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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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112 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:39:45.72 ID:+gB018zg0
「稟ちゃんさん、よ。勝ちゃあいいってもんじゃあないんだよ。
 袁家が本腰を入れるんだ。勝てばいいってもんじゃあない。
 つまりな。
誰が漢朝を背負うのか。ここからは、それを問う戦いになるのさ。
 だからね。有力諸侯だけじゃない、全諸侯に使者を放て。
 敢えて言えば、そうだな。お前らはどっちに与するか、ってね」

――ショー・ザ・フラッグ゙!

「こっから先は漢朝全土を相手取るくらいの意気込みでないといかん。
 そして、袁家は勝者でないといかん。勝たねばならんのさ。色々とね。
 そして、勝つ算段は任せるよ」

「さて。ご信頼はありがたく、確かに。
 しかし、いいのですか?賈駆殿は……」

情を通じた愛人だろう、と鋭く俺の心を抉る。

「……。詠は、詠ちゃんは、さ。優先順位を間違えない。きちんと大事なものを選べる子だ。
 だから、月を選んだ。だったら、そういうことだ。そういうことさ。
 何度やっても同じ選択をする。そういうこと、さ」

ああ、そうだ。そうだろう。きっと月を誰かに人質に取られたとかそういうことなんだろう。
だとしても、俺にも譲れないものはある。大事な人がいる。だから。

「では、諸侯に檄文を発します。既に草稿は陳琳に作らせていますので推敲をお願いします。
 ……それでよろしいのですね?」

「ああ。脅し付けろ。どっちにつくか、選ばせろ。兵を出せないならば銭か物資を拠出させろ。
 従わない奴らは……。まあ、勝ってから考えよう。精々見せしめにしてやろう。
 単に勝つだけじゃない。逆らう気を起こさないくらいに徹底的に勝つ」

無論、圧倒的な戦力を見せつけるのは敵というよりは。

「諸侯に見せつける。袁家の武威をな。
 そして、勝つ。無論、勝つ。
洛陽にて暴政をする董卓を討つのは袁家だ。
 そこんとこ、よろしく」

「承りました。なるほど、董卓は暴政を敷くのですね。
 ええ、風が洛陽に残るというのはそういうことなのでしょう。董卓の治世は、荒れるのですね」

フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。やるのだろう。
俺にだって思うところはある。あるのだ。

「――雷薄が、やられた。奴の下に付けてた若手もそうだ。みんなだ。
 袁家の次代を担う奴らが死んだんだ。皆死んだんだぞ。
だからさ。
 袁家を敵に回すってことはどういうことかを、示さないといけない。いけないってことだ。
 ああ、そうだな。それでこそ破邪顕正ってもんだ」

「……よろしいでしょう。なれば袁家の総力戦、ご相談申し上げます。ええ、ご相談申し上げますとも。
 勝つのみにあらず、大いに結構。大いに結構ですとも」

「……頼んだ。頼む」

心から、頭を下げる。負けられない。負けてはならない。その思いが今更背を貫き、身を震わせる。

――おずおずと伸ばされて、俺を包んだその手は思いのほか、温かかった。

◆◆◆
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