【ラブライブ!】魔法少女 ほのか☆マギカ

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/24(日) 01:57:44.38 ID:N5N5taif0
ラブライブ!とまどマギのダブルパロです。
時系列は2期3話の後くらい。
シリアス系。

※以前某所で書いてたものを調整したものです
※若干流血表現とかある
※あなたの嫁が死ぬかもしれません
※あなたの嫁が魔女化するかもしれません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1529773064
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/24(日) 01:59:52.09 ID:N5N5taif0
◆Prologue.

 夜の街にオレンジの光が奔る。そして、轟音。爆風。ビルに突き刺さったトラック。その鉄に跳ね飛ばされた二つの身体。黒い髪をツインテールにした少女は腕を振るわせて立ち上がろうとする。もう一つ、倒れたまま動かない身体。暗くても目に着く、オレンジ色の髪を側頭部で結った少女だった。

 ツインテールの少女、矢澤にこは無理やりに体を動かしながら、絞るように声を上げた。

「……穂乃果っ」

 にこに名を呼ばれても、高坂穂乃果は動かない。瞼すらも動かさない。トラックから火が上がろうとも、動く気配はない。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/24(日) 02:04:25.62 ID:N5N5taif0
こんなの、夢に決まっている。ラブライブの地区予選のライブを成功させたからと言って、こんな酷い仕打ちがあるわけがない。
園田海未はどうにも現実味が感じられない世界を見て、硬直していた。それは、他のμ’sのメンバーも同じだろう。それとも、夢だから今この場には穂乃果とにこを眺める自分しかいないのだろうか。

「にこちゃん!」

 西木野真姫の声で、海未の身体は動いた。にこの元へと駆け寄る真姫の後を追うように走る。
背後から足音が聞こえた。そして、隣に並ぶ南ことり。視線を交差させて同時に頷くと、真姫がにこの傍に着いたことを確認し、穂乃果の元へ向かった。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/24(日) 02:07:08.13 ID:N5N5taif0
倒れた穂乃果は、今にも動き出しそうという比喩も現実であるような状態だった。血も流しておらず、体に損傷は見られない。それなのに、体を地面に投げ出し、動きを止めていた。

「穂乃果!」「穂乃果ちゃん!」

 声は同時だった。海未は死んだように動かない穂乃果の肩を叩く。穂乃果、起きてください。そんな言葉は届かない。穂乃果、穂乃果。何度も名を呼ぶ。それも、届かない。

「海未ちゃん、どうしよう……」

 ことりが穂乃果の手を握って、涙を溢れさせる。

「穂乃果ちゃん、なんだか冷たいよぉ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/24(日) 02:11:20.51 ID:N5N5taif0
海未は目を見開き、ことりの手のひらから穂乃果の手を奪うように触れた。確かに、熱が抜けている。嘘だ、これは夢だと言い聞かせながら、人差し指と中指を手首に当てた。何も、感じない。紛れもない現実だった。

「真姫! 穂乃果が! 穂乃果が!」

 声を張り上げ、にこと真姫がいた方向に顔を向けた。だが、視線は絢瀬絵里に遮られていた。知らぬ間に後ろにいたらしい。

「落ち着きなさい! 真姫は医者の娘でも、まだ医者じゃないのよ!」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/24(日) 02:12:18.32 ID:N5N5taif0
少し絵里から離れたところにいた東條希も、続くように口を開く。

「救急車なら、うちが呼んだから。二人とも落ち着いて、お医者さんに任せよ?」

 希は両腕に泣きじゃくる星空凛と小泉花陽を抱いていた。そんな希の瞳も過剰に周囲の光を反射しているように見える。

「希ちゃん! 救急車はまだ来ないの!?」

「誰か助けて、穂乃果ちゃんを助けて……」

「大丈夫や。あの穂乃果ちゃんが死ぬわけない。ね?」
7 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/24(日) 02:15:17.65 ID:N5N5taif0
やがて、サイレンの音が響き、救急車が到着する。運ばれていく穂乃果とにこを見つつ、これが夢ならばよかったのにと、海未は歯を食いしばった。

 真姫はどこかに電話をかけ、希は凛と花陽を、絵里は呆然と穂乃果が倒れていた場所を眺めていたことりを慰めている。海未は救急車の去った方向をただ眺めていた。

 ――そんな少女達を見つめていた白い影が一つ。
8 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/24(日) 02:16:15.83 ID:N5N5taif0
以後少しずつ更新します
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 04:02:23.94 ID:mQhA3k/K0
見てるよ
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 04:29:19.33 ID:wwmtrLmO0
つまらない
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/24(日) 20:38:45.32 ID:/UWH9+Ez0
期待だぜ
頑張れぇい
12 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/24(日) 21:40:38.88 ID:V4/or2+vO
第1話

◆Anemone seed.

「君たちには資質がある。どんな願いだって叶えることができる」

 白い小さな獣だった。赤い瞳を持ち、桃色の長い耳を持っている。四つの脚をもっている辺りは普通の動物なのかとも思ってしまうが、少女達はこんな生物は見たことがなかった。それでも、これは自分達の知る動物ではない、という事は理解できる。獣は、人語で話していた。

「そう、代償はあれど、君たちの望みは叶うんだ。だから――」

 くるん、と獣は宙を蹴って、西木野総合病院の談話室に並べられた椅子の背に飛び乗った。この場には、七人の少女と、白い獣しかいない。もともと日中は患者のために開けられている部屋を、この病院の娘である西木野真姫の配慮で解放してもらったためだ。

 じっ、と見つめてくる十四個の瞳を意にも介さず、獣は七人の少女に視線を流した。そして――

「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

 白い小さな獣は、言い放った。
13 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/24(日) 21:43:16.51 ID:V4/or2+vO

 誰もいない病院の談話室を包む静寂。それを崩すように海未は口を開く。

海未「あの、意味が分からないのですが……」

 じとり。眼を訝しげに細め、海未は獣の身体中を視線で撫でた。

「そうかい?」

 首を傾げる獣に向かう思いは困惑。それに紛れた怒り。

海未「ええ。そもそも魔法少女なんて非現実的なものは存在しません。貴方は私達をからかっているのですか? この――穂乃果が命を落とすかもしれない時に」
14 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/24(日) 21:47:04.43 ID:V4/or2+vO
 えぐっ、としゃくり上げる音が二つ聞こえた。一年生のうち二人、凛と花陽が同時に涙を溢す。二人とも目は真っ赤に腫れ、ずっと泣いていたことが分かる。そんな二人の様子に、真姫が慌てたように取り繕う。

真姫「落ち着きなさいよ! うちの病院のスタッフは優秀なの! きっと、穂乃果も大丈夫なんだから!」

 真姫本人は二人を窘めているつもりなのだろうが、一番焦った声色なのは彼女自身だった。

海未「……とにかく」

 海未はため息をついて、また獣を睨んだ。蓄積されていく怒りから逃げるように困惑は息をひそめ、瞳から逃げていく。殺気と言っても差し支えのないような眼で睨まれても、獣はたじろぎもしない。

海未「あなたが何者かは知りませんが、今、ふざけるのはやめてください。こうしている間にも穂乃果は――」
「ああ、高坂穂乃果はもうダメだね」
15 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/24(日) 21:54:56.07 ID:V4/or2+vO
 海未の言葉にかぶせるように言う。ピクりと海未の目じりが動く。

「もう抜け殻さ。僕にはよくわからないけど。彼女の心臓は動きもしないし、脳だって止まってしまっている」


 穂乃果は数時間前――地区予選の舞台となったUTXからの帰り道で、交通事故に遭った。にことはしゃぎながら歩いていたところをトラックに突っ込まれ、現在意識不明だ。共に巻き込まれたにこは軽く頭を打った程度で今のところ命に危険はないらしい。


「でも大丈夫かもしれない。魔法少女になれば、願いを一つだけ叶えてあげる。どんな奇跡だって、起こせるんだ。そう、もしかしたら、高坂穂乃果をもとに戻せるかもしれない」

海未「いい加減に……」

絵里「待ちなさい、海未」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 01:25:54.78 ID:bD1uI0oL0
これは楽しみなクロス
17 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/25(月) 23:47:19.79 ID:W8AY5j7D0
 黙って事態を見守っていた絢瀬絵里はようやく口を開く。不満げに彼女に向けられた琥珀色とアイスブルーが交錯する。何かを悟った海未は何か言いたげに黙った。


絵里「海未が悪いことをしたわね。あの娘も穂乃果のことが心配でしょうがないのよ」

「うん、分かっているよ。君たち人間は特定の人物のことを何よりも大切にすることが多い……海未が怒りの感情を露わにすることも頷けるよ」

絵里「それで、魔法少女? に付いて聞きたいのだけど……」

 絵里の言葉に、獣は首を傾げる。赤い瞳から感情はうかがえないが、どうやら不思議がっているらしい。

「あれ、君は僕を信じてくれるんだ?」

絵里「……普通の人間に言われればただ聞き流すだけだけれど、あなたみたいな見たこともない獣が人間の言葉で話しかけて来たら……信じられるかは分からないけど、聞く気にはなるのよ」

希「確かに穂乃果ちゃんは助けたい……その気持ちはμ’s皆の同じやと思うんよ。でも、その魔法少女なんてスピリチュアルなこと、詳しく聞かないと信じられないやん?」

 絵里の隣に座っていた希も口を開く。声は無理して作ったような響きがある。それも無理はない。事故が起きた時、救急車を呼んだのは彼女だからだ。

「分かった。魔法少女に付いて話すよ。落ち着いて聞いて欲しい」
18 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/25(月) 23:51:32.12 ID:W8AY5j7D0
 ごくり、と誰かがつばを飲む音。獣は「さて」と前置きすると、一つ問いかけをした。

「最近この音ノ木坂で事故や自殺が増えていないかい?」

真姫「そういえば、そういう理由で運ばれてくる患者が後を絶たないってパパも言ってたわね……」

 真姫は眉根を寄せて呟く。医者の娘である彼女はそういった父親の愚痴も耳にしていた。

「真姫は良く知っているんだね。きっとそれは魔女のせいで命を落としたり、落としそうになった人間だ」

真姫「って、なんで私の名前知ってるのよ! 穂乃果の名前もだけど!」
19 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/25(月) 23:54:29.49 ID:W8AY5j7D0
 獣は真姫の言葉には反応せず、さらに言葉を紡いでいく。

「魔女は、絶望をまき散らす。そして、様々な負の感情を煽り、災いをもたらすんだ。音ノ木坂での事故と自殺の大半は魔女のせい、だね」

凛「凛達も魔女に殺されちゃうの……?」

 涙声のまま、凛は口を開く。そして、守るように花陽の身体に腕を回した。

「無い、とは言い切れない。魔女に目を付けられたら終わりだ。でも、それを討伐するのが魔法少女なんだ」

絵里「なるほど、正義の味方というわけね……」

 絵里は白い獣の言葉を一通りは理解したようで。視線を下げながら呟いた。だが、興味を示したのは、絵里ではなく海未だった。
20 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/25(月) 23:58:29.18 ID:W8AY5j7D0
海未「つまり、魔法少女になれば、願いが叶う代わりに魔女を倒さなければならない、というわけですか?」

「そうだよ。絶望から生まれる魔女と倒せるのは、祈りから生まれる魔法少女だけなんだ」

 ぎらり。赤い瞳が光った気がした。

海未「でしたら……」

 穂乃果を助け、その報酬として魔法少女になって魔女を討伐する。悪い話ではないのかもしれない。そんな海未の考えを読んだのか、絵里が口を挟んだ。

絵里「待ちなさい、海未。危険性が分からないわ」

 絵里は白い獣に顔を向けると、眉をひそめて質問を投げた。海未と違って慎重に情報を探るようだ。

絵里「魔女は簡単に倒せるのかしら? それとも、相応の覚悟がなければ戦えない存在? その説明も欲しいわ」

「もちろん、覚悟はしてもらうさ。万が一、という事もある」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/26(火) 00:11:12.01 ID:Ex42D7yv0
原作が原作なだけにハードル高めだな
まぁ今のところイケてるで
22 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:04:04.12 ID:UgRJpw+/0
 一言で空気が張り詰める。質問をした張本人である絵里の眉はピクリと動き、表情を硬くする。花陽を抱きしめる凛の腕に力がこもった。

「そんなに嫌な顔をしないでよ。魔法少女になれば戦うための力が手に入る。慢心しなければ、大抵の魔女には勝てるだろうね」

絵里「そんな契約……」

「誰も乗らないと思うかい? この音ノ木坂もそんな少女達に守られてきた。むしろ、ほとんどの子は二つ返事で契約してくれるくらいさ」

 どうだい、悪い話じゃないと思うけど。獣の問いかけは談話室に消えていく。誰も動かない。それでも彼はゆっくりと尻尾を揺らしながら少女達を見つめていた。
23 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:06:42.15 ID:UgRJpw+/0
 何かが聞こえた気がした。それぞれ近くに居るものと顔を見合わせる。声だ。それも泣き声。凛と花陽、一年生二人はさらに身を寄せ合い、真姫もそこに近づき、身を寄せる。

 声は近づいてくる。海未とことりは目を合わせたまま頷いた。聞いたことのある声。一年生は幽霊か何かだと思ったようだが、これは穂乃果の妹、雪穂の声だ。

 海未は開いていた談話室の扉から、廊下を見回す。妙齢の女性に支えられながら涙を流す少女がゆっくりと足を進めている。雪穂と穂乃果の母だった。

海未「雪、穂……?」

 何故泣いている? きっと嬉し涙だ。穂乃果が助かってーー。嗚咽を聞いた瞬間に脳裏に焼き付いた嫌な予感を、海未は振り払う。だが、振り払ったところで現実は変わらない。

 穂乃果の母は談話室の入り口にいる海未と、隣から顔を出していたことりに気づくと、すっ、と頭を下げた。

穂乃果母「娘は、助かりませんでした……」
24 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:11:28.43 ID:UgRJpw+/0
 頭の中で、何かが壊れた感覚がした。これは夢です。夢なんです。自分の声が脳内に響く。夢だ、夢だと繰り返し、現実を受け入れさせてくれない。

穂乃果母「この子を落ち着かせてきますので」

 穂乃果の母は雪穂の肩を抱き、去って行った。それでも、声は消えない。


 海未の思考が現実に戻ったのは、ことりの匂いが引き金だった。振り返り、謎の獣に向けて足を進めることり。がしりと、獣の身体を掴むと、顔を近づけた。

ことり「お願い! ことりを魔法少女にして! 穂乃果ちゃんのために契約します!」

 騒然とする談話室内。絵里の制止の声が上がる。だが、ことりは止まらない。言葉も、涙も。

「大歓迎だ。特にことりの秘めた資質はとても大きいからね。願いは決まったのかい?」

ことり「穂乃果ちゃんを生き返らせてください! お願いします! 穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃんを……穂乃果ちゃん!」
25 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:14:09.17 ID:UgRJpw+/0
「分かった。ことりの願い、しっかりと受け止めたよ。ことりの資質と願いなら人一人を生き返らせるくらい簡単だ」

 獣は、スッ、と手のような形の耳の一部分をことりに伸ばす。すると、辺りが灰色の光に包まれた。光が満ちていくと同時に、ことりが悲鳴を上げる。

ことり「うぐっ……あああああっ!」

海未「ことり!」

 ああ、やっぱり、夢ではないのですね。ようやく、現実に思考が戻りつつあった海未が声を上げる。白い獣の耳を引き離そうと、ことりの元へ駆け寄った。そして、海未の眼に映ったのは、ことりの胸から現れた、灰色の卵のような宝石だった。どさっ、と音がして、ことりが床にしゃがみ込む。その手の中に、降りてきた宝石が収まった。

「この石がソウルジェムだ。魔女との戦いを定められた者の証。よろしくね。ことり」

 ことりが、魔法少女になった。この非現実な現象が、ようやく飲みこめてきた。
26 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:17:15.12 ID:UgRJpw+/0
ことり「よかった、これで、穂乃果ちゃんは……」

 荒い息を整えようともせず、はらはらと涙を溢すことり。穂乃果ちゃん、助かったの? 凛の呟き。部屋を包み始めた安堵の空気は、続いた言葉で壊れた。

「まあ、穂乃果は確かに生き返ったけど、また君たちと話せるわけではないけどね」

 ぴしりと空気が割れた気がした。海未はことりに寄り添い、抱きしめると、戸惑いに憤りを混ぜたような琥珀で獣を睨みつけた。

海未「何を……!」

 約束が違う。瞳に内包した戸惑いが消え、怒りだけに変わっていく。騙された。怒りは流体となって、脳に堆積していく。

「彼女は生き返った。けどそれだけだ。心臓が動こうとも、止まった思考は戻らない」

海未「まさか……」
27 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:20:25.62 ID:UgRJpw+/0
 ――脳死? 脳内を一つの単語が満たした。それなら、彼の言っていることは嘘ではない。

海未「……でしたら、穂乃果の脳をもとに戻していただけますか?」

僕にはよくわからないけど、などと嘯いていた獣は言葉を止めて首を傾げた。

「海未も契約するのかい?」

 ことりは大きな覚悟をした。ならば、と海未は立ち上がり、白い獣に向かう。ことりの勇気を無駄にするわけにはいかない。

海未「ええ。もう一人、は可能でしょうか? 私も、穂乃果の元気な姿が見たいんです」

 赤い瞳は怪しく煌めいた。

「もちろん、もう一人でも、ここにいる全員でも大歓迎さ!」

 そして、ことりの時と同様に、海未の胸に耳が伸ばされる。そして、青い光が放たれた。光が辺りを包み込んでいく中、全身に激痛が走った。
28 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:29:12.61 ID:UgRJpw+/0
海未「ぐっ……!」

 海未は漏れ出る悲鳴を噛み殺しながら、胸に浮かび始めた宝石――ソウルジェムを見る。これが魔法少女の証だ。ことりと共に、悪の魔女と戦う者の証。

 痛みが引くとともに、眼前に降りてきたソウルジェム。あの痛みのおかげでこれが本当に現実なのだと心から認識できた。これから先の穂乃果の笑顔と、ことりの命を守って見せる。そう誓いながら、青い宝石を手に取った。

ーー高坂さん!穂乃果さんの容体が!すぐに来てください!高坂さん!

廊下から聞こえる慌てた看護師の声。それから何人かの急ぎ足が遠ざかる音。ああ、本当に願いが叶ったんだ。少し息が抜けて膝が震えた。

QB「ああ、そういえば、自己紹介をしていなかったね。僕はキュゥべえ。ことり、海未。よろしくね」



 この時、誰も気付かぬうちに談話室に潜り込み、奇跡を目の当たりにしていた者がいたことを、後に知ることになる。
29 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/26(火) 01:30:48.94 ID:UgRJpw+/0
また続き書きます。そこそこ長くなります
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/26(火) 23:03:16.40 ID:Ex42D7yv0
ファイトだよ!
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/28(木) 00:00:20.51 ID:gIg+Iqq/0
続き来ぉい
32 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 06:45:57.57 ID:pFZ2o/8d0
◆ ◆ ◆


 早朝、五時前。神田明神の一つの建物から、巫女服に身を包んだ髪の長い少女――希が現れた。右手に、紫色のお守りを持ち、辺りを見回している。瞬きをすると、眠そうに目をこすった。

昨夜、穂乃果の心臓が動き始めたことを医師である真姫の父親から聞き、安堵したμ'sのメンバーは各々帰宅した。希だけは家に帰らず、この神田明神を訪れ、朝まで境内の小屋に篭っていた。

希は大きく息を吸い込み。

希「キュゥべえー!」

 誰一人いない境内で声を上げる。すると。

QB「どうしたんだい、希?」

 神社の屋根の上から、白い獣が下りてきた。昨晩、穂乃果を救う奇跡を見せたキュゥべえである。

希「試しに呼んでみただけなんに、すぐに出てくるなんて意外やん?」

 それはいいとして、と前置きし、希はキュゥべえに歩み寄ると、しゃがみこんで目線を合わせた。

希「いくつか聞きたいことがあるんやけど、いい?」
33 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 06:47:03.99 ID:pFZ2o/8d0
 希はキュゥべえに質問を投げる。いくつか言葉を交わし、風が吹いたとき、希は笑みを浮かべた。

「うん、分かった。じゃあ、ウチを魔法少女にしてくれる?」

「もちろんさ。君は何を願うんだい?」

「ウチは――」

 一人と一匹だけの神田明神に、紫の光が放たれた。


「こ、これは……?」

 キュゥべえの戸惑いの言葉に、希は笑う。ほーら、やっぱりやん?手のひらに降りた、紫色で一部が物理的要因で欠けたような形のソウルジェムを指でそっと撫でた。
34 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 06:50:59.30 ID:pFZ2o/8d0
◆Let's start being witches!

にこ「心配したんだからね。全く馬鹿なんだから……」

 にこは病室に置かれたパイプ椅子にふんぞり返って呟いた。ため息交じりの言葉の先は――穂乃果だ。

穂乃果「ごめんねにこちゃん……」

 えへへ、とはにかんで、少しだけ普段よりも大人しく答える穂乃果。心臓は血液を送り出し、脳は正常に思考を紡いでいる。

にこ「まあ、にこにも……非があったけど」

穂乃果「気にしないでよ、穂乃果も悪かったんでしょ?」

にこは言葉を濁すと首を振った。
35 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 06:54:26.98 ID:pFZ2o/8d0
 元はと言えば、愛すべきμ’sの三馬鹿のうち二人、もとい穂乃果とにこが帰りに少しだけハメを外したことが原因である。UTXでの地区予選が終わり、音ノ木坂学院に使った機材や衣装を片づけに行く帰り道。二人は他のメンバーよりも先行しすぎてしまったのである。前方不注意。ここにトラックが突っ込んで、あの事故が起きたのだ。

 だが、にこの謝罪はそのことではない。鉄の塊が二人めがけて走った際、穂乃果はにこを庇った。このおかげでにこは明日には退院できるようだ。血を流してはいたものの、検査も異常なく。後遺症もない。

ただ、穂乃果の記憶が少し飛んでいる。病院で目が覚めた時の一つ前の記憶は、楽屋で地区予選の準備をしていた時のものだった。
36 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:02:54.92 ID:pFZ2o/8d0
「救急車を呼んでくれたのは希達なんだから、ちゃんとお礼言いなさいよ」

「ありがとう、みんな! またお礼するね!」

 穂乃果はにこの言葉にぱっと顔を上げると、ベッドの周りを囲んでいた希、凛、花陽、そして少し引いたところにいた絵里、真姫、海未、ことりに順に視線を投げた。太陽のような笑顔だった。

希「うんうん。早く元気になってくれればそれでええんよ」

穂乃果「そんなの悪いよ! あ、じゃあ、また穂むらのお饅頭差し入れするね!」

真姫「もうお饅頭は飽きたわよ……」

 真姫は面倒臭そうに口にする。だが、彼女は気付かない。いつの間にか隣に凛が歩み寄っていたことに。

 凛は真姫の背後に回り込むと。がっしりと肩を掴んで背中に頬を埋めた。「ちょ、離しなさいよ!」と声を上げる真姫を無視して、凛は自分の言いたいことだけを言う。

凛「でも真姫ちゃんすごく穂乃果ちゃんのこと心配してたにゃー」

 事実である。かあっと真姫は顔を赤くした。言動のわりに顔に出やすい。少しつり上がった目を伏せると、顔を逸らした。

真姫「?ぇええ!? ……と、当然でしょ! μ'sの仲間なんだから!」

穂乃果「真姫ちゃん……!」

 そっぽを向いた真姫と、感動したような表情の穂乃果を交互に見比べながら、にこはニヤリと笑みを浮かべた。

にこ「へーぇ?やけに素直じゃなーい?」
37 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:04:37.86 ID:pFZ2o/8d0
 からかうような、少し媚を売ったような声色。煽り耐性が低い真姫はすぐに振り向き、矛先を変える。

真姫「ち、ちが……そ、それに凛と花陽だってずっと泣いてたんだから!」

凛「だって心配だったんだもん」

花陽「もし、穂乃果ちゃんが、あのまま死んじゃったらって……」

 凛も花陽も否定しない。凛は失敗したと言いたげな表情の真姫からさっと離れると、「病室で走っちゃダメよ」という絵里の声を無視して、穂乃果の元に駆け寄り首に手を回す。

凛「でも無事でよかったにゃー!」

花陽「ほんと。よかった……」

希「あ、そうや。話し中にごめんな。渡したいものが……」

 思い出したように希は自分の通学カバンから一つのお守りを取り出した。御守と刺繍された藤色の物だ。裏には神田明神の名前が入っている。
38 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:05:53.63 ID:pFZ2o/8d0
希「これからも無事で居てくれるように。ずっと持っててな。ウチのスピリチュアルパワーも込めといたから」

穂乃果「わあ! いいの!?」

 御守を受け取った穂乃果はそれをまじまじと見つめる。羨ましいにゃー、じゃあ自分で買えばいいじゃないの、凛とにこの会話をよそに、希は笑って言葉を返した。

希「気にせんといて。もし、どうしようもないような事になって、ウチが助けて上げられない状態なんてことになったら……」

穂乃果「希ちゃん……?」

 希の柔らかい笑みに影が落ちる。穂乃果はそれを感じ取り、首を傾げた。じわじわと部屋の温度が下がっていく感じがした。
39 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:07:55.86 ID:pFZ2o/8d0
希「この御守を持って神田明神でお参りするんや。そして、この紐を解いて袋を開ける。でも、本当にどうしようもなくて、どうすればいいのか分からなくなった時だけ、やけどね。それまでは絶対に袋を開けたらあかんよ」

穂乃果「希ちゃん、なんだか怖いよ……?」

 すっ、と影が消えた。部屋の温度は元から変わっていない。秋の過ごしやすい気候だ。

希「だって、穂乃果ちゃん、元気ありすぎてたまに心配になるんやもん。もうちょっと考えて動いて欲しいんよ。にこっちみたいになるよ?」

にこ「何よそれ!」

穂乃果「えー!? 怖がって損したよ!」

 わいわいと、普段の部室のような空気に戻る病室。少しだけほっとしながらも、絵里は下がり、廊下に出た。
40 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:09:14.34 ID:pFZ2o/8d0
ことり「穂乃果ちゃん……よかった、よかったよぉ……」

海未「ことり……そうですね。本当に……」

 可愛らしい刺繍の入ったハンカチを目に押し当てたことり。眼を赤くして彼女を抱きしめる海未。取り戻した幸せな光景に涙が堪えきれなかったようだ。

絵里「二人共……」

 声をかけようと、口を開いた瞬間、それは穂乃果の声に遮られた。

穂乃果「あれ?海未ちゃんとことりちゃんと絵里ちゃんは?」

 わざわざ廊下に出ていたという事は、穂乃果には泣いている姿を見られたくなかったのだろう。絵里はそう判断し、場を離れる口実を作る。

絵里「ああ……ここにいるわよ。ちょっと三人で売店に行ってくるけど、何か食べたいものはある?」
41 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:10:40.14 ID:pFZ2o/8d0
穂乃果「穂乃果はパン!」

にこ「じゃあ〜可愛いにこにーはぁ〜いちご牛乳かなぁ〜」

 他のメンバーも口々に欲しい物を挙げる。話し込んでいれば喉も乾くようだ。希望するものはほとんどが飲み物だ。三人もいれば運ぶのは大変ではない。

絵里「じゃあ買ってくるわね。お金は後でいいわ。海未、ことり、行くわよ」

 絵里はことりと海未を連れ出すと、病院の一階に設置された売店に向かった。西木野総合病院は街で一番大きな病院だ。医者や看護師が忙しなく早足で行き来している。患者の姿も多く見られた。いつか真姫が背負って行くものだ。
42 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/06/28(木) 07:11:37.20 ID:pFZ2o/8d0
海未「絵里、すみません、わざわざ……」

絵里「いいのよ。穂乃果に詳しく聞かれても困ると思うし……ね」

 海未は軽く頭を下げた。ことりも少しは落ち着いたらしい。まだ目は赤いが、泣いてはいない。多少は気持ちを切り替えられたようだ。

 そんな時ことりが唐突に声を上げた。

海未「ことり!?」

ことり「びっくりしたぁ……」

 ことりの肩に乗っていたのは白い獣。穂乃果を救ったキュゥべえだった。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/29(金) 16:47:29.74 ID:/aTm9KfK0
こっからどんどんブラックに…
44 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:28:12.97 ID:X9pwouQq0
QB「穂乃果の調子はどうだい?」

 キュゥべえはことりの肩に乗り、海未と絵里の顔を交互に視線をやった。ことりと海未は笑みを浮かべ顔を見合わせた。

ことり「いつも通りだったよ。ありがとうねぇ」

海未「本当に……あなたには何とお礼をしたらいいのでしょうか」

QB「僕も助かったからおあいこさ。今、前任の魔法少女がいなくなったせいですぐに新しい魔法少女が必要だったからね」

 廊下の真ん中で立ち話でも始めてしまいそうな雰囲気の二人と一匹。絵里は焦りが隠せず、会話を遮った。そう、二人と“一匹”なのだ。見られたら、まずい。

絵里「ちょ、ちょっと、待ちなさい、あなた、こんな所に入ってきたら追い出されるわよ」

 昨夜の談話室ならともかく、と言葉を続けようとしたところで、一人の看護師がこちらに歩いてくる。言ってる傍から、運が悪い。看護師は視線に気づいたのかこちらに顔を向けた。
45 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:30:18.86 ID:X9pwouQq0
QB「ああ、それは大丈夫さ。僕は素質のある少女にしか見えないからね。ほら、こちらを見ている女性」

 キュゥべえはそれには動じなかった。看護師は歩みを止めず、こちらに近づいてくる。だが、一言「こんにちは」と挨拶をして、会釈をすると、そのまま隣を通り過ぎて行った。総合病院の廊下の真ん中で少女の肩に乗った見慣れない獣には目もくれない。

QB「気づかなかっただろう?」

絵里「そうね、ならいいわ」

 絵里は冷え切った肝を温めるよう、少しだけ息を吸い込み、止めた。本当に、この生物が何なのか分からない。

海未「絵里、そろそろ……」

絵里「そうね、ごめんなさい」

 海未に促され、売店に向かうことにした。とりあえず、誰かにキュゥべえを見つかる心配はないようだ。
46 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:32:53.22 ID:X9pwouQq0
 売店に着くと、頼まれた物をカゴに入れていく。穂乃果のパン以外、全て飲み物だ。練習で鍛えているとはいえ、重いものは重い。三人で来て正解だ。

 他にももう数日入院する穂乃果に何か買って行ってあげようと、商品を見ていると、海未が唐突に口を開いた。視線はことり――ではなく、その肩にのったキュゥべえである。

海未「あの、先程の話が気になるのですが……」

QB「前任の魔法少女のことかい? 死んだよ。魔女との戦いに敗れてね」

 棚に伸ばしていたことりの手がぴたりと止まる。海未は薄々感づいていたようで、そうですか、と深く頷いた。どんよりと重くなる空気。キュゥべえはそんな空気が読めないのか。妙に明るい調子で言葉を続けた。

QB「でも大丈夫!君達はかなりの素質を持っている。慣れれば強い魔法少女になるだろうね」

 今までこの音ノ木坂の平和を守って戦っていた魔法少女はどのくらいの練度だったのだろうか。キュゥべえの言う“慣れれば”の基準が分からない。二人が心配だ。ぎらっと赤い瞳が絵里に向いた。
47 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:35:24.54 ID:X9pwouQq0
QB「絵里はどうする?君もなかなかの素質だ。大人数で戦えば安全性は高まると思うんだ」

 安全性、という言葉。そうか、私も戦えば海未とことりが死ぬ確率も下げることができるかもしれない。じわじわと湧き上がる感覚。絵里はキュゥべえの言動に納得はしていても、信用はしていなかった。それは今も変わらない。

 それでも、二人の“万が一”を減らせるならば――

海未「大丈夫ですよ、絵里。どんな危険があるかはわかりません。私とことりだけで戦います」

 考えは海未に見透かされていたらしい。控え目な笑みを浮かべる海未の眼に射ぬかれ、ため息を吐いた。

絵里「……そう」

 きっと、行っても無駄だ。頑固なところがある彼女に何を言っても意味をなさないだろう。
48 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:37:38.64 ID:X9pwouQq0
 買い物を終えた三人と一匹は売店を出た。穂乃果の病室に向かうべく足を進めていると、海未は窓の外を見て、歩みを止める。

海未「暗くなってきましたね」

 既に夕日は落ちかけている。今日は土曜日だ。本当は早い時間から見舞いに来たかったのだが、もうすぐファッションショーでのライブを控えている。休むわけにはいかない。七人で昼の練習をした後にようやく、穂乃果とにこの見舞いに来たのだ。元から時間があるわけではない。

海未「ことり、キュゥべえ、そろそろ行きましょうか」

QB「穂乃果のところへ行かなくてもいいのかい?」

 キュゥべえは海未とことりの顔を交互に見る。二人は同時に頷いた。

ことり「うん。泣きすぎちゃってきっと目も腫れてるから……」

QB「わかった。じゃあ、魔女の探し方から教えるね。着いてきて」
49 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:40:04.49 ID:X9pwouQq0
 キュゥべえはことりの肩から床に飛び降りた。音も立てず、獣らしいしなやかな動きだ。彼はさっさと歩きだしてしまう。海未とことりは慌てたように手に持った袋に視線を向けた。持っている物さえ頭から抜けていたのか、と心配になる。

絵里「いいわ。私が届けるから」

 荷物を受け取ると、ずしりと手に重さが伝わった。九人分の飲み物。それに加えて穂乃果にと購入したパンやお菓子。

海未「すみません。私とことりの飲み物は穂乃果に渡してください。では絵里、失礼しますね」

ことり「絵里ちゃんありがとう。また明日ね」

 海未は頭を下げ、ことりは軽く手を振って。キュゥべえと共に病院を出て行く。

絵里「ええ。また明日、ね」

 呟きと、どうか無事に帰ってきてという祈りは病院のロビーに消えた。
50 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:42:07.69 ID:X9pwouQq0
 絵里は少し苦労しながら、メンバーのいる病室へ戻った。練習で体を鍛えているとはいえ、広い病院をたくさんの荷物を持って歩くのは、骨が折れる。希にも一緒に来てもらえばよかった。そうしたら、この不安な気持ちを共有できたのに。ほんの少しでもいろいろなことが軽くなったのに。

絵里「遅くなってごめんなさい」

 部屋に入ると同時に向けられる六人分の眼。その中で、一番早く戻ってきた人数に疑問を持ったのは穂乃果だった。

穂乃果「あれ?海未ちゃんとことりちゃんは?」

絵里「用事があるからって帰ったわ。海未はお稽古。ことりは次のライブの衣装の材料を揃えるって」

 本当は魔女の討伐なんだけど。絵里は何も知らない穂乃果にいう訳にもいかず、尤もらしい嘘を吐いた。えー! という叫びと共に、穂乃果の眉は八の字になり、捨てられた子犬を連想させた。

絵里「そんな顔しないで。その代わりこれは私達からの奢りだから」

 パンといくつかの飲み物やお菓子程度で機嫌を取ろうと、穂乃果の物として分けてきた袋をベッドの上に置いた。

穂乃果「本当!?」

 ぱあっと輝く小さな太陽。純粋さの塊。そして、本当に他人を好いていると分かる瞳。海未とことりが日常を投げ打ってまで守りたかったものは、これだ。
51 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:47:02.30 ID:X9pwouQq0
◆ ◆ ◆


海未「本当にこれで魔女が見つかるのですか?」

 海未は青く光るソウルジェムを訝しげに眺めながら、キュゥべぇに声をかけた。ことりの肩を我が物顔で陣取るキュゥべぇは頷く。

QB「うん。魔女の反応が強くなると光り方が変わって来るんだ。ほら、だんだん光が強くなっているだろう?」

ことり「本当だぁ……」

 ことりは海未の手のひらに乗った青の光を眺めて呟いた。海未も言われてみれば、と口にする。これからの戦いに気を張り過ぎていて、自身の手のひらの事に意識が向いていなかった。

 何かあった時、ことりを守るのは自分なのに。眼前の事に気が回らなかった事を内省し、少しだけ息を吐いた。

 二人と一匹は夜の音ノ木坂を進んでいく。ソウルジェムに導かれるまま、アスファルトを踏みしめ、徐々に魔女との距離を縮めていく。

 そして、キュゥべぇが制止の声をかけたのは、ブロック塀で挟まれた行き止まりだった。
52 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/01(日) 00:49:57.76 ID:X9pwouQq0
更新遅くて申し訳ないです
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/01(日) 20:49:55.95 ID:T+O52QFL0
がんばれぃ
54 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:39:17.69 ID:rTx5yD1F0
海未「……何も居ませんが?」

 それらしきものは見当たらない。三方を囲む塀と、元来た道があるだけだ。キュゥべえはことりの肩から降りると、塀に向かって足を進めた。

QB「魔女は結界の中にいるんだ。結界に閉じこもり、いろいろなことをしている」

ことり「それで、人を殺しちゃうの……?」

 ことりの小さな消えそうな声に、キュゥべぇは「そうだよ」とだけ答える。他人の不安や恐怖など興味がないかのような態度に、海未は少しだけ腹を立てながらも、キュゥべぇの動向を見守ることにした。

 白い獣は行き止まりまで歩くと、前足で木製の塀を叩いた。

QB「ここだよ。ここから魔女の結界に入れる」
55 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:40:57.68 ID:rTx5yD1F0
海未「いよいよですか……。不安ですか?ことり」

ことり「う、うん……」

 先ほどから落ち着かないようだったことりに視線を向ける。案の定、不安げな様子だった。

海未「大丈夫ですよ。穂乃果を救った貴女は私が守ります」

 視線の下がりつつあったことりの手を取り、穂乃果のために日常を差し出した彼女の目を見る。ことりの大きな垂れ目は、少しだけ見開かれ、細められた。

ことり「ありがとう、少しだけ勇気でたかも」

海未「では、行きましょう」

QB「こっちだよ。早く」

 キュゥべえに連れられ、二人は結界に飛び込んだ。
56 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:43:32.87 ID:rTx5yD1F0

 ごてごてとした異様な空間を進んでいく。しばらく歩いて行くと、黒い小人のような何かとすれ違った。

ことり「きゃっ!何!?」

QB「今のは魔女の使い魔だよ。成長すると魔女になるんだけど……今は大丈夫みたいだ」

 使い魔は特に危害を加えようしないどころか、こちらに視線も向けず、去っていった。そうした使い魔はそれ以来見かけないまま。キュゥべえは足を止めた。

QB「魔女は近いね。この扉の向こうだ」

ことり「ひっ」

 ことりが小さく悲鳴を上げる。勇気が出たとは言ったもの、やはり恐怖は拭えていないようだ。海未はことりの前に立つと、左手でソウルジェムを握りしめた。

 そして、右手で扉を開け放つ。

57 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:46:11.28 ID:rTx5yD1F0
海未「あれが魔女……?」

 想像していたものと違う。魔女という言葉だけ聞いていたため、海未の脳内に出来上がったイメージは、童話に出てくるような三角帽子に黒いマントを身につけた老婆だった。だが、眼前に居座るものはそんな普遍的なものではない。

 姿形はトカゲのような四足の爬虫類だが、背中から蛇が髪のように生えている。瞳は片方がこぼれ落ちていた。魔女というより、化け物だ。

QB「さあ、変身して戦うんだ!ソウルジェムを使って!」

 魔女を眺め、呆然としていると、キュゥべぇが檄を飛ばした。だが、変身のやり方がわからない。変身したい。変身しないと。そう思った時、ソウルジェムから眩い青い光が飛び出し、海未を包み込んだ。

 そして、光が動いた時、海未の姿は変わっていた。
58 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:47:39.54 ID:rTx5yD1F0
 白い道着に青い袴、金の意匠の彫り込まれた胴当てをつけ、両手には胴当てと似た紋様の彫られた防具が嵌められていた。この金の紋様は防具だけではない。黒金の額当てにも彫り込まれている。

 腰には黒漆の鞘に収まった大小二本差し。

 美しく、どこか可愛さもある女剣士の姿になっていた。

 青い光は側頭部に集約し、青い宝石のついた髪留めとなる。

海未「これが魔法少女、ですか」

 体の奥から湧き上がってくる力。今なら普段の何倍もの動きができそうだ。
59 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:49:35.84 ID:rTx5yD1F0
QB「海未、前!」

 キュゥべえの言葉に顔を上げると、魔女の背中から伸びた蛇が眼前に迫っていた。ただの蛇かと思えばそんなことはなく、ぎらりと光る刃に姿を変えた。

 海未は軽く息をとめ、軽く体をずらす。腰の刀を抜き、一閃。ぼとりと音がして、足元に刃が転がった。転がった刃は切断された蛇の頭部に姿を戻している。

ことり「海未ちゃん!」

海未「大丈夫ですよ、ことり。変身してみればわかりますが力が湧いて来るようです」

 心配そうな表情のことりに笑いかける。ことりは意を決したように灰色のソウルジェムをとりだした。
60 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:51:17.48 ID:rTx5yD1F0
ことり「えいっ!」

 海未の時と同様、光が飛び出すとことりを包み込んだ。

 光が晴れると、天使のようにふりふりとしたフリルのついたエプロンをつけたメイドーーことりがいた。エプロンだけでなく、内側のワンピースの素材もやわらかそうだ。目を引くのは髪飾りだ。普段のリボンではなく、銀色のアクセサリーのついた小洒落たものに変わっている。

 腰には矢筒があり、ことりの手にはクロスボウがあった。ことりの武器のようだ。

 灰色の光は旋回し、エプロンの左肩のところで羽根の形の宝石となった。

 ことりの変身を見届けると、海未は魔女に視線を戻した。

海未「ことり……行きますよ」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 01:58:42.68 ID:ZDhQuD4SO
もうなにもこわくない
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/02(月) 21:46:56.17 ID:SdzO5EZ30
ええぞ!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/05(木) 22:38:01.15 ID:/GdNqjs00
待ってるぞ
64 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 22:54:13.06 ID:RcghR3FE0

ことり「うんっ!」

 返事を聞くとともに、海未は魔女に向けて走り出す。伸びてくる刃。両手で持った刀に力を込め、振るう。

海未「はあっ!」

 ぼとり、ぼとり、海未の通った道を刃が示す。だが、戦いだ。思うようにはいかない。五本の刃がタイミングをずらして海未に襲いかかる。

 まずい。海未の体が止まった時、ふと、何かが頭に浮かんだ。

 目を閉じて、意識を集中する。もう一度、目を開いたとき、自分に向かう刃の動きが全て瞳に焼きついていた。視える。それに合わせて、刀を閃かせた。全ての攻撃を撃ち落とす。さらに、次の動きも視える。斜め後ろを走ることりに向かう刃。

海未「ことり!止まってください」

 止まることり。眼を見開いて自分に向けて動き出したものを見つめる。間に合ってください。海未は大きく足を踏み出し、跳ぶ。刃に向けて武器を振り下ろした。
65 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 22:59:28.00 ID:RcghR3FE0
立ち止まり、痛みに備えて目をぎゅっと瞑ったことりが恐る恐る目を開く。

ことり「海未ちゃん、どうして?」

海未「おそらく魔法でしょう。魔女の動きが手に取るようにわかります……」

 動きを読む。これが海未に備わった魔法のようだ。厳密には視覚の強化だけでなく、感覚器全般の強化なのだが、海未はまだ知らない。

 ことりに付いてくるように促し、海未は道を切り開く。敵の動きを見切り、全て一刀で斬り伏せる。ことりを守らなければ。音ノ木坂の平和よりも、幼馴染のことが頭を占めていた。

ことり「海未ちゃん!この距離なら狙えそう!」

海未「わかりました。落ち着いて狙ってください。私が守ります」
66 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 23:01:26.95 ID:RcghR3FE0

 ことりは不慣れな手つきでクロスボウに矢を装填した。ゆっくりと照準を魔女に合わせ、引き金を引く。

ことり「ラブアロー……シュート!」

海未「なっ!? ことり!?」

 突然のことりの言葉に海未の声が荒くなる。矢は魔女のめがけて飛び、本体に突き刺さった。そこから灰色の光がことりに向けて流れていく。それに伴い、魔女は手足が震え、わずか数秒で手足を投げだした。本体だけでなく、背中の蛇も頭を下げる。

 ことりの魔法は敵の力を吸い取ることらしい。走った際に少し息が上がっていたようだが、今は全く乱れていない。

 海未は駆け寄り、刀を魔女の頭に振り下ろした。



 ――瞬間。魔女は霧散し、世界は揺れ、あの路地裏に戻ってきた。
67 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 23:04:53.67 ID:RcghR3FE0
QB「うん、初めてにしては上手いじゃないか」

 終わった。初めての討伐が終わった。ことりはゆっくりと地面に座る。服が汚れるとは言っていられないほど疲れているようだ。それもそのはず。どのタイミングで殺されてもおかしくはなかった。そんな緊張を初めて味わったのだ。誰だって糸は切れるだろう。

海未「これは……体というよりも心に来ますね」

ことり「怖かったぁ……」

QB「大丈夫だよ。これだけ戦えたんだ。討伐を繰り返していけばきっといい魔法少女になる」

 キュゥべえの言葉は本当だろうか。少しだけ先に不安を感じつつ、海未はことりの隣に座った。

ことり「今日は大変だったね」

海未「先ほども言ったはずですよ。ことり。私が貴女を守りますから」

ことり「うん、じゃあ、ことりも海未ちゃんを守るよ」

 変身を解くと。ソウルジェムがその手にあった。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/06(金) 16:46:08.81 ID:b7jUoVIB0
がんばれ
69 : ◆jXMHii2Ab6 :2018/07/08(日) 21:33:11.53 ID:L+BRz7jCO
◆ ◆ ◆

海未「……以上が昨日の魔女討伐の報告です」

 翌日、練習後。検査入院中の穂乃果と、今日退院したばかりのにこ以外の七人が部室に残っていた。海未とことりの魔女討伐の報告の後、静寂に包まれてしまった空気を、絵里の言葉が破った。

絵里「想像以上に危険なのね……」

 全員が絵里の言葉に近い感情を持ったはずだ。凛や花陽の表情は明らかに強張っている。だから、どんな事情があれど、こちら側には来ない方がいい。

海未「はい。ですから、皆さんは絶対に魔法少女にならないよう努めてください」

 海未はそう話を締めくくった。一番に口を開いたのは真姫だった。
70 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:35:07.08 ID:pn2y4P2j0
酉間違えたっぽいですが1です
71 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:37:59.86 ID:L+BRz7jCO
真姫「そうね……魔法少女、そう簡単になるもんじゃないのかもね」

 赤い癖のある髪を。指先でくるくると弄びながら、呟くように。

花陽「で、でも……」

 花陽は何か言いたげに、口ごもる。

凛「凛、二人だけ危険な目に遭うなんて嫌だな……」

 聞き分けのよかった真姫と対照的な反応の一年生二人組の言葉に、ことりは笑みを浮かべた。

ことり「ありがとう、かよちゃん、凛ちゃん。でも気持ちだけで十分嬉しいなぁ」

海未「はい。私達は穂乃果のために契約し、戦うことを選んだんです。そこに何の後悔もありません。それどころか、キュウべぇに感謝すらしています」

ことり「ことりも一緒。昨日はすごく怖かったけど……穂乃果ちゃんを救って手に入れた力だから……うーんと、嫌いじゃないかな?」

 ね、と海未に同意を求めることり。海未も目を合わせ、頷いた。

海未「私も魔法少女になったことを誇りに思っています。それに、街の人々のためにも力を振るえます。ですから、全て私とことりに任せてください」
72 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:39:58.34 ID:L+BRz7jCO
 また、静かになってしまった部室。はあ、とため息が一つ。絵里だ。

絵里「わかったわ。二人が忙しくなる分、私達もできることは手伝うわ。海未、作詞に詰まったらいつでも声をかけてくれて構わないわ」

 それに触発されたように、花陽も口を開いた。続いて真姫も。

花陽「こ、ことりちゃん、私も衣装作りを勉強したいから、たくさんお手伝いするね!」

真姫「私も……いい曲を作るわ。歌詞も衣装もすぐにイメージできる曲を作るんだから!」

 魔法少女になる以外にも、二人を助ける道はある。絵里の言葉でそれを理解したメンバーは、それぞれのやるべきことを探していった。だが、花陽や真姫の様子を見ながら、凛は狼狽えた。

凛「凛は……えっと」

 できることが思いつかなかったらしい。「笑顔でいてくれるだけで十分ですよ」と海未は言ったのだが、納得がいかないようで、頭を捻り始める。それを見かねたのか、ずっと静観していた希が口を開いた。
73 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:41:11.77 ID:L+BRz7jCO
 希の提案に、凛はぱっと顔を輝かせる。指針を示してくれただけでなく、さらっと褒められてもいることに嬉しくなったのか、席を立って座ったままの希の背後に回り込むと抱き着いた。

凛「うん! わかったにゃー!」

 もう一度、賑わいを取り戻していく部室。花陽は次のライブの衣装づくりを行う日をことりに聞き、真姫は曲のコンセプトを考え始めた。凛は希の首に腕を回したまま、今から考えると言い出し、窘められている。

 そんな、日常に近づいてきたメンバーを眺め、絵里は海未に視線を向けた。

絵里「みんなの意思よ。形は違えど、二人をサポートするわ」

海未「ありがとうございます……」

 もう一度、昨夜のように琥珀色とアイスブルーが交錯する。海未は笑顔を作ると、お礼の言葉を口にした。
74 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:43:01.75 ID:L+BRz7jCO
QB「いいチームワークじゃないか。話がまとまったばかりで悪いんだけど、魔女討伐に向かって貰えるかい?」

 突如部屋に現れたキュゥべえにメンバーの動きが止まった。少しだけ椅子の音を立てて、海未とことりが立ち上がる。

凛「えー! 昨日戦ったばかりなのに!」

 凛が抗議の声を上げたが、海未は首を振る。

海未「今音ノ木坂を守れるのは、私達だけですから」

 行きましょう、と荷物を持ってことりとキュゥべえを連れて部屋を出る。穂乃果を救う、街の人々や、共に戦うことりを守る。常に命の危険にさらされることを帳消しにできるほど、海未にとって魔法少女の力は、有り難いものだった。

だから、園田海未は後悔などしていない。



第一話 終
第二話へ続く
75 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:46:16.55 ID:L+BRz7jCO
次は二話を進めていきます。
まとめてになりますが、コメントありがとうございます。
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