マクギリス「インフィニットストラトス…胸が踊るな」

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98 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/23(土) 22:00:11.55 ID:y/lqLw110
マクギリス「今週も労働、ご苦労だったな諸君。もしくは学業か」

マクギリス「土曜日出勤は辛い。いや本当に」

マクギリス「ところで、私のグレイズリッターを作ろうとグレイズを買ったのだが、グレイズ改の方がパーツ揃っていたと知り絶望したぞ。仕方ないのでグレイズ改も買ってきたが、一機余るので何かにしたいのだがなにが良いと思うか意見が欲しい」

マクギリス「では、とりあえず必要なパーツを組みながら書かせて貰おう」
99 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/23(土) 22:25:42.55 ID:y/lqLw110
マクギリス(不味い。非常に)

シャルルも固まっていた。私の味覚が彼女らからズレている訳ではない、と思うが…試してみるか。

マクギリス「私ばかり食べてしまっては申し訳ない。君も、食べるといい」

セシリアに一つ差し出してみる。

セシリア「では、ご一緒に」

サンドイッチがセシリアの口に運ばれる。直後、セシリアの表情が困惑、そうして驚愕へと移り変わった。

セシリア「な、ななな、何ですのこれは、っ」

マクギリス「私の味覚がおかしい、訳では無いようだな」

セシリアの?に、涙が伝う。

セシリア「申し訳ありません、この様な物を食べさせてしまうなど…直ぐに処分を、」

駆け出そうとする彼女の手を掴み、制止する。

マクギリス「落ち着くといい。…君はただ、純粋な厚意で作ってきてくれたのだろう?ならば、それを私が蔑ろにする訳にはいかないな」

セシリア「こ、好意!?い、あ、その、そうですけれども…」

マクギリス「ここから先は、私の出番だ」

サンドイッチを、次々と口に放り込む。正直なところ、味さえ気にしなければ特に問題は無いのだから。
100 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/23(土) 22:29:23.36 ID:y/lqLw110
マクギリス「すまない、何故かほお、という漢字が書き込むと誤変換される様だな。この掲示板の問題と思われるので、読者諸君は脳内変換をお願いしたい」

マクギリス「?。何故だ?」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:40:28.45 ID:9weNhM1n0
難しい方の『頬』は環境依存文字だぞマッキー!
102 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/23(土) 22:59:46.37 ID:y/lqLw110
セシリア「マクギリス、さん…」

マクギリス「君の涙を、私は望まない。だから、笑っていてくれないか」

サンドイッチを全て完食し、セシリアにハンカチを差し出す。

セシリア「申し訳、ありません…」

マクギリス「気にするな。失敗は誰にでもあるものだ。いくらでも挽回の機会はある。今度は美味しいサンドイッチを食べさせて欲しいな」

セシリア「はい、必ずや。セシリア・オルコットの名に懸けて」

マクギリス「さて、私は満腹でな。君たちで、食べるといい。購買の物ですまないな」

パンを二人に渡す。
103 : ◆hr.zeVR57. [saga]:2019/02/23(土) 23:04:17.49 ID:y/lqLw110
>>101

マクギリス「頬だと、書けるのか。すまなかった。報告に感謝する」


マクギリス「少々、やる事があるので一旦これまでだ。続きは0030辺りから、書かせて貰おう」
104 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 00:43:47.84 ID:y8EL+b3n0
放課後。私は石動に連絡を取った。

マクギリス「忙しい中すまないな、石動。調べて欲しい事がある」

状況を手早く伝える。

石動『フランスとドイツの代表候補生、しかもフランスの方は男でしたか。たしかに奇妙な話ですね。解りました、こちらで調べておきます』

マクギリス「頼む。それと、私の専用機の進捗はどうだ?」

石動『申し訳ありません、作業が難航しておりまして…今暫く、お待ち下さい』

マクギリス「そうか。最近妙な事態が多い、出来る限り早めに頼む」

石動『はっ』
105 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 00:59:24.17 ID:y8EL+b3n0
次回予告
オルガ「ってちょっと待て、何で一度も出てねえ俺が予告やんなきゃなんねえんだ!?しかもまだこれから書くんだろ!?」

三日月「仕事だよ。それに、区切りをわかりやすくしないと書きづらいってチョコが言ってた。あと様式美とかどうとか」

オルガ「なんだそりゃ…まあ、仕事ってんなら仕方ねえ」

オルガ「次回、インフィニット・オルフェヒギュッ」

三日月「ダメだよオルガ、それはダメだ。他人のだし、そこはチョコの人の場所だから」

オルガ「ああわかったよ、ちゃんとやるよ!ちゃんと次回予告やりゃ良いんだろ!」

オルガ「次回、インフィニット・マクギリス。ルームメイトはアグニカバエル馬鹿」

オルガ「っておい、タイトルなんか合わなくねえか?ルームメイトになんのはあの美少年だろ?なんでマクギリスなんだよ」

三日月「美少年じゃないでしょ?」

オルガ「は?何言ってんだミカ…つか金髪イケメン…どっちもマクギリスじゃねえか…」
106 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 01:27:12.10 ID:y8EL+b3n0
第6話 ルームメイトはアグニカバエル馬鹿

マクギリス「ここが、私達の部屋だ。何か困った事があれば、遠慮無く言って欲しい」

シャルル「ありがとう、マクギリス。ところで、さっきは誰と話してたの?」

マクギリス「私の専用機の件でね。確認程度のものさ」

シャルル「へー…グリムゲルデって、専用機じゃないんだよね」

マクギリス「ああ。現状では、私は許可無くの使用を許されているだけだ。君も乗りたければ、申請するといい」

シャルル「話題だもんね。CMIのグレイズやグリムゲルデは。独自の技術を持ち、第2世代型ながらポテンシャルは第3世代にも匹敵するシリーズだって」

マクギリス「そう言って貰えれば、彼らも鼻が高いだろうな」

シャルル「それだけじゃないよ。かなりピーキーなグリムゲルデを高い技術で扱いこなすマクギリスも話題なんだよ」

マクギリス「一目置かれている、ということかな」

シャルル「うん。だから明日、模擬戦に付き合ってくれないかな?是非戦ってみたいんだ」

マクギリス「ああ、受けて立とう」
107 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 08:06:36.62 ID:NAY8rC+YO
マクギリス「すまない、よもや寝落ちしてしまうとは」

マクギリス「お詫びに、少し書いていく。暇があれば読んでくれ」
108 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 08:32:58.19 ID:NAY8rC+YO
マクギリス(なるほど、良い腕だ)

グリムゲルデの有利な近距離戦を避け、連射性の高い武装で確実にグリムゲルデのシールドエネルギーを削る。

マクギリス「だが、君の思惑通りにはさせんよ」

ライフルで応射する。対してシャルルは、武装の高速切替を利用した、パターンを読ませない戦闘機動でグリムゲルデから逃げ回り続ける。

マクギリス(ミラージュデザート、だったな。実に高い練度だ。最近発覚しだした男性操縦者にしてはやはり熟達し過ぎている)

シャルルの射撃を回避しながら予測したポイントに狙いを定める。

マクギリス(だが、まだ甘い)

スラスター部に直撃して、リヴァイヴが体勢を崩す。チャージしておいたイグニッションブーストを解放。一気に距離を詰める。

マクギリス「今回は、勝たせて貰おう」

銃を弾き飛ばし、剣を突き付ける。以下に高速切替であっても、対処は困難なはず。

シャルル「やっぱり凄いね、マクギリスは。とても最近乗り始めたばかりとは思えないよ」

マクギリス「君こそ、素晴らしい技量だ。私は機体性能に頼っているに過ぎないさ」

マクギリス「では一夏、今度は君が…?」

アリーナの周りで訓練していた他の生徒が一点を見てざわつき始めた。
109 : ◆hr.zeVR57. [saga]:2019/02/24(日) 08:59:51.78 ID:NAY8rC+YO
マクギリス(あれは、ドイツの…ラウラ・ボーデヴィッヒか。しかも最新鋭機まで用意してのお目見えとはな)

その彼女…ラウラ・ボーデヴィッヒの視線は、一夏にのみ注がれていた。

一夏「なんだよ、何か用かよ」

流石に初対面で頬を打たれたのだから警戒していたようだった。

ラウラ「織斑一夏、貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話は早い。私と戦え」

一夏「お断りだ。理由がねえよ」

ラウラ「貴様に無かろうと私にはある。理由が無ければ戦えんと言うなら、理由作りくらいはしてやろう!」

ラウラが右肩側に装備された、巨大なレールガンを一夏に向け、発砲した。

マクギリス(愚かにも、程があるぞ…!)

即座に間に割り込み、跳弾を避ける為ヴァルキュリアブレードで弾丸を地面に叩きつけられる軌道に強引に変更する。着弾した弾丸が、盛大に砂埃を巻き上げる。

ラウラ「何…邪魔をするな、部外者が」

マクギリス「邪魔以前の問題だと気付けないのか?模擬戦用に貸し切りにしている時間帯ならばまだしも、今は既に周りに起動テストや調整を行ないに来た生徒もいる。彼女達に万が一今のが当たっていればどんな事態を招くのかすらわからないほど、ドイツ軍人とは愚鈍なのか」

ラウラ「貴様…マクギリス、と言ったな。私を邪魔するのならば、貴様から…!」

スピーカーから、咎める教師の声が響いた。

ラウラ「…今日の所は引いてやろう。だが、私の前に立ち塞がるならば、貴様から潰してやる」

そんな捨て台詞を吐きながら、彼女は去っていった。
110 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 09:10:59.60 ID:NAY8rC+YO
シャルル「随分、傲慢な人だったね…」

マクギリス「ああ。厄介な事だ…」

だが、あの目。あの言動に、少なからず私は既視感を覚えていた。

マクギリス(まさに過去の私だな。力に固執し、それのみを求め、歪んだ道と知りながら突き進んでいった私に…)

シャルル「マクギリス?どうかした?」

マクギリス「いや、なんでもない。教員に、説明の必要があるだろう。私がしておくので、君たちは先に戻るといい」

一夏「ありがとな、助かったよ」

マクギリス「礼は不要だ。やれたからやった、それだけだ」

困った案件は、増えてしまったがな。
111 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/02/24(日) 09:22:13.31 ID:NAY8rC+YO
次回予告

アイン「ラウラ・ボーデヴィッヒの攻撃を退けたファリド特務三佐。民間人も居る場での発砲とは野蛮な…!」

アイン「その直後、ファリド特務三佐は彼女の過去、そしてシャルル・デュノアの真実を知る」

アイン「次回、インフィニット・ファリド特務三佐。じゃなかった、インフィニット・マクギリス。アグニカ・デイズ/阿頼耶識スイッチ」

アイン「清廉なる真道を理解しようとしない、野蛮な獣…この俺が、悔い改めさせて見せ…え?俺の出番は、無いのですか?」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 23:16:16.56 ID:Q4P7TzeXO
おつ
113 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 00:51:25.83 ID:mg+d85L00
マクギリス「同志達よ、執筆の時は来た!」

マクギリス「エク2での階級が上がったので今日はかなり筆が乗りそうだ。バエルはやはり素晴らしい」

マクギリス「しかし。デカールというのはいまいち敷居が高い気がしてならないが、そろそろ色々貼ってみたい。もし技術アドバイスがあればアグニカポイントを委譲しよう」

マクギリス「では諸君、しばし待っていて欲しい」
114 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 01:07:53.46 ID:mg+d85L00
同日、夕刻。寮への帰路の中、聞き覚えのある声を耳にした私は、自然と物陰に潜んだ。

ラウラ「何故この様な僻地で、教員などと…!」

千冬「何度も言わせるな。私には私の役割がある。それだけだ」

ラウラ「ここでは貴女の能力は半分も活かされないというのに役割などと!?お願いです教官、再びドイツにて御指導を!この学園の、ISをファッション程度にしか考えていない様な腑抜けどもに時間を割かれるなど…」

千冬「そこまでにしておけ、小娘。何に意義を見出すかは私が選ぶ。それに、此処には随分と面白い奴も居るしな」

ラウラ「…あの男、マクギリスとやらですか」

千冬「さあな。それより、さっさと寮に戻れ。門限に間に合わなくなるぞ」

ラウラ「…失礼します」

悲痛な表情の中に怒りを混ぜ合わせながら、彼女は走り去った。

千冬「…立ち聞きとは、感心せんぞ」

マクギリス「失礼。だが、この様な通り道で話されては、素通りもしづらいのでな。彼女は私に敵意を抱いてしまっている様でもあるからな」

千冬「…お前なら、アイツをなんとかしてやれるかもな…」

マクギリス「…かもしれない。彼女と私は、案外似た者同士な様だからな」

千冬「何…?それは、どういう…」

マクギリス「失礼する。そろそろ、門限だろうからな」

千冬「あ、ああ。ではな、ファリド」
115 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 01:24:57.89 ID:3gt5sVRg0
自室に戻る道すがら、石動からの報告に目を通す。

マクギリス(ラウラ・ボーデヴィッヒの方は…遺伝子強化試験体。兵器として産み出された親なき子供。なるほど、彼女にとっては、ドイツで教官をしていた織斑千冬こそが唯一絶対という訳だ)

マクギリス(シャルルは…該当なし?近年までデュノア社には御曹司などは確認出来ていない、か。ますます、怪しくなって来たが…)

戻った自室に、シャルルの姿は無かった。

マクギリス(まだ、戻っていないのか?まあいい、今のうちに浴室用品を補充しておこう。そろそろ、切れてしまうだろうしな)

補充物資を持ち、浴室へと繋がる脱衣所の扉を開ける。

そこには、服を脱ぎかけていたシャルルが居た。ただし、露出した裸身は、どう見ても女性としか言い様のないものだったが。

マクギリス「…すまなかった。物音がしなかったので居ないものと思っていた。これから入浴するのならば、これの補充が必要な筈だ」

足元に補充物資を置くと、彼女の裸を視界に入れない様にしながらドアを閉める。

シャルル「あ、あの、その…」

マクギリス「まずは、入浴をすませると良い。互いに、落ち着く必要があるだろう」

失態だな。ここまで事態を火急にするつもりは無かったのだがな
116 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 01:46:28.26 ID:2EToQ7P00
しばしの時を置き、彼女はジャージ姿で脱衣所から現れる。その豊かな胸の膨らみが事実を再認識させる。

マクギリス「…まずは、茶でも飲むと良い。市販品だが。」

シャルル「…ありがとう。」

マクギリス「…本題に入るとしよう。何故、男性と偽っていた?」

シャルル「…デュノア社の社長である、僕の父さんの命令、なんだ。」

マクギリス「私や一夏、その搭乗機のデータ収集か。デュノア社は近年、業績の悪化が著しい様だからな」

シャルル「流石マクギリス、察しが良いね…」

マクギリス「何故、そんな命令に従う。親とはいえど…」

シャルル「僕はね、マクギリス…愛人の子、なんだよ。母さんが死んで、二年前に引き取られたんだ。父にあったのは、たったの二回程度。IS適性が高い事がわかって、テストパイロットをやる事になった。普段は別邸で生活してたんだけど、一度だけ本邸に呼ばれてね。本妻の人に殴られたんだ。泥棒猫の娘が、ってね…母さんも、少しくらい教えて置いてくれたら、身構えれたのにな…」
117 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 01:52:23.24 ID:uiIr91ER0
シャルル「そんな中で、デュノア社は
118 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 02:06:19.15 ID:V0wr/aew0
シャルル「そんな中で、デュノア社は経営危機に陥ったの。リヴァイヴは所詮第二世代型だから、フランスは欧州の統合防衛計画から外された上に、第二世代のシェアですら、急激な隆盛を遂げたカミーチェ・ミリタリー・インダストリーのグレイズに奪われつつあるんだ…」

シャルル「第二世代でありながら、基本スペックは第三世代にも比肩し、半永久動力であるエイハブリアクターと、それに反応して他にはない防御性能を誇るナノラミネートアーマー。その技術が独占されている上に、グレイズ自体の拡張性の高さでリヴァイヴは完全に時代遅れになりつつあるんだよ」

マクギリス「だから、第三世代機である白式と、私が操るグリムゲルデ。そして貴重な我々男性パイロットのデータが必要だった訳か」

シャルル「貴方達に近付く為に、そして広告塔代わりって訳なんだよ…僕が男性パイロットとして、送り込まれたのは…」

シャルル「…話したら、気分が楽になったよ。ありがとう…今まで騙していて、ごめんなさい」
119 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 02:17:15.71 ID:V0wr/aew0
マクギリス「…君は、これからどうする?もはや企業スパイとして成り立つまい」

シャルル「…本国に連行されて、良くて牢獄行きかな…デュノア社は、庇ってはくれないだろうから…」

マクギリス「…君はそれで良いのか?生まれだけで、未来を左右されるなどと」

シャルル「…もう、どうしようもないんだよ。僕には道は無いんだ」

マクギリス(…そんな道理が、あってたまるものか。親だからと、未来を奪われるなどと。使い捨てて構わないなど)

マクギリス「君は、どうしたい?」

シャルル「…さっきも言った通り、牢屋行きなんだろうね、僕なんかは…」

マクギリス「違う。君がどうなるべきかではなく、君がどうしたいかを、私は聞いているんだ」

シャルル「…自由に、なりたいよ…友達に、仲間に、嘘なんてつきたくない…」

その言葉で、私の取るべき道は決まった。
120 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 02:32:42.89 ID:V0wr/aew0
マクギリス「ならば、私が君の道を作ろう」

涙を流す彼女の頬を、ハンカチで拭う。

シャルル「え…?」

マクギリス「この学園には、外部干渉は許されない。如何なる組織だろうと、だ。それに、私がこの事を明かさなければ、事は露見しない。三年間の間に、新たな手段を見つければ良い」

シャルル「でも…良いの?僕は貴方を騙して…」

マクギリス「本意で無かったのだろう。君を断罪する理由にはならない」

シャルル「…僕は、ここに居ても、良いの…?」

マクギリス「ああ。君の居場所は、此処にある。たとえどの様な事態になろうとも、君は私が守る。君が理不尽な運命を受け入れる必要はもうない。だから、安心するといい」
121 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 02:43:18.16 ID:V0wr/aew0
シャルル「なんで、そこまで…」

マクギリス「私も君と、同じだったからだ」

シャルル「同じ…?」

マクギリス「ああ。私は…ファリドという名は、本来の名ではない。本来の親の顔すら、私は知らない。孤児であった私は、自身を慰み者として扱う男に引き取られ、その唾棄すべき存在を父と呼ばねばならなかった。成長して、奴の性癖の範囲外となってさえ、奴を排除するまでは政略の道具にされてきた。」

シャルル「そんな、そんなのって…」

マクギリス「だからこそ、君を捨て置く訳にはいかない。」

シャルル「…強いんだね、マクギリスは…」

マクギリス「心の支えが、あったからだ。君にも、その支えを分けよう」

一冊の本を差し出した。

シャルル「ライフ オブ アグニカ・カイエル…?」
122 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 03:07:30.08 ID:dor2AoBD0
マクギリス「混迷を極める時代の中で、圧倒的な力を持ち、人が人らしく生きられる世界を築きあげた伝説の英雄、…という題材の空想伝記小説だ。私はアグニカ・カイエルに、人生の指針を見出した」

この世界では、だがな。

シャルル「良いの?大事な物なんじゃ…」

マクギリス「構わないさ。君の助けになれば、それは本望だ」

シャルル「ありがとう…マクギリスは、優しいんだね」

マクギリス「そう思って貰えるなら、私の人生も無駄では無かったのだろう。それに、君はどうやら抱え込み過ぎる性分の様だ。少しは、甘える事を覚えた方がいい」

そう言ったところで、部屋のドアがノックされる。

セシリア「マクギリスさん、デュノアさん?お食事がまだのようですが、如何なさいました?」

間が悪い事だ。

マクギリス「シャルル、少しベッドに隠れていたまえ。応対は私がしよう」

ドアを開け、顔を見せる。

マクギリス「ああ、心配させてしまったかな。すまないな。どうも、シャルルの調子が悪いようでな。様子を見ていた」

セシリア「まあ、それは大変ですわね…大丈夫なのですか?」

マクギリス「心配には及ばないだろう。これから彼の食事を持ってくるつもりでな。君はどうする?」

セシリア「私もこれからですので、ご一緒しますわ。デュノアさん、少しマクギリスさんをお借りしますわね」

シャルル「ご、ごゆっくりどうぞ…ごほっごほっ」

演技が雑だったが、見抜かれる事なく切り抜ける。
123 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 03:13:01.21 ID:dor2AoBD0
食事を手早く済ませ、部屋に戻る。

セシリア「では、デュノアさん。お大事に。マクギリスさん、また明日」

マクギリス「ああ。気遣いに感謝しよう。ではまた明日」

マクギリス「シャルル。食事だ。定食でも、問題は無かったかな」

シャルル「ありがとう、マクギリス。ごめんね、早速頼っちゃって」

彼女の表情が、一瞬曇る。

マクギリス「気にするな。
124 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 03:20:49.29 ID:dor2AoBD0
マクギリス「…どうかしたのか?」

シャルル「う、ううん。なんでもないよ」

そう言いながら握られた箸は、ぎこちない動きで魚を掴もうとして失敗する。

マクギリス「すまない、配慮が足らなかった様だな。今スプーンを…」

シャルル「そんな、良いよ!持って来て貰えただけで十分だよ、これで頑張ってみるから」

マクギリス「先程も言ったが、君は抱え込み過ぎる。もう少し、私を頼りにして欲しい。君と私は、秘密を共有する者なのだからな」

シャルル「…えっと、じゃあ…マクギリスが、食べさせて…?」

マクギリス「わかった。引き受けよう」

シャルル「じゃあ、そのお魚からお願いするね」

マクギリス「ああ」

シャルルに食事を食べさせる。存外、こういうのも楽しい物だと感じた。
125 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 03:37:49.33 ID:mbyXL3l+0
翌日。事態は更に、加速していった。

アリーナで、なにやら騒ぎ。嫌な予感と共に、駆け足で向かう。

シャルル「こんな、酷い…」

一夏「なんだよ、なんでこんな…」

そこには、既に戦闘続行困難にも関わらず、ラウラから嬲る様な攻撃を受ける鈴とセシリアという、凄惨極まる惨状だった。

マクギリス「これ以上は不味いな。一夏、緊急時だ。アリーナの防壁を零落白夜で破れ。二人を救出する」

一夏「わかった!」

グリムゲルデを用意し、一夏、シャルルと共に内部に突入する。ヴァルキュリアライフルの威力を以って、ラウラを二人から引き離す。

ラウラ「貴様…また貴様か、マクギリス・ファリド…!」

殺意と憎悪を滾らせ、此方を標的に切り替えるラウラ・ボーデヴィッヒ。

マクギリス「どうやら、話し合う気は無いようだな。正に狂犬か。戦うだけの戦闘マシーンの様だな、君は」

ラウラ「黙れっ!貴様と織斑一夏さえ居なければ!」

二人を医務室に運ぶ様一夏にプライベートチャンネルで指示を下しながら、ラウラを挑発し、此方に惹きつける。
126 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 03:55:31.24 ID:l0wS69Mu0
マクギリス「君は少々、悪戯が過ぎるな。灸を据えてやろう」

ラウラ「貴様ごときが!」

一夏達と離れる軌道を取りながら、ヴァルキュリアブレードを展開する。ラウラの迎撃は正確なれど、グリムゲルデに掠りもしなかった。

ヴァルキュリアブレードを突き出したし、突進…ラウラの顔が、不敵に歪む。その瞬間、グリムゲルデはその動きの一切を封じられた。

マクギリス「何…?」

これが、ラウラ・ボーデヴィッヒの機体、シュヴァルツェア・レーゲンに搭載されたアクティブイナーシャルキャンセラーの力という訳か。

ラウラ「噂ほどでは無かったな。この私の、停止結界の前では貴様など!」

シャルル「マクギリスッ!」

シャルルの背後からの銃撃により、AICが解かれ、自由の身となったグリムゲルデを一度後退させる。

マクギリス「すまない、助かった」

シャルル「気にしないで。援護は任せて」

マクギリス「頼む」

ラウラ「この…雑魚風情が!」

レーゲンとグリムゲルデがぶつかり合う。数度刃を交え、互いに距離を取る。加速し、互いに距離を詰めぶつかり合う…寸前で、黒い影が間に割って入り、レーゲンのエネルギーブレードを受け止める。咄嗟に、此方も剣を引く。
127 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 04:12:55.02 ID:AS0PoRD/0
千冬「やれやれ、手間の掛かる馬鹿どもめ」

IS用ブレードを生身で扱い、介入とは。何という剛腕か。

ラウラ「きょ、教官…」

千冬「織斑先生、だ。模擬戦をやるのは構わないが、アリーナの防壁を破る様な事態は教師として黙認しかねる。この決着は、学年別トーナメントでつけろ」

ラウラ「教官の御命令とあらば、異論はありません」

千冬「お前たちも、構わんな?」

マクギリス「了解した」

シャルル「僕も、異論はありません」

千冬「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁じる。各員解散」

彼女達が気掛かりだ。医務室に向かわねば。
128 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/03(日) 04:28:57.19 ID:yz0CGEW00
マクギリス「傷は…残る物でも無さそうだな。何よりだ」

セシリア「ご迷惑を、お掛けしましたわね…」

鈴「別に、もう少しで勝てたっての…」

一夏「いやいや、無理だろあれ。」

マクギリス「しかし、君らしくないな。あんな戦いを引き受けるなど」

セシリア「乙女として許してはならない事を言われましたので、つい…」

マクギリス「そうか…ともかく、体を休めるといい」

途端、医務室に女子生徒が雪崩込む。曰く、次の学年別トーナメントではタッグでの参加を必須とする、と。

一夏「シャルル、俺と_

それは、させられないな。彼女の正体が露見しかねない。

マクギリス「シャルル、私と組もう」

シャルル「うん、僕もマクギリスと組みたいな」

女子集団から歓声が上がる。何故だろうか。

セシリア「そんな、マクギリスさん、私と組んでくださいな!」

鈴「一夏、あんたもアタシと…」

マクギリス「君達のISのダメージレベルもかなりの物だろう。学年別トーナメントへの出場は許されまい」

鈴「そんなぁ…」

セシリア「ぐぬぬぅ…」
129 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/08(金) 21:29:39.17 ID:DhHfA5qG0
マクギリス「待たせてすまない、諸君」

マクギリス「まずは謝罪をさせてもらおう。寝落ちした挙句日曜日には更新無しだったな」

マクギリス「少々、心が折れてな。フレズヴェルクアーテルにデカールを貼ってアーマーを着けたら、見事にデカールが剥がれた。スーパークリアーのトップコートではいけないんだろうか…」

マクギリス「剥がれた部分は青で塗り直して事なきを得たが、分解して素体にするのに躊躇する羽目になってしまった…」

マクギリス「ままならぬ物だな」

マクギリス「では、階級も再び上がったので気をとりなおして深夜辺りにまた書き始める。今暫く、待っていてくれ」
130 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/09(土) 02:23:58.38 ID:XSow05im0
マクギリス「では、我々は退室するとしよう。君達も、怪我人の近くであまり騒ぐものではないよ」

女子集団に連行されていく一夏を尻目に、医務室を後にする。

マクギリス(すまない一夏、今は君を救えない)

部屋に戻ると、シャルルに礼を言われた。

シャルル「マクギリス、さっきはありがとう。助けてくれて」

マクギリス「気にするな。事が露見すると私にも飛び火しかねんからな。それに、私達は秘密を共有するパートナーだ。必要な事があれば、遠慮なく言って欲しい」

シャルル「パ、パートナー…う、うん。ありがとう」

マクギリス「では、着替えるとしよう。私は浴室で着替えている。終わったら声を掛けて欲しい」

シャルル「うん、わかったよ」
131 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/09(土) 02:37:47.19 ID:fF7zdGwX0
大会当日。

マクギリス(まったく…運命、とでも言わせたいのかな、これは)

一試合目から、ラウラ・ボーデヴィッヒと箒のペアと対決となった。

マクギリス(一夏を取られて組む相手が居なくなってしまったのか。同情を禁じ得ないな)

ラウラ「一試合目から貴様らか。ちょうど良い、織斑一夏の前に貴様から叩き潰してやろう」

マクギリス「残念だが、君の望みは叶わない。私がここで仕留めよう。…シャルル、援護は任せたぞ」

シャルル「うん、任せて!」

箒(…どうしてこうなった)

試合開始と同時に、グリムゲルデとレーゲンが相対する。AICによる停止結界が、グリムゲルデの自由を奪う。

ラウラ「開幕からの機動性を活かした近接攻撃。悪くはないが、貴様では私には届かん!」

マクギリス「いいや、届いているさ。君が私の攻撃を躱すのではなく、私を止める事を優先した時点で、な」

ラウラ「なっ!?」

背後から躍り出たシャルルのリヴァイヴの銃火器が一斉に火を噴く。AICを解除して回避行動に移るラウラだが、少ない直撃弾受けた筈。
132 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/09(土) 02:46:07.52 ID:fF7zdGwX0
次回予告

名瀬「あ?もう終わり?やる事が出来たから明日の夜に本格的に、だと?ファリド公も大変だねえ」

名瀬「さて、ではクイズと行こうか。花を育てるのに必要なのは?…そう、太陽の光に、水に、栄養のある土だ」

名瀬「では、子供が育つのに一番重要なものはなんだ?」

名瀬「美味い飯?寝所?確かにそれも必要だが、一番じゃねえ」

名瀬「答えは愛情、だ。親にしろ兄弟にしろ、愛情を貰えない子供ってえのは悲惨なもんだからな」

名瀬「さて、ファリド公はそれをあの子供に与えてやれるのか、ね」
133 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/09(土) 02:54:16.27 ID:L52JUree0
名瀬「次回、インフィニット・マクギリス。ファインド・アウト・マイ・マインド」

名瀬「これ見てるお前らも、子供は大事にな。大人の一方的な事情で、傷付けたり食いモンにしたりするモンじゃないんだからな」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 08:49:39.83 ID:XHxnhoqo0
おつおつ
135 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/10(日) 09:57:40.10 ID:BTVFYw0y0
第8話 ファインド・アウト・マイ・マインド

マクギリス(戦局はこちらが有利。焦りが見えるな)

箒(やはり、マクギリスは強い…私が知る、誰よりも…)

ラウラ「たかが、第二世代機の寄せ集め風情が…!」

マクギリス「君を倒すには、十分だ」

ラウラ「貴様ぁああ!」

激昂と共に、肩の上に配置されたアーマーからアンカーが発射される。その軌道はワイヤーにより、まるで生物のようにうねる。

マクギリス(モビルアーマーのテイルブレードに近い武装か。だが、奴ほどではないな)

舞うように、発射されたアンカーを斬り捨てる。

136 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/10(日) 10:00:47.49 ID:BTVFYw0y0
マクギリス「すまない、書いている最中に寝落ちてしまった。疲れが溜まっているのだろうか…」

マクギリス「とりあえず、今日の夜には書く、はずなので見捨てずに待っていて欲しい」

マクギリス「では、また夜に」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 19:59:18.42 ID:jTs4OaKuo
お疲れ。待ってるよー
138 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/10(日) 20:49:15.03 ID:dZx2YQhsO
>>137
マクギリス「君の言葉が、私の励みになる。期待には応えさせて貰おう」


マクギリス「しかし、生涯初めてセミスクラッチに挑戦したが、存外難しいものだな…アンテナと肩の延長だけでこれほど気力がなくなるとは。しかし、諦めるわけにはいかんな。1/100の私の機体コンプリートの為にも頑張らねばな」

マクギリス「完成したら、こちらにもアップロードしよう。素人なので、あまり期待しないで欲しいが」

マクギリス「では、少しずつ作業しながら書いていかせて貰うぞ」
139 : ◆3DtvXoE6Vc [sapa]:2019/03/10(日) 21:05:52.28 ID:dZx2YQhsO
箒(ラウラは冷静さを失っている…ならば!)

唯一の訓練機、箒の打鉄がグリムゲルデの前に割り込む。

箒「一度、手合わせ願おうか!マクギリス、覚悟!」

マクギリス「まったく、人気者というのは多忙なものか」

ラウラ「貴様、私の邪魔をするなっ!」

レーゲンが箒を巻き込む事を厭わない砲撃が放たれようとして、その砲身が吹き飛ぶ。

ラウラ「何っ…貴様…」

シャルル「皆してマクギリスに群がるなんて感心しないなー。僕も相手してくれなきゃ、さ!」

マクギリス「そちらはしばし任せるぞ、シャルル」

シャルル「任せて!」

打鉄とグリムゲルデの刃が、幾度と無く打ち合わせられる。

箒(やはり強い!これがまだ一年にも満たない奴の動きだというのか!?)

マクギリス「良い腕だな、箒。こんな状況下でなければもう少し遊びたいところだが、そんな時間は無いのでな」

箒「くう、っ!」

箒(届かない…一太刀も…これでは、一夏達に近付く事さえ出来ない…)

打鉄の刀が弾かれ、グリムゲルデの刃に平伏する箒。打鉄は、完全に沈黙した。
140 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/10(日) 21:58:16.86 ID:dZx2YQhsO
マクギリス「すまない、待たせたな」

AICに捕まったシャルルを、ヴァルキュリアライフルによる銃撃でレーゲンを弾き飛ばす事で抜けださせる。

ラウラ「くっ…マクギリス・ファリド…!」

マクギリス「そうだ。怒りも、憎悪も、全て私にぶつけるといい。君の相手は、この私だ」

ラウラ「うああああっ!」

両腕のブレードを展開、突撃してくるラウラ。ヴァルキュリアブレードで猛攻をいなし、レーゲンのシールドを着実に削る。

ラウラ(何故だ、何故届かない!?こんな男にすら負けると言うのか!?)

ラウラ(またあの頃に戻るというのか!?嫌だ、もっと、もっと力を!このままでは、私は…!)

レーゲンに、変化が訪れた。
141 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/10(日) 22:31:31.79 ID:dZx2YQhsO
マクギリス「なんだ、これは…?」

シュヴァルツェア・レーゲンが、ラウラを呑み込む様にしながら変貌していく。もはや機械的なそれでは無く、生物の様に。危険を感じ、距離を取る。

シャルル「これは、いったい…」

やがてそれは、人に近しい物を象る。見覚えのある形状、右手に一体化した雪片。かつての織斑千冬と、その乗機である暮桜。それを醜悪に模した存在へと、シュヴァルツェア・レーゲンは成り果てた。

シャルルが、反射的に銃口を向ける。それに反応し、暮桜擬きの右腕が一閃してリヴァイヴが吹き飛ばされる。

マクギリス「シャルル、手を出すな。奴は攻撃行動に反応している」

シャルル「なんなの、これ…」

周りを取り囲むように展開された教員部隊も、攻めあぐねている。

マクギリス「エネルギーが尽きるのを待つしかあるまい。もはやラウラの意思で動いてはいないのだろう。下手に手出しをする必要は無い」

だが、突然に暮桜擬きの挙動が変化する。グリムゲルデに、暮桜擬きが襲い来る。

マクギリス「何!?どういう事だ…!」

ヴァルキュリアブレードを用いて暮桜擬きの攻撃を捌く。
142 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/11(月) 00:53:36.58 ID:jQtMw6icO
千冬「ファリド、離脱しろ!そいつは危険だ!」

スピーカーから、織斑千冬の声が飛ぶ。だが、その指示を遂行するのは困難だった。

マクギリス「そうしたいのはやまやまなのだが、っ!」

暮桜擬きの執拗な追撃。距離を離す事を許さず、苛烈なまでの攻撃を向けてくる。

マクギリス(近過ぎてシャルル達は援護もままならないか。自分一人で切り抜ける必要があるか)

ヴァルキュリアブレードを操り、暮桜擬きと本格的に斬り結ぶ。その速さ、巧みさに舌を巻く。

マクギリス(これが、この世界の最強の力か!)

幾度も、幾度も。数えるのが億劫な程に剣をぶつけ合う。

マクギリス(このままではジリ貧か。ならば、防御を捨ててでも!)

ヴァルキュリアブレードを盾から外し、手持ちに変えて斬り結ぶ。更に盾を投げつけて暮桜擬きに死角を作る。

投げつけた盾は、暮桜擬きに両断される。
143 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/11(月) 01:41:19.52 ID:jQtMw6icO
その隙に、剣先を突き出す。だが、届く事無く弾かれる。一本は、だが。

マクギリス「心なき機械になど、負けられんな」

雪片の腕を斬りとばす。残った左腕を掴み、逃げ道を塞いで再度剣を振るう。沈黙し崩壊した暮桜擬きから、ラウラがこぼれ落ちる。それを受け止めた瞬間に、奇妙な感覚に襲われる。まるで、ラウラと意識が一つになるような。

マクギリス《これは、いったい…?》

ラウラ《マクギリス・ファリド…何故、貴様が…これは、なんだ…》

マクギリス《私にもわかりかねる。…これは、君の記憶、か》

ラウラ《違う、と言っても信じないだろう。そうだ、私は軍で作られた。最強だった、ISが世に出るまでは。しかし、そのISに適応し切れず、出来損ないの烙印を押された。そんな私を、再び最強の座に帰り咲かせたのは、織斑教官だった。私を見てくれたのは、織斑教官だけだった。私の唯一の救いだった》

マクギリス《だが、一夏が誘拐された事で、その織斑教官はモンドグロッソ…IS世界大会の、二連覇を逃した。だから、彼を快く思っていなかった訳か》

ラウラ《そうだ。奴だけは…》

マクギリス《そんな物は、お門違いというものだ。彼を傷付けて、織斑千冬は喜ぶと思うのか?そんな人間か?》

ラウラ《それは…》

マクギリス《君は、正しい方法で、彼女を喜ばせるといい。…君が間違った道を行くのならば、私が正してやる。私が見ていてやる》

かつて、私の友が私を正してみせた様に。大切な物から、眼を逸らさないように。

ラウラ《お前は、私を…見ていてくれるのか。遺伝子強化試験体でなく。黒兎部隊の隊長ではなく。ただの、ラウラ・ボーデヴィッヒとして》

マクギリス《ああ。かつて、私も道を誤った。共に探そう、正しき道を》
144 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/11(月) 02:11:34.21 ID:jQtMw6icO
ラウラ「ここは…」

千冬「医務室だ。…しばらくは動けないだろ、無理するな」

ラウラ「私は、いったい…」

千冬「VTシステムは知っているな?」

ラウラ「ヴァルキリー・トレースシステム…過去の大会上位陣のデータを使い、操縦者にそれに匹敵する力を与える…」

千冬「強引に他人の動きをさせるが故に、負荷も大きく禁止されている技術だ」

ラウラ「それが、私の機体に…?」

千冬「ああ、おそらくな。ファリドに感謝しろ。執拗に狙われながらも、お前を助けてみせたんだからな」

ラウラ「…マクギリス、が…」

千冬「…発動条件は、おそらく…」

ラウラ「私の意思、ですね…私が、望んだから…」

千冬「…良い機会だから言っておく。お前は私にはなれんぞ。…お前はお前だ。お前であれば、それで良い。自分の道を歩め。迷ったならば、頼れる男がいるだろう。仲間と共に歩んでいけ」

ラウラ「…マクギリス…」

千冬「ではな。ゆっくり休め」

織斑千冬が、医務室から出て来る。

マクギリス「…あれが、ヴァルキリー・トレースシステムだったのか。資料としては見た覚えはあったが、あれ程苛烈とはな」

千冬「それだけではないだろうな。あのシステムは、執拗過ぎる。何かわかったら教えてやる…ラウラの事を、頼む。私の教え子でな」

マクギリス「わかっている。彼女と、約束したからな」
145 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/11(月) 02:15:42.21 ID:jQtMw6icO
マクギリス「キリも良い、今回はここまでだ。では、諸君。また来週」

マクギリス「しかし、後は胸部と肘に爪先、剣。未だにやる事が多すぎる…キマリスヴィダールに取り掛かれるのはいつになるのか…」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 22:29:07.87 ID:kdwmwVjEO
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 00:47:18.88 ID:xc+yPvyMo
続きが気になるぜ
148 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/16(土) 08:15:26.34 ID:MgGmT6f40
>>147

マクギリス「すまないな、夜勤明け故に全く書けていない。だが、今夜には書くのでしばしバエルに乗って待っていて欲しいな」

マクギリス「そういえば、ライトニングは実装から下方を受けたのか?最近見かけない気がするな。当初はリンクライトニング二体に手も足も出なかったが…」

マクギリス「とりあえず、また今日もアグニカポイントを稼ぐとするか」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 12:03:57.37 ID:7swe7t67O
実装から一週間で下方されたよ
具体的にはレバサブの誘導弱体と特格の移動距離短縮、ブースト消費量増加、特射のリロ増加、前格の発生と誘導弱体と前格から直接下派生出来なくなった
変形時の武装には一切弱体入ってないから気をつけてね
150 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 01:13:16.14 ID:EH2OEr5i0
山田「男子の、大浴場です!」

マクギリス「先生、唐突に何事ですか」

一夏、シャルルとの食事中に山田先生が駆け寄って来ての開口一番がそれだった。

山田「えーっとですね、今日から男子も時間配分で、大浴場が使えるようになったんです!」

マクギリス「今までは女子だけでしたね」

山田「はい!ですので、時間を見て大浴場を堪能して下さい!」

一夏「そりゃ良いな。マクギリス、シャルル、一緒に入ろうぜ!」

シャルル「うええ!?ぼ、僕は遠慮するよ!」

まあ、そうなるだろう。私とて、背中の阿頼耶識を見られるのは余り良くは無いだろう。

マクギリス「私も遠慮しよう」

一夏「つれない事言うなよ二人共ー。たまには、一緒によ。裸の付き合いって奴でさ」

マクギリス「あまり、他者に強要するものではないぞ、一夏。同性であろうとそこまでしたくない人間も居るものだ。例えば、体に見られたくない傷を持つ者や、自分の体にコンプレックスを抱く者、とかな。…とはいえ、せっかくの大浴場だ。入らぬのも不粋、ならば時間をずらして入るとしよう」

一夏「俺はそんなこと気にしないんだけど…」

マクギリス「君が気にせずとも、本人が気にしてしまう事もあるのだ。君はもう少し、デリカシーを弁えるべきだな」

マクギリス「さて、一夏。一番風呂、というのは君に譲ろう。次に私、最後にシャルル。それで良いかな?」

一夏「ああ、わかった」

シャルル「う、うん。了解」

シャルルが最後ならば、以前の様な間違いは起こるまい。
151 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 01:16:50.41 ID:EH2OEr5i0
>>149
マクギリス「なるほど。道理で随分と追いやすくなったものだった訳だ。正直、リンクリンクで延々連打されて気分がかなり萎えたのでな。あれでは修正も止む無しか。情報提供、感謝する」
152 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 01:43:52.92 ID:fI9RhJc20
なるほど…大浴場。開放感に満ち溢れ、心身共に癒される。

マクギリス(一夏の喜びようにも、納得が行くものだな。本音を言えば、裸の付き合いというのも悪くはないのだが…)

背中の阿頼耶識。他者には、感性次第ではグロテスクにも見えるであろう代物。

マクギリス(まったく。付けた当初は、こんな後悔を抱くとは思いもしなかったな。力に固執した代償、か)

物思いに耽って居ると、控えめながら大浴場の扉の開閉音が響く。

シャルル「お、お邪魔します…」

マクギリス「!?……!?」

馬鹿な、まだ交代の時間には早かったはず!

マクギリス「す、すまない。交代の時間だったか。すぐに上がる。出来れば入る前に声を掛けて欲しかったが」

シャルル「ち、違うよ!その、マクギリスと、話したい事があって…」

マクギリス「ここここの様な場所でなくとも自室でも良かったのではないかな!?」

シャルル「僕と一緒じゃ、嫌かな…?ていうか、動揺してる?」

当然だ。こんな状況は初体験だぞ、いくらなんでも。

シャルル「マクギリスって、恋人とか居なかったの…?」

マクギリス「…婚約者は、居た。政略結婚で、まだ9歳ではあったが立派な女性だった。もう二度と、会う事は叶わないが…」

アルミリア…また、泣かせてしまったのだろう、かな。

シャルル「…ごめん。要らないこと聞いたね…その、ね?マクギリスが、ここに居れば良いって、力になってくれるって言ってくれて、凄く嬉しかった」

マクギリス「…当然だ。君は、酷い扱いを受けるべき人間ではないのだから」

シャルル「そんなマクギリスが居たから、僕は心から此処に居たいって、思えるんだ」

マクギリス「そ、そうか。それは、なによりだ」

シャルル「だから、マクギリスには、僕の本当の名前を呼んで欲しいんだ。二人っきりの時だけで良いから」

マクギリス「本当の、名前…」

シャルル「うん。シャルロット。僕の、お母さんが付けてくれた名前」

後ろから、抱き着かれただと…!?
153 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:04:45.62 ID:zjZv98iv0
マクギリス「そ、そうか。わかった、シャルロット」

シャルロット「うん。ありがとう、マクギリス…所で、この背中に突き出てるのは、いったい…」

気付かれて、しまった…いや、これ以上、彼女に隠し事を続けるのも、問題か。

マクギリス「…阿頼耶識システムさ。モビルスーツを動かす為の、な」

シャルロット「えっ?それって、アグニカの…?」

マクギリス「…君には、空想伝記小説と説明したが、実際には違う。あれは、これから起きる、もしくは別の世界で実際に起きた記録なのだよ」

シャルロット「それって、いったい…」

混乱するのは仕方ない、か。

マクギリス「口外は控えて欲しいが、私は本来此処に居る筈のない存在なのだろう。厄祭戦から三百年後の時代の存在が、この私なんだ」

シャルロット「…石動さん達もなんだね。なるほど、マクギリスが強いのは実戦経験があったからなんだ」

マクギリス「…信じるのか?こんな荒唐無稽の話を」

シャルロット「信じるよ。マクギリスの言葉だもん。嬉しいな。僕にはちゃんと、話してくれたんだ」

マクギリス「…君に、隠し事をしたくない。そう思ってな」

今度は、友を裏切らない。同じ過ちを繰り返す訳にはいかない。

マクギリス「すまなかったな、あまり気分の良くない物を見せたな」

シャルロット「ううん。全然平気だよ。それも含めて、マクギリスだから」

いつか、彼女の様に一夏達も受け入れてくれるだろうか。

シャルロット「そろそろ、上がろう?時間だろうし…また、マクギリスの話を聞かせて欲しいな」

マクギリス「ああ、約束しよう」
154 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:20:41.95 ID:zjZv98iv0
山田「えーっと、デュノアくんは、デュノアさん、という事でした…」

翌日のホームルームで現れた、女子の制服を着たシャルロット。その事実に、クラスが一瞬静まり返る。

箒「…は?」

一夏「…はあっ!?」

セシリア「どういう事ですのマクギリスさん!?貴方同室でありながら知らなかった訳ありませんわよね!?」

「つまり、どういうこと?」「ファリりん、どーゆー事なのー!説明してよー」

ファリりんとは私の事だろうか。

「てか昨日男子が大浴場使ってたわよね!?」

不味い、非常に不味い。

箒「一夏貴様もしや、女子と入浴したというのか!?」

一夏「してないしてない!皆時間をずらして…」

教室の壁が、突き破られた。二組の鈴の甲龍によって。

鈴「一夏あんた女子お風呂入ったんですって!?何してんのよ!」

甲龍が衝撃砲の発射態勢に入る。…いや待て、こんな所でそんな物を…!?
155 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:38:14.17 ID:Cfiy03XG0
甲龍から放たれた衝撃砲を、窓から飛び込んだラウラがAICで無効化する。

マクギリス「…すまない、助かった」

ラウラ「気にするな。少し、顔を貸せ」

マクギリス「構わないが、何を…?」

言うやいなや、ラウラの唇が私の唇に重ねられる。いやいきなり過ぎるのでは。

ラウラ「おまえはわたしの嫁にする。決定事項だ、異論反論は認めない」

セシリア「…えっ」

シャルロット「ええっ!?」

マクギリス「…婿ではなく、嫁?どう言うことだ?」

ラウラ「日本では、気に入った相手を嫁、というらしい。故に嫁だ」

マクギリス「そうか。そんな風習があったとは」

一夏「いや無いから!誰だよそんなデタラメ言った奴!」

マクギリス「…そういえば、身体はもう大丈夫か?」

ラウラ「ああ。問題無い。しかし、夫の気遣いとはやはりお前は出来た嫁だ」

マクギリス「そ、そうか。ならば良いが」

まあ、彼女が嬉しそうなので、構う事もあるまい。
156 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:46:58.29 ID:2fgNjh830
放課後

マクギリス「石動、例の件はどうだ?」

石動『VTシステムの件ですが、事件の当日中には開発、研究していた組織は消滅したようです』

マクギリス「消滅?なるほど。証拠を隠滅した訳か」

石動『いえ、どうやら外部からの攻撃により、人員以外が消滅させられた様です』

マクギリス「外部からの…つまり、施設ならびに研究データそのものが他者に抹消された、と?」

石動『脱出した人員も酷く怯えた状態の様で、これ以上は調査も困難かと…』

マクギリス「そうか、わかった。なにかあれば、また連絡する」

石動『はっ』

マクギリス(VTシステムの研究施設の抹消…我々に、調べられたく無い事が…つまり、VTシステム以外にも何かあったというのか?)

行く末に、暗雲が立ち込め始めた気がした。
157 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 03:11:46.16 ID:aBQzvEra0
次回予告

石動「VTシステム、その先に隠された真実。混迷の兆しが垣間見得ようとも、時は刻まれていく。たとえ苦難が待ち受けようと、我らは先に進んで行く」

石動「次回、インフィニット・マクギリス。マクギリスの心はアグニカのちバエル」

石動「准将、依頼されていた報告をお持ちしました。失礼します…!?失礼しました!」
158 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 17:06:55.65 ID:YIV2a+CZ0
マクギリス「さて、アグニカポイントも稼いで階級も上がったので、この時間から書かせて貰おう」

マクギリス「しかし、階級が上がるとなかなかに難しくなってくるな。下手の横好きではままならんな」

マクギリス「もし共に組んだ場合には、足を引っ張る事もあるやもしれん。大目に見て欲しい」

マクギリス「では、始めるとしよう」
159 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 17:22:14.66 ID:gMvW4kHs0
第9話 マクギリスの心はアグニカのちバエル
マクギリス(まず、状況を確認しよう)

隣には、何故か全裸で眠るラウラ。そう、全裸。弁明しておくが、やましい事をした覚えも、そうなりそうな事をした覚えは無い。

マクギリス(いや、誰に弁明しているんだ私は…)

とはいえど、安らかな寝顔で眠る少女を起こすのも如何なものか。

マクギリス(…そうか、人の温もりに飢えているのか。彼女には、軍事的立場しか無かったのだろうからな。一個人として接する人間は居なかった訳か。…私に、温もりを見出したのか)

この華奢な少女に、暖かな感情が込み上げる。

マクギリス(もう少し時間はある。寝かせてあげよう。)

シャルロット「マクギリス、もう起きてる?…あれ、開いてる?不用心だなあ。入るよ?」

不測な事態過ぎるのではないか、これは。

マクギリス「まて、シャルロット…!?」

シャルロット「…何を、しているのかな?マクギリス?」

不味い、これはいけない。
160 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 17:38:18.39 ID:4hUsmyhq0
マクギリス「あまり、騒がないで欲しいな。もう少し寝かせてやりたい」

シャルロット「…で、どういうことなの?」

マクギリス「どうやら、寝ているあいだに忍びこんだらしいな。困った子だが、致し方ない」

シャルロット「まったく、ラウラったら…」

マクギリス「彼女も、人の温もりが欲しいのだろう。今まで、誰かと共に眠る事など無かったのだろうし、な。あまり彼女を責めないでやって欲しい」

シャルロット「もう、仕方ないなぁ…にしても、ぐっすり寝てるね」

マクギリス「私の側なら安心出来るのだろう。さしずめ父親代わりだろう」

隣のラウラが、もぞもぞと身体を起こす。その左目…鮮やかな金色が目を惹く。

マクギリス「おはよう、ラウラ。シャルロット、すまないが彼女の制服を用意してあげてくれないか」

シャルロット「うん、わかった」

ラウラ「もう朝か…」

マクギリス「ああ。とりあえずシャルロットに服を頼んだから、少し待つといい。ところで、何故裸で寝ていたんだ?」

ラウラ「夫婦とは、包み隠さぬものだと聞いたぞ?」

マクギリス「それは精神的意味合いだと思うが。…ところで、その左目は?」

ラウラ「…ISへの適合実験の失敗によるものだ。あまり、見ないで欲しい」

マクギリス「そうか。残念だ、綺麗な目をしているものだ、と思ったのだが」

ラウラ「そ、そうか?ならば二人きりの時だけ眼帯を外すとしよう」
161 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 20:15:09.18 ID:K+pUXBZZ0
放課後
シャルロット「そういえば、マクギリスって水着、買わないの?」

マクギリス「水着、か…いや、今の私には阿頼耶識があるからな。嫌悪感を抱く者も少なからず居るだろう。水着は遠慮しよう」

シャルロット「そっか…マクギリスは、厄祭戦から三百年経った世界から来たんだよね?」

マクギリス「ああ。ギャラルホルンは腐敗し、権力闘争の舞台と成り果てた。貧富の差は拡大し、地球圏外ではスラムなど珍しくなかった。時として人の命すら二束三文で売られている世界へと。…私はその中で、怒りを抱き、そしてそれのみを生きる原動力として、道を踏み外していった。友との幸せな時間すら、力の為に切り捨てる修羅として、な」

マクギリス「力を得る為に…バエルを手に入れ、ギャラルホルンを掌握する為に、阿頼耶識システムを復活させた。その果てが、この私だ」

シャルロット「でも、今は違う。でしょ?マクギリスは優しいから」

マクギリス「…そうだと、良いがな。でなければ、ガエリオに顔向けは出来ん。もう、会う事は無いだろうが」

シャルロット「お友達?」

マクギリス「ああ。生涯唯一の、親友だった」
162 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 20:32:19.15 ID:K+pUXBZZ0
マクギリス「しかし、シャルロット。何故急に皆に正体を明かす気になったんだ?」

シャルロット「いろいろと理由はあるけど、やっぱりマクギリス以外の人でも、騙し続けるのは嫌だったからね」

マクギリス「君らしいな。汚い大人に利用されながら、その心は清らかだ。君の母上は、立派な人だったんだろう。その清らかさは、決して無くしてはいけない」

ああ、そうか。ガエリオやアルミリアに似ているのだ。彼女の心の清らかは。

マクギリス「…それにしても、シャルロット、か」

シャルロット「何?」

マクギリス「いや、もう二人だけの呼び名で無くなってしまったな、と思ってな」

シャルロット「そうだね…じゃあ、二人だけの、特別な呼び名、付けてくれる?」

マクギリス「そうだな…シャル、でどうだろうか。シャルルとシャルロット、共通する部分を抜き出し、肯定する意味合いでな」

シャルロット「…うん、凄く嬉しい。あの時の僕まで大事にして貰えてるみたいだ」

マクギリス「では、今後はシャル、と。なかなかに、良い響きだと思う」

シャル「ありがとう、マクギリス。…ね、マクギリスが水着、選んでくれない?」

マクギリス「私が、か?私のセンスがこの時代に会うかわからないが、良いのか?」

シャル「うん。マクギリスが選んでくれたら、嬉しいな」

マクギリス「それならば引き受けよう」

シャル「うん!それじゃ、また明日!」
163 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 21:31:51.28 ID:VzqqB0N10
翌日。

マクギリス「臨海学校、か。最近の行事には異常事態ばかりだから、そろそろ平穏に終わって欲しいのだがな」

シャル「僕やラウラが来る直前にもあったんだよね?正体不明機の乱入」

マクギリス「ああ。さすがに海でまで騒動は勘弁願いたいな」

シャル「…やっぱりマクギリスも水着、買わない?臨海学校でなくても、使う機会もあると思うし」

マクギリス「…阿頼耶識が隠せるタイプがあれば、良いのだがな」

シャル「…ん?」

マクギリス「どうした、シャル?」

シャル「着けられてる。隠れよう」

マクギリス「何?何故私達を…?」

シャル「わからない。とにかく、やり過ごそう」

物陰にしばし、身を潜める。
164 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 21:47:31.08 ID:VzqqB0N10
マクギリス「…どうかな?」

シャル「行ったみたいだ。追われてるって感じがしなくなった」

マクギリス「捕まえる、という手もあったのではないかな?」

シャル「下手に藪をつついて蛇を出したら大変だよ。やり過ごせたんだし、良いんじゃないかなぁ」

物陰から出る。その場面に、予想外の二人と出会す。

千冬「何をしている。こんなところで」

山田「ふ、ファリドさんにデュノアさん!?物陰で何をやっていたんですかっ!?」

あらぬ誤解を、招いたらしい。
165 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 22:01:29.55 ID:AykbwhCL0
事情を説明し、誤解を解く。

千冬「…それは多分、オルコットとボーデヴィッヒだろう。何やらコソコソしていたのを見かけたからな」

マクギリス「あの二人が?何故そんな真似を…」

千冬「…はあ。朴念仁め。そういうのは一夏だけにしてくれ」

マクギリス「どういう事だ?」

千冬「自分で気付け、馬鹿者」

用事があったが尻込みでもしたのだろうか。

千冬「ではな。私達も用事がある」

山田「ではファリドさん、デュノアさん、また学校で」

シャル「…あの二人だったんだ。ライバル多いなぁ…」

マクギリス「…何か用なら、今日は遠慮して貰うとしよう。君との約束が、最優先だ」

シャル「ありがとう。…あ、これなんかどうかな?」

マクギリス「悪くはないが、君にはこちらが似合う気がするな」

シャル「良いね!流石マクギリス、センスあるよ」

マクギリス「そうか、それなら良かった」

かつての様な、されど怒りを隠す必要も、抱く必要もない幸福な時間が、流れていった。
166 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 22:14:26.69 ID:qqVTg1RI0
次回予告

石動『准将、例の専用機ですが、準備が整いました。臨海学校での引き渡しとなりますが、よろしいでしょうか』

マクギリス「ああ。ようやく、と言ったところか。感謝する」

石動『いえ。それと、アグニカ・カイエルの伝記ですが、かなりの売れ行きです』

マクギリス「売り出したのは君だったのか…セシリアやラウラには渡したが、何故か他人もアグニカを知っていて驚いたぞ」

石動『あれはこれからの活動の為に必要でしたので』

マクギリス「アグニカが、か?ギャラルホルン以外でも、か」

石動『はい。これから先の為に。』

石動『次回、インフィニット・マクギリス。海に着いたらギャラルホルンの正義』
167 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/22(金) 23:33:42.92 ID:exdHmPA10
マクギリス「さて、諸君にまず謝罪しよう」

マクギリス「友人からの救援要請で、荒ぶる神々を狩らねばならなくなったので、しばしアグニカしてくる故今回は更新無しだ」

マクギリス「明日は色々と所用で名古屋に行く。書けるのは明日夜からとなる」

マクギリス「では、すまないが暫く待って欲しい」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/23(土) 19:20:48.30 ID:fzOuR1s20
待っとるよ
169 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 01:08:53.34 ID:IjEHhboQ0
第10話 海に着いたらギャラルホルンの正義
マクギリス(旅館には着いた。大半の女子は海に繰り出す、か)

石動「准将、お待ちしておりました。こちらへ」

旅館裏手、駐車場の一角。そこに止められた、鉄華団の紋章入りのトレーラー。

マクギリス(なるほど。護衛役には鉄華団か。たしかに一番信頼できる組織だな)

石動「あとは准将のパーソナルデータを今現在の物に更新、最終調整が完了し次第准将にお引き渡しします」

マクギリス「分かった。では、始めようか」

トレーラーのハッチが開く。その中に鎮座する機体。ギャラルホルンの象徴にして、ガンダムフレーム一号機。かつての乗機が、ISとして、眠っていた。

「バエルだ!アグニカ・カイエルの魂ッ!」「そうだ、ギャラルホルンの正義は我々にあるッ!」

マクギリス「…また、会えたな。バエル。待っていろ、もうすぐお前を目覚めさせてやる」

促されるまでもなく、バエルに乗り込む。メカニック達による最終調整が開始された。

石動「…データの取得を確認。あとはこちらでお引き受けします。准将は海水浴を楽しまれると良いかと」

マクギリス「私には阿頼耶識がある。他者に嫌悪感を抱かせる危険が…」

石動「こちらをどうぞ。パイロットスーツを改造したスイムウェアです。阿頼耶識も隠せますので、是非活用ください」

マクギリス「…わざわざ用意したのか。流石、出来る男だ」

石動「臨海学校となれば、必要かと。では、調整が済み次第連絡させて頂きます」

170 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 01:24:13.25 ID:IjEHhboQ0
セシリア「マクギリスさん、どこに行ってらしたんですの?」

水着に着替え、最初に遭遇したのはセシリアだった。

マクギリス「野暮用、というものだ。その水着、大変似合っている」

セシリア「そ、そうですか?ありがとうこざいます。ところで、お時間がよろしいのならばお願いがあるのですが」

マクギリス「なにかな?」

セシリア「サンオイルを塗って頂きたいのです。どうも後ろは塗り難いので…」

マクギリス「なるほど、引き受けよう」

セシリア「お願いしますわ」

サンオイルを受け取り、横になる彼女の背中に塗っていく。そのきめ細やかな白磁の肌に、サンオイルによるコートがされていく。

マクギリス「こんなところかな?」

セシリア「あの、出来ればお尻も…」

マクギリス「それは自分で出来るだろう?流石に私の理性が持たんよ」

セシリア「そ、そうですわね。ありがとうございました」

マクギリス「なに、気にするな。ではな」
171 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 01:48:45.15 ID:IjEHhboQ0
次に遭遇したのは、シャル。そしてタオルで身を隠したミイラ風の装いの少女。

マクギリス「…その格好はどうしたのかな、ラウラ」

シャル「あ、やっぱわかってくれるんだ」

マクギリス「彼女を見ていてやると、約束したからな」

マクギリス「どこか、痛めたのか?」

シャル「ほーら、マクギリスなら大丈夫だから、ね?」

ラウラ「う、うむ…だがその、心の準備が、だな…」

マクギリス「問題ない。君ならば、大丈夫だ。君の姿を、見せて欲しいな」

ラウラ「う、わかった…」

タオルを脱ぎ捨てたラウラ。その眩い銀髪をツインテールに纏め、黒い水着で固められている。彼女の白く透き通る肌によく映える、彼女の魅力を理解しているコーディネートだ。

ラウラ「ど、どうだ…?」

いつも堂々とした彼女の、珍しく自信無さげな様子がよりギャップとして装いと共に、彼女の可憐さを演出する。

マクギリス「ああ、とても似合っている。可愛らしさが増しているな」

ラウラ「か、かわっ!?」

ラウラの顔が、赤く染まる。

マクギリス「…大丈夫か?夏の日差しの浴びすぎには気をつけた方がいい」

ラウラ「は、う、…」

顔を覗き込むと彼女は更に顔を赤くして海へと走っていった。

マクギリス「…大丈夫なのか、彼女は」

シャル「照れてるんだと思うよ。多分大丈夫」

マクギリス「そうか。なら良いが…シャル、君の水着も、似合っているよ」

シャル「ふぇっ?だ、だってマクギリスが選んでくれた物だし…」

マクギリス「いや、実際に着てみて貰うのはやはり段違いだな。君がより一層輝いている」

シャル「あ、ありがとう、マクギリス」
172 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 02:19:59.96 ID:IjEHhboQ0
一夏「おーい、みんなー」

マクギリス「どうした?」

一夏「いや、ビーチバレーやるんだけどよ。マクギリス達はどうだ?」

マクギリス「ほう。面白そうだな、受けて立つ」

シャル「相手は…うわあ。織斑先生かあ」

マクギリス「たしかに難敵だが、それに挑んでこそだ。我々は、彼女を超える必要がある」

シャル「マクギリス、これビーチバレーだよ…」

マクギリス「わかっているさ。だが、無様を晒す訳にもいかんだろう」

シャル「ま、頑張ろっか」

激戦の火蓋が、切って落とされた。
173 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 03:03:54.59 ID:w+d6fKWL0
マクギリス「くっ…これほどとは…」

マクギリス(的確なパス繋ぎに、正確なスパイク。これが、世界最強、織斑千冬の本性か…!)

マクギリス「ぐっ!?」

千冬「すまん、コントロールを誤った」

シャル「マクギリス!?」

マクギリス「ここまで、か…」

私はそこで、意識を手放した。

暫く時が経ち、夕食前には、意識を取り戻す事が出来た。

セシリア「マクギリスさん、お加減は…」

マクギリス「心配は不用だ。もう、大丈夫だ」

セシリア「何かありましたら、私にお任せくださいな」

マクギリス「…むしろ君が大丈夫なのか?先程から足元が辛いようだが。なんなら、椅子の席に移らせて貰ってはどうだ。正座、キツいのだろう?」

セシリア「こ、これくらいなんてことありませんわ」

マクギリス「無理はするなよ。君は大切な友人だからな」

セシリア「友人…」

マクギリス「セシリア?」

セシリア「いえ、なんでも」

シャル「マクギリスって、普段鋭いくせにそういうとこあるよね」

マクギリス「どういう事だ?…って、待て、シャル。その香辛料を直接口にするんじゃない」

シャル「え?…〜ッ!?」

マクギリス「遅かったか…それは魚の生臭さを中和する為の香辛料、ワサビだ。風味は良いが、多量に摂取するとそうなる。これを飲むと良い」

茶を差し出すと、シャルは涙目ながらに受け取った。

174 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 03:38:14.56 ID:xN9HK4IA0
夕食後。私の部屋を、一人の男が尋ねた。

マクギリス「…君か。まさか、こんなところで再会するとは。喜んで良いのか、悪いのか」

「なに、どうって事ねえだろ。お互いやれる事やって、死んで。ここに流れ着いた。そんだけだ」

マクギリス「…君には怨まれていると思っていた。私に関わらねば、こうはならなかった。違うか?オルガ団長」

オルガ「ま、確かにな。けどよ、クーデリアのお嬢さんを地球に届ける時、アンタが手助けしてくれなきゃ、鉄華団は終わってた。アンタのおかげで、俺たちは短い間だろうがマシになれた」

マクギリス「だが、君たちは私の話に乗ったからこそ…」

オルガ「乗ると決めたのは俺らだ。それによ。まだミカや昭弘が来てねえって事は、俺が繋いだ道をアイツらは止まらずに進めたって事だ。アンタが単身ギャラルホルンを惹きつけてくれたから、鉄華団のメンバーの道は拓けた。最後まで裏切らなかったアンタを怨む気はねえよ」

マクギリス「…君たちとは、この世界でも協力関係で居たい。どうせ、アリアンロッドも居なければ、火星も土地としてはない。地道に這い上がるとしよう。どうかな」

オルガ「ああ。今後とも、鉄華団を御贔屓に」

オルガ「にしても、アンタなんか変わったな、マクギリス。憑き物が落ちたっつーか。野望を果たせなかった割には良い顔する様になったじゃねえか」

マクギリス「…かもしれないな。あの世界で無くした物や切り捨てた物が、戻ってきたような気がしている」

オルガ「あのお嬢さん方か。なら、アンタが守ってやれよ。仲間を、家族をな。…じゃあ、またな」

マクギリス「…ああ。ありがとう、オルガ団長」
175 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 03:51:28.66 ID:xN9HK4IA0
翌朝。旅館の通路に、何故か相当に嫌な顔をした箒が居た。その視線の先には、引っ張って下さいと書かれた看板と、一対の機械の…耳?の様な物。

マクギリス「箒、どうしたのかな。こんなところで。それは?」

箒「知らん。マクギリス、処理は任せるぞ」

それだけ言うと、去っていった。なんなんだ、これは。

セシリア「マクギリスさん?どうなさいましたの?」

マクギリス「いや、これはどうすべきか、とな」

セシリア「引っ張って下さい、と書いてありますわね。引っ張ってみては?」

マクギリス「そうだな。では、引かせて貰おう…!」

手答えも殆ど無く、簡単に地面から抜けてしまった。

マクギリス「……なんだこれは」

セシリア「…?マクギリスさん、上を!」

マクギリス「なにっ!?」

上から、人参の様な巨大なロケットもどきが目の前に突き刺さる。

マクギリス「離れろ、セシリア」

言うと同時に、けたたましい笑い声が内部から響きながら、人参ロケットが縦に割れた。

「いやあ、引っかかったねマー君、ぶいぶいっ!あれ、箒ちゃんはー?」

呆気に取られる。なんだ、これは。

「ま、良いや。この箒ちゃんセンサーで探すから。またね、マー君」

彼女もまた去っていった。

セシリア「今のは、なんですの?」

マクギリス「わからない」
176 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 04:03:44.93 ID:OTSb1N6S0
次回予告
ハッシュ「次回、インフィニット・マクギリス。ギャラルホルンの上に立ち」

ハッシュ「三日月さん、元気でやってるかな…」
177 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 00:35:39.00 ID:Y+aGe5750
マクギリス「待たせて、すまないな」

マクギリス「友を失うのは辛い、本当に。見ていて辛いな、あれは」

マクギリス「しかし、次回作はとうとうアリシゼーションか。アニメ一話から付き合って来た身としては感慨深いな」

マクギリス「さて、なかなかに階級が上がらなくなってしまったな…もう少し、2側の感覚に馴染まねばならんな。未だにフルブの感覚が抜けない」

マクギリス「では諸君、書いている間今しばらく待っていて欲しい」
178 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 00:57:53.14 ID:OOC2qSr/0
第11話 ギャラルホルンの上に立ち


千冬「それでは、各班は振り分けられた機体で装備試験、専用機持ちは専用パーツのテストだ。ファリド、お前のグリムゲルデはメンテナンス中だ、専用機持ちの補佐に回れ」

マクギリス「了解した」

千冬「篠ノ之、お前はこっちだ。お前には、今から専用機が…」

凄まじい音と共に、今朝方の奇妙奇天烈な女が崖を駆け下り、織斑千冬に飛びかかった。

「ちーちゃーん!会いたかったよー!さあハグハグしよ、愛を確かふぎゅっ」

そのまま織斑千冬のアイアンクローに阻まれた。なんだこの女は。

千冬「うるさいぞ束」

束「ぐにゅにゅう、相変わらず容赦ナッシングだねぇ!良いけど!」

一瞬して抜け出した、だと…

マクギリス(……束、だと?)

束「やあ、久しぶりだね箒ちゃん!何年ぶりかな!?大きくなったね?特におっぱふぎゅっ!?」

箒「殴りますよ?」

殴ってから言っても仕方ないのでは。

束「殴ってから言ったぁ!箒ちゃんひっどいよう!」

千冬「漫才もほどほどにしろ。生徒たちが戸惑っているだろ。挨拶くらいしろ」

束「えっへん!私が天才の篠ノ之束さんだよー!ハロー!終わりん!」

マクギリス(これが、あのインフィニットストラトスの開発者、だと…!?)

予想の斜め上に突き抜けすぎた様な人物性だった。
179 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 01:26:42.15 ID:uJOD7AAD0
千冬「はあ…こいつは気にするな、作業を続けろ」

束「ひどいなー、らぶりす束さんって呼んで良いんだよ?」

千冬「うるさい黙れ」

山田「あの、この場合どうしたら…」

千冬「気にしなくて結構です、山田先生。そのまま各班のサポートをお願いします」

束「ちーちゃんが優しい、だと…!?おのれおっぱい魔神、私のちーちゃんを誑かしたなぁ!?うらやまけしからんッ!」

山田「んきゃあああ!?」

セクハラをしだしたぞ、この天才。

千冬「誰がお前のだ。それに、胸ならお前もあるだろ」

束「てへへ。ちーちゃんの、え・っ・ち」

千冬「死ね」

なんだこの女、意味がわからない。

箒「あの、姉さん。例のあれは…」

束「んふふー、もっちのロング!用意してあるよ!現在稼働中の全てのISを上回る、箒ちゃんのワンオフ、オンリーワンの最高級品がね!さあさあ、大空をご覧あれえ」

空から、銀色に輝くコンテナが我々の目の前に落ちた。

束「これこそが、世界唯一の第四世代完成型!全てのスペックが現用機を凌駕するウルトラハイスペック!その名も、紅椿!」

マクギリス(馬鹿な、第四世代だと!?)

各国が様々な策謀、非合法な手段を用いてまでも未だに第三世代の開発途上。この機体は、そんな現状を嘲笑うかの存在だ。現時点をもって、既に他のISを時代遅れにしてしまったのだ。

マクギリス(世界のパワーバランスを一変させかねない危険な機体だな。そんな物を、妹とはいえ一個人に預けるとは)
180 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 02:01:46.83 ID:C0mrRa6R0
「篠ノ之さん、妹だからって機体貰えるんだ…」「なんかずるいなー」

女子たちのなんて事はない会話に、篠ノ之束が目敏く反応した。

束「あっれえ、君達は歴史の勉強をしてないのかなぁ?人類が誕生してから、一度たりとも世界は平等になんてなってないんだよ?」

マクギリス「…とはいえ、人は平等を理想とするものだ。互いに等しく競い合い、等しく成果を手にする。生まれや所属、地位や家督も関係なく、力を研ぎ澄ます事で高みを目指す事の出来る世界を、皆が望んでいる」

束「…ふふふ、やっぱり君は一味も二味もそこらのザコとは違うなー。面白いよ、君は」

束「さーてと、最終調整完了!さっすが私、速いよね。さ、箒ちゃん。君の力を見せる時だよ!

紅椿が、空に舞い上がる。

一夏「速いな…」

その機動性は、第四世代の名に恥じない、凄まじいものだった。

束「どうどう?思ったよりも動くでしょ?」

箒「機体が、私の思考について来る…これが、紅椿の力!」

束「次は武器試そっかー。武器特性のデータを送るよー」「右がハワード、左がダリルだ」

束「いや違うから、っていうか今の何処から聞こえたの!?」

束「…こほん。右が雨月、左が空裂だよー」

束「んじゃ、これを撃ち落としちゃって」

篠ノ之束の横に、ミサイルポッドが出現した。そこから放たれたミサイルを、紅椿は難なく駆逐して見せた。
181 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 03:47:29.15 ID:ndQ4dHpl0
マクギリス(凄まじいな…)

山田「お、織斑先生っ!」

山田先生が駆け寄ってくる。それもかなり慌てた様子。

千冬「どうしました、山田先生。…これは…)

千冬「全員、作業を中止。訓練機を片付けて旅館の部屋にて待機。許可なく出た者は身柄を拘束する」

束「んん?どったのちーちゃん」

千冬「お前が言うか」

束「ふえ?どゆこと?」

千冬「…まあいい。専用機持ちとファリドは私についてこい。無論篠ノ之もだ」

箒「はいっ!」

マクギリス(随分と、浮かれているな)

旅館の一室。そこに急拵えされた司令室が、異常な事態の進行を予感させる。
182 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 06:31:44.96 ID:MD/sTeOL0
千冬「状況を説明する。ハワイ沖で試験中だったアメリカ、イスラエル共同開発軍用機、シルバリオ・ゴスペルが暴走、制御不能に陥った」

マクギリス「まさか、それを我々で対処せよ、と?」

千冬「そのまさか、だ。福音と呼称するが、その福音は護衛部隊による包囲を突破、監視空域を離脱。衛星監視による軌道からの予測では、ここから2キロの地点をマッハ2以上の速度で通過する。あまり時間はない」

マクギリス「暴走状態の軍用機の対処を、仮にも学生に行わせるとは」

千冬「仕方あるまい。現行の軍用機では福音に対処しきれん。曲がりなりにも最新鋭機である専用機持ちに対処を委ねる、と言うのが上層部の意向だ」

千冬「ファリド、専用機の方はどうなっている」

マクギリス「まだ調整が済んでいない。少なくとも夜までは掛かりそうだ」

束「この速度でなら、紅椿なら間に合うよ?すぐに準備すれば、だけど」

千冬「…篠ノ之、やれるか?」

箒「はい!お任せを!」

千冬「この状況下では、会敵は一度きりか。一夏、お前の零落白夜が切り札だ。紅椿に運搬役を担わせ、お前が仕留める。最適な作戦ともなればそれしかあるまい」

一夏「…わかりました。やってみせます」

マクギリス「…私に出来る事は無いな。一夏、これは訓練ではない。必ず、無事に戻って来い」

一夏「ああ。行ってくる」

千冬「二人とも、準備に掛かれ」

一夏と箒、二人が部屋を出て行く。私はその背中に一抹の不安を感じていた。

そして、その不安は、作戦の失敗と、一夏の危篤状態という最悪の結末をもって、現実となった。
183 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 07:15:22.61 ID:MD/sTeOL0
次回予告

マクギリス「重傷を負った一夏、奮起する少女達。劣勢へと追い込まれてもなお立ち向かう気高き少女達の元に、ついに白亜の悪魔が舞い降りる」

マクギリス「次回、インフィニット・マクギリス。その機体の名は」

マクギリス「これこそが、唯一絶対の力…!」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 08:47:49.22 ID:MFcraMjl0

次回予告でガンダムの主人公機が新しいのになる時のwkwkを感じてしまった
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 13:54:44.45 ID:hUjjltcT0
ブシドーさん何戯言宣ってるんですか、早くガンダム倒してくださいよ
2になってからバエルの特射ですり抜け出来なくなってない?
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 16:39:20.47 ID:yMZvDp+G0
遂に次回でアグニカの魂が目覚めるのですね…
待ちかねたぞ!
187 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 18:17:50.96 ID:+vWW44h10
マクギリス「さあ、土曜日だ、諸君。私は仕事だったが。現在ゲーセンでアグニカ中だが、なかなか三連までは行けないな」

マクギリス「しばらくアグニカの予定なので、下手で良ければ店で組んで貰えると助かる。気軽に声をかけてくれ。まあ、居れば、だが」

マクギリス「最新話は今夜の予定だ。しばらく待っていて欲しい」
188 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 20:17:58.22 ID:9L/GBJq20
ガンダム・バエル
第十二話 その機体の名は

夕刻。私の予測通り、彼女らは動いた。

マクギリス「本気で、行くつもりか」

鈴「当たり前じゃない。奴を仕留めるなら、今からじゃなきゃ間に合わないわよ」

箒「ここで引き下がる訳にはいかない、絶対に」

セシリア「織斑さんは大切な友人ですもの。敵討ちなら協力いたします」

ラウラ「教官は自由に動けぬ方だ。我々がやるべきだ。教官の代わりに」

シャル「このまま見て見ぬ振りは出来ないよ、マクギリス。あの時は、見てるだけしか出来なかったんだから。力があるからこそ、引けないよ」

マクギリス「止めても、無駄なようだな」

鈴「当然じゃない。女には、引けない時があんのよ」

シャル「マクギリスだって、グリムゲルデが使えたら行くでしょ?」

マクギリス「…困った子達だ」

鈴「ま、こっちは五人。負ける道理は無いわよ。ゆっくり待ってなさい、チョコ」

ラウラ「では、嫁。帰る場所を守っていてくれ」

彼女達は、決意を胸に、敵地へと向かう。私には、それを止める事は出来なかった。
189 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 20:33:56.27 ID:9L/GBJq20
そして、日が落ちた頃。私は司令室に居た。

マクギリス「彼女達は動くぞ。もはや止められる者は居ない」

千冬「お前でも、か。やれやれ、問題児ばかりで困る」

マクギリス「私にも、出撃許可を貰おうか」

千冬「やると思うか、馬鹿者」

マクギリス「彼女達を放ってはおけない。それは、君も理解しているだろう?」

千冬「ダメだ。策もなく生徒を危険にさらす訳には…」

山田「織斑先生、福音が!」

マクギリス「どうやら、始まった様だな。では、二択といこうか」

千冬「二択、だと?」

マクギリス「私に出撃許可を出すか、処罰する対象が一人増えるか。どちらが君にとって有益か、聡明な君なら分かるだろう?」

千冬「馬鹿者が。脅迫かそれは」

マクギリス「私も、果たすべきを果たす必要がある。それに?」

突如、生徒数人が司令室に入り込んで来る。

「先生、織斑君が、織斑君が…!」「おりむー、行っちゃったよぅ…」

マクギリス「何!?あの怪我で、彼が…」

千冬「ええい、どいつもこいつも!ファリド!」

マクギリス「…何かな」

千冬「全員連れて戻って来い。失敗は許さんぞ」

マクギリス「勿論だ。私がこちらで、何かを仕損じた事は無いだろう。必ず、連れて戻る」

タイミング良く、端末に着信。出ながら、駆け足で石動の元へ向かう。
190 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 21:08:28.06 ID:9L/GBJq20
推奨BGM IBOオリジナルサウンドトラック Sings of Victory

マクギリス「石動、準備は出来ているな」

石動「勿論です。カタパルトの方角も問題ありません。御武運を」

バエルを装着、起動させる。バエルと一体化し、カタパルトに乗る。

マクギリス「素晴らしい仕上がりだ。…マクギリス・ファリド、ガンダム・バエル、出るぞ!」

カタパルトによる一時加速、さらにイグニッションブーストを五回連続発動。流星のごとく、空を駆ける…!

マクギリス「あれか。まったく、困った奴だ」

一夏の白式を捕捉、そのまま掴んで共に加速する。

一夏「な、なんだこいつ、放せ!」

マクギリス「一夏、私だ。傷は問題無い様だな。このまま戦闘に介入するぞ」

一夏「ま、マクギリス…!?その機体は、それにこのスピードは…!?」

マクギリス「話は後だ。…見えた、箒が捕まっているな。私が突撃して引き?がす、その隙にほかの皆と共に態勢を立て直せ」

一夏「わかった!」

白式を放し、更に加速。的確に福音に加速を載せた蹴りを見舞う。近くの砂浜に叩き付け、盛大に土煙をあげる。

箒「な、なんだ今のは…!?」

一夏「箒、無事か!?」

箒「一夏!?何故お前が…!?」

一夏「話は後だ、今は福音を!」

シャル「今の白い閃光みたいのは一体…」

土煙の中から、バエルソードを抜剣しながら舞い上がる。

マクギリス「諸君。反撃の時は来た。見せてやろう、奴に我々専用機持ちの力を…!」
191 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 21:30:53.55 ID:9L/GBJq20
推奨BGM One Way

福音が、土煙から飛び出してくる。損害はほとんど見受けられ無い。

マクギリス「奴は私が惹きつける。君たちは一度態勢を立て直し、隙を見て奴に攻撃を叩き込め」

ラウラ「嫁…!?その機体は、いったい…」

マクギリス「これこそが、私が持つ唯一絶対の力…ガンダム・バエルだ。後方支援は任せるぞ」

セシリア「あれが、ガンダム・バエル…」

シャル「マクギリスの、専用機…!」

スラスターウィングの出力を一気に最大に引き上げて、福音へと突撃する。

マクギリス「遅れた分の仕事はしよう。この、バエルで!」

福音とバエルがぶつかり合う。致命傷は避けられてはいるものの、目に見えて福音にダメージが溜まっていく。

シャル「速すぎる…!これじゃ援護だって…」

ラウラ「これが、マクギリスの真の力だと言うのか…!」

福音の拡散射撃を、間を縫う様に左右移動しながら肉薄する。バエルソードの一撃が、福音を吹き飛ばす。

マクギリス「今だ!」

体勢を崩した福音に、ラウラと鈴、セシリアの主力武装が叩き込まれる。

マクギリス「存外硬いな。軍用機だけはある」

福音は未だ健在だった。
192 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 22:00:50.97 ID:9L/GBJq20
福音が、バエルから逃げ回りながら射撃をばら撒く。弾幕を掻い潜り、斬り付け、突き刺し、叩き伏せる。

鈴「なんなのよ、あれ…あれが人間の動きなの…?」

セシリア「あの福音を、圧倒していますわ…!」

螺旋を描く様にして、幾度と無くぶつかり合う。

マクギリス「まだ、墜ちないか…!」

バエルソードでX字に斬り付け、吹き飛ばす。

一夏「今だ!箒!」

箒「ああ!」

体勢を崩した福音に、二人が一太刀叩き込む。

マクギリス「まだ浅い…」

福音が、白式にエネルギー砲を撃つ。左腕のシールドで、それを防いで見せた。

一夏「くそ、もうエネルギーが!」

マクギリス「私に任せて下がれ」

福音を惹きつける。その間に、箒の紅椿がワンオフアビリティを発現、味方の機体を接触によるエネルギーの回復を成し遂げた。

福音とバエル、二つの白が夜空に舞い、激突する。互いに弾かれた所を、一夏が肉薄する。

一夏「これで、終わりだ!」

一夏が零落白夜を、福音に叩き込んだ。

マクギリス「まだ、倒れないか…!」
193 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 22:15:51.00 ID:9L/GBJq20
マクギリス「だが、隙は出来たな」

イグニッションブーストを瞬間的に複数回発動する事による、超加速。その一撃が、福音を捉える。

マクギリス「これで、終わりにしよう」

バエルソードを突き刺さしたまま、砂浜に叩き付ける。ガリガリとシールドエネルギーが削れる手答えと共に、ついに福音が沈黙した。

シャル「倒したの…?」

ラウラ「なんという…これが、ガンダムバエルの力か…」

マクギリス「…作戦は、成功した。皆、怪我はないか」

福音から解放された女性パイロットのバイタルを確認する。…命に別条は、無いみたいだが。

マクギリス「では、帰るとしよう。皆が、待っている」

ちょうど、朝日が昇り始めていた。暖かな光が、皆を照らしていた。
194 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 22:25:34.54 ID:9L/GBJq20
マクギリス「すまない、疲労がピークに達した。少し眠らせて貰おう。深夜には再開するので、しばらく待って欲しい」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/07(日) 00:53:02.80 ID:8XvWgyeqo
乙、無理しないでええんやで
196 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 09:58:37.00 ID:5HieY8Ri0
マクギリス「すまない、よもや熟睡してしまうとは」

マクギリス「とりあえず、ちょくちょく書かせて貰おう」
197 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 10:11:47.40 ID:5HieY8Ri0
旅館に戻り、我々を出迎えたのは織斑千冬と、山田真耶。

千冬「作戦成功、と言いたいところだが。わかってるな?お前たち。学園に戻ったら、反省文と懲罰用トレーニングを課してやるから覚悟しておけ」

マクギリス「命令違反の咎は、受けねばならない。励むと良い」

千冬「貴様もだぞ、ファリド」

マクギリス「なっ!?私は許可は取ったはすだろう」

千冬「教師を脅す馬鹿者にも懲罰は必要だ。反省しろ」

マクギリス「…バエルを持つ私は、その様な些末事で、断罪される身ではぐっ!?」

千冬「関係あるか、馬鹿者が」

鋭い出席簿による
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