春香「ボーダーですよっ! ボーダーっっ!」

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1 :ぱくり屋 ◆zfDCN0YmXY [sage]:2018/11/20(火) 22:44:21.38 ID:y4SVTSIa0


迅「……来たか」


 人気のないビルの屋上。

 迅悠一はひとり空を見上げた。

https://imgur.com/OmDaCfF


『門発生』

『門発生』

『近隣の皆様はご注意ください』



今日も三門市には警報が鳴り響く――


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1542721460
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/20(火) 22:46:20.28 ID:y4SVTSIa0

アイドルマスター(アイマス2,アニマス)×ワールドトリガー
地の文少々
片方しか知らない人も楽しんでもらえたらと思っているけど人物・設定ごった煮なのでまったく知らないとキツイかも
特にワールドトリガー 
時系列的には12巻終了後(那須・鈴鳴戦後)くらい。登場人物もおおむねそのへんまでにする予定。


WTの世界観だけ使った前日譚↓をも大分前書いたので良かったら
P「トリガー、オン!」
http://fateofthering.blog.fc2.com/blog-entry-26.html
地の分なし版はまとめサイトとかでも
エレファント速報:http://elephant.2chblog.jp/archives/52115576.html
森きのこ:http://morikinoko.com/archives/52010142.html
3 :ぱくり屋 ◆zfDCN0YmXY :2018/11/20(火) 22:49:00.38 ID:y4SVTSIa0
今日はスレ立てだけ

とりあえず明日の20時からキリのいいとこまで投稿します
多分書ききれない…まぁ二週間以内には完結させます

ほぼ話はできていて書き溜めも3/4くらい出来てますがSSは反応見つつ微調整しながら書いてくのが好きなので適当に冷やかしたりしてもらえるとうれしい
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/20(火) 23:23:32.67 ID:2hwqBfD6o
きたい
5 :ぱくり屋 ◆zfDCN0YmXY :2018/11/21(水) 20:01:32.10 ID:8PRZhv8P0
ではまったり書いてく
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:03:01.38 ID:8PRZhv8P0


――三門市立第三中学校


水沼「えーとじゃあこの問題を…」

遊真(さっきから警報鳴ってるな)ボソ

修(ああ、けど警戒区域内のはずだ)

 非番の修たち。ボーダーの任務を離れた貴重な学校生活の時間。

水沼「――空閑くん、どうかしら?」

遊真「うっ!?」


遊真「えーと……そのー…」

遊真(そもそもこれ何の授業だっけ?)

修(オイ……);


 しかし――

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:03:48.31 ID:8PRZhv8P0


ゴゴゴゴ…


ズンッ!!


修「何だ?!」

遊真「…外だ」

三好「何だありゃ!?」


平和は時に、たやすく崩れる。

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:07:17.42 ID:8PRZhv8P0


修「あれは……近界民のトリオン船!?」


 いつのまにか警報は常時のそれとは変わっていた。


『緊急警報』

『緊急警報』

https://imgur.com/GNsYabu


遊真「どうするオサム」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:09:26.39 ID:8PRZhv8P0

ピピピ

忍田『こちら本部。三雲くん、聞こえるか』

修「忍田本部長!?」

忍田『門から侵入したトリオン船らしき未確認飛行体が迎撃を逃れ君の学校付近に向かった。そちらで――』

修「確認できます! 校庭に墜落したようです」


忍田『近くの隊をすぐに向かわせる。緊急事態だ、君の指揮で差し当たりの対応と民間人の避難を頼む』

修「了解!」


修(なんてこった……もしあの中に近界民がいて戦闘になったら、被害は前の時とは比べ物にならないぞ…!)

 校庭の艦を見つめる修の額から汗が落ちる。
 その時、教室のドアが乱暴に開け放たれた。

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:15:48.82 ID:8PRZhv8P0

千佳「修くん!」

出穂「メガネ先輩! やべーっすよ」

https://imgur.com/oeRiOlh

修「夏目さんは先生たちと避難誘導を。合図したら裏から一斉に出られるようにしておいてくれ」

出穂「り、了解ッス!」

修「千佳、念のため狙撃態勢に入れるか」

千佳「うん、分かった…!」コク

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:16:57.97 ID:8PRZhv8P0

修「空閑、どこの船か分かるか?」

遊真「いやー、見たことない型だよ」



修「話し合いが通じる相手なら話をしないとならない。通じない相手なら、時間稼ぎをしないと」

遊真「相手の正面に出るのか?」

修「ああ……ぼくが行く」

遊真「オサム」

修「空閑は伏兵だ。なにかあった時は頼むぞ」

遊真「了解、隊長。ムチャするなよ」

修「そっちこそ」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:19:32.29 ID:8PRZhv8P0

――校庭


千佳『修くん、準備できたよ』

遊真『おれもオッケーだ。そっからは死角になってるだろ』

修「よし……。いきます」

忍田『頼む』



 校庭に不時着した船の前に、修が歩み出る。

修(……トリオン艇にそんなに大人数はいないハズだ。でも、ブラックトリガーがいればぼくらだけではとても…)

修(外部に武器はなさそうだけど…)

プシュッ

修「!!」

修(開くぞ、どうする避難を……いやまだだ、最初になんて言おう…)

ット

ワワワ…

修「え?」


どんがらがっしゃーん!!

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:22:05.69 ID:8PRZhv8P0


?「あいたたた…」

修「………」ポカーン

遊真『……こけた?』

修『みたいだ』;


千佳『あの…………撃たなくていい、よね?』

修『えっ……ああ、まだやめとこう』

修(たしかに隙だらけだけど……);

春香「あたた……はっ、ごめんなさい! 私の名前は天海春香、17才です! みんなでライブをするために来ましたっ!」

修「…………へ?」

https://i.imgur.com/hbiG7BB.jpg


遊真「………おお。あいつ、おもしろいウソつくね」ボソ

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:27:27.54 ID:8PRZhv8P0


修「ぼくはこの国の防衛隊、ボーダー玉狛支部に所属している三雲修だ。きみたちはどこの国から来たんだ?」


春香「わぁぁ!」

春香「隊長っ! ボーダーですよっ! ボーダーっっ!」

修(! 何人か出てきたぞ…)

隊長「ほう、ではここが彼の……」

?「春香、落ち着いて。それじゃなにも伝わらないわ」

春香「千早ちゃん」

千早「そこの方……ミクモオサムさんでしたか」

千早「私たちはバンナムという国から来ました。ここは、ニホンという国で間違いないでしょうか」

https://i.imgur.com/9DYVZyY.jpg
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:28:42.82 ID:8PRZhv8P0

修「そうだけど、なぜ……?」

修『空閑、バンナムという国に聞き覚えは?』

遊真『いや、知らないな。おれたちも近界のぜんぶの国を知ってるわけじゃない』


千早「私たちがニホンという国を知っているのは、元ボーダーの方に戦いを教わったからです」

修「なんだって…!」

千佳(……!)

修(やっぱり、他国で生きている人もいるんだ…!)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:29:35.13 ID:8PRZhv8P0

千早「Pという人をご存じですか。二年ほど前にこの国から行方不明になっているハズです」


修『忍田本部長』

忍田『――今調べさせている。彼らの目的を聞き出せるか?』


修「え、と、きみたちの目的は?」

千早「この国と相互――いえ。平和条約を結ぶこと」

修「平和条約……?」;
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:34:40.96 ID:8PRZhv8P0


――ボーダー本部


鬼怒田「普段接することができんのに平和条約だと?」

根付「なんとも、うさんくさい話ですねぇ」

忍田「P……沢村くん」

沢村「確かにいました。目立った戦果はありません。訓練成績は可もあり不可もあり。ムラっ気が大きいみたいで、たまにA級上位の人にも勝ってますけど最終ランクはB級下位です。その後開発室に移ってますけど、鬼怒田さん覚えてます?」

鬼怒田「P……P……? 今一覚えのない名だが……開発室からの行方不明者となると…」

城戸「……そのPが誰であろうと。近界民は排除する。変わりはあるまい」

忍田「城戸さん……!」

城戸「条約など、口ではどうとでも言える」

根付「ふむ。まあ本当に平和を望んでいるなら、無抵抗で無力化されてくれるでしょう。抵抗されるならそうではないということだ」

https://imgur.com/k1GJXd6
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:37:20.94 ID:8PRZhv8P0


――校庭


千早「信じてはいただけないでしょうね」

修「いや……それは……」

修(空閑が反応していない……ということは、本当なんだろうけど)

修(本部は信じてくれないだろうな……とくに城戸司令は)


修(いずれにせよ、避難はさせたほうがいいか……)

?「ね、どんなカンジ?」

春香「美希」

https://i.imgur.com/S92RUru.jpg
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:38:35.79 ID:8PRZhv8P0

修『夏目さん、避難準備は?』

出穂『オッケーっす! でも裏からだといっせいには出れないからちょっと時間かかりますよ』

修『それでかまわ…』


美希「あの建物、人いっぱいいるね」

修「な?」

遊真「……」ピク

美希「何組か分かれて、逃げる準備? あと三階にいるスナイパーさん、ムダだから撃たないでね」

修「なんだって…!」

千佳『修くん』

遊真『オサム』

千佳『多分、ホントに』

遊真『ウソじゃない』


千佳・遊真『『ばれてる』』

修(サイドエフェクト……!?)

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:40:35.71 ID:8PRZhv8P0


美希「トリガー、オーン」

春香「美希!?」

千早「美希、なにを」

美希「人質! 逃げたら、撃っちゃうかも!」


修「なっ!」


千早「美希!!」

美希「だって、普段と違う状況のときはリンキオーヘンに対処しろって、ハニー言ってたよ。船まだ直んないし」

千早「うかつに動くなとも言っていたでしょう!」

隊長「うぅむ。威嚇してしまった以上、穏便にとはいかないだろうね。仕方ない、ミクモくんとやら」

修「……!」;

隊長「要求に応えてもらえるかな」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:43:21.54 ID:8PRZhv8P0
 

――ボーダー本部


修『本部長……相手は、学校にいる全員を体育館に集めるよう要求してきています』


鬼怒田「おのれ! 人質をとっておいて何が平和条約か!!」ダン!

根付「しかし、マズイですよ。このタイミングでまた市民に被害が出ては、ボーダーの信用にかかわる…」

城戸「他の部隊はどうなっている」

沢村「一番近い部隊でも、到着まで五分以上かかります」

忍田(相手の戦力は集中している……今戦闘となれば、最悪着順に各個撃破されかねんな)

忍田「遊真くん。きみは相手をどう思う」

遊真『こっちから手出ししなきゃダイジョブだと思うよ』

忍田「……よし、三雲くん。しかたがない。ここは従うんだ」

修『…三雲、了解』


根付「……しかしまずいですね、こんな時に唐沢さんは……」

 
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:46:56.01 ID:8PRZhv8P0


――校庭


修「……避難誘導していた仲間に、指示は出した」

隊長「うむ。では、我々は拠点をあの集会所に移す。小鳥君、船はどうだい?」

小鳥「ステルス機能はだましだまし使えそうです、でも、エンジンがまだダメですね。開門はもちろん、通常飛行も長距離はムリです」

隊長「分かった。まずはあの建物の側へ。折を見てステルス・光学迷彩で機体は隠してくれたまえ」

https://i.imgur.com/2KQy7w9.jpg

 そうして学校にいた全員が、体育館に集められた。

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:49:20.70 ID:8PRZhv8P0
 
――本部


忍田(……彼らはあのままでいれば、捕縛されるか、交戦するしかなくなった。結果的に現状は、もっとも互いにダメージのない状態だと言える)

忍田(…しかし、敵の性質が不明な以上、人質を見過ごすわけにはいかんな)

忍田「まずは学校周辺の住民の避難を。早急に無人にするように」

忍田「状況に即応できるよう、数部隊合同で学校を包囲。それと、B級合同狙撃班を編成。隊長は東、補佐に荒船だ」


城戸「侵入したもう一隻のトリオン船はどうなっている」


沢村「ステルス機能が健在らしく、詳細は不明です。玉狛支部方面で異音の報告が上がっています」

忍田「林藤」

林藤『おお、こっちも今必死で捜索してるトコ。分かり次第報告する』

城戸「…………さて。どうでる…?」


城戸『迅』
 
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 20:59:06.97 ID:8PRZhv8P0


――ボーダー・玉狛支部



林藤「……つー感じだから、外に出ないほうがいいな」

律子「いいんですか? バレたらあなたの立場が危うくなるのでは…」

https://imgur.com/kokfUPL

林藤「バラすひとー。……いないっ!」

真「い、いやいやそんな簡単に…」

https://i.imgur.com/vJp3BsM.jpg

宇佐美「大丈夫大丈夫、黒縁メガネに悪い人はいない!」

律子「なんですそれ」

宇佐美「いやーメガネ人口増えてうれしーな」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:05:44.94 ID:8PRZhv8P0

林藤「しかしおたくらもムチャするねぇ」

真「すいません……」

林藤「いやまぁ、正解だったと思うよ。彼から城戸さんのことも聞いてたんだろ?」

https://imgur.com/51m6ppw
https://imgur.com/0wU4Nu8

レイジ「Pは……信頼できるヤツだった。Pが信じた仲間なら、大丈夫だろう」

真美「いや〜うちの兄ちゃんをゴゾンジとは、マッチョ兄ちゃん、お目が高いですな!」

烏丸「ま……レイジさんが言うなら、間違いないだろ」

貴音「人の縁というものは……まこと、よきものですね」

https://i.imgur.com/nAg2kjq.jpg
https://i.imgur.com/Hbf4HSq.jpg
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:07:52.16 ID:8PRZhv8P0

小南「なんでこんなやつらを…」


伊織「あら、私たちが怖いの?」

小南「なんですって?」ピク

https://i.imgur.com/PW66EYf.jpg


亜美「ねーちゃん、うちのいおりん怒らせないほうがいいですぜ。デコからビィィム出るよ」

小南「ええっ!? ホント!?」

伊織「ふざけてんの!?」

小南「う、うつなっ」

伊織「うつかっ!」


烏丸(独り言のようだ)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:10:40.41 ID:8PRZhv8P0
 
響「お、キミは、お腹撫でられるのが好きなんだな? よーしよしよし」

https://i.imgur.com/80PhLho.jpg

陽太郎「むむ、なぜそれを……雷神丸があっさりとなつくとは…」

響「じつは自分、動物と会話できるんだ! って、キミもなの!?」

陽太郎「こら雷神丸、コジンジョーホーをはなすとはナニゴトか!」


林藤「……このまま平和に終わってくれればいいんだけどなあ」

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:11:27.65 ID:8PRZhv8P0
ちなみに画像は主にうろ覚えの人が把握しやすいようにあげてるだけで深い意味はないです
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:12:09.10 ID:8PRZhv8P0
アニマスの人物紹介が一番わかりやすかったから使ってますがアイマスメンバーの設定は画像とは異なります
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:13:07.35 ID:8PRZhv8P0
この響は沖縄出身ではないです
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:18:45.01 ID:8PRZhv8P0



―――体育館



ザワザワ…

ドヨ…

三好「おいおいおい、オレたち、ピンチなんじゃないか」

四ツ谷「何が起きてるんだ……避難するはずが、これって」

二ツ木「で、でもホラ! 三雲がああしているんだから」

一之瀬「そうね、あたしたちには、信じるしか…」

https://i.imgur.com/AGI0QtK.jpg
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:20:14.45 ID:8PRZhv8P0

隊長「これで全員かね?」

美希「うん。たぶんあっちの建物に人はいないよ」


千佳「修くん」

出穂「メガネ先輩」

修「千佳、夏目さん」

出穂「ど、どうなってるんすかコレ……」

千佳「わたしたち、トリガーを渡さなくていいのかな」

修「それが、交渉役として、ここにいるぼくらは武装解除しなくてもいいそうだ」

遊真「でなきゃおれ、ここにいられないぞ」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:21:29.32 ID:8PRZhv8P0

?「締め付けすぎれば、反抗の芽が生まれる。にしても少々ゆるいようだね」


修「は……!? あなたは……唐沢さん…!」

唐沢「や、三雲くん。大変なことになったね」

修「な、なぜここに」

唐沢「いや急な腹痛に襲われてね、学校でトイレを借りたところ巻き込まれてしまった」

修「い、いやそんな…」

唐沢「はは、本当は、たまたま仕事で近くへ来ていたときトリオン船の落下を目撃してね。野次馬根性を出したらこのザマだ」

唐沢「通信機も取られてしまったが……なにか力になれることがあったら、遠慮なく言ってくれ」ポン

修「は、はい………」

修(これ以上、混乱させないでほしい…);
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:25:11.47 ID:8PRZhv8P0


森林「……あんたが責任者かね」ツカツカ

隊長「む?」

修「ちょ、先生」

https://imgur.com/7qSavrA

森林「何が目的かしらんが、人質ならこんなに大勢はいらんだろう! 子供たちだけでも、解放してもらえないか」

隊長「申し訳ないが、我々にも事情があるのでね。そうだな……では見せしめが必要な時には、あんたからやるとしよう」

森林「な……」;

修「見せしめ……!?」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:28:11.66 ID:8PRZhv8P0

春香「ちょっと、隊長!」

遊真「おまえ、つまんないウソつくねー」


森林「う、うそ……?」

あずさ「隊長、あんまりいたずらしちゃ、め、ですよ〜」

https://i.imgur.com/xFmMz4U.jpg

隊長「ハハハすまんすまん、昔のクセがついね。失礼した先生、なに、我々に協力してくださるかぎりあなた方の安全は保障しますよ」


修「……すいません先生、必ず助けは来ます。いまは、従ってください」

森林「あ、あぁ……」


36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:29:15.28 ID:8PRZhv8P0



美希「あーあーあー、テステステス」

 マイクらしきもので拡大された声が体育館に響く。
 視線がおのずと一点に集まる。

ナンダアノコ…

カワイイ…


美希「突然だけど、みなさんは、ミキたちの人質なの!」


ハ?

ナンダコレ…


千早「私たちは、あなた方の言うところの、近界民です」

 その言葉に、どよめきが一際大きくなる。

佐補「近界民…」

副「あんな女の子が……」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:34:12.28 ID:8PRZhv8P0

千早「ですが、私たちの国、バンナムは、あなたたちの世界を含めたすべての国との平和的関係を望んでいます。この状況では、説得力はないと思いますが…」

美希「ミキたちの言うこと聞いてくれれば、なんにもしないよ。とりあえずー、勝手にここを出たり、ケータイデンワーとかで連絡を取るのは禁止!」



バカ2「は、はぁ?」

バカ3「んだこれ……やべぇよやべぇよ」

バカ1「……知るかよ」ス


森林「何をやっとるか!!!」

 ひそかに取り出そうとした携帯を、森林が横から取り上げる。

バカ1「はっ!?」

森林「お前たちは、死にたいのか! これは普段の授業中じゃないんだぞ!!」

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:35:54.78 ID:8PRZhv8P0

森林「先生方、今は生徒たちの安全を守るために、私たちが監督せねば!」

水沼「は、はい…!」


美希「ごめんね。で、ちなみにー、今具合が悪いヒトー。それから、どうしても帰りたいヒトー」


修「え……?」

遊真「へえ」


美希「今日この後歌のケイコがー、とかって人は、今日は休んで。そのかわりミキたちがおもてなしするよ」

千早「本当に体調不良の方、親族の病気など仲間を置いてでも帰らなければならない理由のある方は手をあげてください」

春香「1……2……ちょびっとだね。いい人たちだ」


千早「三雲さん。上司の方に連絡を。体調不良などの人質との交換を、丸腰のボーダー隊員となら応じると」

修「!?」
 
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:39:34.22 ID:8PRZhv8P0


――本部


忍田「……」

根付「どういうつもりですかねぇ……」

鬼怒田「生徒も隊員も、集めてからトリオン兵でまとめて拉致する気ではないか」

城戸「あるいは、反撃の契機になるやもしれん」

忍田「しかし、潜入させる人材となると…」


嵐山『避難誘導完了しました! 忍田本部長、中の状況は……』


一同「「「………」」」


鬼怒田「経験豊富な人材」

沢村「チームワークは抜群です。通信がなくても…」

根付「人質を安心させる効果も高いでしょうなぁ」

忍田『……嵐山――』
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:48:25.26 ID:8PRZhv8P0


―――体育館


嵐山「三雲くん!」

https://imgur.com/EHSF4Bh

修「嵐山さん」

嵐山「状況は?」

三雲「それが……」;


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:52:27.83 ID:8PRZhv8P0


雪歩「あの、お茶をどうぞ……すいません、こんなことに巻き込んじゃって……」

千佳「あ、ど、どうも………ぁ、おいしい……」ズズズ

https://i.imgur.com/i9WjupE.jpg

あずさ「ごめんなさい、すこしの間ご迷惑おかけします〜」

三好「全然オッケーです!」b

四ツ谷「おまえ…」

一之瀬「意外ね、近界民って、もっとおそろしい人たちかと思っていたけれど」

二ツ木「フツーのひとって感じだね」


42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:54:04.58 ID:8PRZhv8P0

嵐山「……とりあえず、危険はないみたいだな」ホ

木虎「私帰ってもいいかしら…」

遊真「いよぅキトラ」ジー

木虎「……なに撮ってるのよ」サ

修(髪なおした…)

遊真「バンナムの連中に記録係とやらを頼まれた」+



忍田『三雲くん、そちらに嵐山たちは到着したか?』

修『あ、ハイ。今ちょうど』

忍田『場合によって君たちのトリガーを片方ずつ臨時接続させ、戦力にしてくれ。今の状況は』

修『当面、危険はなさそうです』
 
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:54:48.12 ID:8PRZhv8P0


根付「どうやら、慰撫工作に力を入れているようですね」

鬼怒田「こすい手だわい」

城戸「今のうちに戦力を整える。展開、包囲を急げ」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 21:59:28.78 ID:8PRZhv8P0


―――体育館


やよい「できましたーっ! 順番に並んでくださーいっ」

https://i.imgur.com/yPEq2go.jpg

時枝「おつかれ。なにあれ?」

修「時枝先輩。非常用の食糧があったんですけど、そのまま食べるのも味気ないだろうからとのことで…」

 一体どこから持ち出したのか、鉄板や鍋で非常食をアレンジして供する即席の屋台ができあがっていた。
 生徒たちは戸惑いつつも危機感は薄いらしく、一部の生徒たちが列を作っている。

 その列を無視して、屋台に近付いていく男子生徒が一人。

遊真「……む?」

やよい「あっ、あの、ごめんなさい、順番で」

モブ「ふざけるなよ!」バシッ

 やよいが持っていた食事が床に落ちた。
 どよめきとともに、体育館中の注目が集まる。

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:02:42.43 ID:8PRZhv8P0


やよい「あ、う……」

モブ「近界民のせいで、家や大事な人を亡くしたやつは大勢いる。善人のフリなんかしてんじゃねぇよ!」

水沼「モブくん!」

森林「な、なんてことを…刺激しては…」



美希「食べ物にヤツアタリするの、良くないって思うな」

 歩み出た美希は、少年に何かを投げ渡した。

モブ「?」パシ

美希「それもって、トリガーオンってやれば戦闘体になるよ」

モブ「え……」

修「な……」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:04:28.39 ID:8PRZhv8P0


美希「近界民に怒ってるんでしょ? ミキたちトリオン体だから、トリガーでないと、叩くあなたのが痛いよ」

 手渡された武器に戸惑い、彼は疑問の視線を少女の仲間へと移す。


千早「あなたの怒りは、理解できるつもりです。私たちも……戦争で多くを失いました」

やよい「あの……私たちは、いいんです。受け止めなきゃいけないことだと思うから…。でも
――」


 床に落ち無残に凹んだ食糧に沈んだ視線が向かい、思わず彼がその視線を追う。
 その視界に不意に、掌が映る。


唐沢「失礼」

ヒョイ

ジュゥゥゥゥ

パク

唐沢「加熱すれば大丈夫だよ」ムグムグ

やよい「……あ……はいっ!」パァ
 
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:05:16.67 ID:8PRZhv8P0

モブ「………」

 少年はそんなやり取りに眉根を歪め、しばしの沈黙ののちに静かに口を開いた。

モブ「近界民の仕業っつっても…あんたらがやったワケじゃ……ない、んだよな」

美希「……うん、違うよ」

モブ「……………………近界民は、嫌いだ。けど………」

モブ「今のは…俺が、馬鹿だった。返すよ。これ」

美希「…ん、いいの?」

モブ「ああ」

春香「あの………代わりと言ってはなんですが……」

モブ「?」



48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:06:58.46 ID:8PRZhv8P0



モブ『おれは絶対ボーダーに入って、三門市を近界民から守ってみせる!!』


おお?

なんだありゃ


 何かを渡され説明を受けていた少年が、思いをぶちまける。
 その声は大きく、しかし不思議と喧しくはなくあたりに響き渡った。

修「マイク…みたいだな、学校のじゃないみたいだけど」

遊真「あれ……多分、トリガーだ」

出穂「え、武器ッスか?」

千佳「トリガー技術って、近界だと、武器以外にもいろんなことに使われてるんだって」迅さんが言ってたって烏丸先輩が言ってたってオサムくんが言ってた

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:10:39.45 ID:8PRZhv8P0

モブ「おお……たしかになんか、すっきりしたよ」

春香「えへへ、ためこんじゃうのは良くないですからっ」

嵐山「……君の熱い思い! たしかに伝わったぞ!」

モブ「あ、あんたテレビとかに出てるボーダーの…」

カリテイイ?

ドウゾ-



嵐山『みんな、ボーダーの嵐山だ! 我々の力が足りないばかりに、不自由をさせてすまない』



三好「嵐山准だ! ヤベー!!」

一之瀬「……!この前の時三雲くんと話してたあの…」

木虎「な、何をやって…」;

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:13:37.20 ID:8PRZhv8P0


嵐山『不安だろうけれど、パニックは起こさないでほしい。おれの目が黒いうちは、かならずみんなを守ってみせる!!』


おお…?

特に副と佐保だろー!


副「が、学校中に知れ渡ってる……」

佐補「恥ずかしい……」

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:20:27.39 ID:8PRZhv8P0


出穂「ヤバイっすメガネ先輩。緊張感さん息してないです」

 嵐山からさらにマイクは移動していき、今はバスケ部の主将がこんな時だからこそと来年度インハイ出場を決意表明していた。

修「うん……なんか未成年の主張が始まってるし……」;


バカジャネー,エイダダー

モットヒトガキマスヨーニ!

ワートリサイカイバンザーイ


遊真「おれたちもなんか宣言しとく?」+



美希「あ、ねぇねぇそこのメガネくん。ちょっと手伝って?」

修「え、はぁ…」

出穂(いきなりメガネくん呼ばわりされていいんだ)

千佳(それは出穂ちゃんも…)

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:21:35.28 ID:8PRZhv8P0


――校庭


隊長「よっと…おお、スマンね。こいつを中へ頼むよ」

修「はい…お、大きいな……なんですかこれ?」

隊長「音響設備だ。丁重に扱ってくれたまえよ」

雪歩「あ……すいませんっ、私も持ちますぅ」

修「どうも…」


雪歩「………」ンショ

修「……あの」


雪歩「ひゃうっ!」

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:23:08.34 ID:8PRZhv8P0

修「え。ぼく、何か……」

雪歩「すっ、すいません……私、男の人が苦手で…」

修「はぁ……そういえば、ほとんど女性ばかりですね」

雪歩「は、はい……私たちの国には、男の人があんまりいないんです……」

修「え…」

雪歩「私たちの国は……プロデューサー…あ、Pさん、です。プロデューサーが来てくれるまでは、すごく弱くて…。男の人は、戦争でほとんどさらわれたり、亡くなってしまって…」

修「……」


修(……他人事じゃない。三門市だって、旧ボーダーがいなかったら…)

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:24:47.97 ID:8PRZhv8P0

修「その、Pって人は、ここには来ていなんですか?」

雪歩「っ………ぅぅ、プロデューサー…」

修「まさか…」;

雪歩「生きてます! プロデューサーは、絶対、無事でいますぅっ!!」


春香「雪歩、かわるよ」

雪歩「春香ちゃん…」


春香「ごめんなさい……前にいた国で、トラブルに巻き込まれてしまって……私たち、プロデューサーさんと、離れ離れになっちゃったんです」

修「……すいません、悪いことを聞いてしまったみたいで」

春香「いっ、いえ! あなたが謝ることじゃ……それに、私たち、プロデューサーさんが生きてるって信じてますから!」

修「……わかります。ぼくも、そう信じてる人がいる」

春香「…!」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:25:46.05 ID:8PRZhv8P0

修「ちなみに、バンナムには、日本から来た、なんて人はけっこういるんですか?」

春香「あ、いえ……私たちの国は、あまり他国の人はいません。ついこの間まで負け続けだったりで……」

修「そうか…」

春香「ごめんなさい、力になれなくて」

修「あ、いえ。こちらこそ」



美希「おつかれー、それはこっち側だって」

春香「分かった、美希、そっち持ってくれる?」

美希「はいなの。会場、だんだんあったまってきてるよー」

春香「そっか、良かった」

修「?」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:26:48.34 ID:8PRZhv8P0

遊真「……あんたたち、これからどうするつもり? 多分今ごろ、外は囲まれてるよ?」

千早「そうでしょうね。ただいずれにせよ、私たちは船が回復するまで動けない」

遊真「そのためのトリオン集めでこんな人集めてんの?」

千早「それもあります。私たちの船は、人が無意識に漏らしているトリオンを集める機能が付いている」

遊真「どんくらいかかるの?」

千早「……さぁ……」

遊真「=ε=;」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:46:39.22 ID:8PRZhv8P0

やよい「あっ! 機材、運んでくれたんですね! ありがとうございますっ!」がるーん

https://i.imgur.com/qwKtWL0.jpg

あずさ「ちょうどいいタイミングね〜」

修「ちょうどいいタイミング…?」

出穂「あっメガネ先輩! いやもうワケわかんないっすわ。おれの歌をきけーーって合唱部がアカペラ始めました」

千佳「すごいよ修くん。なんだかお祭りみたい」

遊真「ほほぅ、これがニホンのお祭りですか」+

修「まぁ…文化祭とかは……」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:47:45.11 ID:8PRZhv8P0


 遊びたい盛りの中学生たち。緊張が薄れるとともに非日常への高翌揚が増しているようだった。
 合唱部の声が笑い声にフェードアウトしたところで、バンナムの面々が壇上に上がった。



美希「みんなー、盛り上がってるー?」


いえー!!


あずさ「私たちは近界民です。けれど、みなさんと同じように、楽しいときは笑って、悲しいときは、泣いちゃうんですよ〜」

雪歩「私たちの国は、歌や踊りが自慢だったんですぅ」

千早「みなさんがよろしければ、私たちの国の歌を、ここで披露させていただきたいのですが……」

いえー!!



木虎「バカバカしい……なんなのよ、これ」

時枝「…こういう戦いかたも、あるんだね」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:52:57.88 ID:8PRZhv8P0


春香「もっと遠く どこまでも伸びる♪」

千早「追いかけてく 飛行機雲を まっすぐ♪」

美希「今日はまだね 届かないけれど♪」

あずさ「明日はたぶん 追いつけるかな? そう思うよ♪」

 
60 :※参考 :2018/11/21(水) 22:53:59.01 ID:8PRZhv8P0

https://www.youtube.com/watch?v=HY6bauem8lw&t=31s
https://www.youtube.com/watch?v=bmUnxuNt14k
本当はこの曲Fullverがオススメ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:56:29.26 ID:8PRZhv8P0
まだ そこに 壁は あるけど
もう 平気 飛び越える

あの空に向かって・・・


鬼怒田「なんと、呑気なもんだわい」

根付「……実際心根は、無邪気な女学生と変わらないのかもしれませんねぇ」

沢村「学生時代を思い出しますねー」


城戸「…すぐに通信を切れ」

沢村「は、はい…」

忍田「……城戸さん?」
 
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 22:58:27.95 ID:8PRZhv8P0
 
城戸「……トリオン感知を最低レベルまで下げ、第三中学を精査せよ」

沢村「了解。……これは? 体育館ほぼ全域に弱いトリオン反応が……」


城戸「……」



城戸『三輪、聞こえるか』

三輪『司令…? こちら三輪、聞こえます』

城戸『敵のトリガーは――』

 
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:00:27.94 ID:8PRZhv8P0


――その頃


―――玉狛支部

https://www.youtube.com/watch?v=NkhnMi-ID74


アイドルs「「「「全弾発射!!」」」」



林藤・小南・宇佐美「「「いえー!!!」」」

 

陽太郎「ぜんだんはっしゃ! 全武装とどっちがつよいかな?」

レイジ「いや……俺の全武装は、壊すしかできないからな。あっちのほうが……強い」

烏丸「レイジさん作るのも得意じゃないすか」トンカツ,トカ

烏丸「俺にはこういうの縁がないと思ってたけど……けっこう、悪くないっすね」

貴音「ふふ……少し、気恥ずかしいですね…」



林藤「ん……向こうは……そうか」

林藤「……さて、どうしたもんかねぇ」
 
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:02:50.55 ID:8PRZhv8P0


 その頃学校から少し離れた各地点に、続々部隊が集結しつつあった。

加古『加古隊、現着したわ』

東『こちら東。B級合同狙撃部隊配置完了』

三輪『三輪隊、いつでも動けます』

冬島『こちら冬島ほか一名。設置開始しますよ、と』
 
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:07:37.02 ID:8PRZhv8P0

忍田『狙撃班は体育館周辺の動きを警戒。B級近接部隊およびA級部隊は不測の事態に備えて待機』

根付「しかし、どうするんです?」

鬼怒田「うむ。人質がある以上、うかつには動かせん」

城戸「……確認した敵の数は、8だったな」


鬼怒田「武装はなかったらしいが、ステルスに使うトリオンも考えれば人数的にほぼ限界だろう」

城戸「狙撃部隊の視認できる人数は」


東『現在2名。常時、2〜3名が外部を哨戒しているようです』


城戸「……哨戒の兵は狙撃が可能、か。ブラックトリガーの本数にもよるが……空閑遊真が戦力に数えられるのであれば、敵を抑えつつ人質を救出することも不可能ではない数だな」

忍田「……城戸さん」

城戸「無論、現時点でこちらから攻めるのはリスクが大きすぎる」


城戸「……何かあれば。いつでも動けるようにしておけ」
 
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:09:45.55 ID:8PRZhv8P0


―――体育館


巡り会いたい 手を繋ぎたい♪

抱きしめあいたい 今すぐ♪


アイドルs「「「「Vault that borderline!」」」」


わああああああ!!



67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:10:20.97 ID:8PRZhv8P0


木虎「まったく……なんなのよ、これは」

出穂「なんか、フシギですね。相手近界民なのに、いっしょになってめっちゃ楽しんじゃってるじゃないすか」

木虎「…騒げればなんでもいいんでしょ。どうせ」

あずさ「あら〜…お気にめしませんでしたか…」ヒョコ

木虎「!」

修「い、いつのまに……」

あずさ「時間があれば、ほかの歌や踊りもお見せできるんですけど……きっと、気に入るものもあると思うのだけど〜」

修「いや、でも、すごかったです」


修(体の奥にひびく音……スポットライトのなかでおどる姿……)

修(しばらくの間、自分がボーダーだとか、彼女たちが近界民だとか、頭からふきとんでしまった……)

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:10:52.27 ID:8PRZhv8P0

修「その、彼女はテレビとかにもよく出ているのできっと慣れて」

木虎「んん」ゴホン

修「?」

木虎「その……悪くは、なかったです」///

修「えっ」

木虎「何」

修「あ、いや…」

あずさ「わ〜いっ、ありがとう〜」ナデナデ

木虎「なっ、なでないでくださいっ」

あずさ「ふふ……これでもうあとは、つかまってしまってもいいかしら〜」

修「えっ」

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:11:46.86 ID:8PRZhv8P0

遊真「ふむ。そういや、ライブをしに来たんだっけ」

修「い、いや、平和条約はどうなったんですか。まだ何もしてないじゃないですか…」

あずさ「……なーんちゃって」

修「……」;



あずさ「けれど……私たちの国は、昔はほかの国と交流するのも数十年に一度。こちらの世界のことなんて、おとぎ話にしか出てこないくらいだったんです」

あずさ「それを考えれば、今この時を過ごせただけでも……すごく、すごーく、ありがたいなって……そう思うんです」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:14:14.40 ID:8PRZhv8P0

千佳「………」


千佳「あの、嵐山さん……」

嵐山「ん?」

千佳「あの人たちが帰るまで、このままっていうわけにはいかないんでしょうか」

嵐山「……それは」

木虎「ムリよ」

千佳「!」

木虎「人質がいるから無闇には攻撃できない。けれど、放置は有り得ない。最悪を想定すれば、ここにゲートを開かれたらまとめてさらわれるわ」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:15:26.67 ID:8PRZhv8P0

千佳「でも、あの人たちが、みんなに危害を加えるとはとても思えないんです」

時枝「なんでだろうね。オレも、そう思うよ」

千佳「時枝先輩」

時枝「でもそれは、接してるオレたちだから分かることだと思う」

時枝「それに、彼女たちにそのつもりがなくてもそういう作戦が進行しているっていう可能性もないとは言い切れない」


千佳「……じゃあ、戦いに……」

嵐山「今、中の状況は落ち着いている。すぐにということは、ないと思うが……」

 
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:17:09.58 ID:8PRZhv8P0


―――玉狛支部


宇佐美「ホントはどうするつもりだったんです?」

律子「ステルス船で僻地から忍び込み、情報収集をしながら交渉相手を探す、というのが基本ですね」

小南「なによ、スパイ?」

伊織「密使って言ってくれるかしら」

烏丸「正面から交渉しちゃダメなんすか?」

律子「……うちの国は、ついこの前までトリガー技術は音響、映像関係特化。戦いは負け続けの奪われ続けでした」

林藤「つまり、差し出せるモノが弱い、と」

律子「はい。今は、技術レベルも上がり他国の人も増えました。けど、目を引くような新技術なんかはほとんどないんですよ」

小南「そんなんじゃ、忍び込んでも交渉できないんじゃないの」

貴音「相手の求めているものが見えれば、交渉の余地も生じます」

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:19:28.67 ID:8PRZhv8P0

律子「船さえ無事なら、最悪でも逃げることができますからね。今回は、その船が侵入と同時に見つかってしまったわけですが」

木崎「ゲート誘導装置、か」

律子「ええ。一応、対策は施していたはずなんですが。一年もすれば通じなくなっているだろうと……それにしても、いきなりの砲撃は、予想外でした」

響「っていうか、前の国から出る時イッパイイッパイで、どこへ向かってるのかも分からなかったし」

小南「ふぅん……ついてないわねー」

貴音「いえ……悪いことばかりではありません」


貴音「あなたがたにお会いすることが、できましたから」


小南「………」

烏丸「………」

レイジ「………」


陽太郎「そ、そんなバカな〜っさっきはじめてやったゲームで…」

真美「甘いよよーたろっ」

亜美「亜美たちの成長力はもうよーたろのパワーを圧倒的に上回っているッ!!」


宇佐美「ひゃー照れちゃうねー」

小南「ちょ、ちょっ、なによっ!? とりまるあんたまたなんか騙した!?」

烏丸「いやなんでですか…」

小南「恥ずかしいセリフ禁止いっ!」///

レイジ「落ち着け小南」

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:20:55.89 ID:8PRZhv8P0
あ、レイジさんの表記がいきなり木崎になってるのはただのミスです
多分たまにこういうのある
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:24:04.21 ID:8PRZhv8P0


林藤「……ま、それはそれとしてなんか手ある?」

律子「向こうの艦は動けません。艦を捨てれば、私たちはもう、帰ることもプロデューサーを探すこともできなくなる」

林藤「運良く……こっちがなんかする前に直ってくれればラッキー、か」

律子「はい。一隻動けなくなってしまった時点で、私たちには取れる手がほとんどなくなりました」

林藤「……」

林藤(……直るまで待つってことはつまり、最悪連れ去られるまで待つのと同じ意味だ。それまであの城戸さんが手をこまねいて待ってくれるか?)

林藤(しかも、敵が人質を取ってるって状況は、ほとんどのヤツが未経験のものだ。この状況……何が起きてもおかしくない)


林藤『どうするよ……迅?』
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:25:12.68 ID:8PRZhv8P0


――学校周辺



米屋「しかし秀次、オレらいつまで待てばいいんかね?」

三輪「……少なくとも、冬島たち特殊工作(トラッパー)隊の設置前にこちらからは動かないだろう」

米屋「逃げられないようにしてから?」

三輪「ああ。哨戒をB級狙撃班が排除し、俺たちが突入する流れだろう」

米屋「古寺たちは?」

三輪「A級スナイパーは突入支援だ。外ならばともかく、あの人質もいる中で戦闘となれば相当腕がなければ支援射撃はできまい」

米屋「なるほどねー」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:38:34.83 ID:8PRZhv8P0

――狙撃部隊


荒船『……こっちの狙撃を警戒してる様子はない、か?』

東『全員、油断するなよ。敵はバッグワームを看破するレーダーを持っている可能性もある』

半崎『それにしちゃ、警戒してなさすぎじゃないすか?』

太一『み、見通しのいいとこにいますもんね。あの金髪の子……』

穂刈『見えないな。一人しか……』

茜『うぅ―…緊張で手が震える…わたし冷静に打てるかなー…』

モブスナ『………』

https://i.imgur.com/6f2eIi8.jpg


 狙撃手たちはいつでも撃てるよう狙いを定める。
 
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:39:11.86 ID:8PRZhv8P0

荒船(見たとこ隙だらけだ。いつでも撃てる…)

穂刈(すぐに撃てるな……合図があれば……)

半崎(バレてんなら……向こうから撃ってくるかもしれないんだよな)

太一(撃たれるかも…? 一体いつまで待つんだろう……)


スコープ越し。敵は目の前に見える。

街を壊し大切な人たちを奪った近界民。

戦いが始まればいつでも撃てる。

いつでも撃てる。


いつでも撃てる――


79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:39:48.27 ID:8PRZhv8P0
というところで今夜はここまで。戦闘までいけなかった(
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/21(水) 23:40:32.38 ID:8PRZhv8P0
次回は多分明後日の夜

意見感想要望等あらばくれたら次回以降で反映されるかもです
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/23(金) 20:39:27.67 ID:zFn7rIdb0
ちょっと忙しくなったので次回は火曜夜に
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 05:11:51.28 ID:zHN1sxHlo
雪を滑る方かと思った
83 :ぱくり屋 ◆zfDCN0YmXY :2018/11/28(水) 22:47:02.19 ID:QsUAHMuA0
>>82
それもありかもしれない
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 22:47:33.89 ID:QsUAHMuA0

―――体育館



千佳「……修くん。なんだか、嫌な感じがする……」

修「……嫌な感じ?」

嵐山「中はみんな、元気そうだが――」

ボッ!

何の前触れもなく。体育館の端の壁が小さく破れ、床に穴が空いた。

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 22:49:19.99 ID:QsUAHMuA0

 静まり返る体育館。

 誰もケガはない。追撃もない。

 それでもこれは――


修「今の……は……」

嵐山「バカな!」


 開戦の狼煙に相違ない――


86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 22:51:39.18 ID:QsUAHMuA0


――本部


根付「発砲!?」

忍田「バカな!!」

東『なんてことを…!なぜ撃った!!!』

モブ『ご、誤射です…! すっ、スイマセンッ…!』

 放たれた一発の弾丸。震えのためか、誰を狙うでもなく放たれたそれはただ体育館の端に吸い込まれた。

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 22:58:50.49 ID:QsUAHMuA0
 
城戸「………不本意だが」

忍田「!」

城戸「こちらから手を出してしまった以上報復の可能性がある」

忍田「っ城戸さん………まさか……!」

城戸「ただちに突入の必要があると認められるがどうか? 本部長が必要ないというのであれば、その判断は尊重するが」

忍田「く……!」

忍田(……いや、今は詮議している時間はない)

忍田「…やむをえまい」
 
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:02:02.88 ID:QsUAHMuA0


――学校周辺



東『本部から命令が下った。3カウントで一斉に撃つぞ』


2…

1…

美希「アステロイド!」

 美希の掌に浮かんだトリオンキューブが、無数に分かれ四方に放たれる。

太一「な……!」

 今まさに撃とうと美希を見ていた太一の目に、迫るアステロイドが見え――

ドンッ

太一「がっ」

 逃げ出す間もなく、光弾は容赦なく頭部へと突き刺さった。
 
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:05:09.21 ID:QsUAHMuA0

 彼だけではない。

 学校の周囲のあちこちで破裂音がなり、次々とボーダー本部に隊員たちが強制脱出させられていく。
 弾速を優先したアステロイドは、今まさに撃とうとした彼らに防御する暇さえ与えなかった。



荒船『穂刈、半崎、無事か!』

 元アタッカーである荒船は、瞬時の判断で撃つのをやめ、なんとか攻撃をかわしていた。


半崎『無事……じゃないすね。利き腕もってかれました』

穂刈『やられた。足だ……』

 先だっての大規模侵攻において、荒船隊は同じような状況を経験していた。その経験がとっさに回避を選ばせ、かろうじて直撃は免れたのだ。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:08:06.12 ID:QsUAHMuA0

穂刈『あるいは、動けないが……向こうが仕留めたと思っていれば』

 直後、荒船と半崎の耳に破壊音が届く。
 必死に逃げだしていた半崎は、苛立ちのままに片腕で銃を構え直した。

半崎「クソッ、やってやる!」

 戦闘体の指が引き金を引く前に、追撃が彼を葬り去った。


沢村『なんてこと……』

 狙撃手たちの混乱は相当だが、俯瞰で見られる本部といえど落ち着いてはいられなかった。

城戸「……やってくれる」

 分裂したアステロイドの一つ一つが、狙いを定めたハンターたちを的確に捉えていた。
 初撃で約三分の一が緊急脱出し、生き残っていた者に順に追撃が放たれていく。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:14:06.60 ID:QsUAHMuA0
 
東『荒船! 太一! ……く…』

 生き残っていた者のなかに、彼もいた。
 彼の場合、撃つ寸前、経験から感じた嫌な予感に救われていた。

モブ『東さん、動いても動いても、敵は、わああああああ!!』

 スナイパーの先達である彼を頼るB級の悲鳴が響く。

東『各員、目の前で敵が撃ってきていると思って動け!』

 言いつつ、眉根に皺が寄る。

東(そんな簡単じゃないか……)

 本来スナイパーは、隠れ潜んでいてこそだ。
 トリガーも、有効射程が長い代わりに重さもあり取り回しは悪い。

 まして、現状は目の前で撃ってきているどころかこちらが向こうを捕捉した時にはもうこちらが撃たれているといった状況なのだ。

東(一か八か)

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:18:07.06 ID:QsUAHMuA0

 不規則な軌道を取りながら、東は建物の外へ、見通しの良い校庭へと飛び込んだ。


美希「あは、こんにちは」

荒船「よう、東さん」

 一足先に、荒船が美希と対峙していた。

荒船「狙撃手は相手に見つかったまま戦ってはいけないんじゃなかったっけ?」

 軽口をたたく荒船は弧月を構えている。既にスナイパーとしての戦いは諦めたらしい。

東「……場合によるさ」

荒船「構えるハシから撃たれるくらい見つかりっぱなしじゃあな」

93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:20:38.34 ID:QsUAHMuA0
 
美希「スナイパーさん相手にちょっとずるいけど、二人とも強そうだし、ごめんね」

キィン

人見『東さん』

加賀美『荒船くん!』


人見・加賀美『『伏せて!!』』

 とっさに身を伏せた東の、荒船の頭上を越えて、やや遠距離から弾丸が無数に飛び込む。

美希「やん」トッ

 美希は下がり気味にそれをかわした。
 

94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:25:46.45 ID:QsUAHMuA0

https://imgur.com/37YYcYZ
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:43:10.13 ID:QsUAHMuA0

美希「一時退却!」


 砲火の撃ち手は、控えていた部隊の銃手、射手たち。

忍田『全員突入! 人質の安全を最優先に行動せよ!』




三輪「近界民……排除する」

米屋「ひゅーこういうシチュ初めてだな」


来馬「鈴鳴第一、いきます」

加古「ほら双葉、出るわよ」

柿崎「柿崎隊、行くぞ!」

https://imgur.com/OsdctmS
https://imgur.com/u3uOFMV
https://imgur.com/tLNPYIm

 突入に装甲車など要らない。彼らは戦闘体。

 彼らは、ボーダーだ。




96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:47:42.89 ID:QsUAHMuA0

 突入していく仲間たちを遠目に見守る影。

奈良坂『B級スナイパーはほとんど全滅か……』

古寺『やっぱり、距離ですかね?』


 奈良坂と古寺は、そもそも攻撃すらされていない。
 学校全域をカバーするように合同部隊として配備されたB級のスナイパーたちとは異なり、A級の彼らは自部隊の掩護に徹するべく自由に動くことができた。
 ゆえに、狙撃への自信と巻き添え被弾を避けるためB級より離れた位置に待機している。

奈良坂『おそらくな。レーダーかサイドエフェクトか』

古寺『それにしても、かなり広範囲、しかも正確。厄介ですね』

 
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:50:30.52 ID:QsUAHMuA0


―――体育館


 和やかな雰囲気は完全に消え、不安と戸惑いがうずまいている。

小鳥『来るわよ! みんな急いで』

 時間はない。もう間もなく戦いになるだろう。


修「本部! 応答してください本部!!」

春香「あっ、ごめんなさい、通信は妨害させてもらっちゃってます」

木虎「そんなことが…」

春香「ここのそばだけですけど、音や映像の技術は私たちの得意分野なので……」

千早「この期に及んでは、説得も難しいでしょう」

修「……っ、それは……」

春香「やよい、あとはお願いね」

やよい「はいっ!」
 
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/28(水) 23:53:10.59 ID:QsUAHMuA0

やよい「みなさん! できるだけ真ん中に集まってください! おっきいシールドを張りますけど、広がると弱くなっちゃうので」

千早「春香、南側を」

春香「オッケー!」

修「な、中に残るのは一人だけですか…!? ぼくらへの警戒は……」

千早「…私たちに余分な戦力は、ありませんから」



副「なあ、どういうこと…?」

佐補「ボーダーが、人質がいるのに攻撃してきたの…?」

嵐山「……副、佐補…………」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:00:24.36 ID:ixIfeSxV0

空閑「どうする、修」

空閑「フツーに考えたら、おれたちもあいつらと戦わなきゃだな」

出穂「そんな!? だってこんなん、どうしたってうちらが悪者じゃないすか」

千佳「修くん」

嵐山「………」


修「ぼくは……」


修(ここで城戸指令を敵に回すようなことをすれば……遠征部隊に選ばれる可能性が、下がるかもしれない)

修(麟児さんのことや、さらわれたC級隊員たちを取り戻す。そのためには)
 
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:03:35.92 ID:ixIfeSxV0


修「彼女たちとは戦わない。人質を守る。そのためなら、戦闘をやめないボーダー隊員とでも……!」

やよい「え……」


出穂「メガネ先輩! 意外と大胆ですね」ニシ

遊真「ムチャがうちの隊長の売りだからな」+


修(ぼくがここで自分を曲げてしまえば、ぼくの行動が一因でさらわれたC級隊員たちに……)

修(それ以前に。一度でもそうしてしまったら、弱いぼくはきっとそこまでたどりつけない)

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:07:34.31 ID:ixIfeSxV0

千佳「嵐山さんたちは……」

修「…嵐山さん」

 緊張の面持ちの修らに、嵐山は頬を緩めた。

嵐山「通信ができないんだろう? 俺たちは、本部長の最後の命令に従うだけさ」


嵐山「人質の安全を最優先! 中は守るぞ充、木虎」

木虎「……ま、見捨てられたのかはともかく。こんな雑なやり方、見過ごせないわね」

時枝「三雲くん、トリガー、借りられるかな?」


美希「ヤマアラシー、はいっ」

 体育館に駆け込んできた美希が、嵐山に何かを投げた。

嵐山「これは……!」パシ

やよい「美希さん」

美希「いったん下がりついでに隊長から予備のトリガー預かって来たよ」

嵐山「……いいのかい? そんな簡単に信用して」

あずさ「うふふ、おたがいさまですよ〜」

美希「美希たち外で止めるから、もし入られちゃったらよろしくねー」
 
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:09:39.48 ID:ixIfeSxV0

 
 その頃玉狛支部にも、交戦開始の報が届いていた。
 慌ただしく集合したバンナムのメンバーが、支部を出て行こうとしている


林藤「出られると、見つかった場合うちも追って交戦しなきゃならないんだけど」

律子「ごめんなさい……それでも」

伊織「私たちは数では勝てない。人質無視で来られたら、時間の問題よ」

響「自分たちが外から攻撃したら、まだ敵がたくさんいるかもって思うかもでしょ?」

貴音「キザキ殿……プロデューサーのお話し、ありがとうございました」

レイジ「……」


亜美「じゃーねん、よーたろっ」

真美「生きてたらまた会おうぜっ」

陽太郎「なっ、なっ、死ぬなんて、許さないからな!」

 
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:14:44.42 ID:ixIfeSxV0


 学校では、先頭の部隊が無人の校庭を駆け抜けようとしていた

 しかし――

巴「うわ!」ザン

 地面に隠されたトリオンブレードが柿崎隊を足止めする。

柿崎「トラップか!」

照屋「このくらい…」

 そこへ体育館から、雪歩が姿を現した。

雪歩「さ、さがってください〜〜〜〜」ガシャン

巴「げ」

ドドドドドドドド

 強化アステロイドを射出する回転式機関砲型のトリガーが校庭を掘り起こす。

 
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:18:25.60 ID:ixIfeSxV0

柿崎「下がっ――かたまれ!!」

巴・照屋「「シールド!」」

 とっさに身を寄せ合いシールドを張るも、瞬く間にひび割れていく。

柿崎「間に合え…!」

ボン!

 メテオラで背後に穴を開け、そこに隊員ともども飛び込んだ。

柿崎「く……そ、無事か?」シュゥゥ…

照屋「無傷ではないですね」シュー…

巴「そう簡単にはすすめなさそうです…」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:25:05.85 ID:ixIfeSxV0

荒船「うおおおお!」

美希「おっと!」ギィン

荒船「っ」

 柿崎隊が引きつけた隙に雪歩に向かって飛び込んだ荒船。駆けこんだ美希が弾き飛ばす。

雪歩「ごめんなさい…!」

荒船「くっ」バッ

 前は間に合わない。

 とっさに背をむけ逃げ出すが――

荒船(逃げ込む先がねえ――)


┣¨┣¨┣¨┣¨ドド

荒船「くるまっ」バキン

ドン!

 ついに荒船のシールドは壊れ、戦闘体もそれに続いた。

 
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:31:40.21 ID:ixIfeSxV0
 
当真『ち』
 
 先程から彼方から隙をうかがっていたスナイパーランク一位、当真勇。
 しかし、雪歩の攻撃が起こす土煙で視界は埋まっていた。狙撃は困難だ。


 別の地点では、奈良坂と古寺も同じく歯噛みしていた。


春香「いきますっ」ポン

ドン!

米屋「あぶねっ!」

 ロケットランチャー型のトリガーから打ち出されるのは強化炸裂弾。
 三輪隊を狙って放たれたそれは余波だけでB級を一人強制脱出させた。

 更にこちらも土煙が大きく上がる。

奈良坂『さすがに……馬鹿じゃないな』

古寺『遮蔽物のない戦場も、これを計算してのことみたいですね…』

 グラウンドという遮蔽物の少ない戦場で、狙撃を警戒するのは当然と言えよう。

 
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:35:14.75 ID:ixIfeSxV0


 那須隊の前には、あずさが立ち塞がった。

あずさ「いかせませんよ〜」

那須「そうもいかないわ……」

 互いに数十のアステロイドを浮かべる。

あずさ・那須「「アステロイド!!」」

ビュオオ

月見『陽介くん! 流れ弾いくかも!』

米屋「うわっち、マジか!」

 とっさに跳んだ米屋の足元をが光弾が抜けていく。

 砂煙が、連携や流れ弾の確認を困難にしていた。

 
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 00:41:05.54 ID:ixIfeSxV0
中途半端だけど…まぁこの辺まででいいか。次は明日の夜か土曜
誰も見てなくとも書ききるは書ききる
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 01:02:46.43 ID:lJjmWmiio
urlは拡張子つけてくれ
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 08:27:49.54 ID:JWzTqK9qo
基本的に高校生までの年長者に対しては先輩呼び大学生以上はさん付け
それがワートリの基本だぜ
そこら辺がちょっと惜しいな
もちろん例外も多数ある
例 修は風間に対して先輩呼び(高校生だと誤認していると作者示唆されている)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 14:15:16.64 ID:jqmrJFO3O
あれ、どっかミスってました?
ワールドトリガーは俺/おれの使い分けとか呼称にこだわりある感じだから自分で呼称表作ったりある程度気を使ってたんだけどな

単純なミスなら自サイトにあげるとき修正するんで指摘もらえると嬉しいです
112 :ぱくり屋 ◆zfDCN0YmXY [sage]:2018/11/30(金) 20:20:57.32 ID:E+EL8HOw0
>>109
指摘感謝ー
今更意味ないかもだけど一応各リンク張っときます
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:22:10.06 ID:E+EL8HOw0
>>1
https://i.imgur.com/OmDaCfF.jpg

>>8
https://i.imgur.com/GNsYabu.png

>>10
https://i.imgur.com/oeRiOlh.jpg

>>17
https://i.imgur.com/k1GJXd6.jpg

>>24

https://i.imgur.com/kokfUPL.jpg

114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:22:36.35 ID:E+EL8HOw0
>>25
上二つ
https://i.imgur.com/51m6ppw.jpg
https://i.imgur.com/0wU4Nu8.jpg

>>34
https://i.imgur.com/7qSavrA.jpg

>>40
https://i.imgur.com/EHSF4Bh.jpg

>>94
https://i.imgur.com/37YYcYZ.jpg

>>95
https://i.imgur.com/OsdctmS.jpg
https://i.imgur.com/u3uOFMV.jpg
https://i.imgur.com/tLNPYIm.jpg
115 :ついでに【続き】投稿 :2018/11/30(金) 20:33:25.01 ID:E+EL8HOw0


那須(敵も同じようなトリガーだと……ランク戦みたい。変な気分ね)

那須「メテオラ」

あずさ「あらあら〜」ヒュパ

あずさの姿が掻き消える。

那須(テレポーター…!? でも――)

那須は焦らなかった。
この開けた戦場、那須ほどの射手ならば出現先へ向けてなぞる攻撃ができる。


那須(視線の先……数十メートル!)
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:34:41.80 ID:E+EL8HOw0

那須「バイパー!」

 市街地を破壊しないよう地面に向けて曲げつつ放たれたバイパーは、しかし空を切った。

那須(いない!?)

熊谷「玲!」

ドドッ

那須「っシールド!」

バキャン

あずさ「あらあら〜」

 視線の先から外れた斜め上の中空から飛来したあずさの攻撃を、かろうじて防ぐ那須。
 
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:36:06.15 ID:E+EL8HOw0

那須「ずれた位置に現れられるように設定してあるのかな…? ボーダーとは別経路で開発されたものかも…」

あずさ「うふふ、どうでしょう〜」


熊谷「このっ!」

あずさ「ひゃっ」ヒュパ



小荒井「えっ」ポムン

あずさ「まあ」

 突然目の前に現れたあずさ。小荒井は訳も分からず戸惑ううちに――

東「小荒井!」

あずさ「あすてろいど〜」

 至近距離から多数のアステロイドで蜂の巣にされた

ドン!
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:37:50.90 ID:E+EL8HOw0


那須「あなたの相手はっ」

ドドドッ

那須「東さん、下がって!」


那須「バイパー!」

奥寺「わっ」

 乱戦に交じる奥寺を取り囲むように迂回しバイパーがあずさへ向かう。あずさはまたしても姿を消した。
 
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:38:41.87 ID:E+EL8HOw0


熊谷「玲、あたしが目になる!」

 那須の背中に、熊谷の背が重なる。

那須「くまちゃん……! おねがい…」

 
熊谷(これで360度……どっから攻撃が来ても見逃さない)

那須(どこ……!?)

 周囲にあずさの姿はない。土煙の中から攻撃が来ることもない。
 だが――
 
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:39:19.20 ID:E+EL8HOw0

ドオッ!

熊谷「なっ…!」

 足元から飛来した巨大な光弾が熊谷の体を大きく砕いた。

玲(地面のなかから……!?)


『トリオン体活動限界。強制脱出』

ドン!

121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:40:19.48 ID:E+EL8HOw0
 
 できあがったトンネルから、あずさがゆっくり歩み出る。

あずさ「ごめんなさい〜、私もこんなところに出ちゃうなんて、思わなくて」ケホッ


美希「あずさは厄介なの。キラキラがふわふわでどこに行くか分かんないの」

小鳥『大丈夫ですよあずささん。ちゃんとマークしてますから』b


 迷子の常習犯、三浦あずさ。移り気な空間認識のずれが、彼女を極めてトリッキーなテレポーターにしていた。

 どこへ飛ぶか分からないテレポート。

 分からないと分かっているからこそあずさは出た先で対処するのみ。
 考えて戦うタイプとの初戦には、滅法強いのだった。
 
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:42:33.85 ID:E+EL8HOw0

 雪歩の機銃掃射が制する戦場では、変化が起きていた。

雪歩「あっ、当たらない……!」

ドドドドド

村上「スラスター、スラスター、スラスター」

 断続的なスラスターの使用による変則軌道で、村上は雪歩のガトリングガンをたくみにかわす。

来馬「っ、とと」

村上「来馬先輩、ムリしないでください。オレが道を拓きます」

来馬「鋼、気をつけて!」
 
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:43:01.15 ID:E+EL8HOw0

村上「スラスター」ボッ

雪歩「ひゃっ」

 大型火器は火力の分取り回しは近接武器に劣る。
 対処が間に合わない――

千早「危ない!」

村上「!」

ギン!

 
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:43:27.10 ID:E+EL8HOw0

 村上の弧月の一撃を、千早の弧月が止める。

来馬「二対一にはさせない…!」ドン!

雪歩「ひうっ」

来馬「東さんお願いします!」


東『位置情報確認。そっちだな』

ドン!

 東の放ったアイビスを避け、来馬と雪歩、千早と村上で別れる。
 
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:44:22.72 ID:E+EL8HOw0

村上「オレは……オレの仕事を……!」

ギン!

千早(強い……!)

 流れるような弧月とレイガストの連撃を、千早はかろうじて弧月でいなす。


村上「使いこなしてるな…」

千早「くぅっ」

 
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:45:24.60 ID:E+EL8HOw0

 弧月の強烈な横なぎを刃で滑らせながら受ける。

 千早はそのまま村上へ向かって飛び込んだ。村上は交差気味に前に出る。


 二人の位置が入れ替わる。素早いターンで村上の背に斬りかかった千早の刀を、村上は振り返らず背に弧月を回し受けた。

千早(不安定な姿勢……押し込める!)

 村上の弧月がぶれる。下がる刃は村上が屈むと地面に突き刺さり――
 
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:46:02.85 ID:E+EL8HOw0
村上「スラスター、ON!」

千早「なっ」


 己の弧月と敵を置き去りに体育館へ向かう。勝つことよりも道を拓くことを優先した判断

 外壁にぶつかる寸前盾モードのレイガストで地面を掘り強引に減速。そのまま盾の横薙ぎで壁を取り除いた。
 守り切れるかという戦いにおいて、軍配は村上に上がった。


来馬「よし、鋼が突破口を開いた!」
 
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:46:56.84 ID:E+EL8HOw0

村上「……!」

 様子をうかがえなかった体育館内部。そこにあったものは――

村上(近界民が、住民を守って、いる)

ピッ

千早「ごめんなさい」

村上「…戦場で迷うとは」
 
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:48:09.51 ID:E+EL8HOw0

ズル

村/上「やっぱり……まだまだ……」

 千早が追いつくのは分かっていた。ただ戦場では一瞬の迷いがすべてを分けることもある。

『トリオン漏出過多、強制脱出』


 村上の体は鈴鳴支部のベッドに沈み込んだ。
 
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:49:20.12 ID:E+EL8HOw0

来馬『鋼!』

村上『……すいません来馬先輩。偉そうに言っておいて…オレ――』

 迷ってしまった。

 自分のせいで仲間を失う羽目になっていてもおかしくはない。

村上『敵は……』

 村上は言いよどんだ。なんと伝えるべきか。
 下手にありのままに伝えれば来馬を迷わせることになるかもしれない。
 
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:50:01.70 ID:E+EL8HOw0

 自分が結果的に、味方より敵を優先してしまったことを伝えるのが怖くもある。
 しかし、口に出す前に来馬が続けた。

来馬『無事ならいいよ。大丈夫?』

村上『え』

 ――ああそうだ。

 きっとこの隊長は迷ってしまったことを話しても責めない。
 それどころか、迷わないほうがおかしいと、笑うだろう。

 そういう人だ。
 
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:50:29.31 ID:E+EL8HOw0

村上『……オレは大丈夫です。気を付けてください。中を見たら、多分、驚きます』

鋼『? ……分かった、後は任せて』

村上『はい。隊長』

 次があればまた迷おう。
 迷いながら守れるようになろう。

 誓いを確かなものにするため、村上は眠りに落ちた。

 
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:53:22.55 ID:E+EL8HOw0
 

 その頃、避難によってできた無人地帯の最外部でも硝煙が立ち上った。


出水「おっと、唯我がやられた」

太刀川「いやー油断しすぎだろー」

https://i.imgur.com/1fBgMO2.jpg


沢村『太刀川隊が近界民の別隊と遭遇! 交戦開始しました!』

忍田『哨戒中のA級部隊、および付近のB級部隊は急行。その他のB級部隊は引き続き担当地区を警戒するように』
 
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:54:49.60 ID:E+EL8HOw0


真「やあっ!」

太刀川「おっと」キン

 真と太刀川、二本の弧月が激しく火花を散らす。

 太刀川の上段。弧月で受けた真がひざをつく。追撃の左袈裟懸けを手元近くへの刺突で止める。手を返し切り上げ。太刀川は一歩飛び退いた。


太刀川「へー…なかなか使いこなしてんなぁ」

真(このひと……強い……!)

太刀川「ん」

真「?」
 
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:55:38.24 ID:E+EL8HOw0

太刀川「その下げ緒……トリガーの弾丸を受け止めてそっから放出! とかすんの?」

真「え……いや……ただのストラップですけど。…武器に飾りつけちゃダメですか?」

太刀川「いやー…いいんじゃない」カワイイ

真「へへっ、ですよね」

出水(また何も考えずにしゃべってんなあの人);
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:57:11.30 ID:E+EL8HOw0


出水「っと、エモノ発見!」キン

出水「アステロイドっ!」

ドドド

貴音「なんと」

 貴音がかわしたアステロイドが、市街の塀を破壊する。

貴音「よろしいのですか? このあたりは避難したとはいえ、住んでいる方々がいるのでは」

出水「……」

貴音「……」


出水『やっぱまずいかなー柚宇さん』;
 
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:57:48.34 ID:E+EL8HOw0

国近『んーとねえ、ある程度は、しょうがないって。でもなるべく被害を出さないように。この前の侵攻のも直りきってないしね』


出水「それじゃあまあ気をつけつつ……そらっ!」

貴音「ではわたくしも」

 無数のバイパーが道に沿うように交差する。数は、出水のほうが多い。

ドドドッ!
 
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:58:40.83 ID:E+EL8HOw0

伊織「ちょ、危ないわねぇ! あんたたちのほうが街壊してんじゃないの!?」

歌川(……否定できない)

菊地原「ほんとだよね。さっさと倒しちゃってよ」

歌川「おい…」


歌川『この様子じゃ、ステルスはやめたほうが良さそうですね』

風間『構わない。木崎隊も間もなく着く。着実にやるぞ』

https://i.imgur.com/IpoNDZU.jpg
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 20:59:47.85 ID:E+EL8HOw0

響「ほっ!」

風間「!」キン

 鼠を狙う狐のような跳躍で、風間に斬りかかる響。スコーピオン同士がぶつかり合う。

 そのまま鉤爪状にしたスコーピオンで軽快に襲い掛かる響を風間が受ける。

歌川「風間さん」

真美「おっと、兄ちゃんの相手は亜美がするよん」

 援護に向かいかけた歌川を、響そっくりの動きで真美のスコーピオンが襲う。
 
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:01:06.74 ID:E+EL8HOw0

菊地原「もー…メンドいなぁ…、!」

 駆けつけかけた菊地原が足を止める。

菊地原『下がって』

歌川『!』

 菊地原、歌川、真美が飛び退く。
 そこへ火線が走った。

伊織「へぇ。さすがにやるわね」


歌川「オレたちの突撃銃型とほとんど同じだな」

菊地原「裏切り者とか……サイアクだね」
 
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:02:30.28 ID:E+EL8HOw0
 
 風間と響のほうは、打ち合うこと数十合。互いに枝刃やもぐら爪などのテクニックを高速で繰り出しつつ、まだ双方無傷だ。

風間「……やるな」

風間(獣のような野生的な動き。厄介だ)

響「キミもね! ちっさいのにすごいぞ!」

風間「……」

タッ

響「わっ!?」

 猛然と襲い掛かった風間の連撃に、響の体勢が崩れる。
 
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:04:08.49 ID:E+EL8HOw0
 
響「わわ…なんかまずいこと言っちゃったかな」

 倒れかけた響。風間は響に向かって跳躍すべく、地面を踏む。

響「へへ」ニ

 倒れかけた姿勢からの強烈な後ろ宙返り。足からは、スコーピオン。
 見事なカウンターだ。

 風間が飛び込んでいればだが。

響「えっ…?」

 一回転した響の目に、今度こそ飛び込んでくる風間が映る。
 風間は先程跳躍するように地面を踏み、スコーピオンで自分を一端地面に固定したのだ。

風間「悪いが、些細なことで熱くなる年じゃない」

響「やばっ」
 
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:04:50.62 ID:E+EL8HOw0
 
出水「げっ、ゴメン風間さん!」

風間「!」

 タイミング悪く、光弾を打ち合いながら飛び退いてきた出水が二人の目の前に現れる。
 慌てて、響と風間は反対方向に跳んだ。

国近『ごめ〜んみかみか、指示遅れた〜』

三上『構いません。無人とはいえ市街地の乱戦、連携がとりづらいですね…』

 
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:07:40.36 ID:E+EL8HOw0
 
真「てりゃあっ!」

太刀川「おっと」

トン

太刀川「お?」

歌川「あ…すいません」

 太刀川と歌川が背中合わせになる。
 歌川の前には伊織、太刀川の前には真と亜美がいた。

太刀川「いいよいいよ」

歌川「二対一ですか、こっちと連携して」

太刀川「いいよいいよ」

 太刀川はすぐに眼前の二人に向かって跳んだ。
 それどころじゃないとばかりに。心底楽しそうに。

太刀川「うお、くそぅ」

 二重に思えるほどの並行軌道の弧月の連撃。
 シンクロする敵二人の動きに、太刀川も二本目の弧月を抜かざるをえなかった。
 
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:11:20.30 ID:E+EL8HOw0
 
出水「アステロイド!!」ドドッ


菊地原「じゃまだなぁ……端っこで戦ってくれませんかね」ぶぅぶぅ

出水「おいコラ」

響「おっと、余所見してていいのかな!?」

 菊地原に向かいかけた響を、上空から影が襲う。

響「わっ」キン

緑川「お、止められた」

https://i.imgur.com/pKhCb0I.jpg
 
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:12:58.98 ID:E+EL8HOw0

出水「あれ緑川、草壁隊非番待機じゃなかったか?」

緑川「いやー待機の集合遅れちゃって。ちょうど通りすがったら、参戦してもいーよって」

響「ふ、ふふーん、いいぞ、まとめて相手してあげる!」


律子『まずいわね……だんだん敵の数が』

律子『響! そっちからまた一隊来るわ、気を付けて!』

律子『……後ろからももう一隊……これは……』
 
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:14:05.76 ID:E+EL8HOw0

┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!!


出水「あぶねっ」バキン

貴音「これは」バキン

 飛来した多数のトリオン弾を二人のシールドが止める。
 放ったのは、回転式機関砲型のトリガー。
 木崎レイジだ。


木崎『玉狛第一、現着した』
 
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:15:00.97 ID:E+EL8HOw0
 
小南「ほらほら邪魔するとまとめてたたっきるわよ!!」ブォン

出水「なんでこっち!?」

 斧型のトリガー、双月を振り回され、出水はからがら逃げ出した。

太刀川「出水ジャマ」

出水「太刀川さんひでえ!」

 チームメイトにまで切られかけた出水は、次かすったらメテオラで一帯平地にしてやろう、と決心した。
 
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:15:55.85 ID:E+EL8HOw0

 
 どちらかといえば個人技に長けた太刀川隊と異なり、風間隊は自隊の位置取りは常に把握していた。

風間『……敵はどうやら、こっちを隊ごとに戦わせないようにしているな』

歌川『! なるほど……こっちは、隊合同の連携機会はチームに比べれば少ないですからね』

菊地原『裏切り者ほんとサイアク』


風間『乱戦の要は、まそっくりの二人だ。あれをまとめるぞ』

菊地原『了解ー』

歌川『了解!』
 
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:17:42.37 ID:E+EL8HOw0
 
 
響「いくぞ!」タン

緑川「どうぞっ」

 空中ですれ違いざま、響の背から背びれのようにスコーピオンが伸びる。

 緑川は身をひねりスコーピオンで受けた。

 二人が高速ですれ違うたびガリガリとスコーピオンの刃が削り合う音がする。

 空間を立体的に使った高速の近接戦闘。
 これに介入できる攻撃手はそういないだろう。
 
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:19:05.16 ID:E+EL8HOw0
 
 攻撃手、は。

諏訪「あ゛ーっ! ぴょんこぷんこうっぜえ!」

ドウン!

緑川「ええっ!?」バチッ

響「わわっ」バチチッ

 諏訪のショットガン型のトリガーから放たれたアステロイドは見事に広がり、響と緑川はシールドで防がざるをえなかった。

堤「ちょ、諏訪さん」
 
https://i.imgur.com/Dplv9kB.jpg
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:21:16.14 ID:E+EL8HOw0

笹森(諏訪さんかんだな今)


響「な、仲間ごと撃つなんてヒドイぞ!」

緑川「そーだそーだ!」

諏訪「うっせー緑川、ちったぁ周り見やがれ! ショットガンの最高の間合いだってのによぉ」

 B級中堅諏訪隊。到着したはいいが、周囲ではA級を中心とした激しい大乱戦。
 どこへ手を出すこともできず、響への包囲攻撃が可能な位置をとったまましばし手をこまねいて眺めていたのだが、ついに我慢の限界が来たらしい。

緑川「オレが勝てばいいだけじゃん!」

響「仲間なのに信頼してないの!?」
 
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:21:59.78 ID:E+EL8HOw0

緑川「諏訪さんのオニ! 悪魔!」

響「ふらー! ふりむん! ぽってかすー!」

緑川「オヤジくさい! 立方体!」

ピキ

諏訪「ぶっころす!」ガゥン

響・緑川「「うわっ」」バッ

諏訪「おら堤うてっ」

堤「いやいや……」
 
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:25:00.42 ID:E+EL8HOw0


太刀川「お……さすが風間さん」

真(! ……いつのまにか……一対一)

タン

 距離を取る真。しかし、太刀川は逃さず踏み込んだ。

太刀川「旋空弧月」

キンッ

真「うわっ!」

 塀、民家。そんな遮蔽物などないかのように、伸びた刃はあらゆるものを切り裂いた。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:26:35.59 ID:E+EL8HOw0

ズンッ

 切り取られた屋根が無残に落ちる。

太刀川「しまった、見失ったか。仕留めてないよなー…」


真(あ、危なかった…)

 読みの通り、真はすんでのところでかわしていた。

真(プロデューサーのを何度も見てなかったら、今ので確実にやられてたな……)

 旋空弧月は軌道はあくまで刀を振る弧の軌道。遠距離でも姿を捉えていれば予測は不可能ではない。

太刀川「どこいったー。おーい…っと」グラッ

 太刀川の踏んだ屋根の瓦が滑り落ちた。太刀川の体勢が崩れる。

真(!)ピク
 
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:27:36.83 ID:E+EL8HOw0

真(いや……)

真「ここにいますよ」

 真が現れたのは、太刀川の数メートル先。トリオン体なら一歩で詰まる距離。

太刀川「なんだ、こなかったか」

真「やっぱり、わざとですか」

太刀川「隙は隙なんだけどな」


真「……あなた、タチカワさん、ですよね」
 
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:29:16.25 ID:E+EL8HOw0

太刀川「あれ? どっかで会った?」

真「いえ。直接は。プロデューサーが教えてくれた……もしもボーダーと戦うことになった時気をつけなきゃいけない相手。その一人です」

太刀川「…プロデューサー………ふむ」

真「一対一では戦うな。765のメンバーで、あの人相手で十本勝ち越せるやつは、たぶんいない。そう言われました」

太刀川「へぇ」

真「可能性があるとしたら……それはボクだけ、とも」

太刀川「…それでか。ま、飾りにトリオン使う余裕あるくらいだもんな」

真「それは…」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:30:09.37 ID:E+EL8HOw0



P『不謹慎?』

真『はい……ボクらは、アイドルって言っても、軍人なわけですし。命がけでやってるのに……かわいくとか、そんなのやっぱり』

P『いいさ』

真『え』

P『どんな理由だろうとな。真がありたい真であることを、諦めることはないさ』



太刀川「たのしみだ」

真(プロデューサー、ボクは)

 二つの戦闘体が、同時に地を蹴った。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:31:22.28 ID:E+EL8HOw0
 

風間「……」ザッ

真美「よっ、はっ」キン

菊地原「ほら、こっちもだよ」

 風間の猛攻に下がる真美は、菊地原が加わる前に距離を取った。

歌川「悪いなっ」ドッ

亜美「んっ」

 歌川に蹴り飛ばされた亜美が近くでたたらを踏む。

真美「亜美!」

亜美「大丈夫だ、問題ない♪」
 
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:32:22.09 ID:E+EL8HOw0


真美「お?」

亜美「囲まれちったね」


歌川「しかし、そっくりだな……」

 生身の際は髪留めや髪型で差をつける二人だが、トリオン体は一見してまったく同じだ。

風間「油断するな。まだいるかもしれん」

亜美「ヒトをゴキブリみたくいわないでYO!」
 
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:33:12.47 ID:E+EL8HOw0

真美「ふふーん、ふたりいれば十分っしょ」

菊地原「うわぁ生意気……そっくりな見た目もマネっこも、同じ場所に集めちゃえばたいした意味はないでしょ」

亜美「分かってないなぁ。ねぇ亜美さん」

真美「見せてあげようか亜美さん」


亜美?真美「「亜美たちのホントの戦闘スタイル」」

 
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:35:24.62 ID:E+EL8HOw0
 二人がトリガーを銃型に切り替え、背中合わせになる。

風間『乗せられるな。一人ずつ確実に仕留める。菊地原、右手側だ。歌川、正面の相手を止めろ』

歌川?菊地原『『了解』』

真美「はいっ!」ダンダンッ

 真美が放った弾丸を、風間、歌川のシールドが受ける。
 瞬間――

カッ

風間隊「!?」
 
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:37:28.50 ID:E+EL8HOw0

 強烈な閃光が風間隊を襲う。
 亜美の陰に入った菊地原はかろうじて視力が残ったが、風間と歌川は完全に視界を潰された。

菊地原「なにやってんですかもう」

 風間に向けた亜美真美のアステロイド十字砲火を菊地原が両手シールドで防ぐ。

風間『視覚を一時的にやられた。菊地原、三上』

菊地原『こんなうるさい戦場でやるんですか…あーあ…』

三上『聴覚情報、菊地原くんにリンクします。視覚領域、回復までおよそ十秒』


亜美「それっ」ダッ

歌川「っ」タン

真美「あり、よけられたぁ」

亜美「達人だ! ワザマエ!」
 
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:39:02.16 ID:E+EL8HOw0

菊地原「……」

亜美「おっと、いかせないぜ兄ちゃん!」パチ

 菊地原の耳は弾丸を切り替える音を油断なく捉える。

菊地原「べつに、避ければいいだけでしょ」

 閃光は殺傷力がないからこそシールドをすり抜けるのだ。目で捉えなければ関係ない。
 仕掛けの分、弾丸の弾速はアステロイドに劣る。

 避けた弾丸が背後で破裂する音を聞きながら菊地原は亜美に切りかかった。

亜美「んっふっふ?」ガキ

 菊地原のスコーピオンを止めた亜美が不敵に笑う。
 
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 21:39:33.10 ID:E+EL8HOw0
んっふっふ〜
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:42:28.44 ID:E+EL8HOw0
 
 直後、菊地原は背後に風を切る音を聞き、とっさに身をかわした。

ドッ

菊地原「っ」シュゥゥ

 菊地原のわき腹からトリオンが漏れる。

菊地原「今のは……ハウンド?」

亜美「Exactly!(その通りでございます)」

三上『メテオラの発展形…? 片方は破裂後閃光、片方はハウンドの散弾を出すようです』

歌川「シールドで防げない閃光と回避が困難な追尾弾の二択か…! 厄介ですね」
 
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:44:00.05 ID:E+EL8HOw0

風間「……見たところ、銃型の弾丸が二種類以上切りかえられる様子はない」

 銃型は射出する弾丸が強化される代わりに弾丸の細かな調整や切り替えは利かない。

歌川「なるほど、アステロイドと一種ずつですか」

真美「お、やるねえチビ兄ちゃん」

亜美「でもこれならどう?」

亜美・真美「「ろーりんぐ〜ろーりんぐ〜」」

 くるくると位置を入れ替える二人。


亜美・真美「「さぁ行くよっ!」
 
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:47:28.92 ID:E+EL8HOw0

歌川「くっ」

菊地原『今右側が閃光。左がハウンド』

真美「えっ」

 真美の放った閃光弾から迷いなく視線を逃がしつつ、菊地原が斬りかかる。

菊地原『ていうか、聴覚共有してるのになんで分からないの? 全然声音と抑揚が違うじゃん』


真美「むむむ……ファンの兄ちゃんでもなかなか分かんないのに…」ガキン

亜美「喜んでる場合じゃないよ亜美ィ」

歌川『ということは、こっちがハウンドか』
 
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:50:13.03 ID:E+EL8HOw0
 
亜美と真美は瞬間、手を合わせる。

亜美真美「「スイッチ!」」

歌川「?」

ダンッ

 眼前の真美が放った弾丸をシールドで受け止める歌川。だが――

カッ

歌川「なっ!?」

 閃光が歌川の視力を奪う。すかさず風間が前に出て歌川を守った。
 
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:52:27.96 ID:E+EL8HOw0

風間「『トリガーを入れ替えるトリガー』か…」

菊地原「めんどくさ……うちの隊じゃなきゃ、太刀川隊でもきついでしょこれ」



亜美・真美「「スイッチ!スイッチ!スイッチ!スイッチ!」」

 銃を背に隠し、並ぶ二人は楽しそうに繰り返す。

亜美「さて、どっちがどっちでしょー」

真美「もちろん亜美たちのトリガーも声を出さなくても発動できるよ〜」


風間(相討ち覚悟で臨めば攻略できないことはないが……さて、どうするか)
 
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:54:15.73 ID:E+EL8HOw0
 
 逡巡し足を止めた風間隊。
 そこへ猛烈な勢いで飛び込んでくる一塊の筋肉。

レイジ「下がれ風間隊!」

 スラスターで加速したレイジに、風間隊はとっさに道を開ける。

真美「わぁぁ、亜美ぃ」

亜美「了解!」

カッ

 亜美の放った閃光弾がレイジのシールドで弾ける。
 真っ白な視界のなか、レイジはそのまま真っ直ぐ突っ込み――
 合流した二つの小さな体をはねとばした。

風間「これは…」
 
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:55:24.08 ID:E+EL8HOw0

――時は少しさかのぼる。


貴音「これは…いつのまにやら、こちらが誘導されていたようですね」

 出水と撃ち合いながら移動してきた貴音は、あたりに人影がないことに気付く。
 戦場の端に出てしまったらしい。

出水「なんのことかなー」

貴音「……」キョロ

出水「おっと、余所見してるヒマはないぜ! アステロイド!」

 弾速優先で放たれたアステロイドを貴音のシールドが止める。

貴音「いかせないおつもりですか」

出水「オレら邪魔みたいだし、はしっこでやってよーぜ」
 
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 21:58:46.21 ID:E+EL8HOw0

 大火力の二人が限られたスペースを弾幕で埋めるために連携がままならない。
 そう気付いた国近の進言により、出水は自分たちの戦場を末端に移した。

 邪魔されるのは出水とて本意ではない。

貴音「残念ですが…」

出水「おっと! そら、トリカゴだ」

 離脱しようとした貴音を大きく取り囲むようにバイパーが放たれる。
 時間差で放たれた弾丸で作られる三重の檻。

 逃げ遅れた貴音を出水のアステロイドが襲う。

貴音「く…」バチチッ

 貴音はシールドで防ぎつつ、次弾を放たれる前にと包囲の外へ向かう。
 
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:02:31.10 ID:E+EL8HOw0
 
出水「そう簡単に出さねー」

貴音「! 弾が戻って…!」

 出水の攻撃を両防御で防いでいた貴音はやむなく下がる。
 その隙に出水が放ったのはアステロイドではなく、またもカゴを織り成す不規則な弾丸。

貴音「あくまで……逃がさないおつもりですか」

 豊富なトリオン量を持ち自在に弾丸を操る出水にしかとれない戦術。
 さらに厚みを増した弾丸の網が貴音を閉じ込める。

出水「トリオン比べだ!」

貴音「っ」
 
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:05:30.98 ID:E+EL8HOw0
 
 狭まりつつある包囲を見やり、貴音はリズムを取るように小さく足音を鳴らした。

貴音「わたくし、こう見えてアイドルをしています」

出水「ん?」

貴音「ダンスもけっこう、得意なのですよ」

ダッ

出水「おお!?」

 貴音はバイパーの軌道に飛び込むと、周回し時間差で襲うバイパーを舞うようにかわしていく。

出水「マジか!」
 
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:06:46.26 ID:E+EL8HOw0

 一層目、二層目、三層目。
 紙一重で弾丸の網をくぐり抜ける。
 両攻撃で弾丸を放った直後。出水は追撃を放てない。
 貴音の動きを見ることしかできない。

出水「――でも甘いぜ」

貴音「!」

ドッ

シュウウウ…

貴音「そんな…」

 突如不自然な動きを見せた弾丸に、貴音の肩からトリオンが漏れていく。
 
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:19:56.28 ID:E+EL8HOw0

出水「それはおれの視線誘導」

 包囲網の外殻部の弾丸は、バイパーではなくバイパーをなぞるように動かしたハウンド。
 それだけのことだが、それをアステロイドと同時に貴音に向けずにいられるのが出水だ。


烏丸「うわ出水先輩エロいすね」

出水「エロ!? んだよ京介、混ぜっ返しに来たのか」

小南「え、エロ……サイテー」

出水「な、なんだよお前ら、なんでこっちに…うおっ」

 襲い来る突撃銃の弾丸。出水はとっさに身をかわす。


伊織「貴音、無事!?」

貴音「伊織……助かりました」
 
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:23:23.31 ID:E+EL8HOw0
 
出水「ちゃんと抑えとけよ!」

烏丸「いやーなかなか手強いですよ」

出水(こいつら、もしかして…?)


出水「あーくそッ、乱戦上等! もらうぜ! メテオラ!」

 炸裂弾の群が伊織に向かう。

貴音「あなたの相手は、わたくしです」

 視線は戻した出水は、目を見張った。
 
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:26:31.01 ID:E+EL8HOw0
 
出水「な、んだー? 波状バイパー!?」

 迫りくる蛇行する弾丸。

出水(避けながら反撃――)

出水(ムリだ、軌道が読みづれえ)

出水「シールド!」

 波高をカバーする巨大なシールドで弾丸を防ぐ。

出水「くそ、トリオンがもったいねえ」

 防いだのも束の間、出水の視界に飛び込んできたのは時間差で襲い来る多種多様な波状のバイパーだった。
 
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:27:49.45 ID:E+EL8HOw0

出水「酔いそーだ……そっちも十分やらしいじゃねーか」

貴音「なんと、せくしゃるはらすめんとというものですか」

烏丸「出水先輩…」

小南「……」

出水「なんでだよ!? 虫を見るような目で見んな小南!」


 軽口を叩きつつ更に二発防ぐ。
 目の前で弾けた弾丸が消えたところで出水は異変に気付いた。
 貴音の姿がない。


出水(いない……はずは、カメレオン!?)
 
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:34:09.81 ID:E+EL8HOw0

 水平方向に大きく波打つ遅めの弾丸に臨みながら辺りを見回す。

出水(けどカメレオン使ってちゃシールドも追加の弾丸もなしだ。この一発を受けたらあいつらごと更地にしてやる)

 不穏な決意を秘めつつシールドを張った、ところで――

貴音「ふふっ、ここです」

出水「んなっ!?」

 バイパーの着弾と同時に眼前に貴音が現れた。
 あたればただでは済まないゴム跳びをしてきたのだと、思い当たったときには手遅れだった。

出水「シールぶげっ」

 出水の頭を足蹴に貴音が跳ぶ。
 
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:37:49.92 ID:E+EL8HOw0
 
 勢いをつけて、そのまま校庭に躍り出た。

出水「んなろ…! 後悔させたる」

 遮蔽物のない戦場はトリオン量の差が直に反映される。
 ボーダーでも上位のトリオン量を見せてやろうと校庭を見据える。

国近『あ、ごめーんいずみんストップ』

出水『なんだよ柚宇さん!?』

国近『いずみん禁止令出ちゃった』

出水『ナニソレいぢめ!?』
 
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:40:07.30 ID:E+EL8HOw0

国近『今みんなあのケムの中で戦ってるんだって。民間人も近くて危ないし外しても土煙がすごいから、外からバシバシ打たれるとまずいみたい』

出水「ちぃ」

 出水はなす術なく貴音の後ろ姿を見送る。

出水「そーだ、他はどうなった?」

 振り向いた出水の目に飛び込んで来たのは、空を翔ぶ双子の姿。

出水「……!?」

 そのまま出水の頭上を越え、校庭へと着地する。

 
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:40:37.60 ID:E+EL8HOw0

真美「よしっ!」

亜美「いくよっ!」


出水「おいおい」


諏訪『おい緑川バカふざけんな!』

堤『ポニーテールの近界民が緑川と斬り合いながら校庭へ侵入します! 注意してください!』


出水「まじーだろ、これ」;
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/30(金) 22:47:21.37 ID:E+EL8HOw0


伊織「よし……あとは私と真だけね。一気に…」

迅「おーっと待った」

伊織「!」

迅「よくがんばったけど、この実力派エリートが来たからにはここまでだ。大人しくつかまってくれないかな?」

伊織「……はいどうぞなんて、言うと思う?」

迅「キミはおれには勝てないよ」


迅「おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 21:59:49.17 ID:qjCsPmJgo
期待

まさかあれの続きが読めるとは
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 23:16:01.75 ID:xR/veSGp0
更新はもうしばしお待ちを……。また忙しくなっちゃった
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