伊織「やよいのパーおじさん」

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58 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/24(日) 15:18:55.46 ID:1GdqYxKd0
――OUT No.7 PAR4 y 340y ピンはグリーン左奥――

伊織「右ドッグレッグね。やよいなら2打目はウェッジで行ける距離じゃない」

やよい「ドライバーはつかわないですよ?」

伊織「なんでよ。ここもバーディ狙っていけるでしょ?」

やよい「フェードをかけられなかったらそのまま突き抜けちゃうから。OBはかなり怖いかなーって」

伊織「そうだったわ。この距離で突き抜けるなんて考えたことがなかったわ」



伊織 1打目 1W



伊織「ちょっとぉ! 思ったよりランが出ちゃったんだけど!?」

千早「クロスバンカーね。水瀬さんなら大丈夫よ」

伊織「やよいが突き抜けるって話をしてたのにこれよ。私はずいぶんと考えが甘かったわ」

千早「私もこのホールは攻めたいわね」



千早 1打目 1W



伊織「ナイスフェード。フェアウェイど真ん中ね」

千早「それでも2打目は水瀬さんより4番手くらい上を使わないといけないわ」

伊織「使うクラブは自由でしょ。スコアカードに書くわけでもないんだし。」

千早「そうね。けれどこればっかりはどうにもならないわね」



やよい1打目 5W



やよい「あうー。突き抜けちゃいました」

亜美「どんまい、やよいっち。バンカー脱出を見せてよ!」

伊織「……同じ結果を出すのに4番手も違うとけっこう来るわね」

千早「そうでしょ? 何とかバーディチャンスに着けたいわ」



亜美 1打目 1W



亜美「おっ! ナイスショットですなー」

やよい「インパクトも完璧、ナイスフェードだね」

亜美「バーディーも狙っちゃうよ」

59 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/24(日) 15:21:27.53 ID:1GdqYxKd0

伊織「千早は勝負に出るのね」

千早「ここなら物理的に届くから。今が勝負時よ」



千早 2打目 3W オングリーン 残り 9m



千早「下りで長い距離が残ったわ。難しいわね」

やよい「ナイスオンです、千早さん!」

千早「ありがとう、高槻さん。ちょっと欲がでたみたい」



やよい2打目 PW フェアウェイ 残り 55y
伊織 2打目 6I フェアウェイ 残り 50y



亜美「亜美も勝負だよ……」

伊織(なんて集中力。茶化せないわよ)

伊織(やよいと千早はかなりふざけてるわね)

2人は【QUIET】の札を持っていた。



亜美「いっけー!!」



亜美 2打目 3W オングリーン 残り 4m


亜美「ふっふーん。乗っちゃった♪」

やよい「ナイスショット!」

亜美「あ、いおりんには渡してなかったね。はいどーぞ」

伊織「あんたが用意してたの!?」

亜美「そーだよ。緊張した時ほど笑わないとね」

伊織「いや、その通りなんだけど」

60 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/24(日) 15:23:46.04 ID:1GdqYxKd0



やよい3打目 6I 65y グリーンオーバー 残り 11m
伊織 3打目 AW 60y オングリーン 残り 5m



千早「距離合わせに全力ね」



千早 3打目 PT カップ手前 1.5m



千早「下りだったからむしろ良かったくらいだわ」



やよい4打目 5I カップ手前 1m



やよい「難しいです〜」



伊織 4打目 PT カップ手前 50cm



伊織「上りなのにねじ込めなかった」

伊織「亜美は下りの4mね」

亜美「……」

伊織(さっきよりも集中しているわ。そうだ。私もやらないと)



【QUIET】



亜美 3打目 PT カップイン



亜美「やったYO! バーディが獲れたよ!」

千早「おめでとう」

やよい「やったね!」

伊織「大したものね。外したら2mは走ったわよ」

亜美「入ってよかったね。ほんとに」

千早「いえ、入れる意思があったからこそね」

伊織「確かに。私にはできなかったわ」

亜美「ふふーん。もっと褒めてもいいんだよ?」

やよい「亜美、すごい!」

亜美「いやー、どーもどーも」

61 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/24(日) 15:24:12.80 ID:1GdqYxKd0



千早 4打目 PT カップイン
やよい5打目 PT カップイン
伊織 5打目 PT カップイン



伊織(楽しい。すごく楽しいわ!)



Total
伊織:+1
千早:+1
やよい:+2
亜美:+2
62 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/30(土) 15:38:53.02 ID:eqm1VASN0
――OUT No.8 PAR5 y 480y ピンはグリーン左手前――

伊織(Par.5はやよいも勝負を仕掛けてくるのよね)

伊織 1打目 1W 225y フェアウェイ 残り 255y
千早 1打目 1W 185y フェアウェイ 残り 295y
やよい1打目 1W 255y フェアウェイ 残り 225y
亜美 1打目 1W 190y フェアウェイ 残り 290y


伊織(あらためて見るととんでもない飛距離ね。私だって結構飛ぶほうなのに)


伊織 2打目 3W 190y フェアウェイ 残り 35y
千早 2打目 3W 160y フェアウェイ 残り 135y
やよい2打目 3W 220y ガードバンカー 残り 5y
亜美 2打目 3W 165y フェアウェイ 残り 125y


伊織(2打目でガードバンカーですって? どんな次元でゴルフをしてるのよ!)


伊織 3打目 AW 30y オングリーン 残り 5m
千早 3打目 5W 140y オングリーン 残り 8m
やよい3打目 SW 10y フェアウェイ 残り 12y
亜美 3打目 UT 130y オングリーン 残り 4m


伊織(グリーンと反対側に出した? 確かに顎は高いけれど、今の球筋なら絶対に乗るのに?)


伊織 4打目 PT カップ手前 残り 50cm
千早 4打目 PT カップ奥 残り1m
やよい4打目 6I 12y カップ右 残り 20cm
亜美 4打目 PT カップ奥 残り 1.5m


伊織(やよいってばクラブ選択を間違ってないかしら? ま、何を使ってもいいんだけど)


伊織 5打目 PT カップイン
千早 5打目 PT カップイン
やよい5打目 PT カップイン
亜美 5打目 PT カップイン


伊織(ここは全員パーセーブね)


Total
伊織:+1
千早:+1
やよい:+2
亜美:+2

63 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/30(土) 15:39:55.89 ID:eqm1VASN0
――OUT No.9 PAR4 330y ピンはグリーン右奥――

伊織 1打目 1W 190y フェアウェイ 残り 140y
千早 1打目 1W 170y フェアウェイ 残り 160y
やよい1打目 5W 200y フェアウェイ 残り 130y
亜美 1打目 1W 175y フェアウェイ 残り 155y

伊織 2打目 5UT 130y フェアウェイ 残り 10y
千早 2打目 4UT 130y 左ガードバンカー手前 残り 30y
やよい2打目 9I 120y フェアウェイ 残り 10y
亜美 2打目 3W 150y 右ガードバンカー 残り 7y

伊織 3打目 AW 10y オングリーン 残り 70cm
千早 3打目 SW 30y オングリーン 残り 10cm
やよい3打目 7I 10y オングリーン 残り 30cm
亜美 3打目 SW 10y オングリーン 残り 3m

伊織 4打目 PT カップイン
千早 4打目 PT カップイン
やよい4打目 PT カップイン
亜美 4打目 PT カップオーバー 残り 1m

亜美 5打目 PT カップイン

Total
伊織:+1
千早:+1
やよい:+2
亜美:+3



伊織「フロントナインが終わったわ。食事にしましょう」



64 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/30(土) 15:42:40.04 ID:eqm1VASN0
ハーフ休憩



伊織「今日は私のホームコースに来てもらったから。食事は御馳走するわ」

亜美「やったぜいおりん。ごちになります!」

千早「ありがとう、水瀬さん」

やよい「はわっ、どうしよう。けど伊織ちゃんはここのメンバーだもんね。私もごちそうになります」

伊織「にひひっ。ゲストはもてなさないとね。はい、メニュー」

やよい「よ、読めない漢字が多い」

伊織「そんなことないでしょ」

亜美「じゃあじゃあ、亜美が選んであげるよ」

やよい「うぅ。お願いするね」

千早「いいの? 自分で選ばなくても」

やよい「はい。好き嫌いはないですし楽しい料理が食べられそうです」

亜美「よし。やよいっちはこれだ!『不死鳥卵』一体何だろうね!」

やよい「何が出てくるんだろう?」

亜美「亜美はこれ!『常夏北京鴨』ぜったいにおいちいね」

伊織「さすが亜美ね。どっちもいい選択だわ。千早はどうするの?」

千早「私は『鳥のムネ肉 蒼い鳥ソース』にしようかしら」

伊織「……初めて見るメニューね。私は『鳳凰水晶』にするわ」

65 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/30(土) 15:43:11.33 ID:eqm1VASN0



伊織「ハーフ終わってどう? 皆かなりいいんじゃないかしら」

亜美「そだね。初めてのコースで+3は亜美にとってもいい感じだよ」

伊織「せっかくだから勝負しない? 負けたら」

やよい「に、にぎりですか!?」

千早「大丈夫よ、高槻さん。そんなことはしないから」

伊織「やよい、あんたねぇ」

やよい「うぅ。ごめんなさい」

亜美「まーまー。終わった後のお風呂で背中を流すとかでいいじゃん」

千早「亜美、とても冴えてるわ」

伊織「勝ったほうが流してもらえるのね? それとも流すほうがいいかしら?」

亜美「なんでそれに決まったのさ」

やよい「それだったら大丈夫ですー。こう見えて私とくいなんですよ」

千早「素敵よ、高槻さん。勝負の方法はスクラッチでどうかしら」

伊織(9ホールを見る限り誰が勝ってもおかしくないから当然の提案だわ。勝つために保険をかけたいけれど疑いの目は持たれたくないし)

亜美「ずるいよ千早お姉ちゃん! 亜美勝てないじゃん」

伊織(最高よ、亜美! 今日のあんたは輝いてるわ!)

やよい「私もハンデが欲しいかなー、なんて」

千早「そうよね。少し浮かれてしまったわ。水瀬さんもハンデ戦でいいかしら」

伊織「そ、そうね。それがいいんじゃないかしら」

亜美「はーい! 亜美はハンデ6だから現時点でなんと、−3という凄まじいスコアなのです」

やよい「うわー。亜美すごいね!」

亜美「でしょでしょ?」

千早「あれだけグリーンで強く打てれば亜美が勝つ可能性はかなり高いわね」

やよい「そうすると千早さんのスコアは+1ですね。伊織ちゃんはハンデいくつ?」

伊織「私は5だから、現時点で−4でいいのかしら」

千早「すごいわ。現時点で私が最下位ね。高槻さんとは1点差か。頑張らないと」

やよい「私も頑張ります―」

伊織(このまま逃げ切るのよ、私!)
66 : ◆0eT/mKPbWs :2019/03/30(土) 15:43:52.01 ID:eqm1VASN0



この時、なんとなく伊織はやよいのハンデを聞き流した。

無意識に自分の積み重ねてきたものが崩れそうな気がしたからだった。



67 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:40:50.72 ID:MXhy+heA0
>>66 削除

亜美「ご飯も食べたし。やよいっち、パットの練習してこようよ」

やよい「そうだね。伊織ちゃん、ごちそうさまでした。とってもおいしかったよ」

伊織「そう。よかったわ」

伊織は練習グリーンへ向かう二人を見送る。

68 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:41:44.02 ID:MXhy+heA0
千早「水瀬さん、バックナインでの作戦会議をしましょう」

伊織「なによ急に」

千早「私はどうしても勝ちたいわ。水瀬さんもそうでしょう」

伊織「別にそんなことはないわ。ゴルフを楽しめたらそれでいいじゃないの」

千早「本当にそれでいいのかしら。自分の心に嘘をつくとパッティングに影響がでるわよ」

伊織「……勝ちたいわね。ものすごく勝ちたいわ」

千早「でしょう?」

伊織「けど出来ることはあんまりないわよ」

千早「使用クラブの相談をできるようにしましょう。傾斜や芝目や考えも相談するの」

伊織「そこまでしたらゴルファーとしてどうなのかしら」

69 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:44:04.15 ID:MXhy+heA0
千早「公式戦じゃないしいいでしょう。アイドルの大会とは違うわ」

伊織「なんで大運動会の話がでるのよ」

千早「……やっぱり。あなたは違う水瀬さんなのね」

伊織「どういうこと?」

千早「アイドルの大会はライダーズカップだったわ。大運動会はしたことがない」

千早「こんなことがあるのね。アイドルをやっていると不思議なことも起きるわ」

伊織「じゃあ私は誰なのよ」

千早「水瀬さんよ。あんまりにも同じだから私たちが初めてゴルフをした時を思い出してしまったわ」

千早「そして何よりも揺らぎないこの想い。高槻さんの背中を流したいでしょう?」

伊織「私は別に」

千早「自分の心に嘘をつくとパッティングが鈍るわよ」

伊織「ふわふわの背中をさわりたいわ」

千早「ええ。必ず」

伊織「さあ、パッティンググリーンに行きましょう。むしろ相談しまくる提案をしてより良いバックナインにしましょう」

70 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:48:30.37 ID:MXhy+heA0
――パッティンググリーン――

亜美「やよいっちー。ここの傾斜はDo-Dai?」

やよい「1.5度だね」

亜美「うわー、なんでそこまで分かるの?」

やよい「教えてくれた人がそういう人だったから」

亜美「あー、黒ちゃんか。こういうところ細かいよね」

やよい「足の裏の感覚を研ぎすませ、芝の上でするスポーツだからって」

亜美「じゃあここからカップまでどれくらいの距離感?」

やよい「実距離が5mだから8m打つ時のつよさかな」

亜美「ふーん。えいやー」

パチっ

亜美「うわ!ほんとうだ」

やよい「亜美は縦の距離感が抜群だね」

亜美「ドッキ―がそんなことをいってるからね」

やよい「バックナインは何か変わったことするかな?」

やよい「伊織ちゃんにコースの説明をしてもらいたいかなー。とっても難しいから」

亜美「そいじゃ午後はガンガン聞いちゃおう。別に大会じゃないからいいっしょ」

やよい「そうだね」

亜美「千早おねーちゃんといおりんがきたよ」

亜美「午後は相談ありにしよう」
71 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:50:11.41 ID:MXhy+heA0
――バックナイン開始――

伊織(午後は相談ありにしたけれど、あんまり変わらないわね)

伊織(亜美は私のマネジメントとかなり近いからいいけれど、千早とやよいが違いすぎる)

伊織(千早とは距離感が違うしやよいとも距離感が違う)

千早「私はここから7Iを使うわ」

伊織「流石に大きすぎないかしら」

千早「ランを出さない打ち方をするのよ」

パコーン

伊織(トップした? これじゃグリーンをオーバーしちゃうわ)

亜美「でた!ちはやお姉ちゃんのブレーキボール!」

伊織(ミドルアイアンを使ってグリーン上でこの急停止。おかしいでしょ)

やよい「私はここから7Iを使いますね」

伊織「流石に大きすぎるでしょ。30yardないのよ」

やよい「大丈夫だよ、伊織ちゃん。グリーンはかなり奥の方だから」

ポコン

伊織(あ、これはやばいわ。この距離からチップショットなんて)

カコーン

やよい「うっうー! やりました!」

亜美「凄いよ!やよいっち!」

亜美「亜美はここからPWを使うよ」

伊織「そうよね! ゴルフってそんな感じよね」

パコーン

伊織「ナイスオン!」

72 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:51:16.49 ID:MXhy+heA0
伊織「千早のパッティングはかなり長い下りだけどどうするの?」

下りは得意なの。真に結構、こけっこーなのよ」

パコッ

伊織「(え? 無回転? パターでそれはありえないでしょ)

カコーン


亜美「亜美は普通に打つよん」

パチッ

千早「いつでも強めに打てるのは心が強い証拠ね」

やよい「そうですね」

亜美「やったー」

伊織(確かにすごいわ。ここまで全部一切ブレることなく強めに打っている)

73 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:52:32.63 ID:MXhy+heA0
――勝負ホール――

伊織(ここが勝負時ね)

パコーン

伊織(しまった。OBだ)

伊織「……」

打ち直し

伊織(グリーンに乗らなかったわ。こうなったら微妙な位置だけど一か八かでパターでカップを狙って)

やよい「伊織ちゃん」

伊織「なによ」

やよい「カラーまで上りでそこから先はカップまでずっと下りだよ」

伊織「だから何よ。カップに入ったらちゃんと止まるじゃない」

やよい「もし伊織ちゃんのこのストロークが2打目だったら同じことする?」

伊織「……」

やよい「一生分の平均スコアで勝負だよ」

伊織「……SWを使うわ」

やよい「流石いおりちゃんだね。左右に傾斜はないから絶対に大丈夫だよ」

凸っ

伊織(しまった。少しダフったわ)

伊織(カラーは超えてグリーンには落ちたけど……)

亜美「凄いよいおりん!完全にラインに乗って転がってるよ!」

千早「あとほんの少しでカップインだったわね」

伊織「いえ、これだけ寄ったのよ。十分だわ」

やよい「いおりちゃん、ナイスダブルボギー」

伊織「ありがとう、やよい」

74 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:54:11.48 ID:MXhy+heA0
――最終ホール――

伊織(今までで一番って思えるくらいいいラウンドだった)

伊織(全員がそれぞれのハンデでパーセーブ中。やよいだけが+2ね)

伊織(ただやよいのスコアを崩したのは私のダブルボギー。あれさえなければ同じリズムで進められたはず)

パコーン

伊織「(今日1がここで出た。2打目、3打目も上手く打てる確信がある)

やよい「どうしたのいおりちゃん。難しい顔をしてるけど」

伊織「とても楽しいゴルフだったわ。もう終わるかと思うと残念ね」

やよい「本当だね。よーし、後3打がんばりますー」

バチコーンッ!!

伊織(諦めていないどころか、平常心だわ)

伊織(あと3打って……イーグル狙いなわけ?)

伊織「ライがいい。2打目は3Wが使える」

パコーン

伊織(ベターショット。距離はそこそこで3打地点もライがよさそうね)

75 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:54:52.48 ID:MXhy+heA0

伊織「やよいはどうするの?ライはいいしもしかしたら2打でオングリーンするかもしれないわ」

やよい「グリーンには届かないけど私も3Wを使うよ」

バチコーンッ!!

やよい「いえい!」

伊織「もう少し、ほんの少しでグリーンなのに」

やよい「私の飛距離じゃ届かないよ。けど絶対に大丈夫だよ」

伊織「3打目はPWで行くわ」

やよい「伊織ちゃんなら48度の距離じゃないかな?」

伊織「私は絶対に勝ちたいの。今、ボールは完璧な芝の上にのっかっているわ」

伊織「もうほとんどティアップしているようなものだからボールのスピンも落ちた後の転がりも読める」

伊織「PWを少し短く持って普通に振りぬくわ」

やよい「うん!」

パコン

カップまで2m

やよい「ナイスショット」

76 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:56:49.39 ID:MXhy+heA0

伊織「やよいはどうするの?」

やよい「私はこれです!」

伊織「4Iはもうなんだかわからないわね」

やよい「いおりちゃんと同じだよ。ボールが完璧な芝の上にのっかってる」

やよい「スピンは掛けない。完全なノースピンで打つから落ちた後の転がりも読めるよ」

やよいはグリーンの芝をを見にいき、そして戻ってくる。

伊織「4Iでのノンカット・ロブ・チップ、いきますよー」

コンッ

伊織「(アイアンでノースピンだなんて。ボールのプリントがはっきり見えるわ)

コロコロ

伊織「(完全にラインに乗っている。ボールの走りも完璧ね)

カコーン

やよい「いえい!」

伊織「脱帽だわ」
77 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:58:11.09 ID:MXhy+heA0
――結果発表――

亜美「ネット1位、千早おねーちゃん」

亜美「ネット1位タイ、いおりん」

亜美「ネット1位タイ、やよいっち」

亜美「ネット1位タイ、亜美だよー」

千早「くっ! あの羅綾をカップにねじ込めれば!」

亜美「まーまー。1ラウンドに4回もチップインを出したら罰が当たるよ」

伊織「あのパターさえねじ込めれば!」

亜美「まーまーいいゴルフだったよいおりん」

やよい「頑張りましたー」

亜美「最後にイーグル出してイーブンパーに戻すんだから。やよいっちは不死鳥だね」

亜美「そして亜美の見事なパーパットで幕を閉じたのです」

パチパチパチ

伊織「勝負は流れてしまうのね……」

千早「水瀬さん、次こそは必ず」

やよい「じゃあみんながパーおじさん※に勝ったのでお互いに流しっこしましょう」

―――
――
78 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:58:42.97 ID:MXhy+heA0

やよい「いいお湯だったね」

亜美「本当だね」

千早「とてもいいお湯だったわ……」

伊織「……ええ」

伊織(それもそうだけれど)

伊織(今日は最高のゴルフだったわ)

伊織(そういえば……)

伊織(……よかった。パンツまでは黒じゃなかったのね)



おしまい
79 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 12:01:30.19 ID:MXhy+heA0
※パーおじさん
オールドマン・パー(英語: oldman par)とは、ゴルフにおける概念。ボビー・ジョーンズが著書『ダウン・ザ・フェアウェイ(Down the Fairway)』で記した概念はゴルフの本質を端的に表すものとして語り継がれている。
オールドマン・パーはバーディーも出さないが、ボギーも出さない。パーおじさんと各ホールで戦うことこそがゴルフなのだとボビー・ジョーンズは述べている。
他のプレイヤーと競うのではなく、ゴルフコースのパーとのみ戦うことの積み重ねが自身のスコアにつながるという考え方である。
80 : ◆0eT/mKPbWs [saga]:2019/10/28(月) 12:03:11.32 ID:MXhy+heA0
765プロのアイドルにゴルフをさせたかった。

妄想している間は楽しかったけれど文字に起こすと大変だったのでまたいつか頑張る。
81 : ◆0eT/mKPbWs [saga]:2019/10/28(月) 12:24:52.44 ID:MXhy+heA0
千早だけおかしなゴルフをしているのは、小池一夫先生と叶精作先生の名著「新上ってなンボ!! 太一よ泣くな」から引用しているから。
漫画のゴルフは必殺技があって楽しい。
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