8u0



やがて優勝校インタビューが始まる。大人しそうだがやり取りははきはきと、緊張したと言いながら自信に満ち満ちている、そんなメンバーだった。
部長らしく仕切っていた一人はなんと照さんと同学年、つまり一年生だった。あえて名前は言わない、本人の名誉の為に。

やがてマイクが照さんに回ってきて、……テレビの前の俺たちはあっけにとられることになる。


=========================

尭深「そして優勝の特集号、ですね」

誠子「……これ、先輩ですよね」

照「そう。……何かおかしい?」

誠子「いえ……そうじゃないんですけど…須賀!ほら」

京太郎「俺っすか!?…いや、間違いなく先輩じゃないですか」

尭深「…驚かないんだね。見たこと、あるの?」

京太郎「あ…まあ、そうですね」

誠子「んー、破壊力あると思いますよ、先輩の笑顔は」

照「……そう、ありがとう」

誠子(…やらかしたかな、ちょっと今の間が…怖い)
657 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/10/18(木) 02:10:50.59 ID:ruXLYJ8u0



尭深「先輩は、インタビューの時必ず笑顔ですよね」

誠子(構わずぶっこんだ!?)

照「うん。人前ではそうしたほうがいいって、昔言われたから」

京太郎「部長にですか?」

照「……違う」

京太郎(……あれ?)

照「……」

尭深「私たちも気をつけた方がいいですよね」

照「…そうだね。印象も違うと思うし」

誠子(尭深スゲえよ尭深)
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 10:36:54.30 ID:YACebpDxo
おつおつ
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 13:49:39.28 ID:0qEaSKJD0
おつ
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 15:18:02.52 ID:0mgIr+SiO
661 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/01(木) 23:45:04.86 ID:0U8lTa7v0






菫「というわけで…今度の週末はよろしく頼む」

京太郎「普段通りの練習に取材が入って」

尭深「…午後は個人個人に取材が入るから各自行動、ですね」

京太郎「……皆さんはともかく」

尭深「?」

京太郎「俺に話聞いて何か需要があるんですかね」

誠子「それは…今後の活躍次第でしょ」

淡「きょーたろーインタビューで変なこと言わないかなぁ…そしたら蛍光ペンで印つけて付箋ペタペタ貼るのに」

京太郎「よせよ、そのままそっくりお前に返すぞそのセリフ」

淡「淡ちゃんをなんだと思ってんのさ!」

京太郎「筋金入りのおバカ」

淡「ば、バカって言うなー!バカって言った方がバカなんだきょーたろーのばかぁ!」

京太郎「…言って一秒足らずで自分で引っ掛かるのやめろよ…」

662 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/01(木) 23:47:32.60 ID:0U8lTa7v0



菫「はい、静かに。……まあ、とにかく頼むぞ。特に淡」

淡「えっ、あわっ…はーい」

菫「くれぐれも今日言ったことを忘れずに…いいな?」

淡「うっ、あぁぁ……はいぃぃ」

京太郎(何言われたんだろ)


照「……今日もお疲れ様」スック

菫「ああ、また明日な」

誠子「お疲れ様でーす」


京太郎「……」

663 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/01(木) 23:53:58.30 ID:0U8lTa7v0



照「……」テクテク

「先輩!」タッタッタッ

照「……どうしたの」

京太郎「ハァハァ…追いついた、よかった」ゼェゼェ

照「……汗、凄いよ」

京太郎「すみません、お見苦しいものを…ちょっと拭かせてください」フキフキ

照「……」

京太郎「…お待たせしました」

照「…うん、ちょっと歩こうか」

京太郎「あっ、はい」


664 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/02(金) 00:13:45.96 ID:z+k4k/8/0



テクテク

照「…この辺の地理、わかるの?」

京太郎「まあ、休みは買い物に回ったりするんで…大通りはわかります」

照「そう」

照「……私はかなり苦労した」

京太郎「先輩は寮に入ってるんですよね?」

照「うん」

京太郎「制限とかあったりしないですか?門限とか」

照「あるにはある、けど…不自由することはない」

京太郎「…そうですか」

665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 07:28:01.40 ID:kg0wsHrho
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 10:28:53.11 ID:XhmfhRpSo
おつおつ
667 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/02(金) 16:33:52.70 ID:wLUXCuLq0



京太郎「ところで……部室でした、話ですけど」

照「……」

京太郎「……思い出しました、俺」

照「…そう」

京太郎「正直言うと…自信はなかったですけど」

照「…私にとっては」

京太郎「……」

照「……私は、どうしてかよく覚えてたから。あなたの言葉」

京太郎「……びっくりですね」

照「私はあなたが気づいたことにびっくりしてる」

668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/03(土) 19:41:56.02 ID:zilwP52BO
669 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 19:47:48.58 ID:BeYm+4c10

京太郎「それは……気づいてほしそうに、してたからです」

照「…私が?」

京太郎「先輩がです」

照「……そんなつもりじゃ、なかった」

京太郎「…すみません」

照「……あなたが謝ることじゃ、ない」

照「私の問題…だから」

京太郎「先輩の問題…」
670 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 19:52:24.08 ID:BeYm+4c10


照「自分が…自分が、よくわからない」

京太郎「…先輩?」

照「…ごめん、今日は…上手く話せそうにない」



=========================





照『……』ペラッ

京太郎『……』カキカキ

照『……』
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 20:14:42.01 ID:S5YgGkwg0
wwktk
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 20:39:03.07 ID:W6hkXBFCo
キュンキュンする
673 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 20:55:33.26 ID:BeYm+4c10


コトン

京太郎『よしっ、しゅくだいおわりっ!』ノビ-

照『お疲れ様。ジュースお代わりあるよ』パタン

京太郎『いただきます!あれっ…さきは?』キョロキョロ

咲『……』スゥスゥ

照『…さっき寝てしまった』

京太郎『ぜんぜん気づかなかった…』

照『集中してたからね、京ちゃん』

京太郎『あのね、麻雀するときみたいに、かんけいないものを見ないようにしたら、しゅくだいが早くおわるんです!』ニコ-

照『そう。それはいいことだね』フフッ

674 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 21:15:51.34 ID:BeYm+4c10


京太郎『おぉ…』キラキラ

照『…どうしたの?』

京太郎『笑ってる!』

照『照だけに…じゃなくて。…私だって笑う』

京太郎『うん、知ってるよ?』

照『え』

京太郎『笑ってないように見えても笑ってたり、うれしそうに見えなくてもうれしかったりしてる』

京太郎『…なんとなく、わかる』

照『…そっか』
675 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 21:52:20.64 ID:BeYm+4c10


京太郎『あ、でも…』

照『?』

京太郎『笑ってたほうがいい、かな。かわいいから』

照『…ねえ京ちゃん』

京太郎『なに?』

照『そんな言い方、どこで習ったのかな?』

京太郎『え、…えっと…お父さんがよく言ってるの。「女の子は笑ってたらかわいい」って。…なんで怒ってるの?』

照『怒ってない』

京太郎『…でも、いつもの照さんもかわいいよ』

照『……京ちゃんのバカ。知らない』プイッ

京太郎『えー……ほんとなのに』

676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 22:30:52.65 ID:ltkyqaSko
今すぐTERU Me 〜
677 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 22:57:04.89 ID:BeYm+4c10







====================



カナカナカナ…

照「……」テクテク

京太郎「……」テクテク

照「…あ」

京太郎「寮が…見えましたね」

照「うん。……ここまでで、いい」

京太郎「…そうですか」
678 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 23:19:14.16 ID:BeYm+4c10


カナカナカナ…


京太郎「……ありがとうございました」

照「こちらこそ。送ってくれて」

京太郎「……あの、先輩」

照「遅いから、もう帰らなきゃ」スタスタ

京太郎「先輩!」

照「……」ピタッ

クルッ

照「明日も練習頑張ろう」






    ・・・
照「ね、須賀君」ニコッ

京太郎「っ……」ズキッ



照「また明日」

京太郎「……はい、…また」
679 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/03(土) 23:28:37.27 ID:BeYm+4c10




カナカナカナ…

京太郎(…ちっくしょ、なん…で…)


照『ね、須賀君』ニコッ


京太郎(あんな表だけの笑顔で、悲しそうな顔…して)


京太郎(……俺が言ったこと…おれ、の、せい……?)





菫「あっ、すみませ…って……」

京太郎「……先輩」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 23:57:37.59 ID:GrOuIbTCo
乙乙
681 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/04(日) 00:12:13.13 ID:fp1DB4BZ0

菫「どうしたこんなところで?もう先に帰って…」

京太郎「…すみません、ちょっと……はい」

菫「…大丈夫か」

京太郎「…なにがですか」

菫「いや…何もないならいいんだ、が…」

京太郎「俺は、大丈夫です」

菫「…そうか。…話せないようなことか?」

京太郎「…すみません」

菫「…気にするな。そういう時もある」
682 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/04(日) 00:24:06.60 ID:fp1DB4BZ0



菫「……ちょっと待ってて」テクテク

京太郎「…?」

ガチャン ドコン


菫「…缶コーヒーで悪いけど」ズイッ

京太郎「……ありがとうございます」

菫「私も飲むから、数分付き合ってくれ」



菫「取材、だけど…イメージは湧いた?」カチャ

京太郎「……そうですね、なんとなく」ズズッ

菫「来るのは記者一人とカメラマン一人、個人への取材は十分くらいで済むんじゃないかな」

菫「そして写真撮影が数枚、もしかしたら数十枚」

京太郎「…何に…って、雑誌に載るんですよね」

菫「そう、編集部がピンとくれば大きいサイズで載って、活躍すれば特集が組まれる。当然また取材も来る」

菫「…嫌か?」

京太郎「いえ、そういうわけでは……すみません、俺やっぱり全然イメージできてないです」
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/04(日) 02:05:04.05 ID:e7ssYZWd0
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/04(日) 07:52:14.72 ID:2OXAthwCo
おつおつ
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/06(火) 17:07:15.20 ID:TsM0fMEPo
乙です
菫さんマジいい女
686 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 21:38:44.48 ID:6vStBoZ20

菫「まあ、いいさ…早いうちからマスコミ慣れしておいてくれると助かるんだ」

菫「淡もいるし、な」フゥ

京太郎「あぁ…なるほど」

菫「それにメディア露出があると人気が出るかもしれない。…興味ないか?」

京太郎「うーん……俺はそんなに」

京太郎「…ということは…照さんって、結構人気あったり」

菫「もちろん。よそ行きの面もいいしな」

京太郎「……」

687 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 22:22:46.32 ID:6vStBoZ20


菫「…気になるんだろう?」

京太郎「あっ、いや…「嘘だな」……はい」

菫「心配するな。本人はほとんど気に留めてないようだし、自覚があるかも怪しい」

菫「…さすがに今のは分かりやすすぎないか……らしくもない」

京太郎「…すみません」

菫「何があったかは知らないが…照は君のことを簡単には嫌いにならないさ」

京太郎「…!……そうですかね」

菫「きっとそうさ」

京太郎「…何でも分かるんですね」

菫「何でもは分からないさ…分かることだけだよ」

688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/13(火) 22:25:26.94 ID:ETgwl0qMo
羽川菫さん
689 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 22:39:36.00 ID:6vStBoZ20



菫「ところで…私に言及がないのはどういうことかな?」

京太郎「え?」

菫「照ほどではないが、私もそれなりに表舞台に出ているんだけど」ズイッ

京太郎「あ…え、えっと」

菫「君にとっては私は照のお付きの人に過ぎないのかな?」

京太郎「いや、そんな…滅相も無い…ほんと申し訳なく…」

菫「……ふふっ、冗談冗談…本気にするなよ」

京太郎「…そ、そうですよね!びっくりした…」
690 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 23:15:05.89 ID:6vStBoZ20



京太郎「…ありがとうございます、先輩」

菫「なにが、なんて言うのも野暮か」ゴクッ

菫「…あんなひどい顔してたら、誰だってほっとかないさ」

京太郎「そんなにですか」

菫「それはもう……でも、もう顔色も良さそうじゃないか」

京太郎「…この灯りでわかるんですか」

菫「まさか。ただの戯れ言だ」

京太郎「…意外ですね」

菫「何が?」

京太郎「先輩も冗談言うんだなぁ…って」

菫「…私だってそんな時もある。それに」


菫「君と話すのは楽しいからな」フッ



691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/13(火) 23:16:14.99 ID:ETgwl0qMo
冗談じゃないよって困らせたい
692 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2018/11/13(火) 23:19:22.62 ID:6vStBoZ20


照「11月11日はポッ○ー&プリ○ツの日だよ、京ちゃん」


という感じで小話書こうとしたけど間に合わず断念

続き書きます
693 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 23:23:14.79 ID:6vStBoZ20
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーまずは地区大会、三年連続の優勝おめでとうございます。

菫「ありがとうございます。部員全員の助けなしでは、とてもできなかったことだと思っています」


ーー夏のインハイ、史上二校目のの団体三連覇を目指す白糸台高校にとっては予選は通過点だと思いますが。

菫「もちろんこの結果で満足しているわけではありません。ただ、一戦一戦勝ち抜いてこその全国制覇ですから。そういう意味では予選の初戦も、インハイの決勝も等しく通過点です」
694 :>>693訂正 ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 23:26:59.99 ID:6vStBoZ20
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーまずは地区大会、三年連続の優勝おめでとうございます。

菫「ありがとうございます。部員全員の助けなしでは、とてもできなかったことだと思っています」


ーー夏のインハイ、史上二校目の団体三連覇を目指す白糸台高校にとって予選は通過点だと思いますが。

菫「もちろんこの結果で満足しているわけではありません。ただ、一戦一戦勝ち抜いてこその全国制覇ですから。そういう意味では予選の初戦も、インハイの決勝も等しく通過点です」
695 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/13(火) 23:29:30.08 ID:6vStBoZ20


ーー白糸台は今年も、校内の対抗戦を勝ち抜いたチームが出場しているそうです。
今年のチームの特徴を、弘世部長に聞いてみましょう。

菫「今年のチーム虎姫は、どのポジションでも点を稼げる攻撃的なチームです。
でも隙がないなどとは思いません。大会ぎりぎりまで各自の課題を確認していきます。
少し私見が混じりますが、とても仲のいいチームだと思っています。誰かが万一失敗しても他でカバーできる、そんなしたたかさも見せていければと思います」


ーー今年は男子も個人戦出場を決めています。練習などにも工夫があったとのことですが。

菫「須賀君(須賀京太郎・1年)は部活も熱心に打ち込んでいて、私も実力に手応えを感じていました。それで、早い段階からチーム(虎姫)と一緒に練習することで互いに切磋琢磨しさらに腕を磨くことができました。今回全国大会出場という結果をまず得ることができました。さらに高みを目指して欲しいと思います」
696 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/14(水) 00:16:16.22 ID:Roq/n5od0


ーー弘世部長個人としても、やはりインハイには思い入れがあると聞いていますが。

菫「照(宮永照・3年)と一緒に、3度もこの場に立つことができて光栄に思っています。勝たなければというプレッシャーも感じていますが、負けたくない、という意志の方が強い気がします」

ーー3連覇阻止のために挑んでくる他校へメッセージをお願いします。

菫「絶対に勝つ、なんて大きなことは言えませんが、負ける気はさらさらありません。必ず勝ち上がっていきます」




697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 01:41:24.91 ID:OGH+Fuch0
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 06:21:45.25 ID:PWkaztS8o
乙です
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/21(水) 01:17:39.13 ID:eOOFtJN7o
乙です
700 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/25(日) 23:23:05.34 ID:f3SeXOqL0





照「……」ペラッ



ガチャ
淡「…あれ、テルーだけ?他の人は?」

照「…菫は部長の仕事。尭深と誠子がさっき呼ばれてた。…須賀君は他の人と打ってる、みたい」

淡「そっかー。…ねえねえ、お菓子もらってもいい?」

照「ん」スッ

淡「あーん」パクッ

淡「……んー!おいひい!」

照「そうだね」

淡「やっぱこれだね〜たったらたった♪」

照「……」サクサク
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/25(日) 23:36:28.32 ID:uNdbJyxqo
おっ来たか 舞ってた
702 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/26(月) 00:03:22.13 ID:LzOm3jKi0





照「…インタビュー、どうだった?」

淡「んー、思ったよりラクショーだったよ?」

淡「なんか予選の感想聞かれて、目標聞かれて…」

淡「あと…あ、チームで誰と仲良いかって聞かれたから、みんなって答えた!」

照「…変なこと、言ってない?」

淡「むむっ、テルーまでそんなこと言うなんて…」ヨヨヨ

照「…ごめんね。でも心配だったから」

淡「…あはっ、わかってますよー」
703 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/26(月) 01:06:07.67 ID:LzOm3jKi0



淡「ねえねえ照先輩」

照「?」

淡「私ももっと本読んだほうがいいかなあ?」

照「……一般的には読書は推奨されているし、わたしもお勧めする」

照「…どうして?」

淡「だってテルーはいっつも本読んでる。麻雀強いし成績もいいし」

照「…私は読みたいから読んでる」

淡「えー……読みたいってならない…楽しいの?」

照「楽しい」

淡「即答…」

淡「じゃあ、本とお菓子、どっちかって言われたら?」

照「……」

淡「……ねえどっち?」ズイッ

照「選べない。淡は意地悪」

淡「えーそんなことないもーん」スリスリ

704 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/26(月) 01:28:15.35 ID:LzOm3jKi0



淡「ねえテルー、もう一本ちょうだい」

照「ん」スッ

淡「あむっ」サクサク

照「…まずは読みたい、と思える本を探して読むといいと思う」

淡「はふぉえば?」ポリポリ

照「ミステリーだと続きが気になって読みたくなるかもしれない。東野圭吾とか」

淡「ひがしのけいご…?ちょっと待ってメモする」カキカキ

照「映画やドラマによくなってるから多分わかる…あとはそれこそ見て面白かった作品の原作を読んでみたり」

淡「なるほろなるほろー?」

照「…あとはライトノベルとかは比較的とっつきやすいかもしれない」

淡「らいとのべるって?」

照「うん、例えば…」




705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 06:24:42.64 ID:gX7h3Xuno
706 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/29(木) 00:13:28.81 ID:4sNDvdTE0



淡「誰もこないねー」フニフニ

照「菫も今日はそれぞれでって言ってたから。…なんでほっぺた」

淡「やわらかーい」

照「……」

淡「ぷにぷにー」

照「…暇なの?」

淡「照先輩と遊ぶのでいそがしーい」

照(先輩“で”遊ぶの間違いじゃないかな)

淡「♪」

照(…まあ、別に構わないけど)

707 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/29(木) 00:15:07.10 ID:4sNDvdTE0



淡「テルーもあーん、して?」

照「……」

パクッ

淡「おいしー?」

照「うん」モックモック

淡「ふふっ、よかったー」ニヘラ

照「……」



708 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/29(木) 00:26:45.02 ID:4sNDvdTE0


淡「あーあ、テルーといっつも一緒だったらいいのに」

照「……お菓子があるから?」

淡「それも、ある」ニヒヒ

照「……」

淡「テルーといると楽しいし、怒られないし」

照「私も怒らないわけじゃない」

淡「そうかな?」ハテ?

淡「あとテルーの話はためになる!」

照「…菫の話もちゃんと聞かなきゃダメだよ」

淡「ん、えーっとね…菫先輩だって部長だから厳しく言うんだって、わかってるつもり」

照「…それならいいけど」

709 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/29(木) 00:30:18.90 ID:4sNDvdTE0


淡「そんなのは関係なしに、私はテルーと一緒にいるのが楽しいの」

照「…そう」

淡「…あれー、もっと喜んでもいいんだよテルー?」

照「……」

淡「あっ、照れてる。テルーだけに」ナンチャッテ

照「照れてはない」

淡「うっそだー」アハハ






淡「あーあ、テルーが私のお姉ちゃんだったら良かったのに」

照「……」




710 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/11/29(木) 00:34:55.13 ID:4sNDvdTE0


淡「一人っ子だからよくわかんないけど、ぜったい優しいお姉「ダメだよ」ちゃんに」


淡「……テルー?」

照「…ごめんね淡、ちょっと用事…思い出しちゃった」

照「誰か来たらよろしく言っておいて」

淡「えっ…うん、わかった」

パタパタ
ガチャン


淡「…どうしたんだろ」


711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 02:10:54.10 ID:jma7dFS3o
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 07:23:30.24 ID:UMo/W44vo
おつおつ
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 20:27:16.61 ID:tnsZf/Z8o
京太郎どこ…ここ?
714 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/01(土) 23:58:01.78 ID:cNlGN5vb0



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

京太郎「…それロン!ザンクだな」

「くっ…結局反撃もできないのか」

「や、やっぱり須賀君強くなってる…」

京太郎「うーん、そうかな」

「お疲れさまぁ。うん、私たちも一生懸命やってるからねぇ…上達はしてるはずなんだけどこれだから」

「…前から上手いとは思っていたが、打ち方のバリエーションがますます増えたのでは?」

京太郎「…あ、あざっす」
715 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/02(日) 00:03:41.48 ID:XAKtxQw40



「一軍だと…れ、練習の質が違ったりするのかな…」

京太郎「…やってることはさほど変わらないんだけどな…強いて言えば各自の意識が高いからかな」

「…というと?」

京太郎「漫然と局をこなしていくんじゃなくて、一人ひとりが目標や課題をきちんと持って打ってる…って感じ?そう教わったよ、…あぁ、えっと」

「菫先輩から?」

京太郎「…はい」

「…大丈夫、前みたいに襲いかかったりはしない…菫先輩を悲しませたくないからね…フフッ…」

京太郎(怖えーよ)
716 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/02(日) 00:08:26.17 ID:XAKtxQw40






「やー、ダメ元だったけど声かけてみて正解だったよぉ」

京太郎「どういたしまして、俺もいい練習になったよ」

「またまたぁ、そんなご謙遜を」

京太郎「いやいや。マジでマジで」

京太郎(…この前の今日で、照さんと何話せばいいかわかんなかったしな…万が一二人きり残されるって可能性もあったし)

「ま、また打とうね!私たちも上がれるよう頑張ってるから!」

京太郎「うっす、俺も引き続き頑張るよ」

「もちろんだ。菫先輩を独り占めさせたままにはしない」

京太郎「もしもーし、俺そんなことしてませんよー?」








スタスタ

京太郎(…お世辞抜きにいい練習になったなぁ)ホクホク

京太郎(モチベーションも上げてコンディションも整えて…いい調整具合じゃあないか)

京太郎(さてとりあえず戻って一言入れて帰…あれは)

京太郎(…照さん?)


717 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/02(日) 00:19:59.94 ID:XAKtxQw40




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








唐突に部室を飛び出した私を淡は訝しんでいるに違いなかった。
早足で脇目も振らず部室を飛び出して、勢いのまま駆け上がった階段に足が重くなる頃にやっと、言い訳があまりにもとってつけたものだったことに気づく。
それでもああ言い含めたのだから淡はきっと追いかけては来ない。私の言うことはしっかり聞いてくれるはずだ。



淡『どうしたの、テルー?』

馴れた大型犬のように尻尾をブンブン振っている様を幻視する。
そして、……先の自己嫌悪が宵闇のように降ってきて、息苦しさに私は立ち止まってしまう。

淡には何にも気づいてほしくない。彼女には何の落ち度もないのだから、部室でのんびりとト◯ポでもかじりながら誰かの帰りを待ってればいいのだ。
痛みはここで止めてしまえば、それで何も問題はない。
718 :続きは書き上がったら ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/02(日) 00:54:44.09 ID:XAKtxQw40


問題は…ないはずだった。








「先輩っ!」


よもや今聞くことはないだろうと思っていた、その反面聞きたかったのだろうその声が、私を呼んでいた。
私が名前呼びを禁じて、慣れない苗字呼びをするでもなく ただ「先輩」と私を呼ぶのは、彼しかいない。

恐る恐る振り向いた私は、どんな顔をしているのだろうか。
そして彼はーー









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

俺はいま、どんな顔をしているんだろうか。
どんな顔をこの人に、顔色一つ変えずに泣き出しそうなこの人に見せているんだろうか。





「どう、して」

震える唇はそう象って声が溢れた。
窓の外で季節を主張する蝉たちの声に紛れて今にも溶け入りそうな声を俺は拾い上げる。


「理由があえて欲しいなら、答えますけど」
絞り出したつもりもないのに、走ったわけでもないのに俺の声もどこか掠れている。

「放っておけるわけ、ないじゃないですか…照さんのこと」
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 01:53:00.03 ID:JpQgq9gb0
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 07:47:37.71 ID:Q63Tvx4Yo
おつおつ
721 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/10(月) 23:49:44.66 ID:jwkEoY8i0


表情は表も裏も変わらなかった。堪えているようにも見えた。
時が止まっているような、それでいて何時間も経っているような空間に、俺と照さんの二人だけがいる。
デジャヴを感じて、そこでこの場所が初日に照さんと話した廊下であることに気づいた。





「淡がね、言ったんだ」

雨の振り始めのように唐突に、照さんが言葉を落とした。

「私がお姉ちゃんだったら良かったのに、って」


声が出そうになるのを慌てて飲み込む。彼女の声が、微かに陰る。

722 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/10(月) 23:51:52.83 ID:jwkEoY8i0


「…私は一瞬、それもいいなと思った。……思ってしまった」

「おかしな話だよね…妹を捨てた私が、妹がいればいいのにって」

「照さん」

「甘い言葉にいい気になって、自分のことしか考えてなくて!咲のことも、京ちゃんだって」

「照さん!」



「…あなただって、こんな私に構う必要なんてない」









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それは本当に私の本心だった。

『放っておけるわけ…ないじゃないですか』

今にも泣き出しそうな、それでも確固とした眼でそう言ってくれた彼は…私の大事な幼なじみだ。




大事だから、突き放した。
723 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 00:01:37.61 ID:Aaw4sTE60



かつて自分が心から麻雀を楽しんで打っていた頃、私の傍には咲と、咲に連れられてやって来た金髪の男の子がいた。
私はその子の師匠で、その子は私たちと打つ麻雀が大好きで、私もまたそうだった。

そんな思い出が、あった。
罪悪感にまみれて苛まれながらすべて隠し通して、沈没船の宝のように奥底でひっそりと眠らせていた、そんな思い出。




白糸台での最後の春、私が新入生名簿に見つけたのは妹の名ではなく、その男の子の名前だった。


724 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 00:25:38.45 ID:Aaw4sTE60






ある日の家族麻雀で気づいた、一つの事実。
最初は鷹揚に構えていたつもりだった私は、程なくのっぴきならない状態まで悪化した家庭環境に精神を逼迫されたのか否か、とにかくそのことーーつまり咲が気付かれないように、意図して勝負から降りていることをやがて許せなくなった。それが彼女の高い実力を証明するものだと分かっていて、いっしょに喜んでやることはできなかった。
私はそれまで出したことのないような声で妹をなじり、泣き出した彼女を顧みもせず、数日後別居を決めた母と共に我が家を出て行ったのだった。衝動的な、自己本位な決定だった。

母に肩入れしたかったわけでも父が嫌いだったわけでもない。私はただ、逃げたかったのだ。
725 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 00:35:46.80 ID:Aaw4sTE60



…逃げた後から後悔と罪悪感が追いついてきた。
妹に向けた怒りの感情は、本当は家族内の閉塞感に起因したもので、やり場をなくしたそれは自分自身に向けられるようになった。

得たものは何もなく、残したものが多すぎた。妹と卓を囲む夢を見た。当たり前のように三麻で、もう一人は金髪の男の子だった。照さん照さんと寄ってきて、私は大型犬のように尻尾を振る様を幻視した。
私が連荘する。咲が嶺上開花で和了って、京ちゃんはニコニコ笑っている。そして懸命に抗って、和了りを掴む。

そんな煌めく景色を側から眺めるモノクロの自分がいる。



私が辛抱していたら、私の心が広かったら、私がもっと冷静だったら、私にもっと気遣いがあったら、私が逃げていなかったら、私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が





そうやって私は、私を断罪することで贖っているつもりだった。


726 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 00:51:11.02 ID:Aaw4sTE60



『笑顔のほうがかわいい』というあの一言は、私の脳裏にこびりついているようだった。
人当たりの良さは私が自然と身につけたスキルのようなもので、完璧な笑顔は保険のようなものだった。
その根底に彼がいることはーーそれ自体は嫌なことではなかった。むしろ心地よかったのかもしれない。

いつしかそれは私のアイデンティティの一部となっていった。

そして隠した感情の行き先として、前にもまして創作された世界に耽るようになった。気を紛らわすためでもあったし、図書室通いなら麻雀に誘われづらいと考えたのかもしれない。
ハッピーエンドの物語は苦手だった。自分には掴む資格がない幸せに目眩がして、本をパタリと閉じていた。

それがただの自己憐憫のように思えて、また嫌になった。
727 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 00:56:22.65 ID:Aaw4sTE60


自尊心がそんな具合だったから、こんな自分でも役に立つのならそれでいい……結局麻雀に戻って来てしまったのは宿命みたいなもの、いや呪いというべきかもしれない。
私は好きでもないその競技が得意らしかった。気持ちが空回りするでもなく麻雀部は華麗に勝ち進んで、あれよあれよと全国を獲ってしまった。

一年目は気がつけば参加することになっていて何の気概もなしにそのまま大会を終えた。
次の年はいつも世話をかけている部員と学校のために、そう思って打った。
そして三年目ーー





私は妹の名前を探していた。
728 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 01:11:25.65 ID:Aaw4sTE60

自分は到底許されない、許されるべきではないと感じていて、それを理由に自分から動くことなく逃げ続けていた。
それなのに、夢の中のあの景色をどこかに探している自分がいた。
絶対にないけど、ないけど万が一、万が一咲が白糸台に来たら……私は情けなさに自嘲することしかできない。自嘲しながら眼は懸命に名簿をずっと辿っていて、私は心の底から自分を軽蔑した。



だがあるはずのない、ただほんの少しだけ頭をよぎった名前をそこに見つけて、私はしばし固まっていた。
729 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 01:21:51.54 ID:Aaw4sTE60


懐かしさや嬉しさより先に、「どうして?」という問いが頭の中を巡り巡っていた。
私がかつて一瞥もせずに切り捨てて、本当は今すぐにでも手に入れたかったその景色ーー目の前に浮かんですぐに掻き消える。

会いたかった。でも会いたくなかった。
幻想が壊れてしまいそうで怖かった。「須賀京太郎」はもう私より小さな男の子じゃなくなっているはずだ。
断罪されるのが怖かった。同時に罵ってくれればと思った。そうする権利が彼にはあって、私は初めて許されると思った。








入学式の日の放課後。私は一晩考えに考えた作戦を実行しにかかった。
彼がいるかもしれない。確率に委ねて私は普段使わない階段を降りて行く。そして、



『……照さん』




当たりか外れかわからないくじを引き当てた。
730 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/11(火) 01:37:37.85 ID:Aaw4sTE60



慌てて移動を開始、彼は幸い追いかけてくる。ここまで予定通り。
彼が何かしら質問してきたのでそれなりに答えながら歩みを進める。先輩として無視するわけにはいかない。
それでも、先輩以上であってはいけない。それが私の結論だった。


私がかつて一方的に棄てたその関係性を、どうか昔のように、だなんて虫のいい話だ。
私をいくらでも責め立ててくれるのであればそれで構わない。でも他の人の目があるところでそんな蛮行を彼に犯させるわけにはいかない。
彼がここに来たその理由に私自身が絡んでいることをどうしても否定できない以上、最低限の責任は取りたかった。私のせいで高校生活を棒に振るようなことがあってはいけない。

もし万が一京ちゃんが私を慕ってきてもーーその可能性を私はなぜか否定することはできなかったーー私は彼を二度とは傷つけないという自信が持てなかった。それでも……ただ先輩としてなら、後輩としての彼との距離を保って見守っていけると、この高校生活を通して私はそんな付き合い方を学んで自分のものにしていた。少なくともそのつもりでいた。

だから滅多に人の来ないここまでどうにか連れて来て、必死に追いかけてきた彼のそれでも柔和な表情になぜか納得して、そこでやっと面と向かって、



『京ちゃんなんて知らない』

突き放した、つもりだった。

731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 02:43:05.24 ID:z0rYA8va0
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 06:41:14.92 ID:p+tn5m/no
乙です
733 :つづき ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/18(火) 23:02:00.27 ID:S/YPpj6m0



『先輩…また来ます』


『…あ、れ…?て、る先輩?』


突き放したつもりだったのに。






『何読んでたんですか?』


『…咲が、麻雀部に入りました』


みっともない姿を見せたはずなのに。
734 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/18(火) 23:09:45.47 ID:S/YPpj6m0





『俺は、何かを求めたりしません…そんな立場じゃないですから』



『俺はどうあっても先輩の味方です』

『だから…だから焦らなくていいんです』

『俺、ちゃんと待ってますから』



ちっとも諦めてなんてくれなかった。

735 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/18(火) 23:12:47.29 ID:S/YPpj6m0



まるで最初からそうあるべきだったかのように、京ちゃんは私の傍に来ようとしていた。

麻雀部に入って懸命に練習して昇格を勝ち取った。私たちと一緒に練習を続けて県大会も突破した。
部員のみんなの仲にもすぐに溶け込んで、淡に至っては世話まで焼いてもらっている。
京ちゃんが作ってくれたお菓子は本当に美味しくて、毎日でも食べたいと思った。

気がつけば私の高校生活の一部に彼はすっぽりと収まっていた。彼が一緒にいることに居心地の良ささえ感じ始めて……私は怖くなった。

私はそうあってはいけない。そんな資格は、私にない。




だから再び、

『ね、須賀君』




そして三度、

「…こんな私に構う必要なんてない」

突き放したんだ。
736 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/18(火) 23:44:40.13 ID:S/YPpj6m0








「…今、俺がどんな気持ちかわかりますか」

「……」



私は答えなかった。わざと見ないようにしていたことを、答えられるはずもない。

「悲しいんです。…情けなくて」

「……」

「情けないですよ、俺は。気づけないなんて」




「…どう、して」

声が震えているのが自分でもよくわかった。

「どうして…どうして、私を責めないの……ひどいことして、この前だって」

「照さん」

遮るように私を呼んだ彼は、いつになく真剣な眼をしていた。卓を囲んでいる時ともまた違う、冷たく燃える蒼さをそこに見た気がした。

737 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/19(水) 00:24:07.92 ID:17YV/tSO0




「…俺もずいぶん自分勝手な奴なんですよ。照さんがそうだって言うなら、俺だってそうです」

「なに…を…」

「今だから言いますけど…本当は照さんに会いたかったから来たんです。ここに」

息が止まりそうになった。変わらず見つめてくる瞳に耐えられず顔をそらす。




「…咲に頼まれたのは事実です。でも…あいつがなんて言おうと、俺は追いかけてきてたでしょう。あいつの優しさにつけ込んだって言っても、間違いじゃない」

最後は自嘲するように、そう付け加えた。

738 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/19(水) 00:36:27.70 ID:17YV/tSO0



私はなにも言えずにいた。何を言えばいいというのだろう。
戸惑いを察したのか彼は「すみません、変なこと言っちゃって」と一呼吸置いて、でも、と続けた。


「照さんがどう思っていようと、俺は照さんのことを怒ったりしてません。咲だって…きっとそうです」

「なんでそんな」

「言わないとわからないじゃないですか!」

「……」

無人の廊下に大きく響く。




「…言わないと、わからないじゃないですか…誰にも言わず一人で悩んで隠し通して…そんなの苦しいじゃないですか」

「俺はそんなに信用できないですか…照さんを傷つけるためにわざわざ来るなんて、そんなことすると思って」

「そんなことない!」

「……」

私の声もまた、じんじんと響いた。

「そんなこと、ないよ…だって、私は」

「私は……」

739 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/19(水) 00:39:20.21 ID:17YV/tSO0


私は、何を言えばいいのだろう。

何を求めている?

何のためにここにいる?


なぜ京ちゃんの声が、聞きたかったんだろう。





「私は……あなたと咲にひどいことをした」

「全部捨てて、逃げたの」

「…そんなことない」

「あるよ」
740 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2018/12/19(水) 01:09:19.23 ID:17YV/tSO0


言葉が後から後から溢れ出てくる。


「悪いのは私。謝らないといけないのも私。それなのに逃げ続けたのも私」

「わかってる。私が間違え続けていなければ、こうはならなかったってこと」

「だから…いくら罵られても、なじられても構わない。そう思ってた」


「それが罰だと思った……でも、あなたはそうじゃなかった。それが嬉しかったけど、哀しかった」



「……それなら…照さんが自分を許せないなら、俺が許します」

「多分そのために来たんです、俺は。この白糸台に」


「だから、…ハンカチありますから、拭いてください」

そう言われて初めて、自分の頬に伝う一雫に気づいた。






「ねえ、京ちゃん。…胸貸して」


差し出されたハンカチを見ないふりして、返事も聞かずに押し付けた。

741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 02:22:39.49 ID:+2dAVcrU0

盛り上がってきたな、続きが楽しみ
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 07:29:58.74 ID:9nP3s8+eo
乙乙
山場だよー
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 00:56:12.63 ID:PqqWCl+eo
そろそろあわあわもアワアワするべきでは?
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 08:40:03.80 ID:2xAMRrkn0
乙乙
745 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/07(月) 00:14:48.07 ID:UL3TYvlA0



京太郎「あの…照さん?」

照「…だめ?」モゾモゾ

京太郎「だめじゃないです、けど」

照「…優しいね、京ちゃんは」



照「……ずっと、こうだったね」

京太郎「……」

照「我儘言って京ちゃんに迷惑、かけて」

照「…散々過去をなかったことにしようとして、そのくせ負担は京ちゃんばっかりにかかって」

照「…ズルいのは、私の方」

京太郎「……そんな、こと」

746 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/07(月) 00:28:07.56 ID:UL3TYvlA0



照「…春にここで会ったこと、覚えてる?」

京太郎「…忘れもしませんよ」

照「……ひどい人だよね、心細い新入生に案内の一つもすべきなのに、あんなこと言って」

京太郎「そんな」

照「名前の呼び方だって、そう」

京太郎「……」

照「怒っても…当然なのに」


スッ

照「……どうして撫でるの」

京太郎「…嫌だったらやめます」ナデナデ

照「…嫌じゃない、よ」
747 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/07(月) 01:07:14.57 ID:UL3TYvlA0

京太郎「…照さん」

照「京ちゃんも」

照「…京ちゃんの気持ちを聞かせて。その時の、本当の気持ち」

京太郎「……正直に言うと」

京太郎「ちょっと、寂しかった」

照「……」

京太郎「…照さんに何か考えがあるって思ったのは、本当で…覚えていてもらってたことは嬉しかったんです。それでも」

照「寂しかったね」

京太郎「……はい」

照「…当然、だよ。そう感じるのが、当たり前なんだよ」

照「京ちゃんの気持ち…見ないふりしてたんだ、私」

照「…ごめんね」

京太郎「照さん…」

照「私を、許して」

京太郎「そんな、もう…もちろんですよ」ナデナデ
748 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/07(月) 01:35:26.48 ID:UL3TYvlA0






京太郎「…すごい今さらですけど」

照「?」

京太郎「俺けっこう汗かいてた気が」

照「気にならない」

京太郎「…この格好のまま誰か来たら言い訳できないと思うんですけど」

照「言い訳が必要なやましいことはしていない。それとも、何かあるの?京ちゃん」

京太郎「いや、ない、ないですけど」

照「…ここは滅多に人来ないし、土曜日だから大丈夫。何してもわからないよ」

京太郎「何もしませんよ!」

照「そう」

京太郎「そんな冗談飛ばせるなら、もう大丈夫ですよね」

照「…待って」

照「まだだめ。ひどい顔になってる」

京太郎「そんなことなかったと思うんですけど…」

照「だめなものはだめ」

京太郎「…はい」


749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 02:51:28.81 ID:yWTChXEf0

これまで我慢してきた反動からか破壊力がすごい
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 03:03:44.24 ID:DPsLxjIXo

ひどい顔とは
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 03:49:31.27 ID:z/cMBS470
この瞬間をあわあわに見られるんですねわかります
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 06:27:20.17 ID:iby7ilKuo
たまらん 乙
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/09(水) 12:33:18.91 ID:ACk39ir5o
テルーに抱きつかれながら何してもわからないよって言われてなにもしない自信があるか?いや俺にはない
754 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/13(日) 23:21:55.39 ID:nhSEnHCv0






京太郎「…落ち着きました?」

照「問題ない」フンス

京太郎「荷物、部室に置きっぱなしですよね?今ケータイ見たら部長から連絡来てたんで簡単に返したんですけど」ポチポチ

照「…あっ、私にも来てた。ごめんねスタンプ連打しとこう」テイッ テイッ

照「…京ちゃんは?」

京太郎「俺はこの持ち歩いてるのだけなんで…二人だけでどこかにふけてるとかは思われないはず、多分、メイビー」

照「別にそれならそれでもいいのに」

京太郎「…あんまりそういうことは迂闊に言わないほうがいいかと」

照「京ちゃんにしか言わないよ?」

京太郎「……っ」

照「こうやって京ちゃんとちゃんと話したいって、ずっと思ってたから。気持ちが昂ぶってるかもしれない」

京太郎「……」
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 23:27:07.22 ID:ZaCP76l0o
あら~
756 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/13(日) 23:32:16.22 ID:nhSEnHCv0


照「ねえ京ちゃん」

京太郎「…何ですか」

照「本当はもっと…ちゃんとした形で謝りたいけど、今言わなきゃいけないことがほかにある」

照「ありがとう京ちゃん。あなたが私を、一人殻に閉じこもってた私を引っ張り出してくれた」

照「諦められても仕方がなかったのに、京ちゃんが諦めてくれなかったから」

京太郎「…照さんが教えてくれたんですよ、諦めの悪さは」

照「…そうだっけ?」

京太郎「きっと上達するからって、そう言ってずっと、格下の俺の練習に根気強く付き合ってくれたのは誰でしたっけ」

照「…懐かしいね。もうずっと前のことみたい」

京太郎「でもついこの前のようにも感じる」

照「京ちゃんは変わったけど…変わってないね」フフッ

京太郎「照さんも」フッ
757 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/14(月) 00:29:56.40 ID:JOOJhmPG0


照「……」

京太郎「……」

照「…咲の、ことだけど」

京太郎「……はい」

照「…まだ、間に合うかな」

京太郎「あいつはずっと、待ってますよ」

照「…そっか」


照「…大会が終わったら、会おうと思う」

京太郎「…そうですか」

照「京ちゃんも、いてくれるよね」

京太郎「いいんですか」

照「私はいてほしい」

京太郎「…咲に伝えておきます、OKもらえたら俺も一緒にって事で」

照「わかった。…ありがとう、京ちゃん」

京太郎「こちらこそ、本当に…本当に、ありがとうございます」

照「うん」ニコッ

京太郎「……」
758 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/14(月) 00:55:52.57 ID:JOOJhmPG0


照「…どうしたの?」

京太郎「いえ、相変わらずだなぁ、って…こっちの話です」

照「そう?笑ってたほうがいい?」

京太郎「あ…はい、その話です」

照「笑ってたほうがいいんだ」

京太郎「あの…なんていうか、ですね」

照「……?」

京太郎「いや、上手く言えないというかなんというか…照さんはやっぱり照さんだなって」

照「…そう」

京太郎(あぶねぇ、笑顔がかわいいだなんて…迂闊なこと言うとこだった)

759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 01:10:59.74 ID:UucWpC//o
淡→京太郎←→照の関係とかほんと好き
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 01:23:45.48 ID:/PoLYMo7O
両方可愛いし美人だしうらやましいぞ京ちゃん!
761 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/14(月) 01:25:06.91 ID:JOOJhmPG0








京太郎「お疲れ様です、先輩」

菫「ん、来たか。照は?」

京太郎「えっ、まだ来てないんですか?先に出たはずなのに」

菫「えっ」





菫「…電話も出なかった」ハァ

京太郎「すみません、二人揃って出歩くのは誤解を招きそうだからって…俺が余計なこと言ったから」

菫「まあ、わからなくもないが…流石にここに来るのに迷子になることはないと思う…思いたいんだけど」

京太郎(言い直した)

ブゥゥッ ブゥゥッ
菫「…!照からだ、ちょっと出てく…」

照「あっ、菫お待たせ」

菫「」



762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 03:01:10.43 ID:WVn1Ks950
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 11:29:18.02 ID:9dvz32Soo
764 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/23(水) 23:25:24.33 ID:wtbywrOJ0



菫「…来る途中で匂いにつられて洋菓子店に入って物色してた?」

照「うん」

菫「ここでケーキ食べるって分かってるのに…よくもまあそんな」

照「ケーキは買ってないよ?クッキーとかマドレーヌとか」

菫「そういう問題じゃないんだが」ハァ

京太郎「部長、別行動した俺に責任があるんです。どうかその辺で…」

照「京ちゃんは優しい。ほら、このケーキ美味しいからオススメだよ」

菫「君は照に甘いんだ、前にも言ったけど」

京太郎「すんません」

照「ごめんね菫」

菫「…まあいいんだ、いつものことだしな」

京太郎「…すみません、今までもこうしてご迷惑を…」

菫「君が気にすることじゃあない」フリフリ

照「そう、京ちゃんは何も悪くないから」

菫「お前は少しは反省しなさい」

照「はーい。そうそう、二人にも買ってきたから後で分けるね」

京太郎「ははは…」
765 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/23(水) 23:33:33.38 ID:wtbywrOJ0






京太郎「美味しいですねこれ。流石照さんのオススメ」

照「当然」モキュモキュ

照「…私のも美味しいから、一口食べる?」

京太郎「あ、じゃあこっちの方からちょこっと失礼…ん、美味い」

照「そう、このしつこくない甘み、ベリーの酸味とマッチしてる。生地の作りも丁寧で」

菫「…そろそろ本題に入ってもらえないかな」

照「…?そっか、私が呼んだんだった」パチン

菫「頼むよ…で、話ってなんだ?だいたい想像はつくけど」

照「えっと、報告と、相談」




766 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/23(水) 23:43:04.36 ID:wtbywrOJ0



京太郎「そうだ、部長に相談があるんですよね?」

照「……ギャグ?」

菫「……ぷっ」

京太郎「え…あ、いや、そんなつもりじゃなくて」

菫「くくっ…何かと思った、…ふふふっ」

京太郎「えー…先輩のツボがわかんねぇっすよ…」



菫「…あー、おなか痛い。すまなかったね」

京太郎「いや、なんか俺もすみません」

照「…もう大丈夫?」

菫「大丈夫大丈夫」

767 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/23(水) 23:49:56.39 ID:wtbywrOJ0




照「…大きく分けて二つ」

照「一つ目。インハイ後に妹に会って話したいと思ってる。問題ないかな?」

菫「白糸台麻雀部として、ということだな」

照「そう」

菫「大会中なら用心もするが…大会後なら特に。須賀君も同席するんだろう?」

京太郎「一応そのつもりです」

菫「それなら安心だ。…もとより姉妹二人、そして君たちのことだ、見知らぬ誰かが入るのはおかしな話だろう」

照「ありがとう、菫」
768 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 00:04:03.74 ID:ynFxmHUI0



菫「…妹さんといえば。長野県予選決勝の牌譜を取り寄せてみたんだ。…ほら」ガサゴソ

京太郎「ありがとうございます、どれどれ…おう、咲はさすが。衣先輩を越えてきたか」

照「天江衣…いつそんなに親しくなったの、京ちゃん」

京太郎「えっ…あー、去年のインハイ後に初めて会ったっけ…」

照「…名前で呼ぶ仲だなんて、聞いてない」ムスッ

京太郎「あ、いや…先輩がそう呼べと言われたので…そんな深い意味はない、ですけど」

菫「須賀君は先輩には逆らい難いんだろう?かつて運動部だったと聞くし」

京太郎「あー…なるほど、それはあるかも」

照「…そう、ならいい」テルテル

京太郎(先輩ナイス!)メクバセ

菫「それなら私を名前で呼んでもらっても差し支えないわけだな」

京太郎(おい先輩!)
769 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 00:06:55.78 ID:ynFxmHUI0



菫「嫌なのか?」

京太郎「いえ、そういう訳では…でも…」

菫「でも?」

京太郎「いや…照さんが」

照「…?呼んであげたら?」

京太郎「え?でもさっき衣先輩のことは」

照「…嫌だった訳じゃない。ただ、私の知らない京ちゃんがいたから、ちょっとびっくりしちゃっただけ」

照「京ちゃんのこと、もっと知らないとね」

京太郎「……っ」

菫「あー暑い暑い、アイスコーヒーにして正解だったよ」ニヤッ

京太郎「なんなんですかもう…」

770 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 00:09:54.94 ID:ynFxmHUI0



菫「それはさておき。わかってはいたが反応薄かったな…嶺上開花連発とかえげつないことやってるんだが」

照「…あの子は強い、から。ブランクだけ心配だったけど、驚くほどじゃない」

京太郎「心配、してたんですね」

照「……まあね」

菫「去年のインターミドルチャンピオンがいるからな、マスコミはそちらに注目しているみたいだ。副将の…」

京太郎「原村…和、ですか」

菫「他の打ち手もレベルは高い。あの龍門渕を倒してきただけはあるな」

京太郎「いいところまで来るでしょうか」

菫「さて。こればっかりは勝負の運だから、なんとも言えないな。十分あり得るとは言っておこう」

照「…多分、勝ち上がってくるよ」

京太郎「俺も直接対決は見たいですけど…」

菫「当たっても妹さんと打つのは淡だけどな」

照「……そこまでは考えてなかった」
771 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 00:14:45.14 ID:ynFxmHUI0







照「…二つ目。京ちゃんのこと」

菫「京太郎君がどうかしたのか?」

京太郎「ちょっ、マジで名前呼びするんですか」

菫「嫌ならやめるけど」

京太郎「そんなことはないですけど」

照「リピートアフターミー。菫先輩」

京太郎「照さんまで……菫先輩?」

菫「…おお、新鮮」

京太郎「そう呼べと言われれば呼びますよ、そんな」

菫「さっきは躊躇っていたじゃないか」

京太郎「だからそれは照さんが…もう!」

照「……」モックモック

京太郎「照さんも追加のケーキ食べてないで話進めてください!」
772 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 00:37:34.53 ID:ynFxmHUI0


照「ふう、やっぱりここのケーキは美味しい…そうだった、京ちゃんのこと」フキフキ

照「…咲と向き合うことにした以上、京ちゃんとの関係を伏せておく意味はないわけだけど…どうしようかなって」

菫「…関係って?」

照「?元から知り合いだって話」

菫「なんだ…てっきり交際報告でもしてくるのかと…」

京太郎「こう、さい…?……いやいやいや!それはないでしょう」

菫「そんなに否定しなくてもいいじゃないか」

京太郎「いや、だってそん、そんな…」

照「…菫はそういう話が好きだから。しょうがない人」フフッ

菫「別にそういう…まあいい」

京太郎(いや絶対好きだろ…俺は詳しいんだ。見ろこのちょっとガッカリした顔)

京太郎(照さんは…)

照「……」モックモック

京太郎(…いいや、考えるだけ無駄なんだ、無駄無駄…)チュー
773 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 00:59:05.73 ID:ynFxmHUI0



菫「…個人的な意見だが、どちらでもいいんじゃないだろうか」

照「どちらでも」

菫「ああ。春ならともかく、数ヶ月過ごした今なら特に違和感はない。照と京太郎君は親しい先輩後輩の仲に見えるよ、十分」

京太郎「そうですかね」

菫「いやまあ、さっきのような仲睦まじさからすると物足りない?かもしれないが」

京太郎「仲睦まじいって…」

照「……」

菫「…うん、とりあえず呼び方をどうするか、だな」
774 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/24(木) 01:12:34.15 ID:ynFxmHUI0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京太郎「おはようございまーす」

誠子「おっはよ。…朝から元気だね」

京太郎「あー、うるさかったらすみません」

誠子「いやいや、若いのが元気なのは大いに結構。騒げ騒げ」ハッハッハ

京太郎「…俺たち一つしか変わんないですよね…」


尭深「…須賀君、来てたんだ」

京太郎「あぁ先輩も。おはようございます」

尭深「私たちが頑張ってないと、示しもつかないから。三年も引退しちゃうし」

京太郎「…次期部長はもう?」

誠子「何にも言われてないんだな、これが」

尭深「インハイが終わって、解団式か打ち上げかの時に指名するとかなんとか…」

京太郎「でもお二人のうちどちらかでしょう?」

誠子「やー、どうだろうね。私なんか今後もレギュラー取れるかわかんないし」

京太郎「…いやいや、大会前からそんなこと言わないでくださいよ」

775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 02:50:21.73 ID:0fkp+mDg0

ケーキ交換したりナチュラルにイチャついてるよあの二人
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 05:00:47.58 ID:Rqstgk3so

部室で京ちゃん、って呼ぶだけでざわってなりそう
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 10:20:07.20 ID:noPbTVnho
778 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/25(金) 00:28:10.59 ID:ogDL7H8f0
取り急ぎ訂正
>>765>>766の間に




菫「…そうか」

照「菫にもたくさん迷惑かけたし、特に京ちゃんのことはたくさん気を遣ってくれたから…すぐに言っておこうと思って」

京太郎「本当に…部長のおかげです」ペコリ

菫「当然のことをしたまでだ、そんな……でも本当に良かったな、須賀君」

京太郎「はい!ありがとうございました!」フカブカー

菫「全く…そんなに頭を下げられても困るよ、せめて個人戦優勝でも持って帰ってきてからにしてくれ」フフッ

京太郎「それはハードル高いっすね…が、頑張ります」

照「……」モックモック

779 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/25(金) 00:57:31.64 ID:ogDL7H8f0
>>774から続き




ガチャッ

菫「おはよう…まだ揃っていないか」

照「……おはよう」トコトコ

「「「おはようございます」」」


菫「淡は何してんだ…京太郎君、淡が遅れるとかそういうことは聞いてないか?」

京太郎「いえ何も。…あいつが連絡してくると思います?」

菫「期待はしていないが、念のためな」


誠子「……今の聞いた?」ボソボソ

尭深「うーん?」

誠子「うーん?じゃなくてさ…なに、寝ぼけてんの?」


780 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/25(金) 01:05:59.78 ID:ogDL7H8f0



京太郎「既読つかないっすね…寝てんのかな」

照「電話してみようか」ポチポチ

照「…出ない」

京太郎「あいつ、確かマナーモードにしっぱなしだったような」

照「…詳しいね」

京太郎「同じクラスなんで…菫先輩、どうしましょうか」


誠子「ほら!また」ボソボソ

尭深「どうしたの、さっきから」

誠子「…えぇー」


菫「…ほらそこ二人、話聞いてたか」

尭深「あっはい、お湯沸かしてきますね。ほら誠子も」

誠子「えっ、はーい。…なんだよ私がおかしいのか…」ブツブツ
781 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/25(金) 01:31:27.77 ID:ogDL7H8f0






ドタバタ ガッシャ-ン

淡「淡ちゃん遅れて参上!」ピキ-ン

淡「…ってなにこれ!」

京太郎「おっす、遅かったな」

淡「おっす!おら淡!…じゃなくて!なんかすごい甘い匂いがするんだけど」

照「遅かったね淡。寝坊?」

淡「そう!昨日スマホいじってたら夜更かししちゃって……テルーなんか食べた?」

照「えっ」

京太郎「照先輩こっち向いて。…口元に付いてます」フキフキ

照「むっ、拭くくらい自分でできる。私は子供じゃないよ京ちゃん」

淡「えっ」

京太郎「わかってますって。ほら、せっかくの紅茶が冷めちゃいますから」

照「それは勿体無い「待って待って待って!」
782 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/25(金) 01:38:15.87 ID:ogDL7H8f0

淡「なんでお茶会してるの?すっごいずっこい!それに京太郎とテルーの呼び方変わってる!」

誠子「あぁ、ようやく理解者が…」

尭深(そういえばそうだったっけ、でも部長も照先輩も違和感なかったというかなんというか)ズズッ

スタスタスタ

菫「お茶会は私が発案した」

淡「す、スミレ…先輩」

菫「時間より早く集まりやる気を見せてくれてる部員たちの士気を上げたいと思ったんだ…それに」

ズビシッ

菫「この大事な時期に遅刻してくるお嬢様に思い知ってもらうため、かなぁ。なあ淡」

淡「ひっ」
783 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/01/25(金) 01:47:29.09 ID:ogDL7H8f0

菫「ひっ、じゃないんだ淡…一時間半も遅れて連絡もなし。その罪は重いぞ」ユラリ

淡「ご、ごめんな、さいぃ…」



誠子「はい、淡の分の白湯」

淡「ううぅ…はい…」

尭深「ごめんね淡ちゃん。部長から言われたと思うけど、今日はお菓子あげられないの」

淡「ああぁ…はい…」

照「……」ブルブル

京太郎「照先輩が怖がってどうするんですか」

照「だってお菓子なしだよ…人生が終わってしまう、暗闇の底に真っ逆さまだよ…?」

京太郎「…ノーコメントで。菫先輩、続き行きますか?」

菫「そうだな、全員揃ったことだし、本腰入れていこうか」


784 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2019/01/25(金) 01:51:04.00 ID:ogDL7H8f0
ここまでです
三ヶ月ぶりくらいにキリよく終われた
次回インハイかもうちょっと何か
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 02:24:37.88 ID:HHxOQHgA0
テルーがテルーで笑った
おつ
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 03:52:08.81 ID:Z96YFPVJ0

淡はお菓子なしどころか白湯なのか…
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 06:26:25.48 ID:6VxmC006o
乙です
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 07:13:04.94 ID:+yoILxYVo

白湯おいしいやん!
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/14(木) 01:14:09.61 ID:oq20hCQ+0
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 17:17:41.46 ID:07EUpscU0
乙ですな!
791 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/16(土) 23:57:09.49 ID:pmC94pj/0


ーーーーーーーーーーーーーーーー




菫「淡」

淡「はーい?」

菫「照」

照「…何?」

菫「…大丈夫だな。じゃあ行こうか」

淡「ちょちょちょ…なんで?なんで私とテルーだけなのさ!点呼しようよ、ほら、ばんごー!って」

尭深「あまり大声だと迷惑になっちゃうよ、駅なんだから」

誠子「しーっ!」

淡「…ばんごーっ」ボソボソ


淡「…だれかノってよっ」

京太郎「大人しくしときなさいっ」コラッ

792 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 00:06:22.75 ID:1zmifRUu0



ガタンゴトン ガタンゴトン

菫「…やれやれ、京太郎君がいて助かったよ」

尭深「二年が頼りなくてすみません」

菫「…ああ、そういうことじゃあないんだ。すまないな」

誠子「他の部員は試合の日だけ来るんですよね?何人か来れれば分担できたんですけど」

菫「お世話係か?照と淡は三人ずついても足りないかもな」

誠子「ぶふっ」

照「誠子、あとで特打ち」

誠子「ぐふっ、先輩聞いてたんですか…」

菫「冗談はさておき…淡はあれで人見知りするからな」

尭深「…そうですね」フフッ
793 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 00:18:18.06 ID:1zmifRUu0



淡「ねえねえ、まだ着かないの?」

京太郎「…五分ごとに聞いてくるのやめてくれないかなぁ?」

淡「だってー…ヒマなんだもん」ムスッ パタパタ

京太郎「照先輩を見習え、ちょっとした時間見つけて今も本読んでるだろ」

淡「本なんて持ってきてないし…そういうきょーたろーこそ」

京太郎「甘いな、淡」ガサゴソ スッ

淡「そ、それは!」

794 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 00:45:16.66 ID:1zmifRUu0


>先輩お薦めの一冊だ、読みたいから静かにしてろよ
>ぐぬぬ…


照「……」

尭深「先輩、お茶飴いかがですか」

照「ありがとう」スッ ハムッ コロコロ


照「……」ペラッ

尭深「…先輩って、須賀君と結構仲良いですよね」

照「……そうかな」

尭深「私にはそう見えます」ニコッ

照「…そう」パタン


795 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 01:10:42.78 ID:1zmifRUu0

照「…おかしいかな」

尭深「いえいえ。…頑張ってますよね、須賀君」

照「…そうだね」



菫「…日程は大体そんな感じかな。把握して気掛けてもらえるか」

誠子「わかりました。…けど」

菫「…何か不服か?」

誠子「違います違います!その…なんで私なのかなって」

菫「私はこれでも期待してるんだ、亦野。今後のこともあるし」

誠子「……それって」

菫「ま、頑張ってくれ。程々でいいからな」ポンポン

誠子「は、はいっ!」
796 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 01:25:37.79 ID:1zmifRUu0



淡「スミレー!きょーたろーがいじめる!」

菫「お前をいじめる程暇じゃないだろ。疲れるから少し休んだらどうなんだ?」

淡「むぅー……もういいもん」プイッ

尭深「淡ちゃーん、飴ー」

淡「わーい!」

誠子(ちょろっ)
797 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 01:28:36.17 ID:1zmifRUu0





京太郎「……」ペラッ

京太郎「……?……!」

京太郎(『まだ早い』ってまさかそういう…)

京太郎「……」チラッ

照「……」チラッ プイッ

京太郎(一瞬目が合った…気のせいか)

京太郎「……」

チラッ

照「……」プイッ

京太郎(…気になるんですが)

>次はー新宿、新宿


誠子「乗り換えですね、荷物確認しましょう!」

淡「着いたの!?」

京太郎「乗り換えだっつーの」パタン ガサガサ

京太郎(…後で訊くか)
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 08:09:34.58 ID:niL+y1+do
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 10:18:29.83 ID:hg5J4A++o
800 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 23:37:36.31 ID:1zmifRUu0







淡「着いたー!」

尭深「暑かったね…」パタパタ

誠子「そんなに歩いてないじゃん…暑がりめ」


京太郎「無事、着きましたね」

菫「ああ、助かったよ。荷物もいろいろ任せてしまって」

京太郎「このくらいなんでもないですよ…男手に頼ってください」

菫「ありがとう。お陰で誰もはぐれずに済んだし」チラッ

照「?」

菫「…フロントに行ってくるよ。亦野、一緒に来てくれるか」

誠子「はーい。荷物よろしくね、尭深」

菫「…よろしく頼むよ」メクバセ

京太郎「…目を離さないようにしときます」メクバセ

照「?」


801 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/17(日) 23:59:10.18 ID:1zmifRUu0



淡「テルー、きょーたろー、こっちこっち!フッカフカだよー」ブンブン

京太郎「…ですって。一旦座りましょう」

照「……」ジー

京太郎「…照さん?」

照「…甘い匂いがする。レストラン…ランチのデザートかな」

京太郎「お昼食べてないんですか?」

照「ううん。でも別腹だから」

京太郎「…後でコンビニでも付き合いますよ」

照「京ちゃんは分かってる。約束だよ」


>早く早くー!


802 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/02/18(月) 01:42:26.97 ID:X6KMOLeB0






コンコン

>菫、私

菫「はいはい…よっと」ガチャ

照「頼まれた分、買ってきたよ」

京太郎「…俺が部屋に入っても大丈夫ですかね?」

菫「今更何言ってるんだ…ほら入って入って。買い出し助かったよ」

京太郎「じゃ失礼しまーす…」



ガサッ

菫「…一つ多くないか」

照「……気のせい」

菫「…おい」

京太郎「……すみません、つい」

菫「君は照に甘いんだ…分かっていたんだよそんなことは…」アタマカカエ

照「…ごめんなさい」

菫「…いいよもう…食べてしまえ、淡が来たらまた面倒なことになる」

照「お言葉に甘えて」シュタッ




803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 08:24:29.52 ID:YuZVCbeT0
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 08:27:48.66 ID:FugcyUiqo
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 08:41:42.07 ID:rTPgdbjkO
乙です
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 19:57:42.62 ID:jUEb/AAkO
照に甘い京ちゃんが可愛い
807 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 01:36:40.66 ID:Xwn8cDMo0







淡「おいしー!」パクパク

照「最近のコンビニスイーツはバカにできない、つい手が伸びる」モックモック

菫「…本来の目的を忘れてもらっちゃあ困るんだが」

尭深「先輩、紅茶入れたのでどうぞ」コトン

菫「…いただこう。さて今後の予定の再確認だが、亦野」

誠子「あ、はい…明日抽選会と開会式です。うちはシード校なので日程は確定済みですが」

淡「くじ引きたかったなー」ハムハム

誠子「…うちの初戦は5日目です。同じブロックの試合が初日にあるので少なくともそこは観戦する予定…です」

808 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 01:39:30.87 ID:Xwn8cDMo0


淡「はいしつもん!」ハイッ

菫「何だ」

淡「じゆーじかんはありますか?」

菫「観戦、対戦相手の牌譜研究、調整目的の練習は揃って行うからそれ以外の時間、ということになる」

菫「ただし勝手に出歩いたりするのはダメだ。必ず私に一声かけること、可能なら二人以上で行動すること」

菫「あと肝心なのは他校の生徒と打たないこと。規約に引っかかるから最悪出場停止だ」

淡「へー」

誠子「お前が一番心配なんだけどなぁ」ハァ

淡「?」
809 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 01:44:01.99 ID:Xwn8cDMo0



菫「あとまあ…これは顧問からのお達しなんだが…」

菫「不純異性交遊が疑われるような行為をしないこと。具体的には…京太郎君と部屋に二人きりといった状況にならないこと」

京太郎「…やっぱりまずいじゃないですか!」

菫「一対一じゃないからな、問題はない」

淡「二人きり……はっ!きょーたろーのケダモノ!フケツ!」

京太郎「何もしてねーだろうがっ」

尭深「襲われないように、気をつけます」ニコッ

京太郎「ひどい!」

誠子「まっ、そこは須賀の良識を信じるとして」

京太郎「先輩…」

810 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 01:44:51.42 ID:Xwn8cDMo0



照「……菫」

菫「どうした…あ、なるほど」ポンッ

菫「一緒に買い出しとか、いつもやってるような事は構わないさ。京太郎君をのけ者にしようだなんて誰も思ってないんだから。先生方も心配しての発言だろうし」

京太郎「菫先輩…」ウルウル

照(……よかった)


菫「とにかく、白糸台高校の生徒として、また麻雀部の一員として自覚を持って行動すること。以上だ」


「「「「「はい」」」」」
811 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 01:46:08.12 ID:Xwn8cDMo0



淡「なんかお腹空いちゃった。…このミニドーナツ開けていい?開けていいよね?」

照「いいよね、菫」ガサッ

菫「またそうやって便乗する…構わないが、やることやりながらだ。タブレットを出してくれ」

ピロン

菫「シード校中心に戦力分析しようと思う。送った資料の1ページ目、臨海高校から順に」

淡「うぇ…今やるの」

菫「どうせするんだからな。今日は最初だから肩慣らし程度だ…今持っているドーナツ一個分くらいの仕事はしてほしい」

淡「うー…はぁい」

菫「さて、予選の結果から見ていこうか。特にこの…」



812 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 01:54:41.98 ID:Xwn8cDMo0
ーーーーーーーーーーーーーーーーー


京太郎(部屋風呂ってどうも開放感に欠けるよな)ガチャン

淡「あ」

京太郎「ん?」



ドアガシマリマス
ウイ-ン

淡「キグーだね、のどかわいたんでしょ」

京太郎「…淡が正しく言葉を使えるとは…お兄さん嬉しい」

淡「なにか言った?」

京太郎「なーんにも。風呂上がりはこう…一杯、いきたくね?」

淡「おっしゃる通り!」

チ-ン
813 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:00:14.49 ID:Xwn8cDMo0



チャラン チャラン

京太郎「…ほら、どれにする?」

淡「えっ?」

京太郎「飲むんだろ?いいよ、一本くらい」

淡「…じゃあ、コーラちょうだいっ」

京太郎「はいはい。俺もコーラにしよ」ピッ ガチャン ゴン

淡「……」

京太郎「ほらよっ」ズイッ

淡「…ありがと」

淡「ねえ、…ちょっとおしゃべりしようよ」

814 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:12:58.89 ID:Xwn8cDMo0



「「かんぱーい」」ポコン

京太郎「…ペットボトルで乾杯ってのもなんかな」シュッ

淡「いいのっ…プハッ、うぇー」

京太郎「最初は炭酸がキツいだろ?ちょっと置いてから飲めば……ふぅ、ウェってならない」

淡「…マジか」

京太郎「マジマジ。考えたことねーだろ?」

淡「…なんかバカにされてる」ジト-

京太郎「あれ、違った?」

淡「このヤロー!」ガバッ

京太郎「おっと…暴れるとせっかくのコーラが台無しになっちゃうぞーいいのかなー」

淡「ぐぬぬ…覚えてろ…」

815 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:13:59.63 ID:Xwn8cDMo0





京太郎「淡はさー」

淡「うーん?」

京太郎「緊張とかしないの?」

淡「なにがー?」

京太郎「大会だよ大会……プレッシャーとか、ないの?」

淡「えっ、きょーたろーもしかしてキンチョーしてる?」ズイッズイッ

京太郎「多少はね…そりゃあさ、俺は個人戦だから負けたら自分の責任っていうか…」

京太郎「でも団体戦って、他のメンバーと責任を共有する…自分が良くても他の人がダメかもしれないし、逆もあるかもしれない。そう考えると、より重いものを背負ってるんだなって」

淡「…むずかしいこと言ってたらキリがないよ」

淡「負けないよ。だって私は強いし、虎姫は強いから」

京太郎「…強いな、お前」

淡「でしょでしょー、もっとほめろー」エッヘン
816 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:20:48.75 ID:Xwn8cDMo0



淡「そうだ!勝ったら何かごほうびちょーだい」

京太郎「…負けないって言ってその流れでそれ?」

淡「…ダメ?」

京太郎「ダメとは言わないが…団体優勝したら、って事で。何がいい?」

淡「やった!えっと…んー…ご飯食べに行く、とか?」

京太郎「飯か…まあいいけど」

淡「ほんと!?んふふ、どこ行こっかなー」

京太郎「もう勝ったつもりでいやがる…あんまり高いのは勘弁な」

淡「わかってるわかってる!」
817 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:22:16.34 ID:Xwn8cDMo0






ガチャン

淡「……」

尭深「お帰り淡ちゃん。遅かったね」

淡「……」ポフン

誠子「コーラ飲んでるじゃん…あー買いに行こっかなー」

淡「……」ゴロゴロ

淡(きょーたろーとご飯…あれ?もしかして二人きり…)

カァッ

誠子「淡ー?」

淡(で、でも、きょーたろーはOKしてくれたし…それって…)ゴロゴロゴロ

尭深「あんまり転がるとぶつか「ふぎゃっ!」…っちゃったね」

淡「痛い…」サスサス

誠子「何やってんだ…」ハァ

818 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:38:42.46 ID:Xwn8cDMo0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

菫「お風呂どうぞ」フキフキ

照「うん。…今日はありがとう」

菫「…なんだ藪から棒に」

照「京ちゃんと買い出しに行かせてくれた」

菫「余計に買ってきたことは許してないからな」

照「」テル-ン


819 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/03/04(月) 02:49:03.85 ID:Xwn8cDMo0



菫「…どちらかと言えば京太郎君に感謝するのが筋じゃないのか。お前一人だと絶対許可してないから」

照「うん。それだけじゃないけど」

菫「?」

照「京ちゃんは、自分が買ってきます、何がいいですかって言うこともできた」

照「けど、私が自分で行って選びたいっていう…気持ちを汲んでくれたから、それが嬉しかった」

菫「…それを私に言ってどうするんだ」

照「うーん…京ちゃんの素晴らしさを布教?」

菫「…あいつは優しいな。特にお前に」

照「そうかな」

菫「間違いなくそうだよ」

照「ぶいっ」v

菫「なんだそれ」フフッ
820 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2019/03/04(月) 02:50:57.70 ID:Xwn8cDMo0
寝落ちしそうなのでここまで
期間空いてしまい申し訳ない
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 03:01:26.26 ID:o7gPfgkeo
おつおつ
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 03:26:08.51 ID:AjQ6ZMFYo
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 03:38:10.07 ID:lTh95pRLo
乙です
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 08:19:38.28 ID:Xq6T/JXV0
乙!
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 08:50:48.11 ID:7D54Scky0
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 02:04:54.90 ID:mcgRie960

827 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 00:46:51.48 ID:AXixLaei0



照「…じゃあ、お風呂入ってくるね」スタスタ

菫「ああ、ゆっくりするといい」

照「……菫」

照「私、頑張るね。今回は負けられないから」

菫「そうだな。……珍しいな、お前がそんなこと言うなんて」

チラッ
照「そうかもね」

ガチャン


828 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:30:07.46 ID:AXixLaei0





ザ-

キュッ クシュクシュクシュ



「……ふぅ」


ザ-





チャポン  トプン

(負けられない…か)

(…なんでそんなこと言ったんだろう)



(…自分勝手な、私)

829 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:31:25.04 ID:AXixLaei0





バシャン

(……だけど、今回は許す)

(そう願ってくれてる人がいる)

(だから…負けられない。咲と会うまでは、絶対に)

チャポン




(……頑張るよ、京ちゃん)ブクブク
830 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:34:31.12 ID:AXixLaei0


ーーーーーーーーーーーーーー

淡「ふぁうぁぁ…眠たい」テクテク

尭深「淡ちゃんグースカ寝てたじゃない」

淡「せいちょーきだからね!寝る子は育つ!」バル-ン

京太郎(成長、ね…どことは言わないが)チラッ

淡「む、今こっち見てた!」

京太郎「お前なんか見るかばーか」シレ-

淡「なにをー!」



テクテク

誠子「今日はどこが見どころですかね?」

照「…やっぱり新道寺、かな。他はいい」

菫「初戦だけ見て帰ってもいいかもな」

誠子「そんなものですか?」

照「一回戦だからね」

831 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:35:37.88 ID:AXixLaei0



ガヤガヤ

淡「わー、大きい!」

誠子「小学生並みの感想乙」

京太郎「昨日もモニターあったろうが…何も映ってなかったけど」

淡「そうだっけ?」



菫「おーい、席とったぞ」

「「「「はーい」」」」



通路→
菫 照 京 淡 誠 尭
832 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:38:28.49 ID:AXixLaei0



菫「予習した通り、新道寺はうちへの対策を前提としてオーダーを組んでいる。裏返せばそれは勝ち上がる自信があるということだ」

菫「資料は各自端末を見ること。特に自分の区間の選手の挙動には注意するように」

淡「えー、じゃあ最後までヒマじゃないですかー」

誠子「他でも気づいたことがあれば言ってくれると助かるなぁ。チーム戦なんだし」

淡「…はーい」


照「…あれ?」

京太郎「…どうしました」

照「どこか行っちゃった」

京太郎「ちょっと見てみますね。んーと……」ノゾキコミ-

スッ スッ

照「……」ジ-ッ
833 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:39:25.12 ID:AXixLaei0


京太郎「ああ、違うアプリに飛んでますね。こっちは閉じちゃって…よっと」

照「……すごい。ありがとう京ちゃん」

京太郎「お安い御用です……何か付いてますか?俺の顔」

照「ううん。どうして?」

京太郎「…照さんがじっと見てくるから」

照「……見てた?」

京太郎「見てましたよ、至近距離で。ちょっとビックリしました」

照「…ごめん」シュン

京太郎「あっいや、全然っそんな嫌だったとかじゃないんです。本当にちょっとビックリしただけでっ」

照「…そう。ならいいけど」


淡「……」
834 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/01(月) 01:40:50.06 ID:AXixLaei0



淡「きょーたろー!」ズイッ

淡「ちゃんと前見なきゃダメだよっ」

京太郎「見るって。どうした急に」

京太郎「お前に言われちゃおしまいだっての」

淡「ふんだ」プイッ

京太郎「なんだよ…」


>お待たせしました。ただいまより一回戦第一試合……

835 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2019/04/01(月) 01:41:23.02 ID:AXixLaei0
短いですけど
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 01:48:54.04 ID:K9CFpkvso
乙です
照かわ
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 06:25:33.01 ID:oCXJZKb3o
乙です
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 09:26:10.85 ID:WobQ7gHYo
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/02(火) 00:43:45.99 ID:l9Zo2UTYo
やきもち妬いてる淡あわいい
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2019/04/09(火) 10:12:49.83 ID:utSSSEMv0
あわいい
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/10(水) 00:20:54.50 ID:NnityWRh0
照も可愛い
842 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2019/04/16(火) 01:13:43.36 ID:xSvm78ct0
ひどい謝罪文を見た

ちょこっと透華ー
843 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:15:40.34 ID:xSvm78ct0







「ツモ。2000・4000」

ワァ-ッ


京太郎「……きっちりトバしましたね」

菫「それができる実力だからな…さすがエース、というところか」


淡「…はっ!私の出番がっ」

尭深「大将戦まで行っても、本気は見れなかったかもしれないし…ね?」

誠子「そうそう、今日は雰囲気知れただけでもオーケーオーケー」

淡「むむむ…」
844 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:16:55.78 ID:xSvm78ct0


照「…この後どうするの?」

菫「案外早く終わってしまったし…もう少し見ていこうか。淡も満足するだろ」チラッ






スタッ
>如何……ましたか… ボソボソ

京太郎(ん?…あれは)

>…承って……はい、問題なく ボソボソ

>…それでは、またお呼びください

シュタッ


845 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:20:07.45 ID:xSvm78ct0




スック
京太郎「…部長、お手洗いに行ってきても」

菫「ああ、迷わないようにな」

京太郎「さすがに大丈夫ですよ、俺は」

照「…今こっち見た」

京太郎「…気のせいですよ、気のせい。すみません、通りまーす」




キョロキョロ

京太郎(さて、どこに行ったかな)

スッ
「どなたかお探しですか」

京太郎「わっ」

846 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:27:44.55 ID:xSvm78ct0


ハギヨシ「お久しぶりです、京太郎君」

京太郎「驚かさないでくださいよハギヨシさん…ご無沙汰してます」







ハギヨシ「私を探して席を外したんでしょう?」

京太郎「お見通しってわけですか…さっきチラッと目があった気がしたんで、飛んでくるかと」

ハギヨシ「私はエンダーマンですか」

京太郎「似たようなものでは…服も黒だし」

ハギヨシ「おやおや、困りましたね」フフッ

京太郎「冗談はともかく…皆さん来てるんですね」

ハギヨシ「ええ。衣様のご所望でもありますし…応援したい方々もできたようですから」

京太郎「…ああ、そういえば一緒に合宿したって」


847 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:35:37.00 ID:xSvm78ct0


ハギヨシ「もちろんそれだけではないのですが…直接聞いていただきましょうか」

京太郎「直接…?」



「ハギヨシ、誰と遭逢して……きょうたろ?……京太郎じゃないかっ!」ダッ

京太郎「うわっぷ」ドンッ

「急に走ったり飛びついたり危ないですわよ衣、京太郎さんも吃驚なさいまして?」

京太郎「俺は大丈夫です、衣先輩軽いですし…ちゃんと食べてますか?」

衣「案ずるな、ハギヨシや皆の庇護のお陰で健啖…とまではいかぬが」

衣「久しいな京太郎。壮健か?」ニパ-

京太郎「おかげさまで。先輩もお元気そうで何よりです」ニコッ


848 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:36:54.92 ID:xSvm78ct0



京太郎「透華先輩も、お元気そうで何よりです」

透華「もちろんですわ!衣もこの東京行きを心待ちにしていたんですもの、体調管理も万全…まあ、選手としての参加でないのは心残りですけれど」

京太郎「ああ…すみません、うちの幼馴染がお世話になって」

透華「とんでもありませんわ。私たちの完敗でしたから…当然次は負けませんわ!ねえ衣」

衣「…京太郎、咲は強いな」

京太郎「そりゃあ強いですよ、あいつは」

衣「いや、お前が思ってるより一層だ、京太郎」

849 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:46:18.52 ID:xSvm78ct0


衣「…面前でまみえて手合った衣だからこそ明々白々と諒解できたのだ…咲は、心の深淵からの情動に突き動かされて、麻雀に心底から向き合っていた。衣にはできなかったことだ」

衣「…京太郎、共に卓を囲んだことを覚えているか?」

京太郎「ああ、俺がぶっ倒れたときですね」

衣「そうだ。…京太郎は衣を責めもせず笑っていたな。それが衣には合点できぬことだった。…恥ずべき事であるからにして逡巡したが、ちゃんと己の口で言おうと思っていたのだ、京太郎。衣は己の力を信じるあまり、卓の上では冷酷な獣のようであった。…鼠の子を咥えて遊ぶ獅子のようなものだ」

衣「…京太郎は対等な打ち手として座してくれてたのだと、漸く気づけたのだ。咲がそうであったように」

京太郎「…俺は、そんな」

衣「実力どうこうの話ではない、姿勢の問題だ。勿論卓の外では気にかけてくれるともがらもおり、京太郎もハギヨシの客人として我らと良い関係を持っていた。だがな、卓での刹那は衣にとって最上の歓喜であり、且つそこで孤独を深めていたのもまた事実なのだ」

850 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:50:21.27 ID:xSvm78ct0


京太郎「…先輩にとって特別な麻雀で、分かり合える人が欲しかった?」

衣「掻い摘むとそんなところだ。だのにそんなものはいないと決めてかかっていた。透華が衣のために一、智紀、純を連れてきてくれて、他校の名だたる何某とも打てるようにしてくれて…それでも尚、衣は我儘な子どものようだったな、透華」

透華「そんなこと……そんなことありませんわ」

衣「よいのだ、透華。衣は傲慢だったのだ。だから打たれる必要があった。それが咲で本当に良かったと思っている」

衣「…京太郎。お前が、そして咲がそうであるように、衣も麻雀を楽しんで打とうと思えるようになったのだ。そのことを、面と向かって伝えたかった。麻雀とは、楽しいものなのだな」ニパッ

京太郎「そうですよ、衣先輩」

京太郎「俺にとっても先輩と打てたことはいい経験、いい思い出なんですから」






851 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 01:56:21.33 ID:xSvm78ct0







カツン カツン

京太郎「ただいま戻りましたー」

尭深「おかえり、遅かったね」

誠子「淡が心配してたぞー」

淡「してないしっ」

京太郎「すみません、ちょっと知り合いに会いまして」

カツ カツ カツ ピョコン ピョコン

透華「はじめまして、でよろしくって?」

照「…龍門渕の人」

透華「いかにも、龍門渕高校麻雀部部長、龍門渕透華と申します。以後お見知り置きを」

衣「…天江、衣だ」

淡「…こども?」

衣「ころもだっ!」

誠子「…すごい、本物だ」
852 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 02:01:56.91 ID:xSvm78ct0



菫「…わたしが話そうか。前を失礼」スッ

菫「部長の弘世菫だ。ご丁寧にどうも。須賀君から話は聞いてるよ…今日はどうして?」

透華「友人を応援できればと思いまして。京太郎さんにも偶然お会い出来ましたし、折角ですので一言ご挨拶をと」

衣「……衣は付いてきただけだ」



淡「なんで仲良さそうなの?」ヒソヒソ

照「京ちゃんだから仕方ない」

淡「えぇー…」


853 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 02:02:39.20 ID:xSvm78ct0



菫「…せっかくだから、連絡先を交換してもらってもいいかな?」

透華「喜んで。お待ち下さいまし…」

菫「そうだ、亦野」

誠子「は、はいっ」

菫「龍門渕さん、この子にも連絡先を教えて構わないかな?私は三年だからね」

透華「もちろんですわ。よろしくお願いしますね、えっと…またのさん?」

亦野「あっ、はい、亦野誠子ですっ、よろしくお願いしますっ」ワタワタ


淡「先輩慌てすぎー」

亦野「静かにしてろっ」

淡「はーい」

854 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 02:04:53.03 ID:xSvm78ct0




透華「…確かに登録できましたわ」スッ スッ

菫「ありがとう。これも何かの縁だ、仲良くしてもらえるとうれしいよ」

誠子「……よろしくお願いします」

京太郎「先輩、硬くならないで大丈夫です」

誠子「う、うるさいっ」

衣「…京太郎」

京太郎「?」

衣「楽しそうだな。衣は安心したぞ」ニコッ

京太郎「だから言ったでしょう、大丈夫ですって」

衣「そうだったな。…応援しているぞ、京太郎」

透華「そうですわよ、龍門渕の名にかけて頑張ってもらわないと。簡単に負けてしまったら許しませんわよ」フンス

京太郎「う、うっす」
855 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 02:05:47.31 ID:xSvm78ct0


透華「…ふふっ、冗談ですわ。この龍門渕透華が応援するのですから百人力ですわ!おーほっほっほ」

京太郎「…先輩」

透華「んんっ、失礼…気が昂ってしまいました、よくない癖ですわね」

菫「あ、ああ…ありがとう、わざわざ来てくれて」

透華「とんでもありませんわ。京太郎さんをどうかよろしく…では、また機会がございましたら」フカブカ

衣「また会おう!」ピョコピョコ

京太郎「また連絡しますね」フリフリ




菫「……濃い人だった」

京太郎「あの人もいろいろ武勇伝がありますから…またおいおい」

菫「そうか…」

誠子「…緊張した…」

尭深「お疲れ誠子。お茶飲む?」ポンポン

856 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/16(火) 02:06:55.99 ID:xSvm78ct0



照「偉そうだったね菫」

菫「は?」

淡「私が部長だー、ドヤー!みたいな」

菫「それはまあ、部長は部長だろう」

淡「よっ、全国一位の部長!」

菫「…お前は全国一位の大将になれよ」ワッシワッシ

淡「痛い痛い、スミレらんぼーだよ!」


京太郎「すみませんなんか…時間とっちゃって」

菫「構わん構わん、いい気分転換になった。さて…始まるぞ」


>お待たせしました。……
857 : ◆oiHx77pVqQ [sage saga]:2019/04/16(火) 02:07:31.56 ID:xSvm78ct0
一ちゃん出したかった
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/16(火) 02:24:41.74 ID:1aJ+aUFP0
おつ!
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/16(火) 06:29:43.94 ID:2mQhXFabo
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/16(火) 06:42:48.75 ID:MrnNLYvwO
乙!
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/16(火) 13:55:02.73 ID:YsuZlJuEO
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/16(火) 23:36:00.58 ID:njhwPFxno
863 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/30(火) 22:01:30.60 ID:WermskqT0


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


京太郎(炭酸飲みてえ…)

ガサゴソ
京太郎(鍵と…財布)


タッ タッ
ガチャン




ウイ-ン
チ-ン




京太郎「あ」

クルッ
照「…こんばんは」ペコリ

京太郎「…こんばんは?」




864 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/30(火) 22:14:33.06 ID:WermskqT0


京太郎「…何、してるんですか」

照「見ての通り。読書」

京太郎「菫先輩には」

照「ちゃんと言ったよ、涼んでくるからって」

京太郎「…ならいいか」

スッ
照「何飲むの?」

京太郎「…コーラか三ツ矢か、そのあたりを」



チャリン チャリン
京太郎「あ…悪いですよそんな」

照「いいの、普段の迷惑代だと思って」

京太郎「迷惑だなんて思ったことないです」

照「…っ、いいから。先輩命令。受け取らないと失礼。ほら、好きなの押して?」

京太郎「…ありがとうございます。じゃあ」
ポチッ ガタン
865 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/30(火) 22:20:18.68 ID:WermskqT0


カシュッ
ゴクゴク

京太郎「フー……照さん飲まないんですか?」

照「…飲むよ」

京太郎「…なんで固まってるんですか」

照「ちょっと向こう向いてて」

京太郎「え?」

照「……まじまじ見られると、恥ずかしい、から…」

京太郎「す、すいません」プイッ

照「……」
コクコク
866 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/04/30(火) 23:08:47.55 ID:WermskqT0




京太郎「……」

照「……」

京太郎「……昨日ですね、」

照「…うん」

京太郎「咲に電話しました」

照「…そう。なんて?」

京太郎「大した話はしてないんですけどね…衣先輩と透華先輩に会ったこととか、ホテルでどう過ごしてるかとか…ああ、あいつ会場で迷子になったらしくて」

照「…あのホールは絶対何かいる」

京太郎「え?」

照「目印はすぐに見失うし、ちょっと歩いたらどこにいるか分からなくなるし、変なものが邪魔してるようにしか思えない」

京太郎「……」

照「…なに、おかしいなら笑ってよ」

京太郎「…おほんごほん、そうですね、すみません…ふふっ」

照「もう…」

京太郎「いやすいません。……やっぱり姉妹は似るんだなって」

照「……」

京太郎「あいつ言ってましたよ、全力で打つんだ、当たるまで頑張るって」

照「……そっか」

867 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2019/05/01(水) 00:30:37.91 ID:6eforpwB0
令和になっても続くんじゃ
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:39:54.09 ID:8bcl85zwo
乙です 尊い
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/03(金) 14:22:08.91 ID:rTkGA4D/o
おつおつ
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 23:27:33.88 ID:hkybSIW90
続き待ってまーす
871 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:33:42.52 ID:G/4QxGPs0



京太郎「そういえば…本、なんですけど」

照「読んでたよね、ノルウェイの森」

京太郎「わかりました?」

照「…わかりやすい色だから、表紙」

京太郎「確かに」

照「どうだった?」

京太郎「まだ途中なんですけど…なんていうか、主人公流されてるなぁって」

京太郎「すごく辛い状況なのは分かるんです。でも…キスすべきだと思ったからしたとか、そういう気分だから…あの、セックスしたとか、こう…なんで?っていう引っかかりがありまして」

京太郎「辛ければそういうことしていいのか?って気分が先に立ちました」

照「…私もあの人はあまり好きじゃないから…分かるよ、その気持ち」



872 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:35:50.34 ID:G/4QxGPs0


京太郎「ただこの話自体は好きですよ。雰囲気というか…こう言っていいかわかんないですけど凄く澄んでる。ずっと綺麗なままでいそうな、でもそんなことはなくて」

照「……」

京太郎「冒頭で結果が見えてるわけじゃないですか。それが…なんだろう、切なさっていうとなんか違う気がするんですけど、読み進めてふと立ち止まったときに、思い出して…ああ、でもやっぱりそうだよなあ、そうなっちゃうよね、って」

照「…京ちゃん、よく読んでるね。感心」

京太郎「そ、そうっすかね…照さんからそう言われると嬉しい」

照「そう?私はもっと嬉しい」

京太郎「…え」

照「…好きなものを共有できて、一緒に話せる。…とても素敵なことだと思う」ニコッ

京太郎「……っ」

京太郎(…反則です、照さん)

照「…どうしたの?」クビカシゲ

京太郎「いや、何でもないっす…」







京太郎(…なんで俺、ドキッとしてんだよ)
873 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:40:55.49 ID:G/4QxGPs0


京太郎「…ていうか照さん、俺には『まだ早い』ってあの時言ってたじゃないですか」

照「……よく覚えてたね」

京太郎「あれってその……恋愛もの、だったからですか」

照「…うん、村上春樹を読んだことないならびっくりするかなって。性的描写もまあまああるから」

京太郎「…そうっすね」

照「でも…杞憂だったかな。あの時のわたしは京ちゃんをまだ見くびってた」

照「…本当に大きくなったね、京ちゃん」

京太郎「なんですかそれ」フフッ

照「本当だよ。背だけじゃなくて中身も。立派になった」

京太郎「…そんなことないですよ」

照「…京ちゃん、京ちゃんは自分がそう思ってるよりもずっとよくやってると思うよ。だから…自信持っていい」

京太郎「…自信」
874 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:42:18.13 ID:G/4QxGPs0


照「京ちゃんが積み重ねてきた努力はみんな知ってる。その努力に信頼を置いていい。私が言うのはおかしな話だけど、保証する」

京太郎「…俺、照さんの言うことならなんでも信じちゃいますよ?」

照「……今はそれでいい」

照「……なんでもはちょっと困る…けど」

京太郎「いいんです。俺はそう決めてますから」

照「…それなら、京ちゃんの期待に応えないとね。…頑張る」

京太郎「…俺も、頑張ります」

875 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:43:36.94 ID:G/4QxGPs0



照「…なんかとりとめのない話になっちゃったね」

京太郎「俺は好きですよ、こういうのも」

照「私も、……だよ」

照「…ねえ京ちゃん」 テマネキー

京太郎「どうしまし」

ギュッ

京太郎「た…」



京太郎(ナンデ!?抱きつきナンデ!?)

照「京ちゃん…」スリスリ

京太郎(囁きはダメッ…!ノーカンッ…!そしてやらかい……はっ!)
876 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:45:02.68 ID:G/4QxGPs0


京太郎「てっ照さん、まずいですよ!誰かが見てたら」

照「…そう、ここは学校の秘密のスポットじゃない。だからもうおしまい」スッ

京太郎「あっ…」

照「…部屋に戻るね。おやすみ」

スタスタスタ





京太郎「……」

ホオツネリ ギュッー

京太郎「痛ッ!おぉ、いって…」サスサス


877 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/02(日) 23:47:34.41 ID:G/4QxGPs0








ガチャ
照「……」

菫「おかえり。……どうした、ぼうっとして」

照「…補給、してきた」

菫「?はぁ…まあ、いいんじゃないかな」

照「……」ポスン

照(…何をやってるんだろう、私)

878 : ◆oiHx77pVqQ [sage saga]:2019/06/02(日) 23:48:37.17 ID:G/4QxGPs0
一ヶ月も空くとは…
申し訳ないです、ペース意識して上げます
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/02(日) 23:58:17.05 ID:RvEIwm7f0

あぁ〜甘ったるいんじゃぁ〜
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 00:36:19.41 ID:+nSIbwclO
おつー!
てるてるかわいい!!あぁ〜この疲れた体にもっともっと糖分を〜!
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 00:41:15.65 ID:JPB+oRKHo
乙 あぁ^〜尊いんじゃ〜
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/04(火) 12:05:44.60 ID:SKlUWJ2Y0
乙乙
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/05(水) 21:00:48.79 ID:jaSn+WjBo
884 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/17(月) 02:14:30.84 ID:94KNjlMZ0


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

淡「ひぎゃぁー!…あぁ、つっかれたー」ノビ-

尭深「…びっくりしたよ淡ちゃん、大声出して」カチャン

誠子「ノビをしたいのはわかる、うん」コキッ コキッ

照「……」サクサクサク

淡「あー!テルー食べすぎー!」

照「…そんなことない」

菫「いや、食べ過ぎだ。その一枚であとはおあずけ」

照(´・ω・)ソンナ-
885 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/17(月) 02:15:52.48 ID:94KNjlMZ0

菫「さて、この局は…淡は点数ノルマ達成か」

淡「ふふん」

菫「…亦野も放銃を抑えられたな」

誠子「その分消極的な打ち回しになっちゃって…すみません」

菫「気にしなくていい、そういう練習だからな。照にもお前を狙うよう言ってたし」

誠子「なっ!…なるほどぉ…」

菫「尭深は…少しのプラスか。淡を止めきれなかったかな」

尭深「…ラストでどうにか戻せた、だけですね」

菫「その通り。ラスを他に和了られたらどうするんだ?」

尭深「……すみません」

照「…少しオリるのが早い気がする。稼ぐことが求められるなら、もう少し粘るべき」

尭深「意識、してみます」


>ただいま戻りましたー
886 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/17(月) 02:28:28.40 ID:94KNjlMZ0


菫「お疲れ様。おかげで助かったよ…多かっただろう?荷物」

京太郎「あれくらいなら全然ですよ。皆さんに手伝ってもらったし」


照「お疲れ、京ちゃん。食べる?」

京太郎「あっ、…いただきます」

尭深「お茶もどうぞ」トクトクトク


淡「むむむ……」

誠子「…何思いつめたような顔して」ヒソヒソ

淡「なっ!別に何もないしっ」ヒソヒソ

誠子「…まあ、いいけど」
887 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/17(月) 02:30:13.93 ID:94KNjlMZ0


誠子「須賀ー、顧問とか先輩たちは何か言ってた?」

京太郎「んーと…ああ、体調崩したりしてないか確認はされました。あと、今日の午後練は14時ごろから始めたいと」

菫「ん、一応こちらからも確認しておくよ」

京太郎「よろしくお願いします」

菫「…というわけで、予定通り今日の午後から数名が練習に合流、最終調整に付き合ってもらう」

淡「えー」

菫「嫌とは言わせないぞ」

淡「言ってないじゃん!…いや、言ってない、です」

菫「…とにかく、初戦に向けて引き締めていこう。舐めてかかったりできないからな」
888 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/17(月) 02:32:23.64 ID:94KNjlMZ0



京太郎「明日はみんな応援に来るんですよね」

菫「そうだな。バス4台使って来ると聞いている」

京太郎「俺、また手伝いに行ったほうがいいですか?」

菫「いや…その必要はないさ。そのために他の部員を呼んでいるんだ」

菫「チームの一員として、私たちの側にいてくれればいい」

京太郎「…うっす」


淡「そこ、デレデレしない!」ズイッ ビシッ

京太郎「は?してねーし」

淡「うそだー!」

ナニヲ-
コノ-


尭深「素、ですよね。部長のは」

照「…それが菫のいいところ」

889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 04:29:16.89 ID:QNAdqvlW0
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 04:46:27.55 ID:KB30QNdDO
おつおつ
ボーイミーツガールなかんじがいいですな
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 07:58:14.34 ID:AU2GYpD0O

あわいい
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 08:48:01.22 ID:ZQMOpU600
乙!
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 08:41:15.04 ID:LDNi8uwTO
淡はかわいいなぁ!
894 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/23(日) 23:54:27.67 ID:e5oAtFBp0






>ロン!倍満!
>ちょちょっ、えっえっ?
>むっふっふー、まだまだぁ!


トン ジャラッ カチャン
リ-チ!


京太郎「…調子、良さそうですね」

菫「キープしてくれればいいんだがな…それより、」チラッ

菫「昨日は試合、見に行きたかったんじゃないか?」
895 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/24(月) 01:06:57.42 ID:h5XsH5Kz0
京太郎「試合?…ああ、清澄ですね。いいんですよ、結果大将まで回らなかったわけですし」

菫「中堅の…竹井、だっけ?が最下位をトバし初戦突破、と」

京太郎「強豪校みたいな勝ち方ですね」

菫「全くだな」ハハッ

京太郎「それに…出身が長野だからって見に行くのは怪しまれるなって思いまして」

菫「龍門渕に誘ってもらえば良かったのに」

京太郎「……その手があったか」

菫「準々決勝は見に行くといいさ。他校の視察、ということで話はつけておくよ」

京太郎「…いいんですか、こっちも試合前日ですよ」

菫「構わないさ。むしろだからこそ行って見てきてほしい」

住み「牌譜は当然手に入るがそこには載らない情報や感覚もあるだろう?だから他の部員にも現地で見てもらってるんだが…報告は多い方がいい」

京太郎「…ありがとうございます」

菫「気にするな、win-winさ」
896 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/24(月) 01:08:07.22 ID:h5XsH5Kz0


>ロォン!全部もらいっ!
>うっそ…だろ…
>あはは…お星様…


菫「…まずいな、行ってくる」スタスタ

京太郎「…行ってらっしゃーい」


>おい、気ままに打っていいと誰が言った?
>へ?
>やったことを復習しながら、状況考えながら
>…あっ、そうだっけ?
>そうだっけ?じゃないぞ
>あわわわわ…


京太郎(……お茶汲みでもしとこうか)スタスタ

897 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/24(月) 01:10:29.83 ID:h5XsH5Kz0



ガタッ

京太郎「ん?」

照「あっ…」



京太郎「…何してるんですか」

照「…景色見てた」

京太郎「…隣のビルしか見えませんけど」

照「……」

京太郎「その…持ってる包みは」

照「違うの、これは」

京太郎「……」

照「……あの」

京太郎「あー俺ちょっとお腹空いたなー」

照「!」パァァ

京太郎「あーなんか食べるものないかなー」

照「…これ、食べる?」ガサガサ

898 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/24(月) 01:36:32.28 ID:h5XsH5Kz0

パクパク
照「…おいひい」

モグモグ
京太郎「…いつもよりも本気で打ってたんですね」

パクパク
照「……うん」

京太郎「…でもだからといって菫先輩が目を離した隙にってのは、あまり褒められたやり方じゃないです」

ゴックン
照「……ごめんなさい」

京太郎「……俺も一緒に謝りますから、ね?」

照「でも!」

京太郎「見逃した時点で共犯だから…なんだっけ、毒を食らわばってやつですよ」ハハッ

照「京ちゃん……」



菫(いい話かなー?)コソコソ


エヘン オホン

京太郎「…照さん」

照「…うん、いっせーのせで…振り向く?逃げる?」

京太郎「逃げちゃいましょうか」

菫「待て待て待て」
899 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/06/29(土) 00:50:30.16 ID:dlHEKcLi0



ーーーーーーーーーーーーーーーーー




京太郎「……」ペチペチ

淡「あっれー?なんできょーたろーがきんちょーしてんのー?うけるー」パタパタ

京太郎「…ほんとな、なんでだろうな」

淡(あれー?)







照『…ロン』

淡「いやったっ!」

京太郎「よしっ!」

イェ-イ ハイタッチ

誠子「おー、元気元気」

京太郎「あっ…すみません騒がしくして」

誠子「気にしない気にしない。新鮮だなぁって」

淡「亦野先輩ババくさーい」

誠子「は?」

淡「…ウソでーす」

尭深「お茶のおかわりいる人ー」

「「「はーい」」」

尭深「…淹れるねー」

900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/29(土) 09:06:57.25 ID:XGjR/SqH0
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/29(土) 09:13:42.56 ID:PnRqukhKo
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/03(水) 13:53:14.20 ID:i/X0vq6qO
かわいい(かわいい)
903 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:06:49.39 ID:bNkYKrQl0

尭深「はいどうぞ」コトン

淡「ありがとー。ハイ先輩」スッ

誠子「おっ、気がきくね」

淡「ハイきょーたろー」

京太郎「サンキュ。…珍しいなお前」

淡「…なにそれ」プク-

京太郎「おーこわ」スクッ

淡「どこ行くの、まだ途中なのに…あっ!またこっそりお菓子食べようとしてるでしょ!」

京太郎「…しねーよそんなこと」

淡「あっやしー!」

尭深「ほらほら、ケンカしないの」メッ
904 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:15:57.26 ID:bNkYKrQl0



ゴクゴク
京太郎「……」




スタスタ
菫「…京太郎君」

京太郎「あぁ…部長」

菫「一人黄昏れて…なんだ、心配か?」

京太郎「そうじゃない…はずなんですけどね」

京太郎「だって心配したら失礼でしょう、照さんのこと」

菫「…まあな、雀士としてはそうだろう…けどな」

京太郎「けど?」

菫「あいつもただの高校生で、女の子だ。知ってるだろう?」

京太郎「……はい」

菫「…だから、お前だけでもそう思ってていいと思う。いや…お前だからこそ」

京太郎「…そうですかね」

菫「むしろ心配してやってくれ。きっと喜ぶ」

京太郎「…そう、ですね。わかりました」

905 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:17:08.14 ID:bNkYKrQl0






菫「…さて、私もそろそろ準備に入ろうかな」グイッ

京太郎「…菫先輩」

菫「ん?」

京太郎「…先輩の実力は信じてます。でも…先輩のことも心配してても、いいですか?」

菫「……何を言いだすかと思えば」

菫「…好きにすればいい」フッ

スタスタ
906 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:18:35.21 ID:bNkYKrQl0


『王者がついに帰ってきた!怒涛の連続和了で場を支配するのは、やはりこの人!宮永照だー!』



尭深「…うるさい人」

菫「そう言ってあげるな、仕事なんだ」スタスタ

誠子「先輩…もう出るんですか」

菫「ああ、いい流れに乗りたいからな」

淡「スミレ、なんかテンション高くない?」

グニッ

淡「あぅっ、ほっへ、ほっへ…」

菫「少しいいことがあったから…な。行ってくる」

ガチャン


907 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:19:37.54 ID:bNkYKrQl0



誠子「…なんだろ、いいことって」

尭深「さあ?」

淡「むー、スミレひどい…」イタタタ



ヒョコッ
京太郎「ありゃ、先輩もう出ちゃったんですか」

淡「見送りしないなんて悪いんだー」

京太郎「わりぃわりぃ…後で謝っとこう」

尭深「気にしてなさそうだったから大丈夫だと思うよ…?」

誠子「…そうそう、部長が『いいこと』あったって言ってたんだけどさ、何かわかる?」

京太郎「いいこと?…うーん、心当たりはないですけど」

誠子「そっか。ならいいや」
908 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:21:20.36 ID:bNkYKrQl0


ガチャ
淡「お帰りテルー!ラクショーだったね!」ブンブン

尭深「お疲れ様です」

照「…まだ試合は終わってないから、安心するのは早いよ淡」

淡「ごめんなさーい」

誠子「どうでした?」

照「…普通…かな」

照「…そう、普通じゃなかったといえば菫。いつもより元気だったけど」

誠子「そうなんですよ、ちょっといいことがあったって言われてて」

照「いいこと……」

ジ-

京太郎「…いやいや、俺ホントに知らないんですって」

照「…そう」
909 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:23:47.81 ID:bNkYKrQl0


淡「むむむ…そうだ、帰ってきたらスミレにゴーモンしなきゃ!」

誠子「…詰問、な。怖いこと平気で言うなよ」

淡「?」

照「…言わなかったのなら、訊いても教えてくれないと思うよ」

淡「むむ…ならきょーたろー!知ってること全部はきなさい!」

京太郎「だーかーらー」

ヤイノヤイノ ワ- ギャ-

尭深「…次鋒戦、始まっちゃうよ?」

照「淡、そこまで」

淡「ちぇー」

誠子「…ほら、チョコ開けたから食べよ?」ゴソッ

尭深「…昨日買ってたやつだ、いいの?」

誠子「みんなで食べよって思ってたからね」

淡「いやった!」ガバッ


910 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/07/17(水) 00:24:54.11 ID:bNkYKrQl0


照「……」ウズウズ

京太郎「…じゃあ俺ももーらいっ、先輩方もどうぞ」スッ スッ

尭深「あっ、ありがとう」

照「…いただきます」カサッ ハムッ

照「…ちょっとビター、でもこれもあり」

誠子「照先輩のオッケーいただきましたー」ガッツポ

淡「うんうん、亦野先輩にしてはやるじゃん」

誠子「あ?なんか言ったか、聞こえなかったんだけどー」

淡「なんでもないよ!」

>ロン、7700


尭深「…さすがですね」

照「…尭深も普通通りで、大丈夫」

尭深「あっ…はい。頑張ります」ペコリ




911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/17(水) 04:28:18.17 ID:umAgK/geo
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/17(水) 10:12:53.43 ID:wqH0IWyY0
あわいい
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/17(水) 10:22:15.08 ID:N9oVATUgo
照かわ
914 :sage :2019/08/09(金) 01:40:45.70 ID:13G5pnJe0
続き待ってまーす
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/17(土) 22:45:26.33 ID:YT+BCAZi0
まだかな^_^
916 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:21:29.31 ID:tz2qCxoR0







『終局ー!!最後は苅安賀のトビ終了だ!一位通過はやはり王者白糸台、堅実な打ち回しで一度も首位を譲らず準決勝進出です』

『二位は福岡代表新道寺!下馬評通りの実力を発揮できたと言えるでしょう。先鋒の花田煌は…』



淡「かえったぞー」バ-ン

尭深「お帰り淡ちゃん」

誠子「おー、どうだった?初陣は」ウリウリ-

淡「ラクショーラクショー、なんかツマンなーい」グデ-

917 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:23:31.70 ID:tz2qCxoR0



京太郎「部長、新道寺のレポートです」

菫「助かるよ、ありがとう」

京太郎「副将と大将の連携?みたいなのは無かったんですかね。普通に打っていたように見えたんですが」

菫「うーん…一度同じ局で流局しただろう?それかもしれない」

京太郎「…失敗してやめた?」

菫「無理しなかったと言ったほうが正しいかもしれないな。下と点差もあったし……さて」

照「…菫」

菫「ああ行こうか」

京太郎「…どちらへ?」

菫「記者会見、というかインタビューだな」
918 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:24:49.88 ID:tz2qCxoR0

菫「…そうだ、一緒に来てみないか?」

京太郎「え?……いやいや、記者会見ってあれでしょう?何人かに囲まれてマイク向けられて」

菫「十数人はいるんじゃないかな…なあ照」

照「…専用の会見場がセットされてる。去年と同じなら」

京太郎「なおさら俺が行ってどうするっていうんですか」

菫「別に質疑応答しろとは言ってない。付いてきて控え室にいてくれたらいい。行き帰りのボディーガードみたいなものだ」

京太郎「でもですね…」

照「…京ちゃんお願い。私頑張るから、来て」

京太郎「…分かりました。見るだけですからね」

菫(…チョロいなこいつ)

菫「…話が早い。持ち物は何もいらないから、新道寺の話の続きでもしながら行こうか」
919 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:27:05.11 ID:tz2qCxoR0








スタスタ

京太郎「俺思ってたんですけどね」

菫「うん?」

京太郎「新道寺を狙い撃ちして敗退させた方が準決勝楽にできるんじゃないかって」

菫「そういう考え方もできる。…照、そっちじゃない」クイッ

照「そう。…なんの話?」

菫「なぜ新道寺を落としに行かなかったかって」

照「それも有りだった。でもリスクがある」

京太郎「リスクですか?」

菫「実力からするとこの卓は二強二弱だった。新道寺を削って他を上げるには少々無理打ちしないといけない。足元をすくわれるかもしれないし、うちの後ろ三人は全国の経験が浅い」
920 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:28:53.68 ID:tz2qCxoR0


菫「あとは準決勝のことだが、単純に楽になるともいえないと思う」

京太郎「…というのは?」

照「…さっきの菫の説明を借りて、準決勝が三強一弱になったとするね。手っ取り早く勝ち抜きたかったら、どうすると思う?」

京太郎「それは…弱いチームを狙い撃ちして飛ばすのが一番です」

照「そう。余程じゃないとそういう戦いになると思う。そうなると一位と三位の差が小さくなって、大きな手一つで敗退が決まってしまうことになる」

京太郎「…なるほど」

照「ロンは回避できても、ツモ順は誰でもずらせるわけではないから」




921 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:30:48.93 ID:tz2qCxoR0


チラリ
京太郎「…バリバリの会見場じゃないですか」

照「…?そうだよ?」

京太郎「緊張、しないんですか」

照「いつものことだから」

菫「卓を囲むのに比べればね、大したことない」

京太郎「俺ならゲロ吐きそうですけど」

菫「最初はそうだったよ、私でもな」

京太郎「…想像もつかないですけど」

>白糸台高校、お願いしまーす

菫「行こうか」

照「…行ってくるね」


922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 00:43:23.22 ID:tz2qCxoRo


          ,, ´     `ヽ
.         / / /,ハ ! i     /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
        / { 大{ Y大イl |   |  応援ありがとうございます!    ┃
       ⌒|个照   照jノ│ ∠ ______________,ノ     |
         |人  r: ァ 人│  
         l从i>  イ从jリ
.        ,, ≪| [l] |≫ 、
       f \  Уヨ  /`ヽ
      |   ≧=} 「=≦   {
      〈     〉7 /_≪〈     〉
      [三三]/ /アマニi[三三]
        ’. / .//  }ニ||  ′
          ヽ. イ/ l ヽ,′{
            〉ニニニニ7  }
         /   |  i   ハ
.        /    l|  | /
       /     | / {
         i     | f   }   !
         |     | ‘」jリ  │







              __ __
           / '⌒ヽ`ヽ: 、
.           / / l|  ||i i ’,
        ,′L__L ! i
         |  }菫   菫| | l l (こいつ…!)
         j_{     u ム_」 |
            | 〕ッ ^ イ │ |
            | l i=┘ └| |_ |
          r ´// ハニ=ニ'| |  >
          / `〃、__ハ / | !/ }
.        }  {{ ハニミ=ア{从   {
       ヽ   〉/アマム〈    〉
         [三 ]/ノ | {ニ{ [三 ]
          |  |    | `ヾ |  |

923 :酉忘れ ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:44:53.45 ID:tz2qCxoRo


          ,, ´     `ヽ
.         / / /,ハ ! i     /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
        / { 大{ Y大イl |   |  応援ありがとうございます!    ┃
       ⌒|个照   照jノ│ ∠ ______________,ノ    
         |人  r: ァ 人│  
         l从i>  イ从jリ
.        ,, ≪| [l] |≫ 、
       f \  Уヨ  /`ヽ
      |   ≧=} 「=≦   {
      〈     〉7 /_≪〈     〉
      [三三]/ /アマニi[三三]
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          ヽ. イ/ l ヽ,′{
            〉ニニニニ7  }
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        ,′L__L ! i
         |  }菫   菫| | l l (こいつ…!)
         j_{     u ム_」 |
            | 〕ッ ^ イ │ |
            | l i=┘ └| |_ |
          r ´// ハニ=ニ'| |  >
          / `〃、__ハ / | !/ }
.        }  {{ ハニミ=ア{从   {
       ヽ   〉/アマム〈    〉
         [三 ]/ノ | {ニ{ [三 ]
          |  |    | `ヾ |  |

924 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:46:30.56 ID:tz2qCxoRo
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /     (…なんか凄いもの見た)
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >
925 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:50:32.41 ID:tz2qCxoR0






スタスタ
菫「…ほとほと感心するよ、全く」

照「感謝してるのは本当。ウソは言っていない」

京太郎「……」

照「京ちゃん、私おかしかった?」

京太郎「いえ、…立派でした、と、思います」

菫「…どうした、しどろもどろで」

京太郎「いやその、ですね…」


ズラ-ッ

「「「「お疲れ様です!」」」」

フカブカ-ッ


京太郎(いやこんなの聞いてないよ?なんか怖くなってきたよ?)

菫「?」
926 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/20(火) 00:57:15.13 ID:tz2qCxoR0




菫「…なんだ、そんなことか。それこそ緊張することはないのに」

京太郎「いや…緊張というか…その、殺気というか…」


ギロッ
(菫様と菫様と菫様とあんな近くで近くで近くで近くで)ゴゴゴゴ

京太郎(ひぇっ)

京太郎「は、早く帰りましょう。皆さん待ってるだろうし」スタコラサッサ

菫「あ、ああ」

照(…お腹空いたなぁ)テクテク
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 01:57:41.57 ID:hL1oHqexo
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 06:24:15.99 ID:THrsbWWTo
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 07:17:10.13 ID:MqcmuQ3r0
乙乙
来てってお願いする照可愛い
930 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/26(月) 01:16:56.62 ID:qu1t/B5Q0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京太郎(…徒歩ですぐとはいえ、汗ばむな…ロビーも涼しいのは流石)

京太郎(さて、時間は)ヨッコラセ

???「だーれだっ」ピョンッ

京太郎「おうふ…衣先輩、それにみなさんも。おはようございます」

衣「うむ、おはよう京太郎。時剋に忠実なのは感心感心」

透華「衣こそ、今日は早起き一番乗りでしたのよ」

衣「心底待ち望んでいたからな!試合を見るのも、京太郎に会うのも」

京太郎「…光栄です」

931 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/26(月) 01:18:06.71 ID:qu1t/B5Q0


純「京太郎、ちょっと立ってみ」

京太郎「なんすかいきなり…おっとと」

純「智紀どう?どっちが背ぇ高い?」

智紀「私に聞くのは間違ってる…うん、まだ純の方がちょっと高いかな」

京太郎「あー、マジっすか…」

純「まだまだだな、だいぶ伸びたけど。ちゃんと食ってるか?」

京太郎「それはもう…先輩も伸びたんじゃないですか?」

純「…バレた?チョロっとだけな。まだまだ追いつかせねぇから」ガハハ

智紀「…朝からそんなに元気なの、羨ましい」

京太郎「いつもそうでしょう」

智紀「まあね」

932 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/26(月) 02:09:31.12 ID:qu1t/B5Q0



京太郎「…それにしても」

一「どしたの?」フフン

京太郎「ちょっと心配だったんですよね、一先輩が何着てくるか」

一「心配じゃなくて期待の間違いじゃないのかな」

京太郎「なに言ってんですか」

一「なに、不服?…服だけに」プフッ

京太郎「自分でウケてちゃ世話ないですよ…いや、心底ホッとしてますよ、今日はまともな服で」

一「昨日はいつもの服だったけどね」

京太郎「アウトォー!」

933 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/08/26(月) 02:11:00.92 ID:qu1t/B5Q0



一「騒がしいなぁ、周りに迷惑かけちゃダメだよ?」

京太郎「先輩に言われたくないですっ」

一「えぇ…むしろ利益をもたらしてると思うけどな。眼福でしょ?」

京太郎「その意識がある時点で重症だって自覚あります?」

一「やー…寒かったんだよね案外。ここよく冷房効いてるでしょ」

京太郎「俺が今鳥肌立ってるのは別の理由でですけど」

一「それにキミが来るって分かってたし…至近距離で男子に柔肌をずっと晒す趣味はボクには無いかなぁ」

京太郎「なんですかその自意識。中途半端に常識人ぶるのやめてください」

一「ボクはいたって普通の常識を持ち合わせてると思うんだけど」

京太郎「服のセンスを除けばですけどね」

一「辛辣だなぁ」ハァ
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/28(水) 20:08:25.54 ID:Pi0OlDaAo
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/08(日) 23:55:30.63 ID:nriJcwYso

一ちゃんの服は、NAGANOでは流行だから着てるだけで、羞恥心は普通にある説
我ながら苦しいけどww
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/28(土) 21:55:11.22 ID:o6TIzjStO
続き待ってます
937 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/01(火) 00:13:54.84 ID:9agXujI00



一「まあね、キミに理解されるようじゃ全然ダメだから別にいいんだけどさ」

京太郎「サラッと俺をdisりましたねこの変態先輩」

一「罵倒するにも先輩呼びを省かないとこ嫌いじゃないよ」


ワ- ギャ-
智紀「…こんなに仲悪かったっけ」

純「…えっ」

智紀「えって何」

純「いや…節穴かって」

智紀「えっ」



一「…誤解しないで欲しいんだけどね、ボクにはあの服の声が聞こえるんだよ。『どうか着こなしてくれ』って」

京太郎「あっ、宗教の話は間に合ってるんで大丈夫です」

透華「二人とも、そのくらいにして中に入りますわよ」

「「はーい」」





938 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/01(火) 00:16:05.21 ID:9agXujI00



衣「今日も画面がよく見える!」

京太郎「いい席ですね。さすがハギヨシさん仕事が早い」

透華「ありがたいことですわ、本当に」

衣「隣に座るぞ京太郎」フンス

京太郎「うっす」

一「じゃあボクも」ポスン ジャラッ

京太郎「…ずっと思ってたんですけどその鎖、重くないんですか」

一「ん?付けてみたい?」

京太郎「何が悲しくてそんな奇抜なファッションでお揃いにしないといけないんですか」

一「そりゃYシャツスラックスに鎖は合わないし、ねぇ…もうちょっとパンクなイメージで全身コーデしてあげるよ」

京太郎「俺出禁になりかねないんですが」

一「昨日のボクの格好の話する?」

京太郎「そうだった!」

939 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/01(火) 00:17:50.44 ID:9agXujI00



京太郎「いや…でも校則とか考えるとやっぱまずいですね、うん」

一「そっか残念。付け心地試してもらいたかったんだけどなぁ」

京太郎「えぇ…」

一「でもお揃い自体は拒否しないんだ」ズイッ

京太郎「それはまあ…頬にシールくらいなら考えなくもないです」

一「へぇ…ふぅん…」




智紀「…私の目は節穴だった」

純「それみろ、ジュース奢りあざーす」

智紀「くっ、貴重な軍資金が」

純「智紀はもっと人と接さなきゃ…部屋にこもってばかりでないでさ、な?」

智紀「ぐぬぬ」

940 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/01(火) 00:35:14.55 ID:9agXujI00



ガサゴソ
京太郎「さて…と」

一「あっ、メモるの?勉強熱心だねー」

京太郎「レポート出さないといけないんで。外出との交換条件です」

一「それは大変。手伝うことある?」

京太郎「…知ってること教えてくれたら、そりゃ嬉しいですけど」

一「おぉ、まるでスパイ」

京太郎「…すいません」

一「冗談。うーん…まあ試合見てたらいろいろしゃべっちゃうよ、ねえ透華?」

透華「京太郎さん」

京太郎「はい」

透華「私たちは清澄を応援するために来ました。けれど、あなたのことも同じように助けたいと思っているのですわ」

衣「衣は京太郎に会うのを楽しみにしていたぞ!」ピョンピョン

透華「ですから遠慮せずに頼りなさい!これは先輩命令ですわよ」

京太郎「…先輩方には敵いませんね」

衣「せんぱい、だからな」フフン ドヤァッ

一(かわいい)

透華(かわいい)

京太郎(かわいい)

衣「……むぅぅぅ!揃いも揃って何だその慈愛に満ちた視線は!これではっ…衣は子どもじゃないんだぞ!」

ウワ-ン ジュン トモキ-
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 03:58:00.98 ID:wLldkZklo

おかしい このスレの一ちゃんは正妻枠ではないのか
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 11:21:53.98 ID:INPL2Gvm0
残念ながらあと一歩が踏み出せなくて取られちゃう負けヒロイン枠なんだよなぁ…
943 : ◆oiHx77pVqQ [sage saga]:2019/10/02(水) 00:36:19.15 ID:lUI718k20
一ちゃんが変態淑女みたいになったのは私の責任だ。だが私は謝らない
白糸台全然出てこないけどもう少しもんぶちのターン
944 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/02(水) 00:37:36.06 ID:lUI718k20


一「…で、どこが勝ち抜くと思う?」

京太郎「清澄…と言いたいですけど願望半分ですね。永水はシードだし姫松も強豪だし」

一「んー、まあボクたちも地元贔屓、色眼鏡かかってるかもしれないけどね…でも清澄は強かったよ」

透華「それに今も、強くなっているはずですわ。県大会の途中でも合宿の数日間でも、大きく成長してきましたもの」

一「姫松も永水も前の大会とかで対戦してデータは集めてるはずだし、そうじゃない二校を中心に見てていいんじゃないかな」

京太郎「…んー、まあ…それもそうか、そうですね」

一「というわけで、清澄じっくり見よう!応援しよっ!ほら始まるよ」グイッグイッ

京太郎「わ、わかったっすから落ち着いて」

945 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/02(水) 00:38:38.21 ID:lUI718k20





京太郎「…永水が中心になって進んでいきますかね」

透華「同卓はそのつもりでいると思いますわ。“牌に愛された子”神代小蒔ですから」

一「衣もそんな風に言われたりしたっけ」

衣「…無縁の者達の品評に興味はない。が、通ずるものはある。此の世のものとは思えぬ“気”を、時折感じる。…一度は卓を囲んでみたいな」

京太郎「んで、清澄は片岡さん…東場に滅法強く、県予選の東風スコア更新」

透華「巧拙はともかく、東場での勢いは本物ですわ」

純「県大会の時はピーピー泣いてたけどな」

一「ちょっ、その話するの?悪いの純くんでしょ」

京太郎「先輩何したんですか…」

946 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/02(水) 00:44:09.03 ID:lUI718k20





京太郎「そういえば宮守高校?も初出場なんですね。対等以上に渡り合ってる感じですけど」

一「部員5人だけ、全員三年生なんだって」

京太郎「…いいですよねそういうの。青春って感じ」

一「ねー」


智紀「むしろあの二人気が合うのでは…でも彼には黒髪執事がベストフィット…のはずなんだけど…」ブツブツ

純「ナマモノはやめとけよー、腹壊すぞー」


京太郎「そういえば次鋒は智紀先輩でしたよね。…先輩?」

智紀「……あぁごめん。そう。染谷さんは…巧いよ。大局観があってそれに沿って打ってるというか…あとちょっと染めがち」

京太郎「それは牌譜見てて思いました」

純「研究済みかよ」

京太郎「そんな大それたものじゃあ…予選時点での話ですし」

純「いや、白糸台が清澄のことちゃんと見てるってのがな」

京太郎「ああ……部長と俺、照さんくらいですよ」

純「チャンプも気にしてんのな」ハハッ

透華「純」

純「あ…わりぃわりぃ。軽率だった」

京太郎「いえ…大丈夫です」
947 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/02(水) 00:46:28.01 ID:lUI718k20





一「…なんか調子悪そう」

京太郎「やり手の部長って感じでしたけどね。初戦のトバシとか」

透華「ああ見えて緊張しいだったりしますのよ、彼女」

一「へー」

衣「……」

透華「…衣?」

衣「…おなかすいた」グゥゥ

シュッ スタッ
ハギヨシ「軽食をご用意いたしました、遅れて申し訳ありません」

衣「わぁ…!」

京太郎「…分かっててもびっくりするんですけど」

ハギヨシ「それは失礼しました」

透華「助かりますわ。…京太郎さん、お昼はどうしますの?」

京太郎「長めに出てていいとは言われてるので…よければご一緒できれば」

透華「決まりですわね。というわけでハギヨシ、よろしくお願いしますわ」

ハギヨシ「承知いたしました。また何かありましたら」スッ

948 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/02(水) 00:48:14.28 ID:lUI718k20




京太郎「…美味いっすね、ドーナツ」モグモグ

一「案外甘いのいけるクチだよねー。…あっ、衣の口元」

衣「…?」ムグ?

京太郎「あっ、ちょっと動かないで…はい、取れました」

衣「…一言言わぬか、吃驚するではないか!」

京太郎「あー…すみません、つい」テヘッ

衣「…まあよい。しかしどうだ、やはり格別であろう?ハギヨシお手製の菓子は」

京太郎「あぁ、やっぱりそうなのか…市販と言っても分からないくらいですよ。どうやって作るんだろう」

ハギヨシ「さほど難しい工程はありません、京太郎君なら苦戦しないはずです。レシピはこのように」パラッ

京太郎「…いつの間に。ええっと…確かにこれならまあ。トッピングを工夫しても面白そう」

ハギヨシ「その場合生地に調整を加えるとより良いものに…失礼。後ほどに致しましょう」

京太郎「…そうっすね、試合中なの忘れてた」

949 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/02(水) 00:49:57.64 ID:lUI718k20

一「…ほんと、研究熱心なこと」

京太郎「なんかすいません……ええっと、ほら!凄いですね姫松のエース。初戦は役満和了してましたし」

一「…でも本質は超守備型っていうね。ある意味一つの頂点だよ、あの人は」

京太郎「守備型…照さんは滅多に放銃しないですけど」

一「チャンプは万能型だよ明らかに。春も見たけど…打ち筋が違うもん。ずっと上の次元を透かして見て打ってるような」

一「雲の上の人だよ。衣のそばにいるボクが言うのもなんだけどさ」

京太郎「…凄い人なのはそうなんですけど、普段は普通ですよ照さんは」

一「おっ、惚気くる?話変えようと持ち出したのに結局ボクが聞きたいところに戻ってくるあたり、キミもお人好しだよねっ」

京太郎「…話変えようとしてたのは認めますけど。別に惚気とかそんなんないです。だいたい照さんとはそういう関係じゃないんですって」

一「わざわざ東京まで追いかけていったのに?」

京太郎「…それ向こうの部長にも言われました」ハァ

一「そうだよ、そう見られてもおかしくはないってことだよ。このドーナツにしたって、どうやったら好みの味になるか考えてたでしょ」

>ツモ! ピッ パシン

京太郎「…何ですか今のツモ」

一「…まあいいけど。竹井さんもやっと本領発揮ってとこかな。しっかりレポート上げたいならここからちゃんと見ることだね」

京太郎「…うっす」
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 18:28:20.01 ID:gX46VAi6o
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 16:39:16.29 ID:9X555muWO
待ってた
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 22:15:34.37 ID:E8Z/w7zX0
一ちゃんという痴女服で迫っても京太郎に振り向いてもらえないサブヒロイン
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 00:33:17.02 ID:rVlgFOeYO
清澄でいうとヒッサ枠かね
ちょっかいかけて適度な距離をキープしつつ
隙あらばもしくは最終的にかっさらうのを狙ってる感じ
こと恋愛に関しては詰めを誤ってしまいそうな辺りとかも
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 10:45:36.93 ID:j6JnsCYz0
からかい上手に見えて詰めを誤るのは、恋愛に対しては臆病だからだろうね
今のポジションを失うのが怖くて本音をさらけ出せない
そうやってモジモジしている間に、好きな異性の隣にいるのは自分ではなくなっているという…
955 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/23(水) 00:30:58.56 ID:i2449y6m0




透華「キタキタキタ、来ましたわ、おいでませのどっち!」

京太郎「」ビクッ

一「あっ、発作みたいなものだから気にしないで」ヒラヒラ

京太郎「あっはい」

透華「…何ですのその哀れみに満ちた目は。一もそんなぞんざいな扱いはやめてくださいな」

一「あー、ごめんね?そう、透華はあのいろいろでっかい原村和にご執心でさ…」

京太郎「なんすかそれ」ヒキッ

透華「言い方!間違ってはいませんけど誤解を招く言い方!それに『でっかい』とは!無関係なワード!流石の私もキレてしまいますわ!」

京太郎「キレッキレですね」

透華「やかましいですわ!」

シュタッ
ハギヨシ「透華お嬢様。一さんも」

透華「…はっ、頭に血が上ってとんでもない振る舞いを…龍門渕の者として恥ずかしいですわ」

一「ごめん、ちょっとからかい過ぎちゃった」

京太郎(執事すげぇ)
956 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/23(水) 00:34:44.41 ID:i2449y6m0


透華「…原村和はデジタル打ちを極限まで極めていますわ。牌効率や5ブロック理論がどうこうというレベルではなく…配牌時点で和了できる点の期待値を即座に導き出して打ってる…そうですわ」ミョンミョン

京太郎「それでこんな早切り…いやいやいや、そこまでいくともうオカルトみたいなものじゃないですか」

透華「…そうかもしれませんわね」

京太郎「…あのデジタルの権化の透華先輩が言うなら、さぞ凄いんでしょうね、原村さん」

透華「あのってなんですか…まあ、ガチガチの理論派だという自負はありますわ。今も昔も同じように」

京太郎「その節は本当にお世話になりました」ペコリ

透華「他でもないハギヨシの珍しい頼み事でしたし。それに…私自身も結構楽しんでましたのよ、一から勉強しているようで」フフッ

衣「衣も最近ようやっと勉強を始めたんだ!」

京太郎「おぉ、それは偉い」ナデナデ

衣「んみゅ…はっ、撫でるでない!子供じゃないんだぞ!」

京太郎「すみません、撫でやすい位置にあったんで」

衣「むむむ…」
957 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/23(水) 00:45:13.62 ID:i2449y6m0


透華「…あえて文句を言うとすれば、なぜその時に宮永咲さんを紹介してくださらなかったのか!その一点に尽きますわ」

京太郎「あっ…いや、その時は咲がまた麻雀やるって思いもしなかったので…」

透華「でも一緒に打っていたのでしょう?『家でも実戦形式で特訓している』って言ってましたし」

京太郎「…よく覚えてますね、言った本人も確かじゃないのに…いや、でもそうですね。同時進行でやってました、咲と」

透華「やはり…京太郎さんと幼馴染みだと宮永さんから聞いてからずっと引っかかってましたの。この実力なら京太郎さんを指導できたのでは、と」

京太郎「…咲から言ってきたんですか?俺のこと」

透華「ええ、合宿の時に」

京太郎「マジか…意外」

衣「この前も言ったが…お前が思っているよりも咲は強いぞ、京太郎」

京太郎「…そうなんですかね」



智紀「宮永さんを紹介してほしかった…つまり彼女をチームに入れたいということ。その時外れるのは…多分私、だよね」フッ

透華「あああ智紀!そ、そんなつもりではありませんわ、言葉の綾、ね?本気で言ってるわけではなくて」

智紀「大丈夫透華。私も自分の実力はわかってるつもり。所詮ヒキニート廃人のメイド崩れに過ぎないんだよ…」

透華「ともき…ゆるして…ゆるしてくださいませ…」


ワ- ギャ-

京太郎「次の局始まりますよーお二人さーん」

958 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/23(水) 00:48:01.21 ID:i2449y6m0





>小四喜炸裂ー!

ワァ- ウォォォッ

京太郎「…すごいポーカーフェイスですね」

透華「…偶然の産物としか思っていませんから、きっと」

京太郎「え…でもあれでしょう、四喜和は永水のヤバい服の人の得意技じゃないですか」

一「さすがにアレはないよね」

京太郎「五十歩百歩だと思いますけど」

一「やだなあジョークがお上手なんだから」

京太郎(…手強い)

衣「巫女の奴、思うように和了れず涙目だったではないか。何があった?」

京太郎「んー、多分宮守の片眼鏡の人が何かしてたんだと思います。こう…能力無効化、みたいな」

衣「ほう。…迂闊に頼りすぎたな」

透華「永水は副将がポイントゲッターでしたし…厳しいかもしれませんわね」

京太郎「…さて、いよいよ次か」

959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 01:02:31.37 ID:FD2qUyGcO
待ってた
960 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/10/23(水) 01:03:37.45 ID:i2449y6m0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『本日第一試合もいよいよ大将戦です…』


淡「うわっ、なんだっけこの服……あっ、巫女さんか」ヒョコ

照「…そう」

誠子「どれどれ……えっ、永水負けてるじゃん」

淡「強いの?」

誠子「淡さぁ、一応みんなで確認したじゃない。シード校だよ?」

淡「そうだっけ。忘れちゃった」アハハ

菫「やれやれ。…他校の結果もいいが、まずは明日の試合だ。対戦相手の牌譜と所感メモに目を通して、しっかりイメージトレーニングをすること」

淡「そう言われても…だいたいなんできょーたろーはいないの!?ずっこいずっこい!」

誠子「もう同じ会話繰り返すの嫌なんだけど。なに、そんなに気になるの?もう好きなの?」

淡「…はあ?違うもん!そんなんじゃないもん!」ブンブンブン

961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 03:38:37.11 ID:sHIfh23go
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 05:07:39.01 ID:eJOk59r70
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/23(水) 18:28:46.26 ID:PROG70w00
乙ですのだ!
964 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/11/12(火) 00:51:17.74 ID:G/ERKAGt0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

京太郎「姫松の…末原?さん、巧いっすね」

衣「気になるか」

京太郎「打ち筋は俺好みですね。信念や理念が一打一打に籠もってるような…名門校の大将張ってるだけある、というか」

衣「落ち着き払っているように見えるが…内では案じているんだろう?」

京太郎「……バレますか。いや…だって緊張しますよ?まともに他人と打ってるの数年ぶりに見るわけで」

衣「…まあそう焦るな。衣だって十二分に肩入れしてるんだ、その程度は諒解できる」

衣「衣に勝った咲を信じろ。衣はそうするし、それしかできぬ」


>カン! ツモ,リンシャンカイホウ


衣「そら来たぞ、しかと見よ」

京太郎「…うっす」


965 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/11/12(火) 00:52:40.08 ID:G/ERKAGt0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



照「……」
スクッ

菫「…もういいのか、観なくて」

照「うん。大丈夫みたいだから。…打ってくるね」
スタスタ


トタトタ
淡「きゅーけいきゅーけいっ!…あれ、テルーは?」

菫「練習しに行ったよ」

淡「入れ替わりかー…つまんないの」チョコン

誠子「入れ違い、な」ドッコラセ
966 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2019/11/12(火) 01:02:54.76 ID:G/ERKAGt0
淡「…あっ、この人テルーと同じ名字!」ズビシッ

誠子「そりゃ名字くらいかぶるでしょ、そんな珍しい名前じゃないし」ゼンコクダシ

淡「ふーん」

菫「……」


>カン! ツモ,リンシャンカイホウ

淡「ほえー」

誠子「お前、当たるかもしれない相手なんだしどうせならちゃんと見ろよ…」

淡「えっ…ほんとだ、大将だ!」

誠子「おいおいおい死ぬわコイツ」

淡「そのくらいじゃ死にませーん」

菫(……どうするのかな、照)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/12(火) 11:54:46.46 ID:PrekofYXo
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/12(火) 14:36:35.67 ID:8psezfiZ0
乙ですのだ!
969 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:17:20.43 ID:fQFhyHFTO
かはは
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:17:59.16 ID:fQFhyHFTO
かはか
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:19:08.64 ID:fQFhyHFTO
かはかふかはかははほははほほかあさはたなまらやあかさらたまやなあかさまなかあさはまらやなたかあさらまやまなあらわらやまたなはさかたにはらやまわ、らやまたねはさかあたねはらゃ、らはやまたなはさかあたなはらやまわ、らやまたなはさかあたなはらやまわ、
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:19:41.79 ID:fQFhyHFTO
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:20:32.62 ID:fQFhyHFTO
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:20:58.15 ID:fQFhyHFTO
g
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:22:01.62 ID:fQFhyHFTO
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:22:34.08 ID:fQFhyHFTO
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:23:11.75 ID:fQFhyHFTO
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:23:42.37 ID:fQFhyHFTO
たな
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/06(金) 02:24:12.47 ID:fQFhyHFTO
sex
980 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/06(金) 02:24:48.09 ID:fQFhyHFTO
sexwind
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:25:25.48 ID:fQFhyHFTO
sex
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:26:03.39 ID:fQFhyHFTO
ふたなり
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:26:32.46 ID:fQFhyHFTO
ちんぽこ
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:27:40.74 ID:fQFhyHFTO
やる気ねーならこのスレは別にいらねーだろ?ww
ちんぽこ〜w
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:28:20.86 ID:fQFhyHFTO
くそ&くそ〜
986 :◇oiHx77pVqQ [sage saga]:2019/12/06(金) 02:28:59.59 ID:fQFhyHFTO
ちんぽこ〜
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:29:28.47 ID:fQFhyHFTO
ちんぽこ〜
988 :◇oiHx77pVqQ [saga and]:2019/12/06(金) 02:30:25.07 ID:fQFhyHFTO
うんちー
989 :◇oiHx77pVqQ [ロマサガ]:2019/12/06(金) 02:31:37.56 ID:fQFhyHFTO
シコシコ勇者なりィ〜ww
990 :◇oiHx77pVqQ [キンタマ]:2019/12/06(金) 02:32:52.11 ID:fQFhyHFTO
キンタマスカットナイフで切るー
991 :◇oiHx77pVqQはチンカス [sagasex]:2019/12/06(金) 02:34:21.89 ID:fQFhyHFTO
おチンカス
992 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:35:32.80 ID:fQFhyHFTO
あーんあーん、ちんぽこー
993 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:36:05.36 ID:fQFhyHFTO
994 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:36:49.57 ID:fQFhyHFTO
うめ〜チンカス〜
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:37:31.44 ID:fQFhyHFTO
チンカス
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:38:02.17 ID:fQFhyHFTO
ちんぽこ
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:38:37.78 ID:fQFhyHFTO
ちんぽこ
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:39:20.40 ID:fQFhyHFTO
桜田ひより
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:40:02.43 ID:fQFhyHFTO
ちんぽこ
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 02:41:40.66 ID:fQFhyHFTO
祝!!1000埋め!!
序でに塞のアナルも埋め〜
うまい!
マンコ〜w
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                     ___, - 、
                    /_____)
.                    | | /   ヽ || 父さんな、会社辞めて小説で食っていこうと思うんだ
                    |_|  ┃ ┃  ||  
                   (/   ⊂⊃  ヽ)        /  ̄ ̄ ̄ \
  \僕はSS!/           \_/  !        ( ( (ヽ     ヽ
                   ,\ _____ /、       | −、ヽ\     !  <私は二次創作
   ゝ/  ̄ ̄ ̄ \     /. \/ ̄\/   .\     | ・ |─ |__   /
   / _____ヽ    |  |  _┌l⊂⊃l  |  |    ┌ - ′  )   /
   | | /  ─ 、−、!    |  |  / ∋ |__|  |  |    ヽ  /   ヽ <
   |__|─ |   ・| ・ |    |  /`, ──── 、 |  |     ` ─┐  ?h ̄
   (   ` ─ o−i    ヽ /         \ .ノ_      .j ̄ ̄ |
    ヽ、  ┬─┬ノ / ̄ ./            ヽ- 、\    /   ̄ ヽ\
  // /ヽ─| | ♯|  /   i  ぼくオリジナル   | ..) ) \  i  ./   |\\
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ソシャキチ!映子さん「アイドルマスターシンデレラガールズ」 @ 2019/12/05(木) 23:42:31.43 ID:i7uitGeD0
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北颪 @ 2019/12/05(木) 20:13:30.37 ID:oQ17mNM20
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【バンドリ】 スタッフ「コミュニケーション不足?」 安価 その3 @ 2019/12/05(木) 19:41:09.44 ID:amsgbOC40
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【安価・コンマ】ファンタジーな世界でアマゾネスに立ち向かえ @ 2019/12/05(木) 18:28:41.31 ID:uGqz5ncj0
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京太郎「すこや姉さん、きちゃった」すこやん「京くん!」 @ 2019/12/05(木) 12:22:45.08 ID:QUmnMYoa0
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ss速報総合雑談スレ @ 2019/12/05(木) 08:29:04.72 ID:+dd5iOjCO
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楓「このステッキ、とっても素敵」 @ 2019/12/05(木) 04:47:06.11 ID:JobI8Wpk0
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【シャニマス】アイドルマスター クラウディデイズ @ 2019/12/05(木) 01:07:22.40 ID:AUAdvp6Z0
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