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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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21 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:23:38.33 ID:sTNFGTqg0
「それでは、お先です。美羽様、お待ちしておりますねー」

斗詩が落としてきたロープをノールックで掴み、軽やかに駆けあがる。
うん、登攀するというよりは駆け上がるというべき速度で、たちまちに登り詰める。

「うし、次はアタイだな。アニキ、何かあったら呼んでくれよな。駆けつけるから」

いや、駆けつけるというか飛び降りるって感じだろうが。そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。
俺ときたらこの場では役立たず一直線なのに、信頼が重い。頑張る。

そしていよいよ俺たちの番だ。
垂れるロープを腰に巻きつけ、美羽様を背負い、麗羽様を――。

「失礼します」

真正面から抱きかかえる。常ならば落とす不安なぞないのだが、今の俺にそんな筋力があるかは疑問。
それを知っている麗羽様は、ぎゅ、と俺にしがみついてくる。

「二郎さん……」

ずり、ずりと引き上げられる。猪々子が引き上げているのだろう。あっという間に洛陽の街を見下ろせるほどの高さまで到達する。
振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。
ほ、と息をつく。どうやら、火は放たれていないようだ。

ぎり、と歯を噛みしめて呟く。

「雷薄。死ぬなよ……」

ぎゅ、と背後から伸ばされた手、俺に抱きつく手が震えた気がした。

「ここから出て、当てはありますの?」

微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。

「勿論。まあ、伊達に放浪しちゃいませんって」

軽薄に応えながら、思う。
雷薄、風。無事でいてくれよ、と。
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