【偽三次創作】どこかの誰かの話 その2【のんびり、まったり】

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23 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2018/08/12(日) 16:46:33.44 ID:wCxRYpft0
>>18の続き


部屋で如南行きの準備を急ぐ私の前に、春蘭と荀ケ殿がやってきた。
準備している手を止めて、丁重に招き入れようとすると春蘭が、
「いや、構わんでいい。か、いや曹操様よりの使いだからな」
はて?と思っていると、
「『馬と当座の食料は準備させているから、必ず受け取って行きなさい。それと、用事が済んだら南皮ではなく必ずここ(陳留)に戻ってきなさい。
  これは命令よ』」
と伝言を告げる春蘭。そして、
「貴様のことだから死ぬとは思わん。だが、一度陳留には帰ってこい。大体だな、送別の宴も見送りも無しに如南からそのまま洛陽へ。なんて寂しいこと、許さんからな。私も官位持ちの身だからな、そんな事したら宮中に乗り込んでぶん殴ってやるからな」
真顔でそう物騒な事を言い放つ。
荀ケ殿からは、
「単独行だとあんたの事だから何やらかすかわかったもんじゃないわ。なので、監視を付けます。これは曹操様以下中枢全員の同意を得ているわ。言っておくけど、監視役はウチ(曹操軍)の一員だから気が済んだらちゃんと送って来なさいよ。あ、出来れば使えそうなのを一人、いや二人、面倒ね、連れて来られるだけ根こそぎさらってらっしゃい」
こちらも真顔で言うのでさすがに、
「いや幾ら人材豊富な袁家とはいえ、そこまでは人材が余っていないでしょう」
思わずツッコンでしまった。

取り敢えずの準備が整ったので、曹操様の命令通り厩へと向かうと、
「横着さん、一緒に行きますよ」
えっへん。と胸を張る小柄な少女、許楮殿がいた。
「もしかして監視役というのは……」
「はいっ!私ですっ!曹操様からも、春蘭様からも秋蘭様からも、荀ケ様からも、そう言われましたっ!道草したら、ちゃんと報告しますっ!」
恐る恐る尋ねた私に、非常に元気な声でそう返事する許楮殿。
……まぁ自衛はできるし馬なら速度差は無いし構わないか。
「では、よろしく願います。軍監殿」
許楮殿に丁寧に礼を執ると、ちょっとくすぐったそうに「えへへ」と笑う。我が愛娘を思い出して思わず頭を撫でてしまった。

許楮殿と轡を並べて陳留城門へ向かうと、親分が背後に数人の手下と思しき連中を引き連れて待っていた。
「見送りか?」
そう訊くと、親分が背後の連中に身振りで合図する。統制の取れた動きで素早く私の前に並んだ連中、全員いい面構えをしている。
「こいつらは、如南出身でね。わっしが駆け出しの頃からの乾分でさぁ。わっしと一緒に修羅場も出入りも散々潜ってきたし、黒山賊とも渡り合ってきた腕には覚えのある連中です。
将軍様ぁは多分人にゃ言えない何かで急に出立されるんでしょう?なら、矢除け代わりにこいつらぁ連れて行ってくだせぇや。なに、足手まといには絶対なりやせんしそれに如南の裏にも少しは顔が利きやす。荷物持ち位の気持ちでどうかお連れなすってくだせぇや」
淡々と、それでいて熱のこもった親分の弁に心中で感謝しながら、
「なら、助っ人を借りるぞ。お前達、馬は有るか?」
親分と連中、双方に声を掛ける。すると連中の側に馬を引いた奴らが現れた。連中も慣れた物腰で機敏に馬に跨る。
……親分といい、連中といい、絶対無頼の振りした何か。だな。
確信するがそれは表に出さず、
「時間が惜しい。行くぞ」
そのまま馬に合図をくれると、城門を駆け出した。



 
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