【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】

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210 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/08(火) 21:54:01.75 ID:4RiQRWxTO



〜〜〜♪

ハルカ『よい子の皆ー!ココロオドルTVの時間だよー!』

ハルカ『いやー始まっちゃったね!とうとうコロシアイが始まったんだね!』

ヨウ『全く、出来れば起きて欲しくなかったがな。俺達の出番が増えるじゃないか』

ハルカ『いいじゃんいいじゃん。そのぶんお給料がいっぱい貰えるよ?』

ヨウ『知らないのか?俺達はタダ働きだぞ』

ハルカ『ぶ、ブラック企業だーーー!?!?』

ヨウ『さて、茶番ノルマも終えた事だしさっさと本題に入るとするか』

ヨウ『学級裁判は、学園の生徒全員で犯人を探す為に議論を行い、その中で犯人を探し出せばいい』

ヨウ『正しい犯人……クロを指摘出来た場合には、クロのみがオシオキされ、それ以外の生徒……シロは引き続き学園生活を送って貰う』

ハルカ『あれ?でもクロは皆の中にいるんだよね。クロは自分を当てられたら困るんじゃない?』

ヨウ『当然、クロは自分が犯人でない様に議論を誘導しなくてはならないな。逆に間違った犯人を指摘した場合は……』

ヨウ『クロ以外の全員がオシオキされ、クロにはこの彩海学園から卒業する権利が与えられるのさ』

ハルカ『なるほど!クロは自分以外が犯人になる様妨害するから、シロはそれに負けない様にちゃんと正しいクロを指摘出来ればいいんだ!』

ヨウ『噛み砕いて言うならばそうなるな。何か他に質問はあるか?』

ハルカ『あ、そう言えば気になってたんだけど、オシオキってなーに?』

ヨウ『処刑だな』

211 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/08(火) 21:55:20.64 ID:4RiQRWxTO

ハルカ『へー処刑かー……処刑?』

ヨウ『なんだ?わかりにくかったか?死罪と言えばわかるか』

ハルカ『死罪!?どうしよう!死んじゃうよ!クロもシロも命懸けだよ!』

ヨウ『そうだな。彩海学園の生徒諸君には是非とも必死になって頑張って貰いたいな』

ハルカ『大丈夫!ちゃんと正解すればいなくなるのは一人だけだから!』

ハルカ『私は信じてるからね!皆がクロを当てて、仲良く生き残れるって!』

ヨウ『クロはまあ、頑張ってくれ。ささやかながら応援しておこう』

ハルカ『それじゃあ、最後は合言葉で!』

『『鮮やかな!』』

『遥かな明日を!』『見届けよう!』

ハルカ『それじゃあ皆、頑張ってねー!』
212 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/08(火) 21:56:23.89 ID:4RiQRWxTO

吊井座「ふ……ふざけんなよっ、そんなの聞いてねえぞ!?」

モノクマ「うん。今初めて言ったからね」

月神「私達で議論して……犯人を見つける……!?」

飛田「ま、待ちたまえッ、そんな事急に言われて、出来る訳ないだろうッ!?」

モノクマ「ちゃんと捜査する時間くらいなら設けるよ。尤も無限じゃないけどね!」

モノクマ「こうやって無駄口叩いてる間にも、どんどん時間は減っていくからね。うぷぷぷ……」

竹田「クソッタレが……」

御影「こ、こんなのやる必要無いよ!どうせ犯人はモノクマだし……」

陰陽寺「僕はやる」

御影「えぇ!?」

朝日「……陰陽寺さんはぁ、皆の中の誰かが、天地さんを殺したって思っているのぉ?」

陰陽寺「知るか。だからこそやるんだろう」

陰陽寺「このまま殺された奴を放置して、何もせずに誰かを糾弾する事が正しい事か?」

駆村「……それは!」

陰陽寺「そう思うのならば勝手にしていろ。僕一人だけでもやってやる」

吐き捨てる様に呟いて、陰陽寺さんは捜査に向かう

その背中を視線で追う。私は……

213 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/08(火) 21:58:24.13 ID:4RiQRWxTO

月神「……陰陽寺さんの、言う通りね」

月神「学級裁判から、逃げる訳にはいかないわ」

御影「月神さんまで何言ってるのさ!?」

デイビット「フム、だガ、このまま何もせず待機するよりも捜査に加わる方が有意義ではないかネ?」

デイビット「仮ニ、もし仮に犯人がいたとすれば、我々は手詰まりになるのダ」

月乃「……バッドエンド。頑張って回避できるなら回避するべき」

朝日「うぅん。やるしかないのかなぁ?」



……そっか、この中に犯人がいたら、私達は間違いなくオシオキされて殺される

そんなのは……嫌だ!



瀬川「……やるよ。やれるだけ、やってみよう?」

瀬川「私、まだ、死にたくないよ……!」

叫び出しそうな激情を堪える。死にたくないのは、皆だって同じはずなんだから

……今から探す、クロだって

必死なのはどっちもどっち。私達は誰ともなく立ち上がり、生き残る為に、蹴り落とす為に

前へ、前へと足を進めていった


【捜査 開始】

214 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/08(火) 22:00:10.30 ID:4RiQRWxTO
本日ここまで。取り合えずキリのいいところまで
215 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:08:34.38 ID:BZSHdr6dO

御影「と、言ってもさぁ……」

御影「ボク達、本当に捜査出来るのかなぁ?」

竹田「やってみればいいじゃねえか。やってみりゃ案外なんとかなるもんだぜ」

デイビット「案ずるより産むが易シ。この国の諺は理論面では兎も角精神面では素晴らしいナ」

臓腑屋「デイビット殿、達者でござるな……」

下らない会話をしながら、一同はずんずんと歩いていく。目的地は倉庫の一角だ

こうしていると、ついさっきまで命を懸ける出来事があったなんて考えられない……

だから、皆は少しでも目を背けているんだ。自然に近づいてくる、直接的な死の感覚から

月神「……! 陰陽寺さん!」

廊下の先。倉庫の入り口近くには、陰陽寺さんが静かに待ち構えていた

凛とした刃物の様な雰囲気が、まるで実体になったみたいに肌を切りつける

陰陽寺「来い。死体を見ていない奴もいるだろう」

ぽつり。と彼女は呟いて、くるりと倉庫の暗がりの中へ消えていく

その声色は、普段の吐き捨てる様なものじゃなく、どこか悲哀の様な感情を孕んでいた

216 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:09:42.62 ID:BZSHdr6dO

瀬川「…………ぁ」

飛田「何と言う……言葉が出ない……ッ!」

吊井座「う、ぐ……っ」

月神「……酷い…っ………」

照星「あ、天地先輩……どうしてっすか……!」

陰陽寺さんが止まった先は、私が倒れた場所。天地さんの死体が初めて発見された箇所

さっきまでのおちゃらけた態度はどこへやら。彼女の死体を直視して、各々酷く動揺していた

最初に見た時は生気の無い、虚ろな二つの目が私を覗いてたけれど今はその瞼が閉じられている

もしかして、陰陽寺さんが閉じさせたのかな…今はどうでもいい事だけどね

デイビット「フーム、ワタシが一見しただけだガ、彼女は刺殺された可能性が高いナ」

朝日「刺殺……刺されちゃったんだぁ……」

駆村「待ってくれ。本当にそうなのか?」

駆村「この中で検死が出来るのは、デイビットだけだ。デイビットの意見を全て鵜呑みには出来ない」

古河「なんやソレ!駆村はデイビットが犯人や言いたいんか!?」

駆村「そうじゃない!俺達は素人だ。デイビットの発言の真偽が誰も判らないと、それが本当に正しいかも判らないだろ!」

デイビット「ご尤モ。しかシ、今は信じて欲しいとしか言えないナ」

月乃「……これだと、犯人を見つけるのは難しい。せめて、もう少し詳しくわかればいいけれど」

モノクマ「うぷぷぷっ、そう言うと思いました!」

217 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:10:29.08 ID:BZSHdr6dO

月乃「……何か用?」

御影「あっち行けよ!ボク達は忙しいんだ!」

モノクマ「えぇ〜せっかくオマエラに耳よりな情報を持ってきてあげたのに……」

デイビット「耳よりな情報、かネ?」

モノクマ「じゃーん!これはモノクマファイル。簡単な検死結果が書いてあります!」

モノクマ「これでシロも捜査で多少は互角に戦えるでしょ?クロばっかり有利なのは問題だからね!」

月神「私達に、どうしても争って欲しいのね……」

吊井座「し、信用出来るかよ。普通に考えて……」

スグル「とにかく一度目を通しておいた方がいいと思います。このままでは埒があきませんし……」

駆村「それも、そうだな……」


【モノクマファイル1】
 被害者は天地 りぼん
 死因は腹部の刺傷による失血死
 死亡推定時刻は夜12時頃
 身体中に軽い打撲痕が確認でき、右手の指の関節に骨折が見られる


……モノクマファイルに書かれていた情報。それを信用する訳じゃないけど

これで、学級裁判でも問題なく考えられるよね?


GET:コトダマを入手しました
【モノクマファイル1】
 被害者は天地 りぼん
 死因は腹部の刺傷による失血死
 死亡推定時刻は夜12時頃
 身体中に軽い打撲痕が確認でき、右手の指の関節に骨折が見られる

218 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:11:12.52 ID:BZSHdr6dO

デイビット「さテ、これより各々捜査に励んで貰うのだガ、ワタシから提案があル」

デイビット「殺人事件では現場の保存は最優先ダ。故ニ、天地女史の死体の見張り役を決めたイ」

飛田「貴様がやればいいだろうッ!」

デイビット「それは構わなイ。しかシ、ワタシ一人のみで見張らせるのは危険では無いかネ?」

照星「もしもデイビット先輩が犯人だったら、細工し放題っすからね……」

デイビット「そこデ、もう一人見張り役を指名したイ。構わないかネ?」

月神「……わかったわ。選んで頂戴」

デイビット「感謝すル。……陰陽寺女史、共に見張りを頼めるかネ?」

陰陽寺「構わん」

御影「えーっと……何で陰陽寺さん?」

デイビット「この中で最も観察眼が優れていると判断したからダ。彼女の前で細工など出来まイ」

竹田「成程ねぇ。まっ、頼んだぜ。お二人さん」

指定された陰陽寺さんは、ちらっと死体を見てすぐに目を閉じた

纏う鋭利な雰囲気が、更に強まった気がする……

死体は二人に任せて、私は現場を捜査してみよう

219 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:13:23.89 ID:BZSHdr6dO

瀬川「うーん。ねえ、何か他にやった方がいい事ってある?」

デイビット「そうだナ。まずは聞き込みは鉄則ダ、現場の捜査……ハ、これだけ広いと難しいだろウ」

瀬川「ですよねー……」

聞き込みかぁ。面倒臭い……推理モノのアニメだとサクサクやってるけどね

デイビット「嗚呼、それト」

瀬川「何?」

デイビット「陰陽寺女史に感謝の言葉でもかけてやるべきだナ。瀬川女史が倒れた時、最も素早く駆け付けたのは彼女ダ」

デイビット「一言。彼女に感謝を伝えてみるのは如何かネ?」

陰陽寺さんには聞こえない様に、そんな事を耳打ちしてきた

皆もそんな事言ってたっけ?デイビット君はさっき言ったのが聴こえてなかったのかな?

瀬川「…陰陽寺さん。ありがとう。助けてくれて」

陰陽寺「上っ面だけの感謝なんかいらない」

可愛くない。もう行こう、私は急いでいるんだから

220 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:14:22.75 ID:BZSHdr6dO

陰陽寺「一人だ」

瀬川「は?」

陰陽寺「停電中、大きく動いたのは一人だけだ」

瀬川「そうなの?臓腑屋さんじゃなくて?」

陰陽寺「違う」

何でそんな事がわかるんだろう……また直感?

瀬川「ありがとう。それじゃあ頑張ってね」

陰陽寺「………………」

私の応援にも無反応。ふいっと顔を揺らして、またあのぶっきらぼうな顔に戻っている

でも、これって一応は証言って奴だよね?覚えとこ

瀬川「じゃ、行くね。デイビット君もよろしく」

デイビット「承知しタ」

挨拶を終えると、私は倉庫を後にした。早く証拠を集めないとね……

デイビット「……全ク、難儀な性格だナ」


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【陰陽寺の証言】
 パーティー中停電が起きた際、あの場から大きく動いたのは一人だけだった
 ブレーカーを確認しにいった臓腑屋では無いそうだが……

221 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:15:33.98 ID:BZSHdr6dO

朝日「あっ、瀬川さぁん。どうしたのぉ?」

瀬川「一応、食堂も捜査しておこうと思ってさ」

食堂にはやっぱり多くの人が捜査していた。色んな人の話を聞いて回ろっかな

瀬川「古河さん。進歩どう?」

古河「それなりやな。捜査なんざわからんわ!」

駆村「殆どの人間がそうだろ……だから、せめて全力は尽くしたい」

瀬川「そっか。二人は何か知ってる?」

駆村「俺は特に何も……厨房の担当は朝日と臓腑屋だから、二人にも聞いてみてくれ」

古河「ウチは飾り付けの担当やから、電飾の事しかわからへんな」

瀬川「電飾?」

パーティーの最中には気にならなかったけど、そう言えばチカチカしてたっけ……

古河「パーティーの飾り付けで天地が使いたい言うてな。倉庫から引っ張ってきたんよ」

古河「ウチはこういうガンガンに光る装飾は嫌いなんやけどな。天地も案外趣味が悪いなー!」


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【パーティーの飾り付け】
 食堂内は、天地の指示したように飾り付けられていた
 電飾を大量に使った派手なものであり、飾り付けの担当だった古河は難色を示していた

222 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:16:38.31 ID:BZSHdr6dO

瀬川「朝日君。ちょっといいかな?」

朝日「なぁにぃ?」

瀬川「えっと、厨房の担当は朝日君だったって聞いたんだけど……」

朝日「そうだよぉ。ずうっとって訳じゃないんだけれどぉ、お料理は私が運んだんだよぉ」

甘ったるい声に辟易しながら話を聞いていく。料理は朝日君が主に作ってたんだね

瀬川「あれ?でも料理って結構あったよね」

瀬川「それを全部、朝日君が作って出したの?」

仕込みは先に済ませてたのは知ってるけど、それでもかなりの量があったのに……

朝日「ああ、それなら簡単だよぉ。暖めればいいだけだったもんねぇ」

瀬川「レンジで?」

朝日「ううん。ホットプレートだよぉ」

朝日「五台くらい動かしててねぇ。その上に料理を置いてあったんだぁ」

朝日「それでぇ、後は運ぶだけだったから楽チンなんだよぉ」

瀬川「パーティーの間中ずっと?」

朝日「うん。そうだよぉ」


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【ホットプレート】
 料理を暖めるのに使用していたホットプレート
 五台ほど使用しており、パーティーの間はずっと稼働していたらしい

223 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:18:05.13 ID:BZSHdr6dO

瀬川「えーっと他には……そうだ」

確か、包丁のケースの鍵がないって騒いでたっけ。確認しておこっかな

辺りを見回すと、ガラスのケースに入れられた包丁が見つかった

瀬川「多分これかな?確かに頑丈そう……」

月乃「……千早希、少しいい?」

瀬川「あ、月乃さん。どしたの?」

確認する事がある。と、ケースに近寄る月乃さん

手にしたモノを徐にケースに差し込むと、取っ手に手を掛けてガチャガチャと動かした

瀬川「……何してるの?」

月乃「……鍵がかかるか。やっぱり、これはケースの鍵だった」

ケースの鍵?確かにそれは見たことのある鍵だったけれど……

瀬川「何で月乃さんが持ってるの?」

月乃「……勘違いしないで欲しい。これはゴミ箱に捨ててあったものを拾っただけ」

月乃「……食堂にいる人達が証人。私が盗ったワケじゃない」


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【月乃の証言】
 食堂のゴミ箱にケースの鍵が捨ててあった。月乃本人が盗んだ訳ではないという

224 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:18:58.88 ID:BZSHdr6dO

瀬川「せっかくだし、包丁も調べていい?」

月乃「……構わない。凶器には定番中の定番」

それは童話の中でも同じ。と頷く月乃さんを余所にケースを開ける

キラリと光る刃物を前に少し寒気がする。その中の1つに、微かな違和感を覚えた

瀬川「あれ?この包丁濡れてない?」

月乃「……本当。少し、濡れている」

1つだけ、少し濡れている包丁を見つけた。他のは全く濡れていないのに

月乃「……恐らく、これが凶器。鍵も捨ててあったし間違いない」

確かに露骨に怪しいし、私もそう思うよ?でも……

あれだけ入念に身体検査したのに、どうして誰も見つけられなかったんだろう?


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【包丁】
 ケースの中に入れられていた包丁。1つだけ濡れている


【ケースの鍵】
 パーティーの際、天地が無くしていた鍵
 無くなってすぐに身体検査を行ったが、見つからなかった

225 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:20:08.35 ID:BZSHdr6dO

竹田「よっ、嬢ちゃん。進んでるか?」

臓腑屋「瀬川殿!」

瀬川「あ、二人とも。そっちはどう?」

食堂を出て、すぐに竹田さんと臓腑屋さんに会った

竹田「ま、ボチボチな。やっぱり全員にアリバイは無さそうだぜ」

臓腑屋「拙者らも聞き回ったのでござるが……面目ないでござる」

瀬川「ううん、いいよ。ありがとう」

わざわざ私が聞きにいく手間が省けたしね!

瀬川「そうそう、臓腑屋さんは厨房の担当だって聞いたんだけど」

臓腑屋「にゃあぅ……申し訳無いでござるが、目ぼしいものは何も……」

臓腑屋「……ああ、そう言えば、エアコンの設定が変わっていたでござるな」

瀬川「エアコン?そんなのもあったんだ」

臓腑屋「左様、いつの間にか厨房のエアコンが入れられていたのでござるよ」

瀬川「入れられていたの?どのタイミングで?」

臓腑屋「確かあれは……そう、夜時間になる直前でござるな」

……あれ?そのタイミングって円陣を組んでた時間とおんなじだ

何か関係あるのかな……?


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【エアコンのタイマー】
 厨房のエアコンのタイマー設定が変更されていた
 時刻は夜時間の直前であり、全員が円陣を組んでいた時間と一致している

226 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:21:34.43 ID:BZSHdr6dO

瀬川「んー……」

なんだろう、この感じ。何か引っ掛かる感じが……

月神「瀬川さん!そっちはどう?」

瀬川「え?うーん……どうなんだろ……」

そうそう、円陣って確か月神さんの出した案だったよね?ちょっと聞いてみよ

瀬川「月神さん。円陣について教えてくれない?」

月神「構わないわ。まずは皆で円を描く様に立って貰ったのは覚えているわね」

月神「発表した順番に並んでもらって、手を真ん中に合わせて……」

月神「それで、天地さんの合図で手を挙げて貰おうと思ったのだけれど……」

それで、停電がおきたんだよね……

瀬川「ところでエアコンの操作って誰かしてた?」

月神「エアコン?私は知らないわね……」

御影「あれ?何話してるの?」

瀬川「御影君、会場って誰が担当してたの?」

御影「さあ?面倒だから天地さんに任せてたし!」

なんて無責任な……でも、これって天地さんが全部やってたって事?


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【円陣】
 パーティーの際、瀬川達が行っていた円陣
 自己紹介順に並んでおり、天地の号令で手を挙げる予定だった

【御影の証言】
 パーティー会場は、一部を除きほとんど天地が管理していた

227 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/21(月) 22:24:40.34 ID:BZSHdr6dO
本日ここまで。後半は近日中に公開します
少し質問なのですが、現時点で気になるキャラや好きなキャラ。もしくは空気気味なキャラはいるでしょうか?
裁判等に活かしたいので……よろしくお願いします
228 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 22:52:16.11 ID:cPpLiNU/O

飛田「フゥー……捜査なぞ美しくない!」

吊井座「し、知るかよ。さっさとあっち行けよ」

照星「にひひっ、照れてるんすか〜?そーれっ、むにむに〜」

吊井座「照れてねえよ!とっとと向こういけよ!」

吊井座「……イテテッ」

瀬川「荒れてるなぁ……」

手を擦っている吊井座君の横で、髪をクシで解かしている飛田君と頬っぺたをつんつんしている照星さんが呑気に駄弁っていた

吊井座君は……まあ命が懸かってるし、無理も無いよね。あの二人が能天気過ぎるだけで

瀬川「ねえ、少し話聞いてもいいかな?」

照星「にひひっ、自分のパンツの色っすか?」

瀬川「違うから!」

あぁもう、本当に照星さんはやりにくい……さっさと聞いて終わらせよう

瀬川「皆、何か事件に関係する事って知ってる?」

照星「わかんないっすねー、静かだったっすよ?」

吊井座「お、お、俺も……っ」

飛田「知らぬ!そんな事よりもオレとデートでも」

皆わかんないかー、仕方ないか、夜中だもんね……


GET:コトダマを入手しました
【静かだった寄宿棟】
 事件当時、寄宿棟は静かだった

229 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 22:55:04.15 ID:cPpLiNU/O

スグル「あっ、皆さん!」

瀬川「スグル君、どう?順調かな?」

スグル「あっあの……少し場所を変えませんか?」

瀬川「え?いいけど……」

照星「えー?二人だけで秘密のお話っすか?」

スグル「そ、そういう事じゃないです……」

瀬川「あーハイハイ。それじゃあね」

照星さんのニヤニヤ顔を振りきって外に出る。そのテの話題はこの子にはまだ早いからね……



スグル「あ、ありがとうございます……」

瀬川「いいのいいの。私達、友達だもんね」

スグル「……っ」

呪いの様に、その言葉を彼に刻み込む。もう二度と過ちを犯させない為に

……今の私、どんな顔をしているんだろう?気にしたら負けだよね。うん

230 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 22:56:39.98 ID:cPpLiNU/O

瀬川「……それで、話って何?」

スグル「あ、えっと、少し質問なんですけど」

スグル「瀬川さんって……コーヒー好きですか?」

瀬川「えっ?」

何でそんな事を今聞くんだろう?一応正直に答えておこっかな

瀬川「カフェオレは好きだよ?ブラックコーヒーは苦いから嫌ーい」

スグル「そうなんですか?僕もなんです!」

瀬川「だよねー!ブラック好きな人って大人ぶった人か喫茶店に勤めてる人くらいだよ!」

スグル「……って、そうじゃなかった。これなんですけれど」

あわあわと話を切ったスグル君がポケットから取り出したのは、コーヒーの缶だった

くれるのかな?と思って手に取ると、思った以上に軽かった

スグル「それ、瀬川さんの近くに落ちてたんです。下にあったので皆気づいてませんでしたけど……」

瀬川「あぁ、私のかもって思ってたり?」

スグル「はい。でも違うみたいですね……」

コーヒーの缶かぁ……何か証拠になるといいけど


GET:コトダマを入手しました
【缶コーヒー】
 瀬川の近くに落ちていたらしい空き缶。スグルが回収していた

231 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 22:59:20.07 ID:cPpLiNU/O

スグル「……それと」

瀬川「え?まだ何かあるの?」

スグル「モノクマに聞いてみたんです。ゲームのクリア特典は何なのか」

クリア特典……あのメチャクチャなゲームをクリアしたらくれるって言ってた癖に、結局何もなかったアレだよね

瀬川「……それで?」

スグル「特典が何なのかは教えてはくれませんでした。けど、特典はもう与えたとも言っていました」

瀬川「もう与えた?私、そんなの知らないよ?」

スグル「僕もです。嘘……なんでしょうか?」

えーと、確かあのアニメではこう言ってたよね?

―――――――――――――――――

ヨウ『今回はオマケとしてクリアした先着一名には特典を用意しておいた。早い者勝ちだぞ!』

―――――――――――――――――


ゲームをクリアした時にはスグル君も近くにいた。どっちかが勘違いしているとは思えない

それに、あの後何かが変わった様な感じも無かった

可能性があるとしたら……ううん。これはまだ言わなくてもいいよね


GET:コトダマを入手しました
【クリア特典】
 ゲームをクリアした場合に手に入る特典。先着一名限定
 瀬川がクリアした際には、特に何かが変わった様子は無かった

232 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:01:33.84 ID:cPpLiNU/O

瀬川「……ねえ、私からも聞いていいかな?」

瀬川「もしも……もしも、私が、誰かを……」


キーンコーンカーンコーン!


モノクマ『えー。捜査はもう充分だよね?こちらも学級裁判の準備が整いました!』

モノクマ『全校生徒は、彩海学園の校舎前に速やかに集合してください!そこから先は……うぷぷぷ』

モノクマ『……オマエラ自身のその目で、確かめてください!』


スグル「……始まるんですね」

瀬川「……え、あ、うん。そうだね」

鳴り響いたアナウンス。長いような、短いような時間は終わりを告げようとしていた

スグル「ところで瀬川さん。今、何か僕に聞こうとしましたか?」

瀬川「え……あ……ううん!何でもないよ!」

瀬川「本当に……何でも……」

……この質問は、聞こえなかった方が良かったよね

さあ行こうか。と声を出して、足を前に動かそうとして―――

……思いっきり、前につんのめった

233 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:09:42.52 ID:cPpLiNU/O

スグル「だ、大丈夫ですか!?」

瀬川「うん。平気平気。大丈、夫……」

……ううん。全く大丈夫じゃない

心がドキドキと鼓動する。体はガクガクと振動する

それは……目の前に迫る、学級裁判から逃げ出したいからだってわかっていた

瀬川「……ゴメン、少し部屋で休んでいいかな?」

瀬川「皆にはすぐ行くからって言っといてさ……」

スグル「わかり、ました……」

私を置いて、皆の元に向かうスグル君。彼の後ろ姿を見送りながら、ゆっくり自分の部屋へ歩いていく

何人か私とすれ違っていく。誰も彼も、どうしたのと言いたげな顔をして……私とは逆の方向へと進んでいった

誰も、私の心配なんかしないで……

瀬川「……っ!」

惨めな気持ちが、私の中で沸き上がる。あの、私を哀れむ様な、そんな目で私を見下していた

そんな目が、私は大っ嫌いだ。あの、カメラ越しに私を見るムカつく視線が……!

瀬川「……げほっ!ごほっ!」

胸のドス黒い感情のせいか、どんどん震えが止まらなくなっていく。早く休んでいかないと……!

234 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:11:54.62 ID:cPpLiNU/O



瀬川「はぅ……はぁ……」

なんとか自室まで辿り着けた。でも、ここまで来るのに何十分も掛かった気がする

時計を確認する気力も無い。ベッドに腰かけると、深くため息を吐いてみた

瀬川「……怖い、なぁ」

外に出るのが怖い。誰かを疑うのが怖い。自分が誰かに嫌われるんじゃないかという不安が怖い

目を閉じても頭をよぎる。いっそこのまま不参加になっちゃおうか。という誘惑に逆らえない

瀬川「……あは、あ、ははは!」

自然と笑いが溢れちゃう。弱虫な自分に呆れかえる

瀬川「どうして、どうしてなんだろうなぁ!何で私には出来ないんだろうなぁ!」

瀬川「どうして、私だけ……っ」

なんで。どうして。それしか言えない。だって、私は私。いつまでたっても弱い私……

皆には出来る事でも、私には絶対に無理だから……

瀬川「私だけ、どうして……!?私だって、私だって……っ!」




「変わりたいよ……っ!」



235 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:13:12.37 ID:cPpLiNU/O









『……力が欲しいの?』

『叶えてあげるよ。一番強い――にしてあげる!』









236 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:16:02.62 ID:cPpLiNU/O





陰陽寺「………………」

竹田「……遅えなぁ、本当に大丈夫かぁ?」

スグル「た、多分……」

古河「けど、もう二十分位経っとるで?」

御影「まっまさか!証拠を隠滅してるとか!?」

月乃「……捜査時間はとっくに終わってる。意味が無い」

吊井座「ど、ど、どうだかな。アイツが犯人じゃねえって根拠は無いだろ……」

照星「そーゆー疑う様な事言うのはダメっすよ!」

朝日「怖いならぁ、ぎゅってしてあげるよぉ?」

飛田「全く、危機的状況下でも品格を失わねばならぬとよくわかるな!」

臓腑屋「集団リンチでござるか!?」

駆村「波長が合うんだろ……だが本当に遅いな……」

デイビット「しかシ、このままではモノクマから何を言われるかわかったものでは無イ」

月神「…私、様子を見てくるわ!もしかして、部屋で倒れているのかも……」




「皆ー!遅れてごっめーん!」




237 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:18:27.25 ID:cPpLiNU/O

月神「……え?」

スグル「あっ!瀬川……さ、ん?」

「えへへ、やだなぁ。そんな久々に会ったみたいな顔してさ」

竹田「なんだ?来たのか?……あ?」

月乃「……私は夢でも見ているの?」

デイビット「ほウ、これハ」

朝日「わぁ、凄ぅい」

吊井座「ヒィッ!?おおおお前瀬川かよ!?」

古河「な、なんや。どうなっとるんや!?」

「どうしたの?そんなに驚いて。そんなに凄い?」

臓腑屋「凄いでござるよ!?なんでござるか!?」

照星「瀬川先輩!?どうしちゃったんすか!?」

駆村「な、何がどうしてそうなった……?」

飛田「アメイジング!これは面白い!」

皆の歓声が心地いい。さっきまでは空っぽだった心の中に、ゾクゾクとした密が満ちていく

陰陽寺「貴様、どういうつもりだ」

「?どういうつもりって……どういう事?」

御影「いやいやいや!?どういう事じゃないよ!」



御影「何その格好!?本当に瀬川さんなの!?」


238 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:20:33.72 ID:cPpLiNU/O









瀬川「……そうだよ。わからないなら改めて名乗らせて貰おうかな」

瀬川「私は……私は!超高校級のコスプレイヤー。瀬川千早希だよ!」


【超高校級のコスプレイヤー】
  瀬川 千早希(セガワ チサキ)









239 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:22:10.22 ID:cPpLiNU/O

……改めて、私の姿を確認してみる

髪の色は明るい桃色に、瞳の色も明るくして印象をがらりと変えている

スカートの丈も短くして、中のパンツが見えちゃう位脚を伸ばしている

恥ずかしくないのかって……?全然!だってこれが私の理想なんだから!

月神「そ、それで学級裁判に出るつもり……?」

瀬川「そうだよ?何か問題でもある?」

瀬川「学級裁判にどんな服装で出ようと、私の自由だもんねー!」

臓腑屋「そ、それはそうでござるが!」

駆村「しかし、モラルというものが……」

ああもう煩いなぁ。せっかく気持ちよくしているのに水を差さないでよ……

……髪形崩れてないよね?

竹田「あーちっといいか?このタイミングで言うのもアレだけどよ……」

竹田「そういやぁ、学級裁判はどこでやんだ?」

竹田さんが疑問を口にする。そうだ、学級裁判ってどこでやるの?

その答えは……案外、すぐにわかる事になった

240 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:23:45.68 ID:cPpLiNU/O

……ザザッ!




御影「うわっ!?突風!?」

月乃「……寒い」

飛田「全く、ふざけた風だ……」

月神「……!?皆!花畑を見て!」

駆村「なっ……エレベーターだと!?」

朝日「わぁ……っ。道になってるよぅ」

スグル「この先で、学級裁判が……」

風が吹いて、花園が割れる。すると、まるで海が裂けたみたいに道が出来ていた

その道の先には、エレベーターの様なものが静かに待ち受けていて……

瀬川「……よし!行こう!」

御影「早くない!?もう少し様子を見て……」

陰陽寺「貴様だけでやれ」

古河「……あー!当たって砕けろや!行くで!」

デイビット「ハ、進むしかあるまいヨ」

御影「……わかったよ!もう!」

全員がエレベーターに乗り込むと、それが合図かの様に静かに下へと落ちていく

誰も、何も話さないから、その沈黙は私達の空間に深く突き刺さる

目を閉じると……ここにはいない、かつての仲間の顔が浮かび上がってきた

241 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:24:45.54 ID:cPpLiNU/O

天地りぼんさん。小さな体に大きな元気を持っていた超高校級の家庭教師

いつ、どんな時でも明るくて、皆の事を第一に考えていた健気な女の子だった

そう言えば、パーティーは彼女の発案だったっけ。その結果は友好とは程遠いものだったけど




月神「頑張りましょう。皆……」


スグル「……絶対に、見つけないと」


照星「……押忍!ゼンリョクでやるっすよ!」


吊井座「クソ……クソっ、クソっ!」


飛田「可憐な乙女を傷つけた下衆めが……」


臓腑屋「くわばら、くわばら……」


竹田「ま、何とかなるもんさ。人生はな」




その程遠い結果を作った人は……この中にいる。何食わぬ顔をして、仲間ツラして立っている

それを見つけて、引きずり出して……その仮面を叩き潰せば、私達は元通りの関係に戻れるんだ

私が―――戻して見せるんだ

242 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:26:57.18 ID:cPpLiNU/O

……
…………
……………………

どれくらい経ったのかな。とボンヤリしていたら

チン。と音が鳴って、目の前に広がる光景が明らかになった

あの時の円陣みたいに、円を描く様並べられた席。そして、二つのモニタに映っていたのは……

モノクマ「うぷぷ、生徒さんいらっしゃーい!」

ハルカ『早速、目の前の席に立ってね!名前が書いてあるから間違えちゃダメだよ!』

ヨウ『細かい説明は後で行う。各自指定された席に向かってくれ』

御影「な……何であいつらまでいるの!?」

モノクマ「仲間外れは良くないからね。一応彩海学園のメンバーだし!」

モノクマ「まどろっこしい説明とかは丸投げ出来るからラク出来るしね!」

臓腑屋「アニメキャラを使い潰すのは止めるのでござる!」

デイビット「何でも良かろウ。さテ、始めようカ」

早く席につけ。と言わんばかりにパチパチと手を叩くデイビット君

それに合わせて、各々の名前が書かれた席に向かっていった



……これが、私と皆の学級裁判

命懸けの裏切り

命懸けの騙し合い

命懸けの裏切り合い

……命懸けの、信じ合い

ドキドキゾクゾクする感覚に身を任せて、私は目の前に立つ皆を見た

最高に心が踊る……学級裁判を始めようか!

243 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/25(金) 23:29:46.25 ID:cPpLiNU/O
本日ここまで
次回は学級裁判なので少し遅れると思います…
244 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/26(土) 21:10:33.83 ID:YVQn+NXYO

【Chapter1 イロドリミライ】
【コトダマ一覧】



【モノクマファイル1】>>217

【陰陽寺の証言】>>220

【パーティーの飾り付け】>>221

【ホットプレート】>>222

【月乃の証言】>>223

【包丁】>>224

【ケースの鍵】>>224

【エアコンのタイマー】>>225

【円陣】>>226

【御影の証言】>>226

【静かだった寄宿棟】>>228

【缶コーヒー】>>230

【クリア特典】>>231

245 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/26(土) 21:12:16.16 ID:YVQn+NXYO

【学級裁判 席順】



瀬川

月神 天地

デイビット 飛田

照星 臓腑屋

吊井座 駆村

古河 月乃

竹田 朝日

御影 陰陽寺

スグル

246 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/01/26(土) 21:16:27.04 ID:YVQn+NXYO
貼り付けミスったので変更
【学級裁判 席順】※時計回り
瀬川→天地→飛田→臓腑屋→駆村→月乃→朝日→陰陽寺→スグル→御影→竹田→古河→吊井座→照星→デイビット→月神→瀬川
247 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:21:04.95 ID:00V8gDdpO










【 学 級 裁 判  開 廷 ! 】









248 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:22:08.66 ID:00V8gDdpO

ハルカ『ではでは……まず、始めに学級裁判の簡単な説明から始めまーす!』

ヨウ『学級裁判では犯人は誰かを議論し、その結果はオマエラの投票により決定される』

ハルカ『正しいクロを指摘できれば、クロだけがオシオキ!けど間違ったクロを指摘しちゃうと……』

ヨウ『クロ以外の全員がオシオキされ、クロにはこの彩海学園の卒業権利が与えられるな』

モノクマ「うぷぷ、ボクの説明の手間が省けてラクだね!それじゃあ早速議論してください!」

月神「……本当に、この中に犯人がいるの?」

モノクマ「モチのロンです!しっかりバッチリガッツリこの中に紛れ込んでいるのです!」

モノクマ「ちなみにボクは誰が犯人なのかちゃんと判っているから安心してね!」

デイビット「フム、真偽については信じても良いという事で間違い無いナ?」

古河「なら……ウチからも聞かせてもらうわ」

古河「何で天地の写真まで飾ってあるんや!ご丁寧にバッテンまでつけおって!」

モノクマ「死んじゃったからって、仲間外れにするのは可哀想じゃない?」

モノクマ「ボクは、生徒が生きてようが死んでようが平等に扱う主義だからね!これぞ平和主義!」

臓腑屋「真の平和主義者がこんな事するわけないでござろうに……」

スグル「要は、モノクマの悪ふざけですか……」

モノクマから……というより、モノクマ達からの悪質な説明を聞いた感想は人それぞれ

ただ一つ言えるのは……きっと、モノクマの中の人はとんでもない悪趣味だ

249 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:23:26.57 ID:00V8gDdpO

吊井座「ふ、ふざけんなっ!こんなのやってられるワケねーだろっ!?」

御影「そうだそうだ!さっさと犯人教えろよ!」

照星「こんなのやってる暇なんて無いっすよー!」

陰陽寺「黙れ」

照星「むぐっ……」

陰陽寺「騒ぐだけしか出来ないなら口を開くな。何も考えられないなら黙っていろ」

陰陽寺「そうでないと、死ぬぞ」

一言。ただのそれだけで裁判場は静まり返る

純然たる事実だけが、私達に現実を突きつけてきた

御影「で、でもさ?議論って何したらいいか……」

竹田「若いのは中々裁判に関わらねえからなぁ。俺は何回か傍聴した事あるけどな」

飛田「頭のよさそうな意見のみ聞きそれ以外は排除すれば問題ない!ただしオレを疑う意見は封殺!」

朝日「それだとぉ、ずうっと議論が進まないねぇ」

月乃「……取り合えず、全員で疑問点を挙げていくのはどう?」

月神「そうね、何が事件の解決に繋がるかわからないもの……お願い、皆」

……やっと議論が始まるんだ。こんな非日常に満ち溢れた裁判、アニメみたいでテンションが上がる

私だって負けてられない。何か気になっている事があったら、頑張って発言していかないと!

250 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:25:05.15 ID:00V8gDdpO

【ノンストップ議論 開始!】

『コトダマ』
【モノクマファイル1】
【パーティーの飾り付け】
【月乃の証言】



月神「被害者は天地りぼんさん……」

デイビット「超高校級の家庭教師である御仁ダ」

月乃「……流石にそれはわかる」

御影「でも、それ以外は何にもわからないよ!」

駆村「少しは考えろ!命がかかってるんだぞ!」

飛田「くうう……っ!考える必要はない!」

飛田「【無抵抗】だった女性を問答無用で刺し殺すとは、男の風上にも置けん奴だ!」

飛田「犯人……許せん!!!」

臓腑屋「そもそも、犯人が男とも断言も出来ないでござるよ!?」


251 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:26:35.27 ID:00V8gDdpO

【無抵抗】←【モノクマファイル1】



瀬川「それは違うよ!」論破!

議論の気になった部分を見つけて、そこに、的確なコトダマをぶつけていく

パリンとガラスが割れる様な音がした。気のせいだとは思うけれど……

皆が、今、私に注目している事は確かなんだ

瀬川「ううん。多分無抵抗で殺されたんじゃないと思うな」

飛田「何?というとどういう事かね?レディ」

瀬川「えっとね、モノクマファイルにも書いてあるんだけどさ……」

デイビット「天地女史には身体中に打撲痕が見られ骨折までしていル……」

デイビット「何かしラ、乱闘があった事は確かダ」

飛田「貴様には聞いていないッ!」

古河「イッキに態度変わりすぎやろ!」

252 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:31:30.85 ID:00V8gDdpO

飛田「はっはっは!つまり彼女は酷い暴行を受けた上で死亡したと……」

飛田「……なんという恐ろしき凶悪犯!こんな奴、欠片も許す必要など無いッ!!」

臓腑屋「感情の起伏が激しすぎるでござるよ!?」

朝日「あはっ、やる気が出たならいいと思うなぁ」

竹田「あー、ちっと俺からモノクマに聞きたい事があんだが聞いていいか?」

竹田「もし、これがリンチ殺人だとしたら誰がクロになんだ?犯人わからねえだろ。そちらさんも」

ゆっくりと、だけどはっきりと主張する竹田さんが新たに話を切り出す

リンチ……つまり、複数人で暴行して殺したら誰が犯人なのかわかるの?って事でいいんだよね

モノクマ「うーん。判るっちゃ判るけど今回は気にしなくてもいいよ!」

陰陽寺「どういう意味だ」

モノクマ「今回は共犯とか無いから!正真正銘一人だけが犯人です!」

……犯人は一人だけ。それは嬉しい情報だけど……

瀬川「……そこまで言うの?」

モノクマ「アンフェア過ぎるとツマラナイからね。これくらいはサービスするよ!」

……よくわからないなぁ。私なら自分に不利になる情報は隠しておくけれど

モノクマもモノクマで、考えがあるのかな……?

253 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:32:40.63 ID:00V8gDdpO

照星「う〜ん……よくわかんないっす……」

竹田「そうか?犯人が一人だけってわかった事は大きな一歩だと思うけれどなぁ、俺はよ」

デイビット「フーム、混乱するならバ、判りやすいモノから話していこうじゃあないカ」

御影「判りやすいモノ?」

スグル「……凶器、ですね。彼女の死因ははっきりとしていますから」

吊井座「た、確か……刺殺、だよな……」

朝日「お腹をざくって刺されちゃったんだよねぇ」

古河「そないけったいな刃物なら、かなり限定されるんとちゃうか!?」

月神「でも、そんな刃物は使えないようにしていたんだけれど……」

……え?凶器なんて、もうアレで決まりだと思うんだけど

でも、皆がわからないなら教えてあげないといけないよね?凶器の正体をさ!

254 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:34:18.73 ID:00V8gDdpO

【包丁】



瀬川「これだよ!」解!

瀬川「えーっと、凶器は包丁だと思うけど……」

凶器は包丁だ。と言った私に視線が集まる。でも、この視線の意味はきっと……

御影「いやいや……それは無いでしょ?」

古河「包丁は特に厳重に管理しとったやん!」

お前はいったい今まで何を見ていたんだ。と言いたそうな呆れ顔。そうしたいのは私の方なのにね

瀬川「でも、ケースの中の包丁で、一つだけ濡れていたのがあったんだよ?」

瀬川「これって犯人が血を洗い流したからだって私は思うんだけどな」

私の出した疑問は当然の事。犯人が凶器を証拠隠滅の為に洗うのは自然な事だもん

私の結論に、周囲はおお。とどよめきたつ

議論の中心に立つこのゾクゾクする感覚、結構クセになりそう……!

……けど


         反

御影「ボクがナンバーワンだ!」

    論


御影「そんなのおかしいよ!ボクの推理の方が絶対に正しいって!」

御影君に水を注された。せっかくいい気分に浸っていたのに……

反論があるみたいだけど……サクッと切り捨てて、黙らせちゃおう!

255 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:35:16.32 ID:00V8gDdpO

【反論ショーダウン  開始】

『コトノハ』
【月乃の証言】
【ケースの鍵】
【包丁】



御影「包丁が凶器だって?」

御影「そんなの、絶対有り得ないって!」

御影「あんなに厳重に管理してたのに、使えるワケ無いってば!」



瀬川「でも、他にそれらしい凶器は無いんだよ?」



御影「そ、それは……で、でもさ!?」

御影「【鍵は見つかっていない】じゃないか!」

御影「包丁を使おうにも、使えないよ!」



256 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:36:51.83 ID:00V8gDdpO

古河「その鍵は食堂のゴミ箱に捨ててあったんや。月乃が持っとってもおかしないんやで」

駆村「そもそも見つけたのはほぼ全員だしな……」

御影「え?そ、そうなの?」

朝日「そうだよぉ」

照星「自分、そんなの初耳っすよ!?」

吊井座「お、お、俺も……しし、知らねえ……」

飛田「何故だ……何故教えてくれなかったのだ!」

古河「貴様らはサボっとったからやろが!人が必死こいて捜査しとったんのがわかっとんのか!?」



「「「ご、ごめんなさーーーい!!!」」」



古河さんの怒号でサボり組が平謝りする。本当にこの人達は……

陰陽寺「死にたいのか」

……言いたい事を陰陽寺さんに取られた。がっくし

デイビット「だガ、凶器については包丁で確定しても良いだろウ」

デイビット「議題ハ『How done it』……つまリ、犯人は斯くして犯行に及んだのカ?」

デイビット「それを辿っていこうではないカ」

257 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/03(日) 19:37:28.83 ID:00V8gDdpO
本日ここまで
次回はまたその内に更新します
258 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:38:46.91 ID:MuwXJTDQO

月神「……犯人はどうやって凶器を手にしたか」

月神「それを、今から議論していこうという事かしら?」

デイビット「如何にモ」

月神さんの問いに、デイビット君は満足げに深々と頷く

はうだにっと?ってそう言う意味なんだ……

竹田「凶器は包丁なんだろ?ならケースの鍵が無くなった時じゃあねえのか」

臓腑屋「しかし、あれだけ身体検査を行ったにも関わらず見つからなかったのでは……」

飛田「ならば逆に、包丁をケースにしまう前はどうかね!?」

朝日「包丁はぜぇんぶあったよぉ。皆でしぃっかりと確認したからぁ、間違いないと思うなぁ」

駆村「もしあるとしたら、停電の際に鍵を拾って、抜け出した後に包丁をくすねておいて……」

駆村「それをどこかに隠した後、取り直して殺しにいった。とかじゃないか?」

照星「おお!なんかそれっぽいっす!」

古河「そう言えば、ブレーカー上げに誰か行っとったな。誰やっけ?」

臓腑屋「拙者でござる!」

御影「なら犯人は臓腑屋さん!?」

臓腑屋「違うでござるよ!?どうして拙者は善意でやる事が全て裏目に出るのでござるかーっ!?」

矢継ぎ早に投げ掛けられる推論が、臓腑屋さんに矛先を向ける

世の不合理を嘆く臓腑屋さんには、流石の私も同情を禁じ得ない

でも、本当に彼女だけが怪しいのかな……?

259 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:40:36.55 ID:MuwXJTDQO

【ノンストップ議論 開始!】

『コトダマ』
【ホットプレート】
【陰陽寺の証言】
【モノクマファイル1】



臓腑屋「拙者は犯人では無いでござる!」

御影「犯人って皆そう言うよね……」

臓腑屋「違うものは違うのでござるから!」

月神「でも困ったわね……臓腑屋さんの無実はどう証明すればいいのかしら……」

臓腑屋「にゃああ……そ、そうでござる!」

臓腑屋「せ、拙者以外にも《停電中に動いた人はいた》はずでござるよ!」

吊井座「しょ、証明出来んのかよ、それ……」

臓腑屋「にゃあぅ……それは難しいでござる……」

照星「なら臓腑屋先輩が一番怪しいっすね……」

月神「何か、何か無いのかしら……?」


260 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:44:09.82 ID:MuwXJTDQO

《停電中に動いた人はいた》←【陰陽寺の証言】



瀬川「その意見、フォローするね!」同意!

瀬川「うん、確か臓腑屋さん以外にも停電中に動いていた人はいるはずだよ」

仕方ない、私が助け船を出してあげよう。丁度いい証言もあるしね

臓腑屋「にゃあ!?それは本当にござるか!?瀬川殿、忝ないでござる……!」

瀬川「そうだよね?陰陽寺さん!」

陰陽寺「知るか」

瀬川「……ちょっと!?」

私の返答を、陰陽寺さんはにべもなく返す

これじゃあ、まるで私の方が嘘ついたみたいじゃん!

臓腑屋「せ、瀬川殿……?これはどういう……」

瀬川「え、えーっとね?ちょっと待ってて……」

瀬川「……陰陽寺さん!話が違うじゃん!」

陰陽寺「僕は停電の際、動いたのはそいつ以外には一人だけだと言っただけだ」

陰陽寺「それが誰かは知らない」

臓腑屋「そうなのでござるか!?それだけでも充分でござるよ!」

陰陽寺さんの返答を聞いて、嬉しそうに肩を揺らす

最初っからそう言ってよ、もう……心臓が止まるかと思ったよ……

261 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:47:13.79 ID:MuwXJTDQO

飛田「だが……動いた人物がわからねば話は進まないのではないかね?」

駆村「お前にしてはまともな意見だな……確かに、飛田の言う通りだ」

駆村「その人物が、この事件の犯人の可能性が高いと俺は思うが……どうだ?」

御影「どう思うも何も決まりでしょ!絶対にその人が犯人だって!」

月乃「……………………」

朝日「……?月乃ちゃん。どうしたのぉ?そんなに顔を反らしちゃってぇ」

……明らかに月乃さんの態度がおかしい。具体的に言うと、キョドってる

月乃「……仕方ない。白状すると、それは私」

月乃「……お騒がせしてしまい申し訳ない」

ぺこりと小さな頭が下がる

あまり感情の出ない月乃さんだけど、今は、なんとなーく申し訳なさそうな雰囲気がひしひしと伝わってきた

朝日「あはぁ、月乃ちゃんは部屋を明るくしないと眠れない位暗いところが苦手だもんねぇ」

月乃「……余計な事は言わなくていい」

飛田「ハハハハハ!可愛いじゃあないか!」

御影「えっ!?動いていたなら、月乃さんが犯人なの!?」

瀬川「いや、それは無いと思う……」

月乃さんが襲える訳が無いよ。だって……


【月乃が停電の際に天地を襲っていない根拠は?】
1:天地の方に来ていたから
2:瀬川の方に来ていたから
3:月乃さんが人を殺す様な人には見えないから

262 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:50:09.66 ID:MuwXJTDQO

瀬川「月乃さんが人を殺す様な人には見えないからだよ!」

朝日「そうだよぉ。月乃ちゃんは優しくってとってもいい子なんだもんねぇ」

陰陽寺「だからどうした」

デイビット「麗しい兄妹愛は結構だガ、ここはなるべく明確な根拠を示して欲しい所だナ」

月乃「……あまり変な事を言うと、私まで疑われるから止めてほしい」

……違う違う。そうじゃなくてもっとちゃんとした理由があるはずだよね?


2:瀬川の方に来ていたから


瀬川「これだよ!」解!

瀬川「月乃さんは、天地さんじゃなくて私の方に倒れ込んで来ていたんだよ?」

瀬川「だから天地さんを襲う事は出来ないんじゃないかな?」

吊井座「そ、そ、そうとは言えないだろ……」

吊井座「せ、瀬川と天地は隣同士じゃねえか。別に無理でも何でもねえだろ……」

照星「それもそうっすね!性的にも!にひひっ!」

月乃「……していないものはしていない」

朝日「していないって言ってるよぉ?月乃ちゃんを信じようよぉ」

飛田「何故誰も彼女の言葉に耳を傾けんのだ!」

古河「オマエは女が絡むとめんどいねん!ちっと黙ってろ!」



御影「あっ!ならこういうのは考えられない?」



263 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:52:39.50 ID:MuwXJTDQO


月神「……御影君?何か考えがあるの?」

御影「うん!襲ったのは月乃さんじゃなくて、朝日クンだったんだよ!」

御影「双子だから顔立ちも似てるし、推理モノだと定番のトリックだよね!」

御影君が出したのは、数多の推理作品で使い古され過ぎて手垢でボロボロになる様なトリック。でもそれは……

月乃「……出来ると思う?」タユン

御影「無理でした!ごめんなさい!」

臓腑屋「どこを見て撤回したのでござるか!?」

胸をぎゅっと寄せてアピールする。あれは私でも無理だね、うん

瀬川「それに、触った私だから言えるけど、間違いなく女の子の身体だったよ?」

御影「な、ならこれはどう?瀬川さんが月乃さんのコスプレをして……」

瀬川「こやつめ、ははは。さてはコスプレを物真似か何かと勘違いしているね?」


瀬川「コスプレとは2次元の存在を3次元である肉体に投影する事であって別の物をトレースするだけの物真似とは全く別物なんだよね。まあ最近ではその境界も曖昧になってるし私も誰かの物真似位なら簡単に出来るけどそれってもう既にコスプレとは呼べないよね?そもそもコスプレするのにも1から何もしない訳じゃなくて色々下準備とか小道具の用意とか必要だし、簡単にすぐその場でドン!とは出来ないんだよ。わかってくれた?御影君」


駆村「俺には瀬川が何を言っているのか全くわからんが、無理そうだな……」

デイビット「そもそもの話、瀬川女史本人が月乃女史を受け止めている以上その説は無いだろうヨ」

御影「な、なら臓腑屋さんの変化の術で……」

臓腑屋「出来ないでござるよ!拙者は忍者では無いと何べん言えばわかってくれるのでござるか!?」

月神「このままじゃ水掛け論ね……何か他に意見のある人はいるかしら?」

264 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:56:51.37 ID:MuwXJTDQO

スグル「……あの」

おずおずと裁判場に響く声。手を挙げていたのはスグル君だ

月神「どうしたのかしら?スグル君」

スグル「そもそもの話なんですけれど、あの停電はどうして起きたんでしょう?」

スグル「犯人の目的が包丁で、それを取る為に天地さんの持つ鍵を狙ったんでしょうけど……」

スグル「だから、停電は偶然ではなく必然で起きたものだと思うんです。どうでしょうか?」

御影「あっ……確かにそうだよ!」

スグル君は、すらすらと淀み無い意見を並べていく

……そっか。停電が起きないと鍵が取れない、偶然にしては犯人にとって都合が良すぎるもんね

瀬川「凄いや!お手柄だよ、スグル君!」

スグル「あ、ありがとうございます!」

照星「いひひっ、この調子で犯人も見つけちゃうっすよ!スグルん!」

スグル「プレッシャーをかけないでください!」

微笑ましいスグル君を横目に考えてみる。停電の原因かぁ……それっていったい何だったんだろう?

ここはきっと重要な部分。それさえわかっちゃえば、この事件もサクッと解決しちゃうはず!

……はず、なんだけど……なんでだろう?

何だか凄く……嫌な予感がする様な……?

265 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 22:59:55.01 ID:MuwXJTDQO

【ノンストップ議論  開始!】

『コトダマ』
【エアコンのタイマー】
【御影の証言】
【パーティーの飾り付け】



月神「停電の原因……皆は何か思い当たるものはあるかしら?」

駆村「食堂にあった《派手な電飾》じゃないか?」

古河「あんだけピカピカしとったら、いつ停電なってもおかしないわ!」

御影「飾り付けした癖に!?」

デイビット「それならバ、パーティーが始まった瞬間停電になるはずダ」

御影「ならさぁ、《ブレーカーを落とした》んじゃない?」

朝日「ブレーカーにはぁ、【誰も触ってない】はずだよぉ」

照星「触らなくても、【スイッチがあれば】おとせるんじゃないっすか?」

竹田「遠隔操作みたいなやつか?だけどリモコンを持ってた奴はいねえ」

竹田「スイッチに【なりそうなモンはない】んじゃあねえのか?」

スグル「何か、あった気がしましたけれど……」

266 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:03:24.57 ID:MuwXJTDQO

【なりそうなモンはない】←【エアコンのタイマー】



瀬川「それは違うよ!」論破!

瀬川「ううん、あったはずだよ。スイッチじゃないけれど……」

瀬川「タイミング良く停電を起こせる方法がね!」

竹田「ん?そりゃどんなだい。瀬川の嬢ちゃん」

首を傾げながら聞いてくる竹田さん。その顔からは謎を聞くと言うよりも、確かめる様な雰囲気を感じる

瀬川「エアコンのタイマーだよ。これなら自動的に電源が入るから……」

瀬川「狙ったタイミングに調節出来るし、何より離れていても停電を起こせるよね!」

臓腑屋「そうでござる!確かに、丁度円陣の直前に設定がなされていたのを……!」

臓腑屋「拙者がしかと確認しているでござるよ!」

竹田「ほ〜……最近の家電はハイテクなこって」

月乃「……いつの時代?」

瀬川「と、とにかくこれで停電を引き起こす方法はわかったよね?」

瀬川「後は犯人を当てるだけ!楽勝だね!」



         反

古河「その推理、ダサ過ぎるわ!」

    論



古河「んなワケあるかい!停電がそんなんで起きるワケないやろ!」

……大声を上げて、私の邪魔をする古河さん

議論に間違いは無いはずだけど、何か気になる事でもあるのかな……?

古河「あんま適当言うてると……いてこますで!」

267 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:05:04.64 ID:MuwXJTDQO

【反論ショーダウン  開始】

『コトノハ』
【ホットプレート】
【パーティーの飾り付け】
【御影の証言】



古河「エアコンのタイマーが停電の引き金やと?」

古河「そんなん、絶対あり得へんわ!」

古河「飾り付けをしたウチが断言したる……」

古河「電飾とエアコンだけで、停電になんかならへんってな!」

古河「瀬川が言うてる推理は、ハナっから大きな間違いなんや!」



瀬川「確かに、それだけじゃ難しいよね……」

瀬川「停電が起きたのは……他に原因があったからじゃないかな……?」



古河「はぁ!?他の原因やと!?」

古河「そんなん【食堂には無かった】やろが!」

古河「他に【電力を消費するモン】はない……」

古河「瀬川が言うとるんは、無茶苦茶なんや!」

268 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:08:10.30 ID:MuwXJTDQO

【電力を消費するモンはない】←【ホットプレート】




瀬川「その反論、打ち切っちゃうね!」論破!

瀬川「……古河さんの言う通りだよ。確かに食堂には電力を大きく消費する様なものは無かったね」

そっか。古河さんは食堂の捜査はしていても厨房の捜査はしていないんだ……

なら、知らなくても仕方無いよね……

古河「せやろ?だから言うたやん!瀬川は……」

だから……私の推理で、ちゃんと教えてあげないとね!

瀬川「……食堂には、ね!」

古河「な、なんやと?」

朝日「ああ!もしかしてホットプレートの事を言っているのぉ?」

駆村「あの料理を暖めるのに使っていたあれか?」

古河「そ、そんなんあったんか!?」

瀬川「そそ、その数なんと五台!フルパワーで順調に動いていたみたいなんだ」

月神「それだけ動いていたなら、きっと電力消費量も桁違いだったでしょうね……」

瀬川「そんなものがパーティーの間中ずっと動いていたんだ。そのギリギリの最中で……」

瀬川「エアコンが動いちゃったから、ブレーカーがパチン!と落ちたんだよ!」

古河「そ、そうやったんか……スマン、瀬川……」

シュンと項垂れる姿に溜飲が下がる。皆も私の意見に納得したみたいで、うんうんと頭を動かしていた

269 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:09:22.85 ID:MuwXJTDQO

デイビット「フム。でハ、今までの議論を総括しておこうじゃあないカ」

デイビット「ここまでの議論でハ、犯人の行動は停電を引き起こし包丁を奪っタ……異論はあるかネ」

スグル「いいえ。それで間違いないはずです」

デイビット君の話に意義を通す人はいない。今までの議論は、皆も納得して聞いていた

デイビット「これハ、パーティーの準備に関わった人物が犯人であると示していル。逆説的ニ、それ以外は犯人では無い事になル」

照星「あ!それなら自分わかるっすよ!」

照星「自分、吊井座先輩、飛田先輩に御影先輩、陰陽寺先輩に瀬川先輩!みーんなサボってたっすから犯人じゃないっすね!」

大声で大きな胸を張る照星さん。そこはそんなに自慢する事じゃないから止めて欲しい

月神「あら?陰陽寺さんは私達の方に手伝いに来ていたけれど……」

照星「ありゃ、そうなんすか?」

月神「準備の間はずっと私の近くにいたわ。別れたのは準備が終わった頃よ」

駆村「なら、陰陽寺と月神は犯人から除外しても良さそうだな……」

陰陽寺「………………」

竹田「んなら、照星の嬢ちゃんが言った面子に月神の嬢ちゃんは犯人じゃねえって事でいいんだな?」

吊井座「そ、そ、そ、そうだ!パーティーの準備をしてた奴が犯人だ!」

古河「このヤロウ……サボッとった分際で、よくもそんなデカイ態度をとれたなぁ!?」

吊井座「ヒィィィィィィ!?!?」

月乃「……ビビらせるのはダメ。今後の議論に支障が出る……かもしれない」

御影「犯人は誰なんだよ!?もうわかってんだから自白しろよ!」

臓腑屋「候補。でござる!まだ現状では誰も犯人とは決まっていないでござるから!」

270 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:10:40.74 ID:MuwXJTDQO

犯人の候補は決まった。でも、ここからどうする?

犯人は間違いなく停電に関わってるんだけど、ここからどうしよっか……?

……停電? あれ?なら、もしかして……!

瀬川「……犯人、わかったかも……」

スグル「………!?」

デイビット「……ほウ?」

月神「!? 本当!?瀬川さん!」



裁判場に落とされた、犯人を告げる爆弾発言。その効果はてきめんだ

ざわつき始める周囲を宥めるかの様に、ゆっくりと口を開いていく


瀬川「停電まで犯行に含まれているならさ、停電が起きたタイミングも犯人が決めてたんじゃない?」


瀬川「現に、タイマーも皆が円陣で固まっていた時に入れられていたんだしさ」


頭に浮かんだ推理をカタチにしていく。……と、言っても、今までの議論で明らかになった事を継ぎ接ぎしているだけだけど


瀬川「これって、犯人は円陣の事を予め知らないと出来ないよね?だから、犯人はさ……」



瀬川「月神さん。円陣のタイミングを決めていた貴女ならわかるはずだよ」


それでもいい。目立つのに才能なんか要らない。皆の心を引き付けて、バン。と目の前で炸裂させる

しん。と静まる学級裁判。指名された月神さんは、一度目を伏せて……意を決した様に答えを告げた

271 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:13:09.00 ID:MuwXJTDQO



月神「……私が円陣について相談したのは……」

月神「……天地さんだけよ」



彼女は重たい口を開き、そう、ぽつりと告白した

十三の視線が移動していく。私の右隣の方向から、私の左隣の方向に

そこにいた……ううん。置かれていたのは、笑顔にバッテンマーク……チェックマークが書かれた人

既に、殺された……天地りぼんさんの遺影があった

デイビット「……それニ、間違いは無いかネ?」

月神「ええ。断言するわ。私はこの事を彼女にしか伝えていない」

月神「時間の指定も、最後の方が盛り上がるからと天地さんが決めたものよ」

慎重に尋ねるデイビット君に、月神さんはキッパリと答える

息を呑む音が聞こえる。悲鳴みたいな、甲高い声が耳を通り過ぎた気もする

淡々とそう伝える月神さんのその目には、いったい何が映っているのか……私にはよくわからなかった

月神「……でも!だからって、そんな事……!」

瀬川「え?何がおかしいの?だって皆で考えた推理は、こういう事でしょ?」

月神「こういう事、って……!」

月神さんの疑問を、私はすぐに切り捨てる

ここまでの推理に間違いは無い。それはきっと皆もそう思っているはずだから

私は私を信じてる。私の答えを、信じられない月神さんに突きつける様に宣言した

272 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:14:08.41 ID:MuwXJTDQO








瀬川「一連の犯行が出来たのは天地さんだけだって事なんだよ」




【 学 級 裁 判  中 断 】








273 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/09(土) 23:14:57.95 ID:MuwXJTDQO
本日ここまで
今回で大体半分くらい終わりました
274 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:24:52.06 ID:z8ypVE+IO


〜〜〜♪


ハルカ『良い子の皆ー!学級裁判楽しんでるー?』

ハルカ『え?これはなんなのかって?それは……』

ヨウ『俗に言うとCMだな。別の言い方をするなら尺稼ぎ時間だ』

ハルカ『大人の事情ってやつだね。私達には何にも関係無いけれど!』

ヨウ『それはともかく、裁判も中々な展開になってきたじゃないか』

ハルカ『事件を起こせたのは被害者だけ!?これっていったいどういう事!?』

ヨウ『信じるも信じないも流れ次第!犯人の目的、被害者の思惑、学級裁判の結末や如何に!?』

ハルカ『皆の戦いを!遥かな明日を!』

ヨウ『しかと、この目で見届けよう!』

ハルカ『バイバーイ!』


〜〜〜



275 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:26:01.23 ID:z8ypVE+IO

御影「え、えーっと、瀬川さん……」

御影「ボクにはちょっと何言ってるかよくわからないんだけど……?」

御影君が口に出す、私の発言への疑問

瀬川「言葉通りの意味だよ。今までの議論で出た結論は犯人は天地さんだって事だよね?」

古河「そ……んな訳無いやろ!あの天地やぞ!?」

駆村「彼女は俺達の為にどれだけ身を粉にしてきたか、わかっているのか!?」

飛田「そもそもりぼんは被害者なのだぞ!?それも犯行を企てた側だとッ!?」

評価は控えめに言って最悪だ。口々に私への非難と天地さんへの擁護が投げつけられる

まるで、私が悪者みたい。……どうして?おかしいよ。正しい事をしているのは、私なのに!

瀬川「……皆、私が間違ってるって言いたいの?」

瀬川「なら教えてよ。何処から、どういう風に私が間違えたのかさ」

静かに、少しだけ睨み付けながら皆に問いかける

一気に場が押し黙る。私の質問に、ちゃんと答えられる人は誰もいなかった

瀬川「……無いでしょ?なら議論を続けて……」

月神「……いいえ。まだ議論は続けさせて貰うわ」

瀬川「……なんで?」

月神「皆が納得したわけじゃないわ。まだ、信じきれていない人だっている」

月神「それなのに、皆で議論を進めていくなんて、出来る訳ないもの」

276 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:27:03.81 ID:z8ypVE+IO

…………何それ?

瀬川「……私が悪いって言いたいの?」

月神「そうじゃないの。ただ議論を続けていけば別の可能性も……」

瀬川「悪いって言ってるじゃん!そう言いたいならそう言いなよ!」

月神「そんな事言っていないわ!ただ、皆の意見や理解をちゃんと……」

瀬川「何言ってるの!?皆だって、私の答えに納得してるって……」

竹田「あー……悪いな。まだ決められねえんだわ」

…………………………は?

駆村「幾らなんでも強引過ぎる……!まだそれ以外の考え方だってあるはずだろ!」

照星「自分も悪いっすけど、まだちょっと信じられないっす!」

月乃「……もう少し根拠が欲しい」

朝日「私はぁ、議論していいとも思うなぁ」

瀬川「……そ、んな」

否定。否定。否定。否定。否定…………拒絶

頭の中で声が反響する。より酷く、より醜く、より私を責めるように歪んでいく

ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐるぐるり。吐き気がする程目が回り、目眩がする程頭が揺れる

胸の奥からナニカが溢れる。それは言いたくない、考えたくないような黒い感情で……

もう、喉の奥。言葉になって、突き刺さる寸前まで出かかっていて……




スグル「……瀬川さん?」




277 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:28:45.66 ID:z8ypVE+IO








瀬川「……うん。大丈夫だよ」

瀬川「じゃあ、議論を続けようか」

それを、ごくりと飲み込んで平静を装う

平気、平気。私はまだ大丈夫。そう言い聞かせながら息を整える

学級裁判はまだ続く。ドクドクと高鳴る心は、もう少し待って欲しいみたいだけどね


278 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:29:39.62 ID:z8ypVE+IO

【ノンストップ議論  開始】

『コトダマ』
【円陣】
【パーティーの飾り付け】
【ホットプレート】



月神「本当に、天地さんが犯人なの……?」

御影「そんなの信じられるワケないってば!」

駆村「瀬川の推理の根拠は……」

駆村「円陣のタイミングで《停電が起きた》部分を指しているんだろうが……」

駆村「だからと言って、犯行を行えたのが一人だけとは限らないだろ!」

照星「別の人が【天地先輩から聞いて】……」

照星「計画を考えたかもしれないっすよ!」

駆村「停電を起こせた人間は他にもいる……」

駆村「天地だけに【出来た事は無い】はずだ!」



279 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:31:06.26 ID:z8ypVE+IO

【出来た事は無い】←【円陣】



瀬川「それは違うよ!」論破!

瀬川「停電を起こせた人は確かに他にもいる……けどね。やっぱり犯人は天地さんだよ」

瀬川「だって、このままだと皆には出来ないある事が必要だからさ……」

駆村「何……っ」

御影「ある事……なんかあったっけ?」

飛田「覚えていないなぁ〜、オレが覚えているのは夕と凛々の柔かな手の感触だけだ!」

月乃「…………えぇ?」

古河「キッッッッッッモいわ!!!」

照星「幾らなんでもそれはドン引きっす……」

臓腑屋「怖いでござる!怖すぎるでござる!」

無遠慮過ぎる発言で、女性陣からの手酷い罵倒を一身に浴びせかけられる

無関係なはずの男子も、彼の発言に鳥肌が立ったのか手を擦り合わせる人もいた

吊井座「痛つっ……そ、そ、それで、なんだよ。天地しか出来ねえ事って何だよ……?」

手を離した吊井座君が議論を戻す。天地さんにしか出来ない事。今回の事件のキーを担った事は……



【天地にしか出来ず、犯行の鍵となった行動は?】
 解:ご○○い

280 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:31:59.22 ID:z8ypVE+IO

解:ごうれい(号令)




瀬川「これだよ!」解!

瀬川「皆、停電が起きる前の事は覚えてる?」

竹田「停電の、前だぁ……?」

少しずつ、少しずつ当時の状況を思い返していく

見終わったDVDのテープを巻き戻すみたいに、読み終えた漫画のページを捲り直す様に

月神「停電が起きる前……私達が円陣の並びで並んでいた時の事かしら?」

瀬川「うん。停電が起きた時、私達は円を描いて並んでいたよね。全員が全員の近くに来る様に」

必要なピースを揃えていく。議論に有効なコトダマを選別し、そこから更に錬磨する

瀬川「だけど、もし停電が起きたタイミングで他の皆が離れていたら?逆に、円陣になる前に停電が起きていたら?」

削った言葉の破片を投げる。それは水面に落ちた屑の様に波紋を裁判場に広げていく

臓腑屋「にゃあ……それは、やはり全員が好き勝手に散り散りに動くのでは?」

朝日「私はぁ、怖いから屈んじゃうかなぁ?」

朝日「でもでもぉ、円陣の時は月乃ちゃんが隣にいたから安心出来たんだぁ〜」

月乃「……へし折られたいの?」

月神「……あっ………!?」

デイビット「ほウ。成る程ナ」

御影「えっ、今ので何か納得する要素あった?」

そして、水底に辿り着く。知恵の泉のお話の様に

どうやら何人かは理解してくれたみたい。私の推理の源泉を……!

281 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:33:06.61 ID:z8ypVE+IO

瀬川「前提として、天地さんは自分が襲われた様に皆を錯覚させる必要があるんだ」

照星「えっ……なら、あれって嘘なんすか!?」

陰陽寺「そもそも、天地が襲われたという事自体が疑問だがな」

陰陽寺「衣服の乱れも無く、暴行の形跡も無い。双子の片割れが瀬川の方に行った以上、そいつが犯人でも無い」

陰陽寺「あの短い停電時間で、あの小さな鍵を盗める奴はいるのか?それも全員に悟られずにな」

私の推理の補足をしてくれる陰陽寺さん。あの冷酷無比な切れ味が、今はこの上なく頼もしい

その勢いのまま、推理を切り刻む。忘れない様に、記憶の底から当時の事を引きずり出して……!

瀬川「鍵は隠したのかわからないけど……でも、今はどうでもいい事だよね」

瀬川「問題はその前……襲われた様に見せ掛けるには、皆の目の前で停電になった方が都合がいい」

瀬川「だから……天地さんは利用したんだよ。月神さんの提案した円陣を……!」




月神「ふふふ。それじゃあ最後の号令よろしくね。天地さん」

天地「はーい!それじゃあさん、にー、いちで行くよー!」



天地「さん!」

天地「にー!」

天地「いち!」




282 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:33:58.00 ID:z8ypVE+IO

スグル「あっ……そうだ。思い出した……!」

ハッと表情を変え、スグル君が目を光らせる

その顔つきは普段の幼げなモノじゃない……覚悟と決意を秘めた顔で……

スグル「あの時、天地さんは号令の前に不自然な間を用意していたんです。最初はタイミングを測っていただけだと思ったんですけど……」

瀬川「見事に謀られたって訳だね。もし少しでもズレていたら、この計画は成り立たなかったよ」

私も負けてはいられない。入念に研ぎ澄ませた推理を構えて


瀬川「この計画で一番重要だったのは、停電を起こす事でも、停電が起きた直後でもない……」

瀬川「『停電が起きる直前』こそ、天地さんの一番重要な部分だったんだ」


突き付ける。刃物の様な推理は今、学級裁判場を切り裂いた

月神「……どうして、どうしてなの?」

月神「どうして、天地さんともあろう人が、こんな事を……?」

ぽつりと、何かが零れた様な月神さんの疑問の声

きっと、彼女が求めているのは―――納得だ

だから納得させてあげよう。これ以上の、悪足掻きを止める為にも


【天地りぼんの動機とは?】

283 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:35:10.46 ID:z8ypVE+IO

【クリア特典】



瀬川「これだよ」解!

瀬川「……皆はさ、あのゲームってプレイした?」

ヨウ『ナゲミデスカイの事だな?』

御影「え?ゲームならプレイしていないけど……」

ハルカ『ナゲミデスカイの事だね!?』

瀬川「…………とにかく、誰もやっていないって事でいいよね?」

ノイズは無視して話を進めよう。幸い意図は伝わったみたいで、皆は首を横に振って示してくれた

瀬川「私、パーティーが始まる前の日に、ゲームをクリアしていたんだ」

その言葉を聞いた途端、ざわめきはより大きく動き出す。不意に、有り得ないモノを見たかの様に

月神「な、なら……瀬川さんは特典を貰ったの?」

瀬川「ううん。私はその特典を貰っていないんだ」

御影「はぁ!?何だよそれ!特典が貰えるって嘘なの!?モノクマ、騙してたんだな!?」

モノクマ「うぷぷっ、騙されたって言う奴は最初から何も考えていない奴なんだよね。ボクは嘘は言っていないよ。文句はアニメに言ってね!」

御影「二次元にクレーム!?ボケ老人かよ!」

御影君の憤りは涼しく流される。私も最初はそう思っていたけれど……

瀬川「多分、モノクマは間違った事は言っていないはずだよ……それを証明したいからさ」

瀬川「ゲームの説明があった部分、もう一度ここで再生してくれない?」

私が言うより当人に説明して貰った方が理解してくれるはず。モノクマは、ラジャー!と言うとリモコンを操作し始めた……


284 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:36:19.00 ID:z8ypVE+IO

モノクマ「えーと、ここら辺でいいかな?再生!」




ハルカ『タイトルは『ナゲミデスカイ』!設置直後にバランスの問題で高速撤去された問題作!』

ヨウ『今回はオマケとしてクリアした先着一名には特典を用意しておいた。早い者勝ちだぞ!』





スグル「……あっ!」

朝日「そっかぁ。早い者勝ち……」

再生された箇所は、記憶と相違無い音声でリプレイされる

何人かは合点がいったみたいで頷いている。そう、これは―――

瀬川「特典が貰えるのはクリアした人じゃなくて、一番早くクリアした人……」

瀬川「それは唯一クリアしている私じゃない以上、他の誰かが先にクリアしていた事になる」

瀬川「どうしてその人は名乗り出ないのかな?ううん。きっとここには居ないからなんだよ」

告げる。ゲームをクリアした人、特典を持ち逃げ出した人を

瀬川「ここに唯一居ないのは……天地さんだけだ」

瀬川「きっと、これが天地さんの動機になったんじゃないかな?」

結論は出た。これが私の出した真実

皆の反応は……予想とは大きくかけ離れていた

285 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:37:29.61 ID:z8ypVE+IO

古河「ふっ……ふざけんなや!滅茶苦茶過ぎや!」

駆村「ゲーム如きで人殺しだと?馬鹿にするな!」

月乃「……千早希の推理は、まだ不完全。この場の全員に認めさせるには力不足」


ほとんどの人は私の出した推理に否定的だ

それもそっか。ゲームが理由で殺人なんて、小学生じゃあるまいし……

信用して貰えない様な気はしてた。でも、この推理を信じて貰わないと……


スグル「……信じますよ」

瀬川「……えっ?」

スグル「僕は、瀬川さんの推理を信じてみます。どれだけ有り得なくても、最後に残った結論が……」

デイビット「真実であル。……スグル氏も中々良い事を言うじゃあないカ」

陰陽寺「今更有り得ない等通用しない。ここまで来て、クロを取り逃すものか」

スグル君の言葉に賛同する様に、デイビット君と陰陽寺さんが私の推理に同調してきた

月神「……でも、どうしましょう?意見が二つ。このままだと平行線ね……」

不安げに思案する月神さん。彼女が再度口を開こうとした瞬間―――



ハルカ『ん?今、意見が真っ二つって言った?絶対に言ったよね!?』

ヨウ『だとしたら、この特製学級裁判場の真骨頂。変形裁判場の出番だな!』

モノクマ「それでは、議題は『天地りぼんさんは一連の犯行を行えたのか?』!?」

モノクマ「ではではオマエラ方、全身全霊の死ぬ気で、張り切って行きましょーう!」


286 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:39:15.58 ID:z8ypVE+IO

瀬川「え?何言って……きゃっ!?」

御影「うわぁ!?足元が動いてる!?」

竹田「しっかり捕まってろよ?ついでに下は見ない様にしておけよ」

吊井座「い、意識させるなよ……っ。うぉっ!?」



モノクマが手元のスイッチを動かすと、私達の身体が……席が宙に浮いていく

心に余裕が出来て、落ち着いてよく見たら……裁判場そのものもどんどん変化していった

私と月神さんが向かい合う様に移動していく。私の隣には、さっき私に賛同してくれた三人が

月神さんの隣には、それ以外……天地さんの遺影も含めて、否定的な全員が隣に並んでいく

まるで私達の間の対立が具現化する様な隊列。私の目の前に立ちはだかる敵を前にして、私は……



スグル「……?瀬川さん、笑っているんですか?」

瀬川「……ううん。笑ってないよ」

愉しい。どうしてかわからないけど、そう感じていた

直ぐに表情を元に戻す。他の皆も気を引き締め直して此方を見据えていた

瀬川「それじゃ、早速始めよっか……」

瀬川「私と皆、どっちが本当に正しいのかをね!」

手をビシッと伸ばして宣言する。それを皮切りに、合戦の様な議論が始まった……!

287 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:40:26.89 ID:z8ypVE+IO

御影「ゲームをやったのは瀬川さんだけって、幾らなんでも嘘臭過ぎるでしょ!」

御影「本当は瀬川さんが特典を持ってて、それを隠してるんじゃないの!?」

スグル「それは違うよ!」

御影「ふあっ!?」

スグル「瀬川さんがクリアした時、僕も側にいたんです。特典らしきものは有りませんでした」

スグル「勿論、それ以前にクリアしていた可能性もありますが……それまでにコインが見つからなかった以上、その可能性は低いと思います!」


意見と意見が交差する―――


駆村「そもそも、瀬川の言う計画そのものだって滅茶苦茶じゃないか!」

駆村「どれだけ緻密な計算をしても、他人任せな以上、この計画には運が絡む……」

駆村「全員の行動を把握し、停電まで時間を引き延ばしてタイミング良く動くなんて不可能だろ!」

デイビット「フム、確かにそうだナ。しかしこう考えられなくは無いかネ?」

デイビット「天地女史ハ、果たしてパーティーの際に事件の成功を予期していたのカ?ト」

古河「はぁ……?」

陰陽寺「まず、停電が起きなかったらどうする?何もせずパーティーを切り上げればいい」

陰陽寺「次に円陣の前後で停電が起きた場合。これもパーティーを続行すれば何の問題もない」

陰陽寺「鍵は、最初から天地が手に持っていたのだからな」

古河「そ、そなら!身体検査の時に鍵が見つかってたらどないしたんや?」

デイビット「その場合は白を切り通せば済む話ダ」

陰陽寺「結局事件は起きて無かった。これだけで終わりだ。また別の機会を狙えばいい」

デイビット「何れにせよ彼女にダメージは無イ。単純な分、幾らでも応用が効く計画という訳だナ」


反論を捩じ伏せ、押し潰す―――!
288 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:42:05.18 ID:z8ypVE+IO

月神「……まだ、疑問があるわ」

瀬川「まだ?何が疑問なのか言ってみてよ」

月神「特典の事よ。ゲームのクリア特典を天地さんが隠し持っていたなら……」

月神「誰かがそれを見ていたと思うの」

瀬川「……誰か見た?」

朝日「うぅ〜ん。私は知らないよぉ」

臓腑屋「拙者も心当たりは無いでござる……」

誰も、そんな怪しいモノを見ていない。ここまではまだ予想内の範疇だ

怪訝そうな顔が一斉に私を見つめる。不審そうな目からは、私の言葉が紛い物だと語っていた

この場で糾弾すべきは、この中にはいない。なら、答えは一つだけ―――!


瀬川「……モノクマ。一つ聞いていいかな?」

モノクマ「ん?何?ファイナルアンサー?」

瀬川「特典って、どんなモノなの?例えば凶器とか、ファイルとか……」

モノクマ「お答えしましょう!特典の正体とは!」

ハルカ『皆が知りたがっている情報の入った、特別な映像だよ!』

ヨウ『彩海学園生徒垂涎の代物だ!尤も何が映っていたのかまでは教えられないがな』

期待していた以上の答え……何故かアニメからだけど……に、内心でぐっとガッツする

瀬川「……まあいいや。とにかく、特典の正体は映像だったんだ。見てなくても当然なんだよ!」

私の発言で勝利が確定した。これで、トドメ!



瀬川「これが、私達の答えだよ!」全論破!!!

289 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:43:19.44 ID:z8ypVE+IO

月神「……本当に、彼女が……」

駆村「認めたくは無いがな……」

……これで議論は一段落。でも、肝心の問題がまだ残っている……

御影「……あれ?天地さんが停電を起こした犯人なのはわかったけどさ」

御影「結局、天地さんを殺した犯人って誰なの?」

照星「げっ!?そう言えばそうだったっす!」

デイビット「不味い事に、今までの議論は全て根本的に的外れだった訳ダ」

デイビット「恐らク、犯人は本来の被害者……天地女史に狙われた方だろうヨ」

竹田「被害者と加害者が逆転しちまったって訳か。で、こっからどう議論すんだ?」

月乃「……どうするも、何も…………どうする?」

御影「臓腑屋さん!忍者として何か案無い?」

臓腑屋「にゃあ!?拙者もわかんないでござる!」

古河「な、なんか他に証拠は無いんか!?」

陰陽寺「ある訳が無いだろう。犯人すらも想定していなかった筈だからな」

スグル「……犯人に繋がる決め手は、ありません」

全体に暗い雰囲気が漂っていく。先が無くなって、立ち往生するかの様な諦めのオーラ

敗けを認めたかの様な、深い、深い負の感情

……私は認めたくないけれど、これってきっと……

吊井座「つ、つ、詰んだ……って、事か?」

290 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:44:28.81 ID:z8ypVE+IO

飛田「ど、どうするのかね。このままではッ!」

モノクマ「そうそう。議論にもタイムアップはあるからね?勤務時間も決まってるし」

御影「わああああ!?!?どうするのさ!?」

月神「落ち着いて!とにかく、もう一度議論の流れを纏め直して……」

古河「せやな!……って、結局天地やん!」

臓腑屋「犯人は誰なのでござるかーっ!?」

竹田「おうおう、落ち着けっての。ところでちっと煙草吸っていいか?」

モノクマ「ダメです!裁判場は禁煙だよ!」

スグル「どうすれば……でも、このままじゃ……!」

瀬川「…………」



絶叫、狂騒、大混乱。裁判場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた

私の頭の中で、最悪の結末が構成される。それは、こんな生ぬるい地獄なんかじゃなかった

そんなエンディング、絶対に向かわせる訳にはいかない。けど……!



瀬川「……やるしかない。か」

瀬川「私が……!」

この状況だし、やむを得ない。今必要なのは強引に議論を動かす事だもん

偽りでもいい。虚飾でもいい。どんなに無理な事でもいい

議論を動かして、犯人を炙り出してみせる

例え、それが……『嘘』だったとしても―――!



291 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:45:39.17 ID:z8ypVE+IO

【ノンストップ議論  開始】

『コトダマ』
【パーティーの飾り付け】
【静かだった寄宿棟】
【御影の証言】



御影「うわあああ!!どうしようどうしようどうしよう!?!?」

月神「落ち着いて!微かな事でもいいから……」

月神「何か、小さな違和感や、他に気になった事は無いかしら!?」

吊井座「ん、んな事言われても……っ」

竹田「なら言うがよ、天地の嬢ちゃんはどうやって呼び出したんだ?」

駆村「前もって被害者を【呼びつけておけば】良くないですか?」

照星「今日じゃないなら、【手紙とか書き置き】とかでも良さそうっすね……」

飛田「とにもかくにも、昨夜は静寂に包まれていた事には間違いないッ」

飛田「犯人は【事件前に呼び出された】のだッ!」

292 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:46:48.82 ID:z8ypVE+IO

瀬川「…………」

議論は終末に向けて進みだす。けど、それはきっと進むべき方向を間違っていて

私は、今からその方向を更に歪める。誰も予想出来ない次元へ、意図的に議論を捩じ曲げる

許されない事だって判っている。けれど今はそんな優しい事は言っていられないんだ

それで、私が皆を救えるなら―――!



【事件前に呼び出された】←【静かだっ【声の聞こえた寄宿棟】


瀬川「これで嘘つきを暴くよ……!」偽証!



瀬川「ううん、飛田君。それは違うよ」

飛田「何?というと、どういう事だい?」

デジャヴを感じる光景に、薄く笑いを浮かべながら淀み無く証言していく

たった今脳裏に浮かび上がった、偽りの証言を……

瀬川「多分、天地さんはパーティーが終わった後、寄宿棟に行っていたはずなんだ」

瀬川「だって、うっすらだけど、と天地さんと誰かが話しているのが聞こえたもん」

瀬川「それが誰かまではわからないけど……きっとその時に犯人は天地さんに呼び出されたんだよ!」

口から出てくる嘘に任せる。これで、どうかな……?

293 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:48:16.32 ID:z8ypVE+IO

御影「い……いやいやいや!?何で今更そんな事を言い出すのさ!」

瀬川「だって今まで議論に出なかったし……」

月乃「……議論に出なかったから言わなかった?それは少し不自然」

駆村「そもそも、あの寄宿棟は全室防音設備があるんじゃないのか?」

瀬川「えっ?そうなの?」

朝日「ちょっと気になって聞いてみたんだぁ。ねぇ?スグルくぅん」

スグル「は、はい!間違いありません!前に古河さんも部屋にいた時には聞こえませんでしたし……」

古河「あぁ!そいやそんな事あったなぁ!」


……マズイ。防音なんて聞いてないよ

とにかく、今はなんとか誤魔化し続けないと……!


瀬川「えっと、その時、私は外に出ていたから聞こえたんじゃない?」

デイビット「ほウ?外にいたのに天地女史、及び呼び出された者は見ていないのかネ?」

吊井座「そ、そ、そもそも、手紙で来たのにいる訳ねえだろ……」

照星「てゆーか、夜に一人で外でブラブラしてるっておかしくないっすか!?」

瀬川「お、おかしな事じゃないよ!ほら、そういうセンチメンタルな気分になっただけで……!」

臓腑屋「ならないでござる!幾らなんでも怪しすぎるでござるよ!?」

瀬川「うぐっ……!?」



………………。



294 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:50:01.68 ID:z8ypVE+IO

竹田「おいおい嬢ちゃん……こりゃまたいったいどういう事だ?」

陰陽寺「嘘を吐いたんだろう。明らかに、たった今考えた出任せだろうがな」

御影「う、嘘ぉ!?」

月乃「……どうして、そんな必要が?」

吊井座「き、決まってんだろ!そいつがこの事件の犯人なんだ!」

スグル「瀬川さんが……!?」

飛田「そんなバカなッ!何を根拠にッ!」

デイビット「混迷を予期シ、そこへ追い討ちをかけるべく嘘を話しタ。フム、おかしな話ではなイ」

駆村「時間を更に引き延ばす為に、無駄な議論をさせようとしたのか!?」

臓腑屋「そ、その様な事まで考えて……!?」

瀬川「………………」

スグル「……瀬川さん。嘘ですよね?」

スグル「僕には、貴女がそんな事をする人には見えません……!」

月神「瀬川さん……本当の事を言って!」


……私を身体を視線が射抜く。そこに宿っているのは疑いだ

何か言わないと。このままだと。そんな考えが頭をよぎっては消えていく

だけど、今はそんな事をする余裕なんて無い

だって、私は、今……

月神「……瀬川さんっ!どうなの!?」



295 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:54:08.50 ID:z8ypVE+IO

「……ふ」

……最高に

月神「……?」


「ふ、ふふ……ふふふ!」

ドキドキしてて、ワクワクしてて……


駆村「な、何だ……?」

スグル「瀬川、さん……?」


「ふふ、ふふふっ。……あはっ!」

身体がおかしくなっちゃうくらい、心がバグっちゃうくらい!


朝日「笑って、いるのぉ?」

御影「こ、怖いよおおおお!!」

古河「なんやコイツ……頭おかし過ぎるやろ……!」



「あはっ!あはははっ!!あはははははっ!!!」



瀬川「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!!!!!」

瀬川「ははっ……!はははっ!!」

瀬川「つーかまーえた……っ!」



最っ高に、愉しいんだからさっ!!


296 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:55:05.52 ID:z8ypVE+IO

瀬川「結論から言っちゃうと……そう。大正解!」

瀬川「さっきのは全部私の嘘なんだ。ゴメンね!」

あっさり皆にネタばらし。余韻で興奮が冷めやらない火照りを自覚する

ぺろっと舌を出してごめんなさい。これで、少しは皆も許してくれるよね?

だって、これからもっと楽しい事があるんだから!

スグル「嘘……!?どういう事ですか!?」

駆村「ずっと俺達を騙していたのか!?瀬川!」

瀬川「騙していた訳じゃないよ。だってこうしないとわからなかったしさ」

瀬川「私以上の嘘つきが、さ!」

陰陽寺「わからなかっただと?」

臓腑屋「いったい全体何の事やら……」

月神「……まさか、犯人がわかったの?」

月神さんからの静かな問いに、私は自信に満ちた顔で、うん。と答える

瞬間。皆からは裁判で一番のどよめきが沸き上がる

―――わかった。天地さんを殺した犯人の正体が



……今回の犯人は、普通に議論するだけじゃ絶対に辿り着けなかった

歪に議論が曲がった事で、その歪みから溢れた真相を見つけ出す事が出来たんだから



嘘から産み出した真実を武器に、犯人を追い詰める

まるで、悪魔や魔物に立ち向かう勇者の様に、魔法の様な呪文を唱えた


瀬川「犯人は、貴方だよね?」



【この事件の犯人は?】

297 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:56:20.03 ID:z8ypVE+IO



【吊井座 小牧(ツルイザ コマキ)】



吊井座「………………………………」

吊井座「………………………………は?」

指を指すその先、そこには目を見開いた吊井座君が立っていた

その目に浮かぶのは混乱と動揺。彼にとってはまさしく青天の霹靂だろう

後もう少しで、勝ち逃げ出来ていたんだから……

吊井座「な、何。何、おま、お、何、言って!」

古河「は……はぁぁぁぁぁ!?」

臓腑屋「吊井座殿が、犯人でござるか!?」

瀬川「うん。間違いなくね!」

吊井座「お、おまっ、な、い、言いがかりだ!お、俺、俺は、犯人じゃ!」

瀬川「モノクマ!投票よろしく!」

モノクマ「ラジャー!それではオマエラ、お手元のボタンで投票してくださーい!」

吊井座「はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

これ以上の議論はするだけ無駄だ。さっさとこの学級裁判を終わらせちゃおう

そう思って、手元のボタンに手をかけようとして、不意に多きな声が反響した


298 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:57:29.69 ID:z8ypVE+IO







月神「いい加減にしてっ!!」







299 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:58:16.51 ID:z8ypVE+IO

瀬川「……え?」

月神「瀬川さん。貴女は間違ってる……誰かを騙して答えを得るなんて間違ってる!」

月神「私は、そんな議論はしたくない。何かを犠牲にまでして生きたくない」

月神「誰かを疑う議論より……誰かを信じる議論がしたいの!」

キッとした顔つきで、私を睨む月神さん

清廉潔白で品行方正な……純粋無垢とも呼べるその清らかな態度

それが、私は何よりも……ムカついた

瀬川「何それ、ふざけてるの?どんな手段取っても犯人を見つける事が大事でしょ?」

月神「違うわ。信じて、信じて、信じて……その先で結論を出したいの」

瀬川「信じて信じてって……その中には人を殺した犯人だっているんだよ?」

瀬川「その上、学級裁判ではどっちが勝っても死ぬしかない……それなのに信じるなんて意味無い!」

月神「意味が無いなんて事は無いわ!だって、私達は仲間なんだから!」

瀬川「その大切な仲間を殺した犯人だっているんだよ!月神さんは……偽善者だよ!」





月神「それでもいい!」

瀬川「っ!」

300 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 19:59:38.43 ID:z8ypVE+IO

月神「……瀬川さんの言う通りよ。きっと、私は偽善者なんでしょうね」

月神「でも!私は誰かを信じたい。それが例え、犯人だったとしても!」

駆村「そ……そうだ!瀬川は犯人である根拠も言っていないじゃないか!」

照星「そうっすよ!瀬川先輩はどうして吊井座先輩が犯人だって言ったんすか!」

月神「吊井座君も落ち着いて、大丈夫よ。貴方が犯人じゃないならそう言えばいいんだから」

吊井座「え?あ、ああ……おう」

……余計な事を。お陰で学級裁判が長引いちゃったじゃん

なんだか、私が悪者みたいに言われてるし……

瀬川「……さっきの議論で、吊井座君が言った事を覚えているかな」

瀬川「確かに、吊井座君はこう言ったんだよ……」



吊井座「そ、そ、そもそも、手紙で来たのにいる訳ねえだろ……」




瀬川「吊井座君は『手紙で来た』って言ったんだ。でもおかしいよね?」

瀬川「他の皆は別の可能性だって挙げていたんだ。なのに吊井座君だけは手紙って断言した……」

吊井座「……!?」

瀬川「どうしてなのかな?いや、聞かなくてもわかるけどさ……」

瀬川「実際に手紙で呼ばれたから。そうだよね?」


301 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:00:46.74 ID:z8ypVE+IO

吊井座「……ハッ。ば、バッカじゃねえのか?」

吊井座「そ、そ、その程度で、お、俺が犯人だって言っていたのかよ……」

瀬川「……へぇ?反論があるんだ?」

吊井座「と、当然だろ!おっ、俺が手紙って言ったのは偶々だ!」

吊井座「て、照星が言ってたろ。手紙や書き置きでもいいって……」

照星「あっ!確かに言ったっすよ!」

吊井座「だっ、だから!お、お、俺はそれが正しいんじゃないかって、そう思っただけだ!」

デイビット「フーム。意見で連想した訳カ。考えられない話では無いナ」

吊井座「そ、そうだろ……?だ、だ、だから、別に怪しくもなんともねえんだよ……」

月神「そうね……私も、少し無理があると思うわ」

吊井座君の弁明は、なんとか彼の首の皮を繋げる事に成功したみたいだ

そして、それが意味する事は……私への疑いをより強める事になる

月乃「……なら、言い出した千早希が怪しくなる」

竹田「そうだなぁ。言い出しっぺは嬢ちゃんだ。当然何か言い分はあるんだろう?」

陰陽寺「当然、無いなら貴様が犯人に最も近い人間となる。その覚悟はあるか?」

……冗談じゃない。私が犯人?そんな結末は認めてたまるもんか

瀬川「……勿論あるよ。私が犯人じゃないって事、皆に認めて貰うからね!」

……なんて言ったけど、正直そんな証拠は無いんだよね

仕方無い。ここも嘘で乗りきっちゃおう……!

302 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:02:19.10 ID:z8ypVE+IO

【ノンストップ議論  開始】

『コトダマ』
【パーティーの飾り付け】
【ホットプレート】
【包丁】
【御影の証言】



吊井座「お、お、お、俺が犯人だって根拠は……」

吊井座「無えも同然じゃねえか……」

吊井座「そ、そ、そういうお前は……っ。瀬川は、どうなんだよっ!おい!」

月神「瀬川さんにも、吊井座君が犯人だって理由があるはずよ」

吊井座「そ、それは何なんだよっ!?今、ここで、言ってみろよ!」

駆村「《凶器》……は、誰でも取れたしな」

竹田「《犯行現場》に何かあったか?」

臓腑屋「よもや《ダイイングメッセージ》でも見つけたのでござるか……?」

吊井座「な、何でもいいだろ……!お、俺は!犯人なんかじゃねえんだ!」

吊井座「そいつの、い、言っている事は……ぜ、全部!デタラメなんだよ……!」


303 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:03:08.44 ID:z8ypVE+IO

《凶器》←【包【証拠の残った包丁】



瀬川「これで嘘つきを暴くよっ!」偽証!

瀬川「……待ってよ。誰が吊井座君を犯人だって証拠があれだけだって言ったの?」

吊井座「だ、だからそれ以外のしょ、証拠を……」

吊井座「………………は?」

瀬川「だから、まだあるんだよ。証拠がね!」

……嘘だけどね!それっぽいので誤魔化しちゃおう

でも、私だけが話すだけじゃ、絶対にさっきみたいに嘘ってバレるから……

瀬川「凶器に使われた包丁には、実は、まだ証拠が残っていたんだよ」

瀬川「そうだよね?一緒に見てた月乃さん?」

朝日「そうなのぉ?月乃ちゃん」

月乃「……知らない。初耳」

瀬川「えーっ、忘れちゃったの?ほら、アレだよ、ア、レ!」

月乃「……???」

頭に無数のハテナが浮かんでは消えている。本気で月乃さんは思い出そうとしているんだ

でも、ゴメン……そんな事は一言も言っていない。月乃さんは大人しいから簡単に丸め込めると思ったんだ……

そんな私の心配を余所に、月乃さんはうんうんと頭を動かして悩んでいた

月乃「……どうだったっけ。うん、忘れた」

御影「いや忘れちゃダメでしょ!?」

竹田「しゃあねえ、嬢ちゃん。教えてくれや」

瀬川「イヤ」

吊井座「はぁ!?」

304 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:04:21.76 ID:z8ypVE+IO

瀬川「だって私が言うと皆信じてくれないし……」

臓腑屋「いやいやいや!?そんな事言っている場合では無いでござろう!?」

月神「その態度は非協力的過ぎるわ。お願い、私達にも教えて……!」

瀬川「えー、しょうがないにゃあ……」

瀬川「……だったら、もう一度議論しようよ。そうすればきっとわかるはずだからさ」

瀬川「吊井座君が、犯人だってね……!」

……唐突だけど、人は、自信ありげに説明されると矛盾があってもそれが正しいと思い込むものだ

そこにどれだけ信頼が無くても、根拠に裏打ちされた説明で無くても、自信があれば説得力が生まれる

人は、それを『ハッタリ』という。この切った張ったの世界なら、それでも十二分に通用する……!

吊井座「……ふ、ふ、ふ」

吊井座「ふ、ふふ、ふふふ、ふざけんな!!!」

月神「吊井座君!?」

吊井座「ざっけんな!ざっけんな!ざっけんな!そんなの、通じるワケねえだろうがぁ!」

吊井座「さ、さっきからデタラメばかり言いやがって!調子に乗るのもいい加減にしろよ!」

吊井座「俺は、お、お、俺は……!」

吊井座「犯人じゃあねえんだよおおおおお!!!」

……吊井座君もだんだん冷静さを失ってきている。今なら彼を追い詰める事が出来るかも……!

吊井座「がぁああああああああああああっ!!!」

305 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:05:13.89 ID:z8ypVE+IO

【ノンストップ議論  開始】

『コトダマ』
【モノクマファイル1】
【静かだった寄宿棟】
【月乃の証言】
【缶コーヒー】
【ホットプレート】



吊井座「ざけんじゃねえよ!ふざけんなぁ!」

月神「吊井座君、落ち着いて!」

吊井座「黙れよぉ!俺は犯人じゃあねえ!!」

飛田「喧しいッ!少しは静かになりたまえッ!」

朝日「えっとぉ、今は議論を進めていった方がいいと思うなぁ」

デイビット「でハ、各々証拠に成りうる情報を語ってゆこうではないかネ」

スグル「えっと、実は現場には空き缶が落ちてたんですけど……」

駆村「空き缶?《ただのゴミ》じゃないのか?」

臓腑屋「【ポイ捨て】は、拙者が絶対に見逃さないはずでござるよ!」

古河「【なんかのトリック】で使う予定だったんかもしれへんな!」

吊井座「あ、あんな【クソマズイコーヒー】なんざ知るかよ!!」

吊井座「どいつもこいつも……!何もわかっちゃいねえじゃねえか!!」

吊井座「お、俺は!犯人じゃねえからなぁ!!」



306 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:06:09.41 ID:z8ypVE+IO

【クソマズイコーヒー】←【缶コーヒー】



瀬川「その言葉、捕まえたよ!」論破!

瀬川「吊井座君、話す前に一つ約束して欲しいんだけどさ」

瀬川「……その言葉、撤回はしないよね?」

吊井座「あ……!?あ、ああ!俺は、何も間違った事は言っていねえ!」

吊井座「てめぇの言う事は……全部、全部間違いだらけなんだよぉ!!」

……良かった。どうやら彼自身はまだ気づいていないみたいだね

他ならない自分自身の手で、自分の首を思いっきりかき切っちゃった事に……!

瀬川「確かに、現場には缶が落ちていたのをスグル君が見つけてくれたんだ」

瀬川「それを、前から知っていた人はいた?」

私の質問に、ぽかんとした不思議そうな顔をしながらも皆は首を横に振る

結果を見て、思わず笑みが溢れちゃう。これで彼を犯人として吊し上げる事が出来る……!

瀬川「ねぇ、一つ聞きたいんだけどさ?どうして吊井座君は落ちてたのが『コーヒーの缶』って知っていたの?」

吊井座「は……!?そ、そんなの、一度缶コーヒーを飲んだ事があるからに……」

瀬川「確かにそうかもしれない……けどね」

瀬川「その缶コーヒーの『味』まで詳しく知っているのは、どうしてなのかな?」


307 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:07:14.18 ID:z8ypVE+IO

吊井座「は、あ?そんなの、そんな、の……!?」

さっと顔が青くなる。きっと自分の言った事が重大な失態だという事をを理解したんだ

瀬川「缶コーヒーの味はメーカーによって違うんだから、それを断言出来るのは飲んだ人だけ……」

瀬川「おまけに、現場に落ちていた事は誰も知らなかったんだから、どのコーヒーかすらわからない筈なのに!」

御影「で、でもおかしくない?なんで犯行現場で缶コーヒーなんて飲むのさ?」

デイビット「フム。それならばワタシが説明出来るやもしれんナ」

デイビット「恐らク……それを用意したのは天地女史であろウ。被害者を自分から気を反らす為にダ」

竹田「幾らなんでも目の前で凶器を取り出す訳にもいかねえだろうからな。警戒されて逃げられたらお仕舞いだしよ」

御影君の尤もな疑問に、デイビット君が説明してくれたお陰で私の推理により信憑性が高くなった

そして、その結果は……言わなくてもわかるよね?


飛田「どうなんだ?貴様が殺したんだなッ!?」

吊井座「ま、ま、待てよ。そ、それは、おお、俺が、前に捨てたやつで……」

臓腑屋「嘘でござる!拙者の目が黒い内はポイ捨てなぞさせないでござるよ!」

吊井座「う、ぐぅ……っ!?」

月乃「……嘘は、その嘘を隠そうと嘘をつき続けるしかない。そうなると、その嘘は手に負えなくなるまで膨れ上がり続ける」

月乃「……解消する方法は一つだけ。嘘をついた事を認めるしかない」

吊井座「う、う、嘘を、認める……?」

瀬川「そう。私は嘘つきでしたって、私は人殺しでしたって皆の前で謝るんだよ」

瀬川「そうしないと、永遠にここから前に進めないよ……?」

308 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:08:10.19 ID:z8ypVE+IO

吊井座「……み、認めろ?あ、謝れだって……?」

吊井座「み、み、みと、認めろって、何を……!謝れって、どういう事だよ……!」

吊井座「おおお、俺、俺はは、は、犯人じゃ、は、犯人じゃねえんだよぉ!!な、な、何を!謝れってんだよぉ!」

瀬川「……諦めないんだね、往生際の悪い」

照星「先輩……!」

吊井座「だ、だ、だだ、大体、お、おれ、俺が犯人だって断言できる証拠は無え!」

吊井座「全部……ぜ、全部!瀬川が誘導して言わせただけじゃねえかよぉ!」

月神「……それは、誘導尋問という事かしら?」

デイビット「確かニ、誘導尋問で得られた証言ハ、信憑性を得られないナ」

瀬川「つまり、具体的な証拠を出さない限り吊井座君が犯人だって言い切れないって事?」

吊井座「じょ、じょじょ、状況証拠しか出せねえなら俺が犯人だとは確定してないんだ……!」

吊井座「そ、そうだ!証拠も出せないなら、お前の議論は無駄なんだよぉ!」

吊井座「む、無駄、無駄……っ、今までの議論は、全部無駄だったんだぁ!」

吊井座「無駄、無駄っ、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!!!」

……無駄なんかじゃない。きっと、きっとどこかに吊井座君を仕留めるコトダマがあるハズなんだ

今までの学級裁判を、無駄になんてさせるもんか。あんなに楽しい時間を、無駄にするなんて許さない

だから……私の手で終わらせよう。敗者に相応しいエンディングを見せてやるんだから……!


309 : ◆upV/60xbhSrj [saga]:2019/02/17(日) 20:09:13.68 ID:z8ypVE+IO

       【Re:理論武装】



吊井座「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!!!」



……落ち着いて議論を振り返ろう。この事件は天地さんが発端で起きている

つまり、どれだけ事件を遡っても、吊井座君が犯人だという証拠は見つからない

どこまで辿っても、天地さんが仕掛けたという事実に直面するから……



吊井座「無駄無駄……無駄無駄無駄無駄ぁ!!!」



もし、彼を追い詰められるとしたら……それは、彼自身の発言。彼自身の行動。そして議論の推移だ

……思い出すんだ。これまでの出来事を、今までの話と行動を!



―――――――――――――

デイビット『フーム、ワタシが一見しただけだガ、天地女史は刺殺された可能性が高いナ』


吊井座『し、知るかよ。さっさとあっち行けよ』


飛田『覚えていないなぁ〜オレが覚えているのは……』
古河『キッッッッッモいわ!!!』



吊井座『……痛つっ』


―――――――――――――



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