巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」

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351 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/05(火) 19:48:24.92 ID:5Y+amNF80
最原「春川さん。協力してくれる?」

春川「……ああ。なるほど。あれを証言しろってこと」

春川「協力してもいいよ。セミラミスが頭を下げるのなら」

セミラミス「頼む。この通りだ」ジャララララッ

入間「いげぎゃぎゃぎゃっ……!」ギリギリギリギリ

春川「頭を下げろって言ったんだよ。誰が首を落とせって言ったの」イライラ

巌窟王「……鎖はまだ出せるのか」

セミラミス「少しだけだ。やり過ぎると消える」キラキラキラキラ

赤松「本当だぁ!? なんか透けてる!」ガビーンッ

最原「お願い春川さん! セミラミスさんがこの場で消えると本当に困るんだ! 僕が代わりにいくらでも頭下げるから!」ドゲザーッ

春川「仕方ないな……わかったよ」

セミラミス「ククク。人間素直が一番だぞ。わかればよい」ドヤァァァァァ

春川「生身の状態でサーヴァントを殺せたら、初めての自慢できる殺人になる気がする」ギロリ

夢野「よせい! というかセミラミスもなんでさっきからこうも煽リティが高いんじゃ!」

赤松「ごめんなさい本当になんの意図もないんです! あの人の素なんですぅーーー!」ドゲザーッ

巌窟王「もうアイツのことは放っておくがいい。いないものと考えろ。どうせ証言などする気がないのだ」

最原「……」

最原(さて。それはどうかな)

春川「私たちが発見したとき、白銀は爪に異常があったんだよ。明らかに割れたり剥がれかけたり酷い有様だった」

春川「でもあれは多分、半分くらいは白銀が自分自身で付けた傷だと思う」

最原「白銀さんは自分の意思で爪を割った。つまり、全力で何かを引っかいたんだ」

百田「引っかいた……?」

白銀「それは……」

最原「いいよ、白銀さんは喋らなくても。最低限度まで首を突っ込んでほしくない」

白銀「……」

最原(……やっぱり気分は最悪だ……白銀さんに責任を取らせないと決めたのは僕なのにな)
352 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/06(水) 22:49:24.84 ID:qYaaVhm30
最原「コントローラーだよ。白銀さんは誰かにコントローラーを奪われそうになって、必死にコントローラーを引っかいたんだ」

最原「その証拠に……!」

王馬「俺が発見したときのコントローラーには血が混じった引っかき傷がしっかり残ってたよー」

王馬「そうだ! ついでに言っておこうか! 万が一の反論を許さないためにね!」

王馬「あのコントローラーには引っかき傷はあった! でもあるものがなかったんだよ!」

百田「あるものがなかった?」

入間「ど、どっちだよ……ふにゃちん野郎……あるのかないのか……」ゼェゼェ

ナーサリー「あ……拘束解けてる……」

セミラミス「……」ゼェゼェ

巌窟王(……本当に時間がないな。一撃でも貰えば間違いなく耐え切れない)

最原「焦げ跡」

獄原「こ……焦げ跡? ちょっと待ってよ。火の気なんて今までの話のどこにあったの?」

王馬「あったはずだよゴン太〜。そのお粗末な脳味噌でよーく思い出してみよっかー」ニヤニヤ

獄原「……?」

獄原「……」

獄原「……??????」

百田「王馬。わかってて言ってんだろ。ゴン太はあれを直接見てねーんだ。伝聞だけじゃいまいちわかんねーだろ」

王馬「あんなにデカかったのになー。じゃ、時間切れってことで正解を、最原ちゃん!」

最原「巌窟王さんの暴走だよ。それが火の気だ」

巌窟王「!」

アンジー「あ。そっかー。つむぎはあのとき思い切り巻き込まれてたからー」

アンジー「あの周囲にコントローラーがあったら一緒に焦げ焦げになってなきゃおかしいんだねー!」

王馬「どう? 万が一の反論も許さないって俺の意思、わかってくれた?」

赤松(底意地の悪さはもうそれ以前からはっきりと……!)
353 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/07(木) 21:24:06.63 ID:mBwg9U550
赤松「待ってよ! コントローラーが誰かに奪われたってことはわかったとしても!」

赤松「だからってなんで私たちなの?」

赤松「いや! それ以前に共犯者が複数だなんて、なんでわかるの?」

最原「言ったでしょ? 手が足りないんだよ、明らかに」

最原「さて、白銀さんからコントローラーを奪った共犯者は、次になにをする?」

アンジー「んー? 相手の立場になって考えろってことー? えっとねー……」

アンジー「おー! そっかー! つむぎの抵抗を抑えないとねー! 気絶させるかどうにかして……」

最原「気絶はダメ。共犯者はこの後、白銀さんにやってもらいたいことがあったから」

百田「やってもらいたいこと……?」

最原「それはまた後で。すぐの話だから」

アンジー「んーとねー。それじゃあ……」

アンジー「……まずはエグイサルだよねー。『彼』が戦ってるエグイサルをどうにかして無力化しないとー」

アンジー「できることなら二度と使えないように、安全な場所で自爆させるとかがベストかなー」

アンジー「エグイサルが全部壊れちゃったら、コントローラーの意味なんてもうないもんねー」

獄原「安全な場所で自爆……」

入間「安全な場所で自爆……? 自爆……?」

獄原&入間「ああっ!」

茶柱「どうしたんですか? 過去に読んだ読み切り漫画の作者と今連載している人気漫画家が一緒だったことに気付いたような顔して」

入間「そんな嬉しいことじゃねーよ! 今思い出したんだ! エグイサルの操縦者、確かに途中から変わったとしか思えなかった!」

入間「巌窟王が急に何かに気付いて、どこかに飛んで行った直後あたりからだろ! エグイサルが俺様たちのことを追いかけ回し始めたの!」

東条「……ああ。そういえば、そうね。殺意はなかったけど、大迷惑には変わりなかったわ」

星「……そうか。エグイサルが巌窟王を追わずに、意図不明の挙動を取り始めたのは……!」

最原「操縦者の善意。そして空回りだよ。途中からはもう、下手に触らない方がマシだなってコントローラーそのものを手放したみたいだけど」

最原「それを再度王馬くんが拾って、キーボくんのオブジェにエグイサルが衝突。そして終了だよ」

最原「さあ。入間さんは今、興味深いことを言ったよね。巌窟王さんが何かに気付いた、とか」

入間「ん……」

最原「……一体巌窟王さんはなにに気付いたんだろう。あのときは夜で、視界はかなり狭まってたよね」

最原「視界によらない変化が起こってたとしたら?」
354 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/09(土) 00:01:31.82 ID:TFzfLDKg0
キングプロテアを相手どっていたらこんな時間。もうマジで時間ないのでプロテア倒せるまで更新はなし!
多分倒せると思うんだよなぁーあと少しで
355 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/09(土) 00:45:10.08 ID:TFzfLDKg0
ギリギリで勝ったーーー!
今日の夜から通常更新です
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/09(土) 02:47:20.59 ID:RX6dwCFs0
おめです!
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/09(土) 08:26:32.82 ID:R2ohOFywo
おめ、次はダメージチャレンジだ!一億目指そうれ
358 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/09(土) 19:56:17.93 ID:TFzfLDKg0
春川「また私の協力が必要かな」

最原「うん。お願い、春川さん」

春川「白銀の右手の爪はさっき言った通りボロボロだった。でもそれだけじゃなかったんだよね」

春川「指の骨もバキボキに砕かれてたんだよ。関節を外したとかじゃなくってピンポイントで骨がさ」

百田「ああ。そういえばあんときの白銀、巌窟王の炎以外の傷がやたらあったよな」

茶柱「……」ダラダラダラ

最原「……えっと。うん。その……」

茶柱「ほ、ほぼ私がやりましたァ!」

最原「言わなくてよかったのに!」ガビーンッ

王馬「まさかの真実! 共犯者は茶柱ちゃんだった!?」

ネコアルク「号外だにゃーーー! 意外な真実だにゃーーー!」バッサバッサァ!

赤松「下手な情報で新聞をバラまかないで!」

最原「ええと、うん。茶柱さんが白銀さんをボコボコにしたのは真実だけどさ」

最原「指の骨に関しては百パーセントそれ以降のものだよ」

最原「だよね。春川さん」

春川「指がまともに動かせない状態で、ものを引っかけると思う?」

東条「それは当然不可能だけど……それが……ああ、なるほど。順序の話ね」

春川「爪がボロボロなのも指の骨が折られていたのも右手」

春川「つまり、指の骨が折られたのは『誰かにコントローラーを奪われそうになったときに抵抗した後』ってこと」

最原「春川さんが気付いてくれなかったらと思うとぞっとするよ。本当にありがとうね」

春川「……最原の進路を取るかどうかはまだ迷うけど、百田の理念には賛同してる」

春川「全員揃って私は外に出たい。そのための協力は惜しまないよ」

百田「ハルマキ……!」ジーンッ

春川「……」プイッ

最原(照れてる)

ナーサリー「照れてるのね」ニコニコ

セミラミス「これがラブコメの波動か」

ロムルス「これこそがローマである!」ビシイッ

巌窟王「クハハハハハ! ご祝儀袋は外目からも札束だとわかるほどに包んでやろう!」ギンッ

春川「殺されたいの!? 揃いも揃って!」

最原「……サーヴァントってみんなこんな感じなのかな」
359 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/10(日) 20:12:49.98 ID:wNnXUZHb0
百田「でもよ。なんで白銀の指がそんなボロボロになってたんだ? それはどんな抵抗の痕なんだよ」

最原「抵抗なんかしていないよ。これは抵抗を抑えた状態で行われた拷問の痕だ」

夢野「そうかー。拷問の痕かー。かっかっかっ……」

夢野「……冗談じゃよな?」ガクガクガク

最原「真面目に言ってるよ」

夢野「いやいやいや! ちょっと待つんじゃ! 白銀を拷問したところで引き出せる情報なんぞあるか!?」

夢野「ないじゃろ! あの時点でかなーり学園の真実についてはわかっておった!」

獄原「そ、そうかな。この場でわかった事実も相当数あった気がするけど……」

東条「白銀さんの心理面の真実がね。そこに矛盾があるのよ」

東条「白銀さんに拷問をしかけるような人間が、白銀さんの心理面の真実に興味を持つと思う?」

獄原「ああ! そっか! 白銀さんのことが嫌いなら、そんなことを聞きたいとは最初から思わないんだ!」

獄原「あれ。それじゃあ……共犯者って白銀さんになにを聞き出そうとしたんだろう」

最原「聞こうと思ったことは特にないよ。いや、拷問することで白銀さんの口から捻り出そうとしたものは確かにあったんだけど」

百田「あー? なんだそりゃ。まるで拷問すること自体が目的だったみてーな……」

春川「白銀から聞こうと思ったことは特にないのに、白銀の口からなにかを捻り出そうとしていた……?」

春川「……」

アンジー「……悲鳴?」

春川「!」

百田「……あっ……!」

最原「それで正解だと思う。共犯者は白銀さんの悲鳴のみが目的だったんだ」

最原「指折ったら普通、出るよね。悲鳴」

最原「補足すると、白銀さんを地面に抑えつけながら右手を後ろに捻り上げ、指を一本ずつ折っていくとなると……」

最原「加害する側に必要な腕は二本だよね」

最原「更に、ほぼ同時進行でエグイサルをどうにか処分しようとコントローラーを弄っていたわけだから……」

ロムルス「腕がどう頑張っても一人分では足りない、ということか!」

ナーサリー「本当に? 物凄く高速移動すれば腕が増えたりしないかしら?」

ロムルス「増えたな」ブンブンブンブンブンブン

最原「サーヴァント式は禁止! 僕たちは人間だから!」ガーンッ
360 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/11(月) 19:33:26.83 ID:nhPFSkUv0
最原「赤松さんと真宮寺くんは多分、王馬くんが白銀さんを逃がした後で白銀さんを見つけたんだ。一番に」

最原「そこで彼女は魔が差した。白銀さんの位置を巌窟王さんに教えようとしたんだよ」

百田「拷問による悲鳴で、か……!」

東条「……巌窟王さんは炎のせいで闇の中でも位置が丸わかりよ。現在地から悲鳴が届くかどうかは一目瞭然だったはずだわ」

東条「その代わり、他の誰かも巻き添えで呼んでしまうかもしれないけど……」

星「……そうか。そこだな、最原が赤松のことを疑っている根拠は」

赤松「えっ?」

最原「真宮寺くんを疑っている根拠はたった一つ。赤松さんと同行していたから、というだけだ」

最原「でも赤松さんに関しては違う。彼女には手口の面でどうしても疑わざるを得ない」

巌窟王「……聴覚か」

赤松「ッ!」

夢野「そうか! 第一の事件のときも、第三の事件のときも、赤松の聴覚は頭抜けておった!」

夢野「白銀の悲鳴があがったら赤松も当然聞こえておるはずじゃぞ!」

赤松「……!」

最原「……下手なこと言えないけど、どうする? どんな証言をするの、赤松さん」

天海「必要ないっすよ。赤松さんはあの場にいなかった。巌窟王さんにボコにされてた」

天海「……俺があそこに辿り着いたのも結構運の要素が強かったっすね。本当によかった」

赤松「……」

赤松「聴こえなかったから、ね。白銀さんの悲鳴なんてさ」

最原「!」

百田「指折られてんだぞ……! 悲鳴を上げてないわけがねぇだろッ! 赤松!」

百田「誰よりも耳のいいテメェが……誰よりも優しかったテメェが、なんで白銀の声を聞けねぇんだよ!」

赤松「……」

赤松「なにも聞かない。証拠がない限り、私はなにも納得しない。それだけだよ!」

最原「ならつきつけよう! キミに! そうじゃないと僕たちは前に進めないから!」

最原「……歯を食いしばっててよ」
361 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/12(火) 22:18:02.01 ID:Lhk2LV9s0
赤松「あるわけない。証拠なんて用意できているはずがない」

真宮寺「ククク。僕たちは共犯者なんかじゃないんだ。証拠があるはずがないよネ?」

最原「赤松さん。髪飾りはどうしたの?」

赤松「……」

春川「髪飾り? あの音符のヤツのこと?」

最原「最初に気付いたのは入間さんなんだけどさ」




入間『おっ……俺様は悪くねーぞ……別に泣かせるつもりじゃ……』シドロモドロ

入間『おっ。バカ松、髪飾り変えたか? いつもより一ピコグラムほど可愛さが増してるぜ!』ニカッ

巌窟王『誤魔化すな!』ギンッ

入間『テメェに言われたかねぇッ!』ウガァ!



最原「赤松さん、髪飾りはどうしたの?」

赤松「……付けてるけど?」

入間「ん? ああ、そうだな。付けてるな。ダサイ原、あんまし意味ねぇ追求してんじゃねぇよ。時間の無駄だろ?」

入間「確かにいつもと音符の並びが違ぇけどよ! それが一体なんだってんだ?」

赤松「ッ!」

夢野「音符の並び……?」

入間「おお! いつも処女松は左右のコメカミ部分に音符の髪飾り付けてただろ?」

入間「右側のコメカミには、髪のせいで上半分が隠れているからわかりづらいけど多分、繋がった二音の十六分音符の髪飾り」

入間「左側には四分音符三つに、間に八分音符の髪飾りが一つの計四つだ」

東条「よく覚えてたわね。そもそも音符の区別がついたこと自体意外なのだけれども」

入間「俺様は世紀の大天才だからなーーー!」ヒャッハー!

最原「僕も覚えてるよ。赤松さんの普段の髪飾りの並びはさ。今、入間さんが言った通りだ」

最原「……でも今は違うよね? 普段なら八分音符のあったところにあるのは……!」

春川「全部四分音符だね。八分音符の髪飾りは?」

赤松「……」
362 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/13(水) 21:50:52.33 ID:l79vQCsq0
赤松「どこかで落としたみたいなんだ。八分音符の旗の部分をね」

獄原「え。壊れちゃったってこと?」

星「髪飾りだぞ? そうそう簡単に壊れるもんじゃないだろう」

赤松「割と脆かったからさ。そういうこともあるんじゃない?」

最原「コントローラーを無理やり奪ったとき、白銀さんは凄い抵抗をしたはずだよね。爪から血が出てるんだよ?」

最原「共犯者の側にもなんらかの被害が出ててもおかしくない」

赤松「白銀さんが私の髪飾りを壊したって? いくらなんでもそんなこと……」

最原「仮に、本当にタイミング良く髪飾りが壊れただけだったとしてもさ」

最原「……赤松さんが白銀さんの抵抗を受けて何かしらの痕跡を現場に残したのは確かだと思う」

最原「じゃなかったら、僕の揺さぶりに対してあんな無茶苦茶な隠蔽を図るはずがない」

百田「隠蔽だと?」

最原「現代アート風味の超巨大ネコアルクオブジェだよ!」

赤松「ぐうっ……!」

ネコアルク「え? 呼びましたかにゃ?」

赤松「呼んでない……座ってて」

最原「天海くん、あのオブジェができてた位置ってさ」

天海「ああ。白銀さんと巌窟王さんが揉み合いになってた場所が大体まるっと全部潰されてたっすね」

天海「……」

天海「ああっ!? 嘘っすよね!? まさか! それだけのために!?」

茶柱「え。なんです? あんなトンチキオブジェクトになんの意味があると?」

最原「昼の間に僕が白銀さんを庇うために言ったことはほぼブラフだった」

最原「巌窟王さんと共謀した人がいる。その人が名乗り出ない限りは白銀さんの身が危険。裁判が始まるまで引き渡すわけにはいかない」

最原「僕の要求はおおよそこんな感じだったけどさ」

最原「赤松さん。僕は本当に、そのことを追及しようなんて気はなかったんだ。こんな状況でなかったらキミを糾弾なんかしない」

最原「でもキミはそうは思えなかったんだよね」

赤松「ぐ……うあっ……!」ダラダラダラ
363 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/14(木) 20:46:14.63 ID:DbfGqOA90
アンジー「あーそかそかー! 楓があんなバカバカしいオブジェクトをネコアルクに作らせたのって、落とした音符の旗部分を隠蔽するためかー!」

ネコアルク「そうそう、あのバカでかいオブジェクト……バカバカしいって言いましたかにゃ今?」

アンジー「……にゃは?」

最原(誤魔化した!)

夢野「じゃがのう。隠蔽されたというのなら、もうあそこにはなんの証拠も残っていないということではないか?」

最原「ここは科学捜査の基本に立ち返ってみよう。ロカールの交換原理だ」

赤松「ロカー……なに? 誰?」

東条「科学捜査の父、エドモンド・ロカールの言葉ね。ざっくり言うと『証拠を処分されても証拠を処分したという痕跡が残る』ということよ」

最原「ネコアルクは赤松さんに上手く乗せられただけだ。多分、真意は絶対に教えてもらってない」

最原「真意を教えようが教えまいが、ネコアルクたちの行動は変わらないんだから話す必要がない」

最原「ただし、キミはそれ故にミスを犯した。ネコアルクたちの能力をちょっとだけ過小評価してたんだ」

赤松「なんのことを……?」

最原「あのオブジェを作ったあたり、実は変化が可逆性なんだよ」

赤松「――」

赤松「か、ぎゃく……? 元に戻せるってこと?」

最原「そう。それも一部の隙もなく完璧に」

最原「これはキミの指示だよ赤松さん。ネコアルクはそれを律儀に実行したんだ」




ネコアルク『もしかして率直に『邪魔』って言ってるのかにゃん? 安心を。赤松嬢からは『生徒に迷惑をかけるな』と仰せつかっておりますにゃん』

最原『え? どういうこと?』

ネコアルク『時間さえくれれば、このオブジェを解体して一日で全部元通りにすることは可能ってこと』




最原「そう。あそこ一帯はすべて元通りにする準備ができてるんだよ」

最原「キミの何気ない指示のお陰でね」
364 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/15(金) 20:49:07.95 ID:Y7F91Zeg0
赤松「……ね、ネコアルク?」

ネコアルク「生徒に迷惑をかけるな、と言われた以上、あらゆる物品を元の位置に戻す準備はきっちり用意してありますにゃー!」

ネコアルク「そこら辺に埋まってた岩! 生えていた草は根に至るまで! 土も粒子の位置レベルまできっちりと元に戻せますにゃ」ギランッ

赤松「なっ……あ!?」ガーンッ

真宮寺「赤松さん……正直な感想を述べていいかな……?」

真宮寺「このネコもどきども、やっぱり間違いなくメイドバイセミラミスさんだヨ。存在のなにもかもが大迷惑だもの」

赤松「知ってる!」

セミラミス「……」

セミラミス「む? 何故だ。何故どの方面からもフォローが飛んでこぬ? 我のせいではないであろう?」

ナーサリー「気遣いと労いと思いやりがまったくないとは言わないわ。言わないけども……」

巌窟王「自分自身が毒婦であることは貴様自身が理解しているはずだな?」

巌窟王「それと、実はこういう展開を貴様も内心少し期待していたのではないか? 赤松の追い詰められた表情を見たいがために」

巌窟王「別に『誰かを庇いたかったから黙った』というわけではないのだろう?」

赤松「……えっ」

セミラミス「……」

セミラミス「……」カチカチ

天海「あっ。ゲームやり始めた……」

茶柱「都合の悪い話になった途端!」ガーンッ

最原「決まりだ! 赤松さん! ネコアルクたちの持っている四次元ポシェットの中身を検める!」

最原「その中にもしも八分音符の旗があったら!」

最原「そして、その旗がもしも溶けたり焦げ跡がついていたとしたら!」

最原「キミが一度は白銀さんの元に辿り着いたというこの上ない証拠になるはずだ!」

最原「当然! 赤松さんと一緒にいた真宮寺くんも共犯者として確定だ!」ズギャアアアアアアンッ

赤松「ぐっ……ぐうううううううう……!」ガタガタ
365 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/16(土) 22:55:45.94 ID:82jG8SIf0
百田「四次元ポシェット……?」

アンジー「あのねー。実はネコアルクの機能ってモノクマ並みに理不尽なんだよー」

アンジー「ネコアルクオブジェを作ったこともそうだけどー、今彼女たちが自己申告した通り、元通り戻すことも自由自在」

アンジー「でもさー、まず前提としてそれを成すには、加工した土地の、加工する前の状態の物資を丸っとどこかに保存する必要があるよねー?」

入間「どんな科学力だよ……いや思い出しライトやモノクマやモノクマーズの時点でそうは思ってたけどよ」

獄原「その保存した先が四次元ポシェットってこと? でもネコアルクは複数いたよね? どのネコアルクのポシェットに何が入ってるのかは……」

王馬「完全にランダムだろって? そうかな? どうなの最原ちゃん」

最原「ネコアルクの言を信じるなら、すべての四次元ポシェットは独立していたはずだよ」

最原「でも問題ない。だって問題となる四次元ポシェットは全部、この裁判場にあるはずだから!」

春川「……巌窟王のストックした爆弾用ネコアルク」

巌窟王「……」

最原「……隠さないよね。巌窟王さん」

巌窟王「赤松が見せるな、と言わない限りはな」

真宮寺「意地悪だネ。そんなことを言ったら認めたようなものじゃないか」

巌窟王「念のため、補足だ。ナーサリーライム救出のときに弾けさせたネコアルクの四次元ポシェットもきちんと回収している」

巌窟王「これでネコアルクオブジェ作成に関わった四次元ポシェットはこの場にすべて揃っていると言ってもいいだろう」

最原「土の粒子の一粒に至るまで元に戻せるっていうのなら、すべての物質にタグ付けに等しい情報処理が行われているはずだ」

最原「直接的にポシェットの中身をいじくるのはネコアルクにやらせよう。そうすればすぐに終わる」

最原「……嘘は吐かないよね?」

ネコアルク「赤松嬢が『嘘を吐け』と言わない限りは!」ビシイッ

赤松「……」

巌窟王「……クハハ! 皮肉だな。何も言わずとも勝手にお前を守った者は、この中ではセミラミスただ一人だけだ」

巌窟王「動機自体は邪まには違いないがな」

赤松「いいよ。セミラミスさんには感謝してる。動機なんてどうでもいい」
366 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/17(日) 22:11:01.73 ID:MFCfEVJE0
王馬「赤松ちゃんさー。もう言動からして隠す気がないよね?」

王馬「つまらないの。もうちょっと汗だらっだら流してわめいてほしかったのに」

赤松「別に私、あなたを楽しませるために産まれてきたわけじゃないから」

赤松「こっちはこっちなりに必死だったんだよ」

ネコアルク「……あ。これですかにゃ?」キランッ

茶柱「あ。見つかっ……た?」

最原「うん。溶けてはいるけど材質は同じだ。間違いないよ」

最原「八分音符の旗だ」

百田「じゃあ、やっぱり!」

最原「共犯者はキミだ! 赤松さん! そして並びに真宮寺くんも!」

赤松「……」

真宮寺「……」

星「フン。こんな事実が今更わかったところで、お前さんらをどうこう言う気は一切ねぇけどな」

星「それにしても随分と落ち着き払ってるもんだ」

赤松「……そうでもないよ。こんな問題を出した視聴者側への憎悪は更に募ってる」

赤松「ごめん。セミラミスさん。せっかく黙ってもらったのに」

セミラミス「……ふむ? 謝るのはまだ早いぞ? 我の予測ではな?」

赤松「へ?」

モノクマ「残念だけどさー、犯人だけがわかっても意味がないんだよ」

赤松「は?」

モノクマ「言ったじゃん? 証拠付きでって。旗だけじゃ視聴者は満足できないなぁ?」

赤松「……え。なに? どういう……?」

モノクマ「動機」ニヤァ

赤松「……っ!?」

最原「……言うだろうなと思ったよ。この問題が出た時点でさ」

最原「お前たちは徹底的に僕たちを慰み者にする気なんだな」

王馬「お? ん? あれ? もしかしてもしかしてもしかして!」キラキラキラ

王馬「第二ラウンド開催の巻的なーーー!?」ワクワクワクワクワク
367 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/18(月) 22:13:21.42 ID:aie1FTO+0
最原「赤松さんと真宮寺くんの動機……ね」

最原「わかるよ。大丈夫。証拠も多分、この場に――」

赤松「……真宮寺くん。壊しちゃえ」

最原「は?」

真宮寺「了解」ニヤァ

スッ

最原「!!!!!!!!」

最原(そんな……嘘だろ!? 正気の沙汰じゃない!)

最原「やめ――!」

真宮寺「えいっ」


ドガシャアアアアアアアアンッ


最原(気の抜けた掛け声で、それはあっさりと壊された。動機を証明するはずだったモノクマカラーのパソコン……!)

最原(ゴミみたいに、床に叩きつけて踏みつけて!)

最原(あの中にあるデータが見れない以上、赤松さんの動機は!)

赤松「証明不可能、だよね」

最原「バカな……! キミはセミラミスさんを助けたがってたはずだ! これじゃあ一体どうやって!」

赤松「……ごめん。セミラミスさん。あなたを助けたかった。それは心の底からの本音だよ」

赤松「どうすれば償いになるかな……?」

セミラミス「……」ペラペラ

最原「漫画読んでるっ!」ガビーンッ

セミラミス「……む? すまぬな? 話を聞いてなかった。この漫画、とても面白いぞ」

セミラミス「ギャンブラーズパレード! 既刊二巻は絶賛発売中だ! 打ち切られたくなければ買うがいい!」ジャァァァァンッ

最原「それ今言わないとダメ!?」ガーンッ

赤松「わかった! それで償いになるのなら!」フンスッ

最原「ならないよッ!」ガビーンッ




蜘蛛手『くたばれ! ギャンブラー!』
368 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/19(火) 19:53:19.00 ID:lKMjzcAp0
百田「落ち着け終一! 見え見えの撹乱だ! コイツら明らかに組んでやがる!」

最原「!」

巌窟王「……ジャバウォック島のときから思ってはいたが……どちらだ? どちらが手懐けた?」

セミラミス「ククク。我の方がカエデを、に決まっておろうが。実際ちょっと楽しい」クックック

巌窟王「その結果、貴様が赤松の目の前で惨死することになってもか?」

セミラミス「癪ではある。だがそれが流れだ。わざわざ逆らおうとは思わんな」

セミラミス「それに……この『もうどうしようもない』という雰囲気がとても心地よい。最原の顔を見てみよ、傑作だぞ」クックックックック

最原「ぐっ……!」

茶柱「そういうトークは最原さんの耳が聞こえない範囲でやってくれませんか!?」

夢野「……そこまで悪いヤツには思えんのう。なんだかんだ、赤松の願いを聞き届けようとするよいサーヴァントではないか」

夢野「ウチらにとっては敵じゃがのう! わっかりやすい敵!」ビシイッ

百田「終一! あのパソコンの中には何が入ってたんだ!」

最原「赤松さんの動機だよ。真宮寺くんは……多分、赤松さんに協力してるだけだ。具体的に殺意を持っていたのは赤松さんの方だと思う」

天海「……もしかして、いやもしかしなくてもアレっすよね?」

最原「うん。アレ」

天海「うわぁーーー! な、なんてことしてくれたんすか! パソコンがボロッボロ!」

茶柱「どうにか直せないんですか! この場には入間さんもいますよね!?」

入間「一日くれれば元通りにできるぜ!」グッ

茶柱「はやーい! でもおそーい!」ガーンッ

最原(クソ……! あのパソコンがなければ、なにをどうやって証明すれば……!)

白銀「……」

白銀「バックアップ」

最原「えっ?」

白銀「……」

最原(今、白銀さん、なんて……)

最原「……」

最原(考えろ! もう白銀さんが嘘を吐いてるかどうかを検討する暇はない! バックアップがあるとしたら、どこに……!?)

最原「考えろ……考えろ……!」

最原(モノクマがタイムリミットだと言う前に! そうじゃないと……!)
369 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/20(水) 19:17:27.05 ID:2kjc9oWa0
モノクマ「おーっとそろそろ飽きてきちゃったぞー? タイムリミット設定しちゃおっかなー?」カチカチ

デンッ

05:00

モノクマ「あと五分でおしおき装置を起動させちゃうから、頑張って回答してね!」

春川「五分? 五分であのパソコンの中身を見る方法を探せって? 冗談でしょ?」

モノクマ「本気と書いて『むっちゃマジやねん』と読む!」

白銀「ルビが長い。やり直し」

モノクマ「マ」

白銀「いいよ。採用!」

百田「短ぇーよ!」

茶柱「どうでもいいですよ! そんなの! なんでもいいからヒントになりそうなもの片っ端から言ってください!」

百田「あのパソコン、どう見てもモノクマカラーだよな。ならモノクマがバックアップを持ってたりしねーか?」

最原「!」

王馬「ん……?」

モノクマ「持ってたとして、出すわけないじゃん。流石にボクの私物を理由もなしに裁判に提出するわけにはいかないなぁ」

茶柱「最初の事件の時点で証拠を握り潰してたくせに! 何を今更!」

最原「……」

最原(モノクマ……?)

王馬「あれ。最原ちゃん、なにかに気付いちゃった?」

最原「……」

王馬「俺は確信には至ってないけどさ。最原ちゃんがもしそうだと言うのなら、きっと『あの人』が持ってるんじゃない?」

王馬「バックアップ」ニヤァ

最原「……いや。ダメだ。だとしても、それを提出してくれるとは思えない。下手を打つとモノクマより手強いかも……!」

王馬「口説き落とせよ。相手が誰であれ。ここは議論の場だよ?」

王馬「嘘でも真実でもなんでもいい。そいつが望むものを的確に提示してやれば……」

王馬「案外、コロッと落ちるかもよ?」

最原「……」

百田「あんだ? 終一に何言ってんだよ、王馬」

王馬「すぐにわかるよ」ニヤァ

最原「……いるよ。バックアップを持っていそうな人。この裁判場に!」ズバァーーーンッ
370 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/20(水) 19:25:24.11 ID:2kjc9oWa0
赤松「……ハッタリで言ってるの? 流石に揺さぶられないよ。私たちはそんなもの用意してないからさ」

最原「赤松さん。先に謝っておくよ。本当にごめん」

赤松「……?」

最原(この裁判場で、モノクマカラーのパソコンのバックアップを持っていそうな人……!)

最原(もうこの可能性に賭けるしかない!)



人物指定

→セミラミス





最原(あなたしかいない……!)

最原「バックアップを持っているのは、セミラミスさんだよ!」

赤松「……はあ?」

セミラミス「そうか。我がバックアップを持っていたのか。これは意外な展開だ。想像だにしていなかった……」ケラケラ

セミラミス「……」







セミラミス「!?!?!?!?!?!?!?」ガビビビーンッ

赤松「って! セミラミスさんが一番驚いてるけど!?」

セミラミス「我が……バックアップを持っている……? ん? んん??????」

茶柱「……なんか凄くハズレ臭いですよ! 少なくとも彼女に心当たりがなさそうです!」

最原(だとしても彼女が持っていなければ、もう誰にも可能性がない! このまま確認させるしかない!)
371 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/21(木) 18:43:24.66 ID:kVNg8b5z0
巌窟王「……興味深いな。最原と王馬のやり取りも、赤松をそこまでの狂気に駆り立てた動機の方も」

巌窟王「いいだろう。続けろ最原」

赤松「巌窟王さん?」

巌窟王「クハハ! 確かに俺たちの側が不利になりかねないな。だが仕方あるまい? 好奇心ネコをも殺すと言うだろう?」

巌窟王「俺は今、あえて好奇心だけで現状を見守ろう」

最原「巌窟王さんだけは僕を応援しないで! 後で後悔するのが目に見えてるから!」

巌窟王「何ィ!?」ガーンッ

アンジー「んー? 珍しいねー。終一がこんなに明確に彼を拒絶したのって初じゃない?」

東条「今までのはあくまでやむにやまれぬ事情があってこそだったものね」

最原「……ええと、どこから話せばいいか……じゃあ第四の事件のときまで時間を遡ろうか」

最原「プログラム世界に分断された側の人、覚えてる? あのときもモノクマカラーのパソコンが議論の中心になってたよね?」

獄原「ん……? ああ。あの夢野さんにハエさんがいっぱいたかってたあの事件だね!」

夢野「んあ!?」ガビーンッ

百田「夢野そんなことになってたのかよ……やべぇな、プログラム世界」

最原「あのときは軽く流しちゃったけど、モノクマカラーのパソコンに僕たちは触れている」

最原「現実のパソコンと、プログラム世界のパソコンが同一のものだったとしたら……」

赤松「……壊れちゃってるよね? プログラム世界」

最原「わかってる。だからあそこに戻ってパソコンを取り戻すなんてことはもうできない。する気もない」

最原「僕の予想通りなら、あそこに行く必要がないんだ。あの世界で見せたパソコンには、今となっては無視できない機能があったから!」

真宮寺「今となっては無視できない機能……?」

最原(頼む! 当たっていてくれ! 内心では、そう願わずにはいられない!)

最原(でもそれじゃダメだ。出来る限り、それが当然のことのように振る舞わないと!)
372 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/22(金) 18:26:45.20 ID:tWsGCDan0
最原「あのパソコンにあった今は無視できない機能! それは『マザーモノクマとの同期機能』だ!」ズギャァァァンッ

赤松「同期……機能?」

入間「……ん……」




春川『入間。どう?』

入間『んー……まあ俺様か巌窟王ならパソコンの時計を無理やり弄ることは可能だろうが』

入間『逆に言うと普通の手段では操作できねーな』

獄原『パソコンに内蔵されてる時計だよね? そんな難しい操作が必要だとは思えないんだけど』

入間『知らねーよ。なんか知らねーけど操作できねーんだ』

モノクマ『ああ。首謀者権限のロックのせいだね、それ』

モノクマ『あ、ちなみにロックをする前に時計を弄ったとしても……』

モノクマ『ロックをかけた瞬間にマザーモノクマとデバイスが同期して時計の時間のズレを直しちゃうんだ』




入間「ああ、そうだ。確かにあったな? 同期機能。時計のズレの話題になったときに話してたぜ」

赤松「同期機能があったからって、それが今更なに?」

最原「今のマザーモノクマ、中身は一体誰だったっけ?」

春川「……あっ」

百田「あ? ……あー……なるほどな」

赤松「……!」ダラダラダラダラ

セミラミス「一体、誰だと言うのだ……?」ハラハラ

巌窟王「……」

巌窟王「何を他人事みたいな顔をしている! 貴様だ貴様ァ!」ギンッ

セミラミス「チッ。もう少しで誤魔化せたものを」

赤松「全然! 全っっっ然! 誤魔化せてなかったよぉ!」
373 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/23(土) 21:58:20.12 ID:85Lyy2aC0
赤松「……ぐ……考えろ。考えろ私……! 最原くんのプランはすべてが完璧ってわけじゃない……!」

赤松「……二つ。穴があるよね。仮にセミラミスさんがバックアップを持っていたとしても!」

赤松「一つ目の穴は、セミラミスさんに渡された権限のこと! 監視権限と、モノクマの複製権限が今ある彼女のすべてのはずだよ」

赤松「それ以外に彼女が持っている権限はないはずだ!」

最原「問題はない。だって!」

最原「……」

最原(……これでいいのか? 確かに赤松さんの言っている議論の穴を、これで塞ぐことはできる!)

最原(でもあまりにも都合が良すぎる! 僕は一体、なんのために……!)

白銀「私が首謀者の権限をセミラミスさんに共有すればいい」

最原「!」

赤松「なっ……!?」

白銀「モノクマにできたことだよ。私にだって当然できるよ」

白銀「……首謀者の権限で、ロックを解除! セミラミスさんに情報を開示する!」

ピコンッ

セミラミス「……ム……!」

白銀「モノクマが彼女に譲渡した権限。そして、首謀者である私がセミラミスさんにたった今共有した権限」

白銀「たった今をもって、彼女は名実共に『マザーモノクマそのもの』となった!」ズギャアアアアンッ

最原「……」

白銀「礼は言わないでよ。これは私が勝手にやったこと。私を許さないって決めたんでしょう?」

最原「……そうだ。その通りだよ」

最原(こうでないと先に進めないから!)
374 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/24(日) 20:52:29.00 ID:0f7fTaSd0
赤松「二つ目の穴があるよ。これは私の口からはあまり言いたくないんだけど」

セミラミス「そうだな。まあカエデも思春期だ。ならば我が代わりに言おう」

セミラミス「理由はどうあれ、我は命を賭けている。つまりカエデのために動く我が、何故貴様のために動かなければならない?」

獄原「えっ! い、言わないの!? 死んじゃうんだよ!?」

セミラミス「そこまで興味がないのでな。別にここで生き残ったところで遠からず消滅する未来は避けられない」

セミラミス「逆に、カエデが『やっぱり助けて』と正直に言えば我とて貴様らに協力はしようさ」

セミラミス「だがカエデの性格は貴様らもよく知っておろう! 決めたことは内心はどうあれ最後まで貫き通すバカがそいつよ!」

セミラミス「情の湧いた隣人を、自分のエゴですり潰す苦痛の表情は見物だ。この報酬でもって我は消滅を迎えようか」ニヤニヤ

赤松「……」

茶柱「……相っ当歪んでますね。聞いてるだけでこっちの頭がおかしくなってきそうです」

星「だが強固な絆だ。これを切り崩して協力してもらおうってんなら、相当の労力が必要だぜ」

王馬「本当にそうかなー? 俺にはそうは思えないなー?」

獄原「えっ。王馬くん、それどういうこと?」

王馬「ん? いやいや。最原ちゃんなら別なんじゃないかなって。彼なら案外、口説き落とせるかもよ?」

最原「……」

最原(やるしかないな)

最原「セミラミスさん」

セミラミス「……」ポチポチ

ナーサリー「スマフォいじってるわね……本当にこっちに興味がないみたい」

最原「……所詮そんなものだったのかな。アッシリアの女帝の知略って」

セミラミス「……!」ピクッ

赤松(……今度は安い挑発?)

最原「まだわからないかな?」







最原「今、赤松さんを絶望の底に叩き落せるのはあなたしかいないんだよ?」

セミラミス「……ム……?」

赤松「は?」
375 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/25(月) 19:53:25.88 ID:ggjDycCU0
セミラミス「……」ジーッ

最原(食いついた)

最原「サーヴァントとして誰かに尽くす。誰かを守る。誰かを導く。大いに結構! 僕はその意思にとやかく言う気はない」

最原「やり方を間違えていることを指摘するだけだ」

赤松「……さ、最原くん? なに言ってるの?」

最原「赤松さんを貶めたくないんだよね。あくまで善意によって赤松さんを苦しめたいんだよね」

最原「なら話は簡単だ! セミラミスさん! あなたが今持っているはずのバックアップ、おそらくそれを公開することの方が!」

セミラミス「カエデの助けになる、か?」ニヤァ

赤松「……なっ……はっ……ばっ……!?」ガタガタ

最原「……今更どうとも思わない、だって? 星くんの言ったことは欺瞞だよ」

最原「そんなはずないじゃないか! その殺意を有耶無耶にしていいはずがない!」

最原「僕たちは赤松さんの凶行に『止むに止まれぬ事情があったんだ』と信じたいよ!」

天海「……これは……!」

王馬「うん。最原ちゃんなりのラブコールだよね。赤松ちゃんを裏切ってこっちにつけっていう内容の、さ」

巌窟王「……そうか。なるほど。セミラミスは裏切りの女帝だ。そして先ほど議論で言っていたな」

巌窟王「確かこうだ。『裏切りやすいヤツを味方に付けること』は――」







王馬「破滅の秒読み。無限のリスク」ニヤァ

王馬「赤松ちゃんはその泥沼に嵌まりかけている」
376 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/26(火) 19:42:44.28 ID:cnEyXVbp0
天海「……もう仮定の話なんかしなくったっていいっすよ最原くん」

天海「セミラミスさんは間違いなくバックアップを持っているから!」

赤松「!?」

天海「白銀さんはどこに引きこもってアレを編集していたのか。俺は知っているんすよ」

天海「……セミラミスさんの宝具、虚栄の空中庭園の中だ!」

白銀「あっ……そういえば……そうだったね。あれの管理人、セミラミスさんだもんね」

セミラミス「白銀、今の今まで忘れてたな。間借りさせていた恩を……」

白銀「だってあのときのセミラミスさん、まったくなんの権限もなかったじゃん。むしろ新世界プログラムに間借りさせてたの私の方だよ?」

セミラミス「ふん。屁理屈を」

白銀「……みんなー。この場合、屁理屈を言ってるのってどっちかなー」

星「セミラミス」

真宮寺「セミラミスさんだネ」

獄原「セミラミスさんだと思う……」

セミラミス「白銀だと思うぞ」

セミラミス「白銀の方だと思え!」ウガァ!

夢野「勢いだけで押し通そうとしておる!」ガーンッ!

白銀「でもあそこからはデータを全部引っ越しさせちゃったから、もう何も残ってないっていうか……」

白銀「そもそもそれも新世界プログラムの崩壊と一緒に粉々になってるよね? 残骸相手にしても時間の無駄じゃない?」

王馬「なんだー。がっかり。セミラミスちゃんって割と見掛け倒しなんだなぁ。ま、これに関しては最初から期待してなかったし、いいか別に」

セミラミス「……」イラッ

赤松(あ、やばい)

セミラミス「く、ククククク! バカめ! あの庭園の中で起こったことならすべて我の手に取るようにわかっていたに決まっておろうが!」

白銀「はっ?」

赤松「……」

セミラミス「……!」ハッ







セミラミス「いや白銀のプライベート空間を覗き見するようなマネはやっぱりしていなかったような気がするな?」ガタガタ

白銀「今更嘘を吐かれても!?」ガビーンッ
377 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/27(水) 22:09:59.64 ID:LfWGbrPX0
ケムリクサとかカーマ育成とかイベントとか重なりまくったので今日はなし!
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/27(水) 23:16:49.36 ID:X5ubZMUF0
乙っす
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/28(木) 07:52:02.52 ID:e4ZToZ6gO
カーマおめでとう……
380 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/28(木) 21:22:27.53 ID:Te/UDNvR0
セミラミス「……ふっ。まあいい。どうせ最初から最原にはわかっていたようだからな」

セミラミス「バラしたのが我か最原かの違いに過ぎぬだろう。問題はまったくない。ないな?」

最原「……あ、えと……」アセッ

赤松「……セミラミスさん。私は最原くんとの付き合いがちょっとだけ長いからわかるんだけどさ」

赤松「最原くんの言ってたこと、多分ほとんどハッタリだったよ……!」

セミラミス「」

最原「現時点でバックアップを持っていそうな人がセミラミスさんくらいしか思いつかない」

最原「だから結構前の時点でこっちの底を見せないように立ち回ってたんだけど……」

最原「助かったよ王馬くん」

王馬「こっちは命懸けだからね。最初から命のことをどうでもいいと思って隙だらけ緩々になった女の人なんて相手にならないよ!」アッハッハッハ

セミラミス「……」ジッ

赤松「え……なんでこっち見てるの?」

セミラミス「あやつ殺していいか?」

赤松「気持ちは本当よくわかるけどダメ!」

王馬「……よくわかっちゃうの?」

春川「よくわかっちゃうね」

王馬「ガーン!」

セミラミス「まあ白銀から権限を渡された時点で詰んでいた気もするがな」

セミラミス「この方向性からバックアップを取り寄せる方が情報が新しく正確だ」

赤松「その補足いる!? 余計に追い詰められるだけなんだけど!」

セミラミス「……」シラーッ

赤松「……!」

最原(あと一押しで抱き込めそうだ!)

最原(なにか……他に交渉に使えそうなファクターはないか!)キョロキョロ

ネコアルク「にゃー……コタツで寝たい……」ゴロゴロ

最原「あった」
381 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/29(金) 19:27:11.20 ID:hc26jykx0
最原「セミラミスさん、ネコアルク――!」

巌窟王「ネコアルクを置き去りにして死ぬ気か?」

最原「んっ?」

赤松「うわっ……!」

アンジー(凄くイヤそうな顔になったねー)

セミラミス「別にその猫に愛着はないが……?」

巌窟王「だが自身の立てた計画に愛着はあるはずだ。そうだろう?」ニヤァ

セミラミス「……」

巌窟王「片鱗すら見せずに、計画を計画のままにして死ぬ気か?」

セミラミス「……ククク。子供か貴様は! いやまったくもって滑稽だぞ!」

セミラミス「最原の論に看過されて『自分もやってみたい』と思っただけだろう、それは!」

巌窟王「!」

最原「?」

セミラミス「かめはめ波とか卍解とか螺旋丸とかスタンドとかと同じだ。サーヴァントのくせして随分とまあ子供っぽい」

巌窟王「……」ワタワタ

セミラミス「そもそも宝具なんてものを持っておるのだから無い物ねだりも程々にしろ。既に人類史の英雄と認められているのだからな」

巌窟王「セミラミス!」







巌窟王「それは違うぞ!」ズギャァァァンッ

ナーサリー「その一言でもうボロがボロッボロよ」

ネコアルク「喋れば喋るだけ嘘がバレるタイプですにゃー」

ロムルス「うむ! なにかに憧れるその姿勢もローマである!」ビシイッ

茶柱「……あー……察しました。全部……」

最原「????????」

茶柱「またこの人はこういうことになるとアホになるんですよね……」ハァー

最原(呆れられてる!?)ガビーンッ
382 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/30(土) 22:52:33.32 ID:PbSfdbHr0
セミラミス「ふむ。まあ、頃合いか。これでいいだろう。貴様らの説得は及第点だ」

赤松「せ、セミラミス……さん?」

セミラミス「ム? ああ。安心しろカエデ。我は汝を裏切らない」

セミラミス「ただ我は我の意思で汝を助けようというだけだ」ニヤァー

赤松「う……うあっ……!?」ガタガタ

王馬「助けるって人の顔じゃないよ。息の根を止めてやるとか、楽にしてやろうとか言ってる殺し屋スマイルだよあれ」

赤松「だ、ダメ! やめてよセミラミスさん! せっかくここまで来たのに、それを公開しちゃったら!」

セミラミス「ム? ダメか? いやダメなどとは言うまい! 我はカエデを助けたいだけだからな!」

セミラミス「カエデを!」ニヤニヤニヤニヤ

セミラミス「助けたい!」キラキラキラキラ

セミラミス「だけなのだ!」ヘラヘラヘラヘラヘラ

赤松「う……うあ……」

赤松「うあああああああああああああああああああっ!?」

巌窟王「……憐れだな。よりによってそんなヤツに目を付けられたばかりに。心底から同情するぞ」

巌窟王「だが貴様には相応しい最期だと思うぞ? 善意で状況を悪化させる天才の貴様が、悪意で誰かを支えるサーヴァントに止めを刺される」

巌窟王「クハハハハハハッ! いやまったくこの世の歯車は上手く嵌まっているものだ!」ギンッ

赤松「やめて! お願い! セミラミスさん! そんなことをするくらいなら……っ!」

赤松「……」

最原「言えないよね。赤松さんには悪意がないから」

最原「『自分の隠し事を抱えたまま死んでくれ』なんて酷いことを、優しいキミが言えるはずがない」

最原「……これで詰みだ赤松さん」

セミラミス「残念だったな。汝にもし『自分のために死んでくれ』と言えるようなエゴがあったら、そのときは素直に死んでもいいと思っていたぞ?」

セミラミス「……ククク。いや言うまい。ともすれば弱さともとれるようなその優しさが、我にとっては何よりの娯楽だ」

赤松「あ……あ……あああああああああ……!」
383 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/03/31(日) 20:19:19.45 ID:eDOlEIyt0
セミラミス「……ふむ。この拘束にも飽いたな? よし」

セミラミス「出でよ! グングニルの魔槍!」

シャガンッ シャガガガンッ

モノクマ「え」

最原(僕たちの目の前でそれは起こった)

最原(……ショベルがあっさりと、突如召喚された杭に滅多刺しにされた)

セミラミス「もう我にない権限はない。故に、既にこの学園の神は既にモノクマではない。この我だ!」ビシイッ

セミラミス「とうっ」

最原(見えない戒めを解き放ち、セミラミスさんは跳んで――!)

セミラミス「……がふっ」ベシャッ

最原(墜落した!)ガビーンッ

セミラミス「ぐ……足が痺れ……動けな……!」ブルブル

東条「ずっと正座させられてたのだもの。当然ね」

巌窟王「ロムルス!」

ロムルス「承知!」

ナーサリー「私も参加するわ!」

最原「?」

ロムルス「はい、ローマ!」パシャッ

巌窟王&ナーサリー「……!」

最原「記念撮影してる! 倒れてるセミラミスさんバックに!」ガビーンッ

百田「なんてイヤな野郎どもだ!」

白銀「あれ見たことある! ゲーム会場で半ケツの人をバックに写真撮る人だ! 半ケツのヤツ!」

王馬「ニッチすぎてわからないよ」

セミラミス「お……の……れ……!」ビクンビクンッ

赤松「せ……セミラミスさ……!」オロオロ

セミラミス「……」

セミラミス「あ。忘れていた。上部モニターに動機を出すぞ」ブオンッ

赤松「ずっと忘れてればよかったのに!」
384 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/01(月) 20:53:04.75 ID:AC76OvPj0
ブオンッ

一同「…………………………」

一同「えっ?」

巌窟王「……?」

巌窟王「……がっっっ!?」ガビーンッ

最原「これが白銀さんの持っていた、モノクマカラーのパソコンの中身。赤松さんが白銀さんを殺してでも隠蔽したかった情報」

最原「……卒業アルバムだ」

夢野「んあ? いや、ちょっと待つんじゃ。アンジー、おそらく巌窟王に直で訊ねてもはぐらかされるだけじゃろうからお主に聞くが」

夢野「巌窟王は卒業アルバムを作っていたはずじゃな?」

アンジー「うん! かなーり気合入れて作ってたねー!」

夢野「で。上部モニターの卒業アルバム……おそらく作りかけじゃが、あれどう思う?」

アンジー「んー……」

アンジー「……言っちゃなんだけど、彼の作っていたものよりも玄人っぽいねー。レイアウトやらフォントやら何もかも」

百田「そりゃ、白銀が作ってたものだろうからな。当然じゃねえか?」

百田「ていうか巌窟王、卒業アルバムなんてもん作ってたのか」

夢野「それ自体は巌窟王自身も隠しておらんかったぞ。写真も撮りまくっておったしな?」

天海「かなり堂々と公言してたっすよね。卒アル制作」

巌窟王「……白銀」

白銀「なに?」

巌窟王「……貴様が一から卒業アルバムを作っていた場合は目を瞑ろうかと思っていたが……!」


ボオウッ


巌窟王「どういうことだ! あれはどう見ても、俺のデータを流用して作られている!」

星「!」

最原(それだけじゃない。この卒業アルバム、例えばモノクマが作った場合は悪ふざけと嫌がらせ全開で制作されてただろうけど)

最原(……あれは違う。素人目で見ても明らかだ。あのアルバムを形作っているものは……)

アンジー「……善意と愛情……しか伝わってこないねー……」
385 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/02(火) 20:57:00.52 ID:ZYuFqZCe0
百田「……なんでだよ……!」

赤松「……」

百田「赤松は誰よりも先にこれを見たんだな? なら、どうして! なんで!」

百田「こんなもん見たら逆に白銀のことを殺そうだなんて思わなくなるはずだ! なあ、そうだろ!」

百田「こんなの納得できるか!? 俺は全然納得できねぇ!」

獄原「……赤松さん、もしかして……」

王馬「お? ゴン太? 何に気付いた? 言ってみてよ?」ニヤニヤ

獄原「えっと、上手く言えないんだけど……」

獄原「あの時点では、まさかキーボくんがゴン太たちの脱出を妨害するだなんて思ってなかったよね」

獄原「だから全部の問題が片付いたらすぐに脱出できる……いや」

獄原「逆だ。ゴン太たちはすぐにでもここから出たかった。だから『脱出しないといけない』って思ってた」

獄原「……できたかな。仮にキーボくんの妨害がなかったとしてもさ」

夢野「んあ? キーボが邪魔しなければ……できるじゃろ。外の魔術師からの妨害なんて巌窟王なら意に介さないじゃろうし?」

夢野「キーボを強化する以外の方法でなら屁でもない、とウチなら思う」

獄原「えっと……あの……」

最原「……あの時点で想定されていなかった妨害工作は除外しよう。赤松さんにそれは知りようがなかったから」

最原「白銀さんが生きてて、白銀さんの心理面の真実を知ったなら、僕たちは外に出れたかな」

東条「……」

東条「まず間違いなく足踏みするわ」

春川「どうして? この学園に敵はいなかったんだよ? それなら……」

東条「それが致命的なのよ」

東条「……私たちは私たちの手の届かない者の手で一方的に踊らされていたってことになるのだもの」

春川「ん……」

星「そうだな。白銀の真実を知っちまった今、俺たちの中にあるのは圧倒的な虚無感だ」

星「絶対的な敵対者だったはずの人物がその実、それすらも用意されていたものだった。そんなのは……」

真宮寺「僕たちの戦い、この学園で過ごした日々が丸っと全部『無』だった。そういうことになるよネ」

真宮寺「いもしない敵にずっと戦いを挑んでいたんだからさ」
386 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/03(水) 22:04:14.47 ID:n2q/bmQ40
赤松「誰か一人は……一人くらいはいてほしかったよ」

赤松「この人さえいなくなれば……ううん! 別の方法でもいい! とにかくこの人さえ倒せれば!」

赤松「それで一旦区切りにはなるって胸を張れるような、そんな本物の悪役がさ!」

最原「でもそんな人はこの学園に一人もいなかった。それに一番最初に気付いたんだ。赤松さんは」

赤松「偽物が本物に勝てない道理なんてない! 白銀さんを制圧した後で、私はそう言ってやりたかった!」

赤松「そう証明しなきゃ、私たちは本物だらけの外の世界に出て、とても戦っていけない! 生きていけないよ!」

赤松「でもさぁ……!」ポロッ

天海「そのタフな台詞を吐くために必要な前提が最初から存在しなかった」

天海「……白銀さんすら被害者で、偽物だったから。俺たちが外の世界に勝てるかもって希望を得るためには、本物だけは絶対に必要なのに」

赤松「最原くん。あると思う?」

最原「……」

赤松「私たちが外に出た後で、煙のように吹き消されない。そんな可能性がどこかにある?」

赤松「また同じようにコロシアイに組み込まれるだけかもよ?」

赤松「ううん! それならまだいいかもね! もしかしたらサックリ一瞬で全滅ってことだってあり得る!」

赤松「私たちは外の世界のことを何も知らない! だって外の世界から来た物なんて、この学園に一個たりとも無かったんだから!」

赤松「この恐怖を……未知っていう恐怖を味わった人に! 外に出る気概があると思う!?」

赤松「いや! あったとしても! それで外に出れるとしても! 想像を絶する苦痛には違いないよね!?」

赤松「私たちは散々思い知ったはずだよ! 学級裁判で何回も! ただ選択をするだけでも、そこには耐え難い苦痛が伴うんだよ!」

赤松「それが自分の命を賭けた選択であれば当然! 隣の大事な誰かの命もかかったものなら猶更!」

巌窟王「……だから目を逸らし、他の連中の目も欺いたのだな」

巌窟王「選択に伴う苦痛を……せめて他人のものだけでも軽減するために」

アンジー「……楓……」

最原(僕の答えは決まっていた。多分、赤松さんのやったことに気付いた昨晩からずっとだ)

最原「僕は外に出たい」

赤松「……ッ!」

最原「……怖くても、苦しくても、辛くても、何があるのかまったくわからなくっても……!」







最原「それでも僕は、外に出たいんだ!」ズギャアアアアアアンッ
387 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/04(木) 21:29:54.25 ID:+epZHX1Z0
赤松「どうして……」

赤松「まったく理解できない! なんで! なんでなんでなんでっ……!」

赤松「どうして外の世界に期待できるの!? 私たちのことを傷つけたってことしかわからない外の世界に!」

赤松「自分好みの方法でぶっ壊してから外に出ることだってできるのに!」

赤松「わからないわからないわからない! 最原くんが何を考えてるのか、私には全っっっ然わかんないんだよお!」

最原「僕自身もそうだよ。前に進む理由がずっと見つからなかった」

最原「……でも赤松さんのお陰でやっと言語化できた気がするんだ!」

最原「そうだよ。僕はずっと、外に出たかったんだ! 戦う理由なんてそれだけだったんだよ!」

赤松「なんで……!」

最原「外の世界に何があるのかわからない。何故なら敵対者すら偽物だったから!」

最原「じゃあ味方はどうなの? 僕たちの仲間に外の世界から来た誰かはいなかった?」

赤松「!」

巌窟王「……最原。まさか……」

最原「そうだよ! 言うのは物凄く恥ずかしいけど、僕たちは巌窟王さんに会ったんだ!」

最原「デバイス越しにはイシュタルさんとかナーサリーさん、BBさんとも話した!」

最原「いっぱい……いっぱい、助けてもらったんだ! 返しきれないくらいに色々なものを送ってもらった!」

最原「外の有様を見た? 現代アート風味の巨大ネコアルクオブジェってなんだよ! ふざけてるのかって感じだ!」

最原「……ああいうのを見て……少しは思ったはずだよ」

最原「赤松さん! 僕たちは、この学園で傷付いただけだったの!?」

赤松「……うっ……!」

最原「違う……そうじゃなかったはずだ。僕たちは笑ってた!」

最原「巌窟王さんたちのせいで、悲しんだり、苦しんだりしてるのを中断しなきゃいけないタイミングがあった!」

最原「笑うのとか、巌窟王さんがアホなことをしてるのを見て呆然としたりとか、もう滅茶苦茶だよ! 手間ばっかりかけさせてくれる!」

最原(そうだ。戦う理由なんて明らかだった。巌窟王さんが全部でいいって言ってたのもあながち間違いじゃなかった!)

最原「『記憶』に嘘は吐けない。産まれの記憶が捏造だったとしても……!」

最原「この学園での思い出だけは、本当にあったことだ!」

最原「……『思い出』に嘘を吐きたくない! 背を向けたくない! 決意したことを忘れたフリすることはできない!」

最原(この忘却補正にかけて――)

最原「僕は……みんなと外に出ることを諦めない! 絶対に外の世界に行くんだ!」
388 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/05(金) 19:16:46.90 ID:QABCV73t0
巌窟王「……フン。好き放題言ってくれる」

東条「巌窟王さん。確かにあなたがいなければ私たちは今ここに立っていないわ。それは事実よ」

東条「でもあなたの悪行の煽りを真正面から受けたの大体、最原くんですもの。その点に関しての弁護は難しいわ」フッ

巌窟王「そこまで言うか!」

アンジー(あ、ちょっと傷付いた)

ナーサリー「でも言っていること自体は素敵よ。悲しいことがいっぱいだったこの学園の、楽しいことを大事にしたい」

ナーサリー「幸せな人の理屈だわ。マルタとかジャンヌとかの聖人好みの、幸せを大切にできる人の論理」

ローマ「つまるところがローマである!」

獄原「ローマなの?」

ローマ「ローマは――」

ローマ「まだガンには効かないがそのうち効くようになる」

獄原「ローマ凄い!」キラキラキラ

百田「騙されてんぞ!」ガーンッ

最原「……この辺りで区切りにしよう」

最原「赤松さん。真宮寺くん。昨晩に起こったことを纏めてキミたちを告発して……」

最原「僕は僕の進路を突き進む!」
389 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/06(土) 19:23:04.92 ID:rXzih/3q0
クライマックス推理

最原「まずは昨晩からこの学級裁判に至るまでの共犯者の行動を整理しよう」

最原「彼女たちの隠滅工作はまさにこの場まで続くからね」

最原「モノクマの設問は、一連のすべてを『白銀さんが被害者の事件』だと考えられる」

最原「だから最初は、僕たちが新世界プログラムから脱出した後だ」

最原「茶柱さんから王馬くんが白銀さんを逃がした辺りから始めよう」

最原「まず王馬くんは白銀さんを茶柱さんから逃がした後で、あるものを彼女に手渡した」

最原「それは、入間さんが開発したエグイサルのコントローラーだ」

最原「このとき、王馬くんと白銀さんの間にどんな協定があったのか僕は具体的には知らないんだけど……」

最原「今は関係がない。後回しにするね」

最原「同時刻、百田くんと春川さんが巌窟王さんに救助されて、エグイサルから降りた」

最原「そのタイミングを見計らって、白銀さんはコントローラーを起動」

最原「巌窟王さんへの挑発を開始したんだ」

最原「白銀さんの計画に『自分自身の死亡』が条件として組み込まれていたからなんだよ」

最原「それを後ろから見ていた僕たちは、白銀さんを探すために二手に別れた」

最原「……今思えば、あのときこじつけでもいいから絶対に全員同行するべきだったよ……!」
390 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/07(日) 17:56:37.86 ID:3u8qvLu70
最原「幸か不幸か、一番最初に白銀さんを見つけたのは彼女たちだった」

最原「そのときから彼女たちは明確な殺意を持って『共犯者』へと変じたんだ」

最原「まずエグイサルの操縦に夢中になっていた彼女を急襲。一人が彼女の右腕を捻り上げる形で地面に押さえつけ……」

最原「もう一人はエグイサルのコントローラーを奪い取り、操作権を奪った」

最原「この二つのことが同時にできたのは、共犯者が二人いたからだ」

最原「そのときの抵抗の痕跡は、コントローラーに爪痕として残り……」

最原「そして、その証拠がこの後白銀さんに襲い掛かる拷問の決定的な証拠となったんだ……!」

最原「白銀さんを押さえつけていた共犯者は、速やかに白銀さんの右手の指の骨を折り始めた」

最原「当然、白銀さんは大きな悲鳴を上げたはずだ。そしてその声が、巌窟王さんの耳に届いた」

最原「普通ならこの要素は単なる事実で終わるはずだけど、今回はこの手口そのものが共犯者の存在を限定する」

最原「聴こえないはずがないんだ! 彼女に、白銀さんの悲鳴が!」

最原「やがて巌窟王さんが白銀さんを見つけ、それと入れ替わるように共犯者たちはその場を立ち去った」

最原「もしかしたら巌窟王さんは、コメントをしていないだけで彼女たちの姿を見たかもしれない」

最原「絶対に言わないだろうから、彼からの証言は期待できないけどね」

最原「その後、エグイサルの操縦に失敗したり、天海くんが巌窟王さんから白銀さんを庇ったりとゴタゴタが続く」

最原「結果的に白銀さんは生き残ったけど、バレずに殺せるという利点が無くなった時点で共犯者たちは恐らく殺害は諦めたんだ」

最原「白銀さんの証言は誰も信じないだろうし、第一姿を見られていない。後戻りができるという点で彼女たちは余裕があった」

最原「白銀さんは気を失って、口を開けなくなったという点も大きいかもしれない」

最原「……そう。この最後の学級裁判という場が無ければ、彼女たちの暗躍はそこで終わっていたはずなんだ」
391 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/08(月) 21:57:20.42 ID:ga8G2LUh0
最原「翌日、白銀さんの意識は戻ったけど、大した情報を吐いてないことを確認した後は、油断してはいなかっただろうけど安心していたはずだ」

最原「もっと徹底的な殺意を持っていたのだとしたらきっとわかりやすい無茶をしていただろうからね」

最原「状況が一変したのはキーボくんが学園からの脱出を妨害し、最後の学級裁判の開催を発表してから」

最原「更に、僕が『巌窟王さんの共犯者』の件で脅しかけたから、心中穏やかでなんていられなかったはずだ」

最原「……これは信じて欲しいけど、あの時点での僕の言動は本当にただの脅しだったんだ」

最原「こんなことになるなんて思いもしなかった……」

最原「脅しをかけられた犯人は焦ったはずだ。僕の言ったことが事実かどうかはもう関係ないくらいに」

最原「でもそこで、天からの助けに等しい出来事が彼女に起こった」

最原「セミラミスさんが残したネコアルクのマスターが、共犯者に移ったんだ」

最原「共犯者は理由をこじつけてネコアルクにある指令を下した」

最原「……事件現場をネコアルクに提供し、現代アート風味の巨大ネコアルクオブジェを建設することによって現場ごと証拠隠滅したんだ!」

最原「でも犯人は知らなかった。ネコアルクにどれだけ理不尽な機能があったのかを」

最原「そこの考慮を怠り、指令がこじつけ故に大雑把になったせいで、犯行の決定的な痕跡をそこに残すことになってしまった……」

最原「最後の学級裁判の議論が進み、設問が共犯者の正体の特定を要求したときに、その痕跡は共犯者の存在を決定的なものにしてしまう」

最原「そうなんだ。ネコアルクたちは、現場にあったものを丸ごと保存していたんだよ」

最原「後で指示があったときに丸ごと元に戻せるように、完全な形で」

最原「そしてそれに含まれていた、髪飾りの破片がキミに止めを刺したんだ」
392 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/09(火) 21:59:52.96 ID:oiFKxxEp0
最原「最後に、彼女たちはどうしても隠滅したかった情報を、この裁判場で粉々にした」

最原「あらかじめ持ちだしていたモノクマカラーのパソコンをね」

最原「仮に自分の殺意がバレたのだとしても、最低限これだけは隠し通さないと、今までの行動がそれこそ全部無駄になる」

最原「追い詰められた共犯者たちは、仮にセミラミスさんを殺すことになったのだとしても隠滅したい証拠があったんだ」

最原「……巌窟王さんの卒業アルバムのデータを引用した、白銀さんの卒業アルバムのデータをね」

最原「でもパソコンを粉々にしてもバックアップに手は出せない」

最原「……動機の証明は、セミラミスさんと白銀さんの協力によって可能となる!」

最原「証拠を隠滅しようとして手を出した悉くが、裏返ってキミを追い詰める!」
393 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/09(火) 22:02:30.17 ID:oiFKxxEp0
最原「"超高校級の民俗学者"、真宮寺是清」

最原「そして"超高校級のピアニスト"、赤松楓」

最原「……キミたち二人を『巌窟王さんの共犯者』として告発する!」




バリバリバリッ ガシャアアアアアアアアアアンッ!




COMPLETE!
394 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/10(水) 21:12:28.13 ID:La1CgKg20
最原「証拠と動機。モノクマが要求したものはすべて揃った」

百田「本人の自白も取れてるし、決まりだな。つっても、もうセミラミスは自力で脱出してるけどよ」

セミラミス「」チーン

ナーサリー「……足の痺れのせいで言語を失ってるわ」

巌窟王「玩具(意味深)を投与してみろ。延命できるはずだ」

赤松「……まさか、だなぁ……まさかここまで裏目裏目になるなんてなぁ……」

赤松「なんでかなぁ……私、なんか運が悪いなぁ……!」

春川「アンタの運の悪さがどこから始まってるか教えてあげるよ」

春川「最原だけなら問題なかったかもしれない。巌窟王だけでもまあなんとかなるよ」

春川「最原と巌窟王が同時にこの場にいたのが悪かった。この二人、食い合わせが悪すぎるよ」

星「記憶の大半を失ってるお前さんが言うのならもう真性だな……」

真宮寺「僕は二度目だからわかるんだけどネ。この二人がたまに仲良く手を組むと犯人側からすると地獄なんだよネ」

真宮寺「……さて。モノクマ。結果発表とかしなくていいのかな」

モノクマ「うぷ……うぷぷぷぷぷ……」

最原「……?」

モノクマ「あーあ。ついに解いてしまったね。最後……の一歩手前の設問を」

モノクマ「お仲間も随分と増えちゃって。心強さの極みってところかなぁ?」

最原「半分くらいはお前のせいだろ……」

巌窟王「もしくは外の世界の魔術師のせいだろうがな」

巌窟王「……ム? 半分?」

最原「それの詳細は後で。大したことじゃないし」

最原「……インターバルでちょっと済ませたいことがある。設問がクリアできたことを確認できたら今はそれでいい」

巌窟王「そうだな。こちらもセミラミスの介抱がある。余裕があるのなら活用させてもらおう」
395 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/11(木) 20:11:47.23 ID:RFRSXfFv0
モノクマ「アーッハッハッハッハッハ! 残念ですが、今回は――!」

セミラミス「インターバルはないんだよーん! とか抜かしたら貴様を殺す」ハァハァ

モノクマ「」

最原(這いつくばったまま脅してる!)

セミラミス「勘違いするなよモノクマ……もう既にこの学園の支配構造の頂点は我だ。貴様には最後の学級裁判の進行を任せてるに過ぎん」ゼェゼェ

セミラミス「モノチッチの映像もすべて見れる。既に無意味だがな。貴様に対して自爆命令も下せるし」

セミラミス「なんならモノクマーズを復活させてやろうか。もう貴様を父親だなどとは絶対に言うまい」

モノクマ「」

白銀「……流石に全権渡したのはやり過ぎだったなぁ……ごめんモノクマ」

白銀「完全に私の……ぶふっ……私のミスだよ……くくくくっ……あ、ダメ笑いすぎて腹筋割れちゃうぅ……」プルプル

モノクマ「何他人事みたいな顔してんの!? ボクと組んでるオマエも結構ヤバいんだけど!?」ガビーンッ

白銀「私が絶対に嫌がるような設問出したんだよ! この恨みは絶対に晴らしてやると思ってたんだよ! もう晴れた! いい気味!」

モノクマ「うわあああああああああああああっ!」orz

赤松「……醜い……すごく醜い争い……」ジャララッ

赤松「ん? ジャララ? あれ? なんで私の首に鎖が――」

セミラミス「こっちに来いカエデ」ジャララララッ

赤松「うぶえっ!?」ガクンッ

最原「赤松さーーーんっ!?」

ガチンッ

赤松「があああああああっ!? な、何故か正座の状態で床に固定されたーーーッ!」ジタバタ

セミラミス「我は疲れた! 裁判が終わるまで寝る! 膝枕を貸せ!」プンプン

赤松「なんで私!?」ガビーンッ

セミラミス「口答えは許さん。猿ぐつわもしておくか」ジャララッ

赤松「ぐむがまぼっ!?」ガキンッ

セミラミス「ぐー」スヤァー

赤松「むぐがごごごーーーっ!?」ジタバタジタバタ



赤松楓:発言力全損 学級裁判脱落



百田「勝手に裁判から脱落しやがった!」ガビーンッ

最原「ええええええええええええっ!?!?」ガビビーンッ

アンジー「通常の学級裁判のおしおきの代わりかなー。共犯者ってだけだし死なないだけ有情だよねー」
396 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/12(金) 20:32:39.00 ID:ayEy98R00
茶柱「いやいや……いくら殺人未遂だからってアレはちょっとやり過ぎですよ……第一、実行犯の巌窟王さんがこうして普通にしてますし」

巌窟王「クハハハハハハ! バカめ! 生徒と俺とを同列に考えるな!」

巌窟王「だがまあ、確かに。赤松の受けている扱いが不当であるということは認めるところだ。どれ、鎖を引きちぎって――」


パァンッ


巌窟王「……?」

アンジー「……」



アンジーから唐突にもらった"平手打ち"



アンジー「……!」ブワッ

巌窟王「!?」ガビーンッ


ガツンッ


予想外の"肘"


特に理由のない暴力が巌窟王を襲う――!




巌窟王「何故だ……」チーン

アンジー「おしおき代行。アンジーでないとできないから」

最原(続いて巌窟王さんも逝ったーーー!)ガーーーンッ

アンジー「次は是清だねー」

真宮寺「……え」

真宮寺「え? 僕も? 僕もこんな理不尽極まりないおしおき受けるの? 嘘でしョ?」オロオロ

真宮寺「嘘……」ハッ

最原(そのとき真宮寺くんは気付いたのだろう。自分の受ける罰が決定的なものとなったのを)

最原(そう。場の空気が真宮寺くんを裁くことを決めた。何故なら)

夢野「赤松を止めることが充分できたはずじゃぞ、お主の立ち位置なら」

真宮寺「……!」アワワワワワワワ

夢野「おしおき確定じゃぞ?」
397 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/13(土) 20:59:42.65 ID:MnLOOJ3t0
真宮寺「逃――!」

夢野「がさん。当然じゃろ」サラサラサラ

最原(ん? 三角帽になんか注いでる……粉?)

夢野「食らえ! これが巌窟王との因縁の末に手に入れたウチの対真宮寺宝具!」

白銀「範囲しょぼっ」

夢野「ソルトスプラーーーーッシュ!」

真宮寺「おぶっ」ザバァァァァァァァッ

最原「真宮寺くんの帽子から大量の白い粉が出てきたーーーッ!?」ガビーンッ

夢野「ウチの帽子に入れた塩を真宮寺の帽子に転送するウチの必殺技じゃぞ」キラーンッ

巌窟王「夢野!」

夢野「なんじゃ?」

巌窟王「……よく頑張った。後で希望の菓子をやろう」

夢野「そんなこと言われてもちょっとしか上機嫌にならんぞ? とらやの羊羹よこせ」テレテレ

最原「物凄く上機嫌になってない……?」

真宮寺「ぎゃあああああああああああ! あ、あ、あ、甘ァァァァァァ!」ジタバタジタバタゴロゴロ

東条「……砂糖よ? これ」ペロッ

夢野「!?」ガビーンッ

夢野「……」

入間「あ? どうしたドチビ。急に黙って……」

夢野「食らえ! これが巌窟王との因縁の末に手に入れたウチの対真宮寺宝具!」サラサラ

王馬「あ。やり直そうとしてる」

真宮寺「あばっ!?」ガビーンッ

夢野「ソルトスプラーーーッシュ!」



ドバァァァァァ!



真宮寺「ぎゃふああああああああああああああああっ!?!?」overkill

最原「別に砂糖の時点で充分だったのに!」
398 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/14(日) 19:00:52.35 ID:+aZTVxod0
リザルト

赤松:セミラミスに拘束され強制膝枕化。発言力全損

巌窟王:特に理由のないアンジーからの暴力を受け軽くトラウマ

真宮寺:甘じょっぱい空のお星さまとなった





真宮寺「ああああああああああマスクの中が甘じょっぱいヨォォォォォォォォォォ……!」ガタガタ

赤松「ぐむ……」←鎖の破壊が不可能なので諦めた

巌窟王「ふん……これで赤松は俺の援護ができなくなったな」

巌窟王「これも貴様の読み通りか? 最原」

最原「そんなわけないでしょ。セミラミスさんがこっちの想定を超えて奔放すぎたせいだよ」イヤイヤイヤイヤ

最原「なんなの。巌窟王さんの周りには厄介な女の人しかいないの?」

巌窟王「心外だ! 俺ではなく俺の元のマスターに依り付くのだ、そういうのが!」ギンッ

ナーサリー(あら? さらっと言われたけどもしかして私のことも厄介扱いかしら?)イラッ

夢野「消えたとは言っても別に発言権が没収されただけで、投票権自体はなくなってはおらんじゃろ」

夢野「じゃが赤松、真宮寺の暗躍のせいで巌窟王の進路への心証は割と最悪になったのは確かじゃ」

百田「テメェらはよってたかって白銀をいじめすぎた。しかも話を聞けば聞くほどに、白銀を責めたところで無意味だったし」

百田「一番アウトだったのは、赤松自身も『白銀を責めることの無意味さ』を知ってた上で犯行を進めたところだ!」

百田「というか巌窟王がモロに、大々的に白銀を殺そうとしたのに対して、赤松たちの立ち回りが暗躍ってのも最初からおかしかっただろ!」

王馬「本当に自分に正義があると思ってたのなら、巌窟王ちゃんと一緒に堂々と白銀ちゃんを殺しに向かってただろうからね」

王馬「あくまで共犯だから直接的に自分の手が汚れるわけじゃないし?」

赤松(言い訳できない……結構地獄だな。この状況)

東条「……誰も彼もが正しい判断をできるわけじゃないわ」

赤松「ん?」

東条「赤松さんを責めるようなことを、それ以上言わないでちょうだい。単純に胸が痛いから」

赤松「……」

春川「わかった。その辺り、気を付ける。百田」

百田「んん……」
399 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/15(月) 21:22:29.81 ID:i8xRrcMl0
茶柱「……そうですね。もう無条件で終わりにしたいですよ。お互いに罪を誹り合うようなマネは」

茶柱「みんなボロボロじゃないですか。辛くて辛くて胸が張り裂けてしまいそうです」

茶柱「何が学級裁判? 何がおしおきですか。何でこんなことをみなさんがしないといけないんですか」

巌窟王「……茶柱……」

赤松(……そんなこと言われても仕方ないのに。私たちはこれしか生き残る方法を知らない)

赤松(そういうふうに外の世界の人たちが作ったんだから)

赤松(……でも、そんな正論をぶつけられる空気じゃないな。茶柱さん相当疲れてるし。口も塞がってるし)

最原「今更そんなこと言われても困るよ」ケロリ

巌窟王「!?」ガーンッ

赤松(言っちゃうんだよなぁーーー! 言っちゃうんだよなぁ、この人は! 頭いいから! 頭いいのに!)ウワアアアアアアア!

茶柱「……」ズモモモモモモ

獄原「ん? 微かにアドレナリンの臭いがする……」クンクン

最原「どうしたの茶柱さん。何で怒ってるの?」キョトン

茶柱「」ブチイッ

獄原「アドレナリンの臭いが超増えた!」ガーンッ

百田(うわぁーーー! コイツうわぁーーー! 自殺志願者か!?)ガタガタ

春川(怒ってる女に怒らせた本人が『何で怒ってるの?』と訊くのって遠回しに『殺していいよ!』って意味だもんね)

茶柱(この人ここで殺した方が普通にこのまま生きていくよりずっと楽なのでは? 有体に言って死ねばいいのでは?)ゴゴゴゴゴゴ

茶柱(なんかもう……死んだ方がマシって状況に慣れすぎてここから先幸せになれそうもない気がしてきました。やっぱり殺しましょうか)ゴゴゴゴゴ

最原「あとちょっとで外に出れるんだ」

茶柱「?」

最原「……もう正直に言っちゃおうか。僕は巌窟王さんの進路でも別にいいと思う」

茶柱「!」

百田「おいおい。テメェが示した進路はどうすんだよ」

最原「もちろんそっちの方がいいと思うんだけどさ。みんなで一緒に外に出れるのなら、それがきっと一番いい」

最原「……どんなに苦しくても、考えて考えて議論して議論して、そうやって掴み取った進路にこそ価値があるんだ」

最原「選択は確かに、それだけで想像を絶する苦痛かもしれないけど絶対に無意味じゃない」

最原「……僕たちの呪いをぶちまけられて壊滅寸前の世界でも、僕たちに何一つとして優しくないディストピアでも」

最原「大切な人と一緒ならきっとそこは地獄じゃないから。少なくとも、僕にとっては」

茶柱「……」
400 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/16(火) 22:08:49.80 ID:uWzaSR2Y0
最原「……」チラッ

茶柱「?」

最原「僕の場合は茶柱さんがいればギリギリ二本足で立ってられるよ!」ズギャアアアアアアアンッ

茶柱「ぴっ!?」ガビーンッ

赤松(言ったーーーッ!?)ヒエエエエエエ!

春川「最原。違う違う。茶柱が黙ってたの別に『わかりづらかったから』じゃなくって『わかりきってたから』だから」

春川「なんで一々わかりきった正論を口に出すのアンタは」

星「……話すだけでどんどん罪深い生物になっていくな、最原」

アンジー「最終的には転子か転子以外の女の子のどちらかに背中刺されて死ぬと思うよー」ニコニコニコニコ

赤松「んーんー」コクコクコクコク

巌窟王「赤松。頷くのも一苦労だろう。無理はするなよ」

最原「……僕なんかしたっけ……?」ズーン

最原「今はいいや。ええと、巌窟王さん」

巌窟王「?」

最原「……どっちの選択でも善悪はない。正義もない。それでも僕が巌窟王さんに楯突く理由は色々ある」

最原「その中でも一番大きいのは負けたくないからだ」

最原「……あなたのすべてを論破して、僕は仲間を連れて外に出る」

最原「それが今、僕が前を向ける理由だ」

巌窟王「……本気なのだな?」

最原「うん」

ナーサリー(……ふふっ。ここまで想われて、伯爵もさぞ嬉しいでしょうね)

ナーサリー(あんなに真っ直ぐ見据えられて。余程憧れている……いえ、憧れていたんでしょうね)

ロムルス(うむ。師の教え、師の生きざまを超えようとする貪欲さもまたローマである)ウンウン

巌窟王「……」







巌窟王(そこまで嫌われていたか……)ズーン

アンジー(全然気付いてないなー。まったく気づいてないなー)

夢野「さて。そろそろじゃな。インターバルを終えなければ……全体的なタイムリミットまでもう時間がないぞ」
401 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/17(水) 22:05:52.35 ID:LQlyJmE30
天海「次は一体どんな問題が……って考えるまでもないっすよね。今まで放置されてた謎とギミックなんて一つしかないっす」

王馬「え? そんなのあったっけ?」

白銀「わざとだよね。わざと忘れたフリしてるんだよね。キーボくんだよ」

キーボ「……」

王馬「ああ! ずっと置物化してたからすっかり忘れちゃってたや! ごめんごめん!」

王馬「ところでアレ、なんだっけ? 鉄屑の力身に着けた鉄屑マン?」

キーボ「……」

王馬「……ごめん。この状態のキー坊をいじっても一ミリたりとも面白くないからもうやめるね」ショボーン

百田「別に頼んじゃいねーよ! 誰も!」

入間「どっちの進路に進むとしてもキーボは邪魔だし、どっちの進路を取るとしてもキーボ抜きじゃ完全勝利と程遠い」

入間「何度かメンテしてるからどういう仕組みかはある程度頭にゃ入ってるけどよ……」

入間「完全破壊はナシだぞ! 俺様でも流石に、キーボの人格と記憶の復旧は不可能だ! そこら辺は正真正銘のブラックボックスだかんな!」

東条「真面目な話なのだけれども……巌窟王さんを撤退させ、セミラミスさんの霊核を破壊した今のキーボくんに勝てる当てはあるの?」

巌窟王「クハ……クハハハハハハハハハ!」

巌窟王「クハハハハハ! 当てはあるか、だと? クハハハハハハハ!」キョロキョロ

巌窟王「クハハハハハハハハ……」アタフタ

夢野「ん。なんか挙動不審になっておるぞ」

ナーサリー「ないのよ。勝機が。だから笑って誤魔化している間に『何か勝機ないかなー』って探してるのよ」

巌窟王「勝機ならある! 素の状態でも一パーセント程度はな!」

巌窟王「セミラミスも抱き込めたのだから、これで勝率は五分五分まで上がったと言ってもいい!」

巌窟王「……決め手に欠けるだけだ。キーボの人格をどうにかしなければ俺たちの完全勝利はありえないのだから」

最原「もしもそんなものがあるのなら、だけど。僕が絶対に見つけるよ」

最原「誰かの知られたくない秘密を暴くよりは遥かに楽な作業だし、アクビが出そうだ」

巌窟王「クハハ! いつの間にそんなタフな台詞が吐けるようになった?」

巌窟王「……」

巌窟王「……成長したな」

最原「……」テレテレ

入間「イチャついたり対立したり忙しいヤツらだなぁ」
402 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/18(木) 21:56:32.02 ID:kpPB2/4C0
モノクマ「それじゃあ、そろそろ準備できたかな? できたよね?」ワクワク

巌窟王「次は一体、どのサーヴァントを人質にした? パールヴァティとかなら頭を抱えるぞ」

東条「インド神話の女神もいるの? 一体どんなサーヴァントなのか一度会ってみたいわね」

ナーサリー「写真はあるわよ。結構頻繁に遊んでくれるいい人だから」タプタプ

最原(スマフォ……)

ナーサリー「この人よ」

パールヴァティの写真『』シャクティー

最原「BBさんじゃんっ!!」ガビーンッ

百田「え!? コイツがBBなのか!?」

最原「……ん? いやなんだろう。僕たちが見たときよりもちょっと大人びてるような……気のせいかな」

モノクマ「ご期待にそえなくて残念だけど、今回は特にそういうことはないんだよね」

モノクマ「人質を用意する必要がないからさ」

夢野「それもそうじゃのう。最後の設問じゃから区切りはもうない」

夢野「タイムリミットはキーボが切る最後の『おしおき』。つまり今回、秤にかけられている命はウチらのもので事足りるじゃろうし」

ロムルス「ついでに私たちの命もカウントされているだろう。もうこうなれば否が応にも一蓮托生である」

百田「おう。悪ィな。巻き込む形になっちまって」

最原(軽いよ……)

ロムルス「許す」

最原(こっちも軽かった……)

モノクマ「それじゃあ! これが正真正銘、最後の設問!」

モノクマ「カモーーーン!」

最原「……カモン?」



ズ……



最原「……は?」


ズ……ズズズズズ!


ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


赤松「んむぐう!?」

赤松(な、なにこの揺れ……? いや、揺れよりなにより、なんか空気が変!)

赤松(息をする度に寿命が二倍速で減っていくようなプレッシャーがある。いや……)

赤松(やってくる!?)

ナーサリー「な、なにあれ!? 初めて見るわ! 大きいわ! とても!」

ロムルス「……」

最原(裁判場に浸食してくる『何か』。壁や天井に一切の破壊を与えず、ゆっくりと広がっていく。僕たちを覆うように)

ロムルス「……?」





ロムルス「根、か? これは」
403 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/19(金) 21:12:07.05 ID:QaVXKLeQ0
最原「……何これ!? 明らかに物理世界の法則に従ってない……裁判場全体の雰囲気を飲むこの禍々しい気配!」

最原「明らかに魔術……いや! それ以上の何かだ!」

巌窟王「モノクマ。なんだこれは。どこでこんなものを手に入れた?」

モノクマ「視聴者からのプレゼントの一つなんだ! 名前は確か……く、く……『ウンコ樹』……?」

入間「ウンコ!?」ガビーンッ

モノクマ「あ、いやもうちょっと下品な言い方だったかな。く、くーそー……『クソ樹』?」

入間「クソ!?」ガガビーンッ

モノクマ「とにかくその『クソ樹』の苗らしいよ。成長するといいことがあるんだって」

モノクマ「『ンンンンンンこれがこの世界に正しく植えられた暁にはあなたの仇敵は一匹残らず屍となっておりましょう!』とかなんだとか」

モノクマ「『誰かに見せる世界であったが故に、異なる星の神も異なる目で視聴していた。なんともはや』とも言ってたなぁ」

巌窟王「どこの誰かは知ったことではないが、余計なマネをしてくれる」

ロムルス「どこの誰かはわからぬが!」

ナーサリー「どこの誰だかまったく心当たりがないわ! 多分時系列的な問題で!」

ネコアルク「ンンンンンンンン拙僧の! 拙僧の肉球が! 赤松嬢! 拙僧の肉球が回転を! 赤松嬢!」ギュリイイイイイインッ!

赤松(何故急に口調を変えて……)

巌窟王「……具体的にわかることは少ない。だがたった一つだけわかることがある」

巌窟王「これは危険だ。キーボとは別件で、選択肢を間違えれば大事になる。世界が滅ぶ滅ばない以前にすべてが台無しになるような……!」

最原「……これの切除の方法も後で考えないと。でも現時点で、これに関しては単なる演出だと考えて問題ないと思う」

春川「多分健康に害はないしね。とは言っても、このプレッシャー……本物だよ。絶対にこれは放置しちゃダメ」

春川「早く終わらせよう! 私たちの世界がこれ以上おかしくなる前に!」

最原「それよりも早く! 正しく!」






最原「この世界(ダンガンロンパ)を! 僕たちの手で終わらせる!」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/19(金) 21:48:57.16 ID:gZPG495k0
キャスターリンボや麻婆神父ならともかく、異星の神まで関わってきやがった…
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/20(土) 12:53:35.37 ID:Z58V94Q20
下手すれば才囚学園というか外の世界が第八の異聞帯になってしまいそうだな。
可能性としては、未来機関が絶望と思しき者達を片っ端から殲滅している『絶望も希望もない強い者だけの世界』か、
もしくは、御手洗が天願の目論見通りに希望のビデオを全世界に発信した結果、あーぱーな人間達で溢れ返ることとなった『希望のみ存在する弱者だけの世界』か、
はたまた、アニメ3希望編で苗木が希望ヶ峰学園の学園長になって人類史上最大最悪の絶望的事件は終結したが、あまりにも平和すぎてこれ以上の発展の可能性が見込めなくなった『平和で退屈な停滞した世界』か、
最悪の可能性としては、絶望の残党が未来機関に勝利して、文字通り暗黒に包まれた『絶望のみが存在する救いようのない世界』もあるが、
いずれにせよ、このままでは最原達の世界が才囚学園ごと塗りつぶされる危険があるのは間違いないな。
406 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/20(土) 23:59:24.57 ID:LIrhWXzQ0
モノクマ「はいはーい! それではこれが正真正銘、最後の設問でーす!」


デデンッ


モニター『キーボの人格と記憶を元に戻す方法の有無を答えよ。ある場合は証拠もご一緒に』

東条「……妙な出題形式ね?」

獄原「これって……ない場合は答える必要がないってこと?」

モノクマ「その通りです。ギブアップはいつでも受け入れます!」

モノクマ「更に、ギブアップした場合においても裁判そのものの進行になんら影響はありません!」

巌窟王「よく言う。事はもう裁判どころではないだろう」

星「巌窟王。お前さんの意見が聞きたい。ギブアップは安全だと思うか?」

巌窟王「毛ほども思わないな。この正体不明の白い根を見ろ。モノクマ好みの答えを安直に答えれば、おそらくなにかが起こるぞ」

巌窟王「そうだな。ナーサリーライムは虚構の世界と結界のプロフェッショナルだ。こっちに引き継ごう」

ナーサリー「別にそこまで詳しいつもりはないわ。人だってたんぱく質でできてるけど、別に全員化学が得意なわけじゃないでしょう?」

ナーサリー「……それを差し引いても断言できることはあるけども」

王馬「つまり?」

ナーサリー「諦めたら一生後悔しても足りないようなことが絶対に起こるわ!」

ナーサリー「知ってるのよ! 私もこういう趣向やったことあるから! というか攻撃方法が大体こんな感じだから!」

百田「つまり有ろうが無かろうが関係なく、キーボが元に戻る方法を何が何でも見つけるか……」

王馬「最悪の場合、捏造するかしないとダメってことね。『ない』と答えることは許されない」

王馬「ナイトメアモードすぎないかなぁ?」ニシシ
407 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/21(日) 23:45:27.36 ID:MoM+A9fb0
巌窟王「わざわざギブアップ推奨のルールと、ギブアップしたら何が起こるかわからないシチュエーションを用意したくらいだ」

巌窟王「暗に『キーボを元に戻す方法がある』と答えたも同然だな」

茶柱「でも少し考えた程度でパッと出てくるような場所にはないでしょうね。あったら全員気付いてるでしょうし」

最原「目の前にあった。だから気付かなかったってこともあるよ」

王馬「心理の盲点ってヤツかな? それなら猶更、きっかけがないとわからないよね」

赤松「……!」

赤松(待てよ。確か、あのときセミラミスさんは……)

赤松「ん! んんん!」ジタバタ

天海「ん。どうしたんすか赤松さん……って、その状態じゃ喋れないじゃないっすか」

赤松「ん! ん!」チラッチラッ

天海「え? セミラミスさんに目配せしてるっすけど、どうしたんすか?」

天海「……あっ」




セミラミス『この常識外れのスピード……! 今まで出力を抑えていたな……』

セミラミス『は、ははっ。バケモノ……め……巌窟王のときですら本気でなかった……か』

赤松『もうやめてよキーボくん! 正気に戻って!』

セミラミス『よせ……! 新世界プログラムを破壊した今となっては、そんな叫びに何の意味もない』

赤松『え?』





天海「そうだ。ずっと気になってたことがあったんす。大した発言じゃなかったんすけど」

天海「何故か、あのときのセミラミスさんの言葉がずっと頭の端に引っかかって……!」
408 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/22(月) 21:16:23.86 ID:oMQenuas0
夢野「セミラミスがそんなことを? こやつなら知っておるのか。キーボを元に戻す方法を!」

入間「よし! 今すぐコイツを起こせ! 赤松! 超音速振動で貧乏ゆすりしろ!」

赤松「んんーん!」ムリムリ

入間「よ、よせよ……今そんなこと言われても、俺様はそんな安い女じゃねぇぜ……」テレテレ

赤松「むぐう!?」ガビーンッ

白銀「……違うよ。多分大幅な解釈違いだよ?」

百田「起こしていいもんか?」

巌窟王「やめておけ。コイツにはこの後大仕事が残っている。新世界プログラムの中に鍵がありそうだと証言してくれただけ丸儲けだ」

巌窟王「心当たりはあるか? 場所が限定できたのだから、特定はしやすくなったはずだぞ」

アンジー「……!」ピコーンッ

アンジー「……」

巌窟王「?」

巌窟王『アンジー。どうした?』

アンジー『……終一なら絶対に知ってるよ。揺さぶってみて』

巌窟王『ム? そうか。わかった』

巌窟王「最原。貴様は既にわかっているはずだな? 答えは得ているはずだ」

最原「ん……」

最原「言っていいの?」

アンジー「いいよー。責任は取らないとねー」

巌窟王「……何?」

最原「アンジーさんが真っ先に壊した」

巌窟王「は? 何を……またハッタリじみた言いがかりか? バカも休み休み」

巌窟王「……アンジーが壊したものが、キーボを元に戻す手段?」

巌窟王「……!?」ガビーンッ





巌窟王「ぐうううううううああああああああああああああああああっ!?!?」
409 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/23(火) 20:48:09.85 ID:eV7nkozO0
回想


赤松『アンジーさん!』

赤松(巌窟王さんから降りてかけよる。ゴン太くんと星くんが、やっとのこと私たちに気付いたようだった)

星『赤松……』

獄原『……ご、ごめん。赤松さん……間に合わなかった、みたい?』

赤松『二人とも。何を見て……!』

赤松『……それ……誰……?』


回想ここまで




巌窟王「そうか……そうか! そういうこと……か!」ガタガタ

百田「んだよ! 急に大声出しやがって! ビックリするじゃねぇか、なあ!」

ナーサリー「……あら? なんか急に静かになったわね。お通夜のよう」

真宮寺「当然だヨ。だって希望が既に打ち砕かれていたことを僕たちは今まさに認識したからネ」

天海「最原くんの……アルターエゴ……」

春川「……なに? それ」

天海「新世界プログラムの中で俺たちが見つけたプログラムっすよ」

最原「あれのお陰で僕はダンガンロンパの記憶を一部分だけ元に戻すことができたんだ」

最原「つまり、あのアルターエゴは記憶の復元ができるんだよ」

夢野「……いやー。待つんじゃ。ちょっと待つんじゃ。白銀は確かこう言っていたはずじゃな」




白銀『でもあそこからはデータを全部引っ越しさせちゃったから、もう何も残ってないっていうか……』

白銀『そもそもそれも新世界プログラムの崩壊と一緒に粉々になってるよね? 残骸相手にしても時間の無駄じゃない?』




夢野「新世界プログラムは崩壊したはずじゃろ? ウチはてっきり『キーボを元に戻すカギを誰かが持ち帰ってきている』と思っていたんじゃが?」

夢野「持ち帰ってきておるんじゃよな!? 誰か! セミラミスは!? 巌窟王は!? 生徒の誰かは!?」キョロキョロ

巌窟王「……俺たちは最原のアルターエゴにまったく触れていない!」

夢野「ひっ……!?」

巌窟王「唯一接触したのはアンジーだが……!」

アンジー「徹底的に壊しちゃったんだよねー。私情でさ」
410 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/24(水) 20:02:09.18 ID:ouC/NDfx0
余裕ぶっこきすぎた。まだ帝都ミッション90にも満たないので今日はなし!
411 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/25(木) 23:14:36.65 ID:PlHvjvEL0
最原「これは予測でしかないから、あくまでも可能性。実際のところは『彼』をこの場に連れてくるなりしないとわからない」

最原「でももうそれは不可能だからさ。モノクマ。答えてくれる?」

モノクマ「……」

最原「今のところはそれっぽい傍証しかないんだ。そこまでカッチリする必要ないだろ?」

最原「どうせ最後なんだしさ」

モノクマ「うぷぷ。『違うよ! それは全然まったく関係ないよ!』って言葉を期待してたのかな?」

モノクマ「ボクがそう言えば予測できるからね! ああ、あれが違うのなら他の場所に他の方法があるんだってさ」

百田「御託はいい! どうなんだ! モノクマ!」

モノクマ「関係あるに決まってるじゃん! もちろんです! あの最原くんのアルターエゴこそが、ボクと白銀さんの用意した最後のギミックだよ!」

百田「……ぐっ……!?」

モノクマ「ボクと白銀さんの用意した、最後のギミックだよーーーんっ!」ギンッ

春川「二度言わないで。うざったい」

東条「……まずいわね。これは。新世界プログラムが崩壊する以前に、あのアルターエゴは完膚なきまでに叩き壊されている」

東条「既に叩き壊されたものがキーボくんを元に戻す手段だとモノクマが証言した以上は……」

真宮寺「他の方法は望み薄。キーボくんを元に戻す方法は完全消滅した……そう考えていいヨ」

夢野「ま、待て! 待つんじゃ! さっきの白銀の卒業アルバムの件を忘れたのか!」

夢野「この場にはマザーモノクマの権限をすべて手に入れたセミラミスがおるんじゃぞ! アルターエゴ一体の復元程度……!」

巌窟王「時間が足りない。魔力も足りない。セミラミスの霊基が持たない。しかもセミラミスの専門外」

巌窟王「アルターエゴはいわば仮想生命だ。生命である以上、そう簡単に修繕はできない。一度壊れたらそれまでと考えた方が自然だ」

巌窟王「そして最後だ。これが一番重要な点だが」

夢野「な、なんじゃ……? 他にもっと絶望的な情報があるというのか!?」ガタガタ

巌窟王「白銀の卒業アルバムではない! 俺の卒業アルバムだ!」ギンッ

夢野「……」

総勢「……」

夢野「……ご……」







夢野「ごめんなさい……」ショボーン

最原「謝らなくていいよ! 巌窟王さんが極端に空気読んでないだけだから!」ガビーンッ
412 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/26(金) 23:57:10.43 ID:nnlmMJX80
獄原「みんな! もうちょっと考えてみようよ! 少しくらい心当たりはない!?」

獄原「ゴン太、頭が良くないからよくわからないけど、それでもこの話の流れだけは絶対にまずいよ!」

獄原「だってキーボくんを助けることができなくなっちゃうんだよ!?」

白銀「ごめん。少なくとも私が関知してる限りでは、これ以外にキーボくんの人格と記憶を復活させる方法に心当たりが無い……」

天海「あ、いや。最悪、直さなくてもいいんじゃないっすか?」

獄原「天海くんっ!」

天海「誤解しないでほしいっす! 今は直す方法がなくてもいいって言ってるだけ!」

天海「外の世界に行ってから存分に調べればいい! そうしたらあるはずっすよ! 事実、白銀さんとモノクマなら作れてるっすよね!」

巌窟王「確かにこの場で作れるものであるならば、外の世界に出ればあるだろうな?」

巌窟王「だがキーボを破壊せずに制圧する方法が、果たしてあると思うか?」

天海「えっ?」

巌窟王「よく考えろ。外の世界に出たころに、コイツが無事でいるはずがないだろう」

巌窟王「流石に『最後の最後まで敵意と殺意を捨てない武装キーボ』を相手に、この場にいる俺たちが完勝できる余地は皆無だ」

巌窟王「どこかの時点では確実にキーボには戦意を喪失して貰わなければならない。さもなければ俺が死ぬか……」

キーボ「ボクが完全に破壊されるか」

最原「!」

王馬「重要な局面では喋るんだなー」

王馬「……あ、違うか。喋らされてるんだね、これ」
413 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/27(土) 21:30:25.25 ID:0MmHrKWz0
キーボ「断言します。ボクの人格と記憶を復元することはもう不可能です」

キーボ「ボクはタイムアップと共に、あなたたちを破壊します」

キーボ「名目、お題目はいくらでも。あなたたちを破壊する理由は揃いすぎています」

東条「度重なる校則違反。セミラミスさんの権限乗っ取り。外の魔術師の自己防衛。確かに私たちを殺す理由はより取り見取りでしょうね」

百田「どうする! 正規手段がないと断言されちまったぞ! 他にイレギュラーな方法はねぇのか!」

百田「このままじゃどんな最高の結末を迎えようとキーボだけはその場にいなくなっちまう!」

巌窟王「……カルデアからのバックアップはどうだ?」

ナーサリー「もう無理よ。ダ・ヴィンチが抑えてるわ。BBも未だに昏倒中」

ナーサリー「むしろ伯爵。あなたの宝具は使えないのかしら?」

巌窟王「相手がロボだからな……それに人格や記憶は専門外だ」

ナーサリー「……ロムルス」

ロムルス「回復宝具はない。あったとしても没収されていただろう」

ロムルス「事実、槍は回収されてしまったしな。『槍ではない方』に関してはその限りではないが」

ナーサリー「そんなもの持ってたの?」

ロムルス「……」ゴニョゴーニョゴーニョゴーニョ

ナーサリー「そんな便利なものがあったのね。後で必要になりそうだから温存しててもらえる?」

ロムルス「ローマ!(了承の意)」ビシイッ

巌窟王「そういえば貴様も結界宝具持ちだったな……」

最原「?」

巌窟王「……ちっ。面倒なことになった。流石にこの期に及んでキーボを破壊するなど御免だぞ。完全勝利をしたいのはこちらも同じだ」

天海「なにか……! なにかないんすか! 逆転の一手は!」

最原「あるよ」

天海「……そっすよね。そう簡単に見つかったら苦労はしな――」

天海「え?」

巌窟王「最原……今、なんと言った?」

最原「大丈夫。僕たちは勝つ。ピースはこの場にすべて揃ってる」

最原「キーボくんは正統派の手段で復元可能だ!」







モノクマ「……はあっ!?」
414 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/28(日) 18:45:52.62 ID:d+h4qFAG0
モノクマ「いやいや……いやいやいや! 最原くん! ハッタリもそこまでにしなよ!」

モノクマ「ていうか本当に今回は何の裏もなく、あの最原くんのアルターエゴは壊されちゃってるの!」

モノクマ「ボクを動揺させたところでもう新事実は出てこないよ!」

ロムルス「ふむ。確かにモノクマの先の反応は素だった。どうやらモノクマは本気で『キーボを助ける方法はない』と思っているらしい」

モノクマ「でしょ〜〜〜?」ニコニコ

白銀「なんでロムルスさんが真偽判断してるの。というかできるの……?」

ロムルス「皇帝特権で直感を拝領した」

白銀「????????」

巌窟王「ひとまずロムルスがこう言っているのなら、少なくともモノクマの知っている範囲でキーボの復元手段がないというのは本当だ」

最原「モノクマの知らない範囲にあるんだよ」

最原「……順繰りに考えてみよう。本当に、あのアルターエゴのデータを獲得できた人は、アンジーさん以外にいなかったのかな」

最原「あのアルターエゴをアンジーさんが損壊した後、僕たちは彼の処遇をどうした?」

天海「どうもこうも、修繕するしかなかったから、修繕してもらったっすよね」

最原「誰に?」

天海「そりゃあ、BBさんに……」

天海「……?」

東条「まさかとは思うけども、BBさんがアルターエゴのデータを手に入れていたはず、と論理を発展させるつもりかしら?」

最原「僕はそう考えてる」

真宮寺「ダメだヨ、最原くん。その方向ではデータは手に入らない。BBさんは僕たちの目の前で力尽きて消えてしまったんだヨ?」

真宮寺「交霊術でも行わない限り、彼女と僕たちが逢うことはもう不可能なのさ……」

最原「BBさんにデータを託された人が、この中にいるとしたら……?」

巌窟王「バカな。そんなヤツがいたとしたら、今頃とっくに証言しているはずだろう」

巌窟王「それとも発言権を失った赤松が持っているとでも?」

赤松「むうー!」ナイナイ

巌窟王「……ないと言っている」
415 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/29(月) 23:04:48.86 ID:ZJpg275/0
最原「BBさんがなにを考えていたのかは、彼女がこの場にいない以上、もう確かめようがない」

最原「でも彼女は最高の仕事をしてくれた」

最原「今! この局面で! モノクマや視聴者たちの不意を突くようなタイミングでわかるように!」

最原「……託された本人すらわからない形で託したんだ!」

巌窟王「そこまで言うからには、誰がBBの遺産を受け取っていたのか見当が付いているのだろうな?」

獄原「だ、誰? 誰が受け取っているの!?」キョロキョロ

最原(BBさんの遺産を受け取った人……それは!)




人物指定


→巌窟王



最原(これが僕の答えだ!)

最原「巌窟王さん。さっきから実は気付いてるんだよね?」

最原「気付いてる上で、その可能性から目を逸らしてるんだよね?」

巌窟王「……なんのことだ?」

ナーサリー「……!」

最原「巌窟王さん。BBさんの遺産を受け取ったのは、あなただ」

巌窟王「……」

赤松「むぐ!?」

巌窟王「……そうか。何を根拠に言っている?」

最原「消える間際のBBさんの言葉だ。裁判の直前に至るまで意味がずっとわからなかった」
416 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/04/30(火) 21:21:28.91 ID:klKke+G70
BB『そろそろ……限界ですね』

最原『BBさん……!』

BB『……楽しかったですよ。あなたたちをサポートしていた時間は。とっても』

BB『巌窟王さん。ハリボテ以外にも一つプレゼントがありますので。期待しててくださいね』

BB『……バトンタッチです。後は任せました』ニコリ





最原「もう一つのプレゼントって何? 今まで巌窟王さん、その話だけはしてなかったよね?」

巌窟王「……」

巌窟王「ふん。らしくないことをするべきではなかったか」

巌窟王「一つ、間違いを正そう。俺はこの事実を悪意で隠していたわけではない。ただ……」

最原「ただ?」

巌窟王「これの正体が俺にもわからないからな。どういう使い方をすれば正解なのか俺にもわからない」

巌窟王「箱詰めにされている上に『揮発性だからいざというときまで温存で』と走り書きされているようなアイテムだ。そう簡単に期待させられるか」

天海「さっきから具体性が大分欠けてるんすけど……巌窟王さん、BBさんから何渡されたんすか?」

天海「今すぐちょっと見せてくれないっすかね?」

巌窟王「無理だな。俺がBBから渡された……と思われるものはただの『刻印』だからな。しかも目に見える場所に刻まれてない」

天海「刻印?」

アンジー「ああー。これBBがやったんだ? 途中から気絶してたから全然わかんなかったよー」

アンジー「……BBを犠牲にした事実を受け止めるのが怖かったの?」

巌窟王「……」

アンジー「甘えんぼさん。だから自分で言わずに終一に指摘させたんだねー」

巌窟王「アンジー」

アンジー「……ごめんなさい」
417 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/01(水) 20:59:04.54 ID:3kHy4z570
ナーサリーライム「……星マークはない?」

アンジー「ん? 刻印の説明文に? あるよー。というかそれしかないねー」

ナーサリーライム「なら確定よ。BBは正体不明だとか測定不能のステータスを★のマークで表すの」

ナーサリーライム「一度見たことがあるから間違いないわ」

入間「なら刻印がBBからのプレゼントってことはまず確定ってわけか。どうにか精査する方法はねーのかよ」

ナーサリーライム「あるわ! 使ってみればいいのよ! まあ使ったらどうなるかわからないけども! 消滅とかしたら最悪ね!」

入間「最悪ね、じゃねーんだよサイコロリ! こっち命かかってんだぞ!」

巌窟王「どう考えてもアイツにも時間がなかった。仮にこれが人格の復元プログラムだったとしても不具合の一つや二つあるだろうな」

巌窟王「一度使ったら消滅してしまう、だとかの不合理な回数制限があっても不思議ではない」

ロムルス「技術と時間さえあればデータの複製そのものはできるかもしれぬ」

ロムルス「その刻印を使った瞬間のデータを記録。その後、どうしたらそれを再現できるか逆算すればいいという理屈だ」

百田「技術の方はなんとかなるとして、時間の方は無理っぽそうだな」

百田「つまり『状況証拠から人格の復元プログラムだという可能性が高い必殺技』を使えるのは結局、一回限りってことだ」

春川「しかも可能性が高いってだけだからまったく別のプログラムである場合もある」

春川「……私たちはそのBBのことをほとんど知らない。五分五分よりずっと低い可能性に見えるよ」

入間「ん? 待て待て。技術の問題をどうやってクリアするって?」

百田「なんとかしろ入間!」

入間「俺様頼みかよッ!?」ガビーンッ

百田「なんだ、できねぇのか?」

入間「できらぁ! ……いややっぱりムズすぎるっつの! 俺様はハードはともかくとしてソフトの方はそこまでだぞ!」

王馬「なんだぁ。技術の方もクリアできてないね? がっかりだなぁ。入間ちゃんはやっぱり見た目通りのクソブス肉便器ちゃんのままだったね」

入間「泣いていいか!? 無様にのたうち回り大声上げて小便漏らしながら泣いていいか!」

巌窟王「ロムルス!」

ロムルス「ローマ!」ギュウウウウウ!

入間「ぎゃあああああああああああああああ!? 大いなるローマに抱擁されて心が安らぐぅーーー!?」

夢野「……纏めるとこうじゃな? 『その刻印を使ったところでキーボが元に戻るかは疑問が残り、しかも使うチャンスも一度限り』と」

夢野「リスキーすぎるのう」
418 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/02(木) 22:15:30.62 ID:s1uZRzrD0
最原「……巌窟王さん。この中でBBさんを一番知ってるのは、多分あなただ」

最原「彼女は一体、何を考えてそれをあなたに託したんだと思う?」

最原「それを判断できるのはこの中ではたった一人。巌窟王さんだけだよ」

巌窟王「……そうだな。俺にとってアイツは……」



BB『こんにちはー。アヴェンジャーキラーのムーンキャンサーでーす! 敵対したらお注射しますのでそのつもりでー!』



巌窟王「アイツは……」



BB『あっれー! 巌窟王さんあっれー!? ギリギリNP溜まってないように見えますけど、あっれーーー??????』ニヤニヤニヤニヤ



巌窟王「……」



BB『え? お注射が嫌い? あはは! おバカさんですねぇ! 別に敵対しなければ刺しはしないとは言ってませんけどぉ?』ケタケタケタケタケタ



巌窟王「死ぬほど忌々しかったな……」ズーン

ナーサリーライム「敵にも味方にもとにかく悪ふざけ全開だったわね……」

ロムルス「……」フッ

赤松(あの優しさ全開のロムルスさんが遠い目に!)

巌窟王「だがヤツは異常な凝り性だった」

巌窟王「……無意味なことはしない。少なくとも自分自身で無意味だろうと思っていることは絶対に」

巌窟王(俺が長くないこともヤツは知っていたはずだ。この学園生活で完結するような効能の刻印でないわけがない)

巌窟王「断言はできない。だがヤツを信じてみる価値はある。俺はそう思う」
419 :逆転の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/03(金) 19:06:54.35 ID:3FwcsTI/0
バルバトス滅の刃してくるので今日はなし! 狩るぞ!

貴様ァァァ! 逃げるなァァ! 鯖落ちで逃げるなァァァ!
420 :お前もバルバトスにならないか?  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/04(土) 20:58:09.42 ID:JuCWhHl10
最原「話は纏まったね。ナーサリーライムさんから興味深い証言も貰ったし」

ナーサリー「あら? そうだったかしら?」

最原「その刻印の効果を検証するにはまず使ってみなければならない、だっけ?」

ナーサリー「ああ、言ったわね。ちなみに使い方は簡単よ。それって多分、コマンドコードだと思うもの」

入間「こま……なに? コマシコード?」

ナーサリー「指令紋章、コマンドコード。つい最近カルデアで試験運用されているシステムよ。BBったらちゃっかりデータを拝借してたのね」

ナーサリー「攻撃を当てる、あるいは攻撃をすることによって効果を発動する簡易魔術で、能力は様々」

ナーサリー「自分自身の回復。相手への状態異常付与。その他、単純に攻撃力を上げたり特攻を付与したり……」

ナーサリー「あのBBがわざわざプレゼントしたものなら、多少効果が無茶苦茶でも不思議じゃないわ」

百田「聞けば聞くほど、それを作ったヤツは凄かったんだな」

百田「……いなくなって惜しいって思うぜ。俺も」

最原「さて。設問の内容は、なんだったっけな?」

モノクマ「……」ダラダラダラダラ

最原「僕が代わりに言おうか。キーボくんの人格と記憶を元に戻す方法の有無を答えよ。ある場合は証拠もご一緒に」

最原「でもさ、今言った通り、この証拠が本当に答えなのかは使ってみないとわからないからさ」

最原「……今ここで使わせてくれるよね?」ギンッ

モノクマ「ざなどぅ!」ビクウッ

茶柱「拒否ることは許しませんよ。設問として出したのはあなたです」

茶柱「今更、引っ込めるとなったら転子たちが納得しない……どころか、外にいる視聴者だって納得するかどうか」

アンジー「なんてったって、いくら魔術師がこの放送を見ていようが、この裁判は番組という軛からは逃れられない」

アンジー「逃れられているのならとっくのむかしにアンジーたちは死んでるだろうしねー?」

モノクマ「ふぁざなどぅ!」ビクビクンッ!

最原「さあ! モノクマ!」

巌窟王「すぐ使わせろ! 今使わせろ! 言い訳の余地はもうとっくにないぞ!」

巌窟王「貴様自身の設問ならば歪めることは容易だったろうが、これは視聴者からの設問なのだからなァ!」ギンッ
421 :バルバトスになると言え杏寿郎!  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/05(日) 20:50:18.86 ID:hm8aA+Yv0
モノクマ「……ぐ……ぐ、ぐ……!」ガタガタ

百田「おいおい。コイツは一体どういうこったよ」

王馬「この設問は最初から出来レースだったんだよ。モノクマは新世界プログラムごとキー坊が元に戻る可能性が霧散したことを知っていた」

王馬「だからこそこんな設問を堂々と出すことができた。俺たちに最後の最後で仲間を切り捨てさせるために」

最原「反撃の機会をくれたのはBBさんだ。あの世界でのモノクマは監視権限が使えなかった。BBさんがあらかじめセミラミスさんから没収してたから」

最原「それに、まさかあの短時間でアルターエゴのプログラムをコピーしただなんて思わなかったはずだ」

巌窟王「BBなら可能だぞ。そこそこ機転も利くヤツだからな」

最原「この刻印の効果が物凄く下らないものだった場合、逆に追い詰められるのは僕たちだよ」

最原「でももし! キーボくんの人格復元プログラムなら!」

夢野「後に残るのは選択肢だけ。人類をぶっ壊して出るか、可能性を信じて出るかの二択じゃ」

茶柱「活殺自在ってヤツですね。笑えますよ。この賭けに勝つだけで、転子たちは外の世界を逆にどうこうできる立場になる」

王馬「あっはっはっはっは! 笑える結末だよね! 散々俺たちを虐めてきた連中が、今度は逆に俺たちにビクつくんだ!」

王馬「結末はどうあれ、それ自体がこれ以上にない復讐劇だよねぇ!」

キーボ「……」

東条「乗ってみる価値のあるギャンブルね」

星「ふっ。思えば随分と遠くまで来たもんだ」

巌窟王「終わりだ、モノクマ!」スタスタ

モノクマ「あっ! 待っ……!」

巌窟王「待たない。外の世界と、才囚学園との決戦の舞台。勝者は俺たち――」

巌窟王「――才囚学園の復讐者だ!」ブンッ








キーボ「まだですね」ガシイッ

巌窟王「……!?」

巌窟王(攻撃を……受け止められた!)

キーボ「処理が巻き戻しになります」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 21:01:13.14 ID:O27KwM4nO
イッチの名前がアカザさんになっとるwww
423 :もうやめてバルバトスさん  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/06(月) 20:59:48.26 ID:zz66xPtL0
巌窟王「……巻き戻しだと? 何を言っている?」ギギギッ

巌窟王(腕がまったく動かん)

キーボ「早まり過ぎです。上部のモニターを見てください」

巌窟王「モニター?」

モノクマ「え? モニター?」



モニター『大正解! コングラッチュレーション!』テッテレー




巌窟王「……」

最原「……」

全員「……」

全員「何だってーーーッ!?」ガビビーンッ

百田「お、おい! どういうこったよ! まだ証拠を提示してねーよな!? それを逆利用してキーボを元に戻そうって話だったよな!?」

春川「モノクマ! どういうつもり!?」

モノクマ「え!? 何!? どういうこと!? 教えてえらえら偉い人!」キュッキュッキュー

モノクマ「ヒアウィ、ヒアウィ、ヒアウィ、ヒアウィゴー」チュキチュチュキチュチュキチュ

夢野「ダメじゃ! モノクマも動揺のあまりDJ化しておるぞ!」

白銀「動揺のあまりDJ化!?」ガビーンッ

最原「モノクマに視聴者の設問を無理やりどうこうする権限なんか無かったはずだ! あったら今ごろセミラミスさんを殺してる!」

最原「視聴者の設問を途中で切り上げることができる誰かがいたとしたら、それは……!」

巌窟王「外の世界の視聴者としか考えられない、か……」

巌窟王「……くは」

巌窟王「クハハハハハハハハ! ああ、愉快だ! そこまで追い詰めていたか、俺たちは!」ゲラゲラ

アンジー「笑ってる場合じゃないと思うけどなー」

巌窟王「クハハハハハハハハハハハハ……!」

アンジー「……?」
424 :バルバトスは虚しい生き物だ。悲しい生き物だ  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/07(火) 20:11:09.99 ID:uQULXhCP0
ナーサリー「認めちゃったわね? このプログラムが逆転の一手だって」ギンッ

最原「……!」

最原(……裁判場の雰囲気が変わった。違う!)

最原(裁判場に殺気が満ちている! どこから? いや、誰から!?)

最原(決まってる! こんな気配を人間が出せるわけがない!)

百田「……おい。息が詰まるぜ。ちょっと気配を緩めろよ」

ロムルス「……」ニコニコ

最原(だ、誰一人として改善しない! 何がそんなに嬉しいんだ?)

ナーサリー「認めちゃったのなら仕方がないわよね」

ナーサリー「……BBの残したプログラムが、本当にくだらないものだった可能性を自分で潰したわけだけども、どんな気分かしら?」

キーボ「……」

春川「……どういうこと?」

巌窟王「聖杯戦争を一度体感してみればわかる。魔術とはほとんど理屈のこじつけで万能の効力を発揮する異能だ」

巌窟王「先ほどセミラミスは学園の全権を掌握した自分のことを神だと自称していたが、とんでもない!」

巌窟王「この学園に神がいるとしたら、この学園を作り、試聴し、楽しんでいる者に他ならないだろう!」

ナーサリー「この場をやり過ごすためだとは言え、随分と軽はずみなマネをしちゃったわね」ニヤニヤ

ナーサリー「一度認めちゃったのだから、もう訂正できないわよ?」

ロムルス「……境界を跨いだな」

最原「巌窟王さん? みんな? 一体、何を言ってるの?」

巌窟王「クハハ! 今はわからなくてもいい」

巌窟王「……BBの遺産については心配するな。必ず活用する」
425 :私はバルバトスの存在意義がわからなくなってきた  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/08(水) 22:30:24.46 ID:ZHDf7UG10
最原(……ここまで言い切るなんて。彼らには一体、何が見えたんだ?)

百田「そっか。んじゃ任せるな」ケロリ

最原「さっきからちょいちょい軽いよ百田くん!」ウワァ!

百田「終一。ちょっとはアイツらの立場になって考えてみようぜ」

百田「俺は多分、大事な仲間が一人でも欠けたら夜に枕に泣き散らかすぞ」

最原「……うん。僕もそうだと思うけど……?」

百田「キレてるぜ。コイツら。たった今気付いたことだけどよ、ハナからブチっとな」

最原「!」

サーヴァント一同「……」

最原(当然だ……なんで気付かなかったんだ、僕は!)

最原(BBさんがいなくなったら一番怒るのは、どう考えても僕たちより先にこの人たちだろう!)

巌窟王「フン。そんなことはいい。俺たちは自分の身を心配していればいいのだからな」

巌窟王「……ともかく、これでだ」

巌窟王「問題の答えはすべて揃ったな?」ニヤァ

アンジー「モノクマが急に裁判のルールを変更、追加しなければだけどねー」

茶柱「よしてくださいよ。この局面で更にとなったら転子、流石に暴れますよ?」

獄原「モノクマ……!」

モノクマ「……ふうー」
426 :魔神柱こそこそ噂話 ◆SxyAboWqdc [Saga]:2019/05/09(木) 21:28:25.76 ID:N5+5XyyR0
ごっさ鼻血が出て怖くなったので今日は更新なし!
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/10(金) 00:59:29.88 ID:AZ2CM7xS0
お大事に
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/10(金) 09:51:42.05 ID:smaJpKiWO
それは怖い
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/10(金) 12:29:40.62 ID:9fKN0dgjO
漫画か何かで脳の血管が破裂だかして行き場を失った血液が鼻から出る(=手遅れ)ってのを見たな
430 :アァアア! 魔神柱がァ! 魔神柱が狩り尽くされている!  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/10(金) 21:12:33.18 ID:hoCMgH680
ビキイッ……

最原「!」

最原(周りを覆ってる白い植物が……動いた? いや、成長してる?)

最原(なんだろうこれ。今まで嗅いだことのない匂いがする。放射線とか出てないだろうな……?)

モノクマ「そこそこいい感じに根を張ってきたかなぁ。あと少しかも」

巌窟王「……」

モノクマ「そう睨まないでよ。ちゃんとオマエラの功績は評価してるからさ!」

モノクマ「うぷぷ。ここまでよく頑張りました。学園長、嬉しい!」オヨヨ

巌窟王「もう貴様は学園長でもなんでもない。こっちの赤松の膝枕でダウンしている真っ黒ボロ雑巾が学園長だ」

赤松(言い草酷ッ!)ガビーンッ

セミラミス「ぐー」スヤァ

モノクマ「さてと。それじゃあ、後のプランはたった一つ。この学園を出るか否か……に関してはとっくに結論が出ているからパス」

モノクマ「この学園を如何にして出るか。後に残ってる議論はそれだけだよ」

モノクマ「制限時間は……」





アト 0ジカン 40フン 56ビョウ




百田「意外と残ってるじゃねーか」

東条「そうは言っても、この残り時間が現してるのは私たちの寿命そのものよ」

入間「ああ。いい気はしねーよな」

モノクマ「さて! それじゃあ、すべての議論を終え、残すところは進路選択だけとなったオマエラにボクからプレゼントがあります!」

巌窟王「プレゼントだと?」
431 :アァアア! 魔神柱がァ! 魔神柱が狩り尽くされている!  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/11(土) 19:52:23.70 ID:kKGOIR3K0
モノクマ「しゃきーんっ!」バッ

最原(ん? 鍵だ)

モノクマ「はいぶすーっ!」ガチャリッ

最原(あ、手元の鍵穴に刺した)



ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!


最原「!?」

獄原「裁判場が……!」

王馬「揺れて揺れ揺れあばばばぶぶぶぶぶぶ」ブルブルブルブル

百田「いやいくら揺れてもそうはならねーだろ! プリンか!?」ガビーンッ

白銀「なっとる! やろがい!」

巌窟王「何をした……!?」

モノクマ「本来なら、オマエラのことを見ている視聴者の顔をリアルタイムで映すためのギミックだったんだけどさー」

モノクマ「そろそろいいかなって」

巌窟王「……!?」

モノクマ「この密封性は偶然。本来、ここに魔術由来の何かを呼び出す気なんて無かったんだから」

モノクマ「でも実際には閉じ込めることができた。閉じ込めることができてしまった」

モノクマ「……さあ、概念の存在を汲み上げる器の完成だ。サーヴァントの強大な魔力を延々と注ぎ続けたらどうなる?」

モノクマ「それは膨大な魔力リソース。無計画に開放すれば外の世界を壊滅させかねない程の」

ナーサリー「……まさか」

モノクマ「人の抱えたあらゆる願いを叶える密室」

モノクマ「形而上のものを組み上げ、物質に変換する奇跡の産物。それをオマエラは一体、なんて呼んでる?」

モノクマ「巌窟王さんなら答えられるよね?」

巌窟王「……」


1.聖杯
2.聖杯
3.聖杯
432 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/12(日) 16:29:59.95 ID:c7Cfu39z0
巌窟王「なるほどな。魔力を溜めておける器に、相当量の魔力を注ぎ込めば一つや二つ程度、できるか」

ナーサリー「……肩入れした女神サイドにも問題があったわね。ごめんなさい、きっかけは私よ」

最原「え?」

巌窟王「この才囚学園は聖杯だ! 正確に言うなら、聖杯の内側となっている!」

最原「!?」

春川「正気で言ってる……? いや、聖杯の定義が魔術の世界ではどうなのかは知らないけどさ」

春川「もし本当にあんなものが存在するのなら、もうこの場の誰にも手が付けられないんじゃない?」

百田「伝承の上での聖杯と同じなら、不老不死だの願いを叶えるだの、スケールが大きすぎてピンと来ねぇよな」

百田「つーかそんなもんがあるんなら俺たちのことを無事に出してくれって願うだけに決まってんだろ」

巌窟王「おそらくだが、それは無理だな」

百田「あ? なんでだよ」

巌窟王「お前も聖杯の一部だぞ」

百田「は?」

巌窟王「モノクマも、白銀も、モノクマーズも才囚学園の校舎もこの裁判場に至るまですべてが聖杯だ」

モノクマ「そう! ニューダンガンロンパV3は変性する!」

モノクマ「現実を嘘で塗り替え、物語は歴史となる!」

モノクマ「偽物は本物となり、外の世界は丸ごとすべてオマエラの礎に変わる!」

天海「……バカげてる! いや、さっきまで人類をぶっ壊せるかもって議論してた俺たちに言えた義理じゃないのかもだけど!」

天海「モノクマ! お前は今! まさかそれを望んでるって言うんすか!?」

白銀「まさか……モノクマ、あなたは」

白銀「視聴者の味方ですら……なかった……!?」

モノクマ「うぷぷぷぷぷぷ……!」

最原(……裁判場の揺れが強くなっている! まさか、足場が壊れたりしないよな?)



ビキビキビキイッ!



赤松「むぐう!?」

最原「案の定壊れてるよーーーッ!」ガビーンッ
433 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/13(月) 19:58:43.54 ID:/Z60ZPA40
ドガラガラガシャアアアアアアアアアアアアンッ


入間「ぎゃあああああああああああ!? こ、これ落ちっ……落ちてっ、落ちてるだろおおおおお!?」

獄原「入間さん! みんな! ゴン太に捕まって!」

星「……なんだこれは! 裁判場の地下にこんな巨大な空間があったら……!」

東条「建築学の何もかもが成立しないはずよね」

茶柱「いや冷静に分析してる場合じゃっ……これどこまで落ちるんですかーーー!?」

王馬「死ぬーーーっ! ヒャッホーーーウ!」

春川「……!」

百田「ハルマキ! ハルマキ! 『今ならどさくさに紛れて殺せる』とか思ってねぇよな!?」

春川「……ちっ」

百田「思ってたんだな!?」ガビーンッ

真宮寺「これは……いくらなんでも穴が深すぎないかい?」

夢野「……」シーン

天海(気絶してる!)ガビーンッ

セミラミス「ぐー」スヤァ

赤松「んむぐぐがおおおおおおーーーッ!(特別意訳:この人まだ寝てるよーーーッ!)」

白銀「まさか底がない……?」

巌窟王「アンジー!」

アンジー「……!」

最原(気の遠くなるような時間だったけど、実際はそこまで経っていないはずだ。タイムリミットがあるんだから)

最原(でもそうやって落ちて落ちて落ちて落ちて、落ちた先で、気が付くと……)

モノクマ「はい到着です!」

最原「……ここは……」

最原(壊されたはずの校舎がすべて元通りになった、才囚学園……?)

最原「……違う。これは……この景色は才囚学園じゃありえない……」ガタガタ

最原(だって、そう。今、僕たちの周りには……!)





白銀「果ての壁が……ない……」
434 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/14(火) 21:04:40.71 ID:DcW6gtfh0
モノクマ「正確には、壁はあることにはあるんだよ。ずっと遠くに。霧状の壁的なものが」

百田「……おいおいおい。なんだよこれ。いくらなんでも広すぎんだろ……」

最原(時刻は深夜だけど、空にはあつらえたような満月があるのでちっとも暗くない)

最原(果ての壁があったその場所から、ずっと向こうまで草原が広がっていた。ところどころに花畑がある以外は本当に何もない)

モノクマ「現実ではありえない光景でしょ? その内に、オマエラのものになるかもしれない世界だよ」

巌窟王「なんだと?」

モノクマ「あの樹の仕組みは相変わらずよくわかんないんだけどさー、用意が十全なら世界を変えてしまえるんだって」

モノクマ「今見えている光景は幻。あるはずのない幻像。でもあの根さえ下りてしまえば話は完全に別になる」

白銀「教えてモノクマ。あなたは一体、何をするつもりなの?」

モノクマ「知りたい? 知りたい? なら教えてあげましょう! 一から一万まで!」

春川「一から十まででいいよ……」

モノクマ「人類史ダンガンロンパ化計画! それがボクが! 誰の意思でもなくボク自身が実行している計画の名前だよ!」ギンッ

最原「人類史……ダンガンロンパ化計画……?」

モノクマ「あの根を下ろして人類史を改変してフィクションに過ぎないダンガンロンパの世界で人類史を上書きしたいと思いますハイお終い!」

天海「説明が早すぎる!」ガビーンッ

巌窟王「バカな。この学園の嘘の記録を、外の世界の正史にするだと……? そんなことできるはずが……」

モノクマ「できないと思うんならそれでもいいよ。でも、あの根があれば本当にできそうだっていうのがボクの見解」

モノクマ「……ま、必要なものは色々あったんだけどね。サーヴァントをこの場に呼び寄せたりとか?」

ナーサリー「私とイシュタルとジャガーマンは自分の意思でこの学園に来たのよ? 呼び寄せられた気はないわ」

モノクマ「ロムルスさんは?」

ナーサリー「……あっ」

夢野「……そうじゃな? よく考えたら、なんでロムルスがこの場にいるんじゃ? ジャガーマンからもこやつの話は聞いたことがないぞ?」

ロムルス「ローマ故に」

夢野「全然わからん」
435 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/15(水) 18:58:07.16 ID:ya88okeu0
最原「いや。ローマが関係あるかどうかはわからないけど、方法自体はわかるよ」

最原「これに見覚えはない?」バサッ



ビクウッ


春川(ん。なんだろう。誰か今、ビクついたような……?)

百田「んん……? なんだそれ」

最原「研究論文。ざっくり言うと『学園からの脱出の可能性』について書かれてる」

最原「かなり個人的な研究だったみたいでさ。こっそり秘密裏に行われて、こっそり秘密裏に葬られたみたいだ」

夢野「葬られた……ってことは、要は失敗したってことじゃろ? 成功してたらとっくに全員で脱出していたか」

東条「さもなくば一人で脱出してそのまま帰ってこないか、ですものね。でも今の私たちは誰一人として欠けていない」

最原「でも部分的に成功したことはあった。だよね?」

??「……」ビクビク

最原「……とぼけなくていいよ。入間さん」

入間「おぎゃぱあっ!?」ガビーンッ

真宮寺「また入間さんか……相変わらず余計なことをしてくれるよネ」

入間「赤松よりはマシだろうがボケッ!」

真宮寺「まあそうだけどさ」

赤松「むが!?」ガビビーンッ

茶柱「みなさーん。流れ弾で赤松さんを殺さないでくださいねー」
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/15(水) 23:28:22.62 ID:kihX7cmIO
気がつくとゲロブタビッチ未満になっていた女
437 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/16(木) 21:53:25.91 ID:QViNFvHZ0
最原(ていうか落ちた後もまだ拘束されてるのか……)

最原「部分的には成功した、と言ったのはさ。要は穴を開けることには成功したんだ。向こう側に通れなかっただけで」

最原「で。その穴の向こうの世界って、どこだったと思う?」

百田「は……? いや、どこも何も、穴の向こうは穴の向こうだろ。俺たちが視聴者って呼んでる連中が住んでる……」

最原「半分正解。ナーサリーさんやBBさんとかも間違いなく視聴者には違いなかったしね」

ナーサリー「……まさか、とは思うのだけれども……」

ナーサリー「ねえ。まさか。まさかよ? その穴の向こうの世界って……!」

最原「巌窟王さんのホーム。巌窟王さんがカルデアと呼んでいる場所だよ」

巌窟王「!?」バッ

入間「ひ、ひい!? こっち見んな!」

最原「内容はこうだ。最初に巌窟王さんを召喚した魔法陣の応用。これを使って巌窟王さんが元いた場所に逃げられないかと入間さんは考えた」

最原「でもこの計画は様々な理由で頓挫した。まず穴を開けたはいいものの、入間さんはその向こうに行けなかった」

最原「穴の大きさの問題じゃない。なんらかの強制力が働いて、こちら側の人間は向こう側に行けないんだよ」

最原「ある程度のところまでは進めるらしいんだけどね」

巌窟王「それは……第一の学級裁判のときの!」




天海『さて。入間さんのアリバイは?』

入間『え、えーと俺様は……地下にいたぜ……?』

百田『あ? 何言ってんだ。作戦会議に来なかっただろ、テメェ』

入間『そっちじゃねぇ! 別の地下だ!』

最原『まさか……裏庭のマンホールの中のこと言ってるの? デスロードに通じてる』

入間『そう! それだ! 巌窟王が外からやってきた魔法陣はそっくりそのまま残ってたからよ!』

入間『それを開けて、俺様たちが向こう側に行けないかどうかの実験をしてたんだ!』




天海「……半分成功してたんすね!? ていうか今の今まで忘れてたっすよ!」ガビーンッ
438 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/17(金) 19:58:25.96 ID:TwI+MWRZ0
天海「じゃあ、つまりロムルスさんもその穴を通って……!?」

東条「待って。話がおかしいわよ。それって入間さんが秘密裏に行っていた研究を、モノクマか白銀さんが奪わないと成立しない話よね?」

王馬「学園全体を監視してたんだから奪うことくらい余裕っぽいけどなぁ」

最原「実際そうだったんだろうね。この論文にははっきりと『白銀さんに目撃された。妙な質問もいくつかされた』ってハッキリ書かれてる」

最原「そして……この論文を奪った白銀さんは、あるものをカルデアから持ち去った」

真宮寺「それは……?」

最原「セミラミスさん。正確に言うと、セミラミスさんが入っていたゲームだよ」

巌窟王「そうか……コイツの侵入経路もずっと謎だったが、入間の作った穴から入ってきていたのか」

ナーサリー「あくまで魔術の素人考えだけれども、その穴は『サーヴァントを呼ぶ道』と『巌窟王の転送経路』が混線した結果産まれたものね」

ナーサリー「いわば偶発的に誕生したちょっとしたポータル。でもあくまでサーヴァントを呼ぶための道である以上は……」

ロムルス「一方通行、ないしサーヴァントしか通れない特殊な道となっているはずである」

白銀「あのゲームを持ち去ったのは、ちょっとした偶然だよ」

白銀「……面白そうだなって思ったから、ちょっと貸してもらったんだ。全部終わったら巌窟王さんに返すつもりだったし」

白銀「ていうか勝手に持ち去るだろうし」

巌窟王「……」

アンジー「『いやあ流石にあれはちょっと……』って思ってる顔だよー」

セミラミス「今、ナルシスはカタルシスに……むにゃむにゃ」スヤァ

赤松(なんか変な夢見てる)

白銀「面白半分に新世界プログラムに組み込んでみたら、中には謎のアルターエゴはいるし、聖杯もあるし、手に負えないってわかったんだけどね」

巌窟王「何故デリートしなかった?」

白銀「居座られたから……しかもちょっと怖い勢いで権限を無理やり奪い取られたし……あのナチュラル横暴ムーブには従わざるを得ないって……」

巌窟王「……」

アンジー「『流石にちょっと同情する』って顔だねー」
439 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/18(土) 22:18:09.75 ID:2QjooAtv0
邪ンヌピックアップで爆死したので今日はなし……ライネス嬢は大勝利だったはずなのに……
440 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/19(日) 10:09:17.80 ID:WH0vq5Gl0
百田「どうだロムルス。テメェは一体どうやってここに来たんだ?」

ロムルス「テルマエ用の入浴剤を探していた折、ふと目の前が真っ暗になった。おそらく背後から麻袋かなにかを被せられたのであろう」

ロムルス「襲撃犯が自分より遥かに小さい体躯であることだけはわかったので、暴れるのも気が引けた」

ロムルス「故に、流れに身を任せ、気が付くと……」

巌窟王「あのロケットの中に鮨詰め状態になっていたということか……」

最原「でもなんでロムルスさんを……?」

モノクマ「あの樹の説明書に書いてあったんだよね。根を下ろした後は、あの樹を育てる王のようなものが必要だって」

モノクマ「強力な権能を持っていればひとまず王として成立するらしいから、それっぽいのをあっち側の世界で物色することにした」

モノクマ「それで! たまたま見つけたのが、入浴剤を探していて隙だらけだったロムルスさんだったってわけ!」

ナーサリー「……まあ、どんな空間であれそれを支配する王さまはいた方がいいわよね」

モノクマ「今となっては、別にセミラミスさんでも構わないよ。権能自体は持ってるし、権力に関してもボクから奪い取った」

モノクマ「むしろ動機がある分、彼女を説得した方がいいかなとも思うよ。まさかここまで生き残るなんて思わなかったから予定外だけど」

巌窟王「貴様の考えるダンガンロンパ化した異界の王にか?」

モノクマ「あの樹の力を使えば、延命くらいは充分可能だよ。いや? なんならサーヴァントとして復活することもできるかもね?」

赤松(……確かにそれを聞いたら、セミラミスさんにも動機がありそう)

モノクマ「で。ロムルスさんはどう?」

ロムルス「今日から才囚学園の理事長となったローマである」キラキラキラキラキラ

夢野「もうやる気になっておる! タスキかけておる!」ガビーンッ

東条(『今日から理事長』……?)

ロムルス「というのは当然冗談である」ポイッ

最原「あ。捨てた」

ロムルス「……ただし。この場にいる生徒たちを守れるというのであれば、選択肢の一つとして考えてもいいだろう」

茶柱「さ、流石にこんなトンチキ計画を成立させるわけにはいきませんよ! 気遣いはありがたいですけど!」
441 :バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/20(月) 19:19:12.10 ID:rKGz9wvR0
モノクマ「ボクの言う通りにすれば、キーボくんを簡単に止められるけど?」

キーボ「!」

最原「……なんだって?」

モノクマ「だってさー。今は確かに『視聴者の意思』でロムルスさんやナーサリーさんのサーヴァントの力を大部分没収してるけど」

モノクマ「あの樹を使えば少なくとも、ロムルスさんかセミラミスさんがサーヴァントとして復活するんだよ?」

モノクマ「これでサーヴァント級の力を持ったキーボくんを制圧できる駒が巌窟王さんと合わせて二人」

モノクマ「見る限り、キーボくんの戦力は『サーヴァント一騎程度なら余裕を持って倒せる程度』だから……」

白銀「もう一体のサーヴァントがいれば、制圧力が逆転……!」

獄原「楽にキーボくんを助けられるってこと!?」

巌窟王&最原「!?!?」ガビーンッ

モノクマ「以上が、ボクがオマエラに捧げるプレゼント」

モノクマ「『最原終一の進路』と『巌窟王の進路』に並ぶ第三の選択肢! 『モノクマの進路』だよーーーんっ!」ギンッ

百田「ざけんなっ! 一体これまでどれだけテメェに苦しめられてきたと思ってる!」

百田「今更テメェの用意した進路なんざ選ぶわけねーだろ!」

モノクマ「感情論でボクの進路をけっぽるのは自由だけどさー……現実問題、あと二つの進路って博打じゃん?」

モノクマ「どっちにしろキーボくんを最終的に制圧することが前提になってるけど、それをしくじれば……」

星「……俺たちは一巻の終わり。死んで終了。ジエンドだ」

星「なるほど。確かに聞いた限りではモノクマの進路にもメリットはあるか……?」

百田「星。本気で言ってるわけじゃねーよな?」

星「……フン。俺は思い知っただけさ。この学園の中で戦うことの虚しさをな」

星「何もかもが嘘でフィクション。俺も、お前さんらも、モノクマも」

星「……同じなんだ。俺たちも、モノクマも。この学園にいる時点でな。白銀を庇っているお前さんならわかると思うが?」

百田「……」ギリッ

真宮寺「……嘘を本当にできる、か。それが本当なら僕もこの進路を推したいところだネ」

春川「真宮寺……!」

モノクマ「うぷぷ。そうだよねー。真宮寺くんの場合、嘘になったら困るものがたっくさんあるもんねー」

モノクマ「いいんじゃない? ならボクはキミの意思を尊重して――」






真宮寺「だが断る」

モノクマ「なっ!?」ガーンッ
442 :新番組:アマデウス滅の刃  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/21(火) 21:27:05.25 ID:ZmEJUkGe0
真宮寺「ククク……美味しい話には裏がある。そんな言葉に僕が引っかかるとでも?」

モノクマ「……」

春川「……どうしたの真宮寺。『本当なら僕もこの進路を』ってくだりに関しては完全に本気っぽく聞こえたけど」

真宮寺「そこに関しては間違いなく本気だヨ。でもさ、よく考えて」

真宮寺「最原くんも巌窟王さんも、自分の進路のデメリットを懇切丁寧に説明してくれたよネ?」

真宮寺「じゃあモノクマは?」

百田「……んん。言ってない……か?」

百田「いや。絶対に言ってねぇぞ!」

モノクマ「……うぷぷ」

獄原「そっか! 真宮寺くんはそのデメリットに気付いたんだね! だからあっさりその進路を突っ撥ねたんだ!」

獄原「それで! そのデメリットって?」ワクワク

真宮寺「いやさっぱりわからないんだけど」

獄原「さっぱり!?」ガビーンッ

真宮寺「でもネ。すべての設問が終わってタイムリミットが迫るこのタイミングで、二つの進路よりも優れているように聞こえる進路が出るってさ」

真宮寺「どう考えてもおかしいヨ……何かあるって考えるのは至極当然でしョ?」

最原「人間には急なタイミングで都合のいい選択肢をチラつかされると『その選択肢を選ぶデメリット』の方を優先的に排除しにかかる心理がある」

王馬「詐欺の常套手段だよね。幸運のツボを売りましょうって言って相手が買うかどうか迷ったタイミングであえて引くと……」

王馬「『買うことのデメリット』の方を優先的に排除して、かなりの人数が引っかかるんだよ。『やっぱり買う。買わせてくれ』ってね!」

王馬「いや俺はそんな詐欺やったことないけど!」ケタケタ

夢野「あえて言わんでいい。余計に疑わしくなる」

東条「私たちが焦って冷静な判断能力を失うタイミングでの有利な条件」

東条「……なるほど。この疑念こそがある意味で『モノクマの進路のデメリット』ね」

ナーサリー「物語を歴史に改変するような危険物よ? 下手を打つと、私たちカルデアが後であなたたちを排除しにかかる未来もあるかもしれないわ」

最原「時間的に、もう『モノクマの進路のデメリット』は『謎』のままにしておくしかない」

最原「……僕の進路の方も出た後の可能性に賭けるって点ではモノクマと似たり寄ったりだけど、モノクマの進路は度を越してるよ」
443 :サリエリ「私は限りなく天才に程遠い音楽家だ」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/22(水) 19:54:45.86 ID:sH1fosxm0
モノクマ「……あれ?」

モノクマ「あれ? あれ? あれれれれれ? 本当にボクの進路を蹴っちゃうのー?」

天海「くどいっすよモノクマ! 選択肢としてぶっちぎりでアンフェアなんだから、モノクマの進路だけは圧倒的に論外っす!」

モノクマ「んー。じゃあこんなメリットを更に提示しようか。この進路だと巌窟王さんとお別れしないで済むよ?」

巌窟王「何?」

アンジー「……」

最原「……えっ」

モノクマ「あの樹が成長した暁には王に選んだサーヴァントだけでなく、一人程度のサーヴァントを完全治癒させるには充分なリソースが得られる」

モノクマ「更に、この空間だとサーヴァントが王なんだよ? なら今の才囚学園と同様に、新しい世界もサーヴァントがいて当たり前の空間になる」

モノクマ「ねえ? このメリットなら揺らがないかな?」

最原「……」

最原(正直ちょっと揺らがないでもないけど……)

最原「ありえない! だって巌窟王さんには帰るべき場所がある!」

最原「僕たちに帰る場所が無くっても、彼にだけはそれが存在する! だから論外だよ!」

アンジー「ないけど?」

最原「ん? アンジーさん、今なんか言った?」

アンジー「彼、もうどこにも行けないけど?」

巌窟王「……!? アンジー! よせ!」

最原「……?」






アンジー「彼はもう終わり。この学園生活が終わったら、どこにも行けない」

最原「……は?」
444 :マーリン「久しぶりの運動は堪えるねぇ。背中が痛い」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/23(木) 20:37:29.79 ID:VJDdNc0F0
巌窟王「……」

巌窟王「……」カチカチ

天海「ゲームやり始めた!」ガーンッ

白銀「ていうかそれもやっぱり私のゲーム機だよねぇ!? 勝手に触らないで!?」

最原「なんでサーヴァントのみんなは誤魔化すのがとにかく下手なんだろう……いや今はそんなことは後回しでよくって」

最原「アンジーさん! どういうこと!?」

アンジー「BBから聞いた。彼はもう、帰る場所がないんだって」

最原「なんで!?」

ナーサリー「……ああ。なるほど。そういうこと……伯爵、あなた『変容』しちゃったのね」

巌窟王「……」

ナーサリー「もう既にあなたは巌窟王ではない別の何かに変わりつつある。だから無理なのね」

アンジー「……」




BB『巌窟王さん。あなたはもう今の私と同じなんです』

BB『カルデアのアヴェンジャーと才囚学園のアヴェンジャーは明確な別個体になりつつある』

BB『カルデアには霊基が登録されているから再召喚は容易ですが……』

BB『ここにいるあなたはもうどこへも行けない可能性があるんですよ』

巌窟王『……』

アンジー『……え』




最原「よくわからない……よくわからないけども!」

最原「巌窟王さん! どうして!? それを僕たちに、もっと早い時点で相談してくれれば別の可能性だってあったはずなのに!」

巌窟王「キーボの復旧方法を見つけたようにか?」

巌窟王「ないぞ。今回ばかりはどうしようもない。これはまず間違いなく貴様の専門外だからな」

最原「……!」

最原(考えろ! 考えろ! なにか……なにか裏技は……!)

入間「……お、俺様の論文を使うのはどうだ!?」

最原「!」

夢野「おお! そうじゃ! それがあったのう! 消える前にカルデアに戻ればよい! 後はどうとでもなるじゃろう!」

巌窟王「無理だな」

夢野「んあ? なんて?」

巌窟王「……才囚学園のものは、強制力が働いて向こう側に行けないのだろう?」

入間「え? あ、ああ……それは間違いないけどよ……」

巌窟王「問題の根が同じなのだ。俺は才囚学園のアヴェンジャーとなってしまった。だからその方法でも俺は帰れない」

夢野「……い、入間……? 別の理論は……ないのか?」

入間「……」
445 :ジーク「猫関連のツイートばかりしていたらbotと認識された」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/24(金) 21:08:10.27 ID:QGQlKApD0
入間「ヒャーーーッハッハッハ! ねぇよ! そんな都合のいいもん、都合よく持ってるわけねーだろうが!」

夢野「んあ!?」

入間「で、でもよ……これまでなんとかしてくれただろ?」

入間「こ、今回もなんとかしてくれるよな!? ダサイ原!」

最原「……」

入間「……最原ぁ……!」

巌窟王「もうやめろ入間。なんて声を出している」

入間「……」

巌窟王「……人知れず葬った、か。なるほど。『俺をカルデアに帰したくないがため』に論文を隠滅したのだな?」

巌窟王「そうでなければ、俺が帰れないという話になった途端にすぐ論文を使う発想に至れない」

巌窟王「……それをよく、この場で! クハハ! 随分と成長したものだな!」

真宮寺「……巌窟王さん……」

巌窟王「真宮寺! 貴様もだ! モノクマの進路をよく真っ先に突っ撥ねた! 強い誘惑であっただろうに!」

真宮寺「……!」

最原「……」

最原(ああ。そうか……この二人に共通することがある。アンジーさんを殺そうとしたことだ)

最原(この局面で、それを忘れたかのような発言……強い激励の言葉……)

夢野「よせ巌窟王……そんなっ……しょんなこと……!」ズビッ

入間「は、はは……なに言ってんだ。おい、ブスロリ。なんで泣いてんだよ……天才の俺様にとってはなんてことねぇ言葉だろ」

入間「『遺言』受け取ったみてぇな反応してんじゃねぇよッ! やめろ、泣くな! お、俺様も……我慢できなく……ぶうっ」ボロッ

真宮寺「……ありがとう。巌窟王さん。今の言葉だけで僕は前に進める覚悟ができた気がするヨ」

巌窟王「そうか! そんなつもりはなかったがな!」ギンッ
446 :三蔵「蹴鞠? この玉を思い切り蹴ればいいの? えいっ」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/25(土) 20:26:35.43 ID:4WOHXbzG0
百田「……死ぬってことか? この学園がぶっ壊れたら、巌窟王は」

巌窟王「概ねその理解で問題ないな」

百田「ざ……ざけんなっ! それならモノクマの進路だって、その一点だけで充分検討可能だろうが!」

巌窟王「絶対にNOだ! 何をバカなことを言っている!」ギンッ

百田「ッ!」

巌窟王「アイツの言う通りになることだけは俺が許さない……! どう考えてもあの樹は異質だ!」

巌窟王「万が一カルデアを敵に回せば貴様らはどっち道お終いだぞ! 俺のホームを甘く見るな!」

ロムルス「……無論、それでもいい。足掻けるだけ足掻きたいというのであればローマが力を貸すが」

巌窟王「囀るな、神祖。この進路だけは取らせるべきではない」

ロムルス「確かにカルデアには実績がある。もしもこの空間がカルデアに睨まれれば、速やかに切除にかかってくるだろう」

ロムルス「だが――忘れたか? 人類最後のマスターは、彼らと同じ程度には『柔い』」

巌窟王「……!」

ロムルス「条件は同じなのだ。ぶつかればどちらが勝つかは、やってみなければわからない」

茶柱「……やってみなければわからない、ですか。いいですね。それ。転子好みの言葉です」

巌窟王「茶柱!」

茶柱「……でも」

茶柱「転子は最原さんの選んだ道に従います」

最原「!」

茶柱「どれも同じくらい正しく聞こえます。いえ、きっと全部正しいんです」

茶柱「この世に本当の正しさが存在するとすれば、それはきっと自分の心の中だけ」

茶柱「……嘘じゃない、本当の真実があるとするなら、自分の感情だけです。それなら……転子は……!」

茶柱「最後の最後まで、信じたい人を信じたい!」

最原「……」

最原(ああ、そうか……真実から目を逸らさないことを選んだ僕は……)

最原(もう絶対に立ち止まれないんだな)
447 :レジライ「ハッハァ! 判断が遅ェ!」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/26(日) 19:57:43.02 ID:lv1jNBst0
巌窟王「さて。最原。俺を失望させるなよ……と言っても、こういうときは必ず決めるからこその貴様だったな」

巌窟王「俺を救う方法はあるか?」

巌窟王「モノクマの進路以外の方法で、俺が生き延びる術はあるか?」

最原(……そんなものは……)

最原「ないよ」

最原「……そんな都合のいいもの……あるわけないだろ……!」

百田「終一……!」

夢野「最原! お主、これまで頑張ってきたじゃろ!? キーボを救う方法だって見つけた! 白銀だって庇ってみせた!」

夢野「お願いじゃ! お願いじゃから、そんなことを言わんでくれ!」

夢野「……助けられるじゃろ……お主に無理なら、もう……誰にも……」グスグス

赤松「……」

入間「……上っ等じゃねぇか……もうテメェみてぇな役立たずに頼んのはやめだ」

夢野「入間……?」

入間「俺様はモノクマの進路を選ぶぜェ! 誰が何と言おうがもう知るかボケェ!」

王馬「……ふーん。それが入間ちゃんの答え? 対して巌窟王ちゃんはなんて言う?」

巌窟王「絶対にやめろ。やめた方がいい。死にたいのか?」

入間「死ぬような目には何回も遭ってきただろうが……今更すぎんぞクソが!」

星「この進路の場合、そこのロムルスが手伝ってくれるんだろう? それならいくらでもやりようがある」

赤松(……セミラミスさんは……どう反応するだろうな。多分、味方にはなってくれるだろうけど)

赤松「……」

モノクマ「さて! それじゃあ! 残り時間が少なくなってきたところで、最後の投票のルールを説明しましょう!」

最原「投票……?」

春川「最後……って?」
448 :赤兎馬「ディルムッド殿が蹴鞠に首吹っ飛ばされて死にました!」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/27(月) 20:26:29.50 ID:De0yy7Gg0
モノクマ「ルールは今までの投票と同じ! ただし、今回はクロではなく今まで出てきた三つの進路の中から一つを選んでもらいます!」

モノクマ「そして、今回の投票の特別ルール! これが一番大事だから絶対に聞いてね!」

最原「特別ルール……?」

モノクマ「白銀さん含め、巌窟王さんを除いた生徒十六人全員の選んだ進路が同じ場合にのみ投票が有効!」

モノクマ「それ以外の場合、強制的にモノクマの進路に従ってもらいまーす!」ギンッ

獄原「んなぁっ……!?」ガーンッ

春川「……最悪。そんなのアンタだけが圧倒的に有利じゃん」

モノクマ「ああ、安心して。タイムリミットになるまで投票は何回でも受け付けるから」

モノクマ「それ以外の場合っていうのは平たく言って『タイムリミットまでに進路が決まらなかった場合』のことだよ」

巌窟王「バカめ! 貴様のルールなぞ今更知ったことか! 勝手にアレをぶっ壊してしまえばいい!」

巌窟王「ぶっ壊して……?」キョロキョロ

巌窟王「……??????」

アンジー「あー。そういえばさっきから、あの白い根が見えないねー」

百田「あ? んなバカな! あんな目立つもんがそうそう簡単に消えるわけが……」キョロキョロ

百田「……本当にねーぞ!? どうなってんだ!」ガビーンッ

モノクマ「最原終一の進路か、巌窟王の進路を選んだ場合にのみ出してあげる。今はボクが隠してるから見えないだけだよ」

白銀「……最後の最後まで忌々しいマスコットだったよ。あなたは」

モノクマ「うぷぷ」

最原「……」

最原「もうこれ以上は時間の無駄だね」

巌窟王「そうだな。俺も同感だ」

最原「……十六人全員の意思を統一することが勝利の条件なら」

巌窟王「復讐を遂げるための前提なら!」






最原&巌窟王「そのルールのまま突っ切るまでだッ!」ギンッ
449 :酒呑童子「なんかめっちゃ烏が喋りかけてくるんやけど」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/28(火) 19:30:56.54 ID:gukK1isB0
最原「みんな! 一回目の投票だ!」

東条「……もうやるの? 意思統一も何もできていないと思うのだけど」

最原「それでいい! みんなの主張が、今どこにあるのかを調べるためだけの投票だから!」

巌窟王「その後で、別の主張を持つ連中を押し込めて押し込めて押し切ってやる! 『スクラムのように』な!」

百田「おっしゃーーー! 気合入れていくぜ! まず最初の投票だ! モノクマ!」

モノクマ「了解しましたー! それではみなさん、お手元のスイッチで投票してください!」

モノクマ「……あ。赤松さんにはこの特別性モノパッドを渡すから、そこで投票してね。スイッチに手が届かないし」

赤松「むぐ……」ジャラッ

モノクマ「投票の結果、選ばれる進路はどれなのか!」

モノクマ「さあ! 張り切って行ってみよー!」バァーーーンッ



ガシャコンッ



最原(あ。モノクマの後ろから巨大液晶が出てきた……)

最原(時間が惜しい! 投票はできるだけバラけないでくれ!)


最原終一の進路
・最原
・春川
・百田
・茶柱
・白銀
・天海

巌窟王の進路
・赤松
・アンジー
・東条
・真宮寺
・王馬


モノクマの進路
・入間
・星
・夢野
・獄原

無効票(投票放棄)
・キーボ


最原「……!」

最原(もっ……物凄いバラけてる! これを統一しなきゃなのか!?)ガビーンッ

巌窟王「投票の内訳が出るのか。薄々勘付いていたことだが、こうなると普段の投票とは別物だな。何が『今までの投票と同じ』だ」
450 :ダヴィンチちゃん「嗅ぐとめっちゃクラクラするお香作ったよ!」  ◆SxyAboWqdc [saga]:2019/05/29(水) 22:09:18.85 ID:I1hdYtNZ0
百田「この意見をどれか一つに統一しなけりゃ、モノクマの進路直行か」

百田「……ん? 投票放棄……? キーボ?」

キーボ「……」

王馬「おおっと。これはかなーり厄介かな……キー坊が投票を放棄したってことは、視聴者が投票を放棄したってことと考えていいんだよね?」

最原「構わないよ。最後の最後にキーボくんを僕たち全員で相手すればいい」

巌窟王「Wave1でモノクマの進路を始末。Wave2で最原の進路を始末。Wave3でキーボを始末……余裕だな」

天海「い、いやいや……この中で視聴者にとって一番マシなのは最原くんの進路っすよ?」

天海「反対に、巌窟王さんの進路を選んだら外の世界は滅茶苦茶になる。それが一番マズイことじゃないんすか?」

巌窟王「そうでもないのだろう。最原の進路の場合、脱出した生徒の中には魔術的武装を解除されていないキーボも含まれている」

巌窟王「それで才囚学園の生徒全員が外の連中に交渉を仕掛けようというのだ。魔術師にとっては死んだ方がマシなくらいの屈辱だろう」

東条「それは魔術師の都合でしょう? 他の多くの視聴者はすべて魔術とは無関係の一般人のはず。それがどうして……」

巌窟王「今のキーボを動かしているのは外の世界の総意」

巌窟王「そして、総意とは良くも悪くも力の強い物が動かしやすい」

王馬「要は力任せのインチキってことか……魔術関係なしのノーマルの意見も無視してはいないだろうけど」

王馬「でも魔術師の総意に勝つほどじゃないってこと、だよね?」

ナーサリー「随分と強引な手ね。そんなことをしたら『魔術を知らない勢力を操作する別の力が存在する』ってことを大々的に知らせることになる」

ナーサリー「つまり『魔術師が実在する』ってことを自分から話すも同然なのに」

ロムルス「それだけ外の世界が追い詰められているという証左であろう」

ロムルス「……この戦果は誇れるものだぞ?」ニコニコ

最原「……ただ僕たちは議論を重ねてきただけなのに、外の世界は魔術の秘匿もあったものじゃないくらいグズグズか……」

最原「そう思うと、ちょっと面白いね。面白いけど!」








モノクマ「キミたちの未来を愛してるぅー!」待った!

巌窟王「ああ、そうだ! もっと面白くしてやろう!」

最原「時間が無い……? だからって何も変わらない! 僕たちが!」

巌窟王「俺たちが!」




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