艦娘サンダーボルト DECEMBER SEA

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82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 21:56:15.03 ID:gFup6p2q0
暁 「ヲ級との距離、なかなか縮まらないわ」

雷 「もう弱気?」

暁 「違うわよ!」

響 「主砲が重くて速度が出ない」

電 「でも敵も被弾してるせいか、ヲ級の足も早くないのです」

響 「これから撃つ」

雷 「撃ってもまだ届かないわよ」

響 「射程圏外なのは分かってる」

響 「敵に回避行動を取らせる為に撃つ。その間に3人は敵との距離を詰めて欲しい」

暁 「分かってるわ」

響 (説明するまで分かってなかったよね)
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 22:04:33.78 ID:gFup6p2q0
暁 (響、ちょっと暁のことバカにしてたかしら)

暁 (でもさっきの響の作戦、試す価値はあるし、姉の暁達に戦果を譲るところは立派だわ)

暁 (だからこそ、きっちり敵を沈めるんだから!)

ガシッ!

暁 「!?」

戦艦水鬼 「捕まえた」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 22:12:54.83 ID:gFup6p2q0
暁 「キャアアッ!?」

響 (今、通信に入った悲鳴!?)

雷 (暁!?)

暁 「何、この……離しなさいよ……」

響 (深海棲艦が取り付いてる!?)

電 (助けなきゃ、でもどうやって……?)

響 (4隻が散開して配置についてたから誰も直ぐに駆け付けられない)

雷 (撃ったら誤射するかも!)

長門 (沈めたと思っていたら、艤装を破棄して本体だけで潜水してから取り付いたのか!? そんなことが……)
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 22:20:37.75 ID:gFup6p2q0
暁 「あんたなんか……振り落としてやるわ」

ヨロヨロ……

戦艦水鬼 「それで振り落とすつもりか?」

暁 (51cm砲が無ければもっと速力が出せるのに……)

暁 (だったらサブアームで!)

グイッ! ゴキゴキィ!

暁 「」

響 「暁!」

雷 「暁!」

電 (暁ちゃんが深海棲艦に捕まって首の骨を折られた……)

電 「イヤアアアアアッ!」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/09(日) 22:21:25.19 ID:gFup6p2q0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 21:37:14.65 ID:QkHzPCnq0
戦艦水鬼 「……これは通信機か?」

戦艦水鬼 「そしてこちらの機器は……ホゥ、これで歌を聞きながら戦っていたのか?」

戦艦水鬼 「私も歌を聴きながら海に出るのは好きだ。だが……」

戦艦水鬼 「お前等の音楽の趣味は平凡だな」

響 「何?」

雷 「暁を沈めたうえに、私達の歌を馬鹿にしたわね」

戦艦水鬼 「趣味が平凡なら発想も平凡」

戦艦水鬼 「我々は元々深海が住処。つまり……」

戦艦水鬼 「艦種に関係無くどの艦も海中を航行出来る。ただ潜水艦以外は海中での巡航速度が極端に遅く、攻撃も出来ないだけのこと」

長門 「貴様、よくも……」

長門 (撃沈された振りをして海に潜ったとでもいうのか)

長門 (私が大破でなければ、相手がベラベラ話している間に主砲を撃ち込んでいるものを……)
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 21:47:52.74 ID:QkHzPCnq0
雷 「暁の仇、討たせて貰うわ!」

戦艦水鬼 「そろそろまた潜るとするか」

響 「待て!」

戦艦水鬼 「私は戦艦水鬼だ。我らの歌が聞こえたら私が来た合図だ」

雷 「第六駆逐隊の雷よ。いつでも……」

雷 「お前を狙っているわ」

電 「ウウウ、暁ちゃん……グスッ……」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:10:34.08 ID:QkHzPCnq0
提督 「報告書は読んだ」

提督 「敵新型艦に損害を与えたものの撃沈には至らず。逆に敵の欺瞞に引っかかり暁が捕捉されて沈没。そして敵は暁から奪った通信機の回線が開いたままなのに気付き、話しかけてきたと」

長門 「ああ、その通りだ……」

提督 「そしてこちらが攻撃を仕掛ける前に敵は再び海中に姿を消した、か」

提督 「してやられたな」

長門 「……」

提督 「51cm連装砲を駆逐艦に搭載する為に徹底的に艤装の軽量化を図り、電探ソナーまで外した。故に海中から接近する敵に気付けなかった暁は沈んだ」

長門 「ああ」

提督 「駆逐艦を超長距離砲撃型に改修した結果だ。止むを得まい」

提督 「だが同じ手を食らうのは馬鹿のすることだ。次の出撃からは対潜能力を持つ艦を艦隊に加える」

長門 「承知した」

バァン!

長門 (ドアが開いた!?)

提督 (誰だ、ノックもせずに執務室に堂々と)

提督 「誰が入っていいと……? お前、今日から配属の……」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:19:04.12 ID:QkHzPCnq0
天龍 「ああ、天龍だ。あんたが提督か?」

提督 「何だその口の聞き方は?」

天龍 「本日付けでここの鎮守府に配属された。だからここの提督に挨拶に来た」

提督 「そうか……確かにここの提督は俺だが――」

天龍 「だったら話は早いぜ!」

ツカツカツカツカ

提督 (ガン飛ばしながら近づいてくる!?)

長門 「待て!」

天龍 「どけっ! こいつ一発ぶん殴らねえと気がすまねぇ!」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:28:36.00 ID:QkHzPCnq0
長門 「お前の怒りの理由は見当がつく。天龍、お前はかつて第六駆逐隊が配属されていた鎮守府から異動して来たな」

天龍 「分かってんなら通して貰うぞ」

長門 「第六駆逐隊だって暁を失って泣き叫びたいところを必死に耐えている」

長門 「大人のお前がそんなことでどうする?」

天龍 「だからお前も堪えろってか? 暁が沈んだのも辛いが……」

天龍 「何であいつ等の両手があんな粗末な機械になってんだよ!」

長門 「それは……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:34:46.04 ID:QkHzPCnq0
長門 「……」

長門 「あれはわた――」

提督 「噂には聞いていたがなかなか威勢がいいな、天龍!」

提督 「だがお前は思い違いをしている」

天龍 「何だと?」

提督 「第六駆逐隊の近代化改修は大本営直々の命令だ。この鎮守府に拒否権は無かった……」

提督 「私だって辛い!」

長門 (大本営など絡んでないものを……)
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:39:45.42 ID:QkHzPCnq0
長門 (以降、聞くに耐えない三文芝居が続いた結果……)

天龍 「すまねぇ提督、俺はあんたを誤解してた。……いきなり借りが出来たな」

提督 「分かってくれたならそれでいい」

提督 「お前には第六駆逐隊のフォローを頼む。期待しているぞ」

天龍 「ああ、任せろ!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:43:49.97 ID:QkHzPCnq0
提督 「やっと執務室から出ていった。全く面倒な奴が来たもんだ」

長門 「見事な芝居っぷりだ」

提督 「木戸銭はいらんぞ。馬鹿と鋏は使いようだ。アイツが使える馬鹿かどうかはこれから見極める」

提督 「それより長門、お前さっき新型艤装の計画を発案したのは自分だと言おうとしたな」

長門 「……」

提督 「隠すのが後ろめたかったか? それとも天龍なら返り討ちに出来ると思ったか?」

提督 「安心しろ、発案者がお前だということは俺と明石しか知らん。少なくとも俺からバラしたりはせん」

提督「俺は優秀で忠実な部下には優しいからな」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/13(木) 22:44:36.68 ID:QkHzPCnq0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/14(金) 11:01:16.18 ID:r+2B1tQdO
テス
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/14(金) 11:02:05.57 ID:jMu70DeM0
テス
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/14(金) 20:41:49.91 ID:bp3QIc+o0
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:30:52.10 ID:Vos7m+p60
天龍 「戦えると思ったら最初の任務が遠征とはな」

伊58 「資材確保は重要任務でち」

伊58 「第六駆逐隊が大口径の主砲を装備して燃費が悪化した分、遠征に不向きになったでち。その分、ゴーヤのオリョクルが重要性を増したでち」

伊58 「ただ、今の六駆は見るに耐えないでち」

天龍 「あいつ等、仲良かったからな」

天龍 「昔俺とあのチビ共は前に居た鎮守府で一緒だった」

伊58 「その話はこの遠征中、何度も聞いたでち」

天龍 「こっちに異動が決まった時は久しぶりにあいつ達に会えるのが楽しみだった……。それがあんなことに……」

伊58 「……そろそろ鎮守府に着くでち」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:35:18.41 ID:Vos7m+p60
明石 「お疲れ様」

天龍 「おう、帰還したぜ、資材ガッポリよ」

明石 「助かるわ」

天龍 「お前の為じゃねえ」

明石 「……分かってるわ」

天龍 「清霜、食堂行くか」

清霜 「うん」

明石 「待って。悪いけど彼女には話があるの」

天龍 「ケッ」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:38:29.62 ID:Vos7m+p60
清霜 「あの、明石さん、話って……」

清霜 「……分かりました。ただ、ちょっと相談したい人がいるんです」

清霜 「司令官の命令だから拒否出来ないのは清霜も分かってます」

清霜 「あと、天龍さんのことあまり気にしないで下さい」

清霜 「天龍さんだって明石さんは悪くないって頭では分かってると思うんです」

清霜 「悪いのは深海棲艦です」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:40:51.14 ID:Vos7m+p60
武蔵 (落ち着かない……まるで手術中の家族を案じる人間みたいだ)

武蔵 (事前に清霜から相談を受けたし、あいつだって覚悟は出来ている筈だ)

武蔵 (この武蔵が狼狽えてどうする……)

清霜 「武蔵さーん!」

武蔵 「終わったか、清霜……お前その足……」

清霜 「うん。びっくりした、武蔵さん?」

武蔵 「ああ、多少はな」

清霜 「清霜、近代化改修しました!」

武蔵 (清霜の足が機械の足に……)

清霜 「変わったのは足だけじゃないですよ、ホラ!」

武蔵 「その艤装……えらく大きいな」

清霜 「でしょ? この艤装……」

清霜 「超大和型だって!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:43:22.20 ID:Vos7m+p60
武蔵 (超大和型……)

清霜 「でも武装は今のままなんだ」

清霜 「明石さんが言ってたの」

清霜 「艤装のうち、船体にあたる部分を改修する時は両足の改造が必要で……」

清霜 「武装を改修する時は両腕の改造が必要なんだって」

清霜 「第六駆逐隊は艤装の主砲だけ交換して船体はそのままだから両腕を改造してるの」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:46:01.22 ID:Vos7m+p60
清霜 「今の清霜の艤装なら、武蔵さんと同じ45cmも、第六駆逐隊が使ってる51cmも搭載可能だけど、そこまでしなくていいって」

武蔵 「そうか……取り敢えずお疲れ」

清霜 「つれないリアクションですね。もっと祝福してくれるかと思った」

武蔵 「ガワだけ戦艦になったからと言って浮かれるな。慣らしが終わったら演習だ」

清霜 「厳しいなぁ……。それに『ガワだけ』って地味に傷付きます」

武蔵 「この武蔵、超大和型と聞いて嫉妬したのだ。許せ」

清霜 「武蔵さんが清霜に嫉妬なんて止めて下さいよぉ」

武蔵 (屈託の無い笑顔のお前を見るのが今は辛い)

武蔵 (清霜、お前はこれで良かったのか……)
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/15(土) 23:47:22.75 ID:Vos7m+p60
今回はここまで。
ようやく100レス突破。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/17(月) 22:17:05.08 ID:72iYX1Gi0
吹雪 「敵、来ますかね」

天龍 「そんなの分かんねえよ。俺達は網を張って待ち伏せするだけだ」

天龍 「あの深海棲艦、夜戦なら空母相手にせずに済むと思って夜だけしゃしゃり出やがって。この天龍様が探照灯で見つけ出して成敗してやるぜ」

雷 (暁を沈めた深海棲艦、戦艦水鬼)

雷 (空母からの攻撃と雷達の超長距離砲を警戒して、夜だけ出没してるのは見え見えなんだから)

響 (甲種熟練見張妖精を持ってしても、幾ら戦艦水鬼の艤装が巨大でも、夜間に遠くの敵を視認するのは容易ではない)

響 (比較的近くでの砲雷撃戦になる)

響 (今は主砲が重くて回避が難しい。キツいな)

響 (それでも……やるしかない!)
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/17(月) 22:22:41.68 ID:72iYX1Gi0
電 (こっちは合計六隻)

電 (軽巡が天龍さんだけで他は皆駆逐艦……不安なのです)

清霜 (今回、清霜が被害担当艦なのは分かってるけど、撃たせるだけじゃなくてこっちだって撃ってやるんだから)

ドオオオオオン!

清霜 (砲撃!?)

パアアアアアッ

天龍 (照明弾か!)

電 (照明弾の飛んだ先って、響の居る方向じゃない!)

響 「クッ!」

響 (見つかる!)

戦艦水鬼 「そこか!」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/17(月) 22:32:53.23 ID:72iYX1Gi0
戦艦水鬼 「頂きィ!」

ドオオオオオン!

響 「グウッ!」ドゴオオオオオォ

響 (一発で大破……)

電 「響ちゃん!」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/17(月) 22:38:01.49 ID:72iYX1Gi0
天龍 「奴め、どこに行きやがった!?」

天龍 (探照灯を点けたら狙われるがそんなこと言ってる場合じゃねえ!)

ビカアアアッ

清霜 (天龍さんが探照灯を点けた)

電 「響ちゃん、応答して!」

雷 「動ける? 響!」

吹雪 「私が響ちゃんを助けに行きます。二人は敵を撃って」

雷 「でも――」

吹雪 「第六駆逐隊の50口径がこの艦隊の最大火力です! 二人が戦わないと全滅します!」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/17(月) 22:43:49.41 ID:72iYX1Gi0
天龍 「吹雪の言う通りだ」

電 「天龍さん!」

天龍 「奴を沈めれば響を助けられる」

天龍 「奴以外の艦影が見当たらねえ。電探の反応もねえ」

天龍 「奴は単艦だ! 一気に叩くぞ!」

雷 「電、響を守る為に戦うよ」

電 「うん……分かった」

雷 (響、ごめん。直ぐに終わらせて救援に行くから)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/17(月) 22:45:02.12 ID:72iYX1Gi0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:11:21.60 ID:+zUv22Gf0
雷 「逃げるなら今のうちだよ?」ドオオオオオン!

電 「命中させちゃいます!」ドオオオオオン!

清霜 「私も、頑張る!」バシュッ

清霜 (魚雷当たって!)

天龍 「当たれぇ!」バシュッ

天龍 (魚雷でも食らいやがれ!)

戦艦水鬼 「小心者の海蛇共め。お前達は暗礁の向こう側に隠れないと戦えないのか!」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:18:03.40 ID:+zUv22Gf0
天龍 「軽い……命中しても大して効いてねえ」

天龍 (そろそろ奴が撃って来るか……)

ドオオオオオン!

天龍 (来た!)

バアアアアアン!

天龍 (三式弾!? 軽巡だからって馬鹿にしてんじゃねえぞ!)

天龍 (今度はこっちの番だ! ……あれ、探照灯が遠くまで照らせねえ?)

天龍 (探照灯のレンズが割れてやがる!? これが狙いか!)

天龍 (どこに消えやがった)
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:27:08.41 ID:+zUv22Gf0
雷 「天龍さん、大丈夫?」

天龍 「俺は何てことないが、探照灯がオシャカになった」

電 (敵の艤装が黒っぽいから夜目には見つけにくいのです)

ドオオオオオン!

天龍 (何ッ!?)

天龍 「グアアアアッ!」ドゴオオオオオォ

天龍 (足をやられたッ!)

戦艦水鬼 (闇に紛れて側面に回り込んだのに気付かなかったのがお前の運の尽き)

戦艦水鬼 「トドメだ……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:34:12.25 ID:+zUv22Gf0
電 「見えたのです!」

雷 (発砲すれば居場所は分かるわ)

雷 「十字砲火、ってー!」ドオオオオオン!

雷 「なのです!」ドオオオオオン!

戦艦水鬼 (!?)

戦艦水鬼 「ウアアアアッ!」ドゴオオオオオォ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:42:13.81 ID:+zUv22Gf0
戦艦水鬼 「別格に遠いな。この距離から砲撃してくるとは……」

戦艦水鬼 「間違いないお前達だろ! 駆逐隊!」

電 「はわわ、電達の十字砲火が直撃したのに……」

雷 「何て硬さなのよ」

天龍 「逃げろおおおッ、雷! 電!」

天龍 「長距離砲撃に特化したお前等が敵に位置を晒したらお仕舞だあッ」

天龍 「戦艦水鬼に勝てっこねえ!」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:46:09.59 ID:+zUv22Gf0
響 「クッ……目に血が入る……何も見えない」

吹雪 「拭いてあげる」

響 「ありがとう……他の皆は?」

ドオオオオオン!

吹雪 「!?」ドゴオオオオオォ

響 (そんな……)

吹雪 「……」

響 (特型駆逐艦の一番艦が、響達の一番の姉さんが……一撃で気絶なんて……)

戦艦水鬼 「この前はよくもやってくれたな」

響 「あ、ああ……」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/18(火) 23:46:55.92 ID:+zUv22Gf0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 22:56:21.17 ID:tzOydXlV0
雷 「あれって……まさか……!?」

電 「響ちゃんが捕まってる!」

雷 「響……生きてる?」

電 (響ちゃんを捕えたまま接近して来る!?)

戦艦水鬼 「私の動きが予測出来るなら撃ってみろ。仲間を殺す覚悟があるならな!」

響 「撃てえ! 撃ってくれえええ!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 23:00:22.59 ID:tzOydXlV0
雷 「電、響を助けるわよ!」

電 「了解! なのです!」

雷 (敵は電の方に向かっている)

雷 (電、あなたが倒しなさい!)ドオオオオン!

ドッパアアアン!

戦艦水鬼 (海面に着弾……)

戦艦水鬼 「至近弾で攪乱か?」

雷 「進路を作ってやるわ」

電 「近づいて来るのです。お前だけを射抜くのです!」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 23:04:47.71 ID:tzOydXlV0
清霜 「天龍さん!」

天龍 「バカヤロー! 俺よりもチビ共の援護だ!」

清霜 「分かってる、だから……」

清霜 「それ貸して!」

天龍 「ああ、使え」

清霜 「ありがとう、天龍さん」

天龍 「今から追い付けるのか?」

清霜 「追い付けるよ」

清霜 「今の清霜は戦艦だけど戦艦じゃないから」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/20(木) 23:08:25.76 ID:tzOydXlV0
電 (敵の艤装の右腕はさっきの電達の十字砲火で吹き飛んだのです)

電 (だから敵の艤装は、左手一本で掴んだ響ちゃんを盾にしながら接近しているのです)

電 (艤装の左肩を撃ち抜けば、敵は響ちゃんを離す筈です)

電 (外さない為に、ギリギリまで敵を引き付けるのです)

戦艦水鬼 (こちらがいつ撃って来るかと思うと怖いだろうに)

戦艦水鬼 (それでも仲間を助ける為に一撃必殺にかけるか……)

戦艦水鬼 (面白い)

戦艦水鬼 「いい盛り上がりだ……」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 23:12:16.98 ID:tzOydXlV0
電 (敵は撃つ時に、盾にしている響ちゃんを下げるか横にずらす筈です)

電 (その時に撃つのです!)

電 (……)

電 (下がった! 撃て)ドオオオオン!
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 23:16:59.06 ID:tzOydXlV0
戦艦水鬼 「左腕が……よくも……」

電 (電は撃ったのです)

電 (敵が響ちゃんを掴んでる左手を下げたから撃ったのです)

電 (電の狙い通り、砲弾は敵の左肩に命中して、敵は響ちゃんを離したのです)

電 (ただ、敵が離した響ちゃんには首から上が無かったのです)

電 (電の発砲と同時に、敵は再び響ちゃんを掲げて)

電 (電の撃った51cm連装砲の砲弾は、響ちゃんの頭を吹き飛ばしてから敵の艤装に命中したのです)

電 (電が……響ちゃんを殺した……)
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 23:21:53.34 ID:tzOydXlV0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/21(金) 23:36:05.96 ID:5cmgmg/W0
戦艦水鬼 「何を呆けている」

電 「……!」

戦艦水鬼 「僚艦を沈めたのがそんなに堪えたか」

戦艦水鬼 「気にするな、直に会える」

電 (電も死ぬんだ……)

雷 「やめろおおおっ!」ドオオオオン!

ドッパアアアン!

戦艦水鬼 「今のは撹乱ではなかったか」

雷 (外れた……)

雷 (次弾装填まで40秒近くかかる)

雷 (もう電を助けられない……)
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/21(金) 23:41:50.25 ID:5cmgmg/W0
清霜 (今度は守るって、言ったでしょ?) ドォン!

戦艦水鬼 (まだ来るか)ガキンッ!

清霜 (清霜の12.7cm連装砲じゃ跳ね返されるか)

清霜 (それでも間に合った!)

天龍 「清霜の奴、あんなデカい艤装で金剛型より速いんじゃねぇか」

清霜 (近代化改修した清霜の新しい艤装は、51cm連装砲を4基8門搭載出来る)

清霜 (でも今の清霜の装備は駆逐艦のまま)

清霜 (だから今、清霜の艤装は艦の出力に対してとても軽い!)

清霜 (高速戦艦を超えた高速戦艦!)
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/21(金) 23:51:41.56 ID:5cmgmg/W0
清霜 (いつも武蔵さん相手に演習してきた。こんな奴!)

清霜 (……)

清霜 (やっぱり恐い……)

清霜 (あの人相手に演習を繰り返してきたから分かる)

清霜 (砲雷撃戦において戦艦の火力と装甲がどれだけ厄介か)

清霜 (しかもこれは演習じゃない)

清霜 (負ければ沈む)

清霜 (100回演習するより1回実戦を経験した方が肝が座るとはよく言ったものだね)

清霜 (これまで実戦は沢山経験したけど、これまでの敵とは違う)

清霜 (こんな感覚、姫騎士級以来だよ)

清霜 (でも今の清霜は船体だけでも戦艦なんだ。戦艦が戦艦を恐れちゃいけないんだ)

清霜 (やるしかない!)
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/21(金) 23:55:48.05 ID:5cmgmg/W0
清霜 (双頭の怪獣のような戦艦水鬼の艤装)

清霜 (ただ、艤装の両肩にあった主砲は既に損傷してるし、丸太より太そうな両腕もダラリと垂れ下がってる)

清霜 (懐に入って本体に肉薄すればチャンスはある!)

戦艦水鬼 (ジグザグに進路を変えながら接近して来る)

戦艦水鬼 (両肩の主砲を破壊したからっていい気になるな)

戦艦水鬼 (私は改になった)

戦艦水鬼 (主砲は20インチ連装砲から16インチ三連装砲になったが……)

戦艦水鬼 (その分3基に増えた!)

清霜 (まだ主砲が残ってたの!)

戦艦水鬼 「泣き叫んで沈んでいけ!」ドオオオオン!

清霜 「きゃああっ!」ドゴオオオオッ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/22(土) 00:00:04.35 ID:8egyeW2I0
清霜 「流石、超大和型の装甲だね」

戦艦水鬼 「私の主砲を耐えただと!?」

清霜 「まだその主砲使いこなせてないね」

戦艦水鬼 「何だと?」

清霜 「同じ口径でも武蔵さんの主砲はもっと強烈だったよ!」

清霜 「今度はこっちの番なんだから!」

戦艦水鬼 「このガラクタめ。貴様こそ、私に対して攻撃手段があるまい!」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/22(土) 00:04:01.61 ID:8egyeW2I0
清霜 (懐に入った)

戦艦水鬼 (恐れるに足らず。見たところこの敵には大口径の主砲も艦載機も無い。私にダメージを与える術は……)

清霜 (今だ!)

戦艦水鬼 (刀だと!?)

清霜 (ここまで接近して分かった)

清霜 (戦艦水鬼も戦艦棲姫と同じで、本体と艤装がケーブル一本で繋がってる)

清霜 (天龍さんから借りたこの刀でケーブルを切断すれば!)
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/22(土) 00:08:50.64 ID:8egyeW2I0
今回はここまで。
戦艦水鬼の本体と艤装がケーブルで繋がっているというのは、あくまでこのSSでの独自設定です。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:14:30.63 ID:xZXOowFN0
ビィィィン!

清霜 (刀をケーブルで受け止めた!?)

戦艦水鬼 「……」

清霜 (このッ、このッ!)

ビィィィン! ビィィィン!

清霜 (全部しのいだ!)

戦艦水鬼 「……お前が達人だったら斬れたかもな」

清霜 (天龍さんだったら切断出来たの……)

戦艦水鬼 「……」

戦艦水鬼 「だが楽しめた、お前を沈めるのはまた今度にしてやる」ドオオオオン!
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:22:07.09 ID:xZXOowFN0
電 「キャアッ!」 ドゴオオオッ!

雷 「アッ……よくも電を!」

清霜 (清霜と会話しながら背後の相手を砲撃するなんて……)

戦艦水鬼 「沈めてはいないだろう。後ろから撃たれたら敵わんから大破させただけだ」

戦艦水鬼 「遠くから私を狙っているもう1人にも告げる」

戦艦水鬼 「これ以上抵抗するなら全滅させる」

雷 「はい、分かりました……とでも言うと思った!?」

戦艦水鬼 「そっちは大破が3隻。つまり私が簡単にトドメをさせるのが3隻いる」

戦艦水鬼 「それでもまだ戦う気か?」

雷 「……」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:24:58.62 ID:xZXOowFN0
戦艦水鬼 (危なかった……)

戦艦水鬼 (斬撃を受けた際、ケーブルに切れ込みが入った。あのまま戦闘を継続すればケーブルが接続不良を起こしていた可能性が高い)

戦艦水鬼 (そうすれば艤装を操作出来なくなり、負けていた)

戦艦水鬼 (この私が、敵に停戦を提案するなど……チィッ!)
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:30:44.69 ID:xZXOowFN0
長門 (昨晩の夜戦における報告を受けた。結果は散々だった)

長門 (単艦の敵に6隻で挑み、天龍、吹雪、電が大破、清霜が小破、無傷で帰投したのは雷のみ……)

長門 (そして響が沈んだ)

長門 (敵からの提案による一時停戦がなければもっと大きな損害を出しただろう)

長門 (そして何より……)

長門 (暁に続いて響を失った第六駆逐隊、雷と電がどんな辛い思いをしていることか……)
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:37:06.61 ID:xZXOowFN0
長門 (宿舎の第六駆逐隊の部屋の前に来た)

長門 (どんな言葉をかければいい……)

長門 (ドアをノックすべきか、そっとしておいた方がいいのか)

雷 「……長門さん?」

長門 (雷が廊下にいる。外から戻って来たのか)

雷 「長門さん、どうしました?」

雷 (私と電の部屋の前にいたということは何か用件があるんだよね)

長門 「雷、お前達のことが気になって。何と言えばいいか……」

雷 「気遣ってくれてありがとうございます。……響も覚悟は出来ていたと思います」

雷 「敵に捕まった時、響は雷達に『撃て』と言いましたから」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:43:11.64 ID:xZXOowFN0
長門 「……そうだ、電は一緒じゃなかったんだな」

雷 「はい、おそらく部屋にいると思います。上がって下さい」

長門 「いや、いいんだ」

雷 「そんなこと言わずに電に会ってやって下さい。入廠が終わってから、最近電が部屋に篭りがちで。長門さんからも言って欲しいんです」

長門 (入廠で身体の傷は癒えても心の傷までは簡単には癒えない、当たり前だ)

雷 「電、長門さんが来たわよ」

長門 (雷だって気丈に振る舞ってるが本当は辛いだろうに)

ガチャ、キィィ

雷 「電が部屋に引きこもってばかりだから長門さんが心配し……」

雷 「キャアアアアッ!」

長門 「どうした雷!?」

雷 「電が、電が……」

長門 (これは!?)

長門 (電が首を吊っている!)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/25(火) 21:44:21.96 ID:xZXOowFN0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 22:59:19.87 ID:0tso6QQ40
電 「ゲホッ、ゲボッ……ハァ、ハァ」

長門 「気がついたか……」

雷 「馬鹿ッ!」

電 (雷ちゃん……)

雷 「自殺未遂なんてしてんじゃないわよ!」

電 「ウウウ……グスッ……」

電 「この手が……この手が……」

電 「この両手が機械じゃなかったら、もっと早くロープを結べて、きっと今頃楽になってたのです」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 23:06:35.94 ID:0tso6QQ40
雷 「この後に及んでまだそんなこと言う?」

雷 「長門さんが電を床に降ろして人工呼吸してくれなかったら今頃どうなってたかと思うと……」

雷 「まだ身体の震えが止まらないわ……」

電 「余計なことをしたのです。電に生きる資格なんて無いのです」

雷 「あんた!」

長門 「待てっ、雷!」

雷 「離して! 離して下さい長門さん!」

雷 「響を誤射したのが辛かったのは分かる。私だって同じ立場ならどれだけ自分を責めたか……でもね」

雷 「そんなに辛いなら相談くらいしてよ! もっと私を頼ってよ!」

電 「たとえ相談しても、響ちゃんも暁ちゃんも生き返らないのです」

雷 「何でそんなこと言うのよ……」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 23:12:23.92 ID:0tso6QQ40
ギュッ

電 「!?」

雷 (長門さんが電を抱きしめてる……)

長門 「妹の陸奥が沈んだ時、私は自分を責めた」

長門 「姉として妹を守れなかったどころか、妹が沈んだ原因が私にあったことが私を苦しめた」

長門 「今は自分が許せなくていい。後悔したっていい」

長門 「こういったことは時間が解決するしかない」

長門 「ただ、雷の為にも命を粗末にするな」

長門 「私はもう姉妹がいないが、電には雷がいるだろう」

長門 「電が死んだら雷はどうなる?」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 23:16:49.55 ID:0tso6QQ40
電 「……さっきお昼寝してたら、夢に響ちゃんが出て来たのです」

電 「恨めしそうにこっちを見て、電がいくら謝っても何も言わないのです。そして暁ちゃんも出て来て」

電 「二人で黙って電を見ているのです」

電 「そしたらあちこちから『お前が死ね』『お前が死ね』って声が聞こえて来て……」

電 「目が覚めた時、思ったのです」

電 「電は悪い子だって。響ちゃんを殺して、暁ちゃんを助けられなくて」

電 「なのに何で電は生きてるんだろうって」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 23:20:00.36 ID:0tso6QQ40
雷 「いい? 電」

雷 「暁も、響も、電を怨むような性格じゃないでしょ?」

雷 「それに二人を助けられなかったのは雷も同じ」

電 「でも響ちゃんを撃ったのは電なのです! 電が響ちゃんを殺したのです!」

雷 「撃ったのは電でも、響に当たるように仕向けたのは戦艦水鬼よ!」

電 「電の練度がもっと高かったら響ちゃんは死なずに済んだのです」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 23:24:03.80 ID:0tso6QQ40
長門 「そう思うのなら響の、暁の無念を晴らせ」

電 「長門さん……」

長門 「雷と力を合わせて戦艦水鬼を沈めてみせろ。勿論私も戦う」

長門 「それを成し遂げてなお死にたいと言うのなら、その時は私の手でお前を沈めよう」

雷 「長門さん、それはあまりに――」

電 「やります」

雷 「電?」

電 「電はもう生命なんて惜しくないのです。戦艦水鬼と刺し違えるならそれも悪くないのです」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/26(水) 23:25:58.96 ID:0tso6QQ40
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:00:08.06 ID:9bq+h7BI0
電 (考えてみたら、危うく電は無駄死にするところだったのです)

電 (電がさっき死んでたら戦艦水鬼に復讐出来なかったのです)

電 (せめて暁ちゃんと響ちゃんの仇を討ってそれからあの世に行けば……)

電 (暁ちゃんも響ちゃんも電を許してくれるかもしれないのです)

電 (気付かせてくれた長門さんに感謝なのです。後は……)

電 (さっき怖い夢を見た時にオネショしたことを打ち明けるタイミングを考えるのです)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:05:55.38 ID:9bq+h7BI0
雷 「長門さん」

長門 「雷、廊下まで見送らなくてもいい。部屋に戻って電の傍にいてやってくれ」

雷 「部屋には直ぐ戻ります。ただ、この場に電が居ないので言わせて下さい」

雷 「先程は電の命を助けて頂き本当にありがとうございました」

雷 「ただ、それでも……」

雷 「長門さん、私はあなたを恨みます」

長門 「今の電に必要なのは生きる目的だ」

電 「それが復讐であってもですか?」

長門 「そうだ」

雷 「私だって戦艦水鬼は憎いです」

雷 「でも復讐に囚われた電なんて見たくなかった」

長門 「電が本当の意味で立ち直ることを信じよう。あまり気を揉むと雷、お前が持たなくなる」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:11:15.33 ID:9bq+h7BI0
長門 (自室に戻った……)

長門 (……)

長門 (何が『時間が解決する』だ!)

長門 (何が『今は自分が許せなくていい。』だ! 『後悔したっていい』だ!)

長門 (私は提督を笑えないぞ、正に茶番だ)

長門 (陸奥の沈没を受け入れられたのは、深海化した陸奥に会えたからだろうが!)

長門 (現に今でも酒匂のことを悔やみ続けてるだろうが!)

長門 (ああ、酒匂……忘れもしない……)

長門 (クロスオーク計画……艦娘を遺伝子操作した生き物と交配させることで新たな艦娘の増産を目指した狂気の計画)

長門 (そこで私は……)
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:16:19.25 ID:9bq+h7BI0
その時、長門は自らの忌まわしき過去を振り返っていた?


長門 「酒匂!? 酒匂、しっかりしろ、酒匂!」

研究員 「同じ艦娘でも軽巡では『エイブル』のピストンに耐えられなかったようだ、クックックッ」

長門 「何てことを!?」

酒匂 「ア、ウ……」

長門 「酒匂、どうした!?」

酒匂 「もう……死なせて……」

酒匂 「……」

長門 「酒匂……?」

長門 「酒匂ーッ!」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:21:46.05 ID:9bq+h7BI0
長門 「よくも酒匂を!」

研究員 「お前の産んだ『エイブル』がやったことだ」

長門 「くっ、殺してやる! お前達皆殺してやる!」

研究員 「だそうだ。『エイブル』、お母さんの相手をしてあげなさい」

エイブル 「ブへへへ、さっきのに続いてこいつも上玉だぁ」

長門 「お前なんか産みたくなかったのに!」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:25:45.56 ID:9bq+h7BI0
長門 (また妊娠してしまうのだろうか……)

長門 (足腰が立たない……)

長門 (酒匂……酒匂……)

長門 (ビッグセブンと呼ばれた私が、今や化け物に辱めを受け、這って移動している)

長門 (酒匂……ああ……目を開けてくれ)

長門 (済まない……本当に済まない……)

長門 (お前を犯し殺した化け物は……私が産まされたんだ)

長門 (私だって産みたくなかった。許してくれ……ウウウ……)
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:30:30.54 ID:9bq+h7BI0
長門 (その後私は、凍結されたクロスオーク計画の再開を阻止することを自らの使命とした)

長門 (それが、酒匂を死に追いやった私に科せられた十字架をどれだけ軽くしたと言うのだ?)

長門 (雷の言う通りだ。恨まれるべきは私だ。私のせいで陸奥も酒匂も暁も響も死んだ! しかも雷や電が知らないのをいいことに新型艤装の運用を提案したのは自分だと未だに明かせずにいる。ビッグセブンが聞いて呆れる。この臆病者の卑怯物め。私が死ねば良かったんだ!)

長門 (陸奥、お前ならどうする……)
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/28(金) 20:31:38.09 ID:9bq+h7BI0
今回はここまで。前作で何があったか少し触れました。それから一箇所訂正。

>>150
〔誤〕その時、長門は自らの忌まわしき過去を振り返っていた?

〔正〕その時、長門は自らの忌まわしき過去を振り返っていた

文末の「?」は無しです。

読んで下さった皆さんありがとうございました。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:05:23.92 ID:uT8TwubW0
提督 「明石、新型艤装の件だが……」

明石 「はい」

提督 「お前が新型艤装の開発技術に付けた名前……確か……」

明石 「リユース・P・デバイスです」

提督 「それだ。名前が長いからつい『新型艤装』と言ってしまう。正式名称はリユース・P・デバイスでいいが、今後、コードネームを『サイコ』とする」

明石 「分かりました」

提督 「もっと早く名前を決めとけば良かった」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:13:04.14 ID:uT8TwubW0
明石 「何故、今になって名前を?」

提督 「もう少し戦果を挙げてかつデータが取れたら大本営に報告を上げる。その為のコードネームだ。暁と響を失いはしたが、これまでの戦果を考えるとサイコ艤装の有用性は明らかだ。このまま――」

バタン!

吹雪 「司令官!」

提督 「執務室だぞ、ノックくらいしろ」

吹雪 「申し訳ありません。緊急だったので」

提督 「まあいい。……何があった吹雪? 慌てるとまたコケるぞ」

吹雪 「報告します――」




提督 「……何!?」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:20:37.67 ID:uT8TwubW0
提督 「ふざけやがって!」

長門 (第六駆逐隊のことを悲しむ間も無く、深海棲艦の大部隊がこの鎮守府に侵攻して来た)

提督 「何でここに敵が集中してんだ!?」

提督 (サイコ艤装研究開発の成果で昇進するどころか、ここを落とされたら詰め腹切らされるぞ!)

長門 (新型艤装は元々深海の技術。ならば深海棲艦が、その技術が使われているこの鎮守府の占領を図るのは道理。連中は我々がこの技術をどうやって手に入れたのか知りたいのだろう)

長門 (我々に技術を流出させたのは陸奥だということは、連中に知られてないだろうか?)

長門 (陸奥ならそんなヘマをしないとは思うが……。下手に探りを入れたらかえって陸奥の立場を危うくするかもしれない)

長門 (今は妹の無事を祈るしかない……。陸奥、何が何でも隠し通せ!)
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:27:12.61 ID:uT8TwubW0
明石 「しかしそれは……」

提督 「全滅の危機にある鎮守府を救う方法はこれしかない。連中の大部隊に対抗できるのはサイコ艤装だけだ」

提督 「最高練度の艦娘一隻に超大和型サイコ艤装と50口径連装砲4基を装備させて敵主力に殴り込みをかける。この鎮守府に迫る敵を撤退させるにはそれしかない」

提督 「敵を一時的に撤退させれば、近隣の鎮守府からの援軍か間に合うかもしれん」

提督 (援軍要請は忌々しいが、背に腹は代えられん)

明石 「しかしサイコ艤装は艦娘の手足を義肢化して艤装に直接接続する必要があります。四肢全てを接続となると……」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:32:15.07 ID:uT8TwubW0
提督 「清霜の両足は既にサイコ艤装仕様だったな……」

明石 「何を……言っているの?」

提督 「清霜の両手も切れ!」

明石 「!」

明石 「艦娘は! モルモットじゃないのよ!」

提督 「いい機会だ。お前達の立場を教えてやる」

提督 「そもそもサイコ艤装は非人道的だからお前達にやらせてるんだろうが」

明石 「何ですって?」

提督 「お前等はモルモットだ! そして兵器だ! 兵器の分際で私に口答えするな!」

提督 「明石! もし抗命したらお前を解体処分する!」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:38:34.77 ID:uT8TwubW0
明石 「私は提督の言いなりになってあなたの両腕を切った。自分の保身の為に」

清霜 「生き残ろう」

明石 「え?」

清霜 「生き残っていつか心から笑おう。理不尽な現実こそ清霜達を苦しめる本当の敵だよ。戦争中に生きる艦娘にはちょっぴり試練が多いし、この戦争で生き残るなんて奇跡かもしれないけど」

清霜 「それでも一つ奇跡が起きた」

清霜 「これで清霜は遂に戦艦になれるんだもん」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/28(月) 19:40:13.10 ID:uT8TwubW0
今回はここまで。
久々の投稿再開ですが読んで下さった皆さんありがとうございました。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/28(月) 23:14:20.57 ID:8+R4Lzmb0
そっちの『サイコ』なのね
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 19:38:01.61 ID:RqvswAFp0
榛名 「流石この鎮守府の最高練度です」

金剛 「新婚さん、指輪見せて欲しいネ」

清霜 「特別だよ、ほら」

金剛 (これって……)

榛名 (義肢に指輪をはめてる……)

金剛 「Sorry……グスッ」

榛名 「……グスッ……」

清霜 「どうしたの? 二人とも紅茶飲んで泣き上戸?」

金剛 (恋愛と戦争では手段を選ばない英国生まれのミーから見ても惨い)

榛名 (練度開放と燃費低下を目的とした愛の無いケッコンカッコカリ、悲し過ぎます)

清霜 「ありがとうございます、お茶に誘ってくれて。でも、ほら、大丈夫だから。命令だし、鎮守府の皆、清霜も守りたいし、選ばれて逆に光栄っていうか」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 19:45:40.47 ID:RqvswAFp0
提督 「作戦を説明する」

提督 「第一艦隊は出撃後、鎮守府に向かって侵攻中の敵艦隊に対し遅滞戦術を取れ。それから間隔を空けて第ニ艦隊を出撃させる」

提督 「その後清霜は第一艦隊を離脱し、第ニ艦隊を離脱した加賀と合流して第三艦隊を組め。第三艦隊は迂回と加賀の索敵により敵との交戦を可能な限り回避して敵本隊に到達し奇襲をかけろ」

提督 「第ニ艦隊は第三艦隊が作戦を遂行する為の陽動及び第一艦隊の後詰めが任務だ」

提督 「清霜、お前を第一艦隊に加えたのはサイコ艤装の主砲に慣れさせる為だ。51cm連装砲を撃つのは初めてだろう」

清霜 「はい」

提督 「主砲の扱いにある程度慣れたら加賀と合流しろ。それからが本番だ」

清霜 「はい」

清霜 (いきなり重要任務を任された)

清霜 (これが戦艦なんだ……)
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 19:50:28.18 ID:RqvswAFp0
清霜 「三式弾、一斉射!」

清霜 「徹甲弾、撃ええぃ!」

清霜 「すっごい……。比較になんないや」

清霜 「これが戦艦、クックックッ。おお、最高だよ! 欲しかったのはこういう力なんだ!」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 19:56:51.71 ID:RqvswAFp0
提督 「で、長門と武蔵で清霜を曳航してのこのこと帰って来たのか?」

長門 「そうだ……」

武蔵 「最初は元気だったんだ」

武蔵 「しばらくしたら清霜が肩で息をして、身体が非常にだるいと――」

提督 「明石、清霜の突然の体調不良の原因は何だ?」

明石 「はい、あくまで推論ですが、サイコ艤装は艦娘と艤装を艦種に縛られずに接続するだけで、接続後の適合性まではフォローしないと思われます」

明石 「これまでは両腕、もしくは両足のみの接続だったので負担が軽かったところを、今回四肢全てを接続したことで……」

明石 「戦艦の艤装を駆逐艦に装備した無理がたたったと思われます」

提督 「ハァ? 何だそれ?」

提督 「俺がアテにしたのはそんな中途半端な力だったのか?」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 20:03:48.75 ID:RqvswAFp0
長門 「提督、今は状況に対処する方が先だ。サイコ艤装の話は後に――」

提督 「この役立たず共が……」

天龍 「何だと……?」

提督 「役立たずと言ったんだ」

天龍 「てめぇ!」

提督 「天龍、お前がここに来た理由を教えてやる」

提督 「前にお前が所属していた鎮守府の提督から『遠征要員しか使い道が無い艦娘を引き取ってくれ』と言われたんだよ」

天龍 「!?」

雷 (酷い……!)

電 (そんな……)

提督 「こちらは第六駆逐艦に51cm連装砲を搭載した直後だったからな。六駆が遠征に不向きになった分、こちらは遠征要員が欲しかった」

提督 「戦艦水鬼狩りの際にお前に探照灯を持たせたのも最悪沈んでも惜しくないと思ったからだ」

天龍 「ふざけんな……俺は戦える……」

天龍 「だったらサイコ艤装を俺に使え!」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 20:12:58.98 ID:RqvswAFp0
武蔵 「待て、サイコ艤装はこの武蔵が使う」

天龍 「人様の決意に水差すなんて趣味悪いぜ」

武蔵 「駆逐艦の清霜が使うと継戦時間が短いという欠点が露呈した。軽巡の天龍が使えば少しは長く戦えるかもしれんがそれでも不安が残る」

天龍 「姉御は元から超弩級だろ。サイコ艤装に切り替えてもメリットが薄い」

武蔵 「主砲の口径が45cmから51cmになるし、装甲だって今より厚くなる」

天龍 「俺が使えば軽巡が戦艦になるんだ。そっちの方がいい」

長門 「待て」

長門 「サイコ艤装は私が使う」

長門 「私なら戦艦だから適合に問題無いし、武蔵がサイコ艤装に切り替えるよりも性能の伸びが大きい」

長門 (最初からこうしていれば……)
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/03(日) 20:15:21.51 ID:RqvswAFp0
今回はここまで。

>>162
そうです。サイコミュじゃないサイコです。

それから一箇所訂正
>>167
〔誤〕提督 「こちらは第六駆逐艦に

〔正〕提督 「こちらは第六駆逐隊に


読んで下さった皆さんありがとうございました。
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/09(土) 23:15:31.07 ID:nlqmXqzy0
武蔵 「超弩級の武蔵が使うのが一番信頼性が高い」

天龍 「姉御、頼む退いてくれ」

長門 「私が使うと言っている」

電 「あの……!」

長門、武蔵、天龍 「?」

電 「二人で一つのサイコ艤装を使う訳にはいかないんですか?」

電 「……雷ちゃん」

雷 「もう……そんな困った顔しないの」

雷 「もっと雷を頼っていいのよ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/09(土) 23:25:04.38 ID:nlqmXqzy0
提督 「明石、よく間に合わせた」

明石 「いえ、急造ですがこれでサイコ艤装の性能は100パーセント発揮出来ます」

提督 「うむ」

提督 「次で失敗したら、もう作戦を練り直す猶予は無い。雷、電、お前達の戦果に全てが懸かっている」

雷 「敬礼は出来ませんが了解です」

電 「はい。これで暁ちゃんと響ちゃんの仇が討てるのです」

長門 (両手足を義肢にした雷と電が左右に並んで立ち、一つの艤装を使っている)

明石 (サイコ艤装なら、改修により複数の艦娘で一つの艤装を扱える。これまでの研究で可能だとは思ってたけど、実際に運用するのはこれが初めて)

明石 (もしこの作戦が成功したら、あの私の仮説が現実の物に……)
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/09(土) 23:38:08.20 ID:nlqmXqzy0
赤城 「加賀さんは敵艦隊と交戦中なので私がエスコートしますね」

雷 「よろしくお願いします」

電 「ありがとうございます」

赤城 (皆が前線を支えている間にこの三隻で……この場合ニ隻になるのかしら?)

赤城 (索敵を怠らず、無駄な戦闘は避け、敵の主力を叩く)

赤城 「一航戦赤城、出ます!」

雷、電 「戦艦雷電、抜錨します!」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/09(土) 23:53:11.69 ID:nlqmXqzy0
長門 「加賀、待たせた。後はこちらで引き受ける」

加賀 「お願いします。私は随伴艦と共に撤退します」

長門 (金剛、榛名、武蔵、天龍、そしてこの長門……この顔ぶれをもってしても果たして敵の大部隊相手にどれだけ持ちこたえるか……。だが弱気になるつもりは無い!)

天龍 (この中で軽巡は俺だけか。だっら魚雷使えるの俺だけじゃん。腕が鳴るぜ)

武蔵 (泣く泣く撤退を余儀なくされた清霜の無念を思うと、無様な戦いは出来ない)

榛名 (鎮守府では負傷者を入渠させて修理を終えたら出撃させてますが、もうバケツが尽きます。このままではジリ貧に……)

金剛 「榛名、そんな顔しない」

榛名 「金剛お姉様……」

金剛 「近くの鎮守府から比叡がこちらに向かってるからそれまでの辛抱。THUNDERBOLTが帰還出来るように鎮守府を守るネ」

榛名 「はい!」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/10(日) 00:03:51.25 ID:IFKQir+60
空母ヲ級flag 「グアッ!?」ドゴオオオオオォ

戦艦レ級 「ヲ級が轟沈!? ウアァッ!」ドゴオオオオオォ

赤城 (遂に見つけた、敵の主力!)

雷 (明石さんの綺麗な髪を束ねていた2本の赤いリボンが今、雷と電の右手の義肢の先にそれぞれ巻かれている)

雷 (明石さんの思いを決して無駄になんかしない)

電 「すごい、明石さん……。明石さんの造った艤装は、電の失った手足よりも自由なのです!」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/10(日) 00:05:14.93 ID:IFKQir+60
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/15(金) 22:27:56.67 ID:Rl545InQ0
戦艦水鬼 「撤退だと……」

港湾水鬼 「そうだ。後方の艦隊との連絡が途絶した。恐らくは敵の増援」

戦艦水鬼 「クッ、ここまで来て……」

港湾水鬼 「ヲ級flagやレ級が沈んだとなると相当数の敵が背後に回り込んでいる。このままでは挟撃される」

戦艦水鬼 「そんな奴ら……私だけで蹴散らしてやる!」

港湾水鬼 「落ち着け」

戦艦水鬼 「作戦を続行しろ」

港湾水鬼 「正気か?」

戦艦水鬼 「後方の敵は私が排除する。私からの連絡が途絶したら撤退でも何でもすればいい」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/15(金) 22:38:20.68 ID:Rl545InQ0
武蔵 「敵艦隊撤退……とはいえすぐに次が来るぞ」

天龍 「次から次へと……」

長門 (このままでは戦線を維持出来ない)

長門 (少なくともさっき撤退した加賀達が入渠を終えて再出撃出来るまでは持ち堪えないと鎮守府が落ちる)

長門 「金剛、援軍到着まで後どれだけかかる?」

金剛 「あと1時間って比叡は言ってたネ」

長門 (1時間か……)

金剛 「『もっと早く来られないか?』って言いたげネ」

長門 「……比叡達も全速力でこの海域に向かってるのは分かっている」

金剛 「他所の鎮守府に無理は言えないネ」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/15(金) 22:47:15.20 ID:Rl545InQ0
榛名 「援軍を2艦隊も出して貰えたのは、比叡お姉様が所属先の鎮守府の提督に嘆願したからです。これ以上の無理は……」

武蔵 「今は我々だけで何とかするしかあるまい」

金剛 「ただ、比叡達と敵艦隊との会敵を早めることは出来ます」

天龍 「そんな方法があるのか!?」

金剛 「Yes! この金剛と榛名で出来るだけ多くの敵を引きつけて比叡達の元にエスコートします」

金剛 「ハーメルンの笛吹きみたいに敵を大勢引き連れて、まだ損耗の無い比叡達に始末して貰うネ」

榛名 「高速艦を囮にして防衛拠点を敵の目から逸らし、かつ敵を無傷の友軍の正面まで誘導する」

榛名 「原前提督の戦術ですね」

金剛 「流石榛名です」

金剛 「前のテートクは、見た目はアレでしたが優秀でした」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/15(金) 23:13:23.61 ID:Rl545InQ0
天龍 「見た目はアレって……そんなに酷いのか?」

武蔵 「お世辞にも容姿に恵まれているとは言えん。それでも今の提督より余程好感が持てた」

榛名 「私達艦娘のことを大事にしてくれました。提督が殉職された時、駆逐艦の子達は泣いてましたよ」

天龍 「殉職って、戦死したのか?」

長門 「そうだ」

長門 「そして皆には悪いが、故人を偲ぶのは鎮守府に帰還してからにしてもらおう」

長門 「金剛、榛名、早速だがその作戦、遂行したい。……どうした天龍?」

天龍 「前の提督が使った作戦だろ。敵がそう何度も同じ手に引っかかるか?」

金剛 「敵が追って来なければ、金剛達と天龍達で二手に分かれての十字砲火になります。敵にすればそちらの方がイヤな筈です」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/15(金) 23:23:01.12 ID:Rl545InQ0
赤城 「新たな艦影1を確認、……戦艦水鬼!」

雷 「赤城さん、こちらで殿をやります。撤退をお願いします」

赤城 「あなた達を残して撤退する訳にはいきません」

電 「今の電達は孤立無援なのです。撤退中に新手の敵に遭遇したら撤退も出来なくなるのです。赤城さんが航空機で索敵して敵との戦闘を避けながら撤退すれば鎮守府に帰れるのです」

雷 「赤城さんが退路を見つけてくれないと生還が難しくなります。雷達も必ず追い付きます」

雷 「今の赤城さんはかろうじて中破です。雷達はまだ小破ですから」

赤城 「分かったわ、……撤退します」

赤城 (ごめんなさい。必ず帰って来て……)

雷 (赤城さんの奮戦で雷達は小破で済みました。ありがとうございます)

電 (赤城さんごめんなさい。雷はともかく電はもう生還を考えてないのです)

戦艦水鬼 (こいつ等だけで何隻沈めたんだ!?)

戦艦水鬼 (小癪な……。私の手でお前達を沈めてやる!)
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/15(金) 23:24:05.97 ID:Rl545InQ0
今回はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
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