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タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7

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213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 21:43:22.22 ID:6buewDUZ0
タイトル「13号室」
タイトル「デス・パズル」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/22(水) 04:53:41.10 ID:M4rR8EAJ0
タイトル「売るセールの猫」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/22(水) 21:24:30.74 ID:h2Fjn5jo0
タイトル「Buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/23(木) 05:29:49.29 ID:7xOltJwe0
タイトル「イヒッと」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/23(木) 07:28:52.33 ID:WzJ+G8pr0
タイトル「ヘタレな彼氏と奥手な彼女」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/23(木) 12:38:39.73 ID:oERmbAGAO
タイトル「異世界行き特急」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/23(木) 13:56:25.98 ID:nsX2D1mF0
タイトル「A canner cannot can a can」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/27(月) 23:00:56.10 ID:9OnXi7ru0
タイトル「過去からの手紙」
タイトル「未来からの手紙」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/03(日) 12:59:28.89 ID:WTRGHLnP0
タイトル「被告人を懲役1年6月に処す」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/05(火) 15:11:14.27 ID:Jn7yA0370
タイトル「IQがカンストした男」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/10(日) 21:34:31.63 ID:BkAD++d90
タイトル「TAKA−KO−SAKI」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/10(日) 21:35:25.87 ID:BkAD++d90
タイトル「将来の夢はノーベル賞で優勝することです」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/20(水) 18:54:11.03 ID:+CPtimmU0
タイトル「クトゥルフ神話の神々に好かれすぎてて困ってます」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/20(水) 19:01:34.70 ID:+CPtimmU0
タイトル「Another Island」
タイトル「或るYouTuberの日常」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 21:38:46.56 ID:TVUnGMIl0
タイトル「THE遠藤」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/24(日) 15:41:04.49 ID:5qSiQfds0
タイトル「マーダーグランプリ」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/24(日) 18:11:38.79 ID:F54FLeFw0
タイトル「3年D組斎藤先生」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/24(日) 18:15:25.46 ID:F54FLeFw0
タイトル「3億ジンバブエドル事件」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 23:21:52.31 ID:FVO0IVAG0
タイトル「a new career in a new town」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/07(日) 17:02:35.49 ID:sZ0P0d83O
タイトル「おれドラえもん」「僕はジャイアン」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/08(月) 21:14:20.99 ID:/ypACInm0
「"バカには見えない服"ってあるだろ。裸の王様のさ。あれ、もし仕立て屋が本物を作ってたとして、なんでそんなものを作るんだろうって、思ったことないか?」
「だってそうだろ、裸に見えたって、何の役にも立ちゃしないじゃないか。だからおれ、思ったんだ、"バカには見えない"って、ひょっとして――」


……


夜。天気は曇り。街の明かりに照らされて、あちこちで赤い水たまりが光っている。
ビルがびっしりのオフィス街も、もはや見る影もない。砲弾が抉り、その上に瓦礫をトッピングした車道を突き進むのは、国が所有する正規の戦車たちだ。
それに随伴するのもまた、正規の隊員たち。しかし不思議なことに、彼らは狙いもないようなめくら撃ちを繰り返している。
割れる音、叩く音がこやかましい。

「"J"はまだ見つからないのか!」

誰かを探す彼らのそばに、歩み寄る者が一人。高校生くらいの少年だ。武器は持っていない。
装いも、何の変哲もないジャージを上下に着ているだけだ。……七色に光っていること以外は。

「こちら西ハ班、制圧続行中です、どうぞ」

『こちら東イ班、同じく制圧続行中。"J"の痕跡なし、どうぞ』

全身を光らせながら、隊員のそばまで近付くが、彼らの誰一人として少年の存在に反応しない。
少年は、無線機を持った隊員の前でぴたりと止まり、右拳をゆっくり引く。

「"高トルク"パンチ!」

少年が宣言した瞬間だけ、ジャージの光が一際強くなった。
放たれたのは、喧嘩慣れした様子もない、構えもコースも素人のパンチ。それが隊員に当たると、彼を向かいのビルに叩きつけた。ビルの壁にヒビが走る。彼の胴体は二つにちぎれながら、ずるりと地面に落ちた。

この時、他の隊員たちが見たのは、吹き飛ばされる隊員だけだったが、それによって全く別のことを確信した。

「"J"と接敵!随時掃射せよ!」

隊長格の男の号令で、小銃が一斉に火を吹く。先と同様、めくら撃ちだ。
号令を聞いたところで少年はジャンプし、空中でジャンプし、また空中でジャンプし……虹色で軌跡を描きながら宙を舞い、戦車の上に着地した。空中でキャッチした弾丸を放り捨て、拳を握り、振り上げる。

「"金属化"・"ハンマー"・"高トルク"パンチ!」

銀色に変化した拳が足元の装甲に触れると穴は開かず、戦車全体にヒビが走る。少年が跳躍してその場を離れると、戦車は爆発大破した。

「後ろだ!戦車がやられた!」

「こちら西ハ班!"J"と交戦中!応援を――」

無線機に向かって叫ぶ隊員の前に、少年が着地する。

「"高トルク"パンチ!」


……


多勢に無勢が逆一方の戦いも終わり、燃える街の真ん中で、少年が座り込んでいる。ポケットからスマホを取り出し、イヤホンを繋いで耳にはめた。
SNSのチャット履歴を見れば、通話の不在着信がずらりと並んでいる。通話ボタンを押した。

「gekkohくん!オペレートするって言ったでしょ!なんで通話切るの!」

かけるなり甲高い声が飛び出す。

「すみません、待てませんでした。市街地ステージで民間人がいたんで、動転してしまって」

「だーから、ステージにいるのは旧人類で、わたしたち人間とは違うって、何べん言わせるのよ!」

「どうみても同じなので、つい」

「ついじゃない!っていうか、あんな知能指数の低いサルどもが、わたしたちと同じなわけないでしょ!」

「はい……すみません……」

少年の声に力がないのは、立場の上下よりも、疲れと落胆の方が大きかった。

「それで?今日のスコア、どうするの?きみの取り分は30kくらいあるけど」

「次のマッチングは50時間後でしたっけ。適当に食料と日用品補充して、ジャージの修理まではsuper_dryさんの方でやっといてください。残りは帰ってからで」

「はいはい、いつもどおりね。迎えはいらないの?」

「月曜で輸送ヘリの燃費がすんごい下方修正されましたし、ちょくちょく節約しないと。じゃ、お疲れ様です」

「はーい、気をつけてね」

通話を切って立ち上がった少年は、街を去る前に、火の手に向かって少しだけ手を合わせた。


タイトル:「ゲーミングジャージ」「IQがカンストした男」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/10(水) 17:58:54.00 ID:cCQ77NLzO
タイトル「シャーロック・ホームズの孫」
タイトル「泳げなくなった河童」
タイトル「パンデミックテラー」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/17(水) 16:25:10.72 ID:+QJcdTJeO
タイトル「或るバンドグループの話」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/18(木) 12:23:20.79 ID:8TAkYJos0
>>155の者
もうちょっとそれっぽくしてみた

タイトル「警視庁特殊犯罪捜査班〜スタンド能力関連犯罪対策捜査部〜」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/20(土) 16:04:37.99 ID:IF4PcuuV0
タイトル「放課後の魔術師」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/21(日) 23:14:12.84 ID:awMQf9XI0
タイトル「ヘイセイマンvsレイワマン」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/27(土) 23:50:28.79 ID:JfIXzgND0
タイトル「湯婆婆ー婆・婆ー婆婆」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/04(土) 22:39:58.45 ID:mttR1WsY0
タイトル「偏差値マイナス1.0」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/11(土) 22:35:35.87 ID:qgX0fVTc0
タイトル「デザインゑ」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 20:37:47.83 ID:gPVApLSz0
タイトル「パラパラレルレル」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 19:25:07.59 ID:nCSDumnV0
タイトル「デザインゐ」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/29(水) 23:06:57.66 ID:q69xlDF10
タイトル「エイエイウラー」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/31(金) 23:19:28.71 ID:utRkRhak0
タイトル「コエガキコエル」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/05(水) 12:50:41.20 ID:NEQ1ILrj0
タイトル「わゐうゑを」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/06(木) 19:11:55.53 ID:cxVkvOnE0
>>120「黄昏時に君は誰」

 田園は快く錆びたみたいに光っていて、それはどこまでもを包含するかのように瀰漫した光だ。僕の影もまた手を伸ばしても届きそうにないくらい遠くまで延長されてしまって、輪郭が曖昧に溶けてしまいそうだった。
 君は僕よりも前に出ないまま、「夕暮れって、好き?」と闊達な印象の、かたちのある声で言った。ふふっ、ごく短い笑いが耳に届く。君はある限りまで話し終わると、いつも決まってはにかみ、そのような声を上げる。僕はそれに魅了されつつあったうちの一人だった。その君と、僕は夕日の背後に歩いている。
「嫌いじゃないよ、全然。むしろ好きだ。」
 慣れない口つきで送り出されたその言葉は、どうやら逆光にあてられて一瞬のうちに風化し切り、空中へと消えていったようで、続けて言われた「僕を含めて、みんなが君を好きなくらい」をまったく受けつけない感じで君は、「好きな人と感動しながら歩けたらな」と感慨を込めてぼやいている。
 だからぼ、ぼ、ぼぼぼぼくは、す、あ、ああ、うれし、い、うん、うれしい、よ、吃音にかかったようにひどく唇を強張らせて僕は伝えようとした。今度こそ、聞こえただろうか、しかし聞こえてきたのは逆光つええな、という若く青っぽい、しかし頼りがいのあるきれいに通る声。
 一旦ここまで
 
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/06(木) 19:38:11.07 ID:cxVkvOnE0
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249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:45:49.53 ID:LAcrkc2c0
タイトル「アメリカの首相と日本の大統領」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:51:08.50 ID:LAcrkc2c0
タイトル「学校の墓場」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:51:51.41 ID:LAcrkc2c0
タイトル「築地市場と大田市場」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:52:57.38 ID:LAcrkc2c0
タイトル「エーマンとビーマン、たまにシーマン」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:53:46.15 ID:LAcrkc2c0
タイトル「東京ディズニービー」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 21:36:33.45 ID:LAcrkc2c0
タイトル「飛車のソナタ」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/14(金) 16:26:02.89 ID:qKTTYZqIO
タイトル「動く人形」
タイトル「或る老婆の話」
タイトル「666号室」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/08/16(日) 09:20:31.95 ID:b5SrDXMi0
タイトル「泥団子の絆」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/08/19(水) 18:57:53.47 ID:aiy7sCC30
タイトル「星も見えない夜」
タイトル「何もなかった」
タイトル「遠い家路」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 16:47:22.93 ID:l8To7LbA0
タイトル「パラレルフィーバー」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 20:40:59.61 ID:nZwsj+wJ0
タイトル「黒い糸」
タイトル「クロイイト」
タイトル「廃戦」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 15:03:13.16 ID:6bW8TQC80
タイトル「ジェンガリングジャングル」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/02(水) 12:57:40.54 ID:X8n2WH1K0
タイトル「精神世界探索ロボ」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/04(金) 01:25:37.82 ID:HIeYnz1cO
タイトル「キラワレモノ」
タイトル「ヤッカイモノ」
タイトル「すべてが逆の世界」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/05(土) 17:46:54.02 ID:elcRWPa60
タイトル「角は斜めに縦横無尽」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/06(日) 15:30:38.15 ID:W4A1/Ksh0
タイトル「ドラエモソvsアソパソマソ」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/09/06(日) 18:20:33.60 ID:KyLIRQh40
タイトル「ドラフト2位の即戦力」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/09/06(日) 18:33:20.62 ID:4oQXxdY70
>>250
「学校の墓場」

ここは学校の墓場。ボロボロの建物のようなものが地平線の彼方まで延々と敷き詰められている。
今日もまた、役割を終えて廃校となった学校が落ちてくる。
最近は特に多い......

ある日、一つの学校が光に包まれながら天に昇っていった。
その学校は、どこか嬉しそうな表情をしているようだった。




こんなのしか書けなくてスマンソ
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/09/06(日) 18:49:50.89 ID:4oQXxdY70
>>259
「黒い糸」

私はあるときから黒い糸が見えるようになった。
それが何かは分からないけど他の人には見えないらしく、それはいわゆる赤い糸のように人の薬指についていて、どこか遠いところ繋がっているようだ。
私の指にも繋がっていて、どこかに伸びている。
この世界は黒い糸で一杯だ。
あっちこっちに張り巡らされていて、触れることはできないけど動きづらい。
これがいわゆる運命の糸、とかだったら良いんだけどね。


ある日の朝出勤した時に、お隣の仲良し夫婦の指の間に黒い糸が繋がっているのが見えた。
それに、夫婦だけじゃなくて夫さんの指から子供の指にも繋がっている。
両端を見たのは初めてだ......

その日、会社の帰り道でバスに乗り込んでからネットニュースを見ると、私は衝撃的な物を見つけた。
お隣の仲良し夫婦の家で、奥さんと子供が亡くなっているのが発見されたらしい。
犯人は.........夫。
なんで.........あんなに仲が良かったのに.........
その時、私は朝仲良し夫婦の指の間に黒い糸が繋がっていたのを思い出した。
あれは、あの黒い糸は、もしかして本当に運命の糸で、その運命って、もしかして........

『次、止まります』

ふと、私は指に繋がっている黒い糸の先を見てみた。
その糸はバスの運転手さんに繋がっていて、バスの運転手さんの指にはたくさんの黒い糸が結び付けられていた。
その黒い糸は、乗客のみんなにまっすぐ、ピンと繋がっていた。

バスが停留所を通り過ぎた。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/06(日) 18:54:12.16 ID:4oQXxdY70
>>259
「黒い糸」

私はあるときから黒い糸が見えるようになった。
それが何かは分からないけど他の人には見えないらしく、それはいわゆる赤い糸のように人の薬指についていて、どこか遠いところ繋がっているようだ。
私の指にも繋がっていて、どこかに伸びている。
この世界は黒い糸で一杯だ。
あっちこっちに張り巡らされていて、触れることはできないけど動きづらい。
これがいわゆる運命の糸、とかだったら良いんだけどね。


ある日の朝出勤した時に、お隣の仲良し夫婦の指の間に黒い糸が繋がっているのが見えた。
それに、夫婦だけじゃなくて夫さんの指から子供の指にも繋がっている。
両端を見たのは初めてだ......

その日、会社の帰り道でバスに乗り込んでからネットニュースを見ると、私は衝撃的な物を見つけた。
お隣の仲良し夫婦の家で、奥さんと子供が殺されているのが発見されたらしい。
犯人は.........夫。
なんで.........あんなに仲が良かったのに.........
その時、私は朝仲良し夫婦の指の間に黒い糸が繋がっていたのを思い出した。
あれは、あの黒い糸は、もしかして本当に運命の糸で、その運命って、もしかして........

『次、止まります』

バスのボタンが押された音で、私は顔をあげた。
私はふと、指に繋がっている黒い糸の先を見てみた。
その糸はバスの運転手さんに繋がっていて、バスの運転手さんの指にはたくさんの黒い糸が結び付けられていた。
その黒い糸は、乗客のみんなにまっすぐ、ピンと繋がっていた。

バスが停留所を通り過ぎた。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/08(火) 18:55:19.65 ID:GsPd1RT40
>>266
何か、考えさせられるものがありますね。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/08(火) 19:27:45.55 ID:ANzhFlJYO
タイトル「推定寿命測定機」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/08(火) 21:18:11.36 ID:Pw/ICKoY0
タイトル「警察戦隊タイホマン」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/11(金) 22:44:05.49 ID:lsggck9P0
タイトル「角道を開けないで、飛車先を突かないで」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/19(土) 17:08:55.97 ID:ugh9hCQ9O
タイトル「将来の夢は日本の大統領になることです」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 20:16:54.86 ID:teppnn5r0
タイトル「或るタイムトラベラーの日常」
タイトル「迷い列車」
タイトル「レイコさん」
タイトル「白紙の辞書」
タイトル「女神の野神さん」
タイトル「可笑しなお菓子」

結構浮かんでしまった
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/22(火) 23:00:06.78 ID:WkxOIHSC0
タイトル「千葉県出身の福島さん」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/09/24(木) 01:38:20.30 ID:AT3RRyPd0
>>274
「白紙の辞書」


やあ。僕は詩人...いや、見習い...志望......もどき......まあ、詩人ということにしておこう。
とにかく詩を書いて食っていきたいんだけど、いかんせん全然売れない。今回も編集さんに言われちゃったよ。

「君ねぇ、感性は悪くないが......いかんせんボキャブラリが足りんよ!ボキャブラリが!」ってね。

なんとかして語彙を増やしたいんだけど、これがなかなか上手くいかない。
色んな本を読んだり、辞書を端から端まで読んでみたりしたけどやっぱりダメだ。
そうやって古書店でいつもどおり古本漁りをしていたある日、僕はそいつと出会ったんだ。


「なんだこれ? 『白紙の辞書』......?」

「『これは普通の辞書ではありません。あなたが言葉を書き、意味を書くことで完成していく世界にひとつだけの辞書です』......へえ、面白そうじゃん」

そいつは表紙まで真っ白で、表紙と背表紙には金字で題名が入っていた。これに知った言葉を書き込んでいけば「ボキャブラリ」って奴も身につくかな。
レジに行くと、店主のおじいさんは何も言わずに会計してくれた。でもいざ本を僕に渡すというときに、ただひとことだけ言った。絞り出すように。

「お客さん。それに正しくないことを書いてはなりませんよ」

家の近くの筈なのに、僕はその店の存在を知らなかった。


四畳半の自宅に帰ると、いつもと変わらない物書き机が僕を迎えてくれる。それ以外何もないって?そうともいうかもね。
買ったばかりの辞書はサラサラして、そのページはまるで絹のように見えた。これを見て何も書かなきゃ詩人が廃るさ。
取り出したるは愛用の万年筆。どうせならやっぱり辞書風にと、こう筆を走らせた。

  いのち【命】 一瞬の煌めき。

「ふふっ、なーんて――――――」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/24(木) 07:24:17.45 ID:mAhCZIdU0
えっ、まさか、一瞬で終わるようになっちゃったのか?(汗
しかし、人基準じゃなくて宇宙基準なら、まだ間違ってないからワンチャンある、かな?
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/24(木) 13:42:23.22 ID:YuGpf/Dv0
タイトル「じぇじぇじぇの鬼太郎」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 20:32:35.39 ID:p37A7Ctq0
タイトル「或る怪談師の話」
タイトル「地球寒冷化問題」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 01:30:51.98 ID:tqoH58JtO
タイトル「黒ギャル天王」
281 : ◆copBIXhjP6 [saga]:2020/09/26(土) 02:23:32.39 ID:/nTb7MJf0
>>279「或る怪談師の話」


「なあアンタ、怪談を話すのが仕事なんだろ? ならアンタの知ってる『一番怖い怪談』を教えてくれよ」
「『一番怖い』というのはありませんよ。どれも一番怖いですからね...『一番聞きたくない怪談』ならありますが」
「暇つぶしになるなら何だって良いよ。ここのメシ代でどうだい」
「あなたはきっと『聞きたくなかった』と思うでしょうが、本当に聞きたいですか?」
「そう言われちゃ余計聞きたくなるのが、人間ってものだろうさ」
「絶対に後悔しない?」
「しつこいな、もちろんしないとも」
「......いいでしょう」


  これは私がうんと若い頃、当時の師匠に聞いた話ですがね。大昔ある所に、ジョークを作るのが上手い男がいました。
 で、同じ街には胡散臭いと評判の霊能力者がおりまして、占いが当たるとか当たらないとかというのが人々の専らの話題だったそうです。
 男も占ってもらったわけですが、結果は見事に大外れ。「やっぱり霊能力なんてあるわけないじゃないか」と男が早速霊能力者を冷やかすようなジョークを作るのですが、
 酒場で一度話せば、瞬く間に町の人々へ広がりました。これのせいで霊能力者は大恥をかかされたわけです。
  霊能力者は何とかして男に報復しようとしました。そこで色々試行錯誤して、ついに「話を聞いた人間は死ぬ」という恐ろしい呪いを完成させました。
 もちろん彼はこの呪いを件のジョークにかけまして、とたんに街の人々は――それこそ噂が広がるような速さで――バタバタと倒れていったという話です。


「しかも『この話』にも、彼が発明した死の呪いがかかっているそうな。そして何よりも恐ろしいのは......」
「...アハハ、アハハハハハハハ!! いやあ、面白いなあ!」
「何がですか?」
「そりゃアンタ、これ自体も巧妙なジョークってことだろう? よくできた話じゃないか」
「この怪談は本物ですよ。呪いのこともね」
「そりゃあ嘘だぜ。本当なら良かったかもしれないけどな。でも、もしそうならなんでアンタやお師匠さんは死んで――――」

 「おい!車が窓際の席に突っ込んだぞ!」
 「と、取り敢えず救急車呼べ! 誰か早く!!」

「本当だから困っているんですよ」


数百年後

「しかも『この話』にも、その霊能力者の作った呪いがかかってるんだと。そんでもって一番恐ろしいのが......」
「......やっぱりそいつは三流でね。中途半端だったのさ」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 02:24:27.47 ID:/nTb7MJf0
>>281
酉ミスすまぬ...
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/28(月) 11:28:11.44 ID:LANZ3eJCO
タイトル「芸人探偵山田さん」
タイトル「ミツドモエ」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 16:35:25.28 ID:X13nj2D2O
>>262の者
こっちの方がいいかも↓
タイトル「界世の逆がてべす」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/02(金) 12:43:20.78 ID:uzxDtr2n0
タイトル「あらゆる魔術の教書抜粋」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/02(金) 17:31:30.19 ID:WOZhHJFL0
タイトル「座敷わらし、お貸しします」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/03(土) 15:22:52.87 ID:XLLzeLPA0
undefined
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 19:57:35.39 ID:r/5aZE7mO
タイトル「ストレイ・ガールズ」
タイトル「ストレイ・ボーイズ」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/05(月) 12:36:41.90 ID:ePhW9ZiJ0
タイトル「涼宮ハルヒの興奮」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/05(月) 12:39:12.82 ID:65jbmrFF0
タイトル「進撃のゴキブリ」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 08:50:54.53 ID:tcrpylY00
タイトル「目黒の斬魔」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/07(水) 12:35:54.56 ID:t++L5amr0
タイトル「五反田のかつお」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 19:20:20.52 ID:xHtv7s4xO
タイトル「シニモノグルイ」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 21:19:34.46 ID:0x2Q5Gg+0
タイトル「Dead Eyes」
タイトル「死のサイコロ 〜Die Dies〜」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 22:29:02.53 ID:gu9172850
>>137「廃人の街」

 ピカピカの石鹸みたいなモノレールが、清潔な面持ちの労働者を乗せ、ウエハース風のビル群へとゆっくり滑っていく。その窓は浅葱色の摺りガラスで、車内から眼下を伺うことも、外部から内部をさぐることもできない。そこに乗っている彼らの姿を想像することは、モノレールを見上げるダウンタウンの人々の娯楽とはなり得なかった。すでに絶望的な状況に追い込まれているダウンタウンでは、成功者をコケにして笑うことは、あまりにも心の余裕と逼迫感を求めるものだった。ダウンタウンの人々は、逼迫した生活すら失われた頽廃的な日々を、合法の概念すらない快楽を自堕落に求めて生きていて、それ故に心の余裕などあるはずもなかった。
 彼らは頭上を走る、ほうき星のようなレールを見て、嫉妬心を抱くことを見越して建てられたと思うだろうか? 決してそんなことは考慮されていない、と彼らも、それを建てた行政府すらそう答えるだろう。そのように両者とも彼らを無視し、濁った茜色の底へ沈めているのだ。滅多に拭かれない赤塗れの体の酸っぱい異臭が充満し、ところどころで出しっぱなしで洗い流されずに残る精液の臭い、質の悪い煙草の脂と適当に混ぜ合わされた粗悪な麻薬が溶け合う唾液の臭いが、彼らの窪んだダウンタウンを猖獗し、いっそう彼らを不健康に落とし込める。
 彼らの多くは、生まれついてのDowntownerだ。ずっと、劣等地で育ち、劣位の人々の価値を内面化し、腐臭を纏い続けている。また、その空気の中に押し込まれる、ウエハース風ビル群の元労働者は、誰も彼もがひと月も経たぬ間にその雰囲気にのまれ、生まれついてのDowntownerと見分けがつかなくなる。それを知っていて、行政府は手出しをしない。頽廃したままでいてくれれば、彼らの生活支援さえしておけば文句が出ないのだから。それは誰もが知っている。誰も這い上がらない、その力のない廃人しかいないから、そのダウンタウンは廃人の街として延々瀰漫し続けるのだ。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/09(金) 18:06:44.05 ID:0ujAs6Mw0
タイトル「赤息吐息」
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/09(金) 22:44:20.93 ID:0ujAs6Mw0
タイトル「仮面ライダーモハ」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/09(金) 23:47:06.23 ID:FkQLCUDQ0
>>146「瞳の中の私」

 白いブラウスに青いスカート、そしてよく磨いた大理石のように艶やかな足が、夜風をむしろ煽るようになめ豊かな美しさを保ち、ぼうと竹が内部からの発光にさらされているように闇に映えている。
 はるかに遠くにいるようでいて、その艶やかな姿はさも右手を伸ばすとすぐ届く30pのところにいるようだ。まるで石膏像、宝物のように取っておきたい。颯爽と彼女は自宅へと向かう。仕事終わりの夜中であるにもかかわらず、彼女は意気揚々としていた。というのも、明日明後日明々後日と仕事がないのだった。しかも祝日とも関係ない、ひと月前の休日出勤の代休である。有休を消化せずにもたらされた休み、しかもほとんど仕事をする必要がなかった休日出勤の代わりとあって、休みが一日、合法的に増えたと喜んでいたのだ。美しい彼女だが、その実かなりの出不精で、この三日は思う存分家でゴロゴロ、ダラダラするつもりである。三連休を、有意義に使わず、ひたすら怠けるというのは実は最も贅沢で、有意義ですらあると考えていた。好きなようにだらけよう。
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/09(金) 23:47:49.74 ID:FkQLCUDQ0
>>299 続き

  彼はそれを知って喜んでいた。彼は彼女がお気に入りで、現在住む部屋も彼女を一方的に見られるからだった。手元には無数の写真があり、無防備な姿がさらけ出されている。ベッドに寝転がって薄着でポテトチップスを食べている姿、風呂上がりすっぴんで風に当たる姿、おもちゃを使って喘ぐ姿。中にはカメラ目線のものですら。私は当然そのことを知らなかったしどこからかのぞかれるとも思っていないから、その姿を恥知らずながら見せつけていたわけだ。私を撮っている人の眼には、誰にも見せない私の秘部が映っているはずだった。恥ずかしい、知られるなら信用している人であってほしいものだ、しかしそれでも勝手につかまれたその私が実際の姿かもしれない。俺は喜んでそれを撮っていたが、ふと、この姿を撮っているのは俺なのだろうかと思った。俺が撮っているのは俺の求めているものであって、俺の力で切りとったものではないだろう。圧倒的人工的構成。それは、カメラ目線でありながら、こちらに気づいていないあの女の不自然さにもつながる。
 あの女はおれを知らないだろう、事実前述のあの女の語りはあの女の語りではなく、形式的にこの作者があの女の語りを借りて語ったものであるからだ。一方で俺の語りはある程度俺の語りだが、あの女の語りなどは俺じゃなく作者が便宜的に俺の語りを則ったに過ぎない。話を戻そう、その自覚のないカメラ目線の前では、俺は面食らった。あのような底抜けのイノセントな目がかつてあったか? ない。あの眼には、盗撮のエロティシズムの代わりに、俺の垢だらけの酸味がかった汚い顔が投影されているのだ。だから彼女の眼が逆説的にイノセントなのだ。垢の塊があの中に入れば、そのほかは一切無垢なのだ。眼の中で、俺たちの正体が現れるのだ!
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 00:33:57.18 ID:eB1Byk5WO
タイトル「インチキおじさんとぼく」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/10(土) 15:13:40.01 ID:ePqzRusX0
タイトル「適当に作った長い話」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 18:39:06.93 ID:pn/NKGRMO
タイトル「宝があった島」
タイトル「或るセールスマンの話」
タイトル「或る探偵の話」
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/15(木) 10:56:20.22 ID:NG3DUiO40
タイトル「ニンゲンホイホイ」
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/15(木) 14:40:37.25 ID:896s+tUFO
タイトル「笑う壺」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/17(土) 22:25:14.55 ID:08sYOQwl0
>>148「はじめての世界」

 右を見て、上を見て、左を見た。12月のような寂しさもあるし、5月のような映ゆさもあり、また8月のような激しさもあるように思われる。
彼はあるときは佇みあるときは速足で路地を抜け、何度も振り返ったり灌木の裏や陰を覗いたりしていた。そしてこう考えた、

『ここはどこだ?』

 非常に驚き怯えて、背中じゅうを冷や汗が微細な蛇のように這っていた。盛りの季節の柿の木の隣に、板塀越しに立ち竦んだ。彼は人とすれ違うこともできなさそうな狭隘な路地に入り込んで、開けた道路に出なければならない状況に追い込まれていた。出口の左右は塀によって囲まれ、真正面しか見えないようになっている。

『おれはあの間から娑婆に躍り出て、異邦人の裁きに晒されなければならない』

 そんな不吉な予感が彼を打った。塀の陰には無数のエージェントが控えてい、俺をすぐさま攫っていけるよう万端の準備を設えているかもしれない。エージェントは画一的で、俺の右手を掴んだやつが次の瞬間には俺に猿轡をかませる役を担い、俺を運ぶ運転手が瞬く間に俺の隣でしょうもない質問をいくつも投げかけてくることだってあるだろう。
 勇気を出して、路地から出てみる。明るかった。左右にまっすぐな道が果てしなく伸びていた。地球を一周して戻って来れそうだ。
 秘密法廷はなさそうだった。彼は安堵し、どちらに行くか迷っていたが、足元に子どもが立って見上げているのに気づき探索をやめて微笑みを湛え、話しかけやすいように見つめ返してやった。
 子どもはじっと見るばかりでなかなか話そうとはしなかった。自分が悪いのかと自信を無くしかけ、沈痛な思いで俯くこうとした途端子どもが口を開いた。もっと早く話し始めてくれ、と彼は思った。
「はじめまして」彼は次の言葉を待って黙っていた。「はじめまして」子供が繰り返す。

続く
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/17(土) 22:55:37.85 ID:08sYOQwl0
undefined
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/17(土) 22:56:39.92 ID:08sYOQwl0
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308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/17(土) 23:07:43.20 ID:08sYOQwl0
続き

「はじめまして、って言えばいいのかな」彼は言った。「はじめまして。これでいい」やや威圧的に言い子どもを打ち負かそうとした。しかし子供は気にする様子もなく、深々とした墨のような瞳を向けた。吸い込まれそうな雰囲気に彼は飲まれ、踵を翻した子供に自然とついて行くことになった。

 しばらく行くと、心落ち着く空気が訪れた。その正体を探るままに歩いて行くとその理由に気づく瞬間が訪れる。わかったぞ! 彼は無声で叫び、そして勝鬨を挙げた。「エウレーカ!」

 「よしきみ、ありがとう! ここがどこかわかったよ。君のお蔭かもしれないな、バイバイ!」彼は去ろうとした。しかし子どもはわれ関せず歩いている。不愛想なガキだなあ、と思っていたが、子供のあとに彼はついて行っていて、それに気づくまでに時間がかかっていた。

『おかしいぞ』彼は思った。

「おかしくないさ」と子どもが唐突に、判決を言い渡すように言った。「ここにいる以上はそうせざるを得ないんだ。気づいたならちょうどいいし、しょうがないな」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/17(土) 23:08:37.03 ID:08sYOQwl0
続き

 固唾を飲む男に子どもははっきりと告げた。「君が自分の世界を失ったとき、この世界がはじめてつくられるんだ。僕らは〈はじめての世界〉って呼んでる。そこに来た人を回収するのが僕の役目だ」
 男は沈黙しせかせかと子供と同じペースで歩く。意志が先か、運動が先かわからなかった。「ここははじめてだと認識した状態でしか維持され続けない。君が思い出した途端にここは崩れ始め、消える。それはあまりに不憫だからね、僕らはそこにいる人を連れて行くんだ。あっでも、元の世界には戻れないよ。君が消えた時点で〈はじめての世界〉が切り出され、再構築される。もう戻る余地がないんだ。だから僕のあとについて、箱に収まっといて。身動きできないつまんないとこだけど、我慢して。そうするしかないんだよ、わかってね。拒否権はないよ。もっとも、最初からそんなものは与えてないし、だから君は心を奪われた状態で歩かされているんだけど……」

 彼は歩いている。しかし首はおかしな角度に曲がり、涎が垂れ白目をほとんど向き白痴の装いを現していた。
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/18(日) 17:56:31.58 ID:d7RI9MU9O
タイトル「I write Japanese」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/18(日) 20:35:43.90 ID:VKHsYoXr0
タイトル「フライングチキン」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/19(月) 23:27:13.09 ID:65A3h+ed0
>>153「ローソンどきどき四丁目店」

(舞台には、コンビニだとわかるように会計、おにぎり・弁当の棚、パンと雑誌の棚を並べておくこと。隅には段ボール箱を、いかにも整理途中というふうにいくつか積んでおく。それと店員を二人ほど。二人は特徴的だが、人ごみに溶けてしまいそうな没個性感を持ち合わさせておきたい。彼らがいることをずっと印象づけられたし。店内には店員二人と棚を物色する客が一人。)

店員A:……(黙ってレジの中で立ち、客が来るのを待っている。小柄でもじゃもじゃ頭。性別はどちらでも構わない)
店員B:……(品出しを一人で行っている。Aがレジに立っているのをとがめないで黙々と。客が質問をしに来ないかと多少気を張ってはいるが、あえて考えないようにしている。)
(客、何も買わず出て行く。上手に消える。)
A・B:ありがとうございました、またお越しください!
(沈黙)
B:なあ、手が空いてるなら手伝ってくれ。お客もいないし、暇だろう?
A:ううん……もう何分かしたら、揚げ物を作らなきゃいけないんだ……ほら、あと4分で10時だよ(と、時計の方を見やる。Bはそれにつられかけるも、それを振り払う)。
B:4分もあるじゃないか。それだけあれば、ちょっとはできるだろう。
A:それは、怪しいんじゃないかな。案外、時間がかかってしまうものだよ。早まる分にはいいけど、遅くなるのはなんとかして避けなきゃ。
B:なら、今から作り始めてしまえばいいじゃないか。終わったら品出しやってくれよ。
A:ああ、そうすればいいな……。

続く
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