安価)魔王♀「ボクも世界を救う旅に出たい!」勇者「はあ?」(ダークファンタジー)

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1 : ◆zOHxWglaaQ [saga]:2018/12/03(月) 21:59:32.05 ID:1aAWG1coO
勇者「世界なら俺がとっくに救っただろ」

魔王「ボクも救いたい!旅して仲間と絆を深めたり英雄と称えられたり色んな町を廻ったりしたい!」

勇者「そんなこと言ってももう世界は平和だぞ?魔物も人間もみんな仲良くやってるじゃないか」

魔王「まあ、そうだねえ」

勇者「戦争も無い、差別も偏見も無い。せいぜい警察や自警団で対処できる問題ぐらいさ、騎士団すら暇してるよ」

魔王「うん、君の言うとおりだ。だったらさ」


魔王「この平和がぶっ壊れればいいかな?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1543841972
2 : ◆zOHxWglaaQ [saga]:2018/12/03(月) 22:17:13.84 ID:1aAWG1coO
勇者「お前!何を…ぐっ」クラァ


危機を感じて立ち上がると強烈な目眩に立っていられなくって膝をついた


魔王「ふふふ、甘い、甘いなあ。君に降伏してたった5年大人しくしていただけでボクを信じきっちゃってさ」

魔王「そんな簡単に痺れ薬を盛られて良く生きてきたね君」


ケラケラと笑いながら踊るように体をくねらせる


魔王「ボクは魔王だよ?悪逆非道、邪知暴虐、魔なる者どもを統べる魔物の王だ」

魔王「そのボクが一度敗れただけで大人しくなると?」


勇者「…俺を殺しても無駄だぞ、女神の加護はまだ活きてるからな、魔物が敵である以上何度でも蘇るぞ」

魔王「誰がそんなこと言ったの?ボクは世界を救う旅がしたいんだよ?」

勇者「マッチポンプで世界救って楽しいか?」


会話を続けながらも攻撃魔法を出そうとする…だが出ない、何故かこの部屋は魔法が使えない


魔王「ちょっと違うなあ。これからすることはもっと大がかりでもっと根本的なことだよ」

勇者「何…を…」


パチン


魔王が指を鳴らす

薄く張られていた幻覚魔法が掻き消え、この部屋の真の姿を現す


勇者「何だよ…これ…」



部屋中、床も壁も天井も目一杯使って描かれている見たことも無い魔法陣


魔王「これを動作させるには巨大な魔力が必要でね。ボクと君、魔王と勇者、この二人分なら申し分ないでしょ」


勇者「やめろ!」

魔王「ボクは満足できないんだよ、君との戦いは楽しかった。でもまだ足りない、まだ満足は出来ない」

魔王「だから舞台を整えよう。もっと面白い世界にしよう、ボク好みに、邪悪に、暴力的に」


魔王「さあ楽しいニューワールドを!」


部屋中が禍々しく輝く、世界が渦巻き、暗転する


宇宙が崩れ去り、捩じれ曲がりながら再構築される光景を垣間見た
3 : ◆zOHxWglaaQ [saga]:2018/12/03(月) 22:30:40.42 ID:r7uycbU7O
物心ついて初めて見た色は赤だった

飛び散る鮮血の色

初めて嗅いだ臭いは酷い悪臭だった

糞尿の匂いと腐った人肉の匂い


魔物は人間を虐げ、人間は弱い人間を虐げる

王や貴族たちは醜く肥え太り、平民たちは持ってない物まで取り上げられ餓えていく


働ける者は死人のような顔と痩せ細った体を引き摺って命を削って働き、働けなくなった者は身ぐるみを剥がれ髪の毛一本、骨に着いた肉片の一つまで貪り尽くされる

希望という言葉は無く、絶望すらなく、ただただ諦めが世界を包み、堕落と退廃が貴族を形作る


何故この年まで生きられたのか、それすら神の奇跡としか思えない

もしくは悪魔か
4 : ◆zOHxWglaaQ [saga]:2018/12/03(月) 22:40:24.79 ID:r7uycbU7O
町中に馬の足音と車輪の音が響く

人々がざわめく

貴族の馬車だ。誰かが呟いた


路上に倒れている動けない人を路上の石のように蹴散らし、人々の恨みが籠った視線を浴びて馬車が止まる


「お前は勇者のお告げを受けた。王様から直々に話がある、乗れ」


鎧を着た兵士が一方的にそう言い放つ


@乗る
A勇者「この町の惨状を見てなんとも思わないのか」

>>6
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 22:53:31.03 ID:Pjkwu5BMO
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 22:54:54.61 ID:Znh6ZnHH0
1
7 : ◆zOHxWglaaQ [saga]:2018/12/03(月) 23:11:56.09 ID:r7uycbU7O
馬車に乗るとまるで一秒でも留まっていたくないかのようにすぐに走り出す

腐敗物と汚物と瓦礫の町から飛び出した馬車は高い塀が囲む城下町に入った


煌びやかで栄華と装飾に飾り立てられ、平民の犠牲によって成り立っている悍ましい楽園

汚物の匂いに包まれたあの町と違い、料理の芳しい匂いが漂い、誰も彼も楽しそうに笑っている


まるで別世界だ


王城に着くと臭いと言われて即大きな風呂に叩き込まれてメイドたちに全身を洗われた


そして


王「貴様が勇者か」
8 : ◆zOHxWglaaQ [saga]:2018/12/03(月) 23:46:48.91 ID:r7uycbU7O
王「この世界が魔物に脅かされているのは知っているな?貴様は勇者、魔王を殺す使命をお告げで受けておる存在だ」

王「貴様が魔王を倒せば世界は平和になるだろう。望むならば貴様に貴族の地位を与えてもよい」

王「さあ、世界を救いに行くのだ!」


一気にそこまで言い終わると


王「さて、旅立つにあたって何か欲しいものはあるかな?」

@武器
A金
B仲間
C勇者「そんなことより、平民の暮らしをあんたは知っているのか?」
D勇者「自由安価」

>>10
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 23:50:27.34 ID:kMjQFWmDO
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