千歌「念能力でラブライブを目指す!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 19:24:14.50 ID:L9oCnlUw0
内浦、海岸


千歌「…」

ザザーン


千歌「『あなたたちのやってることはスクールアイドルへの侮辱です』、か」

千歌「…」はぁ…


千歌(初めはただの憧れだった…。私もμ’sみたいに輝きたいって思ってた)


千歌(でも…。結局私はスクールアイドルになれればそれで良かったのかな)


千歌「それじゃあ本気でやってる人たちからしたら舐めてるって思われても仕方ないよね」

千歌「…」ぽろぽろ


千歌「何やってるんだろ…私」



ザザーン



―――――――
―――
――


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1533032654
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 19:30:06.08 ID:L9oCnlUw0
ダイヤ「…やはり、東京行は止めるべきでした。1番近くで見ていた私が」

果南「いや、ダイヤは悪くないよ。…でも、やっぱりあの‘壁’は今の千歌たちには高すぎる」

ダイヤ「あんな思い、絶対あの子達にはさせたくなかった…。もしかしたら、彼女達に身勝手な期待を押し付けていたのかもしれませんわ」

果南「ダイヤ…」

鞠莉「私は良かったと思うけどね」

果南「ま、鞠莉?!アンタいつの間に…!」


鞠莉「うふっ、マリー抜きで楽しそうな会話してるじゃない。果南、ダイヤ♡」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 19:35:33.92 ID:L9oCnlUw0
鞠莉「何よ、こんな時間に2人でラブラブしちゃって!マリーも混ぜなさいよ」グイグイ

果南「はぁ…、私たちがそう見えてるならさぞ毎日楽しいだろうね」

鞠莉「ふふ…♡当り前じゃない。で、どう?カワイイ後輩ちゃんたちは。今日帰ってきたんでしょう?」

果南「…説明いる?」

鞠莉「あーいいデスいいデス。じゃ、あの子達もこれからね♡」

果南「これからって…、無責任すぎでしょそれ。なんで千歌たちを東京に行かせたの?早すぎるよ…!」

鞠莉「んー。だって彼女達が行きたいっていうから。マリーは理事長として生徒の自主性を重んじただけよ?」

果南「鞠莉の言うこれからを奪ったかもしれないんだよ?!千歌達はまだラブライブを目指すって決めた訳でもないのに。私たち3人であの子たちを応援しようって決めたじゃない!」

鞠莉「遅い早いなんかないわ、結局はあの子たちがどうするかってこと。ねぇ、果南。憧れてしまったのよ、彼女たちは。スクールアイドルに。あの子達の目を見たでしょう?」

果南「ッ…!」

鞠莉「もうあの子たちは高みを目指すほかないの。このまま内浦でスクールアイドル‘ごっこ’だけして終われたかしら?諦められないってことは私たちが良く知ってるじゃない。」




鞠莉「ここからはあの子たちの『燃』の問題。私たちはただ答え待つだけよ♪」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 19:40:38.56 ID:L9oCnlUw0
――――――
―――
――

ザザーン

『千歌ちゃんは…、悔しくないの?』


悔しい、かあ
悔しいってなんだろ?


私、今まで悔しいって思ったことあったかな…?

悔しさを感じるほど譲れない事もなかったし、 むしろ何かあったら他の人に譲ってきた。


私には何の才能もないし、昔から敵わない事だらけだったから、
悔しい思いをしないように、そういう癖を作っちゃったのかもしれないね。



でも、それで良かったんだ。
だって、譲れない事もなかったし。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 19:44:31.31 ID:L9oCnlUw0
『悔しくないの?』

うん。悔しくないよ。

大丈夫だよ、ちゃんと分ってる。
こんな普通な私の望みがかなう訳ないってことくらい。



でも、なんでかな…?

千歌「うっ…うっ…」ポロポロ

なんで涙が止まらないのかな…?


―――――――
―――
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 19:58:02.02 ID:L9oCnlUw0
『…ちゃーん?』

千歌(…?)

『千歌ちゃーん?』

千歌(梨子ちゃん…?)

梨子「あ、いたいた千歌ちゃん」ザッザッ


千歌(…こっちに来る)

千歌(どうしよ、泣いてるなんて知れたら大変だ…!!)

梨子「千歌ちゃん、こんなところにいたん―――

タタタタ!

梨子「え」


バッシャーン!!



梨子「きゃああああ千歌ちゃん?!」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:05:50.19 ID:L9oCnlUw0
―――――――
――――
――

梨子「なんで急に海に飛び込むのよ…」ぐっしょり

千歌「いや〜。私も海の中で何か見つからないかな〜って思って」えへへ

梨子「…何よ、その理由」はぁ…

千歌「その理由って…、それを梨子ちゃんが言うんだ」ボソ

梨子「あ、あれは別にいいでしょ!あの時はどうしても海の音が聴きたかったの!」

千歌「私もどうしても見つけたいものがあったんだよ」あはは

梨子「はいはい。でもあなたの後ろ姿ね、まるで身投げしようとしてる風にしかみえなかったんだから」

千歌「だから〜、それを梨子ちゃんが言うの〜?」

梨子「もー茶化さないでよ!」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:09:45.13 ID:L9oCnlUw0
千歌「ごめんごめん、心配してくれたんだよね。そろそろ帰ろっか。リーダーなんだし、私がしっかりしなくちゃ!それにしても、塩水目にしみる〜」ごしごし

梨子「…」


梨子「…確かに」


梨子「あれはおかしかったね」



千歌「…え?」

梨子「あの時は、正直追い詰められてから」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「ピアノが弾けなくなって、追い詰められてて、1人じゃどうしようもできかった。とても不安だった」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:12:13.43 ID:L9oCnlUw0
千歌「…梨子ちゃん」

梨子「でもあの時、千歌ちゃんは私と一緒に飛び込んでくれた」

梨子「見ず知らずの私に、同じ目線で一緒に話をしてくれたし、聞いてくれた」

千歌「…そう、だっけ」

梨子「うん。正直あの時は訳分からなかったよ、いきなりスクールアイドルの話始めたりしてさ」

千歌「あ、あはは…」


梨子「ねぇ千歌ちゃん」



梨子「そんなに強がる必要ある?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:14:51.52 ID:L9oCnlUw0
千歌「え」


梨子「リーダーだからって、無理する必要あるのかなって」

千歌「…そ、そんな、無理なんてしてないよ。やだな〜梨子ちゃん」


梨子「確かに周りをグイグイ引っ張って行くリーダーなら、みんな安心して付いていける。でも、みんなと一緒に悩んで、同じ目線で話してくれるリーダーも素敵だと思うの」


梨子「私は千歌ちゃんがリーダーで良かったって思ってるよ。それにみんなも」




千歌(…)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:17:09.51 ID:MVvFmqm5O
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12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:19:01.32 ID:L9oCnlUw0
千歌「…でもね、梨子ちゃん。そんな頼りない私のせいでみんなに辛い思いをさせちゃったんだよ」

梨子「1番辛いのは、千歌ちゃんでしょ?」

千歌「…え」

梨子「千歌ちゃんが、1番スクールアイドルやりたがってたじゃない。今まで千歌ちゃんが必死に頑張ってきたの、私知ってるよ」

千歌(私が…やりたがってた…)


梨子「強がらなくていいよ、千歌ちゃん。悔しいよね、私も悔しい…!」


千歌「梨子、ちゃん…」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:22:12.05 ID:L9oCnlUw0
曜「千歌ちゃんは肝心な所で弱みをみせないからね」

千歌「よ、曜ちゃん…!?どうしてここに」

曜「2人と一緒、やっぱ眠れなくてね。みんなもそうみたい」


千歌(―――みんな!?)


ルビィ「千歌先輩、わたし達話し合ったんです!やっぱり諦めたくないって…」

花丸「わたし達もっともっと練習頑張りますっ!だから…」

善子「こんなところで諦めるなんて言わないでしょ、‘リーダー’?」


千歌「みんな…」

曜「…だってさ」

梨子「千歌ちゃんは、どうしたい?」にこっ


千歌「私は…」



千歌(―――そうだ)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:26:47.47 ID:L9oCnlUw0
千歌「曜ちゃん」

曜「…ん?」

千歌「私ね、悔しい。」

千歌「悔しいんだよ、曜ちゃん」

曜「…うん」ニコ


千歌「私ね…、私なんかが悔しいなんて思うのおかしいって思ってた…!」ぽろぽろ

千歌「だって…、だって悔しいって思う権利がある人は、譲れないものがある人だからっ…!」グスッ

千歌「なんの取り柄もない私が…、何もない私が悔しがるなんて…そんなの…おかしいじゃん」

曜「…」


千歌「でもね、どうしてもやっぱり悔しいんだよ…!!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:29:26.15 ID:L9oCnlUw0
千歌「私、スクールアイドルだけは譲れないみたい…」

千歌「これだけは…、譲れない。譲りたくない…!!」グスッ

曜「…そっか」よしよし

千歌「うぅぅ…」


千歌「うわあああん、悔しいよおお」ボロボロ

千歌「悔しいよおうわあああん」


曜「うん…うん…」

―――――
―――
――
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:31:30.25 ID:L9oCnlUw0
翌日、理事長室



鞠莉「お帰りなさい。どうだった、東京は?」

千歌「やっぱり…、東京はレベルが全然違いました。私たちじゃ手も足も出なかったです」

鞠莉「そう」

千歌「考えの甘さを思い知らされました」

鞠莉「ふぅん」


千歌「でも」


鞠莉「ん?」



千歌「私、改めてスクールアイドルは凄いなって思ったんです…!みんな精一杯輝こうとしてて…、改めて惹きこまれました!私たちも負けたくないって、上を目指そうって…!」


千歌「そう決めたんです、みんなで!」

鞠莉「…」


千歌「私達は、ラブライブを目指します…!!」



鞠莉(…ふふ)
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:35:04.80 ID:L9oCnlUw0
鞠莉(…ふふ)

鞠莉「いい事ね」にっこり

千歌「はい!!」

鞠莉「――でも残念」

千歌「え?」




鞠莉「あなた達じゃラブライブには出られないの」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:38:46.63 ID:L9oCnlUw0
みんな「…!!!」

曜「ど、どうしてですか?!」

鞠莉「今のあなた達じゃ『壁』を超えられないから♡」

花丸(壁…?)

善子「だ、だから…、今からたくさん練習して」

鞠莉「ふふっ、いい心がけね。でも」




鞠莉「――それだけじゃ、だ・め・な・の♡」ズズズ


鞠莉「さて、私は今何をしているでしょう?」ニヤリ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:43:45.64 ID:L9oCnlUw0
梨子「な、何って」

善子「何もしてないでしょ!?」

鞠莉「うーん、残念。あなたには見えないのね」

善子「?!、み、見えるわよ!」

花丸「善子ちゃん何がみえてるずら?」

善子「え、えーと…そう!!理事長の背に漆黒の翼が…!」

鞠莉「はずれ♫」

善子「なんでよ!私だって見えるんだからぁ」

曜「…なんか」


鞠莉「はい、渡辺さんなんでしょう」

曜「気のせいかもしれないですけど、理事長の雰囲気が変わったような…」


鞠莉(…ふーん、なるほど。この娘はいい線いってるわね)


鞠莉「タイムアップ。残念〜、ここまでよ♡」



鞠莉「今、私は『念』をつかってまーす」ズズズ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:50:01.49 ID:L9oCnlUw0
曜「念…?」

善子(何言ってんの、この人…)

鞠莉「んー何から説明したものかしら。念ていうのは誰もが持ってる潜在能力みたいなものね、ざっくり言うと」

善子(私にもそんな力があるのかしら…!!)わくわく

花丸「…善子ちゃん」シラー


梨子「あ、あの!話が見えないんですが…」

鞠莉「うーん、そうね。千歌っちがスクールアイドルに憧れた理由ってなんだっけ?」

千歌「え?えーっと…秋葉原でμ'sの映像を見て…、それが凄い輝いて見えて…、私も輝きたいって思ったからで―――


鞠莉「グレイト!いってしまえばあなたはμ'sのオーラに惹かれたって訳ね」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 20:56:21.58 ID:L9oCnlUw0
千歌「μ'sの…オーラ…?」

鞠莉「オーラは人を惹きつける。程度の差こそあれ世間で持て囃されているアーティストや大企業の社長さんなんかは人より強いオーラを持っていると言われているわ。意識しているかは別としてね♪」

ルビィ「…ということは」

鞠莉「昨今のスクールアイドルブームは、彼女たちの持つオーラがそうさせていることになるわね♡」


みんな「――――!?」



鞠莉「そして、ラブライブの上位に入るスクールアイドルになれば、全員それを『意識して』使っているわ」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 21:14:39.18 ID:L9oCnlUw0
千歌(あの時―――)

千歌(秋葉原でμ’sを見て感じたアレは…、μ’sのオーラだったの…?)

曜「じゃあ…、いや全然話飲みこめてないんですけど…、ラブライブで上を目指すためにはオーラが使えることが前提ってことになるんですか…?」

鞠莉「イエス♡いわゆる裏条件て奴ね。上に行くのにオーラが使えなくちゃ話にならないわ。」

花丸「そんな…」

鞠莉「今のラブライブは当初想定していたレベルを遥かに超える事態になっているのは知ってるわよね、μ’sやA−RIZEの影響でね。スクールアイドルの技術自体は当時と比べ物にならないほど進化した。それこそオーラが必須になるほどに。」




鞠莉「でも未だに彼女たちは夢見る少女を惹き続けている…。一体どれほどの念能力者だったのかしら…♫」


千歌「…」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/31(火) 21:19:30.57 ID:L9oCnlUw0
鞠莉「ペラペラ喋ったけど早い話、ラブライブは念能力が使えないようじゃ通用しないってこと」

千歌「念能力…」

鞠莉「ええ、人を惹きつけると言われているオーラを念能力にまで昇華させる程の使い手になれれば取り敢えず勝負の舞台には立てるわね♫。そこから先になってやっとパフォーマンスの勝負ってところかしら。これで練習云々は2の次だって分かったでしょ?」


善子「じゃあ、早く念能力ってのを身につけなくちゃじゃない…!」

鞠莉「うーん、それは無理ね」

善子「ええー、なんでよ!」

鞠莉「言っとくけど念能力は1日、2日でなんとかなるものじゃ無いの。とても長い時間が必要よ?ラブライブ選考は9月から始まる、どう考えても間に合わないわ」
 

梨子「そんな…」

曜「鞠莉さんはそれ、どれくらいでものにしたんですか?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 00:59:37.85 ID:5ReD+QW80
鞠莉「うーん、だいたい3ヶ月ね。でもそれはただ使えるっていう状態よ。ものにしたって意味じゃ1年はかかったわ」


ルビィ「もう2ヶ月しかないのに…1年…」

鞠莉「残念だけどね。そこであなた達に提案があるの」

千歌「?」

鞠莉「―――今回のラブライブエントリーは、旧aqoursに譲ってくれないかしら」


みんな『旧aqours〜〜?!』



―――――
―――
――
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 01:03:26.47 ID:5ReD+QW80
曜「まさか果南ちゃんや生徒会長もスクールアイドルをやっていたなんて…」

ルビィ(お姉ちゃん…)

鞠莉「私達も2年前東京に行った。結果はあなた達と同じよ。今言った見えない壁に行く手を阻まれた」


鞠莉「私の留学もあって活動は有耶無耶になってしまったけど、私達は諦めたわけじゃ無い。この2年間、わたしはずっと念能力を磨いてきた。他の2人もそうよ。私達3人なら、ラブライブでも戦えるわ。」

善子「だから譲れと…?!」

鞠莉「あなた達はまだ来年があるじゃない。私達はこれが最後なの。」

曜「それは」


鞠莉「もちろんこっちの勝手な都合よ。そうね、じゃああなた達は名前を変えてエントリーするのはどう?まぁ、あなた達が万が一地区予選まで残っていたとしてもそこで私達に負けるんでしょうけど」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 01:12:11.97 ID:5ReD+QW80
千歌「そんな…!名前は…捨てられないです。この名前を呼んで、応援してきてくれた人達もたくさんいるから…!」

鞠莉「なら、今年は力を磨きなさい」

千歌「あ、あの…私達、一緒のグループでやっていく事はできないんですか…?理事長たちなら喜んで」

鞠莉(…。)

鞠莉「…無理ね。今のあなた達じゃ私達からしたらただの足枷よ。言っておくけど名前を捨てられないのはこっちも同じ。これは大切な名前だからね。ラブライブは私達の夢だから、絶対に譲れないわ」


千歌(…!)

譲れない?

そうだよ
それなら…私だって…!


千歌「譲れないのは…、私達も同じです…!!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 01:15:22.36 ID:5ReD+QW80
曜(千歌ちゃん…)ギュッ

鞠莉(…ふふ)


鞠莉「困ったわねぇ。じゃこうするのはどうかしら♡まだ予選までは2ヶ月あります。そこまでにどちらが出場にふさわしいか勝負しない?どちらも折れないのなら、相手を折ってでも進むしかない…そうでしょ?これなら分かりやすくて良いと思うんだけど♫」


千歌「勝負…?」


鞠莉「もちろんカラオケバトルだとか、ダンスバトルだとか、男坂階段駆け上がり競争だとかじゃ無いわ。念能力を使った勝負。念とは言ってしまえば『その人の力そのもの』。才能、努力、気持ちーー全てがそこに集約される」




鞠莉「――決着に相応しいと思わない?」うふふ
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 01:20:47.55 ID:5ReD+QW80
梨子「そんな、理事長言ったじゃないですか…。今日知って明日できるものじゃ無いって!」


鞠莉「フェアな勝負じゃないと?でもラブライブには暗黙のルールとして念の習得があるんだし、勝負の条件としては妥当じゃ無いかしら?もちろんハンデはつけるわ。勝負はこちら3人と、あなた達6人。単純計算で2対1。これでどう?私達に2人がかりで勝てないようなら、どちらにせよあなた達に先はない。」


鞠莉「…譲れないっていうなら、奪われないような『力』が必要だと思う。どうかしら?」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 16:36:54.33 ID:5ReD+QW80
千歌「分かりました。やります」



鞠莉(…♡)

梨子「千歌ちゃん?!」


鞠莉「千歌っちはもっとおっとりとした子だと思ってたのにな〜。先輩を立ててくれるような♡」


千歌「そう見えていたのなら、…それは私に譲れないものがなかったからです。でも、今はもう違う。先輩たちがワガママ言うのなら、私たちも言わせてもらいます」

鞠莉「…ふーん♪」


千歌「あ…!ご、ごめんねみんな。勝手に1人で突っ走っちゃって…。あの――

梨子「…いいよ、"リーダー"。やりましょ!」

千歌「梨子ちゃん…」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 16:38:47.11 ID:5ReD+QW80
ルビィ「ルビィも…、せっかくスクールアイドルになれたのに…その夢を今更譲るなんてできないです…!」

花丸「マルも、ルビィちゃんと同じずら!」

善子「念能力ねぇ…。ま、ヨハネなら楽勝よ。私は既に天界から授かりし闇の力にめざめているもの♪」


曜「…だってさ。私ももちろん付き合うよ、千歌ちゃん♫」


千歌「みんな…。ありがとう…!!」

鞠莉(…ふふ)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 16:43:48.63 ID:5ReD+QW80
鞠莉「ok〜、分かったわ。それなら日を決めてなかったわね。9月手前、夏休み最後の日。この日に決着をつけるのでどうかしら?その後のことを考えるならこの日が限度よ。ここまで待ってあげる♡」

千歌「わ、分かりました」

鞠莉「うふふ、健闘を祈るわ。でも諦めるなら早く言ってね〜、私たちも忙しいんだから…♪」

千歌「諦めませんよ、絶対に」

鞠莉「ふふ…、そ。あ、最後に一応言っておくけどね…みんな」

みんな「…?」

鞠莉「手加減はしないから」


――――?!

千歌「…はい」ぞくぞく
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 16:56:13.63 ID:5ReD+QW80
――――――
―――


ダイヤ「それで、あの子達はなんと?」

鞠莉「ふふ、乗って来たわよ。散々煽ったしね〜♫」

果南「前に…、進むんだね」

鞠莉「…だから言ったでしょ。前に進むしかないの♪なんたってあの子たちはスクールアイドルなんだし」

果南「…だね。良かったよ、本当に」

ダイヤ「こうなると、大変なのはむしろここからですわね。期日まで2ヶ月しかありませんのよ」

鞠莉「んー。でもラブライブを目指すって言ったんだから、それくらいはやって貰わないとねぇ…♫」


ダイヤ「こればかりは気持ちでどうこうできる世界でもないですが。しかし、あの子達は未熟だけど持ってはいると思います。スクールアイドルに必要な『何か』を」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 17:40:49.28 ID:5ReD+QW80
鞠莉「そうね。それで、どう?2人とも調子は。あの頃からなまってないかしら」 ニヤリ

果南「ま、それなりかな」ふふん

鞠莉「あー怖い、これは千歌っち達も大変ね。このままじゃ本当に私たちがラブライブに出ることになるかもしれないわ。私、まだ2人とラブライブに出ること諦めたつもりないのよ?」チラリ

ダイヤ「ふふ。どの道全力で当たるだけですよ、鞠莉さん。私たちを超えられないようでは全国でも戦えないでしょうから…。その件についてはその時になったら考えましょうか」ふふ

果南「あとはあの子たち次第だね。楽しみに待っていようか」


鞠莉「うふふ。まだ始まってもいないのに、今から夏休み明けが楽しみだわ♡」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 18:21:07.03 ID:fMeK8HESO
千歌「念能力…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493387452/
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 23:11:34.00 ID:5ReD+QW8o
>>34
すいません、これの書き直しです
今回は終わらせる事を第一にコンパクトにまとめるつもりです
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 23:12:35.72 ID:5ReD+QW80
#.1


普通な私の日常に、突然訪れた奇跡

何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目を振らずに走りたかった

何をすればいいのか分からずに,
くすぶる私を吹き飛ばし、舞い降りた――――


それが


千歌『…っ!!』


――――μ’s

あの時感じた『全身の毛穴が開くような』感覚――
私の中の『何か』が体から溢れて出たがってるように思えた
やっぱり嘘じゃなかったんだ


『君も感じてるよね、始まりの鼓動』
START:DASH!!



ここから、私たちの本当の物語が始まるっ…!!!
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 23:20:14.95 ID:5ReD+QW80
千歌「合宿を、します!」

みんな「おおっ」

千歌「夏休みを利用してここにいる全員に念能力を取得してもらいます!まずは理事長の言った通り、基礎練の見直しから始めるよ!!」


――――――
―――


回想


鞠莉『あ、そうだ。一応手引きというかヒントを与えとくわ』

千歌『…?』

鞠莉『オーラを操るにはまずオーラが出せるようにならなくちゃよ。オーラってのは精孔から出てるんだけど普通は閉じてるの。これを開けないことには始まらないわ』
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 23:21:31.76 ID:5ReD+QW80
花丸『精孔…』

鞠莉『オーラ自体は誰もが持ってるって言ったわよね。普通ならは精孔から微弱なオーラが漏れている状態だけど、まれに内在するオーラを精孔を閉じながらにあふれ出させいる子もいる。それがいわゆる「何故か気になる人」だとか、「原石」って呼ばれる人種ね。昨今のブームで人を魅了するスクールアイドル達が最たる例』


曜『どうやって開けるんですか?』


鞠莉『やり方は2つ。自然に開くことを待つか、強制的に開けるか。オススメは前者、いわゆる正攻法。でも今回ばかりは進められないわね。時間がかかりすぎるし』


梨子『じゃあ、後者は…?』

鞠莉『強制的に眠っているオーラを起こすの、念能力にその身をさらして。適性がないと最悪死ぬわ』



みんな『―――!!』
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 23:25:15.19 ID:5ReD+QW80
鞠莉『文字通りスクールアイドルに命を懸けることになるってことね。でも安心して、理事長としてウチの生徒にそんな危険は冒させないわ♪まず、適性を上げるためにも基礎的な能力をあげてもらう』

千歌「基礎的な能力?」

鞠莉「走り込みだとか、筋トレだとかのあれよ。いつもやってるでしょ?でも私に言わせればまだまだ、念能力で後れを取ってるんだからせめて基礎体力くらいはしっかり作り上げとかないと♪」

千歌「…はい、おっしゃるとおりです」


鞠莉『よろしい♪一応オーラが出せるまでは面倒見てあげる。でも私が面倒見れるのはそこまでね。一応明確に線引きはしとくわ。じゃないとズルズルと後腐れするでしょ。ずっと面倒見てるとアナタ達の能力も割れちゃうし、私たちはちゃんとした勝負がしたいの。』



――
――――
――――――
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:39:58.54 ID:vgJVFWw00
基礎練、
ジョギング中


タッタッタ

梨子「…なんか、改めて思い返すと凄い話になっちゃったね」

千歌「…あはは。そうだね」

ルビィ「まさかラブライブがそんな大会になっていたんて…。それに、お姉ちゃんがスクールアイドルやっていたなんて知らなかった…」

花丸「ルビィちゃんダイヤさんから一度も聞いたことなかったずら?」

ルビィ「…うん」

曜「私も果南ちゃんがスクールアイドルやってたなんて初耳だったな」

善子「何よ、譲っちゃうつもり?」

曜「まさか!あれは3年生の都合でしょ、それなら私たちもこっちの都合を通させてもらうまでだよ。だって私たちは――」

千歌「うん。ラブライブは譲れない…!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:41:55.13 ID:vgJVFWw00
善子「ならok。で、どうするの合宿って言ってたけど。場所は?それに私たちの修行を見てくれる人だって必要よ?さっき軽くスマホで調べたけど、やっぱり念能力なんてどこにも載ってなかったわ。これでもネット詳しい方だけど」

花丸「やっぱ情報操作されてるのかな。使い方によってはいくらでも悪用できるし」

千歌「…うーん。うちは旅館だし広いけど、やっぱ夏が一番のかきいれ時だし難しいなぁ。それに見てもらえる人も考えると…」

梨子「あの…、さ!」

みんな「?」

梨子「合宿の件は私に任せてくれないかな。心当たりがあるの」

千歌(…?)

曜「心当たりって?」

梨子「うん…。親戚、かな。大丈夫、きっと何とかするから!」

千歌「…分かった。梨子ちゃんに任せるね。」にこ

梨子「ありがとう、千歌ちゃん」

梨子(私も…、向き合わなくちゃ。スクールアイドルに…!)
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:42:54.15 ID:vgJVFWw00
――――
――


曜「それじゃあ今日の練習はここまでにしようか。焦る気持ちも分かるけど、休息も重要だからね!」

ありがとーございましたー



千歌「じゃあ梨子ちゃん帰ろっか」

梨子「ごめんね千歌ちゃん。私この後ちょっと用事があるの」

千歌「…。そっか、分かった。先帰ってるね…!」

梨子「うん…!またね、千歌ちゃん」

梨子「…」

―――
――
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:44:14.16 ID:vgJVFWw00
――帰り道
海岸沿いの道


千歌(結構遅くなっちゃったな…。でもこれくらいやっていかないととても間に合わない…。みんなの負担にならないかな…)

てくてく

千歌(それにしても日も大分伸びたなぁ。夏、だからね)

――夏
勝負の夏


千歌(…)ぐっ

千歌(オーラ、か)



千歌はオーラの存在を既に知っていた
しかし、理解はしていない
本能的に、無意識的に知っていたのだ
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:45:46.57 ID:vgJVFWw00
『私は普通だから…』


――自らを「普通」の人間だと思いこむことは、
――相手を「特別」な人間だと認識することから始まる。

それはつまり千歌が相手の持つ特別(オーラ)に敏感であるということを意味した


だからこそ、千歌の周りには「普通」ではないメンバーが集まった
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:48:33.95 ID:vgJVFWw00
昔から人気者だった、強いオーラを持つ曜、
素晴らしい音楽の才能を持つ梨子
そして、一目見た時から魅力に惹かれた花丸とルビィ。
あれは決して容姿だけで惹かれた訳ではなかった。
そして、独自の世界観を持つ善子―――

全員が「原石」である



千歌(じゃあ私はどうなんだろう…)


鞠莉の言葉がよみがえる

鞠莉『念なんて、時間をかければ誰でもマスターは出来るわよ。ただね、そういうものこそ―――』

――――才能の差がモロに出る♡


千歌(私は―――)


果南「やっほ、千歌。今帰り?」

千歌「果南ちゃん…?!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:50:16.69 ID:vgJVFWw00
―――――
――

ザザーン

果南「びっくりしたでしょ、私がスクールアイドルやってたなんて。」

千歌「うん…まあ」あはは

果南「柄じゃないしね」

千歌「そんなことないよ…!果南ちゃんはかわいいよ!」

果南「あはは、ありがと」


果南「…鞠莉から聞いたよ、私たちと闘り合うんだってね」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:51:29.19 ID:vgJVFWw00
千歌「…!えーと、まあ…。」あせあせ

果南「ふふ、いいんだよ。千歌にも大切なものができたんだね」

千歌「…うん!」

果南「私たちにとってもそれは同じ。スクールアイドルはとても大切なことなの。で、どう?調子は」

千歌「正直…、まだ何とも言えないかな…。自分にそんな特別な力があるなんてイメージ沸かないし…」


――でも、負けたくない

果南「そんなもんだよ、最初は」

千歌「果南ちゃんもそうだったの…?」





果南「まあね。ねえ千歌、今から実際に念ってものを見せてあげるよ」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:53:16.29 ID:vgJVFWw00
―――――――

千歌「え…、いいのそんなことして…?」

果南「相手に能力知られるのは悪手中の悪手らしいけどね。でも油断してるつもりはないよ」




果南「…今見せておけば」



果南「次会ったときは最初から全力で行けるからね――!」 ズズズズズ


千歌「ーーー?!」ぞっ



果南「言うなれば、気が済むからだよ。だからこれはただの、一方的な私の」


スッ








果南「自己満足」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 12:56:48.98 ID:vgJVFWw00
能力を見せる、といったとき果南は距離をとった。
多分30mはあったと思う。

果南は、千歌の眼前にいた。

眼前、眼の前。
会話しているから目の前にいるのは当たり前
この場合、目線の話ではない。
距離の話だ

眼前というより、


―――顔前。




果南は千歌の鼻先数センチで
右手をピストルの形にし突き付けていた


千歌「あぁ…」へなへな



ほんの、数舜の出来事





果南「これが、私の念能力」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 13:11:06.76 ID:vgJVFWw00
―――――
―――


鞠莉「怖いお姉さんね〜、千歌っち腰抜かしてたじゃない」クスクス

果南「まず実物見ないことには始まらないでしょ。それに、のんびり屋さんの千歌にはいい刺激になったんじゃないかな。」

鞠莉「あれだけのオーラを生身に当てられちゃあね。文字通りいい刺激になったわね」

果南「てかアンタはまたこそこそと…、見んなし!」


鞠莉「私が見てること知ってて能力使ったんでしょ?強化系能力、『人魚雷(リトル・マーメイド)』、成長してるのは体だけじゃなさそうね。この見せたがり屋さん♪」


果南「うっさいなー」

鞠莉「ふふ。でもさすがね、前見た時とは全然違う。オーラの総量も能力の練度も」

果南「そりゃどうも」

鞠莉(あらら、照れちゃって♡)


鞠莉「でもこれで向こうは果南の能力を把握したってことね。ハメられないよう気を付けてよ。果南の能力に合わせた念能力を開発してくる可能性もあるわよ?」

果南「大丈夫だよ。私の能力は見られてどうこうって能力じゃないから。単純さゆえの強みって奴」

鞠莉「そ♡、まあ果南ならそこらへんも上手くやるんでしょうね」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 13:14:27.80 ID:vgJVFWw00
―――


千歌「…」てくてく

「全身」から鳥肌が立つような感覚



この感じ、知ってる
私がはじめてμ’sを見た時と同じ

これが…



念能力―――!!
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 13:20:32.88 ID:vgJVFWw00
――その夜、黒澤家


ルビィ「た、ただいま帰りました…」

ダイヤ「おかえりなさい、ルビィ」

ルビィ「…!お、お姉ちゃん…、ただいま…」

ダイヤ「…」

ルビィ「…あの」

ルビィ「鞠莉さんに聞いたよ…お姉ちゃんスクールアイドルやってたんだってね…」

ダイヤ「…ええ。それがどうかしましたか」

ルビィ(…!)
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 13:23:18.77 ID:vgJVFWw00
ルビィ「な、なんでルビィに教えてくれなかったの…!」

ダイヤ「あなたに教える必要があるのですか?」

ルビィ「…!」

ダイヤ「あなたには関係ないことです。…が、もうそういう訳でもないのですね。いまや私たちは一つの椅子を争う敵同士」

ルビィ「て、敵?!そんな言い方って…!」

ダイヤ「私が勝負に出るという意味、あなたなら分るでしょう。敗北はないということです。ラブライブなど目指さずに、内浦で小さく活動してればよかったものを」

ルビィ「だ、だからあんなに東京に行くの反対してたの…?」

ダイヤ「…ええ、そうですわ」

ルビィ「…!」

ルビィ「ルビィは…お姉ちゃんと歌って踊ることが夢だったんだよ…?」

ダイヤ(…)

ダイヤ「…私に妥協をしろと?それは無理な話です。夢を語るには力と覚悟が必要なのですよ、ルビィ。今のあなたにはそのどちらも欠落している…」

ルビィ「…!」

ダイヤ「夕飯は先にいただきました。私は部屋に戻ります。ちゃんとあたためて食べるのですよ」



ルビィ(わ、私は…!)
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 13:32:32.90 ID:vgJVFWw00
――――
――

梨子「・・・。」


prrrrrrr…


梨子「もしもし…、『お姉ちゃん』…?」

梨子「うん…私。久しぶりだね。ちょっと声が聞きたくなっちゃって…」

梨子「あはは…そんなことないよ」


梨子「…うん、…うん…」


梨子「…実はちょっと話があって」


――――――

―――

――

―――

――――――


梨子「突然ごめんね。…うん、ありがとう」


梨子「…うん、忙しいもんね。じゃあ…切るね」

梨子「電話、待ってるから」


pi...



梨子「…」ボフッ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 19:50:49.67 ID:vgJVFWw00
#.2


――翌日、学校

ダイヤ(…)

鞠莉「そんな気になるなら、そんな心にもないこと言わなきゃよかったのに」

ダイヤ「ま、鞠莉さん…!そんなんじゃありませんわ…!!」プイッ


鞠莉「ふーん、あっそう。まいいけどー?」ひらひら
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 19:53:16.89 ID:vgJVFWw00
――放課後



曜「…それ、ホント?」

千歌「…うん、果南ちゃんに見せてもらった。念能力ってものを」

曜「で、その能力が…」

千歌「今言ったこと、全部ホントだよ!実際に見た私ですら理解できないんだから、いくら説明しても理解してもらえないかもしれないけど…」

曜「ううん、信じるよ!というか今は何言われても受け入れるしかないって感じかな…」あはは

花丸「千歌さんの話が本当なら、人間の運動能力を…というかこの発想自体が常識の物差しを前提にしてることになるずら…。もう、今更今までの常識なんか役に立たないんだもんね」

曜「これに準ずる化け物、という言い方もあれだけど、念能力者3人を相手にしなくちゃなんだよね。というよりその後のラブライブを考えるとこれ以上の―――」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/02(木) 19:57:15.09 ID:jJctNBNu0
まさかの再開とか…嬉しすぎる
乙です
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 19:57:25.21 ID:vgJVFWw00
梨子「…」

千歌(あれ?)

千歌「…梨子ちゃん大丈夫?確かに、気の晴れる話題ではないけど…」あはは…

梨子「あっ、ごめんね!そういうことじゃないの。あのね、一応合宿の件話は通しといたよ。東京にいる親戚に」

曜「東京?、凄い!さすが梨子ちゃん!向こうはやっぱスクールアイドルの聖地だし、何か情報もあるかも!」

梨子「まだok貰ったわけじゃないけどね…」あはは


善子「…」ふるふる



善子「…いいわ!!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 20:00:35.10 ID:vgJVFWw00
曜「うわ、びっくりした」

善子「念能力、…いい。素晴らしい!!何でもありじゃないの!!まさに堕天使ヨハネにこそふさわしいチカラだわ!!!」

曜「善子ちゃんのこういう所にはホント助けられるよ」あはは

千歌「うん…、そうだね!まずは、オーラを出せるようにならなくっちゃ…!悩んでいてもしょうがない!!」


千歌「今日も練習がんばろう!!Aqours〜〜」

みんな『サンシャイン!!!』



ルビィ「…」


花丸(ルビィ、ちゃん…?)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 20:05:23.19 ID:vgJVFWw00
―――
――

休憩時間

花丸「う〜疲れたずら…」

ルビィ「そうだね…」

花丸(…)

花丸「…ルビィちゃん、ダイヤさんとなんかあったでしょ。」

ルビィ「え、ど、どうして…」

花丸「…どうして分かるかって?だってマルはルビィちゃんの親友だからね。えへへ、よかったら話して」


―――
――
――
―――


花丸「…そんなこと言われちゃったんだ」

ルビィ「…私は、ただ…お姉ちゃんと…」ぽろぽろ

花丸「…よしよし」

ルビィ「うっ…うっ…ありがとう…花丸ちゃん」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 20:08:36.53 ID:vgJVFWw00
―――――


花丸「それで、ルビィちゃんはどうしたいの?」

ルビィ「私は…」


『あなたには、力も覚悟もありませんわ』


ルビィ「スクールアイドルが好き…」


『今のあなた達じゃただの足枷よ』


ルビィ「大好きなの…!!」


花丸「…うん、マル知ってるよ。ルビィちゃんがスクールアイドル大好きなこと」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 20:11:14.01 ID:vgJVFWw00
私が中学2年生のころ、お姉ちゃんは突然スクールアイドルの話をしなくなった。

もしかしたらスクールアイドルが原因で、嫌な想いをしたのかもしれない
お姉ちゃんはもう、スクールアイドルを嫌いになっちゃったのかもしれない


千歌さん達に誘われて、スクールアイドルを始めたとき、
そんなお姉ちゃんへの遠慮は勿論あった



でも結局私はスクールアイドルを始めた

――だって、スクールアイドルが大好きだから…!!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 20:17:13.86 ID:vgJVFWw00
ルビィ「この気持ちには嘘つけない…!」

ルビィ「私のアイドル活動とお姉ちゃんは、関係ない。私は私がやりたいからラブライブを目指すの…!。もう、お姉ちゃんの後に着いていくだけなのは、やめる…!!」


花丸「…そっか」にこ

ルビィ「…。聞いてくれてありがとね、花丸ちゃん」ぐすっ

花丸「どういたしましてずら♪」


―――――

善子(…ふふ)
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/02(木) 20:21:19.40 ID:vgJVFWw00
善子「花丸〜!ルビィ〜!…もー、あんたたちこんな所にいたのね!もう練習始めるそうよ」


花丸「あっもうそんな時間ずら?!。ありがとう、善子ちゃん!」

善子「善子ゆーな!せっかく厚意でわざわざ呼びに来てあげたってのに…!」

花丸「ありがとう、善子ちゃん。じゃ、行こっか。ルビィちゃん♪」

ルビィ「あははは。うん!じゃ、私たち先行くね、善子ちゃん♡」

善子「あーー!もう、ルビィまで!」




善子「…ったくしょうがないんだから」くすっ



タタタタ


ルビィ(私は、みんなとラブライブに出る)



――たとえ、お姉ちゃんが相手でも…!!
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:25:29.17 ID:1wZ+CZpr0
#.3

――あれから1週間

放課後はもちろん、朝早くから集まって
私たちは猛特訓を重ねた。

今日は夏休みの前日―――


鞠莉(…あら、見違えるようじゃない♡)

千歌「鞠莉先輩、適性はもう皆あると思います」


鞠莉(…そのようね。よくまぁ一週間でここまで…。執‘念’かしら♡)
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:28:12.03 ID:1wZ+CZpr0
鞠莉「ok〜♪じゃ皆、そこ並んで」


鞠莉「や っ て あ げ る か ら」


ゾゾゾゾ…!!



曜(今なら感じられる…。鞠莉先輩のオーラを…!!)


千歌(…あ)ゾクゾク


――「全身から鳥肌が立つような感覚」




鞠莉「じゃあ、いくわよ♪」


千歌「は、はい…!!」ごくり
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:28:50.55 ID:1wZ+CZpr0



ドンッ



68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:29:55.19 ID:1wZ+CZpr0
…と背を押されたその直後


鞠莉「成功ね♡」



――私たちの体が、オーラに包まれた…!!


―――――
―――
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:32:18.78 ID:1wZ+CZpr0
千歌「うわっ…うわっ…」

ゴオォォォ…!

梨子「何これ、凄い…!!」


鞠莉「ふふ、おめでとう。それがあなた達のオーラです」

曜「こ、これが…!」

善子「私たちの、オーラ…!」

鞠莉「そう♡、たった今全身の精孔は開かた。もうオーラ視えてるでしょ?、目の精孔も開いたからね」


千歌「ついに、やったんだ…私たち…!」

千歌(私のオーラ…。ちっぽけだけど、これが…!)シュウゥゥ…


―――私の、輝き!!


ルビィ「やりましたね!千歌さん…!!」


千歌「うん、ルビィちゃん!!」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:35:56.32 ID:1wZ+CZpr0
千歌「鞠莉さんのおかげです…!ありがとうございます…!!」にこにこ

鞠莉(あらあら、感謝されちゃった♡自分たちの置かれてる立場忘れちゃってるわね〜、感謝されるのは悪い気はしないけど。ま、今くらいはいっか♪)

鞠莉「ふふ、私は何もしてないわよ」

鞠莉(これは、お世辞でも謙遜でもない。この子たち自身の努力の賜物。まさか、本当に1週間で仕上げてくるなんて)


鞠莉(――おもしろい♡)
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:38:29.71 ID:1wZ+CZpr0
鞠莉(でも)

わーわー♪
きゃっきゃ♡

鞠莉「えー、うおっほん!!…お喜びのとこ悪いんだけど」

千歌「なんですか?」にへにへ


鞠莉「そのオーラ、何とかしないと明日以降動けなくなるわよ♡」

みんな『へ?』

鞠莉「オーラってつまりは生命エネルギーだからね〜。つまり現在進行形であなた達の体から生気が抜けて行ってるの」にやにや

花丸(うわ、すっごい悪い顔ずら…)

曜「ど、どうすればいいんですか?!」


鞠莉「これサービスよ?ほんと私ったら優しい♡そうね、まず体をラクにして。そしたらオーラを体に纏うようにイメージするの。自然に精孔開けた場合は勝手に出来るんだけどね、これも無理に開けるデメリットの1つかな」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:41:39.14 ID:1wZ+CZpr0
鞠莉(ま、最悪1日2日は動けないかしら)


曜「こう…かな?」ズズ…

鞠莉(お?、やっぱ曜は筋がいいね…ってあれ?)

善子(う〜ん)ズズ…

梨子(こんな、感じ…?)ズズズ…

シュ‥ゥ…ゥ…



…ピタッ

鞠莉(ふふ♡見くびってたつもりは決してないけど…)


善子「止まった―!」

梨子「…ふぅ」

曜「やったね!」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:42:40.92 ID:1wZ+CZpr0
千歌「え〜、3人とももう止まったのお!」

曜「あはは、いえーい」

鞠莉「ほーら集中集中、そしてリラックス」

善子「うふふ♪、イメージするのよ、オーラの動きをね」ドヤッ

花丸「善子ちゃんはよく妄想してるからイメージとか得意なんだろうね」

善子「なっ、あんたいつも一言多いのよ〜!!」


花丸(うーん、こうかな…)ズズズ

ルビィ(うぅぅ…)ズズズ

千歌(…イメージ、オーラの動きを〜〜)ズズズ←素直


――――
―――
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:44:42.28 ID:1wZ+CZpr0
鞠莉「お疲れ様♡」

千歌「やっととまったぁ」へたり

ルビィ「つ、疲れた」

千歌「曜ちゃんたちと比べて結構時間かかっちゃったな…」

鞠莉(いやいや、上出来よ。ふふ、やるわね)
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 00:54:03.67 ID:1wZ+CZpr0
――――――
―――

鞠莉「…それでは改めて。ようこそ、スクールアイドルの世界へ。あなた達は今、ようやくスタートラインに立った」

みんな『…!!』ごくり

鞠莉「約束通り、私ができるのはここまで。今日までお疲れ様ね。次会うときは、すべての決着がつくときよ。なにか最後に言っておきたいことはある?」

・・・。

千歌「…鞠莉さん、今までありがとうございました。」

鞠莉「…ふふ、どーいたしまして。ま、あなた達に気持ち良く負けてもらうための施しよ、気にしないで。他には…?」


鞠莉「…ないみたいね。それじゃ健闘を祈るわ、‘Aqoursの皆さん’ ♡次に会う時を楽しみにしてるわ」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 01:01:03.47 ID:1wZ+CZpr0
――――――
―――


曜「これで…私たち『壁』は超えたことになるのかな」ズズ…

ルビィ「鞠莉さんはスタートラインって言ってましたけど…」

花丸「オーラを使えるようになって分かったずら。抑えてたはずなのに、私たちの中で鞠莉さんのオーラが1番大きかった」

千歌「うん…。やっぱり果南ちゃんが見せてくれたアレとはまだほど遠い」

梨子「鞠莉さんは、人を惹きつけると言われているオーラを念能力にまで昇華させるようになってはじめて勝負の舞台には立てる、って前に言ってたよね。オーラを出せるようになったのは、文字通り念能力の入り口に立っただけなのかもしれない…」

善子「なーに暗い顔してるのよ、もー!私たちオーラを出せるのよ!オーラよ、オーラ。凄くない?かっこよくない?!」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 01:02:51.50 ID:1wZ+CZpr0
千歌「あはは、そうだね。このオーラが私たちの輝きなんだよ…!私たち、確実に前へ進んでる!!」

曜「うん…!そうだね」

千歌「明日からは梨子ちゃんの親戚の別荘で合宿だし、この調子ならきっと念能力もつかえるようになるよ!!許可貰えたんだよね、梨子ちゃん♪」

梨子「うん、事情話したら喜んで貸してくれた」

千歌「ほんとありがたいし有難いことだから、もうエンリョせず使わせてもらうよ。明日会ったらお礼言わなくっちゃ」

梨子「うん」

曜「じゃ明日は早いし、今日はもう解散にしようか。」


千歌「そうだね。じゃあ明日は朝7時に駅集合で!」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/03(金) 01:08:58.43 ID:1wZ+CZpr0
――――
――

果南「へー、もう『纏』まで」

鞠莉「そうなの。筋いいわよ、あの子達」

ダイヤ「頼もしいですわね。まぁ大変なのはここからなのですが」

鞠莉「ふふ、どうなるかしら。足掬われないように、私たちも頑張らなくっちゃよ♡」



ついに私たちはオーラが出せるようになった!

そして、
夏が、始まる――!!
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/03(金) 02:29:12.21 ID:1AMNygYg0
次は最後まで頼むぞ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 12:48:18.66 ID:nmQtgD1d0
#.4

――翌日、明け方

黒澤家

ルビィ(行ってくるね、お姉ちゃん)

ガチャ

…バタン


ダイヤ(…。行ってらしゃい、ルビィ)


夏休み、1日目。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:01:59.98 ID:nmQtgD1d0
――東京都内某所
ラブライブ運営局、事務室


カタカタカタ.....


奇抜な眼鏡のお姉さん「あー疲れた〜」ノビ-

奇抜な眼鏡のお姉さん(凄い応募数…。まだ増えるだろうなぁ…、各地の予選会場の備品も今からもう抑えとかなくちゃ…)カタカタカタ......


「お疲れ様。今年も凄い応募数ですね」

奇抜な眼鏡のお姉さん「あはは、スクールアイドル界が盛り上がるのは嬉しいことなんですけどね…。いかんせん量が」


奇抜な眼鏡のお姉さん「…って!?」



ツバサ「お久しぶりです」にこり


奇抜な眼鏡のお姉さん「き、綺羅ツバサさん?!」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:02:52.36 ID:nmQtgD1d0
―――電車の中。


千歌「本当にいいの?いきなりみんなでお世話になっちゃって」

梨子「だいじょうぶよ、『お姉ちゃん』優しいし」

千歌「いちおーお母さんが菓子折り持たせてくれたけど…。こんなので喜んでくれるかなぁ…。梨子ちゃんの親戚ってどんな人なの?」

梨子「まぁ、会えばすぐ分かるよ」

千歌「そう?」

梨子「…うん」

千歌(…梨子ちゃん?)


――――
――
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:08:40.52 ID:nmQtgD1d0
お姉さん「あなたがこんな所に来るなんて珍しいじゃないですか!」

ツバサ「ふふ、たまたま近くを通ったので」

お姉さん「でしょうね〜、お忙しいでしょう?毎日メディアで拝見しない日はないです!」

ツバサ「ふふ、ありがとう。でも今のあなたよりよっぽど楽ですよ。どうです、最近の後輩たちは?」

お姉さん「曲といいダンスといい例年レベルが上がってきてますよ。毎年のように現れる新しいスター、見ていて飽きないです!」

ツバサ「後に続いてくれる子達がいるってことは嬉しいですね」

お姉さん「スクールアイドルの先駆けになったあなたからすれば、感無量でしょうね。ラブライブも今や、これほどまでに大きな大会になったのですから。」

ツバサ「でも―――」


ツバサ「――1番伝えたかったことは伝わらなかったようです」ボソ

お姉さん「え?今何か…」


ツバサ「ふふ、何でもありません」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:10:20.11 ID:nmQtgD1d0
お姉さん「でも見ていて一番楽しかったのはあなた達の代ですよ」

ツバサ「ふふ、お世辞はいいですよ」

お姉さん「お世辞じゃないですって。やっぱり、なんて言うのかなぁ。素人目で、しかも抽象的ですが‘オーラ’、とでも言いましょうか、が違いましたよ。A-RIZEも、μ'sも」

ツバサ「…今年面白そうなグループはいないのですか?」

お姉さん「色んなイベントでも見て来ましたが、新たな時代の担い手と呼べそうなグループはには会えませんでしたね。いや、皆さんそれぞれ素晴らしいですよ!でも、今年はもう出揃っちゃった感じです。伝説はまたお預けですかね」

ツバサ「…そうかしら?μ'sが伸びてきたのも夏以降ですよ?」



ツバサ「まだ分からないわ」ふふ


――――
――
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:13:04.17 ID:nmQtgD1d0
――――
――

車内

…。


善子(どうしてこうなった…!どうして……!!)


――さかのぼること10分前

東京、駅構内

善子「着いたーー!」

曜「何度来ても凄いね、東京は」

千歌「そうだねぇ」

曜「ちょっと早く着いちゃったし、どっかで座って待ってようか」


『―――?!』バッ


梨子を除いた全員が瞬時に振り返る
突如、背後に感じる圧倒的な存在感

間違いない、『彼女』だ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:14:23.89 ID:nmQtgD1d0
梨子「…」スッ

ゆっくりと、振り返る



梨子「…久しぶりだね、‘英玲奈お姉ちゃん’」

ルビィ「え」

ルビィ「えええ」

英玲奈「…久しぶりだな、梨子」


ルビィ「ビギィィィィィィィィ!!!!!!!」


統堂英玲奈――――
梨子の従姉である
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:22:01.09 ID:nmQtgD1d0
―――
――


千歌「も、もしかして…梨子ちゃんの言ってた親戚の人って…」

梨子「…そう。元伝説のスクールアイドルA-RIZE、そして現トップアイドルA-RIZEの統堂英玲奈よ」

みんな「ええ〜!!!」

周り「…」ジロジロ

英玲奈「はじめまして、君達がAqoursだね。梨子から話はよく聞いている。ここはちょっと目立つから場所変えようか、車呼んであるんだ」

みんな『は、はい…!』
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:22:42.13 ID:nmQtgD1d0
――そして今

…。

英玲奈「後ろ、キツくないかな?」

千歌「…は、はい!だいじょうぶです…!」

ルビィ「あわ…わわわ…、夢かなこれ?夢だこれ。そうだ、サイン貰わなくちゃ…!お、お姉ちゃんの分も…」あわわわわ

花丸「ル、ルビィちゃん落ち着いて…」


善子「ま、まさか親戚って言って統堂英玲奈が出てくるなんて思いもしなかったわよ…!」

梨子「統堂はいわゆる芸名だからね。本名は桜内英玲奈っていうの、公表してないけど。昔はよく遊んでたよね」

英玲奈「ふふ、そうだな」


梨子「…」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:26:10.08 ID:nmQtgD1d0
#.5

統堂英玲奈、本名桜内英玲奈。
私たちは従姉妹だ。

私たちは小さいころよく2人で遊んでいた
とても仲が良くて、本当の姉妹みたいだった


梨子(でも)

歳を重ね、モノが分かるようになるにつれて、
いつしかお姉ちゃんと自分の間には明確な『壁』がある事に気付く

―――何をしても敵わない


彼女の存在は、いつしか梨子にとってのコンプレックスになっていった
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:27:54.67 ID:nmQtgD1d0
私、地味だからーーー
梨子がよく口にするこの言葉、これは英玲奈と自分を比べての言葉だ


絶対に敵わない人
しかもそれが一番の身近にいる、というのがどれほど彼女に圧迫を与えていたか
想像に難くない

周りは口にこそ出さないが、事あるごとに英玲奈と比べた
それは幼い梨子にもはっきりと分かった

梨子(でも、それは仕方ない)


優れた人間というのは相対的な地位なのである
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 13:29:06.20 ID:nmQtgD1d0
優れた人間のまわりには、比べられる対象が不可欠で、
それはどうしようもないことなのだ

梨子(自分の能力のなさを呪うしかない)


いずれにしても、従姉という関係は
英玲奈という存在に対してあまりにも近すぎた。
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