江ノ島「明日に絶望しろ!未来に絶望しろ!」戦刃「…終わりだよ、ドクターK!」カルテ.8

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136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 00:17:32.10 ID:N+a8tDxn0
乙です、見てるよー

セレス覚醒は予想外
137 : ◆takaJZRsBc [sage]:2019/05/07(火) 00:32:28.38 ID:b+u6acSc0
>>136
五回も自由行動で会ってるし、評価が高いからですね
恋愛フラグが立つことで覚醒フラグも同時に立つという条件でした
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 02:33:59.29 ID:xOUUIFerO
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 04:27:11.46 ID:+r6a+w7jO
んほおおおおおおお!!!この反撃ムードたまんねえ…
しかしあれだな、それなりに説得力ある理由付けしてるとはいえ妹様が残姉を馬鹿に出来ない状態に…www
語彙力皆無の残姉かわいいよ残姉
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 01:47:46.89 ID:SC028loMo
江ノ島って無印の時点では割りとショボいしね。苗木殺そうとして失敗するわ裁判でズルするわで
やっぱ寝不足で疲れてたのかな。昔見た江ノ島の一日みたいなコピペが面白かった
141 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 18:24:25.10 ID:cJwNmxg60


 ― 赤い扉組 ―


苗木「ここが例の壁だね?」

朝日奈「気付かなかったけど、言われてみたら少し色が違うね」

大和田「爆薬の使い方わかるか?」

苗木「壁の真ん中に貼り付けて、伸ばした導火線に火を点ければいいって」

朝日奈「なんだかドキドキするね!」

苗木「壁を破壊する用だから結構威力が強いみたいだよ。僕達は部屋の外にいよう」


三人は赤い扉を閉め、下からはみ出している導火線に火を点けた。


朝日奈「わっわっ!」

大和田「もっと離れた方がいいんじゃねえか?」


ドンッ!

爆発音と共に、壁が崩れる音がする。三人は恐る恐る中を覗き込んだ。


朝日奈「すごーい! 穴が空いてる!」

苗木「綺麗に壁だけ吹き飛んだみたいだ」

大和田「流石にここまで来ると先公の見立ての良さにビビるぜ……」


壁の向こうには階段があった。残念ながら上り階段はなく、地下へと延々続く階段がある。

142 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 18:33:07.24 ID:cJwNmxg60

苗木「中はやっぱり階段だね。二人共、足元に気をつけて」

朝日奈「階段には監視カメラもないみたい。ガレキで転ばないようにしないとね」

大和田「……深いな。地下何階まであんだよ」

苗木「慎重に行こうって言いたい所だけど時間がないから急ごう」


幸い電気が通っていたので足元が見えないということはなく、少し暗い階段を下っていく。


朝日奈「あ、扉だ」


少し進むと階段の途中に扉がある。


苗木「本当だ。……あ、鍵がかかってる」

大和田「どけ。この程度のドアなら……おりゃあっ!」


大和田が一撃で扉を蹴破った。


朝日奈「やるじゃん! さすが!」

大和田「へへっ、俺はこのために来たんだからな。力技は任せろ」

苗木「中は……研究室か何かかな?」


部屋には整然と並んだデスクとパソコン。それに何だかよくわからない機械があった。
苗木は手近な机にあったファイルを手に取り開いてみる。


苗木「『才能実験17』……。何十年も前のかなり古いデータみたいだ」

143 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 18:35:19.45 ID:cJwNmxg60

朝日奈「流石にこの頃の人はほとんど知らないね」ヒョイ

大和田「こっちも似たようなもんだな。武器になりそうなもんはあるか?」

苗木「うーん。引き出しには鍵がかかってるし、そもそもこんな場所にはなさそうだね」

大和田「時間がねえ。俺達が今必要なのは出口か武器だ。ここは飛ばして行くぞ」

苗木「時間があればアルターエゴでパソコンの中を調べられたかもしれないけど難しいね」

朝日奈「大和田の言う通りだよ。行こう」


彼等は再び階段に戻る。途中でまた扉があったので二つ破壊して中を覗いたが、
同じような研究室だった。これ以上見ても時間の無駄という結論になり、彼等は
ひたすら階段を下って行く。自然と雑談が始まった。


朝日奈「何なんだろうね、ここ……」

苗木「希望ヶ峰は才能開発って言って、生徒の才能を分析したり伸ばす研究をしていたから
    ここはそのための研究棟だったんだと想う」

大和田「じゃあやっぱ希望ヶ峰なのか」

苗木「関連施設なのは間違いないと思う」


しかし、考えるのは苦手だが勘の鋭い朝日奈は違和感に気付いていた。


朝日奈「……何でこんな地下に作る必要あったんだろ?」

苗木「え?」

朝日奈「普通建物って地上に作るよね? 地下だと窓もないし息苦しいし」

苗木「確かに……変だね」

144 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 18:51:31.45 ID:cJwNmxg60

大和田「地下に建てた方が安上がりなんじゃねえのか?」

朝日奈「ええー、だったらみんな地下に作らない? 大都市ってどこもビルだらけだよ?」

苗木「日本の地下は地下水や温泉もあるし都市部なら地下鉄もあるから、
    むしろ地下に作る方が許可とか手続きとか大変なんじゃないかな?」

大和田「あー、そういうもんなのか」

朝日奈「こんな深い建物って初めて。こんなに潜るのって地下鉄くらいじゃない?」

苗木「僕は地方出身だからよくわからないけど、確かに深いね」

大和田「なんか地上じゃ都合が悪いことがあるのかもな」

苗木「都合が悪いこと?」

大和田「ほら……あれだ。日光に当たったらまずいとか」

苗木「あー、それならおかしくないかもね」

朝日奈「でも十階以上もいるのかな? もうそのくらい下がってるよね?」

大和田「……なんか、まずい実験でもしてたりしてな」

苗木「まずい実験?」

大和田「いや、そういう映画見たことあるからよ。ホラー映画で、地下の研究所から
     ウイルスが漏れて騒ぎになるみたいな」

朝日奈「案外、当たってたりして」

苗木「でも希望ヶ峰が何でそんなことするんだろ……」

朝日奈「あ、希望ヶ峰じゃなくて江ノ島盾子が作ったのかも!」

苗木「それはないと思う。江ノ島盾子って僕らと同じくらいの歳のはずだし。
    床とか階段の手すりとか、結構年数が経ってるように見えるね」

大和田「じゃあ、江ノ島がここを乗っ取ったってのは間違いねえか」

145 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:01:13.67 ID:cJwNmxg60

朝日奈「そもそもどうやって組織とか作ったんだろう? 先生は天才とかカリスマで片付けてたけど」

大和田「まあ、普通じゃありえねえけどスーパー超人の先公を見てるからなぁ……
     あのレベルの天才なら数年で組織とか作れちまうのかもしれねえな」

苗木・朝日奈「確かに……」


 ― 調理室組 ―


ドン!


十神「上手く行ったようだな」

霧切「流石の江ノ島盾子も爆破は想定外だったんでしょうね」

桑田「よし、行くか」


調理室の床を開ける。そこには壁に取り付けられた梯子がある。
片手を負傷している桑田は険しい顔になった。


桑田「うげ! ハシゴかよ……」

十神「朝日奈とチェンジするか?」

桑田「いや、もう行っちまっただろ」

霧切「待って。ハシゴということは、ここから食品を搬送していたとは思えない……」

十神「……あの壁が怪しいな。そこの、何もない所だ」

霧切「予備の爆薬で爆破してみましょう」

桑田「え、マジで?」


再び爆薬をセットして、発破する。すると、予想通り隠し通路を発見した。

146 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:06:06.18 ID:cJwNmxg60

桑田「ひゃー……ドンピシャじゃねーか」

十神「やはりな」

霧切「先にこっちを調べましょう。いきなり監視カメラがある可能性が高いわね。桑田君」

桑田「おう、任せろ」


隠し通路を進み扉を発見する。そっと開いて霧切が中を覗き込んだ。


霧切「……あったわ。この隙間から投げることって出来る?」

桑田「大丈夫だ。この距離なら余裕だぜ」


桑田は左手でボールを握ると、全力で投げた。狙い違わず、硬球は監視カメラに直撃する。


桑田「やりぃ! ストライクッ!」

霧切「この調子で行きましょう」


桑田がカメラを破壊し、三人は隠し通路を進んだ。


十神「食費搬入路はほぼここと見て問題ないな」

霧切「そうね。あれは……!」

桑田「出口じゃね?」


三人は通路の奥に扉を見付けた。頑丈な鉄の扉だ。玄関にあったものと似ている。


十神「これは……壊せるか微妙だな」

霧切「……そうね。引き返しましょう」

147 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:11:33.35 ID:cJwNmxg60


調理室に引き返すと、三人は改めて地下への入口の前に立つ。


桑田「あー、なんとか片手だけで降りられねーかな……」

霧切「やめなさい。この高さから落ちたら即死よ」

十神「とりあえず俺と霧切で行ける所まで行く。重要そうな場所なら後で朝日奈を連れて行けばいい」

桑田「わりーな……」

霧切「気にすることはないわ。桑田君は散々役に立ってるもの。今は休んでいて頂戴」

桑田「じゃあ、俺はここで見張っとくわ」

十神「行くぞ」

霧切「! 待って。私から行くわ」

十神「それだと万一落ちても助けられんぞ」

霧切「そんなヘマはしないから大丈夫よ」

十神「なら好きにしろ」

桑田(結構鈍いのな、こいつ)


桑田は霧切のスカートを見ながら察した。霧切が先陣を切り、二人は地下へ下って行く。


霧切「……監視カメラがないわね」

十神「本来生徒が立ち入らないはずの食品搬入路にカメラがあったことからして、
    ここはさほど重要ではないのだろう」

霧切「警戒していないからこそ隙があるかもしれないわね」

十神「そうだな」

148 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:15:43.37 ID:cJwNmxg60


二人は下に降りるにつれ息苦しさを覚えた。


十神「おい……なんだか臭わないか?」

霧切「そうね。恐らくはゴミの臭い……」


地下に降り立つと二人は扉を見付けたが、あいにく鍵がかかっていた。
だが、開けずとも何の部屋なのかは扉を見ればわかる。


霧切「『ゴミ収集室』……」

十神「ゴミ捨て場か……」

霧切「こちらは収穫がなさそうね。……もしかしたら、この建物の地下は深すぎるのかもしれない」

十神「どういうことだ?」

霧切「地下道よりも下に建物がある場合、下水はポンプで汲み上げて地下道に流すのよ。
    こちら側は浅いかもしれないと期待していたけど、どうやら地下は無理ね」

十神「そうするとどうなる? 八方塞がりだぞ」


霧切は顎に手を当てて思案する。


霧切「密閉空間なら必ずそれなりの大きさの通気孔があるはずよ。ただ……」

十神「山田と大神と西城だな。あの三人は無理だ。やはり戦うしかなさそうだが」

霧切「江ノ島盾子がどの程度準備しているか……。負傷しているとはいえ向こうには
    まだ超高校級の軍人もいる」

十神「考えるのは後だ。とりあえず戻るぞ」

149 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:18:33.95 ID:cJwNmxg60


               ◇     ◇     ◇


朝日奈「やっと着いたー!」

苗木「ハァ……長かった」

大和田「バテてる場合じゃねえぞ、苗木。帰りはまたこれを登らねえといけねえんだからな……」

苗木「うわぁ……」


三人は深い深い地下へ潜りとうとう最深部に到着した。意外にも女の朝日奈が一番余力がある。
恐らく体育系の才能を持ち、監禁されてからもトレーニングを欠かさなかったからだろう。


朝日奈「早く調査して戻らないと」

苗木「あ、朝日奈さん。監視カメラに気を付けて!」

朝日奈「スリングショットの出番だね! 狙いを定めて〜」


ガシャンッ!


大和田「おお、上手いじゃねえか」

朝日奈「やった! ガンガン行くよ!」


監視カメラを破壊しながら彼等は中の調査をしていく。


大和田「クソッ、入れねえ所があるな」

苗木「時間がないから、調べられる所を優先的に見て行こう」


早速彼等は小道具の置かれている部屋を発見した。

150 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:20:25.21 ID:cJwNmxg60


ほとんどは雰囲気作りのための張りぼてだが、一部危険なものもある。


苗木「うわ、大きなトラバサミ……」

大和田「それで挟まれたらタダじゃすまねえな。触るんじゃねえぞ。……お、これなんだ?!」

朝日奈「機関銃?!」

苗木「いや、物騒な見た目だけどピッチングマシーンみたいだ。野球ボールが入ってる」

大和田「なんだよ、期待させやがって」

朝日奈「……これ、なんのケースだろう?」


机の上にあった黒い長方形のケースを朝日奈は開けた。


朝日奈「! ねえ、見て! これ銃だよね?!」

大和田「おおお! やったぜ!」

苗木「スナイパーライフルってやつかな」

大和田「他になんかねえか?!」

苗木「ねえ! あれって……」


               ◇     ◇     ◇


桑田「ちぇっ、収穫なしかぁ」

霧切「まだそうと決まった訳じゃないわ。苗木君達が何か見つけているかもしれない」

十神「元々黒幕を放置して脱出するというのが気に食わなかったんだ」

桑田「あ、そうだ。赤い扉の地下ってどうなってるんだろうな?」

151 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:22:03.97 ID:cJwNmxg60

霧切「今から行っても入れ違いの可能性があるわよ」

桑田「まあ、覗くだけだって」


彼等は食堂からの帰り道にある赤い扉の中を覗いた。


桑田「おー、見事にぶっ壊れてんな」

十神「時間の無駄だ。さっさと戻るぞ」

霧切「……待って。何か聞こえる」

桑田「あ、本当だ。なんだ?」


ブロロロロロ……


霧切「……エンジン音?」


「うおらあああああああっ!!」


桑田「ハァッ?!」

十神「何だ?!」

霧切「何か来るわ! 下がって!」


三人は慌てて廊下に撤退する。ほぼ同時に、階段から巨大な影が飛び出してきた。


大和田「よっしゃあ! 着いたぜ!」

朝日奈「はやーい!」

苗木「ハハ……助かった」


現れたのは――

なんと、大型の改造バイクを操る大和田とタンデムシートに座る朝日奈、
そして後ろにしがみついている苗木であった!

152 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/06/15(土) 19:23:16.60 ID:cJwNmxg60

ここまで。

そろそろ反撃か?

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 19:36:53.00 ID:dDNUpBZZO
久しぶりに見たけれどやっぱオモシロイわ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/21(金) 19:50:13.50 ID:hACrDnop0
超応援してる
みんな団結してからが本番だよね……
個人的に十神くんの覚醒が楽しみ!!
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/26(水) 03:58:32.23 ID:vhkfkR6A0
他のキャラが覚醒した時の肩書きが思いつかない

苗木→希望
大和田→総長?
不二咲 
山田 
石丸 
葉隠 
十神

舞園 
霧切 
大神→武神? 
朝日奈 
腐川
ジェノ

安直だけど苗木が超高校級の希望になるくらいしか自信が無い
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/30(日) 12:05:26.27 ID:CfRKm1sB0
たまたま本屋でドクターK見かけて読んだけど面白いな
しかも隣の棚にダンロンのアンソロコミックがいっぱいあってこのスレ民をピンポイントで狙ってるのかと思ったわwwwwww
てかKはブラックジャックよりのイケメンだと思ってたのに絵柄がすっごいジョジョっぽくてびっくりした
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/12(金) 00:29:36.17 ID:c82MjJiGO
ドラロンパが次回完結と聞いてこっちを1から読み返してみた
始まったの2013年10月20日か…時の流れは早いもんだ
ちなみに今現在までで約6年9ヵ月経過、つまり69…あ、シモネタじゃないですよ!?シモネタじゃないんですってば!
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/13(土) 15:29:14.10 ID:5iWxPNfeO
花村落ち着けwww
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/16(火) 05:21:52.98 ID:3V02kC7vO
尻ass展開でナニイッてんだ
160 : ◆takaJZRsBc [sage]:2019/08/11(日) 00:50:27.69 ID:1BugY+gB0

一応こっちにも書いておこう。無事、[たぬき]の方が完結しました。

次からはこちらに注力できます。お待たせしてすみませんでした。

よろしくお願いします。


[たぬき]「ダンガンロンパ?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515331445/

161 : ◆takaJZRsBc [sage saga]:2019/08/11(日) 01:23:42.36 ID:1BugY+gB0

フィルターェ……完結に浮かれてすっかり存在を忘れていた
掲示板のバグも直したんだし、このしょうもない変換も直してくれればいいのに


無事、ドラえもんの方が完結しました。

ドラえもん「ダンガンロンパ?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515331445/
162 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 22:41:30.51 ID:hWzECiIx0

苗木(怖かった……死ぬかと思った)

桑田「大和田じゃん! どうしたんだよ、それ?!」

大和田「おお、オメエら! ちょうどいい所に! 見てくれよ、俺の愛機!」

十神「なんでこんな場所にバイクが……」

霧切「地下にあったの?」

大和田「おうよ! 長い階段もこいつで一気に上ってきたぜ!」

朝日奈「すごいよね! あんな急な階段をバイクで上って行くって言うんだもん! 驚いちゃった!」

苗木「壁に衝突するんじゃないかと思って気が気じゃなかったけどね……」

桑田「すっげーじゃん! さすが超高校級の暴走族!」

十神「これは使えるな。でかした!」

大和田「まだあるぜ!」

朝日奈「保健室に戻ってからのお楽しみ!」



 ― 保健室 ―


戻ってきた生徒はそれぞれ情報を共有し、戦利品を見せた。


K「よくやった!」

舞園「霧切さんのお陰ですね!」

霧切「セレスさんがスリングショットを引き当ててくれたからよ。私は調理室を本命にしていたから」

セレス「お役に立てて何よりですわ」

163 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 22:50:38.67 ID:hWzECiIx0

山田「セレス殿が珍しく謙虚だと……?!」

葉隠「で、そっちのケースはなんなんだべ?」

朝日奈「じゃーん! 銃だよ!」


「おおー!」


K「これは、スナイパーライフルか!」

不二咲「すごい!」

腐川「これで江ノ島を狙撃すれば……」

K「……いや、それは難しいだろう。ここは屋内だ。それに、全員銃は素人だからな」

十神「普通の銃ならアメリカで散々撃ったが、流石にスナイパーライフルはないな……」

K「十神以外で、銃を触ったことのある人間はいるか?」

霧切「私は扱えるわ」

K「よし。なら、女の霧切が持っていた方がいいだろう。と言っても、
  使い所を間違えたらかえって危険だ。ここぞという時に使うように」

霧切「わかったわ」

K「……さて、とりあえず一通りカードは揃った訳だが」

不二咲「いよいよ決めないといけないんだねぇ……」

石丸「僕達が選ばないといけないのか……」

苗木「…………」

164 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 23:01:11.27 ID:hWzECiIx0

苗木(僕達が現在提示されている選択肢は3つ。一つは江ノ島が潜伏していると思われる情報処理室。
    ニつ目は、クラッキングを仕掛けるための男子トイレの隠し部屋)

苗木(最後は学園長室だ。でも、ここはほとんど期待出来ないと言われている――)

舞園「決められません……もし失敗したら先生が……」

十神「何か、シールドになるものはないか? それを盾に突っ込めば……」

霧切「戦刃むくろさえいなければ、それでなんとかなったかもしれない。でも……」

葉隠「やっぱり、ここは占いでだな……」

腐川「占いなんかで決められる訳ないでしょ!」

セレス「――ギャンブルはまだ終わっていませんわ」


セレスが前に進み出た。その目には未だ消えない闘志が燃えている。


桑田「お、セレス?」

大和田「なんかいい案浮かんだのか?」

セレス「わたくし、自分でもわからないのですが今日はなんだか最高にツイている気がするのです。
     けれど、先生の命が懸かっているのにわたくし一人ではまだ不安があります」

山田「えーっと、つまりどういうことです?」

セレス「苗木君」

苗木「えっ、僕?」

セレス「このトランプを一枚引いてくれませんか?」

朝日奈「こんな時に遊んでる場合じゃ……」

セレス「ジョーカーが出たら情報処理室、スペードのエースが出たら隠し部屋、
     ハートのクイーンが出たら学園長室に行きましょう」

165 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 23:04:53.46 ID:hWzECiIx0

石丸「カ、カカカ、カードで決めるのか?! 僕達の運命を?!」

セレス「どれを選んでも失敗したら結局後悔するのです。だったらカードで決めても同じでは?」

桑田「でもな……」

苗木「ど、どうして僕? むしろ、これは先生が引くべきじゃ……」

K「引いてくれ、苗木」

苗木「え?」

K「安広は自分の才能を信じているのと同じように、お前の才能を信じているんだろう」

霧切「! 苗木君は超高校級の幸運だからね?」

セレス「わたくしの予想が正しいのならば、きっとわたくしと同じ結論に辿り着くはずです」

十神「とっとと引け。今は一分一秒を争うんだぞ」

苗木「みんな……本当に僕で、いいの?」

舞園「私は苗木君を信じます。もし駄目だったとしても、それで恨んだりはしないです!」

大和田「運否天賦ってやつか……いいんじゃねえか? 今は験担ぎも必要だろ」

葉隠「じゃあ、どのカードがいいか俺が占って……」

朝日奈「葉隠はちょっと黙っててくれる? 苗木、ガンバレ!」

腐川「いいんじゃないの? なんだかんだあんたって中心にいることも多かったし。一番は先生だけど……」

不二咲「苗木君、引いて!」

苗木「みんな…………。わかった」

石丸「無心がいいぞ! 何も考えないで引くんだ!」

166 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 23:06:32.04 ID:hWzECiIx0

大神「……苗木」

苗木「……………………」


ドックン、ドックン……ドックン、ドックン……

苗木は心臓が早鐘のように打つ音を耳にしながら、ギュッと目をつぶった。
そして目を開けると、額の汗を拭い、一枚のカードを引き抜く。

全員が注目する中、苗木は引いたカードを表に返した。


苗木「結果は……」

セレス「ハートのクイーン! やはり……!」

十神「学園長室だと……?!」

K「安広も学園長室がいいと思ったのか?」

セレス「何の根拠もありませんが。ですので大いなる賭けですわね、これは」

舞園「賭けだからこそ、セレスさんは自信があるということですよね?」

セレス「置いてあるのは江ノ島さんの私物だけの可能性もあります。ですが、
     中にあるのが宝の山かゴミ溜めかは実際に見てみないとわかりませんからね」

霧切「鍵がかかっていた以上、学園長室にも何らかの重要性があるのは間違いないはずよ」

十神「学園長室の中に、江ノ島盾子を倒すための切り札があると?」

山田「武器でも置いてあれば一番なのですがね」

大和田「そういやあ、戦刃は軍人だよな。じゃあ、もしかしたらどこかに
     装備がまるまる隠してあるんじゃねえか?」

桑田「マシンガンとかあれば、機関銃があってもなんとかなんねーかな?!」

167 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 23:08:13.01 ID:hWzECiIx0

K「そうそう都合の良い話があるとは限らんが……」

舞園「武器があっても、また鍵がかかってる可能性もありますしね」

大和田「とにかく行こうぜ。ろくにねえと思われた地下から色々出てきたんだ。
     四階なら広いし、戦いながらでも行けるだろ」

朝日奈「で、でも二階ならまだしも怪我人のさくらちゃんを四階まで運ぶのは……」

大神「我は捨て置け。もう良いのだ、朝日奈」

朝日奈「そんなの出来ないよ!」

大和田「……なあ、先公」


愛機に手を乗せながら、大和田はKAZUYAを見据える。


大和田「さっき、俺に特攻させられないのは俺が力不足だからって言ったよな?」

K「……ああ」

大和田「今こそ俺に行かせてくれよ。今の俺には力がある! こいつで暴れ回れる!!」

大和田「もうダメなんて言わせねえ! 俺は超高校級の暴走族だぞ!!」

K「わかった」

大和田「だから……! って、えっ?」


拍子抜けするほどあっさりと、KAZUYAは首を縦に振った。


K「許可しよう。階段もバイクで登ってきたらしいしな。行けるだろう」

大和田「マジか……てっきりまた難癖つけてくるかと」

168 : ◆takaJZRsBc [sage saga]:2019/08/17(土) 23:13:31.44 ID:hWzECiIx0


KAZUYAはフッと笑って大和田を見る。


K「俺は慎重なだけでお前達の力を信じていない訳じゃないんだ。今のお前なら行けると判断した」

石丸「一人で行く気か、兄弟! このバイクは二人乗りだろうっ?!」

大和田「兄弟、来てくれるか!!」

石丸「当たり前だ! 僕だってやれば出来る所を見せてやるぞ!!」

霧切「素早く部屋を調査するならプロがいるでしょう?」

大和田「霧切!」

霧切「三人までなら大丈夫というのは苗木君が証明しているわ」

苗木「……怖かったけどね。ハハ」

K「作戦はこうだ。大和田、石丸、霧切の三人がバイクに乗って特攻。
  学園長室の中を素早く調査し、そのままこちらに戻ってくる」

K「江ノ島は情報処理室か隠し部屋に行くと思っているはずだ。
  流石に何の攻撃もせずこっちに逃げ帰るとは読んでいないだろう」

葉隠「で、でもよ……もし何もなかったらどうすんだ?」

K「何もなかったら何もないという情報が手に入る。俺達にとって無駄な情報など何一つない」

十神「待っている間に情報処理室突入の準備を整えればいい。大和田が特攻したら
    江ノ島のこちらに対する注意はなくなる。要は先程と同じチーム分けだ」

山田「残ったチームはどうしますか?」

K「大和田達が江ノ島の気を引いてくれるなら俺も動ける。気になっていた、寄宿舎側の
  階段を封鎖せねばならん。苗木、舞園、葉隠、十神は倉庫に道具を取りに行ってくれ。
  朝日奈、お前は異常があったら寄宿舎まで俺達を呼びに来るんだ。いいな?」

K「腐川はいざとなったら翔に代わって時間稼ぎを頼む」

腐川「わ、わかったわ。あいつに頼むのは癪だけど任せてちょうだい……」

169 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 23:15:46.55 ID:hWzECiIx0

舞園「階段が二つに赤い扉……思えば三箇所も侵入経路があったなんて、危なかったですね……」

K「逆に、江ノ島の中ではまだゲームが続いている証だ。
  本気で殲滅する気だったらとっくのとうに攻めてきている」

苗木「モノクマの数が足りないってことはないかな? 少人数ならなんとかなるけど、
    みんなでまとまっていたら手が出せないとか」

K「だったら有り難いが、俺達にそれを把握する手段はない。それに、江ノ島は外部と
  連絡が可能なのだから、決戦に備えてモノクマを増員しているかもしれんぞ」

葉隠「ヒィィ、勘弁してくれって」

不二咲「常に最悪のことを予想しないと、江ノ島さんには勝てないんだね……」

K「そうだ。ヤツは強敵だ。恐らく、今までに俺が出会った誰よりもな」

セレス「準備は出来ましたか?」

大和田「おうよ!」


霧切は爆薬といくつかの武器、石丸は刀、大和田は何故か道路標識を持っている。


苗木「……えっと、なんで道路標識?」

大和田「モノクマはかてえからな。それに、これが一番馴染みがあるんだよ」ニヤッ

苗木(深く聞かないでおこう)

K「よし、健闘を祈る。いいな? 絶対に無理はするな。必ず帰ってこい!」

大和田「行くぜ! おらあああああああ!!!」

石丸「行って参りまあああす!!」

霧切「そっちも気を付けて!」


爆音を上げながら、大和田のバイクは保健室から飛び出して行った。

170 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/08/17(土) 23:52:08.02 ID:hWzECiIx0

ここまで。

もうすぐ重大な分岐来ます。そしたらとりあえずやっと正規エンドの一つ迎えられる……

171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 06:35:44.83 ID:sMj8Jvvv0
乙!いよいよこのスレも終わりに近づいてるんだなあ・・・最初期から見てた身としてはとても感慨深い物がある
>>157を見て計算してみたけど5年9ヶ月じゃないかな?今後の更新ペースを考えると6年経過でエンディング1つくらいになるのかな?
172 : ◆takaJZRsBc [sage saga]:2019/08/20(火) 00:02:06.61 ID:6Hc3gran0
>>171
ありがとうございます、ありがとうございます……
頭が上がりませぬ。応援してくれる皆様のためにもなんとか完走させます

次回、本当ならエンディング分岐の安価があるはずだったのですが
人数そんなにいないし、なしでいいですかね?

絶女で言うところの壊す、壊さないに該当するあからさまな選択肢で
自分はこまめにセーブ派なので速攻壊したのですが……
173 : ◆takaJZRsBc [sage saga]:2019/08/20(火) 00:22:19.34 ID:6Hc3gran0
>>171
ありがとうございます、ありがとうございます……
頭が上がりませぬ。応援してくれる皆様のためにもなんとか完走させます

次回、本当ならエンディング分岐の安価があるはずだったのですが
人数そんなにいないし、なしでいいですかね?

絶女で言うところの壊す、壊さないに該当するあからさまな選択肢で
自分はこまめにセーブ派なので速攻壊したのですが……
174 : ◆takaJZRsBc [sage saga]:2019/08/20(火) 00:23:37.69 ID:6Hc3gran0

あ、読み込んでなくて二重投稿してしまった……スミマセン

掲示板だと消せないから不便
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/20(火) 05:20:11.93 ID:8Y1AJnAQO
ぶっちゃけエンディングとifルートは全部見たい派なんで選択肢は任せます
というより人がいないような感じがするのは更新頻度の影響なのでは?
ある程度間が空く作品は常駐してる人はほとんどいないだろうし…
待ってる人は結構いるとは思うけど気づいて無いんだと思う
176 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 01:37:40.33 ID:HATRucof0


                  ╂


(来た……)


カムクラは気付かれないように別の場所に視点を置きながら、視界の隅でモニターを見ている。
江ノ島も戦刃もよそ見をしていて気付いていない。その間に、彼等は二階を通過する。

三階、四階と来た所でカメラの一つが音声を拾い、江ノ島はモニターに視線を戻した。


「…………」


―― 一瞬、目を疑ったようだ。


「…………は? えっ? は???」

「な、なにこれ?! どこから持ってきたの?!」

「んなもん地下からに決まってんでしょ! あああ! あいつら!
 一体どうやってあそこにっ?! どうせ西城の仕業でしょーけどっ!!」

「盾子ちゃん、私は?!」

「あんたはここで待機! 本丸空けてどうすんのよ!」


流石の江ノ島も慌ててモノクマ操作室に駆け込んだ。もうカムクラがここにいる意味はないだろう。


(……あなた達の力、見させて貰います)

177 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 01:40:10.71 ID:HATRucof0


               ◇     ◇     ◇


ドガッシャアアアアアンッ!!

大和田はウィリーの姿勢で前輪を上げ、学園長室の扉を破壊して中に突っ込んだ!

霧切は素早く飛び降りると、部屋の中を即座にチェックする。社長室のようなシンプルな仕事部屋だ。
学園長の物と思われる立派な机に来客用のソファ、歴代の学園長の写真、トロフィーなどが置かれた棚。

残念ながら武器などは置いてなさそうである。とりあえず、最優先はやはり机だろう。


石丸「僕は入り口を守る。捜索は頼んだ!!」

霧切「出来るだけ時間を稼いで頂戴!」

大和田「おうよ!」


霧切はまず目についた机を漁った。引き出しを片っ端から引き抜き、中の物を見ていく。
そして、めぼしいもの次から次に持ってきたリュックへ押し込んでいった。


霧切(この引き出し、鍵が掛かっている……!)


一つだけ鍵が掛かっている引き出しを発見した。ピッキングをしようと道具を取り出す。


モノクマ「コラー! 不法侵入は校則違反だぞー!」


モノクマの群れが押し寄せてきた。大和田はバイクでモノクマを轢殺し、道路標識で破壊していく。
石丸は入り口に陣取り、大和田が討ち漏らしたモノクマを攻撃していった。


石丸「突きー!!」ドスッ!

大和田「やるじゃねえか!」

178 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 01:44:29.51 ID:HATRucof0

石丸「こう見えて剣道三段だ! ムッ?!」

大和田「どうした?!」

石丸「一番弱そうな目を突いたのだが、一撃で沈んだ。弱点かもしれない!」

大和田「なんだと!」

霧切「目にカメラが仕込んであるはず。弱点の可能性は高いわ!」

石丸「また情報が増えたな!」

モノクマ「ムキー! さっさと倒れろ、オマエラー! ていうか、なんで学園長室なんだよ!
      フツー隠し部屋か情報処理室でしょー! バカなの?!」

大和田「うるせえ! んなの、俺達の勝手だろうが!!」

モノクマ「へヘンッ! どうせこんな所、なんにもないのにさ! バーカバーカ!!」


一見呑気に話しているようだが実際はそんな暇はなく、モノクマの数は徐々に増えていく。


石丸「霧切君、あまり時間が……!」

霧切「わかっているわ!」


霧切はピッキングを諦め、爆薬をセットした。爆破して、引き出しの中身を取り出す。


霧切(これは……!!)


最後に本棚やソファの付近を入念に調べた。


大和田「霧切、まだか?!」

霧切「終わったわ!」

179 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 01:48:56.81 ID:HATRucof0

大和田「よっし! 二人共乗れっ!」

石丸「行けるかね?!」

大和田「突っ切るんだよ!」

モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」
モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」
モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」
モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」モノクマ「クマー!」


ギャリリリッという音を立てながら、バイクは学園長室から出た。


戦刃「待機してろって言われたけど、盾子ちゃんは私が守る!」


情報処理室から出た戦刃がナイフを構えて仁王立ちになるが……


大和田「あーばよー!!」

石丸「さらばだ!」

霧切「フッ」ファサッ


彼等は戦刃を相手にしないでそのまま三階へ走って行った。


戦刃「……あれ? え???」


廊下にはポツンと取り残された戦刃むくろただ一人。


戦刃「なんだったんだろう……??」

180 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 01:52:26.29 ID:HATRucof0

             ・

             ・

             ・


その後もしつこくモノクマが攻めてきたが、バイクに乗った超高校級の暴走族を止められるはずもなく、
あっという間に一階まで戻ってきた。一階ではKAZUYA達が待機しているためモノクマもいない。


K「戻ったな?!」

大和田「戻ったぜ!」

石丸「生きて戻って参りましたぁ!」

苗木「良かった! 三人共無事だね!」

朝日奈「あー、怖かった」

十神「早く入れ! バリケードを戻すぞ!」


慌ただしく三人を受け入れ、再び保健室は籠城の構えに入る。


桑田「で、なんか収穫あったか?」

山田「出来れば武器とか望ましいのですが!」

霧切「残念だけど、武器のたぐいはなかったわ」

葉隠「マジかー。期待してたんだけどな」

腐川「まあ、学園長室だものね……ある方がおかしいわよ」

不二咲「本当に何もなかったの?」

181 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 02:00:00.79 ID:HATRucof0

霧切「収穫はあったと思う」

舞園「本当ですか?!」

セレス「見せてくださいな」


霧切はリュックを降ろし、中身を取り出していく。


K「これは、書類か」

霧切「戦刃むくろのことが書いてあるわ。新入生名簿によ」

苗木「本当だ! 江ノ島盾子との関係も書いてある」

十神「フェンリル出身だと……?! あの最凶の傭兵団か」

大和田「知ってるのか?」

十神「当たり前だ。裏の世界に通じている人間でその名を知らん者はいない」

朝日奈「あの子、そんなに危険な相手だったんだ……」

K「もっと、早く調べるべきだったか……江ノ島が戦刃だと早めに看破できたら打つ手もあった」

桑田「他にはなんかねーの?」

霧切「書類ね。人類史上最大最悪の絶望的事件についての詳細……」

十神「またそれか。うんざりする」

不二咲「世界各地でテロが頻発……」

舞園「ですが、そんなこと私達の誰も知りません……」

大神「……一体何が起こったというのか」



K「――実は、俺はぼんやり思い出してきた」

182 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 02:02:59.21 ID:HATRucof0


「えっ?!」


とうとうKAZUYAは切り出した。まだ真実全ては言えないが、部分的になら明かしてもいいだろう。


K「お前達、集団ヒステリーという言葉は知っているな?」

苗木「知っていますが、まさか……」

K「集団に対して同時に極端な不安やストレスがかかった場合、全員がパニック症状を起こしたり
  妄想に囚われることが時としてある。……俺達も今、その状態なのかもしれない」

十神「馬鹿な! そんなことが……!」

K「ないと言い切れるか?」

十神「…………」

K「例えば東京で大規模なテロが発生し、お前達希望ヶ峰の新入生は学園に保護された。
  だが、その際に極度のストレスで記憶障害を発症。そこを江ノ島盾子につけこまれたとしたら?」

苗木「筋が通ってる……!」

大和田「おいおいおい、マジかよ……」

葉隠「い、いや、いくらなんでも突拍子もなさすぎるって……」

山田「信じられない。信じたくない……」

霧切「通常の精神状態ならムリでも、記憶障害を起こしている時に催眠術でも使えば……」

セレス「だから、図書館にあった新聞などは未来の日付けだったのですか?」

桑田「お、おいおい。あれ、結構未来のがあったぞ。流石に作りもんだろ、あれは……」

舞園「……先生は知っていたんですか? だから、脱出に消極的だったんですか?」

183 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 02:05:18.36 ID:HATRucof0

K「すまない。俺もはっきりとは覚えていないんだ。だが、世界各地でテロが起こっていたのは思い出した」

石丸「では、少なくともその書類に関して言えば本物という訳か……」

腐川「なんか……脱出する気が失せるじゃない……」

十神「ハッ! テロがなんだ! だったら尚更十神家当主のこの俺がこんな所に
    引っ込んでいる訳にはいかん。他に見つけたものはないのか?」

霧切「……最後に、これを」

苗木「鍵?」


霧切が出したのは、キーヘッドにモノクマの飾りがついた鍵であった。


朝日奈「えっと……それだけ?」

霧切「ええ」

葉隠「か、鍵一本って?! あんだけ危ないことして手に入ったのがこれだけか?!」

山田「宝の鍵ならいいですけど、宝箱はないですもんね……」

セレス「そもそもこれはどこの鍵なのでしょう?」

不二咲「まだ開いてない所だよね、きっと」

大和田「まさか、学園長室の鍵じゃねえよな?」

霧切「この鍵は、鍵のかかった引き出しに入っていたわ。つまり、モノクマにとって重要なものよ」

舞園「重要な鍵と言いますと……」

K「――マスターキーか?」


ザワッと生徒達が騒ぎ始めた。

184 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/09/11(水) 02:10:37.33 ID:HATRucof0

ここまで

今週は暑いけど最近は比較的涼しくなってきたのでやっと体調が安定し、
モチベも回復してきました。ただ、一次で大事な締切があるため、相変わらず
更新はやや遅め。ゆっくりお付き合いください


>>175
最近気づいたのですが、Twitterで告知してもタイムラインが流れるんですよね……
はっきりこの日に更新する!て決まってる時は事前に一回予告した方が良いのかもですね

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/12(木) 02:07:06.85 ID:viYKP4XtO

そろそろ乗り込むか?
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/13(金) 13:00:44.85 ID:xUT2iWMoO
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/01(火) 01:24:44.43 ID:JjSawN1XO
リアタイはなかなかできないけど更新待ってる
188 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 22:44:18.07 ID:c8x6QoJY0

桑田「ちょ、マスターキー? それって全部開けられるってことか?!」

朝日奈「情報処理室も開けられるのかな?!」

苗木「あと、僕達が行ってないところってどこだろう?」


騒ぐ生徒達をKAZUYAは手で制し、霧切を見つめる。


K「霧切、その鍵を俺に預けてくれないか? 試したい場所がある」

霧切「倉庫の横の階段ね?」

K「ああ、寄宿舎の二階。脱出に決定的なものはないかもしれないが、
 今回のように何らかのヒントがある可能性がある」

十神「では、また探索チームを作るか」

K「いや……まずは俺一人で行く」

大和田「ハァ? なんでだよ。俺が行けば早いぜ?」

K「機動力がある大和田はここに残って万が一保健室が襲われた場合、俺を呼びに来て欲しいんだ」

霧切「私も駄目なのかしら?」

K「食堂と違って、保健室との距離が長い。俺一人だったら戦いながら
  逃げて来れるが、誰かを庇いながらだと厳しい」

石丸「で、でしたら僕が行きます! 自分の身くらい守ってみせます!」

十神「俺も行くぞ。あそこは前から気になっていたんだ。この目で見てやる」

朝日奈「危ないのなんてみんな承知だよ! さっきだって、みんなで探索したしさ!」

K「…………」

189 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 22:50:39.62 ID:c8x6QoJY0


距離が長い、危険だからなどというのは単なる言い訳に過ぎなかった。

KAZUYAは思い出していたのだ。寄宿舎の二階には自分や学園長の私室があったことを。
……すなわち、生徒達に見られたら不味い物がある可能性があるのだ。


K「俺達が学園長室に突入したことで、江ノ島側はもういつ仕掛けてくるかわからない。
  保健室を守りつつ早急に探索しなければならんのだ。頼む、わかってくれ」

苗木「うーん、先生がそこまで言うなら……」

舞園「そうですね。もう、いつ攻めてくるかわかりませんからね」

霧切「本当に、それだけ?」


霧切が疑い深くKAZUYAを見つめる。KAZUYAは頷いた。


K「ああ、“それだけ”だ……!」

霧切「…………」


霧切は明らかに納得していなかった。だが……KAZUYAの言葉を信じ、鍵を渡した。


霧切「絶対に、戻ってきて頂戴」

K「ああ!」


――彼等は知らなかった。

今この瞬間に、大いなる運命の分岐点が迫っていたことを。


K「そうだ。俺がいない間、モノクマに気を付けてほしい」

190 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:00:33.68 ID:c8x6QoJY0


去り際に、KAZUYAは振り返って、生徒達に注意を促す。


K「奴め、本当に狡賢い奴だからな。いきなり攻めてくるのではなく、
  なんらかの策を使ってくるかもしれない。奴の言葉に耳を傾けるな」

K「――決して」


そう言い残すと、KAZUYAはマントを翻して保健室から出て行った。



               ◇     ◇     ◇


KAZUYAがいなくなった保健室には妙な緊張感があった。

先程も、階段の前にバリケードを作りに行っていたが、その時は他の生徒も出払っていたため、
今より慌ただしい雰囲気であった。全員が揃っていて、KAZUYAだけがいない。

その空気が、なんとも言えない寂しさと不安をもたらすのだ。


「………………」


生徒達は気まずげに視線を合わせては苦笑する。

社交性の高い苗木が、なんとか場を持たせようと立ち上がった。


苗木「あ、はは。なんか……落ち着かないね」

朝日奈「そうだね……」

191 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:11:10.02 ID:c8x6QoJY0

舞園「西城先生は本当に存在感が大きいから……」

桑田「体も大きいしな」

「ハハハ……」


ガタッ!!


「?!」


突然バリケードの外で音がした。


不二咲「ヒッ……?!」

大和田「お、おいおい……戻ってくるの早すぎだろ……」

十神「何をしている! 早く武器を持て!」


全員が青ざめながら、武器を取って構える。外からは場違いに呑気な声がかけられた。


モノクマ「そう、怖がらなくてもいいんじゃない?」

苗木「モノクマ!!」

霧切「……何の用なの?」

大和田「今すぐ帰らねえとぶち壊すぞ!」

モノクマ「――おやおや? もしかして今そこに西城先生はいないのかな?」

「?!」

192 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:16:10.58 ID:c8x6QoJY0

苗木(な、なんで……?!)

モノクマ「簡単だよ。だって、いつもなら真っ先に怒鳴ってくるじゃない。……ふ〜ん、いないんだ?」

「…………」

モノクマ「ボクとしては今すぐここに突っ込んでオマエラを全滅させることも出来る。
      でもオマエラも知っている通り、ボクはあくまでゲームがしたいんだよね」

モノクマ「だからさ、ボクから一つ提案。みんなでゲームをやらない? その名も宝探しゲーム!」

山田「宝探し?」

葉隠「何があるんだ? い、いやいや聞くだけだべ!」

セレス「……それが一体何だというのです?」

モノクマ「オマエラはボクが隠したあるものを探すだけ。それがあれば
      ボクのいる情報処理室への扉を開くことが出来る」

桑田「ハッ! それがなんだってゆーんだよ。入った所で蜂の巣とかだろ、どーせ」

モノクマ「正規の方法で入ってきた人間にそんな卑怯な手は使わないよ。ゲームなんだから」

石丸「入ったらなんだというのだ! 君は大人しく捕まってくれるのか?!」

腐川「そうよ! 胡散臭いことこのうえないわ!」

モノクマ「それはオマエラ次第かな? 情報処理室にたどり着くこと、それは即ち将棋で言う王手!
      そこで初めて、オマエラはボスであるこのボクと戦う最終決戦の権利を得るってワケ!」

十神「最終決戦に勝てばなんだ? 俺達を潔く解放するとでも?」

モノクマ「その通り! 悪い条件じゃないと思うけどな?」

苗木「そ、そんな……?!」

舞園「解放?!」

193 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:28:33.01 ID:c8x6QoJY0


大和田「ウ、ウソだろ……?」


モノクマが持ち出した条件は驚くべきものであった。
今まで散々彼等を苦しめた元凶が解放という言葉を出してくるとは。


十神「騙されるな! お得意の口八丁だ。本気で解放する気などない!」

石丸「そ、そうだ。モノクマはそういうヤツだったじゃないか!」

モノクマ「疑り深い所は誰かさんに似ちゃったかな? ボクは約束を破ったことはないのにね」

霧切「どうせ隠してることでもあるんでしょう?」

モノクマ「そりゃ、あるけどさ。じゃあ、特別に何でも質問に答えてあげようか?
      ただし、3つくらいね。西城先生が戻ってきちゃうからさ」


全員が顔を見合わせる。何を聞くべきか思案すると、頭の回る不二咲が口を開いた。


不二咲「……ほ、本当に勝ったら全員揃って生きたまま出してくれるの?
     誰かを生贄にする、とか出た瞬間に襲いかかったりとかはなくて?」

モノクマ「無条件に出してあげるしその後ボクから何かすることはないよ。勝てたらの話だけどさ」

セレス「ここは本当に希望ヶ峰学園なのですか? 実は絶海の孤島で出ても家に帰れないということは?」

モノクマ「ここは日本だし東京にある本物の希望ヶ峰学園だよ。外に出たら各自勝手に帰ればいい。
      ボクもボクの部下も一切手は出さないよ。オマエラは完全に自由!」


そこまで聞いて、生徒は沈黙した。


モノクマ「さーて、最後の質問だよ。慎重に考えてね!」

「…………」

194 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:41:45.51 ID:c8x6QoJY0

桑田「どーする?」

霧切「外の状況を聞くというのはどうかしら? もしかしてテロで危険かもしれない」

朝日奈「でも! さくらちゃんは怪我してるしここにいるよりは絶対外に出た方がいいよ!
     いくらなんでも外が完全に廃墟ってことはないはずだし!」

大神「我に気を遣うな、朝日奈よ……」

舞園「家族は……無事なのでしょうか?」

葉隠「あ、それは気になるべ……」

山田「家族が無事じゃなきゃ正直外に出ても仕方ないですよね……?」

苗木「僕も……最初に見た映像が本物なのか気になるな」

十神「どいつもこいつも! 貴重な質問をそんなことに費やす気か!」

石丸「家族のことは大事に決まっているだろう!」

モノクマ「時間がないから、あと5秒で決めてね。5,4,3,2……」


急かしだしたモノクマに慌てて苗木が質問した。


苗木「僕達の家族は無事なのか? 実は死んでいたりとか……」

モノクマ「生きてるよ。全員ね」

桑田「本当か?! じゃああのDVDなんだったんだよ?!」

モノクマ「あれは、まあ……演出?」


「ハアアアアアアアアアッ?!」

195 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:44:45.08 ID:c8x6QoJY0

生徒達は絶叫する。それは恐怖ではなく怒りの絶叫だ。


十神「それ見たことか! やはりこいつは信用ならん!」

石丸「大嘘つきめ!!」

大和田「今すぐスクラップにしてやる!!」

セレス「あまりふざけたことヌかしてっとぶち壊すぞクマ野郎おおおおおお!!」

桑田「そーだそーだ!!」

モノクマ「ちょっとちょっと?! 落ち着いてよ!! あの映像にはっきり顔は映ってた?
      オマエラが勝手に勘違いしただけでしょーが!!」

舞園「だからってあんまりです!!」

不二咲「酷いよ!」

朝日奈「あんなの信じるに決まってんじゃん!!」

腐川「最低最悪ね!!」

葉隠「だべだべ! 俺より悪質だ!」

山田「ふざけんなあああああああああ!!」


想像以上の紛糾ぶりに流石のモノクマも慌てたらしく、わざとらしく言い訳を始めた。

196 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:46:29.95 ID:c8x6QoJY0

モノクマ「大体、続きは卒業の後でってちゃんと書いてあったでしょ! 卒業したら
      約束通り言うつもりでした! それに、実は生きてましたの方がいいんじゃないの?」

モノクマ「それとも何? 死んでる方が良かった? じゃあお望み通り今すぐ殺してこようか?」

「…………?!!」


その言葉にピタッと糾弾が止まる。モノクマならやりかねないと思ったからだ。


モノクマ「ハァー……本当に手が掛かるね、キミ達……ボクがゲームマスターってこと
      忘れてるんじゃないの? オマエラに出来ることは、せいぜいボクが与えた
      選択肢の中から一番良い選択を選ぶこと。それだけだよ」

霧切「笑わせないで頂戴。何を選ぶか、全てあなたが決めているくせに」

苗木「そうだ。僕達に選択肢なんてあったことなかった! いつもお前の掌の上じゃないか!」

モノクマ「そんなことないよ。今だってボクはオマエラに選ばせてあげているじゃない。
      ボクの提案に乗るか乗らないかをさ!」

モノクマ「さあ、時間はないよ。一体どっち?! ボクの挑戦を【受ける】? 【受けない】?」



→【受ける】
  【受けない】
  【セーブする】


197 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:48:36.51 ID:c8x6QoJY0


オートモードのため安価省略。自動選択



→【受ける】
  【受けない】
  【セーブする】


ピピッ!


  【受ける】
→【受けない】
  【セーブする】


ピピッ!


→【受ける】
  【受けない】
  【セーブする】


ピピッピピッ!


  【受ける】
  【受けない】
→【セーブする】


ピコンッ!

198 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:51:29.81 ID:c8x6QoJY0





             【 ス ロ ッ ト 1 にセ ー ブ し ま し た 】




199 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:52:35.05 ID:c8x6QoJY0


ピピッ!


→【受ける】
  【受けない】
  【セーブする】


ピコンッ!





                   【    再     開    】




200 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:54:02.79 ID:c8x6QoJY0





             【  ル  ー  ト  分  岐  し  ま  す  】       




201 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/10/19(土) 23:55:44.37 ID:c8x6QoJY0


ここまで。

最近急に寒くなってきましたね。皆様、体調崩しませんように

202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 06:08:18.50 ID:FIAEHaTkO

吉と出るか、凶と出るか
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/21(月) 00:29:41.38 ID:4e6q8gyb0
乙ー
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/02(土) 18:43:37.04 ID:jpi+75tsO
205 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/01/06(月) 03:34:03.12 ID:T13XxN850

苗木「……どうする?」

「…………」

モノクマ「早くしてよー!」

苗木「僕は……賭けてみてもいいんじゃないかなと思うけど」

舞園「そう、ですよね。怖いですけど、逃げ続けても状況は良くなりませんし」

十神「フン。虎穴に入らずんば虎子を得ず、か……」

霧切「……気乗りはしないけど、きっと断らせてはくれないでしょうしね」

石丸「逃げるより立ち向かうべきだ!」

大和田「そうだな。要は勝ちゃいいんだ!」

セレス「ギャンブルと同じですわ」

葉隠「やってやるべ!」

山田「頑張りましょう!」

腐川「で、何をすればいいのよ?」

モノクマ「フフフ、いいねいいね! ルールは簡単、5階の植物庭園にある大事な物を
      隠したんだ。それを制限時間以内に見つけられたら君達の勝ち」

モノクマ「見つけられなかったら負け。シンプルだろう?」

苗木「もし、見つけられなかったら……?」

モノクマ「別に何もしないよ。すごすごとここに戻ってくれば?」

朝日奈「モノクマにしては親切だね。なんだか不気味……」

206 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/01/06(月) 03:37:16.97 ID:T13XxN850

十神「チーム分けをするぞ。いくら手出しをしないと言われていても単独行動は危険だ」

桑田「俺は今回は流石に休ませてもらうぜ。なにかあったら足引っ張っちまいそーだし……」

山田「僕も行けません。素早く動けそうにないですから」

朝日奈「私も残るよ。さくらちゃんが心配だし」

大神「いや、我に構わず行け。一人でも多い方が良いだろう」

朝日奈「でも……」

大神「モノクマも言っていただろう。ここに攻め込むつもりならとっくにしているはず」

苗木「朝日奈さん、時間がないよ」

朝日奈「……わかった。私も行く」

十神「戦闘能力で考えて、俺と石丸と大和田の三班で行くぞ」

腐川「あたしは白夜様の班よ!」

不二咲「僕は大和田君の班がいいかな」

石丸「霧切君は目を離すと単独行動をしそうだから僕の班に入りたまえ!」

霧切「……構わないけど、足を引っ張らないで頂戴ね」

石丸「ど、努力しよう……」

葉隠「あとはどうする?」

山田「時間もないですし、グーチョキパーで決めたらどうですか?」

苗木「そうだね。せーの!」


苗木、舞園がグー、朝日奈がチョキ、葉隠、セレスがパーとなった。

207 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/01/06(月) 03:38:58.34 ID:T13XxN850

霧切「苗木君達はうちに入りなさい」

苗木「うん……(そんな気がしてたよ)」

舞園「邪魔をしないようにしますね……」

十神「葉隠、セレス。来い」

大和田「じゃあ、朝日奈が俺の班だな!」

朝日奈「行ってくる。すぐに見つけて戻るからね!」


大神、桑田、山田の三人を残し、11人は保健室を飛び出し植物庭園に向かった。


モノクマ「見つけられるといいねぇ」


ほくそ笑むモノクマを残して。



  ― コロシアイ学園生活六十九日目 植物庭園 PM4:12 ―


大和田「見つかったかー?」

朝日奈「ないよ!」

不二咲「こっちも!」

朝日奈「種の袋も探した方が良いかな?」

大和田「全部見た方がいいだろうな」

208 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/01/06(月) 03:41:28.70 ID:T13XxN850

不二咲「あ、ひっくり返すなら別の袋に入れながらだと汚れなくていいかも」

大和田「流石不二咲だぜ!」

不二咲「う、うん。頑張るよ!」


植物庭園の小屋の中を三人は探している。以前大和田のチーム名が刻まれたツルハシは
ここにあった。他に何かめぼしいものがあれば良いのだが……

一方、十神達のチームは鶏小屋の付近を捜索している。
小屋の中に入りたがるのが葉隠くらいだったので、中を任せたのだ。


葉隠「おーい、お前さんら。宝物を知らねえかー?」

鶏「コッコッコッコッ?」

セレス「ご自慢の占いで鶏の言葉がわかったりしませんの?」

葉隠「人の占いを何だと思ってんだ! オカルトじゃねえんだぞ?!」

腐川「葉隠、喋ってないで手を動かしなさいよ!」

十神「おい腐川。お前も小屋の中を探せ。どうせ臭いんだからニオイも気にならないだろ」

腐川「はい、ただいまー!!」


ガチャッ、バタバタ。


十神「中は二人に任せる。周辺を探すぞ」

セレス「人を使うのが上手ですわねぇ。わたくしも人のことは言えませんが」

209 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/01/06(月) 03:42:52.89 ID:T13XxN850

花壇の辺りを中心に探しているのが石丸のチームである。


霧切「地面に気を付けて。掘り返した場所は色が違うはずよ」

苗木「そうか、成程!」

舞園「流石霧切さんですね!」

石丸「了解した!」

霧切「ちなみに石丸君は花壇に入らないで頂戴。気付かないでうっかり踏み固めてしまいそうだから」

石丸「ぬなぁ?!」

舞園「私が見張ってます! 一緒にこっちを探しましょう、ね?」

石丸「う、うう……了解……」

苗木(流石にちょっと気の毒だ……一応、昔よりは注意力も上がってるんだけどな……)


一緒に医療訓練をしてきた苗木は石丸の成長を如実に見てきた。……が、未だに凡ミスを
することもあるのでこの大事な局面で足を引っ張らせる訳に行かないのは確かだ。


苗木(……ごめんね。君の分も僕が頑張るから!)

霧切「苗木君、何をしているの? 時間がないのよ?」

苗木「あ、うん。今行くよ!」

210 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/01/06(月) 03:45:38.18 ID:T13XxN850

ちょっとだけだけど。多分今週中にもう一回来ます。

新年明けましておめでとうございます。
今年も細々とですが頑張ります。

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 09:17:29.15 ID:xJxQhSnh0
あけおめえええええええええ!!!
さて、どんな展開になるか楽しみだ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/08(水) 20:06:55.86 ID:d53gD+iSO
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/02(月) 11:26:58.04 ID:09XtriY50
最近うんこしてて詰まらせた上イキみで便座ぶっ壊した・・・弐代と同じ気持ちになれたかも知れない
214 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 01:35:44.60 ID:VQvOGne50


               ◇     ◇     ◇


一方KAZUYAは――


K「フム……監視カメラはなし、か。元々立ち入りを禁止していた区域だからな」

K(ここが寄宿舎の二階か……ボロボロだな。五階のあの教室のように修復されていない)キョロキョロ


その時、頭痛と共に記憶が蘇ってきた。


K(うっ……そうだ。あそこが学園長の私室でここが俺の部屋。手前はロッカールーム……)


まず手前のロッカールームに入った。生徒達が記憶を失う前に使っていたもので私物が入っているはずだ。


K(当たり前だが開かないな。いや……)


KAZUYAは電子キーの場所に己の教師手帳を当ててみた。教師の権限は強い。もしかしたら……

ピー、ガチャン。


K「やはり……」


すんなり開いたロッカーの中を見てみる。ノートを見るに、ここは葉隠のロッカーだったようだ。
他のロッカーも順番に開いて覗いていく。


K(まだ見せる訳にはいかないな。しかし、いずれ真実を明かした時のための証拠はいる……)

215 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 01:38:04.85 ID:VQvOGne50

持ち出すのに一番手頃だった霧切の手帳を取り出すと、次に自分の部屋に行く。
殺風景な部屋だ。そもそも、騙し討ちのような形でこの学園に閉じ込められたため、
本当に必要なものしか置かれていない。


K(これは……)


机の上には、シンプルな写真立てに入ったいくつかの写真が置いてあった。
勝手に閉じ込めることに一応罪悪感があったのか、仁が気を利かせて写真を用意していたのだ。

写真に写っているのは柳川、大垣、高品、七瀬と言ったお馴染みのメンバー達。
その横の写真には、どうやって手に入れたのか父・一堡(カズオキ)の写真もあった。
探偵は辞めたとはいえ、伊達に仁も霧切家の人間ではないということだろう。

懐かしくなって、KAZUYAは写真を指で撫でた。そして、部屋の中を精査する。


K(……いかんな。だいぶ時間を取られてしまった)


ロッカールームの調査に加え、KAZUYAの部屋には使える医療器具や薬品類が多かったため、
それらを調達していたらすっかり時間がかかってしまった。

急ぎ足で最後の部屋に向かう。


K(フム、ここに来るのも久しぶりか……)


大人が少ないため、KAZUYAは仕方なく仁の話し相手を務めたものだった。
絶望的なまでに考え方は合わなかったが、ただの雑談であれば知識の豊富な
仁は話し相手としてけして悪くはなかったものだ。

隅から隅まで部屋の中を物色するが、特に目ぼしいものはない。


K(パソコンの中にも手がかりはなし、か。……ム? パスワードだと?)

216 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 01:41:37.67 ID:VQvOGne50

パソコンの中に一つだけ開かないファイルがあったのだ。
気になったKAZUYAは手当たり次第に単語を打ってみるが、なかなか開かない。


K(待てよ? あんな男ではあったが、娘に対する期待と愛情は確かだった。となると……)


試しにKYOKOと入れてみるとロックは解除され、隠し扉が顕わになったのである。


K(こんな物があるとは……つくづく隠し部屋の好きな男だ)


二階の男子トイレ、保健室に続き3つ目の隠し部屋である。いい加減驚かなくなっていた。


K(中にあるのは……箱?)


部屋の中には棚と机しかない。棚の中身は持ち去られたのか空であった。
机の上には装飾されたプレゼントボックスがポツンと置いてある。


K(霧切に何かあげようとしていたのだろうか。学園長には悪いが中を改めさせてもらおう)


しかし、KAZUYAは開けたことを後悔することになる。パンドラの箱とは言ったものだ。

中には絶望しか入っていなかったのだから……


K「これは……! 人骨か」

K(大きさ、形状からして成人男性の物に間違いない。一体、誰の……)


思い当たる人物は一人しかいない。これを置いたのは恐らく黒幕だ。
となると、この部屋を使っていた人物だと考えるのが妥当だろう。

217 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 01:47:32.40 ID:VQvOGne50

K(霧切学園長……いけ好かない男ではあったが、まさかこんなことになってしまうとはな……)


静かに手を合わせると、KAZUYAは蓋を戻した。


K(本当にこれだけか? 何か収穫は……)


きょろきょろと周囲を見渡し、棚の上の写真立てに気付く。幼い霧切が写っている写真だ。
特に考えがあった訳ではないが、なんとはなしに手に取って裏を見てみる。


K(これは……!)


メモリーカードが貼り付けられていた。早速それをパソコンで開いて見てみる。


K(映っているのは生徒達か……)


中に入っていたのは動画であった。この学園に一生住むことになっても良いかと
学園長が問いかけ、生徒達が覚悟を決めて答えている映像である。


K(これがあれば記憶喪失の決定的証拠になるな。……ムッ!)


鋭敏な感覚を持つKAZUYAは背後から侵入者が近づいたことを察知し、すぐに動画を消した。
案の定、扉からモノクマが入ってくる。


モノクマ「ヤッホー!」

K「……何の用だ?」

218 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 01:49:01.41 ID:VQvOGne50

モノクマ「何の用? 学園長の僕が学園の中を歩いていたらいけない?」

K「フン、本物の学園長はこの部屋の主だろう」

モノクマ「全く、泥棒した鍵でここまで来ておいて偉そうなこと言うよねぇ。よっこいしょ、と」


ソファに座るモノクマを怪訝に見ながらKAZUYAは警戒する。


K「戦刃むくろはどうした? 俺を殺しに来たんじゃないのか?」

モノクマ「そういう野蛮なやり方は好きじゃないんだよね。聞きたいんじゃない?
      先代の学園長がどうやって死んだかをさ」

K「確かに気にはなるが……」


KAZUYAは違和感を覚えていた。何故このタイミングでモノクマはここを訪れ、
自分と意味のない話をしようとするのか。それに、相方である双子の姉はどうした?


K(成程、時間稼ぎをするつもりか。そうはさせんぞ!)


自分をここに釘付けにし、その間に戦刃を使って生徒達を強襲させる腹づもりに違いない。


K「悪いがその手には乗らん。お前の小狡い謀略に乗るのはここまでだ」

モノクマ「あーあ、君のような勘の良い大人は嫌いだよ」

K「…………」


相手にせず部屋を出ようとするKAZUYA。
その背中に、足を組み頭の後ろに手をやったモノクマのせせら笑いが突き刺さる。

219 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 01:58:08.61 ID:VQvOGne50

モノクマ「――でもさ、残念だけどもうシナリオは決まってるんだよね」


KAZUYAが急いで扉を開けると、そこにはモノクマ軍団が待ち構えていた。


モノクマ軍団『クマー!!』

K「クソッ! 用意周到な……!」

モノクマ「無駄だよ。もう間に合わない。あの選択をした時点で未来は決まってしまったんだから」

K「うおおおおおおおおおおおッ!!」


KAZUYAはモノクマ軍団を蹴散らしながら前に進む。


K(急がなくては! もしあいつらの身に何かあったら……!!)


何体のモノクマを倒しただろうか。

KAZUYAが廊下を突破し、寄宿舎の階段を降りて校舎へ向かう途中だった。



『ピンポンパンポーン! 死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』



―― 今、絶望の最終シナリオが始まる。

220 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/03/03(火) 02:15:40.53 ID:VQvOGne50

ここまで。

投下遅れてすみません。素直に忘れていました。
リアルの方の創作活動が忙しくて、3月いっぱいはバタバタしそうです。

久しぶりにKAZUYA描いたので、Twitterの方にうp
https://twitter.com/doctor_ronpa_K
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/03(火) 02:29:31.43 ID:IMCYvvTH0

まずはバッドからか
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/03(火) 11:02:44.44 ID:LcqkckFQO

誰か死んでしまったか……
223 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:29:54.52 ID:o/fTASlA0

K「何があった?!」


バンッ!と保健室の扉を蹴破らんばかりに飛び込む。
KAZUYAはバリケードがなくなっていることに気が付き、青ざめた。


桑田「せんせー……」

大神「西城殿」

K「……何故お前達しかいない?」


保健室には負傷している桑田、大神、山田の三人しかいなかったのだ。


山田「実はですな……」

K「……!」


説明を聞く前にKAZUYAは飛び出した。ちょうど階段を降りてきた生徒たちと鉢合わせになった。


K「お前達! さっきのアナウンスは?!」

苗木「先生! 大変です!」

石丸「し、しし……!」

朝日奈「死体! 死体が!!」

十神「こっちだ! 早くこい!」

K「!!」


生徒に連れられ、KAZUYAは二階に上がった。階段のすぐ前の廊下、そこにあったのは――

224 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:30:54.52 ID:o/fTASlA0

K「なんだと……そんな、馬鹿な……?!」


「……………………」


そこには血溜まりの中、物言わぬ姿となって倒れている女の姿があった。

黒く短い髪、細く締まった肉体。右手の入れ墨。



――戦刃むくろの死体であった。



K「狸寝入りはよせ、戦刃……その手はくわんぞ……」

不二咲「先生、それが……」

舞園「死んでいるんです。確かに……」

葉隠「は、はは……本当にありえないべ」

腐川「罠だとっ、思ったのよぉぉ!」


離れたところに立っている腐川が叫ぶ。訓練でほぼ血液恐怖症を克服した彼女だが、
顔見知りの人間の死体はやはり恐ろしいようだ。


K「ば、馬鹿な……」


医者のKAZUYAは一目見た瞬間、死んでいるとわかっていたが恐る恐る脈を取り瞳孔を確認した。


K「間違いない……確かに死んでいる……だが、これは一体どういうことだ?」

225 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:32:04.28 ID:o/fTASlA0

大和田「仲間割れ……ってことか?」

セレス「ですが、霧切さんの持ってきたデータによりますと彼女は江ノ島盾子の双子の姉。
     怪我もしていますし、この大事な状況で裏切るでしょうか?」

十神「裏切ったというよりは用済みになって一方的に捨てられた方がしっくりくるな」

霧切「いよいよ彼女の計画の最終局面に入った……ということではないかしら?
    戦刃むくろはもう必要ないから消された。むしろ、これは演出……」

K「…………」


顎に手をやる霧切の表情は非常に険しい。KAZUYAの表情もまた同じく。


モノクマ「大せいかーい! コロシアイ生活はいよいよ最終フェーズに入ったのであります!」

苗木「モノクマ……!!」


やってきたモノクマは、嬉しそうにピョコピョコと飛び跳ねている。


モノクマ「どうなっちゃうんだろうねぇ? ドキドキするねぇ? あー、早くネタバラシしたいなぁ」

霧切「学級裁判を行うのね?」

モノクマ「もう! 霧切さんたら相変わらず空気が読めないんだから!」


「えっ?! 学級裁判?!」


全員が驚いて霧切を見る。


石丸「学級裁判も何もないだろう……犯人はわかりきっているのだから……」

226 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:33:01.87 ID:o/fTASlA0

大和田「テメエでテメエの首をしめるってことか? そんなバカな」

朝日奈「一体なに考えてるの?」

モノクマ「とりあえず、保健室のメンバーと合流したら? モノクマファイルは送っておくからさ。
      それじゃ、裁判場でお会いしましょー!」

「…………」


全員黙ったままKAZUYAの顔を見た。


K「……とりあえず、お前達が無事で本当に良かった。一旦、保健室に戻ろう」


KAZUYAが促し、全員保健室へと戻る。


               ◇     ◇     ◇


桑田「ハァ?! 戦刃が死んでた? なんで?!」

山田「そんなバカな?!」

K「間違いない。あれは仮死状態などではなかった」


胸元をナイフで一突きにされての失血死である。血糊を使ってもKAZUYAの目と鼻はごまかせない。


大神「何故、そんなことを……」

K「……それより、俺からも聞きたいことがある。お前達は何故保健室の外に出ていた?」

舞園「実は、モノクマからゲームを持ちかけられたんです」

227 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:33:43.35 ID:o/fTASlA0

K「なに、ゲームだと?」


生徒達は、その場にいなかったKAZUYAにモノクマとの取引について話した。


                  ╂


植物庭園を探していた生徒たちは、なかなか目的のものが見つからずに焦りを感じていた。


葉隠「そもそもよぉ、俺達は一体なにを探してんだ?」

セレス「宝物、とは言いますが具体的なことは何も聞いていませんからね」

腐川「そんなんじゃいつまで経っても見つからないわよ!」

十神「セレス。ギャンブラーの勘とやらは働かんのか?」

セレス「わたくしは超能力者ではありませんのよ。そういうことは葉隠君の分野では?」

葉隠「お、いっちょ占ってみっか?」

腐川冬子「やめなさいよ。葉隠に占わせたら七割の確率で外れちゃうじゃない!」

葉隠「んなこと言われてもなぁ! 何もしないよりはマシだべ!」


話していると、物置周辺を探していた大和田チームが合流した。


大和田「おーい! そっちはなにか見つかったか?」

朝日奈「こっちは全然ダメ!」

不二咲「肥料の袋も全部見たんだけど、それらしいものはなかったんだ」

十神「チッ。そっちも収穫なしか」

228 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:34:41.71 ID:o/fTASlA0

苗木「みんな! ちょっとこっちに来て!」


その時、苗木がメンバーを呼びに走ってきた。


苗木「妙なものを見つけたんだ!」


苗木に連れられモノクマフラワーの前に全員集まる。舞園が花の裏側を指し示した。
遠目でハッキリしないが、小さな袋のようなものが置かれているように見える。


舞園「あそこです!」

石丸「苗木君があの花に襲われそうになったところを霧切君が助けて、その時に舞園君が見つけたのだ」

大和田「デカした、兄弟!」

腐川「見事に一人だけ役に立ってないわね……」

石丸「僕は転んだ苗木君を助け起こして運んだぞ!」

十神「そんなことはどうでもいい。……位置が悪いな」

霧切「あの花は巨大な食虫植物のようなものよ。迂闊に近づけば呑み込まれるわ」

不二咲「どうしよう。せっかく見つけたのに……」

大和田「俺に任せろ。花なんてぶっ潰してやるぜ!」

朝日奈「あ、危ないって! 万が一のことがあったらどうするの?!」

霧切「……物置に除草剤はないかしら? 植物だから、枯らしてしまえば……」

不二咲「あ、そういえばあったよ!」

大和田「持ってくるぜ!」

229 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:35:27.78 ID:o/fTASlA0

             ・

             ・

             ・


モノクマフラワー「」シナシナシナ……

苗木「貴重な植物かもしれないから、可哀想な気もするけど……」

舞園「仕方ないですね。こうしないと取れませんし」

葉隠「霧切っち、まだ危ねえって!」

霧切「…………」


モノクマフラワーが枯れるや否や、霧切は素早く袋を回収する。


十神「中身はなんだ?」

霧切「――鍵だわ」

セレス「鍵? どこの鍵ですか?」

霧切「調べるのは後でも出来る。とにかく今は戻りましょう」


                  ╂


K「それがこの鍵か……俺の持っているマスターキーとは形状が違うな」

霧切「私が見た限り、一箇所だけこの鍵が入りそうな場所がある」

K「マスターキーが使えない場所。すなわち、黒幕にとって最も重要な場所と言うわけだな」

K「恐らく……情報処理室。黒幕の本拠地!」

230 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:36:48.57 ID:o/fTASlA0

桑田「な、なんでそんな重要なもんを渡したんだよ? 殴り込みにこいってことか?」

山田「……まさか、僕達に降参するつもりとか?」

朝日奈「ええ、そんな……そんなことってあるのかな?」

セレス「では、戦刃むくろを殺したのは有終の美を飾るためということですか?
     自分で作り上げた舞台の幕を引くために、自ら犯人となったと」

十神「ヤツのことだから何か仕掛けているだろうが、面白い。この謎を説けば全て終わりと言うわけだ」

大神「文字通り最後の戦い、か」

不二咲「この裁判が終われば、なんらかの決着が着くってことなんだね……」

桑田「おっし! 燃えてきた! やってやろーじゃん!!」

大和田「おうよ! 完膚なきまでにやっつけてやるぜ! まあ、推理はおめえらに任せるけどな」

山田「そこで人任せですかー?!」

腐川「そ、捜査の最中に襲ってこないわよね? 大丈夫よね?」

舞園「大丈夫だとは思いますが、なるべくバラバラにならないようにしましょう」

苗木「よし、なら早速モノクマファイルを確認して捜査に……」

K「…………」

苗木「先生?」

K「……何か言ったか?」

苗木「ぼうっとして、どうかしたんですか?」

K「いや、なんでもない……。そうだな。捜査に行こう」


KAZUYAの口数は少ない。
231 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/05/28(木) 02:39:10.42 ID:o/fTASlA0

ここまで。


皆様、ご体調はいかがでしょうか?1は生きております。
コロナの影響で相変わらず仕事は忙しいですが、無事です。

皆様もお気をつけて。それでは。

232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/28(木) 13:26:18.39 ID:0sbo+b+dO

身体に気を付けて
233 : ◆takaJZRsBc [sage]:2020/09/06(日) 22:36:12.10 ID:p54HlrUJ0

生存報告

ミスが有ったので修正。戦刃さんの死体発見現場は一階と二階の踊り場でした。


ちょっと暑さが落ち着きましたね。皆様いかがでしょうか。
1は夏バテに弱くて熱中症に何度かなりかけてました。おかげで
更新が大幅に遅れてました。すみません。

だいぶ間が空きましたがけして遊んでるわけではなく……
賞金もないようなささやかな小さい賞ですが、この間初めて賞を頂きました。
あと、初めて新人賞の一次を通過しました。もしいつかデビューできたら、
余った時間全部このSSに回して完結させるのでどうか祈っててください……
234 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/09/06(日) 22:38:27.31 ID:p54HlrUJ0

K「これが最後になるなら準備をしないとな。お前達は先に行っていてくれ」

大和田「おっし! 気合い入れるぞ!」

葉隠「最終決戦だべ!」

不二咲「みんな、頑張ろうねぇ!」


ぞろぞろと保健室を出ていく生徒達。


K「……石丸。ちょっといいか?」

石丸「はい? なんでしょう?」


他の生徒達が出ていったのを見計らい、KAZUYAは引き出しから分厚い封筒を取り出した。


K「ここに俺の知り合いの医者達のリストがある。念の為、アルターエゴにもデータを入れたが
  もしなにかあったら頼るといい。外がどうなっているかわからんが、いくらなんでも
  全滅はしていないはずだ」

石丸「ありがとうございます! ちなみに、先生は……」

K「……俺はここを出たら忙しくなる。残念だがずっとお前達を構っている訳にもいかないだろう。
  だから、苗木と協力して立派な医者になるんだぞ」

石丸「はい! わかりました!」


KAZUYAは手を差し出した。


K「――医者の道は険しい。みんなと手を取り合って、頑張れ。
  何があってもくじけるんじゃないぞ!」

石丸「……はい!」


がっしりと握手を交わし、石丸も走っていった。

235 : ◆takaJZRsBc [saga]:2020/09/06(日) 22:39:21.99 ID:p54HlrUJ0

K(本当に成長したな……)


KAZUYAもゆっくり後を追った。途中、気になった桑田が戻ってきた。


桑田「せんせー! どうしたんだよ! 早く捜査しねーと」

K「なに、俺はもう大体見当がついている。だから焦る必要はない」

桑田「お! さすがせんせーだな! もう全部お見通しってワケか。
    っても、今回の犯人はモノクマこと江ノ島で決まりだろーけど」

桑田「証拠とかもうバッチリな感じ?」

K「……まあな」

桑田「頼りにしてますよーっと」


桑田がKAZUYAの背をバンバンと叩き、KAZUYAは笑った。


K「ありがとう」

桑田「へ? なんだよ、急に。なんか辛気くせーなぁ。そーゆーの死亡フラグっぽいぜ?」

K「いや、なんとなくな」

桑田「……やめろよな。ほんと、縁起悪いから。早く江ノ島をやっつけようぜ!」

K「おっと」


桑田がKAZUYAの背をグイグイと押して、現場検証が始まった。

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