勇者「休暇?」女神「異世界転生しすぎです、勇者さま」

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397 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:31:22.13 ID:9OC/ch8I0
俺は、成功したのだろうか。それとも、取り返しのつかない失敗を……?

誰も答えてくれない。

ただ俺は虚空の中を揺れ動く何かになったのだと思った。

『……けて』

えっ?

気のせいだろうか。もうとっくのとうに自分はおかしくなっていて、そんな幻聴が聞こえるくらいになってしまったのか。

もしそうだとしても、驚く理由はどこにも見当たらない。これだけの無茶をしてきたのだから、何があったって不思議じゃない。

どうせなら、走馬灯のようなもので、記憶の中の風景でもいいから、そんなものを見せて欲しかったとは思うが。

『助けて……』

もう一度、声がした。この暗闇の中に溶け合って、そのまま消えてしまいそうな、か細い声が。
398 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:34:04.67 ID:9OC/ch8I0
もしかして、そこにいるのか?

そう問いかけようとした。しかし肉体のない俺の言葉は、声にならずに自分の中で反響する。

何かの声が大きくなる方へと、俺は進んでいく。

するとそのうち、辺りがほんのりと明るくなっていくような感じがした。

感覚するための器官がないからそんなものが見えるはずがないのだが、俺はそれを光だと認識した。

小さくて、淡い光だった。

片手で握ったら見えなくなってしまいそうなくらい、儚く弱い光。

それにそっと触れる。

あたたかくて、ほのかに懐かしいにおいがする。
399 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:34:30.97 ID:9OC/ch8I0
……!

知らない情景が自分の中に流れ込んでくるのを感じた。

その光の中で一体何があったのか。それを知っている者の記憶が、自分には見えた。

…………。

……………………。

あ……。

ふいに、涙がこぼれそうになった。

だってそこには、ずっと探し続けていた彼女がいたのだから。

こんな場所にいたのか……。ずっと、一人で……。

声にならないことはわかっていたが、そう口にせずにはいられなかった。

やっと、見つけたよ。
400 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:34:57.61 ID:9OC/ch8I0
――

――――

その瞬間、全ての因果は結集した。

あらゆる空間において。

あらゆる時間において。

あらゆる次元において。

途方もない苦しみを重ねた二人が可能にした、奇跡という単語では到底表しきれないほどの所業。

今この瞬間に歯車はかみ合い、そして動き出す。

自己修復の機能が、完全に作動したのだ。
401 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:36:18.54 ID:9OC/ch8I0
――

――――

「ただいま」

彼女にそう告げる。すると、女神様は優しく微笑みながらこう返してくれる。

「おかえりなさい。勇者さま」

「…………」

「……やっと、全部思い出しました。全ての因果が確立されたからなのでしょう」

「ああ、わかってる」

互いにもう言葉は必要なかった。次に自分たちがすべきことも、わざわざ口にせずとも明白だった。

「勇者さま、お願いしますね」

「わかってる。あれを倒せるくらいにならないとな」

「ええ、そうですね。これが、最後の転生になるように」
402 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:37:02.24 ID:9OC/ch8I0
――

――――

昼間にあんなに暑かったのが嘘のように、夕方になると風が吹いて心地よかった。

波の寄せては返す音は、この村にいればどこでも聞こえるBGMだ。その音と潮風の匂いに誘われて、海辺まで足を運ぶ。

そこには誰もいない砂浜があるだけ。

わかっている。誰もいるはずがないと。

わかっているはずなのに、期待してしまう自分がいた。

あれからちょうど十年。

私はもう社会人になって、普通に働いている。
403 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:37:52.15 ID:9OC/ch8I0
毎年夏になったらここに来るのは、もう自分にとって恒例行事になっていて、親の事情なしでも自然と足が向かうようになった。

就職してからは、ここにいられるのはほんの数日ほどになってしまったが。

おばあちゃんは何かを察してくれているようで、その理由について聞いてくることはなかった。

けれど、その人についてのことを話してくることもなくて、毎年夏が来る度に憂鬱になる。

「いつになったら、帰ってくるのかなぁ……」

時間が過ぎるほどに、年が一年変わるごとに、怖くなる。

あんな昔の約束を、今も待っている自分がどうかしているんじゃないか。

そんな声が聞こえてくる頻度が、少しずつ増えていった。

「もう、十年経ったよ」

日が沈み、藍色の空を映す海に問いかける。
404 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:38:18.29 ID:9OC/ch8I0
「いつだったか、『十年女を磨いてから、出直してこい』って言われたっけ」

「今の私、あなたにとって少しでも魅力的になってるのかな」

「……そうだったら、いいな」

風景は何も答えず、ただ波の音を返すだけ。

ポケットの中にいつも肌身離さず忍ばせている、お守りを取り出した。

何の変哲もないビー玉だ。だけど、彼はこれをお守りだって言ってて、私に持っていてほしいと、最後の夜に渡してくれた。

私にとっては唯一の、あの日々を証明できる物。

ふと、自分の座っている傍らに目を移す。初めて会った日の非現実的な光景が脳裏によみがえってくる。

もしも、今この瞬間に、この場所に彼が現れたら、どれだけ私は幸せなのだろう。どんな声を上げてしまうんだろう。

楽観的過ぎる自分が滑稽に思えてきた。

今も、彼は戦っているかもしれないのに。たくさんの人たちを救うために、走り回っているのかもしれないのに。

なんて自己中心的な女なんだろう、自分は。なのに――。

「……早く、帰ってきてよ」

そう、声に出さずにはいられない。

「寂しいよ……。不安なんだよ……」

自分の体温でもう冷たくないビー玉を、手の中で強く握りしめた。
405 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:39:41.60 ID:9OC/ch8I0
その時、低くどもるような音が村中に鳴り響いた。

「えっ……?」

音のする方をとっさに向くと、それはこの村で一番大きな山からしたのだとわかった。山頂が、鈍く禍々しい色の光を放っている。

あまりにも突拍子のない出来事に、思考が完全に停止してしまう。これは本当に現実なのだろうか。

刹那、目が眩むほどの閃光。

遅れて鳴り響くこの世の物とは思えない轟音。

思わずつむってしまっていた両目を開くと、そこにはとても現実とは思えない光景が広がっていた。

光っていた山の隣の山が一つ、消し飛んでいたのだ。

あんなにも高くそびえ立っていた物が、今は空白と化してしまっている。

「嘘……」
406 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:40:31.62 ID:9OC/ch8I0
あまりの音の大きさだったせいか、他の音がひどく遠くのもののように感じられた。

一体何が起こっているのだろう?

疑問符が脳内で次々と生まれてくる中、一つの可能性がふっと浮かび上がってくる。

「もしかして、帰って、きたの……?」

光に吸い寄せられる虫のように、ふらついた足取りは山の方へと向く。

鼓動が激しくなる。手に汗が滲む。

いつの間にか私は駆けだしていた。

あんな現実離れした光景があり得るとしたら、彼が関わっている以外考えられない。

「あなたは……そこに……いるの……!?」
407 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:41:18.50 ID:9OC/ch8I0
山が消えたこともあって、村の人たちはみんなあれを脅威だと認識したようで、私とは逆方向に逃げていく。

それを横目に大方の人の流れと逆走する私は、何度もいろんな人に止められかけたが、それらの手をくぐり抜けるようにして先へと進んだ。

「はぁ、はぁっ」

普段運動をしなくなったせいで肺が痛い。息もすぐに切れてしまい酸欠気味だ。

そんな既に疲労困憊状態で、山の麓に立つ。

隣の山を吹き飛ばしてからは、何も起こっていない。次に何か起こるとしたら、もうそろそろなのかもしれない。
 
「ち、近づくのは、危ない、かな……?」

今更になってそんなことを言う自分もどうかと思ったが、何が起こるかもわからない得体の知れないものにこれ以上近づくのは気が引ける。

一歩、退こうとしたその時、背後でザクリと地面を踏みしめる音。

「えっ……?」

振り向くと、毛むくじゃらの巨大な何かがあった。

茶色の体毛が全身を覆い、顔の部分に異様なまでに大きな目玉が一つある。人間でないのは明らかだった。

「ぐふぅ……!」

口らしきものが動き、この世のものとは思えない声とともにニヤリと笑う。
408 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:41:53.29 ID:9OC/ch8I0
次の瞬間には私は走り出していた。頭で考えたというよりは脊髄反射的で、本能的にあれが脅威だと直感したのだろう。

逃げる先は山の中以外になかった。足下が悪く何度もつまずきそうになるも、幸運にも転ぶことはなく上へ上へと登る。

「な、なに……? 何なの……? 一体何が……」

遅れて頭が理解したのか、今になって自分の手が震えてきた。怖い、怖い、怖い。

「はぁっ……、はぁっ……」

さっきまで痛くて仕方なかった肺は、最早その域を超えて感覚がなくなりつつある。

「だ、誰か……助け……っ」

地の底から響いてくるような轟音に、背中を突き飛ばされた。

宙を舞う感覚。

そして衝撃。

「きゃあっ!?」
409 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:42:19.38 ID:9OC/ch8I0
「どうして、こんな……」

目から涙がとめどなく流れてくる。水滴を吸い込む地面は、他の何かの足音で一定の間隔で揺れる。

「嫌だ……っ、死にたく、死にたくないよぉ……!」

命乞いなんてものは意味を成さず、背後からなおもそれらは近づいてくる。気づけばその数は瞬時に数えきれないほどに膨れ上がっている。

逃げようにも、足がうまく動かない。さっき吹き飛ばされた時に打ってしまったようだった。

それでも、動かないと。

今いる場所より先に行かないと。

動かない足を引きずるようにして、さらに上へと登る。少し動かすだけで激痛が脳を突いた。

「くっ、あぁ……っ!」

後ろを振り向くと、さっきよりもさらにその距離は縮まっていた。捕まるのが時間の問題だということがすぐにわかった。

「やっと……、あの人に会えると思ってたのに……っ」

どうして、どうして……っ、どうして……!?

「痛い……。痛いよ……っ。やめて……、来ないでぇっ!」

もう嫌だ……。どうしてこんなことになってしまったの……?

助けて、誰か……!
410 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:42:52.08 ID:9OC/ch8I0
「えっ……?」

思わず、言葉を失った。

「嘘……、そんな……」

私の歩く先に、道がなかった。

あるのは断崖絶壁で、それ以上逃げる先がないことを意味していた。

ゾクリ。

背筋を冷たい指先でそっとなぞられるような感覚。

反射的に振り向いた私の目の前には、不気味なほどに口角をつり上げた何かの顔があった。

「いや、いやいやいやいやぁっ!!」

視界が大きく揺れる。

妙に冷えた感覚がとっさに覆った腕を通り抜けていく。

そして、急速にその跡が熱を帯びていく。
411 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:43:36.23 ID:9OC/ch8I0
「きゃあああああああっっ!!! 痛い痛い痛いいたいぃぃっ!!!」

腕が縦に、真っ二つに裂けてしまったような感覚が全身を突き抜ける。

鮮血が傷口から一気に噴き出る。

あまりの痛さに加えて力も抜けていって、その場に立っていることもできなくなり、地面に倒れてしまう。

傷口に土が入ってきて、それによってさらなる激痛が私に降り掛かった。

「うぐぅっ! やめて、やめてぇ……っ! いたいいたいいたいいたいぃっ!!」

あまりの痛みに息が詰まる。

苦しい。息がしたいのに、できない。

私を取り囲む化物たちは、なおも私を傷つけようとする手を止めず、次々と何かが壊れていくのを感じた。

頭を殴られたような気がする。右耳が聞こえなくなった。そこに手をやると、本来あるはずのものが、そこにはなかった。

違和感の意味を理解するよりも先に、その上げていた手が勝手に動いた。

何か棒のようなもので打ち付けられたのだとわかった瞬間、また想像を絶する痛みが襲いかかる。あまりの苦痛に叫び声をあげようにも、そのための息がもう私の中には残っていない。

「あ……っ、ぐぁ……っ」
412 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:44:02.95 ID:9OC/ch8I0
太ももに刃を突き立てられる。また血が一斉に吹き出して、そこら中が私の血溜まりだらけになっているのが見えた。

「あっ……っっ! た、たす、け、つ……っ」

逃げ出したい。

なのに、ほんの少し、指先を微かに動かすだけで、体の中が針で埋め尽くされたように、全身に痛みが走る。

もう、痛くない場所がなかった。

何かが砕ける音がした。

「いやぁぁぁああああああっっっ!!!!」

腕がへんな方向にねじ曲がっていた。

誰の腕だろう、これは。

そんなことを一瞬思った。

けど、本当に一瞬で、次の瞬間にはまた別の痛みでのたうち回る。
413 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:44:29.03 ID:9OC/ch8I0
お腹の辺りが強く押される。と思いきや、不自然にそこにあったものは抵抗を失い通り抜けていく。

私の体の中を。

「ぐふぅっ!?」

喉の奥から何かが逆流してきて、そのまま留めることもできず口から吐き出した。ドロッとした感触が唇を伝っていく。

今までで一番の痛みに暴れまわるも、そうすると余計に痛みが私を刺してきて、それで暴れて、さらに痛くなって。その繰り返し。

よく見るとお腹から血と一緒に、ドクドクと見慣れないものが溢れ出てくる。

自分の中身だとわかるのに、少し時間がかかった。

本来自分の体から外に出てはいけないものが、はみ出している。

「ひぃっ、も、もろさ、ないと……っっ」

必死に飛び出した内臓を元に戻そうとする。だが――

「ひゃいらないっ、もろらないよぉ……!」

腕が曲がっているせいで、うまく中に入っていかない。そもそもちゃんと集めることすらできていなかった。

血はずっと止まらずに私の中から溢れ出すのをやめない。もう自分の中は空っぽなんじゃないかって、そんなことを考えてしまうくらいに。

「ひぃ……っ、はぁ……っ!」

下品な笑い声がそこらじゅうから聞こえてくる。何がそんなに可笑しいのかわからない。
414 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:45:28.81 ID:9OC/ch8I0
――!

地面が一気に震え上がる。ずっと遠くの地の底から、何かが湧き上がってくるような音がした。

私の周りにいた化け物たちはみな手を止めて、一方向を見つめる。その視線を追うと、あの山の頂上の鈍い光がどんどん強まっていくのを感じた。

何が起こっているのか最初からわからなかったけど、とうとう本当にわからなくなった。

どうして、こんなところに私は倒れているのだろう。

どうして、私の右腕は変な方に曲がっているのだろう。

どうして、こんなにヌルヌルするのだろう。

どうして、私の中身はあんなところにまで飛び散っているのだろう。

どうして、こんなにも絶望的な状況なのに――

――私はまだ、奇跡を願っているのだろう。

彼が現れる瞬間を、待ち焦がれているのだろう。

「お願い……。助けて……っ!」

比較的まっすぐな左腕を伸ばした。すると、爪先が何かにぶつかりコツンと音を立てた。

これは、祠?
415 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:46:06.04 ID:9OC/ch8I0
この山には祠があったっけ。

昔、彼と一緒にこの山を冒険したんだった。

熊に襲われて、でも彼が助けてくれて。

すごく具合悪そうにしながらも、それでも私のために魔法を使ってくれた。

……ああ。懐かしいな。これって、走馬灯なのかな。

そっか。

じゃあ、私、このまま死んじゃうのかな……。

…………。

やだよ……。

このまま、死ぬのなんて、そんなの……。

いやだ、いやだ、いやだ……。

まだ、やりたいこと、いっぱいあったのにな。

せめて、あともう一度だけ、あなたに会いたかったのに……。

まだ、死にたくないよ……。死にたくない……。

助けて……。

誰か、私を、助けて……!

助けて……!!
416 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:47:50.95 ID:9OC/ch8I0



その時、



世界が終わる音がした。



417 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:48:36.76 ID:9OC/ch8I0



刹那。



それは彼女にとって、永遠にも等しい一瞬だった。



永劫の牢獄の中、それでも彼女は祈り続けた。



全ての喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも。



この世の始まりから終わりまで、彼女は繰り返し見せつけられ、それでもなお、彼女は正気を失うことはあれど、希望を捨てなかった。



彼女は、未来を見続けた。



存在するはずのない未来のために、祈り続けた。



故に、それは起こった。



必然的な奇跡が。



418 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:49:21.65 ID:9OC/ch8I0



――驚いたな。こんなことが起こるなんて。



――私が、ここで君にほんの少しの救いの手を差し伸べれば、全てが救われるなんて。



――想像もしていなかった。こんな方法があったのか。



――もう、関わるつもりはなかったが、最後に少しだけ。



――だが君は、さらなる絶望を味わうことになる。



――それでもなお、君は祈り続けるのか?



――世界の未来を、信じ続けられるのか?



419 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:50:34.46 ID:9OC/ch8I0
――

――――

「……えっ?」

痛い。

その感覚が、ひどく久しぶりのものに感じられた。

しかし、それも消えていく。痛すぎて感覚が麻痺したのではなかった。

曲がったはずの腕は元に戻っていて、お腹をさするもそこには擦り傷一つない。

辺りを見渡すと、あれだけいた魔物の群れは、みな地面に突っ伏していて身動き一つしない。

その中に、大きな背中が目に入る。

「長いこと、待たせてしまったな」

その声を知っている。この長い間、何度も何度も耳にして、でもその声は決して私に向けられたものではなくて。

でも、今は違う。

その声は、今ここにいる『私』に向かって言っている。

「君を、助けに来た」

そこには、私の待ち望んだ人が、私に向かって笑いかけながら、そう言ってくれた。

「……うん。ずっと、待ってたよ」
420 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:54:47.44 ID:9OC/ch8I0
――

――――

「肉体強化、魔力倍増、……よし、これで完璧だ」

あれから肉体がなかった俺は、もう一度ある世界に転生し、そこで最後の戦いに挑むための準備をした。

一刻も早く彼女を救いたかったが、そのためにはあの最後の魔王を倒さなければいけない。

急いだつもりではあったが、万全を期すために結局二十年ばかりかかってしまった。

「すごいですね、勇者さま……。普通の魔王なら一瞬で決着がつきます」

普通の魔王なら、確かにそうだ。だが、今回のはそれまでとは全く違う。

「今までの魔王全員と一気に戦うようなものだからな」

今までの経験を総動員しての準備をしたおかげで、今回の戦いに全てを最適化してある。故に逆に言ってしまえば、今回にしか役に立たないのだが。

「これが終わったら、たぶんもう俺に魔法は使えないだろうな」

「……そうでしょうね。これだけ無理のかかる魔法をかけていたら、勇者さまでなければもう既に身動き一つできなくなっているでしょう」

「その意味では、最後の戦いに相応しいのかもしれない」
421 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:55:37.13 ID:9OC/ch8I0
「それじゃ、そろそろ行くよ」

「はい。どうか彼女を、よろしくお願いします」

「…………」

「どうかしたのですか?」

これが最後だということがわかっていた。

最後の異世界転移で、それはつまりもう二度と女神様と会うことがないということ。

「これから、女神様はどうするんだ?」

「やめてくださいよ、その呼び方は。私はただの人形に過ぎないのですから」

「いや、俺にとってはずっと女神様だよ。女神様がいなかったら、こんな風に俺は魔王と戦えなかった。あのまま俺は死んでいたんだから」

女神様が俺の魂を現世に残し続けてくれた。その恩はどうしたって返せそうにない。

「だから、最後だし言っておきたいんだ」

「えっ?」

「ありがとう。本当に長い間、たくさん世話になった」
422 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:56:03.48 ID:9OC/ch8I0
「いえ、勇者さまもこんな至らない人形と一緒に、よくここまで戦ってくださいました。礼を言うのはこちらの方です」

深々と頭を下げる女神様。

「これから、ですね。どうしましょうか……。勇者さまを見つけて世界を救わせる以外の私の存在意義が、今の自分にはわかりません。それに――」

「それなら、いっそのこと女神様が転生してみたらどうだ?」

「えっ?」

女神様には人を転生させる力がある。それを使って他の誰でもない自分自身のための人生を送ることができたら、それこそこれ以上ない存在意義になるだろう。

「何なら俺たちのいる世界に来たらどうだ? きっと楽しいと思うぞ」

「……そうですね。そういうのも、悪くないかもしれません」

「?」

一瞬表情が曇ったように見えたが、女神様はそう言って笑った。

「めが――」

「さぁ、いつまでここで油を売っているつもりですか? 助けるのでしょう? そのために今まで頑張ってきたのでしょう?」

その声は優しくも強い意志を感じて、それ以上何も口にできなかった。

「……ああ!」
423 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:56:51.26 ID:9OC/ch8I0
「転移魔法(フィラー)」

女神様が呪文を唱える。飽きるほど聞いたこの声も、この感触も、これが最後だと思うと名残惜しく感じた。

二度とこの場所の風景を見ることはないのだ。

俺の体がバラバラになっていく。少しずつ、この世界から消えていく。

「向こうで、彼女にこう伝えてください」

ほとんど消えかかった時、突然女神様の口が開いた。

「私を作ってくれて、ありがとうって」

何か言おうとした。

けど、そのための口がもうなかった。

俺が完全にこの世界から消滅する寸前、最後に見えたものは穏やかで、しかしどこか泣きそうにも見える女神様の笑顔だった。
424 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:57:18.92 ID:9OC/ch8I0
――

――――

「さて、と」

尋常でない魔力の瘴気に、背筋が震え上がるようだった。これだけの魔力を、この魔王は至る場所から吸収し、溜め込んでいたのだ。

しかしそれが放出された今、この世界でも俺は魔法をいつも通り、いや、それ以上に使うことができる。

「じゃあ、行ってくる」

後ろにいる彼女にそう伝える。ここに来てすぐに最上級の回復魔法を使ったおかげで傷こそないものの、衣服がボロボロに破けていたり髪はグシャグシャになっていたりと、見ていて痛々しかった。

「うん。あなたなら、きっと倒せるよ」

「ああ」

飛行魔法で山の頂上と同じ高さまで一気に上昇する。

禍々しく重い瘴気が周辺に充満しているせいで、呼吸することすら苦痛に感じられるほどだ。

紫と黒の入り混じった光の中に、一際強い魔力を感じる。あれがこの魔王の中枢なのだ。

「やっと会えたな」

俺が108の世界で戦ったせいで生まれた、魔王の怨恨の塊。

最早、魔王なんて呼ぶべきではないのだろう。

これは『世界の憎しみ』そのものだ。
425 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:57:57.59 ID:9OC/ch8I0
魔法で強化された剣を構える。そこに俺の全ての魔力を注ぎ込む。

これを倒す、いや消滅させるためには、こいつが自らを守る結界以上の破壊力を以て、一気に叩く他ない。

だから、そのための準備をしてきた。

一気に魔力を一点に集中させるための魔法。それをさらに倍以上に高める魔法。

そして、それにこの肉体を耐えさせるための守護魔法。

つまりは、一点集中型で、この戦いにしか役に立たないと言ったのは、その一瞬以降においては俺は普通の人間以下にまで弱体化してしまうからだ。

他の世界だったら、この方法で魔王を倒したとしても、その後に他の魔物に簡単に捻り潰されてしまうだろう。

「覚悟は、いいな」

自分の中の魔力が、それ以外の力の全ても、最高潮にまで高まったのを感じる。

これで、終わる。

何千年にも及んだ俺と魔王との戦いに、終止符が打たれる。

俺が狙いを定める中枢が、大きな雄叫びを上げた。もしかしたら、俺という存在を覚えているのかもしれない。

「いくぞっ!」

構えた剣を一気に振り下ろすと、強烈な閃光が空を走った。反動で自分まで吹き飛びそうになるのをどうにか堪えて、今の自分が持てる力の全てを放つ。

向こうの結界が弾き返す。しかしなおも俺の剣からは膨大な魔力が放出され、そこにドデカい穴を空けようとしている。

「うぉぉぉぉおおおおおおおおっっ!!!」

結界にヒビが入る音。あと少しだ。あれさえ割れれば、あとは――!

その次の瞬間――!

「……あれ?」

全身の力が、ふっと抜けた。
426 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:58:24.02 ID:9OC/ch8I0
「嘘、だろ……」

力が、入らない。

まだ向こうの結界は、ヒビだらけになりながらも、その形を保っている。

俺の魔力が足りなかったのだ。

最早飛行魔法すら使えず、視界がゆっくりと下降していく。手を伸ばすことすら、かなわない。

「そんな……っ」

あと少し、ほんの少しだけなのに……。

落ちていく。俺の体が空から地面へと、どんどん落ちていく。

「く……っ、そぉ……っ!」

『勇者さま!』
427 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 01:59:59.25 ID:9OC/ch8I0
「えっ?」

声が聞こえたと思うと、上下が逆転したかのような感覚に陥った。まるで、時間が止まってしまったかのように、全てがゆっくりに感じられた。

「女神、様……?」

『私が存在するためのエネルギーを勇者さまに与えました。これで結界を壊してください』

「存在って、それじゃ女神様は……!?」

『もちろん消えてしまうわけですが……。でも、いいんです。これで』

「いいわけ――」

『元々、私は世界に干渉できませんから』

「干渉、できない……?」

意味がわからない。女神様は俺と一緒にいろんな魔王と――。

「……!」

いや、思い出せ。最初に女神様に会ったときに、何て言っていた?
428 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:00:27.84 ID:9OC/ch8I0
――どうして、あなたがそうしないんだ?

――……できないのです。

――できない?

――先程申した通り、私にできることは限られています。私という存在が関わることのできる事象が、ほとんどないと言って等しい。

――理由は自分でもわからないのですが、こうしてあなたと接触できたことが、奇跡と言ってもいいのです。

あの時にも、女神様は同じことを言っていたじゃないか。

どうして、今の今まで忘れていたのか。

『そうです。その理由も、今となってはあたりまえのことだったんですよ』

「あたりまえって……?」

『彼女は、祠に残ったあなたの力を使ってこの世界を結界に、自分の中に閉じこめました』
429 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:01:23.49 ID:9OC/ch8I0
『そして人としての理を破った彼女は、世界との繋がりが勇者さま以外とは切れてしまったのです。今はもう人に戻っているようなので、心配ないでしょうけど』

「だから、女神様も……」

『その通りです。彼女の創作物である私も、勇者さま以外の世界に触れることは、できないのです。たとえ、彼女が人に戻ったとしても、私という存在が世界から切り離されていることには、変わりありませんから』

「そんな……っ」

『だから、これでいいんですよ。勇者さまのために、彼女のために、命をくれた二人のために、この命を使えるのですから』

なんて無神経だったのだろうか、俺は。

――何なら俺たちのいる世界に来たらどうだ? きっと楽しいと思うぞ。

頭の中で自分の言った言葉が何度も繰り返される。

女神様はきっとわかっていた。自分がこの先、ずっと一人であの世界に残る未来を。

それなのに女神様は、俺のために笑ってくれたんだ。
430 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:02:05.20 ID:9OC/ch8I0
『……もしも、二人と同じ世界に生まれることができたら、きっと楽しかったんでしょうね』

訪れるはずのない未来に、思いを馳せる声。

『それを勇者さまが提案してくれたこと、本当に嬉しかったですよ』

「えっ……?」

『だって、私がいる世界を勇者さまは望んでくれた』

『ただの人形に過ぎない私を、勇者さまは一人の人間として見てくれた』

いつの間にか、全身の体力と魔力が、半分以上も回復していたことに気づく。

それは、とどのつまり女神様が、自らの存在を俺に分け与えたことのこれ以上ない証左だった。
431 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:03:58.13 ID:9OC/ch8I0
『勇者さま』

「…………」

何も声にならなかった。何て言えばいいのか、わからなかった。

『最後、別れるときの挨拶をしていませんでしたね。忘れていました』

クスッと笑い声が聞こえる。胸が痛くて仕方ないのに、俺も少しだけ笑えた。

『さよなら、勇者さま』

「……さよなら、女神様」

姿は見えなかったけれど、安心するように微笑んだのが見えたような気がした。
432 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:04:36.79 ID:9OC/ch8I0
――

――――

音が戻ってくる。風景に色彩が戻る。

俺は今もなお落ち続けていて、涙が上に向かって流れていく。

魔力がみなぎってくる感覚が、その人が存在していたただ一つの痕跡だった。

「女神様……。その命、絶対に無駄にしない……!」

飛行魔法を唱え、一気に空へと上っていく。流した涙を追い越し、さらにその先まで。

長い時間が過ぎたように感じていたが、実際に流れたのはほんの数秒ほどだろう。まだ結界はほとんど修復されていない。

これ以上、余計な時間をかけてはいられない。

「今度こそっ!」

まだ微かに剣に魔力が残っているおかげで、集中はすぐに完了し、一気に放った。

突然の俺の復帰を予測していなかったらしく、結界は一瞬でバラバラに砕け散った。

「おおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおっっっ!!!」

もう一度同じだけの結界を張るよりも、俺が中枢に剣を突き刺すほうが早かった。
433 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:05:55.41 ID:9OC/ch8I0
剣を通して残った魔力をありったけ注ぎ込むと、中から真っ白な光が溢れ出てくる。

俺の魔力とこいつの中の魔力が混ざり合い、連鎖反応的に自分自身を破壊していく。

もう、崩壊するのは時間の問題だ。

このままここにいても、崩壊に巻き込まれるだけで、もうこの場に留まる理由はない。

「くぅっ!」

残った力で後ろへと、空中へと飛び退く。

俺の体は落ちながら、どんどんそこから遠のいていく。

中枢から次から次へと、ボロボロと崩れ落ちていく光景が、遠くに見えた。

「これで……やっと」

急速に遠くなっていく光景が、徐々に薄れていく。

「あ、れ……、見えないや……」

視界がぼんやりとボケていって、段々と暗くなっていって、やがて何も見えなくなった。
434 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:06:33.97 ID:9OC/ch8I0
――

――――

「……! …………ぶ!?」

誰かの、声が聞こえた。

どうしてか、それに自分は安らぎを覚えて、そのままもう一度眠ってしまいそうになる。

「ねぇ……! ねぇってば……!」

ポツリ。

あたたかいような冷たいような、よくわからないものが自分の頬に落ちてきた。

これは、涙だ。

ゆっくりと目を開くと、よく知っている顔が目の前にあった。その表情がひどく歪んでいて、申し訳なくなる。

ああ、違うんだよ。そんな顔をさせたくなくて、今まで頑張ってきたんだ。

だから、どうか。

「泣かないで、くれよ」
435 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:07:28.31 ID:9OC/ch8I0
彼女の目がハッとなって俺を見る。涙で潤んだ瞳がすごく綺麗だった。

「い、生きてるの……?」

「ああ……」

自分の手を動かしてみる。ひどく全身が重くて、体が自分のものじゃないみたいだ。

けれど、動かないことはない。ただ、少し疲れているんだろう。

「そう、みたいだ」

「よかった……、よかったよ……!」

またいくつも涙が俺の顔にこぼれ落ちてくる。鉛のように重い腕をどうにか持ち上げて、彼女の頭に乗せた。

ああ、生きている。

彼女もまた、今この瞬間に、この場所で生きているんだ。

なんだかまだ実感が湧かないけれど、それでも嬉しくてたまらなくて、胸の中が熱くなる。

「やっと、助けられた……」
436 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:10:33.89 ID:9OC/ch8I0
少しずつ空が白み始める。夜が終わり、朝がやってくるのだ。

さすがにあれだけのことがあったせいか、鳥の声も虫の音もしないが、吹き抜ける風が微かに熱を帯びているのを感じた。今の季節は――。

――じゃあ、何年か先の夏で、また。

――うん。また……。

いつかの約束が頭の中にふっと思い浮かんだ。

「ちゃんと、約束守れたんだな」

「うん……。そうだよ」

泣き声の入り交じる彼女は、そう言ってうなずく。泣いているけど、笑っている。

「おかえりなさい」

懐かしい、太陽のように眩しい彼女の笑顔が、そこにあった。

なら、俺はこう返そう。ちゃんと彼女の元に帰ってきたことを伝えるために。

「ああ。ただいま」



おわり
437 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:11:35.67 ID:9OC/ch8I0
Cradle Song For The Two
https://youtu.be/8xWccvsuhuc

このSSのエンディングテーマです。
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 02:12:46.73 ID:dHoGLaCpo
おつ
面白かったよ
439 : ◆Rr2eGqX0mVTq [saga]:2018/08/01(水) 02:14:42.38 ID:9OC/ch8I0
このような拙い作品に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 06:52:28.52 ID:UjURNjs7O
蘭子「混沌電波第178幕!(ちゃおラジ第178回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532984119/
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 12:48:09.05 ID:ltsQiCm7O
おもしろかったで
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 12:57:33.02 ID:iyIIrTt6o
途中まではいい雰囲気だったのに唐突に世界消滅とか超展開入って
よくわからなくなっちゃったな。女神様は何故生まれてきたのかよくわからなかったし

まあ乙
443 : ◆Rr2eGqX0mVTq [sage]:2018/08/01(水) 15:28:09.77 ID:2fhYqiFOo
>>442
牢獄の空間に閉じ込められた少女が、外の世界に干渉するためです。
しかし少女自身は、滅びる寸前の世界の時間を止め続けるために、牢獄の中にいなければなりません。
勇者に世界を救わせるために、人形に人格と魔翌力(祈り)を与えた結果、女神が生まれました。
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/03(金) 20:51:18.53 ID:WjZhllXMo
更に女神が転生して少女になるのかと
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/03(金) 22:27:32.74 ID:wxEyzqPHo
>>444
おいらは勇者と少女の娘になると思ってた
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/07(火) 02:18:17.38 ID:ewnOXk4do
凄く良かった
また会えるといいな
おつおつ
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