眼鏡娘「私は重力が嫌い」

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1 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:47:24.10 ID:z4mjw2N10
SS4作目です。

いつものようにとある歌を参考にしています。

物語的にキリのいいところまで書き溜めがあるので、投下していきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1566301643
2 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:51:51.97 ID:z4mjw2N10
ーーー学校 教室ーーー



──ポトッ



眼鏡娘「あ……」

眼鏡娘(消しゴム落ちた)

眼鏡娘「……」ヒロイアゲ

眼鏡娘「……はぁ」

眼鏡娘(やっぱりダメだー…待ってる間に宿題終わらせちゃおうかと思ったけど全然集中できないよ)

眼鏡娘(元気娘ちゃんまだかな)

眼鏡娘「」グデー

ピロリン

眼鏡娘「!」

眼鏡娘(LINEだ)

スッスッ



☆元気娘☆『ごめん!先帰ってて!まだ委員の仕事長引きそう_(:3 」∠ )_』



眼鏡娘「……」ポカン

眼鏡娘(……私の一時間を返せー……)

眼鏡娘「……帰ろ」ボソッ

イソイソ

眼鏡娘(もう他の皆はとっくにいないし、残ってるのなんて私と……)

眼鏡娘「……」チラッ



男「」スースー...



眼鏡娘(男くん……)

男「……んぁ…」パチッ

男「やば、寝てた…ってこんな時間か」

男「ん?」チラッ

眼鏡娘「」ドキッ

男「あれ、眼鏡娘さんももしかして寝過ごしちゃったの?」

眼鏡娘「あ、その私は……友達を……」タジタジ

眼鏡娘「……さ、さようならっ!」タッタッタッ...

男「えっ」

男「行っちゃった……」




3 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:54:13.40 ID:z4mjw2N10
ーーー昇降口ーーー

眼鏡娘「うぅ…逃げてきちゃった」トボトボ

眼鏡娘(男くん…ほんとはちゃんと話したいのに…)

眼鏡娘「さっきので喉乾いてきちゃったし…」クツハキカエ

眼鏡娘「外の自販機で何か買お」

テクテク

眼鏡娘「……」ガサゴソ

チャリンチャリン ガコン!

眼鏡娘「フタ固っ……」グググ...

カシュッ



──ツルン



眼鏡娘「あっ!」

ボトッ

トポトポトポ...

眼鏡娘「」サッ!

眼鏡娘「よりによって土の上に落ちるなんて……飲み口は汚れてないから平気かな…?」

眼鏡娘「……はぁ……」

眼鏡娘(さっきの消しゴムといい、これといい、本当)

眼鏡娘(──重力って嫌い)

眼鏡娘(昔からそう。私を強く縛り付けるこの重力が好きじゃなかった)

眼鏡娘(重力があるから物が落ちる、つまづいて転ぶ、ジャンプしても天井に届かないし……気分だって沈む)

眼鏡娘(でも人に打ち明けてもまともに取り合ってくれたことがないから、これは私だけの悩みみたい)

眼鏡娘「……いいや、もう一本買っちゃおう」




4 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:55:23.01 ID:z4mjw2N10
ーーー翌日 学校ーーー

元気娘「眼鏡娘ちゃん、昨日はごめん!」

眼鏡娘「いいよいいよ、学級委員のお仕事大変だったんでしょ?」

元気娘「それはそうなんだけど……結構待たせちゃったよね…?」

眼鏡娘「まあ……一時間くらいは」

元気娘「うぬぬ…」

元気娘「あ、そうだ!」

元気娘「じゃあさ、お詫びとしてこの辺りに最近出来たっていう話題のカフェがあるんだけど、そこのパフェ奢ったげる!すごい人気なんだって!」

眼鏡娘「パフェ?」

元気娘「うんうん。…あれ?スイーツ苦手だっけ?」

眼鏡娘「苦手じゃないけど…」

元気娘「じゃあ決まり!今日の放課後急いで向かうよー!平日でも混んでることが多いらしいから」

眼鏡娘「え、混雑してるなら別に無理してそこに行かなくてもいいよ?というかお詫びとかも…私は気にしてないから」

元気娘「だめだめ!もう決定したんだから!眼鏡娘ちゃんは素直に奢られてればいいの!分かった?」

眼鏡娘「う、うん」

元気娘「よろしい♪」

元気娘「楽しみだなぁ、あそこのパフェ…」

眼鏡娘「……もしかして元気娘ちゃんが食べたいだけなんじゃ……」

元気娘「……」

元気娘「えへっ♪」


5 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:56:52.00 ID:z4mjw2N10



ガララ



先生「朝の会始めるぞー」

元気娘「先生おはようございまーす!」

先生「おうおはよう。元気があって何よりだが、早く席に付けなー」

元気娘「はーい!」テテテッ

元気娘「あ、男くんもおはよう!」

男「おはようさん」

眼鏡娘(相変わらずだなぁ元気娘ちゃん……)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「……」チラリ

男「……?」チラッ

眼鏡娘「っ!」フイッ

眼鏡娘(目、合っちゃった。見てることバレちゃったよね…?)ドキドキ

眼鏡娘(昨日もいきなり逃げちゃったし……変な子だって思われてないかな……)

眼鏡娘「ぅー……」

元気娘「?」




6 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:00:12.21 ID:z4mjw2N10
ーーー放課後 カフェーーー

元気娘「いただきます!」

眼鏡娘「いただきます」

元気娘「」パクパク

元気娘「おいしー!」

眼鏡娘「…ん、本当」

元気娘「だよねだよね!」ハムハム

眼鏡娘「正直予想してたよりずっと好きな味かも」アム

元気娘「…!」

元気娘「…えへへ、来てよかったでしょ」ピース

眼鏡娘「……うん」ニコッ

元気娘「じゃ、どっちが早く食べられるか競争でもする?」パクパク

眼鏡娘「もっと味わって食べなって。それにそんなにハイペースで食べてたら──」

元気娘「ん〜!」キーン

眼鏡娘「言わんこっちゃない…」

眼鏡娘(……ふふ)

眼鏡娘(元気娘ちゃん。私の一番仲のいい友達)

眼鏡娘(こんな地味な私に初めて声を掛けてくれたのもこの子で……あの時はちょっとびっくりしたな)


7 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:03:02.95 ID:z4mjw2N10



ーー入学式当日ーー

先生「──よし、皆自己紹介済んだよな?じゃ、最後は俺だな」

先生「俺の名前はこう書くんだが…」コクバンカキカキ

「へー。なんかちょっと面白い苗字ですね」

先生「言ってくれるな。子供の頃散々いじられたんだから」

「何て言われてたんですかー!」

先生「知りたいか?教えてもいいが、俺に向かって言ったら数学特別課題が追加されるからそのつもりでな。…昔の俺のあだ名は──」

ワハハ! エーウソー!

眼鏡娘(……何が面白いんだろう)

眼鏡娘(あーあ…せっかく高校生になったのに、なんか馴染めそうにないかも…このクラス)

眼鏡娘(……ちっちゃい頃は誰とでも仲良くなれてたのになー…)

先生「はいはい!んじゃ、今日はこれで終わりだから礼して帰宅な!今日は俺が号令かけるけど、明日からは日直がやるやつだから覚えておけよ」

先生「起立!…気を付け、礼!」

「「「さようなら!」」」

ガヤガヤ

眼鏡娘「……」

眼鏡娘(…私も帰ろう。駅までの道、覚えてるかな)



──テクテクテク



元気娘「……」ニコニコ

眼鏡娘「…?」

眼鏡娘(え、なに…?)

眼鏡娘(この子、確か元気娘さんだっけ。…こっちずっと見てるけど…)

眼鏡娘「……あの、なにか…?」

元気娘「眼鏡娘ちゃんって言うんだね」ニコニコ

眼鏡娘「は、はい…」

元気娘「ね!この後一緒に遊びに行こ!」

眼鏡娘「えっ」

元気娘「ついでにこの辺りのことも教えて欲しいなー!私この間ここに越してきたばっかりなんだ!」ガシッ

眼鏡娘「!?」

元気娘「ほらほら行くよー!今日という日はまだこれからじゃー!」ピューン

眼鏡娘「えーー!?」ツレサラレー

先生「おーい!廊下を走るなー!」

ーーーーー


8 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:04:20.43 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘(……最初から強引なところしかなかったっけ)

眼鏡娘「…クスッ」

元気娘「んー?」ハムハム

元気娘「あ!」

眼鏡娘「どうしたの?」

元気娘「眼鏡娘ちゃん、ほっぺにクリーム付いてるよ」フフッ

眼鏡娘「どこ?ここ?」フキフキ

元気娘「違う違う。こっち」グイッ(身を乗り出す)



チョイッ



元気娘「はい、取れた!」

眼鏡娘「ありがと……わざわざ指で掬わなくても、言ってくれれば自分で拭いたのに」

元気娘「気にしない気にしない♪」

元気娘「……」ジッ

元気娘「」ペロ

眼鏡娘「!?」

眼鏡娘「ななっ…!なんで舐めたの!?」

元気娘「いやー美味しそうだったからつい」

眼鏡娘「拭きとってよ!私の顔に付いたクリームなんて…!」

元気娘「……眼鏡娘ちゃんの味がした」ニヤ

眼鏡娘「〜〜!」

眼鏡娘「顔貸して!私も仕返しする!!」バタバタ

元気娘「わわっ!危ないよ!ちょっとした冗談だって!そんなにスプーン振り回さないで…!」

ワーワー!



.........




9 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:06:21.55 ID:z4mjw2N10
ーーー翌日 放課後ーーー

眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘(何してんだろ私…昨日あんなに取り乱して……店員さんにも注意されちゃったし)

眼鏡娘(元凶の元気娘ちゃんは私が図書委員の仕事があると聞くやささっと帰っちゃうし)

眼鏡娘(……絶対お返ししてやるんだから)

眼鏡娘「……」テク...



札『職員室』



眼鏡娘「」コンコン

眼鏡娘「失礼します」ガラッ

図書教諭「あ、来た来た」

眼鏡娘「今日することって何ですか?職員室に集まるって珍しいですよね」

図書教諭「うん、今日はねぇ、ここに積まれた本たちを図書室まで運んでいって欲しいのよ」

ズラッ...

眼鏡娘「こ、こんなに…?」

図書教諭「そうなの!いつもなら三年生の男の子にやってもらってたんだけど、一人は部活の大会、もう一人は風邪でお休み……あと今いる図書委員ってあなただけだったのよ」

図書教諭「ごめんね…女の子一人に任せるような仕事じゃないのは分かってるんだけどね。私も手が離せなくて……ゆっくりでいいからお願いできるかしら…?」

眼鏡娘「お仕事ならやりますけど…」

図書教諭「ありがとう!後で好きな飲み物買ってあげる」

眼鏡娘「どうもです」

図書教諭「よろしくね。私は資料室にいるけど、時々様子見に来るから」スタスタ...

眼鏡娘「はい」

眼鏡娘「………」



(数十冊と積まれた本)



眼鏡娘(……ここから図書室って結構遠いよね…階も違うし)

眼鏡娘「……はぁ」

眼鏡娘(何往復で終わるかな……)




10 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:09:04.93 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

眼鏡娘「……」テク..テク..

眼鏡娘(お、重い……)

眼鏡娘(運んでも運んでも減らないからってちょっと持ち過ぎた…)

眼鏡娘「……腕痛い……」テク..テク..

眼鏡娘「ん゙ー……」テク..テク..

ヨロ..

眼鏡娘「っ!」

バラバラッ

眼鏡娘「あー…」

眼鏡娘(重力さえなかったらこんなもの全部浮かせて持っていけるのに…!)

眼鏡娘(…どうしよう、分けて持ってこっかな)シャガミコミ



──スッ



眼鏡娘「?」

男「大丈夫?こんなに持ってたら前見えないでしょ」ヒョイッ、ヒョイッ

眼鏡娘「男くんっ!?」

男「はいはい男ですよー」ヒョイッ、ヒョイッ

眼鏡娘「なんで…」

男「なんでって、フラフラな足取りで歩いてる危なっかしい人が見えたから」

男「……ふぅ、こんなもんかな」

眼鏡娘「拾ってくれてありがと。この上に乗っけてくれれば…」

男「ん?持ってくよ?どこに行けばいいん?」

眼鏡娘「えっ!?悪いよ!図書委員でもないのに」

男「なーに言ってんの。また酔っ払いさんみたいにうろつくつもり?それに一緒に運んだ方が早く終わるよ」

眼鏡娘「あ……じゃ、じゃあ…お願いします……」

男「オーケー」ニッ



.........




11 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:12:16.15 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……」テクテク

男「……」テクテク

眼鏡娘(男くんが隣に……)ドキドキ

眼鏡娘「……ありがとね、男くん」

男「気にしないで。俺暇だったし、眼鏡娘さんとも話したいなーって思ってたし」

眼鏡娘「!?……そうなの?」

男「イエス」

男「一昨日結構遅くまで残ってたよね?すぐ帰っちゃったけど……何かやってたの?」

眼鏡娘「あの時逃げちゃってごめん……友達を待ってただけなの」

男「友達って元気娘さん?」

眼鏡娘「うん」

男「仲良いよねぇ。幼馴染とか?」

眼鏡娘「ううん、高校から知り合ったの。って言っても私はいつも連れ回されてるだけなんだけどね」

男「あはは、見てる分には飽きないよ。昨日も学校終わってすぐ飛び出していってたっけ」

眼鏡娘「新しくできたカフェに連れてかれてました」

男「カフェ…?あぁ!あのパフェが人気の!いいね、俺も食べてみようかなって思ってたんだよね」

眼鏡娘「男くんスイーツとか食べるんだ?」

男「もち。結構甘党だからさ、そういうのに目がないんだー」

眼鏡娘「へぇ…意外かも」フフッ

男「よく言われる」クスッ


12 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:12:53.02 ID:z4mjw2N10

男「じゃ、そのカフェの先駆者たる眼鏡娘さんに今度案内でもしてもらおうかな」

眼鏡娘「案内……?」

眼鏡娘(…!それって)

眼鏡娘「い、一緒に行く…ってことでしょうか…?」

男「そそ。どうかな?」

眼鏡娘「え、あ……」

眼鏡娘(男くんと一緒にカフェに……もしかしなくてもそれは)

眼鏡娘(……デートなのでは)

眼鏡娘「……」プシュー

男「あれ?眼鏡娘さん?」

眼鏡娘「……その、私なんかで良ければ……」

男「ほんと!サンキュー。ああいう店、男一人で入るのも気後れしちゃってさ」

男「日にちいつにしよっか?」

眼鏡娘「えと、お任せ致します」

男「今週の土曜日とか空いてる?」

眼鏡娘「空いております」

男「なんでさっきから敬語?」

眼鏡娘「ハッ!」

眼鏡娘「いや、何でもないよ…?」

眼鏡娘(男くんとデート……デー、ト……)

眼鏡娘(……♪)



.........




13 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:13:44.24 ID:z4mjw2N10
ーーー職員室ーーー

図書教諭「おー!綺麗になってる!」

図書教諭「ありがとー二人とも!」

男「俺は偶々見かけただけですから」

図書教諭「大助かりだよー。眼鏡娘さん一人だとやっぱりきつかっただろうからねぇ」

眼鏡娘「ははは……まさしくその通りでした」

図書教諭「それじゃ…はい!飲み物代」スッ



(手渡される200円)



男「へ…?」

眼鏡娘「あの、好きな飲み物って…」

図書教諭「これで好きな飲み物でも買いなさいな」ニシシ

眼鏡娘「えぇ…」

眼鏡娘(現金て…)

図書教諭「でも周りには飲み物買ってもらったことにしといてね。お金渡したなんて知られたらちょっと、ね」

眼鏡娘(買ってくる手間の方がマシなんじゃ)

図書教諭「お疲れさん。今日はこれだけだから帰っていいよー。次はちゃんと男手揃えておくからご安心を!」




14 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:14:42.52 ID:z4mjw2N10
ーーー昇降口ーーー

眼鏡娘「まさかお金を直に渡されるなんて」クツハキカエ

男「図書委員の先生だよね?結構ゆるい人なんだ」クツハキカエ

眼鏡娘「これが労働に支払われる対価……?」

男「対価って。まあ間違ってないけども」

テクテク

男「ここで何か買ってく?」

眼鏡娘(この自販機……)

眼鏡娘「…私はいいかな。こいつにはちょっと苦い思いをさせられたから」

男「苦い思い…?」

男(ブラックコーヒーでも出てきたとか?)

男「俺は、これ飲もうかな」ピッ

ガコン! カシュッ

男「」ゴクゴク

眼鏡娘「…今日はほんとにありがとう」

男「んー?」ゴク...

男「どういたしまして。どの道あの量を一人だと暗くなる前に先生が手伝いに入ってくれてたかもだけどね」

眼鏡娘「でも男くん私よりたくさん運んでくれたし…!」

眼鏡娘「……手伝ってくれたのが男くんで嬉しかったから……」ボソッ

男「?」ゴクゴク

眼鏡娘(……今日は男くんとちゃんと話せた。いっぱい話せた。……デートの約束もしちゃった)

眼鏡娘「……」ムフー

男「あ、もしかして俺を待ってくれてる?」

男「ごめんごめん。気にせず帰っていいよ。俺の家、あっちだから」ユビサシ

眼鏡娘(私の家と逆方向…)

眼鏡娘(……でも途中までなら一緒に帰れるかな)

眼鏡娘(言うのよ私!せっかくだし一緒に帰ろうって!)

眼鏡娘「……男くんっ」

男「ん?」

眼鏡娘「あの……」

眼鏡娘「……また、明日」

男「おう。また明日なー」テフリフリ



テクテクテク...



眼鏡娘「……私のバカ」




15 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:15:53.04 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘(…なんか、見慣れたはずの帰り道なのに、今日はちょっと寂しいかも……)

眼鏡娘(私にもう少し勇気があれば今も男くんと並んで歩いてたのかな)

眼鏡娘「……はー……」





眼鏡娘「──もう一度やり直せたらなぁ」





眼鏡娘(なんて、たらればたられば)

不良A「ねぇ、君今帰り?」

眼鏡娘「」ビクッ

眼鏡娘「……私ですか?」カオアゲル

不良A「そうそう」

不良B「お、君結構かわいいじゃん。俺好みかも。ねね、この後時間ある?俺らと少し遊んでかない?」

眼鏡娘「え、や……私もう帰らないといけないので……」

不良B「えー、いいじゃん!ちょっとだけでいいからさー!」ガシッ

眼鏡娘「!?…は、離してください…!」

不良A「おいおい、あんまり乱暴にするなよ?」

不良B「だーいじょうぶ。俺合意なしとか嫌な人だから」

眼鏡娘「合意、なんてしてないです……!」ググ...

不良B「絶対楽しいからさ!ほら行こ!」グイッ

眼鏡娘「やめて…!」



──スタッ、スタッ!



黒猫「」バッ!

不良B「うわっ!なんだ!?」

黒猫「フシャー!」ガリガリ

不良B「いでで!」パッ

眼鏡娘(あ…!離れた…!)

不良A「なんだこいつ!失せろ!」

眼鏡娘(猫……?)

眼鏡娘(…!今のうちに!)

眼鏡娘「」タッタッタッ!

不良B「あっ!ちょっと君!!」

黒猫「」パッ

スタッ、スタッ、スタッ...




16 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:16:42.28 ID:z4mjw2N10
ーーー駅前ーーー

眼鏡娘「はぁ……はぁ……」

眼鏡娘(ここまで来れば平気…?)

眼鏡娘(さすがに電車の中までは追いかけてこないよね…)

眼鏡娘「……怖かった。今度から別の道使おうかな」



テテテッ



黒猫「ナーオ」

眼鏡娘「!」

眼鏡娘「あなたさっきの…」

眼鏡娘「……」ナデナデ

黒猫「」ナデラレナデラレ

眼鏡娘「助けてくれてありがと。ちっちゃなヒーローさん」

黒猫「……」

黒猫「」ピョンッ

眼鏡娘「あ」

スタッ、スタッ、スタッ

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「ん、次の電車来ちゃう」



スタスタスタ...




17 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:18:11.40 ID:z4mjw2N10
ーーーショッピングモールーーー

元気娘「──ねー!こっちのワンピとかどうかな?似合うと思う?」

眼鏡娘「元気娘ちゃん何着ても似合ってるよ」

元気娘「ちゃんと見てよー!今これにするか、そっちの明るい色のにするかで悩んでるんだからー!」

眼鏡娘「だって私、服とかあんまり分からないから……元気娘ちゃんの方が詳しいでしょ」

元気娘「それじゃ眼鏡娘ちゃん連れてきた意味ないじゃない!」

眼鏡娘「だからなんで私を連れてきたの…」

眼鏡娘(今日は日曜日)

眼鏡娘(朝目が覚めて、昨日のデートの余韻に浸りながらウトウト二度寝しそうになってたらいきなりこの子が押しかけてきて)

眼鏡娘(気付いたらここに居ました)



ーー朝ーー

眼鏡娘「……んー……」

眼鏡娘「眠いー…」ゴロン

眼鏡娘(……楽しかったなぁ、昨日)

眼鏡娘(パフェ食べてすぐ解散しちゃったけど、男くんのあんなにはしゃいでるところ初めて見れた)

眼鏡娘(ちょっと可愛かった)

眼鏡娘「……」ゴロ...

眼鏡娘(……もし、元気娘ちゃんがやった、アレを)



ーーーーー

元気娘「」ペロ

眼鏡娘「!?」

ーーーーー



眼鏡娘(男くんにやられてたら……)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「」ゴロゴロバタバタッ

眼鏡娘(今度いつ遊べるかな)

眼鏡娘「……」アオムケー

眼鏡娘「9時……もう一眠り……」


18 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:20:57.60 ID:z4mjw2N10

ピロリン

眼鏡娘「…?」



☆元気娘☆『起きてる??』



眼鏡娘「………」



眼鏡★娘『寝てる』

☆元気娘☆『[壁]д=) 』

眼鏡★娘『どうかしたの?』

☆元気娘☆『お出掛けしよ!買い物付き合って欲しい!(>人<)』

眼鏡★娘『いいけど、どこ行くの?』

☆元気娘☆『いつも行くデパート!時間は今からね!』



眼鏡娘「え…」



☆元気娘☆『外をご覧なさい( ̄▽ ̄)』



眼鏡娘「外…?」

ノソ...

シャッ(カーテンを開ける)

眼鏡娘「あ」



[壁]元気娘「……」ジー



眼鏡娘「…顔文字再現してる」

元気娘「」ピンポーン

眼鏡娘「え」

ハーイ アライラッシャイ

オハヨーゴザイマス! メガネムスメチャンオキテマスカー?

タブンオキテルトオモウケド...アガッテク?

ハイ!

眼鏡娘「ちょっと何であげちゃうのママ…!」

ドタドタドタッ ガチャ!

眼鏡娘「はやっ!」

元気娘「やっほ!おは……おぉ」ジロジロ

眼鏡娘「な、なに?」

元気娘「……うむ」ダキッ

眼鏡娘「ふぇ!?」

元気娘「パジャマの眼鏡娘ちゃんかわいー!」ギュー

眼鏡娘「〜〜……」

眼鏡娘「もー!まだ着替えてもないんだからちょっと待ってて!」

ーーーーー
19 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:22:21.24 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘(さすがに元気娘ちゃんは大人しくリビングで待たせました)

眼鏡娘(ちなみにLINE名の"★"も元気娘ちゃんに入れられたものなんだけど……別に嫌じゃないから戻してないだけ)

元気娘「んー…どっちも捨てがたいけど、やっぱり明るい色の方がいいかなぁ」

眼鏡娘「うん、いいかもね。いっつも走り回ってる元気娘ちゃんにぴったり」クスッ

元気娘「むむ?それはどういう意味かな眼鏡ガール?」

眼鏡娘「眼鏡ガールってなに……ま、そのままの意味」

眼鏡娘「ちょっとそれ貸して」

元気娘「ほい」スッ

眼鏡娘「ん」

ピトッ(ワンピースを元気娘の身体に当てる)

眼鏡娘「…そうだね、こっちの方が似合ってる。元気に咲くひまわりって感じがする」

元気娘「!…本当?」

元気娘「でもひまわりって褒められてる?からかわれてる?」ハテナ

眼鏡娘「褒めてるの。私は明るい元気娘ちゃんしか想像できないから、そっちのワンピースの方がしっくりくるんだ」

元気娘「……じゃこれにしよ!」

眼鏡娘「即決だね…」

元気娘「眼鏡娘ちゃんのお墨付きをいただいたからね」ニシシ




20 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:24:37.34 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

店員「ありがとうございましたー」

元気娘「いい買い物が出来ました」ニコニコ

眼鏡娘「それは何より」

眼鏡娘「次は何買うの?服一着だけ会計したってことは別のお店でアクセか何か?」

元気娘「何言ってるの?次は眼鏡娘ちゃんの服選びだよ?」

眼鏡娘「………はい?」

眼鏡娘「いやいやいや、私は元気娘ちゃんの付き添いに来てるだけだよね!?その前にまずそんなお金持ってきてないし…!」

眼鏡娘「……あと、恥ずかしい……」

元気娘「大丈夫大丈夫!試着するだけならタダだしさ!恥ずかしいのなんて最初だけだよー。服選び、段々楽しくなってくるから!」

元気娘「今度は私が眼鏡娘ちゃんにぴったりなコーディネートを見繕ってあげる」ワキワキ

眼鏡娘「その手の動きやめなさい……え、本当にするの?」

元気娘「」ニッコリ

ガシッ

眼鏡娘(あ、なんかデジャヴ)

元気娘「レッツゴー!」ピューン

眼鏡娘「せめて歩いて連れてってーー!」ツレサラレー



.........





眼鏡娘「うぅ…これ変じゃない…?」ワンピース

元気娘「全っ然変じゃない!かわいい!」

元気娘「さっき迷ってたやつ、眼鏡娘ちゃんに似合うんじゃないかなーってちょっと思ってたんだよね〜」

元気娘「私の見立てに間違いはなかった!」



.........





眼鏡娘「ど、どう?」クールビューティー

元気娘「わー……」

元気娘「すごい!大人!これはかわいいというより綺麗の部類に入りますなー」

眼鏡娘「……ごきげんよう、皆様」キリッ

元気娘「あはは!それだとどっちかっていうとお嬢様な感じ!」



.........




21 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:25:53.42 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……これ、なんか違くない……?」ネコミミスタイル

元気娘「」パシャッ

眼鏡娘「あっ!?何撮ってるの!!」

元気娘「えっへへー。手が勝手に」テヘ

眼鏡娘「今すぐ消して──」スッ

元気娘「ストップ!…そんな格好で試着室から出ていいのかなぁ?」ニヤニヤ

眼鏡娘「ぐっ……」

眼鏡娘「後で覚えといてよ…」



.........







ーーー夕方ーーー

元気娘「んー…!たーのしかったー!」テクテク

眼鏡娘「結局昼過ぎから普通に遊んでた……」テクテク

元気娘「いいじゃんいいじゃん。けどまさか眼鏡娘ちゃんがカラオケ初めてだったなんてねー」

眼鏡娘「だって今までカラオケ行く機会なんてなかったんだもん……元気娘ちゃんは歌すっごく上手だし…」

元気娘「眼鏡娘ちゃんだってかわいかったよ?特に最初に歌ってた、確か……ハロー、プr」

眼鏡娘「あれは忘れてっ!何歌えばいいのか分かんなくて入れちゃっただけだから!」

眼鏡娘「もう、今日は遊ぶというか遊ばれてばっかりだった気がする……」

元気娘「……もしかして、迷惑だったかな…?朝早くからいきなり押し掛けたり……」

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「そんなことない。楽しかったよ」

眼鏡娘「なんだかんだこんな私といつも一緒に居てくれて。元気娘ちゃんのおかげで最近笑うことが多くなった気もする」

眼鏡娘「ありがとうね」ニコッ

元気娘「……!」パァァ

元気娘「眼鏡娘ちゃーん!!」ダキッ!

眼鏡娘「ちょっ、こんなところで抱き着かれても困るんだけど…!」

元気娘「知りませーん!えへへー」

眼鏡娘「歩きづらいし…」

眼鏡娘(……たまには好きにさせてあげようかな)


22 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:27:10.90 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「………あ」ピタッ

元気娘「おっとっと」ヨロ...

元気娘「どうしたの?」

眼鏡娘「……この道……」

眼鏡娘(あのときの……)

元気娘「…怖いって顔してるよ。ここで何かあったの?」

眼鏡娘「……ちょっと前にね、変な男の人二人組に絡まれて、どっか連れてかれそうになったの。それからここを通るのが少し怖くて…」

元気娘「!?そんな……大丈夫だったの!?」

眼鏡娘「うん。そのときは親切な猫ちゃんが助けてくれたから」

元気娘「猫ちゃん…?」

眼鏡娘「何ともなかったよ。その人たちともそれ以来出くわしてないし」

元気娘「ならよかったけど……」

眼鏡娘(………)

元気娘「……」ギュ

眼鏡娘「え…?」

元気娘「手、ちょっと震えてる」

元気娘「そんなことがあったら誰だって怖くなるに決まってるよ。無理しないで」

元気娘「大丈夫!私が居るから!今は私が眼鏡娘ちゃんを守ってあげる番だから!」

眼鏡娘「元気娘ちゃん……」

眼鏡娘「うん、それじゃあよろしくね」

元気娘「よろしく任されました!」エヘヘ

元気娘「あ!そうそう忘れるところだった」

ガサゴソ

元気娘「…あった」

元気娘「はいこれ!」スッ

眼鏡娘「これは…?」

元気娘「プレゼントだよ!」

眼鏡娘「なんでいきなり…」

元気娘「いきなりじゃないよ、忘れたの?今日眼鏡娘ちゃんのお誕生日じゃん!」

眼鏡娘「──!」

眼鏡娘(そういえば……)


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