緒方智絵里「私だけの、幸せのカタチ」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:41:16.09 ID:0Qhnfw1U0
※「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSS

※キャラ崩壊あり、人によっては不快感を感じる描写もあるかも

※独自設定とかもあります、プロデューサーは複数人いる設定

以上の事が駄目な方はブラウザバック奨励



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1550896875
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:42:31.99 ID:0Qhnfw1U0
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私は、幸せになりたかった。


ずっと、ずっと……幸せになりたくて、幸福を求め続けてきた。


沢山の幸せじゃなくてもいい。ほんの少しの、ちっぽけな……ありふれた幸せでも、私は良かった。


それさえあれば、私は満足でいられたはずだった。


でも、願ってばかりいたけれど……それは手に入らなかった。


幸福は私からどんどん離れていき、遠ざかっていく。私は幸せにはなれなかった。


願ってばかりで動かなかったから、何も掴めなかった。この手に残ったのは、ただただ無惨な現実だけ。


3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:43:16.12 ID:0Qhnfw1U0
だからこそ、私は動こうと思った。その為に、あるものを探し始めた。


幸せの象徴……私の幸せだった頃の思い出でもある、四つ葉のクローバーを。


『四つ葉のクローバーを見つけると、幸せになれる』


誰かが私に言った言葉だった。誰が言ったのかは……もう、覚えていない。どうでも良かった。


けど、その言葉を信じて……私はひたすら四つ葉のクローバーを集めた。


一本、二本、三本と……四つ葉のクローバー見つける度に、私の心の中は期待で満ちていく。


今度こそ、幸せになれる。あの頃の幸せを、取り戻せる。


そんな希望が……儚い気持ちが、自然と膨らんでいった。


4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:43:44.39 ID:0Qhnfw1U0
十本、二十本、三十本……集める本数が増えていく毎に、私の期待も更に増していった。


――は何て言ってくれるだろう。――は褒めてくれるかな。


その先に待つ未来を想像し、私の胸中は『その時限りの』幸せで埋め尽くされていく。


それが、叶わぬ願いと分からぬまま……一心不乱に、私は幸せの象徴を、その手で千切っていく。


ただただ自分勝手に、野原で無垢なるまま育ったそれを、私は、自分の幸せの為に、奪うのだった。


百本、二百本、何百本……もう、どれくらい集めたかなんて、分からなくなってきた。


沢山集めた幸せの象徴。いっぱい……いっぱいの小さな幸せ達。


だけど、私はまだ……幸せでは無かった。私の欲しかった幸せは、手に入っていない。


5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:44:16.39 ID:0Qhnfw1U0
……ねぇ、教えて? 一体、あとどれだけ奪えば、私は幸せになれるのかな……?


何千、何万、何億……? どれぐらいの幸せを奪えば、私は、幸せになれるのかな。


あぁ、神様は……私に対して意地悪なんだ。この世界は、私にとって酷い世界なんだろう。


いつまでも叶わぬ願いを前にして、私はもう、疲れて果てていた。


もう、諦めよう。私の求めていた幸せなんて、手に入る事は無い。


……そう、思っていた時、私は遂に見つけてしまった。


私を幸せにしてくれる……私だけの四つ葉のクローバーを、見つけてしまったのだった。


今まで集めてきた何百本もの四つ葉のクローバーにも勝る、そんな存在を。


あぁ、ようやく……私は幸せになれるのだ。


6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:44:44.47 ID:0Qhnfw1U0
その時の私は、そう確信していた。紛れもなくそれは、幸せをもたらしてくれるはずの化身であると。


そして私は、決心するのであった。






今度こそ絶対に、私は幸せになってみせる。


例え、周りが不幸になろうとも、相手がどうなろうとも、何としてでも、手に入れてみせる……と。





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7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 13:45:59.23 ID:0Qhnfw1U0
とりあえず、導入部分まで

今から仕事なので、続きは帰ってきてから投稿します
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 16:01:21.53 ID:zHOZ1SIPo
久しぶりだな
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 17:50:44.58 ID:8un0GbJL0
生きてたのか久々だな…
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:27:00.35 ID:0mFfN2IW0



「あ、あの……プロデューサーさん」


ある日の昼下がり。CGプロダクションのプロデューサーであるPは仕事途中に背後から話し掛けられ、声のした方にへと顔を向ける。


彼の視線の先に立っていたのは、小柄でどこか儚げな印象はまるで小動物のよう。


ツインテールの髪型が特徴の少女。彼もよく知る、自身が担当するアイドルである緒方智絵里であった。


「あぁ、なんだ。智絵里か」


「は、はい。えっと……」


「どうしたんだ? もう直ぐレッスンが始まる時間じゃないのか」
 

「そ、そうですけど……そ、その前に、渡したい物があって……」


そう言うと智絵里は恥ずかしそうに、もじもじと体を動かす。


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:27:28.59 ID:0mFfN2IW0
「その……これ、です」


そしてPに向けて何かを差し出す。


Pは差し出されたそれを受け取ると、まじまじと見つめて観察する。


「これは……栞か」


その正体は長方形に切り取られた厚紙の上に、押し花になった四葉のクローバーが貼り付けられた、手作り感の溢れる栞であった。


「こ、この間……公園で見つけて作ってみたんですけど……。そ、その、良かったら、貰って下さい」


担当アイドルの手作りのプレゼント。言わばそれは、彼女からの信頼の証でもある。


そんな物を渡されては、Pも受け取らないわけにはいかない。


彼は近くにあったスケジュール張を手に取り、それを開く。受け取った栞をその中に挟み、そして閉じた後に元の位置にへと戻した。


12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:28:03.10 ID:0mFfN2IW0
「ありがとう、智絵里。大切に使うよ」


そう言ってPが感謝の言葉を口にすると、智絵里はまるで花が咲いた様な笑顔を彼にへと見せる。


「そ、それじゃあ、私……レッスン行って来ますね」


「あぁ、頑張れよ」


Pがそう声を掛けると、智絵里は嬉しいのか幸せそうに微笑む。そしてパタパタとした動作で事務所から出ていき、レッスン場に向かって行った。


その後姿をPは見送った後、再び目の前の仕事に取り掛かり始める。


「智絵里ちゃんからのプレゼント、いいですねぇ」


しかし、取り掛かろうとしたその時、隣の席からそう声を掛けられ、Pは手を止めた。


「ファンの方達に見られたら、きっと全力で恨まれるでしょうね」


「……そんな事にはなりませんよ。考えすぎですから」


苦笑しつつ、Pは隣に座る事務員、千川ちひろにへとそう返した。


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:28:54.28 ID:0mFfN2IW0
「いえいえ、人の嫉妬って怖いですからね。何をされるか、分かったものじゃありませんよ」


「だから、考えすぎですって。変なドラマや小説の見すぎじゃないですか」


「でも、本当に気をつけた方がいいですよ。最近、物騒な事が多いですし。アイドルが狙われる事件とかも、実際に起きてますから」


「……それは確かに、一理ありますね」


「けど、智絵里ちゃん……昔と比べると、大分変わりましたね」


「変わった……? そうですか?」


そう言って、Pは首を傾げてちひろにへと問い掛ける。


「えぇ、変わりましたよ。以前の智絵里ちゃんでしたら、さっきみたいにプレゼントなんて渡してくれなかったと思いますよ」


「まぁ……それはそうですね」


「それだけ、好かれているという事です。信頼を寄せられてるとも言えますね」


「……だとすれば、嬉しい限りです。担当プロデューサーとして、冥利に尽きますよ」


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:29:29.14 ID:0mFfN2IW0
はははとPは照れた様に笑い、後頭部を掻いた。


その仕草を見たちひろはにっこりと微笑む。


「あっ、そうだ。担当アイドルとそこまでの信頼関係を築く、そんなPさんでしたら……」


そう言うとちひろは笑顔を保ちつつ、自分の机の中から何かを取り出し、それをPの机の上にへと置いた。


「もちろん、事務員の私とも良好な関係を築いてくれますよね?」


「……それはつまり、これを買えって事ですか?」


Pは置かれたものを指差し、ちひろにへと問い質す。それは事務所で売られている栄養ドリンクであった。


CGプロダクションの自社ブランド商品でもあり、ちひろが他のプロデューサーにへとよく売りつけている物でもあった。


そして同僚の大半が買っており、愛飲している事をPも知ってはいた。


15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:29:59.79 ID:0mFfN2IW0
「いえいえ。私としてはPさんと今後とも、良好な間柄でいたいだけですよ」


「金銭取引での間柄は、良好な信頼関係と言えるんですかね」


「さぁ、どうでしょうね? うふふ」


天使の様な笑みを浮かべているちひろであるが、やっている事は間違いなく、悪魔の所業であった。


そんなあくどい所業を見てか、Pは『はぁ……』とため息を吐く。


「……せっかくですが、お断りさせていただきます。というか、いらないです」


そしてPはそうはっきりと告げると、自分の机に置かれた栄養ドリンクをちひろの机にへと戻す。


断られたちひろの表情からは笑みが消え、不満の感情が前面にへと押し出される。


16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:30:45.91 ID:0mFfN2IW0
「いらないって、そんなぁ……。Pさんは、私からの好意を無碍にする人なんですね。酷いです」


「人に買わせようとして押し付ける事を、好意とは到底思えませんが」


「……そう言うのでしたら、私にも考えがあります」


「考え、ですか?」


ちひろは机の中から栄養ドリンクをもう一本取り出すと、先程戻された一本と合わせてPの机にへと置いた。


「買っていただけるのであれば……今なら限定で、もう一本おまけしちゃいます。とってもお買い得ですよ」


「えぇ……」


「さぁ、どうです? 通常価格で、もれなく二本飲めるんですよ。プロデューサーであるなら、買うしかありませんよ」


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:31:12.97 ID:0mFfN2IW0
「……もう一度言いますが、いりません。自分以外の人にでも売りつけてください」


そう言って再び断ると、Pは栄養ドリンクを二本ともちひろの机にへと戻す。


ちひろはそうした行動を見てか、でかでかと不満を表すようにため息を吐いた。


「……Pさんは、ケチです」


「計画性のある人間だと、言って下さい」


それからは諦めたのか、ちひろもPに対してドリンクを売りつけてくる事は無かった。


渋々といった面持ちで、ちひろはドリンクを机の中にへとしまう。


Pもちひろも、それぞれの仕事にへと取り掛かるのであった。





18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 12:33:22.08 ID:0mFfN2IW0
とりあえず、書き溜めたところまで

またストックが溜まりましたら投下していきます

ちなみに、言い忘れてましたが今回が初投稿です(迫真)
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