ヒル魔「ぶっ!こ!ろす!!」雪歩「い、いえぇぇぇい!!」

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254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:34:56.35 ID:i5OyujgV0
ワアァァァァァ…!!! パチパチパチ…!!!

翔太「あちゃー……言っちゃったよ」

北斗「どうやら、キミの手の上で踊らされちゃったようだね。765の臨時プロデューサーさん」

ヒル魔「ケケケ、どっかの糞ブラックといい、直情バカは扱いやすくて助かるぜ」


黒井「ぐぬぬぬ……あの男、猪口才なマネを……!」ワナワナ


律子「冬馬君に同じ掛け声を言わせる事で、さっきの雪歩のマイナスイメージをチャラにした……」

P「そして同時に、泥門デビルバッツのイメージアップとPRか」

P「この土壇場で、あの臨機応変な発想と対応力……
  ヒル魔君は、出るとこ出たらとんでもない大人物になるんじゃなかろうか」

律子「あまり想像したくありませんね」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:36:24.18 ID:i5OyujgV0
冬馬「ふぅ……さて、余計な前フリはここまでだ」

冬馬「さっさと決着をつけようぜ、765プロ。
   文字通り、アイドルとしての勝負をな」

ヒル魔「ケケケ、どうやら良い具合に観客共もあったまりやがったようだしな」

伊織「いよいよね……しっかりやんなさい、雪歩っ!」

雪歩「う、うんっ!」コクッ



小鳥「皆様、大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、特別イベントとして……!」

小鳥「961プロのジュピターと、765プロの萩原雪歩による、ライブ対決を行いますっ!!」

ワアアァァァァァァァァァァッ!!!!



 【JUPITER V.S. YUKIHO】


デビバ『Ya――――Ha――――!!!』
ゆきぽ『POEEEE!!』

くろちゃん『HAHAHAHAHA!!!』
らせつ『DAZE!! DAZE!!』
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:39:21.65 ID:i5OyujgV0
桜庭「…………」

スッ

高見「来ていたか、桜庭」

桜庭「! 高見さん」


ワアァァァァァ…!


高見「未練があるか? アイドルの世界に」

桜庭「……全くありません」

桜庭「脈絡も無しにスカウトされて、放り込まれて、訳も分からず使い回された……
   初めから、俺の住む世界ではなかった」

桜庭「でも……」


  ――どこまでも私、ダメダメだけど……

  ――強くなりたいと願った自分を、裏切りたくないんです。



桜庭「俺がアレだけ言っても、最後まで彼女は、自分がダメだと頑なに言い張った」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:43:14.69 ID:i5OyujgV0
桜庭「俺にとっての進のように……」

桜庭「そういう才能の壁に、誰しもいつかはぶち当たる……彼女にもそれが分かっていたはず」

桜庭「それでも、トップアイドルという夢を見る事を、あの子は諦める気が無いんです」

桜庭「その先にある結末を、俺は見てみたい。
   自分の非力さを見つめた上で、なぜ立ち向かうのか、何を得るのか……」

高見「……才能の壁に立ち向かう、か」


高見「俺も興味がある。
   自分を信じて疑わないジュピターの強さと、自分を否定し続けた萩原雪歩の強さ」

高見「見せてもらおうか……どちらの強さが本物なのかを」コオォォ…


高見「このVIP席で」
桜庭「ていうか……大田原さん、どこに行ったんですか?」
高見「会場の近くでパンツを脱いで、警備員に捕まったらしい」
進「……」

黒木「てめっ、このデブもっと寄りやがれ!」
戸叶「ステージが見えねぇじゃねぇか!」
栗田「ご、ごめん、そう言われてもぉ……」

やいのやいの


鈴音「やっぱ妖一兄って、結構面倒見良いよね」

まもり「うーん、そ、そうね……」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:45:29.01 ID:i5OyujgV0
冬馬「まずは俺達からだぜ!!」

翔太「僕のダンスで燃え尽きさせちゃったらゴメンねー」

北斗「それじゃあエンジェルちゃん達、チャオ☆」

テクテク…

キャアアアァァァァァァ…!!!



〜〜♪

ワアァァァァァァァァァァァ…!!!



春香「や、やっぱりすごいなぁ、ジュピターの皆……」

響「ううぅぅ……ほ、本当に観客の皆、燃え尽きちゃわないか心配になる盛り上がり方だぞ」

貴音「鬼ヶ島羅刹の、普段の豪語は、絶対に負けないという覚悟の現れ……
   彼らもまた、真、並々ならぬ研鑽を積んできたのでしょう」



雪歩「…………」ドクン… ドクン…
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:46:53.63 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「おい糞モグラ」

雪歩「は、はいっ!?」ドキッ!


ヒル魔「お前は観るな。こっち来い」


雪歩「ふぇ……?」パチクリ

ヒル魔「聞こえねぇのか」

雪歩「は、はい! ごめんなさい……」

テクテク…



伊織(……いつもと様子が違うわね)

美希「あれー、雪歩は?」ヒョコッ

あずさ「あら〜、美希ちゃん、間に合ったわね〜」

千早「いえ、間に合っていないような……」

真「ボクが探しに行っても、全然見つからないんだもの。
  そうこうしている内に何だかんだ巻き込まれちゃったし……」

真「ところで、雪歩はどこに行ったの?」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:48:05.62 ID:i5OyujgV0
亜美「ゆきぴょんならさっきヒルヒルが……」

伊織「亜美っ!」

亜美「うえっ!?」ギクッ


伊織「今は、二人だけにしておきなさい」

伊織「私達は、余計な邪魔をしない方がいいわ」



あずさ「伊織ちゃん……うふふ」

美希「……アハッ☆ 何ともデコちゃんらしいの!」ツンッ

伊織「デコちゃん言うな! つつくな!」ムキーッ!



真「そっか」ポリポリ

真(ヒル魔……雪歩を頼んだよ)
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:49:49.98 ID:i5OyujgV0
〜舞台裏〜

ヒル魔「……ケケケ、待ちに待った本番だな」

雪歩「う、うん……」



ヒル魔「やるだけやった」

ヒル魔「自分は頑張った」

雪歩「……」

ヒル魔「これ以上の頑張りは考えられない」

ヒル魔「だから、どんな結果になろうと、ステージ上では今の自分にできる精一杯のことをやろう」

雪歩「……」



ヒル魔「なんて事を考えている糞カスゴミクズはぁ……!!」ジャキキッ!



雪歩「…………」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:51:21.51 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「……ケケケ」

ヒル魔「どうやら、俺の目の前にはいねぇようだな」スッ



雪歩「……ううん」フルフル


カタカタ…

ヒル魔「……」



雪歩「怖いの……」カタカタ…


雪歩「ヒル魔君や、皆に、あれだけ支えられて、倒れそうになるくらいまで頑張って……」

雪歩「こ、これだけやって、もし……」ガタガタ…

雪歩「もしっ! 何も、で、できなかったら……」

雪歩「負けるのが怖いんじゃないの……私の……私が、今までの成果を、何も……」

雪歩「せっかくやってきたレッスンの、成果を、全然……は、発揮、できなかったら……!」

雪歩「自分の力を、何も、出せないまま終わっちゃわないか、と、とても怖くて……!!」ガタガタ…
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:55:26.83 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「今日まで君が行ってきた……」

雪歩「へ?」


ヒル魔「気が遠くなるほどの鍛錬は、ここぞという時、君を守る自信という名の武器となる」

ヒル魔「しかし、あるいは、それは気負いという名の刃となって君に立ちはだかるだろう」

ヒル魔「飼い慣らせるかどうかは、君次第だ」


ヒル魔「ミシガン大学の名将、アレン・ゴールドウィンが、
    カレッジフットボール史上初の大会四連覇をかけた決勝戦の前に、選手に語った言葉だ」

雪歩「…………」



ヒル魔「ステージに上がる前から、膝が震えるほど緊張してるってんなら、
    お前のやってきた努力は本物だ」

ヒル魔「あとは、お前の腹一つなんだよ」

雪歩「私の……」



スッ

律子「…………」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:57:36.51 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「ビビらせたもん勝ちだ」

雪歩「……!」


ヒル魔「努力を重ねた自分の、イメージできる最高の姿が最大の敵だってんなら……」

ヒル魔「その自分をビビらせろ」

雪歩「自分を……ビビらせる?」


ヒル魔「ケケケ、今まで散々ダメダメだのちんちくりんだの罵ってやがったテメェ自身にビビッてたら世話ねぇ」

ヒル魔「ぶりっ子こいてた化けの皮が剥がれてきたか?」

雪歩「そ、そんな、違いますぅ! 私は、自分を変えたいだけで……!」

ヒル魔「なら好都合だ。変えるためのステージなら、すぐそこにある」

ヒル魔「夢を叶えるチャンスが目の前にあって、疼かねぇヤツがいるのかよ」

雪歩「夢……!」



ヒル魔「死に物狂いで獲りにいこうと、お前は今日まで練り上げた」

ヒル魔「あとは、獲るだけだ」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:58:49.25 ID:i5OyujgV0
雪歩「…………」

ヒル魔「ケケケ、自分に勝ってこい」

ヒル魔「自分にビビッてステージ上でウレションして、ネットに画像をばら撒かれやがれ。
    そして鬱病になってハゲ死ね」

雪歩「そ、そんなぁ!?」


雪歩「でも…………えへへ」



雪歩「…………」スゥ



雪歩「ヒル魔君」

ヒル魔「あん?」



雪歩「ありがとう。行ってきます」コクッ

タッタッタ…



ヒル魔「…………」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 22:59:54.71 ID:i5OyujgV0
ワアァァアァァァァァァァァァァ…!!!! パチパチパチ…!!!

冬馬「皆、ありがとう!!」

翔太「これからも、僕達ジュピターをよろしくね!」

北斗「チャオ☆」

キャアアァァァァァァァァァァァ…!!!!



P「……悔しいが、文句なしのパフォーマンスだな」

真美「こ、これ、ゆきぴょんでも勝てるかどうか心配だよぅ……!」ハラハラ

伊織「ここまで来たら、信じるしか無いわ」

美希「ミキは、初めからなーんにも心配してないよ?」

響「ほ、ホントかー?」ドキドキ


タッタッタ…!

春香「あっ、雪歩っ!」



雪歩「皆、お待たせー!!」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:01:02.90 ID:i5OyujgV0
P「時間が無い! すぐにステージへっ!」

雪歩「はいっ!!」

やよい「雪歩さんっ! はいたーっち!!」サッ

雪歩「えへへ。はいたーっち!」パチンッ!

真「雪歩、ボク達も!」

雪歩「うんっ!!」

パンッ! パチン! …


雪歩「行ってきますぅ!!」ダッ!

タッタッタ…



真「雪歩……」

ヒル魔「…………」

伊織「いよいよね……」ゴクリ…



律子「……ヒル魔君」

ヒル魔「……何だ、糞パイナップル」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:03:29.84 ID:i5OyujgV0
律子「ごめんなさい……さっきのあなたと雪歩の話を、聞いていたわ」

律子「余計な関係性になっていないか、心配だったから。でも……」

律子「ありがとう。雪歩は、良いコンディションでステージに臨む事ができたようね」

律子「アメフトにも、良い言葉があるのね。鍛錬は、自信にも気負いにもなるという……」

ヒル魔「あぁ」


ヒル魔「アレはさっき考えた」ニカッ

律子「はっ!?」


ヒル魔「口はどんだけ動かそうとタダだ」

ヒル魔「でまかせやハッタリでも、あのモグラがやる気になるんなら儲けモンじゃねぇか」

律子「……まったく、あなたという人は、つくづく底が知れないわね」

ヒル魔「テメェんとこのアイドルなら、底が分かんのか?」

律子「えっ?」



ヒル魔「俺は、まだアイツの底を把握しきれちゃいねぇ」


伊織「!?」

律子「……何ですって?」
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:06:11.43 ID:i5OyujgV0
ワアァァァアァァァァァ…!!!

雪歩「……み、皆さん」ドキドキ

雪歩「こんにちはっ!」ペコォッ!

雪歩「え、えぇぇと、な、何から話したら良いのか……!」

ドッ! ワハハハハハハハハ…!



ヒル魔「自主練しているとか言っていたが……」

ヒル魔「アイツ、俺とのレッスンの後、俺が手配した『死の行軍』用のロボットを一体借りて……」

ヒル魔「自分の家で、まったく同じレッスンメニューを、そっくりこなしてやがった」


律子「!? なっ……!!」

P「そ、それは……つまり、二倍のレッスンメニューを、雪歩は……!?」

響「し、死んじゃうぞ! 終わってからも自分で『死の行軍』をやってたのか!?」

伊織「! だから、あの雪歩型のロボットだけ、他のよりくたびれて……!」



雪歩「わ、私は……皆と比べて、ダメダメで、何やっても下手で……」

雪歩「いつも、迷惑をかけてばかりなんですけど……」
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:07:52.58 ID:i5OyujgV0
雪歩「ダメダメな自分を変えたくて、この世界に、入りました」

雪歩「それが、出来るかどうか……分かりません」

雪歩「私にとっては、それはとても困難で、険しくて……
   ひょっとしたら、無理なのかも知れません」

雪歩「でも、それはたぶん……私にとっては、あまり関係が無い、というか、その……」


雪歩「辿り着けるかどうかじゃなくて、ただ、登りたかったんです」

雪歩「簡単に、叶えられるものじゃないからこそ、目指したかったんです」

雪歩「自分でもビックリするくらい、頑張って……」

雪歩「あぁ、いえ! あの、すごく頑張ったから、良いステージを期待してくださいってワケではなくて……!」ブンブン


雪歩「本当に……最後は、そんな自分自身を、ビックリさせてあげるしか、無いのかなって」

雪歩「だから……!」グッ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:09:04.61 ID:i5OyujgV0
雪歩「私は、もう一度この言葉を言います」

雪歩「自分の殻を、破れるように……自分をビックリさせて、自分に勝てるように!」

オオォォ…!? ザワザワ…


雪歩「皆さんも、どうか、私について来てください!」

雪歩「皆の勇気を、私にください! お願いですぅ!!」

ワアアアァァァアァァァァ!!!



P「ま、まさか……!」

律子「止めなさい、雪歩っ!! そんな言葉、言ったらもう取り返しが……!!」



ムサシ「フッ……言わせてやれよ」

ムサシ「勝つ事だけを目指したヤツの、覚悟の咆哮だ」



スゥゥ…!
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:10:15.36 ID:i5OyujgV0
雪歩「ぶっ!!!」



「こっ!!」



「ろすっ!!!!」


雪歩「いええぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!」
観客「Yeah―――――!!!」

イエエエェェェェェェェェェ!!!! ワアアアァァァァァァァァァァ!!!


鈴音「……!」ビリビリ…!

まもり「会場が、一つに……!」



ヒル魔「ケケケ、言ったろ」

ヒル魔「ビビらせたもん勝ちだってな」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:10:53.62 ID:i5OyujgV0
http://www.youtube.com/watch?v=2HpZ8g2R6YE
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:12:23.99 ID:i5OyujgV0
タンッ キュッ! タタンッ!

雪歩「〜〜〜〜♪」

ワアアァァァァァ…!!!



桜庭「! これは……!」

高見「素人目にも分かる……」


進「爪の先まで行き渡らせた表現力に、決してブレないボディバランス」

進「激しい振り付けの最中でも、安定した歌声を保てるだけの肺活量」

進「そして……」


タン タタン…! タンッ!

雪歩「〜〜〜♪ 〜〜〜〜ッ♪!」

ワアアアァァァァァァァァァァァァ…!!!


モン太「すげぇ……輝きマックスじゃねぇかよ……!!」

夏彦「アハ、ハー……こんなの、眩しすぎるじゃないか」

黒木「チキショウ、バカの言う通りだぜ……!」グスッ

小結「ふごっ……!」ウルウル
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:17:04.32 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「自分なんてダメだと、常に自分を否定し続けた」

ヒル魔「最大の敵は、いつまでも勝つ事への自信がつかない自分自身だったってワケだ」



高見「“勝てるはずが無い”から、“勝てるかも知れない”になり……
   “負けるはずが無い”まで練り上げるためのトレーニングがある」

高見「それはきっと、アメフトだけではなく、アイドルの世界でも一緒なんだろう」

高見「彼女は、たった一人で、自分自身へのおそれと戦い続け……
   そのメンタリティが、凄まじい練習量をこなす地盤となり……」

高見「その成果が、今にある」



桜庭「自己評価の低い気弱な少女は、ステージの上では唯一無二の輝きを放つアイドルだった」

桜庭「あれは……アイドルの理想像です」



キュッ! タン タンッ!

 ALRIGHT* 今日は泣いたら
 ALRIGHT* 明日がもっと強くなる
 頑張って!!
 新しい一歩踏み出そう
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:18:07.76 ID:i5OyujgV0
律子「雪歩……!」ホロリ

あずさ「……素晴らしいわ、雪歩ちゃん」



雪歩「〜〜〜ッ♪!」

雪歩(私……)


雪歩(変われたかどうかって、どうやって分かるのかな……)

雪歩(あれ、変わるって……何だろう?)


雪歩(いつから、私は、ダメダメな……)


  ――やーい、よわむしゆきほー!



雪歩(……あぁ、そうか)


 例えばいつか今日が
 懐かしく思う日が来ても
 この気持ち色褪せないで
 ずっとずっと忘れないで
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:19:34.06 ID:i5OyujgV0
雪歩(やっと分かった……だから、ヒル魔君……)

雪歩(ありがとう……!)グッ


タタンッ! キュッ タッ タンッ!

雪歩「〜〜〜ッ♪! 〜〜〜〜♪!」

 ALL LIGHT* 笑顔の光で
 ALL LIGHT* 夢に太陽を上げよう 
 今すぐ
 どこまでだって
 さあ! 出発オーライ*


ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!



伊藤「これが、本物か……!」ボロボロ…!

黒井「…………」

高木「良いステージだ……彼のおかげだな」


黒井「……負けた方は、アイドル業界から強制追放。そういう約束だったな」

高木「生憎、私は約束を守るのが、昔からどうにも苦手でね」

黒井「フンッ……私は、貴様のそういう甘さが嫌いなのだ」

黒井「……昔からな」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:21:30.63 ID:i5OyujgV0
セナ「う、うっ……すごいよぉ、雪歩さん……!」ポロポロ…

鈴音「良かったね……本当に、良かったね!!」グスッ!

まもり「うん……!」ツー…

セナ「今日の、雪歩さん……なんというか、上手く言えない、けど……」グッ…


進「……桜庭」

桜庭「ん?」

進「俺には、アイドルの事は分からない。だが……彼女に教えてもらった」


進「目指し続ける事の強さを」

セナ「挑んで、戦い続ける生き方を……教えてもらえた気がする」



阿含「………………」



冬馬「……フン」

北斗「どうやら……完敗、だな」

翔太「すっごいなぁ……僕達も、あそこまでなりたいな」


冬馬「なるに決まってんだろ。次は負けねぇ」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:22:34.96 ID:i5OyujgV0
ワアアァァァァァァァ…!!

雪歩「はぁ……はぁ……!」

雪歩「あ、わっ……ふぇ……?」ジワァ…!

雪歩「あ、ありがとうございましたぁ!」ペコッ


雪歩「ありがとう……ございましたぁ……!!」ポロポロ…!

ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!! パチパチパチパチ…!!!!



ヒル魔「…………」


P「ヒル魔君……もし君が最初に出会っていたのが、アメフトではなくアイドルだったなら……」

P「さぞかし君は、優秀なプロデューサーになっていただろうと、俺は思う」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:24:23.18 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「仮定の話に構ってやれるほど、こっちはヒマじゃねぇ」

P「……そうか」

P(否定はしないんだな)



ヒル魔「それに……まだアイドルじゃなかったしな」

P「えっ?」



ヒル魔「こっちの話だ」


ワアアァァァァァァァァァァ…!!! パチパチパチ…!!



ヒル魔「………………」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:25:17.11 ID:i5OyujgV0
タッタッタ…!



真「雪歩っ!!」

雪歩「真ちゃん……皆……!」

春香「すごかったよぉ、雪歩!」ガシッ

雪歩「うん……ありがとう……えへへ」グスッ…


雪歩「あっ……」



ヒル魔「…………」


雪歩「……ヒル魔君」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:27:21.33 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「……ケケケ、喜べ雪歩」

ヒル魔「今日からテメェは、糞モグラから糞アイドルに格上げだ」


雪歩「……うんっ! えへへ」ニコッ


伊織「あのね雪歩……糞とか言われて何喜んでんのよ」

雪歩「ううん、伊織ちゃん」フルフル


雪歩「私には、それで十分なの」

雪歩「ね、ヒル魔君?」


ヒル魔「知らねぇな」ケケケ


雪歩「えへへ」ニコニコ



ワアアァァァァァァァァァァァ…!!


――――

――――――
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:28:28.07 ID:i5OyujgV0
――――――

――――


  『アイドル』


  それは、女の子たちの永遠の憧れ



  だが、その頂点に立てるのは、ほんの一握り……



  そんなサバイバルな世界に、



  13人の女の子たちが足を踏み入れていた。





「……選手諸君」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:29:56.55 ID:i5OyujgV0
〜高校アメフト大会 会場〜

理事長「まずは、本大会の開催が、予定より大幅に遅れてしまった事をお詫びしたい」


理事長「高校スポーツの本分は、教育です」

理事長「ラフプレーがしばしば起こり得るこのアメリカンフットボールにおいてこそ、
    健全な精神が尊ばれるであろう事は、一般的な常識でありましょう」

理事長「その中で、皆それぞれに思いの丈を込め、勝利を渇望し、
    今日まで厳しいトレーニングを重ねてきただろうと思います」



理事長「だが、全国大会決勝(クリスマスボウル)へ行けるのは」

理事長「ただ一校のみなのです」


理事長「ラフプレーを励行するものでは決してない。だが……」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:31:17.58 ID:i5OyujgV0
理事長「誤解を恐れず、真実を言おう」

理事長「アメフトは君達に、スポーツマンシップなど求めてはいない」


理事長「敗者に敢闘賞は無く」

理事長「勝者のみが栄光を得る世界」



理事長「君達の使命はただ一つだ」


理事長「勝て!!」



桜庭「……」

進「……」


セナ「…………」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:32:22.65 ID:i5OyujgV0
理事長「ただ今より」

理事長「全国高等学校アメリカンフットボール選手権」

理事長「開会いたします!!」


ウオオオォォォォォォ……!!!





ワアアァァァァァァァ…!!!


〜ライブ会場〜

P「……雪歩」

雪歩「はい」


P「やっぱ……あの掛け声は、止めにしないか?」

P「パンクバンドとかじゃあるまいし、女の子のアイドルがあまり言うべき言葉じゃないぞ」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:34:06.76 ID:i5OyujgV0
雪歩「……分かっています、プロデューサー」

雪歩「でも、私にとっては、大切にしたい言葉なんです」


P「気持ちは、分からなくはないがな……」ポリポリ

真美「まーまー兄ちゃん、ゆきぴょんの好きにさせてあげたまえよ」ヒョコッ

亜美「そーそー。ネコでも動かないようなガンコ屋さんだもんね→、ゆきぴょんはさ♪」ヒョコッ

貴音「亜美、それを言うなら、梃子でも動かない、では?」

亜美「そうともゆう」


律子「まぁ、不本意ですけど、アレを楽しみにしているファンも相当数いるようですし」

真「やっちゃいましょう、プロデューサー!」



P「うーん……よしっ、分かった! 行ってこい!」

雪歩「はいっ!」


〜〜
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:36:01.49 ID:i5OyujgV0
ザワザワ…

ヒル魔「さぁて、待ちに待った初戦だ」

栗田「ひぇぇ……網乃サイボーグスの人達、皆すごい体格だなぁ」

夏彦「アハーハー! 筋肉だけがアメフトじゃないですよ!」ピシーッ!

雪光「ほ、ホントに体柔らかいね夏彦君……」

モン太「パワーで負けようが、気力とキャッチマックス! で勝ぁつ!!」グッ!



ヒル魔「そうだ。俺達はクリスマスボウルに行く」

ヒル魔「必ず全員で行く!」


ヒル魔「それを邪魔しようってカス共が目の前にいるが……」

ヒル魔「どうする?」ニヤッ


〜〜


雪歩「……皆さん、今日は来てくれて、ありがとうございます」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:40:05.78 ID:i5OyujgV0
雪歩「私はずっと、ダメダメでした」

雪歩「今でもダメダメです」

雪歩「そうして、突き落とされて……ついこの間、私は救われました」

雪歩「自分に勝て、って、言ってくれた人のおかげで、今の私がいます」


雪歩「そうして、ファンの人達を喜ばせることができるなら……」

雪歩「私は、もっともっと自分と戦って、ビックリさせて、勝ちたいって思うんです」

雪歩「ううん、私だけじゃありません」


〜〜

十文字「どうするもこうするも……」ニヤッ

戸叶「決まってんじゃねぇか」

セナ「雪歩さんのおかげで、こんなに泥門にもファンが増えて、だから……
   恩返ししなきゃかなー、って?」

小結「女神っ!!」

黒木「あぁ、雪歩ちゃんっつー勝利の女神に誓って、ぜってぇ負けてらんねぇぜ!」


ヒル魔「ケーケケケケケ!!」ゲラゲラ

ヒル魔「揃いも揃って、お前らすっかり鼻の下伸ばしてやがる」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:41:55.41 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「悪魔は神には頼らねえ」

ヒル魔「むしろ俺達の世界の裏側にいる、女神ヅラしたモグラまで丸ごとビビらせてやれ!」

一同「おおおおぉぉぉっ!!」



雪歩「私が今立っている世界の、裏側にいる人達にも負けないように」

雪歩「私がもっとキラキラに輝いて、そこにいる人達もビックリさせてあげる事がてきたなら、って」


雪歩「だから、皆さん……殻を破って、私に勝つための勇気をくださいっ!」

雪歩「一緒に、お願いしますぅ!!」

ウオオオォォォォォォッ!!!



スゥゥ…!
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:42:29.21 ID:i5OyujgV0
ヒル魔「ぶっ!!!」


「こ!!」


「ろす!!!」


雪歩「いええぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!」

ワアアァァァァァァァァァァ…!!!


〜おしまい〜
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/27(土) 23:45:45.30 ID:i5OyujgV0
『アイドルマスター』と『アイシールド21』のクロスオーバーSSです。
終盤、アイドルマスターの楽曲『ALRIGHT*』の歌詞を 一部引用しております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、失礼致します。
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 23:59:39.45 ID:8ulnMdMs0
おつ
黒ちゃんの扱いが絶妙だったよ
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/10/28(日) 00:16:58.00 ID:ts5Tfe2+0

追放は原作みたくアメリカ行きかと思った
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 00:18:10.17 ID:PR72aIFj0
おつおつ!
素晴らしいクロスだった!
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/28(日) 00:58:59.48 ID:hLsAAF5J0
最高だぜ
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/28(日) 01:11:55.31 ID:920uG9S+O
いいな
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 06:01:56.08 ID:nog9e6RTO
異色のクロスだと思ったらとんだ名作だった
乙!!
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/28(日) 08:33:19.12 ID:oyWMLHtS0
双方のキャラの活かし方が半端無いし何よりもアイマスのフィールドでアメフト連中の見せ場をきっちり作るとか尋常じゃない
いいクロスだった、掛け値なしに
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 10:49:02.84 ID:K/tCC71L0
乙!
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 11:01:32.67 ID:0ZmFYZiVo
近年にあわせてスマホと時事ネタもありってのもいいなQ
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 14:36:08.24 ID:lKyxerFWo
おつおつ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/05(月) 18:16:47.52 ID:UVG4I0Yp0
おつ
雪歩の限定SSRがあの衣装だったのはこういう事情があったからだったんだな
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