【ミリマス】所恵美「『思わせぶりだぞこん畜生!』」

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10 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:19:12.09 ID:g3FQvVoU0

「バカっ! こんなカジュアルシャツとズボンで入店するぐらいならそっちの方がマシに決まってんじゃん!!」

「だったら早く言ってくれればいいじゃないか! ――そうだ、預けた荷物の中に丁度いい感じの服があったから今からでも」

「んもう! もうっ、信じらんない〜! 食べ終わる頃になって言うかなソレ〜!!」


だが、だが、それでもである。


「大体、服装とかなんとか以前にアタシらアイドルとプロデューサーなんだしさ。こんな、その、なんて言うの?
……傍目に付き合ってるんじゃないか、とか、誤解されそうな場所でご飯とか。ホント、もう、信じらんないって言うか」

「何言ってるんだよ。だから個室なんじゃないか」

「……どゆこと?」

「ここなら誰にも見られないからあらぬ疑いはかけられない。それに俺は、こう見えて信用できる筋から
紹介してもらってここを利用してるワケだからさ。スタッフもその辺のことは心得てくれてるって言うか」

「え〜……全然信じらんない」

「そこを信用してくれよ。第一、今までだってそんなトラブルは一度も起きたことが――ハッ!?」
11 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:20:12.09 ID:g3FQvVoU0
>>10訂正

〇「そこを信用してこその信頼だろ? 第一、今までだってそんなトラブルは一度も起きたことが――ハッ!?」
×「そこを信用してくれよ。第一、今までだってそんなトラブルは一度も起きたことが――ハッ!?」
12 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:21:27.15 ID:g3FQvVoU0

――限界であった。

単にプロデューサーの失着と言ってしまえばそれまでだが、本日二度目となる異なる女性の影チラリ。

最早マナーもへったくれも知ったことじゃない! といった様子で恵美はテーブルの上に肘をつくと。


「へぇ? アタシってばなんだかその話に、スッゴクスッゴク興味あるな〜」


言って、彼女は彼に語ったのだ。「そう言えばさ、こういうコース料理ってお喋りしながら楽しむものなんだっけ?
アタシ、ついさっきまで緊張でそれどころじゃなかったから、今ならとっても楽しく駄弁れそう」

「い、いやいやいや! 料理は殆ど食べ終わったし……」

「ダイジョブダイジョブ、ケーキがまだまだ残ってるから」


恵美がニッコリと微笑みかける。プロデューサーが冷や汗を垂らす。

今、彼女の手にしていたフォークはケーキの上で垂直な倒れないオブジェと化しており、夜はまだまだ更けきることない宵のうち。


「さっ、話し合おっか? トコトン」
13 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:23:12.42 ID:g3FQvVoU0

そうして「にゃはは」と笑うのだ。口だけを三日月のようにして笑うのだ。

だが窮鼠ここに来て猫を噛む。

追い詰められた事を悟ったプロデューサーは捕食者と成った恵美に対して一枚のカードを切って見せた。


「ま、待ってくれ恵美! 実はへっ、へっ、部屋を取ってあるんだ、部屋をっ! 恵美の為に部屋を一つ!!」

「……部屋?」

「そう、そうだよ! そうなんだ! ……部屋をね、一部屋、取ってある……。ここじゃほら、あんまり騒がしい話は出来ないだろう?」


まあしかし、普通は静かな話をするために部屋を用意するものであろう。
が、恵美はプロデューサーの告白で面食らったように赤くなると。


「部屋、部屋って……ウッソっ!? プロデューサーなんでそんなモン!」

「なんでって、だから今日は恵美の誕生日だから特別に――」

「えっ、えぇっ!? アタシ聞いてない! そんな話も予定も知らないから!!」

「そりゃそうだ! だってサプライズなんだからっ!!」
14 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:24:45.94 ID:g3FQvVoU0
>>13訂正

〇「なんでってそれは、今日が恵美の誕生日だから特別に――」
×「なんでって、だから今日は恵美の誕生日だから特別に――」
15 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:25:43.50 ID:g3FQvVoU0

慌てふためく彼女の両手がプロデューサーによって握られる。

「恵美!」と彼から力強く自分の名を呼ばれ、目と目がセンチで見つめ合い、緊張する二人の顔の距離は近く。


「今は何も言わずに俺の言葉を信じてくれ。……きっと後悔はさせないから」


「う、ん」とだけ小さく返すのが精一杯。

唐突な接近に心音跳ね上がった恵美はその場の勢いに飲まれそうになった唇の向きをどうにかこうにか彼から逸らし。


「……信じる。けどさ、次はないよ?」


手を取り合った際のドタバタで倒れたフォークを拾い上げ、
その切っ先についた甘いクリームで感情の高まりを誤魔化したのだった。
16 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:26:56.09 ID:g3FQvVoU0
===

さて――それからしばらく経っての事。

場所は変わり、恵美がプロデューサーと共に訪れた部屋の中には「恵美、お誕生日おめでとうっ!」という祝福の言葉が溢れかえり、
続く景気の良いクラッカーの炸裂音が死んだ目をしていた彼女の瞳に僅かばかりの色をさした。


「なっ? 恵美の為に部屋を取ってあるって言っただろ」


さらに言えば、である。満面の得意顔で言うプロデューサーのその頬をだ。
仲間たちの目も気にせず思い切り引っぱたいてやることができればどれほど心晴れるものか?

……自問する恵美の腕が親友の琴葉によって引っ張られる。


「さ、恵美は主役なんだからこっちに来て――って、どうしたの?」


親友の言葉に目を向ければ、そこには心配そうにしてる琴葉。
17 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:28:39.63 ID:g3FQvVoU0

「……もしかしてこういうサプライズは迷惑だった?」

「まっ……まっさか〜! ただちょっと驚いただけだってば〜」

「そう? なら良かった。――ほらみんな、恵美が来たよ!」


ホッと安堵の表情を見せる彼女に導かれる形で恵美はプロデューサーが取っていた部屋
――なに、そこは高級でも大人のムードも無いカラオケボックスの一室だ――に用意されていた自分の席へと腰を下ろす。

そうして渡されたリモコンに手早く入力を済ませると、
記念すべきバースデーカラオケの一曲目を目の前のバカ男に向けて朗々と歌い上げるのだった。


それは煮え切らない恋人への恨みを歌ったヒット曲。
歌につけられたタイトルは――。


「『思わせぶりだぞこん畜生!』」
18 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/04/15(日) 04:34:32.96 ID:g3FQvVoU0
===
以上おしまい。恵美ハッピーバースデー!

最後の曲、今回は架空の楽曲を用意しましたが、
皆さんでお好きな「このバカ!バカ!バカ〜っ!」って感じの歌を恵美に歌わせてあげてください。

ちなみに、元は『ゲキテキ!ムテキ!恋したい!』が候補でした。明るい曲調に例の歌詞ってセンスが好き。

では、お読みいただきありがとうございました。
19 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2018/04/15(日) 07:22:01.74 ID:AGF/0PoZ0
この言い方は誤解するよね、乙です

>>1
所恵美(16)Vi/Fa
http://i.imgur.com/w4XHqVI.png
http://i.imgur.com/u5BIMFc.jpg

>>16
田中琴葉(18)Vo/Pr
http://i.imgur.com/4b7MrKu.png
http://i.imgur.com/eoSOMTa.jpg
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 08:28:54.29 ID:kvE5JRXMo
可愛かった
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 09:53:53.17 ID:Bi2XOnQz0
めぐみぃハピバ!
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 23:00:15.27 ID:i+JCjRUXo
乙乙
めぐみぃ可愛い
Pは殴られても文句は言えないなw
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 14:26:42.41 ID:hH2md0EwO
これは一発殴られるべきだな
純情めぐみぃかわいかった
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