【ミリマス】琴葉「プロデューサーレベルが」紗代子「上がりました!!」

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56 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 07:50:41.07 ID:U6jiUfxw0

画面『近年、生き馬の目を抜くような苛烈な競争社会において求められるのは
激務に耐えうるタフネス・ハピネス・エコノミーな素質を備えた使い減りしないライトスタッフ!』

画面『ですが、そんな人材を他所の会社からスカウトする。または山のような履歴書と面接から見つけ出すのは至難の業』

画面『育て上げるのにも相応の時間とコストがかかります。経営者にとっては頭の痛い悩みですね!』

画面『そこで我が社は開発致しました! 飲用者の遺伝子を最先端科学技術で素敵に組み替えパワーアップさせる新感覚増強ドリンク剤』

画面『"ルカエミークシデインP"が、人材難に悩む世間にアナタがデキる奴だと思わせるチャンスを与えてくれるハズです!』

画面『さあ! 早速試してください。今日からアナタは会社にとってなくてはならないパートナー!』

画面『時代遅れの体を作り変え、来たるべき新人類の一人として世間をあっと言わせましょう!!』

画面『※説明はあくまでイメージであり、効果・効能には職業別の個人差が存在します』



琴葉「…………」

紗代子「…………」

P「……………………えぇ?」
57 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 07:51:17.01 ID:U6jiUfxw0

琴葉「…………ふふっ」

琴葉「ふふふふ、ふふ」

琴葉「あははは、あは、あはははは……」

P「お、おい琴葉?」

紗代子「こ、琴葉さん?」


琴葉「あっはっはっはっはっはっ――」


琴葉「……なんですかそれ? どういうことです?」

紗代子(まぁ詰め寄るよね)

P「琴葉近い! 顔が近いってばさ!」

琴葉「だから何だって言うんですか!? 今のは一体なんですか!」

琴葉「時代はまだまだドラえもんにも遠いんですよっ!?」
58 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 07:52:30.24 ID:U6jiUfxw0

P「分かる、分かるぞ! 琴葉の言いたいことは分かる!」

P「……けどな、現に俺の頭は人間離れしちゃったワケで」

P「そこは一旦受け入れなきゃあ」

琴葉「プロデューサーは動じなさ過ぎにもほどがありますっ!!」

P「参るねどうも」

琴葉「褒めてません!」

紗代子「あ、あの! プロデューサーの言う通りです。琴葉さんも少し落ち着きましょう」

琴葉「紗代子?」
59 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 07:52:57.89 ID:U6jiUfxw0

紗代子「それは確かに、プロデューサーの見た目が変わったことだとか」

紗代子「よく分からない映像を見せられたショックは私もありますけど」

紗代子「それでも今回の不可思議騒動の原因は何となく知れたじゃないですか」

紗代子「プロデューサーもさっきの映像で言っていたドリンク剤に心当たりはありませんか?」

P「そういや今日の公演前、気合を入れようと飲んだドリンクがあったなぁ」

紗代子「それです! それを飲んだせいで」

琴葉「……プロデューサーがこんな姿になったって言うの?」

紗代子「はい、きっとそうですよ!」
60 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 07:53:59.09 ID:U6jiUfxw0
とりあえずここまで。もうちょっとで終われます。多分。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 12:06:13.13 ID:gQ+5L0Hqo
お隣のギフテッドか
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 12:57:45.88 ID:/234etQg0
マグロ漁船や雪山登山の仕事があったり、タイムマシンがあったり、小さくなったり、アイドルの大半が人間じゃないグリマス時空よりはまとも
63 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:54:15.74 ID:U6jiUfxw0
>>52と53の間、台詞が一部抜けてました。正しくは以下の流れです。

P「なぜか五感は残ってるみたいだけど……これじゃあ俺はのっぺらぼうだ!」

琴葉「そうです! のっぺらぼうなんです!!」

琴葉「………………素敵な横顔だったのにっ!」

紗代子「……っ!!?」

紗代子(き、聞き間違いかな? 今一瞬、琴葉さんから物凄い怒りの波動を感じたような……)
64 :59からの続き ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:55:59.97 ID:U6jiUfxw0

琴葉「だったら――プロデューサー!」

P「うむ!」

琴葉「そのドリンクはドコで買ったんです?」

P「街で偶然貰ったんだ。サンプルだとか何とかって」

琴葉「飲み終わった容器は今ドコです?」

P「勿論ゴミに出した後さ。琴葉がいつも言ってるだろ?」

P「"ゴミはその都度捨てましょう!"」


紗代子「公演後の片付けはやっちゃいましたからね」

紗代子「多分、もう掃除の人が回収した後だと思いますよ」

琴葉「ああ、もうっ!」

P「バットを振るな! どこから出した!?」
65 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:56:39.64 ID:U6jiUfxw0

琴葉「それじゃあ紗代子、ドリンクの名前は憶えてる?」

紗代子「それが映像と内容の印象が強すぎて……」

P「すまん、俺も覚えてない」

琴葉「んん、もうっ!」

P「だから! 危ないからバットを振るんじゃない!!」
66 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:57:16.76 ID:U6jiUfxw0

琴葉「ならプロデューサーはこの先一生、アルファベットを被って生きてくワケ!?」

琴葉「そんな……そんなのってないわ! 光は落ち着いたみたいだけど、顔だってどうにかして元に戻さないと」

琴葉「遺伝子がどうとか言ってたもの。将来生まれる子供にだって影響するかもしれないじゃない……!」

P「なに? 将来生まれる俺の子供?」

紗代子「プロデューサーと……誰の子です?」

琴葉「……紗代子、今相手のことはどうでもいいの」

紗代子「は、はい! ですよね、そうでしたね」

P(あの紗代子がすっかり萎縮して……きょ、今日の琴葉はなんか怖いな)
67 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:57:58.91 ID:U6jiUfxw0

琴葉「重要なのは、このままだとプロデューサーがモンスターになっちゃうってことよ」

琴葉「最悪海の向こうの研究機関なんかに捕まって、宇宙人みたいに解剖されたりしちゃったり……!」

P「そうか? 案外『被り物です』で通せそうな気もするけどな」

紗代子「ロケ先でお化けに取り憑かれるよりかは現実味のある理由ですね」

琴葉「二人はどうしてそんなに動じないの!」
68 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:58:56.63 ID:U6jiUfxw0

P「だって……なぁ?」

紗代子「琴葉さん思い出して下さい。プロデューサーはサンプルを貰ったって言ったんですよ?」

紗代子「それってつまり、プロデューサー以外にも同じドリンクを飲んだ人がいるかもしれないワケですし」

紗代子「思い出せない商品名にしても、似たような事例が無いかネットで調べてみたりすれば――」


画面『検索モードを起動します』

P「うわっ!? まただ!」

紗代子「見てください! プロデューサーの顔にブラウザが立ち上がってる」

琴葉「……もしかして紗代子の声に反応した?」

P「驚かされたが便利ではある。まるでアレクサだな」
69 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 18:59:56.61 ID:U6jiUfxw0

紗代子「映像の中でも作業の効率化について言ってましたからね」

紗代子「……操作するにはどうすればいいのかな。プロデューサー、椅子に座ってもらえますか?」

P「オーケー、グーグル!」

琴葉「それ違うやつです。間違ってますし」

紗代子「――あっ、良かった。操作はスマホなんかと同じなんだ」

琴葉「さ、紗代子? そこは吹き出しと違ってプロデューサーの顔なんだから」

琴葉「なるべくパッとやってガッと調べて」

紗代子「分かってます。プロデューサーも動かないでくださいね?」

P「あ、ああ。それはもちろん」

P(しかし、女の子に顔を弄くられるってのはどうにもこう……!)

P(おまけに紗代子も近い近いっ!!)
70 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 19:00:25.88 ID:U6jiUfxw0

紗代子「……うぅん、でも、だけどこれは……」

琴葉「どう紗代子? 手掛かりは何かあった?」

紗代子「それがですね、ニュースサイトにはめぼしい情報がありませんでしたけれど」

紗代子「大手オカルトサイトの投稿に、頭が『T』の形になった人を見たって目撃報告が」

P「T字だって? また随分と目立つ頭になっちゃってまぁ」

琴葉「そう言うプロデューサーも人のこと笑ってられませんよ」
71 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/26(日) 19:01:15.89 ID:U6jiUfxw0
とりあえずここまで。予定通りなら次で最後です。きっと。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 21:47:06.08 ID:zzqQEklio
提督かな?
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 00:16:42.67 ID:SE4VGOu3o
のっぺらぼうでキレたの自分のおぱいがのっぺらぼうだからかと思ってた
74 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:02:28.47 ID:B1wlEPsT0
===

琴葉「――でもその後、一時間あまりをかけてネットの海をさ迷っても」

琴葉「私たちは事態を解決に導くような、有益な情報は何一つ見つけられないままでいたんです」

琴葉「それに、そろそろ活動の限界も」

琴葉「検索を続ける紗代子の目がとっくに潤いを失って、しょぼしょぼと瞬きを頻発するようにもなっていて――」
75 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:03:25.92 ID:B1wlEPsT0
===

紗代子「……ん、う」

P「…………よし」

P「紗代子、この辺で一度切り上げよう。疲れてきてるのが目に見えて分かる」

紗代子「そんな、情報はまだ何も……」

P「いいやダメだ。これ以上の検索は許可できない」

琴葉「プロデューサー。紗代子がダメなら私が代わりに」

P「琴葉も困らせないでくれ――そもそも公演が終わってから、君たちはずっと俺につきっきりじゃないか」

P「明日が休みってワケでもないんだぞ? いい加減家にも帰らないと」

P「心配してくれる気持ちは受け取るから、後は俺に任せてくれ」

P「なーに、一人でも解決手段は探ってみるさ」
76 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:04:01.71 ID:B1wlEPsT0

紗代子「プロデューサー」

紗代子「私、くたびれてないって言うと確かに嘘になっちゃいます」

紗代子「だけどせめてあと三十分。いいえ、十五分でもいいですから!」

P「紗代子……!」

琴葉「っ!」
77 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:04:30.24 ID:B1wlEPsT0

琴葉「プロデューサー、色々ありすぎてすっかり忘れかけてましたけど」

琴葉「レベルアップした時に選んだ特典が」

琴葉「"パワー充填!"……今が使いどころなんじゃありませんか?」

P「!! 言われれてみれば、そんな特典選んだっけな」

P「しかし、それが一体全体どんな物かは――」

紗代子「それなら多分大丈夫です! 私に良い考えがあります!」
78 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:05:20.82 ID:B1wlEPsT0

紗代子「きっとプロデューサーの頭(ここ)に向かって――」

紗代子「お願い、特典の使い方を教えてほしいの!」

P(はっふ!? 目の前で紗代子が『お願い』って!)

琴葉(!? 今プロデューサーの頭が伸びあがったような……)
79 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:06:15.43 ID:B1wlEPsT0

画面『もちろんお教えいたしましょう!』

紗代子「やった!」

P「ノリ良いな画面!」

琴葉「またあの変なビデオが始まった……?」


画面『協力して物事に当たりたいのに、頼るべき同僚が元気をなくしている?』

画面『そんな時にはアナタの元気をわけてあげましょう。"パワー充填!"がそれを可能にします!』

画面『能力の使い方はとっても簡単。ただ肌と肌とを重ねるだけで、
放っておいても電気的なアレが上手いことエネルギーを受け渡してくれます』

画面『握手でも、ハグでも、ハイターッチでも! 衣類の上からでも大丈夫!』

画面『ただし接する面積が増えれば増えるほど充填はより効率よく行われますよ!』

画面『さあ今すぐ仕事場で同僚と握手! アナタの元気のおすそ分けを!』


琴葉「…………」

紗代子「…………」

P「……………………ふえぇ?」
80 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:07:03.46 ID:B1wlEPsT0

紗代子「すぅ、はぁ」

紗代子「プロデューサー」

P「っ!」

紗代子「よ、よろしくお願いします!」

P(――さて、特典についての説明が終わるや否や)

P(紗代子は意を決したように目をつむると両腕を大きく横へ広げ、ハグ待ちの姿勢に入ったのだ)

P(その頬はほんのりと上気して、心なしか口元も嬉しそうに緩んで見える)

P(俺は視線をつっと動かすこともできず、ただ椅子に座った状態で恐る恐ると両手を伸ばし)

P(その柔らかなわき腹に指を触れさせようとしたところで恐ろしい事実に気がついた!)



P(……このまま彼女を抱き寄せると、顔に紗代子っぱいが当たらないか?)
81 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:07:50.63 ID:B1wlEPsT0

紗代子「プロデューサー、どうしたんです?」

紗代子「私なら準備できてますから。そのまま、好きなタイミングで」

紗代子「アナタの元気、注いでください!」

P「……しかし紗代子、実際は何が起きるか分からないぞ?」

琴葉「そ、そうよ。どんな危険なことがあるか……」

紗代子「リスクだったら覚悟の上です。……それでも相手がプロデューサーなら、信じて任せられますから」

P(ぐ、ぬ……紗代子め、何て色っぽさだ!)

P(これじゃあ元気以外にも諸々彼女に注ぎたくなりかねん)

P(だがしかし、俺は腐っても一介のプロデューサー。その場の欲に負けるようじゃこの先一体何するものぞ!)

P(きちんと椅子から立ち上がって、椅子から立って、せめて立って――)
82 :琴葉(っ! これは――如何わしい雰囲気!?) [saga]:2018/08/27(月) 21:08:41.83 ID:B1wlEPsT0

P(……いかん。今立ったらバレる、色々と)

紗代子「あ、あの、プロデューサー?」

P「はっ!? す、すまない、少し考え事を」

P「焦らしちゃったな。……すぐに終わらせるから――」

紗代子「……はい。で、できれば優しくしてくださいね」

P「ああ、なるべく努力してみる――失礼!」
83 :琴葉「だっ、ダメです! 二人ともダメですよ!」 [saga]:2018/08/27(月) 21:09:36.48 ID:B1wlEPsT0

P「……いくぞ!」

紗代子「はい……っ!」

琴葉「ストップストップそこまでですっ!」

琴葉「プロデューサーも紗代子もそーこーまーでーーっ!!」

P「うぉっ!?」

紗代子「わっ!? こ、琴葉さん、どうして止めるんです!?」


琴葉「当然止めるに決まってます! テストもせずいきなりなんて」

P「だけど琴葉、元はと言えば君が言いだした案じゃないか」

紗代子「そうですよ! 元気を私に分ければって」
84 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:10:26.71 ID:B1wlEPsT0

琴葉「ええ、はい、分かってます。しっかり覚えていますとも」

琴葉「だから私が、言い出しっぺの私が最初に試します!」

P「……んん?」

紗代子「そんな、今更になってズルいですよ!」

琴葉「ズルだなんて!」


紗代子「プロデューサーはまず私に元気をくれるって、そういう流れなんですから」

紗代子「試してみたいと思うなら、琴葉さんは私の後じゃないと」

琴葉「それが危険かもしれないから、私がまず初めに試すわって言ってるのに」

琴葉「分からない子ね、アナタも!」

P「お、おい、二人とも? ケンカはよくない、よくないぞ」

二人「っ! プロデューサーは――」

P「だーまらないっ!」
85 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:11:06.23 ID:B1wlEPsT0

P「そもそも元気を分ける分けないの話はこっちの譲歩あってこそだ」

P「君らの健康を案じる俺としてはもういい加減家に帰らせたい」

P「なのに揉め事を起こすつもりなら、今すぐ追い出したって構わないぞ?」

琴葉「プロデューサー……揉め事だなんて」

紗代子「そんなつもりは無いですけど……」

P「なら二人はこれからどうするんだ? つまらない言い争いはもう止めるな?」

琴葉「…………」

紗代子「…………」
86 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:11:37.22 ID:B1wlEPsT0

P(……二人とも向かい合ったまま黙っちゃったな)

P(ちょっと強めに言い過ぎた気がしはするけれども)

P(そう甘い顔ばかりしてはいられないものな、うん)

琴葉「……紗代子、少し耳を貸して」

紗代子「なんです?」

琴葉「一つだけ、お互いに納得のいく提案があるのだけれど」
87 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:12:15.11 ID:B1wlEPsT0
===

琴葉「そうして、私は紗代子に"提案"の内容を語りました」

琴葉「幸い、彼女はすぐにそれでいいと賛成してくれたのですが」

琴葉「プロデューサーの方はと言うと――」
88 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:13:41.48 ID:B1wlEPsT0
===

P「……琴葉、紗代子、俺はおかしいんじゃないかって思うんだよ」

琴葉「おかしいって……んっ、どこかですか?」

紗代子「そう……です。落ち着いて考えてみれば……あっ」

紗代子「これ以上に……合理的で、効率的で」

琴葉「一度に複数の問題を解決できる手段なんて……はぁ、無いと、私は思うんですけれど」


P(そう反論する二人は熱っぽく淫靡に笑いながら、それでいて拭いきれない羞恥を顔に浮かべていた)

P(今、椅子に座る俺を左右から挟み込むようにして二人の少女が抱き合ってる……これはなんだっ!?)
89 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:14:24.42 ID:B1wlEPsT0

琴葉「あっ……プロデューサー、腰に回した腕が緩んでます」

紗代子「接する面積は多ければ多い方が良いんですから……ね?」

P「す、すまない! ……でも琴葉、紗代子、この体勢は非常によろしくないと言うか、あまりに風紀を乱していると言うか」

琴葉「そんなこと! ……確かに今の私たちは、こうして体を寄せ合ってますけれども」

琴葉「これも全部、疲労回復の為には仕方がない処置と結果なんです」

紗代子「それにプロデューサーは以前から、私たちにマッサージしてくれてたじゃないですか」

P「だけどそれは、精々肩揉みぐらいのもので……」

P「こんなに、何て言うかガッツリと……近づくものじゃあなかったろう!?」

P(おまけに左右から挟まれてるということは)

P(否応なしにやわやわと、アレで頭を押さえつけられているということでもあって)

P(君たちみたいな真面目な子が、羞恥心をドコへ置いてきてしまったんだ!?)
90 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:15:05.10 ID:B1wlEPsT0

琴葉「……んん、プロデューサー腕の力が」

P「すまないっ!」

紗代子「指先までしっかり抱いてください……」

P「すまんっ!」

琴葉「触れられてる部分がポカポカする……。熱いお風呂に浸かってる時みたいな」

紗代子「元気が出るってホントですね……。もっともっとプロデューサーを感じたくなる……!」

琴葉「だからって独り占めはダメよ、紗代子」

紗代子「分かってます! 琴葉さんも、もう少し私の方に体を寄せて」

琴葉「うん。……強めにくっ付き合った方が、ポカポカも強くなるみたいだものね」


P「…………っ!!?」

P(あ、あ……もうダメ、もう無理、もう限界!)

P(熱が、匂いが、感触が! 全てが俺を馬鹿にするぞ……君らが俺を馬鹿にするぞ……!)

P(馬鹿になったら人は猿だ! ジャングル☆パーティーが始まっちまう!)
91 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:15:34.66 ID:B1wlEPsT0

P(現にもう、耳元で交わされる二人の会話だって……)

琴葉「んーばば、んばんば♪」

紗代子「んーばっばー♪」

P(パプワ〜――って頭のPはそのPかっ!?)

P(……んなワケない! いかん、あまりに現実離れした現実で脳みそがマトモに働いてない……)

P(……畜生、今なら誰でもいい! どうか意識を保つ救いの手をっ!!)


救いの手『ふふっ、アナタはすぐそうやって人に甘えて。全くだらしないダメプロデューサー♪』

P(……あ、ダメだ。扇子持った女神が踊ってら)
92 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:16:13.77 ID:B1wlEPsT0

P「う、うぅ……朋花ぁ……」

琴葉「…………えっ?」

紗代子「朋花ちゃん……?」

P「腰蓑一丁は流石にマズい……」

紗代子「何言ってるんですプロデューサー。朋花ちゃんなんてどこにもいませんけど?」

琴葉「………………!」

琴葉「…………むう、うぅぅぅ……プロデューサー……!!」


琴葉(どうして、どうして、どうしてどうして!)

琴葉(私と紗代子に挟まれてる、こんな状況で朋花ちゃんの名前が出るんですかっ!)

琴葉(は、恥ずかしいのだって我慢して、こんなにくっついてみせてるのに!)
93 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:17:01.32 ID:B1wlEPsT0

琴葉「……腰蓑一丁? 上等じゃない!」

紗代子「こ、琴葉さん?」

琴葉(私だって水着の撮影ぐらいしてるんだもの。今更肌を晒すのを怖がるほど臆病な少女じゃないんだもの!)

琴葉「ふっ!!」

紗代子(なっ、なんでこの人シャツを捲って!?)

琴葉「ていっ!」

紗代子「脱いじゃった!? ど、どうしたんですか琴葉さん!」
94 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:17:28.66 ID:B1wlEPsT0

琴葉「どうしたもこうしたもっ!」

琴葉「この方がもっと効率的に肌と肌とを合わせられて、元気になれるからに決まってるじゃない!」

P「そうだなぁ、余生は南の島で……」

琴葉「プロデューサー! アナタの琴葉が傍にいます、どうか正気に戻ってくれませんか!?」

紗代子「何を言って――琴葉さんこそ正気に戻ってください!!」
95 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:18:10.28 ID:B1wlEPsT0

P「うっ、ぬぅ……ぐあ、ああ……!?」

琴葉「プロデューサー? プロデューサー!」

琴葉「大変紗代子、プロデューサーが苦しそうに!」

紗代子「それは多分琴葉さんのせいです!」

紗代子「どの辺が首か分かりませんけど、抱き着いたから絞まってるんですよ!」


紗代子「だから一旦腕を離してください! それからシャツも拾って着てください!」

P「…………うぐっ!!」

琴葉「きゃあっ!? ……さ、紗代子。プロデューサーが倒れちゃった……!」

紗代子「見ればわかります! プロデューサー、大丈夫ですか!?」
96 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:18:51.83 ID:B1wlEPsT0

紗代子「酷い、顔色が凄く黄色い……!」

画面『余剰元気が少なくなっています』

紗代子「元気が? そっか、二人でずっと分けて貰ってたから」

琴葉「紗代子、紗代子、プロデューサーが……!」

紗代子「琴葉さんも少しは落ち着いてください!」

紗代子「大丈夫です。急に支えが無くなって、倒れちゃっただけだと思いますから」
97 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:19:19.43 ID:B1wlEPsT0

琴葉「……うぅ、ホントに? 紗代子、大丈夫なの?」

琴葉「プロデューサー、大丈夫なの?」

紗代子「ええきっと! 息だってちゃんとしてますから」

紗代子(……とはいえ、涙まで流してる琴葉さんには悪いけど)

紗代子(原因の半分ぐらいは彼女の振る舞いにあるような……)

琴葉「……ぐすん、くすん……プロデューサー……」

P「……う、うぅん……」

紗代子「…………」

紗代子(……触らぬ神に祟りなし!)
98 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:19:45.91 ID:B1wlEPsT0
===

琴葉「……こうして、謎のレベルアップから始まった一連の慌ただしい騒動は」

琴葉「プロデューサーが元気を渡し過ぎたことによって一旦の幕引きとなったのです」

琴葉「それに伴い、私と紗代子の二人も気絶した彼を医務室へと運ぶため」

琴葉「残っていたスタッフさんを部屋へ呼び、プロデューサーの"変身"は劇場全体に知られることとなったのでした」
99 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:20:41.28 ID:B1wlEPsT0
===

琴葉「――それでプロデューサーは、こんな姿になっちゃったの」

琴葉「……呆れて物も言えないって感じね、二人とも」


恵美「…………いやー、事情は呑み込めたんだけど」

恵美「琴葉も紗代子も限界までプロデューサーの元気を吸い取っちゃうとかさ」

エレナ「そんなになるまでずーっと"握手"してたなんて」

エレナ「三人とも仲良しなのにおバカさんだネっ♪」
100 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:22:05.68 ID:B1wlEPsT0

琴葉「ふふっ、そうね。おバカさんだったわ」

琴葉「……紗代子もそう思うわよね?」

紗代子「えっ!? あ、はい!」

紗代子「そ、そうですね! "握手"も程々にしておかないとって思いました」

紗代子「あは、あはは……はぁ」

紗代子(だけど、根本的な解決は一切なにもされてなくて)


恵美「――ところで、そこのベッドで寝っぱなしのプロデューサー」

恵美「琴葉たちとの騒動も、いい経験になったみたいだね〜……にゃはは」

エレナ「幸せそうな寝息たてて、どんな夢を見てるのカナ〜?」

エレナ「エヘヘ、今から起きてくるのが楽しみだヨ〜♪」
101 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:22:46.14 ID:B1wlEPsT0

画面『ようこそプロデューサーレベル3へ!』

紗代子(またレベルアップ表示が出てきてる……)


恵美「だよね〜。特典選びとかメチャクチャ楽しそうじゃん」

エレナ「今度はワタシたちも一緒に選ぶねコトハ!」

琴葉「ええ! それにもっともっとレベルを上げて、立派なプロデューサーになってもらわないと」


琴葉(そして経験を積むためのお手伝いなら)

琴葉(私、恥ずかしいですけど一肌も二肌も脱いじゃいます!)

琴葉(だって見た目はどうあれプロデューサーは、確かに私たちのプロデューサーなんだもの……うふふっ)




……ハッピーエンド?
102 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/08/27(月) 21:24:41.75 ID:B1wlEPsT0
===
以上おしまい。台本形式ってやっぱり難しいですね。
お読みいただきありがとうございました。
103 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2018/08/27(月) 21:32:30.73 ID:XN9b1jm/0
琴葉所々怖いよ...
乙です

>>1
田中琴葉(18) Vo/Pr
http://i.imgur.com/6IgGD11.jpg
http://i.imgur.com/nWx3NuB.jpg

>>2
高山紗代子(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/0imR1fe.jpg
http://i.imgur.com/MBSdvST.jpg

>>99
所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/Jf6k63e.jpg
http://i.imgur.com/qABztJ7.jpg

島原エレナ(17) Da/An
http://i.imgur.com/M7yjl0h.jpg
http://i.imgur.com/AgS4nqE.jpg
104 : ◆Xz5sQ/W/66 [sage]:2018/08/27(月) 21:32:54.97 ID:B1wlEPsT0
>>91訂正
〇P(……あ、ダメだ。扇子持った聖母が踊ってら)
×P(……あ、ダメだ。扇子持った女神が踊ってら)
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 22:50:38.01 ID:KY3IgsrV0

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