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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 376 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:50:25.65 ID:cRY7Feyw0
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 「みんな、がんばってー!」
 
 応!とばかりに野太い声が応える。
 激励する声の主は孫尚香。寡兵を以って大軍に挑む孫家軍の消耗は必然。その、歴戦の精鋭をもってしてもこれほど絶望的に兵数が開いた戦いを経験したことはない。
 だからこそ孫尚香は最前線にその身を置いている。兵を率いることは甘寧に任せている。だから、単騎での鼓舞と遊撃がその使命。
 孫家の愛くるしい三の姫の鼓舞に孫家軍の兵士はその身に力が沸き立つのを実感する。
 
 「孫家万載!孫尚香様万歳!」
 
 轟く雄叫び。孫家軍はその精強さを驚くほどに継続し、敵の波状攻撃を弾き返す。
 
 「全く、孫家の血筋というのは……」
 
 甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。
 
 一方孫尚香は治まらない。いや、このままではいけないという焦燥感すらある。だから更に前線に向かう。孫家の守護獣たる白虎に命じて前線に向かう。けして敵中に向かうなと姉から言われたことなぞ無かったかの如く。
 
 「シャオの邪魔をすると、ひどいんだから!」
 
 追走する周泰は嘆息する。或いは感嘆する。
 そしてある時から孫尚香の動きの質が変わった。縦横無尽に駆け廻り、自陣を鼓舞する。そして敵陣を崩すのは変わらないのだが。
 
 戦場を駆け、血に染まるほどに孫尚香は内より出でる本能に身を任せ、ついには敵陣に単騎で突撃する。
 慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。
 
 「ええい!流石に孫家の息女は、やってくれる!」
 
 甘寧は一声吠えて苛立ちを解放する。そして淡々と戦線を復旧させる。なに、孫家の血筋によって前線がかき回されるのは慣れっこだ。そして腹立たしいことに彼女らの一手はこの上なく有効なのだ。
 
 「あんなもの、真似できるはずもない……」
 
 そんな甘寧の嘆息なぞどこ吹く風か。孫尚香は敵中枢に単騎で切り込む。そして返り討ちにしてくれんとばかりに取り囲む敵兵は端的に言って不幸だったろう。
 
 「GAAAAAAAAAAAAAA!」
 
 孫家の守護獣たる白虎が咆哮する。それは圧倒的な存在感。生物としての階梯の差。捕食者と被捕食者の差。圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に周囲の兵は白目を剥き、失禁し失神する。その咆哮はいともたやすくその戦意を刈り取り、恐慌を与える。
 
 「やっちゃえー!」
 
 再度、咆哮。
 
 砕ける戦意、士気は地に墜ちる。
 そこに押し寄せるのは孫家の精兵。
 かくして虎牢関守備兵の主力は大崩れすることになったのである。
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