【ラブライブss】花丸「善子ちゃんは今、月ちゃんに首ったけ」

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61 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:06:55.72 ID:ATdbGYCI0
善子「昔からずっとそうだったから、あんまり高いものとか」

善子「手に入れにくいものとかは持ち歩かないようにしてたんだけど」

善子「あの時は嬉しくて、つい学校に持って行っちゃったのよね」


善子「正直あの時は窓から人が飛ぶなんて思ってなかったから」

善子「私は、ほんとに天界からの使いが現れて、マントを奪い去っていったと思ってて」


善子「マントを学校に持ってきたことに凄く後悔したし、それ以上に悲しかった」

善子「だからあの時、マントが帰ってきてくれたことは私にとって、飛び跳ねるぐらい嬉しいことだったわ」
62 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:07:29.74 ID:ATdbGYCI0
ルビィ「その拾って届けてくれた人が、月ちゃんだったってこと?」

善子「まぁ、そうなるわね。あの時の私はまだ知らなかったけど」


花丸「それで恩を感じるなんて善子ちゃんらしいずら」

善子「なによ!」

梨子「茶化しちゃだめよ、善子ちゃんにとっては大切なことなんだから」


千歌「あの時は知らなかったってどういうこと?」

善子「あの時の私は返ってきてラッキーぐらいにしか思ってなくて」

善子「誰が届けてくれたのか、お礼言わなくちゃとか」

善子「そうことを考えられないような子だったのよ」


花丸「今とは大違いずら」

善子「なによ!」

花丸「褒めてるだけずら」

善子「それはそれで恥ずかしいからやめなさいよ!」
63 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:08:11.85 ID:ATdbGYCI0
曜「じゃあどうして拾ってくれたのが月ちゃんってわかったの?」

善子「それは先生から教えてもらったんだけど、まぁその前にもいろいろあって」

善子「そこが本題みたいなものね、また長くなるけど聞いて頂戴?」
64 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:08:40.06 ID:ATdbGYCI0
善子「今回は偶々戻って来ただけ不幸中の幸いだったって、あの時の私は思ってたんだけど」


中学善子「にゃ‶ー!?窓で干してたリボンが無くなってるー!?」


中学善子「フフ、この地にヨハネを彩る装飾品が運び込まれたと聞き及んだのだけど」ガラガラ

先生「装飾品?あぁ、そういえばリボンが届けられてたわね」

中学善子「やはり……!御苦労」フフ

先生「うん、津島さん、その話し方やめてくださいね」


善子「それからも落し物は私のもとに戻って来た」

善子「もちろん、落としたもの全部が全部ってわけじゃなかったけど」

善子「私としては十分すぎるほどだったの」
65 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:09:11.95 ID:ATdbGYCI0
善子「月との初めの方の接点はこのぐらいかしら」

梨子「なるほど、そういう関係だったのね」

曜(ハイカラってことは制服、月ちゃんが飛びついたのも納得だぁ)

千歌「この時はまだ、善子ちゃんですら月ちゃんを認識してないんだね」

善子「そうね、私が月を認識したのは三年になってからだからまだ先ね」


善子「それじゃあ次は、リトルデーモンがいつ生まれたか、を話すわね」
66 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:09:47.36 ID:ATdbGYCI0
中学善子「フフ、今日は地獄の門番が審判を務めし日(親の帰りが遅い)、少しコンビニで読書に耽るのも」トコトコ

ビュンッ

中学善子「いたっ!?なに!?」

ピーヒョロロロ

中学善子「トンビ!?あっ!?ボタン――」

トゥッ ピァーー

中学善子「えっ!?」

中学善子「今のって、あの時の……」


―次の日―

中学善子「フフ、我が装束を彩る調度品は」

先生「届いてますよ、あと津島さん話し方」
67 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:10:19.20 ID:ATdbGYCI0
トコトコ

中学善子「まさかまたヨハネのもとにモノが戻ってくるなんて

中学善子「天界もそろそろヨハネへの嫉妬をやめたのかしら?」


中学善子「いや、それはあり得ないわね」

中学善子「昨日も道端でエジプトの原生生物(ネコ)が上から植木鉢落としてきたし……」


中学善子「まぁ、最近のは間違いなくアレのおかげよね……」

中学善子「もしやアレは天界からの使いじゃないのかしら?」

中学善子「ヨハネの眷属?でも、この学校でヨハネと契約を結んだものなんて」

中学善子「うーーん……」

中学善子「気になる!」ダッッシュ
68 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:10:54.72 ID:ATdbGYCI0
―図書館―

中学善子「うーんと、魔導書魔導書……あ、あった!」

ファンタジー大全

中学善子「えー、と」ペラペラ

中学善子「あった!使い魔!えーっともっぱら魔女や魔法使いが主従関係でー」

中学善子「うーん、これはちょっと違うわね」

中学善子「デビル……は違うし、あっ!」


中学善子「デーモン、神々と人間の中間に考えられる悪魔……!これよ!」

中学善子「天界から堕とされ、堕天使となったヨハネの眷属にぴったりじゃない!」

中学善子「なるほど、この学校にはデーモンがいて、それがヨハネの眷属だったのね」

中学善子「眷属なら、助け合うのも当然のことよね」ウンウン
69 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:11:29.14 ID:ATdbGYCI0
中学善子「でもデーモンかー、今のところ助け合うって言うよりはヨハネのために働いてるって感じだし」

中学善子「ヨハネにとっての使い魔って感じなのよね」

中学善子「それだとデーモンに分類するにはおかしいから、なにか名称を考えてあげないといけないわね」ムムム……


中学善子「ファイヤーデーモン?いやこれは違うわね」

中学善子「ホワイトデーモン?可愛くてもなんかイヤ……」

中学善子「ヨハネの使い魔……使い魔と言えばこうちっこい感じの……あっ!」


中学善子「リトルデーモン!!!」


中学善子「そうよ!これからはヨハネの使い魔のことを、リトルデーモンと呼ぶことにするわ!」ニコニコッ
70 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:12:33.44 ID:ATdbGYCI0
善子「こうしてこの頃に、私の中で初めてリトルデーモンが誕生したの」

梨子「それで月ちゃんが初めての……」

善子「この頃はリトルデーモンって、無条件でヨハネに従うものだと思っていたから」

善子「とりあえず増やした方がいいかなって思って」

善子「それからの私はリトルデーモンを増やすために色々するようになったわ」

ルビィ「色々って?」

善子「い、色々は色々よ!そこは別にいいの!//」

花丸「なにをそんなに怒ってるずら?」

善子「別に怒ってないわよ!」

善子(生配信とか屋上での演説とか、そんなこと簡単に言えるわけないでしょうが!!!)


善子「それじゃあそろそろ、私が月を知るきっかけになった場面を話すわね」

善子「さっきも言ったけど、月のことを知ったのは、実はちょうど私が、中学三年生になった時だったの」
71 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:13:24.13 ID:ATdbGYCI0
―生配信後―

中学善子「カメラの位置が見にくいねー、リトルデーモンの分際でなかなか言うじゃない」

中学善子「うーんと、それじゃあこっちで」

中学善子「うーん、ここだとベッドが映っちゃう」

中学善子「あー、こっちだとせっかくの飾りつけやり直さないといけない」


中学善子「むむむっ……」

中学善子「もう疲れた!ヨハネは背徳の安寧を得るわ!」ボフッ

中学善子「ふへー……フフッ、人をダメにするクッションとやらもなかなか」


中学善子「全く……見てくれるのは嬉……けど、主に意見する……ておかし……よ」

中学善子「あくまでリト……ンは従う……在な……に」

中学善子「あ、すご……このクッシ……ヨハ……ねですら……こんなにきもち……zzzZZZ」スヤスヤ
72 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:13:52.68 ID:ATdbGYCI0
―次の日―

中学善子「もー!ママのばか!なんで起こしてくれなかったのよー!!!」

中学善子「まだ時間はある、ここをダッシュで抜ければまだ」ツルッ

中学善子「あ」

ズッテーン バッサー

中学善子「いったたた……あー!カバンがぁっ!?」

中学善子「げげげっ!?中身ぶちまけながら落ちてってる!?」

中学善子「も、もう時間もないのに」

中学善子「最悪……」
73 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:14:28.84 ID:ATdbGYCI0
放課後

中学善子「はーぁ、今回のはさすがに酷かったわね」

中学善子「結局ほとんど見つけられなかったし……」

中学善子「魔導書(教科書)だけでも戻ってこないかしら」ガラガラ


中学善子「失礼、ここにヨハネの魔導書と装飾と、魔鏡と―――」

先生「届いてますよ、あと津島さん」

中学善子「御苦労、話し方についてはNoと言わせてもらうわ」

先生「今日はそうじゃないの、津島さん何かいいことでもしたの?」

中学善子「?」

先生「落し物と一緒に、あなた宛てのケーキが届けられたの」

中学善子「ケーキ!?」
74 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:14:57.45 ID:ATdbGYCI0
先生「大丈夫、知らない人のだったら先生も受け取らないから」スッ

中学善子「ヨハネを魅了せし禁忌の箱舟(チョコケーキ)じゃない!!!」

中学善子「ふふっ、忠誠だけでなくヨハネに合った献上品まで送ってくるなんて、見上げたリトルデーモンだわ」フフフ

中学善子「フフ、今後も励みなさい、それじゃあヨハネはこれで」

先生「ほんとこの子は……」ハァ

スタスタ

先生「あ、渡してくれた人から伝言!」

中学善子「伝言?」クルッ


先生「ありがとう、だって。」
75 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:15:26.57 ID:ATdbGYCI0
中学善子「ありがとう……」

中学善子「なんのこと?」

中学善子「ヨハネは別に何もした覚えは無いわ」

中学善子「むしろ、リトルデーモンの方こそいつも……」

中学善子「あっいやいや、リトルデーモンはヨハネの使い魔でしょ」

中学善子「これぐらいは当然のことなんだから別に」

中学善子「……」モヤモヤ
76 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:15:56.56 ID:ATdbGYCI0
中学善子「ま、まぁ?主従関係といえど奴隷ではないんだし」クルッ

中学善子「たまにはねぎらいの言葉をかけてあげるのも悪くないかもしれないわね!うん!」タッタッタッ


ガラガラ

中学善子「先ほどのリトルデーモンの真名を教えてもらえるかしら?」

先生「リト……?ケ、ケーキを届けてくれた人ね?その人は――って言って、もう――」



中学善子「えっ……?」
77 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:16:25.42 ID:ATdbGYCI0
善子「初めてのリトルデーモンの名も、去年学校を卒業したってことも」

善子「これまでの落し物は全部同じ人が届けてくれてた、ってことも

善子「いなくなってから初めて知ったわ」
78 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:16:55.70 ID:ATdbGYCI0
善子「……主従関係って言うのは、お互いに利があって初めて成立するもの」

善子「片方は従ってるのに、お互いに利があるってところが昔から納得いかなかったんだけど」

善子「この時に少しだけわかった気がしたわ」

善子「一方的に甘えることの愚かさと」

善子「返す相手のいない、感謝の気持ちのやり場のなさは」

善子「主従変わらず、どちらにもあるんだってこともね」
79 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:17:30.44 ID:ATdbGYCI0
善子「それから私はリトルデーモンのことを眷属と、改めて自分の中で認識させ、」

善子「リトルデーモンになるためには契約を必要としたわ」

善子「もう驕ることの無いように」

善子「お互いに与え、与えられる存在になるために」


善子「今なら十分にわかる」

善子「ヨハネの不幸は私、ヨハネ自身のもので」

善子「その不幸を少しでも和らげてくれた人には」

善子「どんな関係だったとしても」

善子「ヨハネも感謝し、返さなければいけないの」

善子「もちろん義務なんかじゃなくて、相手と、ヨハネ自身のためによ」
80 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:18:06.74 ID:ATdbGYCI0
ルビィ「か……かっこいぃ/////」

花丸「うん、この善子ちゃんは素直にカッコイイずらぁ//」

善子「このってどーいう意味よ!///あと、善子じゃなくてヨハネ!」


梨子「ようやく、調子が戻って来たみたいね」クスッ

千歌「あれ?でもそれだと月ちゃんに出会たんなら、後はそのことを言えばいいだけじゃないの?」

善子「それは……」

曜「まだ、なにかあるの?」


善子「……うん、ごめんもう少しだけ聞いてくれる?」

花丸「……?」

ルビィ「善子……ちゃん?」
81 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:19:17.18 ID:ATdbGYCI0
善子「それから地元の高校じゃなく、浦の星を選んで、Aqoursに入って」

善子「順風満帆とはいかなかったけど、とっても充実した楽しい日々を過ごして」

善子「そろそろ名前も忘れそうになってたその時に」

善子「あの人は現れた」


月『曜ちゃんのいとこの月です!よーろしくー!』


善子「最初はAqoursのこと、高校の統廃合のことで頭がいっぱいで」

善子「正直、あの時は驚きとか感動とかあんまり無かったんだけど」


善子「ある日、ふとクラスメイトと中学の話になったときに」

曜「その時のこと、思い出したんだね」

善子「えぇ、いろんな感情ごとね」
82 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:20:10.33 ID:ATdbGYCI0
善子「やっぱり私、中学生の時に、学校でも何回か見たことあったの」

善子「あの人自体、結構有名人だったから」


善子「でも、その時の私は名前も知らなければ、ありがとうって気持ちも持ってなかった。」

善子「そんな自分がすっごく嫌で、恥ずかしくて」

善子「月に中学の話をしようとしても、どうしてもその気持ちが強くなって、なんか怖くなっちゃって」

ルビィ「善子ちゃんからは、どうしても言い出せなかったんだね」

善子「……」コクン

善子「なんとか話題をふってもらうために、思い出してもらえるように頑張ったんだけど」

梨子「月ちゃんは、善子ちゃんと一緒の時には思い出してくれなかったのね」
83 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:20:39.71 ID:ATdbGYCI0
千歌「善子ちゃん、辛いかもしれないけど、教えて?」

千歌「……なんで、本物のリボンじゃなくて、あくまで似たようなリボンをつけてたの?」

善子「……」

善子「……もし、もしよ?」

善子「本物を着けていっても、気づいてくれなかったら」

善子「私が中学のこと話しても!そこまでしても、月が私とのこと思い出してくれなかったら、覚えて、くれてなかったら」

善子「月にとってはどうでもよかったのかなって、ヨハネにとっては大事なことでも」グスッ

善子「月には思い出にすらならないことだったのかなって……」エグエグ

花丸「善子ちゃん……」ダキッ

千歌「……もういいよ、ごめんね、話してくれてありがとう」ヨシヨシ

善子「うっ、ううっ、ぐすっ」
84 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:21:14.34 ID:ATdbGYCI0
梨子「……善子ちゃんのこと、思ってたよりも深刻だったみたいね」

千歌「自分にとって大事でも、相手にとってはそうでもなかったって、凄く辛いよね」

花丸「特に善子ちゃんはそういうの気にするタイプだと思うし」

ルビィ「善子ちゃんにとって隠してたい中学時代の中の、いい思い出の部分なんだもんね」


花丸「……でも正直月さんが覚えてるかどうかって言うのも難しい話だと思うずら」

千歌「花丸ちゃん……それは……」

梨子「……月ちゃんからすれば接点らしい接点はほとんどないものね」

千歌「梨子ちゃんまで……」

ルビィ「うん、善子ちゃんの気持ちも大事だけど、月さんの気持ちも大事だもんね……」

千歌「……」


花丸「……あれ、そういえば」

ちかりこるび「?」


花丸「なんで月さんは善子ちゃんにありがとうって伝えたかったんだろう」
85 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:21:49.54 ID:ATdbGYCI0
―帰路ー

ようよし「……」トコトコ


月「曜ちゃん、善子ちゃん!」タッタッタッ


曜「えっ、月ちゃん!?」

善子「っ」ビクッ

月「やっぱりそうだった!今日は部活終わるの、早かったの?」

曜「あー、うん!今日はフォーメーションの見直しだけだったから」

月「なるほど」

善子「……」

月「善子ちゃん?どうかしたの?」ヒョコ

曜「あ、つ、月ちゃ」
86 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:22:18.88 ID:ATdbGYCI0
善子「……なんでもないわ、少し天界と交信を行っていただけよ」

月「そうなんだ、何を話してたの?」

善子「フフ、聞いて驚きなさい、なんとヨハネを奉る神社がそろそろ御神木だそうよ」

月「なにそれ」クスクス

善子「なんでもないわ、それよりも、昨日テレビで動物特集がやってたんだけど」

月「あ、それ僕も見たよ!ハンモックに乗るネコ、可愛かったなぁ」

善子「丸く太ったアザラシも捨てがたいでしょ?あのまんまるつぶらの凶悪な魅力はヘルデビルに相当するほど―――」


曜「善子ちゃん……」
87 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:22:48.34 ID:ATdbGYCI0
トコトコ

月「怪我してた鳥が無事空を飛べた時なんか僕、思わず泣いちゃってね」フフ

善子「月らしいわね」

ガサガサッ ポロッ

善子「にゃっ!?」コツン

ニャーオ

月「あ、猫だ」

曜「首輪もついてないし、野良猫だね」

善子「ちょっと!ヨハネにモノぶつけてくるなんてどういう了見よ!」ムキー

曜「善子ちゃん……さすがに野良猫にあたるのはよくないんじゃ」

フシャー

月「おぉう、ネコちゃん側も臨戦態勢だ」

善子「やってやろうじゃないのぉ!」ズカズカ
88 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:23:18.93 ID:ATdbGYCI0
ズルッ

善子「ぎゃっ!?」

バッサー

月「み、見事に側溝に足を……」

曜「カバンの中身派手にこぼしたねー」

善子「なんなのよもー!」

月「善子ちゃん、怪我してない?」スッ

善子「えぇ、まぁ、これぐらいで怪我してたらやってられないわよ」

曜「善子ちゃん、不幸体質に適応してるんだね」
89 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:24:27.15 ID:ATdbGYCI0
月「それでも一応、確認するからあしを……」チラッ

月「!」

月「……これ」スッ

善子「どうしたのよ、つ、き……」

曜「?」

月「このボタンの校章って〇〇中学だよね、え!?ってことは善子ちゃんって〇〇中学校出身だったの!?」

善子「……っ!」ビクッ

曜「!?」

曜(なんで〇〇中学のボタンが、善子ちゃんのカバンに!?)

月「やっぱりそうなんだ!奇遇だね!実は僕も〇〇中学なんだ!じゃあ僕たち学校でもすれ違ったりしてたのかな?」ニコニコ

善子「!!!」
90 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:24:55.45 ID:ATdbGYCI0
善子「はは、そ、そうかも、すれ違ってたかも、しれないわね」

月「うわー勿体ないなぁ、せっかく善子ちゃんとみんなより先に出会えるチャンスだったのに!」

善子「……ほんと、出会えてたら、よかったのに」


曜「よ、善子ちゃん……」

善子「……やっぱり」

善子(当たり前よ、覚えてなんかいるわけない)

善子(月と私は、中学では一度も話したことなかったんだから)


善子(私が勝手にリトルデーモンにして、勝手に喜んでただけで)

善子(月にとってはあんなこと、中学校での主な出来事レベルですらない)


善子(ちょっと考えればわかるでしょ、私との思い出なんて)

善子「はじめから、あるわけなかったのよ……」ギュゥ


善子(わかってた)


善子「……っ」ウルッ


善子(はずなのになんでこんな……っ!)ギュゥ
91 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:26:24.03 ID:ATdbGYCI0
善子(やだ、も、泣きそう)グスッ


月「善子ちゃん!!!」ギュッ

善子「っ!?」 ビクッ


月「この傷が付いたボタンの持ち主って、善子ちゃんだったんだね!!!」

善子「えっ?」

月「あの時は本当にありがとう!!!」ニコッ

善子「な……なにが?」

月「あっ……ごめんね、説明しないと、わかるわけないよね//」アハハ
92 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:26:55.90 ID:ATdbGYCI0
月「えーと、あれは確か、僕がまだ高校一年生になりたての頃、ちょうど始業式の次の日だったかな?」

月「あの日は始業式後の初めての授業なのに寝坊しちゃったから急いでて」


月『やばいやばい、遅刻する―!』


月「新調して履きなれない靴だったのに、家から全力疾走で学校に向かってたんだ」

月「でも早々に靴擦れ起こしちゃって、動けなくなっちゃった」


月『あいたたた……新しい革靴って、なんでこんな……』
93 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:27:26.92 ID:ATdbGYCI0
『あー!カバンがぁっ!?』

月『えっ!?』

ヒュー コトン

月『あ、これ靴擦れ用の……』


月「上から靴擦れ用のバンドエイドが降って来たんだ!」

月「このボタンと一緒にね」ニコッ


月『つ、使っていいのかな……』

バサバサ

月『わわわっ!?教科書とかなんか色々落ちてくる!?』

月『あいたっ!?』コツン

月『な、なに?これ???』

月『これ、〇〇中のボタン?あっ、この傷……!』
94 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:27:56.77 ID:ATdbGYCI0
月「あのバンドエイドのおかげで、僕は初日から遅刻しなくて済んだんだ」

月「だからあの時は本当に助かったよ!ありがとう!」ニコニコ

善子「あ、いや、説明とかされても」

月「そうだよね、まだ説明不足のとこが色々あるよね」ムムム

月「えーっと、どこから話していけばー」

善子「そうじゃなくて!えぇー、なんかもう、色々すぎてよくわかんないんだけど」ハァ
95 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:28:24.11 ID:ATdbGYCI0
―小説明後―

月「なんか昔話みたいだね」

善子「……なにが?」

月「ん?あ、そっか」

月「善子ちゃんは、このボタンをどこかにただ落としただけって思ってるんだよね?」

善子(あ、それは思ってないです)


月「でも実はね、このボタン!トンビが持っていこうとしてたんだよ!」バーン

善子(知ってる)


月「さらにさらに!そのボタンをトンビから奪い返したのって、実は僕なんだ!!!」ドヤァ

善子(知り尽くしてる)


月「トンビとの空中戦は5分にも及んだ、なかなかの激闘だったよ」ウンウン

善子(さらっとちょっと盛らないの)
96 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:28:57.29 ID:ATdbGYCI0
月「善子ちゃんのボタンを僕が拾って届けて、」

月「僕が困ったときに、ボタンの持ち主である善子ちゃんが僕を助けてくれた」

月「ほら、やっぱり昔話みたいだよ」ニコニコ

善子「鶴の恩返し的な?」

善子「でもこれはなんか、昔話とは違う気がするんだけど……」
97 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:29:23.77 ID:ATdbGYCI0
月「ふふふ、僕と善子ちゃんは高校で一緒になる前から関わりあってたんだね」ニコニコ

善子「……嬉しそうね」

月「もちろんだよ」

月「これってつまり善子ちゃんと僕に、中学時代お互いに関わりがあったってことでしょ?」ニコニコ

善子「まぁそういうことになるわね」

月「ってことは、これで僕たち二人だけの、中学での思い出が、今早速出来たってことなんだよ!」

善子「!!!」
98 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:30:02.86 ID:ATdbGYCI0
月「いや、もともとあったものを思い出したようなものだから、出来たって言うより見つけたって方が近いのかな……」ムムム

月「いやでもこの新鮮さは見つけたというより出来たって方が」

善子(中学の思い出が……出来た)

善子(ヨハネと、月の……?)

善子「……っ」ジワッ

ポフッ

月「善子ちゃん?」

善子(月に覚えててほしい、思い出してほしい、そればっかりで)

善子(お互いに話して、情報を共有して、思い出に昇華するなんて考えもしなかった)

善子(今更中学時代の思い出を作っていけるなんて、思いもしなかった)

善子「はぁ……話せてよかった、ほんとに」

月「?」
99 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:30:41.75 ID:ATdbGYCI0
善子「月」

善子「あの時、トンビからボタン取り返してくれてその……ありがと//」ギュッ

月「!」

月「どういたしまして」ニコッ


月「あ!あのハイカラマントも善子ちゃんだったんだ!」

善子「そ、だからあれも、拾ってくれてありがと」

月「とんでもない、こちらこそ珍しいものが見られて嬉しかったよ!ありがとう!」

善子「なにそれ」クスクス


月「そうか、あのハーブの匂い、嗅いだことあると思ったらハイカラマントの時に嗅いだことがあったんだね」ナルホドー

善子「そういうことね、あ、月?三階の窓から飛ぶのはほんとに危ないからやめた方がいいわよ」

月「あ//あはははは……そうだね」
100 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:31:08.13 ID:ATdbGYCI0
月「そういえば善子ちゃんは、どうしてあのボタンを今でも持ち歩いてたの?」

善子「えっ、そ、それは」

善子(自分への戒めのために持ってた、って言うのはさすがに言い辛いわね……)

善子「お、おまもり、みたいな!?」

月「へぇー、戻って来たからきっと御利益がある、みたいな?」

善子「そ、そゆこと!」

善子(言い訳が苦しい!)


月「それにしても、ちょっと欠けたボタンって趣があっていいよねぇ」ウットリ

善子「そんなものなの?」

月「へこんだり書けたりしてるのが年代モノみがあっていいというか」ウットリ

善子「へー、ほんとに好きなのね」 

月「うん、傷がついたら捨てるとかいう人いるけど、それなら僕に!ってぐらいには好きだよ」
101 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:31:54.62 ID:ATdbGYCI0
善子(そういえば私、なんであのボタン捨てなかったのかしら)

善子(欠けたメダルならともかく、ボタンなら別に……)

善子「……あっ」



中学善子『むむむ、帰ってきたはいいけどこのボタン取り付けるとこがひしゃげちゃってるわね』

中学善子『どうしようかしら、ちょっと欠けてるし捨てても……』

中学善子『……いいえ』

中学善子『これはヨハネのリトルデーモンが、その身を賭してブラックカイト(とんび)から奪い返したもの』

中学善子『これをわが身から零すのは、主として不徳を積む、いわゆる背徳行為だわ』

中学善子『背徳行為……!』キラキラ

中学善子『』ハッ

中学善子『だ、ダメよこれはほんとにダメ!』

中学善子『せっかくヨハネのもとに戻ってきてくれたんだから!』

中学善子『……リトルデーモンが、取り返してくれたんだから』

中学善子『これはカバンにでも入れておきましょ』イソイソ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/26(日) 18:41:29.10 ID:oI2L2aIzo
つまんね
103 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:52:16.73 ID:ATdbGYCI0
ピタッ

善子「なんだ……あの頃から私……」

善子(自分で気づいてなかっただけで)

月「善子ちゃん?」

善子(月への感謝の気持ち、ちゃんと持ってたんじゃない)

善子「今の今までそれに気づかないなんて、堕天使にあるまじき失態ね」ハァ

月「???」
104 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:52:49.31 ID:ATdbGYCI0
善子「月」

善子「……堕天使ヨハネと契約して、あなたも私のリトルデーモンに……なってみない?」ギラン

月「いいの!?もちろん喜んで」ニコッ

善子「フフフ、いい心がけね」

善子「貴女はリトルデーモンでありながら、ヨハネと記憶を共有するもの」

善子「ゆえに、特別に真名を授けてあげる」

善子「月!貴女は今日から――――」
105 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:53:16.01 ID:ATdbGYCI0
―次の日―

千歌「善子ちゃん、ほんとに大丈夫かな……」

ルビィ「Aqoursのラインでは、もう大丈夫って言ってたけど」

梨子「強がってるだけって可能性も、あるわよね……」

花丸「善子ちゃんのために今日はチョコ持ってきたから、これで少しでも元気を」

ヨハネちゃん♪ ルーナ♪

千歌「んぇ?この声は」


月「どう、ヨハネちゃん、似合ってる?」

善子「うーん、ルナの髪だとヨハネ団子ほどはできないのね」

月「うん、思ってたよりも小さくなっちゃったけど、でもこれで僕たちお揃いだね」ニコ

善子「お揃い、いいわね」ニコ

アハハ ウフフ イチャイチャ
106 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:53:44.59 ID:ATdbGYCI0
りこまる「は?」

千歌「善子ちゃん……!」

ルビィ「よかったぁ」ホッ



りこまる「いやいやいやいやいや」

りこまる「は?」


後にルナがヨハネのリトルデーモンからビックデーモンに昇格するのだが


梨子「待って、締めに入らないで」


それはまた別のお話


花丸「カメラ止めるずら、ちょっと責任者、マルたちが納得するような説明を」


めでたしめでたし


りこまる「私(マル)たちは全然めでたくない!(ずら!)」
107 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:55:05.97 ID:ATdbGYCI0
これで終わりです。
改めてみても推敲したり、構成考えたりせずに、行き当たりばったりでやってる感がやばいですね
108 :USA [sage]:2019/05/26(日) 18:56:41.52 ID:ATdbGYCI0
>>102
感想ありがとうございます!
楽しませられなくて申し訳ない……
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/26(日) 20:48:15.44 ID:RQvizXvlO
俺は好き
110 :USA [sage]:2019/05/27(月) 23:07:23.26 ID:on4fAGim0
>>109
ありがとうございます!
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