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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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220 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/24(火) 21:47:46.10 ID:xaOINL0f0
「……ふう」

風が吹く。乾いた風が吹いている。黄色い大地を風が吹いている。

振り返ると、大軍。反董卓連合だ。そして眼前には水関。文字通り難関である。
いや、前も後ろもピリピリしてるね。当たり前だけんども。

しかし目にすると、あれだ。ため息が漏れるね。
ここからガチで恋とか張遼とか……詠ちゃんとかと命のやりとりをするんだから。
これまでの、野盗の類とか黄巾とかを相手していたのとは訳が違う。

そんな俺のおセンチな感傷をぶちこわしにする声が響く。

「七乃〜、喉がかわいたのじゃ〜。蜂蜜水を持ってたもれ〜」

「えー今日はもう駄目ですよー。おしっこもらしても知りませんよー?」

「うう、七乃はこっちに来てから意地悪なのじゃー」

がくり、と崩れ落ちそうになりながら、それでも口に笑みが浮かぶのを押さえられない。

「ってなんで美羽様がここにいるんですか!危ないでしょう!
 きちんと陣にいてくださいな」

「退屈なのじゃー。いい加減、飽きたのじゃ。のう、シャオ、流琉?」

「そうだよー、とりあえず一当てしようよー」

「わ、駄目ですよ。お二人とも、二郎様を困らせては……」

きゃいきゃいと騒ぐ幼女三人に腰が砕けてしまう。
まあ、何があっても美羽様はお守りするけどね。

いや、いい感じで力が抜けた。
改めて水関を見る。
でかい。

「うん、無理だな」

俺ごときが見てもそんな、攻略案が出るわけもないよね。
まあ、なんとかするさ、なんとかしてくれるさ。

いや、メイン軍師が横にいないのがものっそい不安だけどな!

「さ、陣に戻りましょう。次に来るときは――」

きっと激戦になるだろう。血で血を洗うんだろう。それでも俺は、俺たちは止まれない。
もはや賽は投げられたのだ。

反董卓連合か、なんとも心が沈む響きだね、と苦笑しながらそれでも俺は止まらない。
なんとなれば、賽は投げられたのだ。

踵を返し、陣に向かう。

待ち受ける、参戦した諸侯を集めての会議に思いを馳せる。
まあ、なんとかなるさと苦笑しながら歩いているとぴとり、と貼りついてきたのが。

「二郎?あまり難しい顔をするでない。笑う門には福来る、なのじゃ」

気遣わしげに見上げる美羽様である。
あまりに可愛らしいので、えいやと持ち上げて肩車してやる。

「わ、高い。高いのじゃ……」

「あー、美羽、ずるーい、二郎!シャオもー!ってほら、流琉もおいで!」

シャオと流琉をそれぞれ両脇に抱えて。
なんだかその感触が懐かしく、笑ってしまう。

「ああ、美羽様可愛いなあ。あんなに無邪気にはしゃいじゃって……。ああ、美羽様のあの表情が見れたのはいいけど肩車している二郎さんが妬ましいぞーこのこのー」

幼女に囲まれ、七乃にこづかれ、なんだかもう抱いていた煩悶はどこへやら、である。

いやまあ、一人じゃないって、素敵なことよね。

よし、と気を取り直した俺でございました。
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