果の陽炎型

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

43 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:26:15.52 ID:1+N5b36So


  〜 数週間後 〜 


雪風「しわしわ〜」

時津風「変な色〜」

浜風「完成です」

雪風「えぇ〜、こんなの美味しくないよ」

時津風「絶対マズいよ」

浜風「大丈夫ですよ、はい」

雪風「!」

時津風「!」

雪風「甘ーい!」

時津風「何で?美味しい!」

浜風「魔法です」

雪風「すごーい!魔法ー!」
44 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:27:29.02 ID:1+N5b36So







ローマ「……何これ」

リットリオ「軒下にピーマンが吊してありますね」

アクィラ「こっちにはセロリがたくさん〜」

ローマ「何なの、嫌がらせ?」

リットリオ「虫除けとかじゃないかしら?」

リベッチオ「あ、それ雪風のだよ」

リベッチオ「触ったらダメだよー」

ローマ「何なのよこれは」

リベッチオ「う〜ん、リベもよく知らないんだけど」

ザラ「魔法とか言ってたわね」

ローマ「魔法?」

リットリオ「何かの儀式かしら」

ローマ「こんなの絶対に黒魔術よ」

アクィラ「日本には不思議がたくさんですね〜」

45 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:30:13.01 ID:1+N5b36So


【 谷風 】


出掛ける支度をしていると、めざとく谷風がやって来た。
清霜から話を聞き付けて、慌ててここに来たようだ


谷風「パスタ屋に行くんだって?谷風も連れてっておくれよぅ」


生粋の江戸っ子である谷風にとって、パスタは欠かせぬソウルフードなのだと言う。


那智(お前のソウルフードは、パスタではなくてお菓子だろう)

那智は心の中でそう思ったが、口に出すのは止めておいた。


那智「別に構わんが、退屈だぞ」

谷風「がってんだー!」パアアァ!


”生粋の江戸っ子”という言葉の意味を、那智は百回くらい教えたが。
大阪生まれ広島育ちの谷風は、大きく「うん!」と答えるだけで、最後まで理解を示さなかった。


武蔵「フッ、随分待たせたようだな」


果たして約束の時間になると、のそり、と武蔵がやって来た。
足元にはいつものように、清霜が纏わりついて離れない。


那智「いや、時間通りだ」

清霜「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
46 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:31:20.66 ID:1+N5b36So





武蔵「ふむ、イタリア料理とは珍しいな」

那智「いい雰囲気だろう。重巡の集まりで時々使うんだ」

武蔵「ほう」

那智「味も本格的でな、ザラやポーラのお墨付きだ」

武蔵「それは楽しみだな」

那智「種類も豊富だぞ。パスタだけでも何十種類もある」

谷風「うおー!」

清霜「すごーい!」
47 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:32:38.43 ID:1+N5b36So

那智「お前達はパスタとか分からないだろう。店のオススメでも頼んでみるか」

谷風「てやんでぇ、べらんめぇ!谷風さんは自分で決めるぜ」

谷風「こう見えてパスタにはうるさいんだ。通に任しておくれよ」

那智「ほう」

清霜「わたしも自分で選びたいです!」

清霜「毎日リベと遊んでいるからイタリアには詳しいです!清霜は国際派です」

武蔵「ふむ」

那智「よし、それなら各々好きなのを注文しろ」

清霜「やったー!わたしナポリターン!」

谷風「よっしゃーっ!谷風さんもナポリターン!」

那智(通だなぁ……)

武蔵(国際派だなぁ……)
48 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:33:49.89 ID:1+N5b36So





店主「お待たせしました」コトッ

清霜「すごーい、何これー!」

谷風「真っ黒じゃねーか」

那智「イカスミのパスタだ」

清霜「こんなの食べたら、口が真っ黒になっちゃうよ」

武蔵「はっはっは」

那智「そう言うが、昔は歯が黒い方がモテてたんだぞ」

清霜「えー?」

那智「お歯黒と言ってな、わざわざ黒く塗っていたんだ」

那智「まあ、美人の代名詞だな」

谷風「へー」

清霜「そういえば羽黒さんって綺麗だよね」

谷風「うんうん、優しいしな」

那智(それは羽黒)

武蔵(お歯黒関係ない)
49 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:34:55.64 ID:1+N5b36So

谷風「でも那智の方が美人だけどな!」

那智「む」

清霜「いや、武蔵さんの方が美人だよ!」

武蔵「ん」

谷風「何言ってんだよ!那智の方がモテるに決まってるだろ」

清霜「違うよ!武蔵さんの方がモテモテなんだから!」

那智「おいおい、お前ら」

武蔵「こらこら、喧嘩するな」

谷風「あぁ?言っとくけどウチの鎮守府で那智が一番綺麗だからな!」

清霜「ちーがーいーまーすー!一番美人なのは絶対絶対武蔵さんだからね!」

那智「お前らケーキでも食うか」

武蔵「ジュースも飲んでいいぞ」

50 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:36:09.14 ID:1+N5b36So





武蔵「寝たか」

那智「ああ」

武蔵「しかし随分派手に汚したな」

那智「ナポリタンだからな、仕方ない」

武蔵「これはシミ抜きが大変だぞ」ヤレヤレ

那智「まあ、予想通りさ」


那智「さて、静かになったしもう少し飲もうか」

武蔵「赤にするか白にするか、ロゼというのもあるな」

那智「ローマに聞いたんだが、赤ワインは身体にいいらしい」

武蔵「ほう」

那智「ポリ……なんとかが効くそうだ。 美容にもいいそうだ」

武蔵「そんな事を聞いたら飲まなくてはならないじゃないか」

那智「うむ。仕方ないな」

武蔵「仕方ない、仕方ない」グビグビ

那智「あー、仕方ない」グビグビ

51 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:37:25.42 ID:1+N5b36So





那智「さて、最後はデザートだが……」

武蔵「こいつらは一度寝たら起きないぞ」

那智「むう、しかし来る前から楽しみにしていたからなぁ」

武蔵「そういえばジェラートがどうのと言ってたな」

那智「桃と洋梨がオススメらしい」

武蔵「お土産にしてはどうだ」

那智「テイクアウトか、だが持ち帰ると他の姉妹とで喧嘩にならないかな」

武蔵「全員分買ってやればいいじゃないか」

那智「全員分か、うーん……」

武蔵「何人いるんだ」

那智「二十人くらいいるな」

武蔵「」

那智「いや、もっとか」

武蔵「そんなにいるのか」

那智「どちらも大所帯だからな」

武蔵「それはつまり、駆逐艦寮ではこの二十倍騒がしいって事か」

那智「まあ、そうなるな」

武蔵「はー……」

那智「想像もつかんな」フフッ

52 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:39:16.10 ID:1+N5b36So


【 野分 】


野分「ぶどう感……ですか?」

那珂「うん、武道館。知ってるかな?」

野分「いや、ちょっとよく分からないですね」

那珂「そっかぁ、まだ知らないか」

野分「那珂ちゃんは知ってるんですね」

那珂「もちろんだよ!だって憧れだもん」

野分「憧れ、ですか」

那珂「そうだよー。感動したり興奮したり、言葉では言い表せないよ」

野分「そんなにすごい感覚なのですか」

那珂「心を……ううん、魂を揺さぶる感じだよ」

野分「それはつまり、快感や多幸感といった意味でしょうか」

那珂「うんうん、それに近いというか、全部合わせたような感じ。だって頂点だもん」

野分「頂点……絶頂……ですか」
53 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:40:42.33 ID:1+N5b36So

那珂「あ〜思い出すなぁ、初めて行った時の事」

野分「イッた!?初めて?」

那珂「あれは那珂ちゃんが今の のわっちぐらいの頃だったかなぁ」

野分「そ、そんなに早く?」

那珂「早くないよ、普通だよ」

那珂「ああ、でも那珂ちゃん都会っ子だったからね。田舎の子よりは早かったかも」

野分「やっぱりそういうものですか」

那珂「馬鹿にする訳じゃないけど、田舎だとやっぱり大変だよ」

野分「そ、それでどんな感じだったんですか」

那珂「ん?武道館」

野分「はい。その、初めてイッた時のぶどう感というのは」

那珂「そりゃもうすごかったよ!那珂ちゃん泣いちゃったもん」

野分「やっぱり痛かったんですか」

那珂「ううん、気持ちよくて」

野分「気持ちよくて泣くのですか!?」

那珂「感涙って言うのかなぁ……一生忘れられないなぁ」

野分「」
54 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:42:10.94 ID:1+N5b36So

野分「だ、誰と……」

那珂「え?」

野分「初めてイッた時のお相手は誰だったんですか」

那珂「川内ちゃんだよ」

野分「川内さんっっ!?」

那珂「あと神通ちゃんも」

野分「神通さんまでっっ!?」

野分「い、いきなり三人ですか!三人でイッたのですか」

那珂「そうだよ。みんな一緒だよ」

野分「し、姉妹ですよね?普通は男の人とじゃないんですか」

那珂「まあデートとかでね、男の人と一緒に行く人もいるよね」

野分「ですよね、普通はそうですよね」

那珂「でも那珂ちゃんは、川内ちゃんと神通ちゃんが良かったんだ」

那珂「最初は三人で行こうねって、決めてたんだ。だって……大好きだから」

野分「で、でもやっぱり普通は……」

那珂「実を言うとね、神通ちゃんは最初あまり乗り気じゃなかったんだよ」

野分「ですよね!そう思います!神通さんは絶対そうです」

那珂「でも照明が消えて本番が始まると変わったんだ」

野分「嘘ですよね」

那珂「髪を振り乱し大きな声をあげて大興奮だよ」

那珂「本番が終わった後は、もうみんな汗だくでグッタリだったよ」

野分「」
55 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:43:15.21 ID:1+N5b36So

那珂「どう?少しは興味でたかな」

野分「の、野分にはまだ早いです……」

那珂「そんな事ないよ!さっきも言ったけど那珂ちゃんだって最初は のわっちぐらいの時だったよ」

野分「でも……野分はそういうの何も知らなくて」

那珂「大丈夫だよ!那珂ちゃんが全部教えてあげる!」

野分「ぶどう感の事も?」

那珂「武道館の事も!」

野分「どうやってイクかも?」

那珂「いろんな行き方を教えてあげる!」

野分「あ、あの……野分は、野分は……」モジモジ

那珂「優しくしてあげるから……ね?」ニコッ

野分「…… ///」コクッ

56 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:44:32.24 ID:1+N5b36So


【 嵐 】


むかしむかしあるところに、二人の女の子が住んでいました。


あらし「りんご大好き」

はぎぃ「ぶどう大好き」


二人は甘いものが大好きで、毎日くだものばかり食べていました。


磯風「さあ、ご飯だぞ二人とも」

あらし「……」

はぎぃ「……」


比叡「美味しいカレーが出来ましたよ!」

あらし「……」

はぎぃ「……」


二人はいつも好き嫌いばかり。

ご飯も食べずにくだものばかり食べていました。

57 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:45:36.47 ID:1+N5b36So


そんなある日……


あらし「うわあーん!」

はぎぃ「髪の毛がー!」


何という事でしょう。


りんごばかり食べていたあらしの髪は赤色に。

ぶどうばかり食べていたはぎぃの髪は紫色に。


好き嫌いばかりしていた二人は、くだもの星人になってしまったのです。


わがままを言っていたばっかりに……

好き嫌いをしていたばっかりに……


くだもの星人になった二人は、それから毎日泣いて暮らしましたとさ。



おしまい。

58 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:46:44.22 ID:1+N5b36So



陽炎「……というお話だったのよ」つ 絵本


雪風「……!?」ガクガク

時津風「……!?」ブルブル

雪風「か、髪の毛が……あ、赤色に?」

時津風「ふ、不良なの、チンピラなの」

陽炎「そうよ。好き嫌いばかりしてると、アンタ達もそうなるわよ」

雪風「ふ、ふえぇ……」

時津風「怖いよ怖いよ」

雪風「ど、どうすれば……」

陽炎「ちゃんと言う事を聞いて、いい子にしていれば大丈夫よ」

雪風「雪風いい子になります!」

時津風「時津風もなるよ!好き嫌いしないよ!」

陽炎「よしよし、偉いわね二人とも」 ニッコリ

59 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:47:27.33 ID:1+N5b36So





黒潮「いや〜、すごい効き目やわ」

不知火「どうしたんですか、この絵本」

陽炎「秋雲に頼んだの」

不知火「なるほど、さすが秋雲ですね」

陽炎「これで好き嫌いもなくなるわ」

黒潮「いい子にもなるし、万々歳やな」

陽炎「うんうん、万々歳よ」



嵐「陽炎」

萩風「陽炎」

陽炎「さっ、遠征行ってこなきゃ」イソイソ

嵐「陽炎」

萩風「陽炎」

陽炎「あー、忙しい忙しい」スタスタ

60 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:50:38.45 ID:1+N5b36So


【 萩風 】


コタツでぬくぬく寝て過ごし、喉が渇けばミカンを食べる。

焼いた餅も芋もある。温かいお茶もある。

雪降る真冬の桃源郷。ずっとこうして暮らしたい。



萩風「ただいまー」

嵐「あー、疲れたー」

野分「嵐、萩風、お帰りなさい」

萩風「わぁ、部屋は暖かいね」

野分「さ、コタツにどうぞ」

野分「すぐお茶を淹れますね」

嵐「あ、手伝うよ」

野分「大丈夫ですよ、ゆっくりして下さい」
61 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:51:23.84 ID:1+N5b36So





嵐「あぁ〜コタツ幸せー」

萩風「外、寒かったもんね」

野分「ミカンもありますよ」

嵐「おっ、ミカンいいねぇ」

萩風「あれ、舞風寝ちゃってるね」

野分「頑張って待っていたんですけどね」

野分「ついさっき、力尽きました」

嵐「おコタ気持ちいいもんな」

萩風「布団で寝ないと風邪ひくよ」

嵐「まあ少しくらい大丈夫さ」
62 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:52:10.85 ID:1+N5b36So





萩風「ミカン美味しいね」

嵐「すごく甘いな」

野分「暇だったんで、たくさん揉んどきました」

嵐「えっ、ミカンって揉むと甘くなるの」

野分「あれ?聞いた事ありませんか」

嵐「えー、初耳」

野分「食べ比べしてみますか」

嵐「するするー」

野分「こっちが普通のミカンで」

野分「こっちが揉んだやつです」

嵐「どれどれ……」

嵐「……あ!」

嵐「すごい!全然違う!」

野分「鳳翔さんが教えてくれました」

萩風「どういう仕組みなんだろうね」

野分「不思議ですね」
63 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:53:00.46 ID:1+N5b36So





嵐「のわっちって、結構几帳面だよな」

野分「え、そうですか」

嵐「ミカンの房の白いやつとかさ」

萩風「ああ、野分は全部剥く派だね」

野分「嵐は剥かないんですか」

嵐「俺は皮だけだなー、面倒だし」

萩風「この白い筋はすごく栄養があるんだよ」

野分「そうなのですか」

萩風「ビタミンとか食物繊維とか」

嵐「はぎぃは詳しいなぁ」
64 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:54:13.94 ID:1+N5b36So





萩風「筋を綺麗に取って」

萩風「つるつるになったミカンの房をね」

萩風「こうやってふたつ重ねるとさ、ほら 唇みたいでしょ」プニ

萩風「感触もね、本物そっくりなんだよ」プヨ

嵐「おー、ちょっと厚めの唇だね」

萩風「唇の厚い女の人はエッチなんだって」

嵐「えー、何それ ///」

嵐「じゃあ、のわっちとか厚々じゃん」

野分「な、何でですか!野分はエッチではありません!」

萩風「あはは」
65 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:55:18.62 ID:1+N5b36So





嵐「あ、はぎぃそれ貸して」

萩風「え?ミカン」

嵐「そうそう、その重ねたやつ」

萩風「はい」

野分「?」

嵐「ほらほら舞風〜」チュッチュッ

嵐「エッチな野分ですよ〜」チュッ

萩風「ふふ、何やってるの」

嵐「いや眠り姫にさ、王子様のキッス」

舞風「う、う〜ん……野分?」

嵐「おっ、反応した」

嵐「朝ですよ〜、起きてくださ〜い」チュッチュッ

舞風「もう……さっきたくさんしたでしょ〜」ムニャムニャ

嵐「!?」

萩風「!?」

野分「!?」

舞風「続きはお風呂に入ってからね〜……」スヤァ…

嵐「!? ///」

萩風「!? ///」

野分「!? ///」
66 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:56:16.48 ID:1+N5b36So

嵐「え、えっと……野分さん?」

野分「違います」

萩風「これは一体、どういう」

野分「違います」

嵐「ちょっと詳しく聞かせてもらおうかな」

野分「これは違うのです」

萩風「うんうん、詳しくは署の方で聞くからね〜」

野分「野分には何のことやら」

67 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:57:46.53 ID:1+N5b36So


【 舞風 】


今日のおやつは黄色い果実。

クレープにもシェイクにも、チョコレートにもミルクにも。
何にでも合う人気者。



舞風「長門さん、長門さん」

長門「ん、舞風か。どうした」

舞風「これ、あげます」

長門「む?これは……バナナか」

舞風「たくさん食べてください」タタタッ

長門「あっ、おい、舞風」
68 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:58:33.32 ID:1+N5b36So





陸奥「どうしたの、それ」

長門「いや、駆逐艦の子達に貰ったんだが」

陸奥「えー、また?」

長門「う、うむ」

陸奥「え、何で?あの子達のおやつじゃないの」

長門「私にも分からないんだ」

陸奥「どうするの、こんなに沢山」

長門「食べるさ」

陸奥「これ全部?」

長門「う」

陸奥「相当あるわよ」

長門「まあ、何とかなるだろ」

長門「別にバナナは嫌いじゃないしな」
69 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:59:30.13 ID:1+N5b36So





長門「……」モシャモシャ



舞風「どお?」ソー

嵐「食べてる、食べてる」

野分「すごい量ですね」

萩風「あれ全部食べるのかな」

舞風「ほらね、言ったでしょ」

舞風「長門さんはバナナが一番好きなんだよ」

萩風「確かにそうかも」

嵐「あの食べっぷりだもんな」

舞風「みんなにも教えてくるね」タタタッ

野分「あっ、舞風、私も行きます」
70 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:00:32.54 ID:1+N5b36So





舞風「何それ」

不知火「菓子折りです。長門さんに、日頃のお礼をと」

舞風「あー、そんなのダメダメ」

舞風「長門さんにはバナナじゃないと」

不知火「えっ、バナナですか」

舞風「そう!バナナ!なるべくおっきな奴ね」

不知火「しかしバナナなんて……」

舞風「だーいじょうぶだって、バナナ大好きなんだから長門さん」

陽炎「ゴリラじゃないんだから、そんなにバナナばかり食べる訳ないでしょ」

舞風「じゃあ、見てみてよ」

舞風「ほら、あそこにいるよ」



長門「……」モグモグモグ



陽炎「……食べてるわね」

不知火「そういえば、こないだもモリモリ食べていましたね」

陽炎「え、何?本当にバナナが好きなの」

不知火「みたいですね」
71 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:01:34.00 ID:1+N5b36So





長門「確かに嫌いではないが……」

長門「こんなにあると流石に飽きるな」

陸奥「間宮さんのお店で使ってもらったら」

長門「いや、それは駄目だ」

長門「自分達のおやつを差し出してまで贈ってくれたんだ」

長門「やはり私が責任を持って食べ切るべきだろう」

陸奥「でも、この量よ」

長門「少々無理しても詰め込んで食べるさ」





長門「……!」モッシャモッシャ



不知火「すごい勢いで食べてますね」

陽炎「そんなに嬉しかったのかしら」
72 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:02:33.76 ID:1+N5b36So





長門「うっ!喉に詰まっ……!」ゴフッ

陸奥「ほらほら、慌て過ぎよ」

長門「うっ、うっ」ドンドン





陽炎「ドラミングしてるわね」

舞風「ドラミングって何?」

陽炎「胸をドンドン叩いてるでしょ、あれよ」

野分「どうして叩くんですか」

陽炎「興奮してるんじゃないかしら」

野分「そんなに喜んでくれているのですか」

陽炎「あと、威嚇してるのかも」

嵐「威嚇?何でさ」

陽炎「バナナを盗られると思ったんじゃないかしら」

萩風「あー、陸奥さんにね」

不知火「妹相手にも譲らないとは……本当にバナナが宝物なんですね」
73 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:03:29.99 ID:1+N5b36So

陽炎「はあ……仕方ないわね」

陽炎「長門さんへの贈り物はバナナにしましょう」

不知火「えっ、本当にバナナでいいんですか」

陽炎「あんなに好きならその方がいいわよ」

陽炎「みんなでお金を出しあって、バナナを沢山買いましょう」

舞風「やったーっ!」

萩風「どうせなら高級品にしてみる?」

嵐「あ、それいい!贈答用の奴とか」

不知火「喜んでくれるでしょうか」

舞風「絶対大喜びだよ!」

萩風「楽しみだね〜」

野分「楽しみですね」

74 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:04:41.63 ID:1+N5b36So


【 秋雲 】


真っ白な砂浜に打ち上げられ力尽きたイルカのように、姉達が黒コゲで死んでいた。
灼熱の地獄で繰り広げられた白熱のビーチバレーは想像以上の過酷さだったようだ。

クーラーボックスからキンキンに冷えたジュースをチラ見せしたら動き出した。
プリキュアの衣装のままデパートの屋上に行き、大興奮の幼女の群れに殺到された不知火の気持ちを、少しだけ理解する。


   オイテケー オイテケー ペリエオイテケー

   オイテケー ワタシネクター ズルイワタシモー


こんな状況でも、ペプシ あずき は人気がない。

75 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:06:33.53 ID:1+N5b36So


◇◇◇


陽炎「この中に一人、裏切り者がいるわ」 スプライト レモンライム

不知火「それはまた物騒な話ですね」 ソルティ ライチ

黒潮「まあ裏切り者っちゅーか、変わり者やな」 みっくちゅじゅーちゅ

親潮「確かに、一人だけ明らかに違いますね」 りんご黒酢

初風「ああ、なるほど。間違い探しね」 Gokuri グレープフルーツ

雪風「雪風は分かりました!」 カルピス 白桃

天津風「えっ、もう?」 いろはす ハスカップ

時津風「時津風も分かったよー!」 メロンソーダ

浦風「まあ、ウチらの目は誤魔化せんよ」 シュウェップス シトラス

磯風「そもそも誤魔化してないだろ、これ」 ブラッド オランジーナ

浜風「えっ、もうみんな気づきました?」 ネクター ミックス

谷風「てやんでい!まるっと全部お見通しよー!」 ポンジュース

野分「というか最初からバレバレですね」 ペリエ ライム

嵐「あ、やっぱり?」 アップルサイダー

萩風「でも、本人は分かってないみたいだよ」 桃の天然水

舞風「じゃあみんな、せーので言うよ」 なっちゃん オレンジ

秋雲「え、えっと、犯人は……」 ペプシ あずき



全員「お前だーーー!!」

秋雲「な、なんだってーー!?」(驚愕)

76 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:07:06.72 ID:1+N5b36So

以上です。
読んでくれた人ありがとう。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 03:26:42.92 ID:HEAoQgJg0
おつ
相変わらず野分はえっちだなぁ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 04:35:47.65 ID:S3p6S7sVO
淫ピだとさくらんぼの茎を結べるのか
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 12:33:15.14 ID:L7zPjnN+o
ピンクは淫乱

にしても「銀」のスプーンてのもやっぱり…
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 12:55:18.42 ID:GqAgfhhdO

こういうSSすき
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 14:01:21.17 ID:Kv2ZI6hd0
乙様です
>79
銀のスプーンは中世ヨーロッパで食事に毒が入っていないかを確認する為に使われていたから
毒(ヒ素)が入っていないかを確認する為じゃないか?(中世ヨーロッパの毒殺はヒ素が主流)
まさか比叡カレーと和歌山事件をかけるようなあれな訳はないと思うけど…
子どもが生まれた時に贈ったりもするけどそっちの意味合いとしては一生、食に困ることがありませんようにって意味だから
作者様の意図は毒見としてじゃないかな?毒が入っていると銀が変色するって言われているから
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 19:32:38.00 ID:uBtN5KALO
のわっちw
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 19:36:55.90 ID:5eI5g1ba0
知らないところでホワイトにされる白雪ww

ところで >>74 の不知火の落ち度はちょっとスルー出来ない……
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 20:13:56.48 ID:07Xn8gXB0
時津風はドリアンを嗅いで悶絶してそう
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 21:01:49.14 ID:WblMzbduO
白雪は名前的にプリンセスじゃ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 14:48:03.05 ID:ehS4bJocO
事後のまいのわちょっとkwsk
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 20:49:28.03 ID:k1ENTF/F0
最初の方の磯風のリアクションで腹筋がつった
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 18:17:11.69 ID:4R1IYXfO0
>>87
同じく。

これまでの浜風・浦風による磯風への教育が何一つ実を結んでいない……
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 02:46:39.39 ID:fJDgfH9A0
このシリーズは相変わらず面白い
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/02(金) 20:57:24.93 ID:tPydACGz0
乙、>>21の答えが分からん
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/17(土) 08:01:10.30 ID:kCW+J4mK0
MAMAが笑顔(AがO)になると...?
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/29(火) 17:15:42.18 ID:yJHna9W8O
乙です。
いつのまにか新しいの来てたのね、相変わらずで善きかな……だが秋雲それはダメだ……ペプシあずきだけはダメだ……。
54.04 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)