【荒野のコトブキ飛行隊】荒野の燕

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66 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:35:31.42 ID:2cqef2pX0



報酬を受け取り商会から駐機場までの帰り、予想外に少なかった報酬に肩を落とす。
なかなかに高額な薄殻榴弾。そして燃料、整備、生活費等々必要な費用を考えるとギリギリ黒字と言ったところかとため息を吐く。
すると唐突に揃いの下品な柄のスーツを着た4人組の男達から声を掛けられた。
「姉ちゃん、良い腕だったな。」
金髪オールバックの恰幅の良い男が近づいてくる。
「だけどなぁ、誰の許可を得てうちのシマで勝手に商売してんだ?」
黒髪の長身の男が凄みを効かせながら言い放つ。
67 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:37:26.11 ID:2cqef2pX0
「・・・商会からの依頼で・・・」
「んなこたぁ関係ねぇんだよ!商会以前にうちの組に話を通したのか!?って聞いてんだ!」
坊主頭の太った男に肩口を掴まれ近くの建物の壁に押し付けられる。
「この町では戦闘機を使った護衛任務は基本うちの組が請け負うことになってるんだよねぇ。勝手に仕事持ってかれると困っちゃうわけ。」
3人を割るように目元まで届く赤髪をセンターで分けたがっしりした男がねっとりした喋りで近づいてくる。
68 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:41:06.98 ID:2cqef2pX0
「ま、今回の件は君もこの町のルールを知らなかったみたいだしね。見逃してあげるから報酬を全部おいて大人しく帰りなさい。」
「おう、頭が寛大な処置をしてくださってんだ。有り金置いてとっとと消えろ。」
肩のカバンを下ろし報酬を取り出そうとした瞬間肩口を掴んでいた坊主頭の手の力が緩んだ。
それを見逃すことなく赤髪のリーダー格の男の股間を思いっきり蹴り上げ、身を翻すように肩口を掴んでいる手を振りほどき素早く4人組から抜け出し全力疾走で逃げる。
「おい!逃がすな!追え!」
金髪が声を荒げながら走り出す。
「テメェ、よくも頭を!待ちやがれ!」
次いで黒髪が恐ろしい勢いで走り出す。
69 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:44:05.05 ID:2cqef2pX0
まずいと感じ足に力を込めさらに速度を増す。
が、ぐんぐんと距離を詰められ建物4つか5つ分と言ったところで襟首を掴まれ引き倒される。
続々と金髪と坊主の2人が追いつき最後に腰をトントンと叩きながら赤髪が息を荒げ目を血走らせながら近づいてきた。
「手間ぁとらせやがって。おい!そこの倉庫に連れてけ!」
先ほどまでのねっとりとした口調とは打って変わって乱暴な口調で3人に指示をする。
「・・・くそ!誰か!誰か!」
周りの住民に助けを求めるが皆目を逸らして関わり合いになろうとしない。
声を張り助けを求めるが無情にも口元をふさがれそのまま倉庫に連れ込まれた。
70 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:51:57.14 ID:2cqef2pX0



倉庫に連れ込まれ入ってすぐの机に投げ捨てるように乱暴に押し倒される。
「・・・くっそ!この、離せ!離せぇ!」
必死の抵抗で赤髪の胸元に蹴りを何度も入れるが全く意に介す様子もない。
顔が真横に吹き飛ぶかと錯覚するような衝撃が走る。
「騒ぐんじゃねぇよクソアマ。おい、お前らこのバカしっかり押さえてろ。」
一瞬何が起きたか分からなかったがすぐに殴られたのだと理解した。
上衣の前部を破られ、ブーツとショートパンツを剥ぎ取られる。
71 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:52:59.92 ID:2cqef2pX0
「・・・わかった!お金なら払うから!」
据わった目でこちらを睨みつけズボンのベルトを外しながらドスの効いた声で答える。
「あ?勘違いしてんじゃねぇよ。ここまで恥かかされたんだ。金だけで済むわけねぇだろ。」
今までこんなことはなかったのに。
男にだって喧嘩で負けることなんてなかったのに。
なんでこんなことに。
そうだ、今はひとりなのだ。
飛行隊時代の様に仲間がいるわけじゃない。
仲間がいない事の心細さ、弱さを実感する。
72 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:54:15.16 ID:2cqef2pX0
「嫌だ!離せぇ!」
2回3回と放った素足での蹴りは最後の一撃が赤髪の顔面に入った。
瞬間、男の平手が何度も飛び顔が左右に張り飛ばされる。
「大人しくしろっつってんだ。[ピーーー]ぞ。」
冷めた目でこちらを見下し体を預けようとしてくる。
「おい!見ろよ!こいつ泣いてんぜ!さっきまでの元気どこ行ったんだよ!」
坊主頭が楽しそうに叫ぶ。
泣いてる?私が?
「すぐ良くなるからよ。痛ぇのは最初だけだって。」
金髪が嬉しそうに話しかけてくるが涙で曇った視界でその表情は分からない。
「頭ぁ、次は俺らにもヤラせてくださいよ。」
黒髪の声を聞きながら口の中に血の味が広がるのを感じる。
自分の無力さと情けなさに涙が溢れ出す。
73 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 15:58:32.78 ID:2cqef2pX0


「オラァ、ゴロツキ共!人様のシマで何好き勝手してやがる!」
ドアを蹴破る凄まじい音とともに女性の怒号が響く。
「なんだぁテメェら!これからって時に邪魔するんじゃねぇよ!」
赤髪の怒声が響く。
「全員、その娘を離してすぐここから立ち去りなさい。」
最初の怒号とは別の声が聞こえる。
「あぁ!?テメェ誰に指図してんだ!?チャカなんか出して調子こいてんじゃねぇぞコラ!」
必死に頭を起こすと金髪の二人組が仁王立ちし長身の方の手には拳銃が握られている。
74 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 16:03:24.19 ID:2cqef2pX0
赤髪がズボンのベルトを直し二人に近づこうとした瞬間轟音が2回響く。
「・・・っぐ・・・がぁぁぁ!!・・・この野郎!!ホントに撃ちやがった!!」
両足を撃たれたのかその場に崩れ落ちながらそれでも二人を睨みつけながら3人に指示を飛ばす。
「テメェら!こいつらを生かして帰すな!ぶっ殺せ!」
拳銃を抜きかけた坊主頭が震えながら叫ぶ。
「おいおいおい!冗談じゃねぇぞ!ゲキテツ一家の死神ローラじゃねぇか!俺は一抜けだ!」
拳銃を投げ捨て叫びながら倉庫から走って逃げると金髪と黒髪も後を追うように逃げ出す
75 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 16:04:14.04 ID:2cqef2pX0
「待てテメェら!逃げるんじゃねぇ!」
赤髪が叫んだ瞬間ローラと呼ばれた長身が靴底で男の鼻を叩き折る。
次いで髪の毛を掴み強引に引き起こし倉庫の奥に引きずるように連れて行く。
「見たところ危機一髪って感じで手遅れではなさそうだな。」
サイズの小さなシルクハットを頭に乗せた背の低い女性が近づく。
腰まであろうかとポニーテールに目を奪われていると彼女から口を開いた。
「嫌な想いさせて悪かったな。ここいらはゲキテツ一家のシマなんだがこういう目の届き辛い末端の小さな町には時々ああいうゴロツキが出てくるんだよ。」
76 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 16:05:18.72 ID:2cqef2pX0
体を起こし両手で涙を拭いながら彼女の話に耳を傾ける。
「住民の知らせがなかったらお前も危ない所だったんだぞ。そのままマワされて金も盗られてヤリ捨てコースだ。ここいらの人らに感謝だな。」
言っている言葉の意味は良く分からなかったがあのままだったらどうなっていたかは何となく理解はしているのでおそらくその事を言っているのだろう。
倉庫の奥から轟音が一回響き思わず体をビクリと竦ませる。
「ま、助かったんだ。とりあえず早いとこ服着ろよ。」
乱れた着衣を直しながら自分の情けなさを再認識しまた涙が溢れ出す。
「んー・・・まぁなんだ。あのバカ共を擁護するつもりじゃないけどな。お前も一匹狼でやってんだろ?なら若い女がそんな生足だしてウロチョロしてるってのも問題っちゃ問題だと思うぞ。ああいうバカ共からしたらそんなん連れ込んで犯してくださいってふうにも見えるのかもな。」
77 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 16:06:14.34 ID:2cqef2pX0
「フィオ。終わったわ。」
奥から先ほどの金髪の長身が戻ってくる。
その後ろでは先ほど銃声が響いていたが一体何が起きたのかは想像したくもない。
「ほら、これでも着とけよ。一匹狼でやってくんだったらこういうのでオンナの匂いをなるべく消しとけ。自衛策みたいなもんだ。あと地図持ってたら貸しな。」
カバンから地図を取り出し渡すと交換かのようにオリーブ色のツナギとカーキ色のマントを押し付けられる。
おそらくこの倉庫で働く従業員の作業服と雨衣か防寒具だろう。
78 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 16:06:44.98 ID:2cqef2pX0
「ほらよ。タネガシから南南東へ90キロクーリルのこの赤丸の場所に行きな。ここは自警団もしっかりしてて犯罪も少ない。町の中心部に『シュグゥ』って飲み屋があるからそこに行きな。話は通しておいてやる。」
そういって赤色で書き込みされた地図を渡される。
自分の情けなさか。
人の温かさか。
もしくは恥ずかしさか。
溢れ出る涙の原因が自分でも良く分からないまま渡された服と地図を胸に抱き倉庫から飛び出す。
「あぁ!あいつ礼も言わねぇまま行きやがった!」
「もう・・・そんなことどうでも良いでしょう。」
ポニーテールの女性の肩に手をポンと置き嗜めるように長身が呟く。
79 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:12:30.95 ID:2cqef2pX0
10 情け無用の珍客

哨戒任務の護衛を終え飛燕を定位置に停める。
時間にすれば2時間程度だったが今日は何時間かかったか分からないくらい長く感じた。
操縦席で俯いていると心配そうに隊長が話しかけてくるが「酔った」と一言だけ返し追い返す。
何もする気が起きない。
頭の中がグチャグチャで嫌な事ばかり考えてしまう。
暗くなるまでそうした後ふらつく足で飛燕から降りシュグゥへと歩を進める。
80 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:17:08.95 ID:2cqef2pX0


昨日まで鮮明に思い出せていた大切な人の顔が急に霧がかかった様に思い出せなくなる。
どんな声だったか。それすらも思い出せない。
二人で過ごした時間、その場面場面を思い出そうとするが彼女の姿、声だけがぼやけてしまい、どんなだったかを思い出せない。
まるで死を受け入れたことで自分の中の彼女も死んでしまったかのように。
81 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:17:42.29 ID:2cqef2pX0


重たい足取りでシュグゥのスイングドアを押しのけカウンターの前をマスターに「ビールを・・・」とだけ伝え通り過ぎいつもの指定席に座り込む。
フードを外しゴーグル、フェイスマスクを下げいつも通り後頭部で髪を束ねる。
すぐに力が抜けたように机に倒れこみ先ほどの隊長との会話を思い出す。
ダメだ。
思い出すだけで辛くなる。
涙がこみ上げ、鼻の中に粘液が溜まるのが分かる。
真っ赤になった目を他人に見られまいと再度ゴーグルを掛ける。
82 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:21:05.29 ID:2cqef2pX0
「おい、大丈夫か?なんかあったか?」
珍しくビールを目の前に優しく置かれ心配そうにマスターが覗き込む。
「・・・大丈夫。ちょっと嫌な事があっただけだから・・・」
「食いもん決まったらまた声掛けてくれ。・・・本当に辛かったら言えよ?裏の部屋も空いてるし休んで来い。」
黙って頷きながら置かれたビールを一気に半分ほど流し込む。
炭酸の刺激が喉に沁みる。
涙がこみ上げるのは悲しいからじゃない。
炭酸が強すぎるからだ。
自分にそう言い聞かせひどい顔を見られまいとフェイスマスクを鼻まで上げフードを被り机に突っ伏し目を閉じる。
83 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:22:51.03 ID:2cqef2pX0
大切な人の顔を思い出したい。
大切な人の声を思い出したい。
場面を思い出すが周りの仲間の顔、声は鮮明に思い出せるのにどうしても彼女の顔、声だけ思い出せない。
悲しさだけが大きくなっていく。
84 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:23:41.89 ID:2cqef2pX0


このままでは自分が壊れてしまいそうだと考えるのを止め思考停止状態で店内の喧騒に耳を傾ける。
何やら新しい客が来たらしくマスターが接客しているのが聞こえてくる。
まぁそんなこと今の私にはどうでも良いんだけど。
「生憎、今客席がいっぱいでしてねぇ・・・本当に申し訳ない・・・」
そうか。今はお店もピーク時。
せっかく来たのに席がいっぱいでこうやって入れない客もいるのか。
なんだか自分が6人掛けの席を毎度指定席で独り占めしているのが申し訳なく感じてきた。
85 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:24:15.54 ID:2cqef2pX0
「ええ・・・相席ならなんとか・・・おい、レナ!相席良いか?一人だけど。」
相席?
まぁ良いんじゃないか。
店長なんだから自分の一存で勝手に決めれば良いのにわざわざ確認してくれるとは。
その配慮に感謝しつつ肯定の意味を込めて突っ伏したまま右手を上げる。
ごめんなさいね、お客さん。
どこの誰かは知らないけど相席相手がこんな暗い、雰囲気の悪い戦闘機乗りの女で。
こんな空気だしてたら酒も不味くなるだろうけどそこは運が悪かったと思って許してくれと考えていると近づいてきた客から声が掛かった。
「失礼。相席を許してくださって感謝いたしますわ。」
その声、口調に心臓を鷲掴みにされた様な感覚を覚えチラリとフードと腕の隙間から客の姿を覗き見る。
そこに立っていたのは青を基調としたドレス風の服を着た金髪の上品な女性だった。
86 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:31:31.22 ID:2cqef2pX0


全身からブワッと汗が噴き出る様な感覚を覚えどうしたら良いか分からなくなる。
なんでこんなところにいる?
まさか私を探しに来た?
だとしたら何故?
なんで今更?
手足の震えを必死に止めようとするが一向に止まる気配を見せない。
「あら?なにやら震えているようですが大丈夫ですか?」
声を出したらバレるか?
必死で考えとっさに右手を上げ大丈夫だと伝える。
87 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:32:46.70 ID:2cqef2pX0
「大丈夫・・・ということでしょうか?とてもそうは見えませんが・・・」
「悪いねお嬢さん。こいつ今日すこぶる嫌な事があったみたいでね、さっきまで半泣きだったんだよ。そっとしといてやってくれるかい?これとりあえず注文の紅茶ね。」
「あら、ありがとうございます。」
マスターのフォローに感謝しつつ突っ伏したまま考える。
このまま突っ伏したままでいれば1、2時間もせずに立ち去るだろう。
「何か嫌な事でもありましたの?そっとしておいてとの事でしたがあなたのそんな悲痛な姿を見せつけられてはとてもじゃない放ってはおけませんわ。」
おい、エンマ。そういうとこだぞ。
ついさっきマスターからそっとしといてって言われたばかりなのになんで話しかける。
88 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:33:26.60 ID:2cqef2pX0
必死にどうすべきか考え自分の出る最も低い声、かつかすれさせた声で弱々しく答える。
「・・・仲間が死んで・・・」
馬鹿か私は!
なんで本当の事を喋るんだ!
「お仲間が・・・それはお辛いですわね・・・何故お亡くなりになったのですか?」
なんで仲間が死んだって言う相手にそんな無遠慮に聞けるんだ。
そういうことは私以外にするなよと思いながらまた作った声で答える。
「・・・空戦で・・・」
しばし沈黙が流れたと思ったらすぐ隣に人の気配を感じるようになった。
89 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:34:23.54 ID:2cqef2pX0
突っ伏したまま手を握られもう片方の手で背中を擦られる。
いつの間に移動してきたのか・・・
「そう、あなたも戦闘機乗りですのね・・・私も・・・前に大切な仲間が目の前から消えてしまいまして・・・お気持ち察しますわ。」
あぁ、そうだろうとも。
察してくれるんならこのままそっとしておいて早々に立ち去ってくれと心の中で呟く。
両肩に彼女の手が回り耳元に吐息を感じる。
「ですが、私はもう見つけましたわ。」
90 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 18:35:27.93 ID:2cqef2pX0
言葉の意味が一瞬分からなかった。
どういうことだ?
また全身から汗が噴き出る感覚に襲われる。
そして再度耳元をくすぐる様に呟かれる。
「そんな変装で隠せると思って?一心不乱のレナさん?」
即座に彼女を突き飛ばし机と椅子がひっくり返るのも構わず出入り口に全力で駆け出す。
「マスター!ツケにしといて!」
そう叫び突き破る様にスイングドアを通り抜け店から飛び出す。
91 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:29:55.55 ID:2cqef2pX0
11 路地裏の決闘

人通りの少なくなった夜の町中を走る。
裏道へと駆け込んだあたりで息苦しさを感じゴーグルとフェイスマスクを外し速度を落とす。
間違いない。
エンマは気付いていた。
いつ気付いたのかは分からない。
いや、あの様子だと最初から知っていて敢えて同じ席に座ってきたとも考えられる。
何で?
何が目的で?
何で今更?
息は切れ心臓は激しく脈打つ。
考えるが答えは出ない。
トボトボと通りの奥へと歩を進め並ぶ樽に腰を掛ける。
92 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:30:39.19 ID:2cqef2pX0
居所を知られた以上もうこの町にはいられない・・・
明日の朝マスターにお金だけ払って早々に町を去ろう。
息を吐きながら星空を仰ぎ見ていると不意に人の気配を感じる。
「まったく・・・逃げ足の速い事。こんな格好なのに走らせないで欲しいですわ。」
左を振り向くと肩を上下させながら呼吸を整えるエンマが入り口を塞いでいた。
反射的にフェイスマスクを鼻まで上げ反対方向へ逃げようと踵を返す。
「ったく、どこまで手間掛けさせんだこのバカ。これ以上まだ逃げようってのか?」
反対側の通路も腕組みをし仁王立ちする整備班長に既に塞がれた後だった。
「今更顔を隠しても何のつもりかしら?言いたい事、聞きたい事は山ほどあります。観念なさい。」
そう言いながらどんどんこちらへと距離を詰めてくる。
どうする、どうしたら良い?
93 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:33:36.90 ID:2cqef2pX0


「来るな!!」
思わず腰ベルトに差していた拳銃を取り出しエンマへと向ける。
「・・・一体いつからそんな物騒なもの持ち歩くようになりましたの?」
足を止め鬼のような形相でこちらを睨みながら冷たく言い放つ。
強姦されかけた後、護身用にと購入したナンブ式自動拳銃。
幸いにもこの町に来てから危険な事に巻き込まれることはなかったし、よほどの事でもない限り抜くつもりもなかった。
いわばお守りくらいのつもりで購入したものだった。
だが今はそれをかつての仲間に向けている。
体中が震え奥歯がカチカチと鳴るのが頭の中に響く。
戦闘機に乗っている時は感じなかったが指先ひとつで人を殺せる武器を生身の人間に向けるというのはこんなにストレスが掛かるものなのかと実感する。
94 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:34:58.79 ID:2cqef2pX0
「・・・頼むから来ないで・・・このまま逃がして・・・」
弱々しく再度懇願する。
拳銃を向けられた直後一瞬足を止めたエンマだったが構わず再び歩き出す。
「お願いだから来ないで!!」
そう叫び拳銃を上空に向け引き金を引く。
が、銃声は響かず引き金も空振るばかりだ。
そうだ、遊底を引かないとと気付き慌てて槓桿を摘み引っ張ろうとするが震える手では上手くいかない。
くそ!くそ!
ようやく槓桿を摘み後方に引ききり弾薬を薬室へと装填する。
95 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:36:22.51 ID:2cqef2pX0
だがその瞬間拳銃を持った手を掴まれエンマ自身の胸へと銃口を押し付けられる形となる。
「撃ちたければ撃ちなさい!それで満足できるなら、ええ撃たれて差し上げますわ!さぁ、撃ちなさい!」
その迫力に気圧され膝から力が抜ける。
同時に涙がボロボロと零れ始め、一体いつぶりだろうというくらい子供の様に声を上げて泣き出す。
エンマに拳銃を取り上げられそれをそのまま路上に捨てられる。
そして胸倉を掴まれ渾身の平手打ちを浴びせられる。
96 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:37:38.37 ID:2cqef2pX0
「一体!私たちが!どれほど心配したと思っていますの!?」
それは一撃では終わらず、2発、3発、4発とどんどん回数を重ねていく。
「なんで誰にも言わず逃げたんです!?私たちではそんなに頼りないですか!?そんなに私たちでは信用なりませんか!?辞めるなら辞めるで結構!何故一言も言ってくれなかったんですか!?急に消えて!どれだけ心配したと思ってますの!?」
エンマも目に涙を浮かべながら溜まっていたものを吐き出すかのように叫ぶ。
平手打ちをしていた方の手でフェイスマスクを下げられ次いでフードを捲られ束ねていた髪をバラバラと解かれる。
素顔が露わになったところに渾身の一撃をと拳を握りしめ大きく振りかぶる。
「おい、もうやめとけ。」
整備班長がエンマの右手を掴み諭す。
ふぅ、ふぅと乱れた息を深呼吸で整え、睨みつけながら言い放つ。
「まったく・・・何のつもりなのか。そんな髪型にまでして・・・いったん先ほどのお店に戻って納得いくまで話し合いましょう。・・・もう逃がしませんわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キリエ。」
97 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:38:33.57 ID:2cqef2pX0
12 再びコトブキ飛行隊

絶対に逃がさないとばかりにキリエの手を必要以上に力強く握る。
その手に彼女の温もりを感じる。
急に目の前から消えてしまいもしかしたら二度と会えないかもと思っていた彼女の温もり。
ぐいぐいとその手を引っ張りながら先ほどのバー『シュグゥ』に向かう。
あれだけ吐き出したからか今では先ほどまでの怒りが嘘のように落ち着いている。
道中、何度も振り返り彼女がちゃんといるのを確認する。
その度に安堵とともに懐かしさなのか嬉しさなのか、なんだか分からない温かい感情が胸に去来する。
98 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:39:52.00 ID:2cqef2pX0
手をしっかりと握り後ろをついてくる彼女は先ほどからずっと子供の様に泣きじゃくっている。
幼いころから知っているキリエ。
そして成人し飛行隊でも一緒に仕事をしてきたキリエ。
その長い時間を通してもこれだけわんわんと泣きじゃくる彼女を見るのは記憶にある限り初めてだ。
99 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:40:26.88 ID:2cqef2pX0
バー『シュグゥ』のスイングドアを押し開け先ほどの席に向かう。
子供の様に声をあげ泣きじゃくるキリエをマスターや常連客が珍しいものを見るかのように目を丸くする。
席に着くとまるで追いかけてきたかのようにマスターがジョッキに入った冷えた水を持ってくる。
置かれた瞬間キリエは両手でそれを掴み一気に飲み干す。
それを契機に声をあげて泣くことは治まったがそれでもしゃっくりをあげながらさめざめと涙を流している。
100 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:41:17.99 ID:2cqef2pX0
ふぅとため息を一つ吐きこちらから切り出す。
「まずは何から聞きましょうか・・・?・・・何故レオナのパーソナルマークを入れた飛燕で一心不乱のレナなんて名乗ってたんです?」
両手で涙を拭いながらポツリ、ポツリと語りだす。
「・・・レオナのマークは・・・ユーハング語の『寿』の文字をモチーフにしてるって言ってたから・・・逃げたけどコトブキ飛行隊の事は忘れたくなくって・・・やっぱり大切な場所だったから・・・一心不乱は名乗ってたんじゃない・・・周りが勝手に呼び出したんだもん・・・何度もやめてって言ったのに・・・」
ぐずぐずと鼻水を啜りながら途切れ途切れにしゃべるキリエを見ながら冷水を口に含み眉間に皺を寄せる。
「マスター!紅茶を二人分お願いいたします!」
視線をキリエに戻し続けて聞く。
101 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:43:29.57 ID:2cqef2pX0
「髪型だってレオナを意識してかポニーテールにしてたじゃありませんか。それにレナという名前もレオナを意識しているようにしか思えませんわ。」
「・・・髪型は・・・ポニーテールにし始めたのは先月くらいからだもん・・・伸びすぎて鬱陶しかったから・・・レナって名前は本当に適当につけただけ・・・一心不乱のレナって呼ばれるようになって後悔したけど・・・」
予想外に呆気ない理由に力が抜ける。
しばし無言で向き合う。
周りの客もこちらに聞き耳を立てているのか喋る声はほとんど聞こえない。
その静けさが今は嫌になる。
核心を突くべきか、まだ早いか迷ったが一番気になっていたことを聞かずにはいられなかった。
102 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:44:13.70 ID:2cqef2pX0
「・・・何故・・・コトブキを逃げたんです?なぜ誰にも言わずに消えたんですの?」
キリエの両手が震え出したのが傍目にも良く分かる。
また沈黙の時間に陥りキリエの鼻を啜る音だけが響く。
しばし思案し無理に答える必要はないと声を掛けようとしたところで口を開いた。
「・・・チカが死んじゃって・・・私のせいで死んじゃって・・・もうコトブキにいちゃいけないって思った・・・誰かと飛ぶ資格なんて私にはもうないって・・・だけど・・・コトブキを離れたくないってのも本音だった・・・大切な場所だったから・・・だから・・・」
唇を噛み締め涙をこぼすまいとぎゅっと目を閉じ嗚咽をあげるキリエを黙って見つめる
103 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:45:23.50 ID:2cqef2pX0
「・・・誰かに会ったら、離れたくないって思っちゃうんだもん・・・ここに居たいって思っちゃうんだもん!私のせいでチカが死んじゃったのに私だけ大好きな場所で大好きな人たちに囲まれて生きるのはダメだって思ったんだもん!」
無理やり吐き出すように喋るキリエの手を取り撫でる。
「さっきだって・・・逃げなかったら・・・また戻りたいって思っちゃうって・・・思って・・・」
手を撫でていた右手を彼女の頬に移し優しく触れる。
「あなたの本心は分かりましたわ。それではその上で聞かせてもらいます。あなたの今言った懸念事項。これらが解消されればあなたはコトブキ飛行隊に戻ってくる気はありますか?」
言っている意味が分からないという風にキョトンとこっちを見つめるキリエ。
背後からはスイングドアを押し新たな客が入ってくる音が聞こえる。
それに合わせ先ほどまでの表情とは一転してキリエの表情が驚愕へと変わる。
104 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:46:11.12 ID:2cqef2pX0


エンマの質問の意味が理解できないままじっと見つめているとその背後から新たな客がスイングドアを押し開け入ってきた。
私たちの姉かの様に時には厳しく、時には優しく導いてくれたザラだった。
だがその後ろに続いて入ってきた人物を見て頭が混乱する。
理解が追いつく前にその人物はこちらに駆けてくる。
手に持っている不気味な節足動物の様なぬいぐるみを思いっきり振りかぶりキリエの頭に振り下ろす。
「キリエ、バカ!バカ!大っ嫌い!帰ったら急にいなくなってて、どんだけ心配したと思ってんだよ!」
繰り返し何度もぬいぐるみを振り下ろし叩き続ける。
105 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:47:21.52 ID:2cqef2pX0
「私が墜とされたせいでキリエがいなくなったって知って!こっちがどれだけ悲しかったか!どれだけ寂しかったか!わかるか!?」
最後は感極まって泣きながら叫ぶ。
叩かれながらも意に介さず近づき飛び込むように抱きつく。
「チカが・・・!チカがいる・・・!チカ・・・チガぁぁ・・・」
そのまま床に押し倒し頬に顔を擦り付けながら「チカ」以外の言葉を忘れてしまったかのように泣きながら呼び続ける。
子供の喧嘩かと疑いたくなるばかりに良い大人二人が床でもつれ合いながら声をあげ泣いている。
そんな醜い光景をエンマとザラは優しい表情で見守る。
106 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:48:00.07 ID:2cqef2pX0
「キリエ、あなたは早々に逃げ出してしまったから知らないでしょうが・・・イケスカで判定してもらった結果あの焼死体はまったく無関係の別人だと確認されましたわ。」
「それから数日後ね。インノ近傍の病院にチカが入院してるって連絡が入ったの。」
「だって・・・だって・・・自警団の飛行・・・隊長も・・・今・・・コトブキ飛行隊には・・・4人しかいないって・・・」
鼻水としゃっくりで上手くしゃべれないがそれでも必死で喋る。
「4人っていうのはね、ケイトが半年前からアレンの研究を本格的に手伝うために一時離れているからよ。」
「まったく・・・何度も新聞の広告欄やラジオでチカは無事だ、帰ってこいってメッセージも流しましたのに・・・まったく音沙汰がないんですもの。」
107 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:48:40.49 ID:2cqef2pX0
チカが死んでしまったという確信を持ちたくなくてここ10か月メディアには一切触れないようにしていた。
それが全て裏目に出ていたのだと知って我ながら嫌になる。
だが今チカがここにいる。
ずっと会えないと思っていたチカが腕の中にいる。
それを考えればこれまでの10か月、多々あった嫌な事も全部どうでもよくなる。
もう一度ぎゅっと抱き締め大きく息を吸い込む。
チカの好きなシャンプーの匂い。
服から薫るお気に入りの柔軟剤の匂い。
数時間前までモヤが掛ったように思い出せなかったチカとの思い出が一気に思い出される。
「さて、先ほどの質問の答えですが・・・。懸念事項はなくなった様ですが・・・どうします?」
未だ泣きじゃくるチカの肩口に顔を埋めながら涙声で答える。
「・・・帰る。」
108 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:49:08.07 ID:2cqef2pX0
エピローグ  大空のテイクオフガールズ

見渡す限りの青空。
聞こえてくるのは機体が風を切る音と轟々と唸るエンジン音。
はるか眼下には一面褐色の大地が広がる。

――――――――――――
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――――
――
109 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:53:19.20 ID:2cqef2pX0
あの後大変な事も多かったがそれは今でも良い思い出。
羽衣丸に戻った私を温かく迎えてくれた船員達。
だけどレオナには再会した瞬間力一杯顔面を殴られた。
それでもちゃんとその後「お帰り」って抱き締めてくれたのは本当にうれしかった。
その後、1時間近く鼻血が止まらなかったけど・・・
ケイトには「誠に遺憾である。」って一言だけ言われてしばらく口を聞いて貰えなかった。
何となくだけど心なしかムスッとしているように見えた。
感情表現が少ないだけで、感情がないわけじゃないんだよね・・・
黙っていなくなってごめんね・・・
ナツオ班長には・・・
言うまでもなくしこたま説教された。
怒られてる筈なのに懐かしさやらなんやらで少し嬉しかったのは私だけの秘密。
110 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 19:55:48.45 ID:2cqef2pX0


そして昨日。
本当に久しぶりの6人での仕事を前にして私はチカにお願いをした。
「チカ、明日の仕事の前にさ、髪切ってくんない?」
「はぁ?なんで私?やったことないけど多分そんな上手くできないぞ?」
「上手くなんて出来なくっていいよ。前と同じくらいの長さになれば。ケジメみたいなもんだしさ。チカに切ってほしい。っていうかチカじゃないとダメな気がする。」
「なんか良く分かんないけど、そこまで言うんなら・・・失敗しても知らないよ?」
「うん・・・お願い。」
全てが色褪せて感じてどうでも良くなっていたこの10か月。
今日私は今までの死んでいた私にさよならを告げる。
かつては二度と会えないと思っていた相棒。大切な人。彼女にやってほしいと思ったのだ。
ケープ替わりにシーツを巻かれ不器用ながらもそれでも慎重にチカが髪を切っていく。
ハサミの心地良い音。
慣れ親しんだ羽衣丸の揺れ。
外を流れる真っ青な空。
そしてほのかに薫るやわらかなチカの匂い。
そのすべてが幸福だと感じ私は目を閉じる。
なんて気持ちいいんだろう・・・
この幸せがずっと続きますように・・・
そう願いながら私の意識は夢の世界へと誘われていく。

――――――――――――
――――――――
――――
――
111 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 20:01:08.52 ID:2cqef2pX0


「そぉんなギャーギャー文句言うんだったら最初っから私に頼まなけりゃ良かったろ!」
「うっさい、バカチ!前と同じような長さにしてくれって言ったのになんでこんなふうになるんだよ!これじゃアレンじゃんか!」
「アレンと同じだと何が不満なのか、理解しかねる。」
「だから最初に言ったろ!?私だってそんな上手くないんだからどうなっても知らないぞって!」
「だーかーらって!限度ってもんがあるでしょうが!なんでボブカットにしようとしてこんな風になるんだよ!これじゃ当分飛行帽脱げないよぉ・・・」
「もう、二人ともおやめなさい!せっかく久しぶりに6人揃っての仕事なんですから!」
「ついこの前まで二人ともしおらしくなっていたのが懐かしいわぁ。」
「キリエ、チカ。これ以上騒ぐようなら今すぐ羽衣丸に帰ってもらう。」
「・・・ふぇーい・・・」
112 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 20:02:50.11 ID:2cqef2pX0
「・・・キリエばっか文句言ってるけど私だって言いたい事あるんだからね。」
「・・・なにを?」
「キリエが持って帰ってきた飛燕、あれすっごく邪魔!あいつのせいで今まで格納庫入ったらそのまま一直線に隼に乗り込めてたのが大回りするか屈まないといけなくなっちゃったし。隼あるんだから持って帰ってくる必要なかったじゃん。」
「そっちこそ!邪魔って言えば何で久々に帰ってきたら私のベッドにあの気持ち悪いぬいぐるみが何匹もいるんだよ!一匹でも気持ち悪いのに、あんなのが何匹も私のベッド占領してるなんて悪夢かと思った!」
「あぁ!!マロちゃんの事気持ち悪いって言ったなぁ!」
「気持ち悪い以外何があるんだよ!」
「二人とも・・・いい加減にしろ!」
「「・・・ふぁーい・・・」」
「レオナ、2時方向上。太陽の方。」
ザラの指した方向から10機近くの戦闘機が急降下してくるのが見える。
113 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 20:03:36.04 ID:2cqef2pX0
彼らの目指すは呑んだくれのカニの描かれた水色のユーハング製一〇〇式輸送機。
おそらく狙いは先ほど仕入れたユーハング酒だろう。
「みんな、準備は良いか?」
「はい!」
「当然。」
「もちろんですわ。」
「準備オッケー!」
「とっとと行こう!」

「よし、コトブキ飛行隊!一機入魂!」





114 : ◆vPkNjiWzfsSW [sage]:2019/09/21(土) 20:04:30.64 ID:2cqef2pX0
以上で終わりになります。

お目汚し失礼しました。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/01(日) 05:25:20.88 ID:85XI8bnE0
乙!
面白かった!
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