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【安価】殺人鬼コナン2【コンマ】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 11:55:58.08 ID:U04Lv4yCO
【注意】

・この作品は「名探偵コナン」の二次創作「ではありません」。
名探偵コナンの知識があった方が楽しめますし、作中に作品としての「コナン」は出ますが、コナンの登場人物が出るようなことはありません。

・全編シリアス、地の文で進行します。残酷シーンやベッドシーンも多少ありますので、苦手な方は注意してください。

・安価選択とコンマ判定を使うことがあります。
なお、安価・コンマスレというよりは分岐つきノベルに近いものになります。

>>2以降に登場人物紹介です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1548212158
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 12:26:04.52 ID:U04Lv4yCO
(登場人物紹介)

・毛利仁
33歳、176cm、71kg。階級は警部補。準キャリア。
中肉中背、髪は短めでガッシリとした体格。目は細目の二重。趣味はラーメン屋巡りと料理、競馬。
朝はコーヒーを淹れるのが習慣。愛車はフィット(2代目)。音楽は洋楽派でQUEENを良く聴く。愛煙家。
性格は生真面目。やや融通が効かず、冗談がうまく言えない。丹念に情報を拾い、足で捜査するタイプ。デスクにはあまりいないことが多い。

「3周目」の「未来の記憶」がある。ただし、詳細なものではなく忘れたままになっていることも多い。人格も20年後のそれとは大分違うもよう。
20年後には一匹狼の元刑事「デッドマン」として活動している。目標確保・殺害のためなら容赦なく手段を選ばない男として知られている。
2019年4月28日の「熊谷大虐殺」で、恋人の宮原美和を殺害されたことで人格が壊れたらしい。現在は彼女が存命中のため、人格が現状のままということになっている。

過去に妹を殺された過去がある。
3 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 12:35:25.17 ID:U04Lv4yCO
・藤原湖南
9歳、132cm、34kg。精神年齢は29歳。20年後は監察医にして警視。
未来の日本は2033年の「東京大震災」を機に東西に分裂。東日本政府の警視庁に属する。ただ、震災の被害と内戦で東西ともに相当疲弊しているらしい。

未来の凶悪犯を殺害する「バッドエンド・ブレイカー」の一員。東京支部の実行部隊のリーダーでもある。
バッドエンド・ブレイカーは20年後の警察で構成されているが、「西」の公安である古畑らとは敵対関係にある。
「熊谷大虐殺」の被害者。最大の惨劇の舞台となった映画館の数少ない生き残りで、映画館には今でもトラウマがある。
惨劇の犯人グループである佐倉ら「勉強会」の潰滅、皆殺しを狙う。基本的に、犯罪者に対する容赦はない。

外見は名探偵コナンを少し大きくしたようなもの。射撃だけでなく格闘術にも長けている。趣味は料理、家事全般、読書。ラーメンはスープから作ろうと思えば作れる。
本来の9歳の自分を押さえ付けているため、常人の倍近い睡眠時間を要する。そのため、日常は寝るか古典推理小説(原本)を読んでいる。
好きな音楽はレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。邦楽はあまり聴かない。
本来の性格は穏やかで温厚。何もなければ良い医者になっていただろう。

20年後では恋人の歩美がいたが、タイムスリップの少し前に殺害されている。
生き写しであり「イレギュラー」の吉岡愛結に惹かれ、結ばれた。
なお、セックスはかなり上手い。普段押さえ付けている「9歳の自分」の影響からか、本当は愛結に甘えたい衝動を持っている、らしい(理性が強いのでそれが表に出ることはほぼない)。
4 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 14:21:05.09 ID:MPH0J7u6O
・城隆一郎
14歳。168cm、58kg。国立学園大付属中学校に所属。全国2位の秀才。前髪は長めで眼鏡をかけている。「僕たちは勉強が〜」の某主人公を気弱、かつ暗めにしたイメージ。
女顔であり美形だが、陰気な雰囲気から異性の人気はない。友人も後述する薬師丸英華以外にいない。

趣味は特になし。敢えて言えば勉強。幼馴染みの薬師丸英華のことは大切に思っているが、彼女をストーキングしていた同級生の兄を小6時に殺害したことが負い目になっている。
それ以来、彼女とは一歩引いた関係を築いていた。

殺害現場を「何故か」見ていた佐倉翔一に脅される格好で「勉強会」の一員となる。そこで強力な麻薬である「アイスキャンディ」の摂取とセックスに溺れる。
その過程で「低俗な世界を全て壊そう」と持ち掛けられ、熊谷大虐殺に加担。本来の歴史では、このまま突き進むはずだった。
作中では「勉強会」メンバーの相次ぐ死で計画は「今のところ」霧消している。

アイスキャンディの副作用で、脳細胞の壊死が避けられない現状にある。まだ自覚症状はないが、このままだと1年後に死亡する。
薬師丸英華の誘拐と奪還で佐倉翔一とは一応切れている。捜査過程で毛利仁と出会い、「未来の記憶」を持つ「覚醒者」の存在を知る。

キレると手に負えない獣性があり、ストッパーが外れると記憶が飛ぶ。本質的には快楽に溺れやすく、快感さえあれば女装セックス(受け攻め両方)も躊躇わない。
ゲイではないが、バイではあるかもしれない。女装した佐倉翔一(サクラ)に惹かれていた節はある。
英華には異性として惹かれているが、愛される資格はないとも思っている。また、彼女が自分を肉親に近い存在と捉えていると思っている。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 14:35:07.99 ID:N1T+qju00
痛い
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 15:26:55.32 ID:T5phpCODO
立て乙です
7 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 16:32:05.41 ID:MPH0J7u6O
(登場人物紹介・ヒロイン)

・宮原美和
29歳。身長156cm、体重47kg。推定Bカップ。茶がかったショートボブ、少し童顔気味。ルックスのイメージは東方の諏訪子を少し大きくした感じ。
外資系運用会社の広報として働くキャリアウーマン。刑事だった夫とは死別。5歳の娘、亜衣がいる。
性格は明るく天真爛漫だが、相応の思慮深さもある。趣味は食べ歩き一般。食べてもあまり太らない体質。
毛利仁とは恋愛関係にあり、彼についての一通りの情報は得ている。

・吉岡愛結
27歳。身長164cm、体重53kg。推定D〜Eカップ。ちゃんとすればかなりの美人だが、どことなく暗い。艦これの翔鶴を黒髪にし、髪の長さをセミロングにした感じ。
いじめに遭った親友を見殺しにした過去から、自分に自信を持てず幸せになってはいけないとどこか自棄になっていた。
そのため看護士の傍ら売春行為を行っていたという背景がある。この過程でアキヤマ電機の御曹司、秋山雄一に狙われ逃げ出していた。
本来の歴史では秋山に殺害される運命だったが、コナンと出会い彼を殺害。現在はバッドエンド・ブレイカーの一員として行動中。
趣味は音楽鑑賞。料理は実は相応に上手い。前の周での「吉岡愛結」とは別人である可能性が高く、本来の歴史では存在しない「イレギュラー」であると見られている。

・薬師丸英華
13歳。159cm50kg。推定Aカップ。国立学園大付属中学所属。城隆一郎とは幼馴染み。
明るく素直なスポーツ少女で裏表がない。水泳では国体3位で、将来の五輪候補とすら見なされている。
一人称はオレを使っていたが、小6時の事件を境に離れていた城との距離を詰めようとしたからという理由がある。現在は本来の一人称「あたし」に戻している。実は打たれ弱い。
ルックスは「僕たちは勉強が〜」のうるかを少し幼くした感じ。フィリピン人の母親がおり、肌は地黒。
本来の歴史では存在しない「イレギュラー」であるのは判明しているが、詳細は不明。
8 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 16:48:39.09 ID:MPH0J7u6O
(登場人物紹介・警察関連)

・木暮悟
48歳、身長は166cm。役職は警視。埼玉県警捜査一課のNo.2役職である管理官(管理官は通常2、3人いる)。
ノンキャリアの叩き上げ。別名「仏の木暮」と呼ばれる温厚な男。ただ、怖い顔もあるとの噂もある。推理力は確か。現在は目立った動きを控えている。
イメージは小日向文世を10ぐらい若くして眼鏡をかけた感じ。

・赤木航
43歳、身長177cm。役職は警部。通称赤さん、赤。埼玉県警捜査一課強行3係の係長。ノンキャリアの叩き上げで、やや強面。
家庭持ちで妻と娘の3人家族。妻は元警察で2つ歳上。恐妻家らしい。娘は普通の小学生。
イメージはコナンの高木刑事を老けさせて少し猫背にした感じ。「覚醒者」の存在を知っている。

・青葉和行
36歳。埼玉県警捜査一課強行3係。通常青。役職は巡査部長。ノンキャリアの巨漢にして大食漢。
温厚で暢気な男のように見えるが、その実は武闘派。荒事には真っ先に飛んでいく。柔道では県警屈指の強さ。なお、仁とはラーメン仲間である。ジロリアン。
独身だが県警に長年付き合っている恋人がいるらしい。イメージはバジリスクの鵜殿丈助を清潔にした感じ。

・白島三郎
29歳。準キャリアの巡査部長。無口で慎重派。
イメージはコナンの白鳥をもう少し若くして暗くした感じ。私生活不明。

・若葉大輔
50歳。埼玉県警捜査一課前課長。地方公務員上級のいわゆる「地上キャリア」。上昇志向が強く県警トップへの野望は隠さない。
事務処理や政治工作に長けているが、刑事としては無能。事件が起こるとなるべく穏当に済ませようとする。加点を積むのではなく失点を抑えたがるタイプ。
イメージは歳を取った金田一少年の〜の明智を嫌味たらしくした感じ。金路アゲハの父親であり、彼女と「勉強会」の犯罪を隠蔽していた。現在は逮捕され拘留中。妻は衆議院議員金路栞。こちらは「まだ」逮捕されていない(ただし失脚も確実)。

・八代倫
54歳。スレンダーだがキツい印象を与える初老の女性。埼玉県警主任監察医。性格もキツめで口さがない。ただ、正義感も強い。
木暮管理官との付き合いは長いらしい。シングルマザーで息子は成人済み。親子仲はあまり良くはないとのこと。
イメージはワンピースのDr.くれはを若くした感じ。

・白田兵次郎
63歳。元埼玉県警捜査一課3係係長の元警部。ノンキャリアでその存在は広く知られていた。警察学校への任官を拒否し、鶴ヶ島市の住宅街で喫茶店「カフェ・ドゥ・ポワロ」を開業した。
仁の料理の師匠であり、事実相当な腕前。雑誌に載るほどの評判であり、コーヒー教室も開いている。どうもバツイチであるもよう。
イメージは白髪にした大杉漣。

実は複数回タイムスリップしており、何度となく歴史改編を試みた男。過去は全て失敗しており、今回はギリギリまで動かないつもりでいた。
前の周ではコナンとも面識があり、バッドエンド・ブレイカーとも繋がりがある。ただし、協力要請は断っている。
まだ多くの謎と秘密を抱えているようだが、本人の口は重い。佐倉については何かしらの対応が必要という認識がある。
バイトの美樹という女子大生に恋愛感情を持っていると本人は言っているが、真偽のほどは一切不明。

・兵藤京介
48歳。警視庁捜査一課強行4係係長。慇懃無礼と言えるほどの馬鹿丁寧な言葉遣いをする。
難事件ほど燃えるタイプらしく、今回の一件にも顔を突っ込んできた。頭は切れる。紅茶党。某ドラマに影響を受けているらしい。なお、白田は兵藤のことを知らない。
イメージは第一シーズンぐらいの相棒の右京。
9 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 17:06:20.09 ID:MPH0J7u6O
(登場人物紹介・「勉強会」)

・佐倉翔一
13歳。身長156cm。小柄で中世的な外見の少年。ウイッグを付ければ美少女にしか見えない男の娘となる。
性格は冷静沈着。「勉強会」のリーダーであり最も頭が切れる。法曹界最大手級の「佐倉法律事務所」の一人息子?
どこから不明だが合法(脱法)麻薬「アイスキャンディ」や拳銃を仕入れてきており、正体不明。
開明中に通学していると思われるが、裏が取れていない。
恐らくはホームレスの件以外にも殺人歴あり。人を殺すことに躊躇いがないサイコパスであり、徹底した快楽主義者。
性欲を満たせるなら対象は男でも女でもいいと考えている節がある。
イメージはバカテスの秀吉を10倍ぐらい色々黒くした感じ。
「覚醒者」であることがほぼ確実視されている。本来の歴史では事件後に社会復帰し、改名の上で実業家となった。相当の権力を有していたとみられる。
なお、アイスキャンディの副作用が何故か出ていない。

・鶴岡和人
14歳。身長176cm。見るからにヤンキーじみた三白目の一重の少年。十番中に通学中。
上2人はボクサーであり、長男の光人はバンタム級の世界王者。ただ、実力は疑問視されており「金で世界王者になった」とのアンチが非常に多い。
和人は上2人をスパーでボコボコにしたとの報道があり、「こいつだけは本物では」と一部で言われている。実際、力量はその通りのもよう。
(もっとも、これにはアイスキャンディの力も相当程度ある)
性格は粗暴であり、人を人とも思わない冷酷さもある。兄二人のことは心底馬鹿にしている。
アイスキャンディの副作用が徐々に出ているようで、佐倉に不信感を抱きつつある。現在はメキシコ滞在中。
イメージは……まあ察してください。あそこの3男の若い頃。

・金路アゲハ
享年13歳。身長161cm、体重43s。Cカップ。桜岡中に通学していた。ちょっときつめの目つきの美少女だが、内面は極悪。
拝金主義者にして快楽主義のサイコパス。佐倉翔一との相性はいいかと思いきや、近親憎悪なのかそこまででもなかった。
当然快く思わない子は多かったが、歯向かう者は陰湿な手段で屈服、ないしは放逐していた。なお、これは「彼女の気分がいい時」の話である。
作中で分かっている殺人は2件だが、実は手を下したのはもう1、2件ある。恐らくは母親(と誰か)がもみ消している。間接的に手を下した(つまりいじめによる自殺)のはもっと多い。
コナンにより激しい苦痛の中で死んでいった。イメージはうみねこのベルンカステル。

・矢向
183cm。佐倉の執事と思われる初老の男性。慇懃無礼だが明らかに堅気ではなく、異常な戦闘能力を持っているもよう。
正体は現時点で一切不明。佐倉に加担している理由も不明。
イメージは嘘喰いの夜行兄。

・唐川
195cmの巨人。元はただのチンピラだった。新型アイスキャンディの効果で圧倒的な暴力を有するようになる。
半面、身体が急速に蝕まれ本編時点ではほぼ余命がない状態だった。アイスキャンディなしではほぼ行動できないほど。
禁断症状と副作用で瀕死になったところをコナンが殺害する。
イメージは嘘喰いの伽羅。
10 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 18:11:20.29 ID:MPH0J7u6O
(登場人物紹介・「バッドエンド・ブレイカー」)

・バッドエンド・ブレイカー
凶悪犯罪を行おうとした人間の前に現れては銃殺していくという謎の殺人鬼。
手口が似通っているが、全国各地に現れており警察も尻尾を捕まえることができない。
バッドエンド・ブレイカーはネット上での通称。当人も自称している。
実は十数人による犯行グループ。「20年後の『東日本政府の警察』」がその正体。
今回に限り毒殺という手段を取っているのはアイスキャンディに絡んでいると思われる。毒薬はアイスキャンディに類似するもの。
主人公の一人、藤原湖南もここに所属する。

・須田興也
24歳。バッドエンド・ブレイカーの一人。身長182cm、細い糸目。眼鏡をかけている。
銃の腕は凄腕であるらしい。恐らくはこれまでの実行犯の一人。普段は大学院生で通している。
イメージはコナンの沖矢昴をもう少しごつくした感じ。

・浅賀由依
17歳。バッドエンド・ブレイカーの一人。身長167cm、体重50s。Aカップ。長髪の美少女。
情報収集担当でハッカー。20年後もどうもそういったことを担当していたようである。
物言いは少しきつめ。一応学校には通っているらしい。後述の小峰源とは、20年後では元夫婦。ただ、関係は微妙。
イメージは少し大きくなった艦これの磯風。ただし胸は控えめ。

・小峰源
15歳、184cm。大柄で見るからに体育会系の少年。柔道では全国上位であるらしい。
20年後は現場に乗り込む斬り込み隊長的なポジションだった。由依とは元夫婦で現在もベタ惚れだが、相手にされていない。

・藤原雄作
43歳。コナンの父親。バッドエンド・ブレイカーの一人だが、側面支援を担当しているもよう。白髪交じり。実年齢より少し老けて見える。
虐待疑惑をアユから持たれていたが、実際は温厚篤実な人物であるようだ。
イメージはコナンの工藤優作の髪を白髪交じりにした感じ。

・網笠博
45歳。内閣府副大臣で20年後は東日本政府の総理。無愛想で表情に乏しく、淡々と話す男。本人も自覚しているらしい。
バッドエンド・ブレイカーの首魁で、恐らくは白田とも面識がある。行動の真意は不明。
イメージは若い頃の西村雅彦。
11 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 19:47:21.02 ID:MPH0J7u6O
(登場人物紹介・「公安」)

・警察庁特別捜査室
20年後の西日本政府の警察庁公安を中心に結成された組織。警察庁内部にあり、名目上は那須川警視総監(一般人)がトップだが実質上は朝尾副総理が仕切っている。
目的は他の覚醒者の監視と犯罪抑止。バッドエンド・ブレイカーは不倶戴天の敵であり、当然正体もある程度把握している。強行しないのには理由もありそうだが……?

・古畑玲
24歳、身長173cm。役職は警部補。警察庁キャリア。一時は安川徹の名で埼玉県警に配属していた。
目的は毛利仁のヘッドハンティングだったが、バッドエンド・ブレイカーの活動本格化に伴い本庁に戻されている。
ノリが軽く飄々とした人物のように見えるが、その実は冷徹。コナンとの間には因縁があるもよう。
20年後では公安刑事として辣腕を振るっている。かなり外道な手段も使っていたようだが、本作ではまだ目立った動きはない。
イメージはペルソナ4の足立をもう少し切れ者にした感じ。

・増田清良
24歳、171cm58kg。役職は警部補。警察庁キャリア。ショートカットの癖っ毛。
20年後では古畑と並ぶ公安のエース。現在は埼玉県警内のバッドエンド・ブレイカーの内通者摘発のために派遣されている。
快活で話の通じる女に見えるが……?
イメージはコナンの世良を大人にした感じ。

・堺修司
35歳、172cm。役職は警視正。警察庁キャリア。いつもニヤニヤしている。
不祥事を起こした若葉の代わりに警察庁から派遣された。目的は毛利仁の監視。目立った動きは見せていないが、敢えてそうしているのかもしれない。
20年後は西日本政府の警察庁で警視総監を務めている。ただ、西日本政府への帰属心はあまりないもよう。
イメージは堺雅人の若い頃。

・朝尾一郎
68歳。日本国副総理であり、影の最高権力者との声もある。愛煙家。
覚醒者であるが、記憶は定かではないらしい。2023年に殺人を犯したとされているが、詳細は不明。
本来は東側の人間だが、西の公安に協力している理由も不明。言葉遣いは割と乱暴だが、懐は深い。モデルは麻生太郎。
12 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 20:01:03.81 ID:MPH0J7u6O
(登場人物紹介・その他)

・宮原亜衣
5歳。見た目は普通の幼稚園児だが、1日2時間限定で20年後の記憶と人格になる。
20年後は埼玉県警捜査一課の刑事。刑事になりたての時に一時毛利仁の部下だったことがある。熊谷大虐殺の生き残り。
冷静沈着で自己犠牲精神の強い人物。20年後に母親の恋人であった仁を慕ってはいたらしい。
SHELLYの名で匿名で情報提供していた。

・青山憲剛
35歳。東京大学医学部教授。ただ物理学者としても天才的資質を示す。
変人で心を開かないらしい。20年後に何らかのテロ行為を行い、その結果がタイムスリップの原因らしいが?
本編ではまだ名前だけの登場。
13 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 20:03:38.05 ID:MPH0J7u6O
登場人物紹介、長くなりましたが以上です。

前スレ1000が70以上のため、判定をやり直します。

※コンマ下
01〜60 土曜日に記録会
61〜90 明後日に取材
91〜00 電話がかかってくる
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 20:05:16.12 ID:/tjc/dYDO
新スレ乙です
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 20:06:40.91 ID:T5phpCODO
さて
16 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 22:12:01.15 ID:8mReT1tgO
「……確か、土曜日に記録会が」

「記録会?」

「は、はい。水泳の記録会、です。7月の大会に向けた練習試合みたいなもので」

「……なるほど。嬢ちゃん、結構有名なのか」

僕は兵さんに頷いた。

「去年、国体で3位に入ったことが。次の日本選手権で上位に入れば、世界水泳に出れるかもしれないらしいです」

「期待のホープってやつか。じゃあ記録会には記者も来るかもしれないのか」

「記者さんで熱心な人は来るかも……です。大体は大会に来る程度ですけど」

ヤクが兵さんを見た。ふむ、と彼が唸る。

「接触があるなら、そのタイミングだな。なるべく自然な形で接近しようとするだろうからだ。
とはいえ、赤や仁がそっちに行けば間違いなく警戒される。面は割れてないだろうが、向こうも刑事の匂いは分かる。同類だからな。……だから」

ピッと彼がヤクを指差した。

「嬢ちゃんが上手く誘導してやる必要がある。坊主は応援の形で行ってやってくれ。
怖いのは、佐倉の手の者もそこに来ていた場合だ。万一の時は、赤か仁を呼び出してくれ。記録会の場所は」

「横浜国際プールです」

「遠いな。まあいい、赤も仁も、近くで待機してくれ。一応、だ。
くれぐれも連絡は密にしてくれ。後は、流れだな」

赤木警部がポリポリと頭をかいた。

「休日出勤っすか。しかも公式じゃないと来てますが、しゃあないっすね」

「国際プール周辺には商業施設もある。家族サービスも兼ねて行きゃいい。仁も美和ちゃん親子とどうだ」

「話は振ってみます」

ヤクが緊張した様子でいる。僕がサポートしてやらねば。
17 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 22:13:50.23 ID:8mReT1tgO
※コンマ下80以上で追加質問可

※ここを突破すると特殊イベントが発生します
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 22:14:36.14 ID:fJ2I9ubX0
19 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 22:30:09.05 ID:8mReT1tgO
「……さて、これで大体いいかな?」

兵さんが立ち上がった。

「随分長居させちまったな。他に訊きたいことがあるかもしれねえが、こっちにも用事があるんでね」

「用事?」

彼がニヤッと笑って小指を立てた。

「待ち合わせだ。先に帰しちまったから、待ちくたびれてるだろうしな」

「……本当に若いっすね」

赤木警部に兵さんがククッと笑う。

「夜もまだ現役だぜ?回数はもうこなせねえが」

「俺はもう嫁じゃ勃たねえっすよ。どうやってあんな清楚っぽい若い子捕まえたんすか」

「企業秘密だ。んじゃ、また近いうちに会おう」

#

※コンマ下90以上で追加イベント、20以下で別の重大イベント
※コンマ下2が50以下で?(仁パートに強制移行)
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 22:31:35.07 ID:T5phpCODO
はい
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 22:32:25.55 ID:/tjc/dYDO
はい
22 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 22:51:11.16 ID:8mReT1tgO
※重大イベント発生
※仁サイドには変化なし

#

帰りの車では、皆無口だった。ヤクも緊張気味だ。

「すまない、完全に巻き込む形になってしまった」

「……あたしで、できるんでしょうか」

「こちらも全力でサポートする。安心してくれ」

コクン、とヤクが頷く。僕はぎゅっと彼女の手を握った。
僕がしなきゃいけないことは、彼女を支えることだ。

#

ヤクと別れ、僕は誰もいない家に帰る。僕は大きなため息をついた。


……キッチンに、見覚えのない鍋がある。一応洗ってあるけど、うちのじゃない。誰の?


考えても、それが何か分からない。何故、これがあるんだろう?僕は首をひねった。

【6月26日】


「ジョー?」

朝、通学の支度をしているとチャイムが鳴った。ヤクが玄関前にいる。

「どうしたの?まだ、登校にはちょっと早い……」

「えっとさ。登校の前に忘れ物してたのを思い出して。……鍋、あるでしょ?」

「……鍋?」

「うん。一昨日、ご飯を持ってきた時に置いてった。オレ……じゃなかった、あたしがここを飛び出しちゃったから」

「え」

ちょっと待った。そんな記憶はない。あの鍋は、ヤクの家のもの?


僕は懸命に一昨日の記憶を探った。ヤクが出ていったのは分かってる。でも、そもそも何故、ヤクはここに来たんだろう??


「あ……うわ……」


僕の頭に、ある可能性が浮かんだ。……そんな。まさか。

「……ジョー?」

「嘘だ。……ウソだっ……!」

失われた記憶。それが意味するもの、それは。


僕の脳が、機能を失い始めている。


「うわあああああああ!!!!」


僕の全てが、崩れ落ちていく。
23 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/23(水) 22:52:49.60 ID:8mReT1tgO
※次のパートの選択に入ります。2票先取

1 仁パート
2 コナンパート
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 22:58:18.90 ID:T5phpCODO
1
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 23:02:06.17 ID:679D3Oqn0
1
26 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 09:14:59.53 ID:S2pZsigiO
【6月26日、8時43分】


「そうか……分かった。とりあえず、今日は彼と一緒にいてくれ。俺も午後に行く」

俺は電話を切ると、ふーっと長い溜め息をついた。……恐れていたことが起きつつある。

「どうした、朝から浮かねえ顔で」

「……城隆一郎の認知症が、発症しました」

「……本当に起きちまったか」

赤木警部が険しい顔になる。

「ええ。本人も薬師丸英華もパニック状態です。落ち着くには、時間が必要かと」

「……そうか。しかし誰か大人が必要だな。誰かいねえのか」

「薬師丸の両親は共働きです。一応、戻っては来るみたいですが……。城の母親は例によって完全に放任ですし、教師もあてにならなさそうです」

「そうか……自棄を起こさなきゃいいが。二人とも、メンタルは弱そうだしなあ」

「かといって俺たちにも業務がある。内通者に接触しなきゃいけないですし、その他の事件の処理もある。
心理カウンセラーじゃないですからね」

赤木警部がふうと息をついた。

「……ちげえねえ。何か妙案あるか。このままじゃ土曜の件もあったもんじゃねえしな」

妙案……か。アイスキャンディによる認知症を止める簡単な方法がある。それは、アイスキャンディを飲むことだ。
しばらくの間はそれで認知症が止まる。しかし、効き目が切れたら病状は一気に加速する。結果的に、寿命は短くなる。
認知症による自我の喪失を止めるには、自分の命を差し出さねばならない。命を惜しめば、認知症は進み緩慢な死を迎える。

究極の2択だ。しかもその先に待ち受けているのは、どちらも確実な死。
こんな悪意の塊のような薬を、よくぞ作ったものだ。

もちろん、城にアイスキャンディの摂取を俺が勧めることはない。ただ、この事実を城が知ったなら……彼はこの誘惑に勝てるだろうか。

俺は赤木警部に向き合った。

1 いえ……内通者探しを優先しましょう
2 もしかしたら、という心当たりが(亜衣に連絡)
3 やはりプロに訊くしかないですね(倫に電話)
4 その他自由安価

※2票先取
※自由安価は歓迎です
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 09:59:10.20 ID:Qv8ydFju0
3
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 10:01:48.26 ID:CoQo8RsDO
3
29 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 11:21:37.88 ID:pamQMC9fO
「やはりプロに訊くしかないですね。倫先生にアドバイスを頼みましょう。
成分解析の結果は、彼女にも行ってるはずですし」

「それもそうだな。ただ、未来の薬のことまで分かるかね」

「ここでうんうんと唸っているよりはましです」

俺は倫先生に連絡を入れた。2コール目で気だるそうな声が聞こえる。

『あー、もしもし。仁、どうしたのさ』

「アイスキャンディの件でご相談が。仮にあれを飲んだとして、そして生き延びたとして、壊死した脳細胞を回復させる方法はあるんですかね」

「うーん」

※コンマ下
01〜50 あるわきゃないね
51〜80 失われたものは戻らないね。ただ……
81〜95 回復はできないね。ただ、進行は止められる、かもしれない
96〜00 ちょうど話をしようと思ってたよ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 11:22:49.12 ID:CoQo8RsDO
31 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 13:10:35.43 ID:pamQMC9fO
『……あるわきゃないね』

返事はつれないものだった。

「やはりそうですか」

『脳細胞は基本、新しく生まれないもんなんだよ。例外はあるけど、死んだ細胞を代替する程度でしかない。
だから老化や認知症が発生するのさ。死んだもんは回復しない』

やはり残酷な真理がそこにある。これを城に伝えたら、相当絶望するだろう。

『しかしまたなんで、こんなことを訊くんだい』

「実は……」

俺はかいつまんで城のことを話した。分析にかけられた薬ほどの毒性はないが、類似の薬物を彼が定期摂取していたこと。そして、その結果認知症が発症しつつあること。

『キツいねえ。まだ14かい』

倫先生が漏らした。

「本人は相当パニックになっているようです。捜査協力者でもあるんで、何とかしてやりたいんですが」

『といってもあたしにできることなんてないよ。それこそ、ちゃんとした医者に診せて処置してもらうしかないねえ……』

※コンマ下
01〜70 特に何もなし
71〜85 一応、埼玉医大に知り合いがいるけどねえ
86〜98 ……ああ、思い出した
99、00 特殊イベント 
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 13:13:24.19 ID:eECgGC5y0
ほい
33 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 13:23:12.09 ID:pamQMC9fO
電話はそのまま切れた。打つ手は、現状ではなさそうだ。

「芳しくなかったみたいだな」

「ですね。予期はしてましたが」

俺はリュックを担いだ。これから別の事件の捜査に出なければならない。

内通者探し、城のケア。やることは多いが、先行きも見通せない。

「クソッ!」

俺は軽く、机を叩いた。それでどうなるって話でもないが、苛立ちを発散したかった。

※コンマ下35以上で誰かが登場(再判定)
※35未満なら視点切り替えへ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 13:31:12.49 ID:7+Bypi+DO
はい
35 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 13:34:59.35 ID:pamQMC9fO
※再判定、コンマ下

01〜40 随分イラついてるね(増田)
41〜70 珍しいな、毛利君(木暮)
71〜90 珍しいねえ、仁(青葉)
91〜98 スマホに着信があった(亜衣)
99、00 スマホに着信があった(再判定)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 13:39:49.70 ID:Mwuw5ZL10
たあ
37 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 21:03:39.77 ID:sGMsYpUFO
「珍しいな、毛利君」

振り向くと木暮管理官がいた。

「あ……すみません。つい」

「まあ、上手くいかんことは誰にでもある。相談に乗るぞ」

俺は辺りを見渡した。人が多い、少し外した方が良さそうだ。

「では、タバコ部屋に。赤さんも」

タバコ部屋には誰もいない。俺は入るなり、アメスピを取り出した。赤木警部はプルームテックという加熱式タバコを、木暮管理官はマルボロを口にくわえる。

「用件は、内通者のことかな」

「それだけじゃないです。城が、アイスキャンディの影響で身体に変調を来したと。倫先生が言うには、相当深刻なようです。
本人と薬師丸英華の精神状態が心配ですが、打つ手がない」

「ふむ」

白煙が部屋に漂った。

※コンマ下(内通者関連)
01〜40 私の方も手掛かりがないな
41〜70 増田君が、動いているようだね
71〜90 確証は持てないが……
91〜00 それなら、もう解決した

※コンマ下2(アイスキャンディ関連)
01〜60 それについては何も分からんな
61〜85 倫先生から話は聞いた。医者だったな
86〜97 うちの母も認知症だが……
98〜00 心当たり、なしとはしない
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:05:34.02 ID:CoQo8RsDO
どこどこ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:05:58.76 ID:b2///UV+0
40 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 21:27:28.05 ID:sGMsYpUFO
「すまないが、内通者についてはまだこちらも進展なしだ。凪、と言ったところだな。
ただ、城隆一郎については倫先生からさっき電話があって話は少し聞いた。医者、だったな」

「心当たりが」

小さく木暮管理官が頷いた。

「身内に認知症患者がいてね。アルツハイマーだが、治療を受けている。それで、倫先生からお鉢が回ってきたということだ。私の方が詳しいだろう、とね。
毛呂山の埼玉医大病院に、鷹山という医者がいる。彼女を訪ねてくれ。私からも一報は入れておく。
日常業務は青葉君と白島君に任せて構わない。君らはそっちに専念してくれ」

「了解」

毛呂山、か。ここからは少々かかる。船頭多くして船山に上る、という諺もあるが。

※2票先取

1 赤木と二人で埼玉医大に行く(ジョーパートが厳しくなる可能性あり)
2 赤木に埼玉医大は任せる(アイスキャンディ関連の情報がやや限定的に)
3 自分一人で埼玉医大に行く(ジョー関連は2よりは厳しくなる可能性)
4 城のケアを最優先し、埼玉医大は後回し(ジョー関連でベストルートは消える)

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:31:33.91 ID:CoQo8RsDO
1
42 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/24(木) 21:56:41.64 ID:sGMsYpUFO
上げます。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:58:14.74 ID:7+Bypi+DO
1
44 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 11:28:01.30 ID:TGrzwlL2O
……さもさりながら、ここで二手に分かれることにはリスクもある。有事があった場合、1人より2人の方が対応しやすいのも確か、か。

「赤さん、じゃあ毛呂山に行きますか」

「おう。城はちと心配だがな……どれだけの土産を持っていけるか次第か」

完治までは望まない。医学知識に疎い俺でも、城の病状が深刻になりつつあるのは分かる。
とはいえ、せめて佐倉を捕まえるまでは持たせたい。そして、せめて穏やかな最期を。

そのための有望な情報が、あるだろうか。

【6月26日、10時21分】


「しっかし、えらい田舎だな」

「俺も来たのは1、2回ですが、いつ来ても変わりませんね」

毛呂山町は埼玉県南西部にある町だ。人口は約3万5000人。特産物は柚子だが、取り立てて目立った産業も企業もない。
毛呂山駅から数分歩いた所に、埼玉医大病院はある。埼玉県では有数の大病院と言える。

木暮管理官から言われた通り、入口で鷹山医師を呼び出す。午前の検診が終わってからの対応になるとのことだが、多忙のため15分程度しか時間は取れないという。

「しかしその鷹山って女医、有名なのかね」

「さあ……木暮さんは優秀だとだけ言ってましたが、倫先生は知らなかったようですし、超有名ってほどでもないかもしれませんね」

薬品臭い廊下のソファーで待つこと30分強。ベテランとおぼしき看護師が俺たちを呼びに来た。

「こちらへどうぞ」

処置室に通される。薬品の刺激臭が、少し強くなった気がした。

「はじめまして」

長髪の40歳前後の女性が、ハスキーな声で言った。

※コンマ下
01〜70 警察の方が、何故急に
71〜90 主人がお世話になってます
91〜98 上+α
99、00 特殊ルート
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 11:31:22.94 ID:AXdkufaDO
はい
46 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 12:44:58.57 ID:TGrzwlL2O
「鷹山みなとです。どうぞこちらにお掛けになって。主人がいつもお世話になっております」

「……主人?」

はは、と鷹山医師が笑った。

「失礼しました。夫婦別姓で通しておりますので。木暮悟の妻です」

「え、ええっ?」

赤木警部がすっとんきょうな声を出した。鷹山医師が「ふふふ」と笑う。

「あの人、あまり職場で私生活を語らないでしょう。知らなくて当然ですわ。
お会いしたことはありませんが、あなたが赤木警部。そちらが毛利警部補ですね」

「は、はい。じゃあ、俺たちがここに来た理由も、既に」

「主人からの電話では、部下が二人ほど行くかもしれないとだけ。ただ、用件は見当が付いてます。アイスキャンディのことでしょう?」

「……その通りです。木暮管理官から聞いてましたか」

「あの人、普段仕事のことはあまり話さないんです。私も、母の治療のことぐらいしか自分の仕事について離さないんでおあいこですけど。
だから、珍しいなって思いました。『アイスキャンディって知ってるか』と訊かれた時は」

赤木警部が、ゴクンと唾を飲んだ。

「ご存知なんですか」

「アイスキャンディとしては知らないですよ。ただ、認知症治療薬としてJ&Fが一時期研究していた、『コールディ』という薬に近いなと思ったのは覚えてます。
グルタミン酸を活用し、脳内関門を突破して本来は作用できない脳に直接働きかける新薬です」

「……そんなのが」

「ええ。東大医学部の青山教授の技術が使われていると、一時期話題に。
ただ、副作用の強さから、フェーズ1――開発の初期段階で断念されたらしいですけど」

俺は身を乗り出した。

「もっと詳しく教えて頂けますか。例えば……」

※2票先取(複数質問ができるかは微妙です)

1 それがどこかで生産されている可能性は
2 飲んで、副作用が発生した場合……治せる可能性は
3 青山教授について、何か御存知のことは
4 自由安価
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 12:51:21.44 ID:LnQaTzlDO
2
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 13:31:33.22 ID:AXdkufaDO
2
49 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 14:56:54.77 ID:wgMVAJkdO
「例えば、飲んで副作用が出た場合……治せる可能性は」

ふうと鷹山医師が軽い溜め息をついた。

「麻薬としてのアイスキャンディのことですよね。摂取して、そういう状態になってしまった人が、既にいると」

「そういうことです」

「知っているかもしれませんが、脳細胞は新しく生まれにくいんです。だから、一度死ぬと元には簡単には戻れない。
あの薬は、脳細胞の寿命を短くする薬でもあります。短くする代わりに、その能力を高める。
言ってみれば、蝋燭の火に油を注ぐようなもので、勢いよく燃えはしますが蝋燭はすぐに小さくなるわけです」

「……じゃあ、やはり」

※コンマ下
01〜20 私では何とも
21〜50 ……ただ、J&F社に聞けば分かるかもしれません
51〜70 ただ、治すのは無理でも……
71〜90 上+α
91〜00 上+α(重要情報)
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 15:01:11.46 ID:GTtb9wT50
51 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 15:27:20.16 ID:whgcsYiwO
「私では何とも。ただ、J&Fに訊けば分かるかもしれません」

「J&F……アイスキャンディの元になった薬を開発した所、ですか」

「ええ。あの発想自体は革新的でしたから、何かしらの研究が続いているかもしれません。とはいえ、機密事項でしょうから警察にも詳細を話すかは分かりませんが」

J&F、か。米医薬品大手で、メジャーの一角でもある。しかし、海外にアクセスしても意味はあるまい。取っ掛かりが要る。
そして、重要なのは……J&Fを足掛かりに、アイスキャンディの製造ルートまで掴める可能性がある、ということだ。腰を据えていく必要がある。

「誰か、窓口になりそうな人は」

※コンマ下75未満で通常ルート、75以上だと?
95以上で即アクセス可能
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 15:31:44.10 ID:LnQaTzlDO
はい
53 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 20:27:27.09 ID:whgcsYiwO
「私が知っているのは、普段やり取りしている営業の方ぐらいですね……。捜査となると、表玄関から日本支社の総務を通す形になるかと」

「……厄介そうですね」

俺に赤木警部が肩をすくめて見せた。J&Fの調査は薬物担当の4課か、麻取メインでやってもらうことになりそうだが、これではよしんば上手く行ったとしても時間がかかりそうだ。
第一、そもそもアイスキャンディの案件までたどり着けない可能性の方が、遥かに高い。

つまり、別ルートが要る。

※コンマ下70以上で追加質問可能
※コンマ下2が70以上で質問終了後に重要情報入手(コンマ下1が70以上なら、ここで判定に失敗しても条件緩和)
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 20:31:07.59 ID:1jvsqFF90
えい
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 20:31:36.84 ID:LnQaTzlDO
はい
56 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 20:43:12.13 ID:whgcsYiwO
「鷹山先生、そろそろ回診のお時間です」

看護師がドアを少し開け、彼女に声をかけた。

「分かった、すぐ行くわ。……ごめんなさいね、色々他にも聞きたいことはあったでしょうに」

「いえ、こちらこそ押し掛けてすみません。木暮管理官にも、あとでお礼をいっておきます」

「ううん、気にしないでください。何かできることがあったら遠慮なく言ってくれれば」

俺たちは席を立った。城のケアは、彼女に一旦託した方がいいかもしれない。

その時だ。

「そう言えば、せっかくだから一つ聞いていいかしら。うちの看護師の暴行未遂事件って、犯人は捕まったのですか」

「暴行未遂事件?」

「ええ。6月の上旬ぐらいだったかしら。うちの看護師の子が暴行されそうになったらしくて。それがショックで辞めちゃったみたいなのだけど」

「……名前は」

※コンマ下
01〜40 別の科の担当だったから、詳しくは
41〜80 名前判明
81〜00 上+α
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 21:02:23.43 ID:LnQaTzlDO
はい
58 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 21:16:42.06 ID:whgcsYiwO
「吉岡愛結って子。少し暗かったけど、結構丁寧な仕事してて評判は良かったんですよ」


……吉岡愛結?


ジジッ……と、俺の脳内にノイズが走る。この名前には覚えがある。


……そうだ。秋山雄一による、連続殺人の、最初の被害者。その名前だ。

「おい、どうした仁。覚えがあるのか?」

「え、ええ。赤さん、確か吉岡愛結って女性は『殺されてませんよね』」

「ん?管内での殺しだよな?いや、ないはずだ。少なくとも、今月に入ってからの殺しで、そんな名前のマル害はいなかった」

……間違いない。歴史が変わっている。それが意味するものは、2つ。
彼女は薬師丸英華のような、前の歴史に存在しない「イレギュラー」か。あるいは……誰かが助けたか。

そして、秋山雄一は殺人を犯す前に殺されている。間違いなく、バッドエンド・ブレイカーの仕業だ。

……とすれば。

「すみません、その女性は、こんな顔ですか」

俺はスマホに入れていた、似顔絵の画像を鷹山医師に見せた。その目が、軽く驚きで見開かれる。

「えっ、ええ。よく似た似顔絵、ですね……彼女は、今どこに」

ビンゴだ。

俺はニッと笑った。

「……それをこれから、探すんです」
59 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 21:36:25.89 ID:whgcsYiwO
#

「ってことは、そのコナンってのと一緒にいる女が、吉岡愛結か」

赤木警部が、「丸長」のつけ麺を啜りながら言う。俺は頷く。

「間違いないですね。状況からして、秋山を殺ったのも彼女です。脅されたのか、進んでやったのかは不明ですが」

俺は薄く切られたチャーシューを口に運んだ。冷めていて少し脂が口に残るが、鶏と醤油が利いたスープがそれを洗い流す。

「どうする、紋を採れれば秋山の件で逮捕はできそうだが。そこそこベッタリ、指紋は残ってたはずだぜ」

「あれは群馬県警の案件ですらなくなってますからね。警察庁、それもヤス――いや、古畑ら『西の公安』主導でやっているはずです。
こちらから向こうの物証を求めるのは難しいですし、仮に吉岡を捕まえても向こうに奪われるのが落ちです。
バッドエンド・ブレイカーとの共闘を狙うのなら、吉岡は一通り終わるまでは泳がすしかない」

「面倒くせえなあ。てか薬師丸に接触するのが、彼女って可能性は」

「……どうでしょうね」

俺はつけ汁を啜った。スープ割りしていないが、十分な濃さと旨味だ。
わざわざ坂戸駅に寄り道した甲斐があった。

少し引っ掛かったのは、彼女とコナンとの関係だ。恐らく、コナンは兵さんと接触するために吉岡の家に潜り込んだのだろう。
とすれば、彼女は殺人者と一緒に過ごしたことになる。恐怖はなかったのか。

考えても仕方がない。とりあえず、今は城のケアが重要だ。

#

※コンマ下30以上で通常ルート(再判定)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 21:44:21.77 ID:AXdkufaDO
はい
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 21:45:15.10 ID:3uCjP9U50
62 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 22:03:36.30 ID:whgcsYiwO
※城はとりあえず暴走はしていない

※コンマ下で状況
01〜20 城は茫然自失のまま、英華も泣き疲れている
21〜80 英華の家に移動しているが、立ち直れてはいない
81〜95 城は英華の胸の中で眠っている
96〜99 特殊イベント
00 超特殊イベント
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 22:04:48.46 ID:LnQaTzlDO
はい
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 22:05:45.38 ID:AXdkufaDO
そい
65 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/25(金) 22:07:24.89 ID:whgcsYiwO
今日はここまで。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 22:24:43.00 ID:LnQaTzlDO
67 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 15:14:08.84 ID:W9abq1loO
#

城の家に着いた。が、チャイムを鳴らしても誰もいない。胸騒ぎがした。

「……自棄起こして何かしでかしたんじゃねえだろうな」

「それはない、と思いますが。もし何かあったなら、薬師丸が連絡を入れてくるはずですし。
一応、彼女の家に行ってみましょう。彼女の親が戻っていると聞いてますから、そっちかもしれない」

少し歩いて薬師丸の家に向かう。両親は飲食店を運営しているらしい。父親は東南アジア料理のシェフでもあるという。
この時間だとまだ多少は忙しいはずだが、家に戻っているのだろうか。

『ハーイ……刑事サンですカ』

インターフォンを押すと、向こうから海外訛りの声が聞こえてきた。母親のアニタだ。

「連日すみません。そちらに、城君は」

『アッ、今行きマス』

アニタが玄関から出てきた。13の娘がいる割には若々しい。ただ、かなり疲弊している様子も見てとれた。

「刑事サン、ジョーに何カ……」

「いや、恐らくかなり混乱しているのではないかと気になったので。それと、伝えたいことも」

「……ありがとうございマス。まだ参ってるみたいデスけど。……まさカ、逮捕しに来たんじゃ」

「いえ、それは別の話です。上がらせてもらって、いいですか」

アニタに促され、俺たちは家に上がる。リビングには、魂が抜けたように座っている城がいた。

「娘さんは」

「英華は上に。ショックで、しばらく一人二させてほしいト」

「ちょっと呼んできて頂けますか。二人に、大切な話が。あなたも、アイスキャンディの話は聞いてますよね。一応、念のため」

アニタが部屋から姿を消すと、赤木警部が城に呼び掛けた。

「……おい坊主、大丈夫か」

反応はない。

「……まあ、無理か。しかし、お前の母親。こんな時でも、帰ってこねえんだな」

※コンマ下
01〜10 ……このまま消えればいいんですよ
11〜97 返事はない
98〜00 ……寿美子サン、今向かってるそうデス
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 15:16:23.17 ID:UUbOk5AW0
69 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 15:55:20.40 ID:W9abq1loO
城からの返事はない。

「寿美子サン、昔はちゃんとジョーのこと見てたんですケドネ」

薬師丸を連れて、アニタが部屋に入ってきた。薬師丸の目は、泣きすぎたからなのか赤く腫れている。

「どういうことですか」

コーヒーの準備をしながら、アニタが溜め息をついた。

「小学3年ぐらいデスカ、ジョーのパパが亡くなったの。それまでは、普通の家庭でしタ。ワタシも主人も、家族ぐるみで仲良くしてたんでス。
でも、パパが脳内出血で急に亡くなってから、オカシクなっタ。
まるで取り付かれたみたいに仕事ばかりするようになっテ、ジョーは放置されて。今では、こんなふう二」

「なるほど、立派なネグレクトってわけか」

城も薬師丸も、まるで俺たちが見えていないかのように呆然としている。俺はコーヒーが全員の所に置かれたのを確認して、口を開く。

「……話は聞いた。俺もショックだが、君たちはさらにショックだろう。特に城、君の心中は推し量れん」

城の反応は乏しい。俺は構わず続ける。

「だが、前に進むしかできることはない。辛かろうが、何であろうが」

「……僕には、前に進んでも先がない。断崖しかない」

嘲笑に近い笑みを、城は浮かべた。まあ、そこで割り切れる人間などいない。まして14歳だ。

「かもしれん。ただ、君のために泣いてくれる人間はいる。英華さんも、そのお母さんもだ。なら、自棄を起こしちゃいけない」

「ジョー……」

二人は泣いている。城は下を向いて塞ぎ込んだままだ。

「とりあえず、医者は探してきた。埼玉医大の神経内科に鷹山みなとという人がいる。認知症の専門医だ。
警察の身内でもある。安心して受診できる相手だ。アイスキャンディについても既に話している」

「……」

「……刑事さん、それで良くなるんですか」

無言のままの城に代わって、薬師丸が訊いてきた。

「……予断を持たせるようなことは言えない。ただ、アイスキャンディのルーツは分かった。
佐倉に繋がるものかは、現時点では言えない。ただ、細いが突破口にはなるかもしれない」

「ルーツ?」

「詳しくは言えないが、アイスキャンディの大元になった薬を開発している会社だ。城君、それについて知っていることは」

※コンマ下
01〜80 無言のまま
81〜90 ……え
91〜00 一度だけ……
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 16:05:41.49 ID:8pUUM81o0
そい
71 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 21:45:01.84 ID:xk5LcQHpO
城は無言のまま答えない。知るよしもないか。

「……まあいい。こちらもそっちはボチボチ当たっていく。
とにもかくにも、君は治療を優先してくれ。母親が何を言うかは分からんが、君に興味がないなら問題は少ないはずだ。問題は金だが」

「ワタシが払いマス。ジョーは、家族同然デスから」

アニタが手を挙げた。……こちらの家庭に生まれていたら、城の人生も大分変わっただろうに。

「ありがとうございます。……とりあえず、今日か明日にでも行ってくれ。気休めにしかならんかもしれないが」

「……じゃあ、土曜の件は」

「城君の気持ち次第だな。……どうする」

※コンマ下
01〜45 反応がない
46〜65 考えさせてください
66〜95 城の目に、少し光が戻った
96〜00 少しだけ、皆席を外してくれませんか
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 21:53:21.94 ID:DAizRPNDO
はい
73 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 22:49:29.00 ID:xk5LcQHpO
城は黙ったままだ。……やはりダメ、か。

その時、城が固く目をつぶった。

「……僕の命は」

「摂取時期から逆算して、そんなにブレはないはずだ。認知症の症状が出ても、命が短くなるわけじゃない。症状の進行は、あくまで緩やかだ。パンチドランカーのそれに近い」

開かれた目には、少しだが光が戻っている。

「……そうですか。なら、症状さえ出なければいい、ってことですよね」

「そこは問題だが。やってくれるなら、助かる」

「……ずっと考えてました。僕が僕でなくなるのはいつかって。そうなったら、誰がヤクを守れるんだろうって。
でも、あなたの言う通りなら……すぐにではない。そうですね」

「ああ」

城が薬師丸を見た。

「ならば、僕は迷わない。未来を思い悩むよりも、今やるべきことをやる」

「ジョー……!」

城が頷き、俺を見た。

「とりあえず、明日埼玉医大に行きます。……お手数おかけしました」
74 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 23:08:48.47 ID:xk5LcQHpO
#

「あれで、大丈夫なのかねえ」

本署に向かう途中、赤木警部が呟いた。

「ヤマは越えた、と思いたいですね。昨日も今日も、城の精神状態は酷く不安定だ。
ただ、『薬師丸英華を守る』という一点においてはブレはない。
守る自信が少し揺らいだため、今日はこんなことになりましたが……。
普通に考えれば、『まだ』大丈夫のはずです」

「『まだ』、か。引っかかる言い方だな。パンチドランカーとか言ってたな」

「ええ。パンチを多く受け過ぎて脳に損傷を受けたボクサーは、徐々に廃人になっていきます。
ただ、一直線にそうなるわけじゃない。明晰な時と認知症の時とを行ったり来たりして、段々後者の時間が増えていく。
アイスキャンディの中毒者の末路も、よく似ているんです。違うのは、廃人の先――死があるということ」

「きっついなあ。自分が壊れていくのを、まともな自分は認識できちゃうわけか」

「城もそれを直観的に理解したんでしょうね。ただ、薬師丸への想いが、壊れるのをギリギリで踏みとどまらせた」

ははっと赤木警部が笑った。

「……純愛だねえ。しかし、結ばれることもない、か」

「……もう少し時間があればいいんですがね」

城は多分、そこまで理解しているのだろう。ナイト役を全うしたら、きっと静かに消えるつもりなのではないか。

せめて、10年。いや5年。そこまで生き永らえる方法があれば。
しかし、俺にはその答えは、ない。

※30以上で通常ルート(視点選択へ)
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:12:10.31 ID:wHQELM5V0
はい
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:12:40.15 ID:8HCgxHKDO
ほい
77 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 23:16:42.13 ID:xk5LcQHpO
※まだ増田は動いてない

視点選択です。一応0000まで、2票先取とします。

1 コナンパート
2 ジョーパート
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:17:56.91 ID:Qc+8bRLm0
2
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:18:24.09 ID:DAizRPNDO
1
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:33:29.56 ID:8HCgxHKDO
2
81 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/26(土) 23:34:50.90 ID:xk5LcQHpO
では2とします。今日はここまで。
82 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 16:39:54.11 ID:D16R4Z34O
【6月26日、18時42分】


「すみません、昨日も今日も、ご迷惑をおかけして」

「いいのヨ、困ったことがあったら頼ってネ」

玄関を出ようとする僕に、ヤクのお母さんが言う。その後ろに、ヤクが申し訳なさそうに隠れている。

「ジョー……」

「ほラ、英華。家まで一緒に行ってやっテ」

ポンと、お母さんがヤクの背中を押した。


「ヤク、もう大丈夫だから」

「本当?」

まだ明るい道を、ゆっくりと彼女と歩く。ヤクの表情は、まだ冴えない。

「……怖さはある。でも、それよりは今が大事だから。僕は今自分にできることをやる。しばらくは、僕は僕でいられるようだし」

「……そう」

すぐに家に着く。

「じゃあ、また明日」

「うん……」

※コンマ下75以上で追加イベント
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 16:47:14.90 ID:t44kg+WDO
はい
84 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 22:08:58.60 ID:D16R4Z34O
ヤクが帰らない。逡巡した様子を見せた後、彼女が顔を上げた。

「……ねえ。少し、家に上がっていい?」

「……?まあ、いいけど」

ヤクを家に上げる。そう言えば、彼女を家に上げたのは昨日が相当久し振りのことだった。
随分と、彼女を遠ざけてたんだな。

「何か飲む?インスタントコーヒーくらいしかないけど」

「うん、それでいい」

僕の件で参っているせいもあるんだろうけど、妙に殊勝な態度だ。
ヤクは何のために、僕と話そうとしているんだろう。

「どうしたの。これからのことが、不安?」

「……それはある、かな。でもそれはジョーの方がずっと不安だろうし」

何かを言おうとして、口ごもっている。
そして。

※コンマ下
01〜50 なんであたしを、そんなに気遣うの
51〜80 あたしのこと……どう思ってるの
81〜00 あたしがいる意味って、何なのかな
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 22:11:47.84 ID:spJK3U3DO
ほい
86 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 22:35:17.44 ID:D16R4Z34O
「……あたしがいる意味って、何なのかな」

「意味?」

ヤクが頷いた。

「あたし、馬鹿だから昨日刑事さんが言ってたことをちゃんと理解できてないんだけど。
でも、こういうことだよね。この世界は何回も繰り返されてて、そして『前の周』では、薬師丸英華という人間は存在してなかった。
あのカフェのマスターは、『イレギュラー』って言ってたけど」

「……あ」

僕は兵さんの言葉を思い出した。「英華がここにいる意味は、何かしらあるはず」「歴史は無意味に動かない」と。
ヤクが僕の目を見据える。

「そう。だからあたしがいる意味って、何かあると思うんだ。
でも、あたしじゃそれが何か分からない。多分、ジョーに絡むことなんだと思うけど」

「僕に関すること?」

「……直感、だけど」

僕の前に、ヤクがいる意味?……僕が死に向かっている中、ヤクの存在が僕にとってどういう意味を持つのだろう?

間違いなく言えるのは、彼女の存在が僕の生きる理由であるということだ。
彼女を翔一から守り、日の当たる道を歩ませる。
彼女はこれから、日本中で知られる存在になるかもしれない。
であるなら、残りの命を全て燃やしてその可能性を守る。それがこの世界における僕の役目だ。

でも、それ以上の意味があるのだろうか。「前の周」では、僕は孤独だったという。
その中で翔一に利用され、多くの人々を殺戮して、勝手に死んだ。
しかし、今の僕は……一応、孤独ではない。ヤクがいるし、ヤクのご両親もいる。
彼女たちがいなければ、僕は翔一に操られるまま暴走していたかもしれない。

※コンマ下70以上で???
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 22:36:07.49 ID:205vGiOA0
88 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 22:58:00.21 ID:D16R4Z34O
※重要情報はなし

僕は、何を言うべきか迷った。どちらも正しいようで、どちらも間違っている気がする。

「……分からない。僕がヤクを守ることで、何かが起きるのか。
あるいはヤクがいることで、僕が救済されるのか。
両方かもしれないし、まだ何かあるのかもしれない」

僕は薄いインスタントコーヒーを飲んだ。

「ただ、一つ言えるのは……僕にとって、ヤクが誰よりも必要で、大事な人だということだ。
意味だとか何とかを考えるより、そっちの方が今の僕にとっては大事なことだ」

「……ジョー」

ヤクの目が潤む。

「……ありがとう。でも、あたし、これからどうしたらいいか、わからないの。
……多分、あたし、ジョーのことが……好きなんだと思う。
でも……ジョーは1年後、死んじゃうんでしょ?……嫌だよっ……!」

僕は言葉に詰まった。……ヤクの気持ちは、勘付いていた。
でも……僕に愛される資格はない。人殺しだし、何より彼女の言う通り――僕はやがて、徐々に自我を失って死んでいく。
彼女の気持ちに応えたところで、その結果は……辛い想い出を残すだけだ。
 
「……僕だって、嫌だ。……でもっ」

※コンマ下
01〜35 ……ごめん、困らせちゃって
36〜80 次の瞬間、目の前にヤクの顔があった
81〜00 ヤクの動きが止まった




89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 22:59:10.36 ID:t44kg+WDO
はい
90 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 23:10:13.30 ID:D16R4Z34O
……次の瞬間、目の前にヤクの顔があった。

そして。


ふにゅ


柔らかい感触が、僕の唇に当たる。それが彼女のそれと分かるのに、僕は少しの時間を要した。
ただ、唇同士を合わせるだけの、稚拙なキス。
ヤクの涙が唇に伝わり、しょっぱい味がする。

どれぐらい、そうしていただろう。ヤクは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。

「ねえ、何か言ってよっ!!」

1 ……ありがとう。でも……少し時間をくれないか
2 ……僕だって、ヤクと一緒にいたいんだよっ!!
3 僕は答える代わりに、ヤクともう一度口付けをした。ただのキスではなく、「大人のキス」を
4 自由安価

※3票先取
※自由安価は大歓迎です(特定の台詞だと、状況が激変します)
※0000まで決まらない場合はリセットします


91 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 23:11:41.91 ID:D16R4Z34O
なお、最善の回答につながる描写はかなり薄いのでわかりにくいかと思います。
1〜3でも相応に話はちゃんと進みます。
92 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/27(日) 23:45:51.11 ID:D16R4Z34O
上げます。
93 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 00:01:07.24 ID:bOe62R8NO
ではここから投票開始とします。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 00:12:18.74 ID:9+2sxGiP0
多分ヤクはアイスキャンディの効果が出にくい特殊な酵素持ちで、それを利用して治療薬を作るのが一つの解決策のような気がするけどどうやってその話に持ち込むかが分からない

とりあえず2
95 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 07:03:05.29 ID:KFV1r0YZO
上げます。
96 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 09:03:01.16 ID:uyGRWsy8O
とりあえず昼過ぎメドに再開できれば理想です。
票が集まってない場合は夜まで延ばします。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 13:31:28.44 ID:af2N3/9DO
うーん…
2で
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 13:58:18.69 ID:jBz8kuPDO
2
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 14:11:51.58 ID:mNsH4TPs0
3
ヤクが特殊な酵素持ちで、唾液による粘膜摂取でジョーの症状が抑えられる気がする
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 14:14:43.08 ID:jBz8kuPDO
>>99
その方法がありましたね…
3にしとけば良かった…
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 14:32:11.32 ID:H5xQyFdM0
3
102 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 14:32:48.95 ID:e8+ziW22O
2とします。
103 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 14:39:30.68 ID:e8+ziW22O
「……僕だって、ヤクと一緒にいたいんだよ!!」

僕は彼女の身体を離しながら叫んだ。

「でもっ、僕の命は限られてるっ!!僕が死んだら……それで終わりじゃないかっ!!」

僕の視界も歪んでいる。ヤクの腕を掴む手が、震えていた。

※コンマ下
01〜30 本当に、そう思ってるの?
31〜60 パシンッ
61〜90 僕の身体が、引き寄せられた
91〜00 彼女は、僕を振り払った
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 14:42:01.94 ID:H5xQyFdM0
ほい
105 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 14:59:53.99 ID:e8+ziW22O
その時、彼女が僕を振り払った。ああ、やはり……と思った次の瞬間。

パサッ……

ヤクは、制服のブラウスを脱ぎ捨てていた。小麦色の肌に、白いブラジャーが映える。

「え」

僕は何が目の前で起きているか、理解できなかった。彼女は無言で、怒ったかのようにスカートを脱ぎ捨てる。

「ヤク、何をやってるんだよ」

「……終わりじゃない」

「え」

「何で……諦めてるのよ。何で足掻こうとしないのよ。何で自分で結論付けて、勝手に拒絶してるのよ。
ジョーは……ずっとそう。あたしの気持ちは、いつもおいてけぼり。
だったら……」

パサッ

ブラジャーを外したヤクが、真っ赤な顔で胸を隠した。

「……だったら、実力行使に出るしか、ないじゃない。分かってもらうには、これしかないの。
あたしにとって大事なのは……今なの。今の、あたしの気持ちなの」

ショーツだけになったヤクが、僕の胸の中に飛び込んでくる。涙で、胸元が濡れているのが分かった。

僕は……

※2票先取

1 ヤクの唇を奪う
2 もう一度離す

※2の場合その後の行動も付記
※1だとR15展開へ
106 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 15:02:30.04 ID:uyGRWsy8O
なお、上で3を選んだ場合とはこの後の展開が相応に異なります。
107 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 17:35:10.67 ID:AzKk8NKdO
2000までに票がなければ1で進行します。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 18:21:19.04 ID:mNsH4TPs0
1
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 18:36:04.98 ID:1JDkrv+70
1
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 18:51:44.64 ID:jBz8kuPDO
1
111 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 20:52:15.03 ID:ZGfSivuJO
僕は……

「むうっ!??」

僕は力を込めてヤクを抱き寄せ、唇を奪った。今度は子供のするようなキスじゃない。
舌を挿れようとした時、ヤクが唇を固く閉じた。僕はそれを優しく舐め、隙間からこじ開ける。

「うむっ!?じゅるっ……あむっ……!?」

「ちゅるっ……はぷっ……」

唇を時に甘噛みし、舌の裏をそっと舐めあげる。彼女の背中が震え、抵抗する力が抜けていくのが分かった。
目がとろんとしている。僕は一度、唇を離した。

「ぷはっ。……ごめん。我慢できない」

「……えっ」

怯えたようにヤクが僕を見た。

「……一応、言っとく。僕は、初めてじゃない。ヤクは多分そうだと思うけど。
できるだけ、優しくはしたい。でも、痛かったらごめん」

「あ……ああ……ふあっ!?」

僕はそっと彼女の身体を持ち上げる。非力な僕だけど、なんとかできた。
細身だけど筋肉質なヤクの身体は、弾力があってしかも柔らかい。
アゲハとも、「サクラ」とも違う。僕はそれを、とても愛おしく思った。

そして、ゆっくりとソファに横たえる。控えめな胸のてっぺんにある粒を、壊れ物でも扱うかのように右手でそっと撫でた。

「ひぃっ!……ね、ねえジョー、今のって」

ちゅっ

「ああんっ!!」

もう片方を啄むように吸うと、ヤクの身体が魚のように跳ねた。

「ちょっと強かった?」

「う、ううん……でも、電流が走ったみたいで……お腹の奥が甘くて、熱くて……ねえっ、これって何なの??」

「それでいいんだよ。僕に任せて」

「う、うん……ひあああっ!!ああっ、これっ、何なのっ!?熱くって、溶けそうっ……あむっ」

僕はヤクの唇を自分のそれで塞ぎ、左手でそっと乳首を愛撫した。そして、もう片方の手は、ショーツの中に。

「むうううっっ!!?」

そっと割れ目に中指を這わせると、そこはすっかり潤んでいた。良かった、ちゃんと感じていてくれる。
体質なのか、ヤクはとても敏感なようだった。アイスキャンディがないとろくに濡れなかった、アゲハとは全く逆だ。

「……脱がすよ」

涙目で、ヤクが震えながら頷いた。……僕も脱がなきゃ。
トランクスの中は、もう堅く尖っている。……でも焦っちゃダメだ。できるだけ、気持ちよくしてあげないと。
アゲハも「サクラ」も、経験人数は僕よりきっと遥かに多い。だから、多少乱暴にしても良かった。

……けど。ヤクは初めてだ。
そして……僕が多分、唯一愛するだろう女の子だ。

だったら、できるだけ優しくしよう。死んでいく僕の思い出が、せめて美しいものであるように。

僕は手早く、着ているものを脱いだ。

「ジョー……怖いよ」

「大丈夫。痛くないようにするから」

そして、僕は彼女をそっと抱いた。出来る限りの愛しさを込めながら。
112 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 21:06:16.32 ID:ZGfSivuJO
#

「……じゃ、じゃあまた明日ね」

「う、うん。明日僕は、病院だけど」

ハハハと、玄関先でヤクが笑う。そしてチュッと、口付けをした。

「……おやすみ、ジョー」

「うん……おやすみ」

僕は、もう一度彼女を抱きたいと思う欲求を抑えながら微笑んだ。バタン、とドアが閉まる。ふう、と思わず溜め息が出た。

結局、10時前までヤクを僕の家にいさせてしまった。その間、3度出してしまった。
もちろん、膣中に出したらまずい。ゴムもない。だから2回は、何とか外に射精せた。
でも、最後の1回は……お互いの気持ちが盛り上がり過ぎて、出すのを忘れてしまった。そう簡単に妊娠はしないはずだけど……。

ヤクの身体は、どこもかしこも気持ち良かった。テクニックはない。でも、愛されているという実感は、アイスキャンディよりもずっと効き目があるものだった。
幸い、ヤクもほとんど痛がらなかった。処女だと血が出るものだと聞いていたけど、スポーツをしてるうちに破けたのか、それもなかった。
ちゃんと気持ちよくなってくれた。僕の胸に、感じたことがない暖かさがあった。

「さて、と」

問題は、ソファの片付けだ。随分、色々な液で濡れている。ソファーカバーは洗うとしても、母親が気付いたりしないだろうか。
……まあ、ないかな。自分にしか関心のない親だ。杞憂だろう。

僕は、ヤクの匂いが残るソファーカバーを外し、そっとそれを嗅いだ。……大丈夫、僕はまだ、生きている。

※コンマ下20以上で通常ルート
未満でイベント発生(再安価)
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 21:09:46.06 ID:af2N3/9DO
どれ
114 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 21:13:05.29 ID:ZGfSivuJO
※イベント発生

01〜10 深夜に寿美子が部屋にやって来る
11〜80 ???(ジョーパートのラストで判明)
81〜00 ニュース番組で……
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 21:13:57.27 ID:jBz8kuPDO
はい
116 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 22:11:14.23 ID:ZGfSivuJO
※しばらく通常パート

【6月27日】


朝起きると、当たり前のように母親はいなかった。キッチンもリビングも、昨日ヤクが去ったときのままだ。
洗濯機に汚れ物もない。どうやら、母親は帰ってこなかったらしい。
まあ、月に何度かこういうことはある。出張で東京、あるいは日本にいないことも多い。僕はヤクとのことを悟られなかったことに、深く安堵した。

学校に休みの連絡を入れ、僕は私服に着替える。9時半には、毛呂山に行かなきゃいけない。
ヤクのお母さんから、1万円はもらっている。診察費は、これで足りるんだろうか。念のため、もう1万円を財布に入れた。

外をそっと見る。特に、誰かが待ち伏せしている感じはない。そのことに安堵しつつ、僕は玄関を出た。

#

毛呂山までの道のりは長い。和光市駅から30分強。坂戸で越生線に乗り換え、そこからさらに20分弱。
地図を見る限り、ここからさらに歩くらしい。田舎はこれだから苦手だ。

やっとのことで、埼玉医大病院に着く。病院は患者で溢れていた。
これはかなり待たされるんじゃ……と思ったが、時間通りに僕の名が呼ばれた。

「城隆一郎さん、5番処置室へお願いします」

中に入ると、髪の長い女医さんがいた。この人が、鷹山先生らしい。

「はじめまして。あなたのことは聞いてるわ。とりあえず、一通り検査を受けてもらいたいの」

「検査?」

「そう。あなたの病状を知る上で、重要な検査。CTや知能テストも受けてもらうわ。血液検査も。全部終わるのは……お昼過ぎになるけど、いい?」

「は、はい」


そこからは、病院中を歩き回ることになった。CTスキャン、レントゲン。運動能力検査に知能検査。こんなに色々受けさせられることになるなんて、思いもしなかった。
たっぷり午前中いっぱいを使って、検査は終わった。あれほどいた通院患者は、すっかり減っている。
117 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 22:11:52.08 ID:ZGfSivuJO
空腹を感じながら神経内科の前で待っていると、検査終了から1時間ほどしてようやく僕の名が呼ばれた。

「お疲れさま。大変だったでしょう」

「いえ、まあ」

「ごめんなさいね。認知症は、脳の病気とも密接な関係があるから。
で、検査の結果なんだけど。……ちょっと説明しがたいわ」

「……そんなに、良くないんですか」

鷹山先生が、苦笑しながら手を横に振った。

「あ、勘違いさせちゃったわね。文字通り、うまく説明できないの。まず、これを見て」

パソコンのディスプレーを、先生が見せた。2つの、脳の写真だ。

「左が健康な人の、そして右が君の。……君でもすぐ分かるわよね」

ゴクン、と僕は唾を飲んだ。……左の3分の2ぐらいしか、僕の脳はない。

「アイスキャンディの効果ね。脳が見事に委縮してる。普通、こうなったら相当脳の機能は落ちてるものなの。
自覚症状が出てるって話だけど、まだ日常生活を送れるというのは、幸運ですらあるわ。噂通りの、酷く悪質な効果ね」

「……じゃあ、やっぱり、僕は」

覚悟はしていた。でも、こうやって事実を突き付けられると……胸に大きな穴が開いたような、脱力感があった。

しかし、次の先生の言葉は、予想外のものだった。

「あ、早とちりしないで。まだ説明は終わってない」

鷹山先生が画面を切り替えた。

「これが、今日の君の運動能力と知能のテスト結果。これ、ちょっとビックリしたんだけど」

「え」

検査結果の詳細は分からない。ただ、「IQ182」だけは理解できた。

「どういう、ことですか」

「普通ならあり得ないの。あまりに『良すぎる』。
この脳の委縮度合いからすれば、両方とも壊滅的な結果でも不思議じゃない。いかに『調子のいい時』であっても、この結果は異常なの。
元の君が、どんなに運動神経が良くて、どんなに頭が良くても」

うーんと唸って、先生が画面を別のに切り替えた。

「尿検査からして、薬物摂取の疑いもないわ。コールディ――アイスキャンディを飲んでれば、まあ納得が行く結果なんだけど。
強いて言えば、蛋白が少し出てるとこかしら。若い男の子だから、そういうこともあるだろうけど。
もう少し詳しく調べたいぐらい、レアな症例なのは確か。本当に、薬は何も飲んでないわよね」

「は、はい」

うーん、と先生が唸った。

※コンマ下60以上で?
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 22:12:44.65 ID:1JDkrv+70
119 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/28(月) 22:15:46.72 ID:ZGfSivuJO
今日はここまで。
120 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 10:36:53.04 ID:UcvT5a3HO
「……何か、昨日変わったもの食べてない?あるいは、飲んだとか」

「……あ」

ヤクとのセックスで、唾液や愛液は舐めた。でも、それがどうかしたのだろうか。

「心当たり、あるんじゃないかな」

「んあ、えっと……飲んだというか、何と言うか……」

あー、と鷹山先生が苦笑した。

「ああ、ごめんなさいね。恥ずかしいなら、言わなくていいから。なるほど、尿蛋白はそういうことね。
まあ、君ぐらいの年でもエッチする子は増えてるけど、避妊はちゃんとしなきゃダメよ」

僕の様子を見て、先生は察したようだ。そしてすぐに真剣な表情になる。

「でも、唾液やバルトリン腺液にそんな効用があるなんて聞いたこともないし……あ」

先生が少し前のめりになった。

「ゴム、使った?真面目な話」

「あ……いえ、使って、ないです。ごめんなさい」

「でしょうね。君を責めたり叱ったりするつもりはないから、安心して。
まず、簡単なクイズ出そうか。菌が一番感染しやすいのは、どういう時だと思う?」

何を訊きたいんだろう。僕は首をひねった。

「……風邪だと、咳をした人の側にいたりするとうつりますよね」

「そう。でも、もっと確実なのは粘膜間接触なの。それも、口じゃなくって別の所。言葉を選ばずに言えば、陰茎と膣、あるいは陰茎と肛門での接触が一番リスクが高いの。
菌やウイルスの種類にもよるけどね。AIDSなんかは、キスじゃほぼ絶対にうつらないけど、セックスならうつる。ゴムをしてなければという条件が付くけど」

「は、はあ」

何でこんな恥ずかしい話をしだすんだろう。それはすぐに分かった。

「化学物質も同じ。経口接種より、別の粘膜の方が吸収がいいわけ。座薬が存在するのも、まさにそれを利用してるわけ。
ここから本題。君の能力が下がっていない、あるいはむしろ上がっているのは、君の彼女に理由があるかもしれない」

「えっ?どういうことですか」

「仮説、の段階よ。こんなこと聞いたこともないし。でも、君の脳の委縮と各種機能の平常性を考えるなら、何かの薬か何かがないとおかしい。
で、君は薬を摂取してない。となると、消去法でその子が残る。
来週、また検査を受けに来てほしいんだけど、その子も連れてきて。ひょっとしたら、何か分かるかもしれない」
121 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 10:45:21.69 ID:UcvT5a3HO
#

僕はいくつかの薬を渡され、病院を出た。もしもの時に飲むための精神安定剤、眠れない時の睡眠薬。それに、ヤクに渡すためのピルだ。
先生は「君ぐらいの年でピルを使うのは、ホルモンバランスが崩れやすいからまずいんだけど」と言っていたけど。
一応、数日に一度くらいの頻度なら問題はないらしい。少し恥ずかしいけど、ヤクが学校から帰ってきたら言わなくては。

適当に和光市駅で遅めの昼食を取り、僕は家に戻った。もちろん、誰もいない。退屈しのぎに勉強でもしていよう。

何ともなしに、テレビを付ける。……そこには。

※コンマ下
01〜50 ??が、行方不明??
51〜98 ??の???が、行方不明??
99、00 上+特殊イベント
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 10:46:03.77 ID:mPIJnaxDO
はい
123 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 13:43:04.75 ID:ow/Gd+ANO
若い男子アナウンサーが、大仰に何かを言っている。
画面下のテロップには、こうあった。

「鶴岡兄弟、またもお騒がせ 会見ドタキャンで失踪!?」

……和人?

僕はテレビの音量を大きくした。


「……今日世界3階級制覇に向けた会見が行われるはずだったんですが、鶴岡光輝、大和の二人とも会見場には姿を見せずじまい。
父親の次郎さんも表れず、平田会長は『分からない』と繰り返すばかりでした……」


和人の家族が、消えた?フィリピンにいたのは知ってるけど……。

ぞくり、と背中を悪寒が走り抜けた。これは、多分……翔一の仕業だ。
124 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 13:43:52.08 ID:ow/Gd+ANO
※誤字訂正

若い男子アナウンサーが、大仰に何かを言っている。
画面下のテロップには、こうあった。

「鶴岡兄弟、またもお騒がせ 会見ドタキャンで失踪!?」

……和人?

僕はテレビの音量を大きくした。


「……今日世界3階級制覇に向けた会見が行われるはずだったんですが、鶴岡光輝、大和の二人とも会見場には姿を見せずじまい。
父親の次郎さんも現れず、平田会長は『分からない』と繰り返すばかりでした……」


和人の家族が、消えた?フィリピンにいたのは知ってるけど……。

ぞくり、と背中を悪寒が走り抜けた。これは、多分……翔一の仕業だ。
125 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 13:44:58.20 ID:ow/Gd+ANO
※中断します。夜にコナンパートから。
126 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 20:45:26.69 ID:aEfaNIDMO
【6月27日、14時15分】


今年の梅雨は暑い。ほとんど雨が降らない上に、日射しもやたらと強い。
あたしはふうと軽い溜め息をついた。外に出るのは、必要最小限にしろと言われている。警察にも、「公安」にもあたしたちの顔は見られている。捕まるのだけは、避けなきゃいけない。

とはいえ、こんな日ばかり続くとそれは幸運なのかもと思い始めていた。冷房の聞いた部屋で、一日中過ごせるのだから。
あたしは料理本をぺらりとめくる。料理はコナン君と交代でやるようになった。彼に比べるとまだまだだけど、美味しいものを食べさせたいな。そう思うと、頬が緩んだ。

コナン君は、寝室で寝ている。いつものことだが疲れもあるのかもない。
あの夜以来、あたしたちは連日で肌を重ねている。こんなに相性がいいとは、自分でも思わなかった。
ただ、体力面での負担になっちゃってるなら、今日はお休みかな。コナン君の身体は、何だかんだでまだ子供なのだ。

テレビのワイドショーを付けながら、あたしは料理本に線を引こうとしていた。その時だ。


「お騒がせボクサー、鶴岡光輝が会見をドタキャンしました」


鶴岡?あたしはすぐに音量を大きくする。
127 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 21:00:12.38 ID:aEfaNIDMO
「……今日世界3階級制覇に向けた会見が行われるはずだったんですが、鶴岡光輝、大和の二人とも会見場には姿を見せずじまい。
父親の次郎さんも現れず、平田会長は『分からない』と繰り返すばかりでした……」

あたしはコナン君の所に行った。……これは大変なことかもしれない。

「コナン君っ!!ちょっと起きてっ」

「ん……」

「鶴岡のお兄さんたちが、行方不明って!」

その言葉を聞いた瞬間、コナン君が跳ね起きた。

「……え?」

リビングに向かうと、まだ鶴岡兄弟の話題だった。乱入や八百長疑惑など、過去のスキャンダルが紹介されている。

「これって、どうなの?」

コナン君が冷や汗をかいている。

「まずいかもしれない」

充電中だったコナン君のスマホが震えた。ワンコール目ですぐに出る。

「はい。ええ、今見ました。行方不明と。鶴岡和人は?」

誰かとやり取りをしている。険しい表情のまま、コナン君は電話を切った。

「……ねえ、大丈夫なの?」

※コンマ下
01〜25 鶴岡和人の足取りは、成田で止まってる……
26〜85 鶴岡はまだメキシコです
86〜97 メキシコにはいますが、場所を移動してるらしいです
98〜00 日本にいて、移動中です
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 21:00:50.99 ID:j9B5f0kY0
129 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 21:38:07.05 ID:aEfaNIDMO
「……ちょっと出ましょう。鶴岡和人は、日本に戻ってて……移動中だ」

「移動中って??まだメキシコにいるはずじゃ!?」

「兄の失踪と同時なのか、釣り出されたのかは分かりません。ただ、鶴岡和人は帰国を強いられた。これは間違いない。
彼がこの件に無関係とは思えない」

コナン君はリュックを背負い、眼鏡をかけた。

「情報は共有してます。急ぎましょう」

#

車に乗ると、コナン君は電話で色々指示を飛ばした。多分、相手は興也さんや由依ちゃん、源君なのだろう。
その合間に、彼はあたしに目的地の指示を送る。東京方面に向かえ、首都高に乗れと来て、最後に彼が告げた行き先は……歌舞伎町だ。

「歌舞伎町?佐倉の所に行くなら、群馬方面じゃ?」

「理由は分からない。でもひょっとしたら、彼も逃げている可能性があります。
父親や兄は、佐倉の手の内に落ちた。それをどう察知したかは知りませんが、鶴岡和人が身の危険を感じて身を隠そうとしているのかもしれない」

「でも歌舞伎町に何が」

コナン君がさらに険しい顔になった。

「大誠会系の坂元組。大誠会の若頭で有力者の、坂元寛が組長です。鶴岡家のケツモチ(スポンサー)でもある」

「ちょっと待ってよ、暴力団事務所に殴り込む気?」

「さすがにそこまで無謀じゃないです。ただ、僕の予想が正しければ……そこは近いうちに壊滅する。
多分、アイスキャンディを飲まされた和人の父か兄たちによって」

「え?」

「思い出して下さい。唐川という男のことを。あれは新型のアイスキャンディを投与され、化け物じみた身体能力を手に入れるに至った。
死ぬ寸前の状況でなければ、あんなにあっさり捕まらないんです。つまり、佐倉は」

あたしの中に恐ろしい想像が生まれた。

「……アイスキャンディで、新たな兵隊を作ろうとしてる?」

コナン君が、小さく頷いた。

「恐らく。新型、と唐川は言ってました。どういうのかは知らないですが、僕らが知るアイスキャンディとは違うもののようだ。
ただ、複数個はないと思います。数があれば、唐川以外にも何人かああいうのがいていいはずですから。
とにかく、格闘技の心得があり、常人以上には強い鶴岡光輝や大和があれを服用したら……かなりまずい。
銃を持っていたとしても、殲滅は訳ないかもしれません」

「じゃあ、どうするの?鶴岡和人を保護するの?」

眼鏡越しに、コナン君の眼光が鋭くなった。

「佐倉より先に、彼に接触しなきゃいけない。それをするならば……」

1 向こうから来るのを迎え撃つ
2 交渉をしてみる
3 城に接触する(英華経由)
4 自由安価

※3票先取
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 21:54:00.86 ID:rYrkbjoDO
3
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 22:08:16.75 ID:mPIJnaxDO
3
132 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/29(火) 22:18:22.44 ID:aEfaNIDMO
上げます。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 22:20:17.98 ID:ihLJbCsv0
3
134 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 00:17:38.35 ID:FN7ZDRXPO
コナン君は何かに気付いたかのように叫んだ。

「アユさんっ、次のインターで降りて下さいっ!Uターンして新座へっ」

「新座って、ほぼほぼあたしたちの家に戻る感じに……あ」

城の家だ。

「城も多分このことに気付いたはずです。でも、僕らが直接行っても警戒されるだけだ。
多少強引ですけど、薬師丸英華を使います。アユさん、偽装用の名刺は?」

「……一応持ってる。外出る時は、万一の時のために、だよね」

名刺には「毎朝新聞 社会部記者 鮎川芳子」とある。今週の土曜に、薬師丸英華に接触する時のために作ったものだ。
でも、万一職務質問された場合、これを見せてやり過ごすようにも言われている。コナン君が頷いた。

「毎朝新聞の記者ってことで、何とか薬師丸英華と接触してください。それで彼女を通して城にもコンタクトする。
城も鶴岡和人の父親や兄に起きたことについては知ってるはずです。
先に警察に連絡される前に会って、城を確保すれば、鶴岡和人を引きずり出せるかもしれない」

「ちょっと待ってよ!?ぶっつけでやるっての?」

「時間がないんですっ!……アユさんにならできます。僕もサポートしますから」

コナン君の手が、あたしの左手に重なった。……覚悟を決めなきゃいけないみたいだ。

#

車を近くのパーキングに停め、コナン君を残して外に出た。確か、この近くに薬師丸英華の家があるはずだ。

※コンマ下65以上で?
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 00:18:41.09 ID:WIpxdk0y0
そりゃ
136 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 00:24:34.70 ID:FN7ZDRXPO
※待ち伏せはなし

「Yakushimaru」というローマ字の表札が見えた。ここみたいだ。
チャイムを押す前に、大きく深呼吸する。……大丈夫、堂々としていこう。

ピンポーン

待つこと数秒。返事は……

01〜25 ない
26〜45 ハイ
46〜80 はい
81〜00 返答の代わりに、玄関のドアが開いた
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 00:26:11.56 ID:RS+qFCEDO
そい
138 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 00:37:36.70 ID:FN7ZDRXPO
『はい』

若い女の人の声だ。あるいは、これが薬師丸英華って子なのかもしれない。

「と、突然すみません。わ、私毎朝新聞の記者で、鮎川、といいます。……薬師丸英華さんはいらっしゃいますか」

『……あたしですけど、それが何か』

「少しだけお話が。か、簡単な取材、です」

緊張で口がよく回らない。インターフォンの向こうが沈黙する。

※コンマ下15以上で出てくる、80以上だと?
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 00:39:24.74 ID:/m1svsHDO
はい
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 00:39:35.63 ID:RS+qFCEDO
それ
141 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 01:06:27.60 ID:FN7ZDRXPO
『……分かりました』

答えが返って10秒後ぐらい。小麦色の、ショートカットの女の子が出てきた。学校から帰ったばかりだからか、まだ制服姿だ。

「あなたは」

「毎朝新聞の鮎川です。……少しだけお時間、いいですか」

「はい。……お姉さん、記者って嘘ですよね」

「え?」

そんな。もう見抜かれてたの?これじゃ城に接触なんて無理だ。……でもここからどうしたら?

頭が真っ白になった私に彼女が言ったのは、意外な言葉だった。

「あ、えっと……ジョーのこと、ですよね。さっき連絡が入ってきてて」

※コンマ下
01〜40 今、警察に行ってます
41〜70 家に行けば会えると思います
71〜95 後ろから、城らしき男の子が現れた
96〜00 ???
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 01:08:08.60 ID:RS+qFCEDO
はい
143 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 01:08:34.36 ID:FN7ZDRXPO
今日はここまで。
144 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 09:22:38.95 ID:XXyStjVJO
「今、家にいると思います。ちょうど、あたしも行こうと思ってたんで」

「え?」

「鶴岡和人……ジョーの仲間だった子のことで、ここに来たんですよね。本当に来るとは、ちょっとビックリしたけど」

あたしの顔からサッと血の気が引いた。

「……あたしのこと、知ってるの?」

「多分。男の子、近くにいますよね。その子も一緒に連れてきて下さい。ちょうどよかった」

「え」

あたしのスマホが震えた。会話の内容は、超小型の通信機を通してコナン君が聞けるようになっている。
メッセージが届いている。「とりあえず連れてきて下さい」とだけあった。

「分かった。……警察は」

※コンマ下
01〜40 もう来てますよ
41〜70 まだ来てないんじゃないですか
71〜00 ノーコメント、です
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 09:24:51.46 ID:omYhZnlN0
ほい
146 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 09:50:57.04 ID:XXyStjVJO
「まだ来てないと思います」

あたしは少し安堵した。警察に捕まるわけにはいかない。

英華さんを連れて、パーキングに戻る。コナン君が降りてきた。

「……子供のふりはしなくていいかな。どういうことか、こっちの情報が流れてるらしい。城から聞いた?」

「……ええ」

強ばった顔で英華さんが頷いた。反応が微妙だ。

「どうする?」

「嘘かもしれないけど……存外に友好的ですね」

コナン君が英華さんの方を向く。

「僕らが何者かは、知ってるんだね」

「は、はい。……バッドエンド・ブレイカー」

あたしは唾を飲み込んだ。やっぱり、気付かれてる。何故?

コナン君は話を続ける。

「なら、僕らの目的も知っているはずだ。君と親しい城隆一郎に、僕らを近付けるのは、危険と思わないのか」

「……正直、怖いです。でも……信じることにしましたから」

「『信じる』?何をだ」

「あたしの『運命』です。……あたしの直感が正しいなら、ジョーは死なない。
あなたたちも、ジョーを殺しに来たとか、そういうんじゃないんでしょう?むしろ、逆」

コナン君が黙った。

「……想像以上に、『知ってる』ね。誰から聞いた」

英華さんは何か言葉を探しているように見えた。

※コンマ下20以上で通常ルート
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 09:56:04.74 ID:/m1svsHDO
はい
148 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 13:00:39.30 ID:XXyStjVJO
そして、英華さんは短く言った。


「白田兵次郎さん」


コナン君の目が、大きく見開かれる。そして、眼鏡を外した。

「……何だって。どうして、彼の名を」

「詳しくは彼から聞いてください。あたしが言えるのは、それぐらいです」

コナン君は、じっと動かない。

「誰なの、その人」

「……師匠の師匠、ですよ。前に少しだけ言ったことがあるかもしれませんが。
僕らと同じ、『覚醒者』です。協力を持ち掛けたけど、何度も断られた。何で、城たちの側に……」

「もし知りたいなら、兵さんは会ってくれると思います。お互いに損にはならないはずです」

英華さんの言葉に、コナン君は目を閉じた。思考を巡らせているのだろうか。

「……いいだろう。ただし、条件がある。城も同行させろ」

「あたしもそのつもりでした。思っていたより早く会えてよかった」

土曜に接触するつもりだったのもバレていたみたいだ。この子……どれだけ知ってるの?

#

数分歩いて、少し古めの一戸建ての前に着いた。英華さんがチャイムを鳴らすと、ジーンズにTシャツ姿の眼鏡の少年が出てきた。
髪が長かったら、女の子でも通るかもしれない。この子が、城隆一郎……。

ぞくん

背中の後ろから、冷たい気配がした。振り向くと、コナン君が見たこともない険しい顔で下を向いている。

「ヤク、来たんだね。彼らが、バッドエンド・ブレイカー……」

城の顔が凍り付いた。コナン君の様子に気付いたからだ。

「ちょっとコナン君……」

「……大丈夫です。私心は、抑えられますから」

あたしは気付いた。この子が……「未来」にコナン君の家族を殺したんだ。
彼がずっと厳しい顔をしてたのは、そういうことだったんだ。

「ジョー……大丈夫なの?」

「でも、力を借りれる相手は多い方がいい。読み通り、こうして来てくれたんだ。……藤原湖南」

ギッとコナン君が城を睨み付ける。

「本名も聞いてたか。あの人も、お喋りが過ぎる」

「文句なら、兵さんに言ってくれないか。それに、僕らと君との目的は同じだ。佐倉翔一をなんとかしたい。そして、鶴岡和人を確保したい。
君らは、僕を使って和人を誘き寄せようということなんだろう?僕は彼の居場所は知らないが、協力はしたい。停戦協定だ」

「……そう来るか。発案は、兵さんだろう?」

「……そうだ」

無言のまま、彼らは睨み合う。そして、根負けしたようにコナン君が息を付いた。

「……乗るしかないようだね。あの人には勝てない。
アユさん、僕の言う目的地まで運転を」
149 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 13:01:32.17 ID:XXyStjVJO
※視点選択です。2票先取

1 このままコナンパート
2 ジョーパート
3 仁パート
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 13:04:31.88 ID:RS+qFCEDO
1
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 13:07:11.60 ID:jQF4zslU0
2
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/30(水) 13:10:20.89 ID:79q7kaOK0
2
153 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 21:26:01.03 ID:Sl6HBdBWO
【6月27日、16時51分】


「ジョー……」

ヤクがぎゅっと僕の手を握った。僕はそれをそっと握り返す。

「大丈夫」

車内には妙な緊迫感があった。誰も喋らない。沈黙に押し潰されそうになる。
それに、助手席にいる湖南という少年。彼から発せられる殺気は、矢向さんのそれに少し似ている。

彼が、アゲハたちを殺した。それはほぼ疑いないことだった。

信号待ちで止まった時、運転している女性が溜め息をついた。額からは汗が流れている。暑さのせいもあるだろうけど、多分彼女も緊張に耐えているんだろう。

「コナン君、音楽かけていい?」

「そのぐらいなら」

※流れた曲は……
※コンマ下

01〜75 GIVE IT AWAY(通常ルート)
76〜90 Californication(ジョーは知っている)
91〜00 ???(安価選択へ)
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 21:29:11.16 ID:/m1svsHDO
はい
155 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 21:37:54.17 ID:Sl6HBdBWO
カーステレオからは、やたらアップテンポの曲が流れている。

「What I've got you've got to give it to your mama
What I"ve got you've got to give it to your pappa
What I've got you've got to give it to your daughter
You do a little dance and then you drink a little water……」

「……何の曲ですか、これ」

「……レッド・ホット・チリ・ペッパーズのGIVE IT AWAY。君らが生まれる前の曲ね。あたしが生まれた年の曲って聞いた」

ヤクが女性に訊くと、それだけ返ってきた。バンドは名前しか聞いたことがない。

それでも、知らない曲でも沈黙よりはいい。湖南は、目をつぶったまま何も言わない。寝ているかのようだ。
車は関越へと入っていった。……どこに向かっているんだろう。
156 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 22:42:57.22 ID:W0r/lKUEO
#

車は鶴ヶ島インターで降りると、住宅街へと向かっていった。いつの間にか目を開けていた湖南が、短く女性に指示を出す。
そして、その一角で車は止まった。カフェ、だろうか。

「あー、そろそろ閉店……」

湖南を見た兵さんの表情が凍った。

「ご無沙汰してます」

「……一ヶ月経ったかどうかぶりだな。思いの外来るのが早かったじゃないか」

「……何故、城隆一郎と組んだんですか」

湖南の声は、低く、重い。兵さんが店内を見渡した。

「客はいねえな。美樹ちゃん、悪い。ちょっとまた、奥の部屋使うわ」

「マスター、またですか?訳ありのお客さん、多すぎません?」

眼鏡のバイトの女性が頬を膨らます。兵さんは「悪いね」と苦笑した。

「で、飲み物はコーヒーでいいんだよな。そこの姉ちゃんは」

「……同じのでいいです」

バイトの美樹さんに注文を伝えると、この前の部屋に通された。湖南と女性が奥側、僕らと兵さんが手前だ。

「さて……と。相変わらず融通利かねえな、コナン」

「こいつは仇です。理性で怒りを抑えてますが……何度夢に出たか。
停戦協定と言われて、ハイそうですかなんて言えない。兵さんがこいつと組んだ理由も分からない」

「組んだ、というかな。城の坊主は、仁が連れてきた。……坊主、調子はどうだ」

「昨日、記憶障害が。でも、今日病院に行ったら、身体機能も知的機能も問題ないと。
……ヤクが、関係あるんじゃないかって先生が言ってました」

ヤクの顔が赤くなる。ほう、と兵さんはニヤリと笑った。

「男になったか。しかし、嬢ちゃんがねえ」

※コンマ下80以上でコナンが反応
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 22:45:34.49 ID:qz0cvaFt0
158 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/30(水) 23:03:08.60 ID:W0r/lKUEO
ちょっと中途半端ですが今日はここまで。
159 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 10:52:16.63 ID:lRzEJzlCO
「……まあそれは本筋じゃねえ。俺が坊主と組んだ理由だな。かなり有り体に言えば、佐倉の危険性が著しく増したためだ。
お前も『覚えて』いるだろう?前の周の佐倉が、どういう男だったか」

「『西』の有力者の一人にしてカリスマ。……アイスキャンディを通して裏も支配した。あいつだけは絶対に、殺さないといけない」

湖南からの殺気が、一段と増した。

「だろうな。バッドエンド・ブレイカーの最重要ターゲットでもあるんだろう?で、大きくなって手が付けられなくなる前に、殺っておこうと。
お前が被害者であることを加味しても、奴に対する思い入れは分かる。
ただ、このまま行っても返り討ちにされるだけだ。まだ幾つか隠し球があるはずだからな」

美樹さんがコーヒーを運んできた。今日はクッキーも一緒だ。兵さんはそれを一口放り込んだ。

「悪ぃな。……とそこで俺は考えた。警察――というか仁とお前、そして坊主。聞いたかもしれねえが、『佐倉翔一を何とか無力化したい』という点で目的は一致している。
その後の行動が違うだけだ。お前は殺したい、仁は法の裁きを受けさせたい。そして坊主は自分に関わらないようにさせたい。
だったら、そこまでは利害は一致してるはずだ。そして、今や佐倉翔一にとってお前らは皆敵だ。一丸となる余地はある、と俺は判断した」

湖南が兵さんを睨む。

「城隆一郎だけでなく、『デッドマン』とも手を組めと?僕らを逮捕しようとする警察と組めるわけがない」

「そう言うだろうと思って、今日は仁を連れてきてない。ただ、『今の仁』は、お前より大分物分かりがいいぜ。今、立ち向かうべき相手が誰かよく理解している」

「目的を達成したら」

「そこはこれからの話だ。だが、俺が見るに最終的な結論は折り合えると思うがね。
あれもお前と同じで、『裁かれざる者』だ。とすれば自ずと答えは出てくる」
160 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 21:40:14.75 ID:4WWfRg4DO
湖南が一瞬考えるそぶりを見せた。

「……古畑は。あれも佐倉を追っているはず」

「『西の公安』が何を考えているかは俺には分からん。
だが、生かす可能性もあるかもな。状況をコントロールできるようにするのが、奴らの流儀だ。
佐倉を『程々に』暴発させ、自分の管理下に置く。歴史を大きく変えない方が、次の事象に対応はできるからな。
その観点からして、奴らからして見りゃ行動が読めないお前らの方が余程警戒対象だ。
そもそも佐倉も『西』の人間だ。到底信用はできんよ」

「西の公安」?知らない単語が出てきた。
ただ、どうも兵さんとは対立関係にあるらしい。

兵さんがコーヒーを飲んだ。

「そっちに対応するためにも、お前らで組んだ方がいい。
それに、わざわざ俺の所に来たってことは……何かあったんだろ?」

湖南の隣にいる女の人が、心配そうに彼を見る。

「……この人、本当に信用して大丈夫なの」

「僕の知る彼なら、相応の考えがあるはずです。
……鶴岡の家族が、全員消えました。間違いなく佐倉の手によるものです。
そして、鶴岡がケツ持ちの大誠会坂元組の所に転がり込んだ。
何か家族の異変の予兆があったんでしょう。それを受けて、メキシコから今日、日本に急遽帰国した公算が極めて高い」

兵さんの目が見開かれた。……こいつ、和人の居場所を知ってるのか。

「……なるほど、一大事だな。佐倉がいよいよ本格的に動き始めたってわけだ。
もう、鶴岡の家族は助からん。確実に佐倉の支配下に置かれる。
救いなのは、鶴岡本人はこちらに転ぶ余地があるかもしれんことだ。まだ、間に合う。
最悪のシナリオは……鶴岡も確保され、坂元組も壊滅する。いや、アイスキャンディによって汚染されるというべきか」

「察しが早くて助かります」

「まあ伊達にクソ長く生きてるわけじゃねえよ。恐らく、お前の当初の読みはこうだろう。
鶴岡と接点のある坊主を上手く使うことで、奴を引き出そうとした。所詮中坊、簡単に動かせると思ったんだろう。
ところが、坊主はお前の存在を知っていた。それだけじゃなく、俺とも接点があった。
まあ、予想外もいいとこだっただろうな。珍しく自制心を失いかけた。
それで、今お前は迷っている。このまま乗るべきか、自分たちだけで何とかすべきかと」

湖南が、視線を落とした。

「……逆に質問していいですか。兵さんは、何がしたいんですか」
161 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 21:57:16.61 ID:4WWfRg4DO
兵さんが苦笑した。

「そう来るか。……俺の願いはたった一つだ。『未来』を変えたい。
もう、3回目だ。自分で動いても、裏方に回ってもダメだった。むしろどんどん悪くなっていきやがる。
そこで、今回はアプローチを変えた。『見』に徹して、動くべき勝負所で動く。そうしようと思っていた。
だが、どうにも『歴史』は俺を巻き込むように動いているらしい」

「……『歴史』、ですか」

「そうだ。お前はまだ『1回目』だからピンと来ねえだろうからな。
そして俺の直感が言っている。これは絶好のチャンスだ。
佐倉の存在は、『3周目』において最大級の癌だ。これを取り除けるなら、俺も全力で協力しよう。
……だから」

ドン、と重い音が部屋に響いた。兵さんが机を叩いたのだ。

「お前も復讐心とか何とか脇に置いて、肚くくれや。
鶴岡の救出、お前らだけでできんのか?」

※10以上で通常ルート
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 21:58:02.76 ID:C4+IR+n60
163 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 22:10:51.17 ID:4WWfRg4DO
湖南が大きな溜め息をついた。

「……返す言葉もないです。停戦協定、乗りましょう」

「よし、それならここで握手……っと、もう一人の主役がいねえな。仁にも連絡を取っておくか。
流石に今からここに来てもらうには、少々厳しいだろうが」

そう言えば、毛利刑事には今日連絡を取っていない。落ち着いてからするつもりだったのだけど。

「毛利さんは、今日どうしてるんでしょう」

「さあな。鶴岡の件には確実に気付いてるだろうが。気になるなら訊いてみたらどうだ」

僕はスマホでメッセージを入れた。「今、兵さんと藤原湖南といます。連絡取れますか」と。

※コンマ下
01〜40 すまん、それどころじゃない(仁パートに強制移行、あるイベント発生済み)
41〜80 鶴岡の件で手一杯だが、後で相談に乗る
81〜00 了解した、今から向かう
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 22:12:56.12 ID:p8OkpbdDO
はい
165 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 22:22:07.94 ID:4WWfRg4DO
返信はすぐに来た。


「すまん、それどころじゃない」


どういうことだろう?「それどころ」で済むようなことではないはずだけど。

「どうした?」

僕は兵さんにスマホを見せた。額に皴が寄る。

「……らしくねえな」

「おかしいですよね、これ」

「だな。お前とコナンが会っているという時点で、結構なことだと思うんだが。
鶴岡の件かとも思ったが、それならこんな余裕のない返信はしない」

※40以上でイベント判明

166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 22:23:47.83 ID:moVLVT/DO
はい
167 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 22:36:33.68 ID:4WWfRg4DO
湖南がはっとなって、急にスマホを弄り始めた。隣の女性も、血の気が引いている。

「どうしたの?」

「……やっぱりだ、『おやっさん』の発信情報が、消えてる」

「え?」

二人の動揺が激しいのは、僕でもすぐに分かった。「おやっさん」?

「……埼玉県警捜査一課に忍ばせてた内通者のことか。攫われたか」

「多分。古畑たちか、あるいは……佐倉か」

「どっちにしても、極めて厄介だな。ここで動いてきたか。
鶴岡の確保は、これで絶対になったな。これから作戦会議を組むぞ」

僕は湖南を見た。

「内通者って、結局誰なんだ?」

「……お前に言っても、多分面識はないだろう。ただ、一応言っておく。
青葉和行巡査部長だ」
168 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/01/31(木) 22:38:05.52 ID:4WWfRg4DO
今日はここまで。明日は仁パートからです。

なお、アゲハサイドの監視が甘かったのは青葉が意図的にそうしていたからでした。
虚偽情報を流してコナンがアゲハに接触しやすい状況を作っていたというわけです。
169 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/01(金) 22:02:01.32 ID:k/ow5qFrO
【6月27日、14時18分】


『仁、厄介なことになった』

外回り中の俺に、赤木警部が不機嫌そうに電話を入れてきた。

「どうしました」

『鶴岡の兄貴たちが失踪したと。まだ捜索届けは出てねえが。今テレビでやってる、会見をドタキャンしたと』

「何ですって?至急確認します」

電話を切り、ワンセグで確認する。ワイドショーは鶴岡家のスキャンダルを並べていた。
ほぼ、佐倉が動いたと見て間違いなさそうだった。とすれば……別行動を取っている鶴岡和人はどうなっている?
週末に戻ると俺は踏んでいた。しかし、これに気付いたなら多少前倒しするかもしれない。その場合、鶴岡が頼れる相手は誰だ?

……3つ可能性がある。まず、失踪が佐倉によるものと気付かず、自分から奴の下に飛び込んでしまう可能性。だが、城の「鶴岡は不信を抱いている」という言葉からして、多分これはないだろう。
次に、城の所に行く可能性。これはなしとはしない。だが、二人の関係性からしてやはり薄いだろう。
とすれば、ケツ持ちの大誠会か。記憶が確かなら、坂元組が直接接点があったはずだ。

とはいえ、埼玉県警の俺が手ぶらで行ったところで門前払いが落ちだろう。警視庁のマル暴担当と提携しなければならないが、相当に手間だ。
兵藤に一報入れておくとしようか。行方不明届も出てない現状では、こちらにできることは少ない。

俺は赤木警部にコールバックした。

「仁です。今確認し……」

『すまんっ、至急戻れっ!!緊急事態だ』

「え?この件ですか??」

『違うっ!!青が行方不明だ!!朝から連絡がなかったが、自宅が藻抜けの殼だったとさっき分かった!!』

「……何ですって!!?」

青葉が行方不明??どういうことだっ?
事件に巻き込まれた?しかし青葉はただでやられる男ではない。無断欠勤するような男でもない。

可能性は……彼がバッドエンド・ブレイカーの内通者であったこと。そして、増田がそれに気付いた……。

「クソォ!!!」

俺は近くに停めてあったクラウンに向けて走り出した。何故気付かなかった??

考えれば、微妙な違和感があった。青葉が金路アゲハ宅に近寄れないと言った点。相手がプロだろうと何だろうと、食らい付くのが青葉だったはずだ。
並のプロなら返り討ちにすらできる。それだけの腕がある男だ。不自然と思うべきだった。

あれは、アゲハに対する警察のマークを剥がすための嘘だった。俺は泳がし過ぎたのだ。

運転席でスマホを操作する。増田に電話だ。多分、マトモな返事は返ってこないだろうが。

※コンマ下
01〜50 電話に出ない
51〜75 やあ
76〜00 どうしたんだい?
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/01(金) 22:02:43.52 ID:DAtM/7MS0
171 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/01(金) 22:24:52.37 ID:k/ow5qFrO
『やあ。さすがに気付いたね』

増田は陽気な口調で電話に出た。嘲笑っているようにすら思える。俺は怒りを何とか抑え込んだ。

「……青葉はどこだっ」

『知らないよ。ボクは彼の住所について、情報を流しただけだから』

怒りで手に力が入る。スマホが軋んだ。

「ふざけるなっ!!貴様それでも刑事かっ!!」

『残念ながら、ボクは公安だ。犯罪者を捕まえることよりは、秩序の維持なんだよ、『デッドマン』。
それと、さっき言ったことは本当さ。ボクは知らない』

「……古畑かっ!?」

『それも含めて分からないんだ。ボクらの組織、どの程度か知らないだろ?
覚醒者の数は多くない。でも、ボクらは『今』の公安も自由に使える』

那珂川警視総監がいたのはそういう意味だったか!?とすると、青葉の末路は……かなり厳しい。
情報をあるだけ吐かされて幽閉か、さもなくばその前に自死を選ぶか。
あるいはもっと別の何かが用意されているかもしれない。

何にせよ、こちらが藤原と手を結ぼうとしている時にこれはまずい。どうすれば奪還できる?
取引?しかし相手は信用ならない。青葉と引き換えになるような情報もない。あってもそれはこちらの首を絞める情報のはずだ。

考えろ。……本当に何かないのか。

※コンマ下
01〜50 考え付かず
51〜80 あいつなら、もしや
81〜00 ザーッ……(再判定)
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/01(金) 22:27:30.47 ID:+c+ZNPyDO
はい
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/01(金) 22:28:09.47 ID:4pXnD8yDO
こい
174 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/01(金) 22:41:38.75 ID:k/ow5qFrO
クソっ、考え付かない。打つ手なし、か……。

『まあ、大人しくしてればボクらから迷惑をかけることはないよ。少なくとも君らには。
要はバッドエンド・ブレイカーと佐倉の件からは手を引いてくれればいい。ボクは適当に仕事して、しばらくしたら察庁に戻るだけだから』

それだけ言うと、増田は一方的に電話を切った。俺はハンドルを力一杯叩く。弾みでクラクションが鳴った。
今俺ができることは……

※安価下5までの自由安価です。次回更新時(遅くとも明日夜)まで有効なものがなければ青葉の自宅捜索になります(ただ、進展は低確率です)。

※誰かへの相談は可能ですが、白田への連絡はしばらく不可とします(矛盾が生じるためです)。候補となりうるのは亜衣か兵藤程度ですが……他にもいることはいます。

※一応取引に使えそうな情報に繋がる手掛かりは提示されてます。ある人物を動かすことになりますが、その前にワンクッション必要です。
175 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/01(金) 23:58:45.36 ID:/k+SzPlaO
上げておきます。
176 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 01:01:05.72 ID:OP9UGcJZO
寝る前にもう一度上げておきます。

なお、亜衣にせよ兵藤にせよ他の誰かにせよ、「何を訊くか」が大事です。
可能であれば質問内容も付記して頂けると助かります。
(もちろんただ相談するでも可です。有用な情報が入るかはこの場合あまり高くはありませんが)
177 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 11:20:29.51 ID:KPvm9OFOO
上げます。

さすがに現状厳しいので、コンマ下40以上でヒントを出します。
90以上なら自由安価なしで進行します。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 11:26:16.60 ID:ugyNrWPDO
来い
179 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 11:30:18.33 ID:KPvm9OFOO
※ヒントです。

仁と「西の公安」との面会(前スレ500〜510ぐらい)シーンに色々伏線を仕込んでます。
仁には記憶はありませんが、ある人物なら何か情報を握っているかもしれません。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 13:17:14.79 ID:2qwgJMHR0
古畑玲に相談かな?
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/02(土) 13:26:12.42 ID:arsSVTpG0
増田の未来での様子を聞くとか?
182 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 13:36:04.95 ID:KPvm9OFOO
>>180
古畑に相談はできなくはありません。ただ、もっと別の人間で確実に協力してくれる人物がいます。

誰を揺さぶるかから逆算した方が早いでしょう。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/02/02(土) 15:47:55.70 ID:m0GSPe9B0
那珂川警視総監と話してみるとか
184 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 15:51:56.23 ID:L7LOttJEO
まだ難しいようなのでもう一つヒント判定を入れます。

40以上で追加ヒント、95以上で勝手に行動します。
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 16:14:47.87 ID:XUAQVRlDO
はい
186 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 16:21:55.70 ID:L7LOttJEO
※追加ヒント
強請るのは朝尾です。彼に繋がる情報を持ってそうな人物は……
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 16:33:42.67 ID:09aXcXQU0
前スレ>>506で2023年に毎朝新聞記者の殺害で捕まるみたいだからそれ関係?
過去スレ調べたら鬼束の父親は毎朝新聞の社会部部次長だから彼に接触するのかな?
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 16:36:39.74 ID:hntygFcEO
追加こい
189 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 22:13:04.69 ID:YO6T8uUrO
>>187を採用します。こちらが想定したものとは違う回答ですが、これでも筋は通ります。
190 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 22:25:16.70 ID:YO6T8uUrO
考えろ。本当に打つ手はないのか。「西の公安」との交渉材料は……。


……あった。


今のあそこのトップは朝尾副総理だ。朝尾は何を言っていた?
「2023年に俺が『犯したとされている』毎朝新聞記者の殺害」……この記憶はない。
だが、その伏線になるような動きは、既にあるのではないか?

そして、毎朝新聞と言えば……鬼束直哉の父親だ。
連絡先は知っている。酷くキツいタイプの男で、あまり進んで話したいタイプではないが……。

俺はスマホを手にした。

※コンマ下30以上で電話に出る
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 22:27:02.72 ID:+YEfLCDo0
はい
192 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 22:38:34.91 ID:YO6T8uUrO
『もしもし、鬼束ですが』

「埼玉県警捜査一課の毛利です。その節は、どうも」

『……これから編集会議なのですがね』

酷く不機嫌そうだ。新聞社のデスクともなれば、ストレスも溜まるのだろうが。

「手短に済ませます。まず、最初に。……お子さんの直哉君の死は、自然死ではないのが濃厚になりました」

『……最初からそう言っていたでしょう。警察が無能なのは知ってますが』

「返す言葉もありません。ただ、捜査は進展中です。近いうちに朗報を伝えられるかと」

『期待しないでおきます。じゃあ、私は急ぐ……』

「話は終わってない。あなたに有力なネタを提供したいのです」

電話は切れない。鬼束は何かを考えているようだ。

『……ネタ、ですか』

「これはあなたのお子さんの尊厳にもかかわるので、取り扱いにはご注意を。
あなたのお子さんと金路アゲハ、友人関係にあったのはご存知ですか」

※コンマ下
01〜50 初耳ですね
51〜80 名前は一度聞いていてます
81〜00 ……初耳ですね




193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 22:39:37.73 ID:ugyNrWPDO
そい
194 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 22:54:49.19 ID:YO6T8uUrO
『名前は一度、直哉から聞いてます。……彼女も殺されたと。連続殺人ということですか』

「もちろんその通りです。だが、これは本題じゃないし、あなたも薄々勘付いていることでしょう。
問題はここからです。金路アゲハは『アイスキャンディ』と呼ばれる新型の麻薬に手を出していた」

『……何だって!?まさか、直哉も手を出していたと??』

「そうは言ってません。ただ、この事件はこの麻薬が一枚噛んでいる。
極めて、極めて危険な薬です。もし世間に流通したら、社会は大混乱というレベルではない。
金路アゲハの死の直前に死んだ白馬伸という男を調べてみると面白い、かもしれませんね」

再び鬼束が黙った。後ろで彼を呼ぶ声が聞こえる。

『他紙は』

「読日はアイスキャンディのことについて相当先行してます。
書いていないのは、裏取りに苦労しているか……あるいは、別の理由があるからかと」

射手矢文彦はアイスキャンディのことも白馬のことも相当知っていた。
どういう経緯かは知らないが、あれは俺の「記憶」とも合致している。
にもかかわらず読日はまだ記事にしてない。ゴシップ誌も動いていないのは、ただの幸運か、あるいは何らかの力が働いたからか。

※コンマ下50以上で追加情報(ただし情報が正確かは不明、95以上なら事実として確定)

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/02/02(土) 22:55:56.62 ID:m0GSPe9B0
196 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 23:08:08.94 ID:YO6T8uUrO
……いや、もう一つ可能性がある。

それは……文彦も覚醒者である可能性だ。そしてもしバッドエンド・ブレイカーと繋がっていたら?
あるいは「西の公安」かもしれない。とにかく、その可能性は否定できない。

文彦が覚醒者なら、いくつかの疑問は氷解する。
読日がまだ記事にしていないこと。そして「何故か」アイスキャンディの件を知っていたこと。
だが、何故それをわざわざ俺に教えたのだろう?文彦に会うか会わないか……それはまた考えねばならない。

『本当ですかっ!!?』

鬼束が叫ぶ声で、俺は現実へと引き戻された。

「間違いありません。記事にするなら早いうちがいい。
……その代わりに、こちらから一つ。朝尾副総理についてのスキャンダル、何かありますか」

『取引、ということですか。その程度なら喜んで。
ただ、編集会議があるので詳しくはお会いして話したいですね。17時に築地の本社で。どうです』

「了解です」

俺は息をついた。野党系の毎朝なら、朝尾のスキャンダルは当然追っているだろう。
それを青葉解放の取引材料にできるかは、別の問題だが。

※コンマ下70以上で重要な記憶を取り戻す
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 23:11:43.17 ID:j5w2TotW0
198 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 23:29:24.63 ID:YO6T8uUrO
【6月27日、17時01分】


「お待たせしました」

大柄でオールバックの男が、部下と思われる小柄な男を連れてやってきた。この男が、鬼束だ。
やけににこやかな顔をしている。息子の死の時とは大違いだ。

「わざわざ埼玉からこちらまでご足労頂きありがとうございます。
で、アイスキャンディの件ですが、詳しくお話しいただけますか」

世間話も抜きで単刀直入か。ネタさえ取れればいいということだな。
とはいえ、こちらの取引をおろそかにしていては、本命を落とせない。

俺は文彦から聞いた範囲に少し足した程度の、アイスキャンディの話をした。
食いつきが良かったのはその効能の件だ。危険度の高さは、やはりニュースバリューに関わるらしい。

「しかしよくその錠剤を手に入れましたね。それはどこで」

「捜査情報につきこれ以上は。ただ、鑑識によればグルタミン酸を使ったものであると。
ごく最近判明した情報ですが、埼玉県警の鑑識に問い合わせれば教えてくれるかもしれませんね」

鬼束の部下が凄まじい速さでノートを取る。

「小川、これなら書けるよな。最低社面アタマ、1面ワキまで行ければ上出来か。トタ(急いで書くこと)で13版にぶち込むぞ」

「了解です」

俺は出された薄い日本茶を飲んだ。

「さて、今度はこちらの番です。朝尾副総理について、何かご存知ですか」

「その前に一つ。朝尾について埼玉県警が何かお調べですか」

「まあ、そのようなものです」

鬼束とその部下が目を見合わす。

※コンマ下
01〜55 宗教法人からの違法献金
56〜80 銃刀法違反
81〜95 企業からの違法献金疑惑ぐらいはあるのですが……
96〜00 本当に言うんですか、鬼束さん
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 23:30:31.45 ID:XUAQVRlDO
はい
200 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 23:44:07.44 ID:YO6T8uUrO
「仏教系宗教法人、日輪会からの違法献金疑惑。これについてはご存知でしょう」

「……ええ」

最近毎朝が力を入れているキャンペーンだ。しかし、これは……。

「それで最近、有力な情報を手にしました。裏取りも含めてご案内します。
日輪会トップの、蓮順法主が……」

……俺はこれを覚えている。確か、最後まで真相は明らかにならなかったのだ。
後年になって、あれは毎朝の捏造報道だったのではという説すら流れたほどだ。
俺は覚えていないが、これが23年の記者殺害事件に繋がったのだとすれば、それはそれで合点は行く。

とにかく、これを突き付けた所で朝尾は痛くもかゆくもないだろう。
俺は落胆した。結局、毎朝による倒閣活動に協力しろということであるらしい。

「……なのです。どうですか、毛利警部補」

「はあ。……ちょっと待ってください」


スマホが震えた。城からのメッセージには「今、兵さんと藤原湖南といます。連絡取れますか」とある。


正直、朗報だ。想像よりも早く、藤原湖南とコンタクトが取れる。
しかし……今はそれどころではない。俺はそう打って返した。

「失礼しました。捜査情報の確認です」

「いえいえ、構いませんよ。どうです?お役に立ちそうですか」

※80未満で話は終了、80以上で?
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 23:46:11.79 ID:ugyNrWPDO
はい
202 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/02(土) 23:51:28.39 ID:YO6T8uUrO
「あ、まあ。そちらこそどうもありがとうございます」

「いえいえ。また直哉の件、進展あったら教えてください」

俺は早々に話を打ち切ることにした。直感だが、こいつらには朝尾を揺さぶる情報はない。

#

築地近くのパーキングに停めてあったクラウンに乗り込み、俺は一息つく。
……方向感としては、間違ってないはずだ。だが、こいつらではない。
急がねば、青葉の確保はどんどん難しくなる。猶予はもはやさほどないと思った方がいい。

とすると……

※3票先取、0000から投票開始

1 亜衣に訊く
2 兵藤に訊く
3 白田に訊く
4 文彦に訊く
203 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 00:02:04.97 ID:EqlMZs86O
では投票開始します。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 00:04:21.24 ID:rxq3etLDO
3
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 00:25:43.19 ID:YWwcJIZo0
3
206 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 00:38:37.81 ID:EqlMZs86O
寝る前に上げます。
207 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 06:57:04.79 ID:EqlMZs86O
もう一度上げておきます。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 08:10:36.63 ID:kMzSJ9wr0
3
209 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 09:50:43.34 ID:rP1K1/GLO
文彦に訊くのも手だろう。しかし、あいつがこちら側の人間である保障もない。
とすれば……彼の方が無難だ。

『仁かっ?内通者の件か』

電話に出るなり、兵さんは叫んだ。やはり藤原が気付いていたらしい。

「そうです。そちらで分かってることは」

『何もなしだ。お前がそれどころじゃないと言っていたのは、このことだな?埼玉県警の青葉、お前の同僚が消えたわけだからな』

「そうですか。……そちらに行きたいのはやまやまですが、とりあえずこっちを優先しなければならない状況です。
奴の身柄を確保したのは、『西の公安』で間違いありません。早く取り戻さないと、酷いことになる」

『違いない。コナンが焦燥した感じで、奴の上と何か話してる。一度完全に地下に潜ることも検討してるらしい』

兵さんはいつになく早口だ。彼にとっても、この事態はかなり厳しいということか。

「そうなると佐倉をどうこうすることは大きく遠退きます。鶴岡の家族が捕まった以上、城や薬師丸の命も危ない」

『間違いない。……何か妙案、ねえのか』

俺は毎朝新聞の件を話した。兵さんは……

※コンマ下1
01〜20 朝尾か……
21〜60 確かにあれは……
61〜90 なるほど。そういうことか
91〜00 行けそうだな

※コンマ下2
01〜70 文彦は知らない
71〜90 文彦を知っている
91〜00 文彦とは近い関係
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 09:54:14.05 ID:IhcgM1F90
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 09:55:00.68 ID:kvcPRUlDO
はい
212 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 10:05:12.34 ID:rP1K1/GLO
『朝尾か……詳しく知ってるわけじゃない。ハメられたらしいというのは聞いているが』

「ハメられた?」

『殺人事件自体がでっち上げだったらしいということだ。その後民自党は凋落し、民生党が台頭した。確実に誰かが仕込んだ話だ。恐らくは、民生党か、そのバックにいるC国かK国か。
ただ、俺はその時別のことでかかりきりだったからな。直接知ってるわけじゃない』

「……射手矢文彦という記者は」

『初耳だな』

俺は内心落胆した。兵さんすら、十分な情報は持ち合わせていない。
そうなると……文彦に訊くしかないのか。気は進まないが。

※コンマ下50以上で???
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 10:12:12.73 ID:kvcPRUlDO
はい
214 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 13:19:15.72 ID:w+UIROPSO
その時、電話の向こうで声がした。やや甲高い……子供の声?

『コナン、どうした?……なるほど、分かった。
仁、コナンが話したいそうだ。替わるぞ』

コナン?……藤原湖南かっ!

『はじめまして、ですね。『デッドマン』』

高いのに重い。こんな声質は初めて聞いた。確かに、普通の子供ではあり得ない。

「覚醒者の奴らは皆俺をそう呼ぶのか。いい加減にしてもらいたいな。
毛利仁だ。毛利でいい」

『失礼。兵さんとの会話、少し耳にしまして。朝尾を揺さぶるつもりらしいですね』

「そうだ。青葉を奪還しないことには始まらない。俺らですらそうだ、お前らはもっと厳しい。そうだろう?」

『……ええ。朝尾にアタックをかけるのは考えていましたが、こちらからはアクセスできない。関係が遠すぎて、交渉の余地すらない。
ただ、あなたならできる。同じ警察だから』

理解が早い。兵さんが言う通り、話の分からぬ人物ではないようだ。

「同じことを考えていたよ。朝尾は毎朝新聞と因縁があるようだな。ただ、毎朝新聞に行ったがロクな収穫はなかった。
奴を揺さぶり、青葉の解放に繋がるだけの情報。持っているか?」

※コンマ下
01〜65 ご存じの通り、朝尾の殺人事件は偽装です
66〜90 朝尾には……
91〜00 今の話、もう一度
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 13:34:25.36 ID:rxq3etLDO
そい
216 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 15:45:02.55 ID:431QNAOsO
『既に気付いているかもしれないですが、朝尾の殺人は偽装です。つまり、これから殺人が仕組まれる。
この件は、東西分裂後に真相を探るため僕らも動きました。分かったのは、西日本政府の主体である旧民生党が一枚噛んでたということです。
今の民自党の支持率はご存知でしょう?そして野党の不人気も』

「……そういうことか。つまり『現役の政権中枢が起こした犯罪』をテコに、倒閣しようと……!
なるほど、日輪会の違法献金疑惑を詰めきれなかった野党とメディアはそういう手段に出たわけか。そしてその結果……まんまと狙いは当たったわけだ」

『まだ起きてないにですから、『当たる』が正しいですがね。ただ、僕らが分かったのは、あれが偽装殺人であるという点まで。
なぜ朝尾が毎朝新聞にハメられたのかまでは……』

何かが足りない。足りないピースはなんだ。

※コンマ下
01〜60 何もなし、安価選択に
61〜95 とすれば……
96〜00 ……まさか
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 15:49:43.71 ID:UInKafcF0
ほい
218 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 19:13:49.44 ID:BMb++OHwO
……とすれば、殺人の仕掛人は毎朝新聞内部にいる可能性が高い。鬼束か?いや、それなら藤原が知っているはずだ。
奴は朝尾の偽装殺人を追っていたと言った。もし鬼束父が関わっているなら、彼がバッドエンド・ブレイカーのターゲットになっていても不思議ではない。

とすれば……やはり文彦に訊くより他なさそうだ。あいつが覚醒者にせよ、そうでないにせよ、毎朝新聞の内部事情には詳しいはずだ。
情報には「対価」を要求されるかもしれない。しかし、あいつが古畑らと繋がってないのであれば……これは好機に転ずるかもしれない。

「分かった。鶴岡の件についてはこちらも対応中だ。それについてはそちらに任せる。青葉は俺が対応する」

俺は電話を切り、文彦の電話番号を探した。……あった。

※コンマ下70以上で?
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 19:16:14.11 ID:rxq3etLDO
どれ
220 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 21:46:46.28 ID:BMb++OHwO
『やあ仁。珍しいね、君からかけてくるなんて。ネタなら歓迎だけど』

文彦はいつも通りのノリだ。

「生憎ネタが欲しいのはこちらの方でね。毎朝新聞の記者で、朝尾副総理を追ってる奴は知らないか。
同業の、しかも地獄耳のお前なら知ってても不思議じゃないと思ってな」

『……急に何だい、『闇将軍朝尾』のネタでも追ってるのかい?それは桜田門か特捜部の仕事だろ?』

「それは本気で言ってるのか」

文彦は平気で嘘をつける男だ。多少揺さぶらないと本音は出てこない。
奴がしばらく黙った。

※コンマ下
01〜20 何を言ってるんだい?
21〜50 ……何を言ってるんだい?
51〜75 相応の事情があるみたいだね
76〜95 周りに人は
96〜00 上+α
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 21:48:50.09 ID:Db5gv+4N0
はい
222 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 21:56:24.43 ID:BMb++OHwO
『何を言ってるんだい?』

文彦が訝しげに聞き返した。……これは、本音か?
とすれば、文彦は覚醒者ではないことになる。俺の中に焦りが生まれてきた。

「……何も知らないのか」

『朝尾に新しいスキャンダルがあるなら、こっちが教えてほしいよ。ただでさえ毎朝にはやられっぱなしなんだから。
とはいっても、僕は今は支局の社会部だからねえ。何もタッチはできないんだけど』

「アイスキャンディの情報は、どこから手に入れた」

※コンマ下
01〜30 それは言えないよ
31〜50 情報屋、とだけ言っておくよ
51〜80 なぜそれを知りたがるんだい?
81〜95 ……それを聞きたがるんだ
96〜00 上+α
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 21:57:16.14 ID:kvcPRUlDO
はい
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 21:57:37.96 ID:A+ZbLxw40
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 21:58:23.00 ID:kvcPRUlDO
>>224

すみません……
226 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 22:02:14.62 ID:BMb++OHwO
『それは言えないよ、取材源の秘匿ってやつさ』

口の中が乾いてきた。文彦がダメなら、完全に行き詰まりだ。

「いいから教えろっ!!人の命がかかってるんだぞ!!」

焦りからか、俺は大声で怒鳴った。

※コンマ下1〜3で50以上が一つでもあれば進展あり(実質上のラストチャンスです)
※90以上が一つでもあれば?
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 22:04:31.70 ID:Db5gv+4N0
どうか
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 22:05:03.53 ID:rxq3etLDO
ほい
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 22:08:34.12 ID:kvcPRUlDO
はい
230 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 22:20:15.76 ID:BMb++OHwO
『……な、何だよっ。そんなに大変な話なのか?』

文彦が動揺した。押せる。

「お前らの仕事にも関わる話だっ。アイスキャンディのネタ元は誰だ!そいつに会って聞かなきゃいけないことがある、それも大至急にだ」

『それと毎朝、それに朝尾と何の関係が?鬼束直哉の父親が毎朝のデスクだったことと繋がりでもあるのか??』

「あるっちゃある、とにかく知ってることを教えろ。時間がないんだよっ!!」

※コンマ下
01〜35 ……後でメールを送る。それで勘弁してくれないか
36〜70 あれは僕が取ってきた話じゃない。同僚のだ
71〜95 ……出元は嫁だよ
96〜00 上+α
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 22:23:01.17 ID:PS8jBSWB0
高いの
232 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 22:36:39.45 ID:ofrFoqFpO
『……後でメールを送る。それで勘弁してくれないか』

「はあぁ?それで間に合うと思ってるのかっ!!」

俺の語気がさらに強くなる。しかし、文彦の声は弱々しい。

『仕方ないだろう、僕も正体は詳しく知らないんだ。しかし、今までの情報は、全て当たってる。
メールにアドレスを入れてる。そこにコンタクトすれば……何か分かるかもしれない』

「正体不明の情報提供者?」

『……ああ。アイスキャンディの件も、白馬の件も、そいつから聞いた情報から裏取りした。ただ、あまりにファクトが弱くて、記事化しなかっただけだ』

俺は亜衣のことを思い出した。同じようなことをしている人物が、他にもいる?
とすると……。

「向こうからメールが来たのがきっかけか」

『……!そうだ、その通りだよ。で、定期的にメールが来るようになった。
金路アゲハの事件やらは、知らなかったらしいけど』

やはりそいつが覚醒者だ。問題は、ちゃんと答えてくれるか。そして朝尾関連の情報を持っているか。何より……間に合うかだ。

俺は息をついた。

『文彦、結婚してたか。あるいは、年の離れた子供が親戚か誰かにいるか。唐突かもしれないが、重要な質問だ』

※コンマ下30以上でいる
233 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 22:38:56.10 ID:ofrFoqFpO
※なおコンマ下70以上で+αがあります。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 22:50:42.26 ID:+k0/BaIt0
235 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 22:58:41.49 ID:ofrFoqFpO
『いや、いない。それがどうかしたか』

「……いや、いい。とにかく、至急連絡をくれ」

俺は大きな溜め息をついた。亜衣と同じパターンであることを期待したが……無駄だったようだ。
クラウンの車内で待つこと5分。文彦から簡素なメールが届いた。

#

「毛利警部補

下が連絡先。僕からの紹介と添えてほしい。
身分は明かした方がいいだろうけど、返事が来るかは知らない。期待に添えずすまない。

射手矢」

#

不確かな綱渡り用の綱を歩いている気がする。しかも、辿り着いた先に何もないかもしれない。
だが、もうこれしかない。もし取れなかったら、ハッタリで挑むより他ないだろう。

俺は祈る気持ちでメールを書き、送った。宛名は「ベルモット」。

※コンマ下30以上で返信あり(再判定)
※30未満の場合、特例で何らかの対応を取ります
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 23:01:13.50 ID:rxq3etLDO
はい
237 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 23:06:31.12 ID:ofrFoqFpO
待つこと15分ほど。俺のスマホが震えた。「至急連絡乞う」と送っていたが、存外に早く来た。
すぐさまメールを確認する。……そこには。

※コンマ下
01〜50 私と同じ立場の方でしょうか?
51〜80 お知り合いになれて光栄です
81〜95 待っていました、毛利警部捕
96〜00 上+α
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 23:09:52.64 ID:kvcPRUlDO
はい
239 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/03(日) 23:21:16.46 ID:ofrFoqFpO
#

毛利様

初めまして、ベルモットと申します。
お知り合いになれて光栄です。あなたのことは存じております。
恐らく、アイスキャンディの捜査をされていると御推察します。

私の力を借りたいとのこと、幸甚です。
ですが、私の知識には偏りがあります。お役に立てるか自信はありません。
それでもよろしければ、ご対応させていただきます。

ベルモット

#

まず第一関門は突破した。やはり覚醒者で間違いない。
問題はここからだ。どこまで知っているのか?何を聞くべきなのか?

※2票先取

1 毎朝新聞に気になる人物はいるか
2 朝尾の事件について知りたい
3 君は何者だ
4 白田兵次郎は知っているか
5 自由安価
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 23:26:12.21 ID:rxq3etLDO
2
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 23:30:40.64 ID:kvcPRUlDO
2
242 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 00:35:29.26 ID:le9gHZXIO
やはり聞くべきは朝尾の話だ。猶予はほぼない。正体やら何やら聞きたいことはあるが、全て後回しだ。

#

ベルモット様

毛利です。ご協力に感謝いたします。
差し当たり、緊急でお答えいただきたい点があります。無論、あなたに私同様未来の記憶があるのは承知の上です。
2023年の朝尾副総理による毎朝新聞記者の射殺事件。この背景を知りたいのです。
一応、これが毎朝新聞かその背後にいるものによって仕組まれた偽装殺人であるのは認識しています。問題は、誰が関わっているかです。
これが分からないと、人が一人死ぬことになるかもしれません。あるいはもっとかもしれない。
ご存知なければやむをえません。ですが、ご存知なら教えていただければと思います。

埼玉県警捜査一課
毛利 仁

#

俺はメールをできる限り早く打った。5分後、返事が来た。

※コンマ下
01〜25 そのことについては詳しく知らない
26〜60 偽装殺人であることは知っている、キーマン判明
61〜85 上+手口も知っている
86〜00 ほぼ必要な情報入手
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 00:36:20.26 ID:XkEHW6P70
うい
244 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 00:39:15.60 ID:le9gHZXIO
今日はここまで。
245 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 00:41:36.48 ID:le9gHZXIO
とその前に一つだけ判定を入れます。
(通るとかなり展開が楽になります)

※コンマ下70以上で重要追加情報
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 00:48:19.51 ID:PHZTnU2oO
はい
247 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 00:51:17.15 ID:le9gHZXIO
※キーマンは小川ではない

なお、ベルモットの正体ですが未登場キャラです。ただし、ある人物と繋がりはあります。
248 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 09:21:36.78 ID:IvvURs5AO
#

毛利様

ご質問の主旨、理解しました。あなたの動機は不明ですが、朝尾副総理の「殺人」は確かに私も追っていました。
ご存知かと思いますが、あれは朝尾が殺したのではなく「殺すことを強いられた」のです。
毎朝新聞記者で被害者の本庄秀司が鍵です。私も射手矢さんも捕まえきれなかった男です。
今、彼は早稲田の大学3年のはずです。朝尾を揺さぶるおつもりなら、彼を使えばいいのではないでしょうか。
私もご協力したいところですが、身体が不自由で動けません。何卒よろしくお願いいたします。

ベルモット

#

本庄秀司?こいつにアクセスしろと?
しかし、間に合うか。そもそも早稲田の在学生だけで1万人は超える。砂漠からダイヤモンドを探すようなものだ。
せめて素性が分かれば打つ手はあるが……。俺はダメ元で彼の名を検索にかける。

※コンマ下80以上で有力情報あり、95以上で??
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 09:23:38.00 ID:qyiO1/KDO
250 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 12:39:43.13 ID:4QoDPgH6O
※00のため特殊展開

スマホの検索画面のトップには「国際交流インカレサークル GATES」と出てきた。タップすると、トップには細い目の男が腕を組んで笑っている画像があった。
その下には、「本庄秀司代表」の文字。貧困国への支援や平和提言などを行っている、らしい。……確かに毎朝とは親和性がありそうな男だ。


ジジッ……


「くっ!?」

その時、頭痛が走った。……記憶が、戻ろうとしているのか?

ジジ……ジジジジ……

ジジジジジジジッ……………!!

「ぐああっ!」

今までのものより、遥かに激しい頭痛だ。酷く不快な時間がどれだけ続いただろうか。それはようやく収まった。


……思い出した。それも、相当程度。


251 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 12:55:31.95 ID:4QoDPgH6O
5年後の俺は、アイスキャンディの流通の件でこの男を追っていた。シャバに出てきた佐倉とも繋がりがあった。
そして尻尾を捕まえる寸前に……朝尾に「殺された」のだ。

GATESには裏の顔があった。それはC国やN国、K国といった国へのスパイというものだ。ただ、それは非常に巧妙で、表沙汰になることはほぼなかった。
当時の公安ですら、ノーマークに近かったはずだ。民生党の大物、波戸がバックについていたからだ。
だが、民生党の退潮とともに、実情を暴けるかもしれない所まで俺は奴を追い詰めていた。

それを台無しにしたのが、朝尾の事件だ。
追い詰められた本庄が仕掛けたのは、一種の自爆テロ。朝尾を犯人に仕立てることで、民自党を倒そうとしたのだ。


そしてその目論見は、まんまと成功した。
悔しさと怒りで、身が震える。


あれは、俺しか食らいつけていないヤマだった。だが、事件の真相をほとんど誰も知ることはなかった。
なぜ朝尾が本庄を撃ったのか。本庄はなぜ自分の命を差し出したのか。どうやって本庄は、犯行現場たる朝尾邸に入ったのか。全て推測にもならない程度の噂で片付けられた。
そもそも、反民自キャンペーンが張られ、本庄を疑うことはご法度とされたのだ。

だが、今の俺なら……それに答えを出せる。そして、本庄をどうするべきかについても。

俺は電話のアイコンを触った。
252 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 21:30:27.29 ID:TnxkRoj3O
『毛利さんか。遅かったじゃないか、手を引く決心は……』

「逆だな」

電話の向こうの増田が止まったのが分かった。

『……本気でそれを言ってるのかい?君をどうするかなんて、簡単に』

「そうは問屋がおろさん。そっちの大将に用がある、取引だ」

ハッ、と増田が鼻で笑った。

『取引?そんなのできるわけ……』

「本庄秀司」

増田が再び固まったのが分かった。

『……どうしてその名を。まさか君の記憶が』

「まだ完全じゃない、だがかなり取り戻した。お蔭様で色々分かったよ。
本庄秀司を『事件前に』『合法的に』葬りたい。それが朝尾の狙いだ。
だが、それは簡単じゃない。まだ波戸は生きてるし、歴史が変わったこの状況で佐倉との繋がりは深い可能性が高い。
何より……奴は『本国』にいるからな。手出しはなかなかできない」

『……そこまで思い出してたか。堺さんも、あなたを無理矢理にでも引き入れるべきだね』

増田が朝尾の情報をある程度握っているのは当然だ。奴らは公安だ。公安は時として情報収集を問題解決より優先することがある。
だが、俺以上に情報は持っていない。それもまた、確信できていた。

「生憎だが、そっちに加担するつもりはない。ただ、もし本庄を『合法的に屠れる』なら?少なくとも、朝尾にとっては魅力的じゃないのか」

『……条件は』

「青葉巡査部長の解放。そして佐倉関連の一件では不可侵協定を結ぶ。飲めない条件ではなかろう?」

『……その手段の選らばなさ、やはり『デッドマン』に戻りつつあるね』

「……かもな。だが俺は俺だ。どこまで行こうと」

法の遵守は重要だ。だが、それより重要なのは……惨劇の回避と罪人への制裁。
……確かに、俺は「かつての」俺に戻ってきたのかもしれない。

だが、今の俺は、まだ絶望していない。

『……玲が泣いて喜ぶだろうね。あの『デッドマン』と、遂にやりあえるって』

「無駄なお喋りはいい。条件を飲むか、飲まないか。堺に相談してもいいぞ」

※コンマ下
01〜10 残念だけど、この取引は不成立だ
1〜20 ……残念だけど、この取引はもう成立しない
21〜40 堺さんと相談する
41〜85 銀座のクラブ、「プリミエール」に
86〜00 替わりな
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 21:32:02.86 ID:43W4SY1/0
254 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 22:05:57.73 ID:TnxkRoj3O
『替わりな』

増田の側から別の、嗄れた声がした。

「朝尾か」

『呼び捨てたあ偉くなったな、毛利警部捕。思い出したそうだな、覚醒レベル3に、遂になったか』

「2.5ぐらいだ。完全じゃないし、そうなろうとも思わん」

『俺もだ。3になったら廃人になっちまう。それに堺と組んだ意味もなくなる』

ククっと朝尾が笑った。

「あんたにとって、殺したくても殺せない男を殺してやろうという提案だ。まあ、殺すのは俺じゃないし、すぐにではないが……かなり確度は高い」

『……本庄のガキか』

ギリッと歯を噛む音が聞こえた。

「ああ。本名李秀司。ごく若い時期から日本を崩すために送り込まれた、純粋培養の工作員。
そして、あんたの娘を拐かし、アイスキャンディ漬けにした男。あんたは娘の解放を賭け、仕組まれたギャンブルに挑んだ。そして、ギャンブルに勝った……いや、『負けた』。
本来麻酔弾だったはずのロシアンルーレットの弾丸は実弾にすり替えられ、しかもあんたが必ず撃たされるよう細工されていた」

『……そこまで思い出していたか。当たってるよ。で、どうすんだ?』

俺は記憶を探った。朝尾や増田たちが知らなくて、俺だけが知っている情報がある。

「その前提として、佐倉を始末しなきゃならない。少なくとも前の周では、佐倉にとって本庄――というよりN国は後ろ楯の一つだった。
アイスキャンディの生産を行っていたのはあの国だ。そのレシピは、佐倉が握っているが。
そして、本庄にとって佐倉は愛人だった。恐らく、その関係性はこの周でも変わらない」

『……本庄と佐倉は、そこまで近かったか』

やはり知らなかったか。

「そうだ。つまり、本庄を殺すなら佐倉を先に殺さないといけない。本庄は佐倉の所に、確実に行くだろうから」

『そう来るか』

ハハっと電話の向こうの朝尾が笑った。

『つまり、俺とお前の――あるいはバッドエンド・ブレイカーの利害は一致している。だから青葉を解放しろってことだな』

「そうだ。飲める話のはずだ」

※コンマ下10以上で通常ルート
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 22:07:37.72 ID:ucu5e8UDO
はい
256 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 22:31:18.70 ID:TnxkRoj3O
『分かった、飲もう。……と言いたいんだがな』

朝尾の後ろから音がする。「ここまでだよ」という声が聞こえた。

「増田か?」

『そうだ。俺は『西の公安』のトップじゃない。利害関係が一致してたから、パトロンとして支援してただけだ。青葉をどうするかの決定権は、俺にはねえんだよ』

汗が吹き出るのが分かった。しまった!

『……とはいえ、俺をここで殺したら、どうなるか分かってるよな?増田よ』

『……その通りさ。そして、本庄を殺すことは、ボクらの目的にも沿う。
佐倉を泳がしつつ、途中まで歴史通りにことを運び、『デターミンポイント(決定的分岐点)』で本庄を殺す。
それも、朝尾『さん』の手ではなく、ボクたちの手で。それがプランだったんだけどね。
歴史を大幅に変えるだろう君の、そしてバッドエンド・ブレイカーの行動は、ボクらの主義に真っ向から反する。しかし……』

「お前自身も迷ってる。そうだな」

返事はない。朝尾が、静かに言った。

『俺がこいつの上役と話をつける。その前に、お前の案を聞かせろ』

#

……俺は簡潔に、俺の考えを伝えた。それを聞いた朝尾が爆笑する。

『ハハハハハ!!やはりお前、『デッドマン』に戻ってるな。そんな外道な考え、常人じゃ思い付かんぞ』

「しかし確実だ。本庄が覚醒者ではあり得ない以上、これは無警戒で食らう」

『警官にあるまじき発想だぜ。殺しに対して一切躊躇しない。噂通りだな』

「……殺しは最終手段だ。それも、ノーリスクのものに限る」

『確かにノーリスクだな。まあいい、俺はそのアイデア気に入ったぜ。増田、お前はどうだ』

『……ボクが判断することじゃない』

『だそうだ。じゃあ、烏丸に話を振るぞ』

※コンマ下50以上で烏丸を知っている
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 22:34:18.82 ID:43W4SY1/0
258 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 22:45:13.99 ID:INs+ul3qO
烏丸?確か……東大法学部教授で、青山憲剛と双璧を為す俊英。そして、20年後は西日本政府の官房長官となっていた男だ。
その男が、「西の公安」の真のトップ?……相当にキナ臭い。しかし、ここは朝尾に託すしかない。

「青葉は無事か」

『一応、そのはずだ。完黙(完全黙秘)決めてるらしいがな。東の警察にも、芯の通った男がいるもんだな。
烏丸を説得できたら、青葉は解放する。そこから先は、好きにしろ』

「解放はいつだ」

『今晩は無理だな。明日午前には、何らかの結論が出てるだろうよ。お前の上役には、まあ適当に報告でもしとけ。
……落ち着いたら、一杯やろうや。お前とは、いい酒が飲めそうな気がする』

そして、電話は切れた。
259 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 22:48:51.66 ID:INs+ul3qO
※視点選択です。鶴岡奪還の話に戻ります。
(なお、話は白田が仁から今回の話の報告を受けた後になります)

1 コナンパート(格闘パートなどが恐らくあります)
2 ジョーパート(基本的に説得ルートです、ただし成功率は1より若干低め)

※3票先取
260 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 22:49:58.71 ID:INs+ul3qO
なお、仁の殺害計画はエピローグに明かされる予定です。
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 22:53:23.57 ID:qyiO1/KDO
1
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 22:57:39.48 ID:QoPls4j80
1
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 23:14:32.13 ID:DKRonSYv0
1
264 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/04(月) 23:21:55.50 ID:/mmb9KCFO
今日はここまで。
265 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 09:12:56.73 ID:6cmlo2cqO
【6月27日、18時41分】


毛利刑事からの電話を受け、あたしたちはしばらく待機することになった。空気が重い。この場から逃げ出したくもなる。
英華さんはずっと涙目で震えている。普通に生きてきた子には、耐えがたい緊張感だろう。あたしだってそうだ。

ふと、彼女が城の右手をぎゅっと握って離してないことに気付いた。……あたしと同じように。
あの子たち、付き合ってるのかな。少なくとも、普通の幼馴染みじゃない気はした。

長い長い沈黙を破ったのは、白田さんのスマホの着信音だ。

「仁かっ!?どうだっ」

話している間に、彼の表情が緩んでいくのが分かった。悪いニュースではないらしい。
そして、こちらに向けて親指を立てた。コナン君が、大きな安堵の溜め息をつく。

「……解放は?そこは未確定か、ただ無事なのは間違いないか。しかも情報は流してないと。……何とか収まりそうだな。
……ベルモット?それだけじゃ分からんな、他にも覚醒者がいても不思議じゃないが」

他の覚醒者と毛利刑事は協力したらしい。やっぱり結構いるものなのだろうか。

※コンマ下95以上でコナンが反応
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 09:20:22.15 ID:IXKpwKZDO
はい
267 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 12:55:23.79 ID:RMHccygmO
「コナン君、知ってる?」

「いや、初耳だ」

コナン君も首を捻っている。

「……とにかく、明日何らかの動きはあるわけか。朝尾を取り込めたのはかなりでかいな。まあ、鶴岡はこっちに任せろ」

白田さんが電話を切った。

「というわけで朗報だ。青葉は何とかなりそうだ。細かくは、また仁から話があるだろう」

部屋に満ちていた緊張は少し溶けた。英華さんは安堵からか泣いている。結構泣き虫な子ではあるみたいだ。
コナン君が白田さんに向き合った。

「ただ、鶴岡についてはとりあえず僕らで何とかしなきゃいけない。そうですね」

「ああ。『西の公安』とは不可侵の手打ちはできても、協力まではなさそうだ。朝尾はあくまで連中の協力者という立ち位置であったらしいからな。
まあ、それでも相当影響力はあるみたいだが」

白田さんが冷めたコーヒーを飲み干した。

「コーヒーを淹れ直すか。とにかく、鶴岡だ。警察を使って奴を外に出すのは、仁が動きにくい以上難しい。時間がもう少しあれば話は別だったがな」

「ただ、普通に踏み込んでも相手は武器持ちです。僕らにも限界はある。何か案があるんですよね?」

「それはお前も考えていただろ」

コナン君が城を見た。

「確かに。城を使い、重要な話があると誘き寄せる。そして、その場で確保。
穏便に済めばそれでよし、済まなければ力づくで。僕が描いていたのは、そういうプランでした」

「だろうな。ただ、問題がある。城は鶴岡の連絡先を知らない。……そうだったな」

城がコクンと頷いた。勉強会同士の繋がりを悟られないように、連絡先は交換していなかったらしい。

「だから、取れる手は限られている。警戒されにくいコナンがメッセンジャーとして坂元組に行くか。あるいは城自らが行くか。嬢ちゃんかそこの姉ちゃんという手もある。
まあ、誰が行っても警戒はされるだろう。ただ、天岩戸に閉じ籠ってる奴を引きずり出すには、何かが必要だ」

※2票先取
1 コナンをメッセンジャーにする
2 城自らが行く
3 愛結がメッセンジャーになる
4 バッドエンド・ブレイカーの誰かがメッセンジャーになる
5 その他自由安価
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 13:09:03.86 ID:EUvaOMeDO
2
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 14:16:12.31 ID:ViX0Ctdr0
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 14:41:33.63 ID:IXKpwKZDO
1
271 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 20:18:23.70 ID:Nwl6iZp4O
「なら、僕が行きましょう」

コナン君が手を挙げた。

「いいのか?」

白田さんがチラリとあたしを見る。

「この中じゃ、僕が適任でしょう。塾の帰りに怪しいお兄さんから言伝てを頼まれた小学生。そういう形なら、比較的怪しまれずに済む」

「……あまり演じるのが上手くなさそうなのが気になるがな。まあ、任せる」

思い出してみると、コナン君はあたしと最初に会った時から、既に年不相応な落ち着きを感じさせていた。
虐待に遭った子供を演じようとしたのだろうけど、確かに今からしてみればあまり演技は上手くなかったかもしれない。

ただ、彼は強い。ヤクザに絡まれても、どうにかするくらいには。それはあたしが、秋山の部下の件でよく知っていた。

城が不安そうに白田さんに訊く。

「じゃあ、僕らは?」

「まだ夜は浅いが……ご家族は心配してないか?」

「僕は……いてもいなくても、あの女は気にしないでしょう。ヤクは?」

「あ、あたしは……お邪魔、ですよね」

「まあ、嬢ちゃんは鶴岡を知らんだろうし今日のところはいいだろう。
坊主は鶴岡と話さなきゃいかんから、とりあえず二人と同行だな。手筈はこうだ。……」

具体的な説明が始まった。ここからは、コナン君を信じよう。
272 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 20:22:17.40 ID:Nwl6iZp4O
【6月27日、20時03分】


「じゃあ、健闘を祈るぜ。何かあったら、連絡してくれ」

カフェの出口で、白田さんが手を振った。あたしはアクアのアクセルを軽く踏む。

「英華さんを一度送ってからでいいかしら?少し時間がかかるけど」

01〜70 はい、お願いします
71〜00 やっぱり、あたしも行きます
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 20:25:18.14 ID:EUvaOMeDO
どれ
274 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 20:39:22.02 ID:Nwl6iZp4O
「はい、お願いします」

「そう。……どう行けば早いかしら」

「大泉ジャンクションから和光で降りるのが最速でしょうね。あまり大きな寄り道にはならないかと。
新座スマートインターができるのは、もう少し先ですし」

即座にコナン君が返した。

「……やっぱり君、普通の小学生じゃないんだ」

英華さんの言葉に、彼は無言だ。あたしも黙って車を運転する。

「ジョーは、何時ぐらいまでいなきゃいけないんですか」

沈黙に耐えかねたかのように、英華さんが訊く。コナン君が口を開いた。

「さあね。とりあえず僕次第だ。明日になれば鶴岡がどうなるか分からない。だから、今日中にメドは付けたい。
城には、場合によっては最後までいてもらう。鶴岡を説得できるのは、多分こいつしかいない。
アイスキャンディの副作用が表れ始めたのは、共通しているからね」

コナン君が後部座席を振り向いた。

「覚悟はできてるな」

「……選択肢はないんだろ」

「違いない」

車は鶴ヶ島インターに入る。新宿に着くのは、21時半ぐらいだろうか。

※コンマ下50以上で小イベント
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 20:40:57.56 ID:PAzjP2rX0
276 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 20:55:11.61 ID:Nwl6iZp4O
#

車は川越インターを過ぎた。沈黙を埋めるため、車内にはレッチリの「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」が流れている。

「……一つ、いいですか?」

英華さんがおそるおそる訊いてきた。

「あたしに?それとも、コナン君に?」

「二人に、です。その、こんなことを訊くのも恥ずかしいんですけど……」

コナン君は寝入りそうになっている。難しい話だと、あたしは返せない。

しかし、出てきたのは意外な言葉だった。

「……二人って、ひょっとして……付き合ってたりするんですか?」

「え"」

思わずセンターラインからはみ出そうになった。追い越し車線に誰もいなくって、助かった。

「な、なんでそんなこと」

「勘です。何となく、二人の雰囲気がそんな感じかなって」

「お、おいっ。そんなことあるわけ……」

城の方が普通の反応だ。アラサーの女と見た目は小学生の子が、男女の関係であるはずがない。常識的に考えれば。

「でも……手とか握ってた。あたしたちみたいに。それにこのコナンって子、中身は29なんでしょ?そうでも不思議じゃないかなって」

白田さんのお店で、あたしが緊張に耐えるために彼の手を掴んでたのを、ちゃんと見ていたんだ。
コナン君は……

※コンマ下70以上で起きている
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 21:01:12.34 ID:EUvaOMeDO
起きろ
278 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 21:04:01.85 ID:Nwl6iZp4O
コナン君はすうすうと寝息を立てている。これからのこともあるから、体力を温存したいのだろう。

しかし困ったな。こんなに勘が鋭い子とは思ってなかった。別にバレたからといって何かあるとも思わないけど、どうしよう。

※2票先取

1 言う
2 ごまかす
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 21:05:21.60 ID:PAzjP2rX0
1
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 21:07:08.19 ID:EUvaOMeDO
1
281 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 21:39:23.80 ID:Nwl6iZp4O
あたしははぁと溜め息をついた。まあ、仕方ないか。

「その通りよ、英華さん。あたしとコナン君は、あなたが想像する通りの関係。で、だから何?」

「やっぱり……あ、ごめんなさい。単にそうなのかなって。あと、本当に大切な人なら……この先どうするのかなって」

……この先?それは、考えたことがなかった。もし、佐倉をコナン君が殺したとして……その後あたしたちはどうなるんだろう?
また元の生活に戻るなんて考えられない。一人に戻るのは、絶対に嫌。
でも、このままバッドエンド・ブレイカーとして警察に怯えながら生きていくの?

そして、コナン君は……どう考えてるんだろう。
あたしを愛してくれてるのは分かる。歩美さんの代替かもしれないけど、愛情は本物だと思う。

でも、全てが終わったら……彼はあたしを表の世界に戻そうとするんじゃないか。
それは、怖くて訊かないようにしている疑問だった。

「……あなたが知ってどうするの」

あたしは何とか、無関心を装った。正面から彼女の問いに答えることは、今のあたしにはできない。

「……どうするんですかね。でも、不安なんです。ジョーとの時間が、どれだけあるのか。
ジョーの認知症は、少し止まってるって聞きました。それがあたしの体質によるものかもって聞いた時は、嬉しくて……。
でも、それはジョーが、あたしと同じだけ生きられることは意味しないんです。あたしたちに未来は……」

「ヤク、もういいだろ」

声だけだけど、彼女が泣いているのはすぐ分かった。

……認知症?そうだ、城はもう、アイスキャンディの副作用が本格化してる。
だからこの子も迷っているんだ。大人のあたしに何か助けを求めてたのか。

でも……あたしは答えを、まだ持ってない。

「……ごめんなさい」

レッチリのアップテンポな曲と、彼女のすすり泣きは、ひどく不釣り合いに聞こえた。

※コンマ下85未満で場面転換
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 21:44:04.24 ID:IXKpwKZDO
はい
283 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/05(火) 21:52:14.71 ID:Nwl6iZp4O
今日はここまで。
284 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 09:00:02.55 ID:1f6uYsBvO
#

英華さんを家まで送りあたしたちは新宿に向かう。坂元組の住所は、既に入れている。

「一応の確認。新宿についたら、あたしたちは仲間と合流する。コナン君だけは途中で下ろすけど。
あなたもあたしと同行する。いいわね」

「……ええ」

「コナン君は言伝てという形で鶴岡と接触。そして花園神社に彼を誘導し、そこで鶴岡を確保、説得。君の出番は、そこからね。
鶴岡がどう出てくるかは分からない。こちらも準備はするけど、坂元組が出張ってくる可能性だけは注意して。あなたを守るようにはするけど」

「……はい」

城は言葉少なだ。彼もここまでの修羅場は経験したことはないだろう。秋山と唐川の件がなかったら、あたしだってパニックになってる。
人の生き死にの場に居合わせた経験は、多少は役に立っているようだった。

※コンマ下
01〜05 コナン君の電話が鳴った
06〜95 通常進行
96〜00 コナン君の電話が鳴った。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 09:02:26.52 ID:h17iF7050
はい
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 09:03:03.06 ID:ggetAQFDO
287 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 13:05:31.44 ID:dkr+WKyXO
※坂元組に動きはなし

車は新宿へと近付いてくる。興也さんたちは、花園神社近くのパーキングに車を停めて待っているはずだ。
コナン君が、まるで計ったかのように目を覚ました。

「時間は……21時16分か。塾帰りを擬装するには、いい時間かな」

「花園神社ってとこで降ろすんだよね。あたし、新宿は詳しくないけど」

「それでいいです。一応ですが、城が妙な真似をしないよう見ててください。
まあ興也さんや源さんもいる以上、無茶をするとも思えませんが」

コナン君は助手席の下に置いておいたリュックを確認し始めた。テーザーガンがちらっと見える。

「一回、組の建物には入るんだよね」

「かもしれないです。万一の時は逃げますし、連絡もしますけど」

彼がブローチのようなものを渡した。

「これは?」

「金路アゲハに貼ったのと、似たようなものです。僕の方に発信器があり、これで受信する。
一部始終がそれを通して聞けます。あとは僕に任せて下さい」
288 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 13:06:22.05 ID:dkr+WKyXO
※視点をどうしますか?

1 コナンに変える
2 愛結のまま

※2票先取
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 13:15:55.37 ID:+cQW2Gxvo
1
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 13:28:12.32 ID:ESmpsdNDO
1
291 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 21:13:11.44 ID:9xSbIOo8O
【6月27日、21時34分】


忙しない街のざわめき。眩いばかりのネオンサイン。香辛料と香水が混ざって汚されたような匂い。
この時代の歌舞伎町は、これほど栄えていたのか。僕はゆっくりと辺りを見渡した。

「きゃっ、気を付けてよボク」

若いOLが僕にぶつかり、去っていく。人もこれほど多い街だったのだな。知らなかった。


僕は『1年ぶり』にこの街に戻ってきた。
その景色は、しかし記憶の中にあるそれとは全く違う。荒れ果て、廃墟同然のスラム街。それが「20年後の」歌舞伎町だ。


感傷に浸っている暇はない。風林会館の奥、花道通りの中程が目的の坂元組事務所だ。
もっとも、ラブホ街が近いこの辺りを小学生がうろつくのは、いかにも不自然だ。多少なりとも演技しないといけない。

僕はスマホを取り出し、マップアプリを起動する。そして、何かを探すふりをした。

「あれれ、おかしいなあ。たしかこのへんにあるって聞いたけど……」

坂元組の近くで、道に迷っているふりをする。組員が釣れれば完璧だ。

※コンマ下
01〜15 こら僕、そんなとこにいちゃいけないよ
16〜35 誰も声をかけてこない
36〜60 あら僕、そんなとこにいたら危ないわよぉ
61〜97 おい、ガキの来るとこじゃねえぞ
98〜00 こら僕、そんなとこにいちゃいけないですよ


292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:16:26.76 ID:ggetAQFDO
そい
293 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 21:23:45.06 ID:9xSbIOo8O
ビルから猫背のアロハシャツの男が出てきた。クチャクチャとガムを噛んでいる。ビンゴだ。

「うーん、このへんのはずなんだけどなあ」

「……おい、ここはガキの来るとこじゃねえぞ。とっと家帰んな」

僕は極力怖がっているふりをする。

「あっ、ごめんなさい!えっと、塾から帰ろうと思ったら、怖いお兄さんに呼び止められて……。
坂元さんって人に、伝言するようにって、頼まれたんです。ここに来れば会えるかもって」

「……親父に?」

※コンマ下
01〜15 てめえ、怪しいな
16〜50 どんな奴だ
51〜95 どんな伝言だ
96〜00 ちょっと待ってろ
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:25:08.59 ID:4VY1DaDG0
295 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 21:30:58.93 ID:9xSbIOo8O
「どんな伝言だ」

かかった。

「えっと、鶴岡って人がそこにいるはずだって。で、城って人が会いたいって」

「……何?」

男の表情が一変した。そう、鶴岡がここに来ていることは極秘のはずだ。それを知られていること自体、本来あり得ない。
坂元はこれを緊急事態と見なすだろう。後はこちらの交渉に、乗ってくれるかどうかだ。

「うん。坂元さんから返事きいてきてほしいんだ。僕、ここで待ってるから」

※コンマ下35以上で通常進行
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:32:08.35 ID:ggetAQFDO
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:32:19.74 ID:h2x8QiUv0
298 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 21:41:13.42 ID:9xSbIOo8O
「……分かった。そこで待ってろ」

アロハシャツの男は、駆け足でビルに消えていった。ここまでは筋書き通りだ。

鶴岡の性格は短気で直情的だ。城の名を聞いて、反応しないわけがない。
問題は、佐倉の指示と疑われないかだ。そうなった場合は、「プランB」に移行することになる。


10分ほど待つと、男が戻ってきた。


※コンマ下
01〜10 7人ほどの殺気だった男たちも一緒だ
11〜30 断る、だそうだ。残念だったな
31〜70 どこへ向かえばいい、だそうだ
71〜95 その後ろから、一重瞼の無地のシャツの男が出てきた
96〜00 上+鶴岡
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:44:48.26 ID:4VY1DaDG0
はい
300 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 21:48:33.75 ID:9xSbIOo8O
「断る、だそうだ。残念だったな」

「そんなっ!そ、それじゃあ僕のお金、戻ってこない……」

「こんな夜にブラブラこの辺を歩いてるのが悪いんだろうが。悪いが、怪しすぎる。そいつに伝えとけ、絶対に鶴岡和人は引き渡さねえって」

僕は一応、泣き真似をしてみる。……泣き落としが効かなければ、プランBだ。

※コンマ下70以上なら泣き落とし成功
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:50:32.36 ID:ESmpsdNDO
はい
302 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 22:11:31.79 ID:9xSbIOo8O
男は僕を気にする素振りもなく、ビルに戻ろうとしている。……仕方ない、プランBだ。

リュックから素早くテーザーガンを取り出す。そして、男の背後にそれを突き付けた。

「動くな」

「なっ?」

男が振り返る。そして右手で掴みかかろうとしてきた。
僕はそれを両手で受け止め、身体を素早く外に開く。それと同時に腕を捻れば……

「あだだだだっ!??」

「甘い。素直にしていれば、腕は折らない。鶴岡と坂元の所に案内しろ」

「えっ……えええ??」

何が起きたか理解できないのも無理はない。大の大人が小学生に腕を極められているのだから。

「いいから早くしろ。僕は敵じゃない。危害は加えない。何もしなければ」

「あ、あああ!??」

腕を極めたままエレベーターに滑り込む。そして、腕を解放すると同時にテーザーガンを突き付けた。

「チャ、チャカ?か、カチコミ……」

「じゃない。繰り返す、敵じゃない」

味方でもないが。4階に着くと、古いエレベーターがチンと鳴った。男を先に行かせる。

「て、てめえ……ただのガキじゃ……」

「疑問には答えない。早く開けろ」

キイ、と扉が開く。中では組員が麻雀を打っていた。一人、薄い無地のTシャツを着た男がテレビを見ている。

「お、親父……」

「おうハタ、どうし……」

僕の姿を見た組員たちが、一斉に血相を変えた。

「て、てめえええっっ!!?」

「すまない、手荒な真似をして。先に言う、僕は佐倉の手下じゃない。鶴岡和人を護りに来た」

Tシャツの、一重の男が立ち上がった。

「……何ぃ?」

「その通りの意味だ。鶴岡光輝や大和に何があったか、僕は知っている。そして、その背景に佐倉がいることも」

※コンマ下
01〜30 冗談が過ぎるな
31〜65 何?
66〜90 ……話を聞こう
91〜00 ……誰、だ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 22:13:28.99 ID:ggetAQFDO
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 22:13:36.17 ID:h2x8QiUv0
305 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 22:37:50.60 ID:9xSbIOo8O
その時、奥の部屋から誰かが出てきた。……酷く衰弱し、憔悴している。

「……誰、だ」

僕は思わず目を見開いた。……これは。

「鶴岡和人……!?もう、ここまでっ……」

「お、俺の名を、知ってるのか……ど、どうして、こうなって……」

「和人っ、あまり動くんじゃねえっ!!体調が悪いなら寝てろっ!!」

Tシャツの男が叫んだ。こいつが坂元で間違いはなさそうだ。鶴岡は立つのもやっとだ。
この状況……アイスキャンディの副作用が、相当進行している。

「あ、アイスキャンディだ……あれさえ飲めば、しばらく動ける……」

「……やめろ。それだけは」

僕の言葉に、二人がこちらを向いた。

「てめえ、何者だ??何でアイスキャンディのことまで知ってるっ??」

「医者だよ。このなりじゃ、信じてもらえないだろうが」

「医者??」

唖然として立ち尽くす彼らをよそに、僕は鶴岡に近付いた。

「少し、診させてくれ。大丈夫、すぐに終わる」

リュックからペンライトを取り出し、彼の目に当てる。そして、簡単な触診を済ませる。

……これは。

※コンマ下
01〜25 末期だ。1週間持つかどうか
26〜70 ……瞳孔が閉じるまでの速度が遅い。残り、1カ月か
71〜00 心労の方が大きいか。アイスキャンディさえ飲まなければ、3カ月は持つ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 22:39:30.12 ID:ESmpsdNDO
はい
307 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/06(水) 22:42:19.57 ID:9xSbIOo8O
今日はここまで。
308 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 09:22:04.09 ID:pq23dZvKO
……末期だ。目に光を当てても、瞳孔は開いたまま閉じない。これが意味することは……小脳の機能がほとんど終わっているということだ。
立ったり話したりは、辛うじてできている。ただ、1週間持つかどうか。僕の経験が、そう告げていた。

アイスキャンディの中毒患者の多くは、認知症の症状が出るとアイスキャンディの摂取頻度が増える。飲めば一応は症状が軽くなるからだ。
しかし、それは同時に命を縮める行為でもある。効き目が切れると、一気に症状が悪化する。それを抑えるためにさらにアイスキャンディを摂取する。その繰り返しが、命を奪う。
恐らく鶴岡も、その「デススパイラル」に乗ってしまったのだろう。

「どうなんだよ、おいっ!!」

坂元が叫ぶ。

※2票先取

1 もう、永くはない(本当のことを伝える)
2 すぐに病院に行くべきだ(部分的に伝える)
3 厳しいね(基本はごまかす)
4 大丈夫だろう(嘘をつく)
5 自由安価
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 09:36:43.02 ID:z0OKa47DO
1
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 10:43:19.02 ID:pmDOIxM/0
2
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 11:05:52.83 ID:7jtWWJJDO
1
312 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 12:28:08.52 ID:CXoG7daUO
僕は一瞬考えた。多分、これを言えば……鶴岡は絶望するだろう。
しかし、嘘は言えない。

兵さんから「演技が下手」と言われたのを思い出した。昔からだ。
病状を隠せないことが、僕を監察医の道に歩ませた背景の一つだ。
真実は真実として、伝えねばならない。その信念は、時に医者にとっては邪魔になる。

だが、ここで嘘を言っても下手に希望を持たせるだけだろう。それが相手を傷付けたとしても、本当のことを話さねばいけない。

「もう、永くはない。瞳孔が開きっぱなしだ、脳機能が相当低下している」

「……なっ……!!?」

※コンマ下
01〜35 てめえっ、舐めんのもいい加減にしろっ!!
36〜60 てめえ……ざけんのもいい加減にしろよ……
61〜80 嘘、だろ
81〜97 あ、アイスキャンディ、だな……
98〜00 上+α
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 12:29:07.24 ID:7jtWWJJDO
はい
314 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 12:44:30.92 ID:CXoG7daUO
「てめえ、舐めんのもいい加減にしろっ!!!」

坂元が殴りかかってきた。……こうなってしまったか。
僕は大振りのパンチを避けると懐に潜り込み、身体を反転させる。坂元の肩の辺りを支点にするように、伸びきった腕をつかんで投げた。
力は要らない。タイミングさえ合えばいい。

一本背負いだ。


ダァァァンッッ


「ガハッ!?」

坂元が呻き声をあげる。衝撃でガラス製の灰皿がテーブルから落ち、ガシャンと割れた。

「てめえっ!!!」

組員4人が一斉に僕に向かおうとする。素手が2人、ドスが2人。銃を取ろうと、残り1人は奥の部屋に行った。

1対6。さすがに僕では無理だ。応援の興也さんや源さんが来るまでは2分はかかる。……時間を稼がねばならない。

※コンマ下
01〜60 そのまま進行
61〜80 ……待てっ
81〜00 ま、て……
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 12:49:40.75 ID:C8n2n+HS0
コナンくん!!
316 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 13:03:27.34 ID:CXoG7daUO
「……待てっ……!!」

坂元が立ち上がろうとしている。組員たちが動きを止めた。

「手荒な真似はしたくない。そっちも、騒ぎにはしたくないだろう」

「て、てめえ……何者だ。医者じゃねえ、ただのガキでもねえ……動きがトーシロのそれじゃあり得ねえから、な……。
話を聞くのは、それからだ……」

組員たちが僕を取り囲んだ。下手なことを言えば、どんなによくても半殺しだ。
鶴岡は、立てなくなったのか跪いて息を荒くしている。

※2票先取
1 バッドエンド・ブレイカーだ。ただ、ターゲットは鶴岡和人じゃない
2 警察だ。ただ、逮捕しにきたわけじゃない
3 それより先に、鶴岡の処置だ。症状を和らげる程度ならできる
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 13:10:42.80 ID:RBympg/n0
3
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 13:11:08.03 ID:z0OKa47DO
3
319 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 18:32:14.78 ID:CXoG7daUO
鶴岡を放置していたら、翌日の朝も迎えられないかもしれない。
僕はリュックの中身を思い出した。強心剤に栄養剤。一応の応急処置を取れるだけの薬物アンプルはある。

「それより先に、鶴岡の処置だ。苦痛を和らげる程度ならできる」

僕は鶴岡の方に向かった。

「て、てめ、え」

「黙って腕をまくれ、このままだと死ぬぞ」

「……死ぬ?」

鶴岡の顔が青ざめたのが分かった。

「そうだ。さっきのはブラフでも何でもない。アイスキャンディの副作用で、お前の脳はもうもたない。だが、放っておけばすぐに死ぬ。
大人しく処置を受けろ、少しは永く生かしてやれる」

※コンマ下
01〜10 震える手には……白い錠剤があった
11〜95 通常進行
96〜00 や、やっぱり、そうか……
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 18:35:08.25 ID:kiqxwpY8O
321 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 20:43:36.34 ID:CXoG7daUO
「あ、ああ……」

鶴岡は力なく震えるだけだ。僕は無言で彼の腕を取る。まだ筋肉は残っているが、食べてないのかかなり痩せていた。
アルコールスプレーを塗布し、アンプルから注射器に強心剤を取る。さっきの脈の弱さからして、強心剤を射たねばもたない。

「ガキぃ……何かあったらただじゃすまねえぞ……」

僕は坂元の声を無視し、薄く見える静脈に針を差した。ゆっくりとピストンを押す。

「ティッシュかガーゼを」

組員が戸惑ったようにティッシュを渡した。傷口に軽く当てると、じわりと朱が拡がる。

「しばらく寝ておいた方がいい。10分もすれば、多少は楽になるはずだ」

「何とかなるのか??」

「今日のところは。そこから先は、分からない」

鶴岡は数日内に死ぬだろう。だが、これからどうするべきか。

このまま見捨てるか。しかし、仮にこの後に佐倉が――あるいはアイスキャンディを射たれた鶴岡の兄弟が来れば、鶴岡は彼らの手に落ちる。
そうなれば、佐倉は「新型」のアイスキャンディを使い、死にかけの鶴岡を人間爆弾のようにどこかに送り込むだろう。
城の学校か、あるいは別のどこかか。どこにせよ、自我を失い、身体能力だけ引き上げられた鶴岡は、命と引き換えに殺戮機械と化すだろう。


それは、20年後の未来で見飽きた風景だ。


それを避けるには、やはり僕らが保護するしかない。そのためには、城の説得が要る。
322 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 20:50:50.34 ID:CXoG7daUO
「……ど、どうすんだよ。そもそも何でお前はここに」

「さっき言った通りだ。僕は鶴岡和人を保護しにきた。佐倉は彼を狙っている。あるいは、君たちもだ。
ただ、君たちには武器がある。銃だって多分ある。自分の身は、自分で守れる。
だが、鶴岡はそうじゃない。まして、この容態だ」

鶴岡を見下ろすと、息が多少落ち着いてきたようだった。ただ、外出はできそうもない。城には、ここに来てもらうことになる。

※コンマ下
01〜20 お、俺は……助からない、のか
21〜35 お、お前は……何者、だ
36〜80 ば、バッドエンド、ブレイカーか
81〜00 上+α
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 20:53:02.77 ID:I9uHUmHD0
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 20:53:08.88 ID:z0OKa47DO
325 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 21:11:37.37 ID:CXoG7daUO
鶴岡の目だけがこちらを向いた。

「バ、バッドエンド、ブレイカー、か」

僕は軽い驚きを感じた。察していたか。
もっとも、僕みたいな人間が単身乗り込んできたら、誰だって妙には思うだろう。もう少し、自然に振る舞うべきだったかな。

「そうだ。だが、今のターゲットは君じゃない。佐倉翔一が最優先だ」

部屋がざわついた。僕は組員たちを一瞥する。

「騒ぐな。口外したら殺さなきゃいけない。外には仲間もいる、この人数を殲滅することはわけもない」

坂元が一歩前に出た。

「……冗談だろ。そもそも、佐倉って和人の友人、だよな?何でそいつが和人を」

「アイスキャンディが何かは知ってるな。あれは決して世に出てはいけない薬物だ。鶴岡はその副作用でこうなってる。
そして、僕も警察も、佐倉を確保――あるいは殺すことで一致している。あれはあまりに危険だ。
そして、佐倉は追い詰められている。手駒を増やそうと、今動いてる最中だ」

僕は視線を鶴岡に向ける。

「お前の家族が拐われたのも、その一環だ。残念だが、9割方佐倉の掌中だ」

「……うそ、だろ」

鶴岡の目に光るものが見えた。

「残念だが。そして、僕の予想では君も手駒にしようとしてる。そうなると大勢の人が死ぬかもしれない。それを避けるために、僕はここにいる」

「と、とうぢゃん……に"いちゃん……!!」

鶴岡が泣き始めた。だが、そっちはどうすることもできない。

「とにかく、彼を保護させてくれ。人を呼びたい、いいか」

※コンマ下30以下で追加イベント
326 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 21:13:35.48 ID:CXoG7daUO
表記揺れがあります。申し訳ありません。
とりあえずコナン→鶴岡の呼び方は今後「お前」で統一します。
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 21:14:43.48 ID:z0OKa47DO
はい
328 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 21:16:40.19 ID:CXoG7daUO
※坂元はアイスキャンディの摂取経験なし

※視点選択です。2票先取

1 このままコナン
2 城視点に変更
3 愛結視点に変更
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 21:19:56.05 ID:4LvEgyJr0
1
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 21:23:03.54 ID:I9uHUmHD0
2
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 21:25:51.05 ID:7jtWWJJDO
2
332 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/07(木) 21:27:29.25 ID:CXoG7daUO
今日はここまで。
333 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 09:40:00.16 ID:XUyRLC5jO
【6月27日、22時02分】


「和人……?」

ソファーには、別人のように痩せこけた和人がいた。最後に会ったのは、確か2週間と少し前だ。その時はまだ全然元気だった。
……たったそれだけで、人はこうなってしまうのか?

僕は身震いした。

「……ジョー、か……?何の、用だ」

アイスキャンディだ。その副作用で……しかし急すぎる。

湖南が僕の疑問を察したように言った。

「オーバードーズだ。慢性的な。認知症の症状を発生してから、そこから逃げるためアイスキャンディを摂取したんだろう。
効いているうちはいいが、切れると再び症状は倍加してやってくる。そこから逃げるためにアイスキャンディを飲む。
結果的に、アイスキャンディなしではマトモに立ったり喋ったりもできなくなる。その帰結だ」

僕はまだ家にアイスキャンディがあるのを思い出した。僕もこうなる可能性があった、ということか。

「……和人は……助かるのか」

「いや……対症療法でしのげるのは数日。今みたいに一応知性を保っていられるのは、明日かそこらまでだ」

静かに、しかし冷徹に湖南が言う。須田さんという湖南の仲間が、殺気立つヤクザを睨んだ。

「……なんで、てめえは……ピンピンしてん、だよ……おかしい、じゃ、ねえか」

「……僕もじき、和人のようになる。ただ単に、アイスキャンディの摂取量が少なかっただけだ。認知症の症状も、既に出ている」

そう言って気付いた。……いや、違いは、他にもある。鷹山先生は、ヤクが鍵を握っているかもしれないと言った。
ヤクの体質が、アイスキャンディの副作用を和らげている可能性。しかし、その事を和人に伝えるべきだろうか?

※30以上で別の可能性に気付く、95以上なら?
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 09:41:03.39 ID:ffvZPuJDO
はい
335 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 09:47:58.64 ID:XUyRLC5jO
ヤクを和人とセックスさせるだなんて、考えたくもない。それだけは、ダメだ。
鷹山先生は粘膜間接触、といった。でも、もっと直接的な方法は……。

……あった。輸血だ。

問題は、血液型だ。合わないと意味がない。

※それぞれの血液型は……

英華(コンマ下)
4の倍数……A型
4の倍数+1……B型
4の倍数+2……O型
4の倍数+3……AB型

鶴岡(コンマ下2)
4の倍数……A型
4の倍数+1……B型
4の倍数+2……O型
4の倍数+3……AB型
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 09:50:34.13 ID:ffvZPuJDO
はい
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 10:10:32.90 ID:vp1dIEoSO
どうか
338 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 13:52:59.48 ID:nAyzAsnUO
英華は確か、B型だ。子供の頃に聞いた記憶がある。

「和人、血液型は。覚えてるか」

「お、Oだ」

ダメだ。B型からO型への輸血はできない。……和人を生き長らえさせる可能性は、これで潰えた。

僕は唇を噛んだ。和人に友情を感じていたわけじゃない。だけど……この死に方は、惨い。

「和人を、これからどうするつもりだ」

「……僕らの元で保護する。あるいは……」

湖南がTシャツの男の人を見た。

「せめて人間らしいうちに、逝かせてやるぐらいしかない」

部屋の空気が凍ったのが分かった。

※2票先取

1 やめろ!
2 ……分かった
3 自由安価

※基本的に鶴岡の延命は極めて厳しいです
339 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 16:07:58.92 ID:c+Y5r60FO
再開は2000頃です。
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 16:09:02.46 ID:LBYdpQGT0
1
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 19:15:36.25 ID:6OAlY6kZ0
1
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 19:17:57.59 ID:AMwpuZhAO
3 佐倉が死ぬ所を見るまで[ピーーー]ない
343 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 21:15:02.13 ID:yF8pE9/DO
「やめろっ!」

僕は張り裂けんばかりに叫んだ。しん、と部屋が静まり返る。

「僕の前で殺すなっ!!お前にどんな事情があるかは知らないっ、でも……殺しちゃいけないっ!!何があろうとっ!!
せめて、和人は、生かしてやってくれ……」

湖南の目が見開かれた。そして、皮肉めいた笑みを浮かべる。

「……彼とは友人じゃない、違ったか」

「ああっ。だけど、もう十分だろ。安楽死と言いたいんだろうけど……普通に死なせてやってくれ。
……これは、未来の僕なんだ……」

「そうか」

そうだ。単に目の前で殺人が行われることに耐えられなかっただけじゃない。……これは、僕の身に起きることかもしれないのだ。

湖南がふうと息をついた。

「興也さん、彼を運べる場所は」

「あります。医療行為は望めませんが」

「そうか。……アユさんも看護師だ、そこは何とかなるだろう。佐倉に悟られなければ、奪回のリスクもない」

彼が僕を見た。

「僕は医者だ。アイスキャンディの中毒患者は、色々診てきている。正直、人としての尊厳を失って死んでいくのは、看取る方も耐えがたい。
だが、いい機会だろう。……人の死というものが、どういうものかを本当の意味で知るには」

僕の脳裏で、僕たちが射殺したホームレスの姿が浮かんだ。そして、ヤクを襲おうとして僕が殺した、あの男のことも。
どちらも、酷く現実感がなかった。まるで、ゲームか悪夢の中にいるかのような。
苦痛を感じる間もなく、二人は死んだ。ただ、「動かなくなった」。それだけだ。

しかし、目の前の和人は違う。……本当に辛そうだ。これで処置を受けた後というのが、信じられないほどに。

「……し、死にたく、ねえっ……!!」

和人が涙目で訴えかける。僕は思わず、目をそらした。

「……本当に、どうしようもねえのか」

Tシャツの男の人が、ポツリと言った。

「……ない。脳細胞修復の酵素療法は『まだ』確立されてない。あったとしても、億単位で金がかかる。
苦痛を減らして、緩やかに命が尽きるようにするしかない。……恨むなら、佐倉を恨んでくれ」

「くそおおおお!!!」

男の人が、ガラスのテーブルを蹴飛ばした。バリン、とヒビが入る音が響く。

※80以上で???
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 21:18:19.97 ID:ffvZPuJDO
はい
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 21:18:24.72 ID:BiUAFfyDO
346 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 21:54:59.69 ID:yF8pE9/DO
……そういえば、湖南は医者でもあると聞いていた。……ひょっとすると。

僕は彼の肩を叩いた。

「……少し、話がある。意味があるかは、分からないけど」

「ここで言えない話か」

「……別にそういうわけじゃない。ただ、あまり大勢がいる場所で話すことでもないと思っただけだ」

湖南が須田さんを見た。彼が頷く。

「少し席を外す。すぐに戻る」

事務所の外に出る。冷房が効いた部屋から出たせいか、むわっとした空気を感じた。

「簡潔に済ませろ」

「……和人を助けられる可能性が、あるかもしれない。いや、助けられないだろうけど、少しは長生きできるかもしれない」

「……何」

「僕が一応、こうやって動けてるのには、理由がある、らしい。医者が言ってた、脳がこれだけ萎縮してるのに、知能も身体能力も落ちてないのは不思議だって。
僕も認知症の症状が出た。でも、あることをしたら、それは収まってる。今のところ」

「何が言いたい」

僕はヤクのことを話した。鷹山先生の仮説も。そして、輸血を思い付いたけど、血液型からそれは無理だということも。
湖南は時折目を閉じて、それを聞いている。そして、一通り終わった後、口を開いた。

「そういう『意味』か」

「え?」

口元が少し笑っている。何が面白いのだろう。

「実に興味深い。彼女がそうだったとはね。今夜、彼女を少しだけ借りていいか。採血と口内粘膜を少しもらうだけだ、日常生活に支障はない」

「採血??輸血はできな……」

「遥かに効率がいい方法がある。僕の読み通りなら、それで改善するはずだ。
問題は二つ。どこまで延命できるか。そして何より、間に合うかだ」

「間に合う?」

彼が頷いた。

「ここからは父さんの領域だ。とりあえず、戻ろう」
347 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 22:14:18.58 ID:yF8pE9/DO
#

戻ると、和人の泣き声だけが響いていた。空気が重い。

「……何を話していた」

「可能性の話だ。さっき言ったことは撤回する。どうしようもない、わけではなさそうだ」

「え?」

部屋がにわかにざわついた。

「どういうことだ?」

「ないかと思っていた蜘蛛の糸があった、ということだ。それは限りなく細い。ただ、託す価値はある。
鶴岡和人を、僕に預けてくれ。助かる保証はない。上手く行っても、どこまで生きられるかは知らない。ただ、多分これしかない」

「ほんとう、か……!?」

和人が途切れ途切れに言う。

「嘘を言う意味がない。……坂元組長、頼みがある。
鶴岡の家族が来たら、全力で抵抗しろ。正気にせよ、そうでないにせよ、奴らはお前らを殺しにかかる。
もちろん、鶴岡和人が別の所にいるのを悟られるな。佐倉は戦力の増強をしたがってる。その結果は、破滅的結果を招くだろうから」

「破滅的結果?」

湖南が僕を見た。

「計画を早めるかもしれない、ということだ。アイスキャンディの効果を示す、デモンストレーションとして」

※コンマ下50以上で追加イベント
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 22:14:53.45 ID:CnycyJjA0
349 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 22:19:22.75 ID:yF8pE9/DO
※坂元との会話イベントはとりあえずはなし

※視点選択になります。全て6月28日以降の話になります。

1 ジョーパート(変わる日常、あるいは動き出す危機)
2 コナンパート(鶴岡関連が中心)
3 仁パート(青葉関連の顛末、そして)

※3票先取
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 22:23:55.75 ID:CnycyJjA0
3
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 22:31:51.92 ID:BiUAFfyDO
2
352 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 22:50:59.74 ID:yF8pE9/DO
上げます。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:26:57.69 ID:ffvZPuJDO
2
354 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/08(金) 23:30:56.81 ID:knOtRHQLO
もう一度上げます。
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:58:57.55 ID:6r9niMxJ0
2
356 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 15:42:37.49 ID:k8KSwqcAO
【6月28日、7時14分】


目が覚めると、知らない天井があった。コナン君は……隣にいる。
記憶の断片を手繰り寄せる。……そうだ、ここは……コナン君たちのアジトの一つだ。

#

昨日の夜は慌ただしかった。コナン君から車を出すよう歌舞伎町に呼ばれると、彼と興也さんがぐったりした少年を後部座席に運んできた。

「まず新座の薬師丸英華の家へ。用件はすぐ終わります、そこから城を置いて、僕の指示通りに」

「彼は……鶴岡和人?」

コナン君が頷いた。城も後部座席に乗り込む。

「……上手く行ったの」

「最低限は。ただ、鶴岡は普通にしていたらもたない。父さんの力を借りて、何とかします。それまでは、僕らが看護を」

「えっ?」

「佐倉から守るためです。それに、奴からは聞きたいこともある」

「聞きたいこと?」

助手席のコナン君が頷いた。あたしはゆっくりとアクアを発進させる。

「城、一つ聞きたい。『勉強会』の一番の古株は、鶴岡だな」

「……そうだ。翔一について、知ってるかもしれないということか」

「奴の本拠を、できるだけ早く叩きたい。そのためには、彼の延命と協力が要る」

※97以上で鶴岡が話し始める
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 15:44:51.18 ID:wDWkEmsDO
はい
358 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 16:01:26.24 ID:k8KSwqcAO
後部座席からは返事がない。鶴岡は眠っているのかもしれない。

「お前にも一応、忠告だ。鶴岡の親族が、お前の家……あるいは薬師丸英華の家に向かうかもしれない。
現状、可能性は低いと考えている。こちらからも優秀なボディーガードを送る。だが、不要な外出は控えてくれ。万一のためだ」

「……分かった」

堅い声で城が返事をした。

#

あたしは起きて、朝食作りを始めた。鶴岡はほぼ食事が取れない。あたしとコナン君用に中華粥を作る過程で、その上澄みから重湯を作った。
他の栄養は注射で採らせるという。あの衰弱度合いからすると、もう少し設備が整った所に行くべきな気がした。

いつの間に起きてきたコナン君が、鶴岡が寝ている部屋から出てきた。

「どうだった?」

「芳しくないですね。後で父さんがこっちに来る。そこで薬師丸英華のサンプルを渡して、解析にかける。後は鶴岡の生命力の問題です」

「病院に移した方がいいんじゃない?」

※コンマ下
01〜30 病院はダメです
31〜70 それが望ましいですが
71〜00 その通りです
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 16:03:26.24 ID:wDWkEmsDO
はい
360 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 16:16:47.81 ID:k8KSwqcAO
「病院はダメです。場所が把握されやすくなりますし、そうなったらアイスキャンディを投与された鶴岡の家族が来た場合、多大な被害が出かねない。それはある意味、佐倉の思う壺です」

コナン君の言い分はもっともだ。あたしは食事の準備を進める。

「お父さんは?」

「8時前にはここに。あとは解析と抽出ですが、こればかりはどれぐらいかかるか分からない。……中華粥、ですか」

「うん。鶴岡用に重湯もある。あたしが飲ませに行っていい?」

「お願いします」

茶碗に薄い白濁の液体を入れて、あたしは鶴岡がいる部屋に行った。肌の血色は悪く、黄土色に近くなっていた。

※コンマ下60以上で意識あり、80以上で複雑な会話を理解できる状況
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 16:18:27.47 ID:x7Vv9wi/0
ほい
362 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 21:49:40.59 ID:5VhGXbI8O
鶴岡はまだ眠っていた。あるいは昏睡状態なのかもしれない。
人工呼吸器なしでどこまで生きられるのだろう。意識を取り戻したら、これを飲ませることになるのだろうけど、それはいつになるだろうか。

あたしも末期の患者は何人も見ている。彼がそうであるのは、容易に見てとれた。
コナン君は「打つ手がまだある」って言ってたけど、本当なのだろうか。彼はまだ、14歳だ。殺人を犯した人間とは言え、この死に方は……正直、見ていて辛い。

あたしは試しに、彼を軽く揺さぶった。

※コンマ下40以上で目が覚める。90以上ならある程度のコミュニケーションは可能
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 21:50:42.40 ID:/LOM9KtDO
はい
364 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 22:36:01.73 ID:IqdNasN2O
「あ……あう……」

鶴岡の目が薄く開いた。よかった、昏睡ではなかったみたいだ。
しかし知的レベルは相当落ちている。コミュニケーションが取れる感じではない。

匙に薄い白濁の液体を掬い、口に押し込む。十分冷ましてあるから、そのまま飲めるはずだ。

こくん

喉仏が動く。嚥下はできるようだ。もう一口掬う。少しずつ、茶碗の中身が減っていく。
そして、15分ぐらいでそれは空になった。

「鶴岡さん、自分の名前、言えますか」

鶴岡は何も話さない。口の端から、重湯の残りがたらりと流れた。
あたしは無言でティッシュでそれを拭く。……80過ぎの、末期の老人を相手にしているかのような錯覚を覚えた。

無言で部屋を出る。コナン君は、ご飯を食べずに待っていた。

「先に食べていてくれていいのに」

「いえ……何か悪くて。アユさんから見て、鶴岡の様子は」

「コナン君の言う通り。……芳しくないかな。医療機器なしじゃ、3日持つかどうか。
本当に、これでいいの?」

「……賭けです。突破口は見えました。ただ、回復するか、そして回復したとしてどこまで生きられるか。
そもそも間に合うのかどうか。全ては賭けです。
ただ、鶴岡を生かすには。そして、本当の意味で彼と城を救うには、これしかない」

「……どんな賭けなの?」

あたしは冷めたお粥を温め直しながら訊いた。

「その前提から話します。薬師寺英華がイレギュラーという話はしましたよね。そして、それには何かしらの意味があると。
その意味が見えたんです。彼女は、アイスキャンディを分解する酵素を持つ体質。
それも、そこから血液製剤を作れるほどの量を持つ。その可能性が、極めて高い」

「え?」

「2036年に同様の体質を持つ少女が見つかるまで、アイスキャンディ中毒は不治でした。
しかし、彼女が見つかりようやく脳細胞修復の酵素療法が、実験的に始められるようになった。
極めて高価でしたし、彼女を巡って色々な悲劇がありましたが……それは脇に置きましょう。
恐らく、薬師丸英華は彼女の役割を持ってこの時代にいる。
アイスキャンディの流行が、本来よりずっと早まったから」

「ちょっと話が読めないんだけど……。昨日英華さんの家に行って採血したのってそのため?
まさか、その酵素なんとかをやろうとしてるの??」

コナン君が頷いた。

「もちろん、時間がないですから簡易的なものです。血液製剤をちゃんと作ろうとしたら年単位で時間がかかります。
それでも、十分な効果はある。城が、薬師丸とのセックスだけで劇的な症状の改善を見せている点からして、
粗く酵素を抽出するだけでも相応の効果はある」

あたしは中華粥をテーブルに置いた。

「でも……あの状態からどこまで戻るの?」

「そこまでは。僕は医者だけど、臨床医じゃない。警察として末期患者とは何人も向き合ってきてますけど、
本当の末期患者にこの療法が効くかは知らない。そもそもそこまでの症例の蓄積はなかったはずですし」

その時、チャイムが鳴った。

※コンマ下
01 ???
02〜90 コナン父
91〜00 上+α
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 22:38:07.74 ID:werHdSAa0
366 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 23:01:12.75 ID:IqdNasN2O
#

「湖南、話は聞いている。すまないな、こんなところで」

コナン君のお父さんは、玄関に入るなり頭を下げた。

「いえ、いいんです。僕らの今の家に鶴岡は連れていけませんし。
サブの物件だと、ここぐらいしかなかった」

このアパートは、見るからに古い。夏だからいいけど、冬では相当寒いだろう。
確か、東京の練馬辺りらしい。

「例の物は」

「ここに」

小さな布製のクーラーボックスをコナン君は渡した。

「正直、いつできるかは保証しないぞ。私の本業と並行しながらの作業だ。
一応、血液製剤の作り方は頭に入ってはいるが」

そうか、コナン君のお父さんも「覚醒者」だった。
外資系の医薬品会社の研究員と聞いていたけど、さっき言ってた血液製剤は、お父さんの手によるものだったのか。

「父さんに賭けるしかないんです。お願いします」

「了解だ。……アユさんも、よろしく頼む。とりあえずの見通しは、今日中には伝えられるだろう」

そう言うと、スーツ姿のお父さんは姿を消した。

「アユさん、ごめんなさい。鶴岡の看護をさせることになってしまって」

「ううん、いいよ。看護師やってたことが無駄じゃなくてよかった」

本音を言えば、コナン君と一緒の時間がもっと欲しかったけど……それはわがままだ。
とりあえず、今は自分がやれることを、しっかりやっていこう。

#

【6月28日、10時17分】


今日も梅雨らしからぬ晴天だ。冷房は入っているけど、あまり利いている感じもしない。
コナン君は、どこか落ち着かない様子で本を読んでいる。

「……どうしたの?」

「いえ、電話待ちです。そろそろかかってくると思うのですが」

その時、コナン君のスマホが震えた。

「もしもし。……」

※コンマ下
01〜15 ……交渉、決裂ですか
16〜50 ……厳しい条件ですね
51〜80 ……そうですか、ひとまず良かった
81〜98 ……驚きましたね。それでいいと?
99、00 ……??ちょっと理解できないですが 


367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:03:17.72 ID:/LOM9KtDO
はい
368 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 23:19:48.90 ID:IqdNasN2O
「……そうですか、ひとまず良かった。……まあ、こちらで引き取りますから、問題はさほど。
今日、『おやっさん』に会えますかね?……ええ、まあ多分そちら優先でしょうけど」

電話から漏れる声には聞き覚えがあった。網笠さんだ。
そう言えば、警察内にいるコナン君の内通者が捕まっていたんだ。別の刑事が交渉し、何とかなりそうだってことだったけど。
コナン君がそわそわしていたのは、こういうことか。

「……ええ。鶴岡は、ギリギリですね。ここを狙われることはないとは思いますが、城と坂元組は何とも。
城のヤサは佐倉に割れてますから、彼と薬師丸だけでも保護すべきですが……。
……ええ、はい。そこは後で協議ですね。夕刻メドに、六本木ですか。了解です」

コナン君は電話を切って、息を付いた。

「どうだったの?」

「『おやっさん』が、解放されました。ただ、警察が懲戒免職するという条件付きですが。
こちらと警察との繋がりを一応は切りつつ、こちらの行動は黙認するということです。
彼にとっては収入がなくなりますけど、それはこちらで補填すればいい。悪くない結果です」

「そう、良かった……夕方に六本木らしいけど、どっちか残らなきゃ、だよね」

「ですね。アユさんが残る感じになっちゃいますけど、いいですか」

「うん。それは仕方ないよ。後で、どんな感じになったか話してくれれば」

急に心細さをあたしは感じた。久々に、彼といない時間になってしまうからだろうか。
思ったより、ずっとあたしはコナン君に依存してしまっている。……参ったな。

※イベント発生判定です。

ジョーサイド(コンマ下)
01〜05 イベント発生
06〜99 通常進行
00   超特殊イベント

坂元組サイド(コンマ下2)
01〜35 イベント発生(再判定)
36〜80 通常進行
81〜00 追加イベント(人物掘り下げが主)
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:23:17.73 ID:EmItsn2O0
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:23:41.25 ID:BHaQieOP0
それ
371 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 23:28:43.59 ID:IqdNasN2O
※坂元組襲撃発生
結果はコンマ下

01〜15 鶴岡兄逃走、坂元組は一人除き全滅、一人は拐われた
16〜30 鶴岡兄逃走、坂元組全滅
31〜50 鶴岡兄逃走、坂元組半壊
51〜70 鶴岡兄射殺、坂元組半壊
71〜95 鶴岡兄射殺、坂元組無事(坂元は逮捕)
96〜00 鶴岡兄確保、坂元組無事
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:29:51.47 ID:/LOM9KtDO
はい
373 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/09(土) 23:34:31.81 ID:IqdNasN2O
今日はここまで。なお、鶴岡兄(長男)が手負いか否かはまた別途の判定になります。
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:38:03.18 ID:EmItsn2O0
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:57:26.46 ID:/LOM9KtDO
乙です
376 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 09:56:25.45 ID:FxL1TCK5O
再開前に一つ判定を噛ませます。

01〜35 事件をニュースで知る(坂元死亡可能性あり)
36〜95 事件を電話で知る
96〜00 上+α
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 09:59:46.62 ID:i9vMRTv90
えい
378 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 10:29:35.45 ID:FxL1TCK5O
【6月28日、12時43分】


鶴岡の様子を見て、あたしはリビング――というにはいささか狭い洋室に戻った。コナン君は寝ている。
彼が寝ている時間は退屈だ。スマホを弄るか、テレビを見るかしかない。

ダイエットのために運動しようと思ったけど、トレーニング器具は朝霞の家だ。
家にいることが多くなって、少し太ってしまった気がする。コナン君は「そんなことないですよ」と笑ってたけど、やはりお腹回りがぷにっとしているのは、女として恥ずかしいのだ。

自力整体のやり方でも調べようかな。そう思ってスマホを操作していると、コナン君の携帯が鳴った。
起こそうか一瞬迷ったけど、とりあえず代わりに出る。飛び込んできたのは、知らない男の怒号だった。

『コナンって言ったか!!?ヤバいことなった、お前の言う通りだった!!
鶴岡光輝が……うちを襲いやがった!!』

「……え?」

鶴岡光輝?ボクシングの元世界王者で、3階級制覇を目指してる、鶴岡の兄?
状況はよく分からない。でも、とてもまずいことが起きてるのは疑いなかった。

「コナン君っ!!!電話、急いでっ!!」

寝ているコナン君を揺さぶる。「あ……」と最初は寝ぼけていたようだけど、あたしの血相にすぐに正気に戻った。

「スマホを。もしもし……坂元か?」

彼の顔が一気に険しくなる。短いやり取りだけど、状況の深刻さは伝わってきた。

※状況は……(コンマ下)
01〜30 鶴岡兄は無傷で逃走
31〜60 鶴岡兄は軽傷
61〜90 鶴岡兄は重傷
91〜00 鶴岡兄は致命傷
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 10:31:22.32 ID:uUHnkgYDO
はい
380 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 10:35:25.28 ID:FxL1TCK5O
一つ判定を入れ忘れていました。こちらを追加します。

※鶴岡兄の精神状態(コンマ下)

01〜30 正気
31〜70 半狂乱
71〜00 発狂
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 10:37:03.08 ID:i9vMRTv90
えい
382 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 10:57:26.46 ID:FxL1TCK5O
「……そうか。厄介だな。……『新型』にも適合したと……分かった。警視庁がどれぐらいこれを問題視するかだが、こちらも対応策を取る」

電話を切ったコナン君は、深い溜め息をついた。

「昨日行った、坂元組が襲撃されました。少なくとも2人が死んで、残りも重傷者がいるとか」

「……えっ」

背中を悪寒が走り抜けた。コナン君も、下唇を噛んでいる。

「鶴岡のお兄さんがやったの……?」

「ええ。……思っていたよりはるかに動き出しが早かった。しかも、『新型』投与の反動もあまりなかったみたいです。唐川、覚えてますよね」

あたしは頷いた。コナン君たちが赤坂で捕まえた、あの大男だ。

「彼もそうでしたが、『新型』を飲んでも正気のままの人間はたまにいる。しかも、曲がりなりにも鶴岡光輝は世界レベルのボクサーです。
そんなのが『新型』の力を借りたら……どうなるか分かったもんじゃない。案の定、事前に準備してても2人殺された」

「どうなるの、これから」

「……佐倉は最強のカードを手にした、と言っていい。鶴岡こそ手に入らなかったですが、戦力増強の狙いはかなり達せられた。しかも、まだ父と次男、妹がいる。
彼らが『外れ』でも、長男が十分使えるなら……刺客としては完璧です。油断はもうできない」

悪寒がさらに強くなる。コナン君は小さく息をついた。

「……まあ、救いは彼が多少の傷を負っていることと、正気であることですかね。狂気に駆られて無差別大量殺人をやる可能性は低い。
それと、彼は有名人です。警視庁が手配をかければ、行動の自由はなくなる」

「でも逃げてるんでしょ?ここに来るかも……」

「可能性は薄いです。むしろ、怖いのは……城と薬師丸」

※コンマ下30以上で仁に視点切り替え
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 11:04:08.78 ID:gScTBC5DO
384 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 13:37:31.26 ID:V3eMGzNNO
【6月28日、11時10分】


「最後の挨拶、か。まさか青が内通者とはねえ」

赤木が、何とも言えない表情で加熱式タバコを吸った。

「公安が保護していたようです。もう解放され、懲戒免職が決まったと」

「……裏で手を引いたのはお前だろ。『未来の記憶』とやらを使ったか」

「……バレてましたか」

ケケッと赤木警部が笑う。

「お見通しだぜ。にしても、随分素直に青を解放したもんだな。しかも、懲戒免職なのに挨拶の機会も作るたあ……悟さんも粋なんだか何だか」

恐らく、実質的な自主退職の体を取ったのだろう。公安としては、彼を消したりするより、利用することを選んだ。
それは朝尾の望み通りでもある。バッドエンド・ブレイカーを泳がせることで、佐倉と本庄秀司を確実に消す。そちらを重視したということだ。

朝尾と「西の公安」のトップ、烏丸の間でどんな話し合いがあったかは知らない。ただ、しばらくは佐倉関連に集中できるのは、間違いなさそうだった。

#

「やあ」

小会議室には白島と……増田が既にいた。

「よく来れたもんだな」

僕の問いに、増田が「ハハッ」と笑った。彼女が公安であると知っている赤木警部は殺気だった視線を向け、何も知らない白島は訝しげだ。

「偉いさんの考えることは、下々には分からないよ。ボクはまだ、ここにいるようだけどね」

「てめっ……!?」

俺は赤木警部を制した。そして小声で伝える。

「俺の監視か」

「御名答。『デッドマン』時代の記憶、戻ったんだって?妙なことをしないか、継続観察だとさ」

なるほどな。青葉を実質リリースする条件の一つがこれか。

木暮管理官が、青葉を引き連れやってくる。青葉の顔は、どこか晴れやかだ。

「突然集まってもらってすまない。青葉和行巡査部長が、一身上の理由で退職することになった。唐突だが、仕方がない。上も了解済みとのことだ……」

形だけの辞職挨拶が始まった。本当の挨拶は、これが終わってから……青葉が去るその時だ。

※コンマ下15以上で青葉との会話イベントへ
90以上で+α
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 13:50:58.33 ID:uUHnkgYDO
はい
386 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 14:23:34.51 ID:V3eMGzNNO
#

「待て」

小会議室を出て去ろうとする青葉を、俺は呼び止めた。赤木警部も後ろにいる。

「仁か。でかい借りができた、か」

「詳しく話してもらおうか。なぜ、お前がバッドエンド・ブレイカーなのかについて」

「……まあ気付いてるよね。ここじゃなんだ、場所を変えよう。その分だと、赤さんにも話してるね」

赤木警部が前に出た。

「……てめえのやったことは、警察失格だ。だが、動機は知りたい。てめえも仁と同じ、覚醒者とやらなんだろう?」

「……増田はどこかに行ったようだね。俺らの接触は、容認済みということか」

青葉が時計を見る。

「飯時に近いな。軽く、飯でも食いながらにしよう。そうだな……二人とも、この後の予定は」

「さしたるものはない。午後は新座に行くかもしれないが」

城とは一応接触しておいた方がいいだろう。連絡がない、ということは鶴岡の件は上手く行ったのだろうか。

「そうか。まあ時間は取れるってことか」

※2票先取

1 個室の割烹がある。少し金はかかるけど
2 せっかくだから遠出しよう。川越までどうかい
3 落ち着いて話すなら、俺の家でいいかな

※裏で坂元組襲撃イベントが進むため、若干の違いはあります
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 14:31:26.59 ID:gScTBC5DO
1
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 14:36:27.10 ID:uUHnkgYDO
1
389 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 16:52:29.89 ID:RwfquGi+O
【6月28日、11時52分】


「……また随分な所だな」

「鰻なら全国屈指の名店だ、某サイトでも4.0近くはあるよ」

思わず漏らした赤木警部に、青葉がにっと笑った。

「懲戒免職で金もねえってのに、よくやるな。仁への御礼代わりか」

「まあそれはある。あと、このぐらいは出せる。赤さんたちが思ってるより、金は持ってるから」

「……どういうことだ?」

「ギャンブルか。結果が分かってるからな」

俺の言葉に、青葉がハハッと笑う。

「残念だけど、もっと割のいいことだ。株だよ」

暖簾をくぐると、如何にも高級店という風情で女将が出迎える。そして和室へと通された。

「何でも注文していいよ。……と言っても実質一択だけど」

メニューを見ると、「新仔鰻重」とある。4900円……自腹のランチで出せる値段ではない。

「いいもん食ってんな。その腹は、そういうことか」

「それもある。まあ、早苗からは痩せろと言われてるが、こればかりは止められない」

青葉が鰻重と吸い物を3人前頼んだ。

「……まあ何はともあれ、感謝だな。仁が上手く掛け合ってくれなきゃ、良くて生涯幽閉、下手すりゃ消されてた」

「……公安はそこまでやんのか」

青葉が俺を見て苦笑した。

「『西の公安』はやる。だよな、仁」

「……まあな」

西日本政府は恐怖政治を敷いていた。当然、公安も戦前の特高に近い性質を帯びている。
平和なこの時代においても、似たことはできる。青葉は何もなかったかのように笑っているが、彼が昨日経験したことは相当に苛烈なものだっただろう。

「で、質問だ」

※2票先取

1 何故バッドエンド・ブレイカーになった
2 これからどうするつもりだ
3 佐倉について、知っていることは
4 ベルモットについて知っているか
5 自由安価

※質問は1問まで確定、2問目以降は判定
※3問目終了時点で強制イベント(展開にも依ります)
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 17:18:58.74 ID:gScTBC5DO
2
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 17:21:19.89 ID:bZuozvjd0
2
392 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 18:25:50.45 ID:RwfquGi+O
「これからどうするつもりだ?」

お茶を啜り、青葉が答える。

「さあ、どうするかね。コナンたちに協力したいけど、俺の面は割れてる。公安のマーク対象でもあり続けるだろ。
まあ、沖縄辺りで悠々自適でやるか、ラーメン屋の親父になるか……まだ決めてないってのが本当のとこだ。
早苗が付いてくるかは知らないけどね。あいつには、俺の素性は話してないから」

「早苗……古池巡査長か。交通課の」

「付き合って10年だからね。結婚の話もあったけど、親御さんが許すかどうか」

青葉が肩をすくめた。

「しかし、今回の件はどうする。佐倉がどういう男かは知ってるだろう」

「……聞いたよ。コナンと『手打ち』したんだって?佐倉を殺すために」

赤木警部がぎょっとした顔になった。

「……ちょっと待てよ仁。佐倉を殺す?逮捕じゃなくて?」

「赤さんも分かってるんじゃないか?佐倉は逮捕しても、現状じゃ微罪にしか問えない。少年法の壁もある。ホームレスの件で殺人罪で立件するのも難しい。
だったら、俺たちの活動を黙認した方がいい。……そう考えてるんだろ。なあ仁」

俺は黙った。その通りだ。しかし、それを根っからの刑事である赤木警部には言えない。

「沈黙は肯定と取るぜ。やはり、話に聞いた通りか。『デッドマン』の頃の記憶が戻ったって。
俺はお前が職場復帰してしばらくして桜田門に配転になったからその頃のお前の話は伝聞でしか知らない。ただ、手段を選ばない刑事になったとは聞いた」

「……最善の結果を考えているだけだ」

「ああ、気を悪くしたらごめん。今回については俺も心底同感だ。無法には無法を。『裁かれざる者』には『裁かれざる者』を。
だからお前もコナンと組むことに納得した。違うか」
393 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 18:59:41.88 ID:RwfquGi+O
鰻重が運ばれてきた。重からはみ出るほどに鰻が大きい。

「……ん、柔らかく旨いな。仁も食え、旨いぞ」

確かに身が香ばしくふわりとしている。鰻自体の旨さもあるだろうが、焼き方も絶妙だ。

「んぐ……。確かに。それはともかくだ。このままフェードアウトするつもりか」

※コンマ下
01〜20 仕方ない。早苗のためだ
21〜50 側面支援、だな。まあ雑用だが
51〜95 さすがに、な。佐倉だけは討たせてもらう。あれはいちゃいけない人間だ
96〜00 上+α
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 19:01:08.12 ID:I2hGXDJ50
395 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 19:14:48.67 ID:RwfquGi+O
青葉の表情が曇った。

「仕方ない。早苗のためだ。あいつ、妊娠してんだよ。刑事辞めただけでもまずいのに、しかもまた命を危険にさらすなんて、俺にはできん。
それに、佐倉は手段を選ばん。早苗が狙われたらと思うと、ゾッとする」

「……そうか」

今なら分かる。美和がもし妊娠していたら……俺も同じ選択をするだろう。
そもそも、俺が「デッドマン」になったのは、もう守るべきものがなくなったからだ。守らねばならない存在がいたら、あんな無茶はしていない。

「コナンたちにも、そう伝えるつもりだ。別れの挨拶ぐらいはするけどね」

ふっと、寂しげに青葉が笑った。

※コンマ下40以上で追加質問
(青葉の退場がほぼ確定のため判定が厳しくなってます)
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 19:26:23.10 ID:uUHnkgYDO
はい
397 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 19:45:52.63 ID:RwfquGi+O
#

「じゃあ、また。また会うことがあるかは知らないが、その時はよろしく」

その後は他愛のない世間話をして、早々にお開きとなった。青葉が去り際、ヒラヒラと手を振った。

「随分とさっぱりしてたな、あいつ」

「……重圧だったのかもしれませんね」

よく考えれば、古畑の目からも逃れて情報を横流しし続けたのだ。プレッシャーは相当なものだっただろう。

覚醒者であることもやめて、普通の市民として生きる。……そんな決断は、俺にはできない。
「未来の記憶」がある以上、俺はそれを未来を変えることに使おうと思う。その気持ちにブレはない。
しかし、青葉の気持ちも分からなくはないのだ。身近な者を守るためにその力を使う。それはそれで、否定はできない。


その時、俺の電話が鳴った。……非通知?


「もしもし、毛利です」

『昨日ぶりだね、毛利刑事』

少女?……いや、これは声変わりしてない少年の声だ。聞き覚えは、もちろんあった。

「藤原湖南かっ!?」

『緊急事態だ。坂元組が、鶴岡光輝に襲われた。奴は軽傷を負って逃走中だ。
多分、城と薬師丸を狙うぞ』

体温が3度ぐらい下がった錯覚を覚えた。……何だって!!?

「何故だっ!!そもそも、鶴岡は……」

『僕らが保護している。だが、鶴岡光輝はアイスキャンディを服用している。しかも正気だ。
確実に、二人を狙う。だから、あなたの力を借りたい』

赤木警部と顔を見合わせた。

「何故鶴岡光輝が」

『狙いは鶴岡和人の奪還だろう。そして佐倉に抱き込まれ色々吹き込まれてる。佐倉にとっては、願ってもないだろう。唐川の穴が埋まったのだから』

まずいことになった。正面から、アイスキャンディ、それも恐らく「新型」の服用者とやりあうのは……自殺行為だ。
しかし、城と薬師丸を見捨てるわけにもいかない。……どうする。

※3票先取

1 城と薬師丸の学校に向かう
2 兵藤に電話する
3 その他自由安価
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 19:48:37.25 ID:gScTBC5DO
1の前に一度ジョーに連絡出来ないかな
399 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 19:53:06.84 ID:RwfquGi+O
>>398
移動中に要警戒のメッセージを入れる形になります。
事前に無理矢理早退させるというのなら3扱いですが、無防備なのでコンマが悪いと悲惨です。
400 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 20:25:38.77 ID:RwfquGi+O
上げます。
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 20:32:53.86 ID:uUHnkgYDO
1
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 20:37:07.85 ID:gScTBC5DO
1で
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 20:48:00.07 ID:I2hGXDJ50
1
404 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 22:39:24.04 ID:HDBmBlMGO
「城と薬師丸の保護に向かう。それでいいか」

『頼む。僕一人ではどうしようもできない。僕の仲間がいても、どうにかなる保証はない』

「了解した。……お前はどうする」

数秒の沈黙があった。

『考え中だ。鶴岡の保護を考えると、そうおいそれとは動けない。上とも協議する』

「……分かった」

電話が切れた。赤木警部の顔色が変わった。

「……まずいな」

「ええ。今から行けば、下校時間には十分間に合う。急ぎましょう」

署に戻りながら、俺はメッセージを打つ。城へだ。

#

「鶴岡の兄、光輝がお前を狙っている。こちらからの連絡があるまで外に出るな」

#

城と薬師丸を拾い、家まで届けるか?しかし、もはや自宅すら安全ではない。場合によっては、避難もさせなければいけないかもしれない。
光輝の出方も分からない。待ち伏せするのか、それとも……学校に押し入るのか。後者だとすれば、被害は甚大になりかねない。

最悪の事態に備え、できるだけ多くの人手がほしい。しかし、どこまでそれが可能なのだろうか。口の中が、乾くのを感じた。
405 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 22:45:51.35 ID:HDBmBlMGO
【6月28日、14時03分】


クラウンを路肩に停め、俺は車外に出た。学園大付属中学の正門は、すぐ近くに見える。

※状況は……

・バッドエンド・ブレイカーの面々の有無(コンマ下)
01〜05 誰もいない
06〜30 興也のみ
31〜70 興也とコナン
71〜90 興也とコナンと源
91〜00 上+α

・警視庁の有無(コンマ下2)
01〜70 誰もいない
71〜97 兵藤とその部下がいる
98〜00 10人ほどの警官が既にいる

(鶴岡光輝の有無は後程)
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 22:47:18.11 ID:uUHnkgYDO
はい
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 22:49:04.25 ID:gScTBC5DO
来い
408 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 22:57:55.91 ID:HDBmBlMGO
正門近くに、サングラスをかけた青年がいた。あれは……多分、藤原の仲間だろう。しかし、藤原自身はいないようだ。
彼はこちらに気付いたらしく、軽く一礼してきた。状況は認識済み、ということか。

「……仁、大丈夫なのか?」

「鶴岡光輝がどう来るか、ですね。多分、運転手付きだと思いますが……」

俺の脳裏に、矢向という男の顔が浮かんだ。一度しか会っていない。しかし、奴も一緒だとすると……限りなく危険だ。
学園大付属中学の構造は、頭の中に入れている。入口は、ここを含めて3ヵ所。裏口二つを押さえないと、安心ではない。
しかし、1人1ヵ所で何とかなるとも思えなかった。

※コンマ下10以下で鶴岡兄来襲(再判定)、90以上で増援(再判定)
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 22:59:27.01 ID:yLY2p0a30
410 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 23:03:47.11 ID:HDBmBlMGO
※再判定

01〜15 裏口から侵入(殺戮描写あり注意、救済判定あり)
16〜40 正門に来る(矢向も同行)
41〜70 正門に来る(鶴岡父同行)
71〜90 正門に来る(単独)
91〜00 上+α
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 23:07:35.71 ID:mUPNdrT/0
はい
412 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 23:32:16.98 ID:HDBmBlMGO
その時だ。ブロロロ……という重低音と共に、一台の車が正門に入っていく。あれは……ジャガー?

「おいっ、あれはっ!!」

赤木警部が駆け出す。俺もそれについていった。正門にいた男も、険しい顔で走っていく。
駐車場に停まったジャガーから、男が出てくるのが見えた。短い金髪に、細い目……鶴岡光輝だ。

3対1。数的には優位だ。単独で来てくれたのは助かった。
しかし、戦闘能力は……比較にならないはずだ。アイスキャンディを飲んでいなければどうとでもなっただろうが。

俺は、サングラスの男に「抑えろ」とジェスチャーをした。彼は頷く。この場での指揮権を、俺に託したのだ。

問題はここからだ。俺も赤木警部も、一応銃は携帯している。鶴岡兄の危険性を理解した木暮管理官が、ゴーサインを出してくれたからだ。
ただ、警察の銃は低威力のニューナンブだ。アイスキャンディで痛覚が倍加しているとはいえ、これだけで沈黙させられるかは自信がない。

なら話し合いは?光輝は正気だ、と藤原は言った。とすれば、鶴岡和人の話をすればいいかもしれない。
……だが、鶴岡和人の詳細を俺は知らない。サングラスの男は知っているかもだが、知って逆上されては終わりだ。

※鶴岡光輝の行動
01〜10 問答無用で攻撃
11〜70 何だてめえら!?
71〜95 その場で待つ
96〜00 学校に入ろうとする(奇襲可能)
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 23:34:03.18 ID:xKJ59qOX0
えい
414 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 23:41:37.28 ID:HDBmBlMGO
光輝がこっちに気付いた。……やはりか。

「何だてめえら!?」

正気、と言っていたが……話ができるという程度でしかないと俺は察した。目は血走り、殺気に満ちている。
距離は15mほど。……思考している余裕は、ない。

※3票先取

1 銃を抜いて警告する
2 銃を抜いて撃つ(懲戒処分確定)
3 銃を抜かずに構える
4 手を上げ暴力を使わない意思を示す(説得へ、説得の際に話す内容を付記)
5 逃げる
6 その他自由安価
415 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 23:42:13.00 ID:HDBmBlMGO
0000で一度リセットします。
416 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 23:50:56.09 ID:HDBmBlMGO
ヒントです。

一応興也はテーザーガンは持っています。ただ、当たればともかく外すと連射が利きません。
素手でやりあおうとするなら相応の工夫が必要です。アイスキャンディの効果を逆手に取る方法がないわけではないですが……。

なお仁死亡というパターンは余程のことがない限りはしませんが、赤木か興也の死亡はあり得なくはないです。
(一応、裏口から入っての大量殺戮というワーストルートは回避できています)
417 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/10(日) 23:54:26.55 ID:HDBmBlMGO
とりあえず0000から投票開始とします。
418 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 00:03:45.42 ID:nNayNVyoO
では投票開始します。

質問は受け付けますので遠慮なくどうぞ。
419 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 01:10:55.83 ID:C62bt2GOO
寝る前に上げておきます。
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/02/11(月) 01:39:03.82 ID:TcmSC92O0
4 お前がアイスキャンディを飲んでるのは知ってる、このままだと最終的には死ぬ事になる
その事について詳しく話したいから落ち着いてくれないか
421 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 08:28:12.31 ID:C62bt2GOO
再開は夜の予定です。

なお、説得はハイリスクハイリターンです。普通のやり方では難しいでしょう。
(ブラフなどがあればあるいは可能かもしれません)
422 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 11:51:15.46 ID:cz2CHaPEO
上げます。
423 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 14:25:15.31 ID:nNayNVyoO
夜に向けて追加ヒントです。

1を選択の場合、止まるかどうかは五分五分です。止まればかなり楽になります(説得などに移れます)。
ただ、攻撃してくると何らかの被害は覚悟せねばなりません。

2を選択の場合、即戦闘です。何とかなる余地はあります。
ただ、鶴岡兄については殺害も視野に入れる必要はあります。また、仁の行動に今後一定期間の制限がかかります。

3も即戦闘です。興也のテーザーガンが当たれば……ですが、基本策を弄する必要があります。
戦闘開始後、危機的状況で拳銃使用が解禁されます。この場合のペナルティはありません。

4はハイリスクハイリターンです。正攻法では厳しいです。ブラフを使うなどの工夫が必要です。

5はやりようによっては悪くありません。ただ、一般生徒への被害拡散というワーストケースが唯一あり得ます。

他に筆者の気付いていない可能性があるかもしれません。
424 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 17:10:05.07 ID:7pm4eEALO
上げます。2130ぐらいから再開予定ですが、決まらない場合は延長もあり得ます。
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 20:53:21.04 ID:Aej7c3QDO
1
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 20:59:21.15 ID:f4zgALWDO
1
427 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 21:34:18.20 ID:sgoul0+uO
最後に上げます。2200以降の再開になります。
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 21:38:13.25 ID:cXIruIHJ0
1
429 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 21:46:57.77 ID:PVQG2Jk1O
「止まれぇっ!!」

俺はニューナンブを抜いた。赤木警部も同じだ。教本通りの動き。本来なら威嚇射撃も要るが、そんな余裕はない。
サングラスの男も、銃のような何かを抜いている。……こいつも「警察」か。

鶴岡光輝は……

※コンマ下
01〜50 構わず突っ込んでくる
51〜98 動きを止める
99、00 ???
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 21:56:58.80 ID:f4zgALWDO
はい
431 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 22:08:19.26 ID:PVQG2Jk1O
鶴岡光輝は動きを止めた。口許を歪ませながら。

「……マッポか。どけや、邪魔するなら殺すぞ」

冷や汗が首筋を伝う。恐らくハッタリではない。アイスキャンディを服用していれば、ここから一瞬のうちに飛び掛かり、喉を潰すことは容易だ。
まして、ある程度の格闘者であるこの男なら。猛獣を目の前にしている錯覚を覚えた。

「生憎そうもいかない。坂元組襲撃はお前の仕業だ。じき、増援もここに来る」

ブラフだ。しかし、時間を稼げばそれは真実になる。学校側が気付いてくれる可能性は、それだけ上がる。

※コンマ下
01〜30 傷はかすり傷程度
31〜60 左腕上部に赤い染み
61〜90 右足下部に赤い染み
91〜00 脇腹から出血、軽傷ではなく重傷と言っていい
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:10:06.76 ID:j4YLBWiF0
433 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 22:20:47.47 ID:PVQG2Jk1O
俺は光輝を観察した。チノパンを履いているが、右足下部に赤い染みがあった。銃で撃たれたのか。
思い返せば、少し足を引きずっていたかもしれない。俺の呼び掛けに止まったのは、理性が働いたのではなく、単に攻撃しきれなかっただけだ。

俺はサングラスの男を見る。僅かに頷いた。「行けと言われれば撃つ」と言っているかのようだ。

「……よく分かったな、俺がここに来ることをよぉ」

「警察を舐めないでもらいたい。お前の狙いが弟の和人の奪回にあること、その背後に佐倉翔一がいること、そして城隆一郎の誘拐……あるいは殺害がここに来た目的だ。違うか」

「……だとしたらどうすんだ?お前らに俺を捕まえられるとでも?
……今の俺は『似非』じゃねえ、本物の世界最強だ。ハジキ(拳銃)を持っていようが、屁でもねえ」

ジリ、ジリとノーガードのまま間合いを詰めてくる。俺はそれに応じて下がった。踏み込んでこられたら、今度こそアウトだ。やるか、やられるか。

※コンマ下80以上で??
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:21:54.84 ID:Aej7c3QDO
はい
435 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 22:25:17.72 ID:PVQG2Jk1O
その時だ。


シュバッ


サングラスの男が何かを発射した。弾丸?いや、何か違うものだ。

不意を突かれた光輝は……

※コンマ下
01〜50 交わす(戦闘へ、興也を優先して攻撃)
51〜80 命中(動けるかは再判定)
81〜00 命中(沈黙確定)
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:26:48.58 ID:f4zgALWDO
お願い
437 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 22:33:16.26 ID:PVQG2Jk1O
「がああああああっっっっ!!!」


凄まじい絶叫を上げ、光輝が膝をついた。何を発射した??

校内から絶叫を聞いた生徒が、窓から顔を出しこちらを見ている。この分なら、制服警官が来るのも、時間の問題だろう。

サングラスの男は、銃の先端についた糸をまるで掃除機のコードのようにシュルルルと巻き取った。そして、光輝にゆっくりと近付く。

「待てっ!!まだ動くべきじゃ……」

※コンマ下
01〜20 光輝復活、右アッパーを興也に直撃させる
21〜40 光輝復活も、アッパーは交わされる
41〜00 光輝失神
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:36:14.64 ID:f4zgALWDO
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:36:17.67 ID:j4YLBWiF0
440 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 22:47:45.00 ID:PVQG2Jk1O
サングラスの男が微笑んだ。

「心配は無用です。このテーザーガンを食らって、失神しない人間はいない。
ましてアイスキャンディで痛覚が倍加しているなら……これで意識があったら、それは怪物ですよ」

光輝は、白目を剥いて固まっている。俺は急いで手錠をかけた。

「助かった。あんたは、藤原の仲間か」

「ええ。上手く行って良かった。僕はこれ以上はお邪魔です。後処理はあなた方に任せますよ。
制服警官も来てしまいますし、色々探られると面倒だ。では毛利警部補、また」

「おい!?ちょっと待ちやがれっ……!!」

掴み掛かろうとする赤木警部を、俺は制した。

「行かせてやりましょう。……でかい借りができましたね」

男が正門から出ると、すぐにブロロロという音が聞こえた。バイクであるようだ。

それにしても、見事な腕だった。完全に光輝の意識がこっちに向いたその一瞬を突いて、テーザーガンなる銃を命中させた。
相当に場数を踏んでいなければ、ああはならない。

「……お前の名を知ってたな。藤原経由か」

「かもですね」

パトカーのサイレンが遠くから聞こえる。ここからは、警視庁の領域だ。
441 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/11(月) 22:51:31.41 ID:PVQG2Jk1O
※視点選択です。

1 このまま仁視点
2 ジョー視点

※2票先取
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:56:31.30 ID:f4zgALWDO
2
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:58:21.67 ID:Aej7c3QDO
2
444 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 14:34:27.94 ID:Mv+0URGQo
テスト。
445 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 19:28:39.10 ID:sx7gCvIFO
失礼しました。再開します(端末故障によるテストです)。
446 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 20:29:38.71 ID:sx7gCvIFO
【6月28日、14時10分】


「二次方程式の解の公式は……」

数学教師の柏田が、間延びした声で板書きをする。クラスの半分は寝ていた。
そもそも、ここにいる連中は大体解の公式なんて知っている。塾かどこかで分かっている話だ。
教師もそれを知っている。いわば、この時間は学校公認の「シエスタ」の時間なのだ。

僕も寝ようとしたが、意識は冴えていた。和人の変わり果てた姿が、脳裏から離れない。
そして何より……毛利刑事からのメッセージだ。和人のお兄さんが、僕らを狙っている。到底、落ち着いてなどいられない。


その時だ。


「がああああああああ!!!」


獣の咆哮のような何かが、外から聞こえた。何人か、寝ていた奴らが頭を起こす。

ざわっ……

「静かに。……何だ今のは」

しかめっ面をして、柏田が教室を出る。何人か生徒がその後を追った。……胸騒ぎがする。

「何だありゃ」

「銃持ってんの?」

「あれって……どこかで見たことない?」

他のクラスからも生徒が続々と出てきた。出遅れた僕は、前にいる連中の隙間からやっと外の様子を見れた。

「あれはっ……!!?」

4人のうち、3人に見覚えがあった。毛利刑事、赤木刑事、そして………

体温が下がるのを感じた。

「鶴岡、光輝……!!」

僕の後ろから外を見ようとするヤクの顔色も変わった。

「……刑事さんの言った通りだ……」

そうだ。だが、見た感じ和人のお兄さんは手錠をかけられている。……危機は去った、のだろうか。
447 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 20:41:16.86 ID:sx7gCvIFO
【6月28日、15時05分】


外は騒がしい。10台以上いたパトカーは減ったものの、それでもまだ半分ぐらいは残っていた。
そして、集まり出すTV局の車。正門では、下校しようとする生徒を捕まえてのインタビューが行われていた。

「……ヤク、裏口から帰ろう」

「……うん」

ホームルームを終えた僕らは、教室を出ようとした。しかし、向こうから歩いてきた学年主任の東田がそれを止めた。

「城、それに薬師丸。刑事さんが呼んでるぞ、職員室まで来てくれ」

「刑事さん、ですか」

「ああ。なんでお前らなのかは分からんが、とにかく来てくれとのことだ」

毛利刑事だろうか。……何かまだ、嫌な予感は残っている。

※コンマ下
01〜15 待っているのは??
16〜65 待っているのは赤木
66〜00 待っているのは仁
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 20:43:58.49 ID:IDVU8b0DO
はい
449 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 21:07:18.37 ID:sx7gCvIFO
#

「よう」

待っていたのは、無精髭の刑事だった。

「赤木さん、でしたっけ」

「おう、悪いな。仁は桜田門──警視庁に行ってる。鶴岡光輝の聴取のためだ。俺が代わりに、今日は対応ってわけだな」

「和人のお兄さんを捕まえたのは、あなたたちですか?」

赤木刑事が渋い顔をした。

「だったら良かったんだがな。俺らはあんまり何もしてねえ。犯罪者に借りを作るなんざ、正直気持ちのいいもんじゃねえんだがな」

湖南?いや、あの後ろ姿は大人のそれだった。彼の仲間だろうか。

「まあいい。俺がここに来たのは、ボディガードだ。というのも、まだ危機は去ってないからだ」

「えっ……?」

ヤクが青ざめた。僕は思い返す。……和人にはもう一人兄がいる。

「鶴岡大和」

「さすが頭が回るな。そう、佐倉にはまだ刃が残っている。
さらに言えば、鶴岡の親父と妹もいるがな。あっちは素人のはずだから、まだなんとか対処はできる、らしい。
問題はこっちだ。鶴岡光輝は坂元組を狙った。なら大和は?お前を狙う可能性はゼロじゃない」

「刑事さんなら、何とかなるんですか」

溜め息をついて赤木刑事が首を振った。

「いや。自信なし、だ。さっきのも、俺らだけじゃ殺られてた。銃持ってても、あまり意味はない。
だから、俺の役割は避難だ。お前らだけじゃなく、家族まで被害に遭っちゃたまらんからな。
まず、車でとりあえず送迎する。んで今日は一時的にこちらが用意したホテルに泊まってもらう。家族も込みでな。
数日様子を見て、問題ないようなら帰す。そんな感じだ」

魅力的な提案といえた。……僕の母の件さえなければ。
母はこの申し出をよしとしないだろう。何より、僕の現状を知られることになる。
普段は全く僕に関心がないくせに、いざとなるとあの女はヒステリックに喚き散らす。ヤクのことも知られたら、何をされるか分からない。

「刑事さん、僕の母も、保護対象に入ってるんですか」

「……一応な。帰りが遅いのは知ってる。だから厚生労働省から無理矢理にでも来てもらうつもりだが」

※3票先取

1 分かりました
2 母は、自分で何とかするでしょう
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 21:09:07.36 ID:1zKWccb20
1
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 21:14:36.17 ID:IDVU8b0DO
1
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 21:19:27.90 ID:AzU8mWkDO
1
453 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 21:35:12.14 ID:sx7gCvIFO
僕は迷った。正直、いない方がいいとすら思ってる親だ。だけど……

「分かりました。刑事さんに、お任せします」

「そうか。親子仲は悪いと思ってたが、さすがにな」

「……あんな親でも、殺されては目覚めが悪いですから」

ふっと赤木刑事が笑う。

「まあ、それが親子の情ってもんだ。じゃあ、行くか。英華ちゃんのとこは、共働きだったな。後で職場に行って、事情を話すかね」

#

※赤木に質問ができます。自由安価で0000まで募集です。
何もなければそのまま進行します。
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 21:40:52.01 ID:IDVU8b0DO
学校には通常通り行くべきか、登校するのであれば登下校時はどうするのか
455 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 21:49:03.11 ID:sx7gCvIFO
>>454
了解です。判定なしで答えられるでしょう。

まだ質問は可能です。
456 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/12(火) 22:56:31.05 ID:sx7gCvIFO
上げます。
457 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 09:05:29.21 ID:ytAUoNERO
車は目黒から首都高速へと乗り、埼玉方面へと向かっていく。ヤクが僕の手をぎゅっと掴んだ。

「これから、学校はどうすれば」

「学校と最寄りの学園大学駅にはしばらく所轄から人が来るはずだ。通学しないわけにもいかんだろ?
それに、学校側にはヤクでラリった光輝がエリート校を襲ったらしいと説明してる。お前らのことは話してねえから安心しな」

「……でも、通学は」

「ホテルのヤサが突き止められなければ一応は安全だ。まあ、俺らの方からも誰かしら様子を見させてもらうがな。
もちろん、それまでに大和が捕まるなら越したことはない。まだ犯罪を犯してると確定してはいねえが、職質をかけりゃ何かしら出てくるはずだ」

赤木刑事は、僕らを安心させようとしてかにっと笑った。

「まあ、心配すんな。お前さんたちは学生らしく、勉学に励んでりゃいい。
犯罪に立ち向かうのは俺らの仕事だ。そして市民を守るのも」

それはその通りだ。……しかし、翔一はもう手段を選ばなくなっている。
スマホの画面に「白昼の新宿で暴力団事務所が襲撃 2人死亡」という見出しが浮かんでいる。……もはや、無関係の人までも巻き込むつもりなのだ。

僕にできることはないのか。

#

※コンマ下
01〜20 ヤクの家の前に、人影がある
21〜95 通常進行
96〜00 ヤクの家の前に人影がある。……あれは?
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 09:07:38.67 ID:fNX4SHnq0
459 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 09:48:05.74 ID:ytAUoNERO
家の前には誰もいなかった。数日間のホテル暮らしに備え、僕とヤクは着替えなどを準備しバッグに詰め込む。
ヤクの方は、ご両親とは電話で話したそうだ。「怖がってたけど、ちゃんと受け入れてくれた」だそうだ。

母はどうだろう。……このことを話した時の反応を考えると、げんなりした。


ホテルは浦和駅近くのビジネスホテルを取ったという。県警本部にも近く、人通りも多い。万一があっても対応しやすい場所とは言えた。

※コンマ下40以上で?
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 09:55:12.18 ID:USn8j5VGO
うほっ!
461 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 09:57:39.44 ID:ytAUoNERO
※ホテルは2部屋

昼頃再開します。
462 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 12:37:33.61 ID:vsd+2cRfO
「部屋は2部屋取ってる。それぞれの家族で、だな」

僕の気分は重くなった。あの母親と、毎日顔を合わせるのか。

車はホテル前に横付けされる。

「とりあえず、また来る。何かあったら連絡する」

赤木刑事はそのまま去っていった。

「ジョー……どうなるのかな……」

「……早く和人のお兄さんが捕まればいいけど」

その和人の具合も気になった。昨日の時点で相当辛そうだったけど……。

ヤクのご両親が来るまでは時間がある。僕は不安をごまかすために、彼女の手を握った。

※コンマ下80未満で視点選択へ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 12:41:03.05 ID:GdoqTbiDO
はい
464 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 12:43:41.50 ID:vsd+2cRfO
※視点選択へ

1 仁パート(光輝の取り調べ)
2 コナンパート(鶴岡の容態と佐倉襲撃計画など)

2票先取
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 12:56:20.89 ID:GdoqTbiDO
2
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 12:58:44.40 ID:M1OGmy3O0
2
467 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 13:42:11.39 ID:vsd+2cRfO
【6月28日、15時10分】


「そうですか。ご迷惑おかけしました」

そう言って電話を切ったコナン君は、ほっと息をついた。

「鶴岡光輝が確保されたそうです。興也さんに感謝ですね」

「捕まったの?……良かった」

力が抜けていくのを感じた。これで一息付ける。

「鶴岡和人をケアするために、興也さんに全てを託したのは賭けでした。こちらに光輝が来る可能性が少しでもある以上、ここは離れにくかったですから。
ただ、判断は間違ってなかった。流石です」

「前から思ってたんだけど、あの人も警察、よね」

「警察ですが、出自がちょっと変わってるんです。ああ見えて、元は陸上自衛隊第一空挺団なんですよ。本来の歴史では、来年辺りに陸自に入るはずです」

「第一空挺団?」

「自衛隊のエリート戦闘部隊、ってやつです。東西分裂を機に、こっちに転職したんですけどね」

温和そうだけど、そんな人だったのか。

「とにかく、これで一安心……」

「……とは行かないんですけど。まだ鶴岡大和が残ってる。あいつにも注意が必要です」

「大和って、鶴岡兄弟の真ん中の」

コナン君が頷いた。

「4つの可能性があります。一番ありそうなのが、城か薬師丸を追っている説。その次にありそうなのが、身辺警護に使っている。
楽観シナリオですがアイスキャンディの副作用が強すぎて動けないというのもあります。そして一番困るのが……僕らを追っている場合」

「でも、ここは分からないんじゃ」

「ええ。ただ、可能性はゼロじゃない……迷ってます」

そうか。夕方からコナン君は六本木に行かなきゃいけない。お父さんが迎えに来るって話だけど、その間あたしと鶴岡和人を守れるのは……いない。

※コナンの選択は……

1 やはり、今日の会議は見送りましょう(佐倉襲撃計画の進展はなし、コナン宅襲撃があっても対応可能)
2 いや、やはり予定通りで(佐倉襲撃イベント開始、超低確率で惨劇)

3票先取
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 14:13:01.27 ID:daYE1jODO
2
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 14:15:46.82 ID:ysMJppjd0
2
確率なんざコンマで覆してやらぁ!(フラグ)
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 14:23:00.64 ID:M1OGmy3O0
2
471 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 17:59:51.84 ID:1s09kWXkO
コナン君は何かに納得したかのように首を縦に振った。

「やはり、予定通り六本木に行きます。アユさん、危険を少しでも感じたら逃げて下さい。……お願いです」

「……分かった」

あたしもバッドエンド・ブレイカーの一員だ。何を優先すべきかは、理解している。怖がってばかりもいられないのだ。

【6月28日、17時26分】


チャイムが鳴った。ここの家のセキュリティは、ないに等しい。ドアに開いた穴から外を覗くと、コナン君のお父さんがいた。迎えに来たのだ。

「アユさんか。湖南は」

机に突っ伏して寝ていた彼が、むくりと起きた。

「……もうこんな時間ですか。そう言えば父さん、鶴岡の血液製剤の件は」

※コンマ下
01〜40 分からん。数日は確実にかかる。間に合わん可能性が高い
41〜75 分からん。数日はかかるが、ギリギリだな
76〜90 1、2日あれば行けそうだ。そきからは、彼次第だな
91〜98 明日には持ってこれる。
99、00 存外、早くできたよ
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 18:07:00.24 ID:GdoqTbiDO
はい
473 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 18:15:08.26 ID:1s09kWXkO
「分からん。数日は確実にかかる。間に合わん可能性が高いな」

「……そうですか」

コナン君の顔が陰った。彼にとって「仇」とはいえ、思うところはあるのかもしれない。

「こちらもやるだけはやる。血液製剤は、別の相手に使うことになるかもな」

「別の相手、ですか」

コナン君がちらりとあたしを見た。……あたしも、アイスキャンディを舐めてしまっている。半錠程度だけど。

「まあそれはいい。六本木に行くぞ。アユさん、帰りは深夜になる。くれぐれも、不審者に気を付けて」

「……分かりました」

今日も夕日は強く、部屋は蒸している。ねっとりとまとわりつく空気が、やけに不快だった。

※コンマ下10以上で通常ルート
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 18:17:52.92 ID:YBeJ/AwA0
475 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 18:36:35.87 ID:1s09kWXkO
※アユ襲撃判定1回目クリア
(2回あります)

#

コナン君が去って、あたしは鶴岡の様子を見に行った。……やはり、意識がない。点滴がないから、衰弱するスピードも早いのだ。
正直、どこかの病院に移すべきなのだろう。……お兄さんの件さえなければ。一応、栄養剤注射はしてるけど、水分摂取が決定的に足りない。
コナン君が戻ってきたら、提案してみようか。あたしは床擦れを防ぐために鶴岡の身体を少し押し、寝返りさせた。

重湯は、お昼のは飲めていた。しかし、誤嚥の可能性が高まっている。
「ごめんね」と彼に小声で言って、あたしは自分の夕食のためにキッチンに向かった。

※コンマ下
01〜80 意識なし
81〜90 う……あ……
91〜00 あ、ああ……いか、ないで

※コンマ下2
01〜75 特になし
76〜00 アユにメールが届く(再判定)
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 18:38:24.92 ID:GdoqTbiDO
はい
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 18:43:15.17 ID:YBeJ/AwA0
478 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 20:58:20.92 ID:CBs9FYPiO
「あ、ああ……いか、ないで……」

後ろから聞こえる声に、あたしは驚きとともに振り向いた。鶴岡が、手を伸ばしている。

「……君、意識があったの?」

酷くゆっくりと、彼が頷いた。

「さっき、おきた……ひどい、ゆめだった……なにか、たべ、ものを」

「分かった。ちょっと待って」

彼はほとんど意識がなかったはずだ。どうして?
……あたしはコナン君が前に言っていたことを思い出した。アイスキャンディの中毒者は、正気と呆気を行ったり来たりしながら、ゆっくりと壊れて行くのだと。
それはちょうど、線が切れかけた壊れかけの家電に似ていると言っていた。ほとんど動かなくなっても、何かの拍子に正気に戻ることもあると。もちろん、それは長くは続かないのだけど。

今の彼は、まさにそれだ。

#

重湯をスプーンに乗せて口に運ぶと、「おえ」と鶴岡はそれを吐き出した。

「まず、い」

「重湯はまずいのが当然なの。固形物は、今の君じゃ受け付けないわ。食べないと、身体がもたないわよ」

あたしはもう一度重湯を口に入れさせた。しかめっ面をしながら、彼が飲み込む。

「……おれは、もう、だめなのか」

否定しなきゃいけない。あたしはそう思った。しかし、さっきコナン君のお父さんが言っていたことを考えると……望みは薄い。
それでも無理矢理に笑顔を作った。末期患者に、死期を悟られてはいけない。看護師時代、学んだことだ。

「いえ、大丈夫。薬を今調達してるから、それを射てば治るわ」

嘘が半分ある。大丈夫という保証はない。間に合うとも限らない。

※コンマ下
01〜40 おれは……しぬ、んだな
41〜90 ……そうか
91〜00 かのうせいは、うすいか
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 21:03:46.27 ID:daYE1jODO
どれ
480 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 21:14:43.05 ID:CBs9FYPiO
「おれは、しぬ、んだな」

無表情で鶴岡が呟いた。……生きる気力を失いかけている。これはまずい。

「さっき言ったのは本当よ。アイスキャンディ用の薬がある。それさえあれば……」

「じゃあ、なぜ、うたない」

言葉に窮した。その通りだ。

「……今、作ってる。間に合えば、君は生きられる、かもしれない」

はは、と乾いた笑いを鶴岡が浮かべた。

「……かも、か。……そうか……」

すっと一筋、光るものが見えた。

「……ころされても、しかたない。おれは、ふたりころして、る。でも、あにきは……」

鶴岡家は、家族の絆を随分強調する一家だった。テレビ用の演出かと思ってたけど……

そして、あたしは気付いた。……彼の兄、光輝は逮捕された。殺人罪で。
そして、アイスキャンディを服用している。これが何を意味するか、彼が分からないはずがない。

この事実を告げれば、彼は強いショックを受けるだろう。場合によっては、それが最後の引き金を引いてしまうかもしれない。

※2票先取

1 事実を告げる(中確率で鶴岡死亡)
2 ごまかす
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 21:27:24.70 ID:daYE1jODO
2
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 21:34:53.30 ID:GdoqTbiDO
2
483 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 21:48:55.12 ID:CBs9FYPiO
「お兄さんのこと、心配なのね」

あたしは、真実を告げるのをやめた。それはあまりに残酷だ。

「……おれがいなきゃ、ふたりとも、なにも、できない。おれが、あにきたちを、すたーに……ゲホゲホッ」

咳き込む彼の背中をさする。

「無理して話さないで。体力を温存しないと」

「……あにきたちは、いま、どこに」

「……まだ見つかってない。探してるかも」

「……そう、か」

鶴岡が天井を見上げた。

※コンマ下30以上で質問可能
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 21:54:17.60 ID:Fwc0+oio0
はい
485 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 22:04:09.19 ID:CBs9FYPiO
※質問内容を決めます。自由安価は歓迎です。2票先取
※複数回の質問は難しいと思います。

1 佐倉の居場所は知ってる?(低確率)
2 家族について聞かせて(確定で答えるが、地雷あり)
3 坂元さんについて聞かせて(確定で答えるが、意味は薄い)
4 佐倉と一緒に逃げた男、知ってる?(矢向について、基本は低確率)
5 自由安価
486 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 22:19:39.77 ID:CBs9FYPiO
上げます。
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 22:27:34.80 ID:daYE1jODO
5.どういった経緯で佐倉と知り合ったか
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 22:41:56.61 ID:zBJkbhZEO
1
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 22:43:04.39 ID:CpJyv6Ok0
>>487
490 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 23:32:20.78 ID:i4zKJNfJO
「そういえば君……どうやって佐倉と知り合ったの?」

ハハッ、と鶴岡が弱々しく笑った。

「……ころしを、みられた。みられてるはずなんてないのに。れんらくがきて、きょうりょくしろと」

「……殺し?」

そうだ、鶴岡は二人殺したと言っていた。片方はホームレスだろうから、もう片方のことだ。

「やまとあにきはよわい。でも、かたなきゃいけなかった。だから、じこにみせかけてたきつぼに、おとした」

「……噂は本当だったのね」

鶴岡一家のスキャンダルは色々ある。ジャッジを買収しただの、八百長だの。しかし、そのほとんどはあくまで噂止まりだった。
その中の一つに、対戦相手の変死がある。鶴岡一家の次男が元日本王者と試合することになった際、試合1ヶ月前に彼が滝壺に転落して死んだのだった。
もちろん、事故として片付けられたけど、ネットでは殺人ではとの声もあった。それが、彼の手によるものだなんて。

「おれたちは、かたなきゃいけない。だから、しかたなかった。でも……しょういちはころしをしってた。
ゆすられて、たおされて。あいすきゃんでぃをのんで、『さくら』ときもちよくなって。……きがついたら、ぬけだせなく、なってた」

静かに鶴岡が泣いている。彼のやったことは、許されることではない。
ただ、そこには深い後悔もあった。その涙に、あたしの心は傷んだ。

佐倉はコナン君と同じ覚醒者だ。だから、恐らく「前の周」でも同じことがあったんだろう。鶴岡の殺人ぐらい、見なくても分かったんだ。
そしてそれは多分、城にも使われた手口だ。

「倒されたのは、佐倉に?」

※コンマ下
01〜40 そう、だ
41〜95 ちが、う
96〜00 重大情報
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 23:35:23.58 ID:daYE1jODO
ほい
492 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/13(水) 23:57:24.61 ID:i4zKJNfJO
「ちが、う。やむかい、だ」

「『やむかい』?それは、佐倉と唐川と一緒にいたという男?」

鶴岡の顔から血の気が引いた。

「そう、だ。……あいつは、つよい。つよすぎ、る」

鶴岡は弱くはないはずだ。いかに中学生とはいっても、普通の大人なら一蹴できるだろう。それなのにこの慌てようは……何なんだろう?

「……何者なの、その男」

※コンマ下70以上である程度の情報、99か00で?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 23:59:41.19 ID:GdoqTbiDO
はい
494 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 00:32:44.02 ID:osI80z/sO
「わから、ない。ただ、つよい。それだけは、まちがい、ない」

鶴岡が怯えている。……コナン君は、この男のことを、知ってるのだろうか?

彼の様子はかなり辛そうだ。このまま寝させてあげた方がいいのだろうけど。

※コンマ下80以上で追加質問可能
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 00:35:24.80 ID:uWFj4ZX90
496 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 09:07:41.18 ID:JkkYgRy6O
「きに、するな。きくなら、いまの、うちだ。
おれは、もう、いしきが、きえる」

途切れ途切れに鶴岡が言う。これは、彼なりの遺言なのだろうか。
とにかく、まだ訊きたいことはある。

※2票先取

1 佐倉の居場所は知ってる?
2 家族について聞かせて
3 坂元さんについて聞かせて
4 矢向について、他に何か気付いたことはある?
5 自由安価
497 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 09:36:39.55 ID:JkkYgRy6O
なお、再開は昼予定です。
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 09:49:46.63 ID:rKnBXGm+0
499 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 11:27:27.75 ID:JKY9cOfJo
上げておきます。
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 11:31:44.32 ID:G8VidEZQ0
1
501 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 11:40:00.85 ID:JKY9cOfJo
「佐倉の居場所は知ってる?今逃走中なの。群馬のどこかにいるまでは分かってる」

佐倉が簡単に尻尾を掴ませるとは思えない。ただ、鶴岡は佐倉との付き合いが長いと聞いていた。
ひょっとしたらが、あるいはあるんじゃないか。

※コンマ下
01〜50 しらない、ぐんま、なのか
51〜90 いちどだけ、きいたことがある
91〜00 判明
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 11:48:50.00 ID:JjYKP9/DO
はい
503 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 12:09:03.63 ID:JKY9cOfJo
※00につきボーナスあり(襲撃判定2回目消失)

「いちどだけ、いったことが、ある。たぶん、あそこ、だ」

「あそこ?」

小さく鶴岡が頷いた。

「ぐんまの、おく。みなかみの、いちのくらさわ。そこに、べっそうが、ある。
おれが、はじめてやつにあったときに、つれていかれた、ばしょだ」

水上?温泉郷じゃなく、別の所?でも、それは唐川が言っていた条件には合致する。大規模な観光地ではなく、かつ奥まった場所。
一ノ倉沢がどんなところかは知らないけど、多分人を殺しても隠すのには苦労しない場所だろう。

コナン君はこの情報を手にしてるだろうか。いや、多分ない。

「ありがとう。本当に感謝するわ」

急いでスマホを手に取り、コナン君に電話を掛ける。すぐに彼が出てきた。

『どうしましたっ?』

「大丈夫、襲われたわけじゃないから。今、鶴岡が意識を取り戻したわ。それで、佐倉の居場所が多分分かった」

『え……!!?』

電話の向こうがざわついたのが分かった。

「水上の一ノ倉沢。そこに別荘があるって。……これで動けるんじゃないかしら」

まだ問題がないわけじゃない。でも、佐倉を討つ大きなハードルは越えた。
そして、心音が早まる。決戦の刻は、見え始めている。
504 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 12:10:29.59 ID:JKY9cOfJo
※視点選択、2票先取

1 コナン視点
2 アユ視点のまま
3 仁視点
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 12:16:31.20 ID:JjYKP9/DO
やったぁ!

3
506 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 12:16:50.63 ID:JKY9cOfJo
なお、00特典に伴いこの日での鶴岡死亡はありません(本来は30%で死亡予定でした)。
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 12:18:50.14 ID:VyC7d4RH0
3
508 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 17:09:03.24 ID:i9e2LDSOO
【6月28日、16時10分】


「やはりあなたでしたか、毛利警部補」

応接室で俺と向き合うのは兵藤だ。彼がこの事件の担当となったらしい。
隣には、神経質そうな眼鏡の刑事がいる。年齢は俺と同じぐらいか。

「会見は」

「17時からです。世間の注目が凄まじいことになりそうですから、刑事部長中心にやる形ですが」

「……でしょうね」

元ボクシング世界王者による暴力団事務所襲撃、しかも2人が死亡。当の本人には常日頃から黒い噂が絶えず、直前に失踪騒ぎまで起こしている。
メディア、特に週刊誌にとっては絶好のネタだろう。これだけで1ヶ月は食える。

「なので、そんなに時間は取れません。それでも宜しいのなら」

兵藤が先導し、俺たちは奥へと歩を進める。

※コンマ下
01〜05 場所は警察病院霊安室、光輝はアイスキャンディの反動で死亡
06〜35 場所は警察病院、光輝はアイスキャンディの反動で昏睡状態
36〜70 場所は東京拘置所の独房、光輝はアイスキャンディの禁断症状で発狂状態
71〜98 場所は東京拘置所、面会可能
99〜00 上+α
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 17:14:10.52 ID:+3ARMveDO
はい
510 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 17:29:13.14 ID:/vbIMoQCO
最深部の扉の前で兵藤が立ち止まった。東京拘置所の独房だ。

「来れるのはここまでです」

扉越しに怒号が聞こえる。

「……ぶっこ……!!はず……!!あ゛あ゛あ゛………!!!」

やはりか。アイスキャンディ、それも新型を飲んだ後の反動は大きい。高熱による昏睡、ショック死に至る事例は少なくない。
こうやって発狂状態であればまだいい方だ。発狂から元に戻ると、鬱症状になって平常に戻る。アイスキャンディを強く欲するようにはなるが。

「大変だったでしょう」

「全くです。手錠を外そうと暴れまわり、手首は血塗れ。異常な腕力を振り回し、3人ほど警官が怪我を。
麻酔を射ち、拘束衣を着させてもこれです。実に参りましたよ」

「取り調べはできませんね、これでは」

「ええ。……ですので、あなたが頼りです。……お訊きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

「……ええ」

「あなたがあの場にいた理由は分かります。城隆一郎の保護のためです。問題は、その先。
あなたたちと一緒にいたとされる一般人。ただの善意の一般人ではないのでは?」

※2票先取
1 正直に話す
2 誤魔化す
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 17:39:43.89 ID:JjYKP9/DO
1
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 17:42:00.00 ID:yo2teJeo0
1
513 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 20:05:07.44 ID:KGbzXqoYO
兵藤がどういうタイプの警察官なのかは計りかねる。ただ、嘘を言っても看破するだろうというのは、容易に見てとれた。
ここは、ちゃんと話しておくのが無難だろう。

「……彼は、恐らくはバッドエンド・ブレイカーの一員です。こちらに協力し、そのまま去っていきました」

兵藤は……

※コンマ下
01〜60 ならば、犯罪者を見逃したというわけですね?
61〜90 なるほど、小異を捨てて大義を取ったと
91〜00 ……興味深い
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 20:07:40.05 ID:JjYKP9/DO
ほい
515 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 20:19:50.09 ID:KGbzXqoYO
兵藤は険しい顔になった。

「ならば、犯罪者を見逃したというわけですね?」

兵藤は法の遵守を何より優先する刑事である、らしい。経験上、かなりやりにくい相手と言えた。
優秀で謎の追及を好むが、融通は利かない。正論で通すことを望むが、その結果がいつもいいものとは限らないのだ。
現状はまさに、そういう状況と言えた。

俺は溜め息をつく。

「今、俺が優先しているのは佐倉の確保です。そのためには、彼らの力が要る。
鶴岡光輝をあのようにさせたのは、佐倉です。あんなのが複数野放しになっている未来を、あなたは見たいと思いますか?
毒には毒を以て制す。同じく未来の記憶があり、技術もあるであろう彼らを利用した方が、佐倉を何とかできる確率は高まる。違いますか」

※コンマ下
01〜45 それとこれとは話が別です
46〜70 ……それがあなたの考えですか
71〜00 ……なるほど、あなたの考えにも一理はある
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 20:20:18.64 ID:ZVoVvcLH0
517 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 20:27:32.19 ID:KGbzXqoYO
「……それがあなたの考えですか」

兵藤が溜め息をついた。

「あなたにはあなたの信じる正義がある。俺はそれを否定しない。法のもとに犯罪者を裁く。正しい刑事の在り方です。
だが、それを逸脱している存在もいる。佐倉はその一人です。法だけでは裁けない。
……刑事は万能じゃありません。残念ながら」

「そうですか……あなた、前に会った時とは別人のようですねぇ。僕の考えに、かなり近い人間と見受けましたが」

「……色々あるんですよ」

俺は苦笑した。

※コンマ下85以上で追加イベント
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 20:29:28.93 ID:JjYKP9/DO
はい
519 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 20:56:24.44 ID:KGbzXqoYO
「そうですか。とにかく、あなたの行為は看過できるものではない。
僕たちにとって、あくまでバッドエンド・ブレイカーはただの犯罪者です。彼らの逮捕こそ、僕の、そして警視庁の意思であると強調しておきます」

固い表情で兵藤が言い、その場を去ろうとした。

その時、兵藤と一緒にいた刑事が、彼に見えないよう俺をつついた。

「……?」

「……18時半……いや19時に、下のロビーで」

どういうことだ、と言おうとした俺を彼が制した。

「……これ以上は、後で」

兵藤が訝しげに振り向いた。部下の刑事はハハハと誤魔化す。何を伝えようというのか?

【6月28日、19時02分】


1階ロビーで待っていると、眼鏡の刑事がやって来た。辺りをきょろきょろと見渡している。

「左近さんは、いないですね。申し遅れました、神原です」

名刺を見ると、俺と同じ警部補だ。

「兵藤警部にはバレたくないのか」

「石頭ですからね。それに、僕の素性も彼は知らない」

「素性?」

こくん、と彼が頷いた。

「まず、僕とあなたには直接の面識はない。ただ、噂には聞いてました。一度お会いしたかった。
そして、僕とあなたが話すのは、『初めてじゃない』。その節は、メールで」

俺の体温が上がった。……こいつが。

「……ベルモットか?」

「その通りです。人のいないところで、飯でもさくっと食べながらどうです?」
520 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 21:11:08.01 ID:KGbzXqoYO
#

連れてこられたのは、新橋の小さなバーだ。客は俺たちしかいない。

「身体が不自由、とあったが」

「比喩ですよ。左近さんの下にいたら、簡単には独自行動を取れない。
彼が鶴岡光輝の件で忙殺されてる今じゃなきゃ、自由にはなれないんです」

苦笑しながら、神原はギネスを飲む。

「覚醒者なのは分かった。しかし、何故射手矢に情報を」

「義兄、になるはずの男なんですよ。最近姉と付き合い始めたはずですが」

「……なるほどな。貸しを作ってるというわけか」

「……それもあります。まあ、それはここじゃ言わないことにしておきましょう。あなたにはあまり関係がないことですし」

ベルモットが警察、それも警視庁の刑事なら、朝尾の件は知っていて当然だ。そして、俺を知ってても不思議ではない。

「兵藤警部は、こちらに協力するつもりはなさそうだったな。お前は違うのか」

「佐倉、そして本庄。どちらも何とかせねばならない相手です。僕は左近さんほど、法に縛られた考えはしない。陰ながら協力するつもりです」

「……助かる」

※コンマ下40以上でコナンから電話
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 21:13:51.46 ID:+3ARMveDO
はい
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 21:14:29.12 ID:G8VidEZQ0
ほい
523 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/14(木) 21:15:29.79 ID:KGbzXqoYO
※共闘ルート確定

やや早いですが今日はここまで。
524 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/15(金) 15:01:12.76 ID:V+5K243IO
スマホが震えた。非通知……これは。

「もしもし」

『藤原だ』

高い少年の声が聞こえる。……今日の件を受けてのものか。

「鶴岡光輝なら、独房で発狂中だ。取り調べはできてない」

『だろうね。……それより、協力願いたい。佐倉の居場所が判明した』

隣の神原が「何だと」と短く言った。

「どこだ。どうして分かった」

『群馬県水上市の一ノ倉沢。鶴岡和人が意識を取り戻した。彼から聞いた』

一ノ倉沢?聞いたことがない。

「信用が置ける情報なのか?」

『鶴岡和人は瀕死だ。ここで嘘をつく意味がない。場所はあらあらだが見当がついている。
問題は、人手だ。僕らでは足りない。あなたの力が必要だ』

「……佐倉を討ちたい気持ちはある。ただ、俺は刑事だ。理由なしにそっちの話には乗れない」

そう、ここから先は法的根拠が要る。捜査令状か、逮捕状か。佐倉はあくまで客観的には疑わしい人物止まりで、そうした対象にはまだなってない。
そうである以上、俺は藤原たちバッドエンド・ブレイカーのように、自由には動けない。刑事を辞めるつもりなら、話は別だが。

『だろうね。僕も『刑事』だったからそれは分かる。ただ、僕らだけで佐倉は殺せそうもないんだ』

「佐倉を殺すか否かはさておき、賢明な判断だな。向こうには鶴岡の次兄や父親がいる。もちろん、佐倉とあのお付きの男も。
アイスキャンディ、それも新型を服用した相手とやるなら、3倍の人手は欲しい。お前らは少人数だ、違うか」

『……白兵戦で計算できるのは、僕含め3人だけだ。突っ込むのは、現状じゃ自殺行為だ』

「……つまり、佐倉を捜査する正当な理由を探せと」

『話が早い。それが整い次第、一ノ倉沢に行く』

佐倉を捜査する理由、か。薬物取締法が真っ先に思い浮かぶ。しかし、隠されてしまえばそれまでだ。しかも、尿検査でアイスキャンディは検出されにくい。
荒川のホームレスの殺人?しかし、手掛かりが少なすぎる。そうなると……

※コンマ下30以上で条件提示
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/15(金) 15:01:56.27 ID:4I/uM3140
ほい
526 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/15(金) 19:52:58.27 ID:ZBiazPlbO
※現時点で強襲は不可

そうなると、向こうから尻尾を出してくれるのを待つしかないか。
坂元組の襲撃が佐倉の指示によるものと光輝がゲロるか、あるいは大和が何かして佐倉の存在が明確になるか……その辺りが濃厚だろう。
城らに対する未成年者略取容疑もあり得るが……被疑者が未成年では立件できない。

勿論、アイスキャンディ関連の捜査が進展すれば話は早いのだが。すぐに解決とは、行かないかもしれない。

「……了解した。こちらも色々探ってみる」

※コンマ下35以上で追加イベント
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/15(金) 19:55:35.94 ID:PocZQOHDO
はい
528 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 06:25:48.53 ID:RJOWBs2sO
「ちょっと代わって下さい」

神原が俺を突ついた。

「知り合いか?」

「というか、昔の部下ですよ。バッドエンド・ブレイカーには、勧誘を受けたこともある」

スマホを渡す。ギネスをもう一口飲んでから、神原が話し始めた。

「奇遇だね、藤原君」

『……!!神原『刑事部長』……何故あなたが、毛利刑事と』

「成り行きだよ。こんな形で繋がるとは、思ってなかった。すまないね、君らに協力したいのは山々だが」

『兵藤左近、ですね。分かってます。……彼がもう少し融通の利く人間なら』

「それは言いっこなしだ。あの人はあの人で、優秀なのは間違いないんだ。
あの時やらかして退職してなければ、本庄の件も何とかなったかもしれない。
とりあえず今は、少々時間が作れる。左近さんが、鶴岡光輝の事件で手一杯だから、側面支援程度はできるはずだ」

『助かります』

微笑を浮かべながら神原が頷いた。妙に貫禄がある。

「差し当たっては鶴岡光輝の取り調べだな。情報はそちらにも送る。奴が取り調べできる状況になるのがいつかは知らないが。
それと、左近さんは僕が押さえておく。彼がこのことを知ったら、君らを逮捕し佐倉を守ろうとしかねないから」

『面倒ですね。お任せしていいですか』

「もちろん。毛利刑事とは提携していくよ。まあ、平日は簡単に動けないから、休日に一度君らとも会っておきたいが」

『……土曜に横浜に行くんですが、そこでどうです。毛利刑事も来るでしょうし、城隆一郎もいます』

神原がえっと声をあげた。兵藤にはそこまでは確か伝えていない。

「城隆一郎?あれは君らのターゲットじゃ」

『彼は今、こちらの協力者です。その経緯は毛利刑事から聞いてください。
差し当たっては、彼にも言いましたが佐倉を追える法的な理由を作ることですね』

「そうなるな。まあ、また追って連絡する」

電話を切ると、神原はふうと息をついた。

「『刑事部長』か。確かに20年後ならそのぐらいの年齢だな。しかし、兵藤とは折り合いが悪いのか」

「いえ、そういうわけでは。ただ、犯罪者には『平等に』厳しいんですよ。
あなたがアイスキャンディの件をバッドエンド・ブレイカーより優先するのは許しても、目の前にいる犯罪者を見過ごすという選択までは許さない」

なるほど、そういうことなら東京拘置所での対応は説明がつく。
バッドエンド・ブレイカーが佐倉を殺そうとするなら、それを止めようともするだろう。無論、佐倉の逮捕は前提としてだが。

「ややこしい男だな」

「そこが魅力でもあるんですけどね。……本庄の件は?」

「解決したよ。今、あいつは祖国だったな……」

ゾクッと悪寒が駆け抜けた。本庄はいつ戻ってくる?

※コンマ下
01〜15 不明(帰国済み可能性あり)
16〜25 1週間後
26〜50 2週間後
51〜00 1ヵ月以上は帰ってこない
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/02/16(土) 07:26:14.68 ID:i3TpfhS80
はい
530 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 08:06:08.38 ID:RJOWBs2sO
本庄のブログに戻るのは8月以降とあったのを思い出した。すぐに合流ということはないのに気付き、俺は安堵した。
最悪なのが、N国の工作員まで佐倉に合流することだ。そうなると手の打ちようがなくなる。
逆に言えば、8月になるまでに佐倉を何とかしないといけないのだが。

「どうしました?」

「いや、何でもない。本庄は俺に任せてくれ」

「あなたに、ですか?」

「ああ。いい手段がある」

#

※1100まで神原に話す話題を募集します。何もなければジョーパートへ視点転換です。
※何もなくても話は進みます。
531 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 11:35:58.02 ID:RJOWBs2sO
【6月28日、23時24分】


「……ふう」

僕はシャーペンを机に置いた。期末テストはもうすぐだ。
勉強は遅れに遅れていた。あまりに色々なことがあり過ぎたし、やる気自体も失われていた。
寿命が残り1年と知らされて、未来のために勉強しようと思う人間がいたら見てみたい。

だが、今の僕にはわずかな希望が生まれていた。ヤクとどれだけ生きられるかは分からない。
でも、そのためには最低限やるべきことはしなければ。勉強も、その一つだ。

スマホには、毛利刑事からのメッセージがあった。翔一の居場所が分かったのだという。
土曜のヤクの記録会の時に、彼とは会うことになりそうだ。……あの湖南も来るのだろうか。

試験範囲は数学はカバーできた。あとは、社会と理科。時計を見ると、30分強で日付が変わろうとしている。

……あの女が、あと少しで帰ってくる。

その時、スマホが鳴った。

※コンマ下
01〜15 仁から
11〜30 赤木から(再判定)
31〜90 赤木から(判定なし)
91〜00 寿美子から
532 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 11:46:43.73 ID:RJOWBs2sO
※コンマ範囲を修正します。

※コンマ下
01〜15 仁から
16〜30 赤木から(再判定)
31〜90 赤木から(判定なし)
91〜00 寿美子から
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 12:50:04.85 ID:rSvPdTiQ0
534 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 15:17:39.42 ID:mcBGR1tVO
『赤木だ、夜遅くすまんな。寝てたか』

「いえ、勉強をしていたところです。どうしました」

『いや、単にお前さんの母親がこれからそちらに行くというだけの話だ。着替えやらはお前が持ってるのか』

「ええ、一応」

『そうか、なら30分強で着くだろ。概略はまだ話してないが、今日の襲撃がお前と英華ちゃん狙いと聞いたら一応ホテル行きに同意した。
あとは、お前さんの家族の問題だ。民事不介入っていうしな』

あの女と正面から話すのは、いつぶりだろうか。何を、どの程度話すべきなんだろう。

「……分かりました。夜遅くまでお疲れ様です」

『おう』

電話が切れ、僕は天井を見た。勉強に戻ろうかと思ったけど、気力は失せてしまっていた。

※コンマ下70以上で追加イベント
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 15:19:27.20 ID:lbyDW5aV0
536 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 15:30:00.97 ID:mcBGR1tVO
【6月29日、0時03分】


カシャッと部屋の入口から音が聞こえた。鍵を開ける音だ。
そして、幽鬼のような長い髪の女が入ってくる。何を言うべきか、僕は言葉を探した。ごめんなさい、なのか。おかえりなさい、なのか。どちらもしっくり来ない気がした。

※コンマ下
01〜30 ガシッ
31〜50 ……何やったのよ、あんた
51〜75 無視
76〜95 お父さんが生きてたら、何と言ったかしらね
96〜00 ……ごめんなさいね
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 15:31:48.62 ID:qNhFHG68O
はい
538 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 15:49:38.48 ID:mcBGR1tVO
母親は、まるで僕がいないかのように、無言でバッグを漁り始めた。

「……無視かよ」

返ってくる言葉はない。胸の底から、熱いものがこみ上がってくる。この女には、親子の情はないのか。

「何か言ったらどうなんだよ」

「……あんたが私の仕事の支障にならなきゃ、それでいい。それ以上でもそれ以下でもない」

※コンマ下40以下でキレる
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 15:54:50.46 ID:kQpQovgDO
はい
540 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 16:06:43.28 ID:mcBGR1tVO
僕は沸き上がる怒りを、ぎゅっと押さえ込んだ。こんな女、親とは思わない。思う自分が阿呆なのだ。
ここで殴り付けても、この女の自分一人だけ生きていければいいという発想は、何一つ変わらないだろう。


それならそれでいい。むしろ、好都合だ。


赤木刑事は、アイスキャンディのことや僕が犯した殺人については言わないでいてくれたようだった。
僕は心底感謝した。知っていれば、この女はこんな対応を取らなかっただろうから。
詰まるところ、いつも通りでいい。それならそれで、望むところだ。

それでも問題は2つある。まず、この女とごく短時間でも1日のうち同じ空間で同じ空気を吸わねばならないこと。
そして、この女がいると……ヤクとの時間が取りにくいことだ。

いつの間にか、彼女はバスルームに消えていた。赤木刑事か誰かに、部屋を3部屋に増やすよう頼んでみようか。僕はそう考えていた。
541 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 16:10:40.65 ID:mcBGR1tVO
※視点転換です。

1 ジョー視点(R15表現あり?大和登場判定が主)
2 コナン(アユ)視点(鶴岡死亡判定が主)
3 仁視点(捜査パートが主)

※3票先取
※2130以降の更新です
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 16:20:37.42 ID:l3wTc1rE0
1
543 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 17:43:41.04 ID:GnLJRgjTO
上げます。
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 17:56:39.71 ID:kQpQovgDO
1
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 18:46:26.00 ID:YgaVzEDDO
1
546 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 22:06:58.07 ID:GnLJRgjTO
【6月29日、7時04分】


「そうか、寿美子さん、そんな感じだったか」

豊かな髭を軽く撫でて、ヤクのお父さんが溜め息をついた。
ヤクがバイキングから戻ってきた。トレイにはソーセージやベーコンがどっさり盛られている。

「……随分と食べるんだね」

「明日記録会だからね。ある程度食べてエネルギーを蓄えておかないと。
最近トレーニング不足だったから、正直不安なんだ」

ヤクのお父さんがふふっと笑う。

「まあ、今回は記録は構わんよ。英華が無事なのが一番だ。
……子に抱く親の想いまで失ってしまったか、壊れてしまったのかな」

「父が死んで、仕事だけが自分の存在意義になってしまったんでしょう。
……所詮宮仕えなのに」

「隆一郎君も大変だね。ただ、お母さんの仕事は社会で大きな意味を持っている。
あまり悪く言うものではないよ」

「そうでしょうか……。おじさんみたいに、美味しいもの作る仕事の方が、よほど意味がある気がしますが」

「飲食業も大変だよ?安定しないし、競争は激しい。
シェフと経営者としての二足のわらじを履かなきゃいけないしね」

ヤクのご両親はフィリピン料理店の経営をしている。
夜はパブになるタイプのお店らしいが、料理の質の高さからネットでも非常に高い評価を得ている、らしい。
僕はお昼の時しか行ったことがないのだけど。

「二人とも真面目な話してるネ。色々あるのは分かるケド、気楽に行こうヨ」

ヤクのお母さんが牛乳を飲みながら笑った。
うちの母親にも、この10分の1の明るさがあれば違ったのだろうか。

#

通学路が違うと混み具合も違う。埼京線で池袋まで出て、そこから地下鉄の副都心線へ。
東横線との直通で学園大学駅というルートだ。始発から乗れるこれまでとは、通学の苦痛が3倍ぐらい多い。

「ジョー、これちょっときついね」

「……だね。来週初めぐらいまでの我慢、かな」

埼京線の混雑率が高いのは知ってたけど、こんなに酷いとは思わなかった。
身動きがほとんど取れない。……ただ、和人のお兄さんがこの中から僕らを見つけるのは、至難の業だろう。

※03未満で???
547 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 22:08:17.53 ID:GnLJRgjTO
【6月29日、7時04分】


「そうか、寿美子さん、そんな感じだったか」

豊かな髭を軽く撫でて、ヤクのお父さんが溜め息をついた。
ヤクがバイキングから戻ってきた。トレイにはソーセージやベーコンがどっさり盛られている。

「……随分と食べるんだね」

「明日記録会だからね。ある程度食べてエネルギーを蓄えておかないと。
最近トレーニング不足だったから、正直不安なんだ」

ヤクのお父さんがふふっと笑う。

「まあ、今回は記録は構わんよ。英華が無事なのが一番だ。
……子に抱く親の想いまで失ってしまったか、壊れてしまったのかな」

「父が死んで、仕事だけが自分の存在意義になってしまったんでしょう。
……所詮宮仕えなのに」

「隆一郎君も大変だね。ただ、お母さんの仕事は社会で大きな意味を持っている。
あまり悪く言うものではないよ」

「そうでしょうか……。おじさんみたいに、美味しいもの作る仕事の方が、よほど意味がある気がしますが」

「飲食業も大変だよ?安定しないし、競争は激しい。
シェフと経営者としての二足のわらじを履かなきゃいけないしね」

ヤクのご両親はフィリピン料理店の経営をしている。
夜はパブになるタイプのお店らしいが、料理の質の高さからネットでも非常に高い評価を得ている、らしい。
僕はお昼の時しか行ったことがないのだけど。

「二人とも真面目な話してるネ。色々あるのは分かるケド、気楽に行こうヨ」

ヤクのお母さんが牛乳を飲みながら笑った。
うちの母親にも、この10分の1の明るさがあれば違ったのだろうか。

#

通学路が違うと混み具合も違う。埼京線で池袋まで出て、そこから地下鉄の副都心線へ。
東横線との直通で学園大学駅というルートだ。始発から乗れるこれまでとは、通学の苦痛が3倍ぐらい多い。

「ジョー、これちょっときついね」

「……だね。来週初めぐらいまでの我慢、かな」

埼京線の混雑率が高いのは知ってたけど、こんなに酷いとは思わなかった。
身動きがほとんど取れない。……ただ、和人のお兄さんがこの中から僕らを見つけるのは、至難の業だろう。

※03未満で???
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 22:10:15.03 ID:YgaVzEDDO
はい
549 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 22:12:43.47 ID:GnLJRgjTO
多重投稿失礼しました。
550 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 22:23:01.94 ID:GnLJRgjTO
【6月29日、15時13分】


その日の授業は何事もなく終わった。ヤクは明日の記録会のために、今日はこっちで少し練習するという。
僕は帰宅部なので、それまで図書館で勉強だ。

今の所、認知症の再発は起きてない。
ただ、鷹山先生の口ぶりからすれば、何日かに一回はヤクとセックスしないといけないらしい。
……ここ数日は、色々なことがあり過ぎた。するとしたら、今日だろうけど。

アイスキャンディの副作用を抑えるには、ヤクの体質が重要だという。
それは毛利刑事も湖南も、似たようなことを言っていた。

しかし、僕の都合で彼女を振り回していいのだろうか。
明日、彼女は記録会だ。僕が彼女を抱いたら、彼女の競技の差し障りになる。
僕は深い溜め息をついて、社会の参考書を読んだ。……あまり頭に入ってこない。

※15以下でメッセージが届く
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 22:23:42.91 ID:dz/m586R0
552 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 22:35:07.19 ID:GnLJRgjTO
【6月29日、17時40分】


「ごめん、待った?」

「いや、大したことはないよ」

ヤクが小さく手を振り、小走りでやってきた。落ち着かなさそうに、きょろきょろと正門近辺を見ている。

「鶴岡のお兄さんは」

「警察からは特に連絡がなかったよ。少なくとも、学校近辺にはいないみたい」

「……そっか。早くホテルに戻らなきゃね」

「……そうだね」

待ち伏せをしているとしたら、多分家の方だろう。人通りが少なくなる夜に襲うというのが、一番無難な選択だ。

※コンマ下60以上でホテルの部屋が3部屋になっている
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 22:36:19.66 ID:YgaVzEDDO
ほい
554 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 22:44:58.08 ID:GnLJRgjTO
とりあえず、毛利刑事には昨晩の話はした。
メッセージでは言葉少なに「そうか。ならば部屋を増やすよう手配する」とだけあった。
実際に会っても重々しく話す人だけど、メッセージだとなおさら寡黙な感じだ。彼らしいといえば彼らしい。

部屋が増えたことで、とりあえずあの女とは顔を合わせなくて済む。
それに……あまりこういうことを考えるものではないけど……ヤクと一緒に過ごす空間は確保できた。
不要な外出は、なるべく控えた方がいい。

「ねえ、ヤク」

「……どうしたの?」

「いや、その……ホテルの部屋が1つ増えたんだけど、僕の部屋で過ごさないか?」

※コンマ下
01〜10 ごめん、今日はちょっと
11〜30 えっ……
31〜50 うん、いいよ
51〜00 ああ……そ、そうだね
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 22:45:28.43 ID:U9DPTNAGo
はい
556 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 23:06:15.38 ID:GnLJRgjTO
「うん、いいよ」

ヤクは快諾した。……何となくだけど、僕の意図は理解してない気がする。
僕は罪悪感を感じた。ちゃんと分かった上でするならいいけど、僕の気持ちだけで振り回していいんだろうか。

【6月29日、20時14分】


「期末テスト、準備できてる?」

「うん、正直遅れ気味だけど」

「でもジョーは全国トップレベルじゃない。大丈夫だよ」

ヤクがハハハと笑った。僕は苦笑する。

「……今回ばかりはどうかなあ」

参考書に向かい合うけど、相変わらず頭に入ってこない。……嫌な予感がして、背中に冷や汗が流れた。
単にヤクが目の前にいて、緊張しているからならいい。しかし、これが認知症の症状なら?

※コンマ下(英華の反応)
01〜50 そのまま
51〜00 察する

※コンマ下2(警察からの連絡)
01〜35 大和を発見(再判定)
36〜95 大和の動きはなし
96〜00 大和を発見、逮捕済み

557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 23:07:35.26 ID:kQpQovgDO
はい
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 23:07:39.09 ID:dz/m586R0
559 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 23:16:15.16 ID:GnLJRgjTO
※英華はそのまま

※大和の状況を判定、コンマ下
01〜20 警察官を殺害して逃走
20〜60 警察官を負傷させて逃走
61〜90 警察官を負傷させて籠城中(逃走可能性はまだあり)
91〜99 逮捕済み
00   ?????(状況を選べます)
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 23:18:20.45 ID:kQpQovgDO
はい
561 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 23:23:29.31 ID:GnLJRgjTO
その時、メッセージが入った。毛利刑事からだ。

#

鶴岡大和を君の自宅近辺で発見、職質をかけた警官が負傷、そのまま逃走。
現在公務執行妨害と傷害の容疑で追っている。念のため、君も注意されたし。

#

血の気が一気に引いた。やはり、僕を追っていたんだ。

「どうしたの?」

僕は黙ってスマホを見せた。彼女の顔が青ざめる。

「……そんな」

「捕まればいいんだけど……」

もはや勉強やセックスどころではなくなった。……僕にできるのは、ただ待つことだけだ。
562 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/16(土) 23:25:39.39 ID:GnLJRgjTO
※ジョー視点は一時中断、仁視点へ切り替えます。

今日はここまで。
563 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 09:41:16.14 ID:mJII+5TuO
【6月29日、11時21分】


青葉がいなくなり、日々の雑務は増えた。補充人員も当面は来ないという。
佐倉の件に注力したいが、できる状況ではない。鶴岡光輝については、警視庁案件だ。なかなかままならないものだ。

俺は手元のマグカップに入っている、冷めたコーヒーを飲んだ。

明日には、薬師丸英華の記録会が横浜である。そこには藤原湖南も来る公算が大きい。無論、城隆一郎もだ。
そこである程度の方向性が見えてくるのだろうか。

だがその前に、何とかしないといけないことがある。
鶴岡大和。奴を確保して、佐倉への道筋をつけねばならない。

「冴えねえ顔だな、仁」

「赤さんこそ。寝不足みたいですね」

頭をポリポリ掻きながら、赤木警部が欠伸をした。

「城の母親を迎えに行ってたからな。家に帰ったのは1時だぜ?今日は早く上がってとっとと寝るわ」

※コンマ下70以上で神原から連絡あり
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 09:45:27.04 ID:Y9JHuh/F0
ほい
565 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 09:59:33.07 ID:mJII+5TuO
「そうですか。あまり無理しない方がいいですよ」

「おう、そうさせてもらうわ。明日は仕事兼家族サービスか……なかなか気が休まらんなあ」

俺は苦笑した。そういえば、美和ともなかなか会えてないな。明日が終わったら、少し時間を作るか。
……それと、亜衣だ。一度ちゃんと話しておく必要がある。俺のアイデアに、同意してくれればいいが。

#

※大和の襲撃時に仁はどこにいるか、コンマ下

01〜10 城の自宅付近、仁も負傷
11〜30 都内、東京拘置所付近
31〜50 県警本部
51〜95 城の自宅付近
96〜00 上+α
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 10:06:28.25 ID:rLa63RkDO
はい
567 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 10:18:19.40 ID:mJII+5TuO
【6月29日、19時10分】


雑務を一通り終わらせ、俺は車で小菅へと向かう。目的地は東京拘置所だ。
取り調べは警視庁の専権事項だが、面会依頼程度なら通る。……面会可能な精神状態ならば、だが。

神原からの連絡は特にない。だが、ダメ元で行く意味はある。
正気に戻っているのなら、鶴岡光輝との面会は突破口になり得るからだ。

受付で面会の可否を訊く。

※コンマ下70以上で面会可能
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 10:23:21.14 ID:Y9JHuh/F0
ほい
569 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 10:33:42.30 ID:mJII+5TuO
「鶴岡光輝ですか……独房で面会不可ですが」

俺は嘆息した。無駄足だったか。

その時、スマホが鳴った。白島だ。
奴は城の家近辺にいる。制服警官と4人でカバーしているはずだが……胸騒ぎがした。

「どうした?」

『仁さん、緊急事態ですっ!さっき鶴岡大和がこちらに現れ、任意同行を求めたところ……警官を殴打して逃走!!
一応息はありますが、至急応援願いますっ!!』

しまった!ここから新座までは40分は最速でもかかる!!
焦りで背中が震えた。口の中が急速に乾いていく。

「すまん、今東京拘置所だっ、現場指揮は当面お前に任せる!
大和はどうやって逃げた??」

※コンマ下
01〜30 自動車(運転手付き)
31〜50 自動車(自分で運転)
51〜80 徒歩
81〜00 徒歩(負傷)
570 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 11:15:15.94 ID:mJII+5TuO
上げます。
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 11:48:22.51 ID:+rmDkepAO
572 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 13:14:01.19 ID:mJII+5TuO
『鶴岡大和は徒歩で逃走!応援を要請してますが』

「相手は猛獣と思え、深追いはするなっ。刺激せず、極力沈静化してから投降させろ。俺が着くまでに確保してほしいが、周辺被害を起こさないことが第一だ」

『了解ですっ!』

俺は急いで駐車場に向けて走り出した。厄介なのは、電車に乗られてしまうパターン。人混みの中に紛れられたら捕まらない。

城にも急ぎでメールを打つ。彼の所に行く可能性は薄いだろう。ただ、警告だけはしておく必要がある。

キーを回すと、俺はアクセルを踏み込んだ。ここは白島に任せるより他はない。

#

※到着後の状況
01〜10 複数人を殺害し逃走、足取り掴めず(救済再判定あり)
11〜20 警官1人重体、和光市駅方面に消える
21〜40 民間住宅に立て籠り中
41〜70 公園にいる、包囲中だが……
71〜90 公園にいる、包囲中
91〜95 射殺済み
96〜00 逮捕済み
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 13:22:38.93 ID:NP8ucyaK0
えい
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 13:23:53.75 ID:DYiDUmJg0
はい
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 13:24:52.37 ID:Zu9cY76DO
射殺かぁ……
576 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 13:26:59.73 ID:mJII+5TuO
※567を【20時03分】に訂正します。申し訳ありません。
577 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 13:50:56.75 ID:mJII+5TuO
【6月29日、20時53分】


城の家の近くには、パトカー10数台が止まっていた。野次馬が集まり、騒然とした空気だ。
俺は急いで警戒線の内側に入る。木暮管理官と白島の姿があった。

「毛利君、遅かったな」

木暮管理官の表情が暗い。

「……まさか、犠牲者が」

「いや、幸い民間人にも警察にも。唯一の犠牲者は、あそこだ」

彼の視線の向こうに、ブルーシートがある。公園の一角のようだ。
その中に入ると……

「……これは」

胸部を鮮血で染めた、鶴岡大和がいた。

「不可抗力だった、と聞いている。ここに包囲した際、警官の一人に飛び掛かったらしい。
殺されると直感した彼は、思わずニューナンブの引き金を引いた。即死だ」

俺は合掌した。安堵の思いと、落胆の思いが去来する。

「被害が拡大しなかったのは良かったですが……真相究明は遠くなりましたね」

「そうだな。間違いなく、この前の兄の件と結びつけられて語られるだろう。相当世間が騒ぎそうだな。
……鑑識はこれからだ。何か分かればいいが」

大和を切欠に佐倉に辿り着くのは、難しくなりそうだ。
何を思って、彼はここに来たのだろう。訊いてみたかったが、もうそれは叶わない。

※コンマ下
01〜50 鑑識では何もなし
51〜85 アイスキャンディの新型発見
86〜95 スマホ発見
96〜00 上+α
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 13:54:53.36 ID:rLa63RkDO
はい
579 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 19:57:51.27 ID:mJII+5TuO
【6月29日、22時30分】


「……これより、本日20時46分にありました埼玉県新座市における朝霞署署員に対する暴行、並びに被疑者射殺についいての会見を行います」

深沢刑事部長の不機嫌そうな声が、会見場に響く。警官による容疑者殺害は、マスコミが警察叩きをするのに絶好の材料だ。不機嫌にもなる。
しかも、鑑識ではあまり収穫らしい収穫はなかった。聞き込みを通してその時の状況を探るしかない、か。

「……ったく、家に帰ったと思ったらまたすぐにとんぼ返りか。嫁がブチキレて仕方ねえよ」

会見場の後方で、赤木警部が小声で愚痴った。

「これでは明日は動けませんね。聞き込みと捜査で手一杯になりそうですが」

「だなあ。英華ちゃんの記録会、どうするよ」

記録会は14時からだ。鶴岡兄弟の片方は逮捕され、片方は今日死んだ。
だが、佐倉がここで勝負をかけて来ないとは限らない。

※2票先取
1 行くのを諦める
2 神奈川県警に任せる
3 赤木警部が行く
4 自分が行く
5 木暮管理官を説得し何とか2人で行く

※1と2は無条件ですが、3〜5は判定が要ります
※可能性は3>4>5です。(4で55%)
580 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 20:10:23.08 ID:mJII+5TuO
2130からの再開予定です。
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 20:38:43.44 ID:Zu9cY76DO
5
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 21:09:22.99 ID:rLa63RkDO
5
583 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 21:35:05.99 ID:mJII+5TuO
「やはり俺たち2人で行きましょう。ちゃんと説明すれば、木暮管理官なら分かってくれるはずです」

赤木警部が顔をしかめた。

「平時ならな。だが、さすがに鶴岡兄弟の件は、世間の注目が高い。
この件にがっつり関わってしまってる俺らが陣頭指揮取らないというのは、さすがに認められねえ気がするが」

会見場では記者からの厳しい質問が飛んでいる。普通、素手で襲う相手に銃で応戦はしない。
新型アイスキャンディの危険性を知らないなら、誰でも過剰防衛だと思うだろう。

しかし、それはまだ公にはなってない。公にはしようがない。
最初に襲われた警官が肩甲骨の粉砕骨折という重傷であると説明しても、非難は止まらなかった。

射手矢が俺の方を振り返り苦笑する。こいつは、神原経由である程度話を聞いているのだろう。
さぞかし奴は記事を書くのに苦労しそうだな。俺はそう思った。

【6月30日、0時14分】


「木暮管理官、お話が」

2時間近く続いた会見が終わった。さすがの彼も、疲労の色を隠せない。

「どうした、手短に頼む」

「ええ。俺と赤さんを、明日の捜査から外してもらえないかと。
城隆一郎の保護のためです。今日の鶴岡大和も、間違いなく彼を狙っていた。
そして、彼に対する危険はまだ消えてはいない。極力手厚いカバーが必要です」

「佐倉という子か。しかし、そこまでするだろうか」

「否定できない以上はそうすべきです。お願いできませんか」

※コンマ下
01〜50 ダメだ、明日は聞き込みに専念してもらう
51〜70 赤木君は残ってくれ。毛利君一人だけならいいが、最低限の仕事はしてもらう(16時から合流可)
70〜00 いいだろう。君たちに任せる
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 21:36:56.21 ID:Zu9cY76DO
来い
585 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 21:42:46.10 ID:mJII+5TuO
「ダメだ、明日は聞き込みに専念してもらう。さすがに君ら二人が抜けては、まともな捜査にならないからな」

木暮管理官は静かに言った。正論だ。

「……分かりました。それでは、また」

去っていく彼の後姿を見ながら、俺は苦いものを感じていた。
こちらはこちらの仕事をするより他ない。
586 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:04:13.24 ID:mJII+5TuO
※ジョー視点に少しだけ移ります。

【6月29日、21時32分】


二人とも何も手に付かない時間は、一本のメッセージで一応の終わりを告げた。

#

鶴岡大和は射殺。そのうちニュースにも出るだろうが、念のため。
警戒態勢はまだしばらく続ける。明日そちらに行けるかは不明だ。その旨承知されたい。

#

「射殺」。その文字を見た時に、僕は固まった。安堵したらいいのか、悲しんだらいいのか、よく分からなかったからだ。
僕らへの危険は、多分大きく減った。しかし、人の死を素直に喜べるほど、僕は割り切れてはいない。

「……ジョー、これ……」

「……和人の耳に入らなければいいけど」

和人とは少しだけ顔を合わせただけだけど、相当厳しい容態なのは僕でも分かった。
多分、意識が明確かどうかは怪しい。湖南は「あと数日」と言っていたけど。
もし、このニュースを知ったら、絶望で生きる気力を失うだろう。
そうでないことを祈ったけど、それは同時に、彼の意識がもう明瞭でないことを示している。

「明日、どうしようか」

「危険は大分去ったし、予定通りでいいんじゃないか。毛利刑事が来れないかもしれないけど」

多分、明日は湖南も横浜に来るのだろう。彼とは正直そりが合う気がしないが、仕方ない。

※コンマ下85以上で??
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:09:06.48 ID:lubqkd4N0
588 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:12:22.29 ID:mJII+5TuO
※通常ルート

「……じゃあ、勉強に戻ろうか」

「……うん」

言葉少なに、僕とヤクは参考書に向き合った。……やはり、不安が頭をよぎる。
明日が無事に過ぎてくれるように、ただ祈るしかない。

※40以上で視点変更の選択へ
589 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:13:09.56 ID:mJII+5TuO
※通常ルート

「……じゃあ、勉強に戻ろうか」

「……うん」

言葉少なに、僕とヤクは参考書に向き合った。……やはり、不安が頭をよぎる。
明日が無事に過ぎてくれるように、ただ祈るしかない。

※40以上で視点変更の選択へ
590 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:13:50.43 ID:mJII+5TuO
※多重投稿失礼しました。コンマ下です。
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:14:40.56 ID:lubqkd4N0
はい
592 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:17:01.02 ID:mJII+5TuO
※多重投稿失礼しました。コンマ下です。
593 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:20:00.16 ID:mJII+5TuO
※城の認知症再発はなし(再発の場合生存EDが消えてました)

※視点選択を行います。3票先取

1 ジョー視点(記録会中心)
2 コナン視点(鶴岡和人の話→記録会)
3 仁視点(大和の事件の聞き込み、及び光輝の正気判定など)
594 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/17(日) 22:33:21.17 ID:mJII+5TuO
PCから打つと多重投稿になりがちですね。気を付けます。

質問などあればどうぞ。
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:35:30.31 ID:8rY3H1Bu0
2
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:57:47.21 ID:Zu9cY76DO
2
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 23:01:25.17 ID:rLa63RkDO
2
598 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 09:36:24.82 ID:Dm3pAH/bO
【6月29日、9時11分】


「おはようございます。鶴岡は」

コナン君が少し遅めに起きてきた。昨日帰ってきたのは日付が変わってからだ。まだ眠たそうだ。

「昨日あの後すぐ寝ちゃった。今は一応、脈拍は安定してる。ただ、やっぱりどこかに移した方がいいんじゃない?
ここじゃ血圧とか血中酸素濃度とかのバイタル取れないし……」

「……そうですね。ただ、彼をどう説明するべきか……」

あたしは一人、心当たりを見つけた。彼女なら多分、理由を説明すれば分かってくれるだろう。その道のプロでもある。
ただ、納得してくれるかどうかという問題と、万一の際の安全性という問題は残る。

※コンマ下15以上で通常ルート
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 09:49:51.14 ID:ZLvzUEQDO
はい
600 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 09:58:59.35 ID:Dm3pAH/bO
※城が鷹山医師と接触している事実は知らない

何より、アイスキャンディの存在をどう言うべきなのか。犯罪に関わっていると知ったら、警察に届け出るように言うはずだ。
それは話がややこしくなる。毛利刑事はともかく、他の警察がそこまで理解してくれるとは思わなかった。

「……どうしました?」

「ううん、何でもない」

あたしは自分の思い付きを言うのをやめた。先生に迷惑をかけるわけにはいかない。

部屋は蒸し始めていた。梅雨は早くも終わり、早すぎる夏が来ようとしている。

※コンマ下、鶴岡の容態判定1回目
01〜40 急変
41〜90 そのまま
91〜00 意識を取り戻す(00以外は良いこととは限りません)
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 10:02:04.87 ID:H9QGfy8DO
はい
602 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 12:08:42.68 ID:Dm3pAH/bO
【6月29日、17時10分】


鶴岡の容態は安定している。しかし、良くなっている、とも言えない。
コナン君は「自然回復はあり得ない」と言っていた。このまま緩やかに死んでいくだけなのだろうか。

「そう言えば、明日は英華さんの記録会だよね。そっちはコナン君だけで?」

「そうなりますね。気の滅入る作業で申し訳ないのですが」

「……それはしょうがないよ」

あたしは苦笑した。でも、確かにストレスはある。ろくに外出もできない。高齢者介護の大変さが分かる気がする。

「父さんの血液製剤ができるのは、最速でも明後日ですか……」

コナン君が鶴岡のいる部屋を見やった。彼にも複雑な想いはあるだろう。

「そう言えば、神原さん、だっけ。警視庁にいる、コナン君の『元上司』。彼から何か新しい話はあった?」

※コンマ下90以上で手掛かりあり(まだ未判明、30日に詳細)
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 12:12:49.66 ID:H9QGfy8DO
はい
604 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 12:33:52.02 ID:Dm3pAH/bO
「いえ、特には。まだ光輝は独房のようですしね。落ち着くのは、明日か明後日でしょう」

「……そっか」

鶴岡のもう一人のお兄さんも、行方は知れない。お兄さんの殺人と逮捕を、鶴岡はどう思うだろうか。
……多分、知ったら絶望するだろう。だから、あたしは伝えなかった。だけどそれが正しいかは、正直に言って自信がない。

「とりあえず、今は待つしかないですね。夕飯、今日は僕が作りますよ。何か食べたいのあります?」

「……さっぱりしたものかな」

食欲は正直に言ってあまりなかった。ストレスのせいなのか、それともこの暑さのせいなのか。
救いは、コナン君が作る料理は、相変わらず美味しいということぐらいだった。

※コンマ下、鶴岡の容態判定2回目

01〜10 意識を取り戻す
11〜45 急変
46〜97 そのまま
98〜00 意識を取り戻す
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 12:38:06.50 ID:5vlB73+L0
はい
606 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 20:28:19.61 ID:jmGJKl6xO
【6月29日、22時21分】


「ここで臨時ニュースが飛び込んできました。ボクシングの鶴岡3兄弟の次男、鶴岡大和WBOスーパーバンタム級元王者が、先程警察により射殺されました。
警官に暴行を加えたところを射殺されたとの情報がありますが、詳細は不明です。
先日の鶴岡光輝容疑者の暴力団事務所襲撃との関係は不明です。後程埼玉県警本部で記者会見があります。中継繋がってますか……?」

何の気とはなしに流していたニュース番組から聞こえたその情報に、あたしの血の気は引いた。

射殺?鶴岡の兄が??

寝床に入ろうと歯を磨いていたコナン君が、歯ブラシを床に落とした。

「……馬鹿な」

「これ、バッドエンド・ブレイカーの誰かがやったことじゃないよね?」

「ええ……。多分本物の、事故です」

コナン君は黙りこんだ。あたしは鶴岡の様子を慌てて見に行く。……眠っているようだ。

「鶴岡は起きてないわ」

「そうですか……知ってたら、発狂死しかねない。……このまま死んだ方が……」

「それは言わないでっ」

彼はビクッと身体を震わせ、下を向いた。

「……すみません。失言ですね」

彼の言いたいことは分かる。気持ちも分かる。でも、あたしはやはり、目の前で死んでいく人を見捨てられない性格らしい。
人殺しが言っても、説得力は皆無なのだけど。

「……でもこれ、いつかは知らせないといけない、よね。生き延びればだけど」

「……ですね。ただ、それが彼にとって幸せなのかどうかは、僕には……」

鶴岡のお兄さんは、多分城を狙ったんだろう。でもそこには警官がいて、包囲され、パニックに陥った彼は……「特攻」した。そんな気がした。

※コンマ下10以上で提案あり、90以上で追加ボーナス
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 20:29:37.63 ID:GUKGXTMj0
608 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 20:49:35.32 ID:jmGJKl6xO
「ただ、これで彼の身の安全は大分何とかなりそうだ。病院に移すのも、手かもしれない」

病院、か。鷹山先生に言えればいいのだけど。ただ、彼女を巻き込みたくはなかった。

「でも、一般の病院だと騒ぎになるよ。どうするの?」

※コンマ下
01〜10 それもそうですね
11〜70 ……アユさん。頼みがあります
71〜00 あまり彼には頼りたくないんですけど
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 20:50:24.98 ID:ZLvzUEQDO
はい
610 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 21:05:27.69 ID:jmGJKl6xO
コナン君が凄く嫌そうな顔をした。

「……どうしたの?」

「いや、彼には頼りたくないんですけど。でも、わがままも言ってられない」

「どういうこと?」

コナン君が深い溜め息をついた。

「裏の医者ですよ。覚醒者は、僕ら以外にもそれなりにいる。その中には、魚塚さんのようにバッドエンド・ブレイカーではないけど協力してくれる人もいる。
彼もその一人です。ただ、『本気』を出さなきゃいけない患者には、とことん吹っ掛ける。性格も面倒極まりない。
だからこれまで頼まなかったんです。何より、面倒ごとが嫌いな男ですから、鶴岡が狙われている状況じゃ治療は引き受けなかったでしょうけど」

「裏の医者?無免許医ってこと?」

「いや、免許はちゃんとあります。ただ『未来の技術』を使う時に吹っ掛けるんですよ。僕らであろうと」

「何だかブラックジャックっぽいね」

コナン君が苦笑した。

「ご丁寧に名前も少し被ってる。間田義男。……医者としての、僕の師匠です。
今からでも呼べば来てくれるでしょう。金さえあれば、ですけどね」
611 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 21:22:40.71 ID:jmGJKl6xO
コナン君がスマホを取った。

「……夜分遅くにすみません。今から来ていただくことはできますか?……ええ、事情は重々。
金、ですよね。活動資金から見繕います。……患者は来てから身分を明かしますが、末期のアイスキャンディ中毒です」

スマホの向こうから怒声とも爆笑ともつかない声が聞こえた。彼が顔をしかめる。

「……血液製剤は明後日には。父が……ええ、奇跡的に。酵素保有者からの提供です。だから間田先生は、2日間だけ持たせてくれれば。とにかく、来ていただけますか」

再び爆笑が聞こえた。何やらやり取りがあった後、コナン君が電話を切った。

「30分後メドに来るそうです」

「早いんだね。こんな時間でも来るんだ」

「酒もタバコもやらないですからね。ギャンブルは大好きですけど」

「どんな人なの?面倒な人っぽいけど」

「一口で言えば『拝金主義でムラっ気のある織田信長』、ですね。話すだけで疲れる」

彼が首を振った。医者には個性が強い人が多いけど、どんな先生なんだろうか。
612 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 21:28:56.16 ID:jmGJKl6xO
【6月29日、22時52分】


ドンドン、と強くドアが叩かれた。覗き穴から見ると、身長180は越えようかという日焼けした男がいる。
ランニングシャツにこれでもかと鍛えた筋肉。年齢は不詳だけど、20代ではなさそうだ。……これが医者?

「はい……」

「おうっ!入るぞ。……コナンじゃないな。誰だお前は」

ギロリ、と大きな目で睨まれ、あたしは思わず身を縮めた。

※コンマ下65以上で?90以上だと……
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 21:29:30.66 ID:K+qhTgju0
はい
614 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/18(月) 21:34:59.12 ID:jmGJKl6xO
※間田は歩美のことを知っている

今日はここまで。
615 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 08:35:04.12 ID:koLG6QqtO
「……!?歩美、か??」

間田先生が目を見開いた。そしてあたしの肩を掴む。

「……いや、この時代にはいないはずだ。しかし、見た目は確かに……胸はこっちのがでか……」

「何言ってるんです先生」

低い声でコナン君が呼び掛けた。

「お、おお。コナンか。誰だこいつは。歩美が育ったような女だが?歩美の母親か何かか??」

「……違いますよ。話せば長くなりますが、結論から言えば歩美とは別人ですし、血縁もない。
そんなことより、上がったらどうです」

「ほう……」

間田先生がニヤリと笑った。この人は、確かに気味が悪い。

「まあこの歩美もどきは気になるが、まずは金だ。用意は」

「指定口座に振り込む準備はできてますよ。その前にまずは様子を」

「ま、そうくるわな。向こうの部屋か」

乱暴に襖をバンと開ける。そして彼は鶴岡の傍らにしゃがんだ。舌打ちが聞こえる。

「……てめぇ……こいつは鶴岡の末弟じゃねえかよ……厄介過ぎるだろうが。
兄貴二人がああなったのと関係があるんだろう?ええっ!??」

「関係なしとはしません。ただ、彼はずっとこの状態だった。二人がどうなるにも関わらず。
そして、狙われてもいた。聞いたことはあるでしょう?佐倉翔一」

間田先生がすっと立ち上がった。

「降りるぞ。こんなヤバい話には乗れん。他を当たってくれ」

「狙っていたのは鶴岡の兄二人です。その裏にいたのが、佐倉翔一。一応、彼にとっての危険は去ったはずです」

「貴様が俺の元を去って警察入ってから、ろくな案件を持ち込まねえな。この時代でも変わらずかよ」

「お互い様でしょう?……それはそれとして、見解を。明後日まで持ちますか」

※コンマ下
01〜20 無理そうだな
21〜60 できる。が……
61〜95 できる。ただ……
96〜00 血液製剤はどれぐらい投与可能だ
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 08:43:18.07 ID:WVN7WiCDO
はい
617 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 09:08:48.72 ID:koLG6QqtO
間田先生は脈を取り、血圧を測る。一通りのバイタルチェックを終えると、軽く頭を振った。

「無理だな。今日までよく持ったと言うべきだ。明日一杯持てば御の字、明後日までは俺でもまず難しい。
よしんば血圧製剤が間に合っても、延ばせる命はせいぜいが1週間。CT撮ってねえが、こりゃ大脳、小脳どころか脳幹まで逝っちまってる。
安楽死を強く進めるぜ。ここに呼ぶべきは、俺じゃなく魚塚だろ」

「……やはり」

「それにこいつを生き延びさせて何になる?最期まで命を延ばしたという甘っちょろい自己満足を満たすか?
意識を取り戻したとして、兄貴たちの惨状を教えるのか?そっちの方が、余程残酷だと思うがね?」

コナン君があたしを見た。決断しなきゃいけない。

1 安楽死させる
2 治療を続ける(続けた場合翌日の行動に制限がかかります&成功確率は極めて低いです)

※2票先取
618 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 09:40:02.07 ID:koLG6QqtO
1130ぐらいまで中断します。

後でもう一度決を取るのも何なので、多数決内容を下に変えます。

1 安楽死させる(鶴岡視点なし)
2 安楽死させる(鶴岡視点あり)
3 治療を続ける(注意点は上同様)

※2票先取
※1と2の違いはあまりありません。テンポが違う程度です。
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 11:08:27.21 ID:WVN7WiCDO
2
620 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 11:40:46.43 ID:koLG6QqtO
上げます。
621 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 12:22:57.83 ID:koLG6QqtO
もう一度上げます。1230から再開します。
622 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 12:40:05.09 ID:koLG6QqtO
時間の都合上2とします。(本日夜の更新があるかは微妙です)
623 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 12:55:40.48 ID:koLG6QqtO
あたしは目を閉じた。……もう、仕方ない。

「僕の方も同感です。……やはり、無理でしたか。……アユさん」

「うん……分かってる。分かってるよ……。コナン君は正しい。でもっ……!」

目から熱いものが溢れる。コナン君がそっと背中に手を当てた。

「……そういうとこも似てるのか。……因果だな。
安楽死はお前の方でやってくれ。終わったら魚塚が来るまで少し話すことがある」

間田先生が静かに部屋を去っていった。

「アユさんは」

「……ここにいる」

「……そうですか」

コナン君は、アンプルから薬剤を注射器で吸出した。唐川さんの時と、同じ薬だろう。
そしてプツリと、鶴岡の痩せ細った腕にそれを刺し、ゆっくりとシリンダーを押した。

あたしは無力だ。……仕方ないことだとは思う。でも、せめて人間らしい最期を迎えさせてあげたかった。


ビクン


鶴岡の身体が、一瞬大きく痙攣する。そして、息が徐々に弱まり……消えた。

別に鶴岡に同情してるわけじゃない。……でも、彼はあたしの患者だった。救いたかった。


「うっ……うう…………!!」


コナン君は、ただあたしの手を握っていた。
624 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 13:18:54.40 ID:koLG6QqtO
【6月29日、23時12分】


長い、夢を見ていた。あれは、いつの記憶だろう。
俺は世界タイトルを取り、リングの上を絶叫しながら走り回っていた。そしてコーナーポストによじ登る。
リング下には、親父と兄貴たち。妹の真姫もいる。そして俺は自分の胸を親指で指すんだ。「俺がナンバーワンだ」と。

次の瞬間、俺の意識は暗転する。衝撃。誰かが俺を呼ぶ声。悲鳴と泣き声と、怒号が響く。
でも、俺は指先一つ動かせない。そしてそのまま、意識が薄れていくんだ。


悪夢から目を覚ます。周りは真っ暗だ。誰もいない。
……いや、向こう側に光が見える。大和の兄貴だ。俺を手招きしている。何故だろう?


俺は世界王者になりたかった。なって今まで馬鹿にしていた奴らを見返し、貧乏から抜け出したかった。
兄貴たちが坂元さんにまず目を付けられた。兄貴たちは弱かったけど、坂元さんの力もあってなんとか世界王者になった。
テレビにもたくさん出た。有名になって、金には不自由しなくなった。

ただ、それは偽りの栄光だと、俺は知っていた。兄貴たちも知っていた。親父は馬鹿だから、分かってなかったかもしれないけど。
兄貴たちを勝たせるため、坂元さんは相当な無茶をやった。金をばらまき、恐喝した。でも、首を振らなかったのが……大澤選手だった。

俺は怖かった。全てが崩れるのが。だから、トレーニングで山に入っていた彼を待ち伏せし……殺した。
そして、それを何故か、翔一は知っていた。全てはあれから始まったんだ。

……俺が、殺さなければ。


強い悔いで、胸が一杯になる。そして、俺は気付いた。


ここは、現実じゃない。


俺は唇を強く噛んだ。俺の恐れと焦りが、俺を殺してしまったんだ。


光の中から、大和兄貴が何か言っている。「お前はよく頑張った」と。

「そうなのかよ……兄貴」

でも、光の中には大和兄貴しかいない。

「光輝兄貴は、いねえのかよ」

小さな声で「すぐにここに来るさ」と言う。……どういうことなんだろう。
でも、俺は一人じゃない。三人なら、何だって怖くはない。


そう、きっと大丈夫だ。


俺は光に向けて駆け出していった。
625 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 13:20:27.89 ID:koLG6QqtO
【6月29日、23時12分】


鶴岡和人、心拍停止。
626 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 13:37:12.63 ID:koLG6QqtO
【6月29日、23時32分】


冷たくなり始めた鶴岡和人の亡骸から、あたしはやっと離れた。

「いいんですか」

「……うん」

リビングでは胸を反らしながら間田先生が新聞を読んでいる。

「……やっと済んだか。昔のお前は、もう少しドライだったんだがな。歩美……のそっくりさんの影響か?」

「そっくりさんじゃない。彼女には吉岡愛結という名がちゃんとある」

「……お、おう」

コナン君が強い口調で言うと、間田先生はたじろいだ。

「魚塚さんを呼びます。……話というのは」

「そこの姉ちゃん……アユってのか。その子についてだ」

あたしはムッとした。さっきから言い方が無礼だ。コナン君が言ってたのが分かる気がする。
そもそも、よく見ると年齢はあたしとそう大きな違いがないじゃない。何様なんだろう。

「あたしが、どうかしたんですか」

「いや、俺の直感だが。あんた、イレギュラーだろ」

電話をしようとしていたコナン君が固まった。

「なぜそれを」

「歩美とその子が似すぎている。しかも血縁じゃない。お前とももう深い仲だろ?さらに言えば、看護師だったりしねえか?
となると、論理的に考えてそうなる。問題は、あんたがここにいる意味だ」

大きな目が、あたしに向いた。

「……意味?」

「そう。何事にも意味がある。あんたがイレギュラーとしてここにいる意味も。
単にコナンの恋人になるだけじゃないはずだ。そんなちっぽけなことじゃ、『歴史』は動かない」

「何だっていうんですか」

※コンマ下80以上で?99か00で別イベント
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 13:41:20.18 ID:fAIbRIqP0
628 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 13:44:27.50 ID:koLG6QqtO
中断します。

なお、鶴岡の「回想」が何であったかはご想像にお任せします。
629 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 17:32:29.23 ID:koLG6QqtO
はっ、と間田先生が嘲笑った。

「んなこた俺は知らん。自分で見付けることだな。
……ともあれ、イレギュラーが多過ぎる」

「……アユさん以外にも?」

あたし以外では、英華さんが確かそうだ。彼女の「意味」は、アイスキャンディ中毒者の治療法にある……らしい。
ただ、そういう存在が他にもいるのか。しかも、この口振りだともっとずっと多く。

「俺が知る限り2、3人は。お前も気付いてるんだろ?本来の歴史では登場してないはずの連中がいる。歌手の内山ひかり、小説家の西谷藤一。
どちらも顔はそっくりの連中が20年後にいる。その意味はよく分からないがな」

コナン君が何か考えている。

「……先生の見解は?」

「知るかよ。だからわざわざ用もねえのにここに残ってる。……お前の考えを聞きたい」

※コンマ下85以上で?
(この判定に失敗しても後々再チャレンジは可能)
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 17:37:41.30 ID:WVN7WiCDO
はい
631 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 18:00:10.39 ID:koLG6QqtO
「……正直、先生に言えるようなものは」

はー、と間田先生が大きな溜め息をついた。

「つっかえねえなあ。まあいいわ。邪魔した。何もしてねえから金は交通費だけでいい」

「いくらですか」

「10万だ」

10万円?交通費だけで??

しかしコナン君は、リュックから1万円札を取り出し、彼に渡す。

「な、何考えてるのコナン君!?」

「そういう人なんですよ。では」

「その年で父親になるようなことはすんなよ、クソ弟子が」

バタン、と乱暴にドアが閉められた。本当に何なのだろう。

「あんな大金、あげちゃってよかったの?」

「あげなきゃ何しでかすか分からないですよ。医者としての腕以外は本当にどうしようもない。
……しかも、鶴岡和人は手遅れだった」

沈黙が流れる。コナン君は黙って、彼がいる部屋に向かった。

「そろそろ魚塚さんが来ます。準備しないと」

「準備?」

「死後硬直が始まる前に、身体を丸めておくんです。運びやすいように。唐川の時は、あまり見てなかったんですよね」

あたしは頷いた。見ない方がいい、と言われたからでもある。

「鶴岡和人の場合なら、解体は不要ですから……そこまでどぎつくはならないはずです。
身長は170ぐらいですから、大きめのバッグにならギリギリ入るでしょう。後は、魚塚さんが然るべき処理をしてくれるはずです」

「……処理って?」

「ああ、変な意味じゃないです。人里離れた場所に埋めるだけです。どこかは彼にしか分からない。
この道のプロです。今も昔も、それは変わらない」

思えば、彼の印象は驚くほど乏しい。世の中には、あたしが知らない世界が山ほどある。

「……彼のお墓、作れないんだよね」

「……仕方ないでしょう。それに、遺品も取れない」

彼の人生は、何だったんだろう。生きてきた証が、どこかに残っていればいいのに。

#

家を引き払い、朝霞の家に戻ったのは2時過ぎだった。コナン君は寝ているけど、あたしは眠れるだろうか。

※コンマ下05以下か95以上でイベント
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 18:01:01.10 ID:01vsrVfW0
えいや
633 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 18:06:45.40 ID:koLG6QqtO
※古畑の待ち伏せはなし

視点選択です。2票先取、全て30日から始まります。

1 このままコナン(アユ)視点
2 ジョー視点
3 仁視点
634 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 18:09:48.26 ID:koLG6QqtO
再開は(あれば)2130以降です。
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 18:16:15.21 ID:FxGUV/cCO
1
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 18:23:36.53 ID:WVN7WiCDO
1
637 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 22:23:55.57 ID:TK+YyM81O
【6月30日、10時31分】


寝ているかいないか分からない、曖昧な状態のまま一晩が過ぎた。酷く身体がだるい。
時計を見ると、もう10時半だ。14時前には横浜に行かなきゃいけない。あたしはなんとか意思の力で起き上がった。
隣で寝ているコナン君は、そのままそっとしておいた。彼も彼で、疲れているのだろう。

朝ごはん兼昼ごはんを作りながら、あたしはスマホを見た。ニュースサイトは、どれも鶴岡兄弟のことばかりだ。
ここぞとばかりに彼らを叩く記事や意見も少なくない。……彼らに起きたことは、どこもちゃんと報じてはいなかった。
結局、叩いて自分たちが正義ぶれればそれでいいのだ。安全なところから、一方的になじる。文字通りの「死体蹴り」だ。

……酷く苦いものを、胃の奥で感じた。

※コンマ下
01〜15 その時、コナン君のスマホが鳴った
16〜80 通常ルート
81〜90 その時、コナン君のスマホが鳴った。
91〜00 上+α
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 22:28:34.02 ID:SfmrMCwn0
639 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/19(火) 22:32:17.14 ID:TK+YyM81O
その時、コナン君のスマホが鳴った。向こうの部屋で、何か話す声がする。

※コンマ下(判定が厳しくなっています)
01〜65 鶴岡光輝が、死にました
66〜90 鶴岡光輝が、完全に発狂したみたいです
91〜00 鶴岡光輝の取り調べが始まったそうです(死亡、発狂の可能性は00以外はあり)
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 22:53:33.17 ID:WVN7WiCDO
はい
641 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 00:03:22.02 ID:EF6gFgjjO
部屋から出てきたコナン君の表情は暗かった。

「……どうしたの?」

「鶴岡光輝が……死にました」

「……えっ!!?」

虚脱感があたしを襲った。

「な、なんで」

「少し正気に戻った時に、取り調べをしようとした刑事が大和の死を漏らしてしまったそうです。
そして、発狂し……そのままショック死したと。アイスキャンディの禁断症状もあったかもしれませんが」

「そんなっ……!」

コナン君が首を振った。

「多分、誰も悪くない。……敢えて言うなら、アイスキャンディと、それを彼らに渡した佐倉を恨むべきでしょう……クソッ……!!」

壁を蹴りつける音が響いた。

「コナン君……」

「大丈夫、僕は冷静です。……問題は、鶴岡の父親です」

「父親?……あっ」

そうだ。鶴岡のお兄さんたちと一緒に、父親と妹も消えていたんだった。とすれば……。

「とても、まずいんじゃ」

「ええ。怒りの矛先が警察に向く可能性は高い。ただ、城たちに向かう可能性もある。今日は、気が抜けそうもない」
642 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 00:13:09.19 ID:EF6gFgjjO
【6月30日、13時27分】


「……結構人いるね」

横浜国際プールは、人でごった返していた。記録会とは聞いてたけど、これはちょっとした大会みたいな感じだ。まだ開会まで30分以上あるんだけど。

「日本のトップスイマーが大体出てますからね。しかし、この人の多さだと……」

コナン君が言う通り、この中から人を見付けるのは大変だ。ざっくり3000人ぐらいはいそうだ。

「城は?」

※コンマ下
01〜60 見当たらないですね。控え室かも
61〜95 ああ、あそこです
96〜00 ああ、あそこです。……え?

※コンマ下2が95以上で??(かなり有利な展開になります)
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:13:50.32 ID:z6zrT+wn0
はい
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:17:52.70 ID:25PY58+DO
645 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 00:24:45.09 ID:EF6gFgjjO
「見当たらないですね。控え室かも」

「あたしたちも行った方が……」

「いえ、今のところは。そもそも城は薬師丸の身内として控え室に入れますが、部外者の僕らじゃ門前払いでしょう。合流は、記録会後です」

「……そうだね」

プールのディスプレーからは、過去の世界水泳のリプレイと、有力選手の紹介が流れていた。その中に、英華さんのものもある。
本当に注目されている子らしい。種目は、100mと200mの自由形。プログラムの最初の方と、最後の方だ。

#

※コンマ下10以下でアクシデント発生
95以上だと別のイベント
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:25:31.98 ID:jKs+7BODO
はい
647 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 00:33:09.92 ID:EF6gFgjjO
今日はここまでですが、最後のイベントの再判定だけやります。
(客席に城が戻ったのは確定)

※コンマ下
01〜20 客席に尋常じゃない雰囲気の中年を見付ける
21〜70 後ろから幼女につつかれる
71〜00 キョロキョロしている中学生ぐらいの女の子がいる
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:34:53.63 ID:5AT75NRQ0
おつ
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:35:53.97 ID:25PY58+DO
亜依ちゃんかね?
乙でした
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 01:07:39.37 ID:jKs+7BODO
乙です
651 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 08:46:02.30 ID:M1mab0o5O
【6月30日、13時58分】


開会前になると、観客席は相当埋まってきた。

「コナン君、あれ」

プールサイドの席に城がいるのが分かった。遠くからだから表情までは見えないけど、多分あれがそうだ。

「……ですね。問題は、鶴岡の父親が来てないかですが」

鶴岡の父親はしょっちゅうテレビに出ていたから顔は分かる。酷くアクの強い男で、息子たち以上にアンチが多い。

「まさか、妹まではいないよね」

「それは最悪のケースですね」

「どうして?」

「小学生か中学生かは知りませんが、新型なんて飲ませたら命に即関わります。
まず正気じゃないでしょうし、第一彼女の顔は僕も知らない」

あたしの背中を悪寒が駆け抜けた。佐倉という男はそこまでするの?


ツンツン


あたしの背中を、誰かがつついた。気のせいだろうか。


ツンツンツン


いや、これはあたしに向けられたものだ。振り向くと、少し茶色かかった髪の女の子があたしを見てる。いたずら?

「……どうしたの?」

ペコリと頭を下げられた。知り合いにこんな子はいない。コナン君も訝しげだ。
隣には小柄な女性がいる。あたしと同じぐらいか、少し若いだろうか。多分、この人が母親なんだろうけど。

「……あの、どちらかでお会いしました?」

女の子が頭をあげた。

「いえ、はじめまして、ですね。仁さ……毛利刑事からの依頼でこっちに来ました。宮原亜衣です」

「すみません、突然。仁さんが、どうしても動けないからって私たちを。
ああ、私は宮原美和と言います。この子の母親です」

毛利刑事の使い?しかし、それにしてもこんな子が?

※コンマ下80以上でコナンは亜衣を知っている
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 08:52:08.76 ID:KrOmga8wO
653 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 09:24:48.59 ID:M1mab0o5O
失礼しました。上の判定はなしです。
(過去に同様の判定を行っており、知らないことが確定していました)
654 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 09:55:26.93 ID:M1mab0o5O
コナン君が女の子を見た。

「覚醒者か、君も」

「はい。お噂はかねがね、藤原『警視』」

「……君も、警察?……そうか、由依さんが言っていたもう一人の覚醒者が、君か」

驚いた風のコナン君に、女の子が苦笑する。

「既に情報だけは行ってたみたいですね。毛利刑事からは吉岡愛結さんの写真しか貰ってなかったので、少々自信はありませんでしたが。見付かってよかった」

「あたしの写真?」

「ええ。毛利刑事は、あなたの存在も知ってますよ。藤原湖南と一緒にいるだろうと」

毛利刑事とは何者なんだろう。コナン君たちも「デッドマン」と呼んで警戒してたけど。
あたしが一緒にいることまで知ってるなんて……額から冷たい汗が流れた。

「……なるほど。しかし、あなた方で彼の代わりになるとはちょっと思えない。それに、事態は急を要する」

「仁さん……毛利刑事はそこまで承知の上です。私も刑事の端くれです、こんな身体でも……いや、だからこそ利用価値がある」

「……どういうことですか?」

亜衣と名乗った子は、僅かに口の端をあげた。……こんな落ち着き払った幼児はいない。

「あなたでは面が割れてる。でも、私は違う。格闘技術は多分あなたに遠く及ばないけど、5歳児が25歳の技術を以て、不意を突いたら?」

はは、とコナン君が乾いた笑いを浮かべた。

「……そういうこと、か。これは毛利刑事のアイデアか」

「両方です。母は説得済みです」

母親の美和さんは苦笑している。

「言い出したら聞かないのは、大分分かってきましたから。頑固な所は、お父さん譲りね」

「大丈夫よ、母さん。後は仁さんのプラン通り動けばいい。
もちろん、ここに鶴岡の父親たちが来てないのが一番望ましいけど」

「警視庁、ないしは埼玉県警本部のカバーは」

「どちらも厳戒態勢です。警視庁は兵藤警部、埼玉県警は木暮管理官主導で備えてます。
正直、ここが一番手薄です。佐倉なら、こっちを優先するはず」

そう言って、亜衣ちゃんは懐から
オペラグラスを取り出した。

「やるとしたら、100mか200m自由形の時。先に薬師丸英華を狙い、城をその後で殺す、あるいは拐う。
正気を保ってなかったら、無差別にやるかもしれないけど」

「犯行直前に、新型を飲むわけか」

「ええ。とすると、もう猶予はあまりないです」

ディスプレーには開会式のセレモニーが映し出されていた。
655 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 09:57:39.63 ID:M1mab0o5O
※コンマ下、発見状況(1回目)
01〜60 未発見
61〜90 変装した鶴岡父を発見
91〜00 落ち着きのない少女を発見
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 09:58:04.78 ID:7ABmXZ+d0
ほい
657 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 12:07:49.97 ID:M1mab0o5O
「……あれだ、多分」

亜衣ちゃんがオペラグラスを覗き込んだまま言った。

「早いね。どこだ」

「城のずっと左側。プールサイドにいる。マスクと帽子をしてるけど、あの体格からして多分そうです。
というか、あんな格好してたら怪しまれるに決まってるのに」

コナン君がオペラグラスを受け取る。

「なるほど。確かにあれだ。ただ、ここからだとちょっと距離がある。奴が動いてからじゃ間に合わない」

「確かに。だから、私が時間を作ります。多分、100mの競技までには間に合う」

そう言うと、亜衣ちゃんは手元にあった缶ジュースを持って立ち上がった。

「コナンさんたちも、ゆっくりとでいいので来てください。鶴岡父の後方から。そこからは……」

あたしたちは簡単な説明を受けた。

「……そんなことが、本当にできるの?本気なの?」

「ええ。彼がどう動くにしても、騒ぎにはしない。多分、行けるはずです」
658 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 12:10:08.71 ID:M1mab0o5O
※視点選択です。2票先取

1 亜衣視点
2 このまま愛結視点
3 鶴岡父視点
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 12:11:29.84 ID:25PY58+DO
1
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 12:41:02.25 ID:miq8Xhn00
1
661 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 15:09:17.02 ID:rEJilnypO
【6月30日、14時07分】


「俺の代わりに横浜国際プールに行ってほしい」。昼頃、仁さんからのメールを見た時には驚いた。
確かに、元から行く予定ではあった。でも、それは彼がいるという条件の話だ。

私の「覚醒」時間は少し長くなっていた。1日4〜5時間は「表」に出ていられる。
それを加味しても、この話を受けるかは悩んだ。母さんにも勿論相談した。
ただ、状況からして鶴岡父が自棄を起こす可能性は相当高いと言えた。息子3人を失った父親が、佐倉の口にコロッといかれるのは簡単に想像がついた。


私の「記憶」にある、熊谷大虐殺の光景が思い出された。……あの惨劇が起きない保証は、ない。
もう、誰かが死ぬのを目の前で見るのはたくさんだ。


そこから先は早かった。仁さんが藤原湖南を組み入れた方針を立て、移動中に私がそれを練り直す。
相手を警戒させないという点では、私以上に最適な存在はない。それを最大限に生かした作戦だ。

#

そして私は、できるだけ5歳の子供らしく、小走りしている。右手に缶ジュースを持ちながら。
鶴岡父の姿が徐々に大きくなる。さあ、やろう。

※コンマ下
01〜10 ゆらり、と彼が立ち上がった
11〜40 その時、私は気付いた
41〜95 通常ルート
96〜00 私はふと城の方を見た
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 15:19:54.01 ID:5FkvRQ1l0
たのむ
663 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/20(水) 15:33:22.88 ID:rEJilnypO
※再判定

01〜10 ???
11〜30 手に細長いバッグを持っている(アイスキャンディ服用済み)
31〜60 素手(アイスキャンディ服用済み)
61〜75 手に細長いバッグを持っている(服用直前)
76〜95 素手(服用直前)
96〜00 ただ立っただけ
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 15:35:57.78 ID:JYZ2iu27o
てー
665 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 00:50:21.52 ID:cEYLcv5FO
距離が残り10mを切った時だ。

ゆらり……と鶴岡の父親が立ち上がった。

マスクを剥ぎ取り、口の端を歪めている。そして右手は、何かを強く握り締めていた。

「まもなく、女子100m自由形第1組が始まります」

向こうから選手が歩いてくる。不安そうな顔の、薬師丸英華もいた。
鶴岡父の右手から口に、何かが放り込まれようとしている。これはっ……!!?


アイスキャンディだっ!!


私は小走りから全力疾走に切り替える。そして、彼の前で派手に転んだ。缶ジュースの残りが、彼にぶちまけられる。

「……あ???」

※コンマ下
01〜35 アイスキャンディは飲まれた後
36〜80 寸前で手が止まる
81〜00 思わずアイスキャンディを落とす
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 00:51:34.61 ID:5surK1xDO
はい
667 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 00:56:45.08 ID:cEYLcv5FO
彼の手が止まった。まだアイスキャンディは口の中にはない。今だっ!

私はすぐに立ち上がる。擦りむけた膝頭が痛むけど、気にしている場合じゃない。
右手を掴んで、そこを起点にしてジャンプする。そして、そのまま私の足を腕に絡める。身体を捻れば……

※コンマ下30以上で飛び付き腕十字に成功
668 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 01:28:26.05 ID:cEYLcv5FO
上げます。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 02:34:39.42 ID:G7klcvrfO
670 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 09:07:54.15 ID:CDdVrSmfO
「あがっ!!?」

彼が奇声を発する。バランスを取れなくなり、ドサッとその場に倒れた。
アイスキャンディを握る手が僅かに緩む。極めをさらにきつくすると、床にそれは落ちた。

「第1レーン、三波夏帆選手、イトハンスイミングクラブ……」

選手紹介が始まった。私の周りは少しざわついてるけど、会場全体までは広がらない。

「てっ……このガキっ……!?」

彼が力ずくで私を引き剥がそうとする。落ちたアイスキャンディを取ろうとしているのだ。

でも、そうはいかない。

「すみません!!うちの子が、とんだご迷惑を」

母さんが私の所に駆けてくる。荒事にならないように、私が言葉や行動で鶴岡父を抑えるのがプランA。そして、これは有事の際のプランBだ。

「……なんやて?」

私は一瞬の緩みを突いて、床に落ちたアイスキャンディを取った。極めていた腕も解かれる。

「ごめんなさい、道に迷ってたみたいで……服、大丈夫ですか?」

ジュースは鶴岡父の白いシャツを薄紫に染めている。彼がアイスキャンディが消えているのに気付いた。

「……この、ガキ……返せっ!!」

「やめてくださいっ!この子だって、悪気があったわけじゃないんです。
……お詫びは人気のない所でしましょう。競技が始まってしまいます」

オンユアマーク、と声が聞こえた。薬師丸英華は第4レーンか。

※コンマ下10以上で通常ルート
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 09:12:57.58 ID:h3tr86pDO
はい
672 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 09:39:44.16 ID:CDdVrSmfO
鶴岡父は、憎悪を隠そうともせず私を睨み付けた。

「おかあさん、おじちゃん、こわいよぅ!!」

母さんにしがみつき、目に涙を溢れさせる。感情が肉体反応に直結しやすい子供なら、嘘泣きなど容易い。

「ほら亜衣、ちゃんと謝りなさい。競技の邪魔になりますし、行きましょう?」

薬師丸英華の調子はあまり良くないようで、少し出遅れているのが分かった。
母さんについていく形で、鶴岡父が観客席を後にする。


そして、人通りが少なくなった廊下の所に出た。


「てめえ……ガキが何したか、分かっとんのか??」

鶴岡父が私に掴みかかろうとするのを、母さんが止めた。

「やめて下さい。弁償とかはしますので……」

「弁償とかそういう次元の話とちゃうねんぞ!!?
コラ、ガキ……ポケットの中にしまってるもの出さんかい!!」

必死の形相で私に詰め寄る。でもアイスキャンディは、鶴岡父を仁さんに引き渡すのに必要なものだ。薬物取締法違反で立件し、佐倉に繋げなきゃいけない。
粉々に潰しても良かったけど、それだと傷害罪になる程度には私か母さんが痛め付けられる必要がある。リスクはあるけど、これが最善だ。

そして、ここからが仕上げだ。私は大きく息を吸った。


「うわああああん!!!おじちゃんが、あいをいじめるよぉ!!!」


ありったけの叫び声を出す。

※コンマ下
01〜20 ガキ……下手な演技やめぇや……
21〜40 こっのクソガキが!!
41〜98 どうしました??
99〜00 特殊イベント
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 09:41:23.50 ID:UD4PuKly0
674 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 09:53:35.37 ID:CDdVrSmfO
「こっのクソガキっ……!!」

「どうしましたっ??」

鶴岡父が私に手をあげたのと、入口の若い守衛が駆け寄ってくるのはほぼ同時だった。

「かかった」

小さく呟く。鶴岡父は、守衛に気付き拳を振り下ろすのをやめた。

「どうしたんです、一体」

「……このガキが、いきなり腕ひしぎ十字固めかけてきてん。……しかも服はジュースでベトベトや。謝罪を要求してるだけ……」

「おじちゃん、こんなの持ってた。おくすり!」

守衛の影に隠れ、私はポケットからアイスキャンディを取り出した。鶴岡父の顔が青ざめる。

「おっ……コラッ!!それを返せ言うとるやろっ!!」

再び振り下ろそうした右拳は、守衛によって阻まれた。

「やめてください、警察呼びますよ?……ねえ君、これお薬?」

「うんっ!でもみたことないおくすり!それと、このおじちゃんみたことある!!」

※コンマ下15以上で守衛が鶴岡父と気付く
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 09:54:56.97 ID:5surK1xDO
はい
676 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 12:30:50.48 ID:CDdVrSmfO
守衛の目が見開かれた。

「……鶴岡兄弟の父親??ちょっと話を聞かせてもらいます、警察も込みで」

「なっ……!?何でやっ!!わしがは、犯罪でもしたいうんか!!」

「あなたも知ってるでしょ?鶴岡光輝は殺人で逮捕、大和は警察に射殺。あなたがここに来たのは、どういう意味があるか念のため聞かせてもらいます。もちろん、この薬についても」

鶴岡父が顔面蒼白になった。

※コンマ下30以下で最後の抵抗
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 12:32:59.11 ID:YvoMnpeh0
678 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 12:37:17.01 ID:CDdVrSmfO
「……こんなことで、諦めへんっ……!!」

鶴岡父が守衛に突進した。不意を突かれた彼が倒れ、握られていたアイスキャンディが再び床に転がる。


「光輝、大和、和人!!!仇は討つで!!!!」


※コンマ下
01〜30 そのままアイスキャンディが手に渡る
31〜65 亜衣が追い付く
66〜00 守衛が倒す
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 12:44:09.60 ID:h3tr86pDO
はい
680 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 12:52:03.32 ID:CDdVrSmfO
私はすかさず駆け出した。5歳児でも、瞬間的な速さならそこまで大きくは劣らない。
右手を精一杯伸ばし、ジーンズの後ろポケットを掴む。そこから朽ち木倒しの要領で、腕で脚を刈る。

「くあっ」

彼が脚に力を入れて踏ん張った。力じゃ勝てない。……このまま倒さなきゃ!


「うおおおおおっっっ!!!」


※コンマ下
01〜25 アイスキャンディを取られてしまう
26〜50 テイクダウンに成功、アイスキャンディは弾みで砕ける
50〜00 テイクダウンに成功
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 12:53:48.19 ID:MmTzr17Z0
ほい
682 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:02:16.62 ID:CDdVrSmfO
……止まらないっ!!力づくで振り切られ、アイスキャンディを拾われてしまった!!

「母さん、逃げてっ!!!」

アイスキャンディが鶴岡父の口の中に入る。彼は満足そうな笑みを浮かべた。

多分、彼は真っ先に私を狙うだろう。……逃げ切るのは、多分無理だ。それに、よしんば逃げ切れたとしてそこに待つのは……惨事。

ギロリ、と赤く染まった目がこちらを向く。ここで私が食い止めなきゃいけない。

万一の場合、藤原湖南には来るよう事前に言っていた。彼なら、何とかできるかもしれない。
問題は、それがいつになるか。1分?2分?そこまで持つ??

冷や汗が背中を伝う。

※コンマ下(コナンの状況)
01〜60 まだ会場
61〜80 こちらの様子を見にきている
81〜00 すぐに止めに入る

※しばらく判定が続きます
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:05:44.32 ID:MmTzr17Z0
はい
684 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:11:52.08 ID:CDdVrSmfO
※コナンはまだ会場

※コンマ下、手持ち武器の有無
01〜70 素手
71〜90 スペアのテーザーガンがある
91〜00 上+α(この後の展開が相当楽に)

※コンマ下2、守衛の状況
01〜50 すぐに立ち上がるが……
51〜75 すぐに立ち上がり立ち向かう(守衛死亡濃厚)
76〜95 すぐに立ち上がり警棒を構える
96〜00 すぐさま払い腰をしかけテイクダウン
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:12:50.29 ID:5surK1xDO
はい
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:12:55.57 ID:N8LP7zpb0
687 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:15:50.15 ID:CDdVrSmfO
※コンマ下、鶴岡父の状況
※これが最後の状況判定です

01〜50 正気
51〜95 暴走
95〜00 暴走(すぐに発狂)
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:17:02.66 ID:h3tr86pDO
はい
689 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:21:27.99 ID:CDdVrSmfO



「うおおおおooooo!!!」



獣のような咆哮が、廊下に響く。そして私の姿を捉えると、凄まじい速さで突進してきた!

「待てっ!!!」

私と鶴岡父の間に、守衛が割って入る。それはダメだっ!!

※コンマ下
01〜70 グキョッ
71〜90 ズダンッ
91〜00 うわああっ!?
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:24:55.52 ID:MmTzr17Z0
はい
691 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:34:17.61 ID:CDdVrSmfO
グキョッ

鈍い音が響く。守衛の頭部は、真後ろを向いていた。そしてそのまま倒れる。

「フーッ、フーッ」

新型アイスキャンディの服用者……それも初服用者の反応はどちらかだ。正気のままか、狂気に陥るか。
……こいつは後者だ。攻撃パターンは単調だけど、手加減がない。守衛は、平手打ちでこうなってしまったのだ。

もちろん、私が攻撃を受けたらミンチだろう。ただ、返し技を叩き込む隙はまだある。

母さんを逃がして良かったと、私は思った。でも、ここで死ぬわけにはいかないっ!


「Fooooooo!!!」


奴は大きく手を広げて襲い掛かる。

※コンマ下20以上で返し技発動、90以上で?
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:39:14.24 ID:N8LP7zpb0
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:39:38.18 ID:h3tr86pDO
はい
694 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:53:58.20 ID:CDdVrSmfO
私はすかさず身を丸く固めてしゃがんだ。できるだけ低く。そして、足首を狙って抱き付く。

「ぐっ!!?」

強烈な衝撃が私を襲う。それと共に、鶴岡父がズドォンと顔面から倒れ込んだ。

「グオオオオッッ!!!」
695 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 13:57:54.42 ID:CDdVrSmfO
※コンマ下、鶴岡父のダメージ
01〜30 すぐに立ち上がる(蓄積カウント1)
31〜70 数秒後頭を振って立ち上がる(蓄積カウント2)
71〜98 しばらく倒れている(蓄積カウント3)
99、00 気絶

※蓄積カウント3からコナン登場の可能性が出ます。4で確定です

※コンマ下2、亜衣のダメージ
01〜15 肋骨が折れた
16〜30 腕にヒビが入った
31〜00 無傷
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 13:59:08.81 ID:MmTzr17Z0
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 14:02:39.78 ID:5surK1xDO
はい
698 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 19:29:18.23 ID:KTfiYugrO
「くっ……!」

背中の辺りが激しく痛む。ただ、身体は動かせる。骨は折れていないようだった。
ふらつきながら、鶴岡の父親を見る。

「あがっ、はーっ、はーっ……あがあああああ!!!」

鼻が折れたのか、顔面は血塗れだ。アイスキャンディの効果でも痛覚は倍加している。たとえ正気でなくても、苦痛は相当なものだろう。

私の身体が25歳なら、この隙にすかさず首筋を激しく踏みつけたはずだ。仁さんが教えてくれた方法だった。
私は人を殺したことはない。ただ、仁さんは警察だけど、そうやってどうしようもない中毒患者を「終わらせてきた」。
それが正しいかは知らない。でも「命の危険があったら躊躇うな」と彼は常々言っていた。

……でも、今の私にそれはできない。信条の問題じゃない。単に、私の身体が子供だから。
ただ、ゆっくりと身体を起こそうとする鶴岡の父親を見るしかないのだ。

「ぶふーっ」

血を辺りに撒き散らせて、奴が立ってきた。私だけで耐えられる時間は長くない。

※コンマ下50以上でコナン登場
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 19:33:16.74 ID:x2Wu22Bq0
700 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 19:34:37.20 ID:KTfiYugrO
※視点選択

1 このまま亜衣視点
2 コナン視点

2票先取
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 19:39:58.20 ID:x2Wu22Bq0
2
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 19:45:53.79 ID:5surK1xDO
2
703 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 20:06:12.42 ID:KTfiYugrO
【6月30日、14時11分】


「……やっぱり調整不足、かな」

アユさんが呟いた。薬師丸英華は3位。ベストタイムからは1秒以上遅かったらしい。
ただ、あれだけ色々あった中でも表彰台なら悪くはない。英華はキャップを脱ぎ、大きく息をつく。城が向こうで軽く頷いたのが見えた。


その時だ。


「君っ、助けてっ!!」


セミロングの小柄な女性が、観客席に向けて叫んだ。ざわっとにわかに戸惑いが広がった。

……僕はこの意図を知っている。

「アユさんはここに残って!!僕だけで行く」

「ちょっと!?コナン君だけで……」

「アユさんに危険な目に遭ってもらいたくないっ。すぐに戻ります」

僕はポーチからテーザーガンを取り出し、全力で駆け出した。
そのうち野次馬も集まるだろう。そうなったら、大惨事になりかねない。そうなる前に、沈黙させる。

問題は、宮原亜衣だ。あの身体で、アイスキャンディの服用者と戦えるとは思えない。……逃げてくれているといいが。


その想いは、思わぬ形で裏切られた。

「ぶふーっ」

血走った目が、幼女に向けられている。鶴岡の父、次郎の鼻は潰れ、鮮血で染まっている。
宮原亜衣は……ややふらついてはいるがまだそこに五体満足で立っていた。……これをやったのは、彼女か。

向こうには首が螺曲がった制服姿の人が倒れている。手遅れだったか。だが、僕が気にしなければいけないのは、この狂人だ。

「……藤原湖南っ」

「よく持たせてくれた。ここからは僕の領域だ」

テーザーガンを構える。だが、射程にはまだ遠い。ジリジリと距離を詰める。

「グロロ……」

※コンマ下
01〜45 亜衣に向かう
46〜85 コナンに向かう
86〜00 まだ警戒姿勢のまま


704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:08:48.32 ID:MmTzr17Z0
705 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 20:12:20.62 ID:KTfiYugrO
「アガァァァッッ!!!」

鋭い蹴り足。奴は宮原亜衣を優先した!
まだ距離は遠い。打って当たるかは五分五分だ。しかし、撃たなきゃ……やられるかもしれないっ。

1 撃つ
2 撃たない

※2票先取
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:14:00.13 ID:hI/RdmXw0
1
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:26:00.83 ID:h3tr86pDO
1
708 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 20:30:46.55 ID:KTfiYugrO
僕は人差し指に力を込めた。標準は感覚で済ませる。狙いを定める余裕はない。
当たれば終わる。外せば……それは今は考えるべきではない。


ビシュッ


※コンマ下50以上で命中
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:33:52.81 ID:x2Wu22Bq0
710 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 20:40:02.94 ID:KTfiYugrO
テーザーガンのリードが伸びきるかどうかの所に、鶴岡次郎はいる。
先端がかするだけでいい。ゼロコンマ数秒の間、僕は祈った。


そして、それは届いた。


「GYAAAAAAAッッッッ!!!!!」


厚い扉越しに聞こえるかもしれないほどの悲鳴が、廊下に響く。野次馬が数人、プール場に繋がる扉を開けた。


ドサッ


鶴岡次郎が跪いた。目は白眼を剥いている。

※コンマ下05以上で一応戦闘終了
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:42:22.01 ID:5surK1xDO
はい
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:42:48.10 ID:hI/RdmXw0
713 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 20:51:11.48 ID:KTfiYugrO
終わった……と思った。しかし。


「グオオオオオオォォォ!!!!」


「……馬鹿な」

咆哮が轟く。

僕は唖然とした。テーザーガンが、効かない??
いや、効いてないわけがない。多分、これは……意思の力だ。家族を喪った男が、常識を越えた力を発しようとしている。

……となると、これはっ……!!


「逃げろっ!!!」


宮原亜衣に叫ぶ。テーザーガンのリードを巻き戻すまで、10秒はかかる。問題は、その10秒を稼げるかだ。
少なくとも、丸腰の宮原亜衣にそれはできない。むしろここまでよく痛めつけたとすら言えるほどだ。

※コンマ下
01〜50 亜衣逃げ出す
51〜70 亜衣攻撃する
71〜00 亜衣、守衛の死体から何かを抜き取っている
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 20:53:18.71 ID:x2Wu22Bq0
715 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 21:14:49.96 ID:KTfiYugrO
しかし、宮原亜衣は逃げる様子はない。横っ飛びに移動すると、守衛の亡骸から何かを抜き取った。


「これでも、食らえ!!」


彼女が何かを投げる。バシャッと、何かが破裂した音が聞こえた。
そして、鮮血まみれだった鶴岡次郎の顔が、更に紅く染まる。

「くおおおっっ!??」

目の辺りを押さえる奴を見て、僕は理解した。

……カラーボールだ。守衛は武器をあまり携帯しない。代わりにあるのが、そう簡単に落ちない蛍光塗料が入った、カラーボール。
それを彼女は投げ付けたのだ。素晴らしい機転だ。

「見事だっ!!」

ビィィィィ、とリードを巻き取る。再発射までの時間は、十二分に稼げた。

そして、ダメ押しの一発を、僕は奴の背中に向けて撃つ。


「ギャアアアアAAAAAaaa!!!!!」


そして今度こそ、鶴岡次郎は倒れた。
716 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 21:27:56.82 ID:KTfiYugrO
「おい、どうした」

「喧嘩??いえ、子供???」

「向こうに人が倒れてる……」

「キャアアアアア!!!」

野次馬が叫び始めた。このままここにいるのはまずい!

問題は、鶴岡次郎だ。テーザーガンで気絶はさせた。だが、放っておけば意識は戻る。そうなったら……。

僕は悩んだ。殺すべきか、否か。

「はあっ、はあっ、藤原、『警視』……警察、を」

息も絶え絶えに、宮原亜衣が呼び掛けた。……ここで殺したら、後の行動に制約がつく。僕は目を閉じた。

「……分かった。君が後を仕切ってくれ。僕は一度引き揚げる。警察が来た時に、説明できそうもない。
鶴岡次郎については誤魔化してくれ。薬を飲んだら発狂して、勝手にこうなった、と」

「……分かりました。手足の拘束は」

「応急的にガムテープで。君から運営にそう言ってくれればいい。警察が来たら、後は何とでもなる」

「了解しました」

僕は野次馬をかき分け、アユさんの所に向かった。裏口から出れば、見つかりにくいはずだ。

※コンマ下10以上で視点選択
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 21:36:44.59 ID:5surK1xDO
はい
718 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 21:40:32.18 ID:KTfiYugrO
※視点選択

1 愛結視点
2 亜衣視点
3 城視点

2票先取
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 21:42:19.70 ID:x2Wu22Bq0
3
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 21:43:03.70 ID:h3tr86pDO
2
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 21:44:44.57 ID:5surK1xDO
3
722 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/21(木) 21:46:59.31 ID:KTfiYugrO
今日はここまで。
723 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 09:42:01.93 ID:OKuNF/+/O
【6月30日、14時12分】


やはり、そう上手くはいかないか。僕はふう、と息を吐いた。あまりにこの1ヶ月と少しの間に、僕らには色々なことがありすぎた。
ヤクはゴール地点でキャップを脱ぎ、僕の方を見て苦笑した。自己ベストからは遠く及ばないけど、3位ならそう悪い結果でもない。
世界水泳の代表に選ばれるチャンスは、まだ全然あるのだから。

その時だった。


「GYAAAAAAAッッッッ!!!!!」


プールの向こうから、誰かの絶叫が聞こえる。凄く、嫌な予感がした。

「すみませんっ、席、外します」

ヤクのお父さんに告げ、僕は悲鳴がした方に駆け出す。プールを出る扉のところは、既に野次馬でごった返していた。一人、誰かが逆方向に向かったのが分かった。

「ちょっと、通して下さいっ」

無理矢理に人をかき分ける。……そこには、首が捻れた制服の人と、うつ伏せに倒れてる汚れたTシャツの男がいた。
5歳ぐらいの女の子が、必死に「ガムテープはありませんかっ!!?」と叫んでいる。運営が、慌てて彼らの方に走っていった。

「これはっ、何かあったんですかっ!??」

大学生風の青年に訊くと、彼は「分からない」と身体を震わせた。

「……悲鳴があって、外に出たら2人が倒れてた。で……子供が2人いて……片方はさっき、プールの方に戻っていったけど」

青年の隣にいた女性が、うんうんと頷く。

「よく分からないけど、あそこの男の人を何かで撃ってた。……名探偵コナンを、大きくしたような……そんな子だった」

「ああ、そうそう!マジで劇場版コナンみたいな感じだったな!んであの親父が、あの小さな子に掴みかかろうとしてたんだよ。
そしたら何かを投げつけて……現実味が全然なかったな。映画か何かみたいだ」

藤原湖南だ。そうすると、あの男は……和人のお父さん??

女の子が運営に泣きながら指示してる。女の子のお母さんらしき人もやって来て、必死に何かを話しているのが分かった。
遠くから、救急車とパトカーのサイレンが聞こえてきた。もう、記録会どころじゃない。

※コンマ下30以上で電話が鳴る
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 10:02:44.57 ID:iQZDrMSDO
はい
725 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 20:35:32.20 ID:cpWVi/JHO
ポケットの中でスマホが震えた。非通知……多分、彼だ。

「もしもし」

『僕だ。鶴岡次郎は』

やはりあれは藤原湖南の仕業だったのか。

「倒れてる。君が殺したのか」

『殺しちゃいない。気絶しているだけだ。むしろ、あそこから起きないかを心配してる。
それに、僕は大したことをしてない。あの子──宮原亜衣に感謝すべきだ。あそこまでやれるとは、想像してなかった』

宮原亜衣?聞いたことがない。

「誰だ、その人は」

『毛利刑事の代理さ。……覚醒者とはいえ、随分な無茶をさせるよ』

僕は視線を女の子に移した。お母さんと思われる女性にしがみついて、わんわん泣いている。あの子が?

「彼女がやったってのか?幼稚園児にしか見えないぞ?」

『彼女も警察らしくてね。なかなかなもんだよ。後は警察に任せればいい。
ただ、少々派手に暴れ過ぎた。僕も『その時』が来るまでは、しばらく大人しくしなきゃいけないかもな。
……電話したのは、この件だけじゃない。お前に話しておかなきゃいけないことがある。
……鶴岡和人が、昨日死んだ』

頭をガンと殴られたような衝撃が走った。……そんな。

「嘘、だろ」

『……残念ながら、本当だ。手遅れだった。……すまない、と言うべきなんだろうか』

手が激しく震えた。和人は友達じゃない。でも……同じアイスキャンディの中毒者として、死んでほしくはなかった。

「……どう、やって、死んだ?」

『……苦痛は感じなかったはずだ。もう、痛みを感じることもなかっただろうから』

目から涙が溢れ、僕はその場に崩れ落ちた。

『……鶴岡次郎は、和人の死は知らない。だが、午前には逮捕されてた光輝も死んだ。大和の死を受け入れられず、完全に発狂した結果だそうだ。
息子たちを全て喪ったんだ。……怒りは僕がはかり知れるものじゃない』

歪む視界の向こうで、和人のお父さんが拘束されようとしていた。制服の警官が、走ってやってくるのが見えた。

※コンマ下30以下で???
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 20:39:28.41 ID:Pl5nrk/j0
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 20:47:03.67 ID:5ZjnhGnMO
こい
728 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 20:50:39.14 ID:cpWVi/JHO
気絶しているところに手錠がかけられた。担架が運ばれて来るのと同時に、ブルーシートでその場が覆われた。
……もう一人、倒れていた人は……殺されたのか。

「……う、うおぉえぇえっ」

強烈な吐き気が襲った。僕がいたのは、疑いなく……殺人現場だった。
「あの男」を殺した時も、ホームレスを殺した時も、こんな気持ち悪さは感じたことがなかった。……ただただ、恐ろしさを感じた。

『……大丈夫か?』

「……い、いや……ごめん、気持ちが、混乱してる」

『……お前も人の心が戻ったってことか。
1700に、鶴ヶ島の駅で待ってる。余裕があったら来い。今後の話をする』

電話が切れた。僕は、しばらくその場でしゃがみこんだまま、動けなかった。
729 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 20:59:19.93 ID:cpWVi/JHO
【6月30日、15時06分】


記録会は中止になった。横浜国際プール場の前は、パトカーとテレビ局の車でごった返していた。
この前、学校に和人のお兄さんが来た時より、さらに多い。

「ジョー……大丈夫?」

「大分、落ち着いた。平気さ」

ジャージ姿のヤクが、心配そうに僕を見る。もちろん、嘘だ。平気でなんか、いられるわけがない。

「今日はもう帰ろう。ホテルでゆっくり休むことが、英華にも君にも何より必要だ」

ヤクのお父さんが、肩に手を置いた。裏口から駐車場に向かう。記者が何人か待ち構えてたけど、問い掛けは全て無視した。

※コンマ下50以下で追加イベント
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 21:01:58.90 ID:iQZDrMSDO
はい
731 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 21:10:46.66 ID:cpWVi/JHO
#

ワンボックスカーに乗り込み、僕らは浦和のホテルに向かう。和人の親族が僕らを襲うことは、もうない。……多分。
湖南は17時に鶴ヶ島駅で、と言っていた。真っ直ぐ浦和駅に向かうなら、まず間に合わない時間だ。一度、和光市駅辺りで降ろしてもらう必要がある。

※重大選択肢です。3票先取

1 ホテルに戻る
(作戦決行は遅れるか城抜きになる、城の生存可能性は大きく高まる)
2 和光市駅で降りる
(作戦決行に向け動き始める、判定(成功確率低〜中)に失敗で鬱ルートへ)
732 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 21:12:56.33 ID:cpWVi/JHO
>>593が参考になるはずです。
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 21:28:37.88 ID:iQZDrMSDO
1
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 21:51:20.14 ID:xoudI6lY0
1
735 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 22:14:19.58 ID:cpWVi/JHO
上げます。
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 23:23:35.96 ID:qKPA/agt0
1
737 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 23:36:01.02 ID:o9KrMURfO
「和光市……」

「ん?どうかしたか」

口に出し掛けて、僕はやめた。……とても、そんな気分じゃなかった。
和人がどんな気持ちで死んでいったのか。お兄さんたちはどうだったのか。……そして、お父さんは。考えれば考えるほど、気分は沈んでいく。

翔一を何とか止めないといけないのは分かってたけど、前向きな気持ちには、今はなれない。今はただ、部屋にこもっていたかった。

「……何でもないです」

「ジョー……」

ヤクが僕の手を握った。そこに熱い水滴が、一粒落ちる。それは段々と増えていった。

「うっ……くっ……ああっ……!!」

彼女が僕を抱き寄せる。僕はただ、ホテルに着くまで静かに泣いていた。
738 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 23:44:14.98 ID:o9KrMURfO
#

部屋に戻り、僕はベッドに寝転がった。涙は止まったけど、虚脱感しかない。何もする気が起きなかった。

和人は、どこで間違えたのだろう。お兄さんたちは?ひょっとしたら、和人の容態を知ってて、奪い返しに来たのかもしれない。
自分たちなら救えると思って……あるいは、そう言いくるめられて。
そして、力ずくで和人を奪おうと、アイスキャンディを飲んだ。……それは、最悪の結果を生んでしまったのだけど。

もし、僕が和人の家族だったら、どうしただろうか。……分からない。
僕の家族は、父さんが死んでからなくなってしまったから。
だから、そこまで強く家族を思える彼らは、羨ましかった。救われて欲しかった。

※コンマ下20以上でイベント開始
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 23:45:50.34 ID:iQZDrMSDO
はい
740 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/22(金) 23:47:00.23 ID:o9KrMURfO
※ノックの音

今日はここまで。
741 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 10:31:30.03 ID:xwfXMTYcO
コンコン

ノックの音がした。動く気力はない。僕はそれをやり過ごすことにした。

コンコンコン

しつこいな。無理矢理身体を起こす。

「……静かにしてくれないか?」

ドアを開けると……

※コンマ下
01〜20 仁
21〜90 英華
91〜00 仁と英華
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 10:41:41.87 ID:GJSQT5jU0
はい
743 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 15:13:18.11 ID:qF+voeL2O
ドアの向こうには、申し訳なさそうに俯くヤクがいた。

「ゴメン……邪魔だったかな」

「い、いや。どうしたの?」

「……少し、話せないかなって。ジョーのことだから、今日のことで悩んでるんじゃないかって思ったんだ」

「……まあ、入ってよ」

断ろうかと一瞬思ったけど、彼女を招き入れることに決めた。部屋には西日が射し込んでいる。

「何か、飲む?」

「……麦茶とかあったら」

コップに麦茶を注ぎ、窓際に座る彼女に出す。ありがと、と一口飲んだ。小麦色の肌が日に照らされ、少し輝いて見える。

「……ごめん。こんなことになって」

「ジョー……」

僕はその言葉を絞り出すだけで精一杯だった。僕がいなければ、和人のお父さんは横浜には来なかっただろうし、人が死ぬこともなかった。
もちろん、記録会が中止になることだってなかったはずだ。

※コンマ下
01〜20 無言のまま
21〜70 責めてるんでしょ、また
71〜00 ねえ、目をつぶって
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 15:32:48.53 ID:4TzJhilR0
えい
745 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 15:53:21.38 ID:qF+voeL2O
「……自分を責めてるんでしょ。また」

真っ直ぐにヤクの目が僕を射抜く。

「……どういうことだよ」

「……昔は分からなかったけど……今なら分かる。あたしを付け回してた、渡辺さんのお兄さん。ジョーが彼を殺してたと知って、ショックだったけど……。
何であの後、ジョーがあたしから距離を取ったか、やっと分かったんだ。ああいう手段でしかあたしを守れなかった自分を、責めてたんじゃない?」

麦茶が入ったグラスを握る手が、汗で濡れていく。

「……だから、どうしたんだよ」

「必要がないことまで抱え込んで、悩んで、苦しんで……それでいいの!?」

ヤクの語気が強くなった。目から流れた水滴が、夕日で光っている。

「……今日のは、僕がいなかったら、起きなかったことだ。和人の家族は……僕がいなかったら生きてたはず」

バシンッ!!

頬を鋭い痛みが襲った。それが、ヤクの平手打ちによるものと知るまで、数秒かかった。

「思い上がらないでよっ!!ジョーがいなくっても、あれは多分避けられなかった!!
何で自分を責めるのよ!!責めたり悩んだりする前に、何で誰かに話さないの??……お願いだから、あたしをもっと、頼ってよ……」

ヤクが泣き崩れる。僕は唇を噛んだ。

※コンマ下
01〜30 考える、時間をくれないか
31〜90 ……頼り方を、知らないんだ
91〜00 上+α
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 15:54:56.64 ID:XDC3htmDO
はい
747 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 16:15:40.16 ID:qF+voeL2O
「……頼り方を、知らないんだ」

「……えっ?」

僕は麦茶を一口飲んだ。

「気が付いたら、父さんが死んでて。あの母親は僕を見ないようになった。家族なんて、僕にはなかった。
その代わり、勉強したんだ。……一人で生きていけるようにって。何もかも、僕は自分で決めなきゃいけなかった。
渡辺の時もそうだ。学校の先生は、まるで頼りにならない。警察だって、ちゃんと動いちゃくれなかった。……毛利刑事みたいな人は、本当に少ないんだ」

ヤクは目をじっと見ている。それに気圧されそうになるのを、なんとか耐えた。

「……だから、僕は……渡辺を殺した。そうするしか、思い付かなかったから。
ヤクは知らないだろ?あいつが、ヤクに何をしようとしてたか。監禁して、犯して、嬲って……渡辺の一家はぶっ壊れてたけど、あいつは特に、壊れてた。
ヤクを守るなら、それしかないと思ったんだ」

「……言ってくれれば……あたしの父さんだったら、きっと何とかしてくれたと」

「……それは分からない。ただ、そうしてたらヤクのお父さんに危害が加わったかもしれない。
翔一があの件を盾に僕を脅すまでは、それしか選択がなかったと思ってた。……でも、もっといい結末は、あったかもしれない」

部屋には空調の音だけがあった。しばらくして、ヤクが「ねえ」と口を開いた。

「……あたしは馬鹿だから、ジョーがどうしたら良かったかは分からない。
……でも、少なくともこれからは、頼れる相手がいるんじゃない?」

唇を噛みながら、ヤクがじっと僕を見た。……僕は。

※コンマ下
01〜30 そう、なのかな
31〜80 いいの?
81〜00 上+α(EDに関わります)
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 16:21:49.51 ID:4TzJhilR0
えい
749 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 21:50:20.59 ID:sJ2azYncO
「……いい、の?」

ヤクが泣きながら微笑んだ。僕は彼女の胸に飛び込む。

「あ、あああああ……!!!」

彼女が嗚咽にむせぶ僕の頭を撫でる。

昔、こうやって泣いたことがあっただろうか。
誰かに体を預け、感情を吐き出すだけ吐き出すことで、これだけ心が楽になるなんて。


もし、母が「壊れて」なければ……僕の人生は違ったのだろうか。


「大丈夫、大丈夫だから……」

ヤクが小さく呟いた。

……僕の人生は、まだ終わってない。後1年と毛利刑事は言っていた。けど。
本当にそうなるかは、誰にも分からない。


そうだ。まだやり直せる。


#

どれくらい泣いていただろうか。頭を上げると、日は落ちかかっていた。
ヤクはずっと、僕の頭を撫でていたようだ。

「……もう、大丈夫だから」

今度は僕が彼女の身体を抱き寄せた。「うん」と小さくヤクが頷いた。
潤んだ瞳に吸い寄せられるように唇を合わせる。数秒唇を重ね、身体を離した。

そう言えば……そろそろ「しない」とマズいのだったか。
昨日は、和人のお兄さんの件で、そういう気分にはなれなかったけど。

「ごめん、こんなことを言うのもなんだけど……する?」

※10以上で英華が受け入れる




750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 21:56:22.80 ID:HSl2DZiZ0
751 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 22:42:36.39 ID:sJ2azYncO
ヤクの顔が赤くなった。

「そ、そうだね。……火曜に、したっきりだし。
あたしはよく分からないけど、男の人って、その……溜まると辛いんでしょ?」

僕は思わず吹き出した。

「いや、そういう問題じゃな……いや、そういう問題か。
でも、お父さんやお母さんは?」

「多分帰るのは夜。それまでに晩御飯食べてれば、大丈夫だと思う」

ふふっと、互いに笑いあうともう一度唇を重ねた。今度は深く、舌を挿れて。

#

その日は久々に、まともに眠れた気がした。

※90以上で???
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:46:45.78 ID:XDC3htmDO
はい
753 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/23(土) 22:55:00.63 ID:sJ2azYncO
※仁パートに移行します

今日はここまで。
754 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 11:30:09.50 ID:dq9CnUuIO
【6月30日、15時31分】


「そうか……本当にすまなかった」

俺は俯いた。……こんなことになろうとは。
鶴岡次郎の暴走を考えてなかったわけではない。ただ、動くとすれば城と薬師丸が一緒にいる時を狙うかと、甘く考えていた。
自棄を起こして無差別殺人に動こうとしていたのは、完全に俺の見立て違いだった。

『仁さんが謝らなくても……それに、亜衣も無事でしたし』

「しかし危険に晒した。無茶をさせてしまった。詫びを言いたいが、彼女は」

※コンマ下70以上で起きている
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 11:44:53.81 ID:qgZjl7cx0
756 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 11:58:45.50 ID:dq9CnUuIO
『まだ起きてる。かなり辛そうだけど……』

向こうから亜衣の声がする。電話相手が代わった。

『……仁さん』

「すまなかったっ……!!俺が行ければ、こんなことにっ」

『いえ、いいんです。結果的に、最小限の被害で済みましたし……死者が出てしまったのは、悔やまれますけど』

「だが、アイスキャンディで暴走した相手をお前にさせることになったのは、俺の落ち度だ。
お前が無事で、本当に良かった……!無傷だったのは、奇跡に近いんだぞ」

『自分でも驚いてます。……今でも震えが、止まりません。冷静にと思ってても……軽いパニックになってしまった……』

亜衣の声は沈んでいる。アイスキャンディを飲ませることを許し、強く後悔しているのだろう。
だが、俺が行ければそんなことはなかったはずだ。責は、作戦を立案した俺にある。

「とにかく休めっ。『表』に出る時間が長くなったとはいえ、精神への負担は大きいんだろう?」

『……ええ。仁さんの方の進展は』

※コンマ下
01〜30 全くだ
31〜60 スマホが見つかった
61〜90 スマホが見つかった。それと、詳しい状況も
91〜00 手遅れになってしまったが……一応、佐倉に近付けるかもしれない
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 12:03:34.61 ID:b1SEyfn/0

はい
758 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 12:22:11.12 ID:dq9CnUuIO
「一応スマホが見付かった。解析を急いでる。それと、聞き込みの結果、状況も分かってきた。
城の家に鶴岡大和を送り込んだのは、鶴岡次郎でほぼ間違いない。目撃証言があった」

『……城を逆恨み?』

「その前に佐倉をと思うんだがな。大方、『城が一緒に足抜けしようと鶴岡和人をたぶらかし、それで行方不明になった』とか言われたんだろう。
で、アイスキャンディを佐倉からもらい、凶行に走ろうとした。
美しい家族愛……とは言い難いな。犯罪に手を染めてしまっては、美談にはならん」

『でもどうして、鶴岡次郎は大和を置き去りに』

「全てが終わったら、拾うつもりだったんだろう。そっちに鶴岡次郎の車があれば、こちらの証言内容と照合できる。
想定外に鶴岡大和が包囲され、それで打つ手がなくなったという可能性が一番高いな。
そして、今日鶴岡光輝が死んだと知り……鶴岡次郎は暴走した」

『……どこまで、佐倉はこれを読んでたんでしょう』

「さあな。……ただ、全くノーケアだったとは考えにくい。そうなると……いささか妙だな」

話していて、違和感があった。戦力増強のために鶴岡一家を引き込んだのに、もはや全滅だ。戦力の逐次投入は、悪手であることが多い。
佐倉は、ただの愚か者なのか?それとも、まだ何か隠しているのか。

※コンマ下80以上で??
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 12:27:35.67 ID:AodOpCGDO
はい
760 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 12:46:54.88 ID:dq9CnUuIO
……正直分からない。鶴岡和人には12歳の妹がいたはずだが、彼女では戦力にはなり得ないはずだ。

……何を考えている?

『妙、ですか』

「ああ。だがまだ情報が足りない。……藤原は」

『急いで去ってしまいました。警察に聴取されると面倒だ、とも』

「お前もそうなるんじゃ?」

ハハハ、と亜衣が笑った。

『誰も5歳児が取り押さえたなんて思いませんし、それにそろそろ限界です。事情聴取があっても、『5歳の私』では」

「違いない。これからどうする?」

『一度家に帰ろうかと。明日は、白田さんの所に行くつもりでしたが』

「なるほど、な」

藤原が向かう先は、アジトか兵さんの店だろう。今後の話し合いなら、そっちに行ってもいい。
幸い、聞き込みにはメドが立っていた。まだ相当忙しいが、誰かに仕事を頼めば、夕方以降には行けるはずだ。

ただ、鶴岡次郎の様子も見たい。怪我をしている場合、逮捕の前に警察病院に運ばれる。確か、みなとみらいにあったはずだ。

※仁の向かう先は……
※2票先取

1 白田兵次郎の店
2 みなとみらいの警察病院(けいゆう病院)
3 県警本部でスマホなどを調べる
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 13:07:34.67 ID:b1SEyfn/0
2
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 13:17:26.32 ID:AodOpCGDO
2
763 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 16:01:43.86 ID:Q3uUO66oO
「俺はこれからみなとみらいに行こうと思う。横浜の事件である以上、鶴岡次郎は『けいゆう病院』に運ばれるはずだ」

『『けいゆう病院』……警察病院、ですよね』

「ああ。怪我の程度は」

『外傷は、鼻を折っている程度でしょうね。問題は、アイスキャンディの影響。
発狂してましたし、あまり楽観はしない方がいいかと。藤原湖南がテーザーガンを2発撃ったのもありますし』

「……まあ、事情聴取に参加することができなくても、神奈川県警から話を聞ければ十分だな。
問題は、『神奈川県警である』ということだが」

亜衣が苦笑するのが聞こえた。

『『無能の神奈川』ですか。今も昔も変わりませんね』

「あまりこの件を連中には任してはおけない。警視庁が口を出すと思うんだがな」

頭の中に小柄な眼鏡の男が浮かんだ。兵藤は兵藤で、こちらに対しさほど協力的ではない、という問題があるのだが。
764 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 16:20:08.63 ID:Q3uUO66oO
【6月30日、17時11分】


「しかし、わずか数日で鶴岡家はほぼ全員死んじまった、ってわけか。
俺も連中は嫌いだったが、哀れだな」

渋い顔をしながら赤木警部が車外を見た。あと数分で、目的地のみなとみらいに着く。

「俺も亜衣から聞いた限りですが……。鶴岡和人も、アイスキャンディの後遺症で昨晩死んだらしいです。
あれだけ世間を騒がせていた3人が、こんなに短期間に死んだのを見ると……まるで打ち合わせたかのようだ」

「後を追うように次々と、か。試合結果は嘘でも、家族愛だけは本物だったんかねえ。
しかし、あの一家に生まれてみたいかと言われたら、やっぱノーだわ」

「同感です。……そろそろ着きますよ」

歩道は観光客とカップルで溢れている。この一角に、警察病院があることを知る人は驚くほど少ない。
一応一般人も受け入れているし、名前も警察病院ではないから、それも当然と言えば当然だが。

#

「埼玉県警捜査一課の赤木だ。こっちは毛利。今日こっちに運ばれてきた、鶴岡次郎に面会したい。
鶴岡大和の担当刑事と言えば、話は通るだろう」

受付で警察手帳を見せる。

※コンマ下
01〜25 面会謝絶です
25〜50 「面会謝絶です」「埼玉県警か」
51〜70 「面会謝絶です」「赤城警部じゃありませんか、それに毛利刑事も」
70〜85 一応、通してよいと。6階です
86〜00 さっき、警視庁の方も来られましたね。6階です

765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 16:22:55.78 ID:gm/lgLXI0
766 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 16:43:31.58 ID:Q3uUO66oO
陰気そうな中年の看護師が無感情に告げた。

「一応、通してよいと。6階の611号室です。
神奈川県警の氷川警部と、保科警部の同伴が必要ですが」

意識はどうやら戻っているらしい。エレベータ―に乗り、6階に向かう。
制服警官が何人もいるエリアを向け、その片隅にある個室のドアを叩いた。

「どうぞ」

ダミ声が聞こえた。中に入ると、猫背気味の小男と、神経質そうな細身の男がいた。
警察手帳を見せると、小男が一歩前に出てきた。

「氷川です。ども。鶴岡大和の担当らしいですな?」

「まあ、一応。メインはこっちの毛利がやってますがね」

氷川が訝しげな表情になった。

「こっちのが?あんたが係長でしょ、普通メインはあんたじゃ」

「諸事情ありましてね。ずっとこの案件を追ってる」

俺は右手を差し出した。

「毛利仁警部補です。よろしくお願いします」

「氷川隆夫警部だ。しっかしまあ、分からんことが多過ぎますなあ」

「……ですね。鶴岡次郎は、奥に」

「ま、一応」

※鶴岡父の容態、コンマ下
01〜20 幼児退行
21〜60 黙秘中
61〜90 黙秘中、ただ情緒不安定
91〜00 さめざめと泣いている
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 16:54:44.21 ID:orx9kWtr0
768 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 17:19:00.08 ID:Q3uUO66oO
カーテンを開けると、拘束衣を着させられた鶴岡次郎がいた。
俺が入ってきたのを見て、一瞬凄まじい剣幕で睨んできたが、言葉は発しない。

「終始黙秘、ですな。よく分からん薬物反応は出てたが、それはご存知で?」

「ええ。少し、席を外してもらえますか?多分、俺たちだけの方が話が訊けると思うので」

長身の男が険しい表情になった。

「僕たちを信用しないと?聞かれてマズいことでも?」

「そういうわけじゃない。ただ、非常に難しい問題もある。
このヤマは、単に鶴岡家が狂ったという話じゃない。もっと遥かに根が深い」

「これは俺たちのヤマ、ってことか?さすがに聞き捨てならないな」

長身の保科という警部が迫ってきた。歳は若いが、キャリアだろうか。

※コンマ下
01〜40 さすがにそれは飲めませんなあ
41〜95 ここは引こうじゃないか、保科君。面倒事は人にやらせよう
96〜00 保科君、君だけ引いてくれないかね?
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 17:23:22.44 ID:AodOpCGDO
はい
770 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 18:43:57.19 ID:Q3uUO66oO
氷川が俺と保科の間に入った。

「まあここは引こうじゃないか、保科君。面倒事は人に任せよう」

氷川はそう言うと、ウインクして部屋を去っていく。赤木警部が額に皺を寄せた。

「何だあの野郎、やる気ねえな。『無能の神奈川』らしいわ」

「いや、意外と勘が働く男なのかもしれません。彼らが出てこない方が、確かに捜査はしやすいですから」

俺は鶴岡次郎を見下ろした。

「一応、言っておく。俺はアイスキャンディのことも佐倉のことも知っている。なぜお前が横浜国際プールに来ていたのかも、大体は見当が付いている」

※3票先取
1 その前に言っておく。鶴岡和人が死んだ、らしい
2 今日の件は、佐倉の指示か
3 一番下の子はどうした
4 アイスキャンディが何かは、聞いてるか
5 自由安価
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 19:15:24.63 ID:Wmq+DlZDO
2
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 19:15:24.64 ID:QaNXLnVt0
3
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 20:05:33.56 ID:s81fkJr5O
2
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 20:07:34.96 ID:s81fkJr5O
773訂正
2→3で。
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 20:15:59.67 ID:AodOpCGDO
3
776 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 21:26:21.73 ID:Q3uUO66oO
鶴岡父は、俺を睨んだまま動かない。

「……一つ聞こう。お前の娘はどうしている?」

※コンマ下
01〜05 発狂
06〜40 目にわずかの動揺があるが、喋らない
41〜70 それを聞いたから、何になる言うんや
71〜95 あ、あの子だけは手を出さんといてな、な??
96〜00 ……なあ……頼みがあんねん
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 21:28:41.47 ID:wQmLhjg50
はい
778 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 21:34:41.79 ID:Q3uUO66oO
「……それを聞いたから、何になる言うんや」

敵意に満ちた口調で、鶴岡父が口を開いた。

「いや、ただ心配なだけだ。確か、鶴岡和人の2つ下、小学6年生だったはずだ。
光輝、大和の死、そして和人の失踪。堪えてないわけがない。……彼女は今、群馬県水上市だな」

※コンマ下
01〜05 ハハハ、と乾いた笑いがあった
06〜50 沈黙。しかし動揺している
51〜95 何で、それを
96〜00 何で、それを……!!?なあ、頼みがあるんや
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 21:42:59.36 ID:AodOpCGDO
はい
780 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 21:55:10.40 ID:Q3uUO66oO
沈黙。しかし、額には汗が流れている。動揺しているのは確かだ。

「沈黙は肯定と取るぞ。問題は、今彼女がどういう状況下に置かれているか。そして佐倉が彼女をどうしようとしているかだ。
鶴岡光輝については、恐らく佐倉の指示だろう。……大和やあんたがどうかは、やや怪しいが。
アイスキャンディを飲ませ、鶴岡和人を奪回。あるいは城や薬師丸英華の殺害か誘拐。それが狙いだったと、俺は踏んでる。
だから、彼女が上2人と同じように使われないとも限らない。……それはあんたにとっても、最悪のシナリオのはずだ」

鶴岡父はなおも黙っている。

※コンマ下
01〜10 手遅れ、なんや
11〜40 何でそこまで知っとるんや
41〜60 ……何やて
61〜90 それは……間違っとる。
91〜00 鶴岡父がハッとしたように固まった
781 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 22:18:51.76 ID:Q3uUO66oO
上げます。
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 22:19:12.60 ID:LJYNRJI30
783 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 22:48:15.68 ID:Q3uUO66oO
「……何やて」

鶴岡父の表情が青ざめていた。そこまで考えが及んでなかったのか。

「一応どこまで知ってるか分からないが、言うぞ。アイスキャンディは、ただの麻薬じゃない。
飲めば全ての能力を倍化させる代わりに、寿命を著しく縮める。常用してたら、廃人になって死ぬまであっという間だ。
まして、あんたが飲んだ新型。今あんたが普通にしゃべっているのが驚きという程度には、脳への負担がでかい。
佐倉には『夢の薬』と騙されたんだろうが……その実は最悪の薬だ」

目の前の男は口をパクパクさせている。現実を受け入れきれてないのだ。俺は話を進める。

「ここからが本題だ。アイスキャンディをもし、あんたの娘が飲まされたら??
性欲処理のためにしても、あんたら同様『生きる爆弾』に使うとしても、どちらにせよ人生はメチャクチャだ。
彼女は男3人のように、世間様から嫌われたわけじゃない。ごく普通の少女だ。俺たちも、できるなら救いたい」

※コンマ下(これで大体の方向性は決まります)
01〜20 嘘や、嘘やっ!!
21〜35 んな、アホなっ!!なら和人は、和人はどうなってんねん……!!
36〜65 .んな、アホなっ……!!じゃあもうっ……!!
65〜00 …… 頼みがあんねん
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 22:49:53.53 ID:wQmLhjg50
はい
785 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 23:06:47.76 ID:Q3uUO66oO
「んな、アホなっ!!じゃあ、もうっ……!!」

俺は目を閉じた。……残酷なことを。

「……やっぱり、飲まされてたか」

性欲処理用か、という言葉を俺は飲み込んだ。あまりに刺激が強すぎるからだ。

「佐倉ってのが、皆に渡したんねん。で真姫が最初に飲んで、えらい強くなったねん……。それで、これなら行けると……」

ダンッ

赤木警部が机を叩いた。拳が震えている。

「よりによって、飲んだのは新型かっ……!!それで、今どうしてるっ!!」

※コンマ下15以上なら水上にいる
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:11:39.04 ID:AodOpCGDO
はい
787 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 23:23:31.37 ID:Q3uUO66oO
※再判定、鶴岡妹が行った場所は……

01〜20 浦和
21〜50 水上山中(後遺症で死亡)
51〜90 日比谷(1日以降に動きあり)
91〜00 日比谷(???)
788 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 23:25:06.78 ID:Q3uUO66oO
コンマ下です。
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:25:53.34 ID:huQhXb3D0
790 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 23:36:51.82 ID:Q3uUO66oO
「……多分、別荘にはおらん。今朝の真姫は、わしが出る時に酷く具合が悪そうやったんや。脚がフラフラして、熱も酷そうで。
それで、矢向はんが、病院に連れていくって……そこからは、連絡が来とらん」


……そんな、馬鹿な。

アイスキャンディ、それも新型の反動は子供にはあまりに大きすぎたのだ。
もちろん、治す術はない。それに、アイスキャンディのことが露呈される以上、病院なんかに連れていけるはずもない。


そうなると、恐らくは……鶴岡真姫は始末された。……兄妹4人、全員この2日で死んでしまったのか。


鶴岡次郎に、内心の動揺を悟られてはいけない。もしそうなれば間違いなく、「良くて」発狂だ。
この事実は、少なくとも今日は、隠し通さなきゃいけない。……佐倉に辿り着くためにも。


※コンマ下3までの総和が150以上ならそのまま会話進行
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:43:06.73 ID:AodOpCGDO
はい
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:45:21.25 ID:LJYNRJI30
そい
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:46:06.19 ID:s6rpZ83uO
せい
794 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/24(日) 23:55:47.97 ID:Q3uUO66oO
「……ちょっと、何やその表情は。何か知っとんのか!?なあっ!!」

鶴岡次郎が必死の形相で叫ぶ。……悟られてしまった。

だが、ここで本当のことを話しても、分かってくれるはずもない。真実を話した結果は、鶴岡光輝で実証済みだ。

俺はどうすればいい??

※0000からの多数決、3票先取

1 そのまま無言で立ち去る(取り調べ終了、鶴岡父発狂確率小〜中だが、再会不可)
2 全てを話し、怒りの矛先を何とか佐倉へと向ける(発狂確率90%、全て上手く行けば最善)
3 鶴岡妹の病状が深刻だと嘘をつく(発狂確率中程度の判定を複数突破する必要あり)
4 自由安価(歓迎します。何かよりリスクが低い方法があるかもしれません)
795 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 00:15:28.10 ID:TOM7Tg4sO
多数決を開始します。0900ぐらいに一度更新できればいいですが。
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 00:22:53.29 ID:KiIFZ7UDO
3
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 00:28:00.21 ID:hJotxLv20
3
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 00:46:20.34 ID:5L7vawwDO
3
799 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 09:42:20.64 ID:dc3jnX97O
……真実は伝えられない。ならば、せめてもっともらしい嘘を。

「……かなり深刻な状況だ。アイスキャンディの反動は大きい。効果が切れた後に高熱など激しい禁断症状を呈する場合が多いんだ。
お前もじき、体験することになるが……適切な処置をしないと、危ない」

「嘘や……!!!なあ、助ける方法はないんか!!?」

ない、とは言えない。だが、俺は言葉に窮した。

新型の反動で生きるか死ぬかは五分と五分だ。次郎はまだこうして喋れている分、発狂さえしなければなんとかなるだろうが……高熱は、危険な症状の典型だった。
それに、矢向の行動からして、もう娘はこの世にいない可能性が極めて高い。

「……然るべき病院に行けば、何とかなる、かもしれない」

嘘を吐くしか、選択肢はなかった。

※コンマ下
01〜45 嘘や嘘や嘘やぁぁああ!!
46〜70 嘘や……それなら、和人も
71〜95 そうなん、か……なら、和人も
96〜00 そうなん、か……
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 10:04:49.70 ID:7m9XbIyw0
はい
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 12:16:26.36 ID:njlpuYC40
惜しい
802 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 12:31:46.01 ID:u6YbKUurO
次郎の顔が、くしゃくしゃに歪む。

「嘘や……それなら、まさか、和人も」

「……!アイスキャンディを服用してたのは、知ってたか」

小さく鶴岡次郎が頷いた。

「サプリ、言うとってん……。決まって飲んだ後の動きはキレキレやった。ドーピングか思うとったけど、合法やって。
それに、ボクシングはドーピングに甘いから、何も言わんといたんや……!
なあ、和人を、助けてくれへんか!?後生や、あいつだけは、死なすわけにいかんのや……!!」

俺は思わず目を閉じた。

鶴岡和人の死は、確実に彼の精神を崩壊させるだろう。結果として、反動も誘発される。
光輝のような結末が鶴岡次郎に訪れるのは、容易に想像できた。

※コンマ下
01〜50 何や、その、間は
51〜90 ああ……分かった
91〜00 上+α
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 12:35:43.68 ID:9HiYbfNPO
804 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 12:45:32.89 ID:u6YbKUurO
「……ああ、分かった」

俺は何とか言葉を絞り出した。その約束が果たされることは、永遠にない。

「ほんまやな?嘘やったら承知せんで!??もちろん、真姫もや……もう、家族がいなくなるのは、嫌なんや……」

次郎が「うわあああ……!!」と号泣し始めた。赤木警部が俺を見て、静かに首を振る。

あまりに真実は残酷で、救えない。いつか彼が真実を知ったなら、どうなってしまうのだろうか。
……いっそこのまま逝った方が、まだ楽かもしれない。考えてはいけないことだが、しかし恐らくはそうだった。

※コンマ下15以上で通常ルート(鶴岡父の生存判定はここまで)
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 12:49:47.37 ID:njlpuYC40
806 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 13:01:40.24 ID:u6YbKUurO
#

次郎が落ち着くまで、どれぐらいかかっただろうか。頃合いを見て、俺は切り出す。

「……とりあえず、鶴岡和人の捜索願は出してもらう。お前が殺人、ないしは傷害致死の容疑者であっても、それはできるはずだ。
それと、鶴岡真姫に対する未成年者略取での被害届も。さすがに、もう佐倉を信用はできないだろう?」

「……頼んます……」

「話はここで聞いたが、多分代理人を立てる必要がある。手続きまで2、3日はかかるだろうが、これで俺たちも動けるだろう。
案件は、こちらで引き受けた。……約束だからだ」

弱々しく、鶴岡次郎が首を縦に振った。

※1900まで自由安価での追加質問を受けます。なお、特になければ軽い判定を挟んでコナンパートです。
※質問内容次第では、鶴岡父の死亡判定が復活しますので注意
807 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 18:14:55.08 ID:yLzxJ8tFO
上げます。
808 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 19:10:06.51 ID:yLzxJ8tFO
#

部屋を出ると、氷川がにやついた顔で待っていた。

「……盗み聞きですか」

「いやいや、随分長かったって感じですな。一応言っとくが、鶴岡の泣き声くらいしか聞こえてない。安心して捜査してくださいな」

「なかなか舐めた男だな?おい」

赤木警部が凄んだ。氷川は笑みを崩さない。

「これ、おたくのヤマなんでしょ?ならおたくがやるのが筋でしょう」

「だが鶴岡の親父がやった殺しはお前らのヤマでもある。やることやんねえから『無能』言われてんの分かってんのか?ああっ?」

※コンマ下
01〜70 僕は無能で結構
71〜90 そちらの彼は、分かってるようですな?
91〜00 上+一つ、聞きたいことがあるんですよ
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 19:12:19.41 ID:7m9XbIyw0
はい
810 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 19:18:00.27 ID:yLzxJ8tFO
「僕は無能で結構。難しい事件は、優秀な刑事さんがやればいい」

けっと吐き捨て、赤木警部が踵を返した。

「仁、行くぞっ」

振り向くと氷川はそのままの様子でスマホを弄っている。……本当に無能なのだろうか。

※コンマ下
01〜05 久し振りっすね
06〜95 コナンパートへ
96〜00 おやおや、あなたたちも
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 19:22:43.11 ID:5L7vawwDO
はい
812 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 20:05:05.63 ID:yLzxJ8tFO
【6月30日、17時15分】


「来ないわね」

「……まあ仕方ないですね」

コナン君が隣で息をついた。ある程度が想定はしてたみたいだ。

「鶴岡の父親が暴走しては、城も心穏やかじゃないでしょう。毛利刑事もそっちで手一杯でしょうし」

「じゃあ、今日はこのまま帰る?白田さんのお店に行っても、あまり収穫はなさそうだし」

「……」

コナン君が悩んでいる。

※コンマ下
01〜30 そうしましょうか。
31〜90 行くだけ行ってみましょう
91〜00 いや、訊かなきゃいけないことがあった

※コンマ下2
01〜05 特殊イベント1
06〜10 特殊イベント2
11〜95 通常ルート
96〜00 特殊イベント3
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 20:07:25.24 ID:MY4xTnBgO
そいや!
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 20:17:58.86 ID:7m9XbIyw0
どれ
815 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 20:31:35.96 ID:yLzxJ8tFO
※待ち伏せはなし

「……そうしましょうか。明日仕切り直せばよいだけですし」

「確かに。家に帰って、ちょっと休もうか」


あたしたちは車に乗り込む。……確かに、今日は精神的にキツかった。
コナン君がプールから出ていった時は、心臓が壊れるかと思うくらい速く脈打った。心配で堪らなかった。
それに何より、鶴岡の父親がどういう気持ちだったを考えると、心が沈んだ。もう、息子たち3人は帰ってこないのだ。

コナン君は、電話で誰かと──多分網笠さんと話をしている。終始険しい表情だ。

「何だって?」

「派手にやり過ぎだ、と。ネットでは、目撃者の証言が出始めてるみたいですし」

「……それはまずくない?」

コナン君が額に皺を寄せたまま、スマホを弄る。

※コンマ下
01〜20 動画までアップされている
21〜40 コナン登場後の大立ち回りが文章で詳細にアップされている
41〜80 コナン登場後の大立ち回りが、簡単に文章でアップされている
81〜00 ごく簡単な概要のみ
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 20:38:38.21 ID:t0HtWpsR0
817 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 20:58:30.82 ID:yLzxJ8tFO
「結構詳細に書かれてますね……参ったな」

信号待ちの際にスマホを見せてもらう。「鶴0vsようぢょ&コナンレポ」というブログが、既にできていた。
流し読みすると、プロレスの実況風にコナン君と亜衣ちゃんの戦いが書かれている。

「……何よこれ。面白おかしく書いちゃって……!」

「全くです。ただ、表現に誇張はあっても、書かれてることは大体正しい。
網笠さんからは、2週間の謹慎を言い渡されましたよ」

「そんなっ!コナン君がいなきゃ、大勢死んでたかもしれないのに!」

コナン君が首を振る。信号が赤から青に変わった。

「バッドエンド・ブレイカーとして大事なのは、悟られないことです。
しかし、毛利刑事はともかく、警視庁やその他の警察が僕をマークする確率はこれで跳ね上がった。
ほとぼりが冷めるまで、黙ってろってことですよ。除名にしない分、まだ温情的だ」

「……じゃあこれから2週間、動けないってこと?」

「……そうなりますね。それまでに、どう佐倉を落とすかは考えないといけませんが……。
どこからか追加の戦力を調達されたら、それこそ骨です。きりがない」

夕日が眩しく、あたしは手で目を覆った。

「じゃあ、これからどうするの?また引きこもりは、ちょっと……」

コナン君と一緒にいられるのは嬉しい。それは色々な意味で、だ。
だけど、佐倉を何とかするという目的からは遠ざかっている。鶴岡一家をこんなにしたのは、間違いなく彼なのだ。

コナン君が目をつぶっている。

※3票先取
1 網笠さんの言う通りにしましょう
2 白田さんのとこに数日おきに通いましょうか
3 ……警察を頼りましょう。古畑玲
4 この際命令は無視です
5 自由安価
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 21:00:30.12 ID:KiIFZ7UDO
2
819 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 21:02:38.36 ID:yLzxJ8tFO
1はノーリスクです。しばらくコナンパートなしで話が進むだけです。ただ、プラスも何もありません。

2は白田と情報交換ができます。コンマ次第でさらなる進展があります。ただ通う際に若干のリスクがあります。

3は古畑に会えるか、会って協力が貰えるかです。もちろん、現状で古畑は敵でこそありませんが友好的でもありません。

4は強硬突破です。全てが上手く行っても、EDはベストではなくなります。

5は何かあるかもしれません。
820 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 21:35:10.05 ID:yLzxJ8tFO
上げます。
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 21:58:23.05 ID:5L7vawwDO
2
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 22:02:16.31 ID:ECoodR9oO
2+できるなら目撃されて騒ぎになるリスクを軽減するために変装する
823 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 22:39:56.97 ID:yLzxJ8tFO
「白田さんのお店に、数日ごとに通いましょうか。毛利刑事はもちろん、城も来るかもしれない。情報交換ができるのなら、そう悪くはない」

「でも、バレたら騒ぎになるかも。結構話題になっちゃってるんでしょ?そのブログ」

「……ですね。変装するのがいいけど、どうしよう」

コナン君のルックスは、確かに「あの」コナンによく似てる。蝶ネクタイを付けてもう少し小さかったら、ほぼそのままだ。

「まずは眼鏡だよね。普段は外せないの?」

※コンマ下
01〜30 結構な乱視なんですよ
31〜60 コンタクトが要りますね
61〜00 実はこれ、伊達なんです
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 22:42:13.28 ID:8B9hjZ6I0
825 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 22:51:34.04 ID:BkupkcMHO
「結構な乱視なんですよ。なかなか手放せなくって」

そういえば行為の際も眼鏡は着けたままのことが多い気がする。そういうことか。

「ただ、眼鏡で結構印象が強くなってるんだよね……どうしたもんかな」

「そうですね……髪型をオールバックにするとか……」

「いや、それはもっと目立つと思うな。新しい眼鏡買うか、我慢するか……難しいよね」

車は新座料金所に差し掛かる。もうちょっとしたら朝霞だ。

1 頑張って変装してみる
2 眼鏡を目立たないものに買い換える(店で騒がれる危険あり)
3 開き直ってこのままにする

※2票先取
※1の場合、どう変装させるかあるとありがたいです(必須ではない)
826 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 23:05:49.52 ID:BkupkcMHO
上げます。
827 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/25(月) 23:52:43.19 ID:BkupkcMHO
0000でリセットです。
828 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 00:01:54.04 ID:I3b+8TKMO
ここからカウントします。

1の案は変なものでなければ採用します。
(一応こちらで考えてる案はあります)
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 00:07:25.42 ID:VV3sI/9IO
1
コンタクトレンズ
830 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 00:09:56.16 ID:I3b+8TKMO
>>829
コンタクトは乱視のため2に準じた扱いになります。
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 00:16:34.46 ID:VV3sI/9IO
なるほど…。

それでは、
1
NBAで着けるようなゴーグル型メガネで。
スポーツ選手が着けるようなヤツです。
小学生でもやってる子いるし。
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 00:20:00.77 ID:i6kagber0
2
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 00:26:15.63 ID:VV3sI/9IO
831です。
良く考えたらゴーグルもメガネなんで、
ヒーローのお面を被って入店にします。
仮面ヤイバーとか。変装したい。
何度もスミマセン。
834 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 00:45:41.56 ID:I3b+8TKMO
寝る前に上げます。

>>833
ご指摘の通りで、ゴーグルの場合でも2に準じた扱いです。1週ぐらいはかかる感じで考えていました。
ただ仮面だと目立つでしょうね。
835 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 06:26:45.32 ID:N4xYTJFsO
上げます。まだ決まってはいません。
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 07:58:55.37 ID:grKfwWqDO
2
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 08:51:55.18 ID:6vLf++HDO
変装なら由依さんに相談出来ないかな?
秋山襲撃の時みたいに
838 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 09:04:42.44 ID:nCl51kioO
2とします。

>>837
それは考えていました。1で有力案がない場合はそうする方向でしたが、これはこれで。
839 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 09:21:48.59 ID:nCl51kioO
そういえば、志木に眼鏡の量販店があった気がする。そこで眼鏡かコンタクトを買えばいいか。
このデザインの眼鏡では、やっぱり少々目立つ気がする。

「コナン君、新しく眼鏡か何か買う?家の近くに眼鏡屋さんあった気がしたんだけど」

「そう、ですね。気付かれないといいんですけど」

そこまで一気に情報が拡散するとは思わない。ただ、後々噂になると面倒だけど。
あたしは和光ICで降りた。ここからはそう遠くもない。

#

「どんなのがいいかな」

「……そうですね、あまり目立たない方がいいですよね」

店員がチラチラとこちらを見てくる。やはりちょっと目立つようだ。

「なら、コンタクトかな。すぐ作れればいいけど」

相談してみると、最近は通販でも乱視用コンタクトが売られているらしい。
コナン君の視力を測り、より負担がないものを選ぶことにする。

※コンマ下30以下で?
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 09:25:01.18 ID:OaEWF3Sj0
はい
841 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 09:45:38.31 ID:nCl51kioO
30分ほどでコンタクトが仕上がった。受け渡しの時、若い女性店員が、コナン君をじっと見ている。

「……何ですか?」

「いえ……お連れの方、名探偵コナンのコナン君にそっくりだなって。写真撮っていいですか?」

「ダメですっ!!」

思わず大声が出た。周囲の目が一斉にこちらを向く。

「アユさん……」

しまった。目立たないようにと思ってたのに。あたしは店員に頭を下げた。

「……ごめんなさい。行くよ」

あたしは姉弟のふりをして、急ぎ足で店を出た。……迂闊だった。

「……どうしよう」

「過ぎたことは仕方ないですよ。ただ、ここにいるのはちょっと危険かもしれない。アジトを移さないと」

「移すって、まさか前の所??」

※コンマ下
01〜30 そこしかないですね
31〜50 父さんに相談してみます
51〜00 ちょっと考えがあります
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 09:46:57.38 ID:i9jmS1Lg0
843 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 11:30:18.56 ID:7feZEdy4O
「ちょっと父さんに相談してみます。朝霞から動いた方がいい気はしますけど」

コナン君がスマホを取り出した。……厄介なことになった。
佐倉の戦力は、あたしの記憶が正しければ佐倉と矢向という男だけだ。何とかするなら、今が好機なのに。
下手に注目されたら動くに動けない。埼玉県警も、動かざるを得なくなるだろう。

「ええ。……ごめんなさい。で白田氏の所に……はい」

1、2分のやり取りの後、コナン君があたしの方を向いた。

※コンマ下
01〜15 物件の手当てが付かないそうです
16〜30 大泉のあのアパートしかないらしいですけど、どうします?
31〜70 一応新河岸駅の近くにウイークリーがあるらしいです
71〜00 実は……
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 11:39:56.73 ID:6vLf++HDO
どれ
845 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 12:43:45.19 ID:7feZEdy4O
「実は、鶴ヶ島のアユさんの物件。まだ押さえてたそうです」

「……え?引き払ったはずじゃ」

秋山の一件で、あたしは逃げるようにあそこを去った。でも、何故あたしがまだ借りてることになってるんだろう?

「あそこは月極ですから、一応月が代わるまで新しい人を入れてないというのが一つ。
それと……これは父さんのお節介なんですが……全てが終わったらアユさんが元の生活に戻れるよう、7月からの契約を入れてたみたいです。名義は父さんのですけど」

コナン君が苦笑した。

「そ、そうなんだ……でも、怪しまれないかな。まだ隣の人とかいるはずだし」

「アユさんも変装するしかないですね。髪を切って、サングラスでもすればそうそう分からないかと。
最低限の家財道具だけ持ったら、すぐに行きましょうか。家電とかは、いつアユさんが戻ってもいいように既に入れてあるみたいです。
白田さんの家も近いですし、ちょうどいいかもしれません」
846 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 12:45:21.56 ID:7feZEdy4O
※視点選択です。全て7月1日です
(恐らくイベントの大枠は共通)

1 仁パート
2 コナンパート
3 城パート

※2票先取
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 13:04:43.59 ID:9LtS4GE50
3
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 13:23:50.47 ID:6vLf++HDO
3
849 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 20:21:59.71 ID:kOgXYQ+BO
【7月1日、8時03分】


強い日差しがカーテン越しに入ってくる。その眩しさに、僕は目を覚ました。
部屋には僕一人だ。ただ、枕とシーツに彼女の残り香がかすかにある。僕は枕を抱きしめ、すうとそれを吸った。

ヤクの中に2回ほど出した後、彼女は去っていった。ご両親が帰ってくる以上は仕方がない。
ただ、一人の部屋でも孤独感はなかった。僕はもう、一人じゃない。

朝御飯は下のレストランで各自に採ることになっている。ヤクはもう食べただろうか。

スマホをふと見る。……メッセージが1件。

#

いくつか話したいことがある。可能なら1130にホテルロビーで

#

毛利刑事だ。案件は昨日の件だろう。だけど、何を話したいのだろうか。しかも、わざわざ休日にホテルまで来るなんて。

僕は訝しく思いながら、服を着替えた。

#

※コンマ下10以上で英華食事中
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 20:22:51.07 ID:UmKTS+0o0
851 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 20:35:15.67 ID:kOgXYQ+BO
レストランにはヤクはいない。まだ寝てる……ということは彼女に限ってはない。大方、ご両親と一緒にどこかに行っているのだろう。
シリアルにざっと牛乳をかけたものを、僕は胃に流し込んだ。近くにある新聞を手に取ると、1面トップで和人のお父さんの事件が出ている。
……過去のスキャンダルと絡めた記事がやはり目立つ。マスコミにとっては、彼らの一家はいいおもちゃなのだ。

和人は、お兄さんたちの事件を知っていたのだろうか。胸が、また痛んだ。

別のスポーツ新聞を手に取る。こちらは面白おかしくあの事件のことを書いていた。「鶴岡父vsコナン?」という小さな囲み記事が目に入る。
藤原湖南の立ち回りが、ネットで話題になってるらしい。記事に出ているもう一人の子供は、宮原亜衣って子か。
こんなに話題になってたら、さぞかし動きにくいだろう。僕は軽く伸びをした。

11時半までは時間がある。少し、遅れてた勉強でもしようか。

※コンマ下60以上で英華と遭遇
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 20:39:42.87 ID:grKfwWqDO
はい
853 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 20:42:55.22 ID:kOgXYQ+BO
※英華誘拐ルートは消失
※コンマ下35以上で英華同行可能
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 20:44:44.52 ID:6vLf++HDO
何気に危なかったのね
855 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 21:00:10.13 ID:kOgXYQ+BO
部屋に戻ろうとすると、ジャージ姿のヤクがいた。僕に向けてピョンピョン跳ねながら手を振ってくる。

「ジョー、おはよ!」

「お、おはよう……どうしたの、朝から」

「んー、やっぱ昨日の記録会で、身体がなまってるのが分かったからさ。体力作りってことで、走り込みをね。ジョーもやってみる?」

「あ、僕はいいや……そういえば、毛利刑事からメッセージが」

スマホを見せると、ヤクの顔が真剣になった。

「……話したいことって、何だろう」

「昨日の件に絡んだことだと思う。捜査に進展があったのかも」

「ならいいんだけど……11時半か、あたしも一緒でいい?」

「まあ、いいけど。それまで期末対策やろうと思ってるけど、一緒にどう?」

「うん、いいよ。……あ、エッチなのは、夜にね」

僕の顔が赤くなった。

#

勉強は今までのが嘘のように進んだ。やっぱりこれまで頭に入ってこなかったのは、ストレスからなのかもしれない。
時折ヤクに教えながら、時間は過ぎていく。

「うわっ……」

休憩時間に、ヤクがスマホを弄りながら声を出した。

「どうしたの」

「いや、このブログ。今Twitterで話題になってるんだけど」

「鶴0vsようぢょ&コナン」とある。……スポーツ紙の元ネタか。

「これ、本当にあったんだよね……コナンって、あのバッドエンド・ブレイカーの子でしょ?」

「うん、僕は現場はちょっと見てないけど。それがどうかした?」

※コンマ下35以下で追加情報
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 21:04:57.49 ID:grKfwWqDO
はい
857 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 21:28:27.73 ID:kOgXYQ+BO
※コナンの個人情報暴かれず

「いや、この女の子って誰なのかなって。大人一人投げ飛ばしてるんでしょ?ジョーは知ってるの?」

「毛利刑事の代理らしいよ。何でも、藤原湖南と同じで覚醒者で、未来の警察なんだって」

「えっ、そうなの??じゃあやっぱ普通の子じゃないんだ……」

ヤクがへえと唸りながらスマホを弄っている。

「ほら、休憩は終わり。次は数学行くよ」

「えー。二次方程式の解の公式、まだちゃんと覚えられてない……」

「これができないと赤点だよ。ほら、ちゃんとやる」

しかし、これは誰が書いたのだろう。少し怖さを感じながら、シャープペンシルを握った。
858 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/26(火) 21:28:54.96 ID:kOgXYQ+BO
今日はここまで。
859 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 09:34:32.51 ID:iyh9AizCO
【7月1日、11時28分】


ロビーに向かうと、毛利刑事がスポーツ紙を読んでいた。ジーンズに黒のTシャツと、ラフな格好だ。

「来たか。薬師丸さんも一緒なら都合がいい」

「あたし、ですか」

「君も聞いてると思うが、佐倉の狙いは城だけじゃない。『イレギュラー』である君も、ターゲットになってる。
目先の危険は一応去ったが、完全に安心とも言えない。当事者として、知っておくべき話だと思う」

ヤクの表情が固くなった。

「話はここで?」

「いや、鶴ヶ島に向かう。……藤原湖南も来ているらしい。呉越同舟、というやつだ」

「……翔一のことですね」

「ああ。だが、すぐにじゃない。兵さんから聞いたが、藤原は謹慎を言い渡されたらしい。2週間は大きくは動けない」

パン、と毛利刑事が小囲み記事の場所を叩いた。

「えらいバズってたな。……まあ、俺にも責任の一端はあるが。
バッドエンド・ブレイカーの組織がどうなってるかは知らないが、隠密行動が必須なだけに上が怒るのは分かる。
身元まで特定されたら、埼玉県警だけでやれる話じゃなくなるかもしれないしな」

「……どういうことですか」

「警視庁にバッドエンド・ブレイカーのことを知っている刑事がいる。今回の背景も込みでな。そして融通が利きそうもない。
犯罪者は犯罪者として捕まえるのを是とする男だ。逮捕できる状況なのに他の何かのために見逃すことは許さんだろう。
藤原湖南の身元を知ったら、確実に押さえにかかる。そうなれば、佐倉を逃がすことに繋がるかもしれない」

スポーツ紙を畳んで、毛利刑事が立ち上がった。

「まあ、そっちの方が警察にとってはいいんだろうがな。
何やかんやで、大量殺人を行っているわけだ。事情を知らない人間からしてみたら、奴らの行動原理は理解できんだろう。
知っていても、受け入れられない奴はいるだろう。その刑事は、そういうタイプだ」

「止められないんですか?」

「彼の部下が、藤原湖南の『元上司』だ。勿論、覚醒者だ。こちらは話が通じる。
彼にその刑事の行動をコントロールしてもらいたいが、どこまで上手く行くかは謎……」

毛利刑事の表情が固まった。

「……しまった!!!」

「な、何ですか急に!?」

「その刑事は、兵さんのことも知っている!感付いて、彼の所を訪れるかもしれないっ!!」

※コンマ下60以上で仁に電話
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 09:40:33.46 ID:zVwlurLDO
はい
861 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 09:55:37.50 ID:iyh9AizCO
※描写がくどくなるので続いて判定します

※仁が白田にかけた電話は……(コンマ下)

01〜05 兵藤と??が一緒に来ている
06〜10 ??だけが来ている
11〜30 兵藤が既に来ている
31〜40 兵藤と神原が既に来ている
41〜95 誰も来ていない
96〜00 神原だけ来ている
862 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 11:07:39.55 ID:iyh9AizCO
上げます。
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 11:12:07.65 ID:3Dfl/Hae0
どうだ
864 : ◆uWz6rco4JU [saga]:2019/02/27(水) 14:30:42.94 ID:bkqy6zgho
てすと
865 : ◆Try7rHwMFw [saga]:2019/02/27(水) 14:31:12.38 ID:bkqy6zgho
テスト
866 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 14:32:01.54 ID:bkqy6zgho
もう一度テスト
867 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 14:33:05.76 ID:bT68K67qO
大変失礼しました。端末故障によるものです。
更新は夜にでも。
868 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 20:08:42.03 ID:7XprPimuO
※視点を仁に切り替えます

俺は急いで兵さんの電話番号を押した。計画は中止だ。あまりにリスクが高過ぎる!
しかし、それも兵藤がまだ来ていなければのことだ。もし来ていたなら、彼はひたすら粘るだろう。そういう男だと、神原から聞いていた。

『どうした、仁』

「今日の会合は中止です、警視庁の兵藤という男が、感付いているかもしれないっ」

『……何?』

俺は一通りを手早く説明した。兵さんは黙って聞いている。

全て話し終えると、兵さんが溜め息をついたのが分かった。

『……仁、甘過ぎだ。同じ警察でも、色々なタイプがいる。必ずしも味方になるとは限らんだろう。
厄介なことにならんといいがと思ったが、やっぱりな』

「申し訳ありません。しかし、言わなければ納得しない男でした。……ともあれ、今日そっちに行って会うのはリスキーです。
別の所にするか、仕切り直すしかない。今そっちにはいないですよね」

『客は普通の暇なマダムばかりだ。コーヒー教室は13時半からだから、会議を始めるとすれば16時からの予定だった。
お前がいねえと他の参加者に出す菓子受けが貧相になっていけねえが、さあどうしたもんかね』

兵さんが考えている。

※コンマ下
01〜70 上手いアイデアがねえな(安価選択へ)
71〜85 今日は店を閉めるか。仕方ない
86〜00 ちょっと待ってろ、面白いことができるかもしれん
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 20:10:02.17 ID:lQG0eoIk0
870 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 20:20:31.27 ID:7XprPimuO
『……上手いアイデアがねえな。やはり中止が無難かねえ』

「藤原も謹慎中です。すぐに動くのは、どちらにせよ無理がある。
ただ、学生である城や薬師丸を引っ張り出せるのは土日ぐらいしかない。……悩ましいですね」

別の場所、例えばこのホテルに集まるという手がないわけではない。城の部屋なら、かなり狭いが入れないこともないだろう。
ただ、兵さんなしで上手くまとめられる自信はない。俺と城、そして藤原の3人全員と面識があるのは彼だけだ。
数周しているその知識の力も借りたかった。

さて、どうする?

※3票先取
1 中止にする
2 ホテルで白田抜きでやる
3 それ以外の場所で白田ありでやる(要場所と手段)
4 予定通りやる
5 自由安価

※上手いやり方がないわけではありません
871 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 20:52:05.70 ID:7XprPimuO
上げます。
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 21:17:04.62 ID:lQG0eoIk0
1
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 21:18:08.87 ID:+6TDd0CwO
3

仁が亜依と初めて会ったサイゼリア
874 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 21:42:12.66 ID:7XprPimuO
もう一度上げます。
875 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 22:22:59.96 ID:7XprPimuO
0000までに決まらない場合は再投票になります。なお、明日の更新は少なめです。

兵藤を揺さぶる材料は実はあります(上手く行くかは別ですが)。
876 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 23:16:19.55 ID:Z6zWfTy4O
少しやり方を変えます。

※コンマ下50以上で?(ヒントに相当するものです)
※90以上ならそのまま多数決なしで進行
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 23:24:53.61 ID:KE4isncDO
こい
878 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/27(水) 23:36:09.46 ID:Z6zWfTy4O
※神原の電話番号は聞いている

選択肢に6「神原に電話」を加えます。
何も書かない場合はコンマでの話題選択になりますが、書いた場合は内容次第でそれに沿って進行します。

※神原は兵藤の部下ですが、関係は単純ではありません。神原の発言内容に注目すると……
879 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 00:04:23.78 ID:n/SamkaSO
リセットです。再投票を開始します。
880 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 00:49:06.27 ID:n/SamkaSO
寝る前に上げます。
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 08:15:49.18 ID:KVtNQ2AdO
6
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 09:05:04.94 ID:UJLDf/0S0
6
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 09:26:43.44 ID:5oNvjEtDO
6
884 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 14:57:12.50 ID:EmwtFm+MO
……何かを決める前にやるべきことがある。彼を動かそう。上手く行くかは分からないが。

「兵さん、一度電話を切っていいですか?少し連絡を取りたい男がいます」

『誰だ?』

「兵藤の部下で、未来における藤原の上司でもある神原という男です。覚醒者でもある」

※コンマ下80以上で白田は神原を知っている
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 15:22:20.88 ID:ChCVEawDO
はい
886 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 21:41:07.04 ID:H3261ks7O
『あいつか!そうか、兵藤はあいつの上司だったか』

「知っているんですか?」

『勿論。警視庁刑事部長で、『1周目』から知っている。青山の件では色々世話になったし、共闘したこともある。
多少気障で鬱陶しい所はあるが、優秀な男だ。ただ……覚醒者ではなかった。
となると、『4周目』からか。やはり今回はやけに覚醒者が多いな』

なるほど、それなら知っていても不思議ではない。ということは……

「兵さんから彼に連絡を取ることはできますか?電話番号はこちらが知ってます」

『任せろ。それなら俺がやった方が通りがいい。神原には俺から経緯を説明する。兵藤ってのをこちらに来させないようにすりゃいいんだな?』

「平たく言えば。お願いします」

『おう』

電話が切られた。

「大丈夫、なんですか?」

「……多分」

城に答えながら、俺は違和感を覚えていた。兵さんと神原は旧知の仲だ。兵藤も兵さんを知っている。

なのになぜ、兵藤を兵さんは知らないのだろう?

可能性は幾つかある。単純に兵さんが覚えていない。しかし、兵藤のような男を覚えてないのはやや変だ。
兵藤がイレギュラーである可能性は?それなら、神原が『前の周の』兵藤を知っているはずもない。

とすれば、可能性は2つ。兵さんが嘘をついているか、兵藤が嘘をついたか、だ。前者は考えにくい。となると……嫌な予感がさらに膨れ上がる。

何分か経ったその時、神原から連絡があった。

※コンマ下
01〜25 ダメです、僕じゃ止められないっ
26〜40 すみません、今白田さんの所に向かってます
41〜80 僕の方で足止めを一応。ただ……
81〜00 重大情報あり
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 21:45:26.67 ID:5oNvjEtDO
はい
888 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 22:08:42.17 ID:H3261ks7O
『白田さんから連絡は来ましたよ。確認したら案の定、左近さんは白田さんの店に行こうとしてました。
そこで僕の方で足止めを一応。優先順位は鶴岡次郎だと言いくるめて、今横浜に向かってます』

「そうか。すまん、助かった」

俺は心底安堵した。これなら何とかなる。

『いえ、このぐらいなら。しかしそこまで左近さんを警戒するなんて』

「まず、あの融通の利かなさ。藤原の、そしてバッドエンド・ブレイカーのことが知られたら、まずあっちを優先するだろう。
そうなったら、こっちの計画には大きな支障が出る。
それ以上に怖いのが……誰かが背後にいる可能性」

『えっ』

「兵さんは兵藤を知らない。しかし、兵藤は兵さんを知っている、と言っていた。
兵さんが嘘をついている理由は見つからない。あの人は嘘は上手いが、理由なしに嘘は言わない。
とすれば、兵藤が兵さんを知っている、というのは……ブラフか、別ルート」

『左近さんが誰かに使われる?それこそあり得ない。あの人の正義に対する信念は筋金入りですよ?
あまりに使いにくいから、キャリアなのに一介の警部をずっとやってる。超異例だというのは、あなたも分かるでしょう?』

※コンマ下70以上で?
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 22:10:27.19 ID:ChCVEawDO
はい
890 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 22:41:27.41 ID:H3261ks7O
俺は目を閉じ、暫し考えた。誰が兵藤を使う?圧力で動く人間じゃないように思える。
とすると、志を同じくする人間に、強く共感したからか。問題は、それが誰か、ということだ。

「……だが、兵藤が誰かと組んでいるのは9割方間違いない。君の方でも少し探ってくれ」

『了解です。そういえば、横浜には既に?』

「ああ。むやみに刺激しない方がいい。光輝と同じことになる。……何より、子供4人……恐らくは全員死んだからな」

受話器の向こうで神原が絶句した。

『……分かりました。左近さんが戻って来ます、この辺で』

昼食中であったらしい。俺は溜め息をついた。

顔を上げると、城が絶句していた。

「……和人の妹も、死んだんですか」

「……多分。鶴岡次郎がそれに気付いてないのは救いだが。
アイスキャンディ、それも新型を飲まされ、反動が大きかったらしい。助からないと判断した佐倉か矢向が、彼女を水上から連れ出したようだな。
……そこから先は、察してくれ。水上なら、隠す場所は腐るほどある。……君に伝えたかった話の一つだ」

「そんなっ……!!!」

肩を落とす城の肩を、薬師丸が心配そうに支える。
俺は口の中に、苦いものを感じた。鶴岡家の人々は愚かだったかもしれない。


だが、彼らをここまでに追いやったのは……アイスキャンディであり、佐倉だ。


俺は拳を強く握った。
891 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/02/28(木) 22:44:22.31 ID:H3261ks7O
※視点を変えます。一応白田宅でのイベントです(ただまだ波乱要因はあります)

1 仁のまま
2 城に戻す
3 コナンパートへ移行

※2票先取
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/28(木) 23:01:41.41 ID:rUgCCaFB0
1
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 23:05:05.72 ID:5oNvjEtDO
1
894 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/01(金) 18:42:01.79 ID:A+ubobDrO
【7月1日、13時14分】


「あ、仁さん」

「おじちゃーん」

兵さんの店に着くと、ちょうど美和たちも着いた所だった。亜衣は、まだ「表」に出ていないようだ。

「……昨日はすまない」

「だからいいって。……ああいう所、あの人に似ちゃったのね。誰かが危ないめに遭うと、自分を省みず飛び出しちゃう」

亡くなった旦那のことか。つくづく、模範的な警官だったようだ。

「ねーねー、おじちゃん。このおにーさんとおねーさんは?」

はは、と俺は苦笑する。考えてみると、幼児の亜衣とちゃんと接するのは、これがほぼ初めてか。

「ああ、おじちゃんの……なんと説明すべきかな」

「……親戚、でいいんじゃないですか?」

「ねー、しんせきってなに?じゃあおねーさんはおにーさんのおよめさん?」

薬師丸の顔が赤くなった。

「えっ、いや……それは……」

「ふふふ、あなたたちのことも聞いてるわ。城君に薬師丸さんね。
初めまして、吉岡美和といいます。こちらが、娘の亜衣。今は『20年後の亜衣』は眠ってるわ。それはまた後で、ということね」

2人とも、少し緊張した様子だ。店では兵さんと店員の美樹さんがいそいそと教室の準備をしている。

「ここしばらく、色々あってしんどかっただろう。せっかくだから、コーヒー教室を楽しんでくれ。
教室といっても、旨いコーヒーと菓子を楽しむだけだが」

藤原は16時から来ると聞いている。それまでは、ゆっくり過ごそう。

※コンマ下
01〜05 ……何?
06〜70 通常進行
71〜00 ……お前は?
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 18:46:07.43 ID:n/cG1m8O0
どうだ
896 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/01(金) 23:37:04.78 ID:n7P0lRbwO
#

「どうだ坊主、旨いだろ」

「はっ、はい。おいしい、です」

アフォガートを食べた城がうんうんと頷く。

「そうかそうか。喜んで貰えりゃ良かった。エスプレッソが基本だが、インスタントでも思い切り濃いめに作ればできなくはないぞ」

「今度試してみます。……ちゃんとしたもの、あまり食べてないので」

薬師丸の表情が曇った。そういえば、ネグレクトを受けているのだったな。
彼女がいない本来の歴史で、彼が歪んだのは当然とも言えた。

「さて、今回はこれでお開きだ。次は1カ月後だな。豆の煎り方をやるんで楽しみにしてくれ」

参加者のマダムたちが次々と席を立つ。入り口の辺りに、サングラスの茶髪の女性と、髪を真ん中から分けた子供がいるのが分かった。
コナンとは大分違う印象の子だが……あれが藤原か?

兵さんが入り口に向かった。何やら話をすると、彼らを招き入れる。
少年が、俺の前で立ち止まった。そして、すっと右手を差し出す。


「初めまして、だね。藤原湖南だ」


やはりこいつが、か。俺は一瞬躊躇い、彼の右手を握る。

「毛利仁、だ。こうして会うのは、確かに初めてだな。聞いていた外見と違うが?」

「あれは一目に付きすぎた。本来、外出してると分かっただけでも身は危ういんだ。
上にバレたら、記憶を消されるんでね。こうやって、変装してるわけだ」

「なるほど。そっちの女性が、吉岡愛結か」

女性が一瞬ビクッとした。

「え、ええ……」

「アユさん、心配しなくていい。……不思議に思ってた。どうしてそこの子はアユさんのことを?あなたが教えたのか」

藤原は亜衣を見る。まだ「表」に出てはいない。

「そうだ。出本は教えられない」

「……なるほど。秋山のことも」

「あれは群馬県警マター、さらに言えば警察庁マターだ。
一応話が付いたとはいえ、迂闊にうろつかない方がいい。こちらはまだ情報を俺で止めてるが」

「それは助かる」

※コンマ下25以下で?

897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 23:37:30.89 ID:vGaA22bw0
898 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 11:59:26.50 ID:sz6JcXR/O
「……さて、役者は揃ったな」

兵さんが俺たちを見渡した。亜衣の表情が鋭いものに変わる。「入れ替わった」のだ。

「佐倉の件ですね」

「おう。あれは潰さないといけない。法では裁ききれん。それも今のうちに」

俺は頷いた。本庄が戻ってきたら、N国まで出張ってきかねない。

「ええ。ただ……」

藤原の視線が下を向いた。

「僕は2週間はマトモに動けない。やむを得ないことでしたが」

「それは仕方ない。逆に言えば、2週間後には動けるってことだな」

「一応。毛利刑事、あなたは?」

「鶴岡次郎から鶴岡真姫については託されている。もう死んでいるだろうが、未成年者略取容疑で佐倉を捜査することは不可能じゃない。
ただ、真姫の死体が見つからない限りは逮捕は不可能だ。佐倉の居場所は相当絞られているが、俺だけが突っ込んでも意味がない」

「つまり、やるなら同時か。あなたが捜査に入り、僕たちがその間隙を突く」

「……殺すという前提なら、な」

俺は悩んでいた。法では佐倉は裁けない。それは兵さんの言う通りだ。だが、他に方法はあるのか?

「真姫さんが殺されたなら、死体さえ見つかれば話は変わってくるのでは?」

亜衣の言葉に美和が同意した。

「そうね。やっぱり、どんな理由でも殺人は良くない」

「でもどうやって見つける?相手は多分、プロだ。死体遺棄の方法も、手慣れてる可能性が高い。
探している姿を見られたら、水上から別のどこかに移られる可能性もある」

※コンマ下
01〜70 通常進行
71〜90 一人、心当たりがある
91〜00 彼に任せよう
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 12:02:41.20 ID:u1iR2ekDO
はい
900 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 15:17:13.09 ID:5K4xt+KDO
藤原が唸った。

「水上の山中は広い。闇雲に探してもまず見付からないだろうね」

沈黙が流れた。兵さんがコーヒーを飲み、一息つく。

「まあ、決行は2週後だな。ただ、問題はいくつかある。佐倉を最終的にどうするか。殺すなら、余程上手くやらないと仁は懲戒もんだ。
逮捕するなら、二度とシャバに出れないようにしなきゃいけない。そんなのができるかは知らんが。
そして、その間に佐倉が移動しない保証はない。鶴岡次郎が逮捕されたことで、警戒心が高まってるかもしれない。水上から移動されてたらアウトだ」

「水上から動いてないか、観察する必要が?」

「だな。定点観測が要る。ただ、ここから水上は遠いな」

城が兵さんを見た。

「僕の仲間──興也さんがやってくれると思います。というより、動けるのが彼ぐらいしかいないですが」

「分かった、そっちは任せる。んでもう一つ、重大な問題が」

兵さんが城と薬師丸の方を向いた。そう、これを言わねばならない。

「兵さん、いいですか」

「おう。仁が話すべきだろうな」

「ええ。……まず、君らの保護は明日朝までだ。一応、対象となる鶴岡大和と鶴岡次郎は死んだか、逮捕されたかになったからだ。
それに、警察もいつまでも君らを守れない。ここからは、自分の身は自分で守ってもらわないといけない」

「……そうですか」

二人の表情は固い。俺はそのまま続ける。

「佐倉が君らを……特に英華さんを狙う可能性は低くない。戦力に余裕ができたら、間違いなくやる。
身の回りには、気を付けるだけ気を付けてくれ。何かあったらすぐに俺に連絡を」

「……二人を守る手段はないんですか。警察でしょ」

宮原愛結が言う。

「……勿論監視は続ける。ただ、完全じゃない。極力気を付けろ、としか言えないのが現状だ」

※コンマ下65以上で?95以上だと……
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 15:19:36.10 ID:ZNAT9S9HO
そいや!
902 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 15:47:50.60 ID:5K4xt+KDO
※武器提供はなし

「やはり、それしかないですか」

城が溜め息をつく。

「まあ、佐倉には矢向以外の人間はいない。俺が知る限りでは。
だが、他にも使える人間がいる可能性は否定できん。最悪、一ノ倉沢を訪れたクライマーを拉致ってアイスキャンディを飲ませるなんてことをやっても驚かない。
だから、常に気にはしておいた方がいい。明日は病院らしいから、特にだ」

「…分かりました」

兵さんが渋い顔をしている。

「もう一つ、大事な話だ。2週後、坊主はどうする」

「……僕、ですか」

「そうだ。まあ普通に考えたら、来ても足手まといにしかならん。俺としては、そのまま普通の中学生に戻ってほしいがな」

「同感だ。君の罪は、これ以上は追求しない。そもそも証拠がないから、逮捕しようもないが」

藤原の額に、僅かに皺が寄った。

※城の強さは……(コンマ下)
01〜70 普通に弱い
71〜80 そこそこ程度
81〜95 鶴岡のジムである程度の心得はある(ここから戦力になるレベル)
96〜00 英華の体質で常時ブースト状態
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 15:50:51.90 ID:u1iR2ekDO
はい
904 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 16:19:33.85 ID:5K4xt+KDO
「……できれば、最後まで見届けたいです。それに、毛利刑事が考えるほど、僕は弱くないです。……多分」

城が俺の目を見る。俺の顔が熱くなるのが分かった。

「甘いっ!!アイスキャンディを服用した人間がどれほど危険か、君は見たはずだ!!
格闘技の心得がほとんどない鶴岡次郎が、張り手一発で一般人の首を捻じ切るんだぞ??
ハッキリ言って、昨日あれだけで済んだのは奇跡的だ。亜衣と藤原が一般人以上に強い点を差し引いても、だ。
気持ちは分からんでもないが、現実を見ろ!!薬師丸さんを悲しませたいのか!!?」

薬師丸は「ねえ、やめてよ……」と目を潤ませている。城が唇を噛み、目をつぶった。

「……でも、ヤクを守るためには……何もしないわけにはいかない。それに、僕は和人を一度、倒したことがある」

「……何?」

「……本当です。勉強会に入った当初、僕を締めるつもりだったんでしょう。和人は瑠偉や直哉と一緒に、僕をリングにあげてなぶろうとした。
でも、なぜか動きが読めたんです。それで、カウンターを」

驚いた。鶴岡和人は一応、ボクシングの実力はある。アイスキャンディの補正を抜いたとしても、本来の歴史で高い評価を受けていた。
鶴岡が戯れ半分だったとしても、城はそれなりには強いらしい。

「……なるほどな。そこは『史実通り』なのか」

皮肉めいた笑みを藤原が浮かべる。熊谷大虐殺で最も多くの殺人を犯したとされるのが城だが、相応の裏付けはあったということか。

「どうする、仁。俺は依然反対だがな」

兵さんの意見に、亜衣が反論する。

「私は……手数が多い方がいいと思います。私自身は、参加できそうもないですし。せめて、あと5歳年が行ってれば良かったんですが……」

確かに亜衣を連れていくのはあり得ないだろう。昨日のは本当に緊急時だったからに過ぎない。

なら、城を連れていくべきか否か?

※3票先取、重大選択です

1 連れていく
2 連れていかない

※城は仁とほぼ同程度には格闘ができます
(センスがある上に、少し描写がありましたが運動能力は英華のお蔭でややブーストされています)
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 16:34:49.59 ID:KQHhhsxIO
2
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 17:00:13.95 ID:MTEm0pai0
1
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 17:02:50.44 ID:VXFgaVbDO
1
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 17:13:23.25 ID:u1iR2ekDO
1
909 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 22:56:00.65 ID:+vmJMNgXO
「ちょっと、軽く立ち会おうか」

俺は構えた。城は「えっ」と言ったまま固まっている。

「どういうことですか?」

「君の力を確かめたい。本当に俺たちと来るに足る力があるのか。
一発、本気で殴る。それにどう対応するかで判断する」

彼もアップライトに構えた。……確かに素人じゃないな。

「一応言うが、フェイントも使うぞ」

「……分かりました」

軽くステップを踏む。俺も一時期ボクシングをやっていた。
プロに勝てるレベルではないが、それでも……他の格闘技と組み合わせたらどうだ?

俺は一歩大きく踏み込んだ。城の肩がピクッと反応する。オーバーハンドの右……と見せかけて。

「えっ??」

身体をひねって放つのは……右ミドルキック。

城は表情を変えない。肚が座ってるのか、反応してないだけなのか?
蹴った右足を当たる手前で床に下ろす。身体をさらにひねって背中を城に向け……


「シッ!!」

右のバックハンドブロー!!


次の瞬間。


目に入ったのは、城の右拳だった。裏拳は空を切り、拳が俺の鼻面を……捉える直前で止まった。


「……驚いたな」

「蹴り使うなんて、聞いてないですよ」

兵さんは「ほう」と唸り、藤原は「……まさかね」と呟いた。

「ジョー、今何やったの」

「いや、ただ動きを見ただけだよ。後はそれに合わせるだけ」

いや、城は完全に見切っていた。格闘技を本気でやっていた人間でも簡単に躱せる一発ではなかったはずだ。
ただセンスがあるというだけでは説明が付かない。そもそも「反応速度自体が速い」。
俺は冷や汗が流れるのを感じた。アイスキャンディの酵素療法に、こんな効果があるとは聞いていない。

アイスキャンディの効果が、微妙に残っているのか?
俺は一つ息を付いた。

「どうやら虚勢じゃないな。本当にそれだけの力があるわけか」

「毛利刑事こそ。最初のキック、当てようと思えば当てられたでしょう?」

「『殴る』と言ったからな。あれをフェイントにしないと嘘をついたことになる。
それでもあれを交わすのは予想外だった。本気で当てるつもりだったんだが。
……兵さん、城も連れていきましょう。戦力には、確かになる」

「そうかもしれんが……坊主はそれでいいのか?」

城はちらっと薬師丸を見て、目を閉じた。

「……僕が翔一を止めなきゃいけなかった。怖くて、一歩を踏み出せなかった。
もう、誰も不幸にさせない。もちろん、ヤクも」

「やだよ、怖いよ」

「……もちろん僕も怖いさ。でも、受け身になって守ってもらってばかりじゃ、何も変わらないから。
それに、こうしないと、ヤクを本当の意味で守れない気がする。大丈夫、ちゃんと戻ってくる」

城が薬師丸をそっと抱いた。

「……決まりだね。決行は2週後、7月15日。細かい所はこれから詰めるが、まずは定点観測からだ。
佐倉を最終的にどうするかは……もう少し経ってから決めよう。多分、3人とも考えていることは違うだろう」

「了解だ。じゃあ、今日の所はこれで終わりでいいですか?」

兵さんが目を閉じている。

※コンマ下80以上で追加イベント
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 22:58:00.71 ID:qO/4qvWUO
911 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 23:12:10.03 ID:+vmJMNgXO
「そうだな。とりあえず、連絡は密に取ろう。
幸い、コナンはこの近くに越したらしい。意志疎通は、比較的しやすくなった」

「白田さんはどうするんですか?」

「俺は統括、及びお前の上司との折衝だ。網笠のことは知ってるからな。
気になるのは『西の公安』だ。話を付けたとは言え、音沙汰がないのが妙っちゃ妙だ」

藤原が頷いた。俺も同意する。

「増田は俺の監視としてまだ残ってます。無論、堺も。表立って妨害はしてないですが……何より、古畑がいない」

「そうだ。あいつが消えているということは、何かある。気を付けるべきだろうね。
佐倉の側ということは、よもやないだろうけど」

「……まあ考え込んでもしゃあないな。後は各自、動いてくれ。坊主はくれぐれも、身の回りに気を付けな」

城が薬師丸の手を握り、強く頷いた。

※コンマ下25以下で追加イベント
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 23:12:33.66 ID:6+pz4tp30
913 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 23:19:40.67 ID:+vmJMNgXO
※次郎の死亡はなし

0000まで質問候補を自由安価で受けます。
簡単な質問をこの場にいる誰かにすることが可能です。無論、答えられるかは質問次第です。

なお、質問がない場合は0000より視点選択に移ります。
914 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/02(土) 23:43:27.15 ID:+vmJMNgXO
一応上げます。
915 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 00:02:07.49 ID:oWDKBGDbO
では視点選択に移ります。特段の事情がない限りは翌日からです。

1 仁のまま
2 城パート
3 コナンパート

※2票先取
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 00:21:00.04 ID:i+0RNJrDO
1
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 00:23:35.39 ID:MVkX8WiB0
2
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 00:25:36.28 ID:I/3Ay09DO
2
919 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 09:39:13.21 ID:Yiy+8hxzO
【7月2日、7時23分】


「この満員電車も、今日で最後だね」

「うん。……でも、本当に大丈夫なのかな」

ヤクが僕の制服を掴みながら言う。彼女の体温で昨晩のことを少し思い出し、身体の芯が熱くなった。

「しばらくは大丈夫なんじゃないかって、毛利刑事は言ってたけど……」

「だといいけど。でもジョー、あんなに強かったんだね。知らなかった」

「僕も驚いてる。……なぜか知らないけど、身体が勝手に反応したんだ。まるで……」

そう、まるでアイスキャンディを飲んだ時のようだった。「クロックアップ」。脳の超高速回転。あれに近いことが、あの時起きた。
もちろん、毛利刑事は手加減をしていた。それでも、あれを避けられたのは、それぐらいしか考え付かない。

鷹山先生の所に行くのは明後日だ。検査結果がどうなっているのか、少し不安になってきた。

#

学校は今日から期末テストだ。今週一杯はテストで、そこから一週間の休みがある。
翔一の所に行くのは、15日。その前の空白の時間を、どう使うかだ。

※コンマ下
01〜10 特殊イベント(再判定)
11〜90 通常進行
91〜00 特殊イベント(再判定)で
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 09:41:02.73 ID:0wiMxhkt0
921 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 09:56:29.56 ID:Yiy+8hxzO
【7月4日、12時16分】


「ヤク、準備できた?」

「うん、こっちは大丈夫」

テスト後の教室で、ヤクが僕に話し掛けてきた。
周りからは「完全に夫婦だよな、あれ」とか「英華ちゃん、変わったよね」とかの雑音が聞こえて来るが気にしない。
ヤクももう僕と付き合っていることを、隠そうとはしないようだった。

「検査は午後2時からだっけ?間に合うかな」

「ちょうどいい感じじゃない?検査といっても、そんなに負担になるようなことはないから大丈夫だよ。僕の方は、少しかかるけど」

検査が終わるのは夜になるらしい。明日もテストだけど、仕方がないか。

正門の近くは、一頃の物々しい雰囲気は消えている。僕の行動を見張っていた毛利刑事ら警察もいなくなった。

※コンマ下
01〜20 いや……違う
21〜80 通常進行
81〜95 スマホにメッセージが入った
96〜00 電話??
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 10:04:16.07 ID:I/3Ay09DO
はい
923 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 10:15:32.68 ID:Yiy+8hxzO
※再判定
01〜30 視認できなかった
31〜45 ……見慣れた黒い車……
46〜70 微かに気配が……「初めまして、だね」
71〜95 微かに気配が……「ちょっとよろしいですか?」
96〜00 微かに気配が……「ちょっといいかい?」
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 10:16:50.06 ID:0wiMxhkt0
925 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 10:23:32.84 ID:Yiy+8hxzO
いや……違う。誰かの気配がする。周りを見渡したが、姿は見えない。

「……どうしたの?」

「いや、誰かが近くにいる気がして」

ヤクの顔が青ざめた。

「……え」

「分からない。でもとりあえず行こう。僕から離れないで」

小さくヤクが頷く。駅まではそれなりに人通りがある。それでも、嫌な予感は急速に膨らんでいた。

※コンマ下
01〜30 襲撃
31〜75 尾行されている……
76〜90 気配は消えた
91〜00 再判定(正体判明)
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 10:31:31.10 ID:ooVsq48C0
927 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 13:28:36.67 ID:1+ZKrFgXO
駅まで残り3分ほどの所まできた。人通りが、にわかに途絶える。


その時だった。


ブロロロッッ……!!


鈍いエンジン音が、急速に近付く。振り向くと、白いハイエース!?


「ヤク、逃げろっ!!」


僕も逃げようとしたが、僅かにハイエースのドアが開くのが早かった。そこから出てきたのは……

※コンマ下
01〜15 矢向(救済判定を入れます)
16〜20 「サクラ」
21〜40 男2人、アイスキャンディ服用済み
41〜70 男1人、アイスキャンディ服用済み
71〜95 男1人、素面
96〜00 乱入あり
928 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 13:29:03.53 ID:1+ZKrFgXO
40以下は再判定を入れます。(英華逃走判定)
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 13:30:38.66 ID:i+0RNJrDO
はい
930 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 13:36:21.86 ID:1+ZKrFgXO
目が血走った男が中から現れた。一目で分かった。……こいつは、正気じゃない。


「おおおおっ!!!」


男は僕に掴みかかろうとする。速いっ!

※コンマ下
01〜20 投げ飛ばされた
21〜50 回避したが反撃できず
51〜70 カウンターでアッパー、男は後退
71〜90 カウンターで気絶させることに成功
91〜00 上+α
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 13:38:39.23 ID:i+0RNJrDO
気絶!
932 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 13:46:31.93 ID:1+ZKrFgXO
僕はすかさずダッキングし、僅かに身をかわす。しかし、距離が近いのと速いのとでカウンターは撃ち込めない。

男はすかさず体勢を立て直す。身長は175ぐらいだが、がっしりした体型だ。
格闘技をやっているかは分からないけど、筋肉は間違いなくある。食らったら一たまりもない。

視界の端で、ヤクが逃げているのが見えた。すぐに助けを呼んでくれるはずだ。

「グロロ……」

男がジリと距離を詰める。運転席の男は見えない。

僕は……

1 逃げる
2 戦う
3 運転席の方に回り込む

※2票先取
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 13:53:47.80 ID:i+0RNJrDO
1
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 13:58:24.02 ID:I/3Ay09DO
1
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 13:58:32.12 ID:3g552CGr0
2
936 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 20:36:19.23 ID:yVAoce1RO
僕は後退りした。戦って勝てるかもしれない。ただ、リスクは負いたくない。今は……身を守ることに専念しよう。

目の前の男がふう、と僅かな溜めを作った。それに乗じて僕は身体を反転させる!
足はそんなに速い方じゃない。ただ、追ってくるなら……考えもある。

※コンマ下
01〜10 ???
11〜30 追い掛けられる(攻撃受けるかは再判定)
31〜70 警察が来るわ、乗って!!
71〜95 追い掛けられる(反撃へ)
96〜00 追い掛けられる→特殊イベント
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 20:38:49.48 ID:L4Vatd6I0
はい
938 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 20:44:19.69 ID:yVAoce1RO
駆け出してすぐに、車から女の声が聞こえた。

「警察が来るわ、乗って!!」

向こうからヤクが制服警官を連れてくるのが見えた。まだ大分距離はあるけど。
振り向くと、男がハイエースに飛び乗った。逃がすのは仕方ない。大事なのは、この次だ。

僕はハイエースを凝視する。カーナンバーは……

※40以上で覚えた
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 20:45:07.05 ID:I/3Ay09DO
はい
940 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 20:55:42.15 ID:yVAoce1RO
くそっ、走り去る速度が速すぎて見えない。警官とヤクが僕のもとに辿り着く。

「ジョー、大丈夫??」

「……なんとか。ゴメン、カーナンバーは覚えられなかった」

「車の種類は分かるかい?」

「白のハイエース。乗ってたのは少なくとも2人、女性と身長175cmぐらいの男性……筋肉質です」

制服警官が無線機で指示を出す。ヤクが心配そうに僕を見つめていた。

「……どうして」

「分からない。どっちを狙ってたかも。確実に言えるのは、あいつはアイスキャンディを服用してた。……とすると!?」

僕は警官に叫んだ。

「すみません!!普通の追跡じゃ危ない!!あいつは、アイスキャンディを……薬をやってます!!それも、とびきり危険な!!」

「え?」

普通の追跡じゃ、被害が出る可能性が高い!一般の人たちに危害が及んだら、最悪もいいとこだ!!

僕は急いで毛利刑事に電話する。ここは東京だけど、頼りになるのはこの人しかいない!!

※80以上で場面転換
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 20:57:01.15 ID:i+0RNJrDO
はい
942 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 21:04:20.33 ID:yVAoce1RO
※仁はまだ知らない

『どうした?』

毛利刑事はすぐに出てくれた。そのことに少しだけ安堵する。

「アイスキャンディの服用者に襲われました!今、学園大学駅の近くです!一応警察には来てもらいましたが……ハイエースで逃げてます!このままじゃ……!!」

『了解だ』

毛利刑事は少し間を置いた。

※コンマ下
01〜70 着くまでには時間がかかる(通常進行)
71〜95 ラッキーだったな、ちょうど今、警視庁の人間といる
96〜00 即座に厳戒体勢を敷かせる(仁パートへ)
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 21:04:49.58 ID:L4Vatd6I0
はい
944 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 21:14:45.91 ID:yVAoce1RO
『ただ、着くには時間がかかる。それまで警視庁に任せるしかないな』

「……分かりました」

僕は力なく電話を切った。せめて被害が拡大しないよう、祈るしかない。

#

そこから近くの交番に行き、簡単な事情聴取を受けた。多分、この警官では僕の話すことを信じてはくれないだろう。
僕は「暴漢に襲われた」と嘘をついた。ヤクがずっと僕の裾を握って震えている。

「ちょっと待ってくれ」

交番の電話が鳴り、警官がそれを取った。

※コンマ下
01〜05 一般人を巻き込んだ虐殺に発展
06〜30 任意の事情聴取をした警官が殺害、逃走(被害拡大へ)
31〜50 任意の事情聴取をした警官が重傷、逃走(被害拡大確率小)
51〜80 そのまま逃走、行方知れず
81〜95 不審車情報から追跡へ
96〜00 確保
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 21:17:38.54 ID:i+0RNJrDO
はい
946 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 21:42:42.84 ID:yVAoce1RO
「……そうか。分かった」

警官は渋い顔で電話を切った。

「白いハイエースは見当たらないそうだ。こちらでも探してみるが……」

「……そうですか」

カーナンバーさえ覚えられていればと思ったが、後の祭りだ。救いは、被害は出なかったことか。

「これ以上君たちがいても仕方ないかな。鶴岡光輝の件もあったし、警備を手厚くしておこう。今日の所は、ひとまず帰りなさい」

交番を出ると、ヤクが震えて泣き出した。

「……ねえ、まだ、狙われてるの?もう嫌だよ……!!」

「……大丈夫、僕が守るから」

ヤクの頭を撫でながら、僕は思考を巡らせていた。あれが翔一の手によるものというのは、間違いない。
だけど、もう翔一には手足になる駒なんていないはずだ。あれは、一体誰だ?
この前の日曜には、翔一が水上の一ノ倉沢を訪れたクライマーを拉致するかもという話を聞いた。しかし、そんなに早く動くのだろうか?

※コンマ下90以上で手掛かりあり、95以上で???
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 21:44:06.49 ID:NQ3dxv+r0
948 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/03(日) 21:49:25.99 ID:yVAoce1RO
※城たちの選択は?3票先取

1 予定通りに病院へ
2 一度素直に家に帰る
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 21:54:20.36 ID:i+0RNJrDO
1
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 21:59:19.92 ID:I/3Ay09DO
1
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 22:10:56.58 ID:NQ3dxv+r0
1
952 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 00:00:46.69 ID:HtJ3pIorO
「……ジョー、これからどうするの?」

ヤクの言葉に僕は悩んだ。多分、診療予約をキャンセルして家に帰る方が、安全かもしれない。……けど。

「このまま、病院へ行こう」

「なんで!?また襲われるかも……」

「それは否定できない。でも、僕らの身体を調べてもらうことで、分かることもあるかもしれない。
それに、翔一なら……僕の行動は読んでる。ハイエースの行き先は、多分僕らの家だ」

ごくり、とヤクが唾を飲み込む音がした。

「じゃあ……」

「毛利刑事には、一度連絡を入れるよ。あの人なら、きっと上手くやってくれる」

毛利刑事に再び電話して簡単に説明すると、「状況は分かった、至急対応する」と短く返ってきた。声色からも、緊迫した状況にあるのはすぐに分かった。

「すぐに電車に乗ろう。時間に遅れるのは仕方ないけど、遅れすぎるのも失礼だ」

僕はヤクの手を引いた。

※コンマ下
01〜10 嫌な気配が消えない?
11〜85 通常進行
86〜98 毛利だ、電車内だろうからメッセージで送る(再判定)
99、00 特殊展開
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 00:05:55.18 ID:YfHTqvwDO
はい
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 00:06:09.80 ID:und7iBrc0
えい
955 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 00:12:36.69 ID:HtJ3pIorO
今日はここまで。
956 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 09:06:37.15 ID:te4ueXkuO
【7月4日、14時16分】


「結構、歩くんだね」

ヤクが汗を拭う。陽射しは強くないが、それでも最高気温は35度はあるらしい。病院の強い冷房は、オアシスのように感じられた。

神経内科の診察室前には、ほとんど人がいない。そう待たずに部屋に通された。

「どうぞかけて。あなたが薬師丸英華さんね」

「は、はいっ」

鷹山先生がふふっと笑う。

「緊張しなくていいのよ。検査といっても、そんなに手間ではないから。採血とCT、基本的な知能検査くらいかしら。
で、城君。何かしら体調に変化は?」

「今のところ特に。……反射神経が、少し上がったぐらい、ですかね」

「……へぇ」

鷹山先生の目が鋭くなる。

※コンマ下50以上で木暮登場

957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 09:24:47.57 ID:auz3EsDv0
ほい
958 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 13:22:46.34 ID:3cajh1IyO
「……あなた、どう思う?」

奥から小柄な中年の男性が出てきた。物静かな感じだけど、どことなく凄みがある。……毛利刑事や赤木刑事と、同じものだ。

「毛利君の推定が当たっているかもな。検査結果次第だが。
……ああ、初めまして、だね。私は木暮悟という。埼玉県警捜査一課で、赤木君や毛利君の上司に当たる」

すっと細めの右手が差し出された。あの2人は見るからに刑事という感じだったけど、こういう人もいるのか。
握手すると、何かに納得したかのように彼が頷く。

「城隆一郎君、よろしく。そして君が、薬師丸英華さんだね」

「は、はいっ」

木暮刑事が苦笑する。

「緊張しなくていい。まず、私がここにいる理由を説明した方がいいな。
1つは、君たちの警護のためだ。さっき襲われたのは聞いている。君らの自宅近辺に警官を配置しているが、念のためだ。
そしてもう一つ。毛利君の懸念が本物かどうかを確認するためだ」

「懸念?」

「そうだ。……彼からは、昨日のことを一通り聞いている。色々聞かされて大分仰天したがね。
そして、君と毛利君が立ち合ったのも知っている。常人ではあり得ない反応だったと」

「それって、どういうことですか?」

ヤクが身を乗り出した。木暮刑事の声が、僅かに低くなる。

「アイスキャンディの効能は知っているね。その副作用も。
警察もようやく、その危険性に気付き始めた。全貌を知っているのは、私含め埼玉県警の一部に留まってはいるがね。
鶴岡光輝、及び次郎の尿から検出された未解明の薬物と、鶴岡大和の検死で出てきた薬物が一致したというニュースは、聞いているかな」

「確か、一昨日出てましたね」

マスコミは、鶴岡家の暴走の影に薬物があったと報じていた。「謎の麻薬」として、少しずつだが騒ぎになりつつあるらしい。

「そうだ。今成分解析中だが、ちゃんとした結果が出るまではもう少しかかる。
あれがアイスキャンディと呼ばれていて、どういう効果を持っているかは毛利君などごく少数しか知らない。
そして、毛利君すら知らなかった効能がある可能性かもしれないと、彼から聞いた」

「……どういうことですか?」

ふうと息をついて、木暮刑事が近くの椅子に座る。

「そこから先は、家内から説明させよう」

鷹山先生が頷く。

「アイスキャンディの原型は、『コールディ』という認知症治療薬なの。前に少しだけ話したかもだけど。
この副作用は酷いのだけど、そこの薬師丸さんの体液が持つ酵素が、それを軽減させているかもしれないという仮説を立てたの。
そうでないと、あなたの脳の萎縮度合いであれだけの検査結果が出るはずがないから。はっきり、一般人以上だった」

「毛利君から、『未来』ではアイスキャンディ中毒者に対して特殊体質の人間から抽出した酵素を投与する療法があるという話を聞いた。
私は未来人でないから、詳しく知らないがね。家内は、薬師丸さんがその特殊体質だと踏んでいる。
……さて、問題はこれからだ。佐倉翔一が君らを狙っていたのは間違いない。
それは、特殊体質者である薬師丸さんを捕らえるか殺すことで、アイスキャンディの治療法を絶つか、独占することにあると思っていた。
だが、それは間違っていたかもしれない。もっと深刻なものかもしれない」

「えっ??」

鷹山先生が僕たちの目を見る。

「アイスキャンディの服用者にその特殊酵素を投与すると、効き目が永続する……あるいは副作用がないか、薄い状態になるかもしれない。
これは医学的には画期的なことなの。認知症治療方法として、大きな可能性が開けるのだから。
ただ、これをもし悪用するなら?アイスキャンディで身体能力を倍加し、しかも使い減りしないなら??」

全身に悪寒が走った。……まさか、翔一の本当の狙いは。

木暮刑事が息をついた。

「佐倉翔一は、私兵を作ろうとしている。一般人を屈強で凶暴な兵士へと変える、アイスキャンディを使って。
それで何をしようというのまでは分からない。だが、もしこの仮説が正しいのだとしたら……事態は極めて深刻だ」
959 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 13:44:26.24 ID:3cajh1IyO
「私兵って……兵隊ってことですよね??
じゃあ翔一は、戦争でも始めるつもりなんですか??」

「……どうだろうな。ただ」

木暮刑事が険しい顔になる。

「佐倉と繋がりが深い男に、本庄秀司という男がいるらしい。毛利君曰く、N国の工作員だそうだ。裏は取れていないが。
とするなら、本当にそういうこともあり得るかもしれない。話は一気に大事になる」

※コンマ下80以上で城は本庄と会っている、95以上なら??
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 13:46:44.13 ID:WxZbnJjK0
961 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 19:42:28.39 ID:QuZIc/yBO
誰だ本庄って。聞いたことがない。しかし、N国の工作員というのが本当なら、僕らはとんでもないことに巻き込まれたんじゃ?

僕の手を、ヤクがぎゅっと握った。木暮刑事が話を続ける。

「だから、私がエビデンスを取りに来た。因果関係を簡単に証明できるとは思っていないが……仮にそれが取れれば、警察の総力をあげて動こう。
毛利君は違う道を考えているようだが、無法にはできるだけ法で対峙したい。それが、私なりの正義だ」

「……でも、翔一は未成年です。少年法に守られてる」

木暮刑事が目を閉じた。

「……私には毛利君の気持ちも分かる。彼のように『未来の記憶』があるわけではないが、佐倉翔一という少年が、『救われ得ぬ魂』であるなら……彼は再び犯罪を犯すだろう。
だが、今しなければいけないのは、真相の解明だ。バッドエンド・ブレイカーは彼を殺そうとしているらしいが、それではそこに辿り着けない。
どちらが正義だ、というほど私の頭は固くはない。ただ自分の信念が、法を選んだというだけだ」

「毛利刑事は何て」

「それは多分正しい、と。彼自身も、殺すまで行くべきか迷っている。
ただ、彼は未来を知っている。佐倉翔一というのが、どんな少年なのかも私よりは知っている。だからこそ、迷っているのだろう。
彼が未成年者略取で佐倉の身柄を押さえようとしているのは知っている。
バッドエンド・ブレイカーと協力する辺り、手段は選ばないのだろう。……ただ」

木暮刑事が僕を見つめる。

「リスクを避けるなら、こういう方法もある、ということだ。悠長かもしれないがね」

#

検査は前回と似たような感じで行われた。終わった頃には、夕日が沈もうとしていた。
そこからさらに待つこと1時間。お腹がいい加減すいた頃に、鷹山先生に呼び出された。

「お疲れ様。大変だったでしょう」

「いえ、まあ……」

「ふふ、いいのよ。で、結論から言うわ。……」

※コンマ下
01〜40 証明には、かなりかかるわね
41〜80 証明には、1カ月は要る
81〜95 2週で間に合いそう
96〜00 週末には出るわ
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 19:49:41.36 ID:I9O+SilDO
はい
963 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 21:45:57.88 ID:NU4yiNZvO
「証明には、かなりかかるわね。多分、1カ月やそこらじゃ利かない」

「……そうですか」

ふと木暮刑事の方を見る。落胆を隠せない様子だ。

「正直、アイスキャンディの現物がないと。あとサンプルケースが少ないの。君と薬師丸さんだけに訪れた奇跡なのか、そうじゃないのか、これじゃ分からない。
一つ言えるのは、君の脳萎縮が止まってることと、前回同様、知的、身体機能は常人のそれをかなり上回ってるという事実ね。
学会に発表したらすごいでしょうけど……そうするとそれこそ1年はかかっちゃう」

「やはり、毛利君に託すしかない、か」

木暮刑事が短く言って立ち上がる。

「そうね。警察だけで話をまとめられたら良かったんでしょうけど」

「うちと警視庁の方向性が一致していないからな。うちは佐倉を狙っているが、向こうは鶴岡の事件──特に次郎の事件の現場にいた少年に関心を持ってる。
まあ、こちらは敢えてそこを流してるわけだが……差し当たり、君らを襲った犯人を捕まえねばな。とりあえず家まで送ろう、随分付き合わせたね」

「いえ、ありがとうございます」

※コンマ下
01〜05 ???(再判定)
06〜30 ハイエースの男女発見(再判定、逃走濃厚)
31〜80 何もなし
81〜90 ハイエースの男女発見(再判定、逮捕濃厚)
91〜00 ハイエースの男女逮捕(再判定、高確率で素性判明)
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 21:47:02.60 ID:7yc1GSbA0
965 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/04(月) 21:50:44.79 ID:NU4yiNZvO
※視点選択です。

1 城のまま(短めです)
2 仁パート(城襲撃から、20時まで未逮捕は確定)
3 コナンパート(定点観測、動きあり?)

2票先取
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 21:52:25.62 ID:YfHTqvwDO
2
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 22:13:29.12 ID:7yc1GSbA0
2
968 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 08:59:25.73 ID:yNLkIOVbO
【7月4日、12時10分】


「どうしました、仁さん。あまり元気なさそうですが」

向かいに座った白島が蕎麦を啜りながら言う。俺は衣の厚い、食堂の唐揚げを箸でつついた。

「いや、まあな」

俺は昨晩のことを思い出していた。


【7月3日、20時22分】


「やはりここの鰻は旨いな」

木暮管理官がうんうんと頷く。

「……何か用があって、俺を呼び出したのは分かります。赤さんも抜きで、どうしたんですか」

「……単刀直入に言おう。佐倉の件だ。私は、あくまで警察がメインで動くべきだと思っている」

俺はギクリとした。

「……知ってたんですか」

ふふ、と彼が笑う。

「カマをかけただけだがな。大方、君だけで動こうとしてるのだろうと思った。いや、正確にはバッドエンド・ブレイカーも一緒か」

「……そこまで」

「警視庁から連絡が来てね。君がバッドエンド・ブレイカーと繋がってるのではとの話だった」

「兵藤左近、ですか」

木暮管理官の顔から笑みが消えた。

「彼とは古い付き合いだ。相変わらずだったな。犯罪者は決して許さない、それを見逃す行為も許さない。
よく言えば正義の体現者、悪く言えばただの融通の利かない教条主義者だ」

「……しかし、佐倉は警察だけで、既存の司法だけで裁けますか?」

「……裁かれるべきは人にあらず。ただその行為のみだ。だから法の守護者として、私たちがいる。
佐倉をどうするかは、確かに考えなきゃいけない。だが、アイスキャンディ拡散の背景に何があるのかを探ることこそ、重要なんじゃないのか?」

木暮管理官の言う通りではある。ただ、佐倉という男を生かすことが、この国にとっていいことなのかは全く分からない。

「だから、警察がすべきだと。しかし、どうやって?」

「アイスキャンディだ。あれは野放しにしてはいけない。さっき城の話と君の仮説を聞いて、それは確信へと変わった。
佐倉の目的が私兵作りにあるなら、そしてそれがN国と繋がっているなら、それは全力で止めねばならない。
鍵を握るのは城と薬師丸だ。アイスキャンディと薬師丸さんの持つ酵素との関係を明らかにし、アイスキャンディの危険性を周知できれば……全国の警察が動く」

「……それはできるんですか」

「明日、城がみなとの病院に行くと聞いた。そこで調べてみる。
ただ、私は君を止めない。兵藤は止めようとするだろうが、私はあそこまで頑迷ではないのでね。君の主張にも理はある」

木暮管理官が鰻を一切れ口にした。

「やり方はいくつかある。私はその中で、一番法に沿った方法を選んだだけだ。
もし厳しいなら、別の方法を考えるが……毛利君の邪魔はせんよ」
969 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 09:11:31.95 ID:yNLkIOVbO
【7月4日、12時17分】


物思いに耽っているうちに、唐揚げは皿から消えていた。食べたという実感がない。
木暮管理官の言うことは、多分正しい。俺もそう伝えた。ただ、あくまで多分だ。佐倉をどうすべきなのか、俺は答えを出せずにいた。

その時、電話が鳴った。……城から??

「どうした?」

『アイスキャンディの服用者に襲われました!今、学園大学駅の近くです!一応警察には来てもらいましたが……ハイエースで逃げてます!このままじゃ……!!』

切羽詰まっているのはすぐに分かった。……しかし、何者だ?

「了解だ、ただ、着くには時間がかかる。それまで警視庁に任せるしかないな」

『……分かりました』

電話を切る。このまま駆け付けるのはたやすい。……だが、強烈な違和感がある。
佐倉は誰かを雇ったのか?それとももっと別の方法なのか?

※60以上で心当たりあり
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 09:28:52.83 ID:TS3wE/HDO
はい
971 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 12:46:19.05 ID:yNLkIOVbO
……いた。佐倉がアクセスできる「味方」が。この可能性に、何故気付かなかった?

俺は急いで県警の食堂を出た。調べなければならないことがある。

「どうした仁、血相を変えて」

デスクに戻ると、赤木警部が外回りから帰ってきた。

「城が襲われました。未遂ですが」

「何ぃ!??」

「多分、やったのはこいつらです」

PCのディスプレイには「国際交流インカレサークル GATES」と浮かんでいる。

「学生サークル?何でまた」

「説明すると少々長くなります。平たく言えば、ここのトップ、本庄秀司と佐倉が繋がっているんです。
さらに、本庄はN国の人間です。それは昨日、木暮管理官にも話しました。アイスキャンディの生産も、多分ここです。
本庄は7月下旬までは日本に戻らないようですが……指示を日本に送ることぐらいはできる。
佐倉に泣きつかれて、本庄が日本にいるGATESを動かしたとしても驚かない」

「……ってそれヤバくないか??そもそも何で初めからこいつらを使わなかったんだよ?」

「多分、イニシアチブがN国に渡ることを嫌ったんでしょうね。ただ、鶴岡家が全滅した今、なりふり構ってられる状況じゃないってことかと」

俺はサークルの部員紹介のページに移る。

※コンマ下
01〜60 通常進行
61〜95 あれ、何見てるのかな
96〜00 ボクの出番だね
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 12:50:38.30 ID:SECP7cnDO
はい
973 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 13:12:11.95 ID:yNLkIOVbO
本庄の下は……副代表の望月佑月。欧米やC国からの留学生もいる。
GATESが実質的なスパイサークルというのは知っている。だが、それは俺が覚醒者だから分かるのであり、この時代にそれを知っている人物がどれだけいるか、だ。

真っ先に思い付いたのは公安だ。ただ、公安と俺との関係は良くはない。あくまで不可侵、というだけだ。
そもそも、公安はここに来てどう動く?GATESと佐倉の関係は、古畑らも把握しているはずだ。泳がせるのか、どうなのか。

警視庁はどうか。兵藤とは敵対関係になりつつある。ただ、部下の神原は違う。GATESの件も知っている。
彼に協力を仰げればいいが、兵藤の耳に入ると厄介なことになりそうな気がした。

俺は……

※3票先取
1 公安に協力を要請する(増田にコンタクトを取る)
2 神原に連絡する(兵藤の介入確率中〜大)
3 単独捜査(現状では取っ掛かりなし)
4 自由安価

※自由安価歓迎します
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 14:04:23.80 ID:U+aAzFDd0
ハッキング出来ないのかな
メンバー専用SNSとかサイトなりなんかサークルでも一部しかしらない秘密のネットコミュニティ探るとか
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 14:34:29.05 ID:SECP7cnDO
由依さんの出番かな
コナン経由で何とか
976 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 14:39:12.10 ID:3PuiT+41O
>>974-975
ハッキングはできます。由依にコンタクトできればやれるでしょう。
ただ仁と由依との面識はないのでコナン経由になりますが。
977 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 15:48:44.40 ID:l8Zk2vTwO
上げます。再開は夜です
978 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 18:43:34.56 ID:l8Zk2vTwO
上げます。一応ハッキングに2票としてます。
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 18:50:17.86 ID:uhkpljOL0
由依とコンタクトを取ってハッキング
980 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 20:53:16.58 ID:kY/8W39jO
そういえば……バッドエンド・ブレイカーは藤原だけではなかったはずだ。彼らに協力を仰ぐことはできないか?
バレてはまずい連絡は、何かしらでやっているはずだ。メールか、メッセンジャーか、LINEか……。裏サイトという可能性もある。
そこにアクセスできれば、裏をかくことはできる。

ただ、あいにく俺は藤原の連絡先は知らない。電話がかかってくる時は非通知だ。バッドエンド・ブレイカーという組織の性質上仕方ないのだろうが。
となると、やはり兵さんだろう。彼は、バッドエンド・ブレイカーの上層部にも顔が効くようだ。 ならば、彼に訊くのが一番早い。

俺はスマホを取り出した。

※コンマ下
01〜10 電話に出ない
11〜30 今忙しいから、夕方でいいか?
31〜85 了解した
86〜98 今、コナンがいるが
99〜00 上+α
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 20:53:59.03 ID:SECP7cnDO
はい
982 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 21:06:31.78 ID:kY/8W39jO
……電話に出ない。店が忙しいのだろうか?

そうなると、こちらから打つ手はなくなる。コールバックを待つしかない、か。

【7月4日、18時02分】


城の言っていたハイエースは、全く見付かる気配がない。一応彼らの自宅前に制服警官を向かわせたが、こちらにもまだ現れてはいないようだった。

……兵さんのコールバックは、まだない。

電話が鳴った。兵さんか?と思ったが、木暮管理官だった。俺は落胆を悟られないよう、一つ息をついた。

「もしもし」

『毛利君か。……どうやら、君に頼らざるを得ないようだ。因果関係は、現状では示せなかった』

「……そうですか」

『まあ、やむを得ない。これから私は、2人をホテルまで送っていく。そこで、詳しい話をしよう』

「了解です」

俺はGATESのことは黙っておいた。まだ、俺の推測にすぎない。

※コンマ下
01〜40 コナンから電話(白田失踪?)
41〜90 白田からコールバック(由依への連絡確率小〜中)
91〜00 白田からコールバック(アクセス確定)
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 21:07:10.51 ID:V7FGtgD70
984 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 21:15:49.40 ID:kY/8W39jO
その時、再び電話が鳴った。今度は兵さんからだ。

『すまねえな、雑誌の取材で電話に出れなかった。用件は?』

「バッドエンド・ブレイカーにアクセスしたいんです。彼らなら、ハッカーぐらいは抱えてるんじゃないかと」

『ハッカー?何で急に』

俺は一通りの経緯を説明した。兵さんが唸る。

『……なるほどな。確かに狙いは分かった。
城の坊主を襲った奴がGATESって連中の一味なら、地下に潜ってるかもしれん。そいつらを探るなら、悪くない考えだ。
ちょっと待ってろ、一応俺から話をつけておく』

電話が切れて5分ほど。再びスマホが震えた。

※コンマ下
01〜15 ……妙なことになってるらしい
16〜60 今日は無理だそうだ。気難しい奴らしい
61〜95 2分後に連絡が行く
96〜00 実は……
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 21:16:32.73 ID:TS3wE/HDO
はい
986 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 21:42:23.59 ID:kY/8W39jO
『今から2分後に連絡が行く。あとは直接やり取りしてくれ。浅賀由依、って女だ』

「ありがとうございます」

俺は息をついた。アメスピを箱から取り出す。そこに赤木警部がタバコ部屋にやって来た。外回りから帰ってきたらしい。

「何か疲れた顔してんな。ハッカーは見付かったか?」

「とりあえず。しかし、見付かりませんか」

「ああ。てっきり待ち伏せかましてると思ったんだがな。行動を読まれてるのか、あるいは……」

スマホが震え、俺は即座に取る。

「……もしもし」

『あー、あんたが『デッドマン』ね。噂は聞いてるわ。一応、初めまして。うちのちっこい『警視殿』が世話になってるらしいわね』

「……どうも」

声の低い少女の声が聞こえた。とはいえ、覚醒者だから声の印象など当てにはならないのだが。

『用件は粗々だけど網笠さんから聞いたわ。事態の深刻さは、こちらも共有してる。
佐倉は元々優先度A案件だけど、Sでもいい気がしてきたわ。N国が出張ってきたら、完全に収拾がつかない。
……これ、確実に公安絡みよね。連中も絡んでくるわよ。邪魔するか、協力するかは分からないけど』

「どうだろうな。あまり楽観はしてない」

そう言えば、朝から増田を見ていない。あるいは、彼女も動いているのか。

『とにかく、GATESのHPへのハッキングはやるわ。メンバー個人の端末に逆アクセスも試してみるけど、そんなにすぐは結果が出ないと思う。
2時間は見ておいて。さすがに大事だから、コナンたちにも連絡はする』

※コンマ下
01〜15 ……ってそう言えば……興也さんから、連絡ないわね
16〜95 通常進行
96〜00 ……ってそう言えば、さっき興也さんから連絡が
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 21:48:16.96 ID:SECP7cnDO
はい
988 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 21:52:31.32 ID:kY/8W39jO
今日はここまで。以下、次スレになります。
989 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 21:54:20.67 ID:kY/8W39jO
次スレです。

【安価】殺人鬼コナン3【コンマ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1551790422/
990 : ◆C9vIqtyVF2 [saga]:2019/03/05(火) 21:56:12.71 ID:kY/8W39jO
1000が70以上であれば、この後の興也の判定を省略します。
(非常に有利な展開になります)
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 21:57:21.83 ID:PnVz/rX/0

埋め
992 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 21:58:57.74 ID:SECP7cnDO
立て乙
993 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:05:05.37 ID:PnVz/rX/0
埋め
994 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:05:32.61 ID:PnVz/rX/0
1000まで埋め
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:06:48.71 ID:PnVz/rX/0
埋め
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:07:25.20 ID:PnVz/rX/0
埋め
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:08:24.91 ID:PnVz/rX/0
埋め
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:08:51.58 ID:PnVz/rX/0
埋め
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:09:19.83 ID:PnVz/rX/0
埋め
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:09:26.85 ID:TS3wE/HDO
新スレ乙です
1001 :1001 :Over 1000 Thread
          | |\                /| |
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          | |:::.::.:.:.|,, ´∀`)  (・∀・ ,,).:.:.::.:::| |
          | |:::.::.:⊂   つ  (     つ .::.:::| |
          | |:::.::.:.:.| ヽノ____Y  人|.:.:.::.:::| |                     SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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【安価】殺人鬼コナン3【コンマ】 @ 2019/03/05(火) 21:53:42.66 ID:kY/8W39jO
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リーリエ「ギャンブルをしませんか?」 @ 2019/03/05(火) 21:18:22.68 ID:+l4UDZn6o
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吹雪「ジーッとしてても、ドーにもなりません!」 @ 2019/03/05(火) 20:18:52.26 ID:R0yLqeu9o
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善子「漆黒の世界へようこそ」 @ 2019/03/05(火) 08:52:42.00 ID:GRWw9OG90
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ナサニエル「もう一度リスタート切ろう」バーティミアス「お前もよくやるな」 @ 2019/03/05(火) 03:46:34.58 ID:LB7XWkc60
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【安価・コンマ】吾郎「野球しようぜ!」パワプロ「えっ?」【MAJOR】Part5 @ 2019/03/05(火) 01:13:30.49 ID:iT6H1b9c0
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安価 古きを喰らう者 @ 2019/03/05(火) 01:07:50.77 ID:Hw2fQ1Ps0
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【シャニマスSS】P「メイドの夏葉の5Wと1HのH」 @ 2019/03/05(火) 00:28:25.09 ID:gE5KwWw00
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