ご主人様「メイドのくせに生意気だ!」メイド「ご主人様こそすぐ叩く!」

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182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/01(水) 07:50:11.77 ID:HCx84A8Vo
おつおつ
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:00:11.61 ID:7AGXo4RYo
ご主人様「結局この世に、良い肉以上のご馳走って存在しないと思うんだよ」

メイド「…なんの話ですか?」

ご主人様「うまいステーキが食いてぇなって話」

メイド「ああ、いいですねぇ。美味しいステーキ屋…どっかにありますかねぇ」

ご主人様「ねぇだろうなぁこのへんには」

メイド「でさぁねぇ〜」

ご主人様「でもどうしても食べたい。となりゃあ…」

メイド「となりゃあ?」

ご主人様「家で焼くか!!」

メイド「おおっ!?」

ご主人様「しかも肉は通販で探す!」

メイド「通販!?マジですか!?えらく気合い入ってますね!」

メイド「でもそれだと今日は食べられないんじゃ…」

ご主人様「分かってねぇな。こういうのは、思い立ってすぐ食うより『食べたい気持ち』を数日熟成させたほうがいいんだよ」

メイド「いやぁ、私は思い立ってすぐ食べないとどうでもよくなっちゃうタイプですね」

ご主人様「じゃあお前は食わなくていいぞ」

メイド「ウソ!ウソです!半年待ってでもいい肉食べたい!!」

ご主人様「じゃあ俺が最高の肉見つけて注文しといてやるからよ、焼くのはお前に任せるぞ」

メイド「え〜……ハイ」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:02:01.16 ID:7AGXo4RYo
3日後・夜

メイド「ご主人様、なにか荷物届きましたよ!」

ご主人様「なにかって、肉しかねぇだろ!」

メイド「開けちゃっていいですか!?」ビリビリ

ご主人様「聞く前に開けてるじゃねぇか」

メイド「おお…!これは…」

ご主人様「ご存知、宮崎牛だ!」

メイド「へぇ〜宮崎牛ですかぁ…!初めて見ました!」

メイド「…でもどうせなら神戸牛とか松阪牛がよかったなぁ」ボソッ

ご主人様「ハイお前もう食う権利ナシ!俺一人で食べまーす!」

メイド「わああ!冗談ですって!」

ご主人様「宮崎牛ナメんなよ。これ2枚で14000円すんだからな」

メイド「い、いちまんよんせん!?てことは肉1枚7000円!?」

ご主人様「ま、今年1年を締めくくる贅沢だと思えば安いもんだ」

メイド「まだ今年始まったばかりですけど…」

ご主人様「よし!んじゃさっそく焼いちゃってくれ!」

メイド「いやいや」コンコン

メイド「カチカチに凍ってますから、まずは解凍しないと」

ご主人様「火にかけりゃ溶けるだろ?」

メイド「そんなことしたら中が凍ったままの台無しステーキになっちゃいますよ…」

ご主人様「何時間くらいで溶けるんだ」

メイド「今みたいな寒い時期は解凍に時間がかかりますから、冷蔵庫に入れて明日まで放っておきます」

ご主人様「明日ぁ!? おい聞いてねぇぞ!今日は食べられねぇのかよ」

メイド「え、でも食べたい気持ちを熟成させてうんたらかんたらって…」

ご主人様「誰だよそんなワケ分からねぇこと言ったのは。食いてぇときに食うのが一番に決まってるだろ」

メイド「………」

ご主人様「じゃあ今日の晩飯は?」

メイド「もやし炒めです」

ご主人様「なるほど、明日のステーキに備えて食のハードルをぐっと下げておくわけだな」

メイド「…私のもやし炒めがしょぼい料理みたいな言い方しますねぇ」

ご主人様「あ、いや違う!今のは言葉のあやってやつで…!」

メイド「ご主人様のはもやし抜きにしようかな…」

ご主人様「何が残るんだそれは」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:05:04.07 ID:7AGXo4RYo
さらに翌日

メイド「今から付け合わせの野菜とか、その他もろもろを買ってきます」

メイド「冷蔵庫の肉はいい感じに解凍できてる頃だと思いますが、勝手に出したりしないでくださいよ」

ご主人様「…それ、フリかぁ…?」

メイド「絶対に冷蔵庫から出さないでくださいね!ではいってきます」ガチャ

ご主人様「おう」

バタン…

ご主人様「フリ以外の何者でもねぇだろ」スタスタ

ご主人様「……」ガラッ

ご主人様「おー溶けてる…これもう食えんじゃねぇか」ツンツン

ご主人様「……」

ご主人様(なんで俺が俺の金で買った肉をアイツにも食わせてやらなきゃならないんだ…?別に俺一人で食っちまってもいいハズだよな)

ご主人様「高級シャトーブリアンだぞ…アイツには贅沢すぎるだろ…」ゴクリ

\ライン!/

ご主人様「うおぉビックリしたぁ!」

ご主人様「なんだよ…メイドからか」

メイド『一人で食べようとかバカなこと考えないでくださいよ😠』

ご主人様「こいつ、エスパーか…?」ドキドキ


メイド「ただいま帰りましたー!」クルクル

メイド「あ!やっぱり肉出してる!」

ご主人様「み、見てただけだよ!」

メイド「どうですか?解凍できてます?」

ご主人様「できてんじゃねぇかな」ツンツン

メイド「じゃあ常温になるまで、そのまま置いておきましょう」

メイド「その間に、付け合わせの野菜だけ先にやっときますか」テキパキ

ご主人様「…なにか手伝おうか?」

メイド「じゃあ良さげなお皿出しておいてもらえますか」

ご主人様「良さげな皿?普通のでいいよ」

メイド「それじゃ小さくないです?」

ご主人様「いや、肉は火ぃ通せば多少縮むはずだし、野菜だってアホみたいに盛り付けるもんじゃねぇし、これで充分だろ」

メイド「こういうのは大きめのお皿にちょこんと盛ってあるのがオシャレなんですよ。高級料理ってそういうものでしょう?」

ご主人様「分かったよ…」

メイド「本当は黒い石でできたのがいいんですけどね」

ご主人わ様「一般家庭にそんなもんあるか」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:07:47.53 ID:7AGXo4RYo
メイド「さて、そろそろ焼きますか…」

ご主人様「いよいよだな」

メイド「まずは肉に塩、胡椒を振ります」バッバッ

メイド「しっかりと…」バッバッバッバッ

ご主人様「やりすぎじゃねぇか?」

メイド「……」ピタッ

メイド「まだ大丈夫です!」バッバッバッバッ

ご主人様「ホントかよ…」

メイド「そしたら、フライパンに牛脂を溶かしておきます」ボッ

メイド「さらにフライパンをもうひとつ…今日の私は二刀流です」ボッ

ご主人様「なに?フライパンふたつでいっぺんに焼くのか?」

メイド「なにか問題が?」

ご主人様「肉は一枚ずつ集中して焼いてくれよ!」

メイド「まぁ任せてください」シュウウウ〜

ご主人様「煙上がってるぞ!?」

メイド「…大丈夫ですって!気が散るから向こう行っててください!」

ご主人様「ダメだ!俺が見てねぇところでおかしなことされたら困るからな!!」

メイド「別に何もしませんよ!…さぁそんなこと言ってる間に肉を投入!」ジュッ

ご主人様「おおっ!」

メイド「あ!そうだ!焼き加減はどうしますか!?」バチバチバチ

ご主人様「じゃあ…レアで」

メイド「レアとか言われてもよく分かんないんで、とりあえず美味しく焼きますね」

ご主人様「なら聞くなや!」

メイド「一旦弱火にします。この状態で1分くらい…」

ジュウウウウ…

ご主人様「……いい音だなぁ。いやまったくこの世で一番耳に染みる音かもしれんな」

メイド「なに浮かれてるんですか…」

メイド「…あれ?トングは??」

ご主人様「お前さっきから大事そうに持ってるじゃねえか…」

メイド「あっあっ…ホントだ…ぼーっとしてました」

ご主人様「浮かれてるのはどっちだよ」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:10:45.53 ID:7AGXo4RYo
メイド「さぁ肉をひっくり返しますよ〜」

メイド「はいっまずは片面の焼き加減!」クルッ

ご主人様「美味そうじゃん!」

メイド「もう片方もすぐにひっくり返す!」クルッ

メイド「ここでまた強火に………あ!!!」ハッ

ご主人様「…ん!?どうした!?」

メイド「にんにく!入れ忘れてました!どうしましょう!?」

ご主人様「いいよもうそのまま行け!」

メイド「でもにんにく入れないと香りが…」

ご主人様「いいから肉に集中しろ!焦げるぞ!!」

メイド「じゃあにんにくなしで…あーあ失敗しちゃったな…」

メイド「なーんて落ち込む素振りを見せつつも、ここですかさず火を弱火に!」カチッ

メイド「ここからの時間で焼き加減が決まります。目で見て、ご主人様がいいと思うタイミングで止めてください」ジュウウウ…

ご主人様「……」

ご主人様「もういいぞ!」

メイド「え〜?まだ早いと思うけどなぁ…」

ご主人様「じゃあ言うなや!!!」

メイド「こ、このへんにしておきましょうか」カチッ


ご主人様「あとは盛り付けるだけだな!」

メイド「いえ!盛り付けてから少し肉を休ませます」

ご主人様「………」

メイド「なんですかその顔…ここまで来てお預け食らうのがそんなに嫌ですか?」

ご主人様「それもあるが、まず『休ませる』ってなに?」

メイド「……え?」

ご主人様「料理うまいやつってすぐ『休ませる』とか『寝かせる』とか使うけど、どういう意味なんだよ」

メイド「そ、そうすることで味がいい感じになるんですよ!」

ご主人様「いい感じってなんだよ。さてはてめぇもよく知らずに使ってるだろ!」

メイド「…だって全部ネットで調べた情報ですし!なんか文句ありますか!そもそも私、ステーキなんて焼いたことないんですもん!」

ご主人様「ステーキ焼いたことないんですもん!?」

メイド「そうですよ!せっかくいい肉買うって言うんだから、しっかりした焼き方を予習して、万全の体制で迎えようと…それが肉に対する礼儀ですよ!」

メイド「肉が肩もめと言ったら肩を揉み、喉が渇いたと言うなら水を与え、焼いたあとは休ませる!そう、これこそがメイドの嗜みという…」

ご主人様「話長い。肉が冷める」

メイド「………はい。もう食べ頃ですね」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:15:09.25 ID:7AGXo4RYo
ご主人様「肉盛り付けた。野菜も。あとなんだ?調味料か?」

メイド「岩塩とわさび醤油は用意しました」

ご主人様「完璧、超有能。よっし食うぞぉ!いただきます」

メイド「いただきます!」

ご主人様「……」

メイド「なにじっと見てるんですか」

ご主人様「いやぁなんか緊張してな…お前こそなに肉をナイフでちょんちょんつついてんだよ。行儀悪いぞ」

メイド「ちゃんと焼けてるかどうか不安で…」

ご主人様「どれ…」スクッ

ご主人様「お、柔らかい!」

メイド「マジですか!?箸でも切れちゃう!?」スッ

メイド「ああっ!ダメだ!テレビでよく見る『箸で切れるくらい柔らか〜い!』っていうのやってみたかったけどさすがにそこまでではなかった!」

ご主人様「握力が足りねぇんだ」

メイド「そういう問題じゃないと思います」

メイド「では…7000円のお肉…」ソーッ

メイド「えいっ」パクッ

メイド「!!!!」ピシャーーーン

ご主人様「ど、どうした…」

メイド「おいひい…おいしすぎる…ショックでちょっとちびりそうになりました…」

ご主人様「もしちびったら家から叩き出すけどな」

メイド「えーちょっとこれ…美味しすぎないですか??7000円の肉ってこんなに…神かな???」

メイド「いや、私の焼き方が上手すぎるのか…?もしやステーキ初挑戦にして名店シェフに並んでしまった…???」

ご主人様(名店の肉なんて食ったことねぇくせに…)

メイド「肉…これが肉なら、今まで私が食べていたものはなんだったんですか?私のこれまでの人生とは、仮初のものだったのかもしれない…ここから新しく始まる…そんなことを予感させる極上の一切れ」

ご主人様「バカじゃねえの?」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:17:33.92 ID:7AGXo4RYo
メイド「はぁ…幸せ……」モグモグ

メイド「これはまるで、牛の天使の仮面舞踏会…」ジーン

ご主人様「もうなんのこっちゃ分からんわ」

メイド「ん!?え!?ご主人様食べるの早くないですか!?もうほとんど残ってない!」

ご主人様「おめぇが遅ぇんだよ。いちいち大袈裟なリアクションしながら食ってるからだ」

メイド「ごっ、ご主人様が料理への反応薄いのはいつものことですけど…この7000円の宮崎牛でもそんなもんなんですか!?」

ご主人様「……うめぇよ…満足してる。かなりな」

メイド「ほんとですかぁ〜?」

ご主人様「ほんとほんと…いや…なんと言えばいいか …俺ぁそういう食レポみたいなのできねぇから…」

ご主人様「……」

ご主人様「…やばい…泣きそうになってきた」

メイド「なんで!?」

ご主人様「味を思い出して感動して泣くくらいにはうまかった…」

メイド「じゃあ最初からそのリアクションしてくださいよ…」パクッ

メイド「いやぁでもホント美味しいです!これは今までご主人様から受けた酷い仕打ちがすべて帳消しになるくらい感動しました!」ニコニコ

ご主人様「ああそう…」

メイド「はぁ…でも、150gって意外と少ないですね…もうあとこれだけしかない」

ご主人様「お前が次になに言うか予想できるから先に答える。高かったからだよ」

メイド「なんでもっと大きいの買ってくれなかったんですか!」

ご主人様「高かったからだよ!!!!!!!」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:20:23.69 ID:7AGXo4RYo
メイド「ごちそうさまでした」ペコリ

ご主人様「ごちそうさま」

メイド「ご主人様、こんな美味しいお肉を買って下さりありがとうございました…」フカブカ

ご主人様「いやいやそんなご丁寧に…こちらこそ美味しく焼いてくれてどうもありがとう」フカブカ

メイド「また月イチくらいでこういうの食べたいですね!」

ご主人様「…は?次なんてねぇよ。お前はこの先一生『あのとき食べたお肉美味しかったなぁ』って今日を懐かしみながら生きるんだ」

メイド「……まじすか?また急にいいもの食べたくなったりしません?」

ご主人様「なるかもしれんしならんかもしれん…また親切にお前の分を用意してやるかどうかも分からん」

メイド「そんなぁ」

ご主人様「そんなに食べたきゃ自分で金貯めて買えばいいじゃねぇか」

メイド「……じゃあ、そのときはご主人様が料理してくださいね」

ご主人様「やだよ。どこの世界に主人に飯作らせるメイドがいるんだよ」

メイド「!」ガーン

ご主人様「じゃ、片付け頼んだぞ」スタスタ

メイド「あっ!逃げないでくださいよ!片付けはもちろんしますけど!!ちょっとぉ!」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 23:27:27.29 ID:7AGXo4RYo
また随分と空いてしまいましてすみません
自分でも迷走してるなーと思いつつも、最近食べ物ネタばかりですね
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/01/20(月) 01:48:53.33 ID:XZWfarJ2o
乙ー
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/01/20(月) 07:05:49.07 ID:9rVYkRUHo
乙です
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/27(月) 03:15:49.77 ID:YrTl1t6To
ご主人様「へあっくしゅ!!!」

メイド「わっ!ちょっとご主人様…!くしゃみかかったじゃないですか!」

ご主人様「すまん。いや悪気はないんだよ」

メイド「くしゃみするときは手で口元抑えないと!おっさんっぽいですよ」

ご主人様「おっさんだと!?言ったなこの野郎!!」グリグリ

メイド「いだだだだ!!!」

ご主人様「うっ…ぶぇーくしゅ!!」

ご主人様「やべ鼻水が…ちょうどいいや、お前のエプロンで鼻かませろ」

メイド「それはマジで無理です……」ススス…

ご主人様「おい距離取るな!ウソだから!ティッシュ取ってくれ!」

メイド「はっ!ご主人様まさか、今話題の新型…」

ご主人様「ないない…ていうかシャレにならんからそういうのやめろ」

メイド「手洗いうがいとか、ちゃんとしてますか?」

ご主人様「いやしねぇよ?」

メイド「即答…」

メイド「お前はいつもやってんのか」

メイド「当たり前じゃないですか。外出る時はマスクもしてますし、対策は常にバッチリです!」

ご主人様「ふーん…そりゃ当然だよな。万が一にもお前が風邪なんてひいたら、えらいことだからな」

メイド「それは、私のことが心配という意味ですか?」

ご主人様「なわけねぇだろ。ただ俺が困るってだけだ」

ご主人様「まぁ、そもそもバカは風邪引かねぇから、気にする必要なかったか!」

メイド「…よくもそういう冷酷無比なことをペラペラと言えるもんですねー。心が風邪を引いてますよ」ジトー

ご主人様「…うっせ」

メイド「ご主人様のくしゃみほどはうるさくないと思いますけどねぇ!」

ご主人様「しゃらくせぇわ!」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/27(月) 03:16:59.57 ID:YrTl1t6To
あ、間違えてる!

メイド「即答…」のあとのセリフはご主人様ですね
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/01/27(月) 07:08:53.58 ID:8G4ENCwUo
乙乙
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/01/28(火) 02:33:16.18 ID:ZrB8+rhIo
乙ー
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/28(火) 07:56:25.72 ID:p3FhSzYDO
おつです
急にタメ口になるメイドもいい
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 22:32:39.31 ID:UKv5ty39o
ご主人様「おいメイドぉ、ギザ10出てきたからお前にやるよ」

メイド「…使えばいいじゃないですか?自分で」

ご主人様「俺はもう全部電子マネーで払ってるから」

メイド「でもほら、なにかの間違いでキャッシュレス決済対応してないお店とか入っちゃったら困りますよ」

ご主人様「そんな間違いはしねぇよ俺は」

ご主人様「だいたい、現金しか使えねぇ店に10円だけ持ってっても意味ねぇだろ」

メイド「…じゃあ、もらいます。ください」

ご主人様「…『じゃあ』だと?テメェは10円をたかだか10円と軽んじるほど裕福なのかよ?」

メイド「べ、別に軽んじてません!」

ご主人様「このギザ10はなぁ、なんと現代の1円の10倍の価値があるんだぞ!」

メイド「そりゃそうでしょ10円なんだから」

ご主人様「大事に取っとけよ」ポイッ

チャリン

メイド「うわ、投げるとか!最低ですね、造幣局の人に怒られますよ」

ご主人様「そんときゃ俺から造幣局にそんなミスすんじゃねぇって説教し返してやる」

メイド「…そういえばギザ10って、どーいう経緯でできちゃうんですかねぇ」ヒョイ

ご主人様「知らね。でも発行された時期によっちゃ、価値が出ることもあるらしいぞ」

メイド「え!」バッ

メイド「昭和26年!昭和26年て書いてあります!」

ご主人様「なんだ?その目は…自分で調べろバカ」

メイド「えーと…『ギザ10 昭和26年 価値』…」

メイド「ろっ…6万円…!?」

ご主人様「ハァ!?」

メイド「…じゃあ私は…これで…」コソコソ

ご主人様「待てぇ!!」ガシッ

メイド「ぎゃーー!!襟掴まないでくださいよ!首絞まる!!」

ご主人様「ギザ10返しやがれ!そいつは俺のだ!!!」

メイド「違いますー!私のですー!投げてよこしたあの時点で、ご主人様の所有権はなくなりました!」

ご主人様「ふざけんな!返せよ俺の6万円!!ドロボウ!!」

メイド「誰がドロボウで……あっ!ちょっと待った」ピタッ

メイド「これ、『未使用に限る』って書いてありますよ…」

ご主人様「………」

ご主人様「ふっ、10円玉ひとつではしゃぐなんて、これだからビンボー人は嫌だよな」

メイド「よう言うわこの人…」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/01/31(金) 03:06:00.44 ID:KTmdYuzjo
乙ー
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 00:25:12.12 ID:u4H5p6+Lo
メイド「う〜ん」

ご主人様「どうした?悩み事か…ってタイプじゃねぇよなお前は」

メイド「ゆうべ、変な夢を見まして…それが頭から離れなくて」

メイド「ほら、夢って何かを暗示しているって言うじゃないですか。あの夢はどういう意味なんだろうってずっと考えてるんです」

ご主人様「どんなのだ」

メイド「大きなワニがひっくり返ってるんですよ。で、『オコシテオコシテ』って言ってるんですね」

ご主人様「……」

メイド「私はすぐそばで見てるんですけど、ワニだから、起こした途端に噛み付いてくるんじゃないか…と思って、なかなか手が出せないんですよね」

ご主人様「……」

メイド「そしたら、仰向けだったワニが、自力でくるんと元の体勢に戻ったんですよ。そのあと、なんて言ったと思います?」

ご主人様「…なんで起こしてくれなかったんだ、とかか?」

メイド「当てる気あります?」

ご主人様「あるわ!」

メイド「ワニは一言…」

ワニ『ラコステ』

メイド「って言ったんです。そこで目が覚めました」

ご主人様「……その夢の意味するところは分からんが…」

ご主人様「おまえたぶん疲れてんだよ」

メイド「そ、そうですかね!?」

ご主人様「ていうかそれ、イチローが着てたパチモンTシャツじゃねぇか」

メイド「あー……」

ご主人様「そういやぁ俺も最近イヤな夢を見たな」

メイド「どんなんですか?私がいなくなる夢とか?」

ご主人様「そんなの別にイヤじゃねぇよ」

メイド「え!?」

ご主人様「歯が抜ける夢だ」イー

メイド「歯?それのどこがイヤな夢なんです?」

ご主人様「抜けるつってもあれだぞ、全部の歯がグラグラしてて、触っちゃいけないと分かってるのに舌で触れて取れちゃうっていう…」

メイド「た、確かにイヤですねそれ」

ご主人様「んで口の中が抜けた歯でいっぱいになって、ジャリジャリジャリジャリ…」

メイド「うわ〜…想像しただけで鳥肌が…」

ご主人様「あの感触が夢とは思えないくらい気持ち悪いんだよなぁ〜。しかも似たような夢を何回も見たことあって…」

メイド「へ〜…。いやでもね…それ聞いて分かりましたよ…」

ご主人様「ん?なにが?」

メイド「他人の見た夢の話って、ほんっと聞いててつまらないですね!」

ご主人様「てめーから話し始めたんだろうが…歯ぁ全部抜くぞコラ!」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/02/08(土) 02:01:27.59 ID:VxEe0Q+Lo
乙ー
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/14(金) 08:39:29.28 ID:W23MHAneo
メイド「今日はバレンタインデーですよ」

ご主人様「なに?チョコくれんの?」

メイド「…ご主人様みたいな冷血動物でもチョコ欲しいんですね」

ご主人様「誰が冷血動物だコラ」スッ…

メイド「あっ!なんですかその手!まさか叩くつもりですか!そんな人にチョコレートはあげられませんよ!」

ご主人様「あぁ?」

メイド「チョコが欲しいなら、今日一日くらいは日頃の態度を改めてみてはどうです?」

ご主人様「ああ?その言い方だと態度を改めねぇ限りチョコくれねぇみてぇだな」

メイド「みてぇじゃなくてそういうことです!」

ご主人様「じゃあいらね。別に俺チョコそんなに好きじゃねぇし」

メイド「えっ?」

ご主人様「それに最近は甘いもの控えるようにしてんだよな」

メイド「えっえっ」

ご主人様「じゃ、俺は部屋に戻るからな」

メイド「いやちょっちょっちょっ…も、もし私が夜なべして手作りチョコとか用意しててもそういう態度取るんですか?」

ご主人様「そんなん知らんよ。俺から作ってくれって頼んだわけでもないしな」

メイド「ええええ…」

ご主人様「なにちょっと泣きそうになってるんだよ」

メイド「せっかく…用意したのに……」

ご主人様「…しょうがねぇな。お前がそこまで言うならもらってやるよ」

メイド「ほ、ホントですか?」ウルウル

メイド「…いや違う違う違う。おかしいでしょう。『ご主人様が態度を改めたらあげる』って話だったのに、なんで私がウルウルしなきゃいけないんですか!」

ご主人様「チッ気づいたか…押してダメなら引いてみろ作戦失敗だな」

メイド「まぁ実は私も、夜なべなんてしてないんですけどね!用意してたのはコンビニで買ったやっすいやつです!」スッ

ご主人様「手作りですらねぇのかよ!さっきしょげてたのはなんだったんだ」

メイド「『もし』って言ったじゃないですか?これは普段なんでも手作りの私があえて手作りをしないという超高等テクニックで…」

ご主人様「なんの話をしとんじゃてめーは」

メイド「というわけではいドーゾ」

ご主人様「サンキュ…ってチョコボールじゃねぇか!」

メイド「なにか問題でも…?」

ご主人様「問題っていうか…これをバレンタインに選ぶセンスが…」パクッ

メイド「あいにくこれより美味しいチョコは知らないんですよ」

ご主人様「…可哀想に。じゃあホワイトデーにはゴディバのチョコを買ってやろう」ポリポリ

メイド「ま、マジすか!!」

ご主人様「ただしお前の態度次第だがな…」

メイド「あれ?そのセリフどこかで聞いたような??」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/02/14(金) 17:01:58.64 ID:zRYpwHJXo
乙ー
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 21:43:00.04 ID:Sva89HVlo
ご主人様「あのさ、お前って1日終わって、夜すぐ寝てるわけじゃないよな?何してんの?」

メイド「??何って…スマホいじってるくらいですよ」

ご主人様「スマホでなにやってんだ??」

メイド「YouTubeで動画見たり、アプリで漫画読んだりしてますけど…」

ご主人様「なんの動画だよ」

メイド「…なんでもいいじゃないですか」

ご主人様「そうか、言えないような内容なのか…まぁ俺は別にいいけどな、イケボのVtuberにスパチャ投げまくってても」

メイド「妙にリアルですけどそんなことしてませんから!もっと普通の…動物とか音楽とか、お笑いとか料理講座とか!本当ふつーのやつですよ!」

ご主人様「お笑い……」

ご主人様「たまにお前の部屋の前通ると笑い声が聞こえてくるのは、それが理由だったのか」

メイド「…???」

ご主人様「いや、なんで笑ってんのか知りたかっただけなんだ。夜な夜なこっそり変なクスリとかやってるわけじゃないなら、別にいい」

メイド「笑ってないですけど…」

ご主人様「ん?」

メイド「私、動画見たくらいで声出して笑ったりしませんよ。ご主人様の邪魔にならないように気を遣ってるつもりですし」

ご主人様「……」

ご主人様「じゃああの笑い声はなんだ?何に笑ってんだ?」

メイド「だから笑ったりしませんって。イヤホンつけてるから、動画の音が部屋の外まで聞こえることもないはずですけど…」

ご主人様「お前以外に誰がいるんだよ…女の笑い声だぞ」

メイド「……マジで言ってるんですか?」

ご主人様「……」

メイド「あの……」

ご主人様「……わーーーーーっ!!」

メイド「うわぁ!ビックリしたぁ!」ドキドキ

ご主人様「なんてな」

メイド「…やめてくださいよそーいう冗談!」

ご主人様「ははは、悪い悪い」

メイド「目が笑ってないですよ」

ご主人様「まぁ冗談じゃねぇからな。実はこの家な…」

メイド「?」

ご主人様「…いや、やっぱやめた。俺の気のせいってことにしておこう」

メイド「えっちょっ…今なに言おうとしたんですか」

ご主人様「ところでお前、スマホいじる以外にやることないって可哀想なヤツだな」

メイド「いいでしょ別に…寝る前に少しくらい!」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 23:48:17.41 ID:QcN+IrdUo
いや怖ぇよ!
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/02/25(火) 02:34:03.32 ID:uaD2/Fabo
乙ー
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 23:39:43.99 ID:w2wxhN/No
ご主人様「ごちそうさん。あー美味かった。やっぱ冬は鍋だな」

メイド「じゃ、片付けますね…」スッ

ジュッ

メイド「あちゃちゃちゃちゃ!?」

ご主人様「おい何やってんだ、危ねぇだろ!」

メイド「も、もう冷めてると思って…」ヒリヒリ

ご主人様「バカだな…フツー持ち手のとこタオルとかで覆うだろが」

メイド「うぅ…バカって言った方がバカなんですよ…」

ご主人様「いいから手ぇよく冷やしとけよ」

メイド「はぁい…」トボトボ

メイド「…あ、そうだ!!」

ご主人様「?」


数日後

メイド「ご主人様〜」

ご主人様「…オメェなに隠れてんだ?」

メイド「じゃーん…」スッ

ネコ『これでもう火傷しないニャー!』パクパク

ご主人様「な、なんだそのパペットは」

メイド「フフ…作っちゃったんですよねぇ…お手製ミトン!」ヒョコ

ネコ『ただのミトンじゃ面白くないから、目と耳と鼻もつけてパペット風にしたニャー!』

メイド「フフフ…可愛いでしょう」

ご主人様「可愛いネコでアツアツの鍋掴むのか。鬼畜じゃねぇか」

メイド「その発想が鬼畜なんですよ…あ、ちなみに左手は〜」スッ

メイド「じゃーん!」ヒョコ

ご主人様「…くま???」

メイド「イヌですよ!!イ・ヌ!!!」

イヌ『ワンワンワンワン!!』パクパク

メイド「あ、こうやって両手につけるとまるでパペットマペット。なんちゃって〜!」パタパタ

ご主人様「くだらねー…一人でやってろ」


さらに数日後

メイド「今日はぶりしゃぶです!熱いのいきますよ〜」グツグツ

ご主人様「おう…ん?お前こないだ作ったミトンはどうしたんだ」

メイド「…いや、あれ…実は一度もミトンとして使えるのか試してなくて…」

メイド「ホントに大丈夫かなーとか…また火傷したらイヤだしなーとか…で結局タオルを使ってます…」

ご主人様「……」ゴソゴソ

ご主人様「……」スチャッ

メイド「あの…私のイヌミトン…」

ご主人様「ボクだって役に立つんだワンワンワン!!」ガブガブ

メイド「いたたた!そういう使い方はしちゃダメです!!!」

ご主人様「はよ食えワンワン!」パクパク

メイド(くだらないとか言っといて、私より気に入ってるような…)
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/09(月) 01:19:21.20 ID:T+waW5cCo
乙ー
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 07:04:56.18 ID:2KfMblBUo
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/26(木) 23:48:07.56 ID:D8LXHPXho
メイド「今日はオムライス作りますよ〜」

ご主人様「オムライスか…」

ご主人様(あんまり意識したことなかったけど、メイドさん=オムライスみたいなイメージあるよな)

ご主人様(ケチャップでハートマークとか可愛い絵を描いたりしてな)

ご主人様(まぁこいつに限ってそんなことはしないだろうが…)

メイド「ハイどうぞ」コトン

ご主人様「おっ、これは…!?」

ふわっ トロォ〜

ご主人様「洋食屋の本格的なやつ!ケチャップじゃなくてデミグラスソースのやつ!!」

メイド「え、私なんか間違えました?」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/26(木) 23:51:15.16 ID:D8LXHPXho
ご主人様「メイド!庭にヘビがいるぞ!」

メイド「ヘビ?アオダイショウですか?」

ご主人様「種類は分からんが、そこでじーっと日光浴してる」

メイド「ああ、これ…ヘビじゃなくてカナヘビですよ」ヒョイ

ご主人様「カナヘビ…ヘビなんじゃん」

メイド「違いますよ。ほら、手足が生えてるでしょう?」

ご主人様「でもヘビって名前についてんならヘビだろ?」

メイド「トカゲですトカゲ。こんなの常識じゃないですか!?」

ご主人様「トカゲっぽいヘビか」

メイド「だから違いますって!」ブチッ

ご主人様「うわ、切れた」

メイド「別にキレてませんよ!」

ご主人様「いや、そいつ」

メイド「あ…」ビチビチ

カナヘビ「」サササ…

ご主人様「しっぽ切って逃げたってことは、さてはこいつトカゲの仲間だな?」

メイド「だからそう言ってるのに…ゴメンねカナヘビちゃん」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/27(金) 06:03:57.78 ID:IXAbubxMo
乙ー
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/27(金) 11:21:58.52 ID:W9raZc4mo
乙乙
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:35:44.84 ID:C2w2jGSBo
ご主人様「これから出かけてくる」

メイド「…急ですね。どちらへ?」

ご主人様「ほら、お前もこの1万円でどっか遊んでこいよ」スッ

メイド「いや、どこ行くのかって訊いてるんですけど」

ご主人様「しょうがねぇな。じゃあもう1万やるよ」

メイド「なんでそんな頑なに隠すんですか!?」

メイド「ハッ」

メイド「そういえばいつもよりずいぶんキチッとした格好ですけど、もしかして女性の方と会ってくるとか?」

ご主人様「!」ギクッ

メイド「うわー絶対やらしいお店だ!やらし〜お店に行くつもりだ!!」

ご主人様「そういうのじゃねぇよバカ!こんな時期にそんなとこ行くか!」

メイド「そういうのじゃない…?ってことは…」

ご主人様『ウチのメイドが生意気でな…新しいメイドを雇おうと思うんだ!』

???『雇って雇って〜!』

ご主人様『顔よし胸よし性格よし !合格っ!!』

メイド「私クビですか!?」

ご主人様「なんでそうなる!?とにかく俺のことは気にせんでいいから、お前もどこへなりとも行ってこい!」

メイド「……はぁい」

ご主人様「安心しろ、ちゃんと夜までには帰ってくるから…じゃあ行ってくる」ガチャッ

バタン

メイド「……どこへなりとも行ってこいってことは、つまり」

メイド「…『たまたまご主人様と行き先が同じ』でも問題はないはず」ニヤリ

メイド「というわけでぇ、追跡、開始!!」コソコソ
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:38:09.83 ID:C2w2jGSBo
〇〇駅

メイド「電車かぁ…どこまで行くんだろう」

ご主人様「……」スタスタ

メイド「あんまり近くにいると見つかりそうだし、離れすぎると見失いそうだし、尾行って意外と難しい…」


20分後

メイド「……」(暇なのでスマホゲーやってる)

プシュー

ご主人様「……」スタスタ

メイド「…ん!?あ!降りてる!やばい!」

△△駅

メイド「さてさて…大きい駅だから周りにはいろいろありますけど…どこ行くつもりなんでしょうね」

ご主人様「……」ウィーン

メイド「すぐそこのスタボ…!」(※スターボックスコーヒー)

メイド「へ〜ご主人様もスタボとか行くんだぁ…」ソロリソロリ

メイド(どこに座るんだろう…外から見える位置だといいけど)コソコソ

メイド「…あっ!」


ご主人様「よう。久しぶりだな…」

???「…そうね。久しぶり。本当に久しぶり」


メイド「マジで女の子…!えーっ!しかもすごく若く見えるんですけど!?」

メイド「まさか女子高生?まさか…パパ活!?」

メイド「くっ、ここからじゃなにを話してるのか分からない〜!」

メイド「あっ!」

メイド(ご主人様のすぐ後ろの席が空いてる…)

ウィーン

メイド「一番安いコーヒーひとつ…」ヒソヒソ

店員「は、はぁ…」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:40:41.30 ID:C2w2jGSBo
メイド(大丈夫…たぶん大丈夫…ご主人様が何かの拍子に振り向くことはあっても、わざわざ後ろの人の顔を覗き込んだりしないはず…)ドキドキ

メイド(一応、変装もしてるし…帽子被っただけだけど…)


???「で、一人暮らしはどんな感じ」

ご主人様「もう長くなるんだ、どうってことねぇよ」

???「ふーん…」

メイド(…ん?ご主人様、一人暮らししてるって設定なの??私がいるのに??)

メイド(あ、もしかして…私のことを隠しておきたい間柄ってことかな…)

???「ご飯はちゃんと自分で作ってるの」

ご主人様「おうよ」

???「ふーん…じゃあ昨日の夜はなに食べたの?」

ご主人様「えー、た…タコスライス」

???「意外…そんなの食べるんだ」

メイド(まぁ私が決めたメニューですからね)

ご主人様「け、結構簡単に作れるしな…オススメだぞ」

メイド(自分が作ったわけでもないのに!)

???「そう…じゃあ、他のこと…たとえば掃除とか洗濯も毎日やってる?」

ご主人様「そりゃー毎日やってるよ、当たり前だろ」

メイド(……やってもらってる、でしょう!)

???「柔軟剤とか、使ってる?」

ご主人様「え?っと…」

メイド(使ってる!使ってますよいつも!)

ご主人様「まぁあんなんいらんわなぁ、効果があるのかないのかよく分からんし」

メイド(…あーそうですか。効果があるのかないのかよく分かりませんか…全然違うのに!)

メイド(ていうかホント誰なのこの子は??なぜご主人様の一人暮らし事情を探りたがっているの??)

メイド(もしかして元カノ!?…にしては幼いか。さすがにないですよね?)
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:45:05.83 ID:C2w2jGSBo
???「ゴミとかちゃんと出してる?」

ご主人様「お、おう、きちんと分別して、ゴミの日に…」

メイド(全部私がね)

???「じゃあ、燃えるゴミは何曜日に出すの?」

ご主人様「えっ?」

???「毎回ちゃんと出してるなら、当然知ってるわよね」

ご主人様「えっ…と」

メイド(…まずい!ご主人様に答えられるわけがない!だって毎回私が捨ててるんだから!)

ご主人様(思い出せ…メイドが『ゴミ出し行ってきま〜す』って家を出ていくのは毎週何曜日だ?たしか…)

ご主人様「金…曜日」

メイド(…そう!金曜日!分かってるじゃないですか〜!)

???「…と?」

ご主人様「…と、とは?」

???「燃えるごみは週2回、常識でしょ?」

ご主人様「………」

メイド(…確かにゴミの日は週2回ある!でも私は金曜日に1週間分をまとめて出すようにしてるから…ご主人様に分かるかな…)

メイド(ていうかこの子、明らかにご主人様を試してる!まるで一人暮らししてるのを疑ってるかのような…!)

???「もしかして、分からない?」

ご主人様(冷静になれ…金曜日のほうは間違いないはずだ)

ご主人様(ということは、間隔から考えればその次は月曜日か火曜日なのは明白)

ご主人様(そしてこの2択なら、仮に外しても『普段その曜日には出さないから忘れてた』で誤魔化せるはずだ)

〜この間0.5秒〜

ご主人様「たしか…火曜日!」

???「火曜日と…金曜日…」ゴゴゴゴゴ

ご主人様「……っ」ゴゴゴゴゴ

???「まぁ、私は正解を知らないんだけど」

メイド(がくっ)

ご主人様「お…お前なぁ…」

???「今、安心したでしょ」

ご主人様「え」ギクッ

???「ほんとは、一人暮らししてないんじゃない?」ゴゴゴゴゴ

ご主人様「………!!!」

メイド(雰囲気がおかしい!あれ!?これってそういうSSでしたっけ!?)
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:50:30.36 ID:C2w2jGSBo
ご主人様「…なんで…そう思うんだ…?」

???「…いくつかあるけど、まず、真っ先に思ったのは…」

???「服装が綺麗すぎる…」

ご主人様「!」

???「身なりに気を遣うタイプじゃないのに、そんなにパリっとしたシャツを着てるってことは、誰か別の人がアイロン掛けとかしてくれたんじゃない」

メイド(…確かに、ご主人様は普段あまり人に会わないから、いつももっとだらしない格好してる…でもそれだけじゃ断定はできないはず。たとえばクリーニング屋とか…)

ご主人様「こ、これはおろしたてのシャツだからだ」

メイド(そういう言い訳の余地がありますよね…)

???「…胸元のボタン、糸が解れて取れそうになってるけど」

ご主人様「!」ハッ

メイド(あ〜!それ、前から気になってたけど『しょっちゅう着るわけじゃないって言ってたし、取れてから直せばいいか!』ってほっといたやつ〜!)

???「それがおろしたて…とんだ粗悪品掴まされたのね」

ご主人様「そ、そういうこともあるだろ…」

???「もうひとつ違和感があったのは…タコスライスを食べたってところ」

ご主人様「俺がそんな洒落たもん作るように見えないってか?失礼なヤツだな」

メイド(そりゃ私が作ったし…)

???「洒落たものっていうか…タコスライスって、アレが入ってるでしょ」

ご主人様「…アレ?」

???「トマト」

ご主人様「!!」

メイド(入れましたねぇ。ご主人様が嫌いを克服できるように!って…意地悪じゃないですよ?)

メイド(……あ、まさか)

???「トマト…ずっと嫌いだったのに、自分から食べるようになったんだ?」ドドドドド

ご主人様「……」

メイド(後ろからでも分かるこの緊張感…!!)
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:53:49.97 ID:C2w2jGSBo
???「トマト嫌いな人が、わざわざタコスライスを作るとは思えないんだけど」

ご主人様「…さ、最近食べられるようになったんだ。いつまでも好き嫌い言ってられないからな」

メイド(めっちゃ残してましたけどね)

???「偉いわね。じゃあ…私が今食べてるこのパンに挟まってるスライストマト」

???「これも『食べられる』ってことよね」スッ

ご主人様「…ッ!!!」

メイド(あーあ、自分で自分の首締めるようなこと言うから…)

ご主人様「いらねぇよ!お前の食いかけなんて!」

???「そう、じゃあいい。で、ほんとに一人暮らししてるの?」パク

ご主人様「だから、してるっつーの!」

メイド(私が…)

ご主人様「飯の支度も買い出しもごみ捨ても洗濯も風呂掃除もアイロン掛けも…」

メイド(全部…)

ご主人様「俺一人でやってるっつーの!!!」

メイド(ウソつけぇええええええ!!!!!)ガタンッ

???「!?」

ご主人様「は!!?」クルッ

メイド(や、やっばぁぁあああ!!!勢いに任せて立ち上がってしまった…!)

メイド(いや!こうなったら堂々と…この子の正体を聞いてやる!)

ご主人様「お前…まさか…!」

メイド(振り向いて…言ってやる!『あなたはご主人様のなんなんですか!?』って)

メイド「あな…」クルッ

???「もしかして、お兄ちゃんのお知り合い?」

メイド「……」ピタッ

メイド「……」ギギギ

メイド(お兄ちゃん…ってことは…)

メイド(…妹!!??)

ご主人様「……テメェ、どういうつもりだ…」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 23:57:21.75 ID:5NFcFcgaO
このSSを書き始めて直ぐに「キャラは増やさないようにしよう」と密かに決めていたのですが
ネタ切れには勝てなかったよ…
後編は数日以内に!しばしお待ちください
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/08(水) 07:51:32.86 ID:dmns8BU3o
乙!
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/08(水) 12:24:17.13 ID:YsJvO7T8O
おつ
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/08(水) 13:52:46.39 ID:Xh8gKN5qo
乙ー
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 22:42:26.30 ID:J/95u/iMo
ご主人様「どういうつもりだ、コラ」ズイッ

メイド「あははは…なんの事でしょう、人違いだと思いますケド…」

ご主人様「……」バッ

メイド「あ、帽子……」

ご主人様「そうかい、人違いかい。よーく見たことあるツラなんだがなぁ」

メイド「あぁご主人様じゃないですかぁ!奇遇ですね!いやぁ誰かと思いましたよ!」

メイド「なんだか急にスタボのコーヒーが飲みたくなっちゃって!ここにしかない限定メニューがあるとかないとか!まぁ私が飲んでるの一番安いやつですけどね!あはは!」

ご主人様「………」

メイド「はは…は…そ、そんな修羅みたいな表情しないでくださいよ…」

???「お兄ちゃんのお友達?」

メイド「ええまぁあのーちょっとした知り合い?って言うか〜…」

ご主人様「こっち来い」グイッ

メイド「ぐえっ」


メイド「あの、ご主人様…なんで窓際に座らせるんデスカ…」

ご主人様「こうやってがっちりガードしとけば逃げられないだろ」

メイド(やり口がプロ…)

???「ご主人様って、どういうこと?」

ご主人様「ちっ…テメェがついてきたせいで面倒なことになったじゃねぇか!」

メイド「し、知らないですよ〜!着いてきたんじゃなくてたまたま行き先が同じだっただけで…」

ご主人様「じゃあなんで中途半端な変装してんだ!下手な言い訳すると引っぱたくぞコラ!」

メイド「うう…」

???「やめてお兄ちゃん。私が質問してるのよ」ジッ

ご主人様「……分かったよ…」

メイド(…うわぁ、さっき外から見たときはよく分からなかったけど、超美少女…)

???「この人は、お兄ちゃんの、何?」

ご主人様「…か、家事をやってもらってる人だ」

???「家政婦?」

ご主人様「一般的な言い方をするとそうだな」

メイド「もっと可愛い言い方があるんじゃないかな〜…なんて…」

???「メイドさん?」

メイド「そう!それ!」

ご主人様「お前マジで調子乗るなよ…」グリグリ

メイド「アウアアア」

???「なるほど、一人暮らしをしてるけど、家事はこの人がやってくれてるのね」

メイド「 いや、一人暮らしじゃないですよ。同居してます」

ご主人様「おいっ!」

メイド「あ…言わない方がよかった感じです?」

???「同…居……」

???「なるほど、そういうこと…。そうよね。お兄ちゃんも大人だもんね」

メイド「いやー中身は子供みたいですけどね!ところであなたは、ご主人様の…?」

???「私は、その人の妹よ」

ご主人様「どうしてこうなった…」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 22:48:37.99 ID:J/95u/iMo
メイド「ずいぶん若く見えるんですけど、その…おいくつですか?」

妹「このあいだ20歳に…」

メイド「はたち!?ウソ!?」

妹「これ、学生証」スッ

メイド「ホントだ〜……!」

メイド「ってうわ!〇〇大学!?頭いいんですね!?」

妹「別に普通よ」

メイド「ご主人様、こんなに可愛くて利発そうな妹さんがいるのに、どうして教えてくれなかったんですか〜」ニヤニヤ

ご主人様「お前に教える必要ねーだろうが」

妹「お兄ちゃん、私たち家族が嫌でこっちに移ってきたらしいから」

ご主人様「別にそういうわけじゃねぇよ」

妹「じゃあどうして全然連絡取ってくれないの」

ご主人様「タイミングがなかっただけだって」

妹「こうやって面と向かって話すのだって2年ぶりじゃない」

メイド「2年も会ってなかったんですか!?実の妹と!?」

ご主人様「…そうか…お前の高校卒業以来だから、それくらいになるのか」

妹「今年から大学のキャンパスが変わって、一人暮らしをすることになりそうだから、お兄ちゃんにアドバイスを貰いに来たの」

メイド「なるほど…それで…」

メイド「…それ、私に隠す必要ありましたぁ?」チラッ

ご主人様「うるせーな…」

妹「でも、様子がおかしいのはひと目で分かったわ…何かを隠している感じ…」

メイド「後ろで聞いてましたけど、すごい洞察力でビビりましたよ…」

ご主人様「お前のそういう勘が鋭いところがイヤで会いたくなかったんだ」

妹「お兄ちゃんがボロを出しやすいだけよ」

メイド「ぷっ…」

ご主人様「んだコラァ!てめぇが反応しなけりゃ誤魔化しきれたかもしれねぇだろうが!!」

メイド「ひゃぁ!」バッ

妹「…とっさに頭を庇う…」ジッ

妹「お兄ちゃん、もしかして、この人のことしょっちゅう叩いたりしてる?」

ご主人様「!」ギクッ

妹「メイドさんの反応が、日頃から叩かれてる人のそれよ…DV被害者とかによくある…」

メイド「ひどい時は日に5,6回は叩かれるんです…」シクシク

ご主人様「ち、違う!これは躾だ!悪いのはソイツ…」

妹「DV加害者の典型的な言い訳ね、警察に行きましょう」

ご主人様「クソっ、これ言うほど立場が苦しくなるパターンだ!」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 22:50:34.01 ID:J/95u/iMo
妹「お兄ちゃんに一人暮らしのアドバイスを求めても、ほとんど役に立たないのはよく分かったわ」

ご主人様「待て!俺だってコイツがウチに来るまではちゃんと一人暮らししてたんだぞ!」

メイド「そのはずですよね」

ご主人様「ただ、あの頃の俺がどうやって一人で生きてきたのか覚えてないだけで」

妹「意味ないじゃない…」

妹「というわけで予定を変更して、メイドさんとの日々の暮らしを聞かせてほしいんだけど…」

ご主人様「しねーよそんなつまんねー話!コイツもう帰らせるから!」

メイド「ええっ、なんでですか!」

ご主人様「だいたいなんだお前は!メイドのくせにコソコソついてきやがって!俺のこと信用してねぇのか!」

メイド「信用してないとかじゃなくて、ただ純粋に気になっただけです!」

ご主人様「いいからとっとと帰れ!」

メイド「逆にご主人様が帰ったらいいのでは?」

ご主人様「なんでだよ!」

妹「……」ジーッ

ご主人様「な、なに見てんだよ」

妹「私の思ってる主従関係とだいぶ違うというか…ずいぶん仲良しなのね」

ご主人様「はぁ!?どこがだよ!外じゃなかったら今頃凹だぞボコ、こんなやつ!」

メイド「さては妹さん、『トムとジェリー』見て微笑ましいなと思うタイプですね!当人たちはお互い必死なのに!」

妹「…お兄ちゃん、私、もう一杯飲み物がほしいんだけど、頼んできてくれない?」

ご主人様「あ?」

妹「1回しか言わないからよく聞いてね」

妹「ベンティ、ダークモカチップクリームフラペチーノ、ノンファットミルクに変更、
ライトアイス、ソイミルク追加、クアトロショット、チョコレートソース追加、
キャラメルソース追加、バニラシロップ追加、キャラメルシロップ追加、
アーモンドトフィーシロップ追加、ヘーゼルナッツシロップ追加、
エクストラチップ、エクストラホイップ、エクストラパウダー」

ご主人様「?????」

メイド「?????」

妹「お願いね」

ご主人様「????????????」フラフラ

妹「考えうる最長のオーダーよ」

メイド「通るんですかソレ…」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 22:52:36.17 ID:J/95u/iMo
妹「これで二人きりになれた」

メイド「あ、そういうこと…」

妹「お兄ちゃん、元気にやってる?」

メイド「…ええ、まぁ、病気とかはしてないですね」

妹「そう…よかった」

メイド「あの、妹さんは…ご主人様とはホントにぜんぜん連絡取ってなかったんですか?」

妹「最初のうちはときどきLINEしてたけど、素っ気ない返事ばかりで…気がついたら1年以上放ったらかしにしてたわ」

メイド「私の前でも、妹さんがいる素振りなんて見せたことなかったから…正直驚きました」

妹「…お兄ちゃんは、家族のことがあんまり好きじゃないみたい。だから話したがらないんだと思う」

メイド「なにかあったんですか…?」

妹「何もなかったから…かも。私、お兄ちゃんと少し歳が離れてるから、小さい頃は両親も私に構いっぱなしで」

妹「そのせいか知らないけど、なんとなく、家族4人で楽しく過ごした記憶ってあんまりないの」

メイド「でも、嫌われてるようには見えませんよ」

妹「…そう?」

メイド「今だって、文句ひとつ言わずにオーダーしに行ったじゃないですか?私がこんなこと頼んだらたぶん半殺しにされますよ」

妹「だって主従関係なんでしょ…」

メイド「あ、そうか!」

妹「私が小学生になったときにお兄ちゃんはもう中学生だったから、昔は勉強とかもよく見てくれたの」

妹「でも私、結構頭よかったから…お兄ちゃんに教えてもらわなくてもだいたいできちゃってたの。今思うとお兄ちゃん、つまんなかったでしょうね」

メイド「そっか…ご主人様は、お家に居場所がないと思ってたのかもしれませんね」

妹「…今でも、そういう節がある?」

メイド「うーん。今は逆に、ほとんど外に出ませんよ」

妹「じゃあ、居心地いいのかもね」

メイド「そりゃ、部屋で仕事だけしてれば、他のことは全部メイドの私がやっといてくれるわけですからね…」

メイド「…あ!そういえば…妹さんは、ご主人様がなんのお仕事をされてるか知ってますか!?」

妹「…前聞いたのと変わってなければ」

メイド「教えてください!」

妹「…知らないの??」

メイド「頑なに話してくれないんですよ!」

妹「……あんまり大きな声では言えないんだけど……」

妹「お兄ちゃん、赤ん坊の内臓にクスリを詰め込んで、海外に出荷するのが仕事なのよ」

メイド「…!!!」

メイド「どうりで…」

妹「というのは冗談…」

メイド「な、なぁーんだ!」

ご主人様「なにが『どうりで』だよコラ!?」

メイド「ごしゅっ…!あばばばば!?」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 22:56:58.63 ID:J/95u/iMo
ご主人様「ほら、バニラのフラペチーノ」

妹「頼んだのと違うけど」

ご主人様「あんなの覚えられるか!お前、バニラ好きだろ?昔よくバニラアイス食ってたし」

妹「……」

ご主人様「それよりオイ、てめぇ…仕事のことは詮索するなって常日頃から言ってるよなぁ」

メイド「ご、ご主人様に直接聞かなきゃセーフかな、と思って…」

ご主人様「こっそり尾けてきたり、今日のお前はいつになく卑怯だな」

メイド「ひ、卑怯!?」ガーン

妹「…お兄ちゃん。私、これ飲んだら帰るわね」

ご主人様「ん?いいのかよ」

メイド「卑怯…卑怯…」ブツブツ

妹「聞きたいこと、なくなっちゃった。お兄ちゃんも楽しくやってるみたいだし…もういいかなって」

メイド「……」ピクッ

メイド「あの…ホントに、一人暮らしのアドバイスだけ貰いにきたんですか」

妹「?」

メイド「他に何か…用事があったりしませんか?」

妹「……」

ご主人様「お前なに言ってんだ?」

妹「あった、けど…もういいの」

メイド「……ご主人様、ちょっと」グイッ

ご主人様「トイレならあっちだぞ」

メイド「違いますよ!いいから来てください!」グイグイ

妹「………」


ご主人様「なんだよ!」

メイド「ご主人様、………、………?」

ご主人様「…!」

メイド「やっぱり…」ハァ



妹「…あ、戻ってきた」

ご主人様「………」

妹「なに?」

ご主人様「遅れてすまん!誕生日おめでとう!」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 23:00:21.21 ID:J/95u/iMo
妹「……どうして?」

ご主人様「だってコイツがさぁ…」


メイド『ご主人様、妹さんの誕生日、4日前でしたけど、なにかお祝いしました?』

ご主人様『…!し、してない…てかなんでお前がアイツの誕生日知ってんだ?』

メイド『やっぱり…』


妹「…さっき見せた学生証ね」

メイド「はい…」

妹「……」

メイド「それまでぜんぜん連絡取ってなかったのを、一人暮らしについて相談したい、って呼び出したんですよね」

メイド「でももしかしたら、20歳のお祝いもしてもらいたかったんじゃないかな、って…」

メイド「ご主人様こんなだから、自分からお祝いなんてしてくれなさそうだし…」

妹「……」

ご主人様「なんだよ…じゃあマジでそのつもりで呼んだのか」

妹「…そうよ。ちょっと…ちょこっとだけ、お兄ちゃんにお祝いしてほしいなって…」

妹「別にLINEでもいいから、なにか一言くれれば、会わなくてもいいかな、って思ったんだけど」

ご主人様「バカだな、そうやって言やぁいいのに…」

メイド「バカ!?バカはご主人様でしょう!誕生日迎えた人に自分からそんなこと言わせませんよフツー!」

メイド「周りの人間が自発的にお祝いしてくれるのがいっちばん、う・れ・し・い・ん・で・す・よ!!!!」

ご主人様「うっ…」

妹「まったく、冷たいお兄ちゃんでイヤになっちゃう…」

メイド「人の身内のこと悪く言いたくないですけど、この人ホント冷血動物ですよね!」

ご主人様「くっ…」

メイド「こんなご主人様だから、当然プレゼントとかは用意してません!私が代わりに謝ります!ごめんなさい!」

妹「そんな…別に…」

メイド「そうだ!ご主人様!ここに2万円あるから、これで何か買ってあげましょう!もちろん後日それとは別にもっといい物を用意するんですよ!?」

ご主人様「それ、家出る前にお前に渡した金じゃねーか!!」

妹「…プレゼントなら、もうもらったわ」

メイド「え?」

ご主人様「……」

メイド「なんですかその『ほらー』って顔!」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 23:04:18.59 ID:J/95u/iMo
妹「これ」スッ

メイド「バニラのフラペチーノ…?」

ご主人様「…そんなんでいいのか?」

メイド「そんな遠慮なさらずに…高いお財布とか買ってもらいましょうよ、一度しかない20歳の誕生日なんですから!」

妹「半分は嫌味よ」

ご主人様「!」

妹「でも半分は…本当に嬉しかったの。だってさっき、言ったわよね」

ご主人様『昔よくバニラアイス食ってたし』

妹「ずっと、お兄ちゃんは私のこと、どーでもいいのかと思ってたけど、ちゃんと見ててくれたのね」

ご主人様「……」

妹「それが分かって、よかった。私一人で勝手に気まずい思いをしてたみたい」

ご主人様「お前いつも、俺の分までアイス食っちまってたからな。嫌でも覚えてらぁ」

妹「…それ、小さい頃の話でしょ?食べ物の恨みは恐ろしいわね…」

妹「…メイドさんも、ありがとう。なんだか私よりずっと洞察力があるようだけど」

メイド「たまたまですよ…私もご主人様に誕生日祝ってもらったことありませんし、なんかピンと来ちゃいました」

ご主人様「お前誕生日いつだっけ?」

メイド「教えませ〜ん。自力で思い出してくださ〜い」

妹「…じゃあ、またね。お兄ちゃん、メイドさん」

ご主人様「おう」

メイド「今度はぜひウチに来てください!おもてなししますよ!」

メイド「あ、LINE追加しましょう!私ならいつでも、料理とか家事のことなんでも教えられますから!この人と違って!」

ご主人様「おい…」

妹「うん、お願いするわね」

妹「あと、メイドさん」

メイド「はい?」

妹「お兄ちゃんのこと、これからもよろしくね」

メイド「…もちろん、それが私の仕事ですから」ニコッ

ご主人様「騙されるなよ、これ営業スマイルだからな」

メイド「違いますよ!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/11(土) 23:09:29.93 ID:J/95u/iMo
ご主人様「ふぅ…さて、俺もそろそろ帰るか」

メイド「その前にコーヒーもう一杯飲んでもいいです?私スタボにもちょっと憧れてたんですよ」

ご主人様「好きにしな。金は自分で払えよ」

メイド「当たり前じゃないですかぁ」

ご主人様「あと2万円も返せよ」

メイド「ええっ!あ、あれは私にくれたものでしょう!?」

ご主人様「ここまでついてきた罰だ。罰っつーか、元々俺の金なんだからプラマイゼロだろうが」

メイド「半額じゃダメですか?」

ご主人様「全額!!」

メイド「…それにしても可愛い妹さんでしたねぇ。頭もいいし…さぞやモテるでしょうね」

ご主人様「さー。その辺のことはよく知らねぇ」

メイド「それに比べてこの兄と来たら…」

ご主人様「あ?やんのかテメェ」

メイド「……ところでご主人様。なんで最初、妹さんに私(メイド)を雇ってること隠してたんですか」

ご主人様「言えるわけねえだろ…」

メイド「なんでですか?まるでメイドを雇ってることに後ろめたさがあるみたいじゃないですか」

ご主人様「…ないと言えば嘘になるな」

メイド「ふーん…」

メイド「ところで、今日は私服で来たから、普段はメイド服着てること、妹さんは知らないはずですよね」

ご主人様「…それがなんだよ?」

メイド「…バラしちゃおうかな?ご主人様の命令でいつもこんな格好しています、って」

ご主人様「や、やめろ!」

メイド「だってご主人様、メイド服はロマンなんでしょ?きっと分かってくれますよ」

ご主人様「身内は別だ!やめろ!マジで引かれる!」




妹(そういえばお兄ちゃん…まさかあのメイドさんにメイド服着せたりしてないわよね)


おわり
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/12(日) 05:56:25.38 ID:6ijSMgTCo
乙ー
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/12(日) 19:19:39.41 ID:ovgoUY0Ko
乙です
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/26(日) 02:20:48.23 ID:hZQoByK7o
メイド「たったらたった〜♪」

メイド「小(シャオ)小(シャオ)小(シャオ)小(シャオ)小籠包(シャオロンパオ)〜♪」

メイド「あつあつたぷたぷ肉汁入り〜♪」

ご主人様「なんだァそのマヌケな歌は?」

メイド「小籠包の歌。作詞・作曲わたし」

ご主人様「へぇ!てことは、この蒸し器の中は小籠包か」パカッ

メイド「あっ」

ブワアッ

ご主人様「熱ッちぃ!?湯気熱っちぃ!!!!」

メイド「えぇ〜…大丈夫ですか?」

ご主人様「お、おう…火傷したかと思ったわ」

メイド「いや、頭のほうです」

ご主人様「どういう意味だコラ!?」

メイド「さて、そろそろいい頃ですかね。リビングへGO!」ソソクサ

ご主人様(逃げやがった)


ご主人様「小籠包は酢醤油とショウガで食べるもんだったよな」

メイド「もちろん用意してます」

ご主人様「でも俺はこういうの最初はなにも付けずに食う主義だから」パクッ

メイド「あっ」

ジュワッ

ご主人様「熱ッッッッ!??!???!!」

メイド(さっきのから何も学習していない…)

ご主人様「ま、マグマが…マグマが口の中で弾けた…」

メイド「あつあつたぷたぷ肉汁入り〜♪ハイお水どうぞ」

ご主人様「くそっ、お前の変な歌のせいだ。呪いの歌だそれは」ゴクゴク

メイド「関係ないですよ…ちなみに私これで歌手デビュー目指してるんで」

ご主人様「なーにバカなこと…」

メイド「あっつい小籠包一口で食べようとする方がよっぽどバカでは?」

ご主人様(返す言葉がねぇ)

メイド「仕方ないですね」フーフー

ご主人様「えっ」

メイド「これでもう熱くないですよ。ほら…」スッ

ご主人様「…」アーン

メイド「ぱくっ。うーん美味しい!さすが私!」モグモグ

メイド「おやご主人様、なにアホみたいに口開けてるんですか?」

ご主人様「……」プルプル

メイド「えっ、もしかして食べさせてもらえると思ったとか!?んなわけないでしょ〜甘えん坊さんかな〜?」ニヤニヤ

ご主人様「…ダメだ今日はコイツに勝てん!」

メイド「いや別に勝ち負けとかないですから…」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/26(日) 16:54:03.40 ID:TSd5WO5Bo

ご主人様調子悪いなwwwwww
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 02:39:48.42 ID:NzlTKjoHo
ガタガタ…ガタ…

ご主人様(ずいぶん風が強くなってきたな…)

メイド「〜♪」トタトタ

ご主人様「…ん?」

メイド「窓を開けましょ♪ルルル♪呼んでみましょうメイドさん♪」ガラッ

ご主人様「おまっ」

ビュオオオオオオオオ!!!!

メイド「ぎゃーーーっ突風!!!!」

ご主人様「アホか!なにやってんだ!?」ガタッ

メイド「洗濯物をっ…取り込もうと……うわあああやばい、立ってられないぃ!」ヨロヨロ

ご主人様「閉めろよ!中入れ!」

メイド「ダメです!だってほらシャツとか靴下とか!今にも飛ばされそう!!!」バタバタ

ご主人様「お前のほうが飛ばされそうじゃねぇか!」

メイド「ご主人様も手伝ってください!私一人じゃ無理です!」

ご主人様「チッしゃーねぇな、俺は自分の洗濯物しか取り込まんからな!」

ゴオオオオオオオ…

メイド「これ、春の嵐ってやつですかね!?」

ご主人様「なんでもいいよ!ちゃっちゃと取り込まねーと…ぶおっ!」パフッ

メイド「あっ!?」

ご主人様「な、なんだこのスケベな下着は!明るい窓のお向いさんから飛んできたのか!?」バッ

メイド「それ…私です!!」

ご主人様「はぁ!?お前こんなの持ってたのかよ!?」

メイド「勝負下着ってやつですよ!」

ご主人様「勝負下着!?ってことは…お前まさか…」

ビュオオオオオオオオオオ

ご主人様「…それどころじゃなかった!さっさと戻るぞ!」

メイド「はいいいぃ…!」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 02:48:21.28 ID:NzlTKjoHo
ピシャン!

ご主人様「ふぅ…えれー強風だったな。いやもはや暴風かアレは」

メイド「そうですね…」パタパタ

ご主人様「って、なにしれーっと何事も無かったかのように洗濯物畳んでんだよ」

メイド「な、何事もなかったでしょう!?」

ご主人様「説明しろや!勝負下着ってどーいうことだ!」

メイド「どーもこーもないですよ!私が持っててなにか問題がありますか!?」

ご主人様「やっぱりお前、俺のカラダ目当てで…!」

メイド「ちっがいますよ!!どっちかって言うと私のセリフですそれ!」

ご主人様「誰がテメーみたいな貧乳にそそられるか!うぬぼれてんじゃねーぞ!!」

メイド「あ゛ぁ!?シバくぞワレ、コラ!」

ご主人様「し、しかし普段のお前はともかく、こんなエロい下着で迫られたら話は別かもしれん…」

メイド「迫りませんって!」

ご主人様「じゃあなんでこんなもん持ってんだよ!」

メイド「勝負下着ってのは勝負のときにつける下着なんだから別に私が持ってたっていいでしょう!」

ご主人様「勝負って誰との勝負だよ!」

メイド「誰?誰っていうか…!」

ご主人様「言いよどむってことは…こりゃーもう間違いなくアレだな!」

メイド「特売の日に、他のお客さんに負けずに目当てのものを手に入れたいときに、それを履いて気合いを入れるんですよ!」

ご主人様「はっ??」

メイド「分からないんですか!?特売とは主婦にとって、同じ主婦との戦いなんですよ!私は主婦ではないけど!」

ご主人様「いや…分からないですか!?じゃなくてさ…お前こそ、勝負下着の意味分かってんの?」

メイド「…意味って…今言ったような状況のときに着けるものじゃないんですか??」

ご主人様「……まぁ、そういう使い方するやつもいるにはいるだろうが…」

ご主人様「いいか?基本的に勝負下着ってのはな…」ゴニョゴニョ

メイド「……!?」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 02:52:23.03 ID:NzlTKjoHo
メイド「えー…『勝負』ってそういう意味だったんだー…うわー……」

ご主人様「マジで知らんかったんかい…」

メイド「そ、それよりも!…いつまでも人の下着握ってないで、返してください!」

ご主人様「お、おう…悪かったな…」

メイド「……」カァアアア

ご主人様「顔真っ赤だぞ…でも『そういうつもり』で持ってたわけじゃないなら、別に照れるこたぁねーだろ?」

メイド「…そりゃ、そうですけど……」

ご主人様「ところでお前は…」

ご主人様「『そういうつもり』じゃないにしても、今まで何食わぬ顔して、時々そのパンツ履いて生活してたわけだ?」

メイド「……」プルプル

ご主人様「俺ぁそんないやらしいメイドに育てた覚えはないんだけどなぁ…」ボソッ

メイド「私は別にいやらしくないです!!!」

ご主人様「いーや、めちゃくちゃいやらしいね!よく見ろそのパンツを!!!」

メイド「こんなのちょっと、色が派手で、おしりの辺りが透けてるだけじゃないですか!!ちっっっともいやらしくないですね!!」

ご主人様「ああそうかい!じゃあ今ここでソレ履いて俺に見せてみろ!いやらしくないならできるよな!?」

メイド「ええいーですとも!!」スッ

メイド「……」ピタッ

メイド「あっぶな〜…!乗せられるところだった…!」

ご主人様「ちっ、いけると思ったのに…」

メイド「とにかく私がこれ持ってるのはそういう意味じゃないですから!いいですね!」

ご主人様「わかったわかった…ところでさっきからあそこではためいてるの、色的にそのパンツとセットのブラじゃねーの?」

メイド「早く言ってくださいよ!?飛んでったらどうするんですか!」ガラッ

ご主人様「お前の場合、ブラなら別になくたって問題ないだろ」ケラケラ

メイド「あー、なんだか手が滑って今取り込んだご主人様の洗濯物まとめて吹き飛ばしちゃいそう…」

ご主人様「ごめんウソウソウソ!!!」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 02:55:21.23 ID:NzlTKjoHo
2日後

ご主人様「おいメイド、今日は特売らしいけど、ちゃんと勝負下着履いてるか?」ニヤニヤ

メイド「……」ガチャ

ご主人様(…怒ったかな?ま、あんまりいじめないでおいてやるか)

メイド「……確めてみます?」

ご主人様「!?!?」

メイド「なーんちゃって…じゃ行ってきまーす」バタン

ご主人様(やっぱドスケベメイドだろアイツ…)ドキドキ
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 03:03:31.41 ID:NzlTKjoHo
相手が誰であれセクハラはダメ絶対!また次回!
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 09:07:28.09 ID:6outDzjno
お、おう・・・
乙です
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 21:51:46.56 ID:AzgcZs66o
ご主人様「今日のメシはうんまいなぁ!俺好みの味付けだ」ムシャムシャ

メイド「主人とメイドは一心同体ですから!味の好みも分かってきましたよ」

ご主人様「お、格言が出たねぇ」パクパク

メイド「ところで『今日のメシは』って言い方に含みがありません?」

ご主人様「い、いやお前のメシはいつも美味いぞ!?ハハハハハ…」モグモグ

ご主人様「パ゙ッ゛!?!?」ガブッ

メイド「…?どうしたんです?」

ご主人様「〜〜〜ッッ!!!」

ご主人様「か、噛んだッ…頬の内側をガリっと…」

メイド「あー…食べながら喋るから…」

ご主人様「ちょ…ティッシュ取って…」

メイド「はい」シュッ

ご主人様「ペッ」

ご主人様「ぎゃあ!ティッシュに血が!!なんじゃあこりゃああ!!!!」

メイド(ジーパン…?)

ご主人様「メイド…俺が死んだら…お前が俺の跡を継ぐんだぞ…」

メイド「いや死にませんよ…そもそも何を継げってんですか」

ご主人様「まぁいいやメシ食お」パクッ

ご主人様「っ痛てぇえ!!!」

メイド「無理して食べない方がいいですよ!滲みるでしょう」

ご主人様「いや食う!」パクッ

ご主人様「ぐううううううう」ジタバタ

メイド「ご主人様って実はマゾ?」モグモグ

ご主人様「てめーはなに平気な顔してメシ食ってんだよ!?」

メイド「そりゃだって私はなんともないですもん」

ご主人様「主人とメイドは一心同体じゃねぇのかよ!」

メイド「は…?誰がそんなことを?」

ご主人様「お前じゃあ!!!」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 21:59:52.14 ID:AzgcZs66o
ご主人様「いいか、俺が一口メシを食うたびに激痛が襲う、そしたら俺はお前を一発ずつ殴る!」

メイド「意味が分からないんですけど!?」

ご主人様「痛みによるストレスは、他人を痛めつけることでしか発散できねぇんだよ!」

メイド「なんて無茶な理屈…左頬が痛いなら、うまいこと右側で食べればいいだけの話でしょう」

ご主人様「…ほーん??」パクッ

ご主人様「……」モグモグ

ご主人様「うん…食べづらいけどこれなら痛くないな」

メイド「ね?」

ご主人様「よーし完食しちゃうぞー!」ムシャムシャ

メイド「あっ!そんなに調子に乗ってがっついたら…」

ご主人様「う゛っ!!!!」ガリッ

メイド「……あーあ、右も噛みましたね?」

ご主人様「だあああああなんでこうなるんだよおおおおお…」

メイド「一番気をつけるところでしょう普通……」

ご主人様「お前が変なこと言うから!」

メイド「なんでもかんでも私の責任にしないでくださいよ!」ムカッ

メイド「ご主人様の!食べ方が!不!器!用!なんですよ!!!」

ご主人様「んだとぁ!?」バッ

メイド「叩く気ですか?フフン、言っときますが今のご主人様では私に勝てませんよ!」

ご主人様「あぁ…?」

メイド「なんなら指先ひとつで返り討ちにしてさしあげましょう」ピッ

ご主人様「やってみろやコラそんな漫画みたいなこと」ペシッ

メイド「………」

メイド「忠告はしましたからね」スッ

メイド「ほーっぺ」つん

ご主人様「おごォ!!!??」ズキィン!!

メイド「冥 道 指 激 殺!!!!」

メイド「外から相手の口内炎(弱点)を刺激して致命傷を与える、冥道暗殺拳の秘技のひとつです」

ご主人様「メイド暗殺拳て…なんだ…」ガクッ

メイド「…明日の朝はお粥にしますよ。いいですね?」

ご主人様「お、お願いします…」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 22:03:33.87 ID:AzgcZs66o
次回更新も近日中に。ちなみに最終回です。よろしくお願いします。
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 22:12:47.93 ID:j7b9mZLB0
え?
いやいやいやまさか終わるなんてそんな
エイプリルフールは1ヶ月前に終わってますよ?
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 22:30:14.10 ID:gOgcusSso
>>1を捕縛してSSしか書けない状態にするしか…
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 23:59:11.66 ID:MNnfXiBHo
俺達は一心同体じゃないのかよ!
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/09(土) 10:36:51.65 ID:LW1erCVOo
冗談…だよな…?
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/10(日) 02:09:08.10 ID:YuJlHyFm0
生きがいがなくなる
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/05/10(日) 02:36:14.87 ID:ETrckrtLo
乙ー
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:30:26.74 ID:POcsq7kgo
メイド「今年もこの日が来ましたね!」

ご主人様「ん…なんだっけ?」

メイド「忘れたんですか!?今日5月10日はメイドの日!去年も言ったでしょう?」

ご主人様「あーそれか…俺ぁてっきりお前がでっちあげた架空のイベントかと」

メイド「まぁ実際のところ世間にはあんまり浸透してないでしょうけどね」

ご主人様「前回はナデナデしてやったらお前がすごくドキマギして終わったんだよな、じゃ続きやるか…」

メイド「アレはもういいです!!!」

メイド「今年は別の方法で労ってくださいよ〜」

ご主人様「うーん、そう言われてもな」

ご主人様「こんな時だから、好きなとこ連れていくとな、美味いもん食いに行くとかそういうのは難しいしなぁ」

ご主人様「なんか欲しいものがあれば、通販で買ってやってもいいぞ」

メイド「…たぶんそう言われるだろうと思ってここ3日くらい考えてたんですけど、欲しいものは特にないんですよね」

ご主人様「お前って物欲ねぇよな…俺も人のこと言えんが」

メイド「で、思いついたんですが…今日1日だけ、ご主人様が私のメイドになってみるというのはどうでしょう?」

ご主人様「俺がメイドに???」

メイド「いつも私がやってることをそのまんま再現する形で生活してみるんです」

ご主人様「お前がメイドとしてのいろはを手取り足取り教えてくれんのか?」

メイド「いえ、今日の私はご主人様の役なので、基本的には何もしません。ただダラダラ見てるだけです」

ご主人様「普段の俺は部屋で仕事してるだろが…」

ご主人様「ま、いいか。1日だけなら」

メイド「やった!じゃあさっそく…」

メイド「このメイド服に着替えてください!」スッ

ご主人様「はァ!!??メイド服着んの!?」

メイド「当たり前じゃないですか!メイド服着てないメイドはメイドとは言えませんよ」

メイド「とは言えスカート履くのはさすがにキショ…まずいんで、今回はメイドエプロンだけにしておきましょう」

ご主人様「今なに言おうとした…?」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:31:40.51 ID:POcsq7kgo
メイド「っ……ww」プルプル

ご主人様「エプロンだけなら…と思ったけど…やっぱやめねぇ??」フリフリ

メイド「着てから言います?」

ご主人様「だって見ろよこれ、辞書で『滑稽』って引いたら今の俺の姿が出てきそうだぞ」

メイド「そんなことないですよ、お似合いですよご主人様」プルプル

ご主人様「なら顔を背けるんじゃねえ」

メイド「服装の次はその口調です!」

ご主人様「あ?」

メイド「メイドは謙譲語が基本!そして穏やかな口調で主人を常に心地よくさせるものです」

ご主人様「おめぇいつもラフな敬語じゃん」

メイド「私はほら距離感を大事にしてますから」

ご主人様「意味が分から…分かりませんわ」

メイド「それメイドというよりお嬢様口調ですよね」

ご主人様「関西弁かもしれませんよ」

メイド「そう!その感じ!今のかなり自然でしたよ!」

メイド「見た目と口調がメイドならそれはもうメイド!というわけでここからは私もご主人様モードでやらせていただきます」

ご主人様「おう…はい」

メイド「まぁしっかりやっとくれや!ガハハハ!」

ご主人様「……」

メイド「…こんな感じじゃないですか?いつものご主人様」

ご主人様「いや、むしろいつものメイドと変わってねぇなと思った」

メイド「あんですとぉ!?」

ご主人様「んで俺ぁ何すればいいんだ『メイド様』?」

メイド「いつも私がやってることを思い出してみてください」

ご主人様「お前いつも何してるっけ?」

メイド「すっごくテキパキ働いてますよぉ〜?」

ご主人様「誰も使ってねえ部屋も毎日掃除してるもんな」ハハハ

メイド「…!?」ガーン

ご主人様「よし、俺に任せとけ。メイド様はそこでテレビでも見てな」

メイド「あ、ハイ…じゃお願いしまーす」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:33:00.21 ID:POcsq7kgo
1時間後

ご主人様「終わったぞ」

メイド「ちゃんとやったんですか?…確認します!」ツイー

メイド「ほぉらここにホコリが残ってますわよ!?」オホホホ

ご主人様「そのうっとうしいキャラやめろや」

メイド「まぁ普段の私もそこまでやってないんで別にいいでしょう!」

ご主人様「いいんかい…んで次は?」

メイド「ではお昼ご飯の支度を…」ハッ

メイド「そういえばご主人様の手料理って初めて…??」

ご主人様「お前が来てからは作ったことねぇなぁ…なにが食いたい?」

メイド「ご主人様の一番得意な料理を!」


2分後

ご主人様「へいお待ちィ」

メイド「早くないですか!?って、これは…」

ご主人様「エッグ・オン・ザ・ライス〜だし醤油をかけて〜」

メイド「カッコつけてますけど要は卵かけご飯ですよね…?」

ご主人様「フッ、一部地域ではそう呼ぶらしいな」

メイド「全国どこでも卵かけご飯ですよ!…ていうかまさか、これしか作れないとかそういうオチじゃないですよね…」

ご主人様「まさか!他にも作れるに決まってんだろ。楽なのを選んだだけだ」

メイド「私が頼んだのは楽なのじゃなくて得意料理ですよ」

ご主人様「いいから早く食え!ご飯が冷めるだろ!」

メイド「はぁ、いただきます…おいしい、そりゃおいしいですよ…だって卵かけご飯なんだから」

ご主人様「食ったら食器洗うからそのままにしとけよ」

メイド「洗い物、お茶碗とお箸だけじゃないですか」

ご主人様「一人暮らしのコツは洗い物を増やさねぇことだからな」

メイド「二人いますけど…」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:34:58.16 ID:POcsq7kgo
ご主人様「さて次は何したらいいのかな」

メイド「えーとお皿片付けたあとは…いつもの私はご主人様と少し喋ってますね…」

ご主人様「お前ヒマなん?」

メイド「も、もうちょっと言い方ってものが…」

ご主人様「んじゃ買い物でも行ってくるかな〜」

メイド「あ、でしたら買うものをメモしますので…」

ご主人様「いいよ俺が決めるから」

メイド「…家に足りないものやなくなりそうなものがないか確認するのもメイドの仕事ですよ」

ご主人様「…お前がきっちり管理してんだから平気だろ?どうせ俺がメイドやるのも今日だけだしな」

メイド「まぁ確かに…」

ご主人様「夕飯のリクエストはあるか」

メイド「えー…今食べたばっかりで何にも…じゃあ今度こそ、ご主人様の正真正銘の得意料理を!」

ご主人様「……」

ご主人様「行ってくらあ」

メイド(今すごい嫌そうな顔したなぁ…)

バタン…

メイド「うーん……」

メイド(なんか思ってたのと違うような)

メイド(こんな淡々とした感じじゃなくて、もっとこう、ご主人様に私の日々の苦労を理解してもらう予定だったのに)

メイド(今のところご主人様、そんなに苦と思ってなさそう…もしかして私が甘いのかな??)

メイド(そもそも私だって相応の対価はきちんと頂いてるわけで…こんなことさせてなんの意味があるんだろう…)

メイド「…ていうか、あれ?」

ご主人様「エプロン着たままだった!」ガチャ

メイド「ですよねぇ!」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:35:55.48 ID:POcsq7kgo
ご主人様「ただいま」

メイド「…おかえりなさい〜。何を買ったんですか?」

ご主人様「大したもんは買ってねぇけど…ほらこれ」ゴソゴソ

メイド「あ!このスイーツ、テレビでやってたやつ!」

ご主人様「おう、お前それ食べたいって言ってただろ」

メイド「気が利きますねぇ…ありがとうございます」

ご主人様「さて、買ったものしまって、洗濯物取り込んで…風呂掃除もしねぇとな。そんでまた飯の支度だ…」スタスタ

メイド「あの…もうちょっとゆっくりやってもいいのでは?」

ご主人様「ん?別に急いでねぇぞ俺は」

メイド「あー……」

メイド「ふ…普段の私より早い気がして…」

ご主人様「じゃあなんか取りこぼしてる作業があるかもな」

メイド「いえ、そういうのは特に…ないんですけど…」

ご主人様「まぁ俺いろいろ雑にやってるかもしれねーからよ、気になるところがあったら言ってくれや」

メイド「は、はい…」


メイド「なんか違う…なんか違う…なんか違う…」ズーン

メイド「これじゃ普段の私がのんびりやってるダメメイドみたい…そんなつもりないんだけどな〜」

メイド(でも私、ご主人様が部屋から出てくると何かにつけて話しかけたりしちゃうから、その時間が…)

メイド「…無駄、なのかなぁ?」ハァ…

メイド「……」

メイド(あ、違うか…もともとは私もあんな感じだったんだ…無言でテキパキやることだけやってて…そしたら)

ご主人様『俺の話し相手を務めるのもお前の仕事だ!会話はストレス解消になるからな』

メイド(なんて言ってたけど、今じゃ私のこと叩いてるときの方がストレス解消になってたりして…)

メイド(…眠くなってきちゃった…)ウトウト
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:37:18.78 ID:POcsq7kgo
ご主人様「おいメイド様!飯できたぞ!め・し!」

メイド「へえぁ!さっき食べたばっかり…あれ!?もう6時!?」

ご主人様「おめー爆睡してたぞ。ヨダレまで垂らして」

メイド「あ、ほんとだ…机で寝るのなんて何年ぶりだろう…」ゴシゴシ

ご主人様「なんか、メイド服着てないだけですげえだらしなく見えるな」

メイド「別にだらしなくないですよ…でもたしかに、いつもより気が緩んでしまって…」

メイド「そう、普段の私はメイド服と一緒に緊張感もまとってるんです!」

ご主人様「うまいこと言ったつもりか?」

メイド「ご主人様も気が緩んで敬語とか完全に忘れてるじゃないですか」ニヤ

ご主人様「うるせーんですよ、それよりほれ」ドンッ

メイド「おー、チャーハンですか!…あれ、卵かけご飯と少しかぶってるような…」

ご主人様 「全然違ぇよ、火使ってんだからこっちは!手間が段違いだ!文句あんなら…」

メイド「い、いただきまーす…」パクッ

メイド「…うん!美味しい!!ちゃんとしたチャーハンだ!」

ご主人様「なんだと思ったんだよ」

メイド「パラパラで、味付けもしっかり…でもなにか入れてますね?」

ご主人様「具は卵とネギとハムだけだぞ」

メイド「調味料ですよ!何か変わったもの入れたでしょう?」

ご主人様「そりゃ企業秘密だ」

メイド「あ、もしかして、隠し味に愛情♡とか?」

ご主人様「そんなんで味は変わんねーよ」

メイド「も〜野暮なこと言わないでくださいよ!こういう小粋なシャレを駆使してこそ真のメイドなんですよ?」

ご主人様「くだらねーこと言うとメイド様に引っぱたかれちまうからな」

メイド「私は誰かさんと違って、そんな乱暴なことしませんよ〜」


メイド「で……どうですか?メイドやってみて」

ご主人様「意外だったのは…」

ご主人様「この一見わずらわしいエプロンも、着けちゃえば特に気にならないってことだな」

メイド「でしょう!?機能美と言いますか、うまいこと作ってあるんですよ!」

メイド「それに、メイド服着てると自然に、頑張ろう!って気持ちになってくるでしょう?」

ご主人様「いや俺は別に…」

メイド「あれ!?そっかー…じゃあもう脱いでいいですよ」

ご主人様「いや、まだ俺のメイドライフは終わりじゃないからな、最後までこの格好でやりきるぞ」

メイド(もしかして結構楽しんでるのかな)
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:40:39.36 ID:POcsq7kgo
ご主人様「さぁ風呂が沸いたぞ。入れ入れ」

メイド「メイドさんなんだから、背中流してくださいよ」クネクネ

ご主人様「……」

メイド「…なんて、私だってそんなことしたことないのに…」

ご主人様「しょうがねぇな」グイッ

メイド「ぎゃーーちょっと!脱がないで!冗談ですから!!」

ご主人様「だったらさっさと入ってこい!」

メイド「びっくりした〜…」


メイド「ふーさっぱり…あれ、エプロン脱いじゃったんですか?可愛かったのに」

ご主人様「この格好でやることはもうないからな」

メイド「じゃあご主人様のメイド体験は、これでおしまいですね」

ご主人様「…『この格好』でやることはな」

メイド「…?」

ご主人様「んじゃ俺も風呂入ってくるわ」

メイド「ん…?なんか意味深…?」


メイド(ご主人様…メイドというよりただの主夫って感じだったような…)

メイド(それにしてもご主人様、ちゃんと料理できるんですね)

メイド(……ま、今年のメイドの日はこんなもんですかねぇ)

ご主人様「上がったぞー」

メイド「はーい」クルッ

メイド「ってうわぁ!?なんでパンイチなんですか!風邪引きますよ!」

ご主人様「俺はまだメイドだぞ」

メイド「はい…?どういうことです??」

ご主人様「こういうことだよ」ドンッ

メイド(…壁ドン????)

ご主人様「夜の相手すんのもメイドの仕事、だろ?」

メイド「夜の…相…手……」

メイド「え?ええええええええ!!!??」

メイド「な、ななななに言ってんですか!私ふだんそんなことしてませんし!!」

ご主人様「そりゃお前とはそういう契約だからな。だが今日1日メイドやってる俺に契約もクソもねー」

ご主人様「安心しろ、メイドらしく優しく丁寧に御奉仕してやるから」

メイド「そ、そんな御奉仕いりませんよ!」

ご主人様「でも逃げねーんだな?…どうしても恥ずかしいなら目瞑っとけ」

メイド(……今の私はメイドじゃない…なら…)

メイド「いいのかな……?」ギュッ

ご主人様「……」

メイド「……!!」ドキドキ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:43:13.25 ID:POcsq7kgo
ご主人様「くっ」プルプル

メイド(…あれ?)パチッ

ご主人様「だはははははははははははははは!!!!!」

メイド「…へ?」

ご主人様「去年と同じじゃん!まったく同じパターンじゃん!!お前ほんとチョロいな!!!」ゲラゲラ

メイド「去年……」

メイド「…はっ…!!!!!」

メイド「だ…騙しましたね!!?」

ご主人様「うはははは!!!目ぇギュッと瞑って『いいのかな?』だってよ!ノリノリじゃんお前ぇ!!」ゲラゲラ

メイド「ちがっ…くっ……うわーもう最悪!!!」

ご主人様「はーおもろ…久しぶりに涙出るほど笑ったわー」

メイド「私こそ涙出そうですよ!まんまとやられました!ご主人様のいけず!色情魔!」

ご主人様「色情魔!?そりゃ言い過ぎだろゴラァ!!」スッ

メイド(やばい!叩かれる!)ビクッ

ポン

メイド「!」

ご主人様「いつもありがとな」ナデナデ

メイド「……こ、こちらこそ…」

メイド「いつも『虐めてくれて』ありがとうございますゥウウウグルルルゥ…」

ご主人様「そ、そこまで怒るか…?」

メイド「もう、怒髪天を衝く一歩手前ですよ!」

ご主人様「……ははははは!!!!」

メイド「なーにがおかしいんですか!!」

ご主人様「だってお前のあのキス待ち顔思い出したらよー!!!写メ撮っとけばよかった!!!」

メイド「んなことしたらマジで裁判沙汰ですよ!!」

メイド(でも…そうか。別にご主人様にメイドやってもらう必要なんてなかったんだ)

メイド(ただひと言、こうやって『ありがとう』って言ってもらえるだけで、こんなに…)

ピンポーン

ご主人様「?」

メイド「こんな時間になんでしょう?…あ!もしかして私へのサプライズプレゼントとか?」

ご主人様「あるわけねぇだろそんなもん」

メイド「……ですよね〜。今開けまーす」パタパタ

ガチャ
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:44:45.69 ID:POcsq7kgo
妹「こんばんは…」

メイド「あら、妹さん!どうしたんですか!?」

ご主人様「なんだァ、お前かよ」

妹「急にごめんね。今日はメイドの日だって聞いて…いつもお兄ちゃんが世話になってるだろうし、お礼にケーキを買ってきたの」

メイド「これこそホントのサプライズですよ〜。女神かな?」ダーッ

ご主人様「怒ったり泣いたり情緒不安定なヤツだな」

妹「…それに、ゆうべ変な夢を見て…心配で見に来たの」

メイド「夢…?」

妹「お兄ちゃんとメイドさんが…」

妹「……!!」

メイド「ど、どうしたんですか、固まっちゃって…」

妹「お兄ちゃん…堂々としすぎててスルーしそうになったけど…なんでパンイチなの…」

ご主人様「ん?」

妹「そうか…やっぱりあれは予知夢だったんだわ…お兄ちゃんとメイドさんが一線を超えて…」

メイド「え!一線!?ち、違います!未遂…そう未遂ですよ!」

妹「なんとなく、この家から、ラブコメの波動みたいなのが見えていたのよね…」

メイド「ラブコメの波動!?」

ご主人様「なんじゃそら」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:47:41.00 ID:POcsq7kgo
妹「当然よね…ひとつ屋根の下で男女が共同生活してて、何も起きないはずがなく…」

メイド「何も起きてませんってば!」

ご主人様「変なこと言ってねぇでさっさとそれ置いて帰れ」シッシッ

メイド「そんなこと言ったら可哀想ですよ!鬼!鬼畜だ!」

妹「いいの…お邪魔だったみたいだし…」

メイド「いや、ホントに違うんですって…!ほら!ご主人様も説明を…」アタフタ

ご主人様「…そうだな、今から2回戦だからな」キリッ

メイド「ちょっ…だからそういうバカみたいな悪ノリしないでくださいって!!!」

ご主人様「あぁ?誰がバカだとテメェ!!」ベチッ

妹(うわ、いきなりビンタ…いつもこんな感じなの…?)

メイド「……」プツン

メイド「言わせてもらいますけどねご主人様…」

ご主人様「あ?」

メイド「この世にあなた以上にバカで、そして野蛮な人は存在しませんよ!」

メイド「野生のゴリラだって、絶対もっと賢いし紳士的です!ご主人様はゴリラ以下!」

ご主人様「ゴ……」ブチッ

ご主人様「オイ!表出ろや!!!」

メイド「上等ですよコラ!!!」

妹(なるほどいつもこうなのね…)

妹「私、ケーキを分けておくわ」

メイド「ええどうぞお上がりください、すぐ終わらせて戻りますから!」

ご主人様「俺のケーキは大きめに切れよ!コイツのはコイツの胸みてーに薄くすりゃいいから!」

メイド「…フッ、バカの一つ覚えみたいに胸のことばっかり!まぁ私ってそれ以外は完璧ですものね!」

ご主人様「てめぇのどこが完璧だよ!絶壁の間違いだろうが!つーかまたバカっつったなぁ!?」ベシッ

メイド「痛ったぁ!!このっ…何度でも言ってやりますよ!バーカバーカ!ご主人様のバーカ!!」

ご主人様「てめぇってやつは…ほんっとに…」

ご主人様「メイドのくせに生意気だ!!!」

メイド「ご主人様こそすぐ叩く!!!」

おわり
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 23:50:16.03 ID:POcsq7kgo
前回お伝えしたように、今作はこれにて終了とさせていただきます。
完結というよりは単なるネタ切れなので、少々唐突な感じはあるかもしれませんが
書きたいと思った話はほぼ全部書いたつもりです。お楽しみいただけましたでしょうか。
ちょっとズレた主人とメイドでしたが、こんなふたりの日常にお付き合いくださり、ありがとうございました!
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/11(月) 00:19:59.34 ID:BbMOBqIm0

おもしろかった
気が向いたらまた描いてくれねえかなー
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/05/11(月) 01:16:30.97 ID:V08WeMPmo
乙ー
また書いてくれよなー!
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/11(月) 03:54:14.04 ID:Tv9FxjSs0
お疲れ様でした!
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/11(月) 06:02:49.13 ID:P5ZI52RDo
いつも面白かったよ
乙です
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