巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」

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103 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/24(金) 21:09:24.73 ID:8T4dhmCe0
モノクマ「それにしても彼女、一体何があったんだろう。渡したのは凍結した権限だったから白銀さんが解除するまでは何もできないはずなのに」

最原「やっぱりそんなところだろうと思ったよ」

モノクマ「BBさんにはキチンとした権限を与えるつもりだったけど、彼女にその義理はないからね!」

最原「それで。モノクマ。お前、何の用だ」

モノクマ「助けてあげようと思って。条件次第だけど」

茶柱「!」

最原「……言ってみてくれ」

茶柱「最原さん!」

モノクマ「ボクに危害を加えるの禁止。巌窟王さんとかもボクに近づけないでね」

茶柱「……あれ。なんか感覚がマヒしてて一瞬『大したことないな』って思う程度には緩い条件ですね」

茶柱「あなたのことは校則が守って……」

モノクマ「もう空文化しちゃってるじゃん。だからわざわざこんな緩い条件を提示してるんだよ」

モノクマ「あともう一度言うけど、巌窟王さん『とか』だからね」

最原「僕にお前を守れって言うのか。どの口で……」

モノクマ「取引としては妥当じゃない?」

茶柱「……ところであなた、なんか土臭くないです? いや泥臭いです。なんですかこれ」

モノクマ「訊かないで……あと耐え切れないならファブリーズ持ってきて……」ズーン

最原(……私情で断るのは違うよな。ここでは)

最原「わかっ……」

茶柱「仕方がないですね。後で倉庫から持ってきますから」

モノクマ「わーい! モノクマ、茶柱さんのこと、すきー!」ガシイッ

茶柱「うざったいから足に纏わりつかないでください……」

モノクマ「もうオマエラのせいで立場もクソもなくなっちゃったからねー! こうなったら可愛いマスコットに堕してでも生き残ってやる!」スリスリ

最原「……足……」

最原「……」ブチッ
104 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/24(金) 22:50:38.98 ID:8T4dhmCe0
最原「こっちからも条件がある」イライラ

茶柱「最原さん?」

モノクマ「んー? なーに? 契約するときのすり合わせって本当に大事だよね」

最原「……」ムカムカ

モノクマ「……ん? なにその顔。なんか眉間に皺寄ってるけど。最原くんだから凄んでも威力はないけどさ」

最原(……ああ、くそ。上手く論理化できない! どうやっても建前を用意するのに失敗する!)

最原(いや。どんなことを言ったところでコイツなら確実に茶化すか。なら建前を用意するだけ無駄、か?)

最原「……茶柱さんにくっつくな」

茶柱「……」

茶柱「……ッ!」カァァ

モノクマ「ほう! ほうほうほう! ほうほうほうほうほーーーう!」ニヤニヤ

モノクマ「嫉妬ですか? ジェラシーですかー! 元気ですかー!」ギンッ

最原「早く離れろ。じゃないとどんなに条件がよかろうと、この話はなしだ」

モノクマ「でもよりによってボクに嫉妬する? 将来、二人で犬とか飼ったらそいつにも嫉妬するつもりなのかなぁ?」

茶柱「はあ!? 将来!? 二人で!? 犬!?」ガビーンッ

最原「そうか……そのときになったらペットとか飼うのやめておこうかな……」

茶柱「あなたもなんで真面目に考えてるんですかッ!」

モノクマ「顔赤いよ?」

茶柱「誰のせいだと……!」

最原「こちらに提示された条件は飲む。そっちは?」

モノクマ「飲む。茶柱さんには極力近づかないよ。これでいいんでしょ」

モノクマ「……それにしても建前もなくストレートに言いすぎじゃない?」

最原(どうせ何言ったって茶化すから無駄だろ)

茶柱「……むむむむ……!」

最原「……?」

最原「まったく。一方的に足に絡んだりするから茶柱さんも顔が真っ赤じゃないか」

茶柱「そっちじゃないんですけどッ!?」ガーンッ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 23:13:37.05 ID:aTNrnLBDO
最茶尊くて浄化されそう
106 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/25(土) 19:52:36.65 ID:iDRcsL2W0
モノクマ「それじゃあ、早速赤外線センサーを無効化するねー! いっくじょー!」

最原「その前に一つ聞きたい」

モノクマ「なに?」

最原「お前が復活した詳しい経緯だ。さっきお前はこう言ったよな?」




モノクマ『壊れたけど、復活させられたんだよ。セミラミスさんと白銀さんにね』



最原「その直後にはこう言ってる」



モノクマ『それにしても彼女、一体何があったんだろう。渡したのは凍結した権限だったから白銀さんが解除するまでは何もできないはずなのに』



最原「矛盾してないか? セミラミスさんと白銀さんに復活させられたのに、白銀さんは何もしてないって?」

最原「いやまあ、これは本題じゃないな。正直に訊こうか。白銀さんは図書室に行ったのか?」

モノクマ「うん。行ったよ。すべてはボクを復活させるために。でもそこで予想外のことが起こってた」

モノクマ「白銀さんは凍結した権限を解凍するつもりだったんだけど、行ったときにはもう溶けてたんだよね」

最原「……今、セミラミスさんがこの学園に来ていることと何か関係があるのかな」

モノクマ「というかそれそのものが答えと言ってもいいかも。マザーモノクマの中に軟禁してたセミラミスさんを赤松さんが召喚したんだって」

茶柱「……サーヴァント!? あの人が!?」

モノクマ「そのときのデータ的な熱量が権限の凍結を解除したらしいね。叩き壊したとも言えるけど」

最原(ということはあのセミラミスさんは、僕たちがジャバウォック島で見たアルターエゴ……)

モノクマ「マザーモノクマの中まで入ったら中の時間流は自由自在だから、もしかしたら数日間、数週間の軟禁ライフを楽しんでたかもね」

モノクマ「そこから突然呼び出されたわけだから、ちょっとくらいは不機嫌になってそうなものだけど。割と上機嫌だなぁ、彼女」
107 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/25(土) 20:02:34.92 ID:iDRcsL2W0
最原「お前が復活させられたとき、隣に誰かいた?」

モノクマ「天海くんがいたよ。あの変な仮面被ってた」

最原(じゃあ内ゲバの直後か……)

モノクマ「それと、白銀さんは確かに権限の凍結に関してはノータッチだったけど」

モノクマ「何もしなかったっていうのは正しくないな」

最原「どういうことだ?」

モノクマ「モノクマの複製権限が単体であったとしても、白銀さんがボクを完全には信用してなかった」

モノクマ「あのマザーモノクマ、実はちょっとした魔改造がされてるんだよね」

最原「具体的には?」

モノクマ「物理的な材料だけじゃ足りないんだよ。つまり『白銀さんの声帯認証』が『材料』としてプログラムされてるんだ」

モノクマ「彼女が『産め』とマザーモノクマに言わない限り、モノクマは生産されない」

モノクマ「マザーモノクマに搭載されている頭脳……今はセミラミスさんだね。彼女が一人でモノクマの複製権限を作ろうとしたところで……」

モノクマ「出来上がるのは『モノクマに似た何か』だけだ。校則やモノクマルールには当然ながら『モノクマ』として認識されない」

最原「ちょっと待て。なんで白銀さんとモノクマの間に、そんな相互関係が産まれてるんだ?」

最原「『信用してない』だって? 仲間じゃなくって利害関係の一致のみで動いてる共同体の言い分だ、それは」

モノクマ「……」

最原「……」

最原(まずい、な。これは。見えて来る真実の輪郭が段々と、僕の精神を締め上げる)

最原(先入観のせいで真実が歪んで見えていた。その先入観という硝子が段々とヒビ割れていくような……!)
108 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/25(土) 20:20:58.58 ID:iDRcsL2W0
最原「……薄々気付いてたことじゃないか……! 何をふらついてるんだ、僕は」

茶柱「……手。握っててあげましょうか?」

最原「……」



巌窟王『全部背負っているのだから、戦う理由は『今思いついた些細なものすべて』でまったく問題が無いはずだ』




茶柱「な、なんて。冗談ですよ。流石にそこまで甘えられるのは困りますし……」

ギュッ

茶柱「!」ビクンッ

最原「……」

最原(ちょっとくらい甘えたっていいよな。この重みに温かさを感じても……いいんだよね。巌窟王さん)

モノクマ「あっあー! じゃあ質問もないようなので……」

モノクマ「起爆スイッチ、起動!」ポチリッ

最原「……は? 起爆……なんだって?」

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/25(土) 20:23:55.63 ID:dIjcDzqQ0
殺伐とした世界に反して甘々だなぁ…
110 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/25(土) 20:36:16.51 ID:iDRcsL2W0
「にゃあああああああああああああああ!」

バガァァァァァァァァンッ!


茶柱「」

最原「」

モノクマ「この校舎はキーボくんの攻撃のせいで半壊している。だから赤外線センサーの無効化は簡単だ」

モノクマ「更にちょっとショックを与えて、学園全体を『揺らす』。それで赤外線センサーのほとんどはあらぬ方向を向くことになる」

モノクマ「瓦礫の中にイミテーションをほどこして設置したヤツは特にね」

モノクマ「無事なヤツもあるかもしれないけど、それももう壊れたヤツとの区別ができない」

茶柱「誰かの悲鳴が聞こえませんでした?」

モノクマ「猫じゃない?」

最原「いや、モノクマお前っ……! 今の爆発、どうやって起こしたんだ!?」

モノクマ「それを言う時間ある?」

最原「……ないかも。茶柱さん! 行こう!」

茶柱「二人のところへ、ですね!」



タッタッタッタッ


最原(……あれ。今、空に流星が見えたような……気のせいかな)


ズズウンッ……


茶柱「モノクマ、まだ爆発させてるんでしょうか。もう充分なのに」

最原「……?」
111 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/25(土) 20:57:23.04 ID:iDRcsL2W0
セミラミス&赤松チーム

赤松「……なんで……キーボくんが、ここに……?」ガタガタ

セミラミス「……!?」

キーボ「……あなたはやり過ぎました」ドドドドドドドド

赤松「!」

セミラミス「我に向かって言っているのか? やり過ぎたも何も大したことはしておらぬ」

キーボ「学園への破壊行為が、ボクの中の基準に触れました。先ほどの巌窟王さんと同罪と認識します」

セミラミス「なんだと? どういう……」

セミラミス「あ」

赤松「セミラミスさん?」

セミラミス「そうか……先ほどの爆発はそういうことか……モノクマめ! あの『出来損ない』を使ったな!」ダンッ

セミラミス「聞け! 我は先の爆発には関与しておらぬ! 確かにアレを作ったのは我だが関係はまったくない!」

キーボ「……ターゲットロックオン」キィィィィンッ

セミラミス「聞く耳持たぬ、か。まったく、目的の半分も達成しておらぬというに」ジャララッ

セミラミス(カエデのことは庇わなくていい。どうせあやつはカエデのことは眼中にない)

セミラミス(理屈はわからぬが学園を破壊する者を狙うようだからな)

セミラミス(深追いもせぬようだし、さっさとマザーモノクマの中に帰還して……?)

セミラミス「……」






セミラミス「貴様、何故魔力を持っておる?」

赤松「え?」

セミラミス「……ッ!」

セミラミス「そう、か。そういうことか……わかったぞ、この空間の正体が!」

セミラミス「でなければこんなふざけた物体が存在できるわけがない!」

キーボ「状況、開始」

セミラミス(巌窟王は深追いされなかったのではない。わざと見逃されたのだ! 我に対して同じ対応を取る保証がない!)

セミラミス(逃げきれない! ならば!)

セミラミス「カエデ! よく聞け! あの鉄屑は……!」



ズドンッ!
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/25(土) 21:03:24.13 ID:0zubact70
もしかしてキーボ君サーヴァント扱いになってる?マスターは外の人々、みたいな
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 00:13:42.63 ID:L+eyLW0vO
もしくは宝具だったりして。
114 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/26(日) 19:47:27.99 ID:PM+V0cYa0
茶柱&最原チーム

最原「……あ。待って。見つけたかも」

茶柱「はい? いや、天海さんの研究教室は確かもうちょっと向こうで……」

バリンッ

最原「……散らばってる硝子片と瓦礫の位置がちょっと変だ。規則的すぎる」

茶柱「え。なんですかそれ。全然わかりません」

最原「ともかく僕の研究教室の中に入ってみよう。いなかったらいないで別にいい……」

最原「……」

最原「違う。なんで僕が行かなくちゃダメなんだ。天海くんが一緒ならその必要はない」

最原「天海くん! 迎えに来たよ! 白銀さんに話を聞きに来た!」

茶柱「……」

茶柱「出てきませんよ。空振りだったか、警戒されてるか、ですよね」

最原「わかった。じゃあ次の手だ。いるのなら、これで行ける」

最原「あー、あー、あー……よし!」







最原「お兄様! 迎えに来ましたわよ!(迫真の林原めぐみVOICE)」

茶柱「」


ドタバターーーンッ!


アマデウス斎藤「俺を! 呼んだな!」バァァァァァンッ!

茶柱「」

白銀「」

茶柱「」
115 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/26(日) 19:54:11.66 ID:PM+V0cYa0
バキィィィィッ

茶柱「いや……なんかもう……なんなんですかあなたたち……なんなんですか……」ドンビキ

茶柱「どっちが悪いのかわからなかったのでどっちも殴りましたけど……文句ありますか……」

最原「ごめん。手段を選ばなさ過ぎた」ズキズキ

天海「アマデウスの仮面が……そろそろ限界だから衝撃はちょっと困るんすけど……」ズキズキ

白銀「あー……見つかっちゃった」
116 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/26(日) 20:00:13.69 ID:PM+V0cYa0
茶柱「……見つけちゃいました。話、聞かせてもらっても?」

白銀「あまり有用な情報は本当に持ってないよ」

最原「それならそれで構わない。最悪でも十分程度、僕たちと一緒にいるだけでいい」

白銀「……何を考えてるの?」

最原「むしろ僕が聞きたい。キミは一体、何を考えてたの」

天海「……」

茶柱「?」

最原「最後の学級裁判についての情報を持ってるよね? なんでそれを素直に出さなかったの?」

白銀「……」




ズズウンッ……




茶柱「……揺れ、酷いですね。本当にここで事情聴取を?」

最原「したくないけど、仕方ないよ。他よりは無事だし、とりあえず中に入ろう」

最原「天海くん。蹴倒したドアは位置だけでも元に戻しておいてね」

天海「りょ、了解っす」

白銀「……ふふっ」

茶柱「……なんか、白銀さんちょっと元気になってません?」

白銀「う!」ビクッ

天海「友情パワーっす!」グッ

最原「……そこらへんも聞かせてもらいたいな」
117 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/26(日) 21:48:17.69 ID:PM+V0cYa0
残りをできる限り節約したいので気が向いたときでいい……感想を言うときはツイッターで共有ボタンを押して感想を添付してもらうと嬉しいです。

日常的にツイッターで検索しますので
118 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/27(月) 19:42:01.71 ID:MWohMAcL0
最原の探偵教室の中

最原「……薬品類、奇跡的に無事だね」

天海「そうでなかったら中に入らないっすよ」

白銀「ここの薬品庫、ちょっとやそっとの地震だと絶対に壊れないようになってるんだよね。本当にシャレにならないものもあるから」

白銀「空気より重くて水に溶けやすい吸ったらほぼ確実に昇天するようなのとか」

茶柱「怖っ!」

最原「でもそのおかげでここが無事だったのか……」

天海「最初は俺の研究教室にいたんすけど……さっきの爆発が気になって、窓を見るついでに移動しようって」

天海「いつまでも同じ場所に潜伏するのも芸がないっすからね」

最原「そっか」

天海「……白銀さん」

白銀「……大した情報は持っていないっていうのは嘘じゃないよ。今更言ったところで手遅れなことが多すぎるし」

白銀「現状について知らないことはいくらでもある」

最原「それでも最後の学級裁判のことは忘れてなかった。だからモノクマを再生したんだろ?」

白銀「……」

最原「聞かせてよ。その手遅れな何かを」

最原「……元から僕の才能は悲劇を事前に壊すことには向いてない」

最原「起こった悲劇を解き明かすことしかできないんだ」

白銀「……後悔しないでよ」
119 :3スレ目の821を参照 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/27(月) 20:01:47.31 ID:MWohMAcL0
天海「……彼女の正体について知ったのは結構最近っすよ。俺も」

天海「まあ知りはしても、納得したのはもっと後っすけど」

最原「天海くん?」

天海「動機ビデオのこと、覚えてるっすか」

最原「東条さんの事件のときの……だよね? 自分の大切な人が映ってるっていう」

天海「白銀さんの動機ビデオは『天海蘭太郎の動機ビデオと登場人物が同一』だったんすよね」

天海「王馬くんのピッキングで知ったんすけど」

最原「は?」

天海「茶柱さん、覚えてないっすか? 昨日の朝、王馬くんが全裸でフルチンで……」

茶柱「仮に覚えてたとしても二度と思い出したくないですし、忘れてたのならそのまま忘れさせてください」イラッ

茶柱「あのときですね。王馬さんに何か吹き込まれたんですか?」




王馬『内容が似てたんだよ。映ってる人物の詳細まで』

天海『……えっ』

王馬『まあ流石に冒頭部分の名前と超高校級の肩書部分に関しては違ったけど』

王馬『あとメッセージの内容もね』

天海『……それ、どういうことっすか? なんで……』

王馬『さて。天海ちゃんにわからないことなら俺にはわからないよ』






天海「勘のいい最原くんなら一瞬でわかるんじゃないっすか」

天海「ただでさえ、今までの白銀さんの行動には不自然な点が多すぎたんすから」

最原「……まさか……彼女は……」

天海「そうっす」

茶柱「え? え?」




白銀「前回のコロシアイを生き抜いた『超高校級の生存者』……その二人目、だよ」
120 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/27(月) 20:43:38.55 ID:MWohMAcL0
白銀の回想

白銀(記憶は摩耗している。前のコロシアイについて覚えていることはほとんどない)

白銀(覚えているのは……主に大雑把な色彩イメージだけ)

白銀(赤かった。紅かった。朱かった)

白銀(とてもアカくて……私の記憶から赤以外の色が消えるくらい、地獄だった)

白銀(隣の人はみんな敵。そして、心強い味方だった。でも――)


バシャッ


白銀(みんな赤色に沈んでいった。色とりどりの表情を見せていた仲間たちは段々と減っていって……)

白銀(残ったのは……残った、のは……)






ザザッ

学園跡地

白銀「……行っちゃったね。二人とも」

天海「……うん」

白銀(私たちだけだった。あとの残った二人は、私たちがコロシアイというルールから叩き出した)

白銀(……これは必要な犠牲だった。そのときの校則には『生き残れるのは二人か一人まで』って明記してあったから)

白銀(私たちはその抽選からわざと漏れた)

白銀(このときの私たちは……楽観してた)

白銀(自己犠牲に酔ってたんだ)
121 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/27(月) 21:00:52.89 ID:MWohMAcL0
白銀「もうこの学園には、私たち二人だけ」

白銀「随分減っちゃったなぁ……地味にビックリだよね。これだけの人が死んで、私たちはまだ生きてる」

天海「……そうっすね」

白銀(そこから起こるすべての悲劇も知らず、二人とも笑顔だった)

白銀(……あのときの空、曇ってたけど、明るかったな。赤以外でまともに見る、地味だけど優しい色彩)

白銀「……ねえ。天海くん。約束だよ?」

天海「?」

白銀「次の学園生活……絶対に私を――」






白銀「忘れないで。忘れても、きっと思い出してね」

天海「……うん。約束っすよ。次にどんなことがあっても俺たちはもう友達っすから!」ニカッ

天海「だから……安心して……安、心して……!」

天海「……ごめん。キミを、助けられなくって……死んでいったみんなのためにも、今を生きてる俺たちだけでも生きなきゃダメだったのに」

天海「俺は……俺、は」ポロッ

白銀「……」

白銀「うん。安心した」

天海「……?」

白銀「私たちは仲間のために泣けるんだよ。だからさぁ……嘘、だよね。どちらかがこの学園の首謀者になっちゃうとかさ」

白銀「絶対に嘘だよ……嘘に決まってる」

天海「……」

白銀「ごめん。天海くんが泣いてるのならさ、私はせめて笑ってないとダメなのにさ……!」

白銀「二人とも泣いてたら、二人とも役立たずじゃない? どっちかは真っ直ぐ立ってないと……」

白銀「……ううっ」ボロッ

天海「もう……いいんじゃないっすかね。二人して泣いても」

天海「強いから生き残れたわけじゃない。ただ運が良かっただけなんすから……!」

天海「……■■さん」ザザッ







白銀(……私には名前がない)

白銀(覚えているのは前の学園での才能。『超高校級の模倣犯』)

白銀(全体的な容姿すら、前の学校のときとは大分変わっているはずだ)

白銀(だけど、もはやそんなものに意味がない。私はもう、誰でもない)

白銀(……思い出されるべき名前すら失ってしまった)
122 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/28(火) 20:43:52.04 ID:P4EaWRu60
現在

最原「……前回と容姿と名前が違うってことはありえると思う」

最原「じゃないと、外の視聴者から見て『誰が黒幕か』が一目瞭然だからね」

最原「……天海くん。どの程度違うの?」

天海「さて。それは俺の口からはとても」

最原「……」ジトーッ

天海「……」

天海「マジで覚えてないんすよ。ただ眼鏡だけはしてた、ような……?」

天海「ただ思い出すのに時間がかかったってことは本当に『全体的な印象がガラッと変わってる』んだと思うんっす」

茶柱「何……冷静に話してるんですか……?」ガタガタ

茶柱「容姿ですよ? そんなの人体改造されたようなものじゃないですか」

茶柱「……まずい。気分がかなり悪くなってきました」

最原(実のところ僕もだ。胸糞悪い)

最原「まだ大事なところを聞いてない。なんで白銀さんは黒幕に……違うな」

最原「なんでキミは『白銀つむぎ』になったの?」

白銀「天海くんは少し記憶を弄られた程度ですぐにコロシアイに参加したんだけどさ」

白銀「私だけは前回のコロシアイと今回のコロシアイの間に色々とあったんだよ。茶柱さん曰く人体改造的な?」

茶柱「……失言でした」

白銀「いいよ。事実だし」

白銀「……一番いじくられたのは脳かなー。模倣犯の更に上に『コスプレイヤー』の才能までガン積みだよ?」

白銀「痛みに錯乱して殺してくれー、とか言っちゃったよ。あっはっは」ケラケラ

最原(笑えない。何一つとして)
123 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/28(火) 20:58:55.24 ID:P4EaWRu60
白銀「本来であればこの世界が『フィクションである』ということは絶対に漏らさないって縛りがあったからね」

茶柱「はい? 今なんと?」

最原「ごめん茶柱さん。後で説明する」

白銀「だから事前に思い出しライトを浴びまくったり、脳を改造されまくったりする必要があったんだ」

白銀「いざみんなに追い詰められたときにスラスラと、そのときに応じた『最適な答え』を提示できるように」

白銀「気付かなかった? 思い出しライトで『植えつけられる記憶』の内容って、学園に来てからの私が決めてたんだよ?」

白銀「ストーリーはほとんど即興ってわけ」

茶柱「……え。あの。あの……なんかさっきから言ってることがまったくわからないんですが……わからないなりに凄く恐ろしいことを言ってるような?」

天海「薄々感づいてたんじゃないっすか? わからないフリをしてるだけっすよ、それ」

茶柱「……!」ガタガタ

最原「あのさ。二人してあまり茶柱さんをいじめないでくれるかな?」イラッ

天海「……悪かったっすよ。ただ茶化さずにはいられなくって」

天海「あまりにキツいじゃないっすか。こんなの」

白銀「どのくらいの時間だったのか、もうまったくわからないよ」

白銀「だって『人生何回分もの記憶』を一気に頭に叩き込まれたんだからさ。記憶が摩耗しても仕方ないよね?」

最原「……違う。そこも重要なところだけど、僕が聞きたかったことじゃない」

白銀「え?」

最原「元はコロシアイのゲームに巻き込まれただけの……僕たちと一緒の、被害者だったはずだ」

最原「それがなんで黒幕になって僕たちを苦しめようって気になったのか。それを僕は知りたいんだ」

白銀「……」
124 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/28(火) 21:16:34.32 ID:P4EaWRu60
白銀「天海くんは二回目だからわかるかな。最原くんは悲観的だから、理解できなくもないかも」

最原「なんだって?」

白銀「ねえ。こう思ったことはない? 『こんなに辛いのに、なんでまだ死ねないんだろう』って」

最原「!」

茶柱「?」

白銀「死を救いだと見紛ったことは? いや直接的に死ぬことを救いと認識しなくってもさ」

白銀「『全部忘れてしまいたい』って思ったことは?」

白銀「『もう二度と起きたくない』とか『寝てるとき目を瞑ったまま時間が止まればいい』とか」

天海「……」

最原「天海くん……さっきから驚いたりしてないってことは、既にこんな質問をされた後ってこと?」

天海「流石に勘が鋭いっすね」

最原「なんて答えた?」

天海「……『何も知らないまま死んでいった仲間のことを言ってるのか。ふざけるな』ってところっすね」

茶柱「……!」

白銀「あれ。そこまで強い言葉ではなかったけど」

茶柱「あなた……まさか、こう言いたいんですか?」ワナワナ







茶柱「転子たちを追い詰めたのは、単なる『親切心』だったと?」
125 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/28(火) 21:26:34.66 ID:P4EaWRu60
白銀「巌窟王さんのせいで、今回は物凄くわかりにくくなっちゃったけどさ」

白銀「『この世界の仕組み』は残酷にできてるんだよ」

白銀「……外に希望を持って積極的に動くと死ぬ。これが私の知る中で『一番楽なヤツのパターン』だ」

白銀「運よく生き残ってもズルズルとコロシアイと言う名の地獄を延々と眺めるだけ。『二番目に最悪なヤツのパターン』」

白銀「最後の『一番最悪なヤツのパターン』は……」

最原「最後の学級裁判まで生き残って『真実を知ってしまったヤツ』……」

白銀「うん。そういうこと。そういうふうにできてるんだ。巌窟王さん抜きの、この世界は」

茶柱「だからって、死ぬことが幸せだとか、ふざけてるんですか! そんなの……!」

白銀「ここから出たところで何があるの?」

茶柱「は? いや、コロシアイから逃げられる……んですよね?」

白銀「そんなわけないよ。だとしたら天海くんの動機ビデオに『コロシアイから脱出した人間』が映るわけがない」

茶柱「……ッ!」

白銀「私はさ。頭に色々と改造を受ける最中で知ってしまったんだよね。この世界が何なのか」

白銀「この世界は私たちのことを何回でも追い詰める」

白銀「運よく生き残ったとしても、次回作でまた苦しめられる」

白銀「更にそこで生き残ったとしてもまだダメ。その次もダメ」

白銀「何回も地獄を見せられるんだ。『生きている限り』は何度でも。何一つとして終わらない」

白銀「何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も……」

茶柱「……天海さんの存在のお陰で、前回のコロシアイがあったことは知ってます」

茶柱「お、教えてください……このコロシアイは何回目のコロシアイなんですか……?」

白銀「五十三回目」

茶柱「――」







白銀「聞こえなかった? 五十三回目だよ」
126 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/28(火) 21:38:35.39 ID:P4EaWRu60
最原「……なるほど。死ななければ終わらないんだね」

白銀「生きてる限り、大切な人を失う。生きてる限りは痛くて辛い目に遭う。生きてる限り……生きてる限りは……!」

白銀「永遠に戦い続けなければならない。負けたらその時点で死ぬんだよ」

茶柱「そんな……バカな話が……!」

白銀「唯一終わらせる方法はたった一つ。そうだよ。最初から私たちはその手段を持ってた」

最原「死ねばいい。死ねばその時点で地獄は終わる」

茶柱「……最原さん?」

最原「……なるほど。確かに間違いはないね」

茶柱「正気ですか! こんな……こんな終末思想、感化されたらその時点で心が壊れますよ!?」

白銀「心を壊すくらいなら死んだ方がマシだなって思わない?」

茶柱「この……!」ギリギリ

最原「思ったかもしれない」

茶柱「!」

最原「……仲間を失うっていうのは、とても辛いことだから。でも」

最原「今回はそうじゃなかった」

最原「……始まりはそうだったとしても、僕たちのコロシアイの中には異分子がいた」

最原「だからキミの行動原理のどこかに狂いが生じたんだ」

白銀「……」

最原「詳しく聞かせてよ。まだ終わらせるわけにはいかない」

最原「このコロシアイを真の意味で終わらせるためには、まだ足りない」
127 :3スレ目899レスのあたり参照 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/29(水) 19:45:18.66 ID:wr5Y22FV0
回想ワンモア

モノクマ「まったくもう! 巌窟王さんのせいで無茶苦茶だよ! 赤松さんのおしおきは邪魔されちゃうしさ!」

白銀「そこも、うん。ビックリっちゃビックリなんだけど」

白銀「まさかあんなガバい作戦が上手く行くなんて思わなかったなぁ。砲丸が完全に無駄になっちゃった」

白銀(そう。まさかあんな命中率の低い凶器が当たるだなんて思わなかった)

白銀(当たらなかったそのときは私が直々に手を汚す手筈だったのに)

白銀「ま、いいか。これはこれで面白いし」

白銀「最後の最後に全部ひっくり返す準備は既に整ってるしね」

モノクマ「……うぷぷ……うぷぷぷぷぷ……」

白銀「……ふふっ。じゃ、路線変更の準備しないとな」

モノクマ「え? 路線変更?」

白銀「あはは! モノクマ、私は彼に会うまでダンガンロンパを……いや」

白銀「フィクション全般を舐めてたみたい。でも彼のお陰で認識が変わったんだ!」ニコニコ

白銀「ただの伝説、創作でしかなかった巌窟王さんが、絶対に助けられない女の子を助けたんだよ?」

白銀「……力のある"嘘"は現実を歪める。炎が陽炎を生むように」







白銀「"嘘"は世界を変えるんだよ?」
128 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/29(水) 20:17:54.64 ID:wr5Y22FV0
天海「路線変更。これがこのコロシアイの違和感の正体っすよ」

天海「要は『誰も死なないまま進むコロシアイ』を白銀さんは許容したんす」

天海「……茶柱さんにはピンと来ないかもしれないんすけど、ほら。あれっすよ」

天海「『クリア可能という点においてフェアなゲーム』だったんすよ。これまでのすべてが」

最原「……その割には一人だけ危ない橋を渡ってた人がいるな」

最原「白銀さん」

白銀「……」

最原「巌窟王さんのことを煽り過ぎだよ。実際に殺されかけたよね?」

最原「どころか、僕たちのことも何回も追い詰めた。そのせいでもうみんな白銀さんに対する感情はボロボロだ」

最原「『死ななきゃ救われない』も『死ななくても大丈夫かも』にしても、さ」

最原「行動原理は変わっても行動そのものに大した違いは出なかったみたいだね」

茶柱「……ゲーム自体に乗らないって選択肢はなかったんですか?」

白銀「無理だよ。友達に迷惑かけられないし」

茶柱「……」

茶柱「動機ビデオの内容……のことですか。ここまで来たらそれしか考えられないですよね」

白銀「ここはまだマシなんだよ。死ぬことが幸せだなんて思わないけどさ」

白銀「……生きてる限り『死ぬより辛いこと』が続く」

白銀「もしも私が黒幕を降りたら、私たちが外に出した彼らが『死ぬより酷い目』に遭うかもしれない」

白銀「それなら天海くんをこの場で殺した方が勘定的には合理的だよね」

最原「でもその決意は無駄になった。巌窟王さんがコロシアイに巻き込まれたから」

白銀「……格好いいよね。彼。本当に格好いい」

白銀「なんで私たちの仲間は助けてくれなかったんだろうって思うくらい」

天海「!」ビクッ

白銀「……なんで、このコロシアイだったんだろう。なんで前回のコロシアイのときに来てくれなかったの?」

白銀「なんで……」

白銀「……ごめん。話逸れちゃったね。他に訊きたいことはある?」
129 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/30(木) 20:36:12.69 ID:rKDgs7aM0
最原「……確かにこれまで何回も酷い目には遭ってきた」

最原「巌窟王さん抜きだったなら、なんて考えるだけで震えが止まらないのも事実だよ」

最原「もしかしたら茶柱さんが死んでたかも。天海くんが、僕が、他の誰かが……」

最原「今頃残酷に死んでいたかもしれない」

最原「……でも理解できただけで共感はしないよ。死んだ方がマシだなんて絶対に思わない」

白銀「そう」

最原「ここまでは僕の感想。ここから先は質問」

最原「昨晩のことだ。キミ、巌窟王さん以外の誰かからも殺されかけたんじゃない?」

白銀「!」

最原「犯人の目星は付いてるから、誰にやられたのか、は言わなくていいよ」

白銀「元から言えないよ。すぐに眼鏡を叩き落されて、ほぼ何も見えなかったし」

最原「それはちょっと残念だな……でも今はいい。証拠は後で僕の方で揃えるから」

最原「その犯人は多分、なにかを見たんだ。裁判場に放置してあったモノクマカラーのパソコンから、何かを」

白銀「……あれを? ああ、そうか。出た直後に夢野さんに追い回されて施錠まで気が回らなかったな……」

最原「ねえ。今の話が嘘じゃないというのなら教えてほしい」

最原「多分犯人はそれを見て『キミに対する殺意』を確固たるものにしたはずだ」

白銀「……『みんなのオーディション映像』とかじゃない?」

茶柱「オーディション?」

最原「なくはないけど……多分違う。それなら僕も見たから」

白銀「……じゃあ、アレしかないかな。アレしかないだろうなぁ……」

白銀「黙秘していい?」

最原「……」ジーッ

白銀「はあー……わかったよ。でも怒らないでよ?」

最原「?」
130 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/30(木) 20:55:41.44 ID:rKDgs7aM0
白銀「卒業アルバム」

最原「……なんだって?」

白銀「何か面白いことあるかなってアンジーさんの部屋から、巌窟王さんの書いた学級日誌とノーパソのデータを盗んだんだよね」

白銀「暇だったから手慰みに、それを元にして卒業アルバムを作ってた」

最原「……はあ?」

天海「ちょっと待って、それ俺も初耳なんすけど」

白銀「誰にも言う気がなかったんだよ。だって私、悪役のまま死ぬつもりだったし」

白銀「……あのデータは暇潰しに作ったものだよ。その内に消そう消そうとは思ってたんだけど……中々ね」

天海「……ちょっと待ってほしいんすけど……」

白銀「なに?」

天海「新世界プログラム内、セミラミスさんの空中庭園の中に『白銀さんの研究教室とまったく同じ内装の部屋』があったっす」

天海「それと巌窟王さんが書いたっていう学級日誌の破損データ」

天海「あそこで何をやってたのかずっと疑問だったんすけど、まさか……!」

白銀「……言わせる気?」

最原「――」

最原(ぶちり、と頭の中で何かが弾けた音がした)

最原(この人は何を言っている?)




茶柱「……ああ。なんだ。よかった!」ホッ

白銀「なにが?」

茶柱「だって、そんなもの作ってたってことは、やっぱり」

茶柱「白銀さんは転子たちの仲間だったってことじゃないですか!」ニコッ

最原「――」

茶柱「おかしいと思ったんですよ。だって! 死んだ方がマシだとか本気で言う人がいるだなんて」

茶柱「……白銀さん。あなたは転子たちと生きたかったんじゃないですか?」

白銀「……」

茶柱「卒業アルバムが良い証拠ですよ! それなら転子たちは白銀さんを――」ニコニコ

最原「ふざけないでよ」

茶柱「え?」

最原「なんでそんなものを作ったんだ。なんで……なんでなんでなんでなんで……!」ガタガタ

天海「最原くん……」
131 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/30(木) 21:08:11.97 ID:rKDgs7aM0
グイッ

茶柱「最原さん!?」

最原(気付いたら白銀さんの胸倉を掴み上げていた。彼女は抵抗することなく気だるげな目線を僕に向けている)

最原「許すつもりはない。なかったのに! 生きてたところで関与しないのならどうでもいい、そう思って自分を納得させてたところだったんだよ!」

最原「白銀さん! ふざけないでよ! そんなものを作るくらい僕たちに未練があるのなら、なんで……!」

白銀「……友達が人質に取られてるも同然。さっきもそう言ったよね」

最原「言った! でもそれならそれでキミは僕たちに相談すべきだったんだ!」

最原「第四の学級裁判のとき、白銀さんは僕たちのことを嘲るかのように『仲間』だと連呼してたよね!」

最原「煽りだと思ってた。本心はそんなこと思っちゃいない。どの口で言ってるんだって思ってたんだぞ!」グイッ

白銀「……痛っ……!」

茶柱「最原さん! これ以上はやめてください!」

天海「……あのときの白銀さんはすり替わったアルターエゴだったはずっすよ。一応忘れずに」

最原「白銀さん。僕はキミに死んでほしくなかった。でもそれは白銀さん本人を心配してのことじゃない」

最原「白銀さんを殺すことで、僕の仲間たちに手を汚してほしくなかったからだ! キミ本人の命なんかどうだっていいと思ってたんだよッ!」

最原「なのに白銀さんはなんだよ。僕たちと生きたかった? 卒業アルバムを作ってた?」

最原「消そう消そうと思って、消せなかっただって……!?」

最原「これじゃあキミのことを憎んでた僕たちがバカみたいじゃないか……」

最原「これなら、記憶を失ってキミを無邪気に庇っている百田くんたちの方が余程……!」



パァンッ



最原「……っ!」

茶柱「……ダメですよ。これ以上は」

最原「……」パッ

白銀「……ボタン、外れちゃった……強く掴みすぎだよ」
132 :我慢できない ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/31(金) 09:23:05.42 ID:hUfMlnKx0
今年の夏イベ……最高だった……! 水着イバラギンは引けなかったが……!
巌窟王を手に入れるため散って行った、数多くの諭吉に感謝を!

その副産物として宝具5になってしまった術ギルマンに敬意を!

イベ礼装ガン積みのお陰で交換素材は当然、ポイントも三百万を突破した!
楽しかった……俺が見たかった世界を高クオリティで出されたようなシナリオだった……!

燃料を大量投下された今、私を阻む者は何もない!


ありがとう……それしか言う言葉が見つからない……
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/31(金) 09:44:57.40 ID:otYcjvt5O
風花「副作用には気をつけて下さいね!…シモッチって何かしら?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530920009/
茜「不屈の魂、夢ではありません!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531525117/
摩美々「まみみのホーム・アローン、始まるよー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533339190/
のり子「青コーナー、キィィングティィレッスルゥゥゥ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533946743/
里美「お、お兄様…?里美はここにいますよ〜?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1535154609/
134 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/31(金) 19:21:19.93 ID:hUfMlnKx0
最原(卒業アルバム……赤松さんがあんな態度を取ったのも頷ける!)

最原(彼女にしてみれば火に油を注ぐような行為だ!)

最原(……思えば僕たちは『単純な悪に対して団結する仲間たち』という構造に甘えていた。そうやって辛うじて立っていたんだ)

最原(外の世界に希望はないかもしれない。そう思っていたから猶更……!)

最原(……『悪役の白銀さん』が今までの印象を翻すようなマネをしたら……)

最原「こんなのもう復讐じゃない。何の正当性もない。ただの八つ当たりだ……!」

最原(僕たちの存在そのものが虚構なら、憎むべき対象すら虚構)

最原(……酷い喪失感だ。死んだ方がマシ? さっきは否定したけど、ここまでくると本当にそうかもしれない)

最原(どうしたらいい。どうしたら……!)

最原「……白銀さん。次の質問だ」

最原(それでも進むしかない……僕にはもう時間がないんだ)

最原「最後の学級裁判についてだよ。そこで一体何を議論すればいいんだ?」

白銀「ん。それは……当然の質問だよね」

茶柱「まあ、出題傾向がわからないと対策の立てようがないですし……」

白銀「まあ、大体の場合は最後の学級裁判で議論するのは『この学園の真実について』だよ」

白銀「最後に『この学園にどう決着を付けるか』の議論かな」

最原「どういうこと?」

白銀「過去作からの出題傾向から言って『この学園から出るか留まるか』を訊かれると思う」

茶柱「はあ? 出るに決まってるじゃないですか……」

茶柱「あ、いや。外の世界が滅んでたら確かに転子たちは野垂れ死ぬだけですけど……でも実際はそうじゃないですよね?」

最原(はっきり言って滅んでた方がよかったかもしれない)
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/31(金) 19:34:09.51 ID:OUx+NxBj0
ダン論ってこんなクソみたいな世界観なの?

ちょっと密林漁ってくる
136 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/31(金) 19:44:46.34 ID:hUfMlnKx0
天海「ここも案外悪いもんじゃないんじゃないっすかね」

最原「え?」

茶柱「ちょ、ちょっと。冗談ですよね?」

天海「巌窟王さんもいる。仲間もいる。白銀さんは俺の友達だった」

天海「外に出ても地獄なら、ここに留まって終わった方が幾分かは幸せかも……」

天海「……と、多少は思わなくもないっす。これが俺の本心っすよ」

茶柱「それは……」

茶柱「……ごめんなさい。それでも転子は外に出たいです! 約束が!」

天海「約束?」

最原「……」

最原「手に入った情報を一度すべて整理する。白銀さん、手伝ってくれる?」

白銀「私?」

最原「……そういう名目があれば生存率は上がるだろうし」

白銀「はは。優しいね」

最原「正直もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。でもさ……」

最原「白銀さんを死なせるわけにはいかない」

白銀「損ばっかりするね。最原くん」

最原「自覚はあるよ」

茶柱「転子も手伝うんですよね? あと天海さん」

天海「ナチュラルに巻き込まれた……吝かではないっすけど」

最原「うん。それじゃあお願いしようかな……っと!」


ズズウンッ


最原「さっきから何なんだろう、この揺れ」

最原「……爆発じゃないな。確かめに行こうか」
137 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/08/31(金) 20:23:32.01 ID:hUfMlnKx0
校庭

ジャララッ ガシャンッ

セミラミス「三度目の拘束……成功! 今度こそ完全に自由を奪ってやる!」

キーボ「拘束。破壊します」ガシャンッ

セミラミス「やはり無理か」チッ

セミラミス「貴様……難易度設定を間違えているのではないか! ネロ祭にはまだ早いのだぞ!」プンプン

赤松「何を言ってるのかわからないけどセミラミスさん、真面目にやるの飽きた!?」ガーンッ

セミラミス「それとボックスガチャはどうした! 素材無限回収装置は!?」キョロキョロ

赤松「お願いだから真面目にやってよ! このままじゃ……!」


ボタボタッ


赤松「セミラミスさん、死んじゃう……!」

セミラミス「……まだ掠り傷だ。まだな。しかしそうだな……我はいつでも大真面目だが……」

セミラミス「そろそろ次の手段に移るべきかもしれん」

キーボ「!」

セミラミス「貴様も……我とこれ以上、ことを構えるつもりであるならば、それなりの覚悟をするがよい!」

セミラミス「デュエルディスクを準備してな!」ウィーンガシャンガシャンガシャンッ ピピッ

赤松「言ってる傍からこの人はーーーッ!」ガビーンッ

赤松「悪ふざけしてる場合じゃないって! キーボくんから攻撃が……!」

キーボ「……」ウィーンガシャンガシャンガシャンッ ピピッ

赤松「ええっ!? やる気だ!?」ガーンッ







セミラミス&キーボ「デュエル!」

キーボ「あ。初手でエクゾディア揃いました」

セミラミス「イワーーーーーーーーーク!」LP 4000→LP 0

赤松「一瞬で負けたーーーッ!」ガビーンッ
138 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/01(土) 19:34:33.79 ID:rDNPUOdX0
セミラミス「……」シュウウウウウ

赤松「だ、大丈夫?」オロオロ

セミラミス「デッキ枚数40枚のデッキのエクゾディアが初手で揃う確率は」タプタプタプ

セミラミス「658008分の1とカルデアのデータベースに書いてあるぞ貴様ァ! イカサマしたであろう! これを見よ!」バッ

※ムニエル編集。ロマン監修

赤松(スマフォ……)

セミラミス「我の幸運でも初手で四枚揃えるのが限界だったのだぞ!」バァーーーンッ

赤松(セミラミスさんも【エクゾディア】……)ズーン

セミラミス「まあよい。ならばリアルファイトで貴様を倒すのみだ!」

赤松「リアルファイトでダメだったからデュエルに持ち込んだんじゃなかったっけ?」

セミラミス「くくく。カエデよ。細かいことを気にしすぎると知恵熱で死ぬぞ?」

赤松「セミラミスさんは私のことバカだと思ってるけど、セミラミスさんの方が百ッッッ倍バカだからね!」

セミラミス「段々我に対しての敬意が蒸発してきてるなカエデ」イライラ

セミラミス「まあよい。どうせ勝つ気も逃げる気も最初からないのだ。我の言ったことを決して忘れるなよ」

赤松「……諦めないでよ! その内に誰か……そう! 巌窟王さんが来るかも……!」

セミラミス「早速忘れておるではないか! だからあやつは今、ここで失うわけにはいかぬのだ!」

セミラミス「この空間を決定的に壊せるのはあやつしかおらぬのだからな……!」ジャララッ

セミラミス「引き続き時間稼ぎしつつ情報を少しでも引き出す。できるだけ覚えておけよ……!」

キーボ「――いいえ。遊びはここまでです」ギュンッ

セミラミス「ん? 消え……」

セミラミス(ム? 違うな。懐に入り込まれ――!)



ズブウッ
139 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/01(土) 19:59:23.92 ID:rDNPUOdX0
校舎内

最原「一体何が起こってるんだろう。さっきから爆発とは違う衝撃が何度も……」

茶柱「誰かが戦っている……まさか巌窟王さんが?」

天海「彼くらいしか心当たりがないっすしね。その場合、相手はキーボくんしか該当者がいないっす」

白銀「一度撤退した相手にもう再戦してるの? なにか違和感があるんだけど……」




赤松「いやああああああああああああああああっ!」




最原「!」

茶柱「今の……赤松さん!?」

天海「急ぎましょう! 声はあっちからっすよ!」

白銀「赤松さん……!」ダッ

最原「あ、待って! 迂闊に行動するのは……」

最原(というか、こういうとき真っ先に走るのが白銀さんなのか……)

最原(とことん僕たちの独り相撲だったんだな)

茶柱「最原さんは傷を労わって全力疾走しないように!」

最原「……」





赤松&セミラミスチーム

赤松「あ……ああ、あ……!」ガタガタ

セミラミス「……ご、ほっ……! がああああああああああっ!」

グチャリ

セミラミス「貴様……人の腹に手を突っ込むとはどういう了見だ……!」

キーボ「……」グチャリ

セミラミス「があっ、か、かき回すな愚か者……!」



ドタドタドタッ



天海「赤松さん! 何が……せ、セミラミスさん!」

白銀「これは……相当まずい展開になってるみたいだね」
140 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/01(土) 21:28:14.04 ID:rDNPUOdX0
セミラミス「この常識外れのスピード……! 今まで出力を抑えていたな……」

セミラミス「は、ははっ。バケモノ……め……巌窟王のときですら本気でなかった……か」

赤松「もうやめてよキーボくん! 正気に戻って!」

セミラミス「よせ……! 新世界プログラムを破壊した今となっては、そんな叫びに何の意味もない」

赤松「え?」

天海(なんで新世界プログラムの話に……)

白銀「……!」

セミラミス「くそ。離せ! 我は……我はまだ……!」ググッ

キーボ「ここまでです」



グシャリッ



セミラミス「……あ」ゴホォッ


ビシャッ


セミラミス(……ここまで……か……)ガクリッ

赤松「あ、あ……ああ……! やめて……お願い、やめて……!」ガタガタ

天海「セミラミスさん……!」

キーボ「……急所は外しています。まだ利用価値がありますので」

キーボ「状況終了。離脱します」

白銀「キーボくんっ!」



ドシュン!



天海「……逃げたっすね」

天海「違う。俺たちのことを脅威ともなんとも捉えていない……と考えるべきか!」

赤松「セミラミスさん……そんな! こんな別れ方ないよ……! こんなの!」

白銀「……赤松さん」

赤松「……」

赤松「……なんで白銀さんがここにいるの?」ユラァッ

白銀「ッ!」

赤松「……」



スタスタスタ



最原「……ごめん。遅かったみたい、だね」

赤松「!」

最原「状況を教えてくれる?」
141 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/01(土) 21:39:29.16 ID:rDNPUOdX0
数分後

最原「セミラミスさんが連れ去られた、か」

赤松「急所は外したって言ってたから、殺すつもりはないんだと思う」

赤松「でも……」

天海「イヤな予感しかしないっすね。サーヴァントを連れ去るとか、その後で何を考えていたとしても不思議じゃないっす」

茶柱「ええと……サーヴァントの利用価値とかに関して一番詳しいのって……」

最原「巌窟王さん本人が一番かな……」

茶柱「じゃあ次は彼に事情聴取ですか?」

最原「いや……その必要はないかもしれない」

赤松「どういうこと?」

最原「これだけ大騒ぎしたんだ。キーボくんもいなくなった」

最原「遠巻きに見ていた人たちも全員こっちに向かってくるんじゃないかな」



スタスタスタッ



百田「おーい……」

最原「あ! ほら! 言ってる傍から百田くんがこっちに……!」


ズザザッ


百田「悪ィ! デッキの構築に時間かかっちまった! もういつでも闘れるぜ!」ドン☆

最原「何を!?」

天海「なんでデュエルディスクを付けてんすか!?」ガビーンッ

百田「出てこいよキーボ! 次は俺の【E・HERO】で相手してやるぜ!」ドン☆

バキィッ

茶柱「……この状況でふざけてるんですか? バカだバカだとは思っていましたが救い難いバカですね」ゴゴゴゴゴ

百田「ええっ!? いや違うんだって! キーボはさっきまでデュエルしてたんだって! だから……」

茶柱「赤松さんと、せ、せみらみす? さんが大変なときに何を言ってるんですかあなたは! 少しは真面目になってくださいよ!」プンプン

赤松「……なんだろう。自分のことみたいに恥ずかしい……」カァァ

最原(ああ……なんか、なんとなくわかっちゃった……)ズーン
142 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/02(日) 17:39:54.89 ID:G5KooBYg0
数分後

最原(そうこうしている内に、生徒たちは全員集まった)

最原(百田くんは春川さんに『勝手に飛び出すな』と怒られたりしたけど……)

最原(あとそれに便乗した茶柱さんに怒られたりしていたけど)

最原(その光景を見ていた赤松さんが終止申し訳なさそうな顔をしていた)

最原(そして説教は終了。全員の意識は白銀さんの方に向くことになる)

アンジー「……結局、終一に先を越されちゃったかー」

黒焦げの王馬「で? どうするの? 内ゲバ第二弾に突入しちゃう? げほげほっ」

夢野「それは遠慮したいのう……ちょっと待て王馬。なんで黒焦げになってるんじゃ」

黒焦げの王馬「なんか猫っぽいマスコットのような影を追ってたら急に爆発して……」

夢野「は?」

入間「そうだ! それだよ! 爆発! そのせいで俺様たちが仕掛けた赤外線センサーが全部パァだぞ!」

星「正確に言うと衝撃で方向が変わっただけだから設置しなおせばいいだけだが……」

星「ここに白銀がいる以上、結局無用の長物であることに変わりはない」

白銀「……」

最原「……あのさ、みんな。白銀さんへの尋問は僕がやったから」

東条「え?」

最原「結局のところ、彼女は有用な情報を持っていた。それを自覚していなかっただけなんだ」

最原「この状況において、彼女ほど強力な証人は存在しないと断言するよ。だから」

最原「……彼女に手を出すことは僕が許さない!」

獄原「え。それって……!」

百田「終一?」

真宮寺「へえ。度胸があるネ。それとも自分が言っていることの意味がわからないのかな」

真宮寺「キミは今、さっきまで白銀さんへの尋問を強行しようとしていた僕たちに喧嘩を売ったも同然なわけだけど」

百田「!」

最原「……」

最原(落ち着け……さっきとは状況が違うんだ。彼らの説得はもう、難しいことじゃない!)
143 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/02(日) 18:45:30.77 ID:G5KooBYg0
最原「勘違いしないでほしいんだけど、僕は別に拷問そのものに反対はしてないよ」

百田「……はっ!?」ガーンッ

春川「最原?」

最原「拷問で引き出した情報だろうと、尋問で引き出した情報だろうと、それ単体では決定的な証拠にならないのは共通している」

最原「ましてや、この法から隔絶された状況で『拷問はダメ』って言ったところで空々しいのも事実だしね」

入間「テメェ! 一体どっちの味方なんだよ!」

最原「ただし、どちらの場合においても重要なものがある。拷問でも尋問でもさ」

最原「……証言者の身の安全が保障されない限り意味がないよね?」

獄原「ん……?」

東条「それは……そうでしょう。証言と他の証拠を照らし合わせるとき、どちらか片方が無くなっている状況なら意味がないもの」

最原「キミたちの中に巌窟王さんと結託して、白銀さんを殺そうとした人がいる。昨晩のことだ」

全員「!」ザワッ

百田「お、おい終一……それってマジで言ってんのか?」

赤松「……」

最原「本気だよ。僕は」

最原「……だから拷問なんてさせるわけにはいかない。『勢い余って』とか『何らかの事故で』とか、そういうふうに見せかけられる状況を作るのは反対だ」

最原「まだ白銀さんへの殺意をくすぶらせている人がいる限りは! 絶対に!」

星「仮にそれが本当だったとして、だ。それなら白銀への尋問は許可してくれるんだろうな?」

星「当然、暴力行為は一切無し。立ち合いも好きなヤツを入れればいい」

星「事前に知らせてくれなければ最後の学級裁判に挑むこともできやしねぇ」

星「ただでさえ、最後の学級裁判そのものが謎だらけなんだ。その程度は許してくれるんだろうな?」

最原「条件付きで許可するよ」

星「……なに?」ピクッ

最原「今すぐに昨日、白銀さんを殺そうとした犯人が『自白』してくれること。これが僕の条件だ」

赤松「ッ!」

最原「それが成されない場合は……最後の学級裁判のときになるまで白銀さんの証言は全部僕が管理する」

最原「誰と共有するかも、僕の独断でね」

百田「んなっ……!」
144 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/09/02(日) 19:24:01.97 ID:G5KooBYg0
春川「ちょっと待って。最原、いくらなんでもそれはないよ。逆効果だ!」

最原「それでも!」

最原「……犠牲やリスクなしで先には進めない。僕の知りたい真実は、まだここよりずっと先にあるんだ!」

獄原「……具体的に……その最原くんの独断で切り離される人って、誰?」

最原「新世界プログラムから出て来た人ほぼ全員。天海くんは例外」

最原「安心してよ。証拠として扱う以上、最後の学級裁判のときには絶対にみんなに知らせるから」

入間「じょっ……冗談じゃねぇ! それまでどんな真実が眠っているか、俺様たちにビクビク縮こまって過ごしてろって!?」

最原「もう一回言うよ。白銀さんを殺そうとした、巌窟王さん以外の犯人が自白さえしてくれれば、僕は何も隠さない」

入間「んなヤツいるかどうかわかんねぇだろうが!」

最原「いる! 絶対にいる! だからダメなんだよ!」

最原「その人が名乗り上げるまでは、僕は協力する人を選ぶよ。白銀さんは大事な証人なんだ! 絶対に誰にも触らせない!」

入間「……!」

東条「……本気のようね。ここに来て仲間を突き放す言動をするなんて……」

東条「最原くん。何があなたをそこまで追い詰めたの?」

最原「……」

最原「僕は……みんな揃って外に出たい」

百田「終一……」

最原「そのためならどんなことだってやってやるって思ったんだ」

最原「白銀さんも、キーボくんも含めて、みんな外の世界に連れて行く!」

最原「この命にかけて……この牢獄から脱出するんだ!」

春川「……でも、それでこれから先どうする気なの?」

春川「最後の学級裁判について私たちは何も知らない。どこで開催されるかすらもね」

春川「最後のってくらいだから、いつもの裁判場じゃない可能性だってあるよね?」

最原「モノクマに訊けばわかるよ。今は復活して学園のどこかにいるはずだから」

最原「……捜査は僕が主導する」

真宮寺「認めるとでも?」

最原「認めなくても構わないよ。でも……」

最原「白銀さん憎しで団結してたみんなが、今も同じように団結できる?」

最原「……自分の身可愛さに条件を飲んでない人がいるのに?」

赤松「ッ!」

最原「……話は一旦ここで終わりだ」

赤松「最原くん……!」

最原「……」






最原「悪いとは思ってるよ」
145 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/15(月) 20:38:22.55 ID:KwljZRXF0
マジだ。マジで復活してる
146 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/15(月) 20:40:05.91 ID:KwljZRXF0
やっべぇよ。暇潰しに書いてた番外編まだ終わってないのに。スプラトゥーン買ってめっちゃ遅れてるよ。

こっちすぐ終わらせるから待っててね!

https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1536142341/
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 20:53:33.72 ID:WK9hDTE6o
セミラミスの人あんたっだったのか……
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 21:36:34.18 ID:WXPm3D5Ao
復活おめ
149 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/15(月) 21:41:59.76 ID:KwljZRXF0
と言ってもほぼサボってるに等しい状況だったから本復活には時間かかりますけどね。番外編もその気になれば明日には終わる分量とは言え。


あっちの番外


セミラミス「物凄い退屈なのでカルデアを練り歩く」


は、ぐだが女性という相違点はあるものの、ほぼ『虚構殺人遊戯:才囚学園が始まる前に大体こんなことがあったはず』という前提で書きました。
チョコパスタとか漬け置きサングリアとか空中庭園に潜む意味不明なキャストだとかなんだとか。
あとはオチを付けるだけなのでこっちの復活は本当ちょっとだけ待って……
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 16:04:53.65 ID:0uFSDCMi0
ふう。もうこのままこれの終わりを見れないかと思ってたよ
151 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 20:57:52.67 ID:UUrQVaz70
俺自身久しぶりで作品の内容は忘れちゃったんで、長期ジャンプアニメにありがちな総編集入れます。すぐ終わる!
152 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 21:14:54.94 ID:UUrQVaz70
カルデア ダヴィンチ工房

ダヴィンチ「……」カタカタ

ダヴィンチ「……ふぅん。これがモンテ・クリストが定期的にBBに送っていた『学級日誌』か」

ダヴィンチ「なるほどなるほど。これは確かに……女神たちが手を貸すのも納得の、興味深い物語だね」ニヤァ





総編集 巌窟王の学級日誌





ダヴィンチ(始まりはカルデアの時間軸では、ほんの少し前。きっかけは今となっては物凄くくだらないことだった)

ダヴィンチ(BBが違法改造したコフィンを使い、巌窟王をレイシフトさせた際に起きた事故が原因で、彼は未知の世界に飛ばされることとなる)

ダヴィンチ(閉鎖空間『才囚学園』。そこは『超高校級』の肩書を持つ特殊な才能を持った生徒たちが殺し合う、まさしく地獄の園だった)

ダヴィンチ(紛れ込んでしまった巌窟王自身、脱出が不可能の身となり、紆余曲折を経て……)

ダヴィンチ(……とは書いてあるけど、なんやかんやあっさり快諾したんだろうなぁ)

ダヴィンチ(巌窟王は生徒……夜長アンジーをマスターとして、才囚学園からの脱出という利害の一致を基にした同盟関係を結んだ)

ダヴィンチ(脱出のため。そして、巌窟王自身の矜持のために)

ダヴィンチ(それが生徒全員の……いや。巌窟王の中の歯車さえも軋ませる災厄の始まりだとは、このときは誰も想像していなかった)
153 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 21:19:26.54 ID:UUrQVaz70
第一章
私と僕(と俺!)の学級裁判

ダヴィンチ(隣の生徒を生徒が励まし合い、なんとか協調を保とうとしていた最初の数日)

ダヴィンチ(だけど、その日々はモノクマの設けた『タイムリミット』によって揺らぎ始める)

ダヴィンチ(そして……最初の犠牲者、巌窟王の発見によってコロシアイはついに幕を開けた)

ダヴィンチ(開けたはず、なんだけど。いやこれ開けたのか?)






回想

ピンポンパンポーン


アナウンス『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を始めます!』

最原「そ、そんな……!?」

巌窟王「始まるのか……学級裁判が!」ギンッ

茶柱「そんな! 巌窟王さんを殺した犯人を、命懸けで見つけろと!? そんなの……」

茶柱「……」

茶柱「……ん? なんか今、変じゃありませんでした?」

夢野「何がじゃ?」

茶柱「いや……まあいいんですけど……?」

真宮寺(死んでなくない?)

白銀(死んでなくない?)

東条(死んでないわね?)

星(死んでねーじゃねーか)

獄原(あー、無事でよかったー!)キラキラキラ

モノクマ(なんかいまいち絶望感が足りないな……? まあいいや)
154 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 21:32:39.95 ID:UUrQVaz70
ダヴィンチ「まあ……うん。なんだ」

ダヴィンチ「最初の時点でデスゲームとしては破綻してるよね? なにせ死んでないんだから!」ケラケラ

信長「敦盛ィ!」ギュイイイイイインッ

ダヴィンチ「あ。編集したCDならそっちのテーブルの上に置いといたから勝手に持ってってー。お代は既に頂いてるからね」

アルテミス「……」

アルテミス「え? ダヴィンチ工房、閉めてないの? この調子で独白形式で進めて行くものかと思ったのだけど」

ダヴィンチ「ん? 別に記録を読むのくらい片手間でできるしね」

アルテミス「いやあなたがそれでいいのなら、いいのだけど」

ダヴィンチ「最初の殺人事件(?)の犯人は赤松楓で巌窟王はタイムリミットとかの事情も省みて全部許して大体全部ぶち壊して解決しました!」

ダヴィンチ「はい終わり!」

信長「敦盛ィ!」ギュイイイイイイインッ

アルテミス「雑ねっ!?」ガビーンッ






回想

赤松「もう一度信じてみる」

最原「えっ?」

赤松「最原くんを……巌窟王さんを……みんなを……!」

赤松「今度こそ地に足の付いた、私にできるやり方で」

最原「赤松さん……」

巌窟王「それでいい。反省会など外に出た後でやればいいのだ」

巌窟王「モノクマ! 貴様は言った! 全員揃っての脱出の目などありえないと!」

巌窟王「ならば俺のやることは一つだけだ! その傲慢さを必ず圧し折り、叩き潰し、地に引きずり降ろして泥を付け……!」

巌窟王「絶望の淵に叩き込んでやる!」

百田「わかるように言え! 巌窟王!」

巌窟王「つまりこういうことだ! 全員揃って脱出する! それが! この場における俺の理念だ!」

最原「……!」
155 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 21:45:36.90 ID:UUrQVaz70
第二章
その限りなく地獄に近い天国に光は差すか

ダヴィンチ(結局、決定的な悪意は存在しなかった前回の事件とは違う。この事件は明確な悪意を持って行われた)

ダヴィンチ(最初の事件が完璧なハッピーエンドだったという油断を利用して、狡猾な犯人が牙を剥いた形になるのかな)

ダヴィンチ(本当のコロシアイはここからが本番だった)

ダヴィンチ(夜長アンジーの魔術師としてのスペックの向上)

ダヴィンチ(謎の高校生、アマデウス斎藤の襲来)

ダヴィンチ(その他、最原終一が巌窟王から『とあるスキル』を借り受けたりしたのだけど……学級日誌にはこれ以降記述がほぼない)

ダヴィンチ(まあサーヴァントのスキルを一部分とはいえ、まともな人間が使ったら結構危険だから別にいいんだけど)






回想

最原「え、い、いや。あれどう見ても天っ……」

天海?「そう! 俺こそがこの学園に閉じ込められた十七人目の高校生!」

天海?「キミたちを導くために現れたミステリアスボーイ!」

最原「いやだからキミ、天っ……」

天海?「才能不明! 本名不明! 素顔不明! すべてのミステリアスの生みの親ァァァァァァッッッ!!」

最原「だからキミって絶対に天海っ……!」

アマデウス斎藤「超高校級のミステリアス! アマデウス斎藤! ここに推参!」ドジャァァァンッ!

アマデウス斎藤「イエエエエエエエエエエエエエエエエイッッッ!!」ドカァァァァァンッ!

最原「……」

最原(救いようがないほどダサイーーーッ!)ガビーンッ!
156 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 22:00:39.33 ID:UUrQVaz70
ダヴィンチ(平和だった時間を嘲笑うかのように事件は起こる)

ダヴィンチ(今度の被害者は……またしても巌窟王だった。凄いなこの人。何回死ぬんだ)

ダヴィンチ(まあただ、結局蘇ったんだけど。あの空間、形而学上のものすら外に出さないらしいな。故に死んでも復活に必要な『何か』は残る)

ダヴィンチ(……ちょっとした結界だな、これ。だとするとあの世界の正体って……)

ダヴィンチ(おっと。思考が脱線しかけた。話を戻そうか)

ダヴィンチ(この事件は巌窟王が、犯人のある秘密を隠そうとちょっとだけ暗躍したんだけど)

ダヴィンチ(結局、最原終一に阻まれた。犯人は東条斬美であり、その行為にはありったけの悪意が注がれていたことは明るみに)

ダヴィンチ(この事件を境に、生徒同士に絆が産まれたことは事実だ。でも……こんな状況だったことが災いする)

ダヴィンチ(この空間で、ある種健全な関係など産まれない。知らない内、段々と歪みと亀裂が彼らの絆に混ざっていく)

ネロ「……」キョロキョロ

ネロ「神祖ロムルスがどこに行ったか知らぬか?」

ダヴィンチ「ローマの噂してれば出るんじゃない?」

ネロ「そうか。ローマ!」ビシイッ

カエサル「ローマ!」ビシイッ

カリギュラ「ロオオオオオオマアアアアアアアアアアア!」ビシイイイイッ

ダヴィンチ(うるさいなー。早く続きを読ませローマ!)ビシイッ




回想

東条「……え、と。巌窟王、さん」

巌窟王「もう何も言わなくていい。早く仲間たちのところへ戻るぞ」

東条「私は……」

巌窟王「裏切り者だから、か? ならばもう一度やり直せばいい」

東条「!」

巌窟王「……そうだろう? 最原」

巌窟王「ン? 最原?」

最原「」チーン

東条「……多分だけど、吹き飛んだモノスケの頭がモロに後頭部に当たったようね」

巌窟王「だから離れていろと言ったのだ」

最原「う、うう……大丈夫。気絶はしてないから」フラフラ

巌窟王「戻るぞ」

最原「うん」
157 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/18(木) 22:06:54.65 ID:UUrQVaz70
一か月ぶりだから段々思い出せてきたぞ……!
あ、続きは明日。『やりたいシーン』だけは覚えてるんですけど『やったシーン』に関しては記憶が朧気なのでもうちょっとつきあってください
158 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/19(金) 22:17:36.89 ID:SJxBwNOp0
第三章
Unlimited 在校生 Works

ダヴィンチ(これを第三の事件と称するのには語弊がある。でも、このゴタゴタは事件と称する他ない)

ダヴィンチ(混乱。混沌。恐慌。あらゆる手段を尽くして行われた生徒全員への撹乱行為)

ダヴィンチ(巌窟王すら手玉に取るとは、やるじゃないか。彼)

ダヴィンチ(しかし事件発生までのモラトリアムの間に色々あったみたいだなぁ。何コレ。シリアスなヤツからコメディなものまで彩緑だし)

ダヴィンチ(……巌窟王、生徒たちのことを相当見てるな。正しく認識してるかはともかくとして)

ダヴィンチ(春川魔姫の真の才能、暗殺者の発覚と記憶喪失)

ダヴィンチ(汚れ役を引き受けた最原終一と、それに反発する茶柱転子の軋轢)

ダヴィンチ(そして……)

ダヴィンチ「ぶふっ……ここの記述だけ動揺しすぎだって……」プルプル

ダヴィンチ(仮のマスター、夜長アンジーの恋情! それも相手が、巌窟王を舌戦で一度打ち負かした実績のある最原終一!)




回想

巌窟王「……」

巌窟王「……そうか……」

巌窟王「よし。燃やすぞ?」

最原「」

赤松「やめてーーー! お願い、巌窟王さん落ち着いてーーー!」ガビーンッ!

百田「アンジー! 冗談だよな!? 冗談なんだろ!?」

アンジー「冗談じゃないよー! 本当に終一と結婚したいんだってー!」キラキラキラ

キーボ「わあ。素敵な笑顔」

入間「ダサイ原にとっては悪魔の笑顔だけどな……」

春川「えーと、なに? 状況がよくわからないけど……」

春川「おめでとう?」パチパチパチ

王馬「おめでとー!」パチパチパチ

アマデウス斎藤「静まりたまえー! 静まりたまえー!」

獄原「その仮面まだ持ってたの!?」
159 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/20(土) 19:44:46.56 ID:A2fqbAl00
ダヴィンチ(結局のところ事件そのものの構造は簡単だ。今回から巌窟王は直接的な被害者になることはなくなった)

ダヴィンチ(まあ間接的な被害者になったんだけどね!)

ダヴィンチ(今度の被害者は才囚学園での仮マスター、夜長アンジー。その他巨大な木造建築やら、前回犯人だったメイドさんやらが傷つけられたけど)

ダヴィンチ(それらはすべて夜長アンジーの事件のカモフラージュに過ぎなかった)

ダヴィンチ(犯人は真宮寺是清。偏屈な彼にしては珍しいことに、最原終一と協力しての大立ち回り)

ダヴィンチ(まあ、結局最後には対立しちゃうんだけど)




回想

真宮寺「……」

真宮寺「……く、ククク。これで僕を助けたつもり……?」

最原「……」

真宮寺「甘いヨ。あのまま巌窟王さんに任せておけば……全部丸く収まったはずなのに」

百田「真宮寺」

真宮寺「僕は自分が間違ったことをしたなんて思ってないんだヨ。だって愛は……」

百田「真宮寺」

真宮寺「……愛は永遠なんだ。キミたちには理解できないかもしれないけど、僕は――」

バッキィッ

真宮寺「がはぶっ」バタンッ

百田「ちょっとでいい。寝てろ」

百田「あと頭冷やせ」

キーボ「スッキリしたとか言ってたのに!」ガビーンッ

百田「いやなんかうるせぇしよ」

最原「……」
160 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/21(日) 19:50:08.94 ID:qNRlKFxs0
第四章
虚構殺人遊戯:才囚学園、改め、架●●理●園ダンガンロンパ

ダヴィンチ(ここが山場。巌窟王が最後の一線を越えてしまった転換点)

ダヴィンチ(いやポイントオブノーリターン? どっちでもいいか。ひとまずこれで巌窟王が元に戻る可能性は限りなく小さくなった)

ダヴィンチ(実のところ、ここから巌窟王の学級日誌は資料としての価値がなくなる。巌窟王がこれ以降、まともに筆を握れなくなるからだ)

ダヴィンチ(だから仕方ない。私が付け加えるとしよう。どっちにしろ報告書にまとめる必要があるからなー)

ダヴィンチ(ええと……ケツァルコアトルとか……が夜長アンジーや学園そのものに対して干渉を開始……)

ダヴィンチ(内容は……夢による強化、学園の一区画の迷宮化、その他女神の加護の押し売り……目も当てられないなぁ!)

ケツァルコアトル「あの子たちに高さをプラスデース!」グッ



回想

エウリュアレ『病院なら無意味に迷宮化させたので簡単には出れないわよ』

最原「え? あ? あ、本当だ。なんか間取りが全体的にありえないことになってる!」ガビーンッ

百田「し、しかも引き返せなくなってんぞオイ! さっきの扉はどこだ!?」キョロキョロ

ドスンッ ドスンッ ドスンッ

最原「……なに、この音。何かがこっちに近づいてきてるような……」

ミニチュア太陽神殿「デース!」ドスンッ

ミニチュア太陽神殿「デース!」ドスンッ

ミニチュア太陽神殿「千里の道も一歩からデース!」ドスンッ

最原(あのなんだかよくわからないオブジェが飛び跳ねながらこっちに向かってきてるーーーッ!)ガビーンッ

百田「……」

百田「あぶあぶあぶあぶ」ブクブク

最原「百田くん! 気をしっかり持って! このままだと多分押しつぶされる! 走って!」ユサユサ

ミニチュア太陽神殿「飛び跳ねて移動するの飽きたのでスライドで移動しマース!」スイーッ

最原「うわあああああああ! 動きがひたすら気持ち悪いーーーッ! しかも早ッ!」

百田「ああああああああああああ! ぎゃああああああああああああ!」ドタターッ

最原「ああ、待っ……先に行かないで百田くん! 百田くーーーんッ!」
161 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/22(月) 21:36:59.43 ID:5lmpKT2K0
ダヴィンチ(物語は変転する。黒幕の現出によってあっさりと)

ダヴィンチ(前提は覆される。黒幕の都合で跡形もなく)

ダヴィンチ(そして……サーヴァント目線では途中から映像がブラックアウトする)

ダヴィンチ(この後の展開はすべて生徒からの伝聞……を伝え聞いたサーヴァントたちの更に伝聞だ)

ダヴィンチ(事件は『起こらなかった』。でも裁判は行われた)

ダヴィンチ(実際に起こっていない架空の事件を議論した末に、現れたのは首謀者。『白銀つむぎ』)

ダヴィンチ(悪辣な罠によって二手に分断されてしまった生徒および巌窟王はどうなってしまうのか……!)

ネロ「神祖ロムルスはどこに行ってしまったのかーーーッ!」ボエエエエエッ

カリギュラ「ウオオオオオオオ! ロストオオオオオオオオオ!」ボエエエエエエッ

ダヴィンチ(超うるせぇ。あんな大男普通どっかに消えたりしないって……)

ダヴィンチ(……してないよね? いやまさかこんなくだらないことが伏線だったり――)




回想

巌窟王「……」

巌窟王「アンジー」

アンジー「……」ビクッ

巌窟王「俺を、捨てるのだな?」

アンジー「あ……あ……いや……」ポロッ

最原(……アンジーさんは、何度も首を横に振る。でも、巌窟王さんは振り向いてないから、わかってない)

最原(そして……アンジーさんは巌窟王さんの顔を見ていないから、巌窟王さんの表情に気付いてない)

巌窟王「……そうか」

最原(その顔は、この最悪な状況にしては似つかわしくないほどに……)

最原(安心しきっていた)





巌窟王(よくやったな。アンジー)
162 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/22(月) 21:46:41.10 ID:5lmpKT2K0
ああ九十パーセントほど思い出せてきたかも!
あと誰に何を言われようと一レスで終わるような出オチは絶対にやめないだろう。性分なので
163 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/23(火) 21:50:40.34 ID:wYOU+yr40
ダヴィンチ(さて。ミスの話をしよう。首謀者の彼女は一つだけ致命的な誤りを犯した)

ダヴィンチ(推理小説のノックスの十戒は、なにも『探偵役側』を縛り付けるだけの不自由なルールではない)

ダヴィンチ(なんなら、それは本質ではないと断言できる)

ダヴィンチ(あのルールは『犯人役側』を縛り付けるルールでもあった)

ダヴィンチ(つまり『相互の力関係を常に一定に保つために必要なルール』。それがノックスの十戒の正体だ)

ダヴィンチ(真の意味でのワンサイドゲームなど、誰が楽しむ? どこかに光はあるはずだと信じる心が勝算を産むのは確かだが)

ダヴィンチ(光なんてどこにもないという現実を作り出し、あまつさえそれを相手側に見せびらかすのは絶望でもなんでもない。相手の息の根を止めている)

ダヴィンチ(探偵と犯人の力関係はある一定のラインで公平でなければならない。ならば……)

ダヴィンチ(フェアさを捨てた時点で、相手がアンフェアに頼るのは当然の帰結だ)

ダヴィンチ(具体的に言うと、サーヴァントが本気で手を貸すような状況を作り出したのは、紛れもない首謀者のミスだろう)

ダヴィンチ(……それ言ったら最初の時点で巌窟王を呼び出したことそのものが、探偵側のズルだって? そこはほら、棚に上げよう)







ダヴィンチ(すべては必然。サーヴァントたちが手を貸そうという気になったのは、そういう気に『させられたから』だ)

ダヴィンチ(きっと彼らは、誇っていい)
164 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/24(水) 23:41:06.91 ID:G6anTH950
イベントのことを失念し、予定が狂ったので本編開始は金曜からとなりました。総編集は明日で終わりなのだ!
165 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/26(金) 15:51:28.36 ID:0CLHHwbO0
第五章
Cosmos in the lostmemories

ダヴィンチ(ここから先は、特に言うことは何もない)

ダヴィンチ(失われた記憶を取り戻す物語)

ダヴィンチ(取り上げられた仲間の元へ帰る物語)

ダヴィンチ(取りこぼした物の未練を断ち切る物語)

ダヴィンチ(そして――すべてのピースが揃う物語だ)




回想

最原「百田くんっ! 春川さん!」

真宮寺「ダメだヨ最原くん! エグイサルが関節を完全に極めてるとは言っても、よろめいて倒れたりしたら潰される!」

赤松「……あの音。機体が軋んでるみたい。エンジンとかモーターとかを規定の限界以上まで駆動させてるんだ」

赤松「あの状態が続けばモノタロウが乗ってる方のエグイサルは三十秒も持たない、けど……!」

真宮寺「その代わり、通常のエグイサル以上の馬力を出せるってことだネ」

真宮寺「……ところで気のせいかさっきよりエグイサルが密着してない?」

赤松「気のせいじゃない。コクピットからの音がもうほとんど聞こえない! エグイサルの機体が塞いでるんだよ!」

赤松「あの状態で自爆なんかされたら……!」

最原「そんな……そんな!」

最原(ここまで誰も死なずにやってこれたんだぞ……このエグイサルを潰せば、やっと僕たちの勝ちなんだぞ!)

最原「諦めたくない……諦めたくないよ……!」

最原「こんなところでお別れなんてイヤだ!」

赤松「最原くん……」

最原「くそっ! くそっ! くそおおおおおおおおおおおおおおっ!」ダンッ

巌窟王「……」スタスタ









最原「……」

最原「ん?」

巌窟王「最原。どちらのエグイサルが味方だ?」

最原「ええっと、その比較的損傷が少ない、抱き着かれてる方……」

巌窟王「そうか。わかった」ボォウッ





ドガシャアアアアアアアアアアアアンッ




巌窟王「よく頑張った。後は俺がやる」ゴキンッ
166 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/26(金) 16:03:01.53 ID:0CLHHwbO0
ダヴィンチ(さて。報告書にはここまで書けばいいだろう。ここから先に何が起こったところでカルデア側にはもう関係ない)

ダヴィンチ(深入りさえしなければカルデアに損害は一切ないのだから)

ダヴィンチ(ないよね?)

ネロ「やはりロムルスが見つからぬ! ので! ちょっと大声で歌うぞ! 余の美声にきっと釣られてやってくるに違いない!」スチャッ

ダヴィンチ「!?」ガビーンッ

エリザ「助太刀するわ!」スチャッ

ダヴィンチ「!?!?」ガビビーンッ

ネロ&エリザ「ぼえー!」キィィィィンッ

ダヴィンチ(避……否。死)バターンッ





キィィィィンッ
167 :カニファンを流せ脳内で ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/26(金) 16:22:02.80 ID:0CLHHwbO0
才囚学園

王馬「……?」

夢野「どうしたんじゃ。王馬」

王馬「今なんかすっげーイヤな音が聞こえたような……」ニガニガ

獄原「ぐはっ」バターンッ

赤松「きゅー」バターンッ

入間「ゴン太とバカ松の二人が倒れたぞ!」ガビーンッ

白銀「新手のスタンド攻撃かな?」

王馬「まあ本筋には掠りもしないから多分すぐに起きると思うけどね」

夢野「え。何言っておるんじゃ?」

王馬「饗宴の再開だぁ……あるいは狂宴の……」ニヤァ

夢野「え!? 何言っておるんじゃ!?」ガビーンッ

天海「最原くん!」

最原「えっ? えっ、何?」

天海「再開っすよ!」ババァーンッ

最原「何が!?」ガビーンッ







?????「始まるよ」
168 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/27(土) 12:13:17.65 ID:vCv0QJPt0
王馬「本題に戻るけど、要は最原ちゃんは『自分一人の力で真実に辿り着いて見せる。他は足手まといなので余計なことをするな』と言いたいわけだよね」

夢野「言い方が物凄く悪いのう」

王馬「いいよ。別に。最原ちゃんは最原ちゃんの好きなようにすれば」

王馬「でもまあ、その上で言わせてもらうけど。俺たちの協力をこれから先取り付けられると思わないでよね。都合が良すぎるでしょ?」

最原「わかってる」

春川「……」

春川「最原。あんた、本当に悲しいよ」

最原「……?」

春川「真実なんて本当は二の次でしょ。アンタはただ『仲間を守りたいから』ってだけだ」

春川「……誰も死なずに自由になりたいってだけだ。それなのに仲間を突き放すような選択肢しか取れないアンタが悲しい」

最原「……話はお終いだ。ここから先は別行動でいいよね」

入間「おーおー勝手にしやがれ! 清々すらァ! せいぜい夜道には気を付けろよ! ケツ掘られないようにな!」

真宮寺「夜はお腹冷やさないようにね」

東条「夜食は控えること」

茶柱「後半からお母さんになってますよ! 心配の仕方が!」

茶柱「……あ。転子は最原さんに付いていきますので。あと天海さんと白銀さんもですよね?」

白銀「ん……うん」

夢野「そうか。転子よ」

茶柱「……なんです?」

夢野「最原のこと、頼んだぞ」

茶柱「……ええ。任されました」
169 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/28(日) 20:03:13.10 ID:buBSEtZw0
数分後

獄原「……ハッ! 起きた! おはよう!」ガバリッ

王馬「おはよう!」

獄原「なんて清々しい朝なんだ!」キラキラキラ

東条「昼よ」

真宮寺「何故だろうネ。起きて早々ド下手な強がりと痩せ我慢の連発なんだけど」

獄原「……最原くんがゴン太たちを突き放すような言動をしたのと……」

獄原「この世すべての悪と呪いを一手に引き受けたような酷い音が聞こえた……ような……?」呪い付与

アンジー「にゃははー! 実際に呪われてるよー!」

百田「赤松はまだ起きねーか?」

春川「よくわからないけどこっちの方がダメージ深刻だね」

赤松「うーん……姫路城……ピラミッド……西洋の城……? ゆっ、遊園地……」ガタガタ

アンジー「かなりサイケデリックな夢見てるみたいだねー!」ケラケラ

夢野「よーし! こんなときこそウチがパーっと魔法を使って気分を一気に変えるんじゃ! 後のことを考えるのはそれから――」

?????「ニャー!」ガシッ

夢野「へぶんぬっ」ズルリッ

王馬「おお。夢野ちゃんが一瞬で消えた。流石マジシャン、凄い手品だね!」キラキラキラ

入間「ここから焦らして焦らして満を持して瞬間移動ってか? マジシャン界隈ではよくある手垢の付いた手口だな」ハンッ

春川「……」

春川(いや、崩壊した床から誰かが夢野を引きずり込んだ……ような……?)

星「それで。これからどうする?」

全員「……」
170 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/28(日) 22:46:15.18 ID:buBSEtZw0
ウワアアアアアアアア! ナンジャコイツハァァァァァ!

ニャアアアアアアアア!

クルナァァァァァァァァ!

春川(校庭の方で謎のナマモノと夢野が追いかけっこしてる)ジーッ

星「ハシゴを外された気分だぜ。ただでさえ最後の学級裁判の詳細がわかってねーっていうのによ」

百田「別にいいんじゃねーの?」ケロリ

東条「……よくはないと思うけど。随分と余裕ね」

百田「よく考えろテメェら。今となっては俺たちに『この学園で探索してない場所』ってのはないだろ」

入間「ん……」

百田「見ての通り校舎は半壊。色々な意味で風通し抜群。仮に学級裁判でどんな問いを投げかけられたとして、だ」

真宮寺「……対応できないってことはないか。確かにネ」

百田「それよか俺には不安なことがあるぜ。一つだけ、今すぐ解決しなきゃいけないことだ」

アンジー「それって?」

百田「……ちょっと色々ありすぎて疲れただろ。服とかもボロボロなままなヤツいるしよ。余裕なさすぎだぜ」

獄原「あっ。本当だ。尻の部分が破けちゃってる」

入間「ヒャハッ! あんだよ、どこのコメディアン気取りだ? ゴーン太ァ〜?」

獄原「いや入間さんの尻なんだけど」

入間「おぎゃああああああああああああああっ!?」ガビビーンッ

王馬「やめてよゴン太……気付かなくていいことに気付いちゃったじゃん。入間ちゃんのウンパンとか誰得だよ」

入間「待てゴラァ! 流石にウンパンじゃねーぞ! あれ!? じゃないよね!? 誰か俺様の尻を確認してくれ! ほらほら」フリフリ

スパァンッ!

アンジー「……あ。ごめん。ちょっと強く蹴りすぎちゃったよー」ニコニコ

入間「」シュウウウウウウ

王馬「ナイスナイス」
171 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/29(月) 22:15:44.99 ID:I1lFi+H30
百田「休もうぜ。元から時間がないってわけじゃない。白銀の無事が確認できたのなら俺は満足だ」

百田「……というか終一たちだって多分休むぞ。これからぶっ通しで捜査するようなマネは絶対にしねーだろ」

百田「調べられるような事実は残ってないってことはアイツらが一番よくわかってるはずだ」

東条「あのとき言ったことの半分は、私たちから白銀さんを守るための……」

東条「……おっと。口が滑りかけたわね」

王馬「俺たちから白銀ちゃんを保護して庇うための方便だよねー!」ニコニコ

百田「言うなよ! わかってたことをよ! 方便もクソもなくなるだろ!」ガビーンッ

春川(……あっ。夢野が追い付かれた。応戦し始めた。頑張れ頑張れ)フレーフレー

百田(なんかさっきからハルマキが静かだな……?)

アンジー「……休むっていうのは賛成かなー。アンジーは……まだやることあるし」

真宮寺「ン。巌窟王さんの看病?」

アンジー「……」

アンジー「終一がつむぎから話を聞くっていうのなら、もう捕まえる必要ないからさ」

アンジー「今のアンジーには『彼』が一番大切」ニコリ

獄原「そっか! アンジーさんは巌窟王さんが大好きなんだね!」キラキラキラ

アンジー「というか終一が大体奪っていったからね。アンジーの大切なもの」

アンジー「終一自身。復讐の機会。後に残った大事なものが『彼』しかないってだけだよー」

百田「お、重ってぇ!」ガーンッ

アンジー「今となっては仕方ないけどさ……後悔ばかりだったし」

アンジー「でもまあ、別にいいんだ。寄り道はもうおしまい。後の学園生活は『彼』の傍にいるよ」

アンジー「……いなきゃいけないんだー」

百田「……そうか」
172 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/30(火) 19:43:38.36 ID:cFXvuLUe0
ち、ちくしょう! 特攻が足りてないからかなぁ! 鬼王の一番強いヤツが削り切れない!
本腰入れてイベントするから今日はなし!

今更ながらダンガンロンパのサントラ買ったよ。最高だね!
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/30(火) 20:44:47.50 ID:QKkzLKJEo
50体倒す頃には特効までポイントはいってるよ
100体倒す頃には交換終わるよ
174 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/10/31(水) 19:39:05.14 ID:QWjf2yvp0
春川「……っと。勝負付いたかな。殺意はないけど早めに助けた方がいいかも」サッ

百田「んじゃ、ここで解散ってことにしようぜ。どっちにしろ半壊した校舎にあまり長居したくねーしな」

百田「行こうぜハルマキ!」

百田「……?」キョロキョロ

王馬「春川ちゃんなら直前に床の大穴から外に出たけど」

入間「……ふがっ! あ、ああ! 痛い痛い! お尻痛い切れ痔になるーーー!」ビクンビクンッ

入間「お? んだァ? 校庭の方に何かいるような……?」

星「あ?」

獄原「あれは……ん? いやあれ……んっ? あれれ? あれあれ?」

王馬「おーいゴン太ー。お得意の超視力設定はどこ行ったー?」

獄原「あ、うん。いやアレは……見えてもちょっとよくわからないっていうか……」

獄原「強いて言うなら春川さんは夢野さんを助けようとしてるってことくらいしかわからないっていうか」

百田「ハルマキが? 夢野を?」

獄原「なんか夢野さん、噛まれてる。何かに」

東条「……本当ね? 『何か』としか言いようのないナマモノに噛まれて悲鳴を上げてるわ」

東条「私たちもちょっと行ってみましょうか」




校舎の外

夢野「おぎゃああああああ! 痛い痛い痛い! 割れる! 頭割れるぅーーー!」ジタバタ

ジャガーマン『ぎゃあああああああ! 食われる! なんか顕現するのに最低限必要な何かが根こそぎ食われていくーーー!』

?????「ふはははははは! 猫キャラ被りだ! 最優先で潰すに限る! 大人しくあちしの胃袋にINするがいい!」ガブガブ

ジャガーマン『ぐ、ぐぬう。おのれおのれおのれおのれおのれ……こうなったら我が第なんちゃら番宝具、乖離剣エアを……!』

?????「!?」ガビーンッ

ジャガーマン『ごめんハッタリっす』

?????「だよねー」


ガブウッ


夢野「……あ、あれ。ジャガーマン? ジャガーマ……」

夢野「うわあ! 明らかに何かが消えたような拭いようのない喪失感! 嘘じゃろ! こんなところで消えおったーーー!?」ガビビーンッ
175 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/01(木) 21:12:07.98 ID:bnAvR0bA0
?????「ふいー。よし後はこの看板を立てかけて終了っと」

※これ以降ジャガーマンの出番はありません。ジャガ村先生の次回作にご期待ください

夢野「出番が回る余地すら完全に潰しおった!」ガビーンッ

?????「魔力回収。滞りない進捗ゥ。猫キャラ被りも回避できたので安心して語尾に『にゃ』と付けることができるにゃー!」

夢野「お、お主……許さぬ。許さぬぞ! 目の上のタンコブだったがジャガーマンはウチの仲間じゃった!」

?????「ほほう。ならばどうするのかにゃ?」

夢野「出でよ猫耳カチューシャ」ポンッ

?????「にゃ?」

夢野「で、これを装着し……」スチャッ

夢野「ウチも語尾に『にゃ』を付けるにゃ!」シャキーンッ

?????「にゃあ!?」ガビーンッ

夢野「更に妹キャラも追加じゃあ! 属性過多により他の猫キャラを霞ませるにゃ!」

夢野「お兄ちゃん。ウチのこと……ナデナデしてほしいんじゃ。じゃなくてにゃんっ」キャルンッ

?????「」



校舎内 図書室周辺

天海「これが猫耳妹の力……大したもんじゃないっすか」ボッ ドガァァァァッ

最原「天海くんが急に本棚に吹っ飛んだーーー!」ガーンッ

白銀「なんてこと……妹力が二千……三千……まだ上がる!」ピロピロピロピロ

茶柱「なんですかそのスカウターっぽい機械」

白銀「妹力測定装置」
176 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/02(金) 20:45:25.28 ID:O1ZSgwgK0
校舎の外あたり

?????「無限に許せねぇーーーッ! 猫キャラの座を今すぐ返却しろにゃーーー!」バッ

夢野「んあああああああああ!? も、もう噛まれるのはイヤじゃ! 誰か助けっ……!」

「夢野ー」

?????「にゃ?」

春川「大丈夫ー? 夢野ー」タッタッタッ

夢野「おお。春川! いいところに! ヘルプミーじゃ!」

?????「ふっ。何人来たところであちしの敵じゃにゃ……」


ギュオンッ


?????(えっ。急加速? 早っ……懐に一瞬で……待っ……!? 手にナイフが……!)

ブンッ ガァンッ

春川「……あれ。十六分割くらいになったと思ったんだけど……」

?????「あっぶにゃーーー! 死ぬ! 死ぬ! よしんば死ななかったとしてもフラグが立つ!」ワタワタ

春川「で。アンタ、何?」

?????「それ殺そうとした後で訊くの!? ま、まあいいにゃ。答えてあげよう。あちしの名は……そう!」

?????「あちしの名は!」

春川「長くなりそうならナイフに切られながらでいい?」ブンッ

?????「ネコアル、ぎにゃあああああああ!? や、やり直し、ねこあるっ……ふぎゃあああああああ!?」ガァンッ ガァンッ

夢野(本当に律儀に切られながら自己紹介しとる。いやできておらぬが)
177 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/03(土) 20:50:14.66 ID:hDFRfsMx0
春川「ん……ああ。なるほど。この感触、モノクマとかモノクマーズと同類か……」

春川「でも変だな? 巌窟王とかセミラミスと似たような気配も感じる」

春川「『この世界の法則』と『巌窟王の世界の法則』……なんでそれが一緒のところに……」ヒュパッ

春川「ん。もういいや。自己紹介しなくても。服のタグに名前書くとか、どこの小学生?」

ネコアルク「にゃあっ!? い、いつの間に切り取――がふっ」ドガァァァッ

春川「……頑丈だな。モノタロウは巌窟王の蹴りで大破してたんだけど」

夢野(いやどんだけの距離蹴り飛ばしておるんじゃ! サッカーボール!?)ガーンッ

春川「……よし。夢野。逃げよう」

夢野「ほ?」

ネコアルク「超痛いー」エグエグ

夢野「……の、ノーダメージ!? かなりズタズタに切り刻まれた上に、あんだけ蹴り飛ばされたのに!?」ガビーンッ

春川「あまりこういうことは考えたくないんだけど……あれ『私たちの世界の法則』だけじゃ説明できないよ」

春川「巌窟王とかと同類なら手に負えない。だから逃げよう」

夢野「りょ、了解じゃあ!」ダッ

ネコアルク「待ってー」ダッ

夢野「ゲエーーーッ! 追ってきおった!」

春川「殺意はないけど、追いつかれたら面倒そうだなぁ……ん?」

ネコアルク2「待ってー」ニャー

ネコアルク3「待ってー」ニャー

ネコアルク4「待ってー」ニャー

夢野「なんか倍々ゲーム状に増えておらぬか!?」ガビーンッ

春川「……頭痛くなってきたけど……もしかしたら……」

春川「赤松のところに全部連れてこう。アイツ、多分なんか知ってるかもしれない」

夢野「知らなかったら?」

春川「全部処分させよう。巌窟王に」

夢野「容赦なっ! あの連中に対してではなく巌窟王に対しての容赦がない!」
178 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/03(土) 21:03:27.00 ID:hDFRfsMx0
校舎出てすぐのところ

百田「……!?」

東条「何あの……にゃーにゃー言っているナマモノは」

真宮寺「わからない。わからないけどまた面倒ごとが自然発生したみたいだネ」

春川「みんな。いいところに」

百田「ハルマキ! 早く来い! 校舎の中に入って締め切るぞ!」

春川「ボロボロの校舎じゃどこかから侵入されるって。それより赤松は?」

獄原「ゴン太が背負ってるけど……?」

春川「今すぐ叩き起こして」

王馬「よーし入間ちゃん! 赤松ちゃんの性感帯を突くんだ!」

入間「わかった! 行くぜー!」ズブウンッ

赤松「!?!?」ビクビクーーーンッ

王馬「え……なんで本当にやってんの。怖……」ヒキッ

入間「ええっ!?」ガビーンッ

赤松「えっ……はっ……ええっ!? な、何今の……!?」キョロキョロ

春川「赤松。あれに見覚えは?」

赤松「あれ?」





ネコアルク軍団「にゃー!」ドドドドドドドッ

赤松「」
179 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/03(土) 21:10:43.43 ID:hDFRfsMx0
赤松「……!?!?」

百田「目を疑ってんな」

真宮寺「いや現実かどうかすら疑ってるみたいだけどネ」

春川「当てが外れたかな。セミラミスと仲良さげだったアンタならって思ったんだけど」

王馬「……あ。いやでも俺、あれさっき見たよ。さっき学園を揺らした爆発を起こした猫っぽい何かだ」

赤松「え、あの。ねえ! あれこっち来てない!? あの大軍こっちに来てない!? なんで悠長に話してるの!?」アタフタ

東条「どっちにしろまともな逃げ道が無さそうなのよ」

アンジー「遺書の用意するー? 筆と紙の用意はいつでもやってるよー?」キラキラキラ

赤松「大して残せるような財産ないよッ!」

ネコアルク軍団「にゃー!」ドドドドドドドドドッ

赤松「いやあああああああああああ! 来ないでーーーッ!」ガタガタ








ネコアルク軍団「はい」ピタッ

赤松「はい?」

星「……」

星「おい。止まったぞ? 赤松の指示で」

ネコアルク軍団「……」ジーッ

アンジー「あれれー? なんだろ。みんな楓の方見てないー?」

赤松「えっ……えっ?」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/04(日) 17:10:47.47 ID:wc57WAm10
型月世界でもトップレベルの攘夷存在を……
181 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/04(日) 19:18:15.81 ID:HLRtU/2K0
春川「……まあこういうこともありえるかな」

百田「ハルマキ。どういうことだ?」

春川「限りなく賭けに近い……ていうか『こうであってほしい』って願望だったんだけどさ」

春川「あれ、セミラミスが用意したんじゃないかな」

赤松「え。セミラミスさんが?」

春川「マザーモノクマはモノクマの生産ができる(はず)。今のマザーモノクマはアイツの物なんでしょ」

王馬「え? なに? モノクマは今関係なくない?」

春川「そうでもないよ。アイツ、中身は『モノクマ』だったから。ガワとパーツの組み方が若干変わってるだけでさ。切って確認した」

春川「だからセミラミスの関係者にアイツのこと訊こうと思ったんだけど」

赤松「……いや知らない知らない全然知らないんだけど!?」

赤松「ん……待って。心当たりはあるかも……だけど……」




セミラミス『そうか……先ほどの爆発はそういうことか……モノクマめ! あの『出来損ない』を使ったな!』ダンッ

セミラミス『聞け! 我は先の爆発には関与しておらぬ! 確かにアレを作ったのは我だが関係はまったくない!』





赤松「そうだ。セミラミスさんは確かにこう言ってた。『出来損ない』だの『作ったのは我』だの」

星「後のことは本人(?)たちに訊けばいいんじゃねーのか。目の前で待機してんだからよ」

ネコアルク軍団「……」ジーッ

赤松「視線が怖い!」ガビーンッ
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/05(月) 19:46:04.08 ID:ZaSo+a/d0
ごめん。めっちゃ酷いこと言うわ。
この茶番いる…………?
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/05(月) 19:50:24.30 ID:6i9nkU2No
お前の存在よりは要ると思う
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/05(月) 19:52:25.58 ID:yfY54Mit0
こういうの挟みまくって自分で言った完結予定を大幅にオーバーしてるしもはや文句言う気もない
完結さえしてくれればそれでいい
185 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 20:13:50.42 ID:oGczi0us0
赤松「……あ、あの。あなたたちは……何?」

ネコアルク「トンチキな返答と、ガチな返答、どっちがいい?」

赤松「ガチな返答でお願いします……」

ネコアルク「首謀者補佐ロボット『モノクマ』改造体、個体名ネコアルク。セミラミスのオーダー『生徒たちの脱出』を最優先命題とし」ガガーピー

ネコアルク2「セミラミスが行動不能になった際はオーダーリストの優先順位を一部変更するように設定されております」ガガーピー

ネコアルク3「セミラミス消失直後より、我らがマスターを『赤松楓』へと再設定」

ネコアルク4「なんなりとご命令を。マスター。コーヒーとか作るの大得意です」

赤松「待って待って待って」

ネコアルク軍団「……」ジーッ

赤松「凄い頭痛くなってきた。あのさ。一つ言っていい? 本人この場にいないけど絶対言うよ」

赤松「あの人本っっっ当に余計なことしかしないッッッ!」グアアアアアア!

百田「ガチな返答の方はガチの返答の方でマジでわけがわからん……が……」

百田「……要は味方だよな? これ。『生徒たちの脱出』を最優先命題って言ってるし」

アンジー「いやいや。それアンジーたちが今まで散々やってきたことだよねー」

アンジー「数揃えたところで今更どうなるとはとても思えないんだけどー」

星「具体的な方法を聞いてみたらどうだ?」

赤松「ええ……これ以上もう喋りたくないんだけど。今すぐ全部に自爆してって命令しても誰も責めないよね……?」

ネコアルク「ファイブ! フォー! スリー! トゥー!」カチッカチッカチッカチッ

赤松「ごめん自爆中止! 今のなし!」アタフタ
186 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 20:24:47.78 ID:oGczi0us0
春川「アイツのこと私はよく知らないんだけどさ。本当に置き土産に無意味なものを無意味に配置するようなヤツなの?」

赤松「大真面目にアホなことをしてなんとかなる人だったから、見た目アホでも何か考えはあったんだと思う」

赤松「具体的な方法……か……」

入間「しかしモノクマ改造体か。アイツどんな頭脳してやがったんだ? 普通考え付いても実行に移そうと考えねぇぞ」

入間「なにせどこまで行っても『中身がモノクマ』なんだからよ。内側からいつモノクマが食い破って元の状態に戻るかわかりゃしねぇ」

獄原「そんな気配は特にないよね?」

入間「ああ。どうも本当にコイツらは『正真正銘生徒たちの味方のモノクマ』だと考えるしかなさそうだ。相当神経質に改造したんだろうな」

入間「……信じたくねぇが……いや見た目が悪すぎるが……セミラミスがやったことが本当に成功したんだとしたら」

入間「これ以上の味方はいねぇぞ」

東条「本気で言ってる……?」

入間「言いたくて言ってると思うか?」

王馬「質問、再開しようよ」

赤松「……具体的にどうやって私たちを脱出させようって考えてたの?」

ネコアルク「はい計画書」ピラッ

赤松「あ。ありがと」




計画書『@カルデアの神格たちが時間をかけて学園中に仕掛けた神秘の全てを再配置。

    A後は我が頑張る。

    B最終的に巌窟王が頑張る。

    Cビクトリー!』




赤松「肝心の内容がまったく書かれてない!」ガビーンッ
187 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 20:39:43.32 ID:oGczi0us0
赤松「計画書はもういいよ! 口頭で説明して!」

ネコアルク「え? いやそれが全てっすけど?」

赤松「」

ネコアルク2「あちしたちがやっているのは『神秘の全ての再配置』の部分だけなんすよねー」

ネコアルク3「その後なにをするつもりだったのかはセミラミス嬢自身が『秘密だ』って教えてくれにゃかったんすよねー」

ネコアルク4「あ。その一環で夢野さんをちょっと齧っちゃいましたけど。後でごめんねって言っておいてくれないっすかねー」

春川「流石モノクマ改造体。モノクマとスペックが大差ないよ。特に憎らしさとか」

ネコアルク5「愛しさとー!」

ネコアルク6「切なさとー!」

ネコカオス「心もとなさと」フウッ

王馬「本当だクッソうぜぇ」イラッ

アンジー「そう? 可愛いと思うけどー」ナデナデ

ネコアルク「にゃー」ゴロゴロ

真宮寺「……そういえば件の夢野さんはどこに?」

春川「は? 私と一緒に逃げてたはずだけど?」

春川「……あれ?」キョロキョロ

獄原「……あっちの方で足跡だらけで転がってるボロ雑巾のような何かがあるけど……」






夢野「」チーン

ネコアルク軍団「あ」

赤松「」

春川「……生きてるかな」

百田「生きてるに決まってんだろ!」ガビーンッ
188 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 20:51:08.42 ID:oGczi0us0
赤松「……まあいいや。頭を切り替えよう。セミラミスさんは『すべての真実』を知ってた」

赤松「私たちと一緒にジャバウォック島にいて、私たちの置かれた状況をせせら笑ってた」

赤松「その上で私たちのことを脱出させることを考えてた」

赤松「……それだけわかれば充分かな」

ネコアルク「あ。赤松嬢。一つ報告が。セミラミス嬢はまだご存命のようですにゃ」

赤松「ん……それはキーボくんの言動とか見てればわかるけど」

ネコアルク2「彼女が生きてる以上、計画はまだ生きてる。その点は忘れずに」

ネコアルク3「第一の選択肢も、第二の選択肢も、第三、第四の選択肢が絶望に塗りつぶされたとしても――」





セミラミス『我の選択肢は残っておる』

セミラミス『……あと我のことは信じずとも良いが、最後の最後まで巌窟王を信じよ』




ネコアルク4「――ってセミラミス嬢が言ってたにゃりん」

アンジー「……」

ネコアルク5「BBの分身(ウソ)が貴様らを導いた」

ネコアルク6「ならば同じ分身(ウソ)たる我も貴様らに道を示してやろう」

ネコアルク7「とっておきの虚栄(ウソ)を手向けてやる」

ネコカオス「と、彼女はそう言っていた。真意は我々にはわからないが」フウッ

ネコカオス「そうだ。計画書の裏面には神秘の再配置位置が書かれている。もしかしたら巌窟王には、なにかわかるかもしれないな?」

アンジー「そっか。楓」

赤松「うん。病院に向かおうか」

赤松「……ところでコレもネコアルク?」

ネコカオス「……ふっ」ニヤリ

春川(声渋い)
189 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 21:05:21.69 ID:oGczi0us0
病院

巌窟王「ム……」パチリッ

巌窟王(……体が重い。さっきよりも)

巌窟王(もうまともな回復は望めそうにないか)

巌窟王(……次にあのスペックのキーボとまともに正面衝突したら確実に負けるな)

巌窟王「何か策を考えるべきか……あるいは戦わずに外に脱出できればそれでいいのだが」

巌窟王「……」

巌窟王(ダメだな。それでは)

巌窟王(……キーボが救われない)





ガララッ ドタバタバタッ




赤松「巌窟王さん! 起きた!?」

百田「起きてんな! おしっ!」

巌窟王「起き抜けに騒がしいぞ」

春川「悪いんだけど、時間はそこまで多くないんだ」

春川「……見て欲しいものがあるんだよ」

巌窟王「?」
190 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 21:13:15.72 ID:oGczi0us0
数分後

巌窟王「……」

赤松(巌窟王さんが計画書の地図を確認する。指でなぞって、吟味する)

赤松(……この反応は、心当たりがあるって感じだ)

巌窟王「……なるほどな。そういうことか。確かにこれなら『全部』を解決することができる」

赤松「!」

巌窟王「いや全部と言うと語弊があるな。キーボに関する問題だけは据え置きだ。ここに関しては本当に光明が見えない」

百田「おい! 勿体ぶってんなって! 何かわかったんなら話せよ!」

巌窟王「九十九パーセント間違いない。だが確証がない。セミラミスはどこだ?」

赤松「わからない。キーボくんにどこかに連れて行かれちゃって……」

巌窟王「……そうか。そういう構図になるか?」

星「巌窟王」

巌窟王「ふん。隠しているわけではない。ただこれを話して無駄に希望を持たせるのはどうか、と考えているだけだ」

巌窟王「第一、単純に俺の好みから外れているのでな」







巌窟王「この計画書は『キーボを破壊すること前提で学園に大穴を開ける計画』のものだ」

赤松「!」

百田「なっ……!」
191 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 21:24:53.70 ID:oGczi0us0
巌窟王「俺の概算になるが……かなりの犠牲を払って、残りの生徒十五人を外へと脱出させることは可能だろう」

真宮寺「具体的にどうやって?」

巌窟王「……言っても信じられないと思うぞ? 実際に目にしなければな」

巌窟王「おそらくだが、この計画が始動すればキーボの戦闘能力を大幅に削ることができる」

巌窟王「後は計画書の通り俺が『頑張れば』ハッピーエンドだ。ただし、キーボ以外はの話だが」

百田「おいおいおい。ざっけんな! その計画はなしだろ! 大雑把な概要だけで充分だ! 論外すぎる!」

王馬「……」ニヤァーーー

春川「一言でも喋ったら殺す」ギンッ

王馬「!?」ガビーンッ

獄原「完璧に読まれてるね……キャラが……」

巌窟王「……」

アンジー「あと一手足りないね」

巌窟王「!」

アンジー「……十五人の脱出の目途が立ったんでしょー?」

アンジー「ならさー、あと一人や二人や三人が増えたところで労力はそんな変わらないよねー!」キラキラキラ

アンジー「……あと一手で、全員揃って脱出できる」

巌窟王「……」

アンジー「この計画で十五人しか脱出できないっていうのなら」

アンジー「アンジーたちでこの計画を改造すればいい」

百田「……そうだ。アンジーの言う通りだぜ! あと一手なんだろ! なら……!」

巌窟王「俺には思いつかないな」

春川「え」

巌窟王「……だから貴様らが考えるがいい」

巌窟王「もしも考え付かないのであれば……そして、この計画書を使うしか選択肢がないのであれば……」

巌窟王「俺はこの計画に乗るだけだ」

赤松「……」

赤松(また私たちを試すようなこと言ってる)
192 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 21:44:11.31 ID:oGczi0us0
巌窟王「……最後の学級裁判、か」

入間「んだよ。何か引っかかることがあんのか?」

巌窟王「コインの裏が出るか表が出るか、程度の賭けにちょうどいいかもな」

巌窟王「……賭けてもいい。最後の学級裁判、おそらくセミラミスがなんらかの形で関わってくるはずだ。ちょっとした副賞のような扱いで」

赤松「え」

巌窟王「寝る。アンジー。時が来たら起こせ」

アンジー「わかったー。おやすみー!」

巌窟王「……すー……」スヤァ

赤松「な、なんか気になることを言い残すだけ言い残して寝ちゃったよ!」ガビーンッ

春川「夜長。コイツそのまま寝かせておく気? 最後まで?」

アンジー「……もうやることはないよー」

春川「そ」ハァ

赤松「……」

赤松(……やることはない、か。最原くんならどうするかな……)

赤松(というか今、何してるんだろ)





図書室

最原「……ここだな」スッ

モノクマでもわかる家庭料理レシピ百選「」ストンッ

最原「……開いた隙間に入った」

最原「間違いなく。スッキリと、過不足なく」

最原「……他の本棚と余裕は大体同じか……ギチギチってことはない」

天海「何かわかったんすか?」

最原「白銀さんが何を考えてたのか、かな……」

天海「?」

白銀「……」

最原(最後の学級裁判に向けてできそうな対策は……これで全部終了かな)

最原(……後は、最後の最後に、僕たちの前にいくつの、どんな選択肢が現れるかだ)

最原(これだけは、そのときにならないとわからない)
193 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 21:57:14.17 ID:oGczi0us0
最原「……怖いなぁ」

天海「最原くん?」

最原「どれだけ巌窟王さんが絶大な力持ってようと、巌窟王さんのホームからいくら支援が来ようと」

最原「最終的に学級裁判で物を言うのは多数決。つまり『僕たちの決断』だ」

最原「巌窟王さんもなんだかんだ言って『生徒の決断』に手を付けることは、今まで一回も無かったでしょ」

最原「だからさ……もしも僕たちが間違った選択をしたら、もうそこに『どんな不条理な力』を行使してもやり直しが効かない」

最原「……こればかりは死ぬのと同じくらい怖いな。下手したら『死ぬより酷い痛みを抱えたまま生きる』ような目に遭いかねないわけだし」

白銀「ふふっ。私の気持ち、少しはわかってきた?」

最原「……」

最原(選択した結果として『死ぬより酷いものを見て来た人』。同情より何より先に……)

最原(『絶対にこうなりたくない』って思う自分がイヤになる)

最原(すべてを終わらせて外に出たい。でも僕たちに、それが果たしてできるものかどうか)

茶柱「当たって砕けろ、です!」

最原「!」

茶柱「……転子はあなたの盾になって砕けるのは御免です」

茶柱「あなたを転子の盾にして砕けさせるのも同じくらいイヤです」

茶柱「なので! 『あなたが砕けるときは転子も一緒に砕ける』! それが転子にできる最善の献身です!」ニカッ

最原「……茶柱さん」

茶柱「行先が地獄でも天国でも、ずっと一緒ですから。だからドーンと胸を張ってください」

茶柱「……仮に離れても、どっちともなくまた一緒になれますって。賭けてもいいです」

最原「……」

最原「気休めにはなるかな」

茶柱「『もう怖くない』くらい言ってくれません!? 励まし甲斐の無い!」ガビーンッ

最原「あはははははは!」

最原(……いや。充分だ。気休めでもなんでもいい。僕はこれで充分、立てる)
194 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 22:07:56.77 ID:oGczi0us0
最原「……すべての真実をつまびらかに」

最原「コロシアイに終止符を」

最原「全員揃って、外に出る」

最原「タスクは山積みだな。サーヴァントの力を使ってもやれるかどうかわからない」

天海「手を貸すっすよ。これまで一緒にやってきたように」

天海「……俺をここまで連れてきてありがとう。大事なものを思い出させてくれて、ありがとう」

天海「命を賭けて、最原くんのサポートを」

白銀「……」

天海「白銀さんと一緒に!」

白銀「いや巻き込まないでよ! 首謀者だよ!?」ガビーンッ

天海「白銀さんと一緒に!」ドーンッ

白銀「主張変える気一切なし!?」

最原「……さあ」





病室

巌窟王「……」

アンジー「ここまで長かったね。とっても痛かったね。苦しかったね」

アンジー「……そのすべてを和らげることはできない。でもせめて、最後の最後までずっと見ててあげるから」

アンジー「……だからどうか……せめて救いのある結末を」

巌窟王(……病室にアンジーの声だけが響く)

巌窟王(その祈りは、まるで子守歌のように)

巌窟王(……お前たちの決断に従おう。サーヴァントとして)

巌窟王(お前たちの答えを共に見よう)

巌窟王(それを証明するために、あらゆる苦難を粉砕しよう)

巌窟王(……故に)







最原&巌窟王「最後の学級裁判を始めよう」
195 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/05(月) 22:13:31.10 ID:oGczi0us0
今日のところはここまでで!
あーSAOの新しいオープニングテーマ最高
196 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/06(火) 20:43:35.61 ID:n76ajol30
イベント礼装すら凸ってないので今日はなし!
エレナ嬢さえ……エレナ嬢さえいればァーーー!
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/07(水) 09:30:30.67 ID:0Hd4FdkL0
そうだな。まぁ作者がやりたいことならそれでいいか。見てる自分は指図できる立場でもないんだし。やりたいようにやるほうが作者も気持ちいいよね。
俺は半年後くらいにまた来て一気読みしよう。
頑張ってくださいね。
198 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/07(水) 18:36:25.35 ID:ESYG/mWq0
数時間後

キーンコーンカーンコーン

モノクマ『いやあー! この放送も久しぶりな気がするね!』

モノクマ『あ、いや新世界プログラムの校則違反を犯したときには使ってたかな? でもこういう使い方は間違いなく久しぶりだよ』

モノクマ『……あれ? そうでもないな。日数的にはそこまで久しぶりじゃないや。今カウントしてみたら』

モノクマ『……』

モノクマ『まあいいや! 午後八時に中庭に集合!』








モノクマ『学級裁判を始めます!』
199 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/07(水) 19:26:38.06 ID:ESYG/mWq0
最原「……思ったよりも早かったな? 午後八時……?」

白銀「あれ。カウントが終わる午前零時にやるものだと……」

白銀「……思ってたけど、それはないか。『午前零時がタイムリミット』なんだもんね」

天海「今何時っすか?」

茶柱「……七時ですね。モノパッドによれば」

天海「割と時間があるな……これは今までの学級裁判にはないパターンっすよ」

最原「今までなら若干モノクマの気分みたいなところがあったからね」

最原「事前に時間をキッチリ通告するのは珍しいかな」

最原「……でもまあ、この一回きりだ。例外も、通常も」

最原「外に出よう。校舎でやれることはほぼない」

茶柱「やってやりますよ! 思い切り!」

天海「おー!」

天海「……」チラッ

白銀「……なんでこっち見てるの」

天海「えいえいおー!」シュバッ

白銀「絶対にやらないからね!」





校舎の外

現代アート風味の超巨大ネコアルクオブジェ「」ドーーーーンッ

最原「」

茶柱「」

天海「」

白銀「」

アンジー「あ。終一だ。やっはー」

最原「」

アンジー「……何見てるのー?」

最原「むしろアンジーさんはなんで平然としてるの!?」ガビーンッ
200 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/07(水) 19:44:56.02 ID:ESYG/mWq0
白銀「な、なにあれぇ……見てるだけで脳味噌に謎の斑点ができて高熱でぶっ倒れそうになるんだけど……」ガタガタ

アンジー「ネコアルクだよー!」

最原「ねこ……え? なに?」

アンジー「掻い摘んで言うと、セミラミスの置き土産だねー。モノクマを改造して作った生徒たちのお助けマスコット」

最原「へえ。そんなもの用意してたんだ」

最原「……それが僕たちが校舎の中を探索してるうちに、あんなものを作ったの?」

アンジー「モノクマが校舎を改造して病院をぶっ建てたのと同じ理屈でできるんだってー」

最原(なんというか……モノクマが理不尽な力を振りかざす度に胃袋がキリキリしてたけど)

最原(味方が同じことをしたところで同じだなぁ。胃の痛さは)

最原「……?」

最原(あのオブジェのある位置……)

天海「あれ。あそこって……」

茶柱「なんです?」

天海「巌窟王さんと白銀さんが、昨日揉み合ってたあたりっすよね。あそこら辺、丸っと全部」

最原「……一応訊ねたいんだけど……あのオブジェのできた経緯、詳しく聞けないかな?」

アンジー「ちょっと長くなるよー? えっとねー、ネコアルクの今のマスターって楓なんだけどさー」

アンジー「マスター権を得たところで、楓はネコアルクのことを疎ましく思ってたみたいなんだけどー」




回想

ネコアルク『あ! サービスでピアノ修繕しといたんにゃけど、どう?』

グランドピアノ『』デーンッ

赤松『好き! 大好き! 愛してるー! 順番に撫でてあげるからみんなおいでー!』ポワワ

ネコアルク軍団『にゃー!』




アンジー「……ってことがあったんだよ」

最原「……」

天海「こんなこと言うのは何なんすけど、彼女ってピアノのことに関してのみ現金な上に娑婆っ気強すぎっすよね」

白銀「首謀者やってたときからずっと思ってたけど激チョロだなぁ、相変わらず」

茶柱「弁護が……できません……」
201 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/07(水) 19:56:46.93 ID:ESYG/mWq0
アンジー「で。セミラミスの計画書に影響が出ない範囲、かつ生徒に迷惑をかけないようにという条件付きで、あそこら辺一帯がネコアルクの遊び場に」

最原「それ、場所の指定をしたのって」

アンジー「当然、楓だけどー?」

最原「……」

最原(何か落とし物でもしたのかな。ちょっと本気入れて脅しすぎたかもしれない)

最原(証拠隠滅にかかってるな、あれ)

最原(……別に追及するつもりはないんだけど。今更の話だし、白銀さんもそれだけのことをしたんだから)

天海「何か気になることでも?」

最原「あ、いや……」

茶柱「気付いたことがあるのなら行ってみましょうよ。どうせ時間もあるんですし」

白銀「あそこまでデカいと、私も興味あるかな……」

最原「……寄り道しようか」

最原(ネコアルクっていうのも気になるし)

アンジー「じゃあ行こー!」ニコニコ

最原(あれ。そういえばなんでアンジーさんがここに。巌窟王さんは?)キョロキョロ






ネコアルクオブジェ直下

巌窟王「これでやっと八匹目……と九匹目か。割と見つからないものだな」ヒョイヒョイ

ネコアルク8「ぐー」スヤァ

ネコアルク9「くにゃー」スヤァ

最原「……何してるの彼」

アンジー「ネコアルクの調達。自爆機能があるから体のいい投擲武器にしようって言ってたよー」

最原(何もこんなところで魔力の節約手段を見出さなくても!)
202 :逆転の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2018/11/07(水) 20:27:16.95 ID:ESYG/mWq0
巌窟王「ム。茶柱。天海。そして……最原……と白銀か……」

最原「……」

茶柱「あの。なんだか知らないんですけど最原さんの名前を呼ぶあたりで露骨にテンション下げるのやめてくれません? こっちも微妙に傷ついてますので」

巌窟王「クハハ! そんなタマか、その男が!」

天海「で。巌窟王さんが調達してるのが件のネコアルクっすか」

天海「……なんで揃ってぐったりしてるんすか?」

巌窟王「遊び疲れて……あるいはシンプルに仕事疲れで燃料切れのようだな。このまま休めば魔力は自然回復するようだが」

巌窟王「動いているネコアルクに用事か? ならば下を見ろ」

天海「下?」

ネコアルク「……」ジーッ

天海「凄い見られてる! 俺が!」ガビーンッ

ネコアルク「幸運Eか……ゴミめ」ペッ

天海「凄い見下されてる! この位置取りで!」ガビビーンッ

ネコアルク「で。あちしに何かご用事で?」

最原「ん。いや、凄いもの作ったなって思っただけなんだけど」

ネコアルク「この巨大オブジェ、なんと中はメロンパン工場となっておりまーす」カパッ

メロンパン精製工場「」ウィーンガシャンッ ウィーンガシャンッ

最原「なんで!?」ガビーンッ

白銀「も、物凄く美味しそうな匂いがする!」

アンジー「こんなところで焼き立てメロンパンの匂いを嗅ぐとは思わなかったなー」
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