ほむら「私が悪魔になってからの生活」まどか「目覚めた」

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51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:12:59.17 ID:ynmFMAPd0
「来ると思ったさ。

お前、一体何のつもりでこんなことをしたんだ。

今度ばっかしは許さねぇぞ」

「えっ、杏子ちゃん?」

まどかはおどおどしたように、巴マミや佐倉杏子を見る

「離れてろまどか、こいつは、このままにしておいたらいけないんだ」

「鹿目さん。この人の言葉にだまされないで」

2人は武器を構えて私を見る。

「2人とも、記憶を取り戻したのね」

私は後退りした。

もう、この世界に私の世界が効かなくなってきている。

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:22:11.85 ID:ynmFMAPd0
「あなた達はどんな世界を望むの?

ここで戦って、私を倒したとしても、

また、同じことを繰り返すだけよ」

佐倉杏子は言う。

「はぁ? 何言ってやがる。

あんたをとっつかまえりゃ、また世界は元通りになるんだ」

「違う。あなた達は本当のことに気づいていない。

円環の理というものが現れる前、

あなた達は何度も死んで、同じことを繰り返した。

それは、私が時間を巻き戻したから。

でも、本当はそのどれもこれも、インキュベーターと契約したことで生まれた力。

本当はあなた達はもう亡くなっていて、

私が時間を巻き戻してから先のことはもう、インキュベーターの力による、つくりものの世界の中にいるの」

「よく分からないわね。じゃあ何で、私は今もこうして意識を持っているというの」

巴マミは、ふと口にした。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:28:01.58 ID:ynmFMAPd0
「あなたの言う、つくりものの世界にいるなら、私も作り出された存在のはずよ。

でも、私はこうして意識を持っている。

あなたと意見も対立する。

これは、どうしてだと言うの?」

「……」

私は言った。

「とにかく、インキュベーターの思い通りにさせてはいけないわ。

戦って、私を倒して、

このまま、またまどかが世界を作り直したとしても、

私達はインキュベーターと契約したその日から、ずっと変わらない」

巴マミと佐倉杏子は、一息ついてから、武器を構える

「とりあえず、あなたを捕まえることが先ね」

巴マミに続き、佐倉杏子も言う。

「話はそれからだな」

「もう…何を言ってもダメみたいね」

私は対抗手段となる武器を取り出す。

ーーーそのときだった。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:31:55.34 ID:ynmFMAPd0
「みんな、どうして、そんな格好をしてるの。

何で、武器を持ってるの。

私が知ってる皆は、学校の服を着て、

そんな格好はしていなかった。

それは…それは…」

パァッと音がすると、

まどかの目は光だしていた。

「まどか…?」

私はまどかに訴えかける

まどかはどんどん光を放ち始め、

あたりの空間が歪み始めていく。

「まどか、だめ!」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:35:25.43 ID:ynmFMAPd0
まどかに走りよると、槍で前を塞がれる

「いかせねぇぞ、ほむら」

「もう、勝手なマネはさせない」

佐倉杏子と、巴マミが私の前を塞ぐ

「あなた達!どいて、どきなさいっ」

「だめだ!」

佐倉杏子が言い放ち、後ろへと返される

「ぐぅっ」

ゴゴゴゴッ

という音とともに、あたりが揺れ始める

後ろを見ると、インキュベーターと美樹さやかが、こちらに向かって来ていた。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:41:09.05 ID:ynmFMAPd0
インキュベーターはとても大きくなっていて、

それは、ワルプルギスの夜の再来のようだった。

美樹さやかが、インキュベーターの攻撃をかわしながら、

牽制を入れている様子が目に映った。

インキュベーターはどんどん迫ってくる。

ああ…

ここが…私の最後

もう何も、どうすることもできない

「まど…か…」

あたりの空間が、どんどんねじれて変わっていく

インキュベーターから、黒い煙が湧き出して、私へと向かってくる

それは、どんどん私に近いて

私は、目を……閉じた
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:46:32.10 ID:ynmFMAPd0

……………………………………………

……………………………………………


辺りは光に包まれていた。

黒い『モヤモヤ』としたものも無く、

明るい世界だった。

「ほむらちゃん」

「!?」

声がした方を見ると、そこにはまどかがいた。

「まどか…まどかなの?」

まどかは、にこにこと笑っていた。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 21:52:14.23 ID:ynmFMAPd0
「ほむらちゃん。ひさしぶりだね。

私は、ほむらちゃんが魔法少女になる前のこと、知ってるよ。

学校で仲良くしてたことも、

一緒に遊んだりしたことも、ちゃんと覚えてるよ。

それは、とっても、楽しかった」

「まどか…まどかなのね」

私は涙を流していた。

「少しの間だけ、こうしてほむらちゃんを守ってあげる」

https://gyazo.com/10dd9f2656a35f0964ad3a05b6192e0f
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 22:01:15.77 ID:ynmFMAPd0
>>51

もう、この世界に私の世界が効かなくなってきている←×

もう、この世界に私の力が効かなくなってきている
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 22:03:02.28 ID:WTtMRbV30
以下、51の訂正
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/18(月) 22:04:55.21 ID:WTtMRbV30
「来ると思ったさ。

お前、一体何のつもりでこんなことをしたんだ。

今度ばっかしは許さねぇぞ」

「えっ、杏子ちゃん?」

まどかはおどおどしたように、巴マミや佐倉杏子を見る

「離れてろまどか、こいつは、このままにしておいたらいけないんだ」

「鹿目さん。この人の言葉にだまされないで」

2人は武器を構えて私を見る。

「2人とも、記憶を取り戻したのね」

私は後退りした。

もう、この世界に私の力が効かなくなってきている。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 22:09:17.49 ID:WTtMRbV30
51の訂正終わり。

すみません、私語は控えるつもりでしたが、ミスをしたので。

読んでる方、今日は終わります。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/18(月) 23:26:21.36 ID:0SmKcj6L0
乙 誤字も誤字訂正もエクスキューズもバンバンやっちゃって大丈夫
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/19(火) 07:10:07.20 ID:Ci3pQq5Eo
おつおつ
久々だな
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 23:24:01.73 ID:WFXxVR9G0
「ほむらちゃん。

私がほむらちゃんを迎えに行ったとき、

どうして、私を引き裂くようなことをしたの?」

「ごめんなさい。

私は魔法少女になってから、

何度も何度も同じ時間を繰り返していくうちに、

あなたや、美樹さやか、佐倉杏子、巴マミ、

それから、みんなが何を考えているか分からなくなっていったの

時間を巻き戻すたびに、皆、覚えていたことも忘れて

違う結末を迎えたりして、

そのうち、何が本当の世界なのか分からなくなっていった。

だから、そんな世界のなかで生まれた、円環の理というあなたの存在に、

そのまま導かれていくことが怖くなったの

私は、何か、大切なものを失ってしまう気がしたから」

まどかはじっと、私の話を聞いていた。

「そうか。そうだったんだね

それは、とても辛かったね」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 23:31:22.87 ID:WFXxVR9G0
まどかは私を見て言った。

「でも、私は、ほむらちゃんが魔法少女になる前のことも

なって、何度も何度も時間を繰り返したことも

魔女になってしまったことも

そして、私を引き裂いたことも、全部、知ってるよ」

「えっ」

私はまどかを見る

「どうして、知ってるの」

「私が円環の理という存在なれたのは、キュゥべえの力じゃないんだ」

「どういうこと?」

私はまどかに聞いた。

「キュゥべえにも、円環の理になった私を

理解することはできないところがあった。

それは、キュゥべえには無い、人を救おうとする気持ちがあったから。

それは、魔法ではなく、私たちが持つ心だよ」

まどかは言った。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 23:35:37.70 ID:WFXxVR9G0

「今、ほむらちゃんの世界は、

魔法でできた世界と、心でできた世界、2つの空間と繋がっている

ほむらちゃんが、私達の世界を思えば、

私は、ほむらちゃんを助けることができるよ」

そう言うと、まどかは少しずつ遠くなっていく

「待って」

私の声も虚しく、まどかはそのまま見えなくなってしまった。

………………………………………

「はっ…」

気がつけば、私は黒い煙に包まれていた。




「はっ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 23:39:38.54 ID:WFXxVR9G0

前を見ると、インキュベーターが私の前に迫って来ていた。

「くっ…」

私はインキュベーターを見て、手に力が入った。

「あなたが…あなたが居なければ!」

あなたが居なければ、みんな、魔法少女になることも無かった

皆、魔法少女という義務を課されることもなく

みんなと離れ離れになることも無かった

「くっ!…くっ!…くっ!………」

私は何度もインキュベーターを叩いていた。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 23:48:19.02 ID:WFXxVR9G0
「ほむらちゃん」

まどかの声がする

「私達は、心を持った存在なんだよ」

「はっ…」

インキュベーターの声がする

痛い…やめるんだ、ほむら

「インキュベーター。

あなたも心を持つ存在なら、

もう少し、今と変わった生き方ができるんじゃない」

私は目を瞑った。

何度も同じ時間を繰り返したことが、思い出されて来た。

まどかや、皆と離れ離れになることが怖かった。

でも、私は…

私は目を開けて言った。

「私は魔法に囚われることをやめ、

人としての人生を生きようと思う」

空から沢山の金色の矢が降って来た。

頭上を越え、世界を、建物を、次々と壊し、光で包んでいく

私は、キラキラと光るその光景を、じっと見ていた。

https://gyazo.com/149d3b4c443ec1fcc8d05a55ec3306c3
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/19(火) 23:52:52.60 ID:WFXxVR9G0

…………………………………………

「はっ…」

気がつくと、私は座っていた

周りには雨が降っていた

振り返ると、大きな建物があって、人がガヤガヤとしていた。

「私は…」

何をしていたのか、少し思い出せなかった。

でも、少しずつ、時間が動き始めているような気がした

私は…

そう…。私は、何が起きたのか分かった。

「私は戻って来たのね」

この嵐が来た日に

みんなは何処だろう

私は避難所であろう建物へと向かった。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:12:15.35 ID:9I+Cjvf20
「外は大変危険ですので、建物内でも気をつけてください」

係員の人が呼びかけるなか、

私は大きな建物のなかを回った。

行くところ、行くところ、なかなか行き当たりまで辿り着かなかった。

とても広い場所だった。

私はだんだん駆け足になり、

まだ、人が少なく、静かなところも見て回った。

「まどか?」

「美樹さやか?」

「佐倉杏子?」

「巴マミ?」

私はかつて、魔法少女だった、知っている名前を呼んだ。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:15:48.64 ID:9I+Cjvf20
人がガヤガヤとしているところでは、声もあまり届かず、

私は一旦探すことをやめ、立ち止まった。

「まだ、避難所に着いていないのかしら」

私は、4人を待つことにした。

その日は、4人に会うことはなかった。

次の日も、また次の日も、4人に会うことはなかった。

私は建物内を歩いていた。

少しずつ、嵐はおさまっていた。

外の情報も建物内に入ってくるようになり、私はその話を聞いた。

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:19:02.83 ID:Ts4crUTh0
「建物がほぼ壊滅したんですって」

「やだ〜。うちももうダメそうね」

「よく、この建物は無事だったわ」

行く人、行く人の声を聞きながら、私は歩きだす。

町は、沢山の建物が壊れ、

道も崩れているところがあるようだった。

それほどの災害が、外で起きていたようだった。

…どれほどの嵐だったのだろう

私は少し思い返してみた。

思い返せば、様々なことが蘇って来た。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:21:11.71 ID:Ts4crUTh0

…そう、

あの日はワルプルギスの夜が来ていた。

そして、町は壊滅状態になった。

まどか達も居なくなってしまった。

だから、何度も時間を巻き戻し、そうなることを避けようとしていた。

今の私にはもう、時間を巻き戻す力はない。

ワルプルギスの夜も見えなかった。

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:24:51.43 ID:Ts4crUTh0
私が時間を巻き戻す前は、まどか達が私を庇って助けてくれた。

だからまどかは…

まどかはもう…

私は黙ったまま歩いていた。

堪えていないと、私は涙が溢れてしまいそうだった。

私はとある情報室に向かう。

大災害で死人も出て、

行方不明の人や、死人を纏めた名簿もあった。

情報室の人は、私に尋ねた。

「なんだね」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:26:45.39 ID:Ts4crUTh0
「名簿をお見せしていただけませんか」

「だめだよ。これは簡単に見せられるものじゃない」

「私の知り合いの安否を確認したいんです」

そう言うと、情報室の人は少し黙っていたが、

やがて、ため息をついて、言った。

「今回だけだよ」

私は名簿に目を通した。

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:31:32.15 ID:Ts4crUTh0
思った以上に、人が多かった。

名前を辿りながら、私は少しずつ、知っている名前を探していく。

「鹿目まどかだから、『か』…」

『お』から始まる苗字が過ぎ、『か』へと移る。

私は少しずつ、目を落としていった。

……………

そして…

死人の名簿欄の、か行のところに、私が知っている名前はあった。

「………」

私はしばらく黙っていたが、他の名前も探し、

私は、他の知っている人の名前を見て回った。

一人、一人、名前は載っていた。

私は名簿を返し、また、人通りの多い方へと足を戻す。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:34:59.44 ID:Ts4crUTh0
分かっていたことだった。

私が時間を巻き戻したのも、それが原因だったのだから。

その後も、まどかが存在しなくなった世界ではなく、存在する世界を探し、それに辿り着いた。

それは、もともと、私が時間を巻き戻過ごし前の世界であった。

その世界では、まどかが皆の記憶から居なくなることもなく、まどかは存在していた。

でも、

まどかはもう…

私は少し涙を流した。

「まどかはもう…亡くなっているのね」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/23(土) 10:39:57.03 ID:Ts4crUTh0
>>78以下訂正
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:41:21.43 ID:Ts4crUTh0
分かっていたことだった。

私が時間を巻き戻したのも、それが原因だったのだから。

その後も、まどかが存在しなくなった世界ではなく、存在する世界を探し、それに辿り着いた。

それは、もともと、私が時間を巻き戻す前の世界であった。

その世界では、まどかが皆の記憶から居なくなることもなく、まどかは存在していた。

でも、

まどかはもう…

私は少し涙を流した。

「まどかはもう…亡くなっているのね」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/23(土) 10:41:48.68 ID:Ts4crUTh0
訂正終わり
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/24(日) 17:50:19.71 ID:PvEUNWW4o
かなしいなあ
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/25(月) 23:43:49.75 ID:2drWoICJ0
スケジュール的な問題もあり、少し間隔が空きました。
3月中には描き終えようと思います。
読んでる方、ありがとうございます。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/26(火) 07:11:19.20 ID:BdF+xKiFo
わたしまつわ
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:25:16.55 ID:on7Jp/bS0
私はしばらくぼぅっとしていた。

周りには人が沢山居て、ガヤガヤとしていた。

まどかも、美樹さやかも、佐倉杏子も、巴マミも、

皆居るけれど、もう亡くなっていた。

こんな世界は嫌だ、嫌だ、と私は思い。

魔法の力に頼って、私は何度も世界をつくりなおした。

でも、結局、この世界がいいと私は思い、

この世界へと帰ってきたのだった。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:28:54.40 ID:on7Jp/bS0
「魔法ではなく、人として生きる世界…」

それが、私の思った世界だった。

「魔法ではなく、心ある世界」

まどかはそう言っていた。

でも、その心ある世界に、私は戻って来たけれど、

まどか達はもう亡くなっている。

私はこの世界で、いったいどう生きていけばいいのだろう。

私はその日、ずっと黙ったまま生活していた。

まどかや他の人達のことを思うと、ぐっと涙ぐんでいた。

「まどか、やっぱり私はインキュベーターと契約したその日から何も…」

何も変われないかもしれない。

私はどうすればいいのだろう。

夜、私は寝床につき、じっと目を瞑った。

そのまま何もすることなく、私は1日を終えた。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:32:15.13 ID:on7Jp/bS0

…………………………………………

…………………………………………

目を開けると、あたりは眩しかった。

『サラサラ』と草が揺れていた。

あたりを見渡すと、後ろから、私を呼ぶ声がした。

「ほむらちゃん」

振り返ると、そこにはまどかが居た。

「まど…か?」

まどかは私に手を伸ばすと、にこっと笑った。

「ほむらちゃん。着いて来て」

「はっ…」

私はふっとひっぱられると、そのまま、まどかの後を追う。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:37:08.19 ID:on7Jp/bS0

一緒に走っていると、まどかはふと、口を開いた。

「ほむらちゃん。私たちの世界の方を思ってくれて、ありがとう。

おかげで、私はほむらちゃんを助けることができたよ」

「まどか?」

そうだった。

私は、私の居た世界で何か眩い光に助けられて、

今ここに居るのだったわ。

私はまどかに聞いた。

「インキュベーターはどうなったの?」

「キュゥべえは、今は私たちの世界にいるよ。

魔法の世界とはお別れして、私たちの世界の住人になった」

「インキュベーターが?」

私はまどかに聞いた。

「少し、インキュベーターの様子を見てもいいかしら?」

「うん。いいよ」

まどかは目を瞑ると、光を放ち、周りの空間が歪んでいく

私も目を瞑り、後を追うように思った。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:41:50.03 ID:on7Jp/bS0
目を開けると、ある広場に着いた。

噴水があり、キラキラと輝いていた。

あたりを見渡すと、インキュベーターらしきものが、ちらっと歩いているのが見えた。

私は近づいた。

「あなたが…インキュベーター?」

インキュベーターは私を見上げた。

インキュベーターの耳にかかっていた輪っかが無くなり、

普通のウサギのような姿になっていた。

「ほむら…ほむら…なの…かい?」

インキュベーターは少し、ぎこちなく、喋った。

私は返事をした。

「ええ、そうよ」

まどかは言った。

「キュゥべえは、私たちの世界に来たばかりで、まだ戸惑っているところがあるんだ。

この世界は魔法というもので、できているわけではないから」

「そうなのね」

私はインキュベーターに言った。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:45:46.98 ID:on7Jp/bS0
「インキュベーター。

私が改ざんした世界で、あなたを痛めつけていたことは謝るわ。

この世界の住人になったのなら、よろしくね、インキュベーター」

私はそれだけ言うと、振り返って歩き出した。

思うことはいろいろあった。

許せない…

そう思いそうにもなった。

でも、あなたがそのことを思い改めて、この世界で生きるということを決めたのなら、

また、あなたと話すこともあるかもしれないわね。

まどかの周りが、ぱぁっと明るくなり、また辺りが歪み始める。

ふと、後ろから声がした。

「ほむら……ありがとう」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:50:28.54 ID:on7Jp/bS0
また、明るい場所へと出ると、歩きながら、まどかは言った。

「魔法の世界というものは、ちょっぴり恐ろしいね。

いろいろと便利なこともあるけれど、

大事なことを見失ってしまいそうになる。

何度も何度も時間を巻き戻すことで、

皆の大事な生活も、何度も何度も改変されて、

皆にもいろいろと迷惑がかかってしまった。

時間もいろいろと散り散りになってしまった。

これは、私の世界でも問題になったんだ」

「そう…なのね」

私は俯いたまま、歩く。

「でも、ほむらちゃんの何とかしようという気持ちは、

私に伝わって、私はほむらちゃんのいる世界に助けに行くことができた。

そして、今は時間も元に戻って、皆、平穏に生活しているよ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 14:57:03.73 ID:on7Jp/bS0

私は言った。

「私は…許されるのかしら。

魔法の力に頼ってしまったせいで、

皆の生活も、何度も何度も繰り返されて、

記憶もいろいろと混乱してしまった。

この記憶は、今の皆のなかで、どうなっているの」

「今は皆、忘れているけれど、

やがて、私達が迎えに行って、この世界に帰ってきたときには、皆、思い出すよ。

その時間や記憶がどう繋がるかは、私にも分からないけれど、皆、無事だと思う」

私は聞いた。

「円環の理になったまどかにも、分からないことがあるの?」

まどかは言う。

「そうか。ほむらちゃんはまだ、皆とお別れした世界に居たね。

前も言ったけれど、私が円環の理という存在になれたのは、キュゥべえの力ではなかった。

キュゥべえにも、私のことについて、理解できないところがあった。

それは、私達の心に繋がっている、とっても大きな力が私に働いたからなんだ。

この世界は、大きな存在が、私達を見守ってくださっているんだ」

まどかは私の手を掴んで、走り出す。

「まどか?」

93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 15:02:48.83 ID:on7Jp/bS0
「さやかちゃんも、杏子ちゃんも、マミさんも、

そのうち、この世界に来る。

でも、ほむらちゃん。

ほむらちゃんは、ワルプルギスの夜が来た日、私達が助けたから、私達とお別れした世界にいる。

ほむらちゃん、これだけは覚えていて。

魔法の世界は、私達が住む心の世界の裏側にある。

でも、ほむらちゃんが心の世界を思うなら、

私はほむらちゃんを助けられるから」

「まど…か?」

まどかはにこっと笑った。

「ほむらちゃん。

辛いこともあるかもしれないけれど、がんばってね。

私達は見守っているから。

そうしたら、また、いつか会おうね」

また、いつか…

私は気がつけば笑っていた。

私は、まどかと一緒に居るような気がしたから。

だから、私はまどかを見て言うのだった。

「ええ、いつかまた、会いましょう」

https://gyazo.com/ec62453bb180441fb058408d7f38ae52



94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 15:06:45.28 ID:on7Jp/bS0

辺りはだんだんと眩しくなっていった。

それとともに、私の意識も遠くなっていった。

……………………………………………

……………………………………………

「はっ」

目が覚めると、日差しが額を照らしていた。

小鳥がチュンチュンと鳴いていた。

私は、布団から起き、カーテンを開け、外を見た。

外は明るかった。

建物は崩れていたけれど、

周りを見渡すと、人がたくさん居るなかに、

学び舎で見たことがある人も、ちらほらと居た。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 15:10:27.55 ID:DQRcSL6K0
「おはよ〜」

という声が周りで聞こえた。

近所の人や、町の人がいろいろと話をしていた。

町を復興しようという話も上がっていた。

まどかは亡くなっていたけれど、

私は外を見上げて、言った。

「ありがとう、まどか…私、頑張るわ。

残り数十年の命、大切に生きようと思う」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/28(木) 15:11:42.33 ID:DQRcSL6K0
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/29(金) 01:03:28.16 ID:KXYzH6LCo
おつおつ
楽しい自分の道を見つけて欲しいな
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/05(金) 20:14:38.15 ID:S7m2BeXW0
この学び舎には、巴マミもいるけれど、

巴マミは年代が違うので、同じクラスではなく、違うクラスで生活している。

でも、巴マミもなぜか、放課後の帰り道に、

どことなく知り合ったように話をするようになり、

いつも一緒に話をするわけではないけれど、

クラス外では、昼休みなどに5人で集まったりもするようになった。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/15(月) 22:58:40.29 ID:62yo3lcY0

ピッピーーーッ!

ゴールのホイッスルが鳴り、

みんな、「やったー!」と言った。

「ナイスシュートだったよ、さやかちゃん」

「やったな、さやか」

「えっへへ。みんなありがと」

まどかがふと私を見る。

「ほむらちゃんも、ナイスパスだったよ」

「えっ そ、そう?」

私もそれとなく輪の中へと走っていった。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/16(火) 00:41:45.48 ID:5oxcvhmMo
つづくのか期待
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