眼鏡娘「私は重力が嫌い」

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112 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:29:29.79 ID:+70QDg8kO
ーーー夕方ーーー

内気娘「ちょっと暗くなってきたね。もう帰ろうか」

幼眼鏡娘「そうだねー。こんな公園だけでも、意外と遊べること多いんだね」

内気娘「田舎の遊び知恵を舐めてもらっちゃ困りますよ、都会人さん」

幼眼鏡娘「でもこっちにはゲーム機とかなさそうだよね?」

内気娘「……ノーコメント」

幼眼鏡娘「図星なんだ」ニヒヒ

幼眼鏡娘「……内気娘ちゃんて、この夏休み他の子と遊んだりしてないの?」

内気娘「そ、れは……」

内気娘(……)

内気娘「…いないの。友達」

内気娘「だって周りの子みんな、変な目で見てくるんだもん。面白がってるか、哀れんでるか、大体どっちか…」

内気娘「そんなの、友達じゃない」

幼眼鏡娘「……」





幼眼鏡娘「じゃあわたしが友達になってあげるよ!」





内気娘「─!」

幼眼鏡娘「というか、こんなに遊んでるんだからもうとっくに友達だよね!」

幼眼鏡娘「私、夏休みの間しかこっちにいないけど、そんな期間限定の珍しい友達、いかがでしょー」

内気娘「………」

内気娘「……くふっ、あはははっ」

内気娘「期間限定なんてケチケチしないで、年中販売してよー」ケラケラ

幼眼鏡娘「レアものですから!」

内気娘「……うん、よろしく」

内気娘「わたしとお友達になって下さい」ニッ




113 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:30:53.01 ID:+70QDg8kO
ーーー内気娘の家ーーー

...ガチャ

内気娘「……」ソ...

パタン

内気娘「……あ」

内気娘母「……」

内気娘「……」

内気娘母「…おかえり。ご飯出来てるわよ。席着いちゃって」

内気娘「………」

内気娘「ママ!」

内気娘母「?」

内気娘「……その、ごめんなさい」

内気娘母「………ママもごめん。怒ってあんなこと言っちゃって」

内気娘母「内気娘はちゃんとママの大切な子だからね」

内気娘「!……うん!」

内気娘母「ご飯、冷めちゃうから食べましょ」

トッ、トッ、トッ

内気娘父「お」

内気娘「っ」

内気娘(………)



ーーーーー

幼眼鏡娘「──内気娘ちゃんがそう思えてるなら、絶対仲良くなれるでしょ?」

ーーーーー



内気娘父「おかえり。帰ってたんだな」

内気娘「……」

内気娘父「…飯にしようか」ストッ



内気娘「ただいま、パパ」ニコッ



内気娘母・父「「!!」」

内気娘父「……あ、あぁ!おかえりだ!おかえりなさい!」

内気娘「ふふっ、そんないっぱいただいまは言えませんー」

内気娘(あぁなんだ)

内気娘(ママたちがわたしを見ようとしなかったわけじゃない)

内気娘(わたしが二人を突き放してたんだ)

内気娘(……♪)





気付ければとっても簡単なこと。

そのことが嬉しくて嬉しくて、早く伝えたくて、次の日はいつもより1時間くらい早めに家を出たなぁ。


114 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:31:53.02 ID:+70QDg8kO
ーーー翌日ーーー

内気娘「」タッタッタッ!

内気娘(早く…早く会いたいな…!)

内気娘(あなたのおかげで仲直り出来たって、パパの前で自然に笑えたよって)

内気娘(教えたい!)

内気娘「」タッタッタッ!

タッタッ...

内気娘「はぁ、はぁ…」



(無人の公園)



内気娘「…さすがに、まだだよね」

内気娘(急いで来過ぎちゃった)

内気娘「……早く来ないかなー」






ーーー数十分後ーーー

内気娘「……」ジー

(アリの行列)

内気娘「……」ジー

内気娘(あ、ぶつかった)

内気娘「……」ジー







ーーーさらに数十分後ーーー

内気娘「……」キーコ...

内気娘「……」キーコ...

内気娘(……まだかな)

内気娘(いつもならとっくに来てるはず…)



ザッザッザッ



内気娘「!」カオアゲル

老婆「あらやっぱり」

内気娘「…?おばあちゃんどちら様ですか?」


115 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:32:48.59 ID:+70QDg8kO

老婆「ねぇあなた、近頃同じくらいの女の子と二人で遊んでたわよねぇ?」

内気娘「み、見てたんですか…?」

老婆「それは聞こえるわよ。あれだけ元気に遊んでるんだものねぇ」ホッホッ

老婆「…それでね、あの子なんだけどねぇ……あそこのおうち、毎年息子さんの家族が夏の間ここに帰って来るんだけど、今年は何でも急な仕事が入ったとかで、今朝早く戻っていっちゃったらしくて…」

内気娘「……え……」

老婆「住んでるおじいさんも、孫がすぐに帰っちゃったって嘆いてたわねぇ」

老婆「毎日遊んでたお友達が、今日もここで待ってるんじゃないかと思って来てみたんだけど…教えることが出来て良かったわ」

内気娘「……そう、ですか」

内気娘「ありがとうございます……気にかけてくれて…」

老婆「いーえ。遊んでるあの子、とても楽しそうだったからねぇ……きっとまた来年も会えるわよ」

内気娘「はい……」

老婆「それじゃ、おばちゃんはもう帰るけど、あなたも暑さには気を付なさいな」テクテク

内気娘「……」ペコリ

内気娘「……」

内気娘「………」

内気娘(………)

内気娘「……ぅ……」グスッ...



ーーーーー

幼眼鏡娘「──もっと元気に笑えばいいの!その方が案外楽しいよ?」

ーーーーー



内気娘「……!」グッ

内気娘(泣いちゃだめ……)

内気娘(あなたが教えてくれた、楽しく生きていくための秘訣)

内気娘「……」ホホムニムニ

内気娘「」ニィッ

内気娘(明るく笑うこと)

内気娘「……ありがとう」





内気娘「私のヒーローさん」ニコッ





=======




116 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:33:56.61 ID:+70QDg8kO
ーーーーーーー

元気娘「結局、あの後私が引っ越しちゃったから眼鏡娘ちゃんと会うことはなかったんだけどね」

元気娘「だから入学式の日の自己紹介でさ、眼鏡娘ちゃんを見たときは本当にびっくりしたんだよ?名前も知らなかったけど一目で分かったもん。あのときの子だ!って」

眼鏡娘「……気付かなかった、元気娘ちゃんがあの、内気娘ちゃんだったなんて……」

元気娘「今のパパの名字に変わっちゃったからね」

眼鏡娘「それもだけど……全然雰囲気違うから」

元気娘「えへへ……ヒーローさんのおかげです」

元気娘「……あなたは、昔の私を救ってくれた。今の私があるのはあなたのおかげ」

元気娘「──だから!今度は私が眼鏡娘ちゃんを助ける番なの!」

元気娘「また友達を置いてどっかに行くなんて、許さないんだからねっ」

眼鏡娘「………ふふっ」

眼鏡娘「本当に変わったね、元気娘ちゃんは。なんか小さい頃の私を見てるみたい」

元気娘「リスペクトしてますので!」

眼鏡娘(……ダメだなぁ、私)

眼鏡娘(こんなに真剣に私を見てくれる人がいるのに、自分しか見えてなかった)

眼鏡娘(逃げよう。それで生き延びて、必ずこの事態を解決しよう)

眼鏡娘「元気娘ちゃん、私もう一回目指してみようと思う」

元気娘「んー?」

眼鏡娘「ヒーロー。それで元気娘ちゃんをまた笑わせてあげる」ニコッ

元気娘「…!」パァァ

元気娘「うんっ!」

眼鏡娘「でも、どうしよ。まずはここから逃げ出さなきゃいけないよね…」

元気娘「ちっちっちっ」

元気娘「眼鏡娘ちゃん、私がなんの考えも無しにここまで来たんだと思ってる?」

眼鏡娘「へ?」

ゴソゴソ

元気娘「じゃーん!これなーんだ?」

眼鏡娘「ん…?……!私のスマホ…!」

元気娘「ピンポン!山の下で眼鏡娘ちゃん探そうとしたら見つけたの!」



117 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:34:42.13 ID:+70QDg8kO

元気娘「あと、上まで来るとき男の人に連れてきてもらったんだけど、眼鏡娘ちゃんを追ってるフリしてその人から山の警備状況を聞き出したのです」

元気娘「スマホのメモに全部書いておいたよ!東側にいるかもって撹乱したことも!」

眼鏡娘「元気娘ちゃん…!」

眼鏡娘「いつも頭の中楽しそうとか思っちゃっててごめん…出来る子だよ、あなたは!」

元気娘「今の後で問い質すリストに入れといたからねー…」

眼鏡娘「じゃ、これ見ながら行こっか!枝が結構痛いから顔は守りながら歩いてね」

元気娘「いやいや、私は行けないよ?」

眼鏡娘「……え」

元気娘「だってほら、この足だからね」

眼鏡娘「でも、じゃあ……」

元気娘「だーいじょうぶ!周りの人たちに紛れて私も下りるから!」

元気娘「そしたら自分のスマホ取りに帰って、眼鏡娘ちゃんにLINEするよ。誰もいないとこで集まって、この後どうするか決めていこ?」

眼鏡娘(そっか、元気娘ちゃんは別に狙われても何でもないもんね)

眼鏡娘「……分かった。気を付けてね、元気娘ちゃん」

元気娘「それは私の言葉だよ」

元気娘「さ、行って行って。見つからないように見張ってるうちに!」

眼鏡娘「…また後でね」

元気娘「また後で」ニッ



ガサガサ ガサッ

ガササ...


118 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:36:43.14 ID:+70QDg8kO

元気娘「……」

元気娘「……行った、よね」

元気娘「ふぅー、見つけられて良かった、本当に」

元気娘「やっぱりさっきの猫ちゃんの後追いかけて正解だった」

元気娘「でもなー、私が内気娘だってこと、もっと違う時に思い出して欲しかったなぁ」



ーーーーー

眼鏡娘「──私もう一回目指してみようと思う………ヒーロー」

ーーーーー



元気娘「……ま、いっか!」

元気娘「さてさて、私もそろそろ戻りますかね」ガサ



ガサガサガサ



元気娘「いたた……眼鏡娘ちゃんの言う通り枝がよく擦れる…………!!」

老人「……」

青年「……」

他数名「「「……」」」

元気娘「……お迎えに来てくれたんですか?ありがとうございますっ」

老人「………ふむ、遅かったか」





眼鏡娘「!」

眼鏡娘(今聞こえたの……あのおじいさんの声…)

眼鏡娘(……元気娘ちゃん……)

眼鏡娘「………」

(そっと引き返す)




119 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:38:02.85 ID:+70QDg8kO

元気娘「遅い、ですか…?それよりこの辺りにはいませんでしたよ。やっぱり東側の方に──」

老人「娘さんや、ままごとはもうよい」

老人「あの子をどこへやったんじゃ?」

元気娘「…ですから私もそれを探していて…」

老人「もうよいと言うとろうに」

老人「初めから怪しかったんじゃ。まともに階段を登れぬ身でなぜこの祭りに来る?下手な嘘をついてでも探し出したかったのじゃろう」

老人「あの子を逃がすために」

元気娘「……」

老人「さあ、言いなさい。あの子はどこへ向かったのかね?」

元気娘「……知りません」

元気娘「知ってても、あなたたちには教えない」キッ

老人「……仕方ないの」

老人「おい」

「おう」



眼鏡娘(……戻ってきちゃった)

眼鏡娘「」ソー...

眼鏡娘(…!)

眼鏡娘(なんで元気娘ちゃんが囲まれてる…!?)

眼鏡娘(それにあの男の人…パイプみたいなの持って、元気娘ちゃんの方に……)

眼鏡娘(何、するつもりなの……?)



「……」ザッザッ

元気娘「……」

「……女の居場所は?」

元気娘「…知りません」

ブォン!

元気娘「ぐぁっ…!」



眼鏡娘(!?)

眼鏡娘(思いっきり……!)


120 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:39:23.98 ID:+70QDg8kO

老人「痛いじゃろう?そうでなくともお前さんの身体はボロボロなんじゃ。無理はせぬ方がよい」

「俺に女を痛めつける趣味はないんだがなぁ」

元気娘「ぃ……」ウズクマリ

老人「もう一度訊くぞ?あの子をどこへやった?」

元気娘「………ない」

老人「ん?」

元気娘「死んでも、言わない……!」

老人「……」

老人「皆の衆、聞こえたな?」

老人「……望み通りにしてあげなさい」

ゾロゾロゾロ



眼鏡娘(いや…待って……やめて……!)



ブン!

元気娘「ぎゃっ!」

ドスッ!

元気娘「ぅぐ…」

ガン!

元気娘「!……」

ドカッ、ゴスッ、バキッ



眼鏡娘(やだ……元気娘ちゃん…!)

──助けなきゃ

眼鏡娘(でも私一人が行ったところで……)

──私は彼女のヒーローなんだよ?



ドゴッ、ガスッ



眼鏡娘(あ……あぁ……)

──なのにどうして、足が動かない

眼鏡娘(お願いです……どうか、助けて下さい…)

眼鏡娘(誰でもいい…!元気娘ちゃんを……!)

眼鏡娘「……っ」ギュッ(目を閉じしゃがみ込む)



.........




121 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:42:46.20 ID:+70QDg8kO
undefined
122 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:57:02.41 ID:+70QDg8kO
>>100が抜けてますね。なぜか1レスで投稿できないので、2つに分けて投下します。
以下、>>100です。



ーーー山頂 神社境内ーーー

老人「それでは、まだ見つかっていないのですかな?」

青年「はい。西側で目撃されてから総出で探しているんですけどね…もう山を離れたのではと言い出す人もいます」

老人「……藪の中に隠れているのやもしれません。もう少し丁寧に捜索するように伝えてもらえませぬか?」

青年「分かりました」

老人「すまんのう……わしがこんな老体でなければ共に探しに出るのじゃが…」

青年「いいんですよ。ここで情報のハブをしてくれるだけで十分助かってますから」

老人「そうかね」

老人「……あの子は必ず滅さねばならん」

青年「えぇ」





「おい!おーい!」トットットッ





123 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/28(水) 08:59:01.37 ID:+70QDg8kO
>>122の続きです。



老人「?」

青年「石階段の方から…?…ってあんた、その子はなんだ?まさか怪我でもさせたんじゃ…」

「そんなわけないだろうが。この子がな、下の方で右往左往してたから何してるのか訊いてみたら、なんと探してる子の同級生なんだと!」

老人「ほう」

「で、怪我してるらしくてな、居場所が分かるかもって言うからここまで連れてきたんだ」

青年「本当か!君、あの子はどこに居るんだい?」



元気娘「……」



元気娘「はい!実は私、眼鏡娘ちゃんと今日お祭りに行く約束をしてたんです。待ち合わせ場所は東側の麓なんですけど…」

元気娘「私と彼女、とっても仲良かったので、もしかしたら私を探してそっちに行っているのかなって」

青年「東側か。あまり人手を割いていなかったな」

青年「…よし、西側の人員を東側にも向かわせるよう伝えてくれ」

「おうよ!」タッタッ

青年「君も、わざわざご苦労様。そんな身体で疲れたろう。ここでおじいさんと居るといい」

元気娘「…いえ、私も行きます」

青年「申し出は有難いが、彼におぶってもらって来たくらいだ、段差登るのも難しいんだろう?」

元気娘「ちょっとふらつくだけで歩けはします!この辺りに隠れてるかもしれませんので、探してみます」

青年「そうかい?なら俺も付いていくよ」

元気娘「いえいえ!本当に近くを見て回るだけですから!私だけで平気ですよ!」

元気娘「見つけたら大声出して知らせられるくらいの距離にいますから!」

青年「……分かった。無理はしないようにね」

元気娘「はい!」

老人「……」






ここから>>101に続きます。
124 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/08/28(水) 09:03:21.97 ID:+70QDg8kO
>>109
確か宝貝とか出てくるお話でしたよね。
アニメが好きで見ていました。ナタクのキャラとか好きだった気がします。
125 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:32:14.62 ID:e5eS69OO0
ーーーーーーー

老人「……もうその辺でよいじゃろう」

「「「……」」」





元気娘「」





青年「…最後まで口を割りませんでしたね」

老人「とんだ時間の無駄をした。既にあの子はここを離れとるじゃろうが……山にいる全員に至急伝えておくれ。中腹付近から包囲網を作り、狭めていくようにと」

青年「分かりました」タッタッタッ...

老人「………」

元気娘「」

老人「若い大事な命を粗末にするとは、勿体ないことをするのう」

老人「…わしらも移動しよう。この娘さん、人手の薄い場所をあの子に教えているはずじゃ。そこを重点的に見張ってゆかねばならん」



ザッザッザッ...



.........





元気娘「」



...ガサ

タッタッタッ



眼鏡娘「元気娘ちゃん!」タッタッ


126 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:34:34.16 ID:e5eS69OO0

元気娘「」

眼鏡娘「あ……そんな……」

眼鏡娘(……息、してない………脈も……)

眼鏡娘「やだ…やだよ、元気娘ちゃん…!」

眼鏡娘(どうしよう、どうすればいい?)

眼鏡娘(心臓マッサージとか人工呼吸とかって効果あるのかな今から救急車呼べば助かるかもけど来た人たちもおかしくなってたら?)

眼鏡娘(どうしようどうしようどうしよう)

眼鏡娘「……っ……!………?………」

眼鏡娘(……あああ!)

眼鏡娘「どうすればいいのっ!!?」ダンッ!





「諦めなよ。その子はもう死んでる」





眼鏡娘「っ!」バッ

眼鏡娘「え……」

眼鏡娘「……男、くん?」

男?「……へぇ、君にはあの少年に見えるわけだ」テクテク

眼鏡娘「…?どういう意味…?」

男?「そのままだよ。君にとって僕は男くんなんだ」

眼鏡娘「………あなた、男くんじゃないわね」

男?「フッ」

眼鏡娘「誰なの?…いえ、この際あなたでもいい。この子を、元気娘ちゃんを助けてあげて…!」

男?「無駄だって。死んだ人間は生き返らない」

男?「でも悲しいなぁ。僕のこと忘れちゃった?僕はちゃんと覚えてるのに」

男「──君にもらった水の味」

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「!!」



ーーーーー

黒猫「」ペロペロ

ーーーーー



眼鏡娘「……黒猫さん」

男?「……」ニィ


127 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:39:32.03 ID:e5eS69OO0

眼鏡娘「……やっぱり、あなたの仕業だったんだ」

眼鏡娘「私の時間を戻したのも、世界をおかしくしたのも……元気娘ちゃんを痛めつけたのも!!」

男?「えー?人聞きの悪いことを言わないで欲しいなぁ」

男?「僕は君の手助けをしただけに過ぎないのにさ」

眼鏡娘「手助け…?」

男?「そう」

男?「嫌いなもの、重力」

眼鏡娘「っ」

男?「そんなどうしようもないものが嫌いだなんて、世の中生きにくいよね?だから、好きになってくれるようプレゼントをあげたんだ」

眼鏡娘「………"Gravities"」

男?「理解が早くて嬉しいよ。どうだった?我ながら素敵な贈り物だと思ってるんだけど喜んでもらえたかな?」

眼鏡娘「……ふざけないで……」

男「ん?」

眼鏡娘「ふざけないでよっ!」

眼鏡娘「喜べるわけないじゃない!私をこんな異常な世界に閉じ込めておいて!苦しめて!何よりあなたは、私の大事な友達を…殺した!!」

男?「…君はとことんわがままだね」

男?「言ったじゃないか、僕は手助けをしただけだって。この状況はみんなみーんな、君が望んだ結果だろう?」


128 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:41:03.19 ID:e5eS69OO0

男?「過去をやり直したいと願ったのも」



ーーーーー

眼鏡娘「──もう一度やり直せたらなぁ」

ーーーーー



男?「この世界から隔絶されたいと願ったのも」



ーーーーー

眼鏡娘「──こんな世界から私が浮きたい気分」

ーーーーー



男?「君がそう望んだから、僕は聞き届けてあげたんだよ」

男?「僕のおかげで、あの少年と恋仲になれたじゃない。…余計な邪魔に阻まれずにね」

眼鏡娘「……余計な?それ、元気娘ちゃんのこと…?」

眼鏡娘「……」ギリッ

眼鏡娘「元気娘ちゃんは余計でも邪魔でもない!私が元気娘ちゃんを突き放してたのだって、あの碌でもないアプリのせい!」

眼鏡娘「そもそも私は時間を戻して欲しいなんて頼んでないのに、あなたが勝手にしたことじゃない!」

眼鏡娘「余計なことしたのはあなた!元気娘ちゃんを返してよ!!」

男?「………」

男?「……あのさ、いい加減にしたらどうだい」

男?「君はいつまで他人任せにすれば気が済むのかな」

男?「いつもそうだよね。自分から動こうとしない。それでいて都合のいい結果だけは望むんだ」

男?「だから想い人をとられる。だから……」



元気娘「」



男?「…この子を見殺しにする」

眼鏡娘「……っ」


129 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:44:41.90 ID:e5eS69OO0

男?「かわいそうにね、せっかく重い身体を引きずって友達を助けに来たのに、その友達は助けてくれないなんてさ」

男?「僕が君の元まで案内してあげたのに」

眼鏡娘「……あなたが連れてきたの?」

男?「この辺を彷徨ってたから目印になってあげたんだよ。ここまで来たのはあくまでこの子の意思」

男?「……痛かった…苦しかっただろうね。殴打され続けて息絶えるなんて」

男?「それでも絶対に君を売らなかった」

男?「なのにさ」ジッ...

眼鏡娘「ちがっ……だって、私がどうこう出来る状況じゃなくて……」

男?「君はこの子のヒーロー?なんだろう?それっていざとなったら見捨てるような人でもなれるものなんだねぇ」

男?「それに助ける手段ならいくらでもあるじゃないか。それこそ君があの場に出て行ってこの子と代わってあげればよかった」

男?「人間はそういう自己犠牲が好きなんじゃないのかい?」

眼鏡娘「………約束、したんだもの……」

眼鏡娘「一緒に逃げようって……」

眼鏡娘「私だって元気娘ちゃんを助けようとしたっ!」

眼鏡娘「……でも、身体が動かなかった……見てることも出来なくて……そのまま……」ツー...

眼鏡娘「……ぅ……グスッ……」ポロ..ポロ..

男?「…つまり、見捨てたわけだ」

眼鏡娘「違うもん…!元気娘ちゃんは私の大切な人で……見捨てるつもりなんかこれっぽっちも……」ポロポロ

男?「違わないさ。君はこの子がくれた逃げるチャンスもふいにしてのこのこ戻ってきた挙句、ただ居るだけで何もしなかった」

男?「君が殺したんだよ」

眼鏡娘「……私じゃない……私、じゃないもん……」ポロポロ

眼鏡娘(──ううん、本当は分かってる)

眼鏡娘「……ぅ……ぁ……」ポロポロ

眼鏡娘(こうなったのは全部、私の弱さのせいだって)

眼鏡娘「うぁあああぁ……!」ポロポロ

元気娘「」

眼鏡娘「ごめん……ごめんね……」ポロポロ

眼鏡娘「こんな私でごめんねぇ……!」ポロポロ...


130 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:46:51.18 ID:e5eS69OO0

眼鏡娘(あなたにヒーローなんて言われる資格はない)

眼鏡娘(誰も不幸にしないどころか取り返しのつかないところまで来てしまった)

眼鏡娘(私が壊しちゃったんだ。何もかも……)

眼鏡娘「…………もう………いや…………」

男?「………」

男?「──何も起きなかったことに出来たら」

眼鏡娘「………ぇ?」

男?「………」

眼鏡娘「今、なんて……」

男?「……ヒントをあげるよ」





男?「嫌いなものは何ですか?」





眼鏡娘「……それは、どういう──」フリカエリ

眼鏡娘(……いない……)


131 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/29(木) 21:51:13.73 ID:e5eS69OO0

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「嫌いなもの……」

眼鏡娘「……重力」

眼鏡娘(………本当に……?)

眼鏡娘(私が重力を嫌いになったのはいつからだっけ…)

眼鏡娘「……」

眼鏡娘(そう……内気娘ちゃんと遊んだ時よりは間違いなく後)

眼鏡娘(小さい頃は誰とでも仲良くなれた。今よりずっと積極的な子だった)

眼鏡娘(それが、いつしか少しずつ……思うようにならないことが増えていって、世の中が窮屈だと感じるようになって……)

眼鏡娘(……まとわり付く重力のせいだと思って……)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「………私は………」





「なるほどのう、まさかとは思うたが」





眼鏡娘「っ!」



ザッザッザッ



老人「犯人が現場に戻るように、お嬢ちゃんも戻ってきたわけじゃな」

青年「……」


132 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/08/29(木) 21:53:55.38 ID:e5eS69OO0
次回の投稿で完結する予定です。

次の月曜日までには投下出来ると思います。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/29(木) 21:54:45.80 ID:hhEEKgvP0
乙です
待ってます
134 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:17:30.20 ID:N7AwUAt80

眼鏡娘「………」

眼鏡娘(………)

眼鏡娘「……人殺し」

眼鏡娘「犯人はあなたたちの方でしょ。こんなこと……同じ人間とは思えない」

老人「ほっほっ。元を辿れば、お嬢ちゃんが逃げ回ったりせずにおればここまで大事にはならなかったのじゃよ?」

眼鏡娘「私が何をしたの!?女の子一人追い回して寄ってたかって殺そうとしてるんだよっ!おかしいと思わないのっ!?」

老人「おかしいのはお嬢ちゃんの存在じゃと、初めから言うておろうに。みなそう思っておるから、こうしてお嬢ちゃんを探しているのではないか」

眼鏡娘(だめ…もう常識は通じない)

眼鏡娘(あのアプリの影響が消えることは期待出来ない……)

青年「…おじいさん、そろそろ」

老人「そうじゃな」

青年「眼鏡娘さんだったかな。君を今すぐどうこうはしない」

青年「まずは山の下に連れて行く。それからなるべく大勢の観衆の前で」

青年「──死んでもらう」

青年「その方が皆納得出来るだろうからね」

青年「ただ…暴れたりおかしな真似をしたりすれば、どうなるかは分からないけど」

眼鏡娘「………」

眼鏡娘(……諦めない)



ーーーーー

男?「──何も起きなかったことに出来たら」

ーーーーー



眼鏡娘(あの言葉の意味はきっと)


135 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:19:08.81 ID:N7AwUAt80

青年「さ、こっちに来て」

眼鏡娘「………」

青年「……はぁ、仕方ない」

青年「抵抗するなよ?」...ザッザッ

眼鏡娘「……っ」

眼鏡娘(逃げるしかない)

眼鏡娘(後ろは林…ここに登ってくるまでも道無き道だったけど、考えてる暇なんかない)

ザッザッザッ

青年「……」スッ(手を伸ばす)

眼鏡娘(…!今っ──)





──タッタッタッ!





「触るんじゃねぇ!」バッ

青年「!?」

ドンッ!

青年「うわっ!」ドサッ

老人「なんじゃお主…!」

眼鏡娘「男くん!?」

男「無事か!眼鏡娘!?」

眼鏡娘「う、うん…今度は本物…?」

男「本物?何言ってるっ!いいから走るぞ!」ガシッ

眼鏡娘「わっ…!」グラ...

...タッタッタッ

眼鏡娘「あ、でもっ、元気娘ちゃんが…!」タッタッ

男「分かってる!けど走れ!お前だけは絶対に助けたいんだ!!」タッタッ

眼鏡娘「──!」タッタッ

青年「くそっ……逃げられると思うな…!」

青年「みんな!!来てくれ!!神社裏手からの道だ!!」



タッタッタッ...




136 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:20:03.78 ID:N7AwUAt80
ーーーーーーー

眼鏡娘「はぁ、はぁ……」タッタッ

男「く……どんどん人が増えてるな…」タッタッ

眼鏡娘「はぁ…はぁ……」タッタッ

眼鏡娘「あっ…」ヨロ...

男「眼鏡娘っ」

トサッ(受け止める)

眼鏡娘「ご、ごめん、走りにくくて……」

男「いや、悪い。そんな格好なのに無理に引っ張ってきちゃったな」

眼鏡娘「ううん、ありがとう。助けてくれて」

眼鏡娘「…でもどうして…?」

男「決まってるじゃん」

男「俺は眼鏡娘のヒーローなんだろ?」ニカッ

眼鏡娘(ぁ……)

眼鏡娘「そ、そうじゃなくて、私が言いたいのは……」

眼鏡娘「……私のこと、何とも思わないの?」

男「眼鏡娘を?……あぁ確かに今日起きたら変だったかな」

男「お前のこと考えるだけで尋常じゃない違和感とか、不快感…っていうのか?そんなのを感じた気がする」

眼鏡娘「……」

眼鏡娘(やっぱり……)

男「だけど、そんなわけないんだよ。俺が眼鏡娘を嫌いになるわけがない」

男「だから思ったんだ。眼鏡娘の言ってたあの話に何か関係してるんじゃないかってな」

男「で、今日の祭りがてら何かあったのか訊こうと待ってたら……いつの間にかこんなことになっててさ」

男「周りの連中なんかよりよっぽど、眼鏡娘のこと探したよ」ハハ


137 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:21:20.86 ID:N7AwUAt80

眼鏡娘(……男くんは……)

眼鏡娘「なんでそこまで出来るの…?こんな…私なんかのために……」

男「そりゃ好きな相手だからな」

男「大切な人だから。失くしたくない。まして何も分からんままただ周りに流されてお前を嫌いになるなんて、ごめんだ」

眼鏡娘「!……」フイッ

男「どうしたん?…また泣きそうにでもなってるのかぁ?」ニヤ

眼鏡娘「…ち、がうし……」

眼鏡娘「男くんがあんまりにも格好付けてるから見てられないの」

男「え、そらないよ!」

男「…なんてな。照れ隠し下手だよなー眼鏡娘って」ワシャワシャ

眼鏡娘「あ、髪っ」

眼鏡娘(……強いな。男くんも、元気娘ちゃんも)

眼鏡娘(ヒーローだなんて、この二人にこそぴったり)

眼鏡娘(……多分、昔の私にもそうと言える時期があった)

眼鏡娘(今の私に無くて、彼等にはあるもの……きっとそれこそ……)

男「ぶっちゃけると今だってお前への違和感が消えたわけじゃない」

男「だけどな、こうして一緒にいると思い出させてくれるんだ。俺が何をすべきなのか──」



「いた!あそこだ!」



男「ちっ…前からも…!」

男「……しょうがない。眼鏡娘、こっちだ!」ザリッ

眼鏡娘「うん…!」ザッ

男「細い道だ、足元気を付けてな」サササ

眼鏡娘「今日一日で慣れっこになっちゃったかも」ササ

ザッザッザッ...





かすれた立札『危険!入るな!この先崖!!』




138 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:23:49.41 ID:N7AwUAt80
ーーーーーーー

眼鏡娘「……」ザッザッ

男「……」ザッザッ

眼鏡娘(…握られた手が温かい)

男「……」ザッザッ

眼鏡娘(前を進んでいくあなたが、こんなにも力強い)

眼鏡娘(あの頃、内気娘ちゃんにとっての私も、こんな風に見えてたのかな)

眼鏡娘「……ねぇ男くん、私たちどこに向かってるの?」

男「どこだろうな」

眼鏡娘「えぇ……」

眼鏡娘「どんどん道が荒れてきてる…」

男「そうは言っても、とにかく奴らを振り切らないと──って…!?」ピタッ

眼鏡娘「?どうしたの……」

眼鏡娘(──っ)



(小高い崖)



男「……まじかよ……」

眼鏡娘「……どうしよう……引き返す…?」

男「追ってきてるだろうから無理だ」

眼鏡娘「なら崖沿いに進む…」

男「……それしかないか。適当な所でまた山道の方に戻らないと」

男「左に行こう。こっちのがまだ足場がある」

眼鏡娘「分かった」

男「手、絶対離すなよ」

眼鏡娘「うん」



──ガサ



「……」

男・眼鏡娘「「!」」

眼鏡娘(人が……)

男「…右から行くしかないっ」



「……」ザッ...



眼鏡娘「こっちにも……!」

男「このっ…」


139 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:25:03.92 ID:N7AwUAt80



ザッザッザッ



老人「もう鬼ごっこはしまいじゃ、お嬢ちゃん方」

青年「…もっと潔い子だと思ってたよ」

他数名「「「……」」」

男「……最悪だ……」

眼鏡娘「……」

老人「それには同意見じゃ、若造よ」

老人「ここまで楽しくない鬼ごっこは生まれてこの方初めてじゃな」

男「……だったら打ち切ったらどうだ?」

老人「無論終幕じゃよ」

老人「お嬢ちゃんの死を以っての」

眼鏡娘「っ……」

老人「お前さんも分かっておるだろう。その子がどんなに"浮いた"存在であるかを」

男「……それがどうした」

男「俺はお前らみたいな赤の他人じゃないからさ」

男「彼氏なんだぜ。羨ましいだろ」

男「格好の一つや二つ付けさせてもらわないとな」

男(くっ……どこか突破出来そうな箇所はないか…!?)

青年「格好なら既に十分付いてるさ。恋人のピンチに颯爽と現れた――まるでヒーローのようにね。それで満足したろ?」

男「その節はどうも、やられ役さん」

青年「このガキ……」

男(向こうは…ダメだ。あのじいさんの横からなら…いや、奥にまだ控えてる)

「……あのよ、こいつらこのまま突き落としちまえばいいんじゃねーの」

老人「それはよろしくない。万が一にも生き延びられたら面倒じゃ」

男(なにかないか…!切り抜ける道……!)


140 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:27:02.28 ID:N7AwUAt80

老人「……若造、交換条件といこうか」

男「……」

老人「その子を引き渡すのなら、お前さんの無事は保証しよう」

男「…眼鏡娘に加担したやつは殺されるってか?いかれた宗教団体みたいだな」

老人「よく考えてみなさい。わし一人がその子を異常に感じ、消そうとしておるならおかしいのはわしの方じゃ」

老人「だがどうじゃ?これほど多くの人間が同じように思っておる。お嬢ちゃんのことはもうこの町一帯に広まっとるじゃろうな」

老人「…もしかすると、今や国中、世界中やもしれぬ」

老人「であるなら、もはやそれが普通じゃろう。おかしいのは──」

老人「──その子の方じゃよ」

男「………」

男「……そうかもな」

眼鏡娘「………」

眼鏡娘(男、くん……)

老人「ようやく理解したかの?……その子をこちらに連れて来なさい」

男「………あぁ」





男「お断りだね」





眼鏡娘「─!」

男「国が、世界がこいつをはぶろうとしてるって?どんだけ大掛かりないじめだよ」

男「全員正しいと思ってるからそうするのが普通……ま、その意見にゃ納得できる。民主主義ってやつだよな?この前習ったぜ」

男「けど悪いな。俺はこいつに生きてて欲しいからさ、お前らの言う普通には賛同できないんだわ」

男「俺には俺のしたいことがある!お前らみたいに何も考えもしないで周囲と同調するだけの人間になれなんざ、願い下げだね!」

眼鏡娘(……──!!)



ーーーーー

男「──何も分からんままただ周りに流されてお前を嫌いになるなんて、ごめんだ」

ーーーーー



眼鏡娘(………そうだったんだ)

眼鏡娘(やっと……はっきり分かった)



ーーーーー

男?「──いつもそうだよね。自分から動こうとしない」

ーーーーー



眼鏡娘(私は重力が嫌い)

眼鏡娘(……だったわけじゃなくて、ほんとはずっと──)


141 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:28:32.65 ID:N7AwUAt80

老人「……ふむ」

老人「では、どうする?」

老人「お前さんたちの手でわしらを蹴散らすか?」

老人「それとも……そこから飛び降りでもするかな?」

男「……眼鏡娘」ボソッ

男「俺がじいさんの方に突っ込んでいって、そのまま道を開ける」ヒソヒソ

男「多少もつれ合いになるだろうけど、全力で逃げてくれ。いいな?」ヒソヒソ

眼鏡娘「……」

...ギュ





眼鏡娘「跳ぼう、男くん」





男「……え?」

眼鏡娘「……」ジッ

男「跳ぶって……この崖をか…!?」ヒソヒソ

眼鏡娘「」コクッ

男「いくらなんでもそれは……」ヒソヒソ

眼鏡娘「私を信じて」



ーーーーー

男?「──ヒントをあげるよ」

ーーーーー



眼鏡娘(もしこうなることを分かっていた上でそう言ったのだとしたら)

眼鏡娘(私はここで……!)

男「……よし」

クルッ

眼鏡娘「!」クルリ

老人「……む?」

男「あんな突拍子もない話も信じちまったからな。とことん付き合うよ、眼鏡娘」

眼鏡娘「…本当、大好き」


142 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:30:47.64 ID:N7AwUAt80

青年「!まずい、あいつら本当に飛び降りるつもりだ!」

青年「みんな!取り押さえろ!!」ダッ



ドドドドドッ!



男「眼鏡娘!」

眼鏡娘「男くん!」

男・眼鏡娘「せーのっ!!」



バッ!



男「〜〜!」

男(落ちる…!)

眼鏡娘「……っ」





──フワッ





男「浮いた…!?」

眼鏡娘「」フワリ

眼鏡娘(あ、眼鏡が)グラッ...

スル...

眼鏡娘「…落ちちゃった」



青年「え…!?あれ、浮かんでるのか!?」

老人「なんという…!あの子は魔女の類だったんじゃ!」

老人「皆!何か投げつけて撃ち落とせ!石でも何でもよい!」

ブンッ、ヒュッ!



眼鏡娘「!…しつこい人たち…」

眼鏡娘「男くん、ここから離れよう!」

男「あ、あぁ!」



ススス...




143 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:31:47.47 ID:N7AwUAt80
ーーーーーーー



フワフワ



眼鏡娘「……ここまで来れば、もう見えないかな」

男「声も聞こえないしな」

男「…しっかし、俺、空飛んでるのか…?」

眼鏡娘「飛ぶというより、浮くって感じだけどね」

男「自分の身一つで空を……人類の夢一足先に叶えちゃったんだな…」

男「これ、眼鏡娘がやったのか?」

眼鏡娘「んー……分かんないけど、多分違う」

眼鏡娘(きっとあのお節介な黒猫)

男「ほー…でもすごいなこれ!」

クルクル、スイー

男「はは、今ならどこへでも飛んでいけそうだよ!」

眼鏡娘「また子供みたいにはしゃいでる」クスッ

男「はしゃぐなって方が無理だろ!こんなの!」

男「…っと、言い忘れてたけどさ」

男「その浴衣、似合ってるよ。眼鏡も無いと、いつもよりこう……色気があるというか……」

男「少しはだけてるし…」

眼鏡娘「」バッ

眼鏡娘「……そんなこと考えながら一緒に逃げてたの?」ジトー

男「しょうがないんだって……彼女のそんな格好…男の性(サガ)ってやつだ」

眼鏡娘「もう…やらしいんだ」フフッ

男「……けどなー、せっかく浴衣の眼鏡娘と祭り回れると思ったのに、結局ひたすら走っただけだったな」

男「祭りらしいことなんて、何一つ出来なかった……」



ヒュルルルルルルル

ドーン!



男・眼鏡娘「「!」」

眼鏡娘「花火?」

男「みたいだな。あんなことになっても上がるものなのか…」

ヒュルル...ヒュルルル

ドドーン!

眼鏡娘「……お祭りらしいこと、出来たね」ニコッ

男「……そうな」ハハ

男(…!)

眼鏡娘「……」ハナビミアゲ

男(…花火をバックに浮かぶ眼鏡娘の姿は、どんな一流の画家でも描けないだろうってくらい、絵になっていた)


144 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:33:28.46 ID:N7AwUAt80

男「……眼鏡娘」

眼鏡娘「?」

男「その、助け出すの遅くなってごめん」

眼鏡娘「え?なんで?今こうやって無事でいるんだから、それだけで──」

男「元気娘さん」

眼鏡娘「─っ」

男「…もう少し俺が早く見つけられれば、あの子も助けられたかもしれない…」

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「男くんが責任を感じることじゃないよ。あれは…私が弱かったから起きちゃったこと……」

眼鏡娘(だからもう、あの自分とはお別れ)

眼鏡娘「………男くん、私ね」

眼鏡娘「──帰ろうと思うの」

男「危険じゃないのか…?眼鏡娘の家はとっくにあいつらの仲間が」

眼鏡娘「」フルフル

男「…違う?なら……」

男「!……まさか」

眼鏡娘「……」

男「……前言ってた、"ひと月前の日"……にか?」

眼鏡娘「……そう」

男「おいおい……でもどうやって?」

男「引き出しの中にタイムマシンでもあるとか?」

眼鏡娘「どうしても私をドラえもんにしたいの?」

眼鏡娘「やり方は多分、分かってる」

眼鏡娘「……」ガサゴソ

スッスッ



[送信済みメール]
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Q. 嫌いなものは何ですか?
重力。

━━━━━━━━━━━━━━━



眼鏡娘(……やっぱり残ってた)



ーーーーー

男?「──嫌いなものは何ですか?」

ーーーーー


145 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:34:43.36 ID:N7AwUAt80

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「男くんは私に戻って欲しくないの?」

男「まあ…」

男「普通に考えて、好きな人が居なくなるなんて嫌だろ…」

眼鏡娘「居なくはならない。またすぐ会えるよ」

男「戻った先で、だよな?その時の俺は眼鏡娘のことを好きになる前の俺じゃんか」

男「あんなに眼鏡娘のかわいいところ知ってる俺が、無かったことになるなんてさー……」

眼鏡娘「……また、好きにさせてみせる」

眼鏡娘「男くんのこと、惚れさせてあげる。今度は私だけの力で!」

眼鏡娘「だから、無かったことになんかならないもん」

男「………」

男「そうかい」フッ

男「……あ、戻ったらさ、教室で寝てる俺のワイシャツ、よーく見てみ」

男「あんとき、ボタン掛け違えてるから」クスッ

眼鏡娘「そうだったの?…からかってやろー」

男「んなことしたら、後日いじり返すからな?そういう性格だから、俺」フフン

眼鏡娘「ふふっ、知ってる」

眼鏡娘「……さて、と」スッ



『このメールを編集しますか?』



眼鏡娘「……」スッ、スッスッススッ

スッ...



『送信しました』



眼鏡娘(……これで……)


146 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:36:11.95 ID:N7AwUAt80

男「……なぁ」

眼鏡娘「ん?どうし──んむっ」

眼鏡娘(!?!?)

男「………むぁ」

男「ふぅ…これ、いい雰囲気って言えるんかな」

眼鏡娘「」ポカン

眼鏡娘「…!」

眼鏡娘「な、ななな…今にゃにを……!?」

男「何って、キスだけど」

眼鏡娘「〜〜っ!!」

眼鏡娘「は…初めてだったんだよ…!?」

男「やりぃ。俺も初めて」ニッ

男「だってよー、癪なんだよなぁ。眼鏡娘と両想いになったのは俺なのに、戻ったらどことも知れない奴が彼氏になるんだろ?」

男「……それが"俺"だとしてもさ」

男「つーわけで、こんくらい報われてもいいよね?」

眼鏡娘「……バカ」

眼鏡娘「バカバカ!ずるいよっ!こんな時にぃ…!」

男「へへっ、柔らかかったなー、唇」

眼鏡娘「言わなくていい!//」

眼鏡娘(ほんっとに!男くんは…!)

男「……ありがとうな」

眼鏡娘「なに??勝手にしといてお礼言うの???」

男「いや」

男「──俺を好きになってくれて」

眼鏡娘「!……」

男「……」

眼鏡娘「……」

男「…前の俺に、よろしく」

眼鏡娘「…うん」



グワン



眼鏡娘(!世界がぼやけてきた…)

眼鏡娘「…私の方こそありがとう」

眼鏡娘「好きになった相手が男くんだったから、すっごく楽しかったし、私が見ないようにしてた自分の嫌いな──」

眼鏡娘(だめ……もう意識が………)



グニャリ...



.........




147 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:37:49.19 ID:N7AwUAt80
ーーーーーーー



──ポトッ



眼鏡娘「…………!」

眼鏡娘(学校……戻って、来た…?)

眼鏡娘(……消しゴム)

眼鏡娘「……」ヒロイアゲ

眼鏡娘(………)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「……」チラッ



男「」スースー...



眼鏡娘(…同じだ)

眼鏡娘(ということは)

ピロリン

眼鏡娘「……」

スッ、スッ



☆元気娘☆『ごめん!先帰ってて!まだ委員の仕事長引きそう_(:3 」∠ )_』



眼鏡娘「………」

眼鏡娘「」スッスッ



眼鏡★娘『ううん、待ってるよー。今日元気娘ちゃんと帰りたいから』

☆元気娘☆『!!!(゚ロ゚屮)屮』



眼鏡娘「……ふふ」


148 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:39:02.35 ID:N7AwUAt80

男「……んぁ…」パチッ

男「やば、寝てた…ってこんな時間か」

眼鏡娘「おはよう、男くん」

男「眼鏡娘さん…?…おはよう」

眼鏡娘「……シャツのボタン、掛け違えてるよ?」

男「えっ……ほんとだ!?」

眼鏡娘「クスッ、意外と抜けてるとこあるんだね、男くんて」

男「い、いや今日は偶々だから…!」イソイソ

眼鏡娘「朝からずっとその状態だったのに?いつ気付くかなーって見てたけど、最後まで気付かないんだもの」フフッ

男「教えてくれよー……」

男「…眼鏡娘さんは意外といじわるなんだ?」

眼鏡娘「そんなことないよ?ボタン掛け違える誰かさんと比べたら」

男「………」

男「」ニヤ

男「あー、明日が楽しみになったなーこれは」

男「ね、眼鏡娘さん??」

眼鏡娘「…そうかもね?」

男「………ははっ」

男「俺はもう帰るんだけどさ、眼鏡娘さんはどうするの?」

眼鏡娘「私は友達を待ってるから、まだ残るよ」

男「ほぉ」

男「……じゃやっぱ明日だな」ボソ

男「明日さ!昼、一緒に食べような!席そっちに持ってくから!」

男「んじゃ、またなー」



ガララ



眼鏡娘「うん、また明日ー」

眼鏡娘(……何されちゃうんだろうなー私)ワクワク

眼鏡娘「……」

眼鏡娘(なんか…男くんにいじられるの、癖になっちゃってるかも…)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「……元気娘ちゃん、後何分で終わるんだろ」



.........




149 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:41:04.32 ID:N7AwUAt80
ーーーーーーー



ガラッ!



元気娘「あ、ほんとにいた!」

元気娘「待っててくれてありがとー、眼鏡娘ちゃん!」テテテッ

眼鏡娘「あ……」

眼鏡娘(元気娘、ちゃん)

元気娘「でも2時間くらい待たせちゃったよね…面目ない」

眼鏡娘「……」スッ

ペタペタ(手を触る)

元気娘「へ、なになに?」

眼鏡娘「……ちゃんとあったかい」

元気娘「それは、血が通ってますからなー。…眼鏡娘ちゃんって冷え性だったっけ?」

眼鏡娘「そうでもないけど……冬、背中に手入れて確かめさせてもらっていい?」

元気娘「…!?いいって言うと思うのかな!?ビクッてなるやつだよね、それ!」

眼鏡娘(この子が私と友達でいてくれるのは)



ーーーーー

幼眼鏡娘「──じゃあわたしが友達になってあげるよ!」

ーーーーー



眼鏡娘(私がこの子と友達になったから)



ーーーーー

元気娘「──ずっと友達でいようねっ」

ーーーーー



眼鏡娘(だからこうして、私と一緒に居てくれるんだね)

眼鏡娘「……ね、元気娘ちゃん」

元気娘「んー?」

眼鏡娘「……」





眼鏡娘「私、男くんのこと好きなんだ」




150 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:44:00.18 ID:N7AwUAt80

元気娘「!」

元気娘「…そ、そーなんだ」

元気娘「いいじゃん!応援するよ、私!」

眼鏡娘「はいダウト」

元気娘「ふぇ?」

眼鏡娘「だって、元気娘ちゃんも同じでしょ?」

眼鏡娘「男くんを好きなの」

元気娘「……そんなこと……」

眼鏡娘「いいの!私元気娘ちゃんに譲って欲しくて白状したんじゃないから!」

眼鏡娘「……これからはライバル同士だよ、元気娘ちゃん」

元気娘「でも、私、眼鏡娘ちゃんが好きならそれで──」

眼鏡娘「だーめ!遠慮とかしたら怒るからね」

眼鏡娘「私たち、ライバル同士で──」

眼鏡娘「──友達同士なんだから」ニコッ

元気娘「……!」

元気娘「…負けないよ?眼鏡娘ちゃん」

眼鏡娘「私だって」

眼鏡娘(そう、これでいいの)

眼鏡娘(何も出来ない、しようとしない私は置いてきた)

元気娘「…ん!じゃあさ!ライバルになった記念でどっか遊びに行こ!」

眼鏡娘「今から?もう結構な時間だけど…」

元気娘「今日はもう帰るよ!だから明日の放課後!」...テクテク

眼鏡娘「それならいいかな、空いてるし」テクテク

元気娘「この辺りに最近出来たっていう話題のカフェがあるんだけど、そこのパフェ食べながら決起集会しましょー!」

眼鏡娘「あ、ごめん。私その前に明日のお昼男くんと食べる約束しちゃった」

元気娘「えぇ!?早速抜け駆けされたっ!?」

眼鏡娘「一応弁解させてもらうけど、誘ったのは向こうだからね?これはセーフ」

元気娘「なにが!アウトだよー!裏で密かに仲良くなろうと──」

眼鏡娘「そんなこと言って、同じように誘われたら元気娘ちゃんも──」

ワイワイ...



ガララ ピシャリ



.........




151 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/01(日) 15:45:02.07 ID:N7AwUAt80





[送信済みメール]
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Q. 嫌いなものは何ですか?
重力に逆らえない自分。

━━━━━━━━━━━━━━━





ー終わりー
152 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/01(日) 15:47:50.22 ID:N7AwUAt80
これにて完結となります。

参考にしたのは「アンチグラビティーズ」という歌です。オリジナル展開の方が多めですが…。

読んで下さった方ありがとうございました。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 09:27:37.80 ID:+HBLTQz50
完結していたか乙
1から読み直すとするか
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 11:11:48.85 ID:bY8UF1hHO
誰かが書いてたけど確かにフジリューの短編の匂いがするねサイコ+だったかな
面白かったよまたss書くときは告知とかあるのかな?
155 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/02(月) 12:21:42.96 ID:cM82+KfeO
>>154
下手の横好きで書いているもので、嬉しいですけど何だか畏れ多いですね…。

告知の仕方とかは分かりませんが、次回作はもう構想が出来てます。

少女「お兄、すき」男「そうか」

というタイトルで、多分今週末か来週頭には投稿を始めると思います。
よければ是非。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 13:57:45.43 ID:e+b0XnCDO
乙でした。面白かったです
途中まではどうなるかと思ったけど、良い感じに終わって良かったです
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 16:58:54.52 ID:bY8UF1hHO
ただ重力世界?のほうの彼氏はあの後に老人達に捕まって撲殺されたのかなと考えると悲しいな
158 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/02(月) 18:21:46.89 ID:cM82+KfeO
>>157
タイムリープものの永遠の課題ですよね。
残された未来がどうなるのか。

自分としては、その未来は無くなってしまうんじゃないかと思ってます。本来いるべき人間が過去に戻って消えたまま時間が進むと歪みが生じそうな気がしちゃうわけですね。

もし未来が消えなかったとして、眼鏡娘が居なくなったことで老人達も正気に戻るので、男くんが撲殺されることはないと妄想しています。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 01:23:58.47 ID:aTFvn346O
>>158
正気に戻る世界として男は空に浮いてるんだよなそれが少女が消えて解除されたら…
160 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/03(火) 07:47:08.65 ID:ldV4fivBO
>>159
大丈夫です。
空中浮遊は黒猫のおかげですから、悲惨な事件は起こりません笑
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/24(火) 18:34:17.64 ID:88NIZHQSO
おつおつ
よかった
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