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【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」

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244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 03:36:26.81 ID:gcKrDhsSO
>>243
気持ち悪いね^^
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/02(月) 13:24:08.29 ID:sUBHpSdqO
中2、中3、高1とまだまだみほエリが楽しめるな
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 13:24:52.93 ID:sUBHpSdqO
sageミスすまん
247 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 18:58:08.15 ID:2/8GF8DP0




〜中等部二年 4月〜



休み明けの新学期、学年が一つ上がった私は、クラス分けが張り出された掲示板の前ではしゃいでいた。

その理由はただ一つ。


みほ「エリカさん、よろしくねっ!!」

エリカ「テンション高いわね……」

みほ「だってエリカさんと同じクラスなんだものっ!!」


そう、一年の頃は別のクラスだったエリカさんと同じクラスになったからだ。

これでもう一緒に帰ろうと伝えたのに先に帰られる事はない。

私は飛び跳ねんばかりに喜びをあらわにする。



エリカ「小学生じゃないんだから……いい?私と同じクラスになったからには授業中に居眠りはもちろん、忘れ物だって許さないんだから。規則正しい生活としっかりした態度を徹底しなさい」

みほ「お母さん?」

エリカ「……」

みほ「痛い痛いっ!?手の甲つねらないでエリカさんっ!?」





小梅「……」






248 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 18:59:18.73 ID:2/8GF8DP0






みほ「待ってよエリカさん、一緒に帰ろう?」

エリカ「嫌」

みほ「連れないなぁ……」

エリカ「勘違いしないでよね。同じクラスになったからって友達になっただなんて思わないように」

みほ「……うん」

エリカ「……そんなしょげた顔するんじゃないわよ」

みほ「あ痛っ」



エリカさんの細い指から放たれるデコピンは無駄に高い威力を誇る。

赤くなった額をさすっている私を無視して、エリカさんは話を続ける。




エリカ「わざわざチームメイトの名前覚えたぐらいなんだから、新しいクラスの面子ぐらい覚えておきなさい。……一人くらい、あなたの友達になるようなのがいるかもよ」

みほ「……それは、エリ――――」



小梅「あのっ!!」



突然横からかけられる声。

私とエリカさんが声をしたほうを向くと、そこには一人の少女が立っていた。



エリカ「あなたは……赤星さん?何の用よ」



声の主である小柄な人影は、戦車道チームの仲間にして同じクラスメイトである赤星小梅さん。



小梅「すみません急に……私、その……みほさんの事で話があるんです」

みほ「私?」

小梅「そのっ……逸見さんっ!!もう、西住さんをいじめないでくださいっ!!」

みほ「………………………………え?」

エリカ「…………………………はぁ?」


249 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:04:04.96 ID:2/8GF8DP0



突然の事に私もエリカさんも反応が遅れてしまう。

そんな私たちをよそに、赤星さんは辛そうな面持ちでぎゅっと、手を胸の前で握る。



小梅「逸見さん、みほさんにいつも意地悪言ってて……あんなの、みほさんが可哀そう……」

エリカ「そんなに言ってるっけ?」

みほ「とりあえずこの間言われたのは『箸の使い方が下手くそ。サルでももうちょいきれいに食べるわ』、『人と話してる時に考え込んでほかの情報をシャットダウンするのはやめなさい。鶏の方がまだ話をきいてくれるわ』、

   あと訓練で私が戦車の操縦をミスして一輌だけバックしちゃった時に『ハァー!!さすが副隊長サマね!後ろに目がついてるみたいに綺麗な後退よ!』って言ってきたね」

エリカ「めっちゃ言ってるわね……って、それを言わせるあなたが悪いんでしょ」

みほ「まぁ、それはそうかもだけど」



私からすれば日常茶飯事なエリカさんの嫌味。

最初の頃ならともかく、今となっては挨拶みたいなものだと思っているんだけど。

どうやら赤星さんにとってはそう思えなかったらしい。



小梅「違いますよみほさん!それは逸見さんがただ意地悪なだけです!!この間の『ニゴバク』だってあなたが無理やり巻き込んだんでしょっ!?」

エリカ「その略称定着してるのね」

みほ「赤星さんそれは……………………うん、半分以上エリカさんが勝手にやった事だけど」

エリカ「ちょっ!?」



突然の裏切りにエリカさんは動揺する。

いやだって早朝に呼び出して、U号に乗れ、でなければ帰れ。みたいに言ったくせに後始末を何も考えてなかったのだから不満の一つもでよう。

私の言葉に赤星さんは確信を得たようにつぶやく。



小梅「やっぱり……逸見さん、みほさんは真面目で優しい人なんです。だから、これ以上いじめるのはやめてくださいっ」

エリカ「……なんで今言ってきたの?そう思うなら、いじめられているとわかっていたならもっと早く言ってくれば良かったのに」


250 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:07:40.26 ID:2/8GF8DP0



赤星さんの言葉にエリカさんが返す。

その表情は、声色は、かつて私に対して向けたものとよく似ていて、少し背筋が寒くなる。

だけど赤星さんはその言葉に対して、自分を恥じるようにうつ向いた。



小梅「……逸見さんの言う通りです。私は、みほさんがいじめられてるのに気づいてた。でも、見て見ぬふりをしてた」



罪悪感と後悔が入り混じった声で話す赤星さんの姿に、なんだかこちらまで申し訳なくなってくる。

別にいじめられてるわけじゃないんだけどな……



エリカ「そう。なのに今さら良い子面?ずいぶん太い神経ね。私が一番嫌いなタイプよ」

みほ「エリカさんっ!」



そんな赤星さんの態度などどこ吹く風と言わんばかりに追い打ちをかけるエリカさんを私はいさめる。

実態はどうであれ、赤星さんは私を心配してくれているのだ。それを悪く言うのはやめて欲しい。

エリカさんの指摘を受けた赤星さんは苦しそうに唇を噛みしめる。



小梅「……正直、最初の頃のみほさんは私たちの事なんて気にも留めてないと思ってました」

みほ「え……」

小梅「名前を憶えてくれてても、ミスを優しく諭してくれても……どこか、上の空みたいな……私たちの事なんて気にも留めてないんじゃって……」

エリカ「……よく見てるじゃない」

みほ「うぅ……」



エリカさんの耳打ちに、私は頭を抱えてうずくまりたくなってしまう。

だって赤星さんの言葉は紛れもない事実で、エリカさんが私に対して激怒した理由の一つなのだから。

そんな私に目もくれず赤星さんは前を向くと、強い覚悟を込めた瞳で私たちを見つめてきた。



小梅「だけど、それは私が弱いから、練習が足りないからだって。だから追いつけるように、みほさんに迷惑をかけないように頑張ってきました」

エリカ「……」

小梅「逸見さん、あなたがみほさんを嫌いなのはわかります。だけど……私にとってみほさんは憧れなんです。

   たとえ偽善者と言われようとも今動かなかったら、私はもう一生自分を誇れないっ!」
251 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:08:09.02 ID:2/8GF8DP0



赤星さんの言葉にエリカさんが返す。

その表情は、声色は、かつて私に対して向けたものとよく似ていて、少し背筋が寒くなる。

だけど赤星さんはその言葉に対して、自分を恥じるようにうつ向いた。



小梅「……逸見さんの言う通りです。私は、みほさんがいじめられてるのに気づいてた。でも、見て見ぬふりをしてた」



罪悪感と後悔が入り混じった声で話す赤星さんの姿に、なんだかこちらまで申し訳なくなってくる。

別にいじめられてるわけじゃないんだけどな……



エリカ「そう。なのに今さら良い子面?ずいぶん太い神経ね。私が一番嫌いなタイプよ」

みほ「エリカさんっ!」



そんな赤星さんの態度などどこ吹く風と言わんばかりに追い打ちをかけるエリカさんを私はいさめる。

実態はどうであれ、赤星さんは私を心配してくれているのだ。それを悪く言うのはやめて欲しい。

エリカさんの指摘を受けた赤星さんは苦しそうに唇を噛みしめる。



小梅「……正直、最初の頃のみほさんは私たちの事なんて気にも留めてないと思ってました」

みほ「え……」

小梅「名前を憶えてくれてても、ミスを優しく諭してくれても……どこか、上の空みたいな……私たちの事なんて気にも留めてないんじゃって……」

エリカ「……よく見てるじゃない」

みほ「うぅ……」



エリカさんの耳打ちに、私は頭を抱えてうずくまりたくなってしまう。

だって赤星さんの言葉は紛れもない事実で、エリカさんが私に対して激怒した理由の一つなのだから。

そんな私に目もくれず赤星さんは前を向くと、強い覚悟を込めた瞳で私たちを見つめてきた。



小梅「だけど、それは私が弱いから、練習が足りないからだって。だから追いつけるように、みほさんに迷惑をかけないように頑張ってきました」

エリカ「……」

小梅「逸見さん、あなたがみほさんを嫌いなのはわかります。だけど……私にとってみほさんは憧れなんです。

   たとえ偽善者と言われようとも今動かなかったら、私はもう一生自分を誇れないっ!」
252 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:10:04.47 ID:2/8GF8DP0

力強い決意の言葉。

さっきまでの弱々しい姿が嘘のように確かな意志と、一歩も退かない覚悟を感じる。

……ここで止めておかないともっと面倒な事になる。

確信に近い予感を抱いた私は、赤星さんの誤解を解こうと声を上げる。



みほ「あ、あの赤星さんっ!?あなたは誤か――――」

エリカ「あーら?まーた余計なことを話そうとしてるの?そんな悪い口はこうしてやるわっ!!」

みほ「いははっ!?いはいよえいあしゃんっ!?」



突如エリカさんに両頬を引っ張られ、私の声は遮られる。

それを見た赤星さんはさらに瞳の炎を燃え上がらせる。



小梅「っ……やめてくださいっ!!」

エリカ「赤星さん。私がこの子をどうしようと私の勝手よ」

小梅「そんなことっ……」

エリカ「それでもどうにかしたいのなら、私と勝負しなさい」

小梅「え……?」



突然の提案。

それは赤星さんはもちろん私にとってもいきなりの事であった。

ていうかいつまで私のほっぺ引っ張ってるの……

そう思っていると、エリカさんは私の頬をパッと放し赤星さんに向き直る。



エリカ「あなたが勝ったらこの子に手を出すのはやめてあげるわ」

みほ「えー……?」

エリカ「そこは喜ぶポーズぐらいしなさいよ……」



露骨に不満げな私を見て、エリカさんはまた耳打ちをしてくる。

いやだって、別に私は不満も何もないんだもの。



小梅「……逸見さんが勝った場合は」

エリカ「そうね……その時考えさせてもらうわ」

小梅「それは……」

エリカ「白地小切手って事よ。私のケンカ、買う気ある?」

小梅「……それで構いません」

エリカ「……そう。いい覚悟してるじゃない。そういうの好きよ」



エリカさんは楽しそうに笑う。

その笑顔に何かがあると感じたのか、赤星さんは警戒するように後ずさる。

だけど、赤星さんは先の言葉を撤回しない。強い決意をもって決闘すると決めたのだろう。

……私が賞品なのに私の意志が微塵も介入していないのはどうかと思うな。

253 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:11:09.57 ID:2/8GF8DP0





「えー……副隊長と逸見進級早々また決闘?」

「いや、今回は副隊長じゃなくて、赤星らしいよ?ほら、副隊長審判やってるし」

「うっそ、あの子も大概おとなしい子だと思ってたんだけど」

「逸見は好き嫌いはっきり分かれる性格だからねー恨みの一つや二つ買ってたんじゃない?」

「悪い奴じゃないんだけどなぁ」

「そんなの知ってるよ。なんにしても、決闘で白黒つけるつもりなら見守るしかないでしょ」

「うーん……うちって最近副隊長と逸見の二人に引っ掻き回されてない?」

「骨のある子が2人もいるって思いなさい」

「ものは言いようだな……」


254 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:12:00.33 ID:2/8GF8DP0






小梅(一対一の戦い。この前のみほさんとの試合の事を考えれば、絡め手を使わず真正面からくるはず……なら、こちらは動かず焦らず撃ち抜けばいい……)

エリカ「向こうも準備できたっぽいわね。それじゃあみほ、お願い」

みほ『はい。それじゃあ、始めっ!!』





エリカ「っ!!」

小梅「やっぱり真正面からっ……動かないで、落ち着いて……」


ダァンッ!


エリカ「……」

小梅「っ……怯まない、でもっ!!」


ダァンッ!! ガァンッ!!



小梅「当たったっ!!……っ!?まだ生きてっ……この距離はまずいっ!!下がってっ!!?」





エリカ「赤星さん。あなた思ってたよりやるわね。でも……私のほうが上ねっ!!」




ダァンッ!! シュポッ



255 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:12:42.21 ID:2/8GF8DP0




「お、終わった。早かったなー」

「いやいや、逸見の真っ向勝負を赤星が受けたからでしょ。障害物を盾に持久戦を挑めば……」

「最後に下がろうとして隙を突かれたね」

「うーん、気圧されたって感じかな」

「そうね」

「副隊長に敗けてばっかだけど、やっぱり逸見強いなぁ」

「将来が楽しみね」

「その言い方、年寄臭い」

「うっさい」


256 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:14:34.91 ID:2/8GF8DP0







小梅「っ……私は……」


試合が終わり、転がり落ちるように戦車から出てきた赤星さんに慌てて駆け寄る。


みほ「赤星さん大丈夫!?」

小梅「みほさん……私、ごめんなさい……」

みほ「いや、あのね……?」



己の無力さに打ちひしがれるような瞳で私に謝ってくる赤星さんにこっちまで申し訳ない気持ちになってくる。



エリカ「あら、いいわねその表情。私が勝者だってことを実感できるわ」



そんな赤星さんとは対照的に上機嫌なエリカさんの声。

赤星さんは悔しそうに唇を噛みしめ、だけど何も言い返すことができずただ、体を震わせるだけだった。

流石にこれ以上は見てられない。

私はまだまだ何かを言おうとするエリカさんを手で制し、しゃがみ込む赤星さんに目線を合わせて語り掛ける。



みほ「……あのね、赤星さん。私、エリカさんにいじめられてなんかいないよ?」

小梅「え……?」

みほ「確かにエリカさんは意地悪だし、嫌味っぽいし、強引で後先考えてない時があって、そのせいで私まで怒られて何でこんなことに……ってなったことはあるけどさ」

エリカ「なんか色々こもってない?」



エリカさんの言葉は無視する。


257 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:16:32.47 ID:2/8GF8DP0

みほ「でも、悪い人じゃないよ。優しくて、まっすぐで、何より一緒にいると楽しいの」

エリカ「……」



意地悪なのも、嫌味っぽいのも、強引で後先考えないのも本当だけど、

それ以上に真面目で、優しくて、強い人だって事を私は知ってる。

私がエリカさんと一緒にいるのは誰かに強制されたとかじゃなくて、間違いなく自分で選んだ事なのだから。



小梅「そ、それじゃあ私勘違いで……」

みほ「……でもね、嬉しかったよ。赤星さんが私のために動いてくれて」

小梅「みほさん……」



そう、勘違いとは言え赤星さんが私のために動いてくれたのは紛れもない事実だ。

以前の私は赤星さんやエリカさんの言う通り優しくしているだけで、目の前の人の事なんて知ろうともしなかった。

自分の境遇を悲観するばかりで他人に対して本気で向き合おうとしていなかった。

でも、赤星さんはそんな不誠実な私を慮り、助けようと奔走してくれた。

その結果は赤星さんが思ったものと違ったかもしれないが、かつてエリカさんがしてくれたのと同じことだった。



みほ「だからあんまり落ち込まないで。元をたどればエリカさんが悪いんだし」

エリカ「あなたねぇ……まぁいいわ。赤星さん」

みほ「エリカさん?」


今度はエリカさんが私を押しのけて赤星さんの前に出る。

その表情は先ほどまでのあざ笑うような表情とは打って変わって真面目なものになっていた。



エリカ「約束、守ってもらいましょうか」

みほ「約束って……」

小梅「……なんでもいう事を聞く」

エリカ「覚えてくれてて何より。二度手間は嫌いだもの」

みほ「エリカさんやめようよ。そういうの良くないって」

エリカ「あなたは黙ってなさい。……赤星さん」

小梅「……」



私の抗議はピシャリと制され、沙汰を待つ罪人の様になっている赤星さんに向かってエリカさんは告げた。


258 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:18:20.05 ID:2/8GF8DP0



エリカ「あなた、この子の友達になりなさい」



小梅「え?」

みほ「え?」



先ほどまで満ちていた場の空気とはまるで違うエリカさんの言葉に私と赤星さんはあっけにとられてしまう。

そんな私たちをよそにエリカさんは人差し指を立てた手をリズムよく振りながら得意げに話す。



エリカ「前から思ってたのよ。みほ、あなたはちゃんと友達を作るべきだって」

みほ「えっと……どういう事?」

エリカ「あなた言ったじゃない、自分が何なのか知りたいって。だってのにあなたこの一年で私と隊長以外にまともに関わった人間いる?戦車道以外で」

みほ「えっと……こ、コンビニの店員さんかな?顔覚えられてるし」

エリカ「そりゃ来るたびに30分は最低でも居座る奴の顔は覚えるわよ……」

みほ「うぅ……」



この前行った時は1時間47分56秒(エリカさん計測)居座ってしまったせいでエリカさんに激怒され、店員さんに二人で謝る事態になってしまった。

仕方なかったんだよ……色とりどりの商品が私の心を刺激してやまなくて、全部吟味しない事には買うものなんて選べなかったんだよ……



エリカ「みほ、色んな人からの客観的な意見が今のあなたには必要なのよ」

みほ「それは……うん。そうかもしれないけど、いきなり友達になれってのは……」

エリカ「あら?赤星さんとは仲良くなれないっての?」

みほ「その言い方はズルいよ……」

エリカ「なら決まりね。一応聞いておくけど赤星さん、この子と友達になってくれる?」


その言葉にあっけにとられたままだった赤星さんは我に返り、今度はその表情がぱっと明るくなる。



小梅「は、はいっ!私でよければ是非っ!」

みほ「よ、よろしくお願いします……」

エリカ「はい!お友達条約締結!!」



私と赤星さんの手を掴み固く握手させると、エリカさんは満足そうに腕を組んで頷く。

そんなエリカさんをみた赤星さんは握手をしたままそっと私に耳打ちをする。



小梅「……逸見さんってこんな人だったんですね」

みほ「あはは……まぁ、キツイ時はあるけど、意外と愉快な人でもあるよ?」



真面目だけどいきなり突飛な行動をするエリカさんといると飽きないというのは紛れもない事実だ。

……それに巻き込まれた結果面倒なことになったのも事実だけど。


259 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:19:41.54 ID:2/8GF8DP0



小梅「……あの、みほさんと逸見さんってお友達なんですか?」



小さく手を挙げた赤星さんがエリカさんに質問する。

その質問にエリカさんは露骨に顔をしかめて、



エリカ「はぁ?何言ってるのよ。そんなわけないでしょ」

小梅「違うんですか?」

エリカ「全然違うわ。私はね、この子の事嫌いだもの」

小梅「えー……」



納得できないという表情で私とエリカさんを交互に見る赤星さん。

まぁ、いじめられてるわけじゃないのであれば、普段から一緒にいる私たちを友達だと思うのは当然だと思う。

……エリカさんもそう思ってくれるといいのになぁ



小梅「じゃあみほさんは?」

みほ「私?私はエリカさんの友達だよ」

小梅「えぇ……」



ますます困惑する赤星さん。

エリカさんがどう思っていようとそれはそれとして、私はエリカさんを友達だと思ってる。

その気持ちだけは誰にも否定させない。



エリカ「この子が勝手に言ってるだけ。私は友達じゃないわ」

みほ「あはは……そういう事だから」

小梅「私、なんか疲れてきた……」


色々あって心身ともに疲労している赤星さんはぐったりとうなだれる。

そんな赤星さんを無視して、エリカさんはくるりと向きを変えると更衣室へと向かおうとする。



エリカ「それじゃあ私は着替えて帰るわね。あとは若い二人で仲良くしなさい」



ひらひらと手を振りながらさっさと帰ろうとするエリカさんの歩みは後ろから伸びてきた二つの手によって止められる。



260 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:20:26.16 ID:2/8GF8DP0


エリカ「……何?」

小梅「逸見さん、それはないんじゃないですか?」

みほ「そうだよ。言い出しっぺはエリカさんなんだから」



元をたどれば誤解を招いたのも、それをここまで引きずる事になったのもエリカさんが原因なのだから。

散々振り回した挙句に目的果たしたので帰ります。はないでしょう。

私と赤星さんの気迫にたじろいだのか、エリカさんは何も言い返さず、私と赤星さんはあれやこれやと話し出す。



小梅「とりあえず、クラスメイト同士、交流を深めましょう?」

みほ「お腹減ったしご飯でも」

小梅「いいですね」

エリカ「……あなた達、もう仲良くなってるじゃない」


ため息交じりのエリカさんの言葉に私と赤星さんは思わず吹き出してしまう。

とりあえず、クラスメイト3人の交流の場は今回の騒動の原因にして、最大の立役者であるエリカさんの希望を聞こうと思う。

まぁ、エリカさんが食べたいものなんて聞くまでもないと思うけど。



みほ「エリカさん、ほら早く着替えて行こう?」

小梅「逸見さん、待たせないでください」

エリカ「ったく……めんどくさいのがまた増えたわね」

261 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/07(土) 19:21:18.38 ID:2/8GF8DP0
ここまで。また来週。
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 19:33:05.02 ID:IVhzMSDz0

遂に小梅きた!
263 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2018/07/07(土) 19:56:29.63 ID:2/8GF8DP0
>>248 小梅「そのっ……逸見さんっ!!もう、西住さんをいじめないでくださいっ!!」
                   ↓
    小梅「そのっ……逸見さんっ!!もう、みほさんをいじめないでくださいっ!!」

上記の通り訂正いたします。
264 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2018/07/07(土) 20:03:53.57 ID:2/8GF8DP0
>>250>>251がかぶってしまいました。>>251は無視で。
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 20:18:08.38 ID:1KRnX8fM0
最近回想が続くから、エリみほが熱い友情を築き上げ、様々な困難を乗り越えて行く黒森峰黄金期ルート、素晴らしいなあって思ってたけど、ふと現在パートを思い出して鬱になる…
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 22:53:22.38 ID:hWHjNx/O0
瓦解させるために積み上げる楽しさってね……
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 23:48:48.67 ID:l8liHBjDO
乙 小梅まで掘り下げるのか、素晴らしいな
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 23:51:26.33 ID:/kBzWLADO
仲良くなればなるほどそっから墜ちるわけだからね、1、何というサディストッ、恐ろしい子!!
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 12:37:17.00 ID:smhdNLXqo
ここ意外でも話はあるの?
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 12:53:22.79 ID:muXjVJCnO
ここの話は前スレの過去編だよ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 13:40:03.18 ID:smhdNLXqo
>>270
前スレ教えて
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 14:03:10.76 ID:V75cMH0U0
さすがに書いてあるんだから自分で見ろよ
273 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2018/07/08(日) 14:17:26.38 ID:ok28dUAr0
>>271

【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1514554129/

↑前スレです。よければどうぞ。
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 14:44:55.51 ID:Zjv5eAkzO
これから前スレを見るなら覚悟してからみーや
このスレの気分でおったら血反吐をはかされるで
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 19:31:08.15 ID:o7rO+66Ho
ママ逸見のかほり……

先輩たちもいい奴多いなww
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagd]:2018/07/09(月) 11:57:31.06 ID:8HCX3pj1O
E■□□□□□□F

E■■■■■■■F
ミホエリウム充填完了!!!
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 19:54:56.48 ID:L/u7CChQo
>>273
見てきた
引き込まれたわ
更新楽しみにしてる
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 00:03:21.94 ID:O/Mf/YV80
もっと濃厚なエリみほ求ム
双頭ディルド使うくらいまで
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 02:25:40.07 ID:5/YESBnwo
キモ
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 20:40:36.52 ID:KUQN/MgSO
流石に278と243は同一人物やろ…
気持ち悪すぎる。
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 20:41:04.29 ID:KUQN/MgSO
流石に278と243は同一人物やろ…
気持ち悪すぎる。
282 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:15:49.83 ID:ZxPhTSO60



大好きな戦車道を、憧れの場所で学ぼうと思い黒森峰に入った。

ここでなら強くなれると、自分の戦車道ができると思って。
 
そして、身の程を教えられた。

自分より強い人なんていくらでもいて、努力で巻き返そうとしても強い人たちは私なんかよりずっと努力を重ねていた。

才能も、努力でも敵わないのなら、私は何のためにここに来たのだろうか。

自分がすべきことも、できることも、やりたかったこともわからなくなり、私はいつの間にか戦車道を楽しめなくなっていた。

そんな人間は他にもいて、私はいつの間にかその人たちと同じように日々が過ぎ去るのを祈るばかりになった。

そんな私たちを頑張っている人たちは見下す。口には出さずともその視線が、表情が、私たちはダメだと伝えてくる。

何も思わなかった。だって、何よりも自分が一番良く分かっているから。

自分が一番、自分を見下しているから。

だけど、無為な日々を過ごす中で、それでも優しくしてくれる人がいた。




『頑張ることは無駄なんかじゃない。最初から強い人なんて誰もいないんだから』




その言葉に勇気づけられ、私は再び頑張ろうって思えた。

その言葉に強い感銘を受けたとか、そんなんじゃない。

ただ、ダメな自分を見捨てていない人がいてくれるのが嬉しかったから。

たとえ今はダメでも頑張って努力して、少しで前に進もうとした。

出遅れた私に実力の差は大きくのしかかってきた。

それでも、毎日少しずつ、できる事からやっていった。もう立ち止まらないために。

あの人に少しで近づくために。

そしてある日気づいてしまった、この人は私の事を見てなんかいない。いや、自分の事すらどうでもいいと言わんばかりにその瞳に何も映してないのだと。

あんなにも強く、優しい人が何故あんな瞳をしているのか私にはわからなかった。

だとしても、あの日かけてくれた言葉に私は勇気づけられた。たとえその言葉に何の意味も込められていなくても、去って行く人たちがいる中でそれでも踏ん張ろうと思えたのはあの人の言葉があったからだ。

私は足掻き続けた。私が一歩進むごとにあの人の正しさを証明できると信じたかったから。

そうすれば、いつかあの人が困難に遭った時に手を差し伸べられると思ったから。



283 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:17:58.48 ID:ZxPhTSO60







小梅「……その結果がこれですか」

みほ「エリカさんまたハンバーグ?」

エリカ「はぁー?あなたの目は節穴?よく見なさい」

みほ「え?……何か違うの?」

エリカ「忘れたの?学食に追加された新メニュー。美容と健康に気を使いつつも、

    食べたいものはガッツリ食べたいと思う少女たちの悩みに答えた期待の一品。

   ―――――豆腐ハンバーグよ」

みほ「やっぱりハンバーグじゃん……」



騒がしさが最高潮な昼食時の学食。

その端にあるテーブル席に私はいた。

正確には私と、みほさんと、逸見さんが。

私の隣に座っているみほさんは、苦笑しながら向かいの逸見さんと話している。

本日のお題目は逸見さんのランチについて。
284 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:21:08.87 ID:ZxPhTSO60

エリカ「何言ってるの豆腐ハンバーグよ?いわば焼き豆腐よ」

みほ「豆腐ハンバーグってひき肉使ってるんじゃ……」

エリカ「四捨五入すれば0になる割合よ」

みほ「何言ってるの……」

小梅「馬鹿ですか」



思わず罵倒してしまうも、食堂の喧騒にかき消されたのか逸見さんは気づいてないようだ。

……みほさんの話からちょくちょく聞いてはいたけど、逸見さんって本当にハンバーグが好きなんですね。

本人は好きじゃないって否定していたが、楽し気に本日のランチについて講釈を垂れている姿を見るとまさしくどの口が、と思ってしまう。

なので私は逸見さんの屁理屈がこれ以上白熱する前に「冷めないうちに食べましょう」と促す。

逸見さんは「そうね」と落ち着きを取り戻し、切り分けた豆腐ハンバーグを一口ほおばる。



エリカ「……」



しかし、先ほどまであんなにウキウキだった逸見さんは途端に無表情になる。


285 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:22:23.75 ID:ZxPhTSO60

みほ「エリカさん?」

エリカ「……やっぱりハンバーグは100%肉じゃないとだめね」



お口に合わなかったようで……



みほ「さっきの演説はなんだったの……」

エリカ「そもそもハンバーグに健康面を求めるのが間違いなのよ。こんなの食べて『ヘルシーなのにしっかりお肉の味がするー!』

    とか言ってる輩は一生大豆でもむさぼってればいいのよ」

みほ「今さら過ぎるし暴論すぎる……」



馬鹿ですか。

二度目の暴言はさすがに胸の内に収める。



エリカ「赤星さん、そのから揚げ二個とハンバーグ4分の一を交換しない?」

小梅「精々美しく健康になってください」


286 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:24:19.57 ID:ZxPhTSO60

エリカさんの提案を固辞し、私はから揚げを食べながら黙々と考える。

みほさんたちと共に行動するようになって早一か月。

現状、私と逸見さんの関係は友達の友達といったとこか。

まぁ逸見さんはみほさんの友達じゃないとの事なので友達の知り合いかもしれない。

とにかく、私は逸見さんと友達ではない。

一緒に行動するようになったとはいえ、実のところ私はまだ逸見さんに対して一線を引いている。

今さらみほさんをいじめてるだなんて勘違いをしてるわけじゃない。

ただ、なんというか私は逸見さんと反りが合わないと思う。

悪口軽口は当たり前、みほさんがあんなにも逸見さんと友達になりたがっているのに、

知ったこっちゃないと素っ気ない態度をとる姿に良い印象を覚えろと言うほうが無理がある。

他でもないみほさん本人が特に気にしてないのだとしてもそれはそれ。

私が逸見さんに対してあまり踏み込まないのはそう言った事情があっての事だ。

……とはいえ、これ以上はお互いのためにならない。

みほさんが逸見さんを信頼している以上、後から来た私があれこれ言ったところでみほさんを惑わせるだけだし、

そのせいで私と逸見さんが険悪になってしまったらみほさんは自分を責めてしまうかもしれない。

私の取れる選択肢は2つ。このまま何食わぬ顔でみほさんたちといるか、逸見さんを置かず、あくまでみほさんとのみ友人関係を続けるか。

決めあぐねているのは私自身の意志の弱さ故だ。

それでも、このままなぁなぁにしていてはいつか禍根を産むことになってしまうかもしれない。

それならば




私は自分の選択肢を決めるため行動することにした。




エリカ「あ、赤星さん私の食器もついでに片づけてくれる?」

小梅「美容のために動きましょう」



とりあえず逸見さんへのマイナス評価が一つ。


287 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:27:06.92 ID:ZxPhTSO60
―逸見さんの事をどう思いますか?



『うーん……気難しい奴?悪い奴じゃないってのはわかるし、真面目で努力しているのは伝わるけど、

 反面それを人にまで求めるのは悪い癖だと思うなぁ。好き嫌いがはっきり分かれる感じ。私は好きだけど』

                                       (3年 匿名希望)



『逸見先輩ですか?私もまだ入学したばかりだから良く分からないですけど……とりあえず綺麗な人ですよね。

 美しい銀髪に碧眼、透き通るような白い肌。遠くからでも見惚れちゃいます。性格だって厳しいって言う子が多いけど、

 それは先輩が何よりも戦車道に真面目だからだし、それに戦車道の授業の時の先輩ってとってもカッコいいんです。

 きりっとした表情と、鋭い言葉にドキドキしちゃう時があって……ほんとに、黒森峰に来て良かったなーって

 あ、先輩って確か逸見先輩と同じクラスでしたよね?その、今度写真撮ってきてもらえませんか?

 逸見先輩がクラスでどんな風なのか知りたいんですっ!!』

                                       (1年 匿名希望)




『……嫌いよ。大嫌い。あいつ、私の事を負け犬って……違う、私は負け犬なんかじゃない。

 負けたくないから、強くなりたいからここに来たの。言われっぱなしなんて我慢できない。

 ……もういい?練習したいんだけど』
                                  
                                      (2年 匿名希望)


『エリカさん?エリカさんは良い人だよ!!そりゃあ厳しいし、嫌味っぽいけどその裏にはいつだってエリカさんの優しさが隠れてて、
 
 叱ってくれるのだって私の事を思ってくれてるからなんだって。それにね、一緒に帰ろって誘うと毎回嫌だって言うんだけど、私が隣を歩いても何も言わないし、

 帰るのが遅くなった日なんか月明かりに照らされておとぎ話に出てくるお姫様みたいに輝くエリカさんを見られて……もう、いっぱい話したいことがあったのに何も言えなくなっちゃって……

 こないだだって――――(その後30分ほど続いたためカット)』


                                     (2年 匿名希望副隊長)




『逸見か?悪い子ではないと思う。ちょっと直情的なところはあるが実力もあって努力も欠かしていない。学業だっておろそかにしていない。

 学生の理想のような人間だ。……まぁ、それはあくまで一面であって私はまだ逸見の事をよく知ってるとは言えないが。

 ただ、妹と仲良くしてくれているのは素直に嬉しい。不良とはいえ私以外にあの子の隣に立ってくれたのは逸見だけだったからな。

 それにちょっと話した感じだと案外愉快な性格をしているな。からかうとなかなか面白い反応を返してくれる。

 そしてそれもまた一面に過ぎないのかもな……私も、もっと逸見の事を知っておくべきか』

        
                                      (3年 匿名希望隊長)





288 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:33:28.11 ID:ZxPhTSO60




小梅「うーん……」



自室の机に広げられた様々な意見が書かれたレポート用紙。

私はそれに向かって頭を悩ませていた。

自身の意志だけで決められないのであれば他人の意見も求める。

そういったわけで私は逸見さんには内緒でその印象を聞いて回ってみた。

その結果わかったのが、逸見さんは上級生からの覚えが良く、加えて二年生以下の隊員の間ではみほさんと二分するほどの人気の持ち主だという事だ。

みほさんの人気は、高い実力とそれの驕らぬ優しさにあふれた言動、対して逸見さんはみほさんには一歩劣るも同級生、上級生を相手にしても一歩も退かない実力の持ち主。

その厳しく、時には苛烈とも言える言動に反発を覚える者も多いが、逆にその力強い姿に惹かれるものも多くいる。

特に逸見さんの容姿はまだ入学したばかりの一年の間ですでにファンクラブ(非公認)なるものができるぐらいには見惚れる者が多いという事だ。

まぁ、私も逸見さんの見た目が良い事については否定の余地はないと思う。まさしく日本人離れした姿はいやでも人の目を惹くだろう。

ちなみに関係ない事だが、逸見さんファンクラブの会員第一号に良く知ってる副隊長の名前があった気がするが気のせいとしておこう。



小梅「なんていうか思ったより好感持たれてるな」



そう、結果だけを見れば逸見さんは隊内でもかなり人気があるのだ。

もちろん全員に聞いたわけではないので多少の偏りはあるだろうが。



小梅「……やっぱり逸見さんは悪い人じゃないのかな」



わざわざ足で稼いだ逸見さんへの個々人が持つイメージ。

その中にはもちろん、逸見さんへの否定、嫌悪感を表す意見もある。


生意気

融通が利かない

副隊長に敗けたくせに偉そう


他にも色々あるが、大体一理あるとは思う。

プライドが高いのも、融通が利かないのも、みほさんに敗けたのも事実だ。


289 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:34:51.89 ID:ZxPhTSO60

小梅「でも、そこが好きって人もいるんだよなぁ……」



生意気なのはやる気があるから

融通が利かないのは真面目だから

負けたのにへこたれないのは根性があるから

ものは言い様と言えばそれまでだが、誰かにとっての短所は他の誰かにとっての長所という事なのだろう。

でもそれを言い出したらますます判断材料が無くなってしまう。



小梅「ていうか私、何で逸見さんの事でこんなに頭悩ませてるんだろ……」



嫌いなら離れればいい。誰とでも仲良くだなんてのは理想としては結構だろうが、

相手が同じ人間である以上どうしても相性というものは存在してしまうのだ。

私が毎日のように逸見さんと顔を合わせているのは友達であるみほさんが逸見さんにベッタリだからだ。

だからと言ってそれに私まで付き合う必要はない。

みほさんと過ごす時間が減るのは残念だが、別に休日とかにいくらでもみほさんと友達らしい事をすることはできる。

なのに私は決断できない。優柔不断な我が身を呪うばかりだ。

結局私は散々頭を悩ませた挙句



小梅「とりあえず……今日はもう寝よう」



明日の自分に期待することにした。


290 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:37:27.19 ID:ZxPhTSO60





翌日の放課後、私は夕日の差し込む廊下を自分の教室に向かって歩いていた。

本来ならもう帰っている頃だが、先生に今日の授業について質問していたためこんな時間になってしまった。



小梅「早く帰ろっと……」



外から聞こえる運動部の掛け声が誰もいない廊下の寂しさを余計に引き立て、私は思わず早歩きになってしまう。

ようやく教室につきその扉に手をかけようとすると中から話声が聞こえてきた。




エリカ「遅いわねぇ」

みほ「赤星さん真面目だから。きっと沢山聞きたいことがあるんだよ」

エリカ「私はちゃんと授業内で理解してるわよ。大体、何で私まで待たされるのよ。あなた達二人で帰ればいいじゃない」




声の主は最近仲良くなれた人と、現在距離感を図りかねてる人。

どうやら二人は私を待っていてくれているらしい。

みほさんには遅くなるから先に帰っててと伝えていたのに。

相変わらずみほさんは優しい人だ。



小梅「でも逸見さんまで……」



普段のみほさんへの態度を見るに、私を待つだなんてせずにさっさと帰ると思っていたのだが。

現に用事があって逸見さんを待たせた挙句さっさと帰られて半泣きになっているみほさんを何度か目撃しているし。


291 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:39:38.32 ID:ZxPhTSO60



みほ「もうちょっとだけ。お願い」

エリカ「あなたねぇ、友達作れとは言ったけどだからといって必ず一緒に帰りなさいとは言ってないでしょ」

みほ「それはそうだけど……」

エリカ「……はぁ、あと5分だけよ」



さっさと入ればいいのに、私の手は扉にかからない。

二人の会話がなぜか気になってしまうのだ。

もしかしたら人目のないところではまた別の逸見さんが見られるかもしれない。

それが良い部分なのか悪い部分なのかはわからないが、停滞した現状を打破する一手になることを期待しよう。

なんだかストーカーみたいになってしまうが二人の会話に集中できるよう、私は静かに教室の前に座り込んだ。



エリカ「あなた勉強はちゃんとしてるの?」

みほ「も、もちろん」

エリカ「説得力無いわねぇ……得意科目を伸ばすのもいいけど、進学するならちゃんと苦手科目もある程度なんとかしなさい」

みほ「うぅ……エリカさんに心配されなくても自分でちゃんと何とかするよ……」

エリカ「出来てないから私にぐちぐち言われるんでしょ。言われたくないならちゃんとしなさい」

みほ「そ、それいったらエリカさんだって色々言われてるでしょ」

エリカ「え、何それ」

みほ「えっと……確か、『ガミガミうるさい』『小姑』『所詮は西住に敗けた敗北者』『ハンバーグばっか食べてるから血気盛んなのかもね』」

エリカ「そいつら全員ぶっ飛ばしに行くから名前教えなさい。ていうか最後のはあなたでしょ」

みほ「情報源の秘匿を条件に教えてもらったんで……」

エリカ「まったく……言われっぱなしは癪だから、見返してやらないと」

みほ「うん、頑張って」

エリカ「あなたもよ」

みほ「え?」

エリカ「あなた、未だに陰でコソコソ言われてるのに気づいてないわけじゃないでしょ?」



……確かに逸見さんの話を聞いて回る中で、みほさんへの陰口をちらほら聞くことがあった。


292 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:40:42.90 ID:ZxPhTSO60


エリカ「家が、姉が。そんな言葉を付けないとあなたを評価できないような人達を見返してやりなさい」

みほ「……」

エリカ「私はあなたに勝ちたいの。そのあなたが馬鹿にされてるのは我慢できないわ」

みほ「……うん」

エリカ「……ならいいわ」



……今のはたぶん、逸見さんなりの励ましなのだろう。

みほさんなら、みほさんの力で他者からの評価を勝ち取れると。

逸見さんはそう伝えたかったのだろう。

そしてみほさんもそれを感じ取ったようで、先ほどよりも少し高くなった声で逸見さんの名を呼ぶ。



みほ「エリカさん」

エリカ「何よ」

みほ「ちゃんと、見ててね」

エリカ「……ええ。見ていてあげるわ。あなたが腑抜けたらまたひっぱたけるようにね」

みほ「あははっ、なら気を付けないと」

エリカ「まったく……」


293 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:43:47.39 ID:ZxPhTSO60


僅かに開いた扉の隙間から教室を覗いてみる

みほさんは笑っていた。心から嬉しそうに。

エリカさんはほほ笑んでいた。あきれたように、小ばかにしたように。だけど、優しさを隠しきれない表情で。

……私は、何を見てきたのだろう。

周りの意見なんかどうでもよかった。あの二人を見ていれば、逸見さんを穿ってみていなければ。

二人の輝きにすぐに気づけたのに。

……いや、気づいてたんだ。



小梅「私、嫉妬してたんだ」



みほさんに認めてもらえるよう、力になれるよう努力し続けて、ようやくその時が来たと思ったらみほさんの隣には誰よりも心強い人がいた。

気づいてしまった。

何も見ていないような瞳だったみほさんが、前を向いている事に。

そうしたのは逸見さんだって事に。

だけど認めたくなかった。

私のやってきたことが無為になった気がして、今まで動いてこなかった私をあざ笑ってるような気がして。

みほさんのためだなんて言いながら、私はみほさんから目を逸らしてた。その隣にいる逸見さんを穿った目で見る事しかしていなかった。

むしろ逸見さんが良い人だとわかっていたからこそやり場のない嫉妬が芽生えてしまったのかもしれない。



小梅「私……全然弱いままだったんだなぁ」



強くなろうと努力してきたのに私は結局弱いままだった。

いくら戦車道が上手になったって、その根っこである心が弱いままだった。

だから、自分で自分の選択肢を決められず誰かの意見を求めた。

情けなくて、恥ずかしくて、頭を抱えてしまいそうになる。

しかしこれ以上二人を待たせるわけにはいかない。

私は両足に力を込めて無理やり立ち上がり、未だ話声の途絶えない教室の扉を開ける。

教室に入った私を見て、一人は嬉しそうに私の名前を呼び、

もう一人はムッとした表情で自分を待たせた事を咎めながらも、次の瞬間にはさっさと帰ろうと出口に向かう。

私ともう一人は颯爽と去って行く背中を追いかけていく。




私はようやく、自分の選ぶ道を決める事ができた



294 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:56:01.31 ID:ZxPhTSO60





夕暮れの校舎裏。昨日と同じように校庭から運動部の掛け声が聞こえてくる。

だけど、昨日と違って私は寂しさを感じていない。

というか、そんなものを感じる余裕なんてない。

今私は緊張と後悔で色々大変なのだ。



小梅「……なんであんな事しちゃったかな」

エリカ「何が?」

小梅「うおおおおおおおおおっ!?」



いきなり横合いからかけられた声に私は乙女をかなぐり捨てた声で叫んでしまう。



エリカ「びっくりしたわね……で?いきなり呼び出すだなんてどうしたのよ」



逸見さんは私の奇声に一瞬驚いたようだったがすぐにいつもの澄ました表情に戻り、本題に入ってくる。

心の準備ができたとは言い難いが、こういう事は勢いも大事だ。

私は胸の高鳴りを抑え込んで逸見さんに用件を伝える。



小梅「ちょっと二人だけで話したいことがあって」

エリカ「そ。手短にね」

小梅「はい。……エリカさん」



大きく息を吸う。

大事なことだから、噛まないように、上ずらないように。

真っ直ぐ目を見つめて。




小梅「私と友達になってください」

エリカ「ええ、いいわよ」




私の決意を込めた告白はあまりにも軽く、あっさりと受け入れられてしまった。



295 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 22:57:46.08 ID:ZxPhTSO60


小梅「……え?」

エリカ「どうしたのよ。そんな意外そうな顔して」

小梅「てっきり断られるかと……」



素気無く断られるかよくて『あ、あんたと友達になんてならないんだからねっ!!』みたいなツンデレムーブが関の山かと思っていたのに……



エリカ「なんでよ」

小梅「だってみほさんがあんなに友達だって言ってるのに一向に友達じゃないって言ってますし……」

エリカ「言ったでしょ。あの子とはライバルであって友達なんかじゃないって」



にしたって一年以上付き合いのあるみほさんを差し置いて私が友達になれるだなんて……



小梅「それに……」

エリカ「それに?」

小梅「……私逸見さんを誤解で悪者扱いしましたし」



正確には誤解と嫉妬で。

逸見さんを穿った目で見て一方的に悪だと決めつけた。

責められたって仕方がない。友だちになりたいだなんて恥知らずだと言われても仕方がない事をした。

だってのに逸見さんはまるで気にした様子ではなく、



エリカ「ああ、あれ?別に気にしてなんかいないわよ?」

小梅「で、でも……」


一歩間違えていれば私は二人の関係だけじゃなく、逸見さんの立場すら悪くしていたのに。


エリカ「自分の行動ががどんな印象を与えるかぐらいわかってる。その上で、私は私のやりたいようにしてるの」

小梅「……」

エリカ「自分のやりたいことを抑え込んで周りに阿るだなんて真似冗談じゃないわ。私はやりたい事が、目指すべき目標があるから黒森峰に来たのよ」

小梅「逸見さん……」

エリカ「だからあなたも気にしないで」



……ああそうか、これが、これこそがみほさんが逸見さんを慕っている理由なんだ。

逸見さんは誰かに振り回されない。

自分の事を信じているんだ。

だから、揺らがない。

だから、誰かに手を差し伸べられる。

だからこそ、こんなにも強い人なんだ。

誤解と嫉妬の紆余曲折の末に、私はようやく逸見さんを理解することができたのかもしれない。



296 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:00:41.14 ID:ZxPhTSO60



小梅「……ありがとうございます」

エリカ「それにね、私あなたの事結構好きよ?」

小梅「え?」

エリカ「あんなののために正面切って喧嘩を売ってくるだなんてなかなか根性あるじゃない」

小梅「あんなのって……」



一応私の恩人なんですけど……



エリカ「それに、あの子の優しさを装った甘えに付き合わなかったのも良いわね」

小梅「……」

エリカ「だから、友達になりましょうか。あなた意外と強いから」



そういって逸見さんは手を差し出してくる。

真っ直ぐ私を見つめて、微笑みながら。



小梅「……はいっ」


だから、私もその手をしっかりと握る。

その瞳を見つめ返す。

宝石のような碧眼に映り込む私は自分でも驚くほど穏やかに、だけど心からの笑みを浮かべていた。




エリカ「よろしくね」

小梅「はいっ、エリカさんっ!!」




297 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:05:14.97 ID:ZxPhTSO60





大好きな戦車道を、憧れの場所で学ぼうと思い黒森峰に入った。

ここでなら強くなれると、自分の戦車道ができると思って。

そして、身の程を教えられた。

自分より強い人なんていくらでもいて、努力で巻き返そうとしても強い人たちは私なんかよりずっと努力を重ねていた。

そして私は自分を信じられなくなった。

前進も、後退もできずただ時が流れるのを待つばかりになった。

そんな自分を、私はますます嫌いになっていった。

だけど、無為な日々を過ごす中で、それでも優しくしてくれる人がいた。

その人の認められるよう、力になれるよう頑張って――――私は大切なものを見失ってた

自分勝手な正義感を振りかざし、力になりたかった人から大切なものを奪おうとしてしまった

なのに、




『だから、友達になりましょうか。あなた意外と強いから』




そんな私を強いと言ってくれる人がいた。

嫉妬で濁った挙句、取り返しのつかないことをしようとした私を、強いと言ってくれる人が。

気高いその姿の内側に、包み込むような優しさを持ったその人の手は冷たくて、なのに温かくて、




私の胸の内はそんな彼女と友達になれた、憧れの二人と友達になれた喜びで満たされていた




298 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:09:41.95 ID:ZxPhTSO60




夕暮れが大分落ちてきた学校前。

校門に寄りかかりながらたたずむ人影が一つ。



みほ「遅いよ二人とも」

小梅「みほさん待たせてすみません」

エリカ「帰ってても良かったのに」



私達を待っていたみほさんにエリカさんはいつもの軽口をぶつける。

それを受けたみほさんはムッと唇を尖らせ、



みほ「だって一緒に帰りたかったんだもの」

エリカ「はいはい、ならさっさと帰りましょう」

みほ「……うんっ!」



みほさんの直球をさらりと受け止めたエリカさんは校門に寄りかかっているみほさんを素通りして颯爽と歩いていく。

慌てて追いかけようとするみほさんに、私は声をかける。



小梅「みほさん」

みほ「何?」

小梅「あなたの言う通りでした。エリカさんは素敵な人です」

みほ「……でしょー?」



渾身のドヤ顔。

みほさんこんな表情もするんだ……



エリカ「こっぱずかしい事を本人の前で言うんじゃないわよ……」



それを聞いて呆れ半分恥ずかしさ半分といった表情のエリカさんに、私は恐る恐る提案をする。



小梅「あの……エリカさん、もしよかったら今度私の自主練に付き合ってくれませんか?」

エリカ「ええ、良いわよ。あなたの努力見させてもらうわ」



またもや二つ返事。

こうもあっさり返されると遠慮する自分が馬鹿みたいに思えてしまう。



小梅「あ、エリカさんの練習もあるからあまり時間は取らせないんで……」

エリカ「あなた、急にしおらしくなったわね?……友達に遠慮することなんかないわよ」

小梅「……ありがとうございます!」


299 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:15:55.07 ID:ZxPhTSO60

思わず大きくなる声。

それとは対照的に私の隣のみほさんはどういうわけか怪訝な表情をする。



みほ「……友達?そういえば『エリカさん』って……」

小梅「あ、そうだ。みほさん私エリカさんと友達になれたんですっ!」

みほ「え」

エリカ「わざわざ言いふらすような事じゃないでしょ」

小梅「だって私嬉しいですから。嬉しい事は周りにも伝えたいじゃないですか。ねぇみほさ――――」

みほ「赤星さんズルいっ!!」



突然の大声。

最初、それがみほさんから発せられたものだとは気づけなかった。



小梅「え?ズ、ズル?」



みほさんは手をブンブン振りながら訴える。



みほ「私、まだエリカさんに友達だって言ってもらってないっ!!」

エリカ「だって友達じゃないもの」

みほ「赤星さんはっ!?」

エリカ「友達よ」

みほ「なんで!?私は!?」



まぁ当然の疑問だろう。

あれだけ自分との友好を固辞している人が、つい最近出会ったばかりの人とは友好を結んでいるのだから。



エリカ「あなたはライバルだもの。友達だなんて馴れ合い御免よ」

みほ「良いよ別に!?ライバルで友達だって良いでしょっ!?」

エリカ「嫌」

みほ「っ……もおおおおおおおおおおおおおおおエリカさんの馬鹿あああああああああああっ!!」


300 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:17:51.48 ID:ZxPhTSO60

バッサリと切り捨てられ許容を超えたのか、みほさんは内より湧き上がる憤りのままに走っていく。

取り残された私は同じように取り残されたエリカさんを嗜める。



小梅「あんまりいじめると可哀そうですよ」

エリカ「事実を言ってるだけよ」

小梅「なんていうか……エリカさんめんどくさいですね」

エリカ「あら?良く知ってるじゃない」

小梅「開き直るあたりさらにめんどくさい……」

エリカ「それが私よ。友達なんだから理解しなさい」

小梅「……ふふっ。はいはい」



エリカさんは直情的で、その場の考えで動いて、それでもって他者の思惑なんかさらりと無視する人だ。

こんなにめんどくさくて、一緒にいて楽しい人はそういないだろう。

きっと、こんな私の内心だってあの人は気にもせず凛々しく、逞しく、彼女らしく。これからも私の友達でいてくれるのだろう。

それが、私が友達になりたいと思った人――――逸見エリカなのだから。



エリカ「ほら、さっさとあの子追いかけるわよ。転ばれたらめんどくさ……あ」

小梅「転びましたね」

エリカ「……まったくもう」



エリカさんは転んで涙目になってるみほさんに駆け寄る。

制服についた埃をはたいて、嫌味ったらしく小言を言う。

私は、それを離れて見つめる。

私はあの二人の友達だ。

そばにいると楽しくて、嬉しくて、暖かい気持ちになれる。

だけど、たまにはあの二人を遠くから離れて見つめていたい。

噛み合ってないようで、これ以上ないくらい噛み合ってる二人を。

一方通行のようで確かに想い合ってる二人を。

私は、あの二人がいつかお互いを友達と呼び合える日を心から待ち望んでいる。

彼女たちならきっと、言葉を交わさずともお互いを理解し合えると思うから。

なので、

301 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:19:55.29 ID:ZxPhTSO60




小梅「私は、ずっとあなた達のそばにいますから」



302 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:20:26.95 ID:ZxPhTSO60




あなた達の輝きを特等席で見たいから



303 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/14(土) 23:21:48.22 ID:ZxPhTSO60
関係ありませんが私の書くガルパンSSにおいて、エリカは超絶美人として設定している事が多いです。

また来週。
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:24:50.47 ID:u+teuHqxO
乙 この小梅が事件を経て何を考えるのか・・・
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:29:02.13 ID:87Bv+Z/z0

実際造形は作中1位2位を争うくらい整ってるしね
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:39:32.85 ID:rwA5Bmc80
匿名希望しても役職でバレバレですわ

濃厚なエリみほ大好きだけど、この作品にR18要素求めるのは違うと思う
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:40:12.31 ID:JHadUNa50
乙ー
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:56:22.31 ID:wXyk6N03o
おつー
小梅ちゃんも鬼の副隊長になるまでキラキラしていたのね
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/15(日) 00:04:15.20 ID:7Fy0TgTGO
エリカママが美人なのは言及するまでもなく純然たる事実だと思いますが!
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 00:58:54.69 ID:oMSk7n/c0


どこより厳粛で戦車一筋だからこそ華やかさもある選手は重宝もされらぁね
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 02:18:02.59 ID:+MccLgns0

生徒会長に対しても「もおおおお」って怒ってたね
ちょっときたところで今につながってるの凄いわ
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 08:20:20.90 ID:fgWRERwi0
落とすなら早く落としてくれませんかね(血涙
エリみほどころか小梅までこんな…こんな…
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 16:17:22.75 ID:bW+2ZzxC0
匿名希望副隊長に隊長?

いったい、どこの何住なんだ……
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 22:08:03.27 ID:x2NsAoGw0
おつ!
ほんっとこのスレだけ読んでたらみほエリ&小梅の青春サクセスストーリーなのに……
転落を知った上で読む微笑ましい話のなんと残酷なことか
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 22:41:03.84 ID:i4IKqN2To
お姉ちゃんはまだエリカを不良扱いしているのか……ww
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 12:46:48.72 ID:SxWo//8m0

>>1のかくSSは他がわからないけどママ爆弾好き
317 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:33:39.84 ID:TPicXKb70




中等部2年―10月―



「ねぇ、今度はあっち行ってみよう」

「えー……もうちょっと落ち着きなさいよ」

「年に一度のお祭りなんだから、もっとはしゃがないと!!」

「はぁ……はいはい。わかりましたよ」

「ヒュー!!話がわかるぅっ!!」

「……このビールノンアルよね?」







まほ「……」



318 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:35:33.65 ID:TPicXKb70



大通りを行進しているブラスバンドのメロディに混ざり、あちこちから歓声と乾杯の声が聞こえる。

季節は秋、黒森峰の学園艦では年に一度の大祭オクトーバーフェストが催されていた。

オクトーバーフェストは黒森峰女学院の中等部、高等部の2年生が中心となって盛り上げていく。

新入生たちと共に、進学する3年生を労う。

入ったばかりの一年は勝手がわからず、それを二年生がフォローすることで次年度に向けて絆を育んでいく。

その分2年生の負担は大きいが、自分たちが受けた恩を返す。そういった風土がここには根付いているようだ。

かくいう私も、去年はくたくたになりながらも働いたのだから、こうやってのんびりノンアルコールビールをのんでも罰は当たらないだろう。

とはいえ、周りが熱狂的に騒いでいる中一人テーブルでヴルストをつまみにちまちま飲んでいるのは正直あまりにも寂しい。

いや、友達がいないわけではない。

いるから。

ただ、今は人を待っているのだ。


319 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:39:46.56 ID:TPicXKb70



みほ「お姉ちゃん、いたいた」

まほ「みほ」

小梅「隊長、待たせてすみません」

まほ「いや、気にするな」



人ごみをかき分けてやってきたのは、ドイツの民族衣装であるディアンドルを着たみほと赤星。

私が一人寂しくテーブルについていたのは友人がいないとかではなく、二人に呼び出されたからだ。



みほ「お姉ちゃん、ビールのおかわりだよ」

まほ「ああ、ありがとう……ん?逸見は」



みほ、逸見、そこに2年生から友人になった赤星を加えた3人は今やどんな時でも一緒にいると思われているぐらい良好な関係を築いている。

もっとも、逸見はそれを認めないだろうが。

しかし私の前にいるのはみほと赤星のみ。

どうしたのだろうかと首を傾げていると、みほが赤星の後ろに視線を向けていることに気づく。



みほ「ほらエリカさん」

小梅「いつまで隠れてるんですか」

エリカ「だ、だって……」



聞き知った声。どうやら逸見は赤星の影に隠れているらしい。

よくみると、目立つ銀髪がちらちらと見えている。

しかし小柄な赤星の影に隠れているとはどれだけ縮こまっているんだ。

みほ「もう、似合ってるんだから見せようよ」

小梅「そうですよ。もったいないです」

エリカ「ちょ、わかった。わかったから押さないでってばっ!?」


320 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:49:25.45 ID:TPicXKb70



慌てる逸見をみほと赤星が押し出す。



まほ「……」



逸見のディアンドル姿はなんというか、言葉にできない。

生来の美しい銀髪と碧眼。白い肌が緊張と恥ずかしさで少し紅潮している。

元より逸見の容姿が優れているのは知っていたが、それに合わせて普段とは違う可愛らしいディアンドルを着た姿は性別問わず行きかう人の目を惹くものとなっていた。



エリカ「……やっぱこれちょっと胸元出すぎてない?」

みほ「そんなこと無いと思うけど」

小梅「もう、普段は威勢がいいのになんでこういう時はそんなしおらしくなっちゃうんですか」

エリカ「うるさいわねっ!?」



いつもはからかう側である逸見が今日に限ってはみほと赤星にからかわれる側になっている。

それはたぶん、3人の絆があってこそのものなのだろう。



みほ「エリカさん、とってもかわいいよ。ね?お姉ちゃん」

まほ「ああ。逸見以上にディアンドルを着こなせる子は黒森峰にはいないと思う」

エリカ「っ……」



正直な感想を伝えると、逸見はますます紅潮してしまう。

いつもは気丈な逸見がそうやって恥ずかしがる姿は、彼女が私とさほど変わらない少女なのだという事を思い出させてくれる。


321 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:52:22.71 ID:TPicXKb70



エリカ「ま、まったく。みんな浮かれすぎなのよ。こんなコスプレみたいな恰好までして」

小梅「何言ってるんですか。中高合同のオクトーバーフェスト、3年生の皆さんに思いっきり楽しんでもらうために2年生が中心となって準備をしてきたんじゃないですか」

みほ「エリカさん凄く頑張ってたでしょ」

エリカ「そうだけど……」



照れ隠しのためか話題を変える逸見。

それに対してすかさず反応したみほと赤星。

そう、戦車道チームが出している店ではノンアルコールビールと軽食を提供する店をやっている。

エリカはその企画から準備、設営、そして今やっているように給仕までこなしている。

戦車道チームの後輩だという事を差し引いても、逸見が我々先輩のために頑張ってくれているのは明白だ。



まほ「逸見、お前の頑張りはみんなが知っている。戦車道チームの隊長としてお礼を言わせてくれ」

エリカ「……私は先輩方に受けた恩を返したいだけです。後輩達にあるべき姿を見せているだけです。別に褒められたくてやってるわけじゃないですから」

小梅「はぁ……ほんと、変なところで融通が利かない人ですね」

みほ「お礼はちゃんと受け取ったほうが良いんでしょ?」



あくまで謙虚な逸見に対してみほと赤星が詰め寄る。

痛いところを突かれたのか逸見は二人に言い返せないようだ。



みほ「……赤星さん」

小梅「はいっ」



そんな逸見を見て、今度は示し合わせるかのように二人は頷き合う。



みほ「そういえばエリカさん、まだ休憩とってなかったでしょ?」

エリカ「え?でもまだ時間じゃ……」

小梅「ちょっとぐらい早めにとったって誰も怒りませんよ。ほら、座って座って」



白々しい二人の演技に戸惑う逸見。

それを無視して赤星が私の対面の席を引くと、みほがエリカをそこに座らせる。



エリカ「ちょ、あなた達?」

みほ「ほら、ノンアルビールにヴルスト。自分たちのお店の味ぐらいちゃんと知っててよ?」

小梅「それじゃあ私たちは仕事に戻りますから、エリカさんごゆっくり」


322 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:53:23.40 ID:TPicXKb70



まるで準備していたかのようにビールと料理をテーブルに並べると、逸見の返答を待たずに二人は人ごみの中に消えていった。

エリカ「あ、あの子たちはっ……」

まほ「いいじゃないか。せっかくだ、ゆっくり話そう」

エリカ「……はい」



怒りと呆れに打ち震える逸見を宥めて、私はみほに注いでもらったグラスを掲げる。

それ見て逸見はどうしたのかと首を傾げている。

まったく、本当に変なところで真面目なんだな。



まほ「せっかくのお祭りなんだ。お前も少し位はしゃいだっていいはずだ」

エリカ「……あ」



ようやく気付いたのか逸見もグラスを掲げる。



まほ「2年生の頑張りに」

エリカ「先輩方の栄光に」



「「乾杯<プロースト>」」


323 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:58:18.42 ID:TPicXKb70






乾杯のおかげもあってか、先ほどまでの重苦しい雰囲気はどこかへ行って、私とエリカは歓談することができていた。



エリカ「今年の優勝も隊長のお力があっての事です」

まほ「あまり持ち上げないでくれ。私はまだ中学生なんだ。こんなところで満足していられない」

エリカ「ふふっ、でも私にはあなたを称賛する言葉しか見つかりませんから」



隊長と隊員としてだけではなく、先輩と後輩としての会話。

周囲の騒がしさが気にならないくらい、私は逸見との会話を楽しんでいる。

……だからこそ、聞きたかった事を問いかける。



まほ「なぁ逸見」

エリカ「はい?」

まほ「お前がみほと赤星を友達にしたのか」

エリカ「急にどうしたんですか」

まほ「赤星に聞いたんだ。お前が二人を友達にしたと」




小梅『え?なんでみほさんとって……エリカさんのおかげですね』




みほに友達(逸見は認めていないが)ができただけでも驚きなのにそこに赤星まで加わって、

その立役者が逸見だというのだから逸見は案外人付き合いが上手い奴なのだろうかと思ってしまう。



エリカ「……赤星さんは元々みほの事を気に懸けてたみたいですから。私が何もせずとも友達になってたと思いますよ」

まほ「……そうか」

エリカ「それに、私にも思惑はありましたし」

まほ「思惑?」

エリカ「あの子がべたつく対象を変えられるかなって。いい加減暑苦しいですし。……まぁ、結局あの子は私と赤星さんの二人にべったりですけど」

まほ「……ふふっ」



その誤魔化すような態度に、赤星の言葉を思い出す。




小梅『エリカさんは誤解されやすい人です。……現に私はあの人を誤解してましたから。

   だけど、それを理解したら今度はこう思えるようになりました。―――――嘘の下手な人だなって』




相変わらず、逸見は嘘が下手なようだ


324 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 22:59:54.15 ID:TPicXKb70



エリカ「笑い事じゃないですよ。物寂しい秋の帰り道を一人で優雅に帰る楽しみを奪われたんですから」

まほ「その代わり得たものもあっただろ?」

エリカ「……さぁ?そんなものありますかね」



とぼける逸見に、私はもう一歩踏み込む。



まほ「……なぁ、お前は二人をどうしたいんだ?」

エリカ「それ、去年も聞きましたね」

まほ「今度は赤星もだ」

エリカ「……赤星さんは友達ですよ。あの子は強いですから」

まほ「……赤星もみほと同じであまり気の強いほうじゃないと思っていたんだがな」

エリカ「その通りです。あの子はきっと、今も気が弱いほうですよ」





エリカ「だから強いんです」





それまでの言葉とは真逆な赤星の評価。

逸見は疑問に思う私の内心を知ってか知らずか、話を続ける。



エリカ「気が弱くても、実力が無くても、それを分かったうえで誰かを助けるために前に出てきた。あの子は……赤星さんは強いです」

まほ「……ああ、そうだな」


325 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:01:07.14 ID:TPicXKb70





『強い』、『弱い』




どうやら逸見は他者を評価するのにその二つを使うらしい。

そこにはたぶん戦車道の腕だけではなく、人としての強さも含まれているのだろう。

赤星とのいざこざと、その顛末については私も聞き及んでいる。

そして、私が知ることのできない何かが二人の間であったのだという事も推測できる。

そのうえで逸見が赤星を『強い』と評価したのであれば。友達になろうと思ったのであるのなら。

これ以上は聞かない。

それは私が、他人が触れていい事情ではない気がするから。

赤星と逸見の二人が結んだ友情を関係ない私が詳らかにしようなんて無粋な真似はできないから。

なので、私は話の焦点を別の人物に当てる。



まほ「それで?赤星と友達になったのはいいが、みほはどうなんだ?いい加減友達に」

エリカ「なってません。なるつもりもありません」

まほ「……はぁ」



相変わらずの一刀両断。

あれだけ慕っている人物にこうも言われてはみほの心労いかんばかりや。となってしまう。



エリカ「そう落胆されても、私あの子の事嫌いですから」

まほ「そういうのをツンデレというのだったか」

エリカ「変な言葉覚えてますね……違いますよ」



赤星が『エリカさんはツンデレの才能がありますねー』と言っていたのだが。


326 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:02:04.35 ID:TPicXKb70



エリカ「私とみほはライバルです。友達なんて甘い関係は赤星さんとだけ結んでいればいい。―――――私は、あの子を倒したいから」

まほ「……そうか」

エリカ「赤星さんが甘い分、私が叩く必要があるんですよ。まぁ、あの子に戦車道以外で褒めるところなんかありませんけど」

まほ「ずいぶんだな」



実の姉の前でそれだけ言えるのだから逆に感心してしまう。



エリカ「前に怒らないって言ったじゃないですか。遠慮はしません。それに、」

まほ「それに?」

エリカ「それが、あの子との協定ですから。みほは『自分らしさ』を、私は『強さ』を。お互いの交流で見つけようって」

まほ「……」

エリカ「私が強さを追い求めるためにも、あの子には強くなって欲しいんです」

まほ「それならばなおさら、赤星のような甘い友人はいないほうがいいんじゃないか?」



誰かに寄りかかり、甘えることは逸見の嫌う弱さにつながってしまうのではないか。

私の問いかけに、逸見は目を伏せ、呟くように答える。



エリカ「……以前のあの子は、誰かの思惑で押しつぶされそうでした」

まほ「……」


327 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:03:58.19 ID:TPicXKb70



その『誰か』には私も含まれていると感じた。

……いや、私自身がそう思っているのだろう。

あの子の辛さを、悲しさを知っていながら目を逸らし続けていた私の罪悪感がそう思わせるのだろう。



エリカ「期待を背負って、重圧に打ち勝てるのなら、それ以上はありません。だけど、そんなのきっと限られた人間だけなんです。

    そしてあの子はそうじゃなかった。いくら強くったって、立ち上がることさえできなかったら……何の意味もない」



意味はないと、はっきり言い切る逸見。

言い換えれば、それだけの価値をみほに見出したという事だ。



まほ「だから、赤星とみほを友達にしたのか」



私の問いかけにエリカは私の目を見つめて、真っ直ぐに答える。



エリカ「私なんかじゃなく、利害関係にない友人の存在が、きっとあの子をもっと強くしてくれる。私はそう思ってます」



甘さを生み出すかもしれない友人が、強さに繋がると。

ストイックな逸見のイメージに合わないその言葉は、だけど逸見らしいと思えてしまう。


328 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:05:55.38 ID:TPicXKb70



まほ「それが、お前がみほ達と一緒にいる理由か」

エリカ「そういうわけです」



みほが赤星と友達になることでもっと強くなる。逸見はそのみほから強さを学び取る。

なるほど、なるほど。

…………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………うん。



まほ「逸見、お前はめんどくさいな」

エリカ「……それ、赤星さんにも言われました」

まほ「回りくどいしややこしいし、お前はもっとこう、あの二人とわかりやすい関係になれないのか」



逸見が一言、みほに友達だと言えばあのややこしい関係は一本の線になるというのに、

だけど、逸見はそんな事知った事ではないという風に私の視線から顔を逸らす。



まほ「……まぁいいさ。お前たちの関係にいちいち口を出すつもりは無い」

エリカ「そうしてくれるとありがたいです」

まほ「でもな、逸見」

エリカ「はい」



意地悪で意地っ張りで、嘘の下手くそな後輩に、伝えたいことがある。




まほ「それでも、私は知っているよ。お前が、お前たち3人が楽しそうに連れ合う姿を」


329 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:13:01.42 ID:TPicXKb70




みほは嬉しそうに、赤星は慈しむように、逸見はやれやれと言った風に。

三者三様に笑っていた。

その姿を、あの笑顔を見て、それでも逸見の言葉が全て真実だと信じられるほど私は蒙昧じゃない。

私の言葉に、逸見は最初何かを言い返そうとしていたが、やがて観念したかのようにため息をついて、



エリカ「……みほの事は嫌いです。だけど、友達と笑い合ってる時に空気を悪くするほど狭量なつもりはありませんよ」



それはたぶん、逸見が話せる精一杯の本音なのだろう。

だから、今日はこのぐらいでいい。

逸見の本音の全ては聞けなかったが、少なくとも逸見のした事はみほにとっても赤星にとっても嬉しい事だったのだから。



まほ「……逸見、お前は不良なんかじゃないのかもな」

エリカ「ようやくわかってくれましたか!そう、私は品行方正な」

まほ「義に厚い昔ながらの不良なんだな」

エリカ「違ああああああああうっ!!?」

まほ「いやーまさか子供の頃床屋に置いてあったヤンキー漫画の主人公みたいな人間が本当にいるとは思わなかった。あれか、友のために喧嘩したりするのか。『ニゴバク』がそうだったのか」

エリカ「いやだからっ!?」



からかう私に、大声で反論する逸見。

相変わらず、面白い反応を返してくれる。からかい甲斐がある奴だ。

私が飲んでいるのはノンアルコールビールのはずなのに、どういう訳か、楽しくて、笑ってしまう。

祭りの騒がしさを、私たちの声で塗り替えてしまうような、そんな気さえしてしまう。

しかし、その終わりは二人の人影と共に逸見の背後からやって来た。



みほ「エリカさーん、そろそろ休憩終わりだよー」

小梅「流石にそろそろ限界なんでヘルプお願いします」



まほ「もうそんな時間か」

エリカ「ちょっと待ってなさい!!私は今ここで、誤解を解いておかないといけないのっ!!」

小梅「そういうのは後でお願いしまーす」

みほ「ほら、早く戻ろうよ。それじゃあお姉ちゃんまたね」

まほ「……ああ、またな」

エリカ「ちょ、離しなさい!!いいですか隊長!?私は、不良なんかじゃなくて、品行方正な―――」



逸見の抗弁は私に最後まで届くことは無く、3人は再び人ごみに消えていった。

私はまた、一人残された。



まほ「……」

330 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:33:26.05 ID:TPicXKb70



逸見は言った。みほには甘えられる友人がいることで強くなると。

だけど、みほにとってのそれはきっと、赤星だけではない。

初めて叱責をしてくれて、初めて内心を吐露した相手。

そうしてくれたのは、それを受け止めてくれたのは、

押しつぶされそうなみほを救ったのは、他でもない逸見だった。



『エリカさんは、私の嫌いなところを全部嫌いって言ってくれたんだ』



自分のためを思い嫌われることも厭わず叱責してくれる人を、みほは求めていたのかもしれない。

だから、みほにとって、逸見に叱責されることは甘える事と同義なのかもしれない。

そう思える事は、そう思える相手がいる事は、とても幸運な事なのだと思う。

ならば、みほのとっての逸見のような、自分の胸の内を語れる人を持っていない私は、不運なのだろうか。



まほ「……騒がしいな」



周りの歓声が、楽器の音が、耳につく。

どうやら私は祭りというものがあまり好きではないらしい。

どうしようもなく、自分が独りだと思い知らされるから。



あの日夕暮れと共に胸に差し込んだ寂しさを、不安を、私はまだこの胸に抱え込んでいる。

それはきっと私の弱さだ。

逸見が強さを尊ぶのなら、私は逸見にとって嫌悪の対象なのかもしれない。

だから、この弱さは胸の内に抱え続ける。

強くあるために、弱さを見せないために。

私が、西住であるために。


331 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:34:20.80 ID:TPicXKb70






それすら私の弱さだと気づいているのに





332 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:35:55.47 ID:TPicXKb70




〜中等部二年 11月〜




とある山岳地帯。

私たち黒森峰の中等部は練習試合を行った。

結果はもちろん。などと自惚れるつもりはないが、それでも勝利は勝利。

私は隊長として、最後の試合を無事終えることができたようだ。



千代美「いやぁ、負けたよ。完敗だ」

まほ「いや、こちらも危なかった。正直機動戦術に関してはお前に分がある」

千代美「ははは、お前にそう言ってもらえるなら自信になるよ」

まほ「お世辞を言ったつもりはない」



試合後の心地よい疲労感の中、私は相手チームの隊長と和やかに会話をしていた。

年齢を考えると不釣り合いなほど大きなツインテールを揺らしている相手の隊長―――安斎千代美とは、何度か試合をした縁から、

良く練習試合を組ませてもらった仲だ。

まぁ、安斎の学校と良好な関係を築けたのは偏に安斎の人柄があってこそだと思うが。

自慢ではないが私はあまり人付き合いが得意な方ではない。

もちろん、家に恥じない礼儀は身に着けているが、それはそれとして、同年代の人たちと交流するには少々堅苦しいと思われがちだ。

しかし安斎は初対面の時分にして、『お前が西住流のかー!!強いなー!!』といった具合に肩を叩いてきたのだから面食らったものだ。

その安斎からの練習試合の申し込みをそう無碍にできるほど私は冷血ではない。

という訳で、何度かの練習試合を経て今日、私の中等部最後の試合相手となったわけだ。



千代美「そうかー。なら、励みにさせてもらうよ」

まほ「ああ。安斎、中学最後にいい試合ができた。

   来年の全国大会でお前と戦えることを楽しみにしているよ」

千代美「んー……あー……それは難しいかもな」

まほ「どういうことだ?」



いつも朗らかな安斎がどういう訳か頬をかきながら気まずい様子を見せている。


333 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:37:36.47 ID:TPicXKb70




千代美「私は、転校するんだ」

まほ「転校って……そのまま今の学園艦で進学するんじゃないのか」



学園艦は基本的に中高一貫だ。

そして、学園艦のシステム上親元を離れて暮らす人間が多い。

なので、中等部の3年間だけでも母校に愛着を持ち、そのまま進学する人間がほとんどだ。

もちろん転校の事例がないわけではない。

しかし、私の目から見て安斎は母校に対して愛着を持っているように思えたのだが……



千代美「アンツィオ高校ってところにな、転校するんだ」

まほ「……すまない初耳だ。だが大会に出ていないだけで戦車道が盛んなところなのか?」

千代美「いや?そもそも現時点で戦車道チームすら形だけでほとんど履修者がいないそうだ」

まほ「……何故そんなところに」



思わず口が滑った私に、安斎は「こらっ!」と叱りつける。



千代美「そんなとことか言うな。戦車道チームがないだけで立派な学園艦なんだぞ」

まほ「あ……すまない」

千代美「わかればいい。……スカウトされたんだ『戦車道チームを立て直してほしい』ってな」

まほ「……」



スカウト。いわゆる野球留学のように、戦車道でもそういったものはある。

あるにはあるが、中高一貫の学園艦において、あまり聞く話ではない。



千代美「正直色々考えたよ。いくらスカウトされたとはいえ戦車道においては無名も無名な高校への転校だからな」

まほ「……」

千代美「でもな、それ以上に嬉しかったんだ、私の力を必要としてくれる人たちがいるって事が」



嬉しそうに安斎は笑う。

自分の力を評価して、求めてくれる。

その喜びが分からないだなんて言うつもりはない。

だけど、



まほ「それは、今の学校だって」

千代美「その通りだ。だからもう一つ理由がある。……私は、私の戦車道をしたい」

まほ「それだって今の学校で」

千代美「西住、お前ならわかるだろ。歴史が、伝統があるって事は強い結束と統率を生む。だけど同時にどうしようもない息苦しさを感じることも」

まほ「……」

334 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:39:27.90 ID:TPicXKb70



わかる。だなんてものではない。現に私は、みほがその息苦しさに押しつぶされかけていたのを知っているのだから。



千代美「私はさ、1から自分のチームを作りたいんだ。志を共にできる仲間を集めて、私が隊長としてのびのびとやれるチームを」

まほ「それは……随分と自分勝手な話だな」

千代美「スカウトされた身なんだ。それぐらいのわがままは良いと思わないか?」

まほ「……そうだな」

千代美「多分一年目はチームメイトの募集と戦術の確立で終わると思う。……いや、仲間集めすらままならないかもな

    だけど私はあきらめない。新天地で、期待してくれる人たちに応えたいんだ」

まほ「……お前は他人の期待を恐れないのだな」



安斎はおもちゃの山に飛び掛かる子供の様に両手を広げる。



千代美「怖いさ!だけど、それ以上に楽しみなんだっ!!」



力強く、気高い言葉。

それが、それこそが安斎の本質なのだと感じた。



千代美「期待の重圧も、新天地での不安もある。だけど、どうせ苦労するのならせめて笑ってやりたいだろ?」

まほ「……ああ、その通りだ」

335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/21(土) 23:51:05.61 ID:PhkCmU6Po
ん?
336 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/21(土) 23:58:54.62 ID:TPicXKb70



千代美「待ってろ西住。私の作るチームは強いぞ?」

まほ「なら、黒森峰は最強であろう」

千代美「……頑張れよ」

まほ「そっちこそ」



固く、握手を交わす。

彼女の強さが笑顔が、握った手を通して伝わってくる。

だけど、次第に彼女の笑顔が陰っていく。



まほ「安斎?」

千代美「……西住、結局お前は最後まで強かったな」

まほ「……?ありがとう」



諦めのような感情が込められた誉め言葉に、私は戸惑いながらお礼を返す。

それを聞いた安斎は、悲しそうな表情を振り切るように私を抱きしめる。

そして、ぎゅっと私の両肩を掴んで視線を合わせる。

いつもスキンシップの激しい奴ではあったが、今日に限ってはどうも熱が入ってるようだ。



千代美「……西住、たぶん次にお前と戦うのは随分先になると思う。だからさ、一言だけ言わせてくれ」

まほ「あ、ああ、なんだ?」

千代美「もっと、強くて、弱くなれ」



矛盾した言葉。ともすれば馬鹿にした様にも聞こえるそれに、私は聞き覚えがあった。





『あの子はきっと、今も気が弱いほうですよ――――だから強いんです』



337 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:00:53.43 ID:A+PN/k9Q0




逸見が、赤星を評した言葉。

その言葉の真意を私は未だ図りかねている。

だってそれは、二人の間で結ばれた友情が紡ぎだしたものなのだから。

他人の私が図り知ることなんてできないのだから。

なのに、安斎が言った言葉と、逸見が言った言葉が同じ意味を示しているように私は感じた。



まほ「安斎、教えてくれ。今のは一体どういう――――」





エリカ「隊長」




私の疑問は、その張本人の一人である逸見の声によって遮られた。

言葉に詰まる私に、逸見はどうしたのかという表情をする。

私は深く息をついて、表面上、冷静さを取り戻し、安斎は何事もなかったかのように、逸見を笑顔で出迎える。



まほ「……逸見、どうした」

エリカ「え?いや、撤収完了の報告に……」

まほ「そうか。ありがとう」

千代美「おー、お前が榴弾姉妹の片割れか」

エリカ「初めまして。……って、なんでそのあだ名よそにまで広がってるんですか……」

千代美「戦車道において諜報も立派な戦術だからな」

まほ「これも戦車道だ」



(本人にとっては)不名誉なあだ名が広がっていることに肩を落とす逸見を、

今度はまるで品定めをするかのように安斎がじろじろと見つめる。



千代美「うーん……」

エリカ「な、なんですか?」

千代美「逸見って言ったっけ?お前……細すぎないか?」

エリカ「は?」

338 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:12:38.98 ID:A+PN/k9Q0




あっけにとられた逸見に向かってまるで姉か親かの様に、安斎は語り掛ける。




千代美「ダメだぞー?そりゃあ年頃なんだし美容に気を遣うのはわかるが、だからと言って激しい運動をしてるのにそんな細いんじゃ倒れてしまうぞ」

まほ「ああ、それは私も思ってた」



正直あんな細い体でよく激しい戦車道をこなすことができるものだ。



千代美「だろ?ちゃんと食べろ!!体力をしっかりつけるんだ!!」

エリカ「だ、大丈夫ですっ!!」

千代美「もしかして食欲がないとかか?だったら、食べやすいメニューにいくつか心当たりがあるから後で教えるぞ?」

エリカ「そうじゃなくって!!私はちゃんと自分なりに健康管理はしてますからっ!!」

千代美「むー……本当か?」



案外疑り深い安斎に対して、逸見はきっぱりと言い切る。



エリカ「本当ですっ!!」

千代美「ならいいが……」



みほ「エリカさーん、お姉ちゃーん」

エリカ「みほ、どうしたのよ」

みほ「エリカさんがお姉ちゃん呼びに行ったまま戻ってこないからでしょ……」

まほ「ああ、それはすまなかった」

みほ「ほら、早く帰ろう?」

まほ「そうだな。安斎、お前の作るチームと試合ができる日を楽しみにしている……また会おう」

千代美「ああ。また会おう」


私はそのままみほたちを先導して戻っていく。




千代美「西住っ!!」



339 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:28:24.58 ID:A+PN/k9Q0




後ろからかけられる声。

振り向くと、安斎が胸を張って私を見つめていた。

そして、もう一度大きく息を吸うと、




千代美「私の言葉の意味はお前が見つけろ!!そしたらきっと――――お前に必要なものがわかるはずだっ!!」




そう言うと、安斎は振り向くことなく帰って行った。



エリカ「隊長に必要なものって……どういう意味かしら?」

みほ「お姉ちゃん、安斎さんと何話したの?」

まほ「……」



みほたちの問いに答えず、私は無言で歩みを進める。

そんな私に、二人は疑問符を浮かべながらついてくる。




『もっと、強くて、弱くなれ』



340 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:30:52.97 ID:A+PN/k9Q0



矛盾したその言葉の意味を理解できた時、私に必要なものがわかる。

まるで宝のありかを示したなぞなぞのような安斎の言葉を、私は何度も何度も頭の中で繰り返す。

だけど、答えは出ない。

ただのものの例えで、深い意味などないと切って捨てることもできるのに、

安斎の言葉が、諦めたような、悲しそうな表情が、頭から離れない。

だから、私は一旦考えるのをやめる。

指揮する人間は常に取捨選択を求められる。

今すべきことを、瞬時に判断する必要がある。

いくら考えてもわからないのなら、もっとやるべきことにリソースを回すのだ。

たとえ安斎の言葉に深い意味があろうとも、

たとえ安斎の悲しそうな表情が頭から離れなくても、

それがきっと、私の根幹に関わるものであったとしても、

それがわからない自分が情けなくても、それでも、




まほ「私は、強くなきゃ」




341 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:31:27.64 ID:A+PN/k9Q0





それが、私の存在理由なのだから





342 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:32:05.70 ID:A+PN/k9Q0
めっちゃ難産でしたがこれにて中2編終了です。

また来週。
343 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/07/22(日) 00:36:07.68 ID:A+PN/k9Q0
>>293  エリカさんはほほ笑んでいた。あきれたように、小ばかにしたように。だけど、優しさを隠しきれない表情で。                                          ↓
     逸見さんはほほ笑んでいた。あきれたように、小ばかにしたように。だけど、優しさを隠しきれない表情で。

>>294  小梅「はい。……エリカさん」
           ↓
     小梅「はい。……逸見さん」


上記のように訂正いたします。
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