【バンドリ安価】湊友希那「ロゼリアのレベルアップを計る」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 05:03:28.68 ID:37ATnayA0

――ファミレス――

湊友希那「という訳で、コレを用意してきたわ」ドン

氷川紗夜「…………」

今井リサ「…………」

宇田川あこ「…………」

白金燐子「…………」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1535054608
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 05:15:18.82 ID:37ATnayA0

リサ「え、ごめんもう1回言ってくれない?」

友希那「いいわよ。ロゼリアのレベルアップを計るために、くじ引きボックスを用意してきたわ」

紗夜「……湊さん、それとこれとにどういう関係があるんですか」

友希那「簡単なことよ。人は気付かないうちに自分の限界を決めて、視野が狭まってしまうものなの。だからコレを用意したの」

紗夜「はぁ……?」

燐子(この前見たスポーツドキュメンタリー番組と……同じこと言ってる……)

あこ「どういうことですか、友希那さん?」

友希那「今回のテーマは挑戦よ。今までやったことがないものにも挑戦をして、新しい音楽の可能性を開拓するのが目的」

友希那「あなたたち、いつの間にかに自分という枠の中で凝り固まっていないかしら?」

友希那「1つのことを深く掘り下げて取り組んでいくのも大切なことだけど、そのために色々な経験を積むことだってとても大切なのよ」

リサ「一理ある……のかなぁ?」

燐子(この前見た経済ドキュメンタリー番組と……同じこと言ってる……)

友希那「だからね、他のバンドから色んな趣味や習慣、挑戦してもらいたいことの案を紙に書いてもらって集めたの。それがこの箱の中に入っているわ」

紗夜「つまり、その箱の中から引いて出てきたものに挑戦、あるいは取り組んでみる……ということですか」

友希那「その通りよ。流石紗夜ね、理解が早くて助かるわ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 05:15:50.93 ID:37ATnayA0

燐子「ど、どんな内容のものが……入ってるんですか……?」

友希那「知らないわ」

燐子「え……」

友希那「みんなが知らないのに私だけ知っていたらフェアじゃないでしょう? だから、集った案の内容は一切見ずにこの箱の中に入れてあるの」

友希那「ただ、私も何枚かはこの中に入れたから、それの内容だけは分かるわね」

リサ「変なとこで律儀だなぁ、友希那……」

紗夜「まともなものならいいんですが……あまりに変な案だった場合はどうするんですか」

友希那「もちろん、やってもらうわよ。無いとは思うけど、人道的、道徳的にアウトな案じゃない限りは」

紗夜「……そうですか」

あこ「へぇー、なんか楽しそう!」

リサ「まぁ、そうだね。せっかく友希那が作ってくれたんだし、楽しむくらいがいいかもね」

友希那「ええ。音楽とは音を楽しむことだもの。前向きに取り組んでこそ意味があるのよ」

紗夜「分かりました。では、その箱から紙を引けばいいんですね?」

友希那「そうね。それで、そこに書いてあることに1週間取り組んでもらうから」

燐子「いっ、1週間も……?」

友希那「せっかくの夏休みだもの。貴重な時間は有効に使いましょう」

あこ「すぐに出来て終わっちゃうものが出たらどうするんですか?」

友希那「その時は……」

友希那「…………」

友希那「臨機応変よ」

リサ「それ、聞こえはいいけど行き当たりばったりってことだよね……」

友希那「これも頂点に狂い咲くために必要なことなの」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 05:16:18.82 ID:37ATnayA0

友希那「さぁ、最初は誰が引くかしら?」

あこ「はいはーい! あこが引きたいです!」

友希那「ふふ、流石あこね。それじゃあ1枚引いて頂戴」

あこ「はーい! 何が出るかなぁ?」ガサゴソ

燐子(こう言っちゃうとなんだけど……トップバッターだけは嫌だったから良かった……)

紗夜(宇田川さんには申し訳ないけれど、これでどんな内容のものが入っているかがある程度分かりそうね)

あこ「はい、これ!」

リサ「なんて内容のものが出たの?」

あこ「えーっと……↓1」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 05:34:15.33 ID:ZpWrSH0+o
クッキーづくり
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 06:03:30.12 ID:37ATnayA0

<クッキーづくり>

あこ「クッキーづくりだって!」

紗夜「早速音楽と関係のないことが出てきたわね……」

燐子「でも……思ったよりまともそうで安心しました……」

あこ「クッキー、クッキーかぁ」

リサ「大丈夫? 作り方とか教えようか?」

あこ「ううん! 今回は挑戦がテーマなんでしょ? だからあこ、自分の力だけでやってみる!」

友希那「流石ね、あこ。私の意図を汲んでくれて嬉しいわ」

あこ「えへへ、友希那さんに褒められちゃった」

紗夜「1週間続けるということは、毎日クッキーを作るんですか?」

友希那「……そうね。そういうことになるのかしら」

あこ「分かりました!」

燐子「頑張ってね、あこちゃん」

あこ「うん!」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 06:04:49.01 ID:37ATnayA0

友希那「さて、次は誰の番かしら」

燐子「そ、それじゃあわたしが……」

リサ「燐子が自分からって、ちょっと珍しいね」

燐子「やっぱり……自分から動かないと、変われないかなって……」

燐子「さ、流石に一番最初はまだ無理、ですけど……」

友希那「ふふ、素晴らしい心がけね、燐子」

友希那「さぁ、引きなさい」

燐子「は、はい……!」ガサゴソ

燐子「えっと……これで……↓1」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 06:40:11.87 ID:ouMGJWyyO
竹細工
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 07:09:12.98 ID:37ATnayA0

<竹細工>

燐子「え……」

あこ「竹細工?」

リサ「竹細工って、あれ? 細い竹を編んで籠とか作る……」

紗夜「……恐らくそれだと」

燐子「これに……挑戦するんですか……?」

友希那「もちろんよ。大丈夫、あなたならきっと出来るわ」

燐子「でもどうすれば……」

友希那「それを考えるのも含めて挑戦よ」

燐子「わ、分かりました……やってみます……その、出来るか分かりませんけど……」

友希那「ええ。これもロゼリアの、ひいては燐子のためだから。応援しているわ」

紗夜(……クッキーづくりにしろ竹細工にしろ、音楽とまったく関係ない気がしますが)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 07:09:53.60 ID:37ATnayA0

友希那「さぁ、次はリサかしら、それとも紗夜?」

あこ「友希那さんは引かないんですか?」

友希那「私は最後よ。みんなが何に挑戦するのか見届ける義務があるから」

リサ「いや、先に引いたって見届けられるじゃん……」

紗夜「今井さん、どうしますか?」

リサ「あー……アタシはどっちでもいーから、紗夜に任せるよ」

紗夜「分かりました。では私が」

リサ「ん、オッケー」

友希那「分かったわ。それじゃあ、はい」

紗夜「ええ。では……」ガサゴソ

紗夜「……これにしましょう↓1」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 07:48:19.53 ID:7nVhqmYd0
ナンパ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 08:20:55.55 ID:37ATnayA0

<ナンパ>

紗夜「…………」

紗夜「…………」

紗夜「……は?」

あこ「ナンパ?」

燐子「ナ、ナンパって……あの……?」

リサ「多分……?」

友希那「……その、頑張って、紗夜」

紗夜「ちょ、ちょっと待ってください! これは倫理的に駄目なものではありませんか!?」

友希那「ごめんなさい。私から言えるのは……それを書いた人を恨んで、ということだけよ」

友希那「大丈夫、きっとそれも……何かしらの形で紗夜の糧になる……ハズよ?」

紗夜「どうして宇田川さんや白金さんの時と違ってそんな疑わしい口ぶりなんですか!」

リサ「ま、まぁまぁ紗夜、落ち着いて……」

燐子(良かった……先に引いておいて本当に良かった……!)

あこ(ナンパってなんだろ? あとでおねーちゃんに聞いてみよーっと)

友希那「紗夜。残念だけど……もう決まってしまったことだから」

友希那「同情はするけれど、ロゼリアの一員として、全力で取り組んで頂戴ね」

紗夜「くっ……そう言われたら……」

紗夜(こんなふざけた内容のものを書いたのは一体誰なのよ)

紗夜(……というか、コレ、よく見ると見慣れた字のような気がするわね……)

紗夜「まさか、日菜……?」

リサ「その、紗夜? 力になれるか分からないけど、手伝おうか?」

紗夜「本当ですか?」

友希那「ダメよ、リサ。これも挑戦なの。私たちが今出来るのは見守ることだけ」

リサ「うっ、やっぱダメ?」

友希那「ダメ」

紗夜「……分かりました。とても、とても不本意ではありますが、精一杯、取り組ませて頂きます」

リサ(うわー……本当に苦虫噛み潰したような顔で嫌々言ってるなぁ……)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 08:22:38.79 ID:37ATnayA0

友希那「さぁ、それじゃあ次はリサね」

リサ「ん……紗夜の後だとちょっと怖いけど……」

友希那「どうぞ、リサ」

リサ「はーい……」ガサゴソ

紗夜「今井さんも私と同じものかそれ以上のものを引けばいいのに」ボソ

リサ「紗夜ー? 聞こえてるぞー?」

紗夜「それが今の私の偽らざる気持ちです。何か問題でも?」

リサ「ついに開き直っちゃったよ……。えーっと、アタシはコレで↓1」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 08:24:35.47 ID:5QAkKB2qo
フルマラソン
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ sage]:2018/08/24(金) 08:27:15.46 ID:ouMGJWyyO
42.195kmなら臨機応変案件か
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 08:41:57.74 ID:JF0z0e040
これか
https://i.imgur.com/WVTm2Rc.jpg
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 08:48:07.09 ID:37ATnayA0

<フルマラソン>

リサ「え」

燐子「フルマラソン……」

リサ「え、フルマラソンって42.195km走るアレ……?」

友希那「それね」

燐子(良かった……本当に、早く引いておいて良かった……!!)

あこ「あ、そういえばはぐみが……」

北沢はぐみ『来週の日曜日、商店街主催のマラソン大会があるんだ! あこちんもどう? まだ参加者募集中だよ!』

あこ「……って言ってたよ。はぐみも参加してちゃんとフルで走るんだって」

リサ「な、なんで真夏にマラソン大会!? 流石にそれはキツイって!」

紗夜「大丈夫ですよ、今井さん」

リサ「え、さ、紗夜……?」

紗夜「サポートは任せてください。今日の帰りにでも北沢さんのところへ行って今井さんが参加する旨を伝えておきますから」

リサ「え、ちょ」

紗夜「ですから今井さんは安心してマラソン大会に備えてください。大丈夫ですよ、ちょうど1週間も期間があるんですから、きっと今井さんなら完走できますよ。ふふ、うふふふ……」

リサ「笑い方! 笑い方がなんかすごくいやらしいよ! 紗夜、そんなキャラじゃないでしょ!?」

紗夜「これが臨機応変というものです」

友希那「決まったわね。それじゃあリサはその大会に出場するということで。せっかくだから上位入賞も……」

リサ「タンマタンマ! それは絶対無理! 完走だけにさせて!」

友希那「……仕方ないわね」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 08:51:17.09 ID:37ATnayA0

紗夜「さて、それじゃあ最後は湊さんですね」

友希那「そうね」

燐子「段々と……変わったものが出てきていますね……」

紗夜「その理屈で言うと、湊さんはリーダーらしく最も大変な挑戦を強いられるということですね。……とても楽しみです」

友希那「紗夜? 何か言ったかしら?」

紗夜「いいえ、何も。さぁどうぞ、湊さん」

友希那「分かったわ。それじゃあ……これね↓1」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 09:03:38.75 ID:k8t52nJGO
鉄骨渡り
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 09:41:30.31 ID:m5DWlIDHO
ざわ…
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 10:05:13.22 ID:3rFRJL8tO
ざわ…ざわ…
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 10:52:36.08 ID:37ATnayA0

<鉄骨渡り>

友希那「……? なにかしら、これ?」

リサ「さぁ……?」

紗夜「はて……?」

あこ「んー……?」

燐子「そ、それは非常に危険なので止めましょう……!」

友希那「そうなの?」

燐子「は、はい……命を落としかねないので……」

紗夜「そんなに危険なものなの?」

リサ「誰が入れたんだろ?」

燐子「多分……漫画が好きな人が……ふざけて、だと思います……」

友希那「ちなみにどんなものなの?」

燐子「え? えっと……簡単に言うと……綱渡り……です」

友希那「綱渡りって、サーカスでやるような?」

燐子「はい……簡単に言うと、そういうものです」

あこ「確かに高いところってちょっと怖いし、危ないね」

燐子(それもあるけど……もしこの鉄骨渡りがあの鉄骨渡りなら……また違った怖さが……)

友希那「けど、コレを引いた以上私も後には引けないわ。どこかに綱渡りが出来る場所がないかしら」

紗夜「流石ですね、湊さん。それでこそロゼリアのリーダーです」

燐子「えぇ……っと……」

燐子(出来る限り安全に体験する方法……そ、そういえば、弦巻さんが……)

燐子「じゃ、じゃあ、あの……弦巻さんのお家に……」


……………………
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 10:53:52.89 ID:37ATnayA0

――弦巻邸――

弦巻こころ「ようこそ、燐子!」

燐子「あの、急にロゼリアのみんなで押しかけて……ごめんなさい、弦巻さん……」

こころ「いいえ! あたしも何か楽しいことがないかしら、って思っていたからちょうど良かったわ!」

友希那「……弦巻さんのお宅、本当に大きいわね」

紗夜「ええ……」

燐子「それで、その……さっき伝えたアレは……」

こころ「ええ、あるわよ! こっちね!」

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 10:55:54.79 ID:37ATnayA0

――弦巻邸 特設アスレチック――

リサ「え、なにこれ……ロッククライミングに、サーカスで見るような空中ブランコとか色々ある……」

友希那「綱渡りもちゃんとあるわね」

紗夜「ええ……それも、学校の屋上くらいの高さのものが」

あこ「わー、すっごーい! これどうしたの、こころ?」

こころ「薫が高所恐怖症だって言うから、それを楽しんで治すために作ったのよ!」

リサ「薫のためにって……」

紗夜「色々と桁違いですね……」

こころ「でも薫、空中ブランコだけでぐったりしてしまっていたわね。綱渡りなんてすっごく楽しいのに!」

こころ「それで、今日は友希那が綱渡りをしたいのよね?」

友希那「ええ。ちょっと挑戦しなければいけなくなったの」

こころ「分かったわ! ここなら好きに使って平気よ!」

友希那「ありがとう、弦巻さん」

燐子「ありがとうございます……弦巻さん……」

こころ「いいえ!」

友希那「それじゃあ早速挑戦ね」

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 10:58:21.81 ID:37ATnayA0

――綱渡り スタート地点――

友希那(さて。アレを引いた手前……なんて下では言ったけど……)

――ヒュゥゥ...

友希那「昇ってみると……結構高いわね」

友希那(綱も足をキチンと乗せられるくらいに太いけど、実際に目の前にすると心もとないわ)

友希那(……キチンと命綱はある)

友希那(スタート地点とゴール地点、その屋根同士を繋ぐようにして、太いワイヤーが張ってある)

友希那(それに伸縮性のあるバンジー紐が括りつけられていた)

友希那(そしてその紐のもう片方側は、着せられたチョッキにこれでもかというほど強固に括りつけられている)

こころ「バンジージャンプも楽しめるようにしてみたの!」

友希那(と、笑顔だった弦巻さんの顔が思い起こされる)

友希那「…………」

友希那(正直に白状すると、こわい)

友希那(もしファミレスに戻れるのなら、『綱渡りくらい猫なら簡単に出来るわね』なんて呑気に考えていた自分を叱りたい)

友希那(猫の運動能力を甘く見るなと叱りたい)

あこ「友希那さーん! 頑張って下さーい!」

リサ「だ、大丈夫かな、友希那……」

紗夜「命綱もついていますし、きっと平気ですよ」

燐子「……押せ……押せっ……」

あこ「りんりん? 何か言った?」

燐子「う、ううん、なんでもないよ……?」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 10:59:28.50 ID:37ATnayA0

友希那(下からはみんなの声が聞こえる)

友希那(……あんなことを言った手前、後戻りをするという選択はない……わね)

友希那「やるしかない……」

友希那(私は覚悟を決めて、『そういえば今日、私はスカートを履いていたな』なんて今さらな現実逃避ともとれることを考えながら、綱に右足を踏み出した)

――ギシ

友希那「きゃっ……」

友希那(途端にギシリと綱が揺れる。想像以上に沈み込む)

友希那「これ絶対に無理でしょ……」

友希那(ゴール地点までは恐らく20メートルほど……だけど、無理だ)

友希那(一歩踏み出して、片足を綱に乗せるだけでも精一杯なのだ)

友希那(無理に決まってる)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ sage]:2018/08/24(金) 11:00:53.53 ID:8VtCCLkRO
鉄骨ですらあの長さならたわみ、軋むだろうに
綱でやるのは怖すぎる
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 11:02:03.08 ID:37ATnayA0

こころ「みんなあそこで止まっちゃうのよね。楽しいのにどうしてかしら?」

リサ「いや、そう思うのはこころだけじゃ……」

こころ「そうかしら? はぐみも真ん中くらいまでは『ぱーっ!』って走っていったわよ? そのあと落ちてしまったけど」

友希那「ぱーっと走る……」

友希那(弦巻さんの言葉を聞いて天啓が降りてくる)

友希那(そうだ。慎重になるからバランスを崩すのだ)

友希那(下を見るから必要以上に怖がってしまうのだ)

友希那(時には大胆に攻めることも人生に必要だわ。パッとやってパッと終わらせれば、案外簡単なことだったと後から思えるはずよ)

友希那(だから、ここは……)

友希那「思い切って……走る……!」

あこ「あ、友希那さん!」

燐子「そ、それは愚策じゃ……」

友希那(いや、何事も度胸と思い切りが肝心だ)

友希那(気合を入れて、ただ前だけを見て、私は左足を前にただ繰り出す)

友希那(ギシ、という感覚が左足にあった。それだけだ。そう思おう)

友希那(そして次は右足を前へ、右足が綱を踏めば、ただ左足を前へ)

友希那(平常心。それが大切だ)

友希那「言うなれば、今の私は猫よ……」

友希那「悠々と塀の上を走る猫!」

リサ「よ、よく分かんないけどすごい! ズンズン進んでる!」

紗夜「……走る、という割には腰も引けてますし、遅い足取りですが……」

こころ「友希那、すごいわ! だけどそれ、真ん中を過ぎると……」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 11:03:04.90 ID:37ATnayA0

友希那(いける、いける! 下を見ないように、ただ前だけを見据えて大胆に!)

友希那(考えてみれば、これも音楽に通じるものだ)

友希那(そう、これがきっと私にとって一番大切なものなんだ。自分を信じ、仲間を信じ、ただひたむきになること)

友希那(そうすれば目の前にある高い壁だって簡単に越え)

――ビュウゥゥ!

友希那「え――わっ!?」

友希那(思考が逸れた瞬間だった)

友希那(不意に右側から強い横風が吹き、私の身体を左へ流す)

友希那(あまりに突然なことだった)

友希那(気付いた時には先ほどまであった綱を踏む感覚がなく、フワリを内臓が浮くような感覚がして……)

友希那「きゃ、きゃあああぁぁぁ!!」

友希那(私は真っ逆さまにバンジージャンプを決行していたのだった)


……………………
30 :正直カイジはそんなに知らんのです……ごめんなさい。 [sage saga]:2018/08/24(金) 11:06:17.89 ID:37ATnayA0

こころ「はぐみとおんなじ場所で落ちたわね!」

友希那「はぁ、はぁ……踏み外した瞬間、生きた心地がしなかったわ」

リサ「ちょ、大丈夫、友希那っ?」

友希那「平気よ……ちょっとさっき食べたものが返ってきそうなだけで……」

リサ「それ平気じゃないでしょ!」

あこ「友希那さん、綺麗に落ちましたね」

こころ「実はあの綱渡り、真ん中あたりに差し掛かると風が吹くようになっているの! ほら、あの柱が大きな送風機になっているのよ!」

友希那(弦巻さんが指さす方を見ると、確かにその柱の横面が開き、風を送り出す仕掛けになっているようだった)

こころ「はぐみもそのせいで落っこちちゃったのよね!」

友希那「な、何故それを最初に……言ってくれないのかしら……」

こころ「だってその方が面白いじゃない!」

友希那「私は……死ぬかと思ったわよ……」

燐子「け、怪我とかは……大丈夫ですか……?」

友希那「大丈夫よ……内臓が浮く感覚がまだ残ってるだけで……うぅ……」

こころ「怪我の心配なら平気よ! 怪我をしてしまったんじゃ笑顔になんてなれないもの!」

こころ「安全面は黒服の人たちがしっかり考えて作ってくれたってお父様が言っていたわ!」

紗夜「なら良かった。湊さん、立てますか?」

友希那「ええ……ありがとう、紗夜」

紗夜「では、もう1回コレをどうぞ」

  つ【くじ引きボックス】と
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 11:09:18.11 ID:37ATnayA0

友希那「……え?」

リサ「ちょ、ちょっと、紗夜?」

紗夜「鉄骨渡り、失敗ですよね? それにすぐ終わるものは臨機応変、と言ったじゃないですか」

紗夜「でしたらもう一度引くべきでしょう」

リサ(これ、絶対挑戦内容がナンパだったの根に持ってるよ……)

友希那「ま、待って、確かにあなたの言うことも一理あると思うけど、それとこれとはちょっと違うんじゃ……」

紗夜「分かりました。ではやるかどうかは置いておいて、とりあえず引きましょうか」

友希那「い、いえ、紗夜の性格からして引いたからには必ずやるべきだと押し通すでしょう……?」

友希那「あこと燐子からも何か……」


あこ「あははは! 空中ブランコ楽しー!」

こころ「やるわね、あこ! あたしも負けないわよ!」

燐子「2人とも、あんまりはしゃぎすぎて……落ちないようにね……?」


友希那(こっちを無視して完全に遊んでる……!?)

リサ「あー、まぁ、引くだけ引いてみたら? 紗夜もそれで気が済むかもだし」

友希那「リ、リサまで……」

紗夜「流石今井さんです。話が分かりますね」

紗夜「さぁ、湊さん。早く引いてください。さぁ。さぁ……!」

友希那「う……わ、分かったわ……」

友希那(言い出したのは私だし……仕方ないわ)

友希那(ここは大人しく言うことを聞きましょう……)

友希那「それじゃあ……これで↓1」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 11:11:22.36 ID:/uUxvLF+O
カフェで一日限定バイト
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 11:46:38.57 ID:37ATnayA0

<カフェで一日限定バイト>

友希那「……今度はまともね。でも急にバイトだなんて」

紗夜「あ、こんにちは、つぐみさん。ええ、突然すみません。実は湊さんが1日バイトをしたいと言っていまして……」

友希那「さ、紗夜!?」

リサ「行動早っ、もう電話してる!」

紗夜「いえいえ。ええ。それでは水曜日ですね。分かりました。伝えておきます。いえ。ありがとうございます。それでは……」ピッ

紗夜「では湊さん。水曜日に羽沢珈琲店でバイトを入れましたので、頑張って下さいね」

友希那「…………」

紗夜「今回のテーマは挑戦ですよね? 大丈夫ですよ、つぐみさんなら優しく手取り足取り教えてくれますから」

紗夜「それともアレですか? 水曜の1日だけじゃなく、他の日も何かしたいですか?」

友希那「……分かったわ、分かったからそのくじ引きボックスは置いて頂戴」

紗夜「湊さんならそう言ってくれると信じていました」

リサ「友希那、大丈夫?」

友希那「私が蒔いた種だもの……仕方ないわ」

友希那「やるからには迷惑をかけられないし、全力でやりきって見せるわ」

リサ(うーん……友希那が接客業って想像も出来ないけど……大丈夫かなぁ?)


……………………
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/24(金) 11:50:18.89 ID:37ATnayA0

――帰り道――

友希那「それじゃあ、今日から1週間は練習も休みにしてあるから、各自、決めたことに取り組むように」

友希那「あこはクッキーづくり」

あこ「はーい!」

友希那「燐子は竹細工」

燐子「は、はい……」

友希那「紗夜はナンパ」

紗夜「……ええ」

友希那「リサはちょうど1週間後のマラソン大会ね」

リサ「うん、まぁ……頑張るよ」

紗夜「湊さんもしっかり働いてくださいね。もしもつぐみさんを悲しませるようなことがあれば……例え湊さんが相手でも容赦はしませんから」

友希那「大丈夫よ。やるからにはしっかりやるわ。紗夜もしっかりナンパするのよ」

紗夜「ええ……分かっています」

リサ(しっかりナンパするのよ、って字面がメチャクチャだなぁ……)

あこ「えへへ、どんなクッキー作ろっかなぁー♪」

燐子「竹細工……そういう教室とかあるのかな……?」

リサ(あこと燐子はなんだかんだ楽しそうだなぁ。いいなー)

リサ「はぁ……マラソンかぁ……まぁダンスとテニスの延長だと思えば……」

リサ(いやでも素人がフルはダメでしょ……流石に花咲川の商店街主催じゃそんなに走らないだろーけどさ……)

リサ(とりあえず明日、はぐみに話を聞きに行こう……)


――――――――――――
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:08:57.59 ID:/LoRxaHr0


【月曜日】


――宇田川家 台所――

あこ「クッキーづくりかぁ。とりあえず作り方調べて見なくちゃ」

あこ「ネットで検索してみよっと」

あこ「必要なものは……バター、卵、砂糖、薄力粉に塩……え、お塩も必要なんだ!」

あこ「あーでもお塩はちょっとでいいみたいだから……よし、まずはお塩以外の材料買いに行こ!」

あこ「それとクッキー用の型抜きも買わなくちゃ。これは100均で揃いそうだなぁ」

あこ「んー……でも、お砂糖とかはちょっと嵩張っちゃうかも……」

宇田川巴「おはよー、あこ」

あこ「あ、おねーちゃん! おはよ!」

巴「どうしたんだ、朝から台所に立って?」

あこ「うん、実はね、ロゼリアの練習でクッキーづくりすることになったんだ」

巴「え、バンドの練習でクッキー?」

あこ「そうなんだ。昨日友希那さんがね、色んなことに挑戦だーって言って、くじを用意してきたの」

巴「あー……そういやアタシたちもなんか書いてくれって頼まれたなぁ」

巴「そんでクッキーづくりか」

あこ「うん! 完成したらおねーちゃんにもあげるね!」

巴「はは、そりゃ楽しみだ。アタシを看病してくれた時の料理、美味しかったしな。期待して待ってるよ」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:10:09.09 ID:/LoRxaHr0

あこ「あ、そうだ! ……あー、でも……うーん……」

巴「ん? どうしたんだ、あこ?」

あこ「うん、えっとね? クッキーづくりに必要な材料を一緒に買いに行って欲しいんだけど……」

巴「なんだ、そのくらいだったらいつだって手伝うぞ」

あこ「でもでも、今回のテーマは挑戦だから……やっぱりあこだけで準備から全部始めないとダメかなって……」

巴「あこ……」

巴(なんて立派な考えを持ってるんだ……流石アタシの妹だぜ)

巴(でもアタシもこの前のことがあるから何かしてやりたいんだよなぁ。んー……よし)

巴「あこの気持ちは分かったよ」

あこ「うん……ごめんね、おねーちゃん」

巴「いやいや。そしたらさ、あこ。クッキーづくりするところ悪いけど、アタシの買い物に付き合ってくれないか?」

あこ「え?」

巴「いやなー? ちょっとショッピングモールの本屋にさ、気になってる写真集があるから、それを見に行きたいんだよ」

巴「1人で行くのもちょっと寂しいし、あこが一緒に行ってくれるならアタシも嬉しいなー、って思ってさ」

あこ「おねーちゃん……」

巴「やっぱ、ダメか?」

あこ「ううん! そしたらおねーちゃんの買い物に付き合うよ! あこもクッキーの材料買わないといけないからちょうどいいし!」

巴「ははっ、ありがとな、あこ」

あこ「あこの方こそだよ! えへへ、おねーちゃんとお買い物〜♪」

巴「やっぱりあこは可愛いなぁ〜」


……………………
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:10:36.27 ID:/LoRxaHr0

――白金家 燐子の部屋――

燐子「竹細工……調べてみたけど……」

燐子「独学でやるのは……ちょっと大変そうだなぁ……」

燐子「やっぱり、そういう教室に通わないと……」

燐子「で、でも……知らない人ばっかりの場所に1人でって……」

燐子「うぅ……想像しただけでも……怖い……」

燐子(……だけど、変わるためには……必要なこと、なんだよね……)

燐子(竹細工の本を買って……独学でも頑張れば出来るかもしれない、けど……)

燐子(挑戦って……そういうこと、だよね……)

燐子「なら……勇気を出して……竹細工教室に行こうっ……」

燐子「そ、そうと決まれば……勇気が萎まないうちに、探さなきゃ……!」

燐子(『竹細工教室』と『花咲川』で検索してみよう……)

燐子「……あ、意外と近くにあるんだ……」

燐子「商店街の外れ……」

燐子「よ、よし……わたしも、頑張らなきゃ……!」

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:12:05.48 ID:/LoRxaHr0

――商店街の外れ――

燐子「ここ……だよね……?」

燐子(マップアプリで表示した住所と一致するし……きっとそう……だよね……)

燐子(趣き深い、っていうのか……ちょっと古い、っていうのか……絶妙に判断に迷う小さな平屋……)

燐子(でも外観は綺麗に手入れがされてるから……今も使われてそう……)

燐子(それによく見ると……横開きの玄関の扉の隅に『竹細工教室』って看板が……)

燐子「間違いない……よね……」

燐子「すー……はー……」

燐子「…………」

燐子「よ、よし……! い、行きます……!」

――コンコン、ガラガラ...

燐子「こ、こんにちは……! あの、わた、わたし……っ!?」

「…………」

燐子(扉を開けると、目の前には畳張りの広間がありました)

燐子(広さは12畳ほどでしょうか。入り口から見て右の奥に、竹細工の材料となる竹ひごや竹そのものが種々様々な太さや長さで束になって置かれていました)

燐子(左手側の奥には1メートル幅ほどの飾り棚があって、そこに竹で編まれたダルマさんや色んな動物が鎮座されています)
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:13:37.30 ID:/LoRxaHr0

燐子「…………」

燐子(それはいいのです。ここは竹細工教室なのですから。問題があるのは、その広間の真ん中で竹籠を手にしている方です)

燐子(陽に少し焼けた浅黒い健康的な肌。切れ長の瞳。短く刈り上げられた黒髪の頭部には商店街のロゴが入った手ぬぐいが巻いてあります。それらはそこまでは気になりません)

燐子(ただ、着用されていらっしゃる作務衣がはち切れんばかりの筋骨隆々で壮年なマッチョさんなのだけはどうしても気になってしまいます)

燐子(わたしは何をされてしまうのでしょうか。そんな変な思考が脳裏に巡ります)

燐子(あられもない想像が言葉の奔流となってとめどなく頭を巡ります)

燐子(NFOをプレイしている時以外でこんなにも饒舌な思考を持つことがあるんなんて思いもよりませんでした)

燐子「…………」

マッチョさん「…………」

燐子「あ、あの、えっと……」

「おや、あなたは……」

燐子「きゃぁっ!」

燐子(急に後ろから声をかけられてわたしは素っ頓狂な声を上げてしまいました)

燐子(びっくりして声の方へ振り返ると、そこには見知った顔がありました)

若宮イヴ「あ、やっぱりリンコさんです!」

燐子「え、え……!? わ、若宮さん……!?」

イヴ「はい! どうもこんにちは!」

燐子「あ、は、はい……こんにちは……」


……………………
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:14:48.67 ID:/LoRxaHr0

――氷川家 紗夜の部屋――

紗夜「…………」

紗夜「うーん……」

紗夜「……うーん……」

――コンコンガチャ

氷川日菜「おねーちゃーん! おっはよー!」

紗夜「……ええ、おはよう日菜」

日菜「あれ、なんかテンション低いね? どうしたの?」

紗夜「……色々あるのよ」

日菜「ふーん? あ、その<ナンパ>って書いてある紙……」

紗夜「あ、これは……」

日菜「友希那ちゃんに頼まれてあたしが書いたやつだ! えへへ、おねーちゃんがそれ引いたんだ!」

紗夜「…………」

日菜「ん、どしたのおねーちゃん? なんかこう、視線の温度が大分下がったよ? そんな目で見られたらゾクゾクしちゃうよー?」

紗夜「日菜、ちょっとこっちへいらっしゃい」

日菜「うん、いいよ。なーに、おねーちゃ」

紗夜「喰らいなさい」

日菜「え、痛っ、痛たたた! なんであたし急にグリグリ攻撃されてるの!?」

紗夜「私の精神的な苦痛はこれの比ではないわ」グリグリ

日菜「ちょ、待って待って本当に痛いってばおねーちゃーん!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:16:05.52 ID:/LoRxaHr0

―しばらくして―

紗夜「ふぅ、今日のところはこれくらいにしておきましょう」

日菜「うえーん……おねーちゃんが無理矢理痛いことしてきたぁ……」

紗夜「語弊がある言い方はやめなさい」

日菜「でもなんだか途中からキモチよくなって……」

紗夜「やめなさい」

日菜「はーい。じゃあ、おねーちゃんってばナンパしなきゃいけなくなっちゃったんだね」

紗夜「ええ。あなたのせいでね」

日菜「あたしのせいじゃないよ〜。まさかそれをおねーちゃんが引くだなんてちょっとしか思ってなかったもん」

紗夜「ちょっとは思っていたのね」

日菜「うん! きっと面白いことになるな〜って!」

紗夜「どうやらお仕置きが足りていないようね」

日菜「わ、ごめんごめん、冗談だって!」

紗夜「まったく……あなたのせいでどれだけ私は悩んでいると……」

日菜「あ、それじゃあさ? お詫びって言ったらなんだけど、おねーちゃんのナンパ手伝ってあげるよ!」

紗夜「それは今回の趣旨に……」

日菜「そんなこと言っちゃって〜、おねーちゃん1人じゃ絶対にナンパなんて無理だよ〜」

紗夜「……まぁ、確かにそうね」

日菜「でしょー? だからさ、あたしが薫くんに『ナンパの仕方を教えて』って頼んであげるよ!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:17:22.95 ID:/LoRxaHr0

紗夜「瀬田さんに?」

日菜「うん! 薫くん、すごいんだよ〜。学校で声かけられたら面白いことばっか言ってさ、みーんなにキャーキャー言わせちゃうんだもん」

紗夜「……けど、それは女性向けのものじゃない。男性にかけるものではないでしょう」

日菜「え? ナンパって可愛い女の子に『お茶しな〜い?』って声かけるものでしょ?」

紗夜「え?」

日菜「あれ〜? 千聖ちゃんはそう言ってたけどなぁー」

紗夜「…………」

紗夜(日菜ったら、ナンパという言葉そのものを勘違いしていたのね……)

紗夜(まぁ……その方が私としてもありがたいわ)

紗夜「いいえ。白鷺さんの言う通りよ」

紗夜「日菜、悪いけれど、瀬田さんにナンパについてご教授頂けないか、聞いてもらってもいいかしら」

日菜「うん、いーよ!」

紗夜「ありがとう。助かるわ」

日菜「えへへ、じゃあお詫びに今度デートしよーよ、デート!」

紗夜「気が向いたらね」

日菜「もー、おねーちゃんのいけず〜。……まぁいいや、あとで脅せば」

紗夜「日菜? 何か言ったかしら?」

日菜「ううん! それじゃあちょっと聞いてみるね!」

紗夜「ええ」


……………………
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:18:46.62 ID:/LoRxaHr0

――商店街 北沢精肉店――

リサ「さってと……アポなしで来ちゃったけど、はぐみはいるかなぁ?」

はぐみ「いらっしゃいいらっしゃい! 今日は豚肉が安いよー!」

リサ「おっ、いたいた。良かったぁ〜」

はぐみ「あ、リサさん! いらっしゃいませ!」

リサ「こんにちは、はぐみ。今日はお店番なの?」

はぐみ「うん! 夕方前くらいまでだけどね! リサさんはお昼ご飯の材料買いに来たの? それなら豚さんがおすすめだよ!」

リサ「あー、ごめんね。買い物じゃないんだ。ちょっとマラソン大会について聞きたくてさ」

はぐみ「マラソン大会? もしかしてリサさんも出たいの?」

リサ「うん、まぁ……そんな感じ?」

はぐみ「ホント!? やったー!」

リサ「ちょ、そんなに喜ぶこと?」

はぐみ「うん! だって、みーんな参加してくれないんだもん。こころんは乗り気だったけど、お家の都合でその日は忙しいみたいだし……」

はぐみ「えへへ、でもリサさんが一緒なら楽しそうだね!」

リサ「そっかそっか、それならよかったよ。あ、それでその大会のことを聞きたいんだけど……後にした方がいいかな?」

はぐみ「ううん、多分ヘーキ! とーちゃーん! ちょっと店番変わってー!」

はぐみ父「おーぅ、すぐ行くからちょいと待ってなー!」

はぐみ「うん、ヘーキみたいだね!」

リサ「なんかごめんね、急かしちゃって」

はぐみ「ううん! もう少し待っててね!」

リサ「あ、それじゃあコロッケ1つ貰おうかな? はぐみん家の、すっごく美味しいし」

はぐみ「はーい、毎度あり!」


……………………
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:20:25.97 ID:/LoRxaHr0

――北沢家 はぐみの部屋――

リサ「それでさ、マラソン大会のことなんだけどさ」

はぐみ「うん」

リサ「距離ってどれくらい走るの?」

はぐみ「フルだよ!」

リサ「……フルって、もしかして42.195キロ……?」

はぐみ「そうだよ!」

リサ「……マジ?」

はぐみ「マジマジ! えっとね、商店街からぐる〜って街を回っていくと、大体10kmちょっとになるんだ! だから、それを4周!」

リサ「……マジかぁ」

はぐみ「うん!」

リサ「あのさ、初心者がフルマラソンって……完走できると思う?」

はぐみ「え、うーん……半年くらい練習したり、普段部活でずっと身体を動かしてれば……多分?」

リサ「……オッケー、まず無理だってことが分かったよ。……どーしよ」

はぐみ「あ、でも大丈夫だよ、リサさん!」

リサ「え?」

はぐみ「はぐみはフルで走るけどね、慣れてない人の為に半分だけ走るハーフマラソンっていうのもあるんだ!」

リサ「半分だけってことは……街を2周するってこと?」

はぐみ「うん! それにね、普通はマラソン大会ってね、フルマラソンとハーフマラソンで制限時間が違うんだ」

リサ「うん」

はぐみ「だけど花咲川のマラソン大会は、フルマラソンもハーフマラソンも制限時間が一緒なんだ! だからハーフでも5時間以内にゴールすれば完走なんだよ!」

リサ「へぇ、そうなんだ」

はぐみ「そうなんだ! だからね、マラソンが初めてならハーフマラソンの方にエントリーすればいいんだよ!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:21:12.10 ID:/LoRxaHr0

リサ「そっかー、それならアタシでも……あーでも、それでいいのかなぁ……?」

はぐみ「はぐみはいいと思うよ! 無理して完走できないより、しっかりコツコツと頑張れることを頑張る方が楽しいもん!」

はぐみ「それに怪我しちゃったら大変だもんね!」

リサ「……確かにそうかもしれないね」

はぐみ「でしょでしょ!」

リサ「うん、それじゃあアタシ、今回はハーフマラソンの方に挑戦してみるよ」

リサ「参加の手続きとかってどうすればいいのかな?」

はぐみ「はぐみが父ちゃんに言っておくからヘーキだよ!」

リサ「そっか。それじゃあ、悪いけどお願いしちゃうね」

はぐみ「うん!」

リサ「よっし、そうと決まれば、アタシもちゃんと身体動かしとかないと……」

はぐみ「リサさん、普段は運動とかってしてるの?」

リサ「一応ダンス部とテニス部やってるよ〜。……とは言っても、最近はロゼリア優先だからほぼ幽霊部員だけど」

はぐみ「んー、それじゃあはぐみと一緒に練習しない?」

リサ「え、いいの? 初心者のアタシとじゃはぐみの練習にならないんじゃない?」

はぐみ「大丈夫だよ! はぐみ、ソフトボールでもたっくさん走ってるもん!」

はぐみ「それにリサさんと一緒の方がずっと楽しいもんね!」

リサ「ふふ、そっか。それじゃあお言葉に甘えちゃおうかな?」

はぐみ「うん! ドーンと任せてね!」

リサ「ありがとね、はぐみ」

はぐみ「どういたしまして!」


……………………
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/25(土) 12:34:23.96 ID:/LoRxaHr0
ハッピーバースデーリサ姉
去年の限定水着リサ姉が欲しいです
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/25(土) 15:01:16.04 ID:/64BrRgO0
乙! そういえば復刻今日からか……
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/25(土) 15:29:28.80 ID:QHVA/jMPo
星3しか引けなかった
まだ続くよな
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/25(土) 20:17:26.28 ID:PjBQBQno0
面白い
前バンドリのss書いてた?
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/26(日) 12:17:51.00 ID:9C+yLBRQ0
>>49
ありがとうございます
ちょこちょこバンドリSSは書いてますよ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/26(日) 12:19:24.31 ID:9C+yLBRQ0

――湊家 友希那の部屋――

友希那「さて……カフェでのバイト、ね」

友希那「そんなに難しいことをやるとは思わないけれど、やるからには何事にも全力を注ぐのが私たちのやり方」

友希那「それに羽沢さんに迷惑をかける訳にはいかないし、そんなことになったら紗夜に何をされるか分かったものじゃないわ」

友希那「……ここは多少なりとも、カフェのアルバイトについて調べておく必要があるわね」

友希那「こんな時のためのスマートフォンだもの」

友希那「早速……カフェ、それから……うん?」

友希那「…………」

友希那「猫カフェ、ね」

友希那(検索候補に出てきてしまったから目に付いたけど、正直猫カフェってどうなのかしら)

友希那(猫というのは孤高の野良の気高さこそが至高)

友希那(カフェという空間で世界が完結している猫たちは何かが違うと思って今まで見てこなかったけれど……)

友希那「まぁ、これも挑戦かしらね。アルバイトのことが何か分かるかもしれないし」

友希那「猫カフェで検索、っと」

友希那「……ふむ」

友希那「……ふむふむ」

友希那「…………」

友希那「ふふ……可愛いわね」

友希那「へぇ、長毛種ばかりのお店もあるのね」

友希那「メインクーン、ラグドール、アメリカンカール、クリリアンボブテイルまでいるの……?」

友希那「随分と高級そうなお店ね。他には……えっ、ニャバクラの動画……?」

友希那「…………」

友希那「……けしからないわね。こんな高級な猫ちゃんが、帰ろうとすると足元にまとわりついて帰らせてくれないなんて」

友希那「これは深く調べていく必要があるわ」


……………………
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