アスカ「かぐや様は告らせたい?」

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55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 19:36:36.54 ID:oKc73eVLO
アスカ「あんた、約束そのものも嘘でしたとかぬかす気じゃないでしょうねぇ?」

シンジ「まさか。明日の放課後は空けとくよ。荷物持ちのために、ね」

アスカ「あっったり前よ。あんたの腕が根元から引きちぎれるまで買いまくってやる予定なんだからっ」

シンジ「……できたらそこは、お手柔らかにお願いしたいけど」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 19:37:45.41 ID:oKc73eVLO



ーー廊下

アスカ「で。あんたはずっとここで見てたっわけ?」

レイ「ええ。うまくいってよかったわ、おめでとう」

アスカ「……別に。おめでたくなんかないわよ」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 19:38:43.17 ID:oKc73eVLO
レイ「ウソね」

アスカ「ウソじゃいないっての」

レイ「……そんなニヤケた顔で言われても、説得力がないわ」

アスカ「えっ、うそ!?」ハッ

レイ「嘘よ。あなたたちの真似」

アスカ「はぁ!?」

レイ「でも頬を手で隠したということは、あながち的外れでもないのね」

アスカ「っ、……!」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 19:39:35.95 ID:oKc73eVLO
レイ「おめでとう」

アスカ「……はいはい、ありがとうありがとう。そういえばいいんでしょっ、これで満足?」

レイ「ええ」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 19:41:12.50 ID:oKc73eVLO
レイ「じゃあ、そろそろ私も帰るわ」

アスカ「……」

レイ「また明日」

アスカ「……あの、さ」

レイ「なに?」

アスカ「さいきんデパートに映画館が出来たじゃない」

レイ「そうなの?」

アスカ「そうなの。そこの映画のペアチケットが余ってたのを、たったいま、偶然、突拍子もなく思い出したのよ。しかも期限は今日まで」

レイ「ペア、とは二人一組ということ? 今日でないといけないの?」

アスカ「そうよ。たまたま、運良く、おあつらえ向きに二人一組のチケットがここにある。使わないのはもったいないでしょ?」

アスカ「だから、その……」

アスカ「…………映画、一緒に観にいかない?」


レイ「!」

レイ「……行くわ」ニッコリ


本日の勝敗

レイの勝ち(なんだか心がポカポカしたしため)

レイ「♪」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 19:41:57.77 ID:oKc73eVLO
終わりじゃないよ
まだまだ続くよ

でも少し疲れたから休憩挟むよ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/23(木) 22:08:26.62 ID:bGDr0q7dO
驚くほどつまらん
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 23:09:20.70 ID:oKc73eVLO
おまけ

ーー教室

シンジ「……」

「よっ、碇」

シンジ「!」

ケンスケ「個別訓練にはまだ行かなくていいのか?」

シンジ「……なんだ、ケンスケか。まだ訓練まで時間があるんだよ」

ケンスケ「へぇ、そっか。でも妙だな」



ケンスケ「今日は初号機のメンテナンスが行われる日って聞いてたんだけど?」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 23:13:04.09 ID:oKc73eVLO
シンジ「な、なんでケンスケがそんなことを知ってるんだよっ。僕にすら知らされてなかったのにっ」

ケンスケ「いつも通り、パパ由来の情報さ。でも、碇に知らされてないってのはますます妙だな」

ケンスケ「ネルフは初号機なしで一体どんな訓練をさせるつもりなんだろうな?」

シンジ「し、シミュレーターで戦闘訓練はできるからね。他にも色々とやれることはあるよ」

ケンスケ「でも肝心のシンクロ率のテストは初号機がないと出来ないんだろ? なら、わざわざメンテナンスがある日に碇の個別訓練を敢行する必要はないと思うけど」

シンジ「うっ……」

ケンスケ「何でかなあ。不思議だなあ?」

シンジ「……ケンスケさ。もしかして全部分かってて僕を泳がせてない?」

ケンスケ「まあね。さっきから碇の白状待ちだよ」



シンジ「…………分かった。白状する。ほんとは個別訓練なんてないよ」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 23:15:43.98 ID:oKc73eVLO
ケンスケ「どうしてまたそんなことを」

ケンスケ「ーーってのはひとまず置いといて。まだあるだろ? 白状すること」

シンジ「……ないよ。そんなもの」

ケンスケ「さっき綾波から話を聞いたんだけどさ」

ケンスケ「綾波に心理学の本を渡したのも、碇なんだろ?」

シンジ「っ」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/23(木) 23:24:30.52 ID:oKc73eVLO
シンジ「そ、それは……」

ケンスケ「おかしいと思ったんだ。ちょっと前までの綾波は他人に興味がない様子だった」

ケンスケ「かといって我がないわけじゃない。ペシミズムとも違う、確固とした何かを持ってるようにみえた」

ケンスケ「同じ14歳とは思えないほどにね」

ケンスケ「それが最近になって急に積極的に他人と関わりあい持つようになるんだもんな。今日なんて特に顕著さ。
 誰かが入れ知恵してると勘ぐるのは当然の帰結だろ?」

シンジ「……ケンスケ。そこはちょっと、誤解してる」

ケンスケ「誤解?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/24(金) 01:14:06.96 ID:59XLf+p0O
ガイジは無視してはよ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:06:47.05 ID:g28ojiG8O
シンジ「たしかに、綾波に心理学の本を貸したのは僕だよ。でも、それは綾波に頼まれたからなんだ」

ケンスケ「……綾波が、自発的に?」

シンジ「そうだよ」

シンジ「綾波はふつうの女の子だよ。ただ、人よりも感情の表現の仕方が不器用なだけなんだ」

ケンスケ「へぇ? ……碇がそういうなら、きっとその通りなんだろうな」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:07:35.33 ID:g28ojiG8O
ケンスケ「……でも意外だな。碇はそういうの、逆に読まないタイプだと思ってた」

シンジ「そうだね。……実際僕のじゃ、ないし」

ケンスケ「ん? じゃあ誰のなの?」

シンジ「……アスカの、だよ」

ケンスケ「……おいそれ。持ち主に許可取ってんのか」

シンジ「……取ってない。どうせ貸してくれないから無断で借りた」

ケンスケ「死ぬ気か、碇っ!?」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:15:56.38 ID:g28ojiG8O
シンジ「し、仕方ないじゃないかっ。綾波が僕を頼りにしてくれるなんて滅多にないんだからっ。ちゃんとおススメできるものを貸してあげたかったんだよっ。
 アスカが読むくらいの本ならハズレはないんだ。なら貸してあげたくなるのも当然でしょう!?」

ケンスケ「……碇って。八方美人なのか我が強いのか、よく分からない時があるよな」

シンジ「…………僕は悪くないっ。コソコソ読んでる癖して読み終えたらそこら辺ほっぽり投げるアスカだって悪いんだっ。
 いいじゃないか、バレなきゃ問題にならないんだし」

ケンスケ「バレてなきゃいいけどなあ」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:27:06.71 ID:g28ojiG8O
ケンスケ「ま、今ので一つ謎が解けたよ」

ケンスケ「今日の綾波は察しが良すぎた」

シンジ「……綾波とアスカが読んでる本は同じだからね。アスカの意図は綾波に筒抜けだったはずだよ」

ケンスケ「……へぇ? そこまで分かってた癖してすっとぼけてたわけだ、碇クンは」

シンジ「……うぅ」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:36:29.90 ID:g28ojiG8O
シンジ「な、なんなんだよケンスケは。さっきから僕を虐めて楽しいの!?」

ケンスケ「そりゃあもう、最高だね。リア充を好き勝手いたぶれるんだぜ? 弱小国が軍事大国をぶちのめすようなもんじゃないか」

シンジ「……ぐっ。僕はもう帰るよっ。何もバカ正直にケンスケに付き合う義理はないんだ」

ケンスケ「別にいいけど。その場合、いま白状してくれた碇のクズっぷりをクラス中に言いふらすからな?」

シンジ「こ、この悪魔っ! 友達だと思ってたのにっ!」

ケンスケ「はははははっ。なんとでも言えばいい。何にせよ、碇が今日のことを一切合切はくじょうするまで帰す気ないぜ」

シンジ「くそぅ……」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:48:19.58 ID:g28ojiG8O
ケンスケ「なんだよ、そんなに言いたくないのか。まあ遠慮なく聞くけど」

ケンスケ「どうして『個別訓練がある』だなんて嘘をついたの?」

シンジ「……うっ」

ケンスケ「下手な小芝居まで打ってさ」

ケンスケ「はっきりいって、そこだけは検討もつかないんだ。碇がなにをしたかったのか、僕にはさっぱりだ」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 17:57:21.30 ID:g28ojiG8O
シンジ「……加持さんって人のこと、覚えてる?」

ケンスケ「もちろんさ。あの日の見たものは死ぬまで忘れないよ」

シンジ「その加持さんに、相談したんだ」

ケンスケ「なにを?」

シンジ「……アスカがわがまま過ぎて困ってる、って」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 18:11:15.18 ID:g28ojiG8O
ケンスケ「……なんでまたそんな人に、そんことを」

シンジ「加持さんって、頼りがいがある大人の人って感じじゃない? だから、何かアドバイスをもらえないかなって」

ケンスケ「あーっ、たしかに。あの人いかにも女の扱い慣れてますって感じだもんなあ」

ケンスケ「……で、なんてアドバイスを貰えたんだ?」

シンジ「これを読めって言われて、雑誌を渡されたんだ」

ケンスケ「雑誌って、どんな?」

シンジ「えっと……」ガソゴソ

シンジ「……あれ? おかしいな。鞄にいれておいたはずなんだけど」ボソッ

ケンスケ「?」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 18:23:37.89 ID:g28ojiG8O
シンジ「……まあ、いいや」

シンジ「雑誌の中にはね『女を素直にさせるテクニック特集』ってコラムがあったんだ」

ケンスケ「はぁ? なんだそれ、いや〜んな感じ?」

シンジ「ち、違うよっ。テクニックといっても会話のテクニックだよ」

シンジ「……コラムの中には『わがままな女を素直にさせる方法』っていうのも載ってたんだ」

ケンスケ「なるほど、ドンピシャだな」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 18:30:47.74 ID:g28ojiG8O
シンジ「その雑誌曰く、わがままな女の子には『あえて冷たくする』のがいいんだって」

ケンスケ「あえて、冷たく……?」

シンジ「うん。そうすることで相手は不安を感じてわがままを言わなくてなるらしい。……眉唾だったけど、確かに効果はあったみたいだね」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 18:46:15.76 ID:g28ojiG8O
ケンスケ「いや。ちょっと待て。お前もしかしてあれで冷たく接してたとか言うんじゃないんだろうな」

シンジ「う、うん。まあ、それなりに……」

ケンスケ「ただ正論で返してただけじゃんか」

シンジ「で、でも最近はロジカルハラスメントってものがあるらしいし……」

ケンスケ「それ加害者側が持ち出すやつじゃないからっ!」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 18:56:55.26 ID:g28ojiG8O
ケンスケ「碇さぁ。そういう時は理不尽にいかないと。せめて正論でボコボコにDVするくらいの勢いでいけよ」

シンジ「そ、そうだね」

シンジ「……結局ステップ1で止まっちゃったし」ボソッ

ケンスケ「ん?」

シンジ「なんでもないよ」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:00:07.54 ID:g28ojiG8O
シンジ「それにしても驚いたよ。まさかメンテナンスの日程だけで嘘がバレるだなんて思ってもみなかったから」

ケンスケ「いや、それは疑うきっかけに過ぎないよ。確信を持ったのは碇が失言したからだ」

シンジ「僕の、失言?」

ケンスケ「ああ。だってお前」



シンジ『だって今日は用事があることになってるし……』



ケンスケ「『用事がある“ことになってる“』って口滑らせてたろ?」

シンジ「そう、だっけ?」

ケンスケ「ああ、たしかに言ってた」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:11:55.19 ID:g28ojiG8O
シンジ「そ、そっか。でもよかった。アスカに勘付かれなくて」

ケンスケ「……」

シンジ「アスカにこのことがバレたら生きて帰れる気がしないよ」アハハ

ケンスケ「……いや。あの時のあいつの反応、気づいてるようにも見えたぞ」

シンジ「…………え?」



アスカ「ーーってな会話が、今頃教室で繰り広げられてるんでしょうねぇ」ペラッ

レイ「?」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:27:14.33 ID:g28ojiG8O
アスカ「気にしないで。こっちの話だから」ペラッ

レイ「……そう」

レイ「ところで、さっきから何を読んでいるの?」

アスカ「バカシンジの雑誌」ペラッ

レイ「……碇くんの?」

アスカ「そ。朝、家を出る前にちょろまかしてきたのよ」

レイ「碇くんの許可は取ったの?」

アスカ「いいのいいの。先に手を出して来たのは向こうなんだから」ペラッ

レイ「???」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:34:58.29 ID:g28ojiG8O
アスカ「ぷぷっ」

レイ「……それ、面白いの?」

アスカ「ええ。見てみなさいよ。抱腹絶倒もんよ?」

レイ「『わがままな女を素直に堕とすテクニック』?」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:40:28.28 ID:g28ojiG8O
レイ「……このページの端、折られてるわ」

アスカ「バカシンジが読み込んでるページってわけね」

レイ「……意外。彼、こんなものに興味があったのね」

アスカ「バカねぇ。人間には誰しも多面性っつーもんがあんのよ」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:46:22.64 ID:g28ojiG8O
レイ「『ステップ1 あえて冷たくする』?」

レイ「……そういえば。今日の碇くん、いつもより冷たかったわ」

アスカ「そりゃそうよ。この雑誌の通りにしてたんだから」

レイ「……それ、あなたは気が付いていたの?」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:51:10.10 ID:g28ojiG8O
アスカ「モチのロンよ。だから言ったでしょ?」

アスカ「『バカシンジが意地を張り続けるならそれはそれで構わない』って」

アスカ「あと『あんたは盛大に勘違いしてる』とも言ったかな?」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 19:51:56.05 ID:g28ojiG8O
レイ「……強がりで言ったわけじゃ、なかったの?」

アスカ「もちろん」

アスカ「私はね、あのバカが”冷たく”しやすいようにお膳立てしてやってただけよ」

アスカ「しつこくまとわりついてくるヤツほど邪険に振り払いやすい人間はいないでしょ?」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:04:11.21 ID:g28ojiG8O
アスカ「もしあのままバカシンジが意地を張り続けるようだったら、この雑誌を突き付けてこう言ってやるつもりだったの」



アスカ『どう? 狙った相手を素直に堕とすテクニックは。手ごたえあった?』

アスカ『それとも、もう少し続ける?』

アスカ『いいのよ。ほら、もっと私に冷たくしたら?』

アスカ『だって私を絶対に手籠めにしたいんですものね?』

アスカ『それくらい私のこと……”好き”ってことですもんねぇ?』ニッコリ



アスカ「ーーってね?」ケケッ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:14:46.77 ID:g28ojiG8O
レイ「……詐欺にあった気分だわ」

アスカ「だいたいね。このわたしがバカシンジ如きにああも猪突猛進なモーションかけるわけないでしょ」

アスカ「やるにしても、もっと賢く優雅にやるわよ」

レイ(……それはどうしかしら)
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:23:46.56 ID:g28ojiG8O
レイ「……信じられないわ。全部お芝居だったなんて。あなたは本気で碇くんを誘おうとしていた」

アスカ「ま、そうね。半分は本気だったわ」

レイ「どういう、こと?」

アスカ「これも言ったでしょ? 『バカシンジ如きに逆らわれるのが気に食わないだけ。それ以上でも以下でもない』って」

アスカ「どんな理由であれ、歯向かわれるのは許せなかったのよ」

レイ「……なら、もしほんとうに碇くんがあなたの要求を飲んだらどうするつもりだったの?」

アスカ「それはそれで問題ないわ。つまりそれって私の魅力に屈して作戦を放棄したってわけでしょ」

アスカ「私の勝ちみたいなもんじゃない」

アスカ「……つまりね」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:33:53.39 ID:g28ojiG8O
アスカ「シンジが私の要求に折れて荷物持ちに甘んじたら私の勝ち」

アスカ「バカシンジがあのまま意地を張り続けても私の勝ち」


アスカ「どっちに転んでも私の勝ちになる寸法だったわけよ」

レイ(……何の勝負?)
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:44:38.08 ID:g28ojiG8O
アスカ「でも現実はそのどちらにも転ばなかったわけだけどね。主にアンタのおかげで」

レイ「……私のしたことは、本当にありがた迷惑だったわけね」

アスカ「まったくよ。おかげでオンナ二人で映画を見る羽目になっちゃったし。何が悲しくて、って感じよ」

レイ「……ごめんなさい」シュン

アスカ「……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:50:23.93 ID:g28ojiG8O
アスカ「……次のページ、めくってみなさいよ」

レイ「? わかったわ」ペラッ

アスカ「なんて書いてある?」

レイ「『ステップ2 あえてキライと言ってみる』?」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 20:59:49.78 ID:g28ojiG8O
レイ「え。でもおかしいわ。碇くんはあなたにキライだなんて言わなかったもの」

アスカ「いっぺん言う素ぶりはみせたんだけどねぇ」

レイ「……言わなかったのではなく、言えなかった?」

アスカ「そゆこと。あいつ、チキンでヘタレだから」

レイ「碇くんらしいわ。優しいのね」

アスカ「あら、見解の相違ね」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:10:56.23 ID:g28ojiG8O
アスカ「……ともかく、そういうことだから。気にしなくていいわよ」

レイ「?」

アスカ「あんたの横槍がなくても、あのバカはステップ2以降に進めなかったでしょうしね。どのみち私の描いたプランは頓挫してた可能性大よ」

レイ「……もしかして、気遣ってくれてるの?」

アスカ「やーね。事実を述べてるだけよ。事実を」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:17:51.38 ID:g28ojiG8O
アスカ「それにしても……ププッ。バカシンジのやつ、こんなものを鵜呑みにしちゃうなんて。思い返すにつけ笑えるわ」

レイ「……機嫌、いいのね。あなた、失敗したんでしょう?」

アスカ「そお? むしろ機嫌は悪いくらいだけど」


レイ(楽しそうに言われても説得力がないわ)

レイ(なぜ彼女はこんなにも嬉しそうなのかしら)

レイ(人の心の機微……ほんとうに、難しい) ペラッ



レイ(……これは)
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:32:13.66 ID:g28ojiG8O
レイ(『ステップ3 冷たくしたぶん優しくしましょう』)

レイ(『そうすることにより、わがままだった女の子はより素直に、可愛らしくなるでしょう』)

レイ(それって)



シンジ『良かったら明日、させてくれないかな。荷物持ち』



レイ(……なるほど)
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:32:42.72 ID:g28ojiG8O




レイ「ステップ2を飛ばしても、効き目はあったみたいね」ボソッ
 
 
 
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:33:25.32 ID:g28ojiG8O
アスカ「は? 何か言った?」

レイ「いえ」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:41:22.78 ID:g28ojiG8O
ーープツンっ

レイ「っ! ……なに? 急にあたりが暗くなったわ」

アスカ「当たり前でしょ。映画館なんだから」

レイ「……わたし、映画館なんて来たことないから」

アスカ「マジィ!? 信じらんない。イマドキそんな化石人間、実在してたんだ」

レイ「ええ。だから誰かと映画を観るのも、あなたが初めて」

アスカ「……そりゃあ、光栄ね」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:42:05.55 ID:g28ojiG8O
アスカ「じゃあ不慣れなあんたのために説明してやるわ。メンドイけど。いい、上映が始まったら静かにすんのよ? 今みたいに騒いでたら他の客に迷惑なんだから。あと前の椅子を蹴ると下手すりゃ場外乱闘にーー」

レイ「……」

レイ(ああ)

レイ(今。やっと、わかった気がする)

レイ(碇司令に聞かれた時は、分かったらなかったけれど)

レイ(きっと。これが”楽しい”って感情なのね)

終劇
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:42:46.93 ID:g28ojiG8O
おまけのおまけ

マリ(何であの子たち、女の子同士で恋愛映画観てるんだろ?)

アスカ(何であの人、一人で恋愛映画観てるんだろ?)

レイ(……おもしろい)
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/25(土) 21:45:43.00 ID:g28ojiG8O
お気に入りの【かぐや様は嫌われたい】回がアニメで飛ばされたのが未だに納得できないので、むしゃくしゃして書いた
反省はしていない
スレタイ回収してないので、次の話もこのスレに書く
いつになるかは分からない
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/25(土) 23:03:38.10 ID:RDLvjbVI0

調子に乗る石上観たかった
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 20:44:50.53 ID:9sPzck3w0
次の話がまーた長くなってしまいそうなんで、やっぱりこのスレはここで区切ります
次の話はまた別のスレで
毎度書き始める時は1話20レスくらいの短編のつもりなのにね、不思議だね
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