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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 414 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:34:56.93 ID:z2f4tQkH0
-  張郃に招き入れられ、賈駆はその場に身を晒す。 
 突き刺すような視線は郭嘉のもの。
 それによって、却って賈駆は落ち着きを取り戻す。その顔に微笑みすら浮かべられるほどに。
 
 「――久しぶり、だな」
 
 無表情で、なおかつ鋭い視線を寄越す郭嘉と違って紀霊の言葉には様々な思いが込められている。それを嬉しく感じてしまうのはきっと人として駄目なことなんだろうな、などと賈駆は思う。
 
 「ええ、ほんと。
 ほんとに久しぶりね、二郎……」
 
 ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか?
 くしゃり、と刹那歪む彼の貌(かお)に自分はどう映っているのだろうか?みっともなく、荒れた顔で彼の前には立ちたくなかった。
 ――正直頬はこけ、目の下にはくっきりと隈が現れている。肌はかさつき、唇はひび割れて。
 それを補うために慣れない化粧を今日は念入りに仕立て上げている。おつきの女官には保障されているが、佳人に囲まれている男にすれば見え透いているだろう。
 
 漂う沈黙。それに身体の奥底から込み上げる激情に飲まれないよう、賈駆は懐より書を取り出す。
 
 「洛陽、それと禁裏の見取り図、それに警備の配置図よ」
 
 「な――」
 
 絶句する紀霊と言葉を交わさずに畳み掛ける。
 
 「洛陽の門扉を守る兵は皇甫嵩に掌握されてるわ。禁裏は言うに及ばないわね。でも、これがあればある程度渡り合えるはずよ」
 
 その言葉に紀霊は瞑目する。
 くすり、と漏れそうになる笑みを噛み殺す。思えば、目の前の青年の浮かべるこの表情が賈駆は嫌いではなかった。
 自分や、配下の軍師には到底及ばないと苦笑する彼は。それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。そんな彼をからかい、彼と語らう時間は賈駆にとってもかけがえのないものであったはずなのだが。
 
 だから、瞑目している彼に、問うてしまう。
 
 「ねえ、なんで、こうなっちゃったんだろ、ね……」
 
 それは彼女なりの、精一杯の甘えであった。
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