真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/13(火) 23:04:47.14 ID:RwIXM0Iyo
乙したー
速報死んでてヒヤッとしたでござる・・・

ネコミミがイキイキしててかわいいね()
704 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/14(水) 05:54:25.02 ID:01J4wgx30
どもです!
ここが死ぬのは希によくあったんですよね
最近はなかったんですがw
705 :赤ペン [sage saga]:2021/04/15(木) 14:27:02.73 ID:4yQboo920
乙でしたー。しばらくここが死んでたと思ったら今度はやる夫シェルターが?どうなってるのやら
>>700
>>華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。  でも彼女ならこの逆境をばねにして一皮剥けそうな安心感がある
○華琳の多忙さは俺の仕業、というか仕込みも一因だからして。 これ【も】ってことは表でも裏でも無茶振りしてるってことかな
>>意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。 【コトバンクより】労働者の争議行為の一。労働者が団結して仕事の能率を落とし、使用者側に損害を与えて紛争の解決を迫ること。怠業。サボ。
○サボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。     意味合い的に意図しないサボタージュは無いようなので…それにしても禁裏を大虐殺したと噂の奴が近くにいるのによくやるわ
>>特に清流派と名乗る士大夫たちからな! まずは清流派からキレイキレイしたってことかな?【特にこいつらからな】
○特に清流派と名乗る士大夫たちがな!  清流派の割合が多かった。とかの意味ならこうかな?【特にこいつらがな】
>>何だか知らんけど鬱憤を払うように  一応理由は分かるじゃろ…そこまでの事か?とは思うけど
○何だか知らんけど鬱憤を晴らすように 【気晴らし】とかのように鬱憤は晴らすものですね

>>なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。 ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね
>>うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。 精力的に力を合わせるんですね、分かります
>>まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ
まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか
そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?
そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?d姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに
曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分をd姉が肥溜めにぶち込む感
706 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 20:22:39.18 ID:JOGJy0o10
>>705
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
結構長いこと繋がらなかったイメージですね
シェルターが落ちてるのか。なんでしょね。年度替わりかな?

> ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね
殺そうとしても素直に死んでくれないんだよなあw
むしろサイヤ人的に超復活しそうで困りますw

> 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ
今なら、今なら勝ち確定…のはずw
だからこそ、はおーもやらんわけですがw

>まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか
「へえ、そういうこと・・・」
こわや、こわや・・・

>そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?
どっちか片方ゲットしたら、もう片方も付いてくるバリューセットですねw

>そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?d姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに
なんだかんだで、d姉は曹家の大黒柱なんだなって

>曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分をd姉が肥溜めにぶち込む感
割と理想家なところありますものね
そしてd姉のやらかし(?)はご期待くださいませませ。
707 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:39:40.31 ID:JOGJy0o10
怒髪衝天。
今の夏候惇を表現するならばその一言で全てが語られるであろう。そのように夏侯淵は思う。
怒気が一秒ごとに高まり、収斂されていく。そして爆発する。実に自然なことである。

「ふざけるな!」

怒りの鉄槌を振り下ろす。頑丈な樫の木で造られていた卓が、轟音と共に一撃で真っ二つになる。
そして、その怒気の発露に当然反応する者もいる。
驚きすくむ者、そして、その者達の随伴者――護衛――に至っては。

「そこっ!」

夏侯淵が放ったのは何の変哲もない銅銭だ。ごくごくありふれているものである。それが懐に、或いは髪留めに手を伸ばした輩を撃つ。

――指弾。かつて曹家に長期逗留していた、どこぞの青年が酒の席で戯れに語ったそれを夏侯淵は見事に実戦レベルにまで会得していた。
例え質量の小さい銅銭のようなものでもまともに直撃を受ければ、骨にひびが入るくらいには、だ。
当然その直撃を受けたならば。

カラン、と複数の刀子が落ち、響く。

そしていよいよ荒ぶる魂。

「貴様ら!薄汚い取引を持ち掛けるばかりか、華琳様との会談に暗器を仕込むなぞ!言語道断!
 貴様らには死ですら生ぬるい!季衣!七星餓狼を持て!」

はい、と駆け出す少女を見送り、夏侯淵は笑みを深める。

「ああ、そこで腰を抜かしている方々。失禁しないだけ貴君らは立派さ。
何せ貴君らは中華で五指に入る武人の怒気を受けたのだからして。
 だがその報いは受けんといかん。なに、そんなに震えることはない。これで姉者は優しくてな。
つまりこうだ。猶予は与えたぞ?」

にこり、と夏侯淵は極上の笑みを浮かべる。――この状況においてはこの上なく迫力があるのであるが、さっさと立ち去れという言外の意味。蜘蛛の子を散らすようなそれ。
夏侯淵はその様子を見ながら。

「姉者、あれでよかったのか?」

眼前に誰もいなくなり、問う。
その問いには憤然と。だが、きちんと応える。

「ふざけるなよ、ということだな。あのような奴らににどうして気を遣うことがあろうものかよ」

夏侯淵は苦笑する。それでこそ我が愛する姉である、と。

「だがな、姉者。あれはあれで利用価値もあったろうに」

多くは清流派。その影響力は無視できるものではない。なんとなれば、これまで宦官や、何進率いる汚職官僚の邪知暴虐に抗ってきた(とされる)のは彼等なのだからして。

「知ったことか!
 華琳様に面会するのに暗器を仕込むなぞ言語道断よ!」

「それは、そうだが……」

夏侯淵のその言葉に夏候惇は笑う。朗らかに、曇りなく。

「秋蘭。華琳様がこの場を任せられたのは私だ。
だから何も問題はない。ないとも。
変な腹芸が必要ならばあの陰険な軍師気取りが任じられただろうからな。
 だから、これでいいのだとも」

晴れやかに笑う夏候惇。ふむ、と夏侯淵は納得する。した。
主君たる曹操が確かに夏候惇に腹芸をもってして士大夫どもを取り込むことを期待するとは思えない。
708 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:40:06.52 ID:JOGJy0o10
「そう言えばその陰険なのは、二郎の相手をしているのだったか」

その声に夏候惇は柳眉を軽く逆立てる。

「うむ。いやさ、久方ぶりに二郎と語り合いたかったのだがな」

「おや、姉者はそこまで二郎に執心だったかな?」

「茶化すなよ、秋蘭。
二郎はそう、私と違ってどちらもいけるクチだ。
だからあの陰険(ネコミミ)が相手しているのだろうよ」

つまり、手練手管を以って取り込むべきはあちらだと判断しているということか。
夏侯淵は納得する。納得したのだが。

「しかしあれは果たして取り込めるようなものかな」

これは夏侯淵の本音である。過去幾度も、だ。冗談交じりにとは言え主君たる曹操の誘惑をにべもなく断った紀霊。彼がなびくというのは夏侯淵にとっては想像しがたい。

「無理に決まっているだろう」

あっさりと否定する夏候惇。

「私を含めて桂花や秋蘭もそうだがな。
誰に粉をかけられても論外だろう?それと同じことだ」

だったら余計に、と夏侯淵は首をかしげる。

「なに、二郎は本質では単純な男さ。あれを味方につけるのに一番いいのはな。
褥(しとね)を共にし、子の数人も孕むことさ」

からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵が絶句する。

「姉者。それは飛躍しすぎではないか?それに孕むと言っても、だ」

沈着冷静を以って知られる夏侯淵である。彼女の慌てように夏候惇は呵呵大笑する。

「なに、私は二郎を気に入っているからな。
苦ではない。それに、名門たる夏候家の跡継ぎ、考えぬではなかろう?」

「そうは言うがな、姉者。
二郎は、だ。
あいつは、ただ肌を重ねた女にそこまで甘くなるとは思わん。
 賈駆だって、だ」

「無論そうさ。心底敵対するならばいくらでも命のやり取りをするだろうよな。
賈駆は、そこまでいってしまったからな。あれは、そう。哀れな女よ。
 忠誠、友情、それに恋慕を天秤にかけるなぞ、正気の沙汰ではない。
 まあ、それはそれ、これはこれだ。
仮に私が二郎の子を産んだとて、華琳様と遣り合うのに一片の迷いもないさ。
二郎もそうだろう。その後、きっと二郎は苦悶するだろうがな」

かんらかんらと笑う夏候惇に、夏侯淵は問う。

「これは純粋な好奇心なのだが、その場合、姉者はどうなのだ?」

その問いにふむ、と夏候惇は考え込み。

「そんなもの、その時になってみんと分からん!」

それでこそだ、と夏侯淵もつられて笑う。

「そうだな。姉者の言う通りだ。ああ、その通りだ」

くつくつ、と。
その笑いは久方ぶりに本心から、腹から生じた笑いである。

夏侯淵としても、対峙するにも共闘するにも楽しそうなのだ。
少なくとも、彼と対峙するならばあの趙子龍が出張ってくるだろう。自分たち夏侯姉妹を単独で相手をして、負けないまでも勝ち目が見えなかったのは呂布を除けば彼女のみ。

「いかんな、姉者の熱にあてられたようだ。二郎と遣り合うのが楽しそうだと思ってしまった」

「ふふ、いいことだ。或いは秋蘭と矛を交えることになるかもしれんしな」

「おお、こわいこわい。精々姉者の言う陰険軍師に懇願しておこう。そのようなことがないように、な」

笑い合う彼女ら。
その無垢さを見れば、話題の男も考えを改める一助としていたかもしれない。
709 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:41:06.69 ID:JOGJy0o10
本日ここまですー感想とかくだしあー

やっぱ姉者やねん!


ゴールデンウィークまでに形にしたいs
710 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/16(金) 18:05:18.07 ID:EMArqvQw0
ゴルシ
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/16(金) 18:27:57.07 ID:2UriX1CTo
乙したー
姉者さん正しく忠臣ですなぁ

ても二郎ちゃんとの子供とか火種不可避じゃないかな・・・・・・?
712 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:28:00.88 ID:ovSjB6Co0
>>711
どもです!

>姉者さん正しく忠臣ですなぁ
ぶれないですねw

>ても二郎ちゃんとの子供とか火種不可避じゃないかな・・・・・・?
色々と荒れそうではありますw
姉者がいけると思ったらいけるんじゃないかなあ・・・?
713 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:29:38.40 ID:ovSjB6Co0
「やだなにこれ、すっごい美味しいんだけど!」

口にした料理。それは流琉と凪が腕を振るったという超豪華なものだ。
本当は超高級料亭とかでもよかったんだけど、そういう堅苦しいのは苦手ということでとある宿――と言っても結構高級なそれ――を借り切っての接待である。
無論そんな無茶を通せるということは母流龍九商会の息のかかった宿であり、従業員も全て信頼できる者である。と張紘が言ってたから大丈夫に違いない。
まあ、考えてみれば馬家は名門。そのご令嬢が高級料亭が苦手とかどうなんだろうと思うんだが。まあ、料理を次々とたいらげてく蒲公英――残念ながら翠は所用があるということで蒲公英のみの接待となっている――の所作にはごく自然な上品さがあり、馬騰さんの薫陶を思わせる。

「ふ……、流琉も凪も超一流の料理人だからな。つか、俺も二人の合作料理とかあんま食ったことないからそれ貰うな」

「あー!ひどいー!そこのお肉、楽しみにとってたのにー!じゃあ、そこのお魚の、目玉はいただき!」

「何と言う邪知暴虐。これは!宣戦布告!せずにはいられない!」

ちなみに、だ。料理を巡る戦い。
六勝五敗三引き分け。

ふ、大勝利である(迫真)。

「いやいやいや。
 蒲公英の七勝六敗一引き分けだからね」

「なん、……だと……!」

「という訳で戦利品としてこの杏仁豆腐は頂いちゃう!」

にひひ、と笑ってデザートの杏仁豆腐をかっさらって。

「んー!おいしいー!」

いや、蒲公英のこの表情を見れるならば、だ。見れたならば色々どうでもいい気がする。これも天性の愛嬌というやつだろうね。

「でもね、二郎様、ありがとうね」

デザートを腹に納めてから蒲公英がそんなことを言う。

「ん?」

「お姉さまに、馬家を継がせてくださって、ありがとうございました」

深々と、頭を下げる蒲公英。

「ん」

まあ、確かに涼州の安堵は最初期にしたけれども、それは余人をもって代えがたいというか、馬騰さんにもお世話になったというか。

「本来、董卓一味は涼州を預かる馬家によって掣肘すべきだった。
その責を果たせなかったことは苦渋の極みなんだよ。まして、それを討つのも馬家の務めのはずだった。
 うん、だからね。馬家は二郎様にとっても大きい借りが出来たんだよ。なかなか返せないような、ね。
 それを返すのは蒲公英の役目なんだよ」

「気にするな、とは言わんけどな。
 だがな、貸し借りとかそういうのはどうでもいいのさ」

ご指導ご鞭撻いただきたかった。素直にそう思わせる方だった。馬騰さんは。
714 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:30:39.17 ID:ovSjB6Co0
「ちぇー、身体で返せとか言われると思ってたのになー。二郎様のけちー」

「いや、色々おかしいだろうそれ」

そんなこと言ったら馬騰さんが化けて出てきそうである。こわや、こわや……。

「あのな、涼州をきちんと治めるのが親孝行になるのだろうし、そのための援(たす)けは惜しまんよ」

「正論すぎるよ?もうちょっとこう、蒲公英が可愛いから攫ってやろう。その代りに涼州の面倒をみてやろう、がはははーとかの展開とかないの?」

「ないわー。ほんと、ないわー。そりゃ蒲公英は可愛いけどさ、それが理由で便宜を図ったらいかんだろ」

宦官どもとは違うのだよ、宦官どもとは!

「えへ、そっかー。そうなんだー。じゃあしょうがないよね。うん、それだったらしょうがないなー」

なんか急に上機嫌な蒲公英は置いておこう。

「えへへ、涼州に帰るだけでなく過分に糧食も貰っちゃったし、これは蒲公英は覚悟を決めるしかないよねー。ないよねー。うん、覚悟完了!
 あ、大事なことだから二回言ったんだけど?」

諸侯軍に対する糧食の支給は先日打ち切った。とは言え、恣意的な運用というのはいくらでもできるものである。
んで、馬家には数か月分以上の、ちょっと過剰なほどの糧食を支給してある。それに対する謝辞であろう。

「馬家は西方の、匈奴に対する壁だからな」

ここが崩れるとえらいことになるのである。だから、本気で頼りにしているのだ。そして。

「んでもって韓遂の相手、任せた」

今回の始末でも韓遂は処断できずに不安要素なままであるのだ。劉焉は隠居に追い込んだんだがなあ。

「うわーん!泣いてやるー!韓遂さんの相手ってどうせ蒲公英がするんでしょ!やだー!
 はあ、詠ねえさまがいた時は楽と言うかお任せっきりだったんだけど……ってやば!」

じくり、と苦いモノがこみ上げる。ちくり、と胸が痛む。

「ん、そだな……」

確かに詠ちゃんがいたならば、涼州は安泰だっただろう。あの、梟雄たる韓遂を向こうにして鼻歌混じりで領地運営をしてのける手腕は見事の一言。そして。

「洛陽は、さ。ほんとに見事に治まってたんだわ」

張紘、魯粛、そしてメイン軍師たる風からの報告。

「あんなにさ。あんなに追い詰められてて、さ。
 それでも。それでもきちんとやるべきことはやってたんだよ」

だからこそ宦官どもを許すことはできなかった。

「二郎様、ごめんなさい……」

「いや、いいんだ。もし、それこそ詠ちゃんが存命ならば涼州は安泰。だったら蒲公英を州牧として翠を太尉にできた。
 馬家の、だ。名門馬家の後継ならば実に妥当。現状の白蓮みたいに異論も湧かん。補佐に月をつければそれで済むしな。いや、月はむしろ司徒か司空だな。そしたら俺が楽できるし」

これは妄想。だが、ひょっとしたらありえたかもしらん未来だ。
くそ!なんて時代だ!
言っとくけどな!華琳に権力持たせるとか結構苦渋の決断だったんだからな!マジで!
715 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:31:05.74 ID:ovSjB6Co0
「たはは、その台詞はお姉さまに聞かせないでね。お姉さまってば本当にお仕事しようとしないんだもの」

「む?俺も本気で仕事しないぞ?」

「それは袁家の官僚組織が整備されてるからでしょ?うちはそうじゃないんだよ……」

たはーと言った風にがっくしと。

「ん。じゃあ翠は今も書類に追われているのか?」

だったら俺とのアポを放り出しても仕方ない。いやさ。それならば天晴れ天下御免である。

「えーと」

対する蒲公英の表情は冴えない。

「なんだ男か」

「え?なんで分かるの?」

マジか。いやいやいや、あの翠が男とって、ありえんだろう。
しかしこれは大問題ですよ?あの翠が逢引とか、私、気になります!

「ええと、蒲公英の推測だから、ね?」

「よいではないか、よいではないか。あの翠が一体どんな男に引っ掛かったんだね?」

我ながらうさんくさい口上なんだが、蒲公英の答えに俺は凍りつく。

「多分、なんだけどね?一刀さん、と思うんだよ」

「なん……、だと……」

マジか、マジなのか。
そんな俺の表情を見たのか、蒲公英がフォローしてくる。

「いやでもね?ほら、一刀さんも桃香さまもいい人たちじゃない!
 うん、たんぽぽ、二郎様がそんな顔することないと思うんだけどなー!
 いや、そりゃあ二郎様とのお約束をすっぽかしたのはアレだけど、ほら、そこは若気の至りってことでひとつ!」

「蒲公英よ、一体何をそんなに慌ててるのかな?」

「いやいやいやいや。だって二郎様目が笑ってないもの。やだなー蒲公英もっとこう、にこやかな二郎様が好きだなーって思うんだよ。
 ほんと二郎様のその、無表情な顔とか見てたら辛いって言うか!」

ん。少し頭を冷やそう。確かにここで蒲公英に当たっても意味はない。八つ当たりにしかならん。
なにより、メンタルのタフさ加減では定評のある蒲公英がマジ泣き寸前ってのがなんかこう、後ろめたい。

「怒ってないよ?別に怒ってないよ!俺を怒らせたら大したもんだよ!
ほら、蒲公英!怒ってないから!」

「ほんとに……?」

「あー、怒ってないとも。平常心!平常心そのものさ!」

「……。
そっかー、よかったー。よかったよ」

「少なくとも俺個人の感傷、感情で馬家の当主に対して何か思うことはない。ありえない。
 馬騰さんにはお世話になったし、な」
716 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:32:18.73 ID:ovSjB6Co0
「やっぱ怒ってるじゃない!」

「怒ってはいない。怒ってはいないぞ?苛立ちはあるが、な。聞く気はあるか?」

「ええと、分かっていると思うの。ほんと、お姉さまがごめんなさい。二郎様とのお約束をないがしろにするとか、本来ありえないのは蒲公英分かってる。
 ほんと。ごめんなさい。馬家と袁家が、ううん。袁家主導のこの流れに異議を唱えるようなものだもの」

「まあ、だからかも知らんがな。翠は反骨の気風。袁家が差配するこの漢朝、反感あってもおかしくはないかもしれん」

「それはあるかもしれない。んー。そこまでお姉さまを分かってる二郎様にはお姉さまをモノにしてほしいなあ。あ、勿論たんぽぽでもいんだよ?」

「そこで茶化すな」

茶化してるわけじゃないもん、とか言うのは無視する。

「翠の反骨、それはいい。それは気骨というものさ。
 だが、その判断を人に委ねるならば話は別さ」

「ん。……でも。
でもね?一刀さんも桃香様もいい人たちだよ?」

その言葉が俺を切り裂く。

「ああ、きっと俺よりいい人たちなんだろうさ」

「やだ、たんぽぽ別にそういうつもりでいったんじゃ……」

あたふたと慌てる蒲公英がなんかとても可愛らしく思える。

「勘違いするなよ、蒲公英。お前はそこを勘違いしてはいけない立場なんだぞ」

「へ?」

「言っておくがな、為政者に人格は必要ないと知れ。為政者は更に結果で人格を語られるもの。人格者だから世が治まるのではない。世が治まるのであればそれはその為政者は人格者となる。
 分かるな?」

こくり、と蒲公英は頷く。

「でも、認めたくないなんだよ。それを言うならば、叔父様よりも韓遂さんの方が涼州の為政者として相応しかったってことになるかもしれないじゃない」

なるほど。と言うか。

「そこは論点がずれてるな。翠と蒲公英。二人の想い。それだけで馬騰さんは州牧として望めないほどの方だったさ」

「うう、その物言いはずるいー!そんなこと言われたら、頑張るしかないし!」

うう、と涙目の蒲公英である。
こいつ、俺と同じくサボりたがりだが、俺より純情かつ真面目だからなあ……。

「なに、蒲公英一人くらいどうとでもしてやるから、さ」

まあ、翠はいつか暴走しそうだし、馬家の武威を思えば抱き込んでおいて損はないと言い訳する。
いや、俺はこの可愛い子がかなーり気に入ってる。多分、きっと、だ。姐さんも気に入ったはずだしな。

「そんときゃ、黙って俺に付いてこい!」

俺は、俺が好きな人たちと幸せになりたいんだ。
それを、言語化した方がいいんだろうなあと思いながら。

そんなこんなで夜は更けていきました。ということで一つ。
はい。
717 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:33:15.02 ID:ovSjB6Co0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名、なんだろうな。
「馬家懇親会」?いまいちだ。
浮かばないので助けていただいたら嬉しいやつです。
718 :赤ペン [sage saga]:2021/04/19(月) 15:45:58.27 ID:Nsz0pjb10
乙でしたー
>>708
>>からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵が絶句する。 まあ一度味方認定したらトロ甘になりそうよね、それでも最後の一線とか絶対に守るものとかは間違えたりしないけど
○からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵も絶句する。 これは夏侯惇があけっぴろげな事を言うのはいつものことだけどそれでも想定以上だったという事かしら?
>>715
>>たはーと言った風にがっくしと。    これは溜息ついてるのか苦笑してるのか
○たはーと遠くに目をやり、がっくしと。 もしくは【疲労困憊と言った風にがっくしと】とか【羨ましいとばかりにがっくしと】とかどうでしょう

この自分に求められてるものを分かってて脳筋してるのが最高にかっこいいね、これには曹操もにっこり。d姉との間に子供かあ…できたらいろいろな重しになりそうだからこそ二郎側から躱しそう
馬家の姉ちゃんはさあ…約束しないならまだしも約束すっぽかすとか脳みそたりてる?恋愛脳になって脳の大部分のリソース使い切ってない?
恩人に砂掛けるような奴は助けた亀に海に突き落とされても仕方ないんだよ、キビ団子をあげた犬に手をかまれて、鶴を助けたらその日の晩にやってきた美人さんに美人局されちゃうよ?
というか蒲公英の推測ってことは一刀と天秤にかけてあっちを取ったのでもなく恋煩いして体調不良()で欠席したのか?ヤバいですね!
馬家二の姫が覚悟を決めたかな?叔父様が治めてた涼州をそのままに守ってくれようとしてる凡人とせっかく受け継いだのに恋愛脳で現を抜かす姉さま…これには一刀もにっこり
719 :青ペン [sage]:2021/04/19(月) 16:05:34.52 ID:DL3LDQZGo
>>717
まったムズいシチュだねぃ

『凡将と戯れるは西涼の華』
とでもしとこかー?
720 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/19(月) 21:07:11.03 ID:pLNR6mbv0
>>718
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
やったぜ!

>この自分に求められてるものを分かってて脳筋してるのが最高にかっこいいね、これには曹操もにっこり。d姉との間に子供かあ…できたらいろいろな重しになりそうだからこそ二郎側から躱しそう
姉者は地頭よさそうなんですよね・・・。変にはおーに粉かけないだけで冷静にあれこれ対応してくれる印象です。
そらはおーも重用するよねって感じです。逆に重用するのは、粘膜関係だからじゃないと思うのですよ。

>馬家の姉ちゃんはさあ…約束しないならまだしも約束すっぽかすとか脳みそたりてる?恋愛脳になって脳の大部分のリソース使い切ってない?
ほんと同じ脳筋でどうしてこうなった
原作の原作が影響しているのかなあ
キャラとしては大好きなのですけどねw

>というか蒲公英の推測ってことは一刀と天秤にかけてあっちを取ったのでもなく恋煩いして体調不良()で欠席したのか?ヤバいですね!
蒲公英は取り繕ってますがやばいです!いや、やばいやろ。。。

蒲公英の苦難はそれとなく始まったな感ありますね(適当)


>>719
どもです!
やったぜ!ありがとうございますー!

>『凡将と戯れるは西涼の華』
これはよきですね。流石です。仮採用あざます!
721 :赤ペン [sage saga]:2021/04/21(水) 10:11:05.37 ID:YqNSjTTD0
個人的には【言った風に】よりも【言わんばかりに】が好み
最近やってるアニメでスローライフがしたいって言ってる主人公が色んな厄介ごとを持ち込まれるというか家に厄介な人がやってくるのがあったんだけど
何であいつ引越ししないのかしら
722 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/22(木) 21:34:10.89 ID:4UkduHyo0
>>721
>最近やってるアニメでスローライフがしたいって言ってる主人公が色んな厄介ごとを持ち込まれるというか家に厄介な人がやってくるのがあったんだけど
気軽に引っ越し出来ない層に共感してもらうため、とか?
ご近所は選べないですからねえw
723 :赤ペン [sage saga]:2021/04/27(火) 18:19:53.80 ID:SrARA4X30
なんか最近超不安定…不安定じゃない
ご近所じゃないんだよ、そこに住んでる有名人(主人公)に会うために遠方からわざわざ訪ねてくるんだよ…(なおどこそこの職業、という通り名なので住みかと恰好を変えれば大分ましになると思われる
しかも主人公は世界最強クラスだからその気になればどこだろうと生きていけるスペックはあるんだ(生活力は知らんが
724 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 18:24:00.28 ID:YZSQvDDu0
>>723
興味出たので教えてくだしあ
チェックします
725 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:31:37.98 ID:YZSQvDDu0
ふにょり、という擬音が一番ふさわしいだろうか。
だが、それは内包されたポテンシャルを表現しきってはいない。柔らかでいて、なおかつ圧倒的な質感。たわわに実った豊穣。その、人の世を明るく照らす希望を象徴するようなそれ。
人はパンのみに生きるに非ず。そう、物質的な豊かさのみならず、精神の豊かさすら満たしそうな、そんな神の存在を確信してしまうほどに完成され、未だ進化の可能性をも内包する存在がある。
人は生きるために五つの知覚を備えている。そのうちの一つ。触覚のみでここまでの幸福感を味わうことができるとは――。

「あなたが神か」

そう独白したのもやむをえないところである。人、それを現実逃避と言う。

「……貴方は一体何を言っているのですか」

その、状況としては、だ。俺が関羽を押し倒しておっぱいをわしづかみにしているという、なんだそれ。うん、神は死んだ。そしてこれは俺も死んだかもわからんね。

◆◆◆
726 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:33:55.06 ID:YZSQvDDu0
「いや、正直すまんかった」

「いえ、公道を走っていたのは私の方ですから。ならば激突の件については私に非があるかと」

神妙ながらも微妙に含むところのあるような表情でそんな口上を述べるのは関羽だ。
うん、そうなんだ。洛陽の十字路を曲がったとこで、全力疾走してきた関羽と正面衝突して、だ。なぜか俺の両手は関羽の双丘に。それなんてエロゲ?な展開に頭が沸騰しそうだった俺である。
ただ、その相手が関羽という武の巨人――別に巨乳の人という意味ではない――である以上、六文銭を意識するのは致し方ない。いや、それすらも現実逃避であったのだが。
幸いにも、不幸な事故ということで関羽も納得してくれた。いや、やばかった。あそこで揉みしだいていたら、いかなる言い訳も通用しなかったであろうからに。
頑張ったな、俺。誰か褒めて。

「しかし、なんであんなに走ってたの?」

なんでも、老婆から荷物をかっぱらったごろつきを追っていたらしい。なんとも義侠心のあることである。ご丁寧にと言うか流石と言うか、そのごろつきの特徴まで観察していたのは流石である。

「まあ、しかしだ。そこまでその犯人の人相風体を把握しているならば後は官憲の仕事だろうよ」

「む、ですが……」

「なに、餅は餅屋、さ。どうせ初犯じゃないだろうしな」

微妙に納得していない風であるが。

「何だ、そんなに信用ならんかね、官が」

「はい。はっきり言って、ここのところの世の乱れ。それは官の不徳故でしょう。例え犯人の特徴を伝えても、検挙に至らない。そう、思ったのは事実です」

政治不信。ここに極まれりだね。

「だったら、犯人を捕縛して官吏に突き出してもまともな処罰は望めないなあ。
それとも、私刑(リンチ)でもするかい?」

「む……。それは……。
いえ、正直そこまで考えてませんでした」

「まあまあ、義を見てせざるは勇無きなり、だそうですし〜」

それまで黙っていた風が口を挟んでくる。ほんとはメイン軍師たる風と二人での会食の予定だったのだ。

「そろそろお料理も来ると思いますし、あまりここで深刻になる必要もないかと〜」

そう、ここは超のつく高級料亭。
あれだ、翠と蒲公英の接待に押さえてた枠を消化しに来る途中で至福のおっぱいを堪能したというわけだ。ほいで、事故(セクハラ)のお礼――お詫びと人数合わせを兼ねてご招待したわけだ。

「いや、私はこれで失礼しようかと。
このような歓待を受けるいわれもないと思いますし」

戸惑う関羽である。キョドり具合が割と可愛い。
ちなみにここまで関羽を誘導というか、連行したのも風である。言葉巧みに誘い込むその手練手管に全俺が戦慄した。ほんま、風を敵にしたらあかんでぇ……。

「おやおや。本気ですか〜?このような機会、望んで得られるものではないですよ?
 三公の筆頭たる方と、このような場で会える。
 そのことの意味、軽く考えすぎではないですか〜?」

「紀霊殿の地位は、認識しています。だが、その地位におもねると思われるのは不本意ですね。
 あくまで私の主君は桃香様でありますし」

それを聞いた風がくすくす、と風が笑う。

「本気でそうおっしゃいますか?いや、正気ですか、とお聞きするべきでしたかね〜」

ころころと鈴を転がすような声で……それ、挑発だよね。
ほら。ほらほらー。
怖い人が、視線だけで人が死ぬようなそんな目つきになりそうですよ。

「何が、言いたいのですか……?」
727 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:35:04.23 ID:YZSQvDDu0
殺気すら纏う関羽の言葉を受けても、風は動じたりしない。当たり前だよね。そんな繊細さなんてないに決まってるもの。

「おやおやー。本気でお分かりでない。これはびっくりなのですね〜。
 二郎さんに言わせると、あっと驚くだめごろう、なのです〜」

「ためごろうだよ!」

「おお、間違えました!」

ちがう、わざとだ!

「いや、わけがわからないのですが……」

気勢を削がれたのだろうか。それでも関羽が戸惑いながらも問いかけてくる。

「おやおや、これは嘆かわしいですねえ。三公の長たる二郎さん。その方とお話できる機会の価値をお分かりでないと。
 いやしくも漢朝の一端を担うべき方の自覚、識見いかがなものかと。これはその上司の程度も知れますね〜」

くふ、と含み笑いの風に関羽は激昂する。

「私のことはいい。だが桃香様を愚弄するのは許さん!」

その、殺気と変わりないほどの怒気を受けても、風にはまさに柳に風。

「さてさて、許してもらえないとのことですが、どうするのですかね〜。手討ちですかねえ。こわや、こわや……」

ここで思い出したかのように俺を見てにこりと笑い――いや、可愛いんだけどね――、とてとてと俺に駆けより、陰に隠れる。っておい。

「風は二郎様の臣ですので、生殺与奪の一切は二郎様にお任せしてるのですよ。
風を討ち取りたいのであれば、二郎様を通してくださいね〜。
無論、二郎様の命であれば風はいつでも応じますので」

そう言いながら、きゅ、と抱きついてくる風。あざとい!実にあざとい!キュンとするじゃんか!マジ俺チョロい!
つか、風は俺のメイン軍師なんだからそんなことするわけないじゃん。と、口を開こうとすると。

「――いえ、失礼をしたのは私ですね。できればご寛恕願いたい」

そう言って頭を下げる関羽に流石の風もびっくりどっきりであるようだ。

「いえ、程立殿の言、いささか耳に痛かったのは事実ですが、感じ入りました。武と文、道は違えどもその心根は同源。そして頭が冷えたのも事実です。
 そして私はもっと視野を広げなければならないと思いました」

だから、問わせてくださいと関羽は頭を下げる。

「紀霊殿は、どうも桃香様、そしてご主人様に辛く当たっている、と思うのですが」

ほお。
728 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:35:32.30 ID:YZSQvDDu0
目線で口を開こうとした風を抑えて、俺が応えてやる。

「言ってる意味が分からんね。正直、妥当か、むしろ甘めだと思っているが」

「本気で、そうおっしゃるか」

「あ?
俺の言を聞かないなら、これ以上の問答は不要だな」

帰るぞ風、と言おうとしたのだが。

「まあまあ、二郎さん、時に落ち着いてくださいませ〜。関羽さんも力を抜いてくださいな」

「んなこと言ったって、さあ……」

「くふふ、ここは風にお任せ願いたいのですよ〜」

メイン軍師にそう言われてはいかんともしがたい。
フン、と拗ねてそっぽを向いてやる。

「さて、関羽さん。貴女(あなた)は一体どうしたら満足されるのでしょうかね?」

くふ、と柔らかい笑みを内包したまま風が問う。

「決まっている。桃香様、それにご主人様が正当に評価されることだ」

胸を張り。高らかに、誇らしげに関羽は宣言した。実に見事な胸部装甲である。李白か芭蕉がこの光景を詩歌にしたものを聞いてみたい。
問題は、この時代の詩才については華琳が図抜けていることか。などと思いながら風の切り返しを楽しみにしていたのだが。

「ぐう」
729 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:36:04.24 ID:YZSQvDDu0
まさかのいびきである。
ダン!と卓を関羽が力任せに叩く。よく壊れなかったな、と思うほどの勢いである。

「おお!寝てました!」

これは確定的にわざとなんだろうなあ……。

「貴女は!真面目に人の言うことを聞く気があるのか!
自分から問うておいて!」

あー、これ関羽さん本気で怒ってますわー。
でも風ちゃんたら、毛ほどにも痛痒を感じていないみたいですわー。

「いえいえ、風は真面目ですよ?あまりにも眠たいことを関羽さんがおっしゃるので、睡魔に身を委ねただけです〜。
 だって風や二郎さんは、そのような実体のない売込みにはうんざりしているのですよ。
 目立った武勲、功績のない貴女たちに報いる必要はないのですね〜」

「話にならなん!桃香様のような方に相応に報わないなぞ、正気とは思えん!」

にまり、と僅かに風の口元が歪んだ。

「これはしたり、ですね〜。課せられた職責。それを放り出すような人材。
言っておきますが、白蓮さんの強い援護と推挙がなければ幽州のいち官吏となることもできなかったのですよ」

くすくす、と心底おかしげな風。さしもの関羽も言葉を失う。

「ええ、先ほど官吏が信用できないとおっしゃいましたが、さて。
与えられた職責を放り出す官吏。これほど貴女の言う、信用できない官吏に当てはまる条件もないかと〜」

その言葉に反論しようとする関羽を目線一つで制止して言を連ねる。

「そして、貴女が信用できないとおっしゃった官吏。その中で治安を担うのは星ちゃんなのですよ。
 星ちゃんが信用できないとおっしゃる。
いやあ、泣く子も黙る執金吾、鬼の趙子龍。
洛陽の治安を一身に担う星ちゃんの声望を貶めたいのか、それとも妬ましいのか判断に困るところではありますね〜」

楽しんでそうだなと思ったのだが、眠たげな表情はむしろ苦みを含んでいて。
730 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:36:40.62 ID:YZSQvDDu0
「論点をずらさないでいただきたい!」

「ずらしてなんかいませんよ?
結局は貴女が心酔している方を優遇しろと言っているだけです。
いやいや、まだしも宦官の方がマシじゃないですかね?
対価を用意するだけ」

対して貴女たちは恫喝だけでしょう?

「な!宦官以下だと言うか!」

激発したならば俺じゃあ関羽は止められないって知ってるくせに、風よ!
いや、それが狙いか?それは、それは許さんぞ?

「のっぴょっぴょーん!」

かいしんのいちげき!シリアスさんは死んでしまった!

「な、なにを……」

ここは勢いでたたみかける!

「関羽。貴様の忠誠はいい。だがな、それは何に対してだ。それを考えろ。
 劉備に対してか、北郷一刀に対してか、その思想に対してか。
 それとも、漢朝に対してか、な。
 正直、ね。お前さんの忠義、ブレすぎだと思うよ。いやさ、絞れていない、か。 
 何が大事か、考えてみろ。それができないとは言わせん。そんな奴が白蓮の下に就くなぞ許せん。
 いいか。白蓮は中華で十三席しかない州牧となるのだ。なったんだ。
 それに対して貴様らの価値は何だ。旧友以上の価値を俺に示してみろ。それならばいくらでも報いてやろう」

せめて、だ。せめて雷薄がいたならば白蓮の補佐に付けた。韓浩にはない武威。問答無用のそれがあった。いや、それを言うならば、もっとふさわしい人材もいた。白蓮の生真面目さ、韓浩の狷介さも優しく笑って、包んでくれるような人が、いた。いたんだよ。いたのだ。

くそ、未練か、後悔か。どうにも後ろ向きな思考になってしまう。くそう。

「はいはいー。とんとんしましょうねー。とんとーん」

ぺち、と頬に走る冷たい感覚が俺を現実に引き戻す。引き戻してくれる。

「風、すまんな」

「風は二郎さんの軍師ですから〜」

くふふ、と笑ってしなだれかかる風の身体をきゅ、と抱きしめる。
肉付きの薄いこの身体で、頑張ってくれてるのだなあと痛感する。

「まあ、なんだ。俺は釣った魚には全力で餌をやるからな。欲しいものあったら言ってね。
 そして、だ。
 んー。いや、なんでもない。
主従ともに息災で、な」

たはは、と。ひらひらと手を振って詫びる。

「む、色々と反応に困るのですが」

「知るかい。困って困れよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」

そしてぐぬぬ、と唸る関羽である。

まあ、色々堪能したからこれでヨシ!としよう。

「くふ。忠義。それは思考回路を麻痺させるものかもしれないと風は思ったのですよ。
 関羽さん、どう思います?」

容赦ない。流石風は容赦ない。

その問いには明確に応えずに去る関羽。その悄然とした様子を見て思う。

――もうちょっと苛めたらよかったかなあ。わりとそそるやん!
いや俺にそんな趣味はなかったはずなんだけどね。
ないってば。
731 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:37:06.72 ID:YZSQvDDu0
本日ここまですー感想とかくだしあー

関羽との語らいとかなんとか
題名を募集しまくりんぐですよ本当に!
732 :青ペン [sage]:2021/04/28(水) 08:27:54.46 ID:EC+7tbDpo
>>731
そうなぁ…。
武人と軍師の禅問答〜汝が忠義は何処を向くや
733 :赤ペン [sage saga]:2021/04/28(水) 17:43:54.43 ID:lB/rRXVx0
乙でしたー >>724【スライム倒して300年知らないうちにレベルMAXになってました】ですね…私はそろそろ切ろうかと思ってますが
>>725
>>だが、それは内包されたポテンシャルを表現しきってはいない。 【ポテンシャル】だと【まだ眠ってる才能】とか成長性のようなニュアンスがあるので
○だが、それは内包された真価を表現しきってはいない。     もしくは【価値】、【スペック】、【値打ち】、【あり方】とか?
>>726
>>「いえ、公道を走っていたのは私の方ですから。  公道とか私道の概念ってあるの?というか仮に私道だろうと十字路でぶつかるようなスピード出しちゃいかんでしょ
○「いえ、道を走っていたのは私の方ですから。  ついでに(人生の)道を間違えてますよHAHAHA。それとも【いえ、ぶつかったのは】とかどうでしょう
>>検挙に至らない。そう、思ったのは事実です」 間違いと言うほどではないですがこの【そう、】に違和感が
○検挙に至らない。そう思ったのは事実です」  もしくは【そう思ったのは、事実です」】だと不信感に重みが出るかな?
>>730
>>「のっぴょっぴょーん!」

かいしんのいちげき!シリアスさんは死んでしまった! ごめん…ちょっと意味が分からない。空気を変えて話題も変えるならありだけどこの後真面目に話が続くと温度差で風邪ひいてコロナと間違われて白い目で見られそう
○「風。お前が俺だけじゃなく親友たる星まで愚弄されたと憤るのは分かるが言い過ぎだ。俺を止めたお前を今度は俺が止めるとか漫才じゃねえんだぞ」

心底疲れる。と深いため息とともに風の頭に手を置けばするりとその手を頬に誘導し、雰囲気を甘いものに一変させる……そのあまりの変わり様に流石の関羽も理解が追い付かないようだ。――ここだ。 風ちゃんなら二郎が明確に止める行動をとればそっち方向に180度逆走して慣性を置き去りにできると信じて
実際関羽もさっきまでの自分の言動が星を貶してた、だから程立が怒ってる、と言われたら剣は抜かんだろうし――その後の頭なでなでからのほっぺたすりすり?俺の趣味だよ言わせんな恥ずかしい
>>「知るかい。困って困れよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 困ることが必要な事…まあそれでもいいか?
○「知るかい。困って悩めよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 悩め若人。とか言ったのは誰だっけ?悩んで自分で答えを出すのが必要かなあ


>>「あなたが神か」 関聖帝君「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ」こうですかわかりません
>>無論、二郎様の命であれば風はいつでも応じますので」 多分ここで関羽の腑に落ちたんだろうね、自分が二郎を愚弄すること言ってたことを(なお星を信頼できないと言ったことには気づいていなかった模様)。それに対して風が「私の主を馬鹿にするお前の主の程度が知れる」って言ったうえに「自分は主の生殺与奪の権は主の物だ」と言い切られたらそりゃあ、ねえ
さっきまでバチバチに、というか一触即発だった相手が急にピンクな空気まき散らしてメス顔しだしたら普通はついていけない、うぶなねんねじゃなおの事よ…
あともしも>>「のっぴょっぴょーん!」 で行くならこの後の話>>「関羽。貴様の忠誠はいい。 の部分をもっと立て板に水な勢いで言ってほしいです
>>「関羽。忠誠はいい、それはいいのよ。でもね、それは何に対してだっつー話よ。それを考えて?
 劉備?北郷一刀?その考え方?
 それとも、漢朝に対して?
 正直、ね。お前さんの忠義、ブレッブレじゃん。いや、びしっと決まってない感じ?何が一番大事かがさぁ。
 それが決められないとか言うなよ。そんな奴が白蓮の下に就くなんて許さんからな。
 いいか。白蓮は中華で十三席しかない州牧になるんだ。なったんだよ。
 それに対して貴様らの価値は何だよ。旧友だからって白蓮に頼りっぱなしにしか見えないのさ。ちゃんと見せてくれたらいくらでも報いてやれるんだぜ」
こんな感じで
734 :赤ペン [sage]:2021/04/28(水) 19:10:39.82 ID:lB/rRXVx0
あ、いや【それを考えて?】より【その辺分かってる?】の方がらしいか
そういえば二郎ちゃんの忠誠は袁家と袁紹と袁術のどこに向いてるのか…袁紹を仰ぎ見て袁術を庇護してる感はあるけど
735 :赤ペン [sage saga]:2021/04/29(木) 12:47:21.91 ID:L85lqpaS0
そういえばこの時代って漫才あるんだろうか?まあいいか、前に張遼と邪魔すんなら帰って―のコントやってたし
736 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/29(木) 21:23:59.06 ID:LUKBNKgH0
>>732
どもです!

いい感じですね。ちょっといじるかもしれません。

>>733
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
スライム、チェックしてないので見に行ってみます。ご紹介ありがとうございますー!

>「あなたが神か」 関聖帝君「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ」こうですかわかりません
やってみたいw
実装してみたいw

今回は色々と感想返しできない感じで検討案件ありがとうございました。

>そういえばこの時代って漫才あるんだろうか?まあいいか、前に張遼と邪魔すんなら帰って―のコントやってたし
アイドル活動もあるのでね。。。
あれ、帰ってんかって真桜案件じゃなかったっすけ(自信なし
737 :赤ペン [sage saga]:2021/04/30(金) 10:31:59.74 ID:JYGo89ON0
本当だ。親友が惚れてる男のことを〜でやってたわ
おいは恥ずかしか!
738 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/30(金) 12:33:54.84 ID:/9uO/TSS0
>>737
リカームばい!
(先行入力)
739 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/30(金) 14:18:40.51 ID:/9uO/TSS0
山の神緊急搬送
緊急オペ
虫垂炎?
740 :赤ペン [sage saga]:2021/05/01(土) 09:00:37.75 ID:Wa8NLcjv0
赤ペンの姿か?これが…生き恥
山神さん大丈夫ですかねえ、病床が埋まってて一般も受け入れできないみたいなところもあると聞きますが
741 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/01(土) 09:12:56.83 ID:i39+ocLz0
>>740
まだパンデミックじゃないから潜り込めました
オペして予後です
申し訳ないが今のうちにやっとかんと受け入れもできんことになるかもしれない
正直変異株の強さはマジやばいみたいなので、
万全でも感染しそうという危機感はあります
742 :赤ペン [sage]:2021/05/05(水) 21:19:26.17 ID:Nh+YxJeK0
あ、ありのまま起こったことを話すぜ
俺は恥ずかしさに悶えていたと思ったら気づいたらリカームを掛けられていた
生きてはおられんごっとか合掌ばいなんてちゃちなものじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ
743 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:50:06.73 ID:zEkwrGa/0
>>742
ザ・ワールドすらを越えてキング・クリムゾン!

そして時は加速する!

というわけで今日はやります
744 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:53:54.45 ID:zEkwrGa/0
「いやあ、やっぱり凪の作る料理は美味いわ」

しみじみと李典が口にした台詞。それに全力で于禁が同意する。

「ほんとなのー。ますます腕に磨きがかかってる感じなのー」

赤くないし、辛くないもの。と于禁は内心で呟く。いや、それを除いても腕に磨きがかかっているというのは嘘ではない。

「そ、そんなことはない。まだまだだ、と自覚している」

楽進の言葉は謙遜ではない。まあ、比較対象が典韋であることを考えると比較基準がおかしいのだが。
とはいえ、年少とは言え料理の腕も、武も典韋に一歩どころではない差をつけられていると楽進は思っている。
前者はやはり専門の料理店である程度修行し、下地が違うと言える。後者については完全に肉体的な性能(スペック)の差ではある。だが、どちらにおいても現時点の話であり、日々研鑽を惜しまぬ楽進の未来は明るいであろう。それにどちらも常人レベルを逸脱しているのではある。
そして、料理については。

「どっちもすごく美味しいよ?あとはまあ、業務用と家庭用の違いかな?」

と某青年はコメントしている。そう評された二人はそれぞれに奮起したものだが。

「にしても真桜、最近ますます忙しそうだな」

「せやねん。最近な、いよいよ兵装が一新されそうでな?その内容で侃侃諤諤(けんけんがくがく)なんよー。鎖帷子(くさりかたびら)か板金鎧(プレートメイル)かで揉めとってなー」

李典の漏らした言葉に楽進が柳眉を逆立てる。

「おい、それは機密じゃないのか!?」

それに李典はひらひらと手を振る。

「かまへん、かまへん。二人ともそんなん漏らせへんやろし、漏れても困らんしな」

「そうなの?次期兵装の内容なんて結構な利権の塊だと思うのー」

その言に李典は苦笑する。

「どっちもなー。
母流龍九商会の工房以外に作れんのや」

無論、一点ものであれば話は別である。が、数万に及ぶ兵卒に供給しようとなれば。

「なんとも、まあ。流石は真桜、といったところか?」

楽進は嘆息する。そう言えば昔から楽進の技術――という言葉では表現できない――は自分たちを大きく助けてくれたものである。

「ちゃうねん、ちゃうねん。そらな、うちかて母流龍九商会技術部部長としての矜持はあるし、それに相応しい腕も持っとると自負しとる」

だが、と楽進は語る。

「技術開発っちゅうやつはな、確信的な閃きも必要やねんけどな、それだけやったらあかんねん。
 ほんまに大事なんはな、地道にコツコツと続けて基礎を積み重ねることやねん。それが一番大事やねん。
うち一人やったらほんまたいしたことはでけへん」
745 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:54:20.37 ID:zEkwrGa/0
その言葉に楽進も于禁も大きく頷く。

「確かにそうなのー。沙和がいくら色々と意匠をこらしてもお針子さんがいなければ、それを縫えなければ意味はないのー」

デザインの革新的なその発想で于禁は母流龍九商会の服飾部で優遇されている。阿蘇阿蘇への掲載も多い。
だが、実際に型紙から縫製するのは無論于禁ではないのだ。

「せやねん。金型一つ作るんでも、部品同士のすり合わせするんでもな。これがうち一人やったら……一生終わらんわ。全身覆う板金鎧とかどんだけの部品いるねん!頭おかしいんちゃうか!ってな。」

ここで某青年の布石が活きる。
似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。一つの製品の工程を分解し、それ専門の工員を育成するという未来の発想。
無論、当初は「安かろう、悪かろう」だった製品も、だ。数年も経てば工員の習熟度でそれなりの品質になる。そう、工程が10あって習熟に20年かかるならば10の専門工員に任せれば2年で熟練工員の出来上がりだ。極論ではあるが。
……無論それほど単純なものではないが、規模は力である。そんな感じで母流龍九商会はこの時代ではありでないほどの生産効率を実現している。そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。そして荒っぽい工員をまとめ上げた人物の貢献が大きい。いや、その人物がいなければここまではならなかった。一言で言うならば。

「張紘、パねェ」

まあ、そういうことである。

無論、現場を叱咤激励し、二徹三徹当たり前で陣頭指揮に当たっていた李典の功績も大きい。身を削るそれは自分の探究心もあるだろう。だが。

「ほんなこと言ってもな、二郎はんのためやもん」

その言葉に于禁は驚愕する。

「そらな、好き勝手に研究できるのは嬉しいし、楽しいで?でもな。やっぱ嬉しいのんは、うちらの考えた製品を、な?皆が使ってくれてたら、な?
それってとっても素敵やん?」

使われてナンボ。かつては諦めていたその思い。
そして舞い戻るのは。

「まあ、それもこれも二郎はんのおかげやねんけどな」

楽進はこの上なく理解している。彼の援助がなければ、細々と一点ものの自己満足の品を作るしかなかったであろうことを。

「そうだな。真桜の言うことはすごく分かる。私も、自分が考えた食材の組み合わせ。それが軍の献立に採用された時は本当にうれしかった」

大人数……軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。
だが、いや、だからこそ。そこに一つでも足跡を残すことが出来た時、楽進は感涙にむせび泣いたものだ。これで意外と楽進は負けず嫌いなのだ。いや、向上心があると言った方がいいかもしれない。ちなみに某青年にはないものである。

「何より、二郎様の為になると確信できたからな!」

ドヤ顔の楽進に于禁は内心苦笑する。だって彼女は今現在彼氏募集中なのだからして。

「凪はほんまがんばっとったもんなあ。料理屋借り切っての味覚調査とか普通自腹でやらへんで?いやあ、愛やね、愛!」

「そ、そこまでするの?!」

応えるのは顔を真っ赤に染め上げた楽進である。

「そ、その、だ。なんだ。そう。少しでも、二郎様の負担が減れば、と思って、だ。
 いやほら、戦陣での食事は不味いというのが相場だろう?そしたら、二郎様の軍。そこのご飯が美味しかったら、少しでも士気が上がるかな、って思って、だ。無論、典韋殿がいるから最低限の味は保障されているけれども、それでも私も、だ」

「真桜ちゃん、沙和げっぷがでそうなのー」
746 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:55:11.15 ID:zEkwrGa/0
苦笑する李典。尚も語る楽進。于禁は思う。ああ、これが恋の力かと。そういったこととは縁遠かった二人がこうまで、と。そしてその思いは自らに。

「まあな、ほんま二郎はんは罪な男やで。なあ、凪?」

「い、いや。私は、だ。私のような武骨者が果たして二郎様に相応しいか。
 それでも、お傍にいたい。そう思うのは罪なのだろうか……」

深刻そうな楽進の様子に于禁はちょっと待て、と声を荒げる。

「凪ちゃん!待ってほしいの!
二郎さんなんて優良物件を掴んどいてその弱音は万死に値するの!家格よし!人格よし!
そこにきて凪ちゃんへの寵愛よし!これ以上何を望むのかと問いたいの!」

昂ぶる于禁の言の葉に楽進は圧倒されていた。

「凪ちゃんの言うことはいちいち贅沢なの。だっていつもの凪ちゃんならば自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ?
それがこんなに!そんなに!」

言い募るうちに于禁は思う。これでは。
ふと、黙り込んだ于禁を見て李典が茶化す。

「なんや、沙和。えらい熱心やなあ。
さては二郎はんに懸想しとるんとちゃうか?」

「違うもん!
 ……でも、沙和にも縁談あるけど、比べちゃうもん。
 二郎様と比べちゃうもん。だって、それは仕方ないでしょ!
 仕方ないじゃない!凪ちゃんも、真桜ちゃんも幸せそうでさ!
 置いてかれた沙和は羨ましいな、って思うしかないじゃないの!
 持ち掛けられる縁談!相手を比べるのが二郎様で!だったら頷けないって当たり前でしょ!」

びすびす、と泣き出した于禁をよしよしと抱きかかえながら李典は楽進に目線を送る。

「真桜、そこからは私が。
 沙和。二郎様はその、なんだ。素晴らしいお方だ。だったら、その身を、心を委ねないか?」

おずおず、といった楽進の言葉に李典がかぶせる。

「正直、沙和はしっかりしてるようでアレやからな。ええ加減な男に引っ掛かるくらいなら、と思うんよ。
 あれでええ加減ちゃうよ?きちんと、その……可愛がってくれるんよ。
 せやない!せやなくて!」

くすり、と于禁は笑う。艶やかに。

「もう、真桜ちゃんと凪ちゃんがいつもそんなに言ってるから、他の人なんて眼中になくなるのは当然なの」

于禁が頷く前に李典は笑う。

「いや、助かったわ。沙和、ほんま助かったかもしれん。うちと凪の二人やったら連戦連敗やったからな!
 うちら三羽烏の連携あらば、一矢報いてお釣りがくるやろうて……」

なお、ツインシュートは完封されていたが、トリプラーについては効果抜群であった模様である。
747 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:56:05.83 ID:zEkwrGa/0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案はなんだろな
「三羽烏の語らい」
うん、微妙ですね、いい案よろしくお願いします。

お盆くらいにはあっちでやれるかなあ。
748 :青ペン [sage]:2021/05/10(月) 11:56:03.48 ID:OphIVA6Ko
>>747
何を悩む必要あろかいな
こんなん【女三人寄れば姦しい、況んや恋話をや】で解決やん
749 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/11(火) 05:49:51.50 ID:UNqK5XH40
>>748
その手があったか!
750 :赤ペン [sage saga]:2021/05/12(水) 17:05:52.42 ID:ldIv6hvw0
乙でしたー
>>744
>>それにどちらも常人レベルを逸脱しているのではある。 ちょっと言い回しも変えてみるか
○それにどちらも既に常人の域を凌駕しているのだ。   【逸脱】はニュアンスとして好ましくない外れ方って感じなので【凌駕】とかどうでしょう
>>と某青年はコメントしている。 などと容疑者は供述しており、我ら独り身友の会によるシケイの執行が待たれる
○と某青年は述べている。    もしくは【との言が某青年から発せられた。】とか……むしろ【とは爆発すべき某将軍ののたまいである】とするべきか(懊悩
>>745
>>デザインの革新的なその発想で于禁は 上で言ってるように【意匠】で良いと思うけど
○趣向を凝らした革新的な発想で于禁は カタカナ警察としてはこんな感じでどうでしょう
>>似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。 固有名詞は卑怯だろうorz
○似非産業革命を目指した彼がもたらしたものは標準化、規格化、細分化による、未来における大量生産を可能としたオーパーツ(場違いな工芸品)ならぬ【場違いな工芸】であった。
>>そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。 多分概要を聞いた方は「言いたいことは分かるが言ってることが分からない」な顔になっただろうな
○そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員の質、量の平均化。  多分突出した個性はいらんと言いつつ上手くできた人を褒めちぎって全体を高レベルにまとめたりしたんだろうな…パねえわ
>>軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。 もう【料理法】とか【製法】でいいじゃん…良いじゃん
○軍規模の料理は典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝の調理法を会得しているというのも大きい。  【レシピは典韋の独壇場】だと料理法を独占して隠してるような感じだけど彼らなら広めて研鑽しそうな気もする…そこんところどうなんでしょう?
>>746
>>だっていつもの凪ちゃんならば自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ? 別時空の鬼軍曹が憑依った?
○だっていつもの凪ちゃんなら自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ?  もしくは【凪ちゃんだったら】とか?喋り言葉としてはちょっと変かと思うけどわざとかしら?
>>なお、ツインシュートは完封されていたが、トリプラーについては テニヌなら一人でも三人でコンビネーションできるからヘーキヘーキ
○なお、二段構えは完封されていたが、三位一体については     双璧とか阿吽というほどじゃなさそうだから言い換えが難しい…とりあえず【隙を生じぬ(隙が無いとは言っていない)二段構え】は破られるもの

>>赤くないし、辛くないもの。 赤い、けど辛くないとか言う情念を隠し味にした愛情料理という電波を受信した
青ペンさんはやっぱりセンスあるなあ>>恋話…セやろか?むしろ猥だn(黒ずんでいて読めない
メタ視点で言えばエロゲ世界な事もあって必ずしも1対1であるべし、とはなっていない(もともと一夫一婦制が浸透する前は云々、戦争で男の死傷率がかんぬん)から男に受け入れられるだけの懐(いろいろな意味で)があれば産めよ増やせよ地に満ちよでいけいけGOGOなんだなあ
特に恋姫世界だと彼女たちのような選ばれし存在が種を残そうと思える男って多くないだろうし
751 :青ペン [sage]:2021/05/12(水) 23:33:51.22 ID:0w/0mtw/o
>>750
【あなたが思うより健全です】とでも返しておけばいいかな?
一応ココR板じゃないし、ね。
752 :赤ペン [sage saga]:2021/05/13(木) 13:25:25.49 ID:r4aEHrNI0
私は間違い探しのようなものだから知識があればやろうと思えばできることだけど
青ペンさんの軽妙でしゃれっ気のある題名のセンスは本当に脱帽ものだね
ところでフォード式流れ作業の大量制作で思ったんだけど阿蘇阿蘇の本ってもしかして活版印刷してたりする?
まあだとしても前にぶらり諸国漫遊してた時に袁紹様の絵姿を本に乗せるのってどうやったのかを考えると…版画でも使ったのかな
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